説明

カテプシンシステインプロテアーゼ阻害剤

本発明は、カテプシンK、L、SおよびBの阻害剤を含む(これらに限定しない。)システインプロテアーゼ阻害剤である、下式(G、E、F、n、R、R、RまたはRの意味は本明細書に示されている。)により表される新規クラスの化合物に関する。これらの化合物は、骨粗しょう症などの疾患の、骨再吸収の阻害が示される治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ヒトおよび他の動物における種々の疾患は、異常な骨再吸収に関与するか、または異常な骨再吸収を伴う。このような疾患としては、限定しないが、骨粗しょう症、グルココルチコイド誘導骨粗しょう症、ページェット病、異常増加骨代謝回転、歯周病、歯の喪失、骨折、リウマチ様関節炎、骨関節炎、補てつ周囲骨変性、骨形成不全、アテローム硬化症、肥満、慢性閉塞性肺疾患、転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症または多発性骨髄腫が挙げられる。これらの疾患のうち最も一般的なものの1つは、骨粗しょう症であり、その最も頻繁な出現は、閉経後の女性に生じる。骨粗しょう症は、低骨質量および骨組織のミクロ構築の劣化を特徴とする全身骨格疾患であり、骨の脆弱化および骨折に対する感受性の増加をもたらす。骨粗しょう症の骨折は、高齢人口における罹患率および死亡率の主要原因である。女性の50%ほどおよび男性の三分の一は、骨粗しょう症骨折を経験している。老齢人口の大部分は、低骨密度および骨折の高い危険性を有している。骨粗しょう症および骨再吸収を伴う他の病態の予防および治療双方の重大な必要性がある。骨粗しょう症加えて骨喪失を伴う他の疾患は、一般に慢性病態であるので、適切な療法は、通常長期間の慢性治療を必要とすると考えられている。
【0002】
骨粗しょう症は、骨強度の喪失および骨折率の増加をもたらす、骨構築と無機質化の喪失進行性を特徴とする。骨格は、新規な骨を作る骨芽細胞と骨を破壊または再吸収する破骨細胞との間のバランスにより一定して再構築される。幾つかの疾患病態と年齢が進行すると、骨形成と再吸収との間のバランスが破壊され、骨は、より速い速度で除かれる。形成を超えた再吸収のこのような持続的不均衡により、より弱い骨構造および骨折のより高い危険性をもたらす。
【0003】
骨吸収は、多核巨細胞である破骨細胞により主として行われる。破骨細胞は、失ず骨組織に細胞付着して、次いで細胞外区画または小腔を形成することにより骨を再吸収する。この小腔は、プロトン−ATPポンプにより低pHに維持される。この小腔における酸性環境は、骨の初期脱ミネラル化、次いでシステインプロテアーゼなどのプロテアーゼによる骨蛋白質またはコラーゲンの分解を進める。Delaisse,J.M.ら、1980年、Biochem J192:365〜368頁;Delaisse,J.ら、1984年、Biochem Biophys Res Commun:441〜447頁;Delaisse,J.M.ら、1987年、Bone 8:305〜313頁参照、これらの全体を参照により本明細書に組み込む。コラーゲンは、骨の有機マトリクスの95%を構成している。したがって、コラーゲン分解に関与しているプロテアーゼは、骨代謝回転の必須の成分であり、その結果、骨粗しょう症の発生および進行に関与する。
【0004】
カテプシン類は、システインプロテアーゼのパパインスーパーファミリーに属する。これらのプロテアーゼは、結合組織の正常な生理学的機能を果し、加えて結合組織の病理学的分解を果す。カテプシン類は、細胞内蛋白質分解および代謝回転率ならびに再構築において主要な役割を演じる。今日まで、多数の起源から多くのカテプシン類が特定され、配列決定されている。これらのカテプシン類は、多種多様の組織に天然に存在する。例えば、カテプシンB、C、F、H、L、K、O、S、V、W、およびZがクローン化されている。カテプシンK(略語cat Kによっても知られている)は、カテプシンOおよびカテプシンO2としても知られている。1996年5月9日に公開されたKhepri Pharmaceuticals,Inc.のPCT出願WO 96/13523を参照、この全体を参照により本明細書に組み込む。カテプシンLは、正常なリソソーム蛋白分解に関係し、加えて、限定しないが、黒色腫の転移など、幾つかの疾患状態に関係している。カテプシンSは、アルツハイマー病、喘息、アテローム硬化症、慢性閉塞性肺疾患および自己免疫疾患(限定しないが、若年発症糖尿病、多発性硬化症、尋常性天疱瘡、グレーブス病、重症筋無力症、全身紅斑性狼蒼、リウマチ様関節炎および橋本甲状腺炎など);アレルギー性疾患(限定しないが、喘息など);ならびに同種異系免疫応答(限定しないが、臓器移植または組織移植片の拒絶など)に関係している。カテプシンB濃度の増加および酵素の再分布は、腫瘍に見られ、腫瘍侵襲および転移における役割を示唆する。さらに、異常カテプシンB活性は、リウマチ様関節炎、骨粗しょう症、カリニ肺炎、急性膵炎、炎症性気道疾患および骨および関節疾患などの疾患状態に関係している。
【0005】
哺乳動物のカテプシン類は、原生動物、扁形動物、線虫および節足動物ファミリーのものなど、疾患原因寄生虫により発現されるパパイン様システインプロテアーゼに関連している。これらのシステインプロテアーゼは、これら生物のライフサイクルにおいて本質的な役割を演じている。
【0006】
E−64(トランス−エポキシスクシニル−L−ロイシルアミド−(4−グアニジノ)ブタン)などのシステインプロテアーゼ阻害剤は、骨再吸収を阻害する効果があることが知られている。Delaisse,J.M.ら、1987年、Bone 8:305〜313頁を参照、この全体を参照により本明細書に組み込む。最近、カテプシンKがクローン化され、骨粗しょう症において特異的に発現されることが判った。Tezuka,K.ら、1994年、J Biol Chem 269:1106〜1109頁;Shi,G.P.ら、1995年、FEBS Lett 357:129〜134頁;Bromme,D.およびOkamoto,K.1995年、Biol Chem Hoppe Seyler 376:379〜384頁;Bromme,D.ら、J Biol Chem 271:2126〜2132頁;Drake,F.H.ら、1996年、J Biol Chem 271:12511〜12516頁を参照、これらの全体を参照により本明細書に組み込む。クローニングと共に、骨再吸収の減少を伴う大理石骨病表現型を特徴とする常染色体劣性遺伝疾患、ピクノ骨形成不全は、カテプシンK遺伝子に存在する変異に位置づけされる。今日まで、カテプシンK遺伝子において特定された全ての変異は、コラゲナーゼ活性を失わせることが知られている。Gelb,B.D.ら、1996年、Science 273:1236〜1238頁;Johnson,M.R.ら、1996年、Genome Res 6:1050〜1055頁;Hou,W.−S.ら、1999年 J.Clin.Invest.103、731〜738頁を参照、これらの全体を参照により本明細書に組み込む。したがって、カテプシンKは、破骨細胞媒介骨再吸収に関与すると思われる。
【0007】
カテプシンKは、37kDaのプレ−プロ酵素として合成され、リソソーム区画に位置し、低pHにおいて成熟27kDa酵素に自動的になって活性化される。McQuency,M.S.ら、1997年、J Biol Chem 272:13955〜13960頁;Littlewood−Evans,A.ら、1997年、Bone 20:81〜86頁を参照、これらの全体を参照により本明細書に組み込む。カテプシンKは、アミノ酸レベルで56%配列同一性を有するカテプシンSに最も緊密に関連している。カテプシンKのS基質特異性は、それぞれ、アルギニンなどの陽電荷残基、フェニルアラニンまたはロイシンなどの疎水性残基についてのP1位およびP2位における優先性を有していて、カテプシンSのものと類似している。Bromme,D.ら、1996年、J Biol Chem 271:2126〜2132頁;Bossard,M.J.ら、1996年、J Biol Chem 271:12517〜12524頁を参照、これらの全体を参照により本明細書に組み込む。カテプシンKは、pH4〜8の間で有意な活性を有する広いpH範囲で活性であり、したがって、pHが約4〜5である破骨細胞の再吸収小腔において良好な触媒活性を与える。
【0008】
骨中の主要コラーゲンであるヒトI型コラーゲンは、カテプシンKの良好な基質である。Kafienah,W.ら、1998年、Biochem J 331:727〜732頁を参照、この全体を参照により本明細書に組み込む。カテプシンKに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いるインビトロ実験は、インビトロでの骨再吸収の減少を示し、この減少は、カテプシンKmRNAの翻訳の減少のためであろう。Inui,T.ら、1997年、J Biol Chem 272:8109〜8112頁を参照、この全体を参照により本明細書に組み込む。カテプシンKの結晶構造は解決されている。McGrath,M.E.ら、1997年、Nat Struct Biol 4:105〜109頁;Zhao,B.ら、1997年、Nat Struct Biol 4:109〜11頁を参照、これらの全体を参照により本明細書に組み込む。また、カテプシンKの選択的ペプチドベースの阻害剤が開発されている。Bromme,D.ら、1996年、Biochem J 315:85〜89頁;Thompson,S.K.ら、1997年、Proc Natl Acad Sci USA 94:14249〜14254頁を参照、これらの全体を参照により本明細書に組み込む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、カテプシンKの阻害剤は、骨再吸収を減少できる。このような阻害剤は、骨粗しょう症などの骨再吸収に関与する疾患を治療するのに有用となろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、治療および/または予防を必要とする哺乳動物におけるカテプシン依存性病態または疾患を治療および/または予防できる化合物に関する。本発明の一実施形態は、式I:
【0011】
【化2】

の化合物、製薬的に許容できるその塩類、エステル類、立体異性体およびN−オキシド誘導体により例示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、以下の化学式の化合物または製薬的に許容できるその塩、立体異性体またはN−オキシド誘導体に関する。
【0013】
【化3】

