説明

カテキン分散油脂及びその製造方法

【課題】乳化剤を用いずに、カテキンを高含有量で安定に分散した油脂を提供する。
【解決手段】緑茶由来ヘキサン可溶分及びカテキンを油脂に添加して70〜130℃に加熱し、磨砕する。カテキン分散油脂は、1質量%以上のカテキンと、緑茶由来ヘキサン可溶分と、油脂基材とを含有する。また、カテキン分散油脂は、カテキン及び0.5質量%以上の緑茶由来ヘキサン可溶分を含有する緑茶抽出物と、油脂基材とを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食品や、抗菌・抗酸化・消臭性の付与が求められる各種加工製品の調製に有用で分散安定性が高いなカテキン分散油脂、及び、緑茶抽出物を用いてカテキンが良好に分散したカテキン分散油脂を効率よく製造可能なカテキン分散油脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
急須等に茶葉を投入して熱水等により抽出して飲用に供する緑茶飲料は、近年、容器詰飲料製品として普及したことにより、従来に比べて飲用が容易になっている。また、水又は熱水で茶葉を抽出した緑茶から水を除去した茶抽出乾燥物は、粉末茶として流通しており、水又は湯に溶かして茶飲料を調製したり、飲食品の調理の際に茶の風味を加えるための添加物として利用することができる。
【0003】
更に、緑茶には茶カテキンが含まれていることが知られており、茶カテキンが心臓病や癌の予防に有効であることが報告され、茶カテキンの保健効果が明らかになるにつれて、茶カテキンの含有量を高めた飲料なども市場に流通し、茶カテキンの積極的な摂取が浸透しつつある。カテキン類などのような茶抽出物に含まれる各種機能性成分は、健康志向の高まりにより、健康食品やサプリメント等の成分としての需要が高い。
【0004】
このように、用途が拡大しつつある茶抽出物は、粉末のような固体形状や飲料水等の水性液の形態だけでなく、油脂分に配合して油性液やペースト等の形態で利用することも求められており、特にカテキンを配合した油性液やペーストは、飲食品のみならず、抗菌・抗酸化・消臭機能の付与が求められる様々な加工製品の製造における需要が高い。このため、茶葉の微粉末を油脂分に分散したものが提案されている(例えば、下記特許文献1,2)が、カテキンなどの茶成分は水溶性であり、茶葉の繊維質中から油相に移行する茶成分の量は極めて少ない。また、茶抽出物を油脂分に配合した場合、茶抽出物は水溶性の成分を主とする組成物であり、カテキンは水溶性であるので、油相に対して極めて溶解し難く、分散性が低い。このようなことから、例えば、下記特許文献3,4などでは、乳化剤を用いて茶抽出物を油脂中に配合することが開示されており、カテキンを油性液やペーストに調製するには乳化剤を配合して乳化物に調製することが一般的となっている。
【特許文献1】特開2003−262896号公報
【特許文献2】特開2003−092988号公報
【特許文献3】特開2000−229118号公報
【特許文献4】特開2004−89146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、昨今の自然志向や健康への配慮等の観点から、乳化剤の使用は消費者から敬遠されがちであり、乳化剤を用いた製品は商品価値も低くなる。このため、可能な限り人工的な成分添加を排除することが要望されており、乳化剤を使用することなく、茶抽出物に生来含まれる成分のみでカテキンを油脂中に好適に分散させることを可能とする手法の開発が必要である。
【0006】
本発明の課題は、乳化剤を用いずに、緑茶カテキンが高含有量で安定的に配合・分散されたカテキン分散油脂を効率よく製造可能なカテキン分散油脂の製造方法を提供することである。
【0007】
本発明の他の課題は、カテキンが高含有量で安定的に油脂中に分散し、飲食品や加工製品の製造に高い安心感で幅広く利用可能なカテキン分散油脂を提供することである。
【0008】
本発明の他の課題は、緑茶カテキンが高含有量で油脂中に分散し、好適な緑茶の風味や色相を備えたカテキン分散油脂を簡便且つ安価に提供し、油脂に分散させたカテキンを利用する様々な抗菌・抗酸化・消臭製品の提供を促進することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、緑茶葉からの抽出条件及び油脂への分散条件を工夫することによって、カテキンの含有量が高く、油脂へのカテキンの分散性が安定したカテキン分散油脂を得ることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明の一態様によれば、カテキン分散油脂の製造方法は、緑茶由来ヘキサン可溶分及びカテキンを油脂に添加して70〜130℃に加熱し、磨砕することを要旨とする。
【0011】
又、本発明の一態様によれば、カテキン分散油脂は、1質量%以上のカテキンと、緑茶由来ヘキサン可溶分と、油脂基材とを含有することを要旨とする。
【0012】
本発明の他の態様によれば、カテキン分散油脂は、カテキン及び0.5質量%以上の緑茶由来ヘキサン可溶分を含有する緑茶抽出物と、油脂基材とを含有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、緑茶抽出物を用いて、カテキンが高含有量で好適に分散したカテキン分散油脂性を、高価な設備や特殊な装置を使うことなく簡便に適正な収量で製造し、油性液やペースト等として提供することができる。本発明によるカテキン分散油脂は、製造において乳化剤等を用いる必要がなく、飲食品等の製造に利用する上で安心感が高く、非常に好都合である。また、様々な分野において、抗菌・抗酸化・消臭機能を有する製品の加工に利用可能な新規素材として、用途を更に拡大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
一般的な緑茶抽出物は、水溶性成分が主体であり、油脂類に対しては溶解性が低く分散し難い。このため、カテキンが高濃度で分散する油脂を得るために緑茶抽出物を油脂に配合しても、カテキン及び緑茶抽出物は油脂から容易に分離する。これを改善するために界面活性剤を用いても、1%未満の使用量においては効果は顕かでない。しかし、抽出溶媒として含水有機溶剤を用いて緑茶抽出物を得た場合には、緑茶抽出物の油脂への分散性が向上して高濃度のカテキンが分散した油脂を得られる。これは、緑茶由来の親油性成分がカテキンの油脂分散性に関与するためであることが判明し、本発明者らは、更に、含水有機溶剤を用いた抽出によって得られる緑茶抽出物のカテキンと油脂への分散性との関係について検討したところ、分散時の条件によってカテキンの油脂分散性が変化し、乳化剤を用いずに1質量%以上のカテキンが安定に分散する油脂を調製するための好適な条件が存在することが判明した。
