説明

カップ状容器

【課題】 中間に空気層を形成する必要がなく二重壁構造であっても嵩張らず、且つ容器切出し性がよく、また変化や遊び性等の意外性に富み、しかも食するとき手で把持する部分は断熱性に優れ、他の部分は放熱性に増すカップ状容器を得る。
【解決手段】 容器本体2の胴部外周に扇形状シートを巻いて取り付けられたスリーブ5からなり、該スリーブは、縦方向に容器本体との接着部と縦方向ジッパー部及び折曲用罫線12、13を有し、該ジッパー部からスリーブを縦方向に破断することによって、基端部が容器本体に接着された2枚の翼片15、16に展開し、該翼片をそれぞれ罫線12、13に沿って折り返すことによって、3重構造の把持部と1重構造の放熱部が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ状容器、より詳しくは加熱して飲食できるインスタント食品等特に、熱湯を注いで又は電子レンジで加熱して飲食できるインスタント食品の包装に最適なカップ状容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、容器内に熱湯を注ぐことにより飲食できるインスタントラーメン、味噌汁、コーヒー、スープ、お茶等の容器、あるいは電子レンジで容器ごと加熱して飲食する調理食品用容器として、紙を主体とするカップ状容器(以下、単に紙製カップ状容器という)が多用されてきている。この種容器は、飲食時に内容物の熱から容器を把持する指を保護するために断熱対策を施している。従来知られている断熱対策としては、紙基材の表面に熱可塑性樹脂をラミネート若しくは含浸させて発泡処理したもの、容器本体(内カップ)の外周部にサックを設けて2重壁構造とし、サックと容器本体との間に空気層を設けたもの(例えば、特許文献1、2、3参照)、あるいは容器外周部に起こすと取っ手となる取っ手片を連結したもの(例えば、特許文献4参照)が知られている。
【特許文献1】特開平4−201840号公報
【特許文献2】特開2000−281045号公報
【特許文献3】特許第3252478号掲載公報
【特許文献4】実開平3−23011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記断熱処理のうち、発泡処理を施したものは断熱効果が低く、熱湯を注いだ場合素手で把持すると非常に熱く感じられ、また、二重壁構造にして空気層を設けたものは一般に発泡処理を施したものと比べて断熱効果は高いが、このような断熱処理を施しても容器外面が65℃〜75℃に達し、素手で持つと熱く感じられ、断熱効果は未だ満足するものではない。また、二重壁構造にして内部に空気層を設けるのは、壁厚方向に空間を形成する必要上、内部に波形状の中芯やスペーサを設けたり、あるいはサック自体にカールや複雑な罫線を形成して外部に膨らませた立体形状に成形しているので、必然的に容器の胴部壁が厚くなり、容積が増大して製品の箱詰め等収納に嵩張り輸送コストや保管コストが増大し不利である。さらに、容器への内容物の充填時には、空容器を筒状に重ねた状態で下部より切り出して供給されるが、胴部壁に空気層があると胴部壁に弾力性が増すため、積重ねた状態で上方のコップの自重により、容器同士の噛合いが強くなり、容器切り出し性が悪くなるという欠点もある。また、容器の胴部の外周部に取っ手片を設けるのは、その取っ手片が邪魔になり空容器の積重ね性、切出し性を阻害するという欠点がある。
【0004】
さらに、従来のこの種容器は、断熱容器に限らず、胴部壁は所定の形状や状態に固定されており、使用時に外周面の壁構造が変化するなどのことはなく、変化や遊び性に欠けている。したがって、例えば熱湯を注いで内容物を食することができる状態になるまで待つ間に楽しみを与えるなどの付加効果はなかった。また、従来のこの種容器は、断熱性と保温性向上という技術思想に基づいて上記のような種々の改良が加えられてきている。しかしながら、例えば、カップラーメンの場合、熱湯を注いで麺を食することができる状態に加温されるまでの所定時間は、加熱効果を高めるために容器は保温性の高いのが望ましいが、食するときは手で把持する部分は、断熱性が要求されるが、容器全体としてはむしろ保温性がなく、食するラーメンが素早く食べ易い程度に冷えるように放熱効果の高いものが望ましい。しかしながら、従来このような考え方に基づく容器はいまだ提供されていない。
【0005】
