説明

カップ容器用スリーブ

【課題】カップ容器への取付け工程を機械化することができ、2段のマルチパックでは意匠性も向上させたカップ容器用スリーブを提供すること。
【解決手段】脚部を有するカップ容器Cに対して縦方向に周回する状態で取り付けられるスリーブ10であって、内側底板部分14と外側底板部分15とからなる二重構造の底部を有し、内側底板部分14にはカップ容器の脚部の中に嵌まるロック片14aが設けられ、外側底板部分15にはロック片14aを押し上げるための起立片15aが設けられており、起立片15aはロック片14aを斜めに押し上げた状態でロック片14aと係止可能になる。カップ容器を囲むように取り付けた後、起立片15aを外部から押してロック片14aを押し上げると、ロック片14aがカップ容器Cの脚部の中に嵌まり込んだ状態で起立片15aにより固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ容器の技術分野に属し、詳しくは、一つのカップ容器に取り付けたり或いは複数のカップ容器をまとめたりする際に使用されるカップ容器用スリーブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ヨーグルト、ジャム、ピーナッツバター、アイスクリーム等の食品の販売形態の一つとして、食する時の便宜を考慮し、これらの食品を個々のカップ容器に入れたものが広く利用されている。そして、カップ容器が一つの場合には、搬送中などに過って蓋が開かないように、また店頭にて悪戯で蓋が開けられないように、さらには販促効果を促進するために、カップ容器にシュリンクフィルムをかけたり、帯状のスリーブでカップ容器を縦方向に巻いたりすることが行われている。そして、板紙製のスリーブを用いる場合、カップ容器の周囲にスリーブを巻きつけ、カップ容器の底でスリーブの先端同士を糊付けしたり互いにロックすることで販売形態としている。
【特許文献1】実開平1−126963号公報
【0003】
また、上記のカップ容器を2〜3個まとめたマルチパックの形態も採られており、例えば板紙製のスリーブを用いて束ねることが行なわれている。また、2〜3個を上下2段に重ねて集積したマルチパックも利用されており、この場合も板紙製のスリーブを用いて束ねることが行なわれている。このようなマルチパックを形成するスリーブは、天面部の両サイドにカップ容器のフランジが入るスリットを設けたり、側面にスリーブ取外し用のジッパーを設けたりしている。また、上下2段のマルチパックでは、下段のカップ容器が外れないようにスリーブの側面に容器固定のための孔を設けている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、従来のカップ容器用スリーブは、スリーブの取付けに際し、スリーブをカップ容器に巻きつけて、カップ容器の底でスリーブの先端同士を手でロックして固定している。すなわち、スリーブの一端側にあるロック片を手で他端側のスリットに突き刺して止めている。したがって、スリーブの取付け工程は、手作業で行うしかなく、そのための人員を確保するのが難しい上に、コストが高くなるという問題があった。また、上下2段のマルチパックでは、下段のカップ容器が外れないようにスリーブの側面に容器固定のための孔を設けているが、この孔があるためにスリーブに施す印刷等のデザインに限界があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、カップ容器への取付け工程を機械化することができ、2段のマルチパックでは意匠性も向上させたカップ容器用スリーブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明のカップ容器用スリーブは、脚部を有するカップ容器に対して縦方向に周回する状態で取り付けられるスリーブであって、内側底板部分と外側底板部分とからなる二重構造の底部を有し、内側底板部分にはカップ容器の脚部の中に嵌まるロック片が設けられ、外側底板部分にはロック片を押し上げるための起立片が設けられており、起立片はロック片を斜めに押し上げた状態でロック片と係止可能になることを特徴としている。
【0007】
そして、上記構成のカップ容器用スリーブは、1個のカップ容器に取り付けるシングルタイプでもよいが、一列に並んだ複数個のカップ容器に対してこれらを束ねるために縦方向に周回する状態で取り付けられるマルチパックタイプであってもよいし、上下2段に重なった複数個のカップ容器に対してこれらを束ねるために縦方向に周回する状態で取り付けられるマルチパックタイプであってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のカップ容器用スリーブは、カップ容器を囲むように取り付けた後、外側底板部分の起立片を外部から押して内側底板部分のロック片を押し上げると、ロック片がカップ容器の脚部の中に嵌まり込んだ状態で起立片により固定され、カップ容器に対して外れない状態で取り付けられることから、カップ容器に被せて底にある起立片を押すという簡単な手順でカップ容器への取付けが完了し、今まで手作業で行っていたスリーブ取付け工程の機械化を図ることができる。また、2段のマルチパックを束ねるスリーブの場合は、下段のカップ容器を固定するための孔が不用となり、スリーブ側面の表示面が拡大することから意匠性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明に係るカップ容器用スリーブの一例を示す展開図、図2は図1のカップ容器用スリーブをサック貼りした状態で示す平面図、図3はサック貼りしたカップ容器用スリーブの底部を内側から見た状態で示す説明図、図4は図1のカップ容器用スリーブを使用状態で示す斜視図、図5は図4の縦方向断面図、図6は図4における底部の説明図である。
