カップ部を有する衣類
【課題】ノンワイヤーとしながら造形性を有するカップ部を有する衣類を提供する。
【解決手段】左右のカップ布２、３のバージスラインに沿った周縁と、該左右のカップ布の周縁と接合する土台布４の周縁とを、ギャザー１１を寄せてストレッチテープ１０と縫着し、着用時に前記ストレッチテープの引張により前記カップ布のギャザーを寄せた部分が立体的に膨出する構成としている。
【解決手段】左右のカップ布２、３のバージスラインに沿った周縁と、該左右のカップ布の周縁と接合する土台布４の周縁とを、ギャザー１１を寄せてストレッチテープ１０と縫着し、着用時に前記ストレッチテープの引張により前記カップ布のギャザーを寄せた部分が立体的に膨出する構成としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明はカップ部を有する衣類に関し、特に、カップ部の下周縁ラインに当たるバージスラインにワイヤーを取り付けることなく、バストをしっかりとサポートし、造形性を高めることができるようにするもので、ブラジャー等に好適に用いられるものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、カップ部を有するブラジャー、ブラスリップ等ではワイヤー付きが汎用されており、バストの下周縁ラインに当たるバージスラインにワイヤーを装着し、ワイヤーでバージスラインを明確に区画すると共に、バストを持ち上げて立体的に保形している。
しかしながら、バージスラインにワイヤーを装着すると、着用時に肌への食い込み、圧迫感や痛みが生じる。その場合は、ワイヤーを取り付けていないブラジャーを選択することとなるが、ノンワイヤーであると、バストの造形機能が低下する問題がある。
【０００３】
例えば、特開２００１−５５６０７号公報では、図８に示すようなワイヤー付きブラジャーでなく、着用時の肌への食い込み、圧迫感や痛みを防ぎつつ、造形機能を発揮できるブラジャーが提案されている。該ブラジャーは、カップ布１００と土台布１０１の境界部に、Ｕ字状または乳房下辺部の形状に近似する形状に成形されていない、柔軟性としなやかな弾力性を有する芯線１０２を配した構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００１−５５６０７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
特許文献１で提供したブラジャーは、カップ布１００と土台布１０１の境界部に、ワイヤーに代えて、柔軟性としなやかな弾力性を有する芯線１０２を用いることにより、バストをしっかりサポートすることができるが、芯線１０２を用いているため、着用時に肌への食い込み、圧迫感や痛みが生じる場合もあり、この点で改良の余地がある。
【０００６】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、ノンワイヤーとしながら、ワイヤーと同様にバストが下垂しないように下方から保持できるカップ部を有する衣類を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
前記課題を解決するため、本発明は、左右のカップ布の下辺に沿った周縁と、該左右のカップ布の周縁と接合する土台布の周縁とを、ギャザーを寄せてストレッチテープと縫着し、
前記ギャザーは、着用時において、長さ方向の中間部ではストレッチテープの伸びを制限し、長さ方向両側の脇側部ではカップ布を立体的に膨出する構成としていることを特徴とするカップ部を有する衣類を提供している。
【０００８】
前記のように、従来ワイヤーを入れていたカップ布の下辺にストレッチテープを取り付けると共に、該ストレッチテープにカップ布と土台布とをギャザーを寄せて縫着している。該構成としていることで、着用時には、土台布およびバック布分が伸長され、前記ストレッチテープには、脇側と比較して、ストレッチテープの長さ方向中央部を挟む左右のカップ布の下部と縫着した中間部分および該カップ布と縫着した土台布の中央部を挟む中間部分に大きな荷重がかかり、そのため、ストレッチテープは大きく伸長しようとするが、前記ギャザーにより左右のカップ布の下部および土台布の中間部分のストレッチテープの伸びは制限される。一方、脇側部分では、前記カップ下部および土台布の中間部分と比較すると小さな荷重しかかからないため、ギャザーが多く残り、カップ部分を立体的に膨出させる。
その際、ストレッチテープには伸びが付与されているので、緊迫力が発生し、バストをしっかりとサポートすると共に、造形性を高めることができる。かつ、ストレッチテープを取り付けているバージスラインは身体の動きが少ない部分であるため、ストレッチテープは安定した状態で身体に密着し、バストを安定して下支えできる。よって、ノンワイヤー着用時の造形性の不安感を低減でき、かつ、ノンワイヤーであるため、締付感がなく着用感を高める機能を有する。
【０００９】
前記ストレッチテープは連続した１本とし、
前記土台布は前記左右のカップ布と接合する部分を連続した円弧形状とし、
前記左右のカップ布の脇側端の間に前記１本のストレッチテープを連続して縫着し、該ストレッチテープの長さ方向の中央を前記左右カップ布の前中心下端の接合位置に位置させていることが好ましい。
【００１０】
前記のように、１本のストレッチテープを左右のカップ布と土台布との縫着部に連続して取り付けると、ストレッチテープによるバスト全体のサポート力を強くすることができる。
なお、左右のカップ布の前中央端縁同士は縫着してもよいし、左右のカップ布同士は縫着せずに下端縁を前記のようにストレッチテープを介して土台布と縫着して左右のカップ布を保持してもよい、
【００１１】
前記ストレッチテープは左右一対の２本とし、
前記土台布は前記左右のカップ布の下端縁に接合して脇側に延在する帯状部と、該帯状部の中央から前記左右カップ布の前中央端の間に位置する前中央部を有し、
前記一対のストレッチテープを、左右の各カップ布の脇側端から前記前中心部に連続してそれぞれ縫着してもよい。