そこで、本発明は、上記用途に適用されるカップ状容器の技術的課題を一挙に解決しようとするものであり、中間に空気層を形成する必要がなく二重壁構造であっても嵩張らず、且つ容器切出し性がよく、また変化や遊び性等の意外性に富み、しかも食するとき手で把持する部分は断熱性に優れ、他の部分は放熱性に優れているようなカップ状容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために種々研究した結果、必ずしも容器を常に断熱構造にする必要はなく、実際に使用(食)する段階で手で保持する部分が集中的に断熱効果が高ければよく、流通段階では胴部壁を特別な断熱効果を持たせなければ、胴部を薄い構造にすることが可能であり、また使用に当って消費者によって胴部の把持部分を断熱構造に変化させることができれば、容器に意外性と変化を持たせることが可能であることを見出し、本発明に至ったものである。
【0007】
即ち、上記課題を解決する本発明のカップ状容器は、カップ状容器本体、該容器本体の胴部外周にシートを巻いて取り付けられたスリーブからなり、該スリーブは、縦方向に容器本体との筋状の接着部と縦方向ジッパー部及び折曲用罫線を有し、該ジッパー部からスリーブを縦方向に破断することによって、基端部が容器本体に接着された2枚の翼片に展開し、該翼片を前記罫線に沿って折曲して容器把持部を形成するようにしてなることを特徴とするものである。
【0008】
前記ジッパー部を周方向の略対称位置に位置するように2個所に設け、且つ該ジッパー部にそれぞれ隣接して2個所の接着部を設けた構成にすると、該ジッパー部からスリーブを切断することによって、対象位置に2枚の翼片が展開し、該翼片をそれぞれ罫線に沿って折り返すことによって、3重構造の把持部と1重構造の放熱部が形成される容器が得られる。また、他の構成として、1個の筋状の接着部と、該接着部と反対側に設けられた1個所のジッパー部を有するように構成すると、該ジッパー部を破断することにより、前記接着部の両側に一対の翼片が形成され、該一対の翼片を互いに反対側に折り返して、取っ手を形成すると共に1重構造の放熱部を形成し、前記取っ手を把持して容器を持つことができるカップ状容器が得られる。
【0009】
前記スリーブを発泡処理することにより、調理時(加熱時)の保温性が向上すると共に、食するときの把持部の断熱効果がより高まる容器を得ることができる。また、前記スリーブをジッパー部から破断して折り返すことにより、露出する容器本体の外周壁部又はスリーブ裏面に、付加機能を有する線画を印刷することによって、より付加価値の高いカップ状容器が得られる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通常の流通段階では胴部壁を断熱性に形成する必要はないので、二重壁構造であっても中間に空気層を形成する必要がなく嵩張らず、且つ容器外周面を均一面に形成できて容器積重ね性および容器切出し性がよく、また変化や遊び性等の意外性に富み、しかも消費者が使用する際には手で把持する部分は断熱性に優れ、他の部分は放熱性が増す包装容器を得ることができる。特に、本発明によれば、食するときは容器本体の外周壁の半分以上が外部に露出することになるので、放熱効果が高い。さらに、請求項2の構成によれば、使用時には消費者がジッパー部からスリーブを破断して反対側に沿って折り返すことにより、簡単に三重壁の把持部を構成することができ、把持部の断熱性を効果的に確保できる。また、請求項3の構成によれば、使用時には消費者がジッパー部からスリーブを破断して罫線に沿って折り返すことにより、容易に立体的な大きな取っ手を形成することができ、容器外形に立体的な変化が生じて、従来の容器にない変化性と意匠性に富んだ容器を得ることができる。さらに、使用時にスリーブを破断して裏返すことにより、容器本体の外周壁面が大きく露出し、放熱効果を高めると共に、露出した容器本体外周面、あるいはスリーブの裏面に、料理レシピ、隠し情報や福引、占い、あるいはキャラクター等を印刷しておくと、付加機能が増し消費者が使用時に楽しみのある容器が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る包装容器の実施形態を示し、本実施形態はカップ状の紙製容器に適用した場合である。ここで、紙製容器とは、必ずしも紙材のみで形成されているものに限らず、紙材に合成樹脂フィルムをラミネートしたもの、あるいは紙材に合成樹脂を含浸させたもの、さらには紙材と合成樹脂フィルムや金属箔を積層したものなど、紙を主材とする容器をさす。また、カップ状容器とは、胴部壁と底部壁を有する容器で、その大きさや深さ、胴部形状は特に限定されない。また、以下の実施形態では、紙製カップ状容器の例を示すが、カップ状容器本体は、必ずしも紙製容器に限らず、合成樹脂成形容器も適用でき、また外周面を包囲するスリーブも紙製に限らず、合成樹脂フィルム又は複合フィルムで形成することも可能である。
【0012】