【0011】
このカップ容器用スリーブ10は、1個のカップ容器に取り付けるシングルタイプのスリーブで、所定の印刷が施された板紙を打ち抜いて形成されており、図1に示すように、天板部分11の両側に折線a,bを介してそれぞれ側板部分12,13が連設され、一方の側板部分12には折線cを介して内側底板部分14が連設され、他方の側板部分13には折線dを介して外側底板部分15が連設されている。なお、他方の側板部分13の外側底板部分15寄りに設けられた折線eはサック貼り時に必要となる折線である。
【0012】
内側底板部分14には中央から側板部分12寄りの位置に折曲げ用のミシン目αが形成されており、このミシン目αから先端寄りの部分がロック片14aを構成しており、そのロック片14aの先端には切り欠かれた形状の凹部14bが設けられ、凹部14bを囲むようにして開口14cが形成されている。一方、外側底板部分15には、その側板部分13寄りのところにロック片14aの凹部14bに嵌まり込んで係止するための凸部15bを先端に有する起立片15aが区画されている。この起立片15aは、内側底板部分14の開口14cに対応した位置に設けてあり、ミシン目βを底辺として起立可能になっている。なお、開口14cを形成する代わりに、開口14cに相当する部分を、図のγで示す線のところを折曲げ用のミシン目とするフラップとしてもよく、このようにすることで打抜き時にゴミが生じない。
【0013】
カップ容器用スリーブ10は図2に示すサック貼りした状態で供給される。具体的には、スリーブ10を折線a,eのところで順次折り曲げ、内側底板部分14の根元と外側底板部分15の先端とを貼り合わせる。すなわち、図の斜線で示すように外側底板部分15の先端付近を内側底板部分14におけるミシン目αより内側寄りのところに糊付けする。これにより、起立片15aのミシン目βが開口14cの中に位置し、起立片15aの凸部15bは凹部14bの底よりミシン目αの方に寄ったところに位置する。
【0014】
スリーブ10をカップ容器Cに取り付ける手順は次のようである。まず、サック貼りしたスリーブ10を角筒状に起こし、脚部を有するカップ容器Cを、スリーブ10の縦方向に開く口から挿入する。次に、外側底板部分15の起立片15aを外側から押して内側底板部分14のロック片14aを押し上げ、起立片15aの先端にある凸部15bをロック片14aの凹部14bの底を乗り越えさせて、図4〜6に示すように、起立片15aの先端にある凸部15bをロック片14aの凹部14bに係合させる。この時、外側底板領域15の起立片15aはミシン目βのところで、また内側底板部分14のロック片14aはミシン目αのところで簡単に折れ曲がる。このようにして、内側底板部分14のロック片14aがカップ容器Cの脚部の中に嵌まり込んだ状態となり、スリーブ10がカップ容器Cに対して簡単には外れない状態で取り付けられる。なお、以上の手順は横型カートナーを改造して自動で行なうこともできる。
【0015】
図7は本発明に係るカップ容器用スリーブの別の例を示す展開図、図8は図7のカップ容器用スリーブをカップ容器に取り付ける様子を示す斜視図、図9はカップ容器に取り付けた状態で示す底面図、図10はカップ容器用スリーブを使用状態で示す斜視図、図11は図10の縦方向断面図、図12は図10における底部の説明図である。
【0016】
このカップ容器用スリーブ20は、2個のカップ容器を束ねるマルチパックタイプのスリーブで、所定の印刷が施された板紙を打ち抜いて形成されており、図7に示すように、天板部分21の両側に折線a,bを介してそれぞれ側板部分22,23が連設され、一方の側板部分22には折線cを介して細幅の内側底板部分24が連設され、他方の側板部分23には折線dを介して外側底板部分25が連設されている。
【0017】
内側底板部分24にはその幅方向中ほどの位置に2本のミシン目αが並んで形成されており、各ミシン目αを起点として内側底板部分24から突き出る形状でそれぞれロック片24aが設けられ、それらのロック片24aの先端には切り欠かれた形状の凹部24bがそれぞれ設けられている。一方、外側底板部分25には、その側板部分23寄りのところに各ロック片24aの凹部24bに嵌まり込んで係止するための凸部25bを先端に有する2つの起立片25aが並んで区画されている。これらの起立片25aは、ミシン目βを底辺として起立可能になっている。
【0018】
カップ容器用スリーブ20は、図8に示すように、2個のカップ容器Cを包み込むようにして取り付けられる。具体的には、スリーブ20を各折線a〜dのところで折り曲げつつ2個のカップ容器Cを包み込み、図の斜線で示すように、内側底板部分24の表面に外側底板部分25の先端裏側を貼り合わせる。これにより、図9に示すように、起立片25aの凸部25bの中間をロック片24aの凹部24bの底が横切るとともに、起立片25aのミシン目βがロック片24aの先端より外側に位置するようにしてロック片24aの上に起立片25aが重なる。
【0019】