【００１２】
前記のように、ストレッチテープを左右のカップ布の脇側端から前中央辺にかけてバージスラインに沿わせて取り付けると、左右のバストをそれぞれ独立して膨出させるように保持することができる。
【００１３】
前記ストレッチテープの幅は１０ｍｍ〜１３ｍｍ程度が好ましく、Ａ〜Ｃカップでは幅１０ｍｍ、Ｄ，Ｅカップでは幅１３ｍｍが好適である。
【００１４】
ギャザーを寄せて前記ストレッチテープと縫着する前記左右のカップ布および土台布の長さは同等とし、前記ストレッチテープの長さの１．１〜１．３倍、特に１．１９倍が好適である。
ギャザーの分量はカップサイズに応じて変え、Ａ〜Ｃカップではギャザー分量を比較的少なくし、Ｄ，Ｅカップではギャザー分量を比較的多くし、バストのボリュームに応じてカップ部を立体化させることが好ましい。
【００１５】
ストレッチテープは、例えば、ポリウレタン糸とナイロン糸とを混紡したテープを用いている。前記ポリウレタン糸の割合を多くすると伸縮力を高めることができ、ポリウレタン糸を７５〜８５％、ナイロン糸２５％〜１５％の混紡としていることが好ましい。
【００１６】
ストレッチテープは伸長性があまり大きくなく、緊迫力を有するものとし、バストを十分に保持できるサポート力を有するものとしている。
該ストレッチテープは、伸長性が９．８Ｎ伸度で１２９〜１１５％、緊迫力が伸度１５％で１０８ｃＮ〜１２５ｃＮを有するものが好適に用いられる。
詳細には、ストレッチテープは下記の表１に示す伸長性および下記の表２に示す伸長回復性を有するものが好適に用いられる。
【００１７】
【表１】
前記伸長性の測定は、定速伸長形引張試験機を用い、該試験機でストレッチテープの試験片の上部を２．５ｃｍつかみ、下部を３．５ｃｍつかみ、上下つかみ部の間隔（引張間隔）を１０．０ｃｍとして装着した。この状態で３０±２ｃｍ／ｍｉｎの伸長速度で、２２．１Ｎの荷重をかけ、荷重９．８Ｎ、１４．７Ｎ、２２．１Ｎの伸度を測定し、２点の平均値を求めた。
【００１８】
【表２】
前期緊迫力の測定の試験片、試験装置、装着方法は前記伸長性の測定と同様とした。
回復性は３０±２ｃｍ／ｍｉｎの伸長速度で８０％まで伸長回復を３回繰り返し、３回目における１５、３０、５０、８０％伸長時の伸長力および回復力（緊迫力）を読み取った。
【００１９】
さらに、前記左右のカップ布はそれぞれ前中心側部と脇側部と上側部との３部分に分割し、これら３部分を前側へ膨出する形状に立体的に縫着し、かつ、
前記左右のカップ布の肌側に、非伸縮性布からなると共に前記カップ布の下辺側から上辺側にかけて斜め縦断する直線辺とカップ布の周縁に縫着する辺とからなる脇側パネル布を設け、該脇側パネル布の前記直線辺はカップ布と縫着せずに遊離させ、かつ、該脇側パネル布と縫着している前記カップ布の上端にストラップを連結していることが好ましい。
【００２０】
前記のように、カップ布自体を立体的に膨出させた形状と、かつ、前記脇側パネル布を設けることでバストの脇側への流れも抑制でき、さらに、脇側パネル布の上端を縫着するカップ布の位置にストラップと取り付けることで、ストラップによるバストの引き上げ効果も発生させることができる。よって、ストレッチテープとギャザーによるバストの立体化と相俟って、ノンワイヤーとしながらバストの造形性を更に高めることができる。
【００２１】
本発明のカップ部を有する衣類としては、ブラジャー、ブラスリップ、ブラキャミソール、ボディスーツ、水着、レオタード等が挙げられる。
【発明の効果】
【００２２】
上述したように、本発明に係るカップ部を有する衣類は、バージスラインに沿って従来装着していたワイヤーに変えてストレッチテープを取り付け、かつ、該ストレッチテープにカップ布と土台布とをギャザーを寄せて縫着しているため、着用時にストレッチテープの緊迫力とギャザーによりカップ布をバストに沿って立体化することができ、かつ、バストをしっかりとサポートできる。このように、ノンワイヤーとして締付感を無くすと共にバストの造形性を高め、機能とデザイン性との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】本発明の第１実施形態のブラジャーの肌側の背面図である。
【図２】図１の表面側の正面図である。
【図３】第１実施形態の分解図である。
【図４】（Ａ）はカップ布の断面図、（Ｂ）は土台布の断面図、（Ｃ）はカップ布に脇側パネル布を取り付けた部分の断面図である。
【図５】第１実施形態の変形例を示す図面である。
【図６】本発明の第２実施形態のブラジャーの背面図である。
【図７】第２実施形態の分解図である。
【図８】従来例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【００２４】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図１乃至図４に第一実施形態のブラジャーを示す。
【００２５】
ブラジャー１は、左右一対のカップ布２、３、土台布４、左右一対のバック布５Ａ、５Ｂ、左右一対のストラップ（肩紐）６Ａ、６Ｂ、前記左右のカップ布２、３と土台布４との肌側（内面側）の接合位置の全長にかけて１本の連続したストレッチテープ１０を配置し、該ストレッチテープ１０をカップ布２、３と土台布４とにギャザー１１を寄せて縫着している。
【００２６】
前記左右一対のカップ布２、３は図１，２のように前中央端縁同士を縫着した方がより好ましいが、図５のようにカップ布２と３が土台布により連結され、離した形状としてもよい。
各カップ布２、３は非伸縮性とし、それぞれ前中心側部２ａ、３ａ、脇側部２ｂ、３ｂ、上側部２ｃ、３ｃの３部分に分割し、これら３部分２ａ〜２ｃ、３ａ〜３ｃを前側へ膨出する形状に立体的に縫着し、カップ布２、３自体を立体形状となるように縫製している。
前記カップ布２、３の下辺２ｕ、３ｕは、バージスラインの最下点付近から側部側では、バスト輪郭線であるバージスラインの下辺に沿った緩やかな円弧形状とし、バージスラインの最下点付近から中央部側では、バージスラインの下辺よりも下方の位置を通る円弧形状としている。