[式中、
は、水素、C1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニルであり、前記アルキル基およびアルケニル基は、1個から6個のハロ、C3〜6シクロアルキル、−SR、−SOR、−SO、−SOCH(R)(R)、−OR、−N(R、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルにより場合によっては置換されており、前記アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基は、C1〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシおよびケトからなる群から独立して選択された1つまたは2つの置換基により場合によっては置換されており;
は、水素、C1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニルであり、前記アルキル基およびアルケニル基は、1個から6個のハロ、C3〜6シクロアルキル、−SR、−SOR、−SO、−SOCH(R)(R)、−OR、−N(R、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルにより場合によっては置換されており、前記アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基は、C1〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシおよびケトからなる群から独立して選択された1つまたは2つの置換基により場合によっては置換されており;
またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になってC3〜8シクロアルキル環またはヘテロシクリル環を形成でき、前記環系は、C1〜6アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキルまたはハロからなる群から独立して選択される1つまたは2つの置換基により場合によっては置換されており;
は、水素、C1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニルであり、前記アルキル基およびアルケニル基は、C3〜6シクロアルキルまたは1個から6個のハロにより場合によっては置換されており;
は、水素または1個から6個のハロにより置換されているC1〜6アルキルであり;
Dは、アリールまたはヘテロアリールであり、単環式または二環式であってよい前記アリール基またはヘテロアリール基は、C1〜6アルキル、ハロアルキル、ハロ、ケト、アルコキシ、−SR、−OR、N(R、−SOおよび−SOからなる群から独立して選択される1つから5つの置換基により炭素またはヘテロ原子のいずれかの上で場合によっては置換されており;
Eは、アリールまたはヘテロアリールであり、単環式または二環式であってよい前記アリール基またはヘテロアリール基は、C1〜6アルキル、ハロアルキル、ハロ、ケト、アルコキシ、−SR、−OR、N(R、−SOおよび−SOからなる群から独立して選択される1つから5つの置換基により炭素またはヘテロ原子のいずれかの上で場合によっては置換されており;
各Gは、独立してC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、アリール、ヘテロアリール、C3〜8シクロアルキル、ヘテロシクリル、−O−、NR、S(O)mまたはカルボニルであり、前記基は、C1〜6アルキル、ハロ、ケト、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、−OR、−NHS(O)、−SO、−SON(R)(R)、−C(R)(R)OH、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つから5つの置換基により炭素またはヘテロ原子のいずれかの上で場合によっては置換されており;Rは、水素、C1〜6アルキル、アリール、アリール(C1〜4)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1〜4)アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル(C1〜4)アルキルまたはヘテロシクリル(C1〜4)アルキルであり、前記基は、ハロ、アルコキシ、シアノ、−NRa、−SRaまたは−SOからなる群から独立して選択される1つ、2つ、または3つの置換基により場合によっては置換されることができ;
は、水素であり、またはハロおよび−ORからなる群から独立して選択される1つ、2つ、または3つの置換基により場合によっては置換されているC1〜6アルキルであり;
は、水素であり、またはハロおよび−ORからなる群から独立して選択される1つ、2つ、または3つの置換基により場合によっては置換されているC1〜6アルキルであり;または
およびRは、それらが結合しているかまたはそれらの間にある窒素原子と一緒になってC3〜8ヘテロシクリル環を形成でき、このC3〜8シクロアルキル環は、C1〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシおよびケトからなる群から独立して選択される1つまたは2つの置換基により場合によっては置換されており;
mは、ゼロから2の整数であり;
nは、1から3の整数である。]
【0014】
本発明の一クラスにおいて、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になってC3〜8シクロアルキル環を形成でき、前記環系は、C1〜6アルキルおよびハロから選択される1つまたは2つの置換基により場合によっては置換されている。
【0015】
本発明の他のクラスにおいて、Rは、1個から6個のハロにより場合によっては置換されているC1〜6アルキルである。
【0016】
本発明の他のクラスにおいて、Rは、n−プロピル、イソブチル、2−フルオロ−2−メチルプロピル、2−トリフルオロメチルプロピル、3−フルオロ−2−(2−フルオロメチル)プロピル、2,2−ジフルオロエチル、2,2−ジフルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、または2,2−ジクロロエチルである。
【0017】
本発明の他のクラスにおいて、Rは、ジフルオロメチル、2,2−ジフルオロエチル、トリフルオロメチルまたは3,3,3,2,2−ペンタフルオロエチルである。
【0018】
本発明の他のクラスにおいて、Dは、フェニルである。
【0019】
本発明の他のクラスにおいて、Eは、フェニルまたはヘテロアリールであり、前記フェニル基またはヘテロアリール基は、炭素または1個から5個のハロを有するヘテロ原子のいずれかで場合によっては置換されている。
【0020】
本発明の他のクラスにおいて、各Gは、独立してC1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキルまたはSOCH(R)(R)である。
【0021】
上記の好ましい実施形態に関しては、他に述べない限り、特定の好ましい基の全ての組合せを含むことを意味する。
【0022】
本発明の具体的な実施形態は、限定しないが、
1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−4−イル]−シクロプロパンカルボン酸;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−{4’−[1−(カルボキシ)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−エチル}−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−{4’−[1−(カルボキシ)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
1−[2−[4−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]フェニル]−4−チアゾリル]−シクロプロパンカルボン酸;
1−[[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−メチルブチル]アミノ]−2,2−ジフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−3−イル]メチル]−シクロブタンカルボン酸;
4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]−α,α−ジメチル−[1,1’−ビフェニル]−4−プロパン酸;
1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−4−イル)−シクロプロパンカルボン酸;
1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−3−イル]−シクロプロパンカルボン酸;
4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]−α−メチル−[1,1’−ビフェニル]−4−酢酸;
4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]−α,α−ジメチル−[1,1’−ビフェニル]−4−酢酸;
1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル)−4−イル]−シクロプロパン酢酸;
1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−4−イル]−シクロプロパンカルボン酸;
1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]ブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−4−イル]−シクロプロパンカルボン酸;
4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]−[1,1’−ビフェニル]−4−酢酸;
−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−N−((1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−{4’−[(1S)−1−カルボキシエチル]ビフェニル−4−イル}−エチル)−L−ロイシンアミド;
および製薬的に許容できるそれらの塩類、エステル類、立体異性体またはN−オキシド誘導体が挙げられる。
【0023】
上記の式Iの化合物および製薬的に許容できる担体を含む製薬組成物もまた、本発明の範囲に含まれる。本発明はまた、製薬的に許容できる担体および本出願に具体的に開示されたいずれかの化合物の単独または他の開示されたいずれかの化合物と組み合わせを含む製薬組成物を包含することが意図されている。本発明のこれらおよび他の態様は、本明細書に含まれている教示から明らかになるであろう。
【0024】
有用性
本発明の化合物は、カテプシン類の阻害剤であり、したがって、哺乳動物、好ましくはヒトにおけるカテプシン依存性疾患または病態の治療または予防のために有用である。具体的には、本発明の化合物は、カテプシンKの阻害剤であり、したがって、哺乳動物、好ましくはヒトにおけるカテプシンK依存性疾患または病態の治療または予防するために有用である。
【0025】
「カテプシン依存性疾患または病態」とは、1種以上のカテプシンの活性に依存する病的状態を言う。「カテプシンK依存性疾患または病態」とは、カテプシンKの活性に依存する病的状態を言う。カテプシンK活性に伴う疾患としては、骨粗しょう症、グルココルチコイド誘導骨粗しょう症、ページェット病、異常増加骨代謝回転、歯周病、歯の喪失、骨折、リウマチ様関節炎、骨関節炎、補てつ周囲骨変性、骨形成不全、アテローム硬化症、転移性骨疾患、悪性高カルシウムまたは多発性骨髄腫を含む癌が挙げられる。ここに請求する化合物によるこのような治療における必要な治療量は、具体的な疾患によって変わり、当業者により容易に確かめることができる。治療と予防の双方が、本発明の範囲に意図されるが、これらの病態の治療が好ましい使用である。
【0026】
本発明の実施形態は、上記のいずれかの化合物またはいずれかの製薬組成物の治療的有効量を、哺乳動物に投与することを含む、それを必要とする哺乳動物におけるカテプシン活性を阻害する方法である。
【0027】
この実施形態の一クラスは、カテプシン活性がカテプシンK活性である方法である。
【0028】
本発明の他の実施形態は、上記のいずれかの化合物またはいずれかの製薬組成物の治療的有効量を、哺乳動物に投与することを含む、それを必要とする哺乳動物においてカテプシン依存病態を治療または予防する方法である。
【0029】
実施形態のクラスは、該カテプシン活性がカテプシンK活性である方法である。
【0030】
本発明の他の実施形態は、上記のいずれかの化合物またはいずれかの製薬組成物の治療的有効量を、哺乳動物に投与することを含む、それを必要とする哺乳動物における骨の喪失を阻止する方法である。本発明の他の実施形態は、上記のいずれかの化合物またはいずれかの製薬組成物の治療的有効量を、哺乳動物に投与することを含む、それを必要とする哺乳動物における骨の喪失を軽減する方法である。骨の再吸収の阻害におけるカテプシンK阻害剤の有用性は、文献により知られており、Stroup,G.B.、Lark,M.W.、Veber,DF.、Bhattacharrya,A.、Blake,S.、Dare,L.C.、Erhard,K.F.、Hoffman,S.J.、James,I.E.、Marquis,R.w.、Ru,Y.、Vasko−Moser,J.A.Smith,B.R.、Tomaszek,T.およびGowen,M.を参照されたい。ヒトカテプシンKの効力のある選択的阻害は、非ヒト霊長類において骨再吸収のインビボ阻害をもたらす。J.Bone Miner.Res.、16:1739〜1746頁;2001年;およびVotta,B.J.、Levy,M.A.、Badger,A.、Dodds,R.A.、James,I.E.、Thompson,S.、Bossard;M.J.、Carr,T.、Connor,J.R.、Tomaszek,T.A.、Szewczuk,L.Drake,F.H.、Veber,D.およびGowen,M。カテプシンKのペプチドアルデヒド阻害剤は、インビボおよびインビトロ双方で骨再吸収を阻害する、J.Bone Miner.Res.12:1396〜1406頁;1997年。
【0031】
本発明の他の実施形態は、上記のいずれかの化合物または上記のいずれかの製薬組成物の治療的有効量を、哺乳動物に投与することを含む、それを必要とする哺乳動物における骨粗しょう症を治療または予防する方法である。骨粗しょう症の治療または予防におけるカテプシンK阻害剤の有用性は、文献により知られており、Saftig,P.、Hunziker,E.、Wehmeyer,O.、Jones,S.、Boyde,A.Rommerskirch,W.、Moritz,J.D.、Schu,P.、およびVonfigura,K.を参照されたい。障害性破骨細胞の骨再吸収は、カテプシンK欠乏マウスにおいて大理石骨病をもたらす。Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13453〜13458頁;1998年。
【0032】
本発明の他の実施形態は、上記のいずれかの化合物またはいずれかの製薬組成物の治療的有効量を、哺乳動物に投与することを含む、それを必要とする哺乳動物におけるリウマチ様関節炎病態を治療または予防する方法である。関節周囲骨の進行性破壊は、リウマチ様関節炎(RA)患者において関節機能不全および能力障害の主要原因であることが文献により知られており、Golding SR、「Pathogenesis of bone erosions in rheumatoid arthritis」.Curr.Opin.Rheumatol.2002年;14:406〜10頁を参照されたい。RA患者の関節組織の分析により、カテプシンK陽性破骨細胞は、リウマチ様滑液病変を伴う病巣骨再吸収を媒介する細胞タイプであるという証拠が提供されている。Hou,W−S、Li,W、Keyszer,G、Weber,E.、Levy,R、Klein,MJ、Gravallese,EM、Goldring,SR、Bromme,D、「Comparision of Cathepsin K and S expression within the Rheumatoid and Osteoarthritic Synovium」、Arthritis Rheumatism 2002年;46:663〜74頁を参照されたい。さらに、全身性骨喪失は、重篤なRAを伴う罹患率の主要原因である。股関節および脊髄骨折の頻度が、慢性RA患者において実質的に増加する。Gould A、Sambrook,P.Devlin Jら、「Osteoclastic activation is the principal mechanism leading to secondary osteoporosis in rheumatoid arthritis」.J.Rheumatoid.1998年;25:1282〜9頁を参照されたい。亜関節骨における再吸収および全身性骨喪失の治療または予防におけるカテプシンK阻害剤の有用性は、リウマチ様関節炎の進行に対する薬理学的処置に関する妥当なアプローチを表している。
【0033】
本発明の他の実施形態は、上記のいずれかの化合物または上記のいずれかの製薬組成物の治療的有効量を、哺乳動物に投与することを含む、それを必要とする哺乳動物における変形性関節炎の進行を治療または予防する方法である。変形性関節炎(OA)は、関節軟骨面の侵食、関節周囲軟骨内骨化/骨増殖症、および肋軟骨下の骨硬化症とシスト形成など、関節において十分に定義された変化を伴うことが文献により知られており、Oettmeier R、Abendroth,K、「Osteoarthritis and bone:osteologic types of osteoarthritis of the hip」、Skeletal Radiol.1989年;18:165〜74頁を参照されたい。最近、OAの開始と進行に対する肋軟骨下骨硬化症の潜在的な寄与が示唆されている。反復性衝撃荷重に応答する関節としての硬化した軟骨下骨は、関節を介する力を減衰させ、分配する能力に劣り、関節軟骨面を横切って加わるより大きな機械的ストレスにさらされる。次にこれにより、軟骨の磨耗と原線維の形成を促進する、Radin,ELおよびRose RM、「Role of subchondral bone in the initiation and progression of cartilage damage」、Clin.Orthop.1986年;213:34〜40頁を参照されたい。カテプシンK阻害剤などの抗再吸収剤による過大な亜関節骨再吸収阻害は、肋軟骨下骨の代謝回転率の阻害をもたらし、したがってOA進行に対する好ましい影響を有し得る。上記の仮説に加えて、最近、カテプシンK蛋白質の発現が、滑液線維芽細胞、マクロファージ様細胞、ならびに滑膜からの軟骨細胞およびOA患者に由来する関節軟骨標本において確認されている、Hou,W−S、Li,W、Keyszer,G、Weber,E.、Levy,R、Klein,MJ、Gravallese,EM、Goldring,SR、Bromme,D、「Comparision of Cathepsin K and S expression within the Rheumatoid and Osteoarthritic Synovium」、Arthritis Rheumatism 2002年;46:663〜74頁;およびDodd,RA、Connor,JR、Drake,FH、Gowen,M、「Expression of Cathepsin K messenger RNA in giant cells and their precursors in human osteoarthritic synovial tssues」.Arthritis Rheumatism 1999年;42:1588〜93頁;およびKonttinen,YT、Mandelin,J、Li,T−F、Salo.J、Lassus,Jら、「Acidic cystein endoproteinase cathepsin K in the degeneration of the superficial articular hyaline cartilage in osteoarthritis」、Arthritis Rheumatism 2002年;46:953〜60頁を参照されたい。このように、これらの最近の研究は、変形性関節炎の進行を伴う関節軟骨におけるII型コラーゲンの破壊におけるカテプシンKの役割を示唆した。したがって、本発明に記載された変形性関節炎の治療または予防におけるカテプシンK阻害剤の有用性は、2つの異なる機構を含み、1つは、破骨細胞駆動の肋軟骨下骨の代謝回転の阻害に対するものであり、2つは、OA患者の滑液および軟骨におけるII型コラーゲン変性の直接の阻害に対するものである。
【0034】
本発明の他の実施形態は、上記のいずれかの化合物またはいずれかの製薬組成物の治療的有効量を、哺乳動物に投与することを含む、それを必要とする哺乳動物における癌を治療する方法である。カテプシンKは、ヒト乳癌、前立腺癌および脊索腫に発現し、マトリクス分解の可能性を有することが文献により知られており、Littlewood−Evans AJ、Bilbe D、Bowler WB、Farley D、Wlodarski B、Kokubo T、Inaoka T、Sloane J、Evans DB、Gallagher JA、「The osteoclast−associated cathepsin K is expressed in human breast carcinoma」Cancer Res 1997年12月1日;57(23):5386〜90頁、Brubaker KD、Vessella RL、True LD、Thomas R.、Corey E.「Cathepsin K mRNA and protein expression in prostate cancer progression」J Bone Miner Res 2003年18、222〜30頁、Haeckel C、Krueger S、Kuester D、Ostertag H、Samii M、Buehling F、Broemme D、Czerniak B、Roessner A.「Expression of cathepsin K in chordoma」Hum Pathol 2000年7月;31(7):834〜40頁を参照されたい。
【0035】
本発明の他の実施形態は、上記のいずれかの化合物またはいずれかの製薬組成物の治療的有効量を、哺乳動物に投与することを含む、それを必要とする哺乳動物におけるアテローム硬化症を治療する方法である。カテプシンKは、ヒトアテロームに発現され、有意なエラスターゼ活性を有することが文献により知られており、Sukhova GK、Shi GP、Simon DI、Chapman HA、Libby P.「Expression of the elastolytic cathepsins S and K in human atheroma and regulation of their production in smooth muscle cells」J Clin Invest 1998年8月102、576〜83頁を参照されたい。
【0036】
本発明の他の実施形態は、上記のいずれかの化合物またはいずれかの製薬組成物の治療的有効量を、哺乳動物に投与することを含む、それを必要とする哺乳動物における肥満を治療する方法である。カテプシンKmRNAは、幾つかのマウス肥満モデルにおける脂肪組織、またヒト肥満男性の脂肪組織において増加することが文献により知られており、Chiellini C、Costa M、Novelli SE、Amri EZ、Benzi L、Bertacca A、Cohen P、Del Prato S、Friedman JM、Maffei M.「Identification of cathepsin K as a novel marker of adiposity in white adipose tissue」J Cell Physiol 2003年、195、309〜21を参照されたい。
【0037】
本発明の他の実施形態は、上記のいずれかの化合物またはいずれかの製薬組成物の治療的有効量を、哺乳動物に投与することを含む、それを必要とする哺乳動物における慢性閉塞的肺疾患を治療する方法である。カテプシンKは、肺線維症における役割を演じていることが文献により知られており、Buhling,F.ら、「Pivotal role of cathepsin K in lung fibrosis」Am J Pathol.2004年6月;164(6):2203〜16頁を参照されたい。
【0038】
本発明の他の実施形態は、上記のいずれかの化合物またはいずれかの製薬組成物の治療的有効量を、哺乳動物に投与することを含む、それを必要とする哺乳動物における寄生虫感染を治療する方法である。哺乳動物のカテプシン類は、これらの寄生虫のライフサイクルにおいて重要な役割を演じるパパイン様システインプロテアーゼに関連していることが文献に知られている。このような寄生虫は、マラリア、アメリカトリパノソーマ症、アフリカトリパノソーマ症、リーシュマニア症、ジアルジア虫症、トリコモナス症、アメーバ症、住血吸虫症、肝蛭症、肺吸虫症および腸管回虫に関与しており、Lecaille F、Kaleta J、Bromme D、「Human and parasitic papain−like cystein proteases:their role in physiology and pathology and recent developments in inhibitor design」Chem Rev 2002年102、4459〜88頁を参照されたい。
【0039】
本発明の他の実施形態は、アルツハイマー病、アテローム硬化症、慢性閉塞性肺疾患、癌および自己免疫疾患(限定しないが、若年発症糖尿病、多発性硬化症、尋常性天疱瘡、グレーブス病、重症筋無力症、全身紅斑性狼蒼、リウマチ様関節炎および橋本甲状腺炎など);アレルギー性疾患(限定しないが、喘息など);ならびに同種異系免疫応答(限定しないが、臓器移植または組織移植片の拒絶など)など、カテプシンSに関連する哺乳動物疾患を治療する方法である。カテプシンS活性は、上記疾患状態に関連することが知られており、Munger JS、Haass C、Lemere CA、Shi GP、Wong WS、Teplow DB、Selkoe DJ、Chapman HA.「Lysosomal processing of amyloid precursor protein to A beta peptides:a distinct role for cathepsin S」Biochem J 1995年311、299〜305頁、Sukhova GK、Zhang Y、Pan JH、Wada Y、Yamamoto T、Naito M、Kodama T、Tsimikas S、Witztum JL、Lu ML、Sakara Y、Chin MT、Libby P、Shi GP.「Deficiency of cathepsin S reduces atherosclerosis in LDL receptor−deficient mice」J Clin Invest 2003年111、897〜906頁、Zheng T、Zhu Z、Wang Z、Homer RJ、Ma B、Riese RJ Jr、Chapman HA Jr、Shapiro SD、Elias JA.「Inducible targeting of IL−13 to the adult lung causes matrix metalloproteinase− and cathepsin−dependent emphysema」J Clin Invest 2000年106、1081〜93頁、Shi GP、Sukhova GK、Kuzuya M、Ye Q、Du J、Zhang Y、Pan JH、Lu ML、Cheng XW、Iguchi A、Perrey S、Lee AM、Chapman HA、Libby P.「Deficiency of the cystein protease cathepsin S impairs microvessel growth」Circ Res 2003年92、493〜500頁、Nakagawa TY、Brissette WH、Lira PD、Griffithus RJ、Petrusjova N、Stock J、McNeish JD、Eastman SE、Howard ED、Clarke SR、Rosloniec EF、Elliott EA、Rudensky AY.「Impaired invariant chain degradation and antigen presentation and diminished collagen−induced arthritis in cathepsin S null mice」Immunity 1999年10、207〜17頁を参照されたい。
【0040】
本発明の例示は、必要とする哺乳動物において骨粗しょう症の治療および/または予防のための薬剤の調製における上記のいずれかの化合物の使用である。さらなる本発明の例示は、カテプシン機能に関連する、骨喪失、骨再吸収、骨折、転移性骨疾患および/または障害の治療および/または予防のための薬剤の調製における上記のいずれかの化合物の使用である。
【0041】
本発明の化合物は、単独で、または、好ましくは、標準的な製薬の実施による製薬組成物中の製薬的に許容できる担体または希釈剤との、場合によっては、硫酸アルミニウムなどの知られたアジュバントとの組み合わせで、哺乳動物、好ましくはヒトに投与できる。この化合物は、経口で、または、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、直腸および局所経路投与など非経口で投与できる。
【0042】
経口使用の錠剤の場合、通常使用される担体としては、乳糖およびトウモロコシ澱粉が挙げられ、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤が通常添加される。カプセル形態での経口投与のための、有用な希釈剤は、乳糖および乾燥トウモロコシ澱粉が挙げられる。本発明による治療用化合物の経口使用のための、選択された化合物を、例えば、錠剤またはカプセルの形態、または水溶液または懸濁液として投与できる。錠剤またはカプセル形態の経口投与のために、活性薬物成分は、乳糖、澱粉、ショ糖、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトールなど、経口用の、非毒性で製薬的に許容できる不活性担体と組み合わせることができる。液体形態での経口投与のために、経口薬物成分は、エタノール、グリセロール、水など、任意の経口用の、非毒性で製薬的に許容できる不活性担体と組み合わせることができる。さらに、所望または必要な場合、好適な、結合剤、潤滑剤、分解剤および着色剤もまた、該混合物に組み込むことができる。好適な結合剤としては、澱粉、ゼラチン、グルコースまたはベータ−乳糖などの天然糖、トウモロコシ甘味剤、アラビアゴム、トラガカントゴムまたはアルギン酸ナトリウムなどの天然および合成ゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックス類などが挙げられる。これらの剤形に用いられる潤滑剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、限定しないが、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。水性懸濁液が経口使用に必要な場合、有効成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わせる。所望の場合、ある種の甘味剤および/または香味剤を添加してもよい。筋肉内、腹腔内、皮下および静脈内使用のために、有効成分の滅菌溶液が、通常調製され、この溶液のpHは、適切に調整され、緩衝化される。静脈内使用のために、溶質の全濃度は、製剤を等張にするよう制御すべきである。
【0043】
本発明の化合物は、小型単層小胞、大型単層小胞および多層小胞など、リポソーム送達系の形態でも投与できる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの種々のリン脂質から形成できる。
【0044】
本発明の化合物は、この化合物分子が結合される一個一個の担体としてのモノクローナル抗体の使用によっても送達できる。本発明の化合物はまた、標的可能な薬物担体として溶解性ポリマー類と結合されてもよい。このようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシ−エチルアスパルタミド−フェノール、またはパルミトイル残基で置換されているポリエチレンオキシド−ポリリジンを挙げることができる。さらに、本発明の化合物は、薬物の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマー類のクラス、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリアクチン酸とポリグリコール酸とのコポリマー類、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル類、ポリアセタール類、ポリジヒドロピラン類、ポリシアノアクリレート類およびヒドロゲル類の架橋または両親媒性ブロックコポリマー類に結合させることができる。
【0045】
この化合物はまた、骨粗しょう症、グルココルチコイド誘導骨粗しょう症、ページェット病、異常増加骨代謝回転、歯周病、歯の喪失、骨折、リウマチ様関節炎、骨関節炎、補てつ周囲骨変性、骨形成不全、転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症または多発性骨髄腫の治療または予防に有用な知られた薬剤と組み合わせにおいて有用である。ここに開示された化合物と、骨粗しょう症または他の骨疾患の治療または予防に有用な他の薬剤との組合せは、本発明の範囲内である。当業者は、どのような薬剤の組合せが有用であるかを、薬物および関与する疾患の特性に基づいて、識別することができるであろう。このような薬剤としては、以下のものが挙げられる:有機ビスホスホネート;エストロゲン受容体モジュレーター;アンドロゲン受容体モジュレーター;破骨細胞プロトンATPアーゼ阻害剤;HMG−CoAレダクターゼ阻害剤;インテグリン受容体アンタゴニスト;PTHなどの破骨細胞のアナボリック剤;および製薬的に許容できるそれらの塩類および混合物。好ましい組合せは、本発明の化合物と有機ビスホスホネートである。他の好ましい組合せは、本発明の化合物とエストロゲン受容体モジュレーターである。他の好ましい組合せは、本発明の化合物とアンドロゲン受容体モジュレーターである。他の好ましい組合せは、本発明の化合物と破骨細胞のアナボリック剤である。
【0046】
「有機ビスホスホネート」としては、限定しないが、化学式
【0047】
【化4】

