説明

カテコールO−メチルトランスフェラーゼの阻害剤および精神障害の治療におけるその使用

本発明は、カテコールO−メチルトランスフェラーゼ(COMT)の阻害剤であって、COMT酵素が関与する神経学的および精神医学的障害および病気の治療および予防で有用な4−ピリジノン化合物に関する。また、本発明は、これらの化合物を含む医薬組成物、およびCOMTが関与するそのような病気の予防または治療におけるこれらの化合物および組成物の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテコールO−メチルトランスフェラーゼ(COMT)酵素の阻害剤であって、COMTが関与する神経学的および精神医学的障害および病気の治療および予防に有用な2−ピリジノン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
統合失調症の兆候は、一般に、3つのカテゴリー;陽性、陰性および認知性に分けられる。陽性兆候は幻覚、妄想および解体した行動を含み、他方、陰性兆候は、人生における楽しみおよび/または興味の欠如によって特徴付けられる。認知性欠乏は、思考の組織化および作業の優先順位付けにおいて困難を含む。双極性障害を持つ患者は、一般に、精神病的特徴を伴い、または伴わずして、重症の鬱病から重症の躁病までの範囲の巡回的気分変化を呈する。統合失調症および双極性障害は、重複する認知性欠乏を誘発する精神障害の最も重症な形態の一つであり(Tasman et al.,Psychiatry,West Sussex,John Wiley & Sons,Ltd.,Second Edition,Volume 1,2003,pp254−272;およびSadock and Sadock,Kaplan and Sadock’s Comprehensive Textbook of Psychiatry,7 ed.,Vol.1,2005,Philadilphia,Pa.;Lippincott Williams & Wilkins,pp236−272 and 1330−1395)、それらは慢性/進行性である傾向がある。陽性兆候とは対照的に、統合失調症の陰性および認知性兆候は、長期の不能、治療結果および機能的回復に対してより大きなインパクトを有すると考えられる(Addington and Addington,1993;Green,1996)。療法の不満足は、有効性の欠如または許容できないおよび受け入れられない副作用に帰される。該副作用は、重大な代謝、錐体外、プロラクチンおよび心臓の有害事象と関連付けられている。Lieberman et al.,N.Engl.J.Med.(2005)353:1209−1223参照。
【0003】
多数の経路が、陰性および認知性兆候に至る統合失調症の病因に関与していると信じられている一方で、前頭前皮質における低下したドーパミン神経伝達に多大な注意が集中されてきた(Weinberger,1987;Weinberger et al.,1988;Akil et al.,1999)。前頭前皮質における低下したドーパミン神経伝達に対する証拠は、統合失調症患者における低下した領域的大脳血流または背側外側の前頭前皮質の活動性低下によって裏付けられている(Weinberger et al.,1988;Daniel et al.,1991;Okubo et al.,1997;Abi−Dargham et al.,2002)。治療または精神病状態から独立して、前頭前欠乏に関連した統合失調症は、前頭前の順調な動作(Weinberger et al.,1986,1988;Carter et al.,1998;Callicott et al.,2000;Barch et al.,2001)を評価する実行機能における貧弱な作業性能に関連付けられている(例えば、n−バックまたはウィスコンシン・カード・ソーティング(Wisconsin Card Sorting)テスト)。実行機能における欠乏に加えて、前頭前皮質における低下したドーパミン神経伝達は;注意、快楽活動、自然報酬、および細胞シグナリングのような生物学的活動を含めたいくつかの脳の活動に関与する。従って、前頭前皮質内でのドーパミン神経伝達を選択的に増強させる化合物は、認知性および陰性兆候の治療に対して治療的潜在能力を有する。
【0004】
脳におけるドーパミンレベルは、生合成および放出、ならびに拡散、再摂取および分解のその速度によって決定される。カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)は、皮質でのドーパミンの分解に関与する重要な酵素である。COMTはドーパミンを3−メトキシチラミンに、およびドーパミン代謝産物であるジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)をホモバニリン酸(HVA)に変換する(Boulton and Eisenhofer,1998)。事実、COMTは種々の生物起源カテコールアミンならびにカテコールエストロゲン、食物由来の植物化学物質およびアスコルビン酸に作用する。皮質下構造(例えば、線条体)においては、ドーパミン作動性シグナリングは、主として、ドーパミントランスポーター(DAT)および/またはノルエピネフリントランスポーター(NET)による迅速な摂取を介するシナプス間隙からのドーパミンの除去によって調節される。前頭前皮質におけるドーパミン伝達の調節は顕著に異なる。DATは、ドーパミンがNETを通っての摂取、拡散、またはCOMTおよびモノアミンオキシダーゼによる代謝によって排出される、前頭前皮質内のシナプスにおいてあまり密には発現されない(Mazei et al.,2002;Moron et al.,2002;Lewis et al.,2001;Sesack et al.,1998;Smiley et al.,1994)。COMT阻害剤は、従って、皮質のドーパミン作動性シグナリングを選択的に増加させ、それにより、認知性機能を改良すると予測される。
【0005】
COMT遺伝子は、統合失調症、双極性障害、ADHDおよび物質依存症に関連付けられてきた染色体22q11.21領域に位置する(Williams,et al.,2003およびTakahashi et al.,2003)。COMTの2つの主なイソ形態があり、膜結合COMT(MB−COMT)はヒト脳におけるシナプス前頭葉ドーパミンの分解に関与する支配的形態である(Lachman et al.,Pharmacogenetics (1996).6(3):243−250)。他の形態は、MB−COMTと異なるプロモーターから転写される可溶性COMT(S−COMT)であり、その他は、ヒトMB−COMTから当該蛋白質のN末端の50アミノ酸を除いたものと同一である。ヒトにおいては、COMTの活性は、Val158Metにおける単一のヌクレオチド多形によって変調される(MB−COMT)。酵素の熱安定性の差のため、ホモ接合性Metキャリヤーはより低いCOMT活性を有し、ヘテロ接合体は即時型活性を呈し、およびホモ接合性Valキャリヤーはより大きな酵素活性を有する(Chen et al.,2004)。遺伝子型に基づく活性で観察された差にかかわらず、Val158Met遺伝子型および認知性性能の間の中程度の関係のみが正常な個体においてメタ分析によって示されており、他方、統合失調症では効果が観察されなかった。ドーパミン受容体活性化および前頭前皮質の機能発揮の間に存在すると考えられる逆U字型関係に基づき、これらの知見は、(Tunbridge et al.,Biol Psych,2006においてレビューされている)多数の環境および遺伝的因子と共に、病気状態は、前頭前有効性およびドーパミンレベルに寄与するという事実と調和する。
【0006】
クロザピン、ジプレキサ(Zyprexa)、リスパダール(Risperdal)および他の抗精神病薬物は統合失調症の陽性および、議論の余地はあるにしても、陰性兆候、および双極性障害の治療で有用であったが、それらは、その全てはそれらの適用を制限する、無顆粒球症、鎮静、体重増加、高脂血症および高血糖症のような副作用がなくならなかった(Tasman et al.,2003;Sadock and Sadock 2005)。かくして、陰性兆候および認知性欠乏を有効に治療し、主な副作用を有さず、かつ統合失調症、双極性障害、鬱病、物質依存症、およびADD/ADHD等の治療で効果的である医薬に対する要望が依然として存在する。そのような医薬は、そのような兆候がもう1つの精神病症候群の一部として起こる場合、またはそれらの兆候が神経学的障害に付随する場合に、該兆候を低下させるのにも用いられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Tasman et al.,Psychiatry,West Sussex,John Wiley & Sons,Ltd.,Second Edition,Volume 1,2003,pp254−272
【非特許文献2】Sadock and Sadock,Kaplan and Sadock’s Comprehensive Textbook of Psychiatry,7 ed.,Vol.1,2005,Philadilphia,Pa.;Lippincott Williams & Wilkins,pp236−272 and 1330−1395)
【非特許文献3】Lieberman et al.,N.Engl.J.Med.(2005)353:1209−1223
【非特許文献4】Lachman et al.,Pharmacogenetics (1996).6(3):243−250
【非特許文献5】Tunbridge et al.,Biol Psych,2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、カテコールO−メチルトランスフェラーゼ(COMT)酵素の阻害剤であって、COMTが関与する神経学的および精神医学的障害および病気の治療および予防に有用な2−ピリジノン化合物に関する。
【0009】
また、本発明は、これらの化合物を含む医薬組成物、およびCOMT酵素が関与するそのような病気の予防または治療におけるこれらの化合物および組成物の使用にも関する。
【0010】
本発明は、さらに、薬理学的に有効な用量の、2−ピリジノンCOMT阻害剤またはその医薬上許容される塩を含む組成物を患者に投与することを含む、精神医学的障害に関連する兆候を治療する方法に関する。
【0011】
なおまた、本発明は、統合失調症に関連する陰性兆候および認知性欠乏の改良に、統合失調症の陽性兆候の治療、大鬱病、双極性障害の鬱病相、ADD/ADHDのようなDA欠乏関連病、および物質依存症(アルコール、オピエート、コカイン、マリファナ、アンフェタミン、タバコの乱用に関連する戦闘切望および/または該乱用に対する中毒)の治療における抗精神病薬の効果の増大に関する。また、本発明は、タバコ中毒、および禁煙または抗精神病薬の使用に関連する体重増加/食物切望の治療のための方法にも関する。
【0012】
また、本発明は、頭部負傷および認知症における認知を増強させる方法にも関連する。
【0013】
本発明のこれらおよび他の局面は、明細書の全体としてのより綿密な精査に際して理解される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、その互変異性体または医薬上許容される塩および個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーを含めた、式I:
【0015】
【化1】

[式中、
Yは水素、CN、C2−6アルキニル、(CH5−10ヘテロシクリル、(CH6−10アリールを表し、該アルキニル、ヘテロシクリルおよびアリールはRのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよく;
X、X、およびRは、独立して、水素、ハロ、CN、C1−6アルキル、C2−6アルキニル、(CH6−10アリール、(CH5−10ヘテロシクリルを表し、該アルキル、ヘテロシクリル、およびアリールは、Rのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよく;
はH、OH、C1−6アルキル、N(CH、(CH3−10シクロアルキル、(CH5−10ヘテロシクリル、(CH6−10アリールを表し、該アリールおよびヘテロシクリルは、Rのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよく;
はC1−6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C2−4アルキニル、(CHCF、OCHF、OCF、C3−6シクロアルキル、NRC(O)R、C(O)N(R、C(ROR、C(O)R、NO、CN、N(R、(CHC(O)OR、SO、NHSO、OR、(CH5−10ヘテロシクリル、C(O)(CH5−10ヘテロシクリル、(CH6−10アリール、またはC(O)(CH6−10アリールを表し、該アルキル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびアリールはRのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよく;
はC1−6アルキル、ハロゲン、CHF、OCHF、−O−、N(R、CHOH、(CH6−10アリール、(CH5−10ヘテロシクリル、OR、C3−6シクロアルキル、(CHCF、またはCNを表し;および
nは0ないし5を表す]
の新規なCOMT阻害剤に関する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施態様は、Yが(CH6−10アリールであって、全ての他の変数が元来記載された通りである場合に実現される。本発明のサブ実施態様は、Yがフェニルである場合に実現される。本発明のもう1つのサブ実施態様は、Yがナフチルである場合に実現される。
【0017】
本発明の実施態様は、Yが(CH5−10ヘテロシクリルであって、全ての他の変数が元来記載された通りである場合に実現される。本発明のサブ実施態様は、Yがキノリニルである場合に実現される。本発明のサブ実施態様は、Yがイソキノリニルである場合に実現される。本発明のもう1つのサブ実施態様は、Yがチアゾリルである場合に実現される。本発明のもう1つのサブ実施態様は、Yがトリアゾリルである場合に実現される。本発明のもう1つのサブ実施態様は、Yがピロリルである場合に実現される。本発明のもう1つのサブ実施態様は、Yがピロリジニルである場合に実現される。本発明のもう1つのサブ実施態様は、Yがピラゾリルである場合に実現される。本発明のもう1つのサブ実施態様は、Yがイミダゾリルである場合に実現される。本発明のもう1つのサブ実施態様は、Yがピリミジニルである場合に実現される。
【0018】
本発明の実施態様は、YがC2−6アルキニルであって、全ての他の変数が元来記載された通りである場合に実現される。
【0019】
本発明のなおもう1つの実施態様は、Rが水素であって、全ての他の変数が元来記載された通りである場合に実現される。
【0020】
本発明のなおもう1つの実施態様は、Rが置換されていてもよいC1−6アルキルであって、全ての他の変数が元来記載された通りである場合に実現される。
【0021】
本発明のもう1つの実施態様は、XおよびXの双方が水素であって、全ての他の変数が元来記載された通りである場合に実現される。
【0022】
本発明のもう1つの実施態様は、XおよびXの双方が水素であり、Rが水素または置換されていてよいC1−6アルキルであって、Yが置換されたフェニルである場合に実現される。
【0023】
本発明のさらにもう1つの実施態様は、Y上のR置換基がC1−6アルキル、CF、OCF、ハロ、CN、NHSO、NHC(O)R、C(O)N(R)2、(CH6−10アリール、C(O)(CH6−10アリール、C5−10ヘテロシクリル、C(O)C5−10ヘテロシクリル、OC1−6アルキル、およびOC6−10アリールよりなる群から選択され、該アルキル、アリールおよびヘテロシクリルがRのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよい場合に実現される。
【0024】
本発明のもう1つの実施態様は、YのR上のR置換基がハロ、C1−6アルキル、OCHF、およびCFよりなる群から選択される場合に実現される。
【0025】
本発明のなおもう1つの実施態様は、その互変異性体または医薬上許容される塩および個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーを含めた、構造式Ia:
【0026】
【化2】

[式中、RおよびRは先に記載された通りである]
によって実現される。本発明のサブ実施態様は、Rが水素またはC1−6アルキルであって、RがC1−6アルキル、CF、OCF、ハロ、CN、NHSO、NHC(O)R、C(O)N(R)2、(CH6−10アリール、C(O)(CH6−10アリール、C5−10ヘテロシクリル、C(O)C5−10ヘテロシクリル、OC1−6アルキル、およびOC6−10アリールよりなる群から選択され、該アルキル、アリールおよびヘテロシクリルがRのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよく、およびRが先に記載された通りである場合に実現される。本発明のもう1つのサブ実施態様は、Rがハロ、C1−6アルキル、OCHF、およびCFよりなる群から選択される場合に実現される 構造式Iaの本発明のもう1つのサブ実施態様は、RがC(O)モルホリニル、CF、OCF、ハロ、C1−6アルキル、CN、NHC(O)C1−6アルキル、オキサジアゾリル、C(O)NHシクロヘキシル、Cアルキニル、C(O)フェニル、C(O)ベンゾオキサゼピニルである時に、該アルキル、モルホリニル、オキサジアゾリル、シクロヘキシル、アルキニル、フェニル、およびベンゾオキサゼピニルがRのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよい場合に実現される。
【0027】
本発明のなおもう1つの実施態様は、その互変異性体または医薬上許容される塩および個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーを含めた、構造式Ib:
【0028】
【化3】

[式中、RおよびRは先に記載された通りである]
によって実現される。本発明のサブ実施態様は、Rが水素またはC1−6アルキルであって、RがC1−6アルキル、CF、OCF、ハロ、CN、NHSO、NHC(O)R、C(O)N(R)2、(CH6−10アリール、C(O)(CH6−10アリール、C5−10ヘテロシクリル、C(O)C5−10ヘテロシクリル、OC1−6アルキル、およびOC6−10アリールよりなる群から選択され、該アルキル、アリールおよびヘテロシクリルがRのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよく、およびRは先に記載された通りである場合に実現される。本発明のもう1つのサブ実施態様は、Rがハロ、C1−6アルキル、OCHF、およびCFよりなる群から選択される場合に実現される。構造式Iaの本発明のもう1つのサブ実施態様は、RがC(O)モルホリニル、CF、OCF、ハロ、C1−6アルキル、CN、NHC(O)C1−6アルキル、オキサジアゾリル、C(O)NHシクロヘキシル、Cアルキニル、C(O)フェニル、C(O)ベンゾオキサゼピニルであり、該アルキル、モルホリニル、オキサジアゾリル、シクロヘキシル、アルキニル、フェニルおよびベンゾオキサゼピニルがRのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよい場合に実現される。
【0029】
本発明のもう1つの実施態様は、その互変異性体または医薬上許容される塩および個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーを含めた、構造式Ic:
【0030】
【化4】

[式中、RおよびRは先に記載された通りである]
によって実現される。本発明のサブ実施態様は、Rが水素またはC1−6アルキルであって、RがC1−6アルキル、CF、OCF、ハロ、CN、NHSO、NHC(O)R、C(O)N(R)2、(CH6−10アリール、C(O)(CH6−10アリール、C5−10ヘテロシクリル、C(O)C5−10ヘテロシクリル、OC1−6アルキル、およびOC6−10アリールよりなる群から選択され、該アルキル、アリールおよびヘテロシクリルがRのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよく、およびRが先に記載された通りである場合に実現される。本発明のもう1つのサブ実施態様は、Rがハロ、C1−6アルキル、OCHF、およびCFよりなる群から選択される場合に実現される。構造式Iaの本発明のもう1つのサブ実施態様は、RがC(O)モルホリニル、CF、OCF、ハロ、C1−6アルキル、CN、NHC(O)C1−6アルキル、オキサジアゾリル、C(O)NHシクロヘキシル、Cアルキニル、C(O)フェニル、C(O)ベンゾオキサゼピニルである時、該アルキル、モルホリニル、オキサジアゾリル、シクロヘキシル、アルキニル、フェニル、およびベンゾオキサゼピニルがRのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよい場合に実現される。
【0031】
本発明の化合物の例は表1に見出され、その互変異性体または医薬上許容される塩および個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーを含む。
【0032】
【表1】