【0015】
含水有機溶媒を用いて緑茶葉を抽出すると、得られる緑茶抽出物は、カテキン等の親水性成分と、ヘキサンに可溶な親油性成分とを含有する。親水性成分は、油脂に馴染み難く、単独で強制的に分散させても容易に分離・沈降するが、適量のヘキサン可溶分が共存する緑茶抽出物を用いた場合は、親水性成分の油脂分散性が向上してカテキン分散量の高い油脂の調製が可能となる。緑茶抽出物に含まれるヘキサン可溶分は、カテキンとの馴染みが良く、カテキンと共に抽出される結果として、抽出物を油脂に配合した際にカテキンを伴って油脂中に分散して両性的に作用し、これによって分散性が向上する。つまり、緑茶由来のヘキサン可溶分が、乳化剤と類似に作用して油脂への分散を安定化させる。従って、一般的な乳液の場合と同様に、カテキンの油脂への分散安定性は分散形態の如何によって変化し、効率よく好適なミセル様構造を形成することが分散安定性の向上にとって重要となる。これに基づくと、第1には、カテキンの油脂基材への分散量は、ヘキサン可溶分の含有量によって変動する。つまり、適量のヘキサン可溶分が含まれる緑茶抽出物を用いることによってカテキンの油脂への分散性が向上し、緑茶抽出物を油脂基材に配合した時にカテキン分散量が高い油脂を得ることができる。第2には、親水性成分/親油性成分の組み合わせで対になった微小粒子、特に、カテキン又は親水性成分を核としてヘキサン可溶分が被覆する構造の粒子が微細に形成されることによって、ヘキサン可溶分が効果的に作用してカテキンが好適に分散する。これに従って、本願では、この分散構造を効率よく形成するために有効な手法として、緑茶抽出物を添加した油脂基材を加熱すること、及び、磨砕処理を施すことを提示する。これにより、カテキンとの馴染みがよい緑茶由来のヘキサン可溶分が効率良く作用して、カテキン及びヘキサン可溶分が微細且つ安定に分散した油脂が得られ、カテキン分散量の高い油脂を提供することができる。
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】
本発明のカテキン分散油脂は、カテキン、緑茶由来ヘキサン可溶分及び油脂基材を含有する組成物であり、カテキンの油脂中への分散がヘキサン可溶分によって好適に補助され、乳化剤を使用することなく、1質量%以上のカテキンの分散が長時間安定に保持される。このようなカテキン分散油脂は、カテキン及び緑茶由来ヘキサン可溶分が添加された油脂基材を加熱して磨砕することによって得られ、この後、遠心処理を施して安定性の低い分散物を分離除去することによって、分散状態の長時間安定性が担保される。緑茶から抽出される成分について水溶性成分と親油性成分とを比較すると、親油性成分の方が軟化・溶融点が低い傾向があり、60〜80℃程度の加熱によってヘキサン可溶分がペースト状に容易に軟化・溶融する。従って、水溶性成分(カテキン)及び親油性成分(ヘキサン可溶分)を添加して加熱した油脂基材を磨砕すると、水溶性成分が微細粒子に粉砕されると共に、軟化・溶融した親油性成分が水溶性成分微細粒子の表面に薄く延び広がり、水溶性成分(カテキン)が親油性成分(ヘキサン可溶分)で被覆された構造の微細粒子となり、一般的な分散液のミセルと類似の構造が形成される。このような構造が分散安定性を高めることを考慮すると、カテキン分散油脂を製造する原料は、カテキン及び緑茶由来ヘキサン可溶分の双方を含む緑茶抽出物に限定されるわけではなく、個別に調製されたカテキン抽出物及び緑茶由来ヘキサン可溶分抽出物を組み合わせて使用することも可能である。
【0018】
カテキン及びヘキサン可溶分の両方を好適に含有する緑茶抽出物は、緑茶葉を含水有機溶剤を用いて抽出し乾燥することによって得られる。原料として用いる緑茶葉は、Camellia属の茶樹の葉、茎等から不発酵の製茶工程によって製造される緑茶葉であり、一般に不発酵茶として分類されるものであれば特に制限はなく、樹種や部位等や製法の非本質的相違によって限定されるものではない。水系の抽出ではヘキサン可溶分が満足に抽出されないので、有機溶剤を用いた抽出によって得られるヘキサン可溶分を必要に応じて適宜組み合わせて使用する。また、緑茶抽出物と共に緑茶葉の粉砕物を油脂基材に加えて加熱及び磨砕処理を施すと、緑茶葉の親油性成分が油脂に移行するので、ヘキサン可溶分の不足分を緑茶葉の粉砕粒子を用いて補うことも可能であり、ヘキサン可溶分に伴ってカテキンも茶葉から油脂に移行する。但し、緑茶葉から油脂へ移行する量は何れも少ないので、緑茶葉の単独使用によってカテキン含有量が1%以上の安定分散状態の油脂を得るのは困難である。
【0019】
カテキンを効率よく油脂に分散させるには、ヘキサン可溶分の質量がカテキンの質量に対して10%程度以上となる割合で油脂基材に添加することが好ましく、より好ましくは15〜35%程度である。このような好ましい割合でカテキン及びヘキサン可溶分を含有する緑茶抽出物を使用すると、油脂基材100質量部に対して緑茶抽出物30質量部程度以上添加することによって、カテキン含有量が1%以上の安定分散状態の油脂を効率よく得ることができる。
【0020】
カテキンの油脂への分散量は、加熱温度が60℃から上昇するに従って増加して、100℃から120℃にかけて上限に至り、130℃を超えると分解その他の理由により減少する。従って、加熱温度は70〜130℃程度、好ましくは100〜130℃程度、より好ましくは110〜130℃程度に設定するとよい。加熱時間は、添加成分の軟化・溶融が進行すればよく、取り扱う油脂量に応じて適宜設定することができる。好ましくは1〜10分程度で、通常、10分程度加熱すれば充分である。加熱した油脂混合物の磨砕形態は特に限定されず、固形分が微細に粉砕、分散されればよい。油脂混合物の磨砕処理時間は、取り扱う油脂量及び使用する磨砕装置に応じて適宜設定すれば良く、好ましくは60〜120秒程度であり、通常、90秒程度以上磨砕処理を行えば充分である。磨砕処理中の油脂混合物は、加熱を維持する必要はないが、磨砕中に急激に常温付近まで冷却されるような状況は避けることが望ましい。磨砕処理を経た油脂組成物は、遠心分離を施すことによって、分散安定性の低い分散物が沈降分離するので、これを除去することによって、分散安定性の高いカテキン分散油脂組成物が得られる。緑茶抽出物と共に緑茶葉を油脂基材に添加した場合には、分散性の悪い茶葉粒子が遠心分離によって沈降除去される。
【0021】