[式中nは、0から7の整数であり、AとXは、H、OH、ハロゲン、NH、SH、フェニル、C1〜C30アルキル、C3〜C30分枝状アルキルまたはシクロアルキル、2つまたは3つのNを含有する二環式環構造、C1〜C30置換アルキル、C1〜C10アルキル置換NH、C3〜C10分枝状またはシクロアルキル置換NH、C1〜C10ジアルキル置換NH、C1〜C10アルコキシ、C1〜C10アルキル置換チオ、チオフェニル、ハロフェニルチオ、C1〜C10アルキル置換フェニル、ピリジル、フラニル、ピロリジニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニルおよびベンジルからなる群から独立して選択され、nが0である場合、AとXの双方は、HまたはOHから選択されず;またはAとXは炭素原子またはそれらが結合する原子と一緒になってC3〜C10環を形成する。]
の化合物が挙げられる。
【0048】
前述の化学式において、上記アルキル基は、上記化学式にとって十分な原子が選択されるという条件で、直鎖、分枝状または環式であってよい。C1〜C30置換アルキルとしては、多種多様の置換基を含むことができ、その非限定例としては、フェニル、ピリジル、フラニル、ピロリジニル、イミダゾニル、NH、C1〜C10アルキルまたはジアルキル置換NH、OH、SH、およびC1〜C10アルコキシからなる群から選択されるものが挙げられる。
【0049】
前述の化学式はまた、A置換基および/またはX置換基に関して複雑な炭素環式、芳香族およびヘテロ原子構造を包含することが意図され、その非限定例としては、ナフチル、キノリル、イソキノリル、アダマンチル、およびクロロフェニルチオが挙げられる。
【0050】
このビスホスホネート類の製薬的に許容できる塩類および誘導体もまた、本明細書において有用である。塩類の非限定例としては、アルカリ金属、アルカリ性金属、アンモニウム、およびモノ−、ジ−、トリ−、またはテトラ−C1〜C30−アルキル置換アンモニウムからなる群から選択されるものが挙げられる。好ましい塩類は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、およびアンモニウム塩からなる群から選択されるものである。ナトリウム塩類がより好ましい。誘導体の非限定例としては、エステル類、水和物およびアミド類からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0051】
本発明の療法剤に関して、本明細書に用いられる「ビスホスホネート」および「ビスホスホネート類」とは、ジホスホネート類、二リン酸類およびジリン酸類ならびにこれらの物質の塩類および誘導体をも包含することを意味している。ビスホスホネートまたはビスホスホネート類に関して、特定の命名法の使用は、特に指定しない限り、本発明の範囲を限定することを意味していない。現在、通常の当業者による使用における混用された命名法のため、本発明のビスホスホネート化合物の特定量またはパーセンテージの言及においては、本明細書で他に指定しない限り、酸活性重量を基準にしている。例えば、語句の「アレンドロン酸の活性重量を基準にして、アレンドロネート、製薬的に許容できるその塩類およびその混合物からなる群から選択される約5mgの骨再吸収阻害ビスホスホネート」とは、選択されたビスホスホネート化合物量が、5mgのアレンドロン酸を基準にして算出されていることを意味している。
【0052】
本明細書に有用なビスホスホネート類の非限定例としては、以下のものが挙げられる。
【0053】
アレンドロン酸、4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸。
【0054】
アレンドロネート(アレンドロン酸ナトリウムまたはアレンドロン酸モノナトリウム三水和物としても知られている)、4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸モノナトリウム三水和物。
【0055】
1990年5月1日発行のKieczykowskiらへの米国特許第4,922,007号;1991年5月28日発行のKieczykowskiらへの米国特許第5,019,651号;1996年4月23日発行のDauerらへの米国特許第5,510,517号;1997年7月15日発行のDauerらへの米国特許第5,648,491号に記載されている(これらの全ては、全体を本明細書に参照により組み込む。)アレンドロン酸およびアレンドロネート。
【0056】
1990年11月13日発行のIsomuraらへの米国特許第4,970,335号に記載されている(この全体を、本明細書に参照により組み込む。)シクロヘプチルアミノメチレン−1,1−ビスホスホン酸、Yamanouchi(インカドロネート、シマドロネートとして公式に知られている。)のYM175。
【0057】
ベルギー国特許第672,205号(1966)およびJ.Org.Chem 32、4111頁(1967)に記載されている(これら2つとも全体を本明細書に参照により組み込む。)1,1−ジクロロメチレン−1,1−ジホスホン酸(クロドロン酸)およびジナトリウム塩(クロドロネート、Procter and Gamble)。
【0058】
1−ヒドロキシ−3−(1−ピロリジニル)−プロピリデン−1,1−ビスホスホン酸(EB−1053)。
【0059】
1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(エチドロン酸)。
【0060】
1990年5月22日発行の米国特許第4,927,814号に記載されている、(この全体が、本明細書に参照により組み込む。)Boehringer−Mannheim(イバンドロネート)のBM−210955としても知られている1−ヒドロキシ−3−(N−メチル−N−ペンチルアミノ)プロピリデン−1,1−ビスホスホン酸。
【0061】
1−ヒドロキシ−2−イミダゾ−(1,2−a)ピリジン−3−イエチリデン(ミノドロネート)。
【0062】
6−アミノ−1−ヒドロキシヘキシリデン−1,1−ビスホスホン酸(ネリドロネート)。
【0063】
3−(ジメチルアミノ)−1−ヒドロキシプロピリデン−1,1−ビスホスホン酸(オルパドロネート)。
【0064】
3−アミノ−1−ヒドロキシプロピリデン−1,1−ビスホスホン酸(パミドロネート)。
【0065】
米国特許第4,761,406号に記載されている(この全体を、本明細書に参照により組み込む。)[2−(2−ピリジニル)エチリデン]−1,1−ビスホスホン酸(ピリドロネート)。
【0066】
1−ヒドロキシ−2−(3−ピリジニル)−エチリデン−1,1−ビスホスホン酸(リセドロネート)。
【0067】
1989年10月24日のBreliereへの米国特許第4,876,248号に記載されている(この全体を、本明細書に参照により組み込む。)(4−クロロフェニル)チオメタン−1,1−ジスホスホン酸(チルドロネート)。
【0068】
1−ヒドロキシ−2−(1H−イミダゾール−1−イル)エチリデン−1,1−ビスホスホン酸(ゾレドロネート)。
【0069】
ビスホスホネート類の非限定例としては、アレンドロネート、シマドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、パミドロネート、ピリドロネート、リセドロネート、チルドロネートおよびゾレンドロネート、ならびに製薬的に許容できるこれらの塩類およびエステル類が挙げられる。特に好ましいビスホスホネートは、アレンドロネート、特にアレンドロン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩またはアンモニウム塩である。好ましいビスホスホネートの例示は、アレンドロン酸のナトリウム塩、特にアレンドロン酸の水和ナトリウム塩である。この塩は、水の全モル数または水の非全モル数により水和できる。好ましいビスホスホネートのさらなる例示は、特に水和塩が、アレンドロネートモノナトリウム三水和物である場合、アレンドロン酸の水和ナトリウム塩である。
【0070】
2つまたはそれ以上のビスホスホネート活性物の混合が利用できることを認識する。
【0071】
有機ビスホスホネートの正確な投与量は、投与計画、選択された特定のビスホスホネート、哺乳動物またはヒトの年齢、大きさ、性別および病態、治療を受ける障害の性質と重症度、他の関連する医療因子および身体的因子により変わる。したがって、正確な治療的有効量は、予め特定できず、介護者または臨床医により容易に決定できる。適量は、動物モデルおよびヒトの臨床試験のルーチン実験により決定できる。一般に、ビスホスホネートの適量は、骨再吸収阻害効果を得るために選択され、すなわち、ビスホスホネートの骨再吸収阻害量を投与する。ヒトに関して、ビスホスホネートの有効な経口用量は、典型的には、約1.5μg/kg体重から6000μg/kg体重、好ましくは約10μg/kg体重から2000μg/kg体重である。アレンドロネートモノナトリウム三水和物に関して、投与される普通のヒトの用量は、一般に約2mg/日から約40mg/日、好ましくは、約5mg/日から約40mg/日の範囲である。米国において、アレンドロネートモノナトリウム三水和物に関する現在承認されている投与量は、骨粗しょう症を予防するために5mg/日、骨粗しょう症を治療するために10mg/日、ページェット病を治療するために40mg/日である。
【0072】
代わりの投与計画において、ビスホスホネートは、毎日でない間隔で、例えば、週一回の投与、週二回の投与、二週ごとの投与、および月二回の投与で投与できる。週一回の投与計画で、アレンドロネートモノナトリウム三水和物は、35mg/週または70mg/週の用量で投与されるであろう。
【0073】
「選択的エストロゲン受容体モジュレーター」とは、メカニズムに関係なく、エストロゲンの受容体への結合を妨害するか、または阻止する化合物を称す。エストロゲン受容体モジュレーターの例としては、限定しないが、エストロゲン、プロゲストゲン、エストラジオール、ドロロキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、TSE−424、タモキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノエート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾンおよびSH646が挙げられる。
【0074】
「エストロゲン受容体ベータモジュレーター」は、エストロゲン受容体ベータ(ERβ)に対して選択的に活性化するか、または拮抗する化合物である。ERβの活性化は、ERβ媒介事象を介して、トリプトファンヒドロキシラーゼ遺伝子(TPH、セロトニン合成における鍵酵素)の転写を増加させる。エストロゲン受容体ベータ活性化作用物質の例は、2001年11月8日に公開されたPCT国際公開WO 01/82923、および2002年5月20日公開のWO 02/41835に見ることができ、これら双方は、全体を本明細書に参照により組み込む。
【0075】
「アンドロゲン受容体モジュレーター」とは、メカニズムに関係なく、アンドロゲンの、受容体への結合を妨害するかまたは阻止する化合物を称す。アンドロゲン受容体モジュレーターの例としては、フィナステリドおよび他の5α−レダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾールおよび酢酸アビラテロンが挙げられる。
【0076】
「破骨細胞のプロトンATPアーゼ阻害剤」とは、プロトンATPアーゼの阻害剤を称し、破骨細胞の頂端膜に見られ、骨再吸収過程において重要な役割を演じることが報告されている。このプロトンポンプは、骨粗しょう症および関連する代謝疾患の治療と予防に潜在的に有用である骨再吸収の阻害剤デザインの魅力的な標的を表す。C.Farinaら、「Selective inhibitors of the osteoclast vacuolar proton ATPase as novel bone antiresorptive agents」DDT、4:163〜172頁(1999))を参照、この全体を本明細書に参照により組み込む。
【0077】
「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」とは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼの阻害剤を称す。HMG−CoAレダクターゼに関して阻害活性を有する化合物は、当業界によく知られたアッセイを用いることにより容易に同定できる。例えば、米国特許第4,231,938号の6欄、およびWO 84/02131の30〜33頁に記載または引用されているアッセイを参照されたい。用語の「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」および「HMG−CoAレダクターゼの阻害剤」は、本明細書に用いられる場合、同じ意味である。
【0078】
使用できるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の例として、限定しないが、ロバスタチン(MEVACOR(登録商標);米国特許第4,231,938号、米国特許第4,294,926号および米国特許第4,319,039号を参照)、シンバスタチン(ZOCOR(登録商標);米国特許第4,444,784号、米国特許第4,820,850号および米国特許第4,916,239号を参照)、プラバスタチン(PRAVACHOL(登録商標);米国特許第4,346,227号、米国特許第4,537,859号、米国特許第4,410,629号、米国特許第5,030,447号および米国特許第5,180,589号を参照)、フルバスタチン(LESCOL(登録商標);米国特許第5,354,772号、米国特許第4,911,165号、米国特許第4,929,437号、米国特許第5,189,164号、米国特許第5,118,853号、米国特許第5,290,946号および米国特許第5,356,896号を参照)、アトルバスタチン(LIPITOR(登録商標);米国特許第5,273,995号、米国特許第4,681,893号、米国特許第5,489,691号および米国特許第5,342,952号を参照)およびセリバスタチン(リバスタチンとしても知られているBAYCHOL(登録商標);米国特許第5,177,080号を参照)が挙げられる。これらの構造式および当該方法に使用することのできるさらなるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、M.Yalpani、「Cholesterol Lowering Drugs」、Chemistry & Industry、85〜89頁(1996年2月5日)の87頁、米国特許第4,782,084号および米国特許第4,885,314号に記載されている。本明細書に用いられる用語のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、全ての製薬的に許容できるラクトンおよび開環酸形態(すなわち、ラクトン環は開環して遊離酸を形成する)ならびにHMG−CoAレダクターゼ阻害活性を有する化合物の塩形態およびエステル形態を含み、したがって、このような塩類、エステル類、開環酸およびラクトン形態の使用は、本発明の範囲内に含まれる。ラクトン部分およびその対応する開環酸形態の図は、構造IおよびIIとして下記に示される。
【0079】
【化5】