いずれかの変数(例えば、アリール、複素環、R、R等)がいずれかの構成において1回を超えて起こるならば、各出現でのその定義はあらゆる他の出現において独立している。また、置換基/または変数の組合せは、そのような組合せが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0033】
加えて、本明細書中に開示された化合物は、互変異性体として存在することもでき、双方の互変異性体形態は、唯1つの互変異性構造を描くが、本発明の範囲によって含まれることが意図される。例えば、以下の化合物Aに対するいずれの請求項も互変異性構造Bを含み、またその逆も成立し、ならびにその混合物も含むと理解される。
【0034】
【化5】

Rが−O−であって、炭素に結合している場合、それはカルボニル基といわれ、それが窒素(例えば、ピリジル基上の窒素原子)または硫黄原子に結合している場合、それは、各々、N−オキサイドおよびスルホキシド基といわれる。
【0035】
本明細書中で用いるように、「アルキル」(alkyl)は、例えば、アルコキシ(alkoxy)、アルカノイル(alkanoyl)、アルケニル(alkenyl)、およびアルキニル(alkynyl)のような接頭辞「アルク」(alk)を有する基を含み、かつ直線状または分岐状、またはその組合せであってもよい炭素鎖を意味する。アルキル基の例はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−およびtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびヘプチルを含む。「アルケニル」は、2ないし10個の炭素原子、および少なくとも1つの炭素間二重結合を含有する直鎖、分岐鎖または環状の炭化水素基をいう。好ましいアルケニル基はエテニル、プロペニル、ブテニルおよびシクロヘキセニルを含む。好ましくは、アルケニルはC−Cアルケニルである。好ましいアルキニルはC−Cアルキニルである。
【0036】
「アルケニル」、「アルキニル」および他の同様な用語は、少なくとも1つの不飽和C−C結合を含有する炭素鎖を含む。
【0037】
本明細書中で用いるように、「フルオロアルキル」とは、少なくとも1つのフッ素置換基を含有する本明細書中に記載されたアルキル基をいう。
【0038】
用語「シクロアルキル」とは、特定の数の炭素原子を有する1つの環を含有する飽和炭化水素をいう。シクロアルキルの例はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルを含む。
【0039】
用語「C1−6」は、6、5、4、3、2または1個の炭素原子を含有するアルキルを含む。
【0040】
本明細書中で用いられる用語「アルコキシ」は、単独で、または組み合わせて、オキシ結合原子に結合したアルキル基を含む。用語「アルコキシ」は、アルキルエーテル基も含み、ここに、用語「アルキル」は先に定義されており、および「エーテル」は、それらの間に酸素原子を持つ2つのアルキル基を意味する。適当なアルコキシ基の例はメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、(「ジメチルエーテル」ともいわれる)メトキシメタン、および(「エチルメチルエーテル」ともいわれる)メトキシエタンを含む。
【0041】
本明細書中で用いるように、「アリール」は、各環中において7員までのいずれの安定な単環または二環の炭素環も意味することを意図し、そこでは、少なくとも1つの環は芳香族である。そのようなアリールエレメントの例はフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニルまたはビフェニルを含む。
【0042】
本明細書中で用いる用語複素環、ヘテロシクリル、または複素環状は、飽和または不飽和いずれかであって、炭素原子、およびN、OおよびSよりなる群から選択される1ないし4個のヘテロ原子よりなる安定な5ないし7員の単環または安定な8ないし11員の二環の複素環を表し、前記定義の複素環のいずれかがベンゼン環に縮合したいずれの二環基も含む。複素環はいずれのヘテロ原子または炭素原子において結合していてもよく、これは、安定な構造の形成をもたらす。用語複素環または複素環状は、ヘテロアリール部位を含む。そのような複素環のエレメントの例は、限定されるものではないが、アゼピニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、1,3−ジオキソラニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペルジニル、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニル、チエニルおよびトリアゾリルを含む。
【0043】
ある他の実施態様において、複素環基はアリールまたはヘテロアリール基に縮合している。そのような縮合した複素環の例は、限定されるものではないが、テトラヒドロキノリニルおよびジヒドロベンゾフラニルを含む。
【0044】
本明細書中で用いるように、用語「ヘテロアリール」は、注記されている場合を除き、そのいずれの環も、ピペリジニルのように飽和されていてもよく、ピリジニルのように部分的に飽和、または不飽和であってもよい、芳香族環を含有し、かつ炭素原子、およびN、OおよびSよりなる群から選択される1ないし4個のヘテロ原子よりなり、ここに、窒素原子および硫黄ヘテロ原子は酸化されていてもよく、かつ窒素ヘテロ原子は第四級化されていてもよい、安定した5ないし7員の単環または安定した9ないし10員の縮合二環の複素環系を表し、かつ前記定義の複素環のいずれかがベンゼン環に縮合したいずれの二環基も含む。複素環はいずれのヘテロ原子または炭素原子において結合していてもよく、この結果、安定な構造の形成がもたらされる。そのようなヘテロアリール基の例は、限定されるものではないが、ベンゾイミダゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾフラン、ベンゾチアゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、カルボリン、シンノリン、フラン、フラザン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリジン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、キナゾリン、キノリン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアジン、トリアゾール、およびそのN−オキシドを含む。
【0045】
ヘテロシクロアルキルの例は、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリニル、ピロリジンン−2−オン、ピペリジン−2−オン、およびチオモルホリニルを含む。
【0046】
用語「ヘテロ原子」は、独立して選択されたO、SまたはNを意味する。
【0047】
置換されている部位は、1以上の水素が独立してもう1つの化学的置換基で置き換えられている部位である。非限定的例として、置換されたフェニルは2−フルオロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3−クロロ−4−フルオロ−フェニル、2,4フルオル−3−プロピルフェニルを含む。もう1つの非限定的例として、置換されたn−オクチルは2,4−ジメチル−5−エチル−オクチルおよび3−シクロペンチルオクチルを含む。この定義内に含まれるのは、カルボニル(−CO−)を形成するための酸素で置換されたメチレン(−CH−)である。
【0048】
そうでないことが述べられているのでなければ、本明細書中で使用されるように、部位(例えば、シクロアルキル、ヒドロカルビル、アリール、アルキル、ヘテロアリール、複素環、尿素等)が「置換されていてもよい」と記載されている場合、該基は1ないし4個、好ましくは、1ないし3個、より好ましくは、1または2個の非水素置換基を有してもよいことを意味する。適当な置換基は、限定されるものではないが、ハロ、ヒドロキシ、オキソ(例えば、オキソで置換された環状−CH−は−C(O)−である)、ニトロ、ハロヒドロカルビル、ヒドロカルビル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アミノアルキル、アシル、カルボキシ、ヒドロキシアルキル、アルカンスルホニル、アレーンスルホニル、アルカンスルホンアミド、アレーンスルホンアミド、アラルキルスルホンアミド、アルキルカルボニル、アシルオキシ、シアノ、およびウレイド基を含む。それ自体がさらに置換されない好ましい置換基は(そうでないことが明示的に述べられているのでなければ)以下のものである:
(a)ハロ、シアノ、オキソ、カルボニル、ホルミル、ニトロ、アミノ、アミジノ、グアニジノ、および
(b)C−Cアルキルまたはアルケニルまたはアリールアルキルイミノ、カルバモイル、アジド、カルボキサミド、メルカプト、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、C−Cアルキル、SOCF、CF、SOMe、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C−Cアシル、C−Cアシルアミノ、C−Cアルキルチオ、アリールアルキルチオ、アリールチオ、C−Cアルキニルスルフィニル、アリールアルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、アリールアルキルスルホニル、アリールスルホニル、C−CN−アルキルカルバモイル、C−C15N,N−ジアルキルカルバモイル、C−Cシクロアルキル、アロイル、アリールオキシ、アリールアルキルエーテル、アリール、シクロアルキルまたは複素環またはもう1つのアリール環に縮合したアリール、C−C複素環、またはシクロアルキル、ヘテロシクリルまたはアリールに縮合したまたはスピロ縮合したこれらの環のいずれかであり、ここにおいて、上記の各々は、さらに、前記した(a)にリストされた1以上の部位で置換されていてもよい。
【0049】
「ハロゲン」および「ハロ」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素をいう。
【0050】
用語「哺乳動物」、「哺乳動物の」「哺乳動物類」は、ヒト、ならびにイヌ、ネコ、ウマ、ブタおよびウシのような動物を含む。
【0051】
本明細書中で引用された全ての特許、特許出願および公開は、前記または後記にかかわらず、引用してその全体をここに一体化させ、広く技術水準の代表であるとみなされる。
【0052】
本明細書および添付の請求の範囲で用いるように、単数形「1つの」、「ある1つの」および「該」は、文脈が明瞭にそうでないことを指示するのでなければ、複数の言及を含む。かくして、例えば、「ある1つのプライマー」への言及は2以上のそのようなプライマーを含み、「ある1つのアミノ酸」への言及は1を超えるそのようなアミノ酸を含む等である。
【0053】
フレーズ「有効量」または「治療上有効量」は、COMT酵素複合体の効果を阻害し、または増強させるのに十分なCOMT酵素複合体モジュレーターの濃度を意味する。
【0054】
病気状態を「治療する」または病気状態の「治療」は:1)該病気状態を妨げること、すなわち、該病気状態に暴露される可能性がある、または該病気状態の素因がある可能性があるが、該病気状態の兆候を未だ経験または示していない対象において該病気状態の臨床的兆候が発生しないようにすること;2)該病気状態を阻害すること、すなわち、該病気状態またはその臨床的兆候の発生を阻止すること;3)または該病気状態を軽減すること、すなわち、該病気状態またはその臨床的兆候の一時的または永久的退行を引き起こすことを含む。
【0055】
本明細書に記載された化合物は1以上の二重結合を含有してもよく、かくして、シス/トランス異性体ならびに他の立体配座異性体を生起させてもよい。本発明は、そうでないことが具体的に述べられているのでなければ、全てのそのような可能な異性体、ならびにそのような異性体の混合物を含む。
【0056】
本発明の化合物は、1以上の不斉中心を含有してもよく、かくして、ラセミ体、ラセミ混合物、単一のエナンチオマーおよびジアステレオマー混合物、および個々のジアステレオマーとして起こり得る。
【0057】
上位概念的式Iの化合物において、原子はそれらの天然の同位体の存在度を呈してもよく、または原子のうちの1以上は、同一の原子番号を有するが、天然で圧倒的に見出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する特定の同位体が人工的に豊富化されていてもよい。本発明は、上位概念的式Iの化合物の全ての適当な同位体変形を含めることを意図する。例えば、水素(H)の異なる同位体形態はプロチウム(H)およびジューテリウム(H)を含む。プロチウムは天然で見出される支配的な水素同位体である。ジューテリウムに対する豊富化は、イン・ビボ半減期の増加または用量要件の低下のようなある種の治療的利点を供することができるか、または生物学的試料の特徴付けについての標準として有用な化合物を提供することができる。上位概念的式I内にある同位体的に豊富化された化合物は、適切な同位体的に豊富化された試薬および/または中間体を用い、当業者によく知られた慣用的な技術によって、または本明細書中においてスキームおよび実施例に記載されたものと同様なプロセスによって、過度な実験なくして調製することができる。
【0058】
本明細書中で用いるように、構造式Iの化合物への言及は、医薬上許容される塩、およびそれらが遊離化合物への前駆体として用いられ、または他の合成操作において用いられる場合に医薬上許容されない塩も含める意図である。
【0059】
本発明の化合物は、医薬上許容される塩の形態で投与することができる。用語「医薬上許容される塩」とは、医薬上許容される非毒性塩基または酸から調製された塩をいう。本発明の化合物が酸性である場合、その対応する塩は、便宜的には、無機塩基および有機塩基を含めた、医薬上許容される非毒性塩基から調製することができる。そのような無機塩基に由来する塩はアルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(第二銅および第一銅)、第二鉄および第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(第二マンガンおよび第一マンガン)、カリウム、ナトリウム、亜鉛等の塩を含む。医薬上許容される有機非毒性塩基に由来する塩は、第一級、第二級および第三級アミン、ならびに環状アミン、および天然に生じるおよび合成された置換アミンのような置換アミンの塩を含む。それから塩を形成することができる、他の医薬上許容される有機非毒性塩基は、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、およびトロメタミンのようなイオン交換樹脂を含む。
【0060】
本発明の化合物が塩基性である場合、その対応する塩は、便宜的には、無機および有機酸を含めた、医薬上許容される非毒性酸から調製することができる。そのような酸は、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等を含む。
【0061】
具体的な実施態様において、本発明の化合物は、有効量の本発明の化合物をそれを必要とする患者に投与することを含む、統合失調症または精神病を治療する方法を提供する。The Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM−IV−TR)(2000,American Psychiatric Association,Washington DC)は、妄想型、解体型、緊張型または鑑別不能型統合失調症および物質誘導精神障害を含む診断ツールを提供する。本明細書中で用いるように、用語「統合失調症または精神病」は、DSM−IV−TRに記載されたこれらの精神障害の診断および分類を含み、該用語は他の出典に記載された同様な障害を含める意図である。本明細書中で含まれる障害および疾患は、限定されるものではないが、統合失調症(妄想型、解体型、緊張型、鑑別不能型、または残遺型)、統合失調症様障害、例えば、妄想型または鬱病型の統合失調感情性障害、妄想障害、精神障害、軽い精神障害、共有精神病性障害、一般的医療条件および物質−誘導または薬物誘導による精神障害(例えば、アルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入薬、オピオイド、フェンシクリジン、ケタミンおよび他の解離性麻酔薬、および他の精神刺激薬によって誘導された精神病)、精神性精神障害、情動障害に伴う精神病、軽い反応性精神病、統合失調感情性精神病、精神分裂病傾向のまたは統合失調症型人格障害のような「統合失調症−スペクトル」障害、妄想型の人格障害、統合失調型の人格障害、統合失調症の陽性および陰性兆候の双方、および他の精神病を含む(大鬱病、躁鬱病(双極性)障害、アルツハイマー病および外傷後ストレス症候群のような)精神分裂病を伴う病気を含む統合失調症または精神病のような疾患または病気を含む。
【0062】
もう1つの具体的な実施態様において、本発明の化合物は、有効量の本発明の化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む、認知障害を治療する方法を提供する。DSM−IV−TRは、認知症、譫妄、健忘障害および年齢関連認知低下を含めた認知障害を含む診断ツールを提供する。本明細書中で用いるように、用語「認知障害」は、DSM−IV−TRに記載されたこれらの障害の診断および分類を含み、該用語は他の出典に記載された同様な障害を含めることを意図する。本明細書中で含まれる障害および疾患は、限定されるものではないが、(アルツハイマー病、虚血症、多発脳梗塞性認知症、外傷、頭蓋内腫瘍、脳外傷、血管の問題または卒中、アルコール性認知症または他の薬物関連認知症、AIDS、HIV病、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツェルフェルトヤコブ病、周生期低酸素症、他の一般的な医学的疾患または物質乱用に関連する)認知症、アルツハイマー病、多発梗塞性認知症、AIDS関連認知症、および前頭側頭型認知症、譫妄、健忘障害または年齢関連認知低下のような、注意および/または認知の欠乏を兆候として含む障害を含む。
【0063】
もう1つの具体的な実施態様において、本発明の化合物は、有効量の本発明の化合物を、それを必要する患者に投与することを含む、不安障害を治療する方法を提供する。DSM−IV−TRは、全般性不安障害、強迫性障害および恐慌発作としての不安障害を含む診断ツールも提供する。本明細書中で用いるように、用語「不安障害」は、DSM−IV−TRに記載されたこれらの精神障害の診断および分類を含み、該用語は他の出典に記載された同様な障害を含めることを意図する。本明細書中で含まれる障害および疾患は、限定されるものではないが、急性ストレス障害、広場恐怖症、全般性不安障害、強迫性障害、恐慌発作、恐慌障害、外傷後ストレス障害、分離不安障害、社会恐怖症、特定恐怖症、物質誘導不安障害、および一般的な医療条件による不安のような不安障害を含む。
【0064】
もう1つの具体的な実施態様において、本発明の化合物は、有効量の本発明の化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む、物質関連障害および常習行為を治療する方法を提供する。DSM−IV−TRは、持続性認知症、持続性健忘障害、精神障害、または物質乱用、および乱用の物質への依存および/または乱用の物質からの離脱の許容によって誘導される不安障害を含む診断ツールも提供する。本明細書中で用いるように、用語「物質関連障害および常習行為」は、DSM−IV−TRに記載されたこれらの精神障害の診断および分類を含み、該用語は他の出典に記載された同様な障害を含めることを意図する。本明細書中で含まれる障害および疾患は、限定されるものではないが、物質誘導譫妄、持続性認知症、持続性健忘障害、精神障害または不安障害、薬物依存症、許容、およびアルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入薬、ニコチン、オピオイド、フェンシクリジン、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬を含めた物質への依存または該物質からの離脱のような、物質関連障害および常習行為を含む。
【0065】
もう1つの具体的な実施態様において、本発明の化合物は、有効量の本発明の化合物をそれを必要とする患者に投与することを含む、過剰な食物摂取に関連する肥満または摂食障害、およびそれに関連する合併症を治療する方法を提供する。現在、肥満は、一般的な医学的疾患として、疾病および関連保健問題の国際分類(International Classification of Diseases and Related Health Problems)の第10版(ICD−10)(1992世界保健機構)に含まれている。DSM−IV−TRは、医学的疾患に影響する心理学的因子の存在下での肥満を含む診断ツールも提供する。本明細書中で用いるように、用語「過剰な食物摂取に関連する肥満または摂食障害」は、ICD−10およびDSM−IV−TRに記載されたこれらの医学的疾患および障害の診断および分類を含み、該用語は他の出典に記載された同様な障害を含めることを意図する。本明細書中にて含まれる障害および疾患は、限定されるものではないが、肥満、神経性過食症および強迫的摂食障害を含む。
【0066】
もう1つの具体的な実施態様において、本発明の化合物は、有効量の本発明の化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む、気分および鬱病性障害を治療する方法を提供する。本明細書中で用いるように、用語「気分および鬱病性障害」は、DSM−IV−TRに記載されたこれらの医学的疾患および障害の診断および分類を含み、該用語は他の出典に記載された同様な障害を含めることを意図する。本明細書中にて含まれる障害および疾患は、限定されるものではないが、双極性障害、鬱病性障害、軽度、中程度または重度タイプの大鬱病性エピソード、躁病または混合気分エピソード、軽躁気分エピソード、非典型的特徴を備えた鬱病性エピソード、メランコリー特徴を備えた鬱病性エピソード、緊張性特徴を備えた鬱病性エピソード、分娩後開始を備えた気分エピソード、卒中後鬱病を含めた気分障害;大鬱病性障害、気分変調性障害、小鬱病性障害、月経前気分変調性障害、統合失調症の精神病後鬱病性障害、妄想障害または統合失調症のような精神障害と重なる大鬱病性障害、双極性障害、例えば、双極性I障害、双極性II障害、気分循環性障害、単極性鬱病を含めた鬱病、季節性鬱病および分娩後鬱病、月経前症候群(PMS)および月経前不快気分障害(PDD)、一般的医学的疾患による気分障害、および物質誘導気分障害を含む。もう1つの具体的実施態様において、本発明の化合物は、有効量の本発明の化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む、疼痛を治療する方法を提供する。特別な疼痛実施態様は骨および関節疼痛(変形性関節炎)、反復運動疼痛、歯痛、癌疼痛、筋膜疼痛(筋肉負傷、線維筋痛症)、周術期疼痛(一般外科、婦人科)、慢性疼痛および神経障害疼痛である。他の具体的実施態様において、本発明の化合物は、限定されるものではないが、読字障害、数学障害、または文章表現の障害のような学習障害、注意欠陥/多動性障害、年齢関連認知低下、自閉症障害を含めた広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)および行為障害のような注意障害;自閉症、鬱病、良性健忘、子供学習障害および閉鎖性頭部外傷のようなNMDA受容体関連障害;脳外傷、卒中、脳梗塞、癲癇発作、ニューロトキシン毒作用、または低血糖症誘導神経変性を伴う神経変性のような、神経変性障害または疾患;多系統萎縮;(パーキンソン病、薬物誘導パーキンソン症候群、脳炎後パーキンソン症候群、進行性核上性麻痺、多系統萎縮、皮質基底核変性、パーキンソン症候群−ALS認知症合併症および大脳基底核石灰化を含めた)アキネジアおよび無動性硬直症候群、(神経遮断薬誘導パーキンソン症候群、神経遮断薬悪性症候群、神経遮断薬誘導急性ジストニア、神経遮断薬誘導急性アカシジア、神経遮断薬誘導遅発性ジスキネジアおよび投薬誘導姿勢振戦のような)投薬誘導パーキンソン症候群、ハンチントン病、ドーパミンアゴニスト療法に関連するジスキネジア、ジル・ド・ラ・ツレット症候群、癲癇、筋肉痙攣、および筋肉痙縮または虚弱に関連する振戦を含めた障害のような運動障害;(安静時振戦、姿勢振戦、意図振戦、本態性振戦のような)振戦、脚不穏症候群、(シドナム舞踏病、ハンチントン病、良性遺伝性舞踏病、神経有棘赤血球症、兆候性舞踏病、薬物誘導舞踏病および片側バリスムのような)舞踏病、(全般性ミオクローヌスおよび焦点性ミオクローヌスを含めた)ミオクローヌス、(単純チック、複合チックおよび兆候性チックを含めた)チック、((眼瞼痙攣、顎口腔、顎口腔斜頸、軸性ジストニア、半身不随性およびジストニア性書痙のような)全般性、特発性、薬物誘導、兆候性、発作性、および焦点性を含めた)ジストニアのようなジスキネジア;尿失禁;(目損傷、網膜障害または目の黄斑変性、耳鳴り、聴覚の障害および喪失、および脳浮腫を含めた)ニューロン損傷;嘔吐;および不眠症およびナルコレプシーを含めた睡眠障害を含む他のタイプの認知性、学習および精神関連障害を治療する方法を提供する。
【0067】
前記障害のうち、統合失調症、双極性障害、単極性鬱病、季節性鬱病および分娩後鬱病を含めた鬱病、月経前症候群(PMS)および月経前不快気分障害(PDD)、学習障害、自閉症障害を含めた広汎性発達障害、注意欠陥/多動性障害を含めた注意障害、自閉症、ツレット障害を含めたチック障害、恐怖症および外傷後ストレス障害を含めた不安障害、認知症に関連する認知障害、AIDS認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、痙縮、ミオクローヌス、筋肉痙攣、耳鳴りおよび聴覚の障害および喪失の治療は特に重要である。
【0068】
主題の化合物は、さらに、本明細書中で述べられた病気、障害および疾患の予防、治療、制御、軽減、または危険の低下のための方法で有用である。
【0069】
もう1つの具体的実施態様において、本発明の化合物は、L−ドパのCOMT媒介代謝を妨げることによって、カルビドパのような芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤(AADC)と共に、またはそれなくして、L−ドパと共投与した場合に、パーキンソン病を治療する方法を提供する。
【0070】
主題の化合物は、さらに、他の剤と組み合わせて、前記した病気、障害および疾患の予防、治療、制御、軽減、または危険の低下のための方法で有用である。本発明の化合物は、本発明の化合物または他の薬物がそれに対して利用性を有することができる病気または疾患の治療、予防、制御、軽減、または危険の低下において1以上の他の薬物と組み合わせて用いることができ、ここに、薬物の組合せは一緒になっていずれかの薬物単独よりも安全、またはより効果的である。そのような他の薬物は、本発明の化合物と同時に、または順次、そのために通常用いられる経路および量にて投与することができる。本発明の化合物が1以上の他の薬物と同時に用いられる場合、そのような他の薬物および本発明の化合物を含有する単位剤形の医薬組成物が望ましい。しかしながら、組み合わせ療法は、本発明の化合物および1以上の他の薬物が異なる重複したスケジュールで投与される療法も含むことができる。また、1以上の他の有効成分と組み合わせて用いる場合、本発明の化合物および他の有効成分は、各々を単独で用いる場合よりも低い用量で用いることができると考えられる。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に加えて、1以上の他の有効成分を含有するものを含む。前記組合せは、本発明の化合物と、1つの他の活性化合物のみならず、2以上の他の活性化合物との組合せを含む。同様に、本発明の化合物は、それに対して本発明の化合物が有用である病気または疾患の予防、治療、制御、軽減、または危険の低下で用いられる他の薬物と組み合わせて用いることができる。そのような他の薬物は、本発明の化合物と同時に、または順次、そのために普通用いられる経路および量にて投与することができる。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に加えて、1以上の他の有効成分をやはり含有するものを含む。第二の有効成分に対する本発明の化合物の重量比率は変化させることができ、各成分の有効用量に依存する。一般に、各々の有効用量が用いられる。かくして、例えば、本発明の化合物をもう1つの剤と組み合わせる場合、他の剤に対する本発明の化合物の重量比率は、一般に、約200:1ないし約1:200のように、約1000:1ないし約1:1000の範囲となる。本発明の化合物および他の有効成分の組合せは、一般には、前記範囲内となろうが、各場合において、各有効成分の有効用量を用いるべきである。
