説明

カップ部を有する衣類

【課題】カップ部を有する衣類を、着用時にカップ部が体の動きに追随して変形し、カップ部上部に浮きが生じたり、カップ部から脇部の肉がはみ出してバストの形状が崩れることが軽減されて美しいバストシルエットを保つことができるパッドをカップ部に装着したカップ部を有する衣類を提供する。
【解決手段】左右カップ部の前中心側の上辺からバージスライン近傍に並行して切り込み部を形成した。更にパッド上辺に伸縮部材を配置したこと、およびカップ部の表裏面側に伸縮性布地を用いてパッドを被覆した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ部にパッドを装着したカップ部を有する衣類に関し、詳しくは、着用時にカップ部がバストからずれにくいカップ部を有する衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特に夏季は、薄地のアウターを着用することも多いが、外観に響かないよう、予め所望の乳房形状を現出するよう成形して形成されるパッドをカップ部に取り付ける、あるいはカップ部そのものとしたカップ部を有する衣類を用いることが多い。
【0003】
また、近年の衣類の多様化の下、フォーマル時や夏季のアウターとして、肩部が露出するデザインの衣類や、胸元や背部に大きな開口部を有する衣類を着用する機会が増えている。これらのアウター着用時には、特に、1/2カップタイプのカップ部を有するブラジャーなどカップ部を有する衣類を、ストラップ部のない、あるいはストラップ部をはずした状態でインナーとして着用することも多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような成形されたパッドを用いたカップ部を有する衣類は、着用時に体の動きに追随しきれず、カップ部上部に浮きが生じたり、カップ部から脇部の肉がはみ出してバストの形状が崩れるなどの問題があった。
【0005】
本発明は、カップ部を有する衣類を、着用時にカップ部が体の動きに追随して変形し、カップ部上部に浮きが生じたり、カップ部から脇部の肉がはみ出してバストの形状が崩れることが軽減されて美しいバストシルエットを保つことができるパッドをカップ部に装着したカップ部を有する衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、次の様なカップ部を有する衣類を提供するものである。
【0007】
(1)少なくとも2つのカップ部とバック部を有し、カップ部にパッドを装着したカップ部を有する衣類であって、該パッドが、装着時の前中心側の上辺から着用時のバージスラインに沿って、あるいはバージスライン近傍に並行して延びる切り込み部を有し、かつ該切り込み部の切り込み端部が着用時のバージスライン最下点より前中心側にあることを特徴とするカップ部を有する衣類。
【0008】
(2)前記切り込み端部から着用時のバージスラインに直角に下ろした線とバージスラインとの交点からバージスライン最下点までの長さが、バージスラインに沿って5〜50mmの範囲にあることを特徴とする(1)記載のカップ部を有する衣類。
【0009】
(3)カップ部下部周縁にワイヤーを配設してなることを特徴とする(1)または(2)に記載のカップ部を有する衣類。
【0010】
(4)パッド上辺に相当する位置に沿って伸縮性部材を取り付けてなることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか一項に記載のカップ部を有する衣類。
【0011】
(5)カップ部が1/2カップタイプのカップ部であり、ストラップ部を有しない、あるいは着脱可能なストラップ部を有することを特徴とする(4)記載のカップ部を有する衣類。
【0012】
(6)伸縮性部材のカップ部への固着部分が、一方の端部は着用時の脇部側上辺端部であり、他方の端部が、着用時の前中心側から、着用時のバージスライン最下点から上方へ延ばした垂直線とパッド上辺との交点までのパッド上辺に沿う長さの3分の1より前中心側にあることを特徴とする(5)記載のカップ部を有する衣類。
【0013】
(7)カップ部が3/4カップタイプのカップ部であることを特徴とする(4)記載のカップ部を有する衣類。
【0014】
(8)伸縮性部材のカップ部への固着部分がパッド上辺全体であることを特徴とする(7)記載のカップ部を有する衣類。