緑茶抽出物を用いてカテキン分散油脂を製造する際に遠心分離における沈降量が少なく分散効率が良い好適な緑茶抽出物は、含水有機溶剤を用いてカテキンを好適に抽出できる条件下で緑茶葉を抽出し乾燥して得られる抽出物である。この緑茶抽出物は、緑茶由来成分として、カテキンと、ヘキサン可溶分とを含有し、一般に粉末茶として提供されている通常の緑茶抽出物と同様の風味を有する。総カテキン含有量が緑茶抽出物の20質量%以上、好ましくは30質量%以上であり、ヘキサン可溶分の含有量が0.5〜29質量%程度、好ましくは3〜24質量%程度である緑茶抽出物は、カテキンを油脂へ効率よく分散するのに好都合であると同時に、カテキンと共に抽出される水溶性成分によって好適な緑茶風味を有する。ヘキサン可溶分が0.5質量%程度以上においてカテキンの油脂への分散を促進する効果が顕著であり、この範囲において優れた分散促進効果が発揮され、所望のカテキン分散量の油脂を調製するために必要な緑茶抽出物の量が少なくなる。但し、ヘキサン可溶分が30質量%を超える範囲では、それ以上の分散効果は得られ難いので、0.5〜29質量%のヘキサン可溶分含有量は、緑茶抽出物がカテキン分散油脂を調製する上で有効且つ効率的な範囲である。緑茶抽出物のヘキサン可溶分には、脂質、脂溶性ビタミン、クロロフィル等の成分が含まれ、クロロフィルなどの成分は、カテキンの油脂への分散を促進する上で特に有効である。
【0022】
このようなカテキン含有量が高い緑茶抽出物は、無水の有機溶剤による抽出では得られない。カテキンの含有量を増加するために高含水量の含水有機溶剤を用いて抽出すると、ヘキサン可溶分の抽出率が著しく減少して、上述のようなヘキサン可溶分を含む抽出物は得られず、油脂への好適な分散性は得られなくなる。このような緑茶抽出物を効率よく得るには、適正に濃度を調節した含水有機溶剤を抽出溶媒として用いることが肝要である。
【0023】
様々な抽出条件について抽出物を検討したところ、異なる濃度の含水有機溶剤を用いる複数の抽出工程において得られる抽出液を合わせて抽出物を回収すると、カテキンの油脂分散性を更に高めることが可能な抽出物が得られる。この理由は定かではないが、含水有機溶剤の濃度が異なる抽出によって親水性/親油性のバランスや含まれる成分の種類や数が異なる抽出液が得られ、これらの抽出液を合わせた時に、成分間の相互作用による分散性の向上や、凝集粗大化の抑制による微細化が生じ易くなることが考えられる。
【0024】
上記緑茶抽出物の調製で用いる抽出溶媒は、親水性有機溶剤と水との混合物である含水有機溶剤である。抽出溶媒を構成する有機溶剤として、アルコール及びケトン等の水溶性有機溶剤が好適に用いられ、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等の低分子量脂肪族アルコール、アセトン等の低分子量脂肪族ケトン等が挙げられ、メタノール、エタノール及びアセトンが好ましく、エタノールが最適である。有機溶剤は、複数種の水溶性有機溶剤の混合物であってもよい。
【0025】
カテキンは、有機溶剤濃度(v/v)が98%程度以下の含水有機溶剤を用いた抽出において抽出され、抽出率は、有機溶剤濃度が50〜70%程度の含水有機溶剤を用いた時に最も高くなる。一方、ヘキサン可溶分の抽出率は、使用する含水有機溶剤の有機溶剤濃度が高いほど抽出率が高く、特に80%以上において抽出率の増加が著しいが、有機溶剤濃度が約70%未満になるとかなり低下し、特に濃度が60%未満では著しく低い。このため、単一抽出によってカテキン及びヘキサン可溶分の両方を抽出するには、有機溶剤濃度が60〜98%程度、好ましくは70〜95%程度の含水有機溶剤が使用される。但し、抽出効率が低いため、ある程度の収量を得るには抽出を繰り返し行う必要がある。
【0026】
複数回の抽出を行う際に、抽出溶媒として含水率の異なる2種類の含水有機溶剤を用いて抽出を行うと、抽出効率を改善することができ、抽出物を高い収率で効率よく得ることができる。第1の抽出工程はカテキンの抽出を重点的に、第2の抽出工程はヘキサン可溶分を重点的に抽出するように上記を参照して溶剤濃度を設定すると、第1の抽出工程における抽出溶媒の有機溶剤濃度は20〜90%で、第2の抽出工程における抽出溶媒の有機溶剤濃度は80〜99.5%となる。但し、有機溶剤濃度が60%未満ではヘキサン可溶分の抽出量が著しく低下するので、第1の抽出工程における有機溶剤濃度は60〜90%に設定される。これにより、総カテキン含有量が30質量%で、ヘキサン可溶分含有量が0.5質量%以上の緑茶抽出物が得られる。
【0027】
上述の複数の抽出工程において、各抽出工程から得られる抽出液を纏めて抽出物を回収する際に、抽出溶媒の濃度の組み合わせによって抽出物のカテキンの油脂分散性が著しく改善される場合が存在する。具体的には、第1抽出工程における抽出溶媒の有機溶剤濃度が70%以上であり、第1及び第2抽出工程における有機溶剤濃度の平均値が80%を超える場合、同一の有機溶剤濃度で抽出を繰り返す場合に比べて、緑茶抽出物のカテキンの油脂分散性が向上する。つまり、第1抽出工程における第1含水有機溶剤の有機溶剤濃度をP[v/v%]、第2抽出工程における第2含水有機溶剤の有機溶剤濃度をQ[v/v%]とすると、好適な濃度P,Q(但し、P<Q)は、下記式のように表すことができる。
【0028】
70≦P、 80<(P+Q)/2
【0029】
特に、第1含水有機溶剤及び第2含水有機溶剤の有機溶剤濃度P,Qの平均値が82.0〜95.0%の範囲では、カテキンの油脂分散性が高く、中でも、P,Qの平均値が82.5〜92.5%の範囲では、ヘキサン可溶分が油脂分散性の向上に最も効率的に作用し、最大で、ヘキサン可溶分含有量が2倍の緑茶抽出物と同程度までカテキンを油脂に分散させることが可能となる。
【0030】
この理由は定かではないが、一因として、第1含水有機溶剤と第2含水有機溶剤との濃度差に起因したヘキサン可溶分の組成の複雑・多様化が考えられる。一般的に、親油性化合物は親水性化合物に比べて凝固点または凝固性(結晶性)が低い傾向があるが、組成が複雑な混合物であると更に凝固点降下して固化し難くなる。本発明の抽出において、抽出溶媒の濃度幅によって得られるヘキサン可溶分の組成が複雑・多様化することによって親油成分の凝固性が低下することが考えられ、抽出液から溶剤を除去する際に、親水成分と親油成分との凝固性の差によって、親水成分の固化が先行して微細粒子となり、その表面で親油成分が凝固することが可能となる。つまり、カテキンがヘキサン可溶分を被覆する可能性は減少し、ヘキサン可溶分がカテキンを被覆する構造の析出が生じ易くなる。従って、カテキン及びヘキサン可溶分が対になった析出や、ヘキサン可溶分がカテキンを部分的に被覆するような構造の粒子が生じることによって、カテキンの油脂分散性が向上すると考えられる。
【0031】