【0071】
そのような組合せにおいて、本発明の化合物および他の活性な剤は別々に、または組み合わせて投与することができる。加えて、1つのエレメントの投与は他の剤の投与に先立ち、または同時、または引き続いてとしてもよい。
【0072】
従って、主題の化合物は、単独で、または主題の適応症で有益であることが知られている他の剤、または本発明の化合物の有効性、安全性、便宜を増大させるか、または本発明の化合物の望まない副作用または毒性を低下させる受容体または酵素に影響する他の薬物と組み合わせて用いることができる。主題の化合物および他の剤は、同時療法にて、または固定組合せにて共投与することができる。
【0073】
1つの実施態様において、主題の化合物は、抗アルツハイマー剤、ベータ−セクレターゼ阻害剤、ガンマ−セクレターゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、イブプロフェンを含めたNSAID、ビタミンE、および抗アミロイド抗体と組み合わせて使用することができる。
【0074】
もう1つの実施態様において、主題の化合物は、アジナゾラム、アロバルビタール、アロニミド、アルプラゾラム、アミスルプリド、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、アリピプラゾール、非典型的抗精神病剤、ベンタゼパム、ベンゾクタミン、ブロチゾラム、ブプロピオン、ブスプリオン、ブタバルビタール、ブタルビタール、カプリド、カルボクロラール、クロラールベタイン、クロラール水和物、クロミプラミン、クロナゼパム、クロペリドン、クロルアゼペート、クロルジアゼポキシド、クロルエテート、クロルプロマジン、クロザピン、シプラゼパム、デシプラミン、デクスクラモル、ジアゼパム、ジクロラールフェナゾン、ジバルプロエクス、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、エスタゾラム、エトクロルブノール、エトミデート、フェノバム、フルニトラゼパム、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルラゼパム、フルボキサミン、フルオキセチン、フォサゼパム、グルテチミド、ハラゼパム、ハロペリドール、ヒドロキシジン、イミプラミン、リチウム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、マプロチリン、メクロクワロン、メラトニン、メフォバルビタール、メプロバメート、メタクアロン、ミダフルール、ミダゾラム、ネファゾドン、ニソバメート、ニトラゼパム、ノルトリプチリン、オランザピン、オキサゼパム、パラアルデヒド、パロキセチン、ペントバルビタール、ペルラピン、ペルフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、プラゼパム、プロメタジン、プロポフォール、プロトリプチリン、クアゼパム、ケチアピン、レクラゼパム、リスペリドン、ロレタミド、セコバルビタール、セルトラリン、スプロクロン、テマゼパム、チオリダジン、チオチキセン、トラカゾレート、トラニルシプロマイン、トラゾドン、トリアゾラム、トレピパム、トリセタミド、トリクロフォス、トリフルオペラジン、トリメトジン、トリミプラミン、ウルダゼパム、ベンラファキシン、ザレプロン、ジプラシドン、ゾラゼパム、ゾルピデム、およびその塩、およびその組合せ等のような、鎮静剤、催眠剤、不安緩解薬、抗精神病薬、抗不安剤、シクロピロロン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、弱トランキライザー、メラトニンアゴニストおよびアンタゴニスト、メラト作動性剤、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、5HT−2アンタゴニスト等と組み合わせて使用でき、または主題の化合物は、光療法または電気刺激のような物理的方法の使用と組み合わせて投与することができる。
【0075】
もう1つの実施態様において、主題の化合物は、(カルビドパまたはベンセラジドのような選択的脳外デカルボキシラーゼ阻害剤と共に、またはそれなくして)レボドパ、(その塩酸塩または乳酸塩としてでもよい)ビペリデンおよびトリヘキシルフェニジル(ベンズヘキソール)塩酸塩のような抗コリン作動剤、エンタカポンのような他のCOMT阻害剤、MOA−B阻害剤、抗酸化剤、A2aアデノシン受容体アンタゴニスト、コリン作動性アゴニスト、NMDA受容体アンタゴニスト、セロトニン受容体アンタゴニスト、およびアレンテモール、ブロモクリプチン、フェノルドパム、リスリド、ナキサゴリド、ペルゴリドおよびプラミペキソールのようなドーパミン受容体アゴニストと組み合わせて使用することができる。ドーパミンアゴニストは医薬上許容される塩、例えば、アレンテモール塩酸塩、ブロモクリプチンメシレート、フェノルドパムメシレート、ナキサゴリド塩酸塩およびペルゴリドメシレートの形態であってよいことが認識される。リスリドおよびプラミペキソールは非塩形態で通常使用される。
【0076】
もう1つの実施態様において、主題の化合物は、神経遮断剤のフェノチアジン、チオキサンテン、複素環ジベンザゼピン、ブチロフェノン、ジフェニルブチルピペリジンおよびインドロンクラスからの化合物と組み合わせて使用することができる。フェノチアジンの適当な例はクロルプロマジン、メソリダジン、チオリダジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジンおよびトリフルオペラジンを含む。チオキサンテンの適当な例はクロルプロチキセンおよびチオチキセンを含む。ジベンザゼピンの例はクロザピンである。ブチロフェノンの例はハロペリドールである。ジフェニルブチルピペリジンの例はピモジドである。インドロンの例はモリンドロンである。他の神経遮断剤はロキサピン、スルピリドおよびリスペリドンを含む。神経遮断剤は、主題の化合物と組み合わせて用いる場合、医薬上許容される塩、例えば、クロルプロマジン塩酸塩、メソリダジンベシレート、チオリダジン塩酸塩、アセトフェナジンマレイン酸塩、フルフェナジン塩酸塩、フルルフェナジンエナント酸塩、フルフェナジンデカン酸塩、トリフルオペラジン塩酸塩、チオチキセン塩酸塩、ハロペリドールデカン酸塩、ロキサピンコハク酸塩およびモリンドン塩酸塩の形態であってよいことが認識される。ペルフェナジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ハロペリドール、ピモジドおよびリスペリドンは、通常、非塩形態で用いられる。かくして、主題の化合物は、アセトフェナジン、アレンテモール、アリピプラゾール、アミスルプリド、ベンズヘキソール、ブロモクリプチン、ビペリデン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ジアゼパム、フェノルドパム、フルフェナジン、ハロペリドール、レボドパ、ベンセラジドと共にレボドパ、カルビドパと共にレボドパ、リスリド、ロキサピン、メソリダジン、モリンドロン、ナキサゴリド、オランザピン、ペルゴリド、ペルフェナジン、ピモジド、プラミペキソール、ケチアピン、リスペリドン、スルピリド、テトラベナジン、トリヘキシフェニジル、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジンまたはジプラシドンと組み合わせて使用することができる。
【0077】
もう1つの実施態様において、主題の化合物は、(第三級アミン三環および第二級アミン三環を含めた)ノルエピネフリン再摂取阻害剤、選択的セロトニン再摂取阻害剤(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤(RIMA)、セロトニンおよびノルアドレナリン再摂取阻害剤(SNRI)、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)アンタゴニスト、α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、非典型的抗鬱病剤、ベンゾジアゼピン、5−HT1Aアゴニストまたはアンタゴニスト、特別には、5−HT1A部分アゴニスト、および副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)アンタゴニストを含めた、抗鬱病剤または抗不安剤と組み合わせて使用することができる。具体的な剤は:アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミンおよびトリミプラミン;アモキサピン、デシプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリンおよびプロトリプチリン;フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリン;イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミンおよびセレジリン;モクロベミド:ベンラファキシン;ドゥロキセチン;アプレピタント;ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドンおよびビロキサジン;アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパムおよびプラゼパム;ブスピロン、フレシノキサン、ゲピロンおよびイプサピロン、およびその医薬上許容される塩を含む。
【0078】
COMT阻害剤薬物は、病気の主たるまたは従たる原因が、限定されるものではないが、COMT過剰活性を含めた、多数の理由での前頭葉低ドーパミン失調によるものであれば、COMT阻害剤薬物は、病気の個体において有益な効果を有する。COMT阻害剤は、Met/Met遺伝子型を持つものよりも、低メチル化MB−COMTプロモーターおよび/またはVal/ValおよびVal/Met遺伝子型を持つ個体においてより有用であると予測される。
【0079】
これらの病気の治療で有用な医薬的生成物は、単独で、または、それが、不活性な、もしくは生理学的に活性であってもよい、いずれかの他の医薬上適合する生成物と組み合わせられた、組成物の形態の、COMT阻害剤薬物またはMB−COMT阻害剤またはその医薬塩よりなる。これらの医薬的生成物は経口的、局所的、非経口的または直腸的に用いることができる。
【0080】
ヒトのような霊長類に加えて、種々の他の哺乳動物を本発明の方法に従って治療することができる。例えば、限定されるものではないが、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、または他のウシ属、ヒツジ類、ウマ科、イヌ科、ネコ科またはマウスのようなげっ歯類の種を含めた哺乳動物を治療することができる。しかしながら、該方法は鳥類種(例えば、ニワトリ)のような他の種で実行することもできる。
【0081】
本発明の化合物は、投与の経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢内注射または注入、皮下注射またはインプラント)経路によって、投与の吸入スプレイ、鼻、膣、直腸、舌下、または局所経路によって投与することができ、単独で、または一緒にして、投与の各経路で適切な、慣用的な非毒性の医薬上許容される担体、補助剤およびビヒクルを含有する適当な投与単位剤型に処方することができる。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル等のような温血動物の治療に加えて、本発明の化合物はヒトで用いるのに効果的である。用語、化合物の「投与」および「投与すること」は、本発明の化合物、または本発明の化合物のプロドラッグを治療と必要とする個体に供することを意味すると理解されるべきである。
【0082】
さらに、本発明の化合物は予防的に有効な用量レベルで投与して、先に述べた疾患および障害を予防し、ならびにカルシウムチャネル活性に関連する他の疾患および障害を予防することができると理解される。
【0083】
本明細書中で用いる用語「組成物」は、所定の量または割合の特定の成分を含む生成物、ならびに特定の量での特定の成分の組合せに直接的にまたは間接的に由来するいずれの生成物も含める意図である。医薬組成物に関連するそのような用語は、有効成分、および担体を構成する不活性な成分を含む生成物、ならびにいずれかの2以上の成分の組合せ、複合体化または集合から、または1以上の成分の解離から、または1以上の成分の他のタイプの反応または相互反応から直接的にまたは間接的に由来するいずれの生成物も含める意図である。一般に、医薬組成物は、有効成分を液体担体または微粉砕固体担体または双方と均一かつ密接に会合させ、次いで、必要であれば、該生成物を所望の剤型に成形することによって調製される。医薬組成物においては、活性な目的化合物を、病気の過程または状態に対して望まれる効果を生じさせるのに十分な量で含ませる、従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物および医薬上許容される担体を混合するころによって作られたいずれの組成物も含む。
【0084】
経口使用を意図した医薬組成物は、医薬組成物の製造についての当該分野で公知のいずれの方法に従って調製することもでき、そのような組成物は、医薬上エレガントかつ味の良い製剤を供するために、甘味剤、フレーバー剤、着色剤および保存剤よりなる群より選択される1以上の剤を含有してもよい。錠剤は、錠剤の製造に適した非毒性の医薬上許容される賦形剤と混合された有効成分を含有する。錠剤はコーティングされていなくてもよく、またはそれは公知の技術によってコーティングして、胃腸管中にて崩壊および吸収を遅延させ、それにより、長期間にわたる持続作用を供することができる。経口使用のための組成物は、ハード・ゼラチン・カプセル剤として提供してもよく、そこでは、有効成分は不活性な固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合されており、またはソフト・ゼラチン・カプセル剤として提供してもよく、そこでは有効成分は水または油媒体、例えば、落花生油、流動パラフィン、またはオリーブ油と混合されている。水性懸濁液、油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、水中油型エマルジョンおよび、滅菌水性または油性注射懸濁液は、当該分野で公知の標準的な方法によって調製することができる。「医薬上許容される」とは、担体、希釈剤または賦形剤が剤型の他の成分と適合しなければならず、かつその受容者に対して有害でないことを意味する。
【0085】
主題の化合物は、さらに、本明細書で述べた病気、障害および疾患の予防、治療、制御、軽減、または危険の低下のための方法で有用である。本発明の組成物における有効成分の用量は変化させることができるが、有効成分の量は適当な剤形が得られるようなものであることが必要である。有効成分は、最適な医薬的効果を供する用量にて、そのような治療を必要とする患者(動物およびヒト)に投与することができる。選択された用量は、望まれる治療効果、投与の経路、および治療の持続に依存する。用量は、病気の性質および重症度、患者の体重、次いで患者によって追跡される特別なダイエット、同時投薬、および当業者が認識する他の因子に依存して、患者間で変化する。一般に、毎日の0.001ないし10mg/体重kgの間の投与レベルが患者、例えば、ヒトおよび老齢のヒトに投与される。用量範囲は、一般に、1日につき患者当たり約0.5mgないし1.0gであり、これは単一または複数用量で投与することができる。1つの実施態様において、用量範囲は1日につき患者当たり約0.5mgないし500mgであり;もう1つの実施態様において、1日につき患者当たり0.5mgないし200mgであり;およびなおもう1つの実施態様において、1日につき患者当たり約5mgないし50mgである。本発明の医薬組成物は、約0.5mgないし500mgの有効成分を含む、または約1mgないし250mgの有効成分を含むような、固体投与剤型にて供することができる。医薬組成物は、約1mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、200mgまたは250mgの有効成分を含む固体投与剤型にて供することができる。経口投与では、組成物は、治療すべき患者に対する投与の兆候的調整のために、1、5、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900、および1000ミリグラムの有効成分のような、1.0ないし1000ミリグラムの有効成分を含有する錠剤の形態で供することができる。化合物は、1日当たり1回または2回のような、1日当たり1ないし4回の投与計画で投与することができる。
【0086】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、水中の活性化合物の溶液または懸濁液として調製することができる。例えば、ヒドロキシプロピルセルロースのような適当な界面活性剤を含めることができる。また、分散液をグリセロール、液状ポリエチレングリコール、および油中のその混合物中にて調製することができる。さらに、保存剤を含めて、微生物の有害な成長を妨げることができる。
【0087】
注射使用に適した本発明の医薬組成物は、滅菌水性溶液または分散液を含む。さらに、組成物は、そのような滅菌注射溶液または分散液の即席製剤用の滅菌粉末の形態とすることができる。全ての場合において、最終の注射形態は滅菌されていなければならず、かつ容易な注射針通過性のために有効に流動性でなければならない。医薬組成物は、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、かくして、細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対して保護されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液状ポリエチレングリコール)、植物油およびその適当な混合物を含有する溶媒または分散媒体とすることができる。
【0088】
本発明の医薬組成物は、例えば、アエロゾル、クリーム、軟膏、ローションおよび撒布剤のような局所使用に適した形態とすることができる。さらに、組成物は経皮デバイスに適した形態とすることができる。これらの剤型は、慣用的な加工方法を介して、本発明に表された化合物、またはその医薬上許容される塩を利用して調製することができる。その例として、クリームまたは軟膏は、親水性材料および水を、約5重量%ないし10重量%の化合物と一緒に混合して望まれるコンシステンシーを有するクリームまたは軟膏を生じさせることによって調製される。
【0089】
本発明の医薬組成物は、直腸投与に適した形態とすることができ、そこでは、例えば、混合物が単位投与坐薬を形成する場合のように、担体は固体である。適当な担体はココアバター、および当該分野で通常使用される他の材料を含む。坐薬は、便宜的には、まず、組成物を柔軟化されたまたは溶融された担体と混合し、続いて、モールド中で冷却および成形することによって形成することができる。
【0090】
前記した担体成分に加えて、前記医薬剤型は、適切には、希釈剤、緩衝液、フレーバー剤、結合剤、表面活性剤、増粘剤、滑沢剤、および(抗酸化剤を含めた)保存剤のような1以上のさらなる担体成分を含んでもよい。さらに、他の補助剤を含めて、剤型を意図した受容者の血液に対して等張とすることができる。本発明の化合物、またはその医薬上許容される塩を含有する組成物は、粉末または液状濃厚物形態で調製することもできる。
【0091】
本明細書中で用いる略語は以下の意味を有する(ここに示されていない略語は、そうでないことが具体的に述べられているのでなければ、通常用いられる意味を有する:Ac(アセチル)、Bn(ベンジル)、Boc(第三級−ブトキシカルボニル)、Bop試薬(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、LHMDS(リチウムヘキサメチルジシリルアミド)、DMSO(メチルスルホキシド)、PPTS(p−トルエンスルホン酸ピリジニウム)、PD/C(炭素上のパラジウム)、HRMS高分解能質量分析、DCM(ジクロロメタン)、LDA(リチウムジイソプロピルアミド)、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、DIPEA(ジイソプロピルエチルアミン)、DMAP(4−(ジメチルアミノ)ピリジン)、NMR(核磁気共鳴);DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、EDC(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)、EtN(トリエチルアミン)、GST(グルタチオントランスフェラーゼ)、HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)、LAH(水素化アルミニウムリチウム)、Ms(メタンスルホニル;メシル;またはSOMe)、MsO(メタンスルホネートまたはメシレート)、NaHMDS(ナトリウムヘキサメチルジシラザン)、NBS(N−ブロモスクシンイミド)、NCS(N−クロロスクシンイミド)、NSAID(非ステロイド抗炎症薬物)、PDE(ホスホジエステラーゼ)、Ph(フェニル)、r.t.またはRT(室温)、Rac(ラセミ)、SAM(アミノスルホニル;スルホンアミドまたはSONH)、SPA(シンチレーション近接アッセイ)、Th(2−または3−チエニル)、TFA(トリフルオロ酢酸)、THF(テトラヒドロフラン)、TLC(薄層クロマトグラフィー)、Trまたはトリチル(N−トリフェニルメチル)、C(アリル)、Me(メチル)、Et(エチル)、n−Pr(ノルマルプロピル)、i−Pr(イソプロピル)、n−Bu(ノルマルブチル)、i−ブチル(イソブチル)、s−Bu(第二級ブチル)、t−Bu(第三級ブチル)、c−Pr(シクロプロピル)、c−Bu(シクロブシル)、c−Pen(シクロペンチル)、c−Hex(シクロヘキシル)。
【0092】
本発明の化合物は、実施例に供された手法に従って調製することができる。以下の実施例は本発明をさらに記載するが、本発明の範囲を限定するものではない。
【0093】
そうでないことが具体的に述べられているのでなければ、実験手法は以下の条件下で行った:全ての操作は室温または雰囲気温度で行った:すなわち、18ないし25℃の範囲の温度で行った。不活性ガス保護は、試薬または中間体が空気および湿気に感受性である場合に用いた。溶媒の留去は、60℃までの浴温度にて、減圧下で(400ないし4000パスカル:4.5ないし30mmHg)ロタリーエバポレーターを用いて行った。反応の進行に続いて、薄層クロマトグラフィー(TLC)または高圧液体クロマトグラフィー−質量分析(HPLC−MS)を行い、反応時間は説明のためだけに与える。全ての最終生成物の構造および純度は以下の技術のうちの少なくとも1つによって確認した:TLC、質量分析、核磁気共鳴(NMR)スペクトロメトリーまたはミクロ分析データ。与える場合、収率は説明のためだけのものである。与える場合、NMRデータは示された溶媒を用いて300MHz、400MHzまたは500MHzで決定された、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に対する100万当たりの部(ppm)で与えた、主な特徴的なプロトンについてのデルタ(δ)値の形態である。シグナル形状で用いられる慣用的な略語は:s.シングレット;d.ダブレット;t.トリプレット;m.マルチプレット;br.ブロード;等である。加えて、「Ar」は芳香族シグナルを表す。化学記号はその通常の意味を有する;以下の略語を用いる:v(容量)、w(重量)、b.p.(沸点)、m.p.(融点)、L(リットル)、mL(ミリリットル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、eq(当量)。
【0094】
化合物を合成するための本明細書中に記載された手法は、保護基の操作の、および再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィー、フラッシュクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー(TLC)、ラジアルクロマトグラフィーおよび高圧クロマトグラフィー(HPLC)のような精製の1以上の工程を含むことができる。生成物は、プロトンおよび炭素−13核磁気共鳴(Hおよび13C NMR)、赤外および紫外分光分析(IRおよびUV)、X線結晶学、元素分析、およびHPLCおよび質量分析(HPLC−MS)を含めた、化学分野でよく知られた種々の技術を用いて特徴付けることができる。保護基の操作、精製、構造の同定および定量の方法は、化学合成の分野の当業者によく知られている。
【0095】
適切な溶媒は、反応体の1つまたは全てを少なくとも部分的に溶解させ、かつ反応体または生成物いずれとも有害に相互作用しないものである。適当な溶媒は芳香族炭化水素(例えば、トルエン、キシレン)、ハロゲン化溶媒(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジグライム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール)、ニトリル(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル)、ケトン(例えば、2−ブタノン、ジチルケトン、tert−ブチメチルケトン)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)および水である。2以上の溶媒の混合液も用いることができる。適当な塩基は、一般に、水酸化リチウム、水酸化ナトリム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、および水酸化カルシウムのようなアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムおよび水素化カルシウムのようなアルカリ金属水素化物およびアルカリ土類金属水素化物;リチウムアミド、ナトリウムアミドおよびカリウムアミドのようなアルカリ金属アミド;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、および炭酸水素セシウムのようなアルカリ金属炭酸塩おびアルカリ土類金属炭酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドおよびマグネシウムエトキシドのようなアルカリ金属アルコキシドおよびアルカリ土類金属アルコキシド;メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムのようなアルカリ金属アルキル、フェニルリチウム、アルキルマグネシウムハライド、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピリジン、コリジン、ルチジン、および4−ジメチルアミノピリジンのような有機塩基;およびDBUおよびDABCOのような二環アミンである。
【0096】
適当な場合、当業者が利用可能な標準的な官能基変換技術を用い、以下の実施例に記載された化合物中に存在する官能基をさらに操作して、本発明に記載された所望の化合物を提供することができることが理解される。
【0097】
また、本発明の化合物は、単一のエナンチオマーまたはジアステレオマーとして、またはいずれかの割合で2以上のエナンチオマーまたはジアステレオマーを含有する混合物として調製することができる1以上の立体中心を含むことも理解される。
【0098】
当業者に明らかな他の変形または修飾は、本発明の範囲および教示内のものである。本発明は、以下の特許請求の範囲に記載された事項を除いて制限されない。
【0099】
本発明の化合物を調製するためのいくつかの方法が以下のスキームおよび実施例で説明される。出発物質は当該分野で知られた手法に従って、または本明細書中に説明されたように作製される。
反応スキーム
本発明の化合物は、容易に入手可能な出発物質、試薬および慣用的な合成手法を用い、以下のスキームおよび具体的な例、またはその修飾に従って容易に調製することができる。これらの反応において、それ自体が当業者に知られているが、より詳細には述べられていない変法を利用することも可能である。本発明において特許請求される化合物を作製するための一般的な手法は、以下のスキームの考慮から当業者によって容易に理解され、かつ認識され得る。
一般的反応スキーム
スキーム1
【0100】
【化6】