また、図４（Ａ）に示すように、カップ布２、３の正面側（表面側）には、それぞれ伸縮性を有する外装布１４Ａ、１４Ｂを取り付けている。
【００２７】
前記土台布４は図３に示すように、左右のカップ布２、３の下辺２ｕ、３ｕと接合する上辺４ａは、左右のカップ布２、３の円弧形状に沿わせるように、脇側から谷(凹)−山(凸)−谷(凹)の順に３つの円弧を滑らかに連続させた形状としている。下辺４ｂは身体に沿いやすいように中央部を凹とした曲線状としている。左右側端の脇側端４ｃ、４ｃを身体の脇線ラインに沿った直線状としている。
該土台布４は図４（Ｂ）に示すように、肌側は非伸縮性布４ｉ、表面側は伸縮性を有する外装布４ｓとした２枚重ねとしている。
【００２８】
前記土台布４の円弧形状にくりぬいた上辺４ａの長さＬ１は、左カップ布２と右カップ布３とを前中央を連結した状態の下辺の長さＬ２と同一長さとしている。
該土台布４の上辺４ａを連続させた左右カップ布２、３の下辺２ｕ、３ｕに対して表面側で僅かに重ね、肌側の背面側に前記ストレッチテープ１０を配置し、該ストレッチテープ１０に土台布４の上辺４ａとカップ布２、３の下辺２ｕ，３ｕとを全長にわたってギャザー１１を寄せて縫着２０をしている。また、左右カップ布２、３の表面の外装布１４Ａと１４Ｂにはダーツ１４Ａｄ、１４Ｂｄを入れている。
【００２９】
具体的には、前記ストレッチテープ１０の長さ方向の一端１０ａは、土台布４の上辺４ａの左脇側端４ａ１と左カップ布２の下辺脇側端２ｕ１と一致させ、ストレッチテープ１０の他端１０ｂは土台布４の上辺４ａの右脇側端４ａ２と右カップ布３の下辺脇側端３ｕ１に一致させ、ストレッチテープ１０の長さ方向の中心位置１０ｃは左右カップ布２、３の前中央連結の下端と一致させ、この状態でストレッチテープ１０を左右カップ布２、３の下辺に連続して取り付けている。
【００３０】
前記ストレッチテープ１０と縫着する部分の土台布４の上辺４ａの長さＬ１、連続させた左右カップ布２、３の下辺２ｕと３ｕの合計長さの長さＬ２は、ストレッチテープ１０の長さＬ３に対して１．１〜１．３倍として、ギャザー１１を寄せている。
ギャザー１１の分量は、カップサイズに応じて、前記ストレッチテープ１０に対する長さを１．１〜１．３の範囲で調節している。本実施例の伸長性、緊迫力を有するストレッチテープの場合、１．１９倍程度が好ましく、カップサイズが大きい程、ストレッチテープの長さが長くなるので、ギャザー分量が多くなる。
【００３１】
また、ストレッチテープ１０の幅Ｗは１０ｍｍ〜１３ｍｍとし、例えば、カップサイズがＡ〜Ｃの場合は１０ｍｍ、カップサイズがＤ，Ｅの場合は１３ｍｍとしている。即ち、バストのボリュームが増加するに従ってストレッチテープ１０の幅を広げ、ストレッチテープ１０によるサポート力を強くしている。
【００３２】
ストレッチテープ１０は伸度があまり大きくなく、緊迫力を有するものを用いているため、サポート力を有する。
具体的には、ポリウレタン糸が８０％、ナイロン糸が２０％の混紡糸からなり、前記表１に記載の伸長性、前記表２に記載の伸長回復性を有するものを用いている。
本実施形態のブラジャー１はＣカップとしており、幅Ｗを１０ｍｍ、伸長性は９．８Ｎ伸度で１２９％、伸度１５％で緊迫力が１０８ｃＮであると共に伸長力が１３１ｃＮのストレッチテープを用いている。
【００３３】
左右のカップ部の肌側には、さらに、図１および図４（Ｃ）に示すように、脇側パネル布７を取り付けている。該脇側パネル布７は非伸縮性布から形成し、カップ布の周縁に沿った円弧辺７ａと直線辺７ｂを有する形状としている。該脇側パネル布７の円弧辺７ａを前記バージスラインの最下点付近から脇側上端、さらにカップ上辺の脇側にかけてカップ布２、３にそれぞれ縫着すると共に、直線辺７ｂをカップ布２、３と縫着せずに遊離させ、カップ部の下辺中央から上辺脇側へと斜め方向に横断させている。該脇側パネル布７を縫着する脇側上端に前記ストラップ６Ａ、６Ｂを連結し、カップ布２、３を介して脇側パネル布７に引き上げ力が負荷されるようにしている。
【００３４】
また、前記土台布４の左右脇側端とバック布５Ａ、５Ｂとの縫着部にはボーン９Ａ、９Ｂを入れて土台布４を安定保持している。
さらに、左右カップ布２、３のストレッチテープ１０と縫着していない脇側縁から土台布４の脇側縁、さらにバック布５Ａ、５Ｂの上縁にかけて連続してストレッチテープ１５を縫着している。かつ、土台布４の下縁からバック布５Ａ、５Ｂの下縁にかけて連続した１本のストレッチテープ１６を縫着し、ブラジャー１の全体を身体に安定した状態で密着させるようにしている。
左右バック布５Ａと５Ｂとの先端には互いに係止する留め具１７Ａと１７Ｂを取り付け、左右バック布５Ａ、５Ｂの上縁から左右カップ布２、３の上端にかけて前記ストラップ６Ａ、６Ｂを取り付けている。
【００３５】
前記構成としたブラジャー１では、着用時に、土台布４、バック布５Ａ、５Ｂが伸長され、左右カップ布２、３と土台布４との接合位置に取り付けたストレッチテープ１０には、脇側と比較してカップ布２、３の下部および土台布４の中央部分に大きな荷重がかかり、大きく伸長しようとするが、ギャザー１１により土台布４の中央部分のストレッチテープ１０の伸びは制限される。一方、脇側部分では、カップ布２、３の下部および土台布４の中央部分と比較すると小さな荷重しかかからないため、ギャザー１１が多く残り、カップ布２、３を立体的に膨出させる。その際、ストレッチテープ１０には伸びが付与されているので、緊迫力が発生し、バストをしっかりとサポートすると共に、造形性を高めることができる。かつ、カップ布２、３自体をバストに沿って前方へ膨出するように立体的に形成しているため、前記ストレッチテープ１０とキャザー１１による機能とカップ布自体の立体縫製とが相俟って、カップ布２、３を自然なラインで奇麗なフォームを保持することができる。かつ、身体上で比較的動きの少ないバージスラインに位置するストレッチテープ１０が安定した状態で左右のバストを下支えして下垂やバストの揺れを抑制するサポート機能を発揮する。