【0015】
(9)カップ部において、表側および肌側を伸縮性を有する布地を用いてパッドを被覆することを特徴とする(1)乃至(8)のいずれか一項に記載のカップ部を有する衣類。
【0016】
(10)ブラジャー、ブラスリップ、トップス、ブラキャミソール、ボディスーツ、カップ部付きテディ、水着から選ばれた衣類であることを特徴とする(1)乃至(9)のいずれか一項に記載のカップ部を有する衣類。
【発明の効果】
【0017】
本発明のカップ部を有する衣類は、着用時に、カップ部が体の動きに追随して変形し、カップ部上部に浮きが生じたり、カップ部から脇部の肉がはみ出してバストの形状が崩れることが軽減されて美しいバストシルエットを保つことができ、良好な着用感が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を用いて、本発明を詳細に説明するが、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態の一例であるカップ部を有する衣類のカップ部に装着されるパッドの構成を示す正面図である。図1のパッド1は、1/2カップタイプのカップ部に装着されるパッドであって、装着時の前中心側Sの上辺2から着用時のバージスライン3近傍に並行して延びる切り込み部4を有し、かつ該切り込み部4の切り込み端部4aが着用時のバージスライン最下点Xより前中心側(図中Fで示される)にある。
【0020】
上記構成とすることにより、パッド1をカップ部に装着したカップ部を有する衣類は、ストラップ部を有しない、あるいははずした状態でも、着用時にカップ部が体の動きに追随して変形し、カップ部上部に浮きが生じたり、カップ部から脇部の肉がはみ出してバストの形状が崩れることが軽減される。図6に、図1のパッド1を取り付けたカップ部を有する衣類における作用を説明する説明図を示す。図6のカップ部を有する衣類であるブラジャー10は、2つのカップ部、11、11、バック部12、12(一方のみ図示)、前中心部13を有し、図1のパッド1をそれぞれのカップ部11に装着してなる。
パッド1に設けられた切り込み部4によって形成される空隙が開閉することにより、図中矢印mで示される方向にパッド1が変形し、パッドが体の動きに追随する。
【0021】
本発明に使用されるパッドに設けられる切り込み部の配置は、着用時のバージスライン近傍に並行して延びれば良く、パッドの形状によっては着用時のバージスラインに沿って延びる配置であっても良い。
【0022】
本発明に使用されるパッドに設けられる切り込み部の長さは、切り込み部の切り込み端部が着用時のバージスライン最下点より前中心側にあれば特に限定されないが、切り込み端部から着用時のバージスラインに直角に下ろした線とバージスラインとの交点からバージスライン最下点までの長さが、バージスラインに沿って5〜50mmの範囲にあるのが好ましい。図2に、本発明に使用されるパッドの切り込み部の範囲を説明する正面図を示す。図2は、図1のパッド1における切り込み部の範囲を説明するものである。図2において、切り込み端部4aから着用時のバージスラインに直角に下ろした線とバージスラインとの交点Yからバージスライン最下点Xまでのバージスラインに沿う長さをLとすると、この長さLが5〜50mmの範囲にあるのが好ましい。切り込み部の長さを上記になるようにすると、体の動きに追随するパッドの変形がより適切な範囲となり、本発明の作用がより効果的に発現する。
【0023】
本発明に使用されるパッドにおいて、上記切り込み部以外の平面形状は、概ねカップ部と同様の形状であれば特に限定されない。また、本発明においてパッドは予め所望の乳房形状を現出するよう成形して形成されるものであって、切り込み部を設けることにより、動作時にも乳房の変形に追随してパッド形状が適切に変形し、バストの形状を崩すことなく保持できる。
【0024】
本発明において、パッドを構成する素材は、通常一般にカップ部に使用されるパッドと同様の、例えば、ウレタンフォーム、不織布、ダブルニット、ダブルラッセル等が挙げられる。成形などのパッドの製造方法は、使用する素材に応じて適宜選択されるが、本発明において、パッドが特にウレタンフォームなどをモールド成形したパッドである場合、切り込み部の形成が容易であり、また乳房の変形に追随してパッド形状が変形する効果が得に高く得られる。