本発明の化合物は、スキーム1に概説されたように調製することができる。ブロモピリジン1を保護し、および置換基Rの導入でN−アルキル化して、ピリジノン3を得る。化合物3を交差カップリングさせて、アリールおよびヘテロアリール置換基を導入し、および得られたビアリールを脱保護して、目標化合物5を得る。別法として、Pd触媒下で化合物3をアルキン6に変換し、置換されたアジドとのCu−触媒[3+2]シクロ付加に付して、トリアゾール7が得られ、これを脱保護して、目標化合物8を得る。別法として、化合物3をN−アリール化し、および脱保護して、目標化合物10を得る。別法として、化合物3をそれらの対応するボロン酸11に変換し、その後、ハロゲン化アリールおよびヘテロアリールに交差カップリングさせ、および脱保護して、目標化合物13を得る。スキーム1の化合物は、(限定されるものではないが)、交差カップリング、酸化、還元、脱アルキル化、アルキル化、アシル化等を含めた、当該分野で公知の一般的方法による置換基の操作によってさらに修飾することができ、この修飾は脱保護に先立って、またはその後に起こり得る。
スキーム2
【0101】
【化7】

本発明の化合物は、スキーム2に概説されたように調製することができる。ジメトキシピリジン14の臭素化および置換されたボロン酸でのPd触媒アリール化により化合物16および化合物17の混合物が得られ、これを分離し、およびPdおよびZn媒介シアン化および脱保護に付して、目標化合物18および19を得る。スキーム2の化合物は、(限定されるものではないが)、交差カップリング、酸化、還元、脱アルキル化、アルキル化、アシル化等を含めた、当該分野で公知の一般的方法による置換基の操作によってさらに修飾することができ、およびこの修飾は脱保護に先立って、またはその後に起こり得る。
スキーム3
【0102】
【化8】

本発明の化合物は、スキーム3に概説したように調製することができる。ジメトキシピリジン20を、リチウム化およびフッ素化に先立ってビアリール21に変換して、化合物22を得る。これらの中間体を脱保護して、目標化合物23が得られ、あるいは別法として、ベンジルエーテルとして保護し、置換基Rの導入でN−アルキル化し、および脱保護して、目標化合物24を得る。スキーム3の化合物は、(限定されるものではないが)、交差カップリング、酸化、還元、脱アルキル化、アルキル化、アシル化等を含めた、当該分野で公知の一般的方法による置換基の操作によってさらに修飾することができ、およびこの修飾は脱保護に先立って、またはその後に起こり得る。
スキーム4
【0103】
【化9】