これにより、ノンワイヤーとして締付感を無くして着用感を高めながら、ノンワイヤーの場合に生じる造形性の不安感を解消でき、機能とデザイン性とを両立したブラジャーとすることができる。
【００３６】
さらに、左右カップ布２、３の肌側には非伸縮性の脇側パネル布７を取り付け、該脇側パネル布７の上端をストラップ６の取付位置のカップ布２、３の上端に縫着しているため、カップ布２、３を介してストラップ６による引き上げ力を脇側パネル布７に負荷でき、バストの引き上げ及び脇側への流れを抑制でき、バストの造形性を高めることができる。
【００３７】
図６および図７に第二実施形態のブラジャー２０を示す。
該ブラジャー２０では、左右一対のストレッチテープ２１、２２を左右のカップ布２３、２４と土台布２５との間に取り付けている。
土台布２５は左右のカップ布２３、２４のバージスラインの下辺側に連結して脇側に延在する帯状部２５ａと、該帯状部２５ａの中央から左右カップ布２３、２４の前中央端の間に位置する前中央部２５ｂを有する。即ち、前中央部２５ｂの両側にそれぞれ左右カップ布と連続する左右一対のくりぬき部２５ｄ、２５ｅを有する形状としている。
【００３８】
前記左くりぬき部２５ｄに左カップ布２３をストレッチテープ２１を介してギャザー１１を寄せて縫着し、右くりぬき部２５ｅに右カップ布２４をストレッチテープ２２を介してギャザー１１を寄せて縫着している。
このように、各左右カップ布２３、２４の前中央側の上端までストレッチテープ２１、２２を夫々取り付けているため、ストレッチテープ２１、２２はそれぞれ緩やかな円弧形状に取り付けられる。
【００３９】
本実施形態のブラジャー２０はカップサイズがＤ、Ｅカップに適用し、前記ストレッチテープ２１、２２の幅Ｗは１３ｍｍとしている。かつ、ストレッチテープ２１、２２の９．８Ｎ伸度が１１５％、伸度１５％の伸長力を１５０ｃＮ、緊迫力を１２５ｃＮとし、伸縮力を強め、バストに対するサポート力を強くしている。
他の構成は、前記第一実施形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【００４０】
前記第二実施形態のブラジャー２０においても、バージスラインに沿ってワイヤーの代わりに、比較的広幅で且つ伸縮力の強いストレッチテープ２１、２２を配置しているため、バストに対するサポート力を有すると共に、ギャザー１１により着用時にカップ布２３、２４をバストに沿った形状に立体化させることができる。
【００４１】
本発明は前記第一、第二実施形態に限定されず、ストレッチテープの幅は１０ｍｍ未満、１３ｍｍを越える幅としてもよく、該ストレッチテープの幅はストレッチテープの伸縮力およびカップサイズに対応して調節している。
さらに、ストレッチテープとキャザーを入れて縫着する土台布の長さと、カップ布の長さとは同一とせずに、カップ布側を若干長くしてもよい。かつ、ストレッチテープの長さに対して土台布およびカップ布の長さは１．１〜１．３倍とすることが好ましいが、ギャザー分量を多くしたい場合は、１．３倍を越える長さとしてもよい。
さらに、カップサイズがＡ、Ｂ等では、脇側パネル布７は必ずしも設ける必要はない。
【００４２】
また、第一、第二実施形態はブラジャーに適応しているが、ブラスリップ、ボデイスーツ等のファンデーション、さらに、水着やレオタードに適用してもよい。
【符号の説明】
【００４３】
１、２０ ブラジャー
２、３ カップ布
４ 土台布
７ 脇側パネル布
１０ ストレッチテープ
１１ ギャザー
【技術分野】
【０００１】
本発明はカップ部を有する衣類に関し、特に、カップ部の下周縁ラインに当たるバージスラインにワイヤーを取り付けることなく、バストをしっかりとサポートし、造形性を高めることができるようにするもので、ブラジャー等に好適に用いられるものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、カップ部を有するブラジャー、ブラスリップ等ではワイヤー付きが汎用されており、バストの下周縁ラインに当たるバージスラインにワイヤーを装着し、ワイヤーでバージスラインを明確に区画すると共に、バストを持ち上げて立体的に保形している。
しかしながら、バージスラインにワイヤーを装着すると、着用時に肌への食い込み、圧迫感や痛みが生じる。その場合は、ワイヤーを取り付けていないブラジャーを選択することとなるが、ノンワイヤーであると、バストの造形機能が低下する問題がある。
【０００３】
例えば、特開２００１−５５６０７号公報では、図８に示すようなワイヤー付きブラジャーでなく、着用時の肌への食い込み、圧迫感や痛みを防ぎつつ、造形機能を発揮できるブラジャーが提案されている。該ブラジャーは、カップ布１００と土台布１０１の境界部に、Ｕ字状または乳房下辺部の形状に近似する形状に成形されていない、柔軟性としなやかな弾力性を有する芯線１０２を配した構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００１−５５６０７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
特許文献１で提供したブラジャーは、カップ布１００と土台布１０１の境界部に、ワイヤーに代えて、柔軟性としなやかな弾力性を有する芯線１０２を用いることにより、バストをしっかりサポートすることができるが、芯線１０２を用いているため、着用時に肌への食い込み、圧迫感や痛みが生じる場合もあり、この点で改良の余地がある。
【０００６】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、ノンワイヤーとしながら、ワイヤーと同様にバストが下垂しないように下方から保持できるカップ部を有する衣類を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
前記課題を解決するため、本発明は、左右のカップ布の下辺に沿った周縁と、該左右のカップ布の周縁と接合する土台布の周縁とを、ギャザーを寄せてストレッチテープと縫着し、