【0080】
開環酸形態が存在できるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤において、塩およびエステル形態は、好ましくは開環酸から形成でき、このような全ての形態は、本明細書に用いられる用語「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」の意味の範囲内に含まれる。好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、ロバスタチンおよびシンバスタチンから選択され、最も好ましくはシンバスタチンである。本明細書においてHMG−CoAレダクターゼ阻害剤に関する用語の「製薬的に許容できる塩類」とは、本発明に使用される化合物の非毒性塩類を意味し、一般に遊離酸を、好適な有機または無機塩基と反応させることにより調製され、特にナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛およびテトラメチルアンモニウムなどのカチオン類から形成されたもの、ならびにアンモニア、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−p−クロロベンジル−2−ピロリジン−1’−イル−メチルベンズ−イミダゾール、ジエチルアミン、ピペラジン、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどのアミン類から形成されたこれらの塩類がある。HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の塩形態のさらなる例としては、限定しないが、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム塩、カンシラート、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナプトエート、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオネート、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムケート、ナプシレート、硝酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシル酸塩、トリエチオダイド、および吉草酸塩を挙げることができる。
【0081】
記載されたHMG−CoAレダクターゼ阻害剤化合物のエステル誘導体は、温血動物の血流に吸収された場合、薬物形態を放出させ、薬物を改善された療法効力にさせる様式で開裂できるプロドラッグとして作用できる。
【0082】
上記に用いられる「インテグリン受容体拮抗物質」とは、生理学的リガンドのαβインテグリンへの結合を、選択的に拮抗し、阻害し、または反作用する化合物、生理学的リガンドのαβインテグリンへの結合を、選択的に拮抗し、阻害し、または反作用する化合物、生理学的リガンドのαβインテグリンおよびαβインテグリンの双方への結合を、選択的に拮抗し、阻害し、または反作用する化合物、毛細管内皮細胞に発現される特定のインテグリン(類)の活性を拮抗し、阻害し、または反作用する化合物を称す。この用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβおよびαβインテグリンの拮抗物質を称す。この用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβおよびαβインテグリンの任意の組合せの拮抗物質を称す。PNAS USA 96:1591〜1596頁(1999)のH.N.Lodeおよび共同研究者は、自発的癌転移の根絶において、抗血管形成αvインテグリン拮抗物質と腫瘍特異的抗体サイトカイン(インターロイキン−2)融合蛋白質との間で相乗効果を観察した。彼らの結果は、この組合せが、癌および転移性腫瘍増殖の治療可能性を有することを示唆した。αβインテグリン受容体拮抗物質は、現在入手できる全ての薬剤とは異なる新規なメカニズムにより骨再吸収を阻害する。インテグリン類は、細胞−細胞および細胞−マトリクス相互作用を媒介するヘテロ二量体の膜間接着受容体である。インテグリンαおよびβサブユニットは非共有結合的に相互作用し、二価のカチオンに依存して、細胞外マトリックスリガンドと結合する。破骨細胞の最も富むインテグリンは、αβ(>10/破骨細胞)であり、細胞移動および極性化に重要な細胞骨格の組織化において律速的な役割を演じていると思われる。αβの拮抗効果は、骨再吸収阻害、再狭窄阻害、黄斑変性阻害、関節炎阻害ならびに癌および転移性増殖阻害から選択される。
【0083】
「骨芽細胞アナボリック剤」とは、PTHなどの骨を構築する薬剤を称す。副甲状腺ホルモン(PTH)またはそのアミノ末端断片および類縁体の断続的投与は、骨の喪失を予防し、捕捉し、部分的に反転させ、動物およびヒトにおいて骨形成を刺激することが示されている。検討のため、D.W.Dempsterら、「Anabolic actions of parathyroid hormone on bone」Endocr Rev 14:690〜709頁(1993)を引用する。骨形成を刺激し、それによって骨質量および強度を増加させるのに副甲状腺ホルモンの臨床的利点を試験により示した。結果は、RM NeerらのNew Eng J Med 344 1434〜1441頁(2001)により報告された。
【0084】
さらに、PTHrP−(1−36)のような副甲状腺ホルモン関連蛋白質断片または類縁体は、有効な抗カルシウム尿効果を示し[M.A.Syedら、「Parathyroid hormone−related protein−(1−36)stimulates renal tubular calcium reabsorption in normal human volunteers:implications for the pathogenesis of humoral hypercalcemia of malignancy」JCEM 86:1525〜1531頁(2001)を参照]、また骨粗しょう症を治療するためのアナボリック剤としての可能性を有し得る。
【0085】
「非ステロイド系抗炎症薬類」またはNSAID類は、シクロオキシゲナーゼ(COX)−1およびCOX−2によるアラキドン酸の前炎症性プロスタグランジン類への代謝を阻害する。NSAID類の非限定例としては、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナック、エトドラック、フェノポルフェン、フルビプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メロキシカム、ナブメトン、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、ジフルニサル、メクロフェナメートおよびフェニルブタゾンが挙げられる。
【0086】
「選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤」またはCOX−2阻害剤とは、身体における疼痛および炎症に寄与するCOX−2補酵素を阻害する非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)のタイプを称する。COX−2阻害剤の非限定例としては、セレコキシブ、エトリコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブおよびルミラコキシブが挙げられる。
【0087】
「インターロイキン−1ベータの阻害剤」またはIL−1βとは、単球、マクロファージ、T−リンパ球を活性化し、マイトジェンまたは抗原に対する応答を増強する他の細胞により産生される溶解性因子であるIL−1の阻害剤を称す。IL−11B阻害剤の非限定例としては、ジアセレインおよびレインが挙げられる。
【0088】
「LOX/COX阻害剤」とは、アラキドン酸経路に関与する阻害剤または3種の主要酵素の全て−すなわち、5−LOX、COX−1およびCOX−2を称す。LOX/COX阻害剤の非限定例は、リコフェロンである。
【0089】
固定用量として製剤化される場合、このような組合せ製造物は、下記の投与量範囲内の本発明の化合物および承認投与量範囲内の他の製薬的に活性な薬剤(1つまたは複数)を使用する。あるいは、組合せ製剤が不適切な場合、本発明の化合物は、知られた製薬的に許容できる薬剤(1種または複数)と連続して使用できる。
【0090】
本発明の化合物に関して用語の「投与」およびその変形(例えば、化合物を「投与すること」)とは、化合物または化合物のプロドラッグを、治療を必要とする動物の系に導入することを意味する。本発明の化合物またはそのプロドラッグが、1種以上の他の活性薬剤(例えば、細胞毒性剤など)と組み合わせて提供される場合、「投与」およびその変形は、それぞれこの化合物またはそのプロドラッグおよび他の薬剤の同時投与および連続投与を含むこととして理解される。本発明は、本発明の化合物のプロドラッグがその範囲内に含まれる。一般に、このようなプロドラッグは、インビボで容易に望ましい化合物に変換可能な本発明の化合物の機能的誘導体である。したがって、本発明の治療方法において、用語の「投与」は、具体的に開示された化合物または具体的に開示され得ないが、患者への投与後、インビボで特定の化合物に変換する化合物による、記載された種々の病態の治療を包含する。適切なプロドラッグ誘導体の選択と調製に関する従来の方法は、例えば、H.Bundgaard編集「Design of Prodrugs」、Elsevier、1985年に記載されており、この全体を本明細書に参照により組み込む。これらの化合物の代謝物は、本発明の化合物の生物学的環境への導入の際に産生される活性種を含む。
【0091】
本明細書に用いられる用語の「組成物」は、特定量における特定成分を含んでなる生成物、ならびに特定量で特定成分の組合せから、直接または間接的に生じる任意の生成物を包含するように意図されている。
【0092】
本明細書に用いられる用語の「治療的有効量」とは、研究者、獣医、医師または他の臨床医により求められる組織、系、動物またはヒトにおいて生物学的応答または医療的応答を誘発する活性化合物量または薬剤量を意味する。
【0093】
本明細書に用いられる用語の疾患を「治療すること」または疾患の「治療」は、疾患を予防すること、すなわち、疾患に対して暴露されるか、または疾患に罹りやすい可能性があるが、疾患症状をまだ経験していないか、または示していない哺乳動物において、疾患の臨床症状を発生させないようにすること、疾患を阻止すること、すなわち、疾患またはその臨床症状の発生を捕捉するか、または軽減すること、または疾患を軽減すること、すなわち、疾患またはその臨床症状の退縮を引き起こすこと、を含む。
【0094】
本明細書に用いられる用語の「骨再吸収」とは、破骨細胞が骨を分解する過程を称す。
【0095】
本発明はまた、製薬的に許容できる担体または希釈剤と共にまたは製薬的に許容できる担体または希釈剤の非存在において、治療的有効量の本発明の化合物を投与することを含む、骨粗しょう症または他の骨疾患の治療に有用な製薬組成物を包含する。本発明の適切な組成物としては、例えば、生理食塩水、例えば、7.4のpHレベルにおける、本発明の化合物および製薬的に許容できる担体を含む水溶液が挙げられる。この溶液は、局所ボーラス注入により患者の血流に導入できる。
【0096】
本発明による化合物をヒト対象に投与する場合、毎日の投与量は、個々の患者の年齢、体重および応答、ならびに患者の症状の重症度によって一般に変わる投与量で処方医師により通常決定される。
【0097】
1つの例示的な適用において、化合物の適量を、カテプシン依存性病態の治療を受ける哺乳動物に投与する。本発明の経口投与量は、表示された効果に用いられる場合、1日当たり体重1kgにつき約0.01mg(mg/kg/日)から約100mg/kg/日、好ましくは0.01mg/kg/日から10mg/kg/日、最も好ましくは0.1mg/kg/日から5.0mg/kg/日の間の範囲である。経口投与に関しては、該組成物は、治療を受ける患者に対する投与量が症状に適応して、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100および500ミリグラムの有効成分を含有する錠剤の形態で提供されるのが好ましい。薬剤は、典型的に約0.01mgから約500mgの有効成分、好ましくは約1mgから約100mgの有効成分を含有する。静脈注入について、一定速度の注入の間、最も好ましい用量は、約0.1mg/kg/分から約10mg/kg/分の範囲である。有利なこととして、本発明の化合物を毎日単回投与で投与してもよく、または毎日の全投与量を、毎日2回、3回または4回に分けた用量で投与してもよい。さらに本発明の好ましい化合物は、適切な鼻腔内媒体の局所使用を経る鼻腔内形態で、または通常の当業者によく知られている経皮皮膚用パッチのこれらの形態を用いて経皮経路を経て投与できる。経皮送達系の形態で投与するために、もちろん、この用法用量は、投与計画を通じて断続的というよりも連続的である。
【0098】
本発明の化合物は、カテプシン媒介病態を治療するために有用な他の薬剤と組み合わせて使用できる。このような組合せの個々の成分は、治療過程中、異なる時間に別々に、または分けた投与形態で同時にあるいは単回の組合せ形態で投与できる。したがって本発明は、全てこのような療法の同時または交互治療を包含することを理解すべきであり、したがって、用語の「投与すること」がこのように解釈される。本発明の化合物とカテプシン媒介病態を治療するために有用な他の薬剤との組合せの範囲は、エストロゲン機能に関連する障害を治療するために有用ないずれかの製薬組成物との任意の組合せを原則として含むことが理解される。
【0099】
したがって、本発明の範囲は、有機ビスホスホネート、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、破骨細胞プロトンATPアーゼの阻害剤、HMG−CoAレダクターゼの阻害剤、インテグリン受容体アンタゴニスト、PTHなどの骨芽細胞アナボリック剤、および製薬的に許容できるそれらの塩類および混合物から選択された第2の薬剤と組み合わせた当該請求化合物の使用を包含する。
【0100】
本発明のこれらおよび他の態様は、本明細書に含まれている教示から明らかとなろう。
【0101】
定義
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸、およびキラル面(E.L.ElielおよびS.H.Wilen、Stereochemistry of Carbon Compounds、John Wiley & Sons、ニューヨーク所在、1994年、1119〜1190頁に記載されているように)を有することができ、ラセメート、ラセミ混合物として、および本発明に含まれる光学異性体など、全ての可能性のある異性体およびそれらの混合物を有する、個々のジアステレオマーとして生じ、本発明に含まれる。さらに、本明細書に開示された化合物は、互変異性体として存在でき、両互変異性体は、たとえただ1つの互変異性構造が示されていても本発明の範囲により包含されるように意図されている。例えば、下記の化合物Aに対するいずれの請求も、互変異性構造B、およびその逆もまた同様、ならびにそれらの混合物を含むことが理解される。
【0102】
【化6】