有機溶剤濃度の平均値:(P+Q)/2、及び、有機溶剤濃度の差:(Q−P)は、カテキン及びヘキサン可溶分の抽出バランスを左右する要素であり、平均値が小さければヘキサン可溶分の抽出が少なく、平均値が大きければカテキンの抽出が少ない。又、濃度差が大きければ、抽出成分の種類が幅広くなる。
【0032】
含水有機溶剤での抽出において、ヘキサン可溶分の抽出量は、有機溶剤濃度が80%から90%の領域において急激に変化し、抽出される成分の種類及び性質も変化する。有機溶剤濃度の平均値(P+Q)/2が85%前後において本発明の緑茶抽出物におけるヘキサン可溶分が最も効果的にカテキンの油脂分散性を向上させるのは、このためであると考えられ、この点において、上述のように82.0≦(P+Q)/2≦95.0となる有機溶剤濃度P,Qが好ましく、より好ましくは、82.5≦(P+Q)/2≦92.5である。
【0033】
有機溶剤濃度の差については、第1含水有機溶剤の有機溶剤濃度Pが75%未満の場合は、ヘキサン可溶分を確保するために、差:(Q−P)を大きく設定する(好ましくは25%以上)必要があり、75≦Pの範囲では、差:(Q−P)を大きく設定する必要がなく、(Q−P)が0%超、好ましくは約5〜10%程度となる範囲においてカテキンの油脂分散性は効果的に向上する。
【0034】
上記に従って有機溶剤濃度P及びQの含水有機溶剤を用いて第1及び第2抽出工程を実施することによって、両工程の抽出液から合わせて回収される緑茶抽出物は、総カテキン含有量が30質量%以上で、ヘキサン可溶分含有量が0.5質量%以上となり、カテキンの油脂分散性が非常に良好となる。
【0035】
第1抽出工程及び第2抽出工程は、行う順序によって各抽出工程における抽出組成が変動する。特に、含水率の低い抽出溶媒を用いた抽出を先に行うと、抽出溶媒と茶葉との馴染みが良好でないため、親油成分の抽出が遅滞し、良好な緑茶抽出物を効率よく得ることが難しくなる。これに対し、含水率が高い溶媒による抽出を先行させると、緑茶葉への水の浸透によって有機溶剤と茶葉とが馴染み易くなるので、この後に含水率が低い溶媒による抽出を行った時、結果として後続の抽出効率が改善されて親油成分の抽出が容易になる。つまり、緑茶葉へ水を浸透させて有機溶剤との馴染みを良くするには、緑茶葉に最初に接触させる抽出溶媒がある程度の水を含むことが重要であり、この点について使用可能な有機溶剤濃度は90%以下、好ましくは85%以下である。
【0036】
このようなことから、第1抽出工程及び第2抽出工程の順序は、第1抽出工程より後に第2抽出工程を行うように設定するのが好適であり、第1抽出工程における有機溶剤濃度Pは70〜90%、好ましくは70〜85%、より好ましくは75〜85%に設定する。このように設定することにより、茶葉への水の浸透及び溶剤との馴染みが好適に進行し、何れの工程においても良好な抽出効率で実施することができ、緑茶抽出物を効率よく得ることができる。これに関し、第1抽出工程の濃度Pを60%から70%未満とした場合は、上術したような改善効果は得られずにカテキンの油脂分散性が上記の場合より低下するが、ヘキサン可溶分の含有量に応じてカテキンの分散量が増加する点に相違はない。
【0037】
尚、有機溶剤濃度が80%以上の含水有機溶剤は、親油性の呈色成分を好適に抽出することができるので、第1及び/又は第2工程において有機溶剤濃度が80%以上の溶媒を使用することによって緑茶抽出物は鮮やかな緑色を呈するようになる。
【0038】
第1抽出工程及び第2抽出工程は、その一方又は両方について複数回繰り返して行っても良く、両工程を交互に複数回繰り返しても良い。第1抽出工程の回数を増やすことによって、カテキン類等の抽出量増加による収率向上が可能であり、第2抽出工程の回数又は抽出時間を増加することによってヘキサン可溶分の抽出率が向上する。
【0039】
第1含水溶媒及び第2含水溶媒を構成する有機溶剤は、同一でも異ってもよいが、抽出液を合わせた時の均一化の点から、同じ溶剤であることが好ましい。
【0040】
各抽出工程において使用する含水有機溶剤の量は、緑茶葉の乾燥質量に対して2〜10ml/g程度が好ましい。茶葉に対する抽出溶媒の使用量が多い方が、抽出物の量が増加するが、溶媒の容積当たりの抽出率としては、一度の抽出で使用するよりも複数回数の抽出に分けて使用した方が高いので、1回当たりの溶剤使用量を減量して、第1及び/又は第2抽出工程を複数回数行うことによって抽出効率を改善できる。第1抽出工程に使用する抽出溶媒量(総量)と第2抽出工程に使用する抽出溶媒量(総量)との割合(容積/容積)は、目的とする組成や収率に応じて適宜調整することができ、概して、1/2〜2/1程度の範囲が好ましい。
【0041】
抽出時間、つまり、茶葉と抽出溶媒とを接触させる時間は、茶葉成分を充分且つ効率的に溶出可能であればよく、概して60〜180分程度が好ましい。抽出温度は、10〜60℃程度が好ましく、10℃以下であると、目的とする成分が溶出し難くなり、60℃を超えると、成分の分解、変質が進行し易くなったり、作業性の問題が生じる。
【0042】
第1及び第2抽出工程で得られた抽出液は合わせて均一に混合した後に、抽出溶媒を除去し乾燥することによって固化し、粉末状の緑茶抽出物に調製される。乾燥方法としては、加熱を用いない噴霧乾燥、凍結乾燥又は減圧留去や、加熱を伴う気化などが利用可能であり、過激な加熱を伴わない方が好ましい。
【0043】
このようにして得られる緑茶抽出物は、0.5質量%以上の割合でヘキサン可溶分を含有し、カテキンを30質量%以上の割合で含有し、通常の緑茶の風味を保持する。抽出溶媒の濃度を適切に設定することにより、ヘキサン可溶分の含有量が3〜24質量%の緑茶抽出物を10質量%程度以上の収率(乾燥茶葉の質量を基準とする)で得ることが可能であり、特別の装備を必要とすることなく一般的な抽出設備を用いて簡易に製造方法を実施することができる。
【0044】