【0025】
本発明のカップ部を有する衣類は、上記の構成のような切り込み部を有するパッドをカップ部に装着した構成を有する。本発明のカップ部を有する衣類は、少なくとも2つのカップ部とバック部を有する。
【0026】
本発明のカップ部を有する衣類は、カップ部をパッドのみから構成しても良いし、パッドを主要部分として、パッドの保持性や着用感の向上、デザイン上の点から、本発明の作用を阻害しない範囲で、表側および/または肌側に布地などの他部材を用いても良い。特に、カップ部において、表側および肌側を伸縮性を有する布地を用いてパッドを被覆するのが、パッドの保持性や着用感を向上した上で、パッドが体の動きに追随して変形する作用を妨げず、好ましい。
【0027】
上記伸縮性を有する布地としては、特に限定されず、カップ部を有する衣類に通常使用される、例えば、丸編み布地、パワーネット、トリコット等が挙げられる。また、表側と肌側は、同種の布地でも異なる種類の布地であっても良い。
【0028】
本発明のカップ部を有する衣類は、バストの保持力を高めるよう、カップ部下部周縁にワイヤーを配設した構成であっても良い。図3は、本発明のカップ部を有する衣類において、ワイヤーとのパッドの配置の関係を示す正面図、図4は、図3のパッドの装着時の状態を横方向から見た説明図である。ワイヤー5以外の、図1のパッドと同一態様の部分には、同一の符号を付し、重複説明を省略している。なお、ワイヤーは通常一般のものと同様のものを使用できる。
【0029】
本発明のカップ部を有する衣類は、パッド上辺に相当する位置に沿って伸縮性部材を取り付けてなるのが好ましい。パッド上辺に相当する位置に沿って伸縮性部材を取り付けることにより、パッド上辺に相当する位置付近の上辺に沿った方向の伸縮性(図6の本発明のカップ部を有する衣類において両矢印nで示される。)が付与され、パッドが体の動きに追随して変形する作用がより高められる。
【0030】
本発明のカップ部を有する衣類において、上記のようにパッド上辺に相当する位置に沿って伸縮性部材を取り付ける際に、カップ部が1/2カップタイプのカップ部である場合は、伸縮性部材のカップ部への固着部分が、一方の端部は着用時の脇部側上辺端部であり、他方の端部が、着用時の前中心側から、着用時のバージスライン最下点から上方へ延ばした垂直線とパッド上辺との交点までのパッド上辺に沿う長さの3分の1より前中心側にあるのが、より好ましい。伸縮性部材のカップ部への固着部分を上記範囲とすることにより、パッド上辺に相当する位置に沿った方向の伸縮性がより効果的に付与される。図5は、本発明のカップ部を有する衣類において、パッド上辺に相当する位置に沿って取り付けた伸縮性部材の固着部分の範囲を説明する正面図である。図5においては、図1のパッドと同一態様の部分には、同一の符号を付し、重複説明を省略している。伸縮性部材6のカップ部への固着部分7の一方の端部は着用時の脇部側(図中Bで示される)上辺端部である。他方の端部8は、着用時の前中心側Sから、着用時のバージスライン最下点Xから上方へ延ばした垂直線(図中一点鎖線Tで示される)とパッド上辺との交点(図中Zで示される)までのパッド上辺に沿う長さの3分の1より前中心側(図中Fで示される)にある。即ち、前中心側Sから交点Zまでのパッド上辺に沿う長さをL、前中心側Sから端部8までのパッド上辺に沿う長さをLとすると、L/Lが1/3以下となるようにするのが好ましい。
【0031】
本発明のカップ部を有する衣類において、パッド上辺に相当する位置に沿って伸縮性部材を取り付ける場合、伸縮部材のパッドの表裏に対する配置や取り付け方法は特に限定されない。図7は、本発明のパッドを取り付けたカップ部を有する衣類において、パッド上辺に相当する位置に沿って取り付けた伸縮性部材の固着方法の例を示す部分断面図である。本発明はもちろんこれらの例に限定されない。図7においては、いずれもパッド1の表側および肌側を伸縮性を有する布地を用いて被覆している。図7(a)においては、パッド1の肌側を被覆する布地21の上辺はパッド1の上辺と同位置にあるが、パッド1の表側を被覆する布地20がパッド1および布地21の上辺をくるむように延び、布地20の延びた部分と布地21との間に挟まれるように伸縮性部材22がパッド1の肌側に配置されて、縫合部23により、パッド1、布地20、21の上部、伸縮性部材22が固着されている。