本実施形態(第1実施形態)のカップ状の紙製容器1は、内面が耐水加工された胴部壁3と底部壁4を有するカップ状の容器本体2とスリーブ5とから形成され、胴部壁3の外周部に全体を覆うようにスリーブ5が嵌装されている。スリーブ5は、紙製又は合成樹脂ラミネート紙等の紙を基材とするシート材で、容器本体の胴部壁の外周面沿って筒状に形成されている。なお、該スリーブ5は、図示のようにその上端が胴部壁の上端部近傍に位置し、下端が胴部壁の足部下端部まで覆うように延びているのが望ましいが、上端部及び下端部は必ずしもその位置に達してなくても良い。
【0013】
スリーブ5は、図2に展開して図示されているように、扇形状のシートを筒状に形成してなる。一端縁に接合のり代部6、及び他端部に容器本体への第1接着部7及び中央部に第2接着部8が設けられている。第1接着部7及び第2接着部8とも胴部の上端から下端まで所定幅の筋状に形されている。そして、第1接着部及び第2接着部の片側には、隣接して第1ジッパー部9及び第2ジッパー部10がそれぞれ設けられている。ジッパー部は、一対の間欠的切込み線11を所定間隔に設けて、該切込み線に沿って破断できるようになっている。12は第1ジッパー部9と第2接着部8の略中間部に設けられた折曲用罫線であり、13は第2ジッパー部10と接合のり代部6(第2接着部)の略中間部に設けられた折曲用罫線であり、これらの折曲用罫線は、谷折り用又は山折り用の何れでも構わない。14は、後述するように、ジッパーを破断して翼片を折曲用罫線に沿って折り返したとき、折り返した翼片の端縁を係止するために設けられた係止用円弧切込み線であり、接合のり代部6及び第2接着部の一端側の略中央部から突出するように設けられている。しかしながら、該係止用円弧切込み線は必ずしも設ける必要はない。以上のような形状からなるスリーブ5は、容器本体2の胴部壁3の外周部に縦筋状に第1接着部7および第2接着部8が接着され、且つのり代部6を第1接着部に接着して取付けられる。その結果、本実施形態の紙製カップ状容器1は、図1(a)のような外形形状を呈する。なお、後述するようにスリーブ5をジッパー部9、10から破断して折り返すことにより露出する容器本体の胴部壁3の外周面又はスリーブ裏面に、付加機能を適宜印刷するとよい。
【0014】
以上のように形成された容器は、通常は図1(a)(b)に示すように、胴部は容器本体の胴部壁3とスリーブ5の二重壁となっているが、中間部に空気層などの空間部が存在しないので、容器本体の胴部壁とスリーブは直接接触した状態にあり、厚みがあまりなく嵩張らないし、収納容積を減らすことができ、且つ胴部壁同士を嵌合して積重ねた状態では、従来のこの種断熱容器と比べて積重ね性・切出し性が良好である。この状態から、内容物を食する場合、例えば内部に熱湯を注ぐ前、あるいは食べる時に、図3(a)に示すように、第1ジッパー部9及び第2ジッパー部10を破断することによって、スリーブ5は基部が対象位置に位置する第1接着部7、第2接着部にそれぞれ接着された2枚の翼片15、16に分割され、接着基部を除き容器本体の胴部壁3から分離された状態となる。次いで、同図(b)、(c)に示すように各翼片15、16を折曲用罫線12、13から折り曲げることによって、図4(a)に断面を示すように折曲げ部が容器本体の胴部壁3と合わせて3重壁となる。その際、各翼片15、16の破断側縁を係止用円弧切込み線14で半円板状に形成された係止部に指し込むことによって、翼片端縁が係止され、各翼片を折り曲げた状態を保持することができる。なお、翼片を図3(b)に示すものと反対に折曲用罫線から内側に折り曲げると、折り返し側片側部分を接着部側片側部分の下に折り込むことができるので、あえて係止部に係止させなくても折曲状態が維持される。
【0015】
したがって、折り畳まれた翼片15、16を把持部19として把持することにより、把持部19の断熱効果が高まり、熱湯を注いだ内容物であっても、あまり熱さを感じることなく容器を素手で把持することができる。一方、翼片を2重に折り畳むことによって、容器本体の胴部壁3の外周の約半分は外に露出することになり、その部分は図4(b)に示すように、胴部壁のみの1重壁となり、図1の状態と比べてその部分からの放熱性が増し、放熱効果が高まる。
【0016】
したがって、容器を把持して内容物を容器から直接食するとき、指への熱の伝わりが弱く、熱さを感じることなく把持することができ、反面把持部以外の部分での放熱効果が高く内容物が食する最適温度に早く冷えて、快適に食することができる。そして、翼片を折り曲げた状態では、図1でスリーブで囲って見えなかった容器本体の胴部壁3の約半分が露出して単壁状態になるので、この部分又はスリーブの裏面に予め、料理レシピ、隠し情報や福引、占い、或は漫画やキャラクター等を印刷しておけば、内容物が加熱される時間消費者にそれを見る楽しみを提供することができ、スリーブ形状の変化の斬新さばかりでなく、遊び性に富んだ容器を提供することができる。なお、スリーブに発泡処理を施すことによってより断熱効果をあげることができる。また、容器本体の保温性が高い方が望ましい場合は、容器本体の胴部壁を同様に発泡処理することによって保温性を上げることができる。