得られた緑茶抽出物は、前述したように、油脂に添加して加熱し、磨砕・分散することにより、カテキンが安定して油脂に分散した油液、ペースト等を調製することができ、分散剤や乳化剤として界面活性剤等の外部添加剤を使用する必要がない。カテキン分散油液の調整時に用いる油脂基材としては、効率的に磨砕処理を行うためには粘性が低い油脂が好ましく、遠心処理においても分散状態の維持が容易であるためには比重が高い油脂が好ましく、食用において好ましい油脂としては例えばMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ひまし油などが挙げられる。油液調製後の希釈等に用いる油脂としては、食品、飼料、香粧品、医薬品その他の工業製品等の分野において使用される、常温又は加温状態で液体の公知の油性成分を特に制限することなく用いることができる。例えば、炭化水素類、エステル類、動植物性油脂類、ワックス、ハゼ脂、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン系化合物、ステロール類、樹脂類、これらを酵素処理又は化学処理したものなどが挙げられる。取り扱い及び化学的安定性等の点から、常温で流動性のものが好ましく、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、胡麻油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、落下生油、米胚芽油、小麦胚芽油、玄米胚芽油、ハトムギ油、ガーリックオイル、椿油、パーム油、、オリーブ油、ホホバ油、マカダミアンナッツ油、アボガド油、ひまし油、亜麻仁油、紫蘇油、ユーカリ油、豚脂、牛脂、馬油、魚油、卵油、流動パラフィン、イソパラフィン、ワセリン、スクワラン、スクワレン、テレピン油、ミリスチン酸イソプロピルエステル、ミリスチン酸イソパルミチルエステル、ミリスチン酸2−オクチルドデシルエステル、2−エチルヘキサン酸セチルエステル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルエステル、トリカプリル酸グリセリルエステル、カプリル酸及びカプリン酸の混合脂肪酸トリグリセリド、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコールエステル、リンゴ酸ジイソステアリルエステル、イソノナン酸イソノニルエステル(3,5,5−トリメチルヘキシル−3’,5’,5’−トリメチルヘキサノエート)、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリルエステル、高級脂肪酸とジペンタエリスリトールとのモノ〜ヘキサエステル、パラメトキシ桂皮酸又は2−エチルヘキサン酸のグリセリンエステル、パラメトキシ桂皮酸イソオクチルエステルなどの液状油脂が挙げられる。又、大豆硬化油、菜種硬化油、パーム硬化油、魚硬化油、トリステアリン酸グリセリルエステル、ロジン、コレステロール、フィトステロール(例えば、カンペステロール、スチグマステロール、シトステロール等)、オレンジラフィー油、ラノリン、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、エルシン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、ミツロウ、ワセリン、ハードファット、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、米糠ワックス、木ろうセラック、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、動植物由来の精油成分なども使用できる。これらを単独又は2種以上を組み合わせて使用可能である。炭素数6〜10程度の中鎖飽和脂肪酸は、酸化安定性が良く、カテキンの機能を有効に発揮させるための分散媒として好ましい。
【0045】
上記のような油脂に緑茶抽出物を配合して、カテキンが1質量%以上の割合で安定に分散した油脂を調製することができ、得られるカテキン分散油脂は、そのまま一般飲食品やサプリメント等の健康補助食品などの製造原料として使用したり、他の液体に配合して溶液又は分散液状態で、あるいは、多硬質素材や中空粒子に吸収又は包接させて担時状態で様々な製品の要素として使用することができる。例えば、抗菌・消臭・抗酸化シート又はビーズなどとして、化粧品、アメニティ製品等に利用することができる。また、その鮮やかな緑色を利用して、飲食品やサプリメント等の着色剤としても利用できる。
【実施例1】
【0046】
以下に記載する試料1〜20の各手順に従って、緑茶の茶葉から抽出される抽出液を収集し、濾過及び乾燥を行うことによって試料1〜20の緑茶抽出物を得た。
【0047】
得られた緑茶抽出物は、収量を測定した後、緑茶抽出物50mgを100mlのメスフラスコに秤取して水を用いて溶解し、溶液を100mlに定容した。この溶液を0.45μmバーサポアフィルターを通過させたものを分析試料として、下記の手順に従って総カテキンの定量を行った。
【0048】
また、緑茶抽出物250mgに水25ml及びn−ヘキサン25mlを加えて激しく混合して緑茶抽出物を溶解した後、n−ヘキサン相を分取して溶剤を留去することによってヘキサン可溶分を得た。この収量を測定して、緑茶抽出物のヘキサン可溶分の含有量を決定した。
【0049】
更に、緑茶抽出物1.5gを中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名:アクターM−4、理研ビタミン株式会社製)5gに添加して100℃で10分間加熱した後に、磨砕機(商品名:POLYTRON PT10-35、KINEMATICA社製)を用いて90秒間摩砕処理し、遠心分離器にかけて10000Gで遠心処理を行って上澄みのカテキン分散油脂液を取り出した。得られた油脂液のうちの500mgを混合溶媒(クロロホルム:メタノール=2:1)25mlに溶解して蒸留水5mlを加えた。これを10分間攪拌した後に3000rpmで10分間遠心処理を行って上澄みを回収し、同様の混合溶媒による処理を2回繰り返して、回収した上澄みを収集して濃縮した後に5mlに定容した。これを測定サンプルとして、以下の条件でHPLCによる分析を行うことによってカテキン分散量(カテキン分散油脂液に含まれるカテキン量の質量百分率)を決定した。
【0050】
<総カテキンの定量方法>
(-)-カテキン、(-)-Cg、(-)-EC、(-)-ECg、(-)-GC、(-)-GCg、(-)-EGC及び(-)-EGCgを各10mgずつ100mlのメスフラスコに秤取し、0.5質量%アスコルビン酸−0.01質量%EDTA二ナトリウム水溶液を用いて溶解し、100mlに定容した。この溶液の一部を用いて、2倍又は5倍に前記アスコルビン酸−EDTA二ナトリウム水溶液で希釈した希釈液を調製して、1倍、2倍及び5倍の標準液とした。
【0051】
上記3種の標準液を、各々、0.45μmバーサポアフィルターを通過させた後に、HPLC分析を下記の条件で行い、得られたクロマトグラムにおける各成分のピーク面積を測定して、ピーク面積と各成分の濃度とから検量線を作成した。
【0052】
上記の検量線を用いて、試料1〜20で得られた分析試料のHPLC分析による各成分の濃度を求め、8成分の合計含有量を算出して、茶抽出物の総カテキン量とした。
【0053】
<HPLCの分析条件>
HPLC装置:島津製LC−10AD二液高圧グラジエントシステム
カラム:YMC J'sphere ODS-H80 250×3.0 mmI.D.