図7(b)においては、パッド1と、パッド1の表側を被覆する布地24の上部、パッド1の肌側を被覆する布地25の上部の配置は、図7(a)と同様であるが、伸縮性部材22が布地24の延びた部分の更に肌側に配置されて、縫合部により、パッド1、布地24、25の上部、伸縮性部材22が固着されている。なお、図7(b)においては、まず、布地24と布地25が縫合部26aにより縫合され、さらに、パッド1、布地24、25、伸縮性部材22が縫合部26bにより縫合されて、縫合部が表側に表れない構成となっている(縫合部26a、26bは実際には重なっているが、説明のためにずらした状態としている)。図7(c)においては、パッド1の表側を被覆する布地27の上辺と、肌側を被覆する布地28の上辺は、共にパッド1の上辺と同位置にあり、伸縮性部材29が、パッド1、布地27、28の上部をくるむように配置されて、縫合部30により固着されている。固着方法は、縫合に限定されず、使用する素材等により、熱融着や接着などの他の方法を用いることもできる。縫合を用いる場合は、ワンステッチがスリーステッチを用いるのが好ましい。
【0032】
上記の伸縮性部材としては、図7(a)、(b)のようなテープ材や、図7(c)のような幅広の布地片等が挙げられる。さらに、複数の部材を使用しても良い。また、その素材は特に限定されず、例えば、ストレッチテープ等が挙げられる。
【0033】
図8は、本発明のカップ部を有する衣類の一例である1/2カップタイプのカップ部を有するブラジャーの実施形態例の背面図である。図8におけるブラジャー10は、2つのカップ部11、11、バック部12、12、およびカップ部下側に設けられた前中心部13を有するバックオープンタイプのブラジャーである。バック部12、12においてそれぞれの端部に取り付けられた係止部材14と15を係止させることによりブラジャーを保持することができる。カップ部11、11は、図1のパッド1を用い、表側および肌側を伸縮性を有する布地を用いて被覆し、さらに図5の範囲と同様に、カップ部上辺に沿って伸縮性部材を配置して固着している。
【0034】
本発明のカップ部を有する衣類において、カップ部が1/2カップタイプである場合、パッド上辺に相当する位置に沿った方向の伸縮性の作用は、ストラップ部を有しない状態で特に効果的に発現されるため、本発明のカップ部を有する衣類として、図8のブラジャー10のようなストラップ部を有しない形態のものが挙げられるが、後述の図12に示されるボディスーツのような、通常一般のカップ部を有する衣類と同様の着脱可能なストラップ部を有しているものも含まれる。
【0035】
本発明のカップ部を有する衣類において、上記のようにパッド上辺に相当する位置に沿って伸縮性部材を取り付ける際に、カップ部が3/4カップタイプのカップ部である場合は、伸縮性部材のカップ部への固着部分がパッド上辺全体であるのが、より好ましい。カップ部が3/4カップタイプである場合、ストラップ部を有するが、ストラップ部によって引かれる力の方が、パッド上辺に相当する位置に沿った方向の伸縮作用より大きくなるため、伸縮性部材のカップ部への固着部分をパッド上辺全体とすることにより、むしろ切り込み部が開きすぎることを抑制し、適度な変形が生じるようになる。図9は本発明のカップ部を有する衣類のカップ部に装着されるパッドの他の実施形態例である、3/4カップタイプのカップ部に装着されるパッドの構成を示す正面図である。図9のパッド1’は、図1のパッド1と同様の切り込み部4’を有し、さらにパッド上辺全体に亘り、伸縮性部材6’が固着部分7’によって固着されている。なお、伸縮性部材の固着部分の範囲、パッドの平面形状、ストラップ部を有すること以外の構成は、1/2カップタイプのカップ部を有する衣類と同様である。
【0036】
上記構成とすることにより、パッド1’をカップ部に装着したカップ部を有する衣類は、着用時にカップ部が体の動きに追随して適度に変形し、カップ部上部に浮きが生じたり、カップ部から脇部の肉がはみ出してバストの形状が崩れることが軽減される。図10に、上記のパッド1’を取り付けたカップ部を有する衣類における作用を説明する説明図を示す。図10のカップ部を有する衣類であるブラジャー10’は、2つのカップ部、11’、11’、バック部12、12(一方のみ図示)、前中心部13を有し、図9のパッド1’をそれぞれのカップ部11’に装着してなる。パッド1’に設けられた切り込み部4’によって形成される空隙が開閉すること、および伸縮性部材によって切り込み部上部の開閉が抑制されることにより、図中矢印m’で示される方向にパッド1’が変形し、パッドが体の動きに追随する。パッド1’の変形は切り込み部の中央部で大きく、下部では小さく、上部では中程度となる。