本発明の化合物は、スキーム4に概説されたように調製することができる。ブロモピリジン25を、p−メトキシベンジルアルコールのナトリウム塩での処理に先立って、ヨウ素化し、および脱保護して、28を得る。p−メトキシベンジルエーテル切断(TFA)およびN−アルキル化により置換基Rが取り込まれ、化合物29が得られ、これは、臭素化およびホルミル化に際して、化合物31を生じさせる。有機金属試薬のカルボニル付加により化合物32が得られ、これを置換されたアリールおよびヘテロアリールボロン酸に交差カップリングさせ、および脱保護して、目標化合物34を得る。別法として、化合物29を、置換されたアリールおよびヘテロアリールボロン酸に交差カップリングさせ、および脱保護して、目標化合物36を得る。スキーム4の化合物は、(限定されるものではないが)、交差カップリング、酸化、還元、脱アルキル化、アルキル化、アシル化等を含めた、当該分野で公知の一般的方法による置換基の操作によってさらに修飾することができ、およびこの修飾は脱保護に先立って、またはその後に起こり得る。
【実施例】
【0104】
実施例1
5−(2,4−ジクロロ−フェニル)−3−ヒドロキシ−1−メチル−1H−ピリジン−2−オン(1)
【0105】
【化10】

3−ベンジルオキシ−5−ブロモ−1H−ピリジン−2−オン
【0106】
【化11】

116mLのMeOH中の4.4g(23.2ミリモル)の5−ブロモ−3−ヒドロキシ−1H−ピリジン−2−オンおよび1.2g(30ミリモル)のNaOHの溶液に臭化ベンジルを室温にて滴下した。得られた混合物を一晩で60℃まで加熱した。冷却の後、揮発物を真空中で除去し、20mLの水および40mLのEtOAcを加え、および水性相を20mLのEtOAcで2回抽出した。合わせた有機物をNaSOで乾燥し、および留去した。自動フラッシュクロマトグラフィー(80gシリカゲル・カートリッジ、30分間にわたる0ないし100%のEtOAc/ヘキサン)による精製によって、2.51g(38.7%)の3−ベンジルオキシ−5−ブロモ−1H−ピリジン−2−オンを得た。LCMS[M+H]=280.1
3−ベンジルオキシ−5−ブロモ−1−メチル−1H−ピリジン−2−オン
【0107】
【化12】

45mLのDMF中の2.51g(8.96ミリモル)の3−ベンジルオキシ−5−ブロモ−1H−ピリジン−2−オンおよび2.48g(17.9ミリモル)のKCOの懸濁液に、室温にて、1.12mL(17.9ミリモル)のヨードメタンを加えた。一晩攪拌した後、150mLの水を激しく攪拌しつつ加えて、生成物の沈澱を引き起こし、これを濾過によって集め、真空中で乾燥して、LCMSによると10%のO−メチル化異性体を含有する2.3g(87%)の3−ベンジルオキシ−5−ブロモ−1−メチル−1H−ピリジン−2−オンを得た。物質をさらに精製することなく引き続いての工程で用いた。H NNR(300MHz,CHCl−d):δ7.46−7.27(m,5H);7.05(d,J=2.41Hz,1H);6.70(d,J=2.42Hz,1H);5.10(s,2H);3.55(s,3H)。LCMS[M+H]=294.1。
5−(2,4−ジクロロ−フェニル)−3−ヒドロキシ−1−メチル−1H−ピリジン−2−オン(1)
【0108】
【化13】

2mLのTHF中の0.045(0.15ミリモル)の3−ベンジルオキシ−5−ブロモ−1−メチル−1H−ピリジン−2−オン、0.44g(0.23ミリモル)の2,6−ジクロロフェニルボロン酸、および0.006g(0.008ミリモル)のジクロロ1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)ジクロロメタンアダクトの懸濁液に、1mLの1M水性CsCOを加えた。得られた混合物を10分間で160℃となるまでマイクロ波処理した。冷却の後、有機相を分離し、および濃縮し、得られた残渣をMeOHに再度溶解させた。0.02mg(0.019ミリモル)の10%Pd/Cを加え、および得られた懸濁液を、1気圧の水素ガス下で一晩攪拌した。反応混合物を濾過し、および濃縮した。自動マスガイデッド(mass−guided)HPLCによる精製によって、0.045g(11%)の5−(2,4−ジクロロ−フェニル)−3−ヒドロキシ−1−メチル−1H−ピリジン−2−オンを得た。H NMR(499MHz,DMSO−d):δ9.29(s,1H);7.71(d,J=2.13Hz,1H);7.48(dd,J=8.32,2.19Hz,1H);7.43(d,J=8.30Hz,1H);7.34(d,J=2.35Hz,1H);6.82(d,J=2.35Hz,1H);3.53(s,3H)。高分解能質量分析(FT/ICR) (M+H)として 計算値270.0084、実測値270.0083。
実施例2
5−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−ヒドロキシ−1−(プロパン−2−イル)ピリジン−2(1H)−オン(2)
【0109】
【化14】

3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−1−(プロパン−2−イル)ピリジン−2(1H)−オン
【0110】
【化15】

3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモピリジン−2(1H)−オン(200mg、0.714ミリモル)、CsCO(302mg、0.928ミリモル)および2−ヨードプロパン(0.086mL、0.857ミリモル)を室温にてDMF(3mL)中で合わせた。一晩攪拌した後、混合物を濃縮した。残渣をCHCl中に取り、セライト(Celite(登録商標))のパッドを通して濾過し、および濃縮した。フラッシュカラム(Biotage−SNAP−10g、0ないし30%EtOAc/ヘキサン)によって、表記化合物が清澄な油(58mg、25%)として得られ、これは真空下で固化した。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.46−7.29(m,5H);7.05(d,J=2.4Hz、1H);6.66(d,J=2.4Hz,1H);5.34−5.25(m,1H);5.09(s,2H);1.35(d,J=6.8Hz,6H)。LC/MS(M+H)322/324。
5−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−ヒドロキシ−1−(プロパン−2−イル)ピリジン−2(1H)−オン(2)
【0111】
【化16】

3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−1−(プロパン−2−イル)ピリジン−2(1H)−オン(58mg、0.180ミリモル)、4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸(49mg、0.218ミリモル)、およびPd(dppf)Cl−CHCl(8mg、9.80μモル)をマイクロ波容器中のTHF(1ml)中で合わせた。これに、1M CsCO(0.540mL、0.540ミリモル)を加えた。
【0112】
該容器をシールし、次いで、20分間で150℃となるまで照射した。層を分離し、および水性層をEtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機層をシリカゲルのパッドを通して濾過し、EtOAcで洗浄した。濾液を濃縮して、3−(ベンジルオキシ)−5−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−(プロパン−2−イル)ピリジン−2(1H)−オン(86mg)が得られ、これを精製することなく次の工程で直接用いた。
【0113】
CHCl(1mL)中の粗製3−(ベンジルオキシ)−5−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−(プロパン−2−イル)ピリジン−2(1H)−オン(86mg)の溶液に、エタンチオール(0.075mL、1.019ミリモル)、次いで、BF−OEt(0.13mL、1.026ミリモル)を室温にて加えた。5時間後に、混合物をMeOHで希釈し、および濃縮した。残渣をDMSO:HO中に取り、および分取用逆相HPLC(20×150mm Waters Sunfire(0.1%TFA)、20mL/分での20分間にわたる5ないし70%CHCN/水)によって精製して、表記化合物(24mg、36%)を淡黄褐色固体として得た。H NMR(500MHz,d−DMSO):δ9.28(s,1H);7.97(s,1H);7.92(dd,J=8.4,2.2Hz,1H);7.74(d,J=8.4Hz,1H);7.68(d,J=2.4Hz,1H);7.14(d,J=2.4Hz,1H);5.18−5.11(m,1H);1.39(d,J=6.8Hz,6H)。HRMS(ES) (M+H)として 計算値332.0660、実測値332.0661。
実施例3
5−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−(ジフルオロメチル)−3−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン(3)
【0114】
【化17】

3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−クロロピリジン
【0115】
【化18】

室温にて、5−ブロモ−2−クロロ−ピリジン−3−オール(500mg、2.399ミリモル)およびCsCO(1.2g、3.68ミリモル)をDMF(10mL)中で合わせた。これに、臭化ベンジル(0.34mL、2.86ミリモル)を加えた。一晩攪拌した後、混合物をHOで希釈し、およびEtO(3×)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、および濃縮した。フラッシュカラム(Biotage−SNAP−50g、0ないし10%EtOAc/ヘキサン)により、表記化合物(674mg、94%)を白色固体として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ8.07(d,J=2.0Hz,1H);7.53−7.35(m,6H);5.16(s,2H)。LC/MS(M+H)298/300/302。
3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−1−(ジフルオロメチル)ピリジン−2(1H)−オン
【0116】
【化19】

3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−クロロピリジン(100mg、0.335ミリモル)、2−(フルオロスルホニル)ジフルオロ酢酸(179mg、1.005ミリモル)、およびNaHCO(30mg、0.357ミリモル)をCHCN(2mL)中で合わせ、次いで、50℃まで加熱した。一晩加熱した後、混合物を室温まで冷却し、およびEtOAcで希釈した。得られた混合物をセライト(Celite(登録商標))のパッドを通して濾過し、および濃縮した。フラッシュカラム(Biotage−SNAP−10g、0ないし10%EtOAc/ヘキサン)により、表記化合物(38mg、34%)を白色固体として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.69(t,J=60.06Hz,1H);7.42−7.35(m,5H);7.22(d,J=2.2Hz,1H);6.68(d,J=2.3Hz,1H);5.10(s,2H)。
5−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−(ジフルオロメチル)−3−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン(3)
【0117】
【化20】

3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−1−(ジフルオロメチル)ピリジン−2(1H)−オン(38mg、0.115ミリモル)、4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸(31.0mg、0.138ミリモル)、およびPd(dppf)Cl−CHCl(5mg、6.12μモル)をマイクロ波容器中のTHF(1mL)中で合わせた。これに、1M CsCO(0.345mL、0.345ミリモル)を加えた。容器をシールし、次いで、20分間で150℃となるまで照射した。層を分離し、および水性層をEtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機層をシリカゲルのパッドを通して濾過し、EtOAcで洗浄した。濾液を濃縮して、3−(ベンジルオキシ)−5−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−(ジフルオロメチル)ピリジン−2(1H)−オン(58mg)が得られ、これを、精製することなく次の工程で直接用いた。
【0118】
CHCl(1mL)中の粗製3−(ベンジルオキシ)−5−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−(ジフルオロメチル)ピリジン−2(1H)−オン(58mg)の溶液に、室温にて、エタンチオール(0.050mL、0.675ミリモル)、次いで、BF−OEt(0.086mL、0.675ミリモル)を加えた。3時間後、混合物をMeOHで希釈し、および濃縮した。残渣をDMSO:HO中に取り、および分取用逆相HPLC(20×150mm Waters Sunfire(0.1%TFA)、20mL/分での20分間にわたる5ないし70%CHCN/水)によって精製して、表記化合物(22mg、48%)を灰色がかった白色固体として得た。H NMR(500MHz,d6−DMSO):δ10.12(s,1H);8.09−7.90(m,3H);7.82−7.75(m,2H);7.25(d,J=2.3Hz,1H)。HRMS(ES) (M+H)として 計算値340.0158、実測値340.0165。
実施例4
5−ビフェニル−3−イル−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(4)
【0119】
【化21】

3−(ベンジルオキシ)−5−(ビフェニル−3−イル)−1−メチルピリジン−2(1H)−オン
【0120】
【化22】

窒素下で、3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(38mg、0.129ミリモル)、ビフェニル−3−イルボロン酸(31mg、0.155ミリモル)、PdCl(dppf)・CHCl(5.3mg、0.006ミリモル)の混合物に、THF(1mL)、続いて、1M水性NaCO溶液(0.388mL)を加えた。反応混合物を150℃で(マイクロ波照射)25分間加熱し、室温まで冷却し、および水およびEtOAcの間に分配した。層を分離し、および水性溶液をCHCl(2×)で抽出した。合わせた有機溶液をNaSOで乾燥し、および濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(24gシリカゲル、ヘキサン中の3%ないし100%EtOAc)による精製によって、34mg(72%)の3−(ベンジルオキシ)−5−(ビフェニル−3−イル)−1−メチルピリジン−2(1H)−オンを白色固体として得た。LC/MS(M+H)368.3。
5−ビフェニル−3−イル−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(4)
【0121】
【化23】

雰囲気下で、5%Pd/C(15mg)の存在下にて、MeOH(5mL)中の3−(ベンジルオキシ)−5−(ビフェニル−3−イル)−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(34mg、0.093ミリモル)の溶液を21時間水素化した。濾過し、および濃縮した。分取用HPLC(20分間にわたる5ないし65%CHCN/HO、0.05%の添加TFA)による精製によって、2.5mg(10%)の5−ビフェニル−3−イル−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オンを白色固体として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.63−7.60(m,3H)、7.56(d,J=7.8Hz,1H)、7.52−7.43(m,3H)、7.41−7.36(m,2H)、7.25−7.06(br,2H)、3.72(s,3H)。高分解能質量分析(FT/ICR) (M+H)として 計算値278.1165、実測値278.1176。
実施例5
5−(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(5)
【0122】
【化24】

1−メチル−3−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メトキシ}−5−[(トリメチルシリル)エチニル]ピリジン−2(1H)−オン
【0123】
【化25】

20mLのTHF中の5−ブロモ−1−メチル−3−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メトキシ}ピリジン−2(1H)−オン(2.92g、8.74ミリモル)の溶液に、トリメチルシリルアセチレン(1.72g、17.47ミリモル)、ヨウ化銅(I)(166mg、0.874ミリモル)、ジイソプロピルアミン(1.25mL、8.74ミリモル)、およびPdCl(dppf)−DCMアダクト(713mg、0.874ミリモル)を加えた。この混合物をシールされたバイアル中で145℃にて10分間マイクロ波処理した。冷却の後、混合物を濾過して、固体を除去し、溶媒を留去し、およびフラッシュクロマトグラフィー(50gシリカゲル、ヘキサン中の0ないし40%酢酸エチル)によって精製して、1−メチル−3−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メトキシ}−5−[(トリメチルシリル)エチニル]ピリジン−2(1H)−オンを暗色粘性油(2g、65%収率)として得た。LCMS[M+H]=352.6。
5−エチニル−1−メチル−3−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メトキシ}ピリジン−2(1H)−オン
【0124】
【化26】

35mLの1:1水/メタノール中の1−メチル−3−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メトキシ}−5−[(トリメチルシリル)エチニル]ピリジン−2(1H)−オン(2g、5.7ミリモル)の溶液に、水酸化カリウム(1.5g、26.2ミリモル)を加えた。この混合物を室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を水および酢酸エチルの間に分配した。水性層を捨て;有機層を乾燥し(NaSO)、および蒸発させて、5−エチニル−1−メチル−3−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メトキシ}ピリジン−2(1H)−オンを含有する暗色油が得られ、これを、さらに精製することなく引き続いての工程で用いた。LCMS[M+H]=280.4。
5−(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1−メチル−3−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メトキシ}ピリジン−2(1H)−オン
【0125】
【化27】

2mLの50%水性tert−ブチルアルコール中の5−エチニル−1−メチル−3−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メトキシ}ピリジン−2(1H)−オン(100mg、0.358ミリモル)の溶液に、(アジドメチル)ベンゼン(47.7mg、0.358ミリモル)、1−プロリン(8.24mg、0.072ミリモル)、およびヨウ化銅(I)(13.63mg、0.072ミリモル)を加えた。この混合物をシールされた容器中で145℃にて10分間マイクロ波処理した。次いで、混合物を濾過し、および溶媒を留去して、5−(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1−メチル−3−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メトキシ}ピリジン−2(1H)−オンを含有する残渣が得られ、これをさらに精製することなく用いた。LCMS[M+H]=413.6。
5−(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(5)
【0126】
【化28】

1mLのTHF中の5−(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1−メチル−3−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メトキシ}ピリジン−2(1H)−オン(148mg、0.359ミリモル)を含有する溶液に、アセトニトリル(1.1ミリモル)中のテトラフルオロホウ酸リチウムの1M溶液の1.1mLを加えた。この混合物をシールされたバイアル中で100℃にて10分間マイクロ波処理した。冷却の後、混合物を減圧下で蒸発させ、および逆相HPLCによって精製して、5−(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(43.5mg、0.154ミリモル、43%収率)を得た。H NMR δ(ppm)(DMSO−d):9.28(1H,s)、8.38(1H,s)、7.75(1H,d,J=2.20Hz)、7.42−7.31(5H,m)、5.61(2H,s)、3.53(3H,s)。高分解能質量分析(ESI) (M+H)として 計算値283.1190、実測値283.1188。
実施例6
3−ヒドロキシ−1−メチル−5−(2−オキソ−4−フェニルピロリジン−1−イル)ピリジン−2(1H)−オン(6)
【0127】
【化29】

3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン
【0128】
【化30】

室温にて、DMF(50mL)中の3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモピリジン−2(1H)−オン(4.4g、15.71ミリモル)の溶液にCsCO(6.65g、20.42ミリモル)、次いで、ヨードメタン(1.2mL、19.19ミリモル)を加えた。一晩攪拌した後、混合物を濃縮した。残渣をHO中に取り、およびCHCl(3×)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、および濃縮した。フラッシュカラム(Biotage−SNAP−100g、50%EtOAc/ヘキサン)により、表記化合物(3.61g、78%)を白色固体として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.43−7.30(m,5H);7.05(d,J=2.4Hz,1H);6.69(d,J=2.4Hz,1H);5.24(s,0H);5.10(s,2H);3.55(s,3H)。LC/MS(M+H)294/296。
3−(ベンジルオキシ)−1−メチル−5−(2−オキソ−4−フェニルピロリジン−1−イル)ピリジン−2(1H)−オン
【0129】
【化31】