移動相A: 水:アセトニトリル:リン酸=94.9:5.0:0.1
移動相B: 水:アセトニトリル:リン酸=49.9:50.0:0.1
検出:UV検出器 280nm
試料注入量:5μL
送液量:0.43ml/分
(送液グラジエント)
時間 移動相A 移動相B
0分 95% 5%
5分 95% 5%
10分 90% 10%
15分 90% 10%
25分 80% 20%
40分 80% 20%
45分 20% 80%
50分 20% 80%
51分 95% 5%
65分 95% 5%
【0054】
(試料1〜16)
内径5cm、高さ40cmのガラスカラムに緑茶葉60gを入れ、表1に記載される溶媒濃度Pの含水エタノール240mlを注ぎ、1時間室温で静置した後にコックを開栓し抽出液1を得た。次いで、前抽出の溶媒で湿った状態の抽出残渣に表1記載の溶媒濃度Qの含水エタノール240mlを注ぎ、3時間室温で静置した後にコックを開栓して抽出液2を得た。抽出液1及び2を合わせて混合し、No.2濾紙で濾過して濾液を40℃で減圧濃縮し、得られた粘稠液を減圧乾燥することにより固化した緑茶抽出物を得た。得られた抽出物の収率(得られた抽出物の原料緑茶葉に対する質量百分率)、カテキン含有量(質量百分率)、ヘキサン可溶分の含有量(質量百分率)、及び、油脂に緑茶抽出物を分散させた時のカテキン分散量(質量百分率)を表2に示す。
【0055】
(表1)
試料 溶媒濃度P(v/v) 溶媒濃度Q(v/v)
1 60.0% 80.0%
2 60.0% 90.0%
3 60.0% 99.5%
4 70.0% 80.0%
5 70.0% 90.0%
6 70.0% 95.0%
7 70.0% 99.5%
8 80.0% 80.0%
9 80.0% 90.0%
10 80.0% 95.0%
11 80.0% 99.5%
12 85.0% 85.0%
13 90.0% 90.0%
14 90.0% 95.0%
15 90.0% 99.5%
16 95.0% 95.0%
【0056】
(表2)
緑茶抽出物のカテキンの油脂への分散性
緑茶抽出物 油脂中
試料 ヘキサン可溶分 総カテキン量 収率 カテキン分散量
(%) (%) (%) (%)
1 0.16 35.4 28.7 0.14
2 0.96 35.4 28.1 0.32
3 6.84 33.8 29.6 0.76
4 0.88 35.8 27.0 0.41
5 3.28 35.1 27.9 0.56
6 3.92 36.5 27.6 1.76
7 7.48 36.2 27.5 2.24
8 4.00 39.7 26.1 1.07
9 9.04 36.7 23.3 2.46
10 10.48 37.9 23.6 2.35
11 12.32 37.6 23.2 1.93
12 10.80 40.5 21.5 1.51
13 17.36 39.8 13.7 1.78
14 21.60 36.5 11.2 2.29
15 23.52 35.0 10.0 2.12
16 28.40 34.5 6.2 2.10
【0057】
(試料17)
市販の緑茶抽出物(テアフラン30F、株式会社伊藤園製熱水抽出物、カテキン8種の含有量:30.38質量%、ヘキサン可溶分:0.17質量%)を用いて、試料1〜16と同様にカテキンの油脂分散量を測定したところ、0.07質量%であった。
【0058】
(試料18)
市販の緑茶抽出物(テアフラン30A、株式会社伊藤園製熱水抽出物、カテキン8種の含有量:30.38質量%、ヘキサン可溶分:0%)を用いて、試料1〜16と同様にカテキンの油脂分散量を測定したところ、0.06質量%であった。
【0059】
(試料19)
市販の緑茶抽出物(テアフラン30F、株式会社伊藤園製熱水抽出物、カテキン8種の含有量:30.38質量%、ヘキサン可溶分:0.17質量%)に中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名:アクターM−4、理研ビタミン株式会社製)を総量の3質量%となるように加えて混合し、含水エタノール(エタノール80%)を添加して溶解した後、減圧下で濃縮・乾燥した。得られた乾燥物を用いて、試料1〜16と同様にカテキンの油脂分散量を測定したところ、0.024%であった。
【0060】
(試料20)
市販の緑茶抽出物(テアフラン30F、株式会社伊藤園製熱水抽出物、カテキン8種の含有量:30.38質量%、ヘキサン可溶分:0.17質量%)に中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名:アクターM−4、理研ビタミン株式会社製)を総量の10質量%となるように加えて混合し、含水エタノール(エタノール80%)を添加して溶解した後、減圧下で濃縮・乾燥した。得られた乾燥物を用いて、試料1〜16と同様にカテキンの油脂分散量を測定したところ、0.025質量%であった。
【0061】
表2及び試料17〜18によれば、緑茶抽出物中のヘキサン可溶分の含有量に応じてカテキンの油脂への分散量が増加することが明かである。特に、試料6〜12におけるカテキンの分散量が多く、これらの試料は、カテキンの油脂分散性が優れた緑茶抽出物である。
【0062】
試料13〜16は、緑茶抽出物の収率が低いが、カテキンの油脂分散性は高い。
【0063】
又、試料19〜20は、緑茶の水系抽出物に意図的に油脂を配合したものであるが、これらにおけるカテキンの油脂分散性が低い事実から、親油成分であれば全て有効なのではなく、含水有機溶剤によって抽出される親油性の緑茶由来成分が有効であると見なすことができる。緑茶由来でない油脂は、カテキン等の緑茶由来成分との親和性が低いために容易に分離すると考えられる。
【実施例2】
【0064】
(緑茶抽出物の調製)
ガラスカラムに緑茶葉を入れ、エタノール濃度が80%(容積/容積)の含水エタノールを緑茶葉の4倍量(質量比)注ぎ、1時間室温で静置した後にコックを開栓し抽出液1を得た。次いで、前抽出の溶媒で湿った状態の抽出残渣にエタノール濃度が95%(容積/容積)の含水エタノールを緑茶葉の4倍量(質量比)注ぎ、3時間室温で静置した後にコックを開栓して抽出液2を得た。抽出液1及び2を合わせて混合し、40℃で減圧濃縮し、得られた粘稠液を減圧乾燥することにより、収率20.2質量%で固化した緑茶抽出物を得た。実施例1と同様にして緑茶抽出物のカテキン含有量及びヘキサン可溶分の含有量を調べたところ、カテキン含有量は41.4質量%、ヘキサン可溶分は11.6質量%であった。これを以下の試料A1〜A9の調製に用いた。
【0065】
(緑茶葉微粉末の調製)
緑茶葉を破砕機(商品名:Labo Millser LM-2、イワタニ社製)で細かく粉砕して、篩(目開き100μm)を通過したものを以下の操作に用いた。
【0066】
(試料A1)
上記緑茶抽出物5gを中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名:アクターM−4、理研ビタミン株式会社製)5gに添加して100℃で10分間加熱した後に、磨砕機(商品名:POLYTRON PT10-35、KINEMATICA社製)を用いて90秒間摩砕処理(処理スピード(POWER CONTROL UNIT目盛り):7)し、遠心分離器にかけて10000Gで遠心処理を行って上澄みのカテキン分散油脂液を取り出した。
【0067】
(試料A2〜A6)
緑茶抽出物に代えて、表3に記載する割合の緑茶抽出物と緑茶葉微粉末との混合物あるいは緑茶葉微粉末を用いたこと以外は試料A1と同様にして、カテキン分散油脂液を調製した。