【0017】
図5〜図6は本発明の第2の実施形態に係る紙製容器を示している。本実施形態の紙製容器20は、上記第1実施形態の紙製容器の変形例であり、同様な部分は同一符号を付し、相違点のみについて説明する。本実施形態と第1実施形態との主な相違点は、翼片で取っ手を形成し、把持部を取っ手として構成する点である。図6は、そのスリーブ21の展開図であり、同図において扇形内の破線は折曲用罫線を表し、実線は切込み線を表している。本実施形態では、スリーブ21は、スリーブの片端のみに形成された1個所の接着部22のみで、容器本体の胴部壁3に接着されるように形成され、接着部22の内側に沿って第1罫線24、及び他方端部ののり代部23に沿って第2罫線25が形成されている。
【0018】
第1罫線24と第2罫線25との間の中間部に、一対の切込み線38により形成されたジッパー部26が設けられている。したがって、該スリーブを容器本体の胴部壁外周に接着部22を接着し、のり代部23を接着部上面に接合することによって、図5(a)に示すように、容器本体の胴部壁をスリーブ21で被覆することができる。この状態で、ジッパー部を破断除去することによって、スリーブは図5(b)、(c)に示すように接着部を中心にしてその両側に第1翼片27と第2翼片28に分離することができる。翼片となる部分には、図5(d)に示すような取っ手29を形成するためのスリット及び罫線が形成されている。即ち、図6に明示するように、それぞれの翼片27、28には、その中央部に取っ手の縦縁32の最外側厚みを規定する一対の罫線30が形成され、該罫線の両側にそれぞれ取っ手の指穴31を形成するための一対の縦方向スリット33及びその中央部を結ぶ横方向スリット34が形成されている。そして、一対の縦方向スリット33、33の上端部及び下端部を結んで横方向の罫線35、36が形成されている。したがって、スリットで囲まれた部分が舌片37となり、上下の罫線35、36に沿ってそれぞれ上下に折り曲げることによって、指穴31を形成することができる。本実施形態では、指穴31は、第1翼片27の接着部側指穴31aとジッパー側指穴31b、及び第2翼片28の接着部(のり代部)側指穴31cとジッパー側指穴31dの組合せにより形成され、図5(d)に示すように取っ手29を形成した状態で、第1翼片27の接着部側指穴31aと第2翼片28のジッパー側指穴31cが重なり、第1翼片27のジッパー側指穴31bと第2翼片28の接着部側指穴31dがそれぞれ重なるように、対称に形成されている。しかしながら、指穴の形状や構成は上記実施形態のものに限定されることなく、種々の形態のものが採用可能である。
【0019】
本実施形態の紙製容器20は、以上のように構成され、使用に際して前記実施形態と同様に、ジッパー部26を破断することによって、スリーブ21を接着部22を中心にして2つの翼片27、28に展開することができる。そして、両翼片を罫線24、25に沿って互いに反対側に折り曲げて重ね合わせ、さらにそれぞれの翼片27、28を一対の罫線30から折り曲げることによって、第1翼片27の接着部側指穴31aと第2翼片28のジッパー側指穴31cが重なり、第1翼片のジッパー側指穴31bと第2翼片28の接着部側指穴31dがそれぞれ重なる。この状態で、それぞれ指穴の位置にスリットにより形成されている舌片を内側に押しこむことによって、図5(d)に示すような指穴31が形成され、取っ手付きのカップ状容器が得られる。
【0020】
したがって、内容物を食する等の使用時には、該取っ手29を把持することによって、熱湯を注いだ内容物であっても、熱さを感じることなく容器を素手で把持することができる。一方、翼片を折り畳んで取っ手29を形成することによって、容器本体2の胴部壁3の多くの部分が露出することになり、その部分は胴部壁のみの1重壁となるため、その部分からの放熱性が増す。したがって、使用時の放熱効果が一段と優れた容器が得られるし、また、容器本体の胴部壁外周面の露出面積が増大することによって、その部分をディスプレー面としてより有効に活用できる。
【0021】