3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(100mg、0.340ミリモル)、4−フェニルピロリジン−2−オン(71mg、0.440ミリモル)、KPO(144mg、0.680ミリモル)、CuI(4mg、0.021ミリモル)、およびN,N’−ジメチルエチレンジアミン(5μl、0.046ミリモル)をスクリュー・キャップ・バイアル中の1,4−ジオキサン(1mL)中で合わせた。バイアルをシールし、次いで、110℃まで加熱した。一晩加熱した後、混合物を室温まで冷却し、およびCHClで希釈した。得られた混合物をセライト(Celite(登録商標))のパッドを通して濾過し、CHClで洗浄し、および濃縮した。フラッシュカラム(Biotage−SNAP−25g、0ないし10%MeOH/CHCl)により、表記化合物(131mg、103%)が、灰色がかった白色フォームとして得られ、これは次の工程で用いるのに十分純粋であった。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.44−7.24(m,11H);7.09(s,1H);5.15(s,2H);3.97(s,1H);3.71−3.65(m,2H);3.59(s,3H);3.00−2.92(m,1H);2.74(dd,J=16.9,8.1Hz,1H)。LC/MS(M+H)375。
3−ヒドロキシ−1−メチル−5−(2−オキソ−4−フェニルピロリジン−1−イル)ピリジン−2(1H)−オン(6)
【0130】
【化32】

3−(ベンジルオキシ)−1−メチル−5−(2−オキソ−4−フェニルピロリジン−1−イル)ピリジン−2(1H)−オン(131mg、0.350ミリモル)を、室温にて、MeOH(3mL)中の10%Pd/C(37mg、0.035ミリモル)で水素化した(バルーン)。一晩攪拌した後、混合物を、0.45μmのPTFEシリンジフィルターを用いて濾過し、次いで、分取用逆相HPLC(20×150mm Waters Sunfire(0.1%TFA)、20mL/分での20分間にわたる5ないし50%CHCN/水)によって精製して、表記化合物(59mg、59%)を灰色がかった白色固体として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.52(d,J=2.6Hz,1H);7.40−7.28(m,5H);6.98(d,J=2.6Hz,1H);4.08(t,J=8.4Hz,1H);3.77−3.66(m,2H);3.64(s,3H);2.99(m,1H);2.76(m,1H)。HRMS(ES) (M+H)として 計算値285.1234、実測値285.1228。
実施例7
3−ヒドロキシ−1−メチル−5−(3−フェニル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−2(1H)−オン(7)
【0131】
【化33】

3−(ベンジルオキシ)−1−メチル−5−(3−フェニル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−2(1H)−オン
【0132】
【化34】

3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(50mg、0.170ミリモル)、3−フェニル−1H−ピラゾール(29mg、0.201ミリモル)、KCO(47.0mg、0.340ミリモル)、CuI(2mg、10.50μモル)、およびN,N’−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジアミン(6μl、0.038ミリモル)をスクリュー・キャップ・バイアル中にて1,4−ジオキサン(0.5mL)中で合わせた。該バイアルをシールし、次いで、110℃まで加熱した。一晩攪拌した後、混合物を室温まで冷却した。CuI(2mg)およびN,N’−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジアミン(6uL)を加え、加熱を110℃で継続した。一晩攪拌した後、混合物を室温まで冷却し、およびEtOAcで希釈した。得られた混合物を濾過し、および濃縮した。粗製物質を分取用逆相HPLC(20×150mm Waters Sunfire(0.1%TFA)、20mL/分での20分間にわたる5ないし70%CHCN/水)によって精製して、表記化合物(33mg、54%)をコハク色フィルムとして得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.85(d,J=7.7Hz,2H);7.61(d,J=2.5Hz,1H);7.50−7.32(m,9H);7.12(d,J=2.6Hz,1H);6.73(d,J=2.5Hz,1H);5.21(s,2H);3.68(s,3H)。LC/MS(M+H)358。
3−ヒドロキシ−1−メチル−5−(3−フェニル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−2(1H)−オン(7)
【0133】
【化35】

3−(ベンジルオキシ)−1−メチル−5−(3−フェニル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−2(1H)−オン(33mg、0.092ミリモル)を、室温にて、MeOH(1mL)中の10%Pd/C(10mg、9.40μモル)で水素化した(バルーン)。一晩攪拌した後、混合物を、0.45μmのPTFEシリンジフィルターを用いて濾過し、および濃縮した。粗製物質を分取用逆相HPLC(20×150mm Waters Sunfire(0.1%TFA)、20mL/分での20分間にわたる5ないし60%CHCN/水)によって精製して、表記化合物(10mg、41%)を灰色がかった白色固体として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.86(d,J=7.6Hz,2H);7.71(s,1H);7.49−7.39(m、3H);7.35(m,1H);7.21(s,1H);6.95(bs,1H);6.75(d,J=2.4Hz,1H);3.71(s,3H)。HRMS(ES) (M+H)として 計算値268.1081、実測値268.1071。
実施例8
3−ヒドロキシ−1−メチル−5−(4−フェニル−1H−イミダゾール−1−イル)ピリジン−2(1H)−オン(8)
【0134】
【化36】

3−(ベンジルオキシ)−1−メチル−5−(4−フェニル−1H−イミダゾール−1−イル)ピリジン−2(1H)−オン
【0135】
【化37】

3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(50mg、0.170ミリモル)、4−フェニルイミダゾール(29mg、0.201ミリモル)、CsCO(111mg、0.340ミリモル)、CuI(2mg、10.50μモル)、およびN,N’−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジアミン(6μl、0.038ミリモル)をスクリュー・キャップ・バイアル中のDMF(0.5mL)中で合わせた。該バイアルをシールし、次いで、110℃まで加熱した。一晩攪拌した後、混合物を室温まで冷却した。CuI(2mg)およびN,N’−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジアミン(6uL)を加え、110℃にて加熱を継続した。6時間後、混合物を室温まで冷却した。混合物を、0.45μmのPTFEシリンジフィルターを用いて濾過し、次いで、分取用逆相HPLC(20×150mm Waters Sunfire(0.1%TFA)、20mL/分での20分間にわたる5ないし50%CHCN/水)によって精製した。生成物を含有する画分をプールし、次いで、(1M NaOH、HO、MeOHで予め洗浄した)Dowex 1×2−400イオン交換樹脂を通し、MeOHで洗浄した。濾液を濃縮して、表記化合物(32mg、53%)をコハク色フィルムとして得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.78(d,J=7.7Hz,2H);7.59(s,1H);7.45−7.36(m,9H);7.13(d,J=2.5Hz,1H);6.73(d,J=2.5Hz,1H);5.19(s,2H);3.65(s,3H)。LC/MS(M+H)358。
3−ヒドロキシ−1−メチル−5−(4−フェニル−1H−イミダゾール−1−イル)ピリジン−2(1H)−オン(8)
【0136】
【化38】

室温にて、3−(ベンジルオキシ)−1−メチル−5−(4−フェニル−1H−イミダゾール−1−イル)ピリジン−2(1H)−オン(32mg、0.090ミリモル)をMeOH(1mL)中の10%Pd/C(10mg、9.40μモル)で水素化した(バルーン)。一晩攪拌した後、混合物を、0.45μmのPTFEシリンジフィルターを用いて濾過し、および濃縮した。粗製物質を分取用逆相HPLC(20×150mm Waters Sunfire(0.1%TFA)、20mL/分での20分間にわたる5ないし40%CHCN/水)によって精製して、表記化合物のTFA塩(7.6mg、22%)を灰色がかった白色固体として得た。H NMR(500MHz,d6−DMSO):δ9.82(bs,1H);8.63(bs,1H);8.24(s,1H);7.84−7.79(m,3H);7.46(t,J=7.5Hz,2H);7.33(m,1H);7.19(d,J=2.8Hz,1H);3.56(s,3H)。HRMS(ES) (M+H)として 計算値268.1081、実測値268.1069。
実施例9
3−ヒドロキシ−1−メチル−5−(4−フェニルピリミジン−2−イル)ピリジン−2(1H)−オン(9)
【0137】
【化39】

3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモピリジン−2−オール
【0138】
【化40】

290mLのMeOH中の10.68g(56.2ミリモル)の5−ブロモピリジン−2,3−ジオールの溶液に1(N)水性NaOH溶液(56.2mL)を加えた。MeOH(20mL)中の臭化ベンジル(5.07mL、42.6ミリモル)の溶液をこの混合物に滴下した。室温で6時間攪拌した後、反応混合物を水およびEtOAcの間に分配した。層を分離し、および水性相をEtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機溶液をブライン(1×)で洗浄し、NaSOで乾燥し、および真空中で濃縮した。得られた固体をMeOH−EtOAcから再結晶して、3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモピリジン−2−オールを白色固体(7.9g、50%)として得た。
3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン
【0139】
【化41】

DMF(75mL)中の3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモピリジン−2−オール(5.8g、20.7ミリモル)の溶液にCsCO(8.8g、26.9ミリモル)を加えた。DMF(10mL)中のMeI(1.62mL、25.9ミリモル)の溶液をこの混合物に滴下した。室温にて3時間攪拌した後、反応混合物を濃縮した。残渣をHO中に取り、および水性溶液をCHCl(3×)で抽出した。合わせた有機溶液をブライン(1×)で洗浄し、NaSOで乾燥し、および濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(250gシリカゲル、ヘキサン中の50%EtOAc)による精製によって、4.02g(66%)の3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−1−メチルピリジン−2(1H)−オンを白色固体として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.43−7.32(m,5H)、7.05(s,1H)、6.91(s,1H)、5.11(s,2H)。
[5−(ベンジルオキシ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル]ボロン酸
【0140】
【化42】

塩化イソプロピルマグネシウム(THF中の2M、2.04mL)の溶液にLiCl(173mg、4.08ミリモル)を加え、得られた溶液を1時間攪拌した。THF(3mL)をこの溶液に加え、−10℃まで冷却した。固体3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(400mg、1.36ミリモル)を加え、および1時間攪拌した。ホウ酸トリメチル(0.456mL、4.08ミリモル)を反応混合物に加え、−10℃で1時間攪拌し、次いで、濃塩酸(0.6mL)でクエンチした。冷却浴を取り除き、室温で一晩攪拌し、および濃縮した。分取用HPLC(20分間にわたる5ないし95%CHCN/HO、0.05%添加TFA)による精製によって、276mgの[5−(ベンジルオキシ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル]ボロン酸(78%)を白色固体として得た。LC/MS(M+H)260.2。
3−(ベンジルオキシ)−1−メチル−5−(4−フェニルピリミジン−2−イル)ピリジン−2(1H)−オン
【0141】
【化43】

ジオキサン(1.5mL)中の[5−(ベンジルオキシ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル]ボロン酸(30mg、0.116ミリモル)、2−クロロ−4−フェニルピリミジン(23.2mg、0.122ミリモル)、ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(5.9mg、0.012ミリモル)およびフッ化カリウム(24mg、0.405ミリモル)の混合物を60℃にて22時間攪拌し、室温まで冷却し、およびシリカゲルのプラグを通して濾過した(EtOAcで洗浄)。合わせた濾液および洗液を濃縮した。分取用HPLC(20分間にわたる5ないし55%CHCN/HO、0.05%添加TFA)による精製によって、21mgの3−(ベンジルオキシ)−1−メチル−5−(4−フェニルピリミジン−2−イル)ピリジン−2(1H)−オン(49%)を黄色固体として得た。LC/MS(M+H)370.3。
3−ヒドロキシ−1−メチル−5−(4−フェニルピリミジン−2−イル)ピリジン−2(1H)−オン(9)
【0142】
【化44】

3−(ベンジルオキシ)−1−メチル−5−(4−フェニルピリミジン−2−イル)ピリジン−2(1H)−オン(21mg、0.057ミリモル)の溶液にエタンチオール(31.8mg、0.512ミリモル)、続いて、BF・OEt(73mg、0.512ミリモル)を加えた。得られた溶液を室温で18時間攪拌し、MeOHで希釈し、および濃縮した。分取用HPLC(20分間にわたる5ないし50%CHCN/HO、0.05%添加TFA)による精製によって、7.3mgの3−ヒドロキシ−1−メチル−5−(4−フェニルピリミジン−2−イル)ピリジン−2(1H)−オン(46%)を明るい紫色固体として得た。H NMR(500MHz,DMSO−d):δ9.41(br s,1H)、8.84(d,J=5.3Hz,1H);8.44(s,1H);8.33(s,2H);7.90(d,J=5.3Hz,1H);7.72(s,1H);7.59(s,3H);3.65(s,3H)。高分解能質量分析(FT/ICR) (M+H)として 計算値280.1081、実測値280.1080。
実施例10
2−(ビフェニル−3−イル)−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボニトリル(10)
【0143】
【化45】

2,3−ジブロモ−5,6−ジメトキシピリジン
【0144】
【化46】

5℃にて、AcOH(140mL)中の2,3−ジメトキシピリジン(10g、71.9ミリモル)およびNaOAc(15.92g、194ミリモル)の溶液に、AcOH(40mL)中の臭素(10mL、194ミリモル)の溶液をゆっくりと加えた。冷却浴を取り除き、室温で24時間攪拌し、次いで、混合物を破砕した氷上に注ぎ、続いて、25%水性NaOH溶液で中和した。水性相をCHCl(3×)で抽出した。合わせた有機溶液をNaSOで乾燥し、および濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(80gシリカゲル、ヘキサン中の1%ないし15%EtOAc)による精製によって、5.3g(25%)の2,3−ジブロモ−5,6−ジメトキシピリジンを白色固体として得た。LC/MS(M+H)298.0。
2−(ビフェニル−3−イル)−3−ブロモ−5,6−ジメトキシピリジンおよび3−(ビフェニル−3−イル)−2−ブロモ−5,6−ジメトキシピリジン
【0145】
【化47】

アルゴン下で、DMF(4mL)中の2,3−ジブロモ−5,6−ジメトキシピリジン(500mg、1.684ミリモル)、3−ビフェニルボロン酸(333mg、1.684ミリモル)、Pd(OAc)(11.34mg、0.051ミリモル)およびトリス(3−スルホナトフェニル)ホスフィン水和物ナトリウム塩(97mg、0.152ミリモル)の混合物にジイソプロピルアミン(0.6mL、4.21ミリモル)およびHO(1mL)を加えた。60℃で24時間攪拌した。室温まで冷却し、および水およびEtOAcの間に分配した。層を分離した。有機相を水(2×)で洗浄し、NaSOで乾燥し、および濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(80gシリカゲル、ヘキサン中の1%ないし10%EtOAc)、続いての、分取用HPLC(20分間にわたる15ないし95%CHCN/HO、0.05%添加NHOH)によって2回精製して、2−(ビフェニル−3−イル)−3−ブロモ−5,6−ジメトキシピリジンおよび3−(ビフェニル−3−イル)−2−ブロモ−5,6−ジメトキシピリジン(3:1)の混合物の222mgを得た。LC/MS(M+H)372.1。
2−(ビフェニル−3−イル)−5,6−ジメトキシピリジン−3−カルボニトリル
【0146】
【化48】

2−(ビフェニル−3−イル)−3−ブロモ−5,6−ジメトキシピリジンおよび3−(ビフェニル−3−イル)−2−ブロモ−5,6−ジメトキシピリジン(50mg、0.135ミリモル)の前記混合物に、アルゴン下で、Zn(CN)(32mg、0.27ミリモル)、Zn粉末(0.9mg、0.014ミリモル)、Pd(dba)(12.4mg、0.014ミリモル)、DPPF(15mg、0.027ミリモル)、DMA(2mL)を加え、120℃で3.5時間攪拌した。室温まで冷却し、および濾過した。分取用HPLC(20分間にわたる10→85%CHCN/HO、0.05%添加TFA)による精製によって、17mg(39%)の2−(ビフェニル−3−イル)−5,6−ジメトキシピリジン−3−カルボニトリルを黄褐色固体として得た。LC/MS(M+H)317.2。
2−(ビフェニル−3−イル)−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボニトリル(10)
【0147】
【化49】

CHCl(1mL)中の2−(ビフェニル−3−イル)−5,6−ジメトキシピリジン−3−カルボニトリル(17mg、0.054ミリモル)の溶液にBBr溶液(CHCl中の1M、0.537mL)を加え、45℃で19時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、および残渣を3N塩酸中で30分間攪拌した。沈澱した白色固体を濾過によって収集し、および分取用HPLC(20分間にわたる5ないし50%CHCN/HO、0.05%添加TFA)によって精製して、2mg(13%)の2−(ビフェニル−3−イル)−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボニトリルを白色固体として得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ7.89(s,1H)、7.81(d,J=7.2Hz,1H)、7.70(d,J=7.6Hz,2H)、7.65−7.58(m,2H)、7.47(t,J=7.6Hz,2H)、7.38(t、J=7.4Hz,1H)、6.96(s,1H)。高分解能質量分析(FT/ICR) (M+H)として 計算値289.0972、実測値289.0969。
実施例11
3−(ビフェニル−3−イル)−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−カルボニトリル(11)
【0148】
【化50】