前記ギャザーは、着用時において、長さ方向の中間部ではストレッチテープの伸びを制限し、長さ方向両側の脇側部ではカップ布を立体的に膨出する構成としていることを特徴とするカップ部を有する衣類を提供している。
【０００８】
前記のように、従来ワイヤーを入れていたカップ布の下辺にストレッチテープを取り付けると共に、該ストレッチテープにカップ布と土台布とをギャザーを寄せて縫着している。該構成としていることで、着用時には、土台布およびバック布分が伸長され、前記ストレッチテープには、脇側と比較して、ストレッチテープの長さ方向中央部を挟む左右のカップ布の下部と縫着した中間部分および該カップ布と縫着した土台布の中央部を挟む中間部分に大きな荷重がかかり、そのため、ストレッチテープは大きく伸長しようとするが、前記ギャザーにより左右のカップ布の下部および土台布の中間部分のストレッチテープの伸びは制限される。一方、脇側部分では、前記カップ下部および土台布の中間部分と比較すると小さな荷重しかかからないため、ギャザーが多く残り、カップ部分を立体的に膨出させる。
その際、ストレッチテープには伸びが付与されているので、緊迫力が発生し、バストをしっかりとサポートすると共に、造形性を高めることができる。かつ、ストレッチテープを取り付けているバージスラインは身体の動きが少ない部分であるため、ストレッチテープは安定した状態で身体に密着し、バストを安定して下支えできる。よって、ノンワイヤー着用時の造形性の不安感を低減でき、かつ、ノンワイヤーであるため、締付感がなく着用感を高める機能を有する。
【０００９】
前記ストレッチテープは連続した１本とし、
前記土台布は前記左右のカップ布と接合する部分を連続した円弧形状とし、
前記左右のカップ布の脇側端の間に前記１本のストレッチテープを連続して縫着し、該ストレッチテープの長さ方向の中央を前記左右カップ布の前中心下端の接合位置に位置させていることが好ましい。
【００１０】
前記のように、１本のストレッチテープを左右のカップ布と土台布との縫着部に連続して取り付けると、ストレッチテープによるバスト全体のサポート力を強くすることができる。
なお、左右のカップ布の前中央端縁同士は縫着してもよいし、左右のカップ布同士は縫着せずに下端縁を前記のようにストレッチテープを介して土台布と縫着して左右のカップ布を保持してもよい、
【００１１】
前記ストレッチテープは左右一対の２本とし、
前記土台布は前記左右のカップ布の下端縁に接合して脇側に延在する帯状部と、該帯状部の中央から前記左右カップ布の前中央端の間に位置する前中央部を有し、
前記一対のストレッチテープを、左右の各カップ布の脇側端から前記前中心部に連続してそれぞれ縫着してもよい。
【００１２】
前記のように、ストレッチテープを左右のカップ布の脇側端から前中央辺にかけてバージスラインに沿わせて取り付けると、左右のバストをそれぞれ独立して膨出させるように保持することができる。
【００１３】
前記ストレッチテープの幅は１０ｍｍ〜１３ｍｍ程度が好ましく、Ａ〜Ｃカップでは幅１０ｍｍ、Ｄ，Ｅカップでは幅１３ｍｍが好適である。
【００１４】
ギャザーを寄せて前記ストレッチテープと縫着する前記左右のカップ布および土台布の長さは同等とし、前記ストレッチテープの長さの１．１〜１．３倍、特に１．１９倍が好適である。
ギャザーの分量はカップサイズに応じて変え、Ａ〜Ｃカップではギャザー分量を比較的少なくし、Ｄ，Ｅカップではギャザー分量を比較的多くし、バストのボリュームに応じてカップ部を立体化させることが好ましい。
【００１５】
ストレッチテープは、例えば、ポリウレタン糸とナイロン糸とを混紡したテープを用いている。前記ポリウレタン糸の割合を多くすると伸縮力を高めることができ、ポリウレタン糸を７５〜８５％、ナイロン糸２５％〜１５％の混紡としていることが好ましい。
【００１６】
ストレッチテープは伸長性があまり大きくなく、緊迫力を有するものとし、バストを十分に保持できるサポート力を有するものとしている。
該ストレッチテープは、伸長性が９．８Ｎ伸度で１２９〜１１５％、緊迫力が伸度１５％で１０８ｃＮ〜１２５ｃＮを有するものが好適に用いられる。
詳細には、ストレッチテープは下記の表１に示す伸長性および下記の表２に示す伸長回復性を有するものが好適に用いられる。
【００１７】
【表１】
前記伸長性の測定は、定速伸長形引張試験機を用い、該試験機でストレッチテープの試験片の上部を２．５ｃｍつかみ、下部を３．５ｃｍつかみ、上下つかみ部の間隔（引張間隔）を１０．０ｃｍとして装着した。この状態で３０±２ｃｍ／ｍｉｎの伸長速度で、２２．１Ｎの荷重をかけ、荷重９．８Ｎ、１４．７Ｎ、２２．１Ｎの伸度を測定し、２点の平均値を求めた。
【００１８】
【表２】
前期緊迫力の測定の試験片、試験装置、装着方法は前記伸長性の測定と同様とした。
回復性は３０±２ｃｍ／ｍｉｎの伸長速度で８０％まで伸長回復を３回繰り返し、３回目における１５、３０、５０、８０％伸長時の伸長力および回復力（緊迫力）を読み取った。
【００１９】
さらに、前記左右のカップ布はそれぞれ前中心側部と脇側部と上側部との３部分に分割し、これら３部分を前側へ膨出する形状に立体的に縫着し、かつ、
前記左右のカップ布の肌側に、非伸縮性布からなると共に前記カップ布の下辺側から上辺側にかけて斜め縦断する直線辺とカップ布の周縁に縫着する辺とからなる脇側パネル布を設け、該脇側パネル布の前記直線辺はカップ布と縫着せずに遊離させ、かつ、該脇側パネル布と縫着している前記カップ布の上端にストラップを連結していることが好ましい。
【００２０】
前記のように、カップ布自体を立体的に膨出させた形状と、かつ、前記脇側パネル布を設けることでバストの脇側への流れも抑制でき、さらに、脇側パネル布の上端を縫着するカップ布の位置にストラップと取り付けることで、ストラップによるバストの引き上げ効果も発生させることができる。よって、ストレッチテープとギャザーによるバストの立体化と相俟って、ノンワイヤーとしながらバストの造形性を更に高めることができる。
【００２１】