【0103】
任意の可変基(例えば、R1、R2、Raなど)が、いずれかの構成体において一度以上生じる場合、各発生時におけるその定義は、他の発生時ごととから独立している。また、置換基と可変基との組合せは、このような組合せが安定な化合物を生じる場合にのみ許容できる。置換基から環系に引かれたラインは、表示された結合が置換可能な任意の環炭素原子に結合し得ることを示している。環系が多環式である場合、結合は近位の環上だけの任意の適切な炭素原子に結合することが意図されている。
【0104】
本発明の化合物上の置換基および置換パターンは、通常の当業者により選択され、化学的に安定であり、当業界に知られた方法、ならびに容易に入手できる出発物質から前述のこれらの方法により容易に合成できる化合物を提供できることが理解される。置換基がそれ自体、1つ以上の基により置換される場合、これらの複数の基は、安定な構造が生じる限り、同じ炭素上であっても、または異なる炭素上であってもよいことが理解される。語句の「1つ以上の置換基により場合によっては置換されている」は、語句の「少なくとも1つの置換基により場合によっては置換されている」と等しくとるべきであり、このような場合、好ましい実施形態は、ゼロから3つの置換基を有する。
【0105】
本明細書に用いられる「アルキル」は、他に特定しない限り、1個から10個の炭素原子を有する分枝鎖および直鎖双方の飽和脂肪族炭化水素基を含むように意図されている。例えば、「C〜C10アルキル」におけるC〜C10は、線状、分枝状、または環式配列における1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の炭素を有する基を含むように定義される。例えば、「C〜C10アルキル」としては、特にメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどが挙げられる。
【0106】
「アルコキシ」または「アルキルオキシ」は、他に指定されない限り、前記アルキルが、酸素ブリッジを介して結合されている上記に定義のアルキル基を表す。
【0107】
用語の「シクロアルキル」または「炭素環式」とは、他に指定されない限り、全炭素原子が3個から8個、またはこの範囲内の任意の数のアルカン類の環式環(すなわち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル)を意味する。
【0108】
炭素原子数が特定されない限り、用語の「アルケニル」とは、2個から10個の炭素原子および炭素二重結合に対して少なくとも1個の炭素を含有する、非芳香族の直鎖または分枝鎖の炭化水素基を称す。好ましくは、炭素二重結合に対して1個の炭素が存在し、4つまでの非芳香族炭素−炭素二重結合が存在し得る。したがって、「C〜Cアルケニル」とは、2個から6個の炭素原子を有するアルケニル基を意味する。アルケニル基としては、エテニル、プロペニル、ブテニルおよびシクロヘキセニルが挙げられる。アルキルに関しては上記のとおり、アルケニル基の直鎖、分枝鎖または環式部分は、二重結合を含有でき、置換アルケニル基が示される場合、置換できる。
【0109】
用語の「シクロアルケニル」とは、他に指定されない限り、炭素二重結合に対して少なくとも1個の炭素を含有する3個から10個の炭素原子の環式環(すなわち、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペネンチル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルまたはシクロオセンチル)を意味する。
【0110】
用語の「アルキニル」とは、他に特定されない限り、炭素三重結合に対して少なくとも1個の炭素を含有する、2個から10個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖の炭化水素基を称す。3つまでの炭素−炭素三重結合が存在し得る。したがって、「C〜Cアルキニル」とは、2個から6個の炭素原子を有するアルキニル基を意味する。アルキニル基としては、エチニル、プロピニルおよびブチニルが挙げられる。アルキルに関しては上記のとおり、アルキニル基の直鎖、分枝鎖または環式部分は、三重結合を含有でき、置換アルキニル基が示される場合、置換できる。
【0111】
ある場合において、置換基は、(C〜C)アルキレン−アリールなどのゼロを含む炭素範囲により定義できる。アリールがフェニルであるとする場合、この定義は、フェニル自体ならびに−CHPh、−CHCHPh、CH(CH)CHCH(CH)Phなどを含む。
【0112】
本明細書に用いられる「アリール」は、少なくとも1つの環が芳香族であり、各環において12個までの原子の任意の安定な単環式または二環式炭素環を意味するように意図されている。このようなアリール構成要素の例としては、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリルまたはアセナフチルが挙げられる。アリール置換基が二環式であり、1つの環が非芳香族である場合、結合は、芳香環を経ることが理解される。
【0113】
本明細書に用いられる用語の「ヘテロアリール」は、各環が10個までの原子の安定な単環式環、二環式環または三環式環を表し、少なくとも1つの環が、芳香族であり、O、NおよびSからなる群から選択される1個から4個までのヘテロ原子を含有する。この定義の範囲内のヘテロアリール基としては、限定はしないが:ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソキサゾリン、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾキサゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロキノリニル、メチレンジオキシベンゼン、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、およびテトラヒドロキノリンが挙げられる。ヘテロアリール置換基が、二環式であり、1つの環が、非芳香族であるか、またはヘテロ原子含有しない場合、結合は、それぞれ芳香族環を経るか、またはヘテロ原子含有環を経ることが理解される。ヘテロアリールが、窒素原子を含有する場合、その対応するN−オキシド類はまた、この定義により包含されることが理解される。
【0114】
当業者により認識されるとおり、本明細書に用いられる「ハロ」または「ハロゲン」は、クロロ、フルオロ、ブロモおよびヨードを含むように意図される。用語の「ケト」とは、カルボニル(C=O)を意味する。本明細書に用いられる用語の「アルコキシ」とは、アルキル部分を意味し、アルキルは上記に定義されたとおりであり、酸素原子を介して分子の残基に結合している。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシなどが挙げられる。
【0115】
用語の「ハロアルキル」とは、他に特定しない限り、上記に定義されたアルキル基を意味し、1個から5個、好ましくは1個から3個のハロゲンで置換されている。代表的例としては、限定はしないが、トリフルオロメチル、ジクロロエチルなどが挙げられる。
【0116】
用語の「ハロアルコキシ」は、Rが、1個から5個、好ましくは1個から3個のハロゲンで置換されている上記に定義されたアルキルである−OR基を表す。代表的例としては、限定はしないが、トリフルオロメチルオキシ、ジクロロエチルオキシなどが挙げられる。
【0117】
用語の「アリールアルキル」は、アルキルが上記に定義されたとおりであるアルキル部分を含み、アリールが上記に定義されたとおりであるアリール部分を含む。アリーアルキルの例としては、限定はしないが、ベンジル、フルオロベンジル、クロロベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フルオロフェニルエチル、およびクロロフェニルエチルが挙げられる。アルキルアリールの例としては、限定はしないが、トルイル、エチルフェニル、およびプロピルフェニルが挙げられる。
【0118】
本明細書に用いられる用語の「ヘテロアリールアルキル」とは、ヘテロアリールが上記に定義されたとおりであるヘテロアリール部分を含み、アルキル部分を含有する系を称す。ヘテロアリールアルキルの例としては、限定はしないが、チエニルメチル、チエニルエチル、チエニルプロピル、ピリジルメチル、ピリジルエチルおよびイミダゾリルメチルが挙げられる。
【0119】
用語の「シクロアルキルアルキル」は、アルキルが上記に定義されたとおりであるアルキル部分を含み、またシクロアルキルが上記に定義されたとおりであるシクロアルキル部分を含む。シクロアルキルアルキルの例としては、限定はしないが、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロプロピルエチルなどが挙げられる。
【0120】
用語の「ヒドロキシアルキル」とは、2つのヒドロキシ基が存在する場合、それらは、同じ炭素原子上に双方ともが存在しないという条件で、1個から6個の炭素原子の線状一価の炭化水素基または1つまたは2つのヒドロキシ基で置換されている3個から6個の炭素の分枝状一価の炭化水素基を意味する。代表的な例としては、限定はしないが、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。
【0121】
本明細書に用いられる用語の「ヘテロ環」または「ヘテロシクリル」は、他に特定されない限り、O、N、S、SO、またはSOからなる群から選択される1個から4個のヘテロ原子を含有する、非芳香族の5員環から10員環を意味するように意図され、二環式基を含む。したがって、「ヘテロシクリル」としては、以下に限定はしないが:ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピペリジニル、テトラヒドロチオフェニルなどが挙げられる。ヘテロ環が窒素を含有する場合、その対応するN−オキシド類はまた、この定義に包含されている。
【0122】
本発明はまた、式Iの化合物のN−オキシド誘導体および保護誘導体を含む。例えば、式Iの化合物が、酸化可能な窒素原子を含有する場合、該窒素原子は、当業界によく知られている方法によりN−オキシドに変換できる。また、式Iの化合物が、ヒドロキシ、カルボキシ、チオールなどの基または窒素原子(1個または複数)を含有する任意の基を含有する場合、これらの基は、適切な保護基により保護できる。適切な保護基の包括的なリストは、T.W.Green、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley & Sons社、1981年に見ることができ、その開示は、その全体を参照により本明細書に組み込む。式Iの化合物の保護誘導体は、当業界によく知られている方法により調製できる。
【0123】
用語の「アルキル」または「アリール」またはそれらの接頭語根が、置換基(例えば、アリールC0〜8アルキル)の名称で現れたらいつでも、「アルキル」および「アリール」に関して上記のこれらの限定を含むものとして説明される。炭素原子の指定数(例えば、C1〜10)は、アルキル部分または環式アルキル部分における炭素原子数を独立して称するか、またはアルキルが、その接頭語根として現れるより大きな置換基のアルキル部分を称す。
【0124】
本発明の化合物の製薬的に許容できる塩類としては、形成された無機酸または有機酸として本発明の化合物の従来の非毒性塩類が挙げられる。例えば、従来の非毒性塩類としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導されたもの、ならびに酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ−安息香酸、フマール酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、蓚酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸から調製された塩類が挙げられる。上記の製薬的に許容できる塩類および他の典型的な製薬的に許容できる塩類の調製は、Bergら、「Pharmaceutical Salts」J.Pharm.Sci.、1977年:66:1〜19頁に、より十分に記載されており、参照により本明細書に組み込む。本発明の化合物の製薬的に許容できる塩類は、従来の化学的方法により塩基性または酸性部分を含有する本発明の化合物から合成できる。一般に、塩基性化合物の塩類は、遊離塩基を、イオン交換クロマトグラフィによるか、または適切な溶媒中、または種々の溶媒の組合せ中、理論量または過剰の所望の塩形成無機酸または有機酸と反応させることにより調製される。同様に、酸性化合物の塩類は、適切な無機または有機塩基との反応により形成される。
【0125】
本明細書の目的のために、以下の略語は表示された意味を有する:
AcOH =酢酸
BF =三フッ化ホウ素
Boc =t−ブチルオキシカルボニル
BocO =ジ−t−ブチルジカーボネート
BuLi =ブチルリチウム
CCl =四塩化炭素
CHCl =メチレンクロリド
CHCN =アセトニトリル
CHCl =クロロホルム
CsCO =炭酸セシウム
CuI =ヨウ化銅
DAST =三フッ化ジエチルアミノサルファー
DIPEA =ジイソプロピルエチルアミン
DMA =N,N−ジメチルアセトアミド
DMAP =4−(ジメチルアミノ)ピリジン
DMF =N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO =ジメチルスルホキシド
DPPA =ジフェニルホスホリルアジド
EDCI =塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド
EtO =ジエチルエーテル
EtN =トリエチルアミン
EtOAc =酢酸エチル
EtOH =エタノール
HATU =o−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’、N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HOAc =酢酸
CO =炭酸カリウム
KHMDS =カリウムヘキサメチルジシラザン
KOBu =カリウムt−ブトキシド
LDA =リチウムジイソプロピルアミド
LiOH =水酸化リチウム
mCPBA =メタクロロ過安息香酸
MeOH =メタノール
MeSOH =メタンスルホン酸
MgSO =硫酸マグネシウム
Ms =メタンスルホニル=メシル
MsCl =塩化メタンスルホニル
NaBH =水素化ホウ素ナトリウム
NaH =水素化ナトリウム
NaI =ヨウ化ナトリウム
NaCNBH =水素化シアノホウ素ナトリウム
NaCO =炭酸ナトリウム
NaHCO =炭酸水素ナトリウム
NaOH =水酸化ナトリウム
NaSO =硫酸ナトリウム
NBS =N−ブロモスクシンイミド
NH =アンモニア
NHCl =塩化アンモニウム
Pd/C =パラジウム炭素
PdCl =塩化パラジウム(0)
PdCl(dppf) =[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)
Pd(dba) =トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)
PG =保護基
PPh =トリフェニルホスフィン
(PhO)PMeI =ヨウ化メチルトリフェノキシホスホニウム
PPTS =ピリジニウムp−トルエンスルホネート
iPrNli =リチウムジイソプロピルアミド
PyBOP =ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェート
rt =室温
sat.aq. =飽和水
TFA =トリフルオロ酢酸
THF =テトラヒドロフラン
TiCl =四塩化チタン
tlc =薄層クロマトグラフィ
TMSCl =クロロトリメチルシラン
Me =メチル
Et =エチル
n−Pr =第一級プロピル
i−Pr =イソプロピル
n−Bu =第一級ブチル
i−Bu =イソブチル
s−Bu =第二級ブチル
t−Bu =第三級ブチル
【0126】
本発明の新規化合物は、適切な物質を用いて以下の一般法により調製でき、以下の具体的実施例によりさらに例示される。しかしながら、実施例に示された化合物は、発明として考慮される属のみを形成するものとして解釈してはならない。さらに以下の実施例は、本発明の化合物の調製の詳細を説明している。当業者は、以下の調製法の条件およびプロセスの知られた変法をこれらの化合物を調製するために使用できることを容易に理解するであろう。全ての温度は、他に特記しない限り摂氏度である。
【0127】
スキーム
本発明の化合物は、下記に示されるスキーム1に従って調製できる。すなわち、α−アミノエステルを、ハロアルキルケトンに加えて、TiCl、MgSOまたはトリフルオロ酢酸イソプロピルなどの脱水剤の存在下、イミンに脱水できるアミナールを形成できる。水素化シアノホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤によるイミンの還元により、アミンを得る。エステル加水分解および適切に置換されたアミノアセトニトリルとのアミド形成により、現行発明の化合物を得る。D系上の置換基がハロゲンである場合、適切なボロン酸とのパラジウム触媒Suzukiカップリングにより、さらなる現行発明の化合物を得る。本反応におけるボロン酸部分は、ボロンピナコレート種または適切なアリールスタナンにより置換できるであろう。ボロン酸カルボン酸基は、アルキルエステルとして場合によっては保護でき、次いで加水分解すると現行発明の化合物を得ることができる。
【0128】
【化7】

【0129】
本発明の化合物はまた、下記に示されるスキーム2に従って調製できる。アルデヒドを、アミノアルコールと縮合すると、環式アミナールを得ることができる。3当量のグリニャール試薬または有機リチウム試薬との処理により、適切にアルキル化されたアミノアルコールを得る。Jones酸化またはHIO/CrOなどのクロム系、あるいは2ステップ酸化(例えば、塩化オキサリル/DMSO/EtNに次いでNaClO)によるアルコールの酸化により、対応するカルボン酸を得る。スキーム1に記載されたペプチドカップリングおよびSuzuki反応により現行発明の化合物を得る。
【0130】
【化8】

【0131】
現行発明の化合物を作製するために用いられるカルボン酸−臭化アリールは、スキーム3に示されたとおり調製できる。ブロモフェニルアセトニトリルのLDAまたはKHMDSなどの塩基処理に次いで、ヨウ化メチルまたは1−ブロモ−2−クロロエタンなどのハロゲン化アルキルとの処理によりアルファ置換ベンゾニトリル類を得る。あるいは、このアルキル化は、水酸化ナトリウム、ハロゲン化アルキルおよび塩化ベンジルトリエチルアンモニウムなどの適切な相間移動触媒を用いる相間移動条件下で実施できる。塩基性条件下でのニトリルの加水分解により対応するカルボン酸を得る。この置換臭化アリールを、スキーム14に記載されたアリールボロンピナコレートと結合すると、現行発明の化合物を得ることができる。あるいは、臭化アリールはそれ自体、ビス(ピナコレート)ジボロンとのパラジウム触媒反応によりアリールボロンピナコレートに変換できる。この生じたアリールボロンピナコレートは、スキーム1、2、5、6、または13に示されているSuzukiカップリング反応においてボロン酸の代わりに使用して現行発明の化合物を得ることができる。
【0132】
【化9】

【0133】
現行発明の化合物を作製するために用いられるカルボン酸−臭化アリールはまた、スキーム4に示されたとおり調製できる。臭化ブロモフェニルベンジルと、適切に置換されたエステルエノレートとの処理によりブロモアリール−アルキルカルボン酸エステルを得る。この中間体を、スキーム14に記載されている適切に置換されたアリールボロン酸と結合し、次いでエステルを塩基性加水分解することにより、現行発明の化合物を得ることができる。
【0134】
【化10】

【0135】
現行発明の化合物はまた、下記に示されるスキーム5に従って調製できる。アルデヒドまたはヘミアセタールは、アルコール部分が適切な保護基で保護されているアミノアルコールを水の共沸除去により縮合できる。生じたイミンの、グリニャール試薬または有機リチウム試薬との処理により、適切にアルキル化されたアミノアルコールを得る。次にアルコール保護基を除去し、アルコールを、スキーム1に記載された方法によるか、または最初にSuzuki反応を実施し、次いでアルコールをHIO/CrOによる酸化に次いでペプチドカップリングにより現行発明の化合物に変換することができる。
【0136】
【化11】

【0137】
現行発明の化合物はまた、下記に示されるスキーム6に従って調製できる。スキーム1、2、または5に記載されたアルファ−アミノ酸の、アルファ−アミノ酸アミドとのペプチドカップリングに次いで、生じた第一級アミドの脱水により(Voegel,J.J.;Benner,S.A.Helv.Chem.Acta 1996年、79、1863頁)現行発明の化合物を得る。
【0138】
【化12】

【0139】
スキーム2および5の最初に用いられる幾つかのアミノアルコールの合成は、スキーム7〜11に記載されている。例えば、R=Meである(2S)−2−アミノ−4−フルオロ−4−メチルペンタン−1−オールの合成は、下記のスキーム7に記載されている。適切な二保護アスパラギン酸を出発して、カルボキシ基を、標準的な文献方法(すなわち、混合無水物形成に次いでNaBH還元)を用いてアルコールに還元できる。次に2−アミノ−4−メチルペンタン−1,4−ジオール(R=Me)の保護版を、グリニャール反応または有機リチウム化反応により生成できる。最後に、ヒドロキシ部分を、DASTなどのフッ素化剤を用いて所望のフルオロ体に変換できる。次いでこのアミノアルコールの保護または無保護版を、スキーム1、2、および5に従って現行発明の化合物に変換できる。
【0140】
【化13】