このようにスリーブ20を2個のカップ容器Cに巻き付けてから、外側底板部分25の2つの起立片25aを外側からそれぞれ押して内側底板部分24のロック片24aを押し上げ、各起立片25aの先端にある凸部25bをロック片24aの凹部24bの底を乗り越えさせて、図10〜12に示すように、各起立片25aの先端にある凸部25bをそれぞれロック片24aの凹部24bに係合させる。この時、外側底板領域25の2つの起立片25aはそれぞれミシン目βのところで、また内側底板部分24の2つのロック片24aはそれぞれミシン目αのところで簡単に折れ曲がる。このようにして、内側底板部分24の2つのロック片24aが2個のカップ容器Cの脚部の中にそれぞれ嵌まり込んだ状態となり、2個のカップ容器Cがスリーブ20により簡単には外れない状態で束ねられた状態となる。
【0020】
図7〜図12で説明したカップ容器用スリーブ20は、2個のカップ容器を束ねるマルチパックタイプのスリーブであるが、カップ容器が並ぶ方向に長くしてロック片24aと起立片25aを増やすことで3個以上のカップ容器を束ねるようにすることもできる。
【0021】
また、スリーブ20における側板部分22,23の高さをカップ容器2段分とすることにより、上下2段に重なったカップ容器に対してこれらを束ねるマルチパックタイプのスリーブとすることもできる。この場合、上段のカップ容器の脱落を防止するため、天板部分21と側板部分22,23との境界部分に上段のカップ容器のフランジ部が入るスリットを設けることが望ましい。
【0022】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明によるカップ容器用スリーブは、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
【0023】
例えば、図1〜図6で説明したスリーブ10では、ロック片14aの先端に切欠形状の凹部14bを設け、起立片15aにはその凹部14bに嵌まる凸部15bを設けたし、図7〜図12で説明したスリーブ20では、ロック片24aの先端に切欠形状の凹部24bを設け、起立片25にはその凹部24bに嵌まる凸部25bを設けたが、ロック片と起立片の形状はこの組合せに限定されるものではない。要は、外側底板部分の起立片が内側底板部分のロック片を斜めに押し上げた状態でロック片と係止可能になっていればよいので、この条件を満たすようにロック片と起立片の形状を適宜設計すればよい。
【0024】
また、ロック片14a,24aと起立片15a,25aについてはその折れ曲がりやすさを考慮して根元部分をミシン目α,βとしたが、罫線でも構わない。要は、起立片15a,25aを外部から押した際にロック片14a,24aとともに折れ曲がりさえすればよいので、ミシン目でも罫線でも適宜採用すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るカップ容器用スリーブの一例を示す展開図である。
【図2】図1のカップ容器用スリーブをサック貼りした状態で示す平面図である。
【図3】サック貼りしたカップ容器用スリーブの底部を内側から見た状態で示す説明図である。
【図4】図1のカップ容器用スリーブを使用状態で示す斜視図である。
【図5】図4の縦方向断面図である。
【図6】図4における底部の説明図である。
【図7】本発明に係るカップ容器用スリーブの別の例を示す展開図である。
【図8】図7のカップ容器用スリーブをカップ容器に取り付ける様子を示す斜視図である。
【図9】カップ容器に取り付けた状態で示す底面図である。
【図10】カップ容器用スリーブを使用状態で示す斜視図である。
【図11】図10の縦方向断面図である。
【図12】図10における底部の説明図である。
【符号の説明】
【0026】
C カップ容器
10 スリーブ
11 天板部分
12,13 側板部分
14 内側底板部分
14a ロック片
14b 凹部
14c 開口
15 外側底板部分
15a 起立片
15b 凸部
20 スリーブ
21 天板部分
22,23 側板部分
24 内側底板部分
24a ロック片
24b 凹部
25 外側底板部分
25a 起立片
25b 凸部
a〜e 折線
α,β ミシン目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚部を有するカップ容器に対して縦方向に周回する状態で取り付けられるスリーブであって、内側底板部分と外側底板部分とからなる二重構造の底部を有し、内側底板部分にはカップ容器の脚部の中に嵌まるロック片が設けられ、外側底板部分にはロック片を押し上げるための起立片が設けられており、起立片はロック片を斜めに押し上げた状態でロック片と係止可能になることを特徴とするカップ容器用スリーブ。
【請求項2】
スリーブが、一列に並んだ複数個のカップ容器に対してこれらを束ねるために縦方向に周回する状態で取り付けられるマルチパックタイプであることを特徴とする請求項1に記載のカップ容器用スリーブ。
【請求項3】
スリーブが、上下2段に重なった複数個のカップ容器に対してこれらを束ねるために縦方向に周回する状態で取り付けられるマルチパックタイプであることを特徴とする請求項1に記載のカップ容器用スリーブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−213895(P2008−213895A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−55103(P2007−55103)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】