【0068】
(試料A7)
緑茶抽出物の量を5gから1.5gに変更したこと以外は試料A1と同様にして、カテキン分散油脂液を調製した。
【0069】
(試料A8〜A9)
中鎖脂肪酸トリグリセリドを、試料A8についてはCAROTINO SDN BHD社製BERGABEST MCT 60/40(商品名)に、試料A9については花王社製ココナードMT(商品名)に変更したこと以外は試料A6と同様にして、カテキン分散油脂液を調製した。
【0070】
(油脂のカテキン分散量及びエタノール不溶物量の測定)
試料A1〜A9の各油脂液について、油脂液5gを秤量し、エタノール濃度80%(容積/容積)の含水エタノール45mlを加えて10分間攪拌した。これを3000rpmで10分間遠心分離処理し、上層40mlを回収した後、残分に99.5%エタノール40mlを加えて10分間攪拌し、3000rpmで10分間遠心分離処理して上澄みを回収した。この上澄み及び先に回収した上層を各々メンブレンフィルター(PTFE製、孔径:0.50μm)で濾過し、メンブレンフィルター上に、上記遠心分離後の沈降分を投入して99.5%エタノールで洗浄しながら濾別し、濾さいを回収して1日間減圧乾燥し、油脂中のエタノール不溶物を得た。
【0071】
また、油脂液500mgを秤量し、混合溶媒(クロロホルム:メタノール=2:1)25mlに溶解して蒸留水5mlを加えた。これを10分間攪拌した後に3000rpmで10分間遠心処理を行って上澄みを回収し、同様の混合溶媒による処理を2回繰り返して、回収した上澄みを収集して濃縮した後に5mlに定容した。これを測定サンプルとして、実施例1に記載する条件でHPLCによる分析を行うことによって油脂液のカテキン分散量を決定した。
【0072】
試料A1〜A9の各油脂液のカテキン分散量(質量%)及びエタノール不溶物量(質量%)を表3に示す。
【0073】
(表3)
緑茶抽出物及び緑茶葉微粉末のカテキンの油脂への分散性
緑茶 緑茶葉 油脂 油脂中
試料 抽出物 微粉末 カテキン分 エタノール
(g) (g) (g) 散量(%) 不溶物(%)
A1 5.0 0 5.0 5.87 0.02
A2 4.0 1.0 5.0 4.99 0.29
A3 3.0 2.0 5.0 3.40 0.46
A4 2.0 3.0 5.0 2.35 0.62
A5 1.0 4.0 5.0 1.02 0.69
A6 0 5.0 5.0 0.21 0.61
A7 1.5 0 5.0 1.20 0.00
A8 0 5.0 5.0 0.49 1.58
A9 0 5.0 5.0 0.64 1.88
【0074】
試料A6によれば、緑茶葉の粉末を用いた場合でも、油脂を加熱し磨砕することによってカテキンが油脂中に移行し得ることを示すが、移行量は少なく、不溶物の分散量が増加する。又、試料A8〜A9で使用する油脂を変更することによって増加可能なカテキン分散量はさほど多くなく、エタノール不溶物も同時に増加する。これらから、緑茶葉の粉末単独ではカテキン分散量の高い油脂を得ることは難しいが、緑茶抽出物を用いて油脂の加熱及び磨砕を行うことによってカテキン分散量の高い油脂が得られることが試料A1〜A5,A7から明らかである。
【実施例3】
【0075】
(試料B1)
実施例2と同じ緑茶抽出物1.5gを中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名:アクターM−4、理研ビタミン株式会社製)5gに添加してブロックヒーターを用いて60℃で10分間加熱した後に、磨砕機(商品名:POLYTRON PT10-35、KINEMATICA社製)を用いて90秒間摩砕処理(処理スピード(POWER CONTROL UNIT目盛り):7)し、遠心分離器にかけて10000Gで遠心処理を行って上澄みのカテキン分散油脂液を取り出した。
【0076】
(試料B2〜B11)
ブロックヒーターによる加熱温度を70〜160℃の範囲で変更したこと以外は試料B1と同様にして、カテキン分散油脂液を調製した。
【0077】
(油脂のカテキン分散量の測定)
試料B1〜B11の各油脂液について、油脂液500mgを秤量し、実施例2と同様にして油脂液のカテキン分散量を決定した。各油脂液のカテキン分散量(質量%)を表4に示す。
【0078】
(表4)
油脂の加熱温度によるカテキン分散量の変化
試料 加熱温度 油脂のカテキン分散量
(℃) (%)
B1 60 0.19
B2 70 0.27
B3 80 0.56
B4 90 0.90
B5 100 1.64
B6 110 1.94
B7 120 2.08
B8 130 2.06
B9 140 1.96
B10 150 1.94
B11 160 1.67
【0079】
表4によれば、カテキンの油脂への分散量は、加熱温度が60℃から上昇するに従って増加して、100℃から120℃にかけて上限に至り、130℃を超えると減少する。従って、加熱温度は70〜130℃程度が適正であり、100〜130℃程度が好ましく、120〜130℃が最適温度である。
【実施例4】
【0080】
(試料C1)
含水エタノールを用いて調製した実施例2と同じ緑茶抽出物1.5gを中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名:アクターM−4、理研ビタミン株式会社製)5gに添加してブロックヒーターを用いて100℃で10分間加熱した後に、磨砕機(商品名:POLYTRON PT10-35、KINEMATICA社製)を用いて90秒間摩砕処理(処理スピード(POWER CONTROL UNIT目盛り):7)し、遠心分離器にかけて10000Gで遠心処理を行って上澄みのカテキン分散油脂液を取り出した。
【0081】
(試料C2〜C5)
中鎖脂肪酸トリグリセリドの代わりに、ひまし油(試料C2)、サラダ油(試料C3)、オリーブ油(試料C4)又は菜種油(試料C5)を用いたこと以外は試料C1と同様にして、カテキン分散油脂液を調製した。
【0082】
(油脂のカテキン分散量の測定)
試料C1〜C5の各油脂液について、油脂液500mgを秤量し、実施例2と同様にして油脂液のカテキン分散量を決定した。各油脂液のカテキン分散量(質量%)を表5に示す。尚、表中の比重の単位は、g/cmである。
【0083】
(表5)
油脂によるカテキン分散量の変化
試料 油脂 カテキン分散量
種類 比重 動粘性率 (%)
C1 MCT 0.95 13.2 2.10
C2 ひまし油 0.96 273.4 1.13
C3 サラダ油 0.93 39.7 0.13
C4 オリーブ油 0.92 46.68 0.13
C5 菜種油 0.91 50.91 0.16
【0084】
表5において、中鎖脂肪酸トリグリセリド及びひまし油におけるカテキンの分散性が高い。その理由として、他の油脂に比べてこれらの油脂の比重が高く、微細粒子が浮遊し易いために分散安定性が高まることが考えられる。表5によれば、比重が0.95g/cm以上においてカテキンの分散性がよい。
【0085】
又、中鎖脂肪酸トリグリセリドを用いたカテキン分散油脂は、遠心分離処理後にサラダ油等で希釈しても分散状態が安定して保持され、このことは、カテキンの分散状態が微細であることを示す。微細な分散となる理由として、中鎖脂肪酸トリグリセリドの動粘性率が低いことによって、磨砕処理において粉砕混合が進み易く、遠心処理に耐え得る程度に微細に分散することが容易であることが考えられる。