【0141】
4−フルオロロイシノールはまた、スキーム8に従って合成できる。4,5−デヒドロロイシンを、下記のスキームに記載されているとおり(4S)−4−(2−メチルプロパ−2−エニル)−1,3−オキサゾリジン−2−オンに変換する。次にこの中間体を、HF−ピリジンなどのヒドロフッ素化試薬で処理して(4S)−4−(2−フルオロ−2−メチルプロピル)−1,3−オキサゾリジン−2−オンを得る。次いで塩基性加水分解(すなわち、Ba(OH)またはNaOH)により(2S)−2−アミノ−4−フルオロ−4−メチルペンタン−1−オールを得る。
【0142】
【化14】

【0143】
R=Meである4,4−ジフルオロ−L−ノルバリンの合成は、下記のスキーム9に記載されている。適切な二保護セリンを出発して、ヨウ素化は(PhO)MeIなどの試薬を用いて実施できる。生じたヨウ化物の亜鉛化は、Zn−CuカップルとTMSClとを用いて進行できる。次に生じた亜鉛化物を、塩化アルカノイルとパラジウム触媒のカップリング反応を行って、ケトンを生成する。最後に、ケトン部分は、DASTなどのフッ素化剤を用いて所望のジフルオロ誘導体に変換できる。次いでこのアミノ酸またはアミノアルコールの保護または無保護版を、スキーム1、2、3および5に従って現行発明の化合物に変換できる。
【0144】
【化15】

【0145】
本発明に用いられるアミノアルコール類はまた、スキーム10に従って合成できる。保護アミノ酸を、EtOHなどの溶媒中、またはEtOH/THFなどの混合溶媒系中、LiClなどの添加物の有無においてNaBHなどの還元剤により還元する。次にアミノ保護基を、保護基の性質によって適切な方法により除去する。
【0146】
【化16】

【0147】
本発明に用いられる(2S,4S)−2−アミノ−5,5,5−トリフルオロ−4−メチルペンタン−1−オールは、スキーム11に記載されている。N−ベンゾイル−5,5,5−トリフルオロロイシン(Ojiimaら、J.Org.Chem.、1989年、54、4511〜4522頁)は、還流条件下、6M HClなどの水性酸により加水分解できる。次いでアミノ酸HCl塩の中間体を、N−アセチル−5,5,5−トリフルオロロイシンに変換させ、アミノ基のキラル中心を、酵素法(Synthetic Communications、1996年、26、1109〜1115頁)により分割する。次に単離された5,5,5−トリフルオロ−L−ロイシンを、ベンジルカルバメートなどの保護基で保護し、カルボン酸基をエステル化する。次いで4位における2種のジアステレオマーを、フラッシュカラムクロマトグラフィにより分離する。エナンチオーマーの1つである(2S,4S)保護アミノ酸を、スキーム10に記載されているアミノアルコールに変換する。
【0148】
【化17】

【0149】
現行発明の化合物はまた、下記に示されるスキーム13に従って調製できる。ジメチルホルムアミドなどの適切な有機溶媒中、ヨウ化ナトリウムの存在下で適切にN保護されたアミノ酸誘導体とオキセタントシレートとの反応により、対応するオキセタンエステルを得、ジボランとの処理によりオルトエステルを得る。アミノ保護基の除去によりアミンを得、上記に記載された反応条件下、式RCHOのアルデヒドまたは式RC(OH)(OR)(式中Rはアルキル基である)のヘミアセタールとの縮合によりイミンを得る。上記に記載された反応条件下、イミンとグリニャール試薬または有機リチウム化試薬との処理によりN−アルキル化誘導体を得る。オルトエステルの除去により対応するカルボン酸を得てから、ペプチドカップリング条件下でアミノアセトニトリルとの縮合に次いで上記のSuzuki反応により現行発明の化合物に変換される。
【0150】
【化18】

【0151】
現行発明の化合物はまた、スキーム14に示されるように調製できる。適切なR、R、RおよびR基を含有するハロゲン化アリールを、ビス(ピナコレート)ジボロンと結合させてアリールピナコレートを得ることができる。これを、Suzuki条件下でカルボン酸含有臭化アリールと結合させて現行発明の化合物を得ることができる。あるいは、このアリールピナコレートを、Suzuki条件下でカルボン酸エステル含有臭化アリールと結合させてアルキルエステルを得ることができ、次いで加水分解して現行発明の化合物を得ることができる。
【0152】
【化19】

【0153】
スキーム1、2、および6に示されている式ハロ−D−CH(R)NHCH(R)COOHのカルボン酸はまた、スキーム15に示されるとおり調製できる。適切に置換された臭化ベンジル、ヨウ化ベンジルまたはトリフル化ベンジル(キラルまたはラセミであってよい)は、塩基性条件下、アルファアミノ酸エステルと結合できる。次いで水性塩基との加水分解により酸を得、これを現行発明の例に変換できる。
【0154】
【化20】

【0155】
現行発明の化合物を作製するために用いられる式HOOC−G−E−Brの臭化カルボン酸を、スキーム16に示されるとおり調製できる。臭化ブロモフェニルベンジルと、適切に置換されたエステルのエノレートとの処理により、ブロモアリール−アルキルカルボン酸エステルを得る。この中間体を、スキーム14に記載されたように適切に置換されたアリールボロン酸と結合させることができ、次いでエステルの塩基性加水分解により、現行発明の化合物を得ることができる。あるいは、スキーム14に記載されたSuzukiカップリング前にエステルを加水分解してもよい。
【0156】
【化21】

【0157】
以下の実施例は、選択された本発明の化合物の合成を記載する。
【実施例1】
【0158】
(シアノメチル)−N{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミドの合成
【0159】
【化22】

【0160】
ステップ1:(2S)−1−{[t−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−メチルペンタン−2−アミン
L−ロイシノール(6.0g)のジクロロメタン(100mL)室温溶液に、トリエチルアミン(11mL)、DMAP(0.1g)および塩化t−ブチルジメチルシリル(8.5g)を加えた。この混合物を、室温で2時間撹拌してから水を加えた。有機層を分離し、さらに水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去すると標題化合物が得られ、残渣を次の反応にそのまま用いた。
H NMR(CDCOCD)δ3.48(m,2H)、3.32(m,1H)、2.76(m,1H)、1.78(m,1H)、1.22〜1.02(m,2H)、0.88(m,15H)、0.06(s,6H)。
ステップ2:(2S)−1−{[t−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−メチル−N−[(1E)−2,2,2−トリフルオロエチリデン]ペンタン−2−アミン
【0161】
ステップ1の(2S)−1−{[t−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−メチルペンタン−2−アミン(50g)およびトリフルオロアセトアルデヒドメチルヘミアセタール(35mL)のトルエン(300mL)溶液を、16時間加熱還流し、その時間、水をディーンスタークトラップに採取した。溶媒を減圧蒸発させて、残渣は、溶出液としてヘキサン類と酢酸エチル(9:1)を用いてSiOで精製して標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ7.88(m,1H)、3.76〜3.45(m,3H)、1.60〜1.25(m,3H)、0.88(m,15H)、0.06(s,3H)、0.04(s,3H)。
【0162】
ステップ3:(2S)−2−{[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]アミノ}−4−メチルペンタン−1−オール
n−BuLi(ヘキサン中2.5M、42mL)を、1,4−ジブロモベンゼン(25.8g)の−70℃THF(400mL)溶液に加え、混合物を25分間撹拌した。次に(2S)−1−{[t−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−メチル−N−[(1E)−2,2,2−トリフルオロエチリデン]ペンタン−2−アミン(31g)のTHF(30mL)溶液を、滴下により加え、この混合物を1.5時間撹拌した。次いでこれを、激しく撹拌しながら、酢酸エチル(500mL)、水(2L)、氷(300g)および塩化アンモニウム(100g)の混合物に徐々に注いだ。有機層を分離し、さらに水層を酢酸エチル(2×500mL)で抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して残渣が得られ、そのまま用いた。上記の残渣をTHF(250mL)に溶解し、溶液を0℃に冷却した。フッ化t−ブチルアンモニウムの1M THF溶液(110mL)を滴下により加え、この混合物を4時間反応させた。これを、激しく撹拌しながら、酢酸エチル(300mL)、水(2L)および塩化アンモニウム(100g)に注いだ。有機層を分離し、さらに木層を酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して残渣が得られ、これを、溶出液として酢酸エチルとヘキサン類の勾配(1:5から1:4)を用いるSiOにより精製して標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ7.6(2H,d)、7.45(2H,d)、4.55(1H,m)、3.65〜3.7(1H,m)、3.5〜3.55(1H,m)、3.25〜3.35(1H,m)、2.6〜2.7(1H,m)、2.25〜2.35(1H,m)、1.65〜1.75(1H,m)、1.3〜1.4(1H,m)、1.2〜1.3(1H,m)、0.75〜0.9(6H,dd)。
【0163】
ステップ4:(2S)−4−メチル−2−({(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルチオ)−1,1’−ビフェニル−4−イル]エチル}アミノ)ペンタン−1−オール
ステップ3の臭化物(27.7g)、4−(メチルチオ)フェニルボロン酸(15.7g)、2M NaCO(100mL)およびn−プロパノール(500mL)から作製された懸濁液に窒素流を15分間通した。次にPd(OAc)とPPhの1:3混合物(3.5g)を加え、反応液を70℃に加温し、窒素下8時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(500mL)で希釈し、水(2L)と氷(500g)に注いだ。酢酸エチル層を分離し、さらに水層を酢酸エチル(200mL)で抽出した。酢酸エチル抽出液を合わせて、0.5N NaOH(2×200mL)、NHCl水、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒の留去により残った残渣を、酢酸エチルとヘキサン類の勾配(1:4から1:3)を用いるSiOクロマトグラフィにより精製し、再度アセトンとトルエン(1:10)とのクロマトグラフィで精製した。残渣を熱ヘキサン類(200mL)に溶解し、撹拌下、0℃に冷却した。得られた固体をろ過し、乾燥して標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ7.7(2H,d)、7.65(2H,d)、7.6(2H,d)、7.35(2H,d)、4.5〜4.6(1H,m)、3.7(1H(OH),m)、3.5〜3.6(1H,m)、3.3〜3.4(1H,m)、2.7(1H,m)、2.5(3H,s)、2.3〜2.4(1H(NH),m)、1.65〜1.75(1H,m)、1.2〜1.4(3H,m)、0.8〜0.9(6H,dd)。
【0164】
ステップ5:(2S)−4−メチル−2−({(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]エチル}アミノ)ペンタン−1−オール
ステップ4のスルフィド(19g)の0℃トルエン(400mL)溶液に、NaWO・2HO(0.16g)およびBuNHSO(0.81g)を加えた。次に30%過酸化水素(12.2mL)を徐々に加え、混合物を室温で4.5時間撹拌した。混合物を、氷、希釈チオ硫酸ナトリウム水および酢酸エチルの混合物に徐々に注いだ。有機層を分離し、さらに水層を酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機層を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して残渣を得、溶出液として酢酸エチルとヘキサン類(1:1)を用いるSiOにより精製して生成物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ8.05(2H,d)、8.0(2H,d)、7.85(2H,d)、7.7(2H,d)、4.6〜4.7(1H,m)、3.75(1H,m)、3.6(1H,m)、3.35〜3.45(1H,m)、3.2(3H,s)、2.7〜2.8(1H,m)、2.35〜2.45(1H,m)、1.7〜1.8(1H,m)、1.2〜1.5(2H,m)、0.8〜0.95(6H,dd)。
【0165】
ステップ6:N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンの調製
IO/CrO(529mLのCH3CN中0.44M;下記の注を参照)の懸濁液を0℃に冷却し、ステップ5のアルコール(20g)のCHCN(230mL)溶液を滴下により加えた。混合物を0〜5℃で3.5時間撹拌した。これを、激しく撹拌しながらpH4のNaHPO(1.5L)に注ぎ、混合物をジエチルエーテル(3×250mL)で抽出した。エーテル抽出液を合わせて、水とブライン(1:1)で、また希釈NaHSO水とブラインで洗浄した。有機抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発乾固して残渣を得、これを次の精製のために2つのバッチに分けた。
【0166】
上記の粗製酸(10g)を酢酸イソプロピル(250mL)に溶解し、冷0.1N NaOH(3×250mL)に抽出した。抽出液を合わせてジエチルエーテル(250mL)で洗浄してから、6N HClでpH4に徐々に酸性にした。カルボン酸を酢酸イソプロピル(2×250mL)で抽出し、酢酸イソプロピル層を乾燥し、濃縮して本質的に純粋な生成物を得、そのまま次のステップに用いた。
注:酸化剤(HIO/CrO)は、Tetrahedron Letters 39(1998)5323〜5326頁に記載されたとおりであるが、HPLCグレードのCHCN(0.5%水を含有する)を用いて調製し、水を加えなかった。
H NMR(CDCOCD)δ8.05(2H,d)、7.95(2H,d)、7.8(2H,d)、7.65(2H,d)、4.45〜4.55(1H,m)、3.55〜3.6(1H,m)、3.2(3H,s)、2.8〜3.0(広幅 m,NH/OH)1.95〜2.05(1H,m)、1.55〜1.6(2H,m)、0.9〜1.0(6H,m)。
【0167】
ステップ7:N(シアノメチル)−N{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミドの調製
ステップ7の酸(9g)のDMF(200mL)溶液に、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(11.6g)、塩酸アミノアセトニトリル(3.94g)を加え、この混合物を0℃に冷却した。トリエチルアミン(9.9mL)を滴下により加え、混合物を室温に温めて16時間撹拌した。これを、氷と飽和重炭酸ナトリウム水に注ぎ、ジエチルエーテル(3×100mL)で抽出した。抽出液を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣を、酢酸エチルとヘキサン類(1:1)を用いるSiOクロマトグラフィにより精製した。次いで標題化合物を、ジエチルエーテル中16時間撹拌し、ろ過し、乾燥した(mp 140.5℃)。
H NMR(CDCOCD)δ8.0(2H,d)、7.95(2H,d)、7.8(2H,d)、7.65(2H,d)、4.35〜4.45(1H,m)、4.1〜4.2(2H,m)、3.45〜3.55(1H,m)、3.15(3H,s)、2.65〜2.7(1H,m)、1.85〜1.95(1H,m)、1.4〜1.6(2H,m)、0.85〜0.95(6H,m)。
【実施例2】
【0168】
(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミドの調製
【0169】
【化23】