本発明のカップ部を有する衣類としては、ブラジャー、ブラスリップ、ブラキャミソール、ボディスーツ、水着、レオタード等が挙げられる。
【発明の効果】
【００２２】
上述したように、本発明に係るカップ部を有する衣類は、バージスラインに沿って従来装着していたワイヤーに変えてストレッチテープを取り付け、かつ、該ストレッチテープにカップ布と土台布とをギャザーを寄せて縫着しているため、着用時にストレッチテープの緊迫力とギャザーによりカップ布をバストに沿って立体化することができ、かつ、バストをしっかりとサポートできる。このように、ノンワイヤーとして締付感を無くすと共にバストの造形性を高め、機能とデザイン性との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】本発明の第１実施形態のブラジャーの肌側の背面図である。
【図２】図１の表面側の正面図である。
【図３】第１実施形態の分解図である。
【図４】（Ａ）はカップ布の断面図、（Ｂ）は土台布の断面図、（Ｃ）はカップ布に脇側パネル布を取り付けた部分の断面図である。
【図５】第１実施形態の変形例を示す図面である。
【図６】本発明の第２実施形態のブラジャーの背面図である。
【図７】第２実施形態の分解図である。
【図８】従来例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【００２４】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図１乃至図４に第一実施形態のブラジャーを示す。
【００２５】
ブラジャー１は、左右一対のカップ布２、３、土台布４、左右一対のバック布５Ａ、５Ｂ、左右一対のストラップ（肩紐）６Ａ、６Ｂ、前記左右のカップ布２、３と土台布４との肌側（内面側）の接合位置の全長にかけて１本の連続したストレッチテープ１０を配置し、該ストレッチテープ１０をカップ布２、３と土台布４とにギャザー１１を寄せて縫着している。
【００２６】
前記左右一対のカップ布２、３は図１，２のように前中央端縁同士を縫着した方がより好ましいが、図５のようにカップ布２と３が土台布により連結され、離した形状としてもよい。
各カップ布２、３は非伸縮性とし、それぞれ前中心側部２ａ、３ａ、脇側部２ｂ、３ｂ、上側部２ｃ、３ｃの３部分に分割し、これら３部分２ａ〜２ｃ、３ａ〜３ｃを前側へ膨出する形状に立体的に縫着し、カップ布２、３自体を立体形状となるように縫製している。
前記カップ布２、３の下辺２ｕ、３ｕは、バージスラインの最下点付近から側部側では、バスト輪郭線であるバージスラインの下辺に沿った緩やかな円弧形状とし、バージスラインの最下点付近から中央部側では、バージスラインの下辺よりも下方の位置を通る円弧形状としている。
また、図４（Ａ）に示すように、カップ布２、３の正面側（表面側）には、それぞれ伸縮性を有する外装布１４Ａ、１４Ｂを取り付けている。
【００２７】
前記土台布４は図３に示すように、左右のカップ布２、３の下辺２ｕ、３ｕと接合する上辺４ａは、左右のカップ布２、３の円弧形状に沿わせるように、脇側から谷(凹)−山(凸)−谷(凹)の順に３つの円弧を滑らかに連続させた形状としている。下辺４ｂは身体に沿いやすいように中央部を凹とした曲線状としている。左右側端の脇側端４ｃ、４ｃを身体の脇線ラインに沿った直線状としている。
該土台布４は図４（Ｂ）に示すように、肌側は非伸縮性布４ｉ、表面側は伸縮性を有する外装布４ｓとした２枚重ねとしている。
【００２８】
前記土台布４の円弧形状にくりぬいた上辺４ａの長さＬ１は、左カップ布２と右カップ布３とを前中央を連結した状態の下辺の長さＬ２と同一長さとしている。
該土台布４の上辺４ａを連続させた左右カップ布２、３の下辺２ｕ、３ｕに対して表面側で僅かに重ね、肌側の背面側に前記ストレッチテープ１０を配置し、該ストレッチテープ１０に土台布４の上辺４ａとカップ布２、３の下辺２ｕ，３ｕとを全長にわたってギャザー１１を寄せて縫着２０をしている。また、左右カップ布２、３の表面の外装布１４Ａと１４Ｂにはダーツ１４Ａｄ、１４Ｂｄを入れている。
【００２９】
具体的には、前記ストレッチテープ１０の長さ方向の一端１０ａは、土台布４の上辺４ａの左脇側端４ａ１と左カップ布２の下辺脇側端２ｕ１と一致させ、ストレッチテープ１０の他端１０ｂは土台布４の上辺４ａの右脇側端４ａ２と右カップ布３の下辺脇側端３ｕ１に一致させ、ストレッチテープ１０の長さ方向の中心位置１０ｃは左右カップ布２、３の前中央連結の下端と一致させ、この状態でストレッチテープ１０を左右カップ布２、３の下辺に連続して取り付けている。
【００３０】
前記ストレッチテープ１０と縫着する部分の土台布４の上辺４ａの長さＬ１、連続させた左右カップ布２、３の下辺２ｕと３ｕの合計長さの長さＬ２は、ストレッチテープ１０の長さＬ３に対して１．１〜１．３倍として、ギャザー１１を寄せている。
ギャザー１１の分量は、カップサイズに応じて、前記ストレッチテープ１０に対する長さを１．１〜１．３の範囲で調節している。本実施例の伸長性、緊迫力を有するストレッチテープの場合、１．１９倍程度が好ましく、カップサイズが大きい程、ストレッチテープの長さが長くなるので、ギャザー分量が多くなる。
【００３１】
また、ストレッチテープ１０の幅Ｗは１０ｍｍ〜１３ｍｍとし、例えば、カップサイズがＡ〜Ｃの場合は１０ｍｍ、カップサイズがＤ，Ｅの場合は１３ｍｍとしている。即ち、バストのボリュームが増加するに従ってストレッチテープ１０の幅を広げ、ストレッチテープ１０によるサポート力を強くしている。
【００３２】
ストレッチテープ１０は伸度があまり大きくなく、緊迫力を有するものを用いているため、サポート力を有する。
具体的には、ポリウレタン糸が８０％、ナイロン糸が２０％の混紡糸からなり、前記表１に記載の伸長性、前記表２に記載の伸長回復性を有するものを用いている。
本実施形態のブラジャー１はＣカップとしており、幅Ｗを１０ｍｍ、伸長性は９．８Ｎ伸度で１２９％、伸度１５％で緊迫力が１０８ｃＮであると共に伸長力が１３１ｃＮのストレッチテープを用いている。
【００３３】