以上、本発明の実施形態について説明したが本発明のコップ状容器は、上記実施形態のもに限らず種々の設計変更が可能である。例えば、上記実施形態では、折曲用罫線は容器本体の胴部壁と平行に縦方向に形成されているが、罫線を翼片の対角線状に斜めに形成することも可能である。また、ジッパー部の切込み線は、必ずしも1対に形成する必要はなく、1本の間欠的切り込み線で形成してもよい。また、折り畳んだ状態で翼片を維持するために係止用円弧切込み線を形成したが、このような手段に代えて、スリーブの折り返し側の翼片となる部分の上縁に、該上縁から上方に突出する係止片を突出形成し、該係止片を翼片を折り返した際に、容器本体のカール部内に係止するように指し込むようにすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の紙製カップ状容器は、通常の流通段階では胴部に膨出部等がなく、使用時に把持部となる膨出部が形成されて断熱性を高めるので、紙材で高温収納用の環境に優しい容器を得ることができ、容器内に熱湯を注ぐことにより飲食できるインスタントラーメン、味噌汁、コーヒー、スープ、お茶等の容器、あるいは電子レンジで容器ごと加熱して飲食する調理食品用の包装容器に適用できるばかりでなく、熱い飲食物を食する使い捨てカップとしても利用可能性が高い。また、内容物が冷たい飲食物の容器にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る紙製カップ状容器を示し、(a)は斜視図、(b)はそのA−A断面拡大図である。
【図2】そのスリーブの展開図である。
【図3】図1の紙製カップ状容器の使用時の工程を示す斜視図であり、(a)はジッパー部を破断して一対の翼片を形成した状態、(b)はそれぞれの翼片を罫線に沿って折り曲げる状態、(c)は把持部が完成した状態である。
【図4】(a)は図3(c)のB−B断面図、(b)はC−C断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る紙製カップ状容器の斜視図であり、(a)は流通段階(使用前)の状態、(b)はジッパー部を破断して一対の翼片を形成した状態、(c)はそれぞれの翼片を罫線に沿って折り曲げる状態、(d)は取っ手が完成した状態である。
【図6】図5の実施形態の紙製カップ状容器のスリーブの展開図である。
【符号の説明】
【0024】
1、20 紙製カップ状容器 2 容器本体
3 胴部壁 4 底部壁
5、21 スリーブ 7 第1接着部
8 第2接着部 9 第1ジッパー部
10 第2ジッパー部 11 切込み線
12、13、30、35、36 罫線 14 係止用円弧切込み線
15、16 翼片 19 把持部
22 接着部
23 のり代部 24 第1罫線
25 第2罫線 26 ジッパー部
27 第1翼片 28 第2翼片
29 取っ手 31 指穴
32 縦縁 33 縦方向スリット
34 横方向スリット 37 舌片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ状容器本体、該容器本体の胴部外周にシートを巻いて取り付けられたスリーブからなり、該スリーブは、縦方向に容器本体との接着部と縦方向ジッパー部及び折曲用罫線を有し、該ジッパー部からスリーブを縦方向に破断することによって、基端部が容器本体に接着された2枚の翼片に展開し、該翼片を前記罫線に沿って折曲して容器把持部を形成するようにしてなることを特徴とするカップ状容器。
【請求項2】
前記ジッパー部が周方向の略対称位置に位置するように2個所に設けられ、且つ該ジッパー部に隣接して2個所の接着部を有し、該ジッパー部からスリーブを切断することによって、対象位置に2枚の翼片が展開し、該翼片をそれぞれ罫線に沿って折り返すことによって、3重構造の把持部と1重構造の放熱部が形成される請求項1に記載のカップ状容器。
【請求項3】
前記ジッパー部が、筋状の接着部と反対側に設けられた1個所のジッパー部からなり、該ジッパー部を破断することにより、前記接着部の両側に一対の翼片が形成され、該一対の翼片を互いに反対側に折り返して、取っ手を形成すると共に1重構造の放熱部を形成し、前記取っ手を把持して容器を持つようにしてなる請求項1に記載のカップ状容器。
【請求項4】
前記スリーブが発泡処理されている請求項1〜3の何れかに記載のカップ状容器。
【請求項5】
前記スリーブをジッパー部から破断して折り返すことにより、露出する容器本体の外周壁部又はスリーブ裏面に、付加機能を印刷してなる請求項1〜4の何れかに記載のカップ状容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−44724(P2006−44724A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227279(P2004−227279)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000223193)東罐興業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】