【0170】
ステップ1:ベンジル(3S)−3−[(t−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−ヒドロキシブタノエート
N−(t−ブトキシカルボニル)−L−アスパラギン酸4−ベンジルエステル(30g)を、ジメトキシエタン(90mL)に溶解し、この溶液を−5℃に冷却した。−10℃より低く温度を維持するような方法で、N−メチルモルホリン(10.32mL)を加え、次いでクロロギ酸イソブチル(12.7mL)を加えた。混合物を0.5時間撹拌した。固体を素早くろ過し、ジメトキシエタン(90mL)で洗浄した。−50℃に冷却されたろ液に、−30℃と−15℃との間に温度を維持するような方法で、水素化ホウ素ナトリウム(4.4g)を水溶液として注意深く加えた。全ての水素化物を加えたら、−15℃より低く温度を維持するような方法で、水(500mL)を加えた。この懸濁液をろ過し、固体を水(400mL)で洗浄し、乾燥してベンジル(3S)−3−[(t−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−ヒドロキシブタノエートを得た。
H NMR(CDCOCD)δ7.3〜7.45(5H,m)、5.85〜5.95(1H,NH)、5.15(2H,s)、3.95〜4.1(2H,m)、3.5〜3.7(2H,m)、2.55〜2.75(2H,m)、1.4(9H,s)。
【0171】
ステップ2:ベンジル[(4S)−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−4−イル]アセテート
ジクロロメタン(925mL)に溶解されたステップ1のアルコール(95.7g)に、ピリジン(625mL)を加え、混合物を0〜5℃に冷却した。無水p−トルエンスルホン酸無水物(105.7g)を加え、混合物を室温に温めて1時間撹拌した。次にこれを、90℃で2時間加熱した。混合物を冷却し、ジクロロメタン(1000mL)で希釈し、1N HCl(3×600mL)で洗浄した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣を、1:1比率の酢酸エチルとヘキサン類に次いで酢酸エチルを用いるSiOクロマトグラフィにより精製してベンジル[(4S)−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−4−イル]アセテートを得た。
H NMR(CDSOCD)δ7.8(1H,NH)、7.3〜7.45(5H,m)、5.05〜5.15(2H,m)、4.4〜4.5(1H,m)、4.1〜4.2(1H,m)、4.0〜4.05(1H,m)、3.6〜3.8(2H,m)。
【0172】
ステップ3:(4S)−4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン
臭化メチルマグネシウム(227mLのジエチルエーテル中3M溶液)を、−20℃でトルエン(340mL)およびTHF(340mL)の混液に加えた。次に、−10℃より低く温度を維持しながらステップ2のエステル(40g)を温THF溶液(170mL)として、滴下により加え、混合物を2時間熟成させた。次いでこの混合物を、水(1000mL)と酢酸(200mL)の混液に徐々に加え、混合物を室温で2時間撹拌した。水層を分離し、有機層を水(2×200mL)で抽出した。生成物を、ジクロロメタンおよび連続抽出器を用いて水層を合わせてから抽出した。ジクロロメタン抽出液を、ヘプタンの補助により蒸発乾固した。残渣を、エタノールおよびジクロロメタン(1:30)を用いてSiOクロマトグラフィにより精製して(4S)−4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1,3−オキサゾリジン−2−オンを得た。
H NMR(CDCOCD)δ6.1〜6.4(1H,NH)、4.45〜4.55(1H,m)、4.1〜4.2(1H,m)、3.95〜4.05(1H,m)、3.7(1H,s)、1.65〜1.85(2H,m)、1.25(6H,m)。
【0173】
ステップ4:(4S)−4−(2−フルオロ−2−メチルプロピル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン
ステップ3のアルコール(47.8g)をジクロロメタン(100mL)溶液として、三フッ化(ジエチルアミノ)サルファー(48.5g)の−70℃ジクロロメタン(500mL)溶液に加えた。この混合物を室温に温めて1時間撹拌した。これを、次に飽和NaHCO水(800mL)の0℃混合物に注意して加えた。有機層を分離し、飽和NaHCO水で洗浄した。さらに水層を、ジクロロメタン(100mL)で抽出し、ジクロロメタン層を合わせて、乾燥し、濃縮した。残渣を、酢酸エチルとヘキサン類(1:5)に次いで酢酸エチルを用いるSiOクロマトグラフィにより精製して(4S)−4−(2−フルオロ−2−メチルプロピル)−1,3−オキサゾリジン−2−オンを得た。
H NMR(CDSOCD)δ7.6(1H,NH)、4.4〜4.5(1H,m)、3.95〜4.05(1H,m)、3.9〜3.95(1H,m)、1.8〜1.95(2H,m)、1.25〜1.4(6H,2s)。
【0174】
ステップ5:(2S)−2−アミノ−4−フルオロ−4−メチルペンタン−1−オール
90%エチルアルコール水(216mL)に溶解されたステップ4のフルオロ誘導体(21.0g)に、水酸化カリウム(21.9g)を加えた。この混合物を4時間加熱還流し、室温に冷却した。次に混合物を濃縮し、トルエン(3×300mL)と共に共蒸発させた。残渣をジクロロメタン(500mL)に溶解し、0.5時間撹拌した。この懸濁液をセライトを通してろ過し、セライトをジクロロメタン(3×100mL)で洗浄した。ろ液を濃縮乾固して(2S)−2−アミノ−4−フルオロ−4−メチルペンタン−1−オールを得た。
H NMR(CDOD)δ3.4〜3.5(1H,m)、3.2〜3.3(1H,m)、3.0〜3.1(1H,m)、1.5〜1.7(2H,m)、1.35(3H,s)、1.3(3H,s)。
【0175】
ステップ6:(2S)−1−{[t−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−フルオロ−4−メチルペンタン−2−アミン
ステップ5のアミノアルコール(21.0g)を、ジクロロメタン(300mL)に溶解し、溶液を0℃に冷却した。4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.051g)および塩化t−ブチルジメチルシリル(21g)に次いでトリエチルアミン(25mL)を加えた。混合物を、室温で一晩撹拌した。反応混合物を、0℃の飽和塩化アンモニウム水に徐々に注ぎ、ジクロロメタン(3×300mL)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して(2S)−1−{[t−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−フルオロ−4−メチルペンタン−2−アミンを得た。
H NMR(CDOD)δ3.6〜3.65(1H,m)、3.4〜3.5(1H,m)、3.1〜3.2(1H,m)、1.6〜1.8(2H,m)、1.35〜1.45(6H,m)、0.93(9H,s)、0.1(6H,s)。
【0176】
ステップ7:(2S)−1−{[t−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−フルオロ−4−メチル−N−[(1E)−2,2,2−トリフルオロエチリデン]ペンタン−2−アミン
ベンゼン(126mL)に溶解されたステップ6のアミン(31.5g)に、トリフルオロアセトアルデヒドメチルヘミアセタール(21.6mL)を加えた。水を採取するためにディーンスタークトラップを用いて、この溶液を一晩加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、濃縮乾固した。残渣を、ヘキサン類中4%酢酸エチルを用いてSiOにより精製して(2S)−1−{[t−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−フルオロ−4−メチル−ペンタン−2−アミンを得た。
H NMR(CDCOCD)δ7.9〜7.95(1H,m)、3.75〜3.85(1H,m)、3.7〜3.75(1H,m)、3.53〜3.6(1H,m)、1.9〜2.0(2H,m)、1.3〜1.4(6H,m)、0.9(9H,s)、0.1(3H,s)、0.05(3H,s)。
【0177】
ステップ8:(2S)−2−{[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]アミノ}−4−フルオロ−4−メチルペンタン−1−オール
1,4−ジブロモベンゼン(0.26g)の−75℃THF(4mL)溶液に、n−BuLi(0.42mLの2.5Mヘキサン類溶液)を加え、混合物を20分間熟成させた。THF(2mL)中のステップ7のイミン(0.329g)を加え、混合物を2時間熟成させた。次に、この混合物を、水(50mL)、NHCl(1g)および破砕氷の混合物に加えた。これを、酢酸エチル(2×25mL)で抽出し、酢酸エチル層を合わせて乾燥し、蒸発乾固した。
【0178】
同じ方法を、ジブロモベンゼン(1.2g)、n−BuLi(1.84mL)、およびイミン(1.38g)を用いて繰り返し、反応混合物を上記のとおり処理した。両調製物の残渣を合わせてTHF(10mL)に溶解し、0℃に冷却した。フッ化n−テトラブチルアンモニウム(1M THF溶液の6mL)を加え、混合物を+5℃で16時間撹拌した。これを、水(50mL)、塩化アンモニウム(1g)および破砕氷の混合物に注ぎ、有機層を分離した。さらに水層を、酢酸エチル(2×15mL)で抽出し、有機層を合わせて乾燥し、濃縮した。残渣を酢酸エチルとヘキサン類(1:5)を用いてSiOにより精製して(2S)−2−{[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]アミノ}−4−フルオロ−4−メチルペンタン−1−オールを得た。
H NMR(CDCOCD)δ7.65(2H,m)、7.5(2H,m)、4.5〜4.6(1H,m)、3.8(1H,m)、3.6(1H,m)、3.3〜3.4(1H,m)、2.85〜2.0(1H,m)、2.55(1H,m)、1.7〜1.9(2H,s)、1.3〜1.4(6H,m)。
【0179】
ステップ9:N−[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシン
IO/CrO(66mLのCHCN中0.44M;注)の懸濁液を0℃に冷却し、ステップ8のアルコール(1.55g)のCHCN(5mL)溶液を滴下により加えた。混合物を0〜5℃で3.5時間撹拌した。これを、激しく撹拌しながらpH4のNaHPO(200mL)に注ぎ、混合物をジエチルエーテル(3×50mL)で抽出した。エーテル抽出液を合わせて、水とブライン(1:1)で、次いで希釈NaHSO水とブラインで洗浄した。これを硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発乾固してN−[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンを得、これを次のステップにそのまま用いた。
注:酸化剤(HIO/CrO)は、Tetrahedron Letters 39(1998)5323〜5326頁に記載されたとおりであるが、HPLCグレードのCHCN(0.5%水を含有する)を用いて調製し;水を加えなかった。
【0180】
ステップ10:N−[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド
ジイソプロピルエチルアミン(4.2mL)を、ステップ9の酸(1.5g)、塩酸1−アミノ−1−シクロプロパンカルボニトリル(1.18g)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(1.94g)およびジメチルホルムアミド(5mL)の0℃懸濁液に加え、混合物を室温で48時間反応させた。次にこれを、氷と希釈塩化アンモニウム水に注いだ。混合物を、酢酸エチルとエーテル(1:1)で抽出し、有機層を合わせて、pH3の希釈NaHPOとブラインとで洗浄した。溶媒を蒸発乾固し、残渣を、酢酸エチルとヘキサン類(1:2)を用いるSiOクロマトグラフィにより精製して、N−[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミドを、次のステップに十分な純度状態で得た。
H NMR(CDCOCD)δ8.15(1H,NH)、7.6(2H,m)、7.45(2H,m)、4.35〜4.45(1H,m)、3.45〜3.55(1H,m)、1.9〜2.1(2H,m)、1.75〜1.85(1H,NH)、1.35〜1.55(8H,m)、1.1〜1.15(1H,m)、0.95〜1.05(1H,m)。
【0181】
ステップ11:N(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルチオ)−1,1’−ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド
ステップ10の臭化物(0.338g)、4−(メチルチオ)フェニルボロン酸(0.252g)、2M NaCO(0.8mL)およびDMF(4mL)から作製された懸濁液に窒素流を15分間通した。次にPdCl,dppf(0.1g)を加え、反応液を85℃に加温し、窒素下5時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(10mL)で希釈し、水(50mL)と氷に注いだ。酢酸エチル層を分離し、さらに水層を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル抽出液を合わせて、乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣を、酢酸エチルとヘキサン類(1:2)を用いるSiOクロマトグラフィにより精製し、N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルチオ)−1,1’−ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミドを得た。
H NMR(CDCOCD)δ8.15(1H,NH)、7.1〜7.2(4H,m)、7.5〜7.55(2H,m)、7.35〜7.4(2H,m)、4.3〜4.4(1H,m)、3.45〜3.55(1H,m)、2.75〜2.8(1H,NH)、2.5(3H,s)、1.9〜2.05(2H,m)、1.3〜1.5(8H,m)、1.0〜1.1(1H,m)、0.85〜0.95(1H,m)。
【0182】
ステップ12:N(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミドの調製
ステップ11のスルフィド(0.265g)の0℃トルエン(5mL)およびジクロロメタン(5mL)溶液に、NaWO・2HO(0.002g)および7−BuNHSO(0.01g)を加えた。次に30%過酸化水素(0.137mL)を徐々に加え、混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を、氷、希釈チオ硫酸ナトリウム水および酢酸エチルの混合物に徐々に注いだ。有機層を分離し、さらに水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して残渣を得、これを、溶出液として酢酸エチル、ヘキサン類およびジクロロメタン(1:1:0.1)を用いるSiOにより精製した。残渣をジエチルエーテル中、粉砕してN(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミドを得た。
H NMR(CDCOCD)δ8.2(1H,NH)、8.05〜8.1(2H,m)、7.95〜8.0(2H,m)、7.8(2H,m)、7.65(2H,m)、4.35〜4.45(1H,m)、3.5〜3.6(1H,m)、3.2(3H,s)、2.8〜2.9(1H,NH)、1.9〜2.1(2H,m)、1.3〜1.5(8H,m)、1.05〜1.15(1H,m)、0.9〜1.0(1H,m)。
【実施例3】
【0183】
1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−4−イル]−シクロプロパンカルボン酸の調製
【0184】
【化24】

【0185】
ステップ1:1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボニトリル
22mLの水酸化ナトリウム(水中50%W/W)中、4−ブロモフェニルアセトニトリル(18.0g)の室温溶液に、1−ブロモ−2−クロロエタン(12.0mL)および塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(627mg)を加えた。混合物を60℃で一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、ジエチルエーテル(300mL)を加えた。エーテル層を、水(100mL)、塩酸(100mL、水中10% HCl)およびブラインで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣を、ジエチルエーテルおよびヘキサン類を用いて粉砕により精製して標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ7.60(2H,d)、7.35(2H,d)、1.74〜1.80(2H,m)、1.52〜1.57(2H,m)。
【0186】
ステップ2:1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボン酸
ステップ1の1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボニトリル(13g)の室温エチルアルコール(110mL)溶液に、56mLの水酸化ナトリウム(水中25%NaOHw/w)溶液を加えた。混合物を100℃で一晩加熱した。これを室温に冷却し、氷と塩酸(1N)に注ぎ、ジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。抽出液を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ7.50(2H,d)、7.35(2H,d)、1.53〜1.60(2H,m)、1.18〜1.22(2H,m)。
【0187】
ステップ3:N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]エチル}−L−ロイシンアミド
実施例2、ステップ10のN−[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド(2.0g)、ビス(ピナコレート)ジボロン(1.24g)および酢酸カリウム(1.53g)のDMF(40mL)懸濁液に窒素流を15分間通した。次に、触媒[1,1’−ビス(トリフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタンとの錯体(1:1)(181mg)を加え、窒素下、混合物を65℃に一晩加温した。混合物を室温に冷却し、酢酸エチルとヘキサン類(1:1、100mL)で希釈し、水(50mL)および氷(50g)に注いだ。有機層を分離し、さらに水層を酢酸エチルとヘキサン類(1:1、3×50mL)で抽出した。抽出液を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒の留去により残った残渣を、酢酸エチルとヘキサン類(1:3から1:2)を用いるSiOクロマトグラフィにより精製して標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ8.15(1H,bs)、7.78(2H,d)、7.50(2H,d)、4.31〜4.40(1H,m)、3.47〜3.54(1H,m)、2.72〜2.80(2H,m)、1.32〜1.48(9H,m)、1.05〜1.11(1H,m)、0.87〜0.95(1H,m)。
【0188】
ステップ4:1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−4−イル]−シクロプロパンカルボン酸
ステップ3のボロネート(150mg)、1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボン酸(65mg)および2M NaCO(400μL)のDMF(4mL)溶液に窒素流を15分間通し、[1,1’−ビス(トリフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタンとの錯体(1:1)(12mg)を加えた。この混合物を窒素下、80℃に3時間加温した。混合物を室温に冷却し、氷(10g)と1.0N塩酸(15mL)に注ぎ、ジエチルエーテル中50%酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。抽出液を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒の留去により残った残渣を、溶出液として酢酸エチル、ヘキサン類および酢酸(1:1:1%)を用いるSiOクロマトグラフィにより精製し、次いでジエチルエーテルを用いてスイッシュすることにより標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ8.16(1H,bs)、7.69(2H,d)、7.61(2H,d)、7.53(2H,d)、7.48(2H,d)、4.33〜4.38(1H,m)、3.50〜3.55(1H,m)、1.92〜2.05(2H,m)、1.57〜1.61(2H,m)、1.40〜1.50(6H,m)、1.38〜1.48(2H,m)、1.20〜1.27(2H,m)、1.02〜1.09(1H,m)、0.87〜0.95(1H,m);
MS(+APCI):532.4(M+1)
【実施例4】
【0189】
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−{4’−[1−(カルボキシ)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−エチル}−L−ロイシンアミド
【0190】
【化25】