3−ブロモ−5,6−ジメトキシピリジン−2−カルボニトリル
【0149】
【化51】

アルゴン下で、2,3−ジブロモ−5,6−ジメトキシピリジン(150mg、0.505ミリモル)、Zn(CN)(30mg、0.253ミリモル)、Zn粉末(3.3mg、0.051ミリモル)、Pd(dba)(13.9mg、0.015ミリモル)およびDPPF(8.4mg、0.015ミリモル)の混合物にDMA(1.5mL)を加え、120℃で3.5時間攪拌した。室温まで冷却し、濾過し、および分取用HPLC(20分間にわたる10ないし95%CHCN/HO、0.05%添加TFA)によって精製した。所望の画分をStrata−X−Cカチオン交換カラム上に負荷した。カラムを水およびMeOHで洗浄した後、カラムをMeOH中の5%NHOHで溶出して、32mg(26%)の3−ブロモ−5,6−ジメトキシピリジン−2−カルボニトリルを黄褐色固体として得た。LC/MS(M+H)243.1。
3−(ビフェニル−3−イル)−5,6−ジメトキシピリジン−2−カルボニトリル
【0150】
【化52】

アルゴン下で、DMF(1mL)中の3−ブロモ−5,6−ジメトキシピリジン−2−カルボニトリル(31mg、0.128ミリモル)、3−ビフェニルボロン酸(30mg、0.153ミリモル)、Pd(OAc)(5.7mg、0.026ミリモル)およびトリス(3−スルホナトフェニル)ホスフィン水和物ナトリウム塩(49mg、0.077ミリモル)の混合物にジイソプロピルアミン(0.045mL、0.319ミリモル)およびHO(0.25mL)を加えた。65℃で5分間攪拌した。分取用HPLC(20分間にわたる10ないし75%CHCN/HO、0.05%添加TFA)による精製によって、36mg(89%)の3−(ビフェニル−3−イル)−5,6−ジメトキシピリジン−2−カルボニトリルを白色固体として得た。LC/MS(M+H)317.1。
3−(ビフェニル−3−イル)−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−カルボニトリル(11)
【0151】
【化53】

CHCl(1mL)中の3−(ビフェニル−3−イル)−5,6−ジメトキシピリジン−2−カルボニトリル(34mg、0.107ミリモル)の溶液にBBr溶液(CHCl中の1M、2.149mL)を加え、50℃で21時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、および残渣を3N塩酸中で攪拌した。1時間後に、この混合物を濃縮し、および分取用HPLC(20分間にわたる5ないし60%CHCN/HO、0.05%添加TFA)による精製によって、17mg(55%)の3−(ビフェニル−3−イル)−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−カルボニトリルを明るいピンク色固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.75−7.65(m,2H)、7.65−7.53(m,3H)、7.47(t,J=8.0Hz,3H)、7.39(t,J=7.6Hz,1H)、7.12(s,1H)。LC/MS(M+H)289.2。
実施例12
5−ビフェニル−3−イル−4−フルオロ−3−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン(12)
【0152】
【化54】

5−(ビフェニル−3−イル)−2,3−ジメトキシピリジン
【0153】
【化55】

窒素下で、5−クロロ−2,3−ジメトキシピリジン(200mg、1.15ミリモル)、ビフェニル−3−イルボロン酸(207mg、1.045ミリモル)、PdCl(dppf)・CHCl(43mg、0.052ミリモル)の混合物にTHF(2.5mL)、続いて、1M水性NaCO溶液(1.57mL)を加えた。反応混合物を150℃で40分間加熱し(マイクロ波照射)、室温まで冷却し、および水およびEtOAcの間に分配した。層を分離し、および水性溶液をEtOAc(2×)で抽出した。合わせた有機溶液をNaSOで乾燥し、および濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(24gシリカゲル、ヘキサン中の1%ないし20%EtOAc)による精製によって、104mg(34%)の5−(ビフェニル−3−イル)−2,3−ジメトキシピリジンを明るい黄色粘性液体として得た。LC/MS(M+H)292.2。
5−(ビフェニル−3−イル)−4−フルオロ−2,3−ジメトキシピリジン
【0154】
【化56】

−78℃にて、THF(2mL)中の5−(ビフェニル−3−イル)−2,3−ジメトキシピリジン(52mg、0.178ミリモル)の溶液にヘキサン中のn−BuLi溶液(2.5M、0.157mL)を加え、次いで、−78℃の浴を0℃冷却浴で置き換えた。この温度で50分間攪拌した後、反応混合物を−78℃まで冷却し、次いで、固体N−フルオロベンゼンスルホンイミドをそれに加えた。10分後に、飽和水性NHCl溶液を加えることによって、反応物をクエンチし、次いで、EtOAcおよび飽和水性NaHCO溶液の間に分配した。層を分離し、水性溶液をEtOAc(2×)で抽出した。合わせた有機溶液をNaSOで乾燥し、および濃縮した。分取用HPLC(20分間にわたる10ないし85%CHCN/HO、0.05%添加TFA)による精製によって、16mg(29%)の5−(ビフェニル−3−イル)−4−フルオロ−2,3−ジメトキシピリジンを無色粘性物質として得た。LC/MS(M+H)310.2。
5−ビフェニル−3−イル−4−フルオロ−3−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン(12)
【0155】
【化57】

CHCl(1mL)中の5−(ビフェニル−3−イル)−4−フルオロ−2,3−ジメトキシピリジン(15mg、0.048ミリモル)の溶液に、BBrの塩化メチレン溶液(1M、0.97mL)を加えた。室温での24時間の攪拌後に、反応混合物を濃縮し、および得られた残渣を懸濁液として3N塩酸中で1時間攪拌した。濃縮し、MeOHでトリチュレートし、および沈澱した固体を濾過によって集め、MeOHで洗浄し、および真空中で乾燥して、12mg(88%)の5−ビフェニル−3−イル−4−フルオロ−3−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オンを白色固体として得た。H NMR(DMSO−d,400MHz)δ12.12(s,1H)、9.45(s,1H)、7.77−7.69(m,3H)、7.66−7.64(m,1H)、7.54−7.37(m,5H)、7.23(d,J=8.8Hz,1H)。高分解能質量分析(FT/ICR) (M+H)として 計算値282.0925、実測値282.0921。
実施例13
5−ビフェニル−3−イル−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(13)
【0156】
【化58】

3−(ベンジルオキシ)−5−(ビフェニル−3−イル)−4−フルオロピリジン−2(1H)−オン
【0157】
【化59】

5−ビフェニル−3−イル−4−フルオロ−3−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン(60mg、0.213ミリモル)の懸濁液に、1N水性NaOH溶液(0.235mL、0.235ミリモル)を加え、および得られた混合物を超音波処理して、清澄な溶液を作製した。この混合物にMeOH(0.3mL)中の臭化ベンジル(37mg、0.213ミリモル)の溶液を滴下し、室温で一晩攪拌し、次いで、濃縮した。分取用HPLC(20分間にわたる10ないし70%CHCN/HO、0.05%添加TFA)による精製によって、25mg(32%)の3−(ベンジルオキシ)−5−(ビフェニル−3−イル)−4−フルオロピリジン−2(1H)−オンを白色固体として得た。LC/MS(M+H)372.2。
3−(ベンジルオキシ)−5−(ビフェニル−3−イル)−4−フルオロ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン
【0158】
【化60】

DMF(0.8mL)中の3−(ベンジルオキシ)−5−(ビフェニル−3−イル)−4−フルオロピリジン−2(1H)−オン(24mg、0.065ミリモル)の溶液に、CsCO(27mg、0.084ミリモル)、続いて、DMF(0.05mL)中のMeI(10mg、0.071ミリモル)の溶液を加えた。室温で1時間攪拌した後、反応混合物を濾過した。分取用HPLC(20分間にわたる10ないし80%CHCN/HO、0.05%添加TFA)による精製によって、22mg(88%)の3−(ベンジルオキシ)−5−(ビフェニル−3−イル)−4−フルオロ−1−メチルピリジン−2(1H)−オンを無色ガラスとして得た。LC/MS(M+H)296.2。
5−ビフェニル−3−イル−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(13)
【0159】
【化61】

CHCl(0.8mL)中の3−(ベンジルオキシ)−5−(ビフェニル−3−イル)−4−フルオロ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(22mg、0.057ミリモル)の溶液に、エタンチオール(53mg、0.856ミリモル)、続いて、BF・OEt(0.108mL、0.856ミリモル)を加えた。得られた混合物を室温で3.5時間攪拌し、MeOHで希釈し、および濃縮した。分取用HPLC(20分間にわたる10ないし80%CHCN/HO、0.05%添加TFA)による精製によって、13mg(77%)の5−ビフェニル−3−イル−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オンを白色固体として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.61(d,J=7.9Hz,4H)、7.49(dt,J=22.1,7.5Hz,3H)、7.42−7.35(m,2H)、6.99(d,J=7.9Hz,1H)、6.40(br,1H)、3.69(s,3H)。高分解能質量分析(FT/ICR) (M+H)として 計算値296.1081、実測値296.1081。
実施例14
5−(ビフェニル−3−イル)−3−ヒドロキシ−6−(1−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(14)
【0160】
【化62】

2−ブロモ−6−ヨードピリジン−3−オール
【0161】
【化63】

346mLの水中の2−ブロモピリジン−3−オール(24.1g、139ミリモル)の懸濁液に炭酸カリウム(38.3g、277ミリモル)、次いで、ヨウ素(38.7g、152ミリモル)を加え、この混合物を室温で一晩攪拌した。0℃まで冷却した後、2N塩酸をガスの発生が止むまで加えた。酸性化は、pHが約6に到達して、沈澱を形成させるまで注意深く継続した。この沈澱を濾過によって集め、水で洗浄し、および真空デシケーター中で、一定の質量に到達するまで乾燥して、2−ブロモ−6−ヨードピリジン−3−オール(33g、79%収率)を得た。ES−MS(M+H)=300。
3−(ベンジルオキシ)−2−ブロモ−6−ヨードピリジン
【0162】
【化64】

100mLのメタノール中の2−ブロモ−6−ヨードピリジン−3−オール(10g、33.3ミリモル)の溶液に炭酸カリウム(9.22g、66.7ミリモル)および臭化ベンジル(11.9mL、100ミリモル)を加え、得られた混合物を窒素下にて一晩、50℃まで加熱した。冷却の後、混合物を減圧下で濃縮し、および得られた残渣を水および酢酸エチルの間に分配した。水性層を取り出し、および捨てた。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、および減圧下で濃縮して、3−(ベンジルオキシ)−2−ブロモ−6−ヨードピリジンを含有する残渣を得た。この粗生成物をさらに精製することなく引き続いての工程で用いた。ES−MS(M+H)=391。
3−(ベンジルオキシ)−6−ヨード−2−[(4−メトキシベンジル)オキシ]ピリジン
【0163】
【化65】

33mLのDMF中のp−メトキシベンジルアルコール(13.83g、100ミリモル)の0℃溶液に水素化ナトリウム(4g、100ミリモル)をゆっくりと加えた。混合物を、水素の発生が止むまで室温で攪拌し、および粗製3−(ベンジルオキシ)−2−ブロモ−6−ヨードピリジン(13.01g、33.4ミリモル)を加えた。得られた溶液を窒素下にて1時間、100℃まで加熱した。冷却の後、混合物を水で希釈し、および酢酸エチルで抽出した。水性層を取り出し、および捨てた。有機層を集め、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、およびシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、3−(ベンジルオキシ)−6−ヨード−2−[(4−メトキシベンジル)オキシ]ピリジン(12.1g、27.1ミリモル、81%収率)を得た。ES−MS(M+H)=448。
3−(ベンジルオキシ)−6−ヨードピリジン−2(1H)−オン
【0164】
【化66】

DCM(63mL)中の3−(ベンジルオキシ)−6−ヨード−2−[(4−メトキシベンジル)オキシ]ピリジン(28g、62.6ミリモル)の溶液にトリフルオロ酢酸(4.82mL、62.6ミリモル)を加えた。得られた溶液を室温で30分間攪拌した。混合物を減圧下で濃縮して、3−(ベンジルオキシ)−6−ヨードピリジン−2(1H)−オンを含有する明るい黄色シロップを得た。この粗生成物をさらに精製することなく引き続いての工程で用いた。ES−MS(M+H)=328。
3−(ベンジルオキシ)−6−ヨード−1−メチルピリジン−2(1H)−オン
【0165】
【化67】

メタノール(626mL)中の3−(ベンジルオキシ)−6−ヨードピリジン−2(1H)−オン(20.48g、62.6ミリモル)の溶液に炭酸カリウム(8.56g、62.6ミリモル)およびヨードメタン(3.91mL、62.6ミリモル)を加え、および得られた混合物を室温で2日間攪拌した。残渣を減圧下で濃縮し、および得られた残渣を水および酢酸エチルの間に分配した。水性層を取り出し、および捨てた。有機層を集め、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、およびシリカゲルクロマトグラフィーを用いて精製して、3−(ベンジルオキシ)−6−ヨード−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(15.4g、45.1ミリモル、72%収率)を得た。ES−MS(M+H)=342。
3−(ベンジルオキシ)−5,6−ジブロモ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン
【0166】
【化68】

451mLの酢酸中の3−(ベンジルオキシ)−6−ヨード−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(15.4g、45.1ミリモル)の溶液に臭素(9.3mL、181ミリモル)を加えた。得られた溶液を室温で一晩攪拌した。形成された固体物質を濾過によって集め、少量の酢酸で洗浄し、および減圧下で乾燥して、3−(ベンジルオキシ)−5,6−ジブロモ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(10.3g、27.6ミリモル、61.2%収率)を得た。ES−MS(M+H)=374。
5−(ベンジルオキシ)−3−ブロモ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−カルバルデヒド
【0167】
【化69】

THF(20mL)中の3−(ベンジルオキシ)−5,6−ジブロモ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(1.5g、4.02ミリモル)の−78℃溶液にTHF中の2M塩化イソプロピルマグネシウム(4.02mL、8.04ミリモル)を滴下した。この混合物を窒素下にて−78℃で15分間攪拌し、およびN−メチル−N−ピリジン−2−イルホルムアミド(1.4mL、12.06ミリモル)を加えた。混合物をゆっくりと一晩で室温まで温めた。揮発物を減圧下で除去し、および得られた残渣を希塩酸および酢酸エチルの間に分配した。水性層を取り出し、および捨てた。有機層を集め、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、およびシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、5−(ベンジルオキシ)−3−ブロモ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−カルバルデヒド(1.09g、3.38ミリモル、84%収率)を得た。ES−MS(M+H)=323。
3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−6−(1−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−1−メチルピリジン−2(1H)−オン
【0168】
【化70】

34mLのTHF中の5−(ベンジルオキシ)−3−ブロモ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−カルバルデヒド(1.09g、3.38ミリモル)の0℃溶液に、塩化ベンジルマグネシウム(2.55g、3.38ミリモル)を滴下した。混合物を0℃で1時間攪拌した。室温まで温めた後、揮発物を減圧下で除去した。得られた残渣を希塩酸および酢酸エチルの間に分配した。水性層を取り出し、および捨て、有機層を集め、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、およびシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−6−(1−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(1g、2.41ミリモル、71%収率)を得た。ES−MS(M+H)=415。
3−(ベンジルオキシ)−5−(ビフェニル−3−イル)−6−(1−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−1−メチルピリジン−2(1H)−オン
【0169】
【化71】

2mLのTHF中の3−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−6−(1−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(0.34g、0.821ミリモル)の溶液にPdCl(dppf)−CHClアダクト(67mg、0.082ミリモル)、ビフェニル−3−イルボロン酸(179mg、0.903ミリモル)、および1N水性炭酸セシウム溶液(2mL、2ミリモル)を加えた。得られた混合物をシールされたバイアル中にて155℃で10分間マイクロ波処理した。水性層を取り出し、および捨て、有機層を集め、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し、およびシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、3−(ベンジルオキシ)−5−(ビフェニル−3−イル)−6−(1−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(100mg、0.205ミリモル、25%収率)を得た。
5−(ビフェニル−3−イル)−3−ヒドロキシ−6−(1−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(14)
【0170】
【化72】

5mLのメタノール中の3−(ベンジルオキシ)−5−(ビフェニル−3−イル)−6−(1−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(100mg、0.205ミリモル)の溶液に10%パラジウム−炭素(21.83mg、0.02ミリモル)を加えた。得られた混合物を水素(1気圧)下にて室温で45分間攪拌した。混合物を濾過して、チャコールを除去し、濃縮し、および逆相HPLCによって精製して、5−(ビフェニル−3−イル)−3−ヒドロキシ−6−(1−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(25.4mg、0.064ミリモル、31.2%収率)を得た。ES−MS(M+H)=398。高分解能質量分析(ESI) (M+H)=として 計算値398.1751、実測値398.1754
実施例15
6−(1−ベンジル−1H−ピラゾール−4−イル)−3−ヒドロキシ−1H−ピリジン−2−オン(15)
【0171】
【化73】