【0037】
図11は、本発明のカップ部を有する衣類の一例である3/4カップタイプのカップ部を有するブラジャーの実施形態例の背面図である。図11におけるブラジャー10’は、2つのカップ部11’、11’、バック部12、12、およびカップ部下側に設けられた前中心部13、ストラップ部16、16を有するバックオープンタイプのブラジャーである。バック部12、12においてそれぞれの端部に取り付けられた係止部材14と15を係止させることによりブラジャーを保持することができる。カップ部11’、11’は、図9のパッド1’を用い、表側および肌側を伸縮性を有する布地を用いて被覆し、さらにパッド上辺全体に亘り、カップ部上辺に沿って伸縮性部材を配置して固着している。
【0038】
本発明において、上記構成以外のカップ部を有する衣類の構成は、特に限定されず、その形状、素材、製造方法等は本発明の作用を阻害しない範囲で、通常一般のカップ部を有する衣類と同様に構成され、例えばボーン等の他の構成を有していても良い。また、図8におけるブラジャー10は、カップ部11下側に前中心部13が取り付けられているが、デザイン状の都合などから一部あるいは全部のアンダーバスト部がない形状であっても良い。
【0039】
本発明のカップ部を有する衣類として、具体的には、上記実施形態のようなブラジャーの他に、ブラスリップ、トップス、ブラキャミソール、ボディスーツ、カップ部付きテディ、水着等が挙げられる。本発明のカップ部を有する衣類は、カップ部、あるいは前中心部の下側に、ウェスト近傍あるいは更にその下側まで延在する胴部を有していても良い。
【0040】
図12、13に本発明のカップ部を有する衣類の別の実施形態を示す。図12は本発明のカップ部を有する衣類であるボディスーツの実施形態例の外観斜視図、図13は本発明のカップ部を有する衣類である水着の実施形態例の外観斜視図であり、いずれも胴部(図中、符号40、41で示される。)を有する形状である。また、図12のボディスーツは、取り外し可能なストラップ部16、16を備える。なお、図8のブラジャーの示した態様と同一の部分には、同一の符号を付し、重複説明を省略している。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のカップ部を有する衣類は、着用時に、カップ部が体の動きに追随して変形し、カップ部上部に浮きが生じたり、カップ部から脇部の肉がはみ出してバストの形状が崩れることが軽減されて美しいバストシルエットを保つことができ、良好な着用感が得られるので、薄地の衣類をアウターとして着用する際のインナー用として有用であり、特に1/2カップタイプのカップ部を有するものはストラップ部を有しない、あるいははずした状態でも美しいバストシルエットを保つことができるため、肩部が露出するデザインの衣類や、胸元や背部に大きな開口部を有する衣類をアウターとして着用する際のインナー用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のカップ部を有する衣類のカップ部に装着されるパッドの実施形態例の正面図。
【図2】本発明のカップ部を有する衣類のカップ部に装着されるパッドの切り込み部の範囲を説明する正面図。
【図3】本発明のカップ部を有する衣類において、ワイヤーとのパッドの配置の関係を示す正面図。
【図4】図3のパッドの装着時の状態を横方向から見た説明図。
【図5】本発明の1/2カップタイプのカップ部を有する衣類において、パッド上辺に相当する位置に沿って取り付けた伸縮性部材の固着部分の範囲を説明する正面図。
【図6】本発明の1/2カップタイプのカップ部を有する衣類における作用を説明する説明図。
【図7】本発明のカップ部を有する衣類において、パッド上辺に相当する位置に沿って取り付けた伸縮性部材の固着方法の例を示す部分断面図。
【図8】本発明の1/2カップタイプのカップ部を有する衣類であるブラジャーの実施形態例の背面図。