左右のカップ部の肌側には、さらに、図１および図４（Ｃ）に示すように、脇側パネル布７を取り付けている。該脇側パネル布７は非伸縮性布から形成し、カップ布の周縁に沿った円弧辺７ａと直線辺７ｂを有する形状としている。該脇側パネル布７の円弧辺７ａを前記バージスラインの最下点付近から脇側上端、さらにカップ上辺の脇側にかけてカップ布２、３にそれぞれ縫着すると共に、直線辺７ｂをカップ布２、３と縫着せずに遊離させ、カップ部の下辺中央から上辺脇側へと斜め方向に横断させている。該脇側パネル布７を縫着する脇側上端に前記ストラップ６Ａ、６Ｂを連結し、カップ布２、３を介して脇側パネル布７に引き上げ力が負荷されるようにしている。
【００３４】
また、前記土台布４の左右脇側端とバック布５Ａ、５Ｂとの縫着部にはボーン９Ａ、９Ｂを入れて土台布４を安定保持している。
さらに、左右カップ布２、３のストレッチテープ１０と縫着していない脇側縁から土台布４の脇側縁、さらにバック布５Ａ、５Ｂの上縁にかけて連続してストレッチテープ１５を縫着している。かつ、土台布４の下縁からバック布５Ａ、５Ｂの下縁にかけて連続した１本のストレッチテープ１６を縫着し、ブラジャー１の全体を身体に安定した状態で密着させるようにしている。
左右バック布５Ａと５Ｂとの先端には互いに係止する留め具１７Ａと１７Ｂを取り付け、左右バック布５Ａ、５Ｂの上縁から左右カップ布２、３の上端にかけて前記ストラップ６Ａ、６Ｂを取り付けている。
【００３５】
前記構成としたブラジャー１では、着用時に、土台布４、バック布５Ａ、５Ｂが伸長され、左右カップ布２、３と土台布４との接合位置に取り付けたストレッチテープ１０には、脇側と比較してカップ布２、３の下部および土台布４の中央部分に大きな荷重がかかり、大きく伸長しようとするが、ギャザー１１により土台布４の中央部分のストレッチテープ１０の伸びは制限される。一方、脇側部分では、カップ布２、３の下部および土台布４の中央部分と比較すると小さな荷重しかかからないため、ギャザー１１が多く残り、カップ布２、３を立体的に膨出させる。その際、ストレッチテープ１０には伸びが付与されているので、緊迫力が発生し、バストをしっかりとサポートすると共に、造形性を高めることができる。かつ、カップ布２、３自体をバストに沿って前方へ膨出するように立体的に形成しているため、前記ストレッチテープ１０とキャザー１１による機能とカップ布自体の立体縫製とが相俟って、カップ布２、３を自然なラインで奇麗なフォームを保持することができる。かつ、身体上で比較的動きの少ないバージスラインに位置するストレッチテープ１０が安定した状態で左右のバストを下支えして下垂やバストの揺れを抑制するサポート機能を発揮する。
これにより、ノンワイヤーとして締付感を無くして着用感を高めながら、ノンワイヤーの場合に生じる造形性の不安感を解消でき、機能とデザイン性とを両立したブラジャーとすることができる。
【００３６】
さらに、左右カップ布２、３の肌側には非伸縮性の脇側パネル布７を取り付け、該脇側パネル布７の上端をストラップ６の取付位置のカップ布２、３の上端に縫着しているため、カップ布２、３を介してストラップ６による引き上げ力を脇側パネル布７に負荷でき、バストの引き上げ及び脇側への流れを抑制でき、バストの造形性を高めることができる。
【００３７】
図６および図７に第二実施形態のブラジャー２０を示す。
該ブラジャー２０では、左右一対のストレッチテープ２１、２２を左右のカップ布２３、２４と土台布２５との間に取り付けている。
土台布２５は左右のカップ布２３、２４のバージスラインの下辺側に連結して脇側に延在する帯状部２５ａと、該帯状部２５ａの中央から左右カップ布２３、２４の前中央端の間に位置する前中央部２５ｂを有する。即ち、前中央部２５ｂの両側にそれぞれ左右カップ布と連続する左右一対のくりぬき部２５ｄ、２５ｅを有する形状としている。
【００３８】
前記左くりぬき部２５ｄに左カップ布２３をストレッチテープ２１を介してギャザー１１を寄せて縫着し、右くりぬき部２５ｅに右カップ布２４をストレッチテープ２２を介してギャザー１１を寄せて縫着している。
このように、各左右カップ布２３、２４の前中央側の上端までストレッチテープ２１、２２を夫々取り付けているため、ストレッチテープ２１、２２はそれぞれ緩やかな円弧形状に取り付けられる。
【００３９】
本実施形態のブラジャー２０はカップサイズがＤ、Ｅカップに適用し、前記ストレッチテープ２１、２２の幅Ｗは１３ｍｍとしている。かつ、ストレッチテープ２１、２２の９．８Ｎ伸度が１１５％、伸度１５％の伸長力を１５０ｃＮ、緊迫力を１２５ｃＮとし、伸縮力を強め、バストに対するサポート力を強くしている。
他の構成は、前記第一実施形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【００４０】
前記第二実施形態のブラジャー２０においても、バージスラインに沿ってワイヤーの代わりに、比較的広幅で且つ伸縮力の強いストレッチテープ２１、２２を配置しているため、バストに対するサポート力を有すると共に、ギャザー１１により着用時にカップ布２３、２４をバストに沿った形状に立体化させることができる。
【００４１】
本発明は前記第一、第二実施形態に限定されず、ストレッチテープの幅は１０ｍｍ未満、１３ｍｍを越える幅としてもよく、該ストレッチテープの幅はストレッチテープの伸縮力およびカップサイズに対応して調節している。
さらに、ストレッチテープとキャザーを入れて縫着する土台布の長さと、カップ布の長さとは同一とせずに、カップ布側を若干長くしてもよい。かつ、ストレッチテープの長さに対して土台布およびカップ布の長さは１．１〜１．３倍とすることが好ましいが、ギャザー分量を多くしたい場合は、１．３倍を越える長さとしてもよい。
さらに、カップサイズがＡ、Ｂ等では、脇側パネル布７は必ずしも設ける必要はない。
【００４２】
また、第一、第二実施形態はブラジャーに適応しているが、ブラスリップ、ボデイスーツ等のファンデーション、さらに、水着やレオタードに適用してもよい。
【符号の説明】
【００４３】