1mL(1ミリモル)の1MCsCO水溶液中の0.05g(0.17ミリモル)の1−ベンジル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールの懸濁液に、2.7mg(0.005ミリモル)のビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウムおよび0.035g(0.11ミリモル)の3−ベンジルオキシ−6−ヨード−1H−ピリジン−2−オンを含有する1mLのTHF溶液を加えた。得られた混合物をマイクロ波によって10分間で150℃まで加熱した。冷却の後、水性層をピペットによって除去し、および残存する有機物を濃縮した。得られた残渣を2mLのEtOH/AcOH(10:1)に溶解させ、0.05g(0.047ミリモル)のPd/C(10%)を加え、および得られた懸濁液を、攪拌しつつ、水素雰囲気(1気圧)下に6時間置いた。次いで、混合物を、セライトを通して濾過し、および濃縮した。自動マスガイデッドHPLCによる精製によって、1.7mg(4.2%)の3−ヒドロキシ−6−(4−フェノキシ−フェニル)−1H−ピリジン−2−オンを得た。H NMR δ(ppm)(DMSO−d):8.29(1H,s)、7.95(1H,s)、7.39−7.23(7H,m)、6.71(1H,d,J=7.46Hz)、6.32(1H,d,J=7.41Hz)、5.32(2H,s)。高分解能質量分析(FT/ICR)(M+H)として 計算値268.1081、実測値268.1078。
実施例16
6−(4−クロロフェニル)−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(16)
【0172】
【化74】

6−(4−クロロフェニル)−3−メトキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン
【0173】
【化75】

2mLのTHF中の6−ヨード−3−メトキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(100mg、0.377ミリモル)の溶液に4−クロロフェニルボロン酸(59mg、0.377ミリモル)、PdCl(dppf)−DCMアダクト(30.8mg、0.038ミリモル)および1M炭酸セシウム水溶液(1mL、1ミリモル)を加え、シールされたバイアル中にて、10分間で160℃まで加熱した。冷却の後、水性層を取り出し、および捨てた。有機層を集め、乾燥し、および蒸発させて、6−(4−クロロフェニル)−3−メトキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オンを含有する残渣を得た。この粗製残渣をさらに精製することなく引き続いての工程で用いた。
6−(4−クロロフェニル)−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(16)
【0174】
【化76】

5mLのアセトニトリル中の粗製6−(4−クロロフェニル)−3−メトキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オンの溶液にヨードトリメチルシラン(154μL、1.132ミリモル)を加え、混合物を10分間、150℃まで加熱した。反応混合物を過剰なメタノールでクエンチし、留去し、および逆相HPLCを用いて精製して、6−(4−クロロフェニル)−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(17.3mg、19.44%収率)を得た。H NMR(499MHz,DMSO−d):δ7.68(d,1H)、7.49(dd,1H)、3.74(s,1H)、2.54(s,1H)。
高分解能質量分析(ESI)(M+H)として 計算値236.0473、実測値236.0471
アッセイ
COMT阻害剤としての本発明による化合物の活性は、当該分野でよく知られた蛍光または蛍光偏光(FP)方法を用いて、過度な実験なくして容易に決定することができる(Kurkela M et al.,Anal Biochem(331)2004,198−200およびGraves,TL et al.,Anal Biochem(373)2008,296−306)。アッセイは、C末端の6または10−ヒスチジンタグを含有するVal158変種の精製されたヒトCOMT酵素(膜結合MB−COMTまたは可溶性S−COMT)を利用した。以下の実施例の化合物は、エスクレチンのメチル化を阻害する、および/またはS−アデノシル−ホモシステイン(SAH)の生産を阻害する能力を呈することによって、参考アッセイにおいて活性を有した。1μM未満のIC50を呈するいずれの化合物も、本明細書中に定義されたCOMT阻害剤と考えられる。
【0175】
典型的な実験において、本発明の化合物のCOMT阻害活性は、後に詳細に記載する以下の実験方法によって決定した。蛍光アッセイは、高い蛍光性生成物(7−ヒドロキシ−6−メトキシクマリンまたは「スコポレチン」)を生じさせるCOMTによる基質(6,7−ジヒドロキシクマリンまたは「エスクレチン」)のメチル化に基づくものであった。反応は、マグネシウムイオンおよびメチルドナー、この場合、S−アデノシルメチオニン(SAM)の存在を必要とする。DMSO中の10mMの化合物のストックを用いて、10点の3倍希釈系列を調製し、1uLの適切な希釈をアッセイウエル(Costarからの黒色96ウエル丸底ポリスチレンプレート;カタログ番号3792)に平板培養した。組換え酵素をアッセイ緩衝液(100mM NaHPO pH7.4、1mM DTT、0.005%Tween−20)に希釈し、35μLを、1μLの化合物を含有するアッセイウエルに加えた。COMT酵素および化合物のプレインキュベーションは室温で2時間進行させた。酵素アッセイは、40μMのSAM(USBカタログ番号US10601)、4μMエスクレチン(基質)および40mM MgClを含有する5uLの混合物で開始した。生成物(スコポレチン)の形成は、Tecan Safireプレートリーダーを用い、蛍光(励起340nm、発光460nm、ラグ無し、100μs積分時間、5フラッシュ、トップリード)によって経時的にモニターした。アッセイは、シグナル対バックグラウンドが4対1となるまで経時的にモニターした。滴定曲線およびIC50値は標準的な手法を用いて計算した。簡単に述べると、データは(テストウエルの平均)−(無酵素対照の平均)/(合計酵素対照の平均)−(無酵素対照の平均)として計算し、次いで、パーセンテージとして表し、および100から差し引いて、COMT活性のパーセント阻害を得た。いくつかの場合において、化合物は、酵素アッセイの開始に先立って、室温にて2時間MB−COMTと共にプレインキュベートしなかった。
【0176】
蛍光偏光アッセイにおいて、IC50値を決定するために、テスト化合物の溶液を調製し、および先に述べたようにCOMT酵素と共にプレインキュベートした。酵素反応は、8μM SAM(USBカタログ番号US10601)、16μMドーパミン(Sigmaカタログ番号H8502)および40mM MgClを含有するアッセイ緩衝液中で調製した5μLの8×ミックスの添加に際して開始した。室温での25分間のインキュベーションの後、反応物を5μLの250mM EDTA、pH8.2でクエンチした。クエンチされた反応物に対して、S−アデノシル−L−システイン(SAC)TAMRAトレーサー(1:80,000希釈されたAnaspecからの2mM)、および抗S−アデノシル−L−ホモシステイン抗体(Abbottのホモシステイン検出キットからのマウスモノクローナル、カタログ番号7D29−20)の1:20希釈を含有する予め形成された複合体の20μLをアッセイ緩衝液II(NaHPO pH7.2)中で調製した。クエンチされた酵素アッセイと組み合わせるに先立って、光から保護しつつ、SAH抗体/SAC TAMRAトレーサー複合体を室温で30分間実行した。従って、SAH抗体/SAC TAMRAミックスの最終濃度は、各々、1:60および1:240,000であった。光から保護された、室温での2.5時間のインキュベーションの後、蛍光偏光はTecan Safireプレートリーダー(励起530nm、発光595nm)を用いて測定した。滴定曲線およびIC50値は標準的なプロトコルを用いて計算した。
【0177】
式Iの化合物は、COMTについて100μM以下のIC50活性を有する。式Iの化合物の多くは、200nM未満のIC50を有する。例えば、以下の化合物は「エスクレチンまたは蛍光偏光アッセイ」においてIC50<400nMを有する。特に、34ないし36頁の実施例1および4の化合物、および表1中の化合物1,2および8は、以下のIC50(nM)値を呈した。
化合物 MB−COMT IC50−(nM)
実施例1 392
実施例4 118
化合物番号1 179
化合物番号2 31
化合物番号8 197

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:
【化1】

[式中、
Yは水素、CN、C2−6アルキニル、(CH5−10ヘテロシクリル、(CH6−10アリールを表し、該アルキニル、ヘテロシクリルおよびアリールはRのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよく;
X、X、およびRは、独立して、水素、ハロ、CN、C1−6アルキル、C2−6アルキニル、(CH6−10アリール、(CH5−10ヘテロシクリルを表し、該アルキル、ヘテロシクリル、およびアリールは、Rのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよく;
はH、OH、C1−6アルキル、N(CH、(CH3−10シクロアルキル、(CH5−10ヘテロシクリル、(CH6−10アリールを表し、該アリールおよびヘテロシクリルは、Rのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよく;
はC1−6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、C2−4アルキニル、(CHCF、OCHF、OCF、C3−6シクロアルキル、NRC(O)R、C(O)N(R、C(ROR、C(O)R、NO、CN、N(R、(CHC(O)OR、SO、NHSO、OR、(CH5−10ヘテロシクリル、C(O)(CH5−10ヘテロシクリル、(CH6−10アリール、またはC(O)(CH6−10アリールを表し、該アルキル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびアリールはRのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよく;
はC1−6アルキル、ハロゲン、CHF、OCHF、−O−、N(R、CHOH、(CH6−10アリール、(CH5−10ヘテロシクリル、OR、C3−6シクロアルキル、(CHCF、またはCNを表し;そして
nは0ないし5を表す]
の化合物、ならびにその互変異性体または医薬上許容される塩および個々のエナンチオマーおよびジアステレオマー。
【請求項2】
Yがフェニルおよびナフチルよりなる群から選択される(CH6−10アリールであり、該フェニルおよびナフチルはRのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Yが、その全てがRのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよい、キノリニル、イソキノリニル、チアゾリル、トリアゾリル、ピロリル、ピロリジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、およびピリミジニルよりなる群から選択される(CH5−10ヘテロシクリルである請求項1記載の化合物。
【請求項4】
YがRのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよいC2−6アルキニルである請求項1記載の化合物。
【請求項5】
が置換されていてもよいC1−6アルキルまたは水素であって、XおよびXの双方が水素である請求項1記載の化合物。
【請求項6】
Y上のR置換基がC1−6アルキル、CF、OCF、ハロ、CN、NHSO、NHC(O)R、C(O)N(R、(CH6−10アリール、C(O)(CH6−10アリール、C5−10ヘテロシクリル、C(O)C5−10ヘテロシクリル、OC1−6アルキル、およびOC6−10アリールよりなる群から選択され、該アルキル、アリールおよびヘテロシクリルはRのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物。
【請求項7】
構造式Ia:
【化2】

[式中、
は水素またはC1−6アルキルであり、およびRはC1−6アルキル、CF、OCF、ハロ、CN、NHSO、NHC(O)R、C(O)N(R、(CH6−10アリール、C(O)(CH6−10アリール、C5−10ヘテロシクリル、C(O)C5−10ヘテロシクリル、OC1−6アルキル、およびOC6−10アリールよりなる群から選択され、該アルキル、アリールおよびヘテロシクリルはRのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよい]
によって表される請求項1記載の化合物、ならびにその互変異性体または医薬上許容される塩および個々のエナンチオマーおよびジアステレオマー。
【請求項8】
構造式Ib:
【化3】

[式中、
は水素またはC1−6アルキルであり、およびRはC1−6アルキル、CF、OCF、ハロ、CN、NHSO、NHC(O)R、C(O)N(R、(CH6−10アリール、C(O)(CH6−10アリール、C5−10ヘテロシクリル、C(O)C5−10ヘテロシクリル、OC1−6アルキル、およびOC6−10アリールよりなる群から選択され、該アルキル、アリールおよびヘテロシクリルはRのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよい]
によって表される請求項1記載の化合物、ならびにその互変異性体または医薬上許容される塩および個々のエナンチオマーおよびジアステレオマー。
【請求項9】
構造式Ic:
【化4】

[式中、
は水素またはC1−6アルキルであり、およびRはC1−6アルキル、CF、OCF、ハロ、CN、NHSO、NHC(O)R、C(O)N(R、(CH6−10アリール、C(O)(CH6−10アリール、C5−10ヘテロシクリル、C(O)C5−10ヘテロシクリル、OC1−6アルキル、およびOC6−10アリールよりなる群から選択され、該アルキル、アリールおよびヘテロシクリルはRのうちの1ないし3個の基で置換されていてもよい]
によって表される請求項1記載の化合物、ならびにその互変異性体または医薬上許容される塩および個々のエナンチオマーおよびジアステレオマー。
【請求項10】
3−ヒドロキシ−1−メチル−5−ナフタレン−2−イルピリジン−2(1H)−オン;
5−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン;
3−ヒドロキシ−5−(イソキノリン−4−イル)ピリジン−2(1H)−オン;
3−ヒドロキシ−5−[4−(モルホリン−4−イルカルボニル)フェニル]ピリジン−2(1H)−オン;
3−ヒドロキシ−1−メチル−5−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピリジン−2(1H)−オン;
3−ヒドロキシ−1−メチル−5−[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ピリジン−2(1H)−オン;
3−ヒドロキシ−5−(ナフタレン−1−イル)ピリジン−2(1H)−オン;
3−(5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)ベンゾニトリル;
3−ヒドロキシ−5−[3−(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピリジン−2(1H)−オン;
N−[3−(5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)フェニル]−4−メチルベンゼンスルホンアミド;
N−[5−(5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)−1,3−チアゾール−2−イル]アセトアミド;
5−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−エチル−3−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン;
5−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−ヒドロキシ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピリジン−2(1H)−オン;
3−ヒドロキシ−1−メチル−5−[3−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)フェニル]ピリジン−2(1H)−オン;
N−シクロヘキシル−4−(5−ヒドロキシ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)−N−メチルベンズアミド;
5−[(2,4−ジクロロフェニル)エチニル]−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン;
5−ビフェニル−3−イル−6−ブロモ−3−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン;
3−ヒドロキシ−1−メチル−6−(フェニルエチニル)ピリジン−2(1H)−オン;
6−ビフェニル−4−イル−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン;
3−ヒドロキシ−1−メチル−6−[4−(フェニルカルボニル)フェニル]ピリジン−2(1H)−オン;
5−[4−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾオキサゼピン−4(5H)−イルカルボニル)フェニル]−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン;
5−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2−(1H)−オン
6−(3,4−ジクロロフェニル)−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン
5−(2,4−ジクロロ−フェニル)−3−ヒドロキシ−1−メチル−1H−ピリジン−2−オン;
5−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−ヒドロキシ−1−(プロパン−2−イル)ピリジン−2(1H)−オン;
5−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−(ジフルオロメチル)−3−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン;
5−ビフェニル−3−イル−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン;
5−(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン;
3−ヒドロキシ−1−メチル−5−(2−オキソ−フェニルピロリジン−1−イル)ピリジン−2(1H)−オン;
3−ヒドロキシ−1−メチル−5−(3−フェニル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−2(1H)−オン;
3−ヒドロキシ−1−メチル−5−(4−フェニル−1H−イミダゾール−1−イル)ピリジン−2(1H)−オン;
3−ヒドロキシ−1−メチル−5−(4−フェニルピリミジン−2−イル)ピリジン−2(1H)−オン;
2−(ビフェニル−3−イル)−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボニトリル;
3−(ビフェニル−3−イル)−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−カルボニトリル;
5−(ビフェニル−3−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン;
5−(ビフェニル−3−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン;
5−(ビフェニル−3−イル)−3−ヒドロキシ−6−(1−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−1−メチルピリジン−2−オン;
6−(1−ベンジル−1H−ピラゾール−4−イル)−3−ヒドロキシ−1H−ピリジン−2−オン;
6−(4−クロロフェニル)−3−ヒドロキシ−1−メチルピリジン−2(1H)−オン
である化合物、ならびにその互変異性体または医薬上許容される塩および個々のエナンチオマーおよびジアステレオマー。
【請求項11】
不活性な担体および有効量の請求項1記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項12】
治療上有効量の請求項1に記載の式Iの化合物、またはその医薬上許容される塩、および個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーを、前記患者に投与することを含む、神経学的および精神医学的障害および病気を治療し、および/または予防する方法。
【請求項13】
治療上有効量の請求項1に記載の式Iの化合物またはその医薬上許容される塩、および個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーを、前記患者に投与することを含む、統合失調症の陰性兆候を治療しおよび/または予防し、統合失調症の陽性兆候、大鬱病、双極性障害の鬱病相、ADD/ADHDのようなDA欠乏関連病、および物質依存症(例えば、オピエート、タバコ中毒等)の治療における抗精神病薬の効果を増加させ、および禁煙または抗精神病薬の使用に関連する体重増加/食物切望を治療および/または予防する方法。
【請求項14】
オピエートアゴニストまたはアンタゴニスト、カルシウムチャネルアンタゴニスト、5HT、5−HT1A完全または部分的受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、ナトリウムチャネルアンタゴニスト、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、COX−2選択的阻害剤、ニューロキニン受容体1(NK1)アンタゴニスト、非ステロイド抗炎症薬物(NSAID)、選択的セロトニン再摂取阻害剤(SSRI)および/または選択的セロトニンおよびノルエピネフリン再摂取阻害剤(SSNRI)、三環抗鬱薬物、ノルエピネフリンモジュレーター、リチウム、バルプロエート、ノルエピネフリン再摂取阻害剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤(RIMA)、アルファ−アドレナリン受容体アンタゴニスト、非典型的抗鬱薬、ベンゾジアゼピン、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)アンタゴニスト、ニューロンチン(ガバペンチン)およびプレガバリンよりなる群から選択される1以上の治療的に活性な化合物をさらに含む請求項11記載の組成物。

【公表番号】特表2013−521286(P2013−521286A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556122(P2012−556122)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2011/026414
【国際公開番号】WO2011/109261
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】