説明

カップ状容器本体および包装方法

【課題】底部から開口部に向けて径が大きくなっていくカップ状容器本体において、シュリンクラベルによる加飾を可能とする。
【解決手段】容器本体1の外面にシュリンクラベル10の上端部と係合すべき係合手段として周溝7を設ける。シュリンクラベル10の収縮に伴う周溝7への食い込みによって、シュリンクラベル10の上端部10aの移動を規制でき、底部方向への縦方向の収縮を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外周面にシュリンクラベルを装着して加飾性を高めるようにしたカップ状容器本体、ならびに当該カップ状容器本体を用いた包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製ボトルの胴体部の加飾を目的として、熱収縮性樹脂フィルムからなるシュリンクラベルが広く使用されている(例えば、特許文献1)。容器がボトル形状である場合、上方の開口部に向けて径が小さくなっているため、この径の小さい上部と底部とを利用して、シュリンクラベルの上下端部の位置決め(移動規制)を行い、加熱の際の縦方向収縮を抑制して、良好な装着状態を実現することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2004‐123190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、底部から開口部に向けて径が漸増する基本的形状を有するカップ状容器本体の場合には、底部における係合を利用してシュリンクラベルの下端部を移動規制することはできるが、開口部側であるシュリンクラベルの上端部は移動規制できなかった。
【0005】
このシュリンクラベルの上端部に感熱接着剤を塗工し、シュリンクラベルを熱収縮させる際の熱を利用して容器に接着させることで、上端部を移動規制する方法も考えられる。しかし、収縮が進行している加熱中は未だ感熱接着剤が硬化していない為、上端部を十分に固定できないおそれがある。
【0006】
また、開口部の直ぐ下の部位を大きくアンダーカット形状(開口部に向けて径が小さくなるような形状)にさせ、この部位をシュリンクフィルムの上端部の移動規制に利用することもできるが、容器成形時の離型に支障が出る程の大きなアンダーカットは設けることができないため効果も十分ではないし、意匠面で制約を受けてしまう。
【0007】
そこで本発明の目的は、底部から開口部に向けて径が漸増する基本的形状を有するカップ状容器本体において、シュリンクラベルによる加飾を可能とする手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上端に配置された開口部と、該開口部に隣接して配置された大径部とを有するカップ状容器本体であって、前記大径部の外面に、シュリンクラベルの上端部と係合すべき係合手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明では、容器の外面にシュリンクラベルの上端部と係合すべき係合手段を備えたので、この係合手段によってシュリンクラベルの上端部の移動を規制でき、底部方向への縦方向の収縮を抑制することができる。また、係合手段を大径部に設けたので、係合をより効果的に行うことができる。
【0010】
本発明における係合手段は、少なくとも一つの凹部としてもよく、また、少なくとも一つの突起としてもよい。これらの場合には、熱収縮性樹脂フィルムからなるシュリンクラベルが、その横方向(周方向)の収縮により、凹部に食い込む、又は突起に引っかかることにより、ラベル上端部の移動が規制され、ラベルの縦方向の収縮が抑制される。このような作用は、係合手段が大径部を囲む環状である場合に特に好適に実現される。
【0011】
本発明における大径部は、開口部に向かうに従い断面積が縮小するアンダーカット形状を有するのが好適である。この場合には、係合を更に効果的に行うことができる。
【0012】
本発明の別の一態様は、請求項1ないし5のいずれかに記載のカップ状容器本体を用いた包装方法であって、前記係合手段と前記カップ状容器本体の底部との間隔よりも大きな幅を有する環状のシュリンクラベルを、前記カップ状容器本体の外側に供給する工程と、前記シュリンクラベルを収縮させる工程と、を含むことを特徴とする包装方法である。この態様によれば、底部から開口部に向けて径が大きくなっていくカップ状容器本体において、シュリンクラベルによる加飾が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態について、以下に図面に従って説明する。図1は本発明の実施形態の容器本体1を示す。本実施形態の容器本体1は、ヨーグルトおよび他の乳製品、プリンおよび他のデザート、コーヒー乳飲料および他の飲料、菓子を含む各種の物品を包装することができる。容器本体1は、不図示の蓋体と共に包装に用いられ、そのような蓋体としては例えばシート状のものおよび/または成型品からなるものを利用できる。
【0014】
容器本体1は、上端に配置された円形の開口部2と、この開口部2の下側に隣接して配置された大径部3と、ほぼ円錐台形の胴体部4と、中央が上向きのドーム状に膨出した底部5とを有する。開口部2の口縁部には、蓋体を接着するためのほぼ水平のフランジ6が環状に形成されている。容器本体1は軸線CLに関して軸対称である。
【0015】