【図9】本発明のカップ部を有する衣類のカップ部に装着されるパッドの他の実施形態例の正面図。
【図10】図9のカップ部を有する衣類における作用を説明する説明図。
【図11】本発明の3/4カップタイプのカップ部を有する衣類であるブラジャーの実施形態例の背面図。
【図12】本発明のカップ部を有する衣類であるボディスーツの実施形態例の外観斜視図。
【図13】本発明のカップ部を有する衣類である水着の実施形態例の外観斜視図。
【符号の説明】
【0043】
1、1’ パッド
2 上辺
3 バージスライン
4、4’ 切り込み部
4a 切り込み端部
5 ワイヤー
6、6’ 伸縮性部材
7、7’ 伸縮性部材の固着部分
8 伸縮性部材の固着部分の前中心側端部
10、10’ ブラジャー
11、11’
カップ部
12 バック部
13 前中心部
14、15 係止部材
16 ストラップ部
20、24、27 表側の布地
21、25、28 肌側の布地
22、29 伸縮性部材
23、26a、26b、30 縫合による固着部分
40、41 胴部
F 前中心側
B 脇部側
S 前中心側(上辺)
X 着用時のバージスライン最下点
Y 切り込み端部から着用時のバージスラインに直角に下ろした線とバージスラインとの交点
Z 着用時のバージスライン最下点から上方へ延ばした垂直線とパッド上辺との交点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのカップ部とバック部を有し、カップ部にパッドを装着したカップ部を有する衣類であって、該パッドが、装着時の前中心側の上辺から着用時のバージスラインに沿って、あるいはバージスライン近傍に並行して延びる切り込み部を有し、かつ該切り込み部の切り込み端部が着用時のバージスライン最下点より前中心側にあることを特徴とするカップ部を有する衣類。
【請求項2】
前記切り込み端部から着用時のバージスラインに直角に下ろした線とバージスラインとの交点からバージスライン最下点までの長さが、バージスラインに沿って5〜50mmの範囲にあることを特徴とする請求項1記載のカップ部を有する衣類。
【請求項3】
カップ部下部周縁にワイヤーを配設してなることを特徴とする請求項1または2に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項4】
パッド上辺に相当する位置に沿って伸縮性部材を取り付けてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項5】
カップ部が1/2カップタイプのカップ部であり、ストラップ部を有しない、あるいは着脱可能なストラップ部を有することを特徴とする請求項4記載のカップ部を有する衣類。
【請求項6】
伸縮性部材のカップ部への固着部分が、一方の端部は着用時の脇部側上辺端部であり、他方の端部が、着用時の前中心側から、着用時のバージスライン最下点から上方へ延ばした垂直線とパッド上辺との交点までのパッド上辺に沿う長さの3分の1より前中心側にあることを特徴とする請求項5記載のカップ部を有する衣類。
【請求項7】
カップ部が3/4カップタイプのカップ部であることを特徴とする請求項4記載のカップ部を有する衣類。
【請求項8】
伸縮性部材のカップ部への固着部分がパッド上辺全体であることを特徴とする請求項7記載のカップ部を有する衣類。
【請求項9】
カップ部において、表側および肌側を伸縮性を有する布地を用いてパッドを被覆することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項10】
ブラジャー、ブラスリップ、トップス、ブラキャミソール、ボディスーツ、カップ部付きテディ、水着から選ばれた衣類であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のカップ部を有する衣類。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−163469(P2008−163469A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114180(P2005−114180)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(306033379)株式会社ワコール (116)
【Fターム(参考)】