【実施例5】
【0086】
(試料D1)
強力粉(商品名:カメリア、日清製粉社製)280g、無塩バター10g、砂糖26g、スキムミルク8g、塩6.4g、水(5℃)200ml及びドライイースト4gの処方に従って、家庭用パン焼き器(商品名:ホームベーカリーSD-BT103、ナショナル社製)を用いて早焼き食パンモードで食パンを試作した。
【0087】
(試料D2〜D4)
無塩バター10gの代わりに、試料A7と同様の操作で調製したカテキン分散油脂(カテキン分散量:1.2質量%、油脂:理研ビタミン株式会社製アクターM−4)及び水を表6に記載する割合で無塩バターに配合したものを使用したこと以外は試料D1と同様にして食パンを試作した。尚、使用した無塩バターの組成は、油脂83質量%及び水17質量%であるので、試料D2〜D4は、無塩バターの30質量%(試料D2)、40質量%(試料D3)又は50質量%(試料D4)をカテキン分散油脂製スプレッドに置換したものに相当し、スプレッドのカテキン濃度は1.0質量%となる。
【0088】
(表6)
試料D1 試料D2 試料D3 試料D4
無塩バター 10.0g 7.00g 6.00g 5.00g
カテキン分散油脂 − 2.49g 3.32g 4.15g
水 − 0.51g 0.68g 0.85g
【0089】
(食パンの膨らみ)
食パンの高さを、最も高い位置において測定し、試料D1の食パンの高さを100とする相対値で評価したところ、試料D2:98.2、試料D3:97.7、試料D4:94.2であった。
【0090】
一般に、液状油脂を使用すると食パンの膨らみが抑制されることが知られているが、試料D2〜D4の結果は、カテキン分散油脂を用いた場合に食パンの膨らみに対する悪影響が少ないことを示している。
【0091】
(食パンの食感)
試料D1〜D3の食パンについて、4人の評価員による官能試験を行ったところ、評価員全員が、試料D1に比べて試料D3及びD4の食パンの方がしっとりした良好な食感であると評価した。
【0092】
(試料D5)
試料D2で用いたカテキン分散油脂を中鎖脂肪酸トリグリセリドで希釈してカテキン分散量0.96質量%のカテキン分散油脂を調製した。
【0093】
無塩バター10gの代わりに、上記で希釈したカテキン分散油脂5.19g及び水1.06gを無塩バター3.75gに配合したものを使用したこと以外は試料D1と同様にして食パンを試作した。尚、これは、無塩バターの62.5質量%をカテキン分散油脂製スプレッドに置換したものに相当し、スプレッドのカテキン濃度は0.8質量%となる。
【0094】
(試料D6)
試料D2で用いたカテキン分散油脂を中鎖脂肪酸トリグリセリドで希釈してカテキン分散量0.72質量%のカテキン分散油脂を調製した。
【0095】
無塩バター10gの代わりに、上記で希釈したカテキン分散油脂6.92g及び水1.42gを無塩バター1.66gに配合したものを使用したこと以外は試料D1と同様にして食パンを試作した。尚、これは、無塩バターの83.4質量%をカテキン分散油脂製スプレッドに置換したものに相当し、スプレッドのカテキン濃度は0.6質量%となる。
【0096】
(食パンの膨らみ)
食パンの高さを、最も高い位置において測定し、試料D1の食パンの高さを100とする相対値で評価したところ、試料D5:79.8、試料D6:78.4であった。
【0097】
試料D5,D6の食パンは、前述の試料D4の食パンとほぼ同量のカテキンを含んでいるが、液状油脂の含有量が多い。試料D4の結果と試料D5,D6の結果とを比較すると、試料D5,D6は、液状油脂による膨らみ阻害が十分にカテキンによって防止されておらず、外観が明らかに劣る。従って、食パンの製造に使用するカテキン分散油脂は、カテキン分散量が1質量%以上であることが望ましい。
【実施例6】
【0098】
中鎖脂肪酸トリグリセリドを希釈剤として用いて、試料A7のカテキン分散油脂から、カテキン分散量が1%、0.5%、0.25%、0.15%又は0.05%のカテキン分散油脂を調製した。
【0099】
サラダオイル(商品名:日清オイリオ、日清オイリオ社製)に上記カテキン分散油脂を2質量%の割合で添加して、カテキン濃度が200ppm、100ppm、50ppm、30ppm又は10ppmのサラダオイルを調製した。サラダオイルを、各々、油脂安定性試験装置(商品名:ランシマットE679、スイス・メトローム社製)の測定容器に投入し、加熱温度120℃、通気速度10L/hの条件で酸化させて劣化に要する時間(h)を測定し、カテキンを含まないサラダオイルの酸化による劣化時間を基準として相対値で評価した。結果を表7に示す。
【0100】
(表7)
カテキン濃度 0 10 30 50 100 200
劣化時間 3.28 3.57 3.85 4.60 4.88 6.07
相対値 1.00 1.09 1.17 1.40 1.49 1.85
【0101】
表7によれば、カテキン濃度が増加するに従ってサラダオイルの抗酸化性が向上することが明らかであり、カテキン分散油脂を用いて、飲食品製品に抗酸化性を任意に付与することができる。従って、飲食品製品の風味や外観への影響を勘案して、必要とされる抗酸化性に応じて使用量を適宜調節することによって、抗酸化性が付与された各種飲食品製品を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑茶由来ヘキサン可溶分及びカテキンを油脂に添加して70〜130℃に加熱し、磨砕することを特徴とするカテキン分散油脂の製造方法。
【請求項2】
前記緑茶由来ヘキサン可溶分及びカテキンの添加は、ヘキサン可溶分及びカテキンを含有する緑茶抽出物の添加を含む請求項1に記載のカテキン分散油脂の製造方法。
【請求項3】
前記緑茶抽出物は、含水有機溶剤を用いて緑茶葉から抽出した抽出物である請求項2に記載のカテキン分散油脂の製造方法。
【請求項4】
前記含水有機溶剤を構成する有機溶剤は、エタノール、メタノール及びアセトンからなる群より選択される親水性有機溶剤の1種又は2種以上の混合物である請求項3に記載のカテキン分散油脂の製造方法。
【請求項5】
前記含水有機溶媒は、有機溶剤の濃度[容積/容積]が60%以上である請求項3又は4に記載のカテキン分散油脂の製造方法。
【請求項6】
1質量%以上のカテキンと、緑茶由来ヘキサン可溶分と、油脂基材とを含有するカテキン分散油脂。
【請求項7】
カテキン及び0.5質量%以上の緑茶由来ヘキサン可溶分を含有する緑茶抽出物と、油脂基材とを含有するカテキン分散油脂。
【請求項8】
前記緑茶抽出物は、総カテキン含有量が30質量%以上であり、前記ヘキサン可溶分の含有量は3〜24質量%である請求項7記載のカテキン分散油脂。
【請求項9】
前記緑茶由来ヘキサン可溶分は、カテキンに対して10質量%以上の割合で含有する請求項6〜8の何れかに記載のカテキン分散油脂。
【請求項10】
前記油脂基材は、中鎖脂肪酸トリグリセリド及びひまし油のうちの少なくとも1種の油脂を含有する請求項6〜9の何れかに記載のカテキン分散油脂。

【公開番号】特開2010−41965(P2010−41965A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208547(P2008−208547)
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【出願人】(591014972)株式会社 伊藤園 (213)
【Fターム(参考)】