大径部3の外径は、胴体部4の上端部の外径よりも大きくされている。この大径部3は、保管中に積み重ねられた複数の容器本体1の相互の張り付き(スタック)を防止する目的で設けられている。大径部3は、その外径が容器本体1の軸線CL方向に関して一定であり、したがって大径部3の外周面は鉛直方向に延在している。大径部3の外面には、単一の周溝7が周方向に形成されている。周溝7は連続した環状である。
【0016】
容器本体1の材質は、各種の樹脂材料を利用でき、PP(ポリプロピレン)系、PS(スチレン)系、PE(ポリエチレン)系、PET(ポリエチレンテレフタレート)系、及びPLA(ポリ乳酸)系が特に好適である。成形方法は溝及び突起を形成するのに適した各種の方法を利用でき、具体的には真空・圧空成形、射出成形、ブロー成形が特に好適である。周溝7の深さは、容器本体1の形状、装着するシュリンクラベルの縦横収縮特性、感熱接着剤採用の有無等の諸条件に応じて調整することができる。
【0017】
この容器本体1に装着されるシュリンクラベル10(図2参照)は、熱収縮性フィルムからなる。容器本体1の全周において、シュリンクラベルの幅aは、周溝7の上端部(後述する係合作用が行われる点)と容器本体1の下端部との間隔bよりも大とする。熱収縮性フィルムの厚さは10〜80μm、好ましくは20〜50μmとする。熱収縮性フィルムの材質は樹脂、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルが好適である。
【0018】
この熱収縮性フィルムは、その容器側(裏面)に感熱接着剤層を有し、且つその外側に、製品情報を表す印刷層を有するものが好ましい。印刷層の外側である最外層には透明の保護層を設けてもよい。
【0019】
感熱接着剤層を設ける場合には、その材料としては、澱粉系接着剤、膠系接着剤等の水性糊剤、又は水性若しくは油性のポリプロピレン系、ポリエチレン系、アクリル系、ポリビニルアルコール系、酢酸ビニル系等の感熱接着剤、その他各種合成樹脂製接着剤を使用することができ、より具体的には、例えば、ポリプロピレン樹脂と他の合成樹脂とのコポリマー等をあげることができる。熱収縮性フィルムの熱収縮温度は、感熱接着剤層の熱活性化温度よりも低くすることが好ましい。ただし、感熱接着剤層の使用は本発明では必須ではない。
【0020】
以上のとおり構成された実施形態の容器本体1に、外装体となるシュリンクラベル10を装着する工程について説明する。図2に示されるように、まず、筒状のシュリンクラベル10を容器本体の周面に配置する。具体的には、シュリンクラベル10を容器本体1に巻き付け、その重ね合わせ部を加熱加圧することにより熱接着して、截頭円錐状にするか、あるいは、熱接着によりシュリンクラベル10を予め截頭円錐状に形成し、それを容器本体1に被せる。ここで、図2では理解の容易のために、シュリンクラベル10の上端部10aと容器本体1のフランジ6との間に上下方向の間隔をおいて図示しているが、加熱開始時点におけるシュリンクラベル10の上端部10aは周溝7の上端部よりも上方であれば足り、フランジ6に接していてもよい。上端部10aはフランジ6を越えてわずかに上方に延在していてもよいが、収縮時に上端部10aがフランジ6に係合しないようにする必要がある。他方、シュリンクラベル10の下端部10bは、容器本体1の下端部よりも下方に延在している。
【0021】
次に、シュリンクラベル10の全体を加熱することにより熱収縮させ、容器本体1の側面全体を被覆させる。この加熱工程では、シュリンクラベル10の全表面を均一に加熱してもよく、あるいは周方向または軸線CL方向に所定間隔ごとに設定されたライン状の加熱領域で加熱してもよい。
【0022】
ここで、図3に示されるように、熱収縮性樹脂フィルムからなるシュリンクラベル10が、その横方向(周方向)の収縮により、周溝7に緊密に食い込むため、上端部10aの移動が規制される。他方、容器本体1の底部近傍においては、シュリンクラベル10の下端部10bが、その横方向(周方向)の収縮によって軸線CLに向けて屈曲するため、下端部10bの移動が規制される。したがって、シュリンクラベル10の上下方向の収縮を抑制することができ、底部から開口部に向けて径が大きくなっていくカップ状の容器本体1において、シュリンクラベル10による加飾が可能となる。
【0023】
以上のとおり、本実施形態では、容器本体1の外面にシュリンクラベル10の上端部と係合すべき係合手段としての周溝7を備えたので、この周溝7によってシュリンクラベル10の上端部10aの移動を規制でき、底部方向への縦方向の収縮を抑制することができる。また、周溝7を大径部3に設けたので、係合をより効果的に行うことができる。
【0024】
また、本実施形態では上端部10aの移動を規制できるため、加熱時の熱収縮を懸念しなくて済み、十分な熱量を使用しての作業が可能となる。また、上端部10aの移動の規制により、上端部10aとフランジ6との間のデザイン上の隙間の発生を抑制でき、見栄えが劣ることが無いようにできる。したがって本実施形態の容器本体および包装方法は、デザイン性を高く求められる各種容器について好適に利用できる。
【0025】
なお、本実施形態では、大径部3の外径を容器本体1の軸線CL方向に関して一定としたが、大径部の外径は軸方向に関して一定でなくてもよく、例えば図4に示される大径部13のように開口部に向かうに従い外径および断面積が漸増する抜け勾配、あるいは図5に示される大径部23のように開口部に向かうに従い外径および断面積が漸減するアンダーカット形状(いわゆる無理抜き形状)としてもよい。なお、図4および図5における基準線Vは、容器本体1の軸線CLと平行な鉛直線である。抜け勾配の場合には容器本体1の製造を容易にでき、また開口部下の大径部の外方への突出を最小限に抑えられ、意匠面での見栄えを良くし、形状の選択肢を拡げることができる。またアンダーカット形状の場合には、このアンダーカット形状による係止作用も相まって、シュリンクラベル10の上端部10aの係合を更に効果的に行うことができる。