１、２０ ブラジャー
２、３ カップ布
４ 土台布
７ 脇側パネル布
１０ ストレッチテープ
１１ ギャザー
【特許請求の範囲】
【請求項１】
左右のカップ布の下辺に沿った周縁と、該左右のカップ布の周縁と接合する土台布の周縁とを、ギャザーを寄せてストレッチテープと縫着し、
前記ギャザーは、着用時において、長さ方向の中間部ではストレッチテープの伸びを制限し、長さ方向両側の脇側部ではカップ布を立体的に膨出する構成としていることを特徴とするカップ部を有する衣類。
【請求項２】
前記ストレッチテープは連続した１本とし、
前記土台布は前記左右のカップ布と接合する部分を連続した円弧形状とし、
前記左右のカップ布の脇側端の間に前記１本のストレッチテープを連続して縫着し、該ストレッチテープの長さ方向の中央を前記左右カップ布の前中心下端の接合位置に位置させている請求項１に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項３】
前記ストレッチテープは左右一対の２本とし、
前記土台布は前記左右のカップ布の下端縁に接合して脇側に延在する帯状部と、該帯状部の中央から前記左右カップ布の前中央端の間に位置する前中央部を有し、
前記一対のストレッチテープを、左右の各カップ布の脇側端から前記前中心部に連続してそれぞれ縫着している請求項１に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項４】
前記ギャザーを寄せて前記ストレッチテープと縫着する前記左右のカップ布および土台布の長さは同等とし、前記ストレッチテープの長さの１．１〜１．３倍とし、
前記ストレッチテープの幅は１０ｍｍ〜１３ｍｍとし、伸長性は９．８Ｎ伸度で１２９〜１１５％、緊迫力は伸度１５％で１０８ｃＮ〜１２５ｃＮとしている請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項５】
前記左右のカップ布はそれぞれ前中心側部と脇側部と上側部との３部分に分割し、これら３部分を前側へ膨出する形状に立体的に縫着し、かつ、
前記左右のカップ布の肌側に、非伸縮性布からなると共に前記カップ布の下辺側から上辺側にかけて斜め縦断する直線辺とカップ布の周縁に縫着する辺とからなる脇側パネル布を設け、該脇側パネル布の前記直線辺はカップ布と縫着せずに遊離させ、かつ、該脇側パネル布と縫着している前記カップ布の上端にストラップを連結している請求項１乃至請求項４のいずれか１項に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項１】
左右のカップ布の下辺に沿った周縁と、該左右のカップ布の周縁と接合する土台布の周縁とを、ギャザーを寄せてストレッチテープと縫着し、
前記ギャザーは、着用時において、長さ方向の中間部ではストレッチテープの伸びを制限し、長さ方向両側の脇側部ではカップ布を立体的に膨出する構成としていることを特徴とするカップ部を有する衣類。
【請求項２】
前記ストレッチテープは連続した１本とし、
前記土台布は前記左右のカップ布と接合する部分を連続した円弧形状とし、
前記左右のカップ布の脇側端の間に前記１本のストレッチテープを連続して縫着し、該ストレッチテープの長さ方向の中央を前記左右カップ布の前中心下端の接合位置に位置させている請求項１に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項３】
前記ストレッチテープは左右一対の２本とし、
前記土台布は前記左右のカップ布の下端縁に接合して脇側に延在する帯状部と、該帯状部の中央から前記左右カップ布の前中央端の間に位置する前中央部を有し、
前記一対のストレッチテープを、左右の各カップ布の脇側端から前記前中心部に連続してそれぞれ縫着している請求項１に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項４】
前記ギャザーを寄せて前記ストレッチテープと縫着する前記左右のカップ布および土台布の長さは同等とし、前記ストレッチテープの長さの１．１〜１．３倍とし、
前記ストレッチテープの幅は１０ｍｍ〜１３ｍｍとし、伸長性は９．８Ｎ伸度で１２９〜１１５％、緊迫力は伸度１５％で１０８ｃＮ〜１２５ｃＮとしている請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項５】
前記左右のカップ布はそれぞれ前中心側部と脇側部と上側部との３部分に分割し、これら３部分を前側へ膨出する形状に立体的に縫着し、かつ、
前記左右のカップ布の肌側に、非伸縮性布からなると共に前記カップ布の下辺側から上辺側にかけて斜め縦断する直線辺とカップ布の周縁に縫着する辺とからなる脇側パネル布を設け、該脇側パネル布の前記直線辺はカップ布と縫着せずに遊離させ、かつ、該脇側パネル布と縫着している前記カップ布の上端にストラップを連結している請求項１乃至請求項４のいずれか１項に記載のカップ部を有する衣類。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２０１１−１２３６８（Ｐ２０１１−１２３６８Ａ）
【公開日】平成２３年１月２０日（２０１１．１．２０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１５９２３７（Ｐ２００９−１５９２３７）
【出願日】平成２１年７月３日（２００９．７．３）
【出願人】（３０６０３３３７９）株式会社ワコール (116)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年１月２０日（２０１１．１．２０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年７月３日（２００９．７．３）
【出願人】（３０６０３３３７９）株式会社ワコール (116)
【Ｆターム（参考）】
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