【0026】
さらに、上記実施形態における周溝7に代えて、突起を設けてもよい。例えば、図6に示される変形例では、上記実施形態における大径部3と同様の大径部33の外面に、環状の単一の突条37が周方向に形成されている。突条37はその幅が一定であり、且つ水平に(すなわち、容器本体1の軸線CLに直交する平面上に)延在している。この変形例によっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。また、突条37を設ける場合の大径部は、図7に示される大径部43のように開口部に向かうに従い外径および断面積が漸増する抜け勾配、あるいは図8に示される大径部53のように開口部に向かうに従い外径および断面積が漸減するアンダーカット形状(いわゆる無理抜き形状)としてもよい。なお、図7および図8における基準線Vは、容器本体1の軸線CLと平行な鉛直線である。
【0027】
なお、上記実施形態および各変形例では、本発明をある程度の具体性をもって説明したが、本発明については、特許請求の範囲に記載された発明の精神や範囲から離れることなしに、さまざまな改変や変更が可能であることは理解されなければならない。すなわち、本発明は特許請求の範囲およびその等価物の範囲および趣旨に含まれる修正および変更を包含するものである。例えば、係合手段は周溝7や突条37のように周方向に連続した一連の物である必要はなく、周方向に間隔をおいて形成された複数の凹部(溝)または突起(突条)としてもよい。係合手段は散点状に配置されていてもよい。また係合手段は軸方向に間隔を置いて複数のものを設けてもよい。また、係合手段として、図9に示されるような段部47を設けてもよく、段部47は周方向に連続した一連のものであっても、周方向に間隔をおいて形成された複数のものであってもよい。さらに、形状が互いに異なる複数種類の係合手段が混在していてもよい。
【0028】
また、大径部の外径は周方向に関して一定でなくてもよい。すなわち、本発明は、上述した断面円形の軸対称の容器本体のみならず、断面が凹凸を有する容器、並びに断面が楕円形、多角形のような非軸対象の容器についても同様に適用することができ、かかる構成も本発明の範疇に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る容器本体の一部切欠した正面図である。
【図2】シュリンクフィルムの装着工程であって加熱前の状態を示す一部切欠した正面図である。
【図3】シュリンクフィルムの装着工程であって加熱後の状態を示す一部切欠した正面図である。
【図4】変形例の容器本体であって大径部を抜け勾配としたものの要部拡大図である。
【図5】変形例の容器本体であって大径部をアンダーカット形状としたものの要部拡大図である。
【図6】変形例の容器本体であって係合手段を突条としたものの要部拡大図である。
【図7】図6の更なる変形例であって大径部を抜け勾配としたものの要部拡大図である。
【図8】図6の更なる変形例であって大径部をアンダーカット形状としたものの要部拡大図である。
【図9】また別の変形例であって係合手段を段部としたものの要部拡大図である。
【符号の説明】
【0030】
1 容器本体
2 開口部
3,13,23,33,43,53 大径部
7 周溝
10 シュリンクラベル
10a 上端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に配置された開口部と、該開口部に隣接して配置された大径部とを有するカップ状容器本体であって、
前記大径部の外面に、シュリンクラベルの上端部と係合すべき係合手段を備えたことを特徴とするカップ状容器本体。
【請求項2】
請求項1に記載のカップ状容器本体であって、
前記係合手段は、少なくとも一つの凹部であることを特徴とするカップ状容器本体。
【請求項3】
請求項1に記載のカップ状容器本体であって、
前記係合手段は、少なくとも一つの突起であることを特徴とするカップ状容器本体。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のカップ状容器本体であって、
前記係合手段が前記大径部を囲む環状であることを特徴とするカップ状容器本体。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のカップ状容器本体であって、
前記大径部は、開口部に向かうに従い断面積が縮小するアンダーカット形状を有することを特徴とするカップ状容器本体。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のカップ状容器本体を用いた包装方法であって、
前記係合手段と前記カップ状容器本体の底部との間隔よりも大きな幅を有する環状のシュリンクラベルを、前記カップ状容器本体の外側に供給する工程と、
前記シュリンクラベルを収縮させる工程と、
を含むことを特徴とする包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−120398(P2008−120398A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304182(P2006−304182)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(591007295)厚木プラスチック株式会社 (9)
【Fターム(参考)】