【0191】
ステップ1:(2S)−1−{[t−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−N−[(1Z)−2,2−ジフルオロエチリデン]−4−メチルペンタン−2−アミンの調製
ベンゼン中、(2S)−1−{[t−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−メチルペンタン−2−アミン(実施例4、ステップ1、8.5g、36.8mmol)およびジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール(5.0g、39.7mmol)の混合物を、ディーンスタークトラップを付けて一晩還流した。溶媒を減圧留去した。残渣を、ショートシリカカラムを通し、ヘキサン類:酢酸エチル(10:1)で溶出して、標題化合物を淡黄色油として得た。
H NMR(CDCOCD)δ7.72(m,1H)、6.12(dt,1H)、3.70(dd,1H)、3.54(dd,1H)、3.36(m,1H)、1.48(m,2H)、1.32(m,1H)、0.95〜0.78(m,15H)、0.06(s,3H)、0.02(s,3H)。
【0192】
ステップ2:(2S)−2−{[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]アミノ}−4−メチルペンタン−1−オールの調製
n−BuLi(ヘキサン類中2.5M、1.43mL)を、1,4−ジブロモベンゼン(884mg)の−70℃THF(8.5mL)溶液に加え、混合物を15分間撹拌した。次に(2S)−1−{[t−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−メチル−N−[(1E)−2,2−ジフルオロエチリデン]ペンタン−2−アミン(1.0g)のTHF(8.5mL)溶液を、滴下により加え、混合物を1.5時間撹拌した。次いでこれを、激しく撹拌しながら塩化アンモニウムの氷冷飽和溶液に徐々に注いだ。3部分の酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して残渣を得、これを溶出液としてヘキサン類と酢酸エチルの勾配(90:10から75:25)を用いるSiOにより精製して標題化合物を得た。上記の化合物(200mg)を、CHCN(4mL)に溶解し、この溶液を0℃に冷却した。HF−ピリジン(40μM)を滴下により加え、混合物を16時間反応させた。これを、飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ、酢酸エチルを加えて激しく振った。有機層を分離し、さらに水層を酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して残渣を得、これを溶出液としてヘキサン類と酢酸エチル(80:20から60:40)の勾配を用いるSiOにより精製して標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ7.6(2H,d)、7.45(2H,d)、6.0(1H,dt)、4.25(1H,m)、3.65(1H,t)、3.5〜3.55(1H,m)、3.3〜3.35(1H,m)、2.55〜2.65(1H,m)、2.15〜2.25(1H,m)、1.6〜1.7(1H,m)、1.3〜1.4(1H,m)、1.2〜1.3(1H,m)、0.9(3H,d)、0.8(3H,d)。
【0193】
ステップ3:N−[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]−L−ロイシンの調製
IO/CrO(5.5mLのCHCN中0.40M;下記の注を参照)の懸濁液を0℃に冷却し、ステップ2のアルコール(250mg)のCHCN(3.7mL)溶液を滴下により加えた。混合物を0〜5℃で3.5時間撹拌した。この時間後、2.0mLの該酸化剤を加えた。1.5時間後、これを、激しく撹拌しながらNaHPO緩衝液(10mL中0.4g)に注ぎ、混合物をジエチルエーテル(3×20mL)で抽出した。エーテル抽出液を合わせて、水とブライン(1:1)で、また希釈NaHSO水とブラインで洗浄した。有機抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発乾固して残渣を得、これを次のステップにさらに精製することなく用いた。
注:酸化剤(HIO/CrO)は、Tetrahedron Letters 39(1998)5323〜5326頁に記載されたとおりであるが、HPLCグレードのCHCN(0.5%水を含有する)を用いて調製し、水を加えなかった。
H NMR(CDCOCD)δ7.55(2H,d)、7.4(2H,d)、6.05(1H,dt)、3.95〜4.05(1H,m)、3.45(1H,t)、2.7〜3.0(広幅 m,NH/OH)、1.85〜1.95(1H,m)、1.5(2H,t)、0.95(3H,d)、0.9(3H,d)。
【0194】
ステップ4:N−[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]−N−(1−シアノシクロプロピル)−L−ロイシンアミド
ステップ3の酸(258mg)のDMF(2mL)溶液に、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(337mg)、塩酸1−アミノシクロプロパンカルボニトリル(175mg)を加えた。撹拌1分後、ジイソプロピルエチルアミン(0.45mL)を滴下により加え、混合物を16時間撹拌した。これを、飽和重炭酸ナトリウム水に注ぎ、酢酸エチル(3×15mL)で抽出した。抽出液を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣を、ヘキサン類と酢酸エチル(80:20から50:50)を用いるSiOクロマトグラフィにより精製した。
H NMR(CDCOCD)δ8.05(1H,m)、7.55(2H,d)、7.4(2H,d)、6.05(1H,dt)、3.95〜4.05(1H,m)、3.25〜3.3(1H,m)、2.4〜2.45(1H,m)、1.8〜1.9(1H,m)、1.4〜1.55(2H,m)、0.95〜1.1(2H,m)、0.95(6H,t)。
【0195】
ステップ5:N1−(1−シアノシクロプロピル)−N2−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]エチル}−L−ロイシンアミドの調製
ステップ4の臭化アリール(5.23g)およびビス(ピナコレート)ジボロン(3.8g)のDMF(60mL)溶液に、酢酸カリウム(3.7g)およびPdCldppf(309mg)を加えた。窒素流を懸濁液に1分間通した。反応混合物を80℃で16時間加熱した。これを室温に冷却し、分液ロートに移した。飽和NaHCO溶液(約120mL)とEtOAc(100mL)を加えた。有機層を分離し、さらに水層を2部分の酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機層を合わせて、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮した。粗製物を、シリカゲル(80:20から50:50ヘキサン/EtOAc)により精製し、所望のボロネートを得た。
H NMR(CDCOCD)δ8.15(bs,NH)、7.72(2H,d)、7.40(2H,d)、6.02(1H,dt)、3.95(1H,m)、3.25(1H,q)、2.38(1H,m)、1.72(1H,m)、1.27〜1.50(16H,m)、0.85〜1.05(8H,m)。
【0196】
ステップ6:N−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−{4’−[1−(カルボキシ)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−エチル}−L−ロイシンアミドの調製
マイクロ波用の封管可能なチューブ中、ステップ5のアリールボロネート(220mg)、1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボン酸(実施例3、ステップ2、70mg)、2M NaCO(0.65mL)DMF(4.5mL)およびPdCldppf(11mg)から作製された懸濁液に窒素流を1分間通した。次にこの混合物を、500秒間(固定保持時間:OFF)のマイクロ波(SmithCreator)中、120℃で(高吸収レベル)加熱した。これを室温に冷却し、酢酸エチル(20mL)で希釈し、飽和塩化アンモニウム液に注いだ。酢酸エチル層を分離し、さらに水層を酢酸エチル(2×15mL)で抽出した。酢酸エチル抽出液を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒留去により残った残渣を、ヘキサン類と酢酸エチル(90:10から30:70ヘキサン/EtOAc)の勾配を用いるSiOクロマトグラフィにより精製した。
H NMR(CDCOCD)δ8.13(bs,NH)、7.70(2H,d)、7.62(2H,d)、7.51(4H,m)、6.09(1H,td)、4.00(1H,m)、3.33(1H,m)、1.88(1H,m)、1.60(2H,m)、1.45〜1.55(2H,m)、1.38(2H,m)、1.26(2H,m)、1.00(2H,m)、0.94(6H,m)。
【実施例5】
【0197】
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−{4’−[1−(カルボキシ)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド
【0198】
【化26】

【0199】
標題化合物は、N1−(1−シアノシクロプロピル)−N2−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミドおよび実施例4に記載されている1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボキサミドから調製された。
H NMR(500MHz,アセトン d6):δ8.2(s,1H)、7.7(d,2H)、7.62(d,2H)、7.55(d,2H)、7.5(d,2H)、6.25〜6.0(m,1H)、4.1〜4.02(m,1H)、3.5〜3.42(m,1H)、2.05〜1.94(m,2H)、1.62〜1.56(m,2H)、1.5〜1.34(m,8H)、1.28〜1.2(m,2H)、1.05〜0.92(m,2H)
ESI(M+1):514
【実施例6】
【0200】
1−[2−[4−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]フェニル]−4−チアゾリル]−シクロプロパンカルボン酸
【0201】
【化27】

【0202】
ステップ1:エチル(2−ブロモ−1,3−チアゾール−4−イル)アセテート
アセトニトリル(56mL)中、エチル(2−アミノ−1,3−チアゾール−4−イル)アセテート(10g、53.7mmol)およびCuBr(14.4g、64mmol)の0℃混合物に、亜硝酸イソアミル(10.8mL、80mmol)を徐々に加えた。混合物を室温に温めて一晩撹拌してから、濃縮し、1:2の酢酸エチル:ヘキサン類で懸濁し、ろ過した。SiOクロマトグラフィ(5%酢酸エチル/ヘキサン類)による精製によって標題化合物を得た。
【0203】
ステップ2:エチル1−(2−ブロモ−1,3−チアゾール−4−イル)シクロプロパンカルボキシレート
エチル(2−ブロモ−1,3−チアゾール−4−イル)アセテート(1.0g、4mmol)のDMF(20mL)溶液に、60%NaH分散物(176mg、4.4mmol)に次いでジブロモエタン(0.38mL、4.4mmol)を加えた。混合物を50℃で3時間撹拌してから、室温で一晩撹拌した。さらに当量の各NaHとジブロモエタンを加え、混合物を55℃で2時間撹拌して冷却した。反応混合物を、水と酢酸エチルとに分配し、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。SiOクロマトグラフィ(5%酢酸エチル/ヘキサン類)による精製によって標題化合物を得た。
【0204】
ステップ3:エチル1−[2−[4−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]フェニル]−4−チアゾリル]−シクロプロパンカルボキシレート
エチル1−(2−ブロモ−1,3−チアゾール−4−イル)シクロプロパンカルボキシレート(166mg、1.2mmol)およびN−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]エチル}−L−ロイシンアミド(実施例3、ステップ3、250mg、0.5mmol)のDMF(5mL)溶液および2M NaCO(0.63mL)を、窒素流により10分間脱気してから、PdCldppf(41mg、0.05mmol)を加え、混合物を80℃で8時間加熱した。混合物を冷却し、酢酸エチルと飽和塩化アンモニウム水とに分配した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発させた。SiOクロマトグラフィ(30%酢酸エチル/ヘキサン類)による精製によって標題化合物を得た。
【0205】
ステップ4:1−[2−[4−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]フェニル]−4−チアゾリル]−シクロプロパンカルボン酸
エチル1−[2−[4−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]フェニル]−4−チアゾリル]−シクロプロパンカルボキシレート(100mg、0.18mmol)の1:1MeOH/THF(2.5mL)溶液に、1M LiOH(1.2mL)を加え、混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を10%酢酸で酸性にし、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。SiOクロマトグラフィ(40%酢酸エチル/ヘキサン類+1%酢酸)による精製によって標題化合物を得た。
H NMR(500MHz,アセトン d6):δ8.17(s,1H)、7.98(m,2H)、7.80(s,1H)、7.585(d,2H)、4.4(br s,1H)、3.53(m,1H)、2.0(m,2H)、1.7(m,2H)、1.6(m,2H)、1.4(m,8H)、1.1(m,1H)、0.95(m,1H)
MS(+ESI):538.9[M+1]
【実施例7】
【0206】
1−[[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−メチルブチル]アミノ]−2,2−ジフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−3−イル]メチル]−シクロブタンカルボン酸
【0207】
【化28】

【0208】
ステップ1:メチル1−(3−ブロモベンジル)シクロブタンカルボキシレート
LiHMDS(THF中1M、50mL、50mmol)の−78℃溶液に、メチルシクロブタンカルボキシレート(6.7g、52mmol)のTHF(200mL)溶液を加える。30分後、臭化3−ブロモベンジル(13.1g、52mmol)のTHF(100mL)溶液を加え、この混合物を室温に温める。該混合物をエーテルと1M HClとの間に分配し、NaHCO水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。SiOクロマトグラフィ(10%酢酸エチル/ヘキサン類)による精製によって標題化合物を得た。
【0209】
ステップ2:メチル1−[[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−メチルブチル]アミノ]−2,2−ジフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−3−イル]メチル]−シクロブタンカルボキシレート
ステップ1の臭化物を用いて、標題化合物を、実施例4、ステップ6に記載されたとおり調製した。
【0210】
ステップ3:4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−メチルブチル]アミノ]−2,2−ジフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−3−イル]メチル]−シクロブタンカルボン酸
ステップ2のメチルエステルを、実施例6、ステップ4に記載されたとおり加水分解して標題化合物を得た。
H NMR(500MHz,アセトン d6):δ8.17(s,1H)、7.65(m,2H)、7.52(m,4H)、7.38(m,1H)、7.27(m,1H)、6.09(dt,1H)、4.0(m,1H)、3.33(m,1H)、3.25(s,2H)、2.43(m,2H)、2.15(m,2H)、1.9(m,3H)、1.5(m,2H)、1.3(m,2H)、1.4(m,8H)、1.0(m,2H)、0.9(m,6H)
【実施例8】
【0211】
4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]−α,α−ジメチル−[1,1’−ビフェニル]−4−プロパン酸
【0212】
【化29】

【0213】
ステップ1:3−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジメチルプロパン酸
イソ酪酸エチル(2.32g)のTHF(10mL)溶液を、THF(60mL)中の−78℃LiHMDS(20mLの1M THF溶液)に加えた。混合物を60分間反応させ、臭化4−ブロモベンジル(6.25g)をTHF(10mL)溶液として加えた。この混合物を−78℃で1時間反応させてから0℃で2時間反応させた。混合物を氷と1N HCl(100mL)に注いだ。混合物をろ過した。酢酸エチル層を分離し、さらに水層を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧留去した。残渣をジエチルエーテル(50mL)に懸濁させ、ろ過し、濃縮乾固した。残渣をエタノール(70mL)に溶解し、2M LiOH(15mL)を加えた。反応混合物を70℃で2時間加熱してから、室温に冷却した。1N NaOH(20mL)を加え、混合物をi−PrOAc(2×25mL)で洗浄した。水層を氷で冷却し、1N HClで酸性にし、酢酸エチル(2×25mL)で抽出した。抽出液を合わせてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒留去により残った残渣を、ヘキサン類中で粉砕して標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ10.65〜10.75(1H,COOH)、7.35〜7.45(2H,d)、7.1〜7.2(2H,d)、3.85(2H,s)、1.15〜1.2(6H,s)。
【0214】
ステップ2:4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]−α,α−ジメチル−[1,1’−ビフェニル]−4−プロパン酸
実施例3、ステップ3のボロネート(249mg)、3−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジメチルプロパン酸(153mg)および2M NaCO(800μL)のDMF(4mL)溶液に、窒素流を15分間通した。次に、触媒[1,1’−ビス(トリフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタンとの錯体(1:1)(50mg)を加え、この混合物を窒素下、80℃に3時間加温した。混合物を室温に冷却し、氷(10g)、水(20mL)、希釈塩酸(5mL)および酢酸エチル(10mL)に注いだ。次いでこれを、酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。抽出液を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒の留去により残った残渣を、溶出液として酢酸エチル、ヘキサン類および酢酸(1:2:0.01)を用いるSiOクロマトグラフィにより精製して標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ8.2(1H,bs)、7.7(2H,d)、7.5〜7(4H,m)、7.55〜7.6(2H,d)、7.35(2H,d)、4.35〜4.45(1H,m)、3.5〜3.6(1H,m)、2.95(2H,bs)、2.75〜2.85(1H,m)、1.9〜2.1(2H,m)、1.4〜1.5(6H,m)、1.3〜1.4(1H,m)、1.2(6H,s)、0.9〜1.15(2H,m)。
MS(+APCI):548.2(M+1)
【実施例9】
【0215】
1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−4−イル]−シクロプロパンカルボン酸
【0216】
【化30】

【0217】
標題化合物を、実施例3に記載されたとおり調製した。
MSデータ:
【実施例10】
【0218】
1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−3−イル]−シクロプロパンカルボン酸
【0219】
【化31】

【0220】
ステップ1:1−(3−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボニトリル
18.4mLの水酸化ナトリウム(水中50%w/w)溶液中、3−ブロモフェニルアセトニトリル(15.0g)の室温溶液に、1−ブロモ−2−クロロエタン(9.5mL)および塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(522mg)を加えた。この混合物を60℃で一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、ジエチルエーテル(300mL)を加え、分配した。エーテル層を、水(100mL)、10%HCl水(100mL)およびブラインで洗浄してから、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣を、ジエチルエーテルとヘキサン類を用いるスイッシュにより精製して標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ7.56(1H,s)、7.53(1H,d)、7.36〜7.43(2H,m)、1.79〜1.83(2H,m)、1.58〜1.64(2H,m)。
【0221】
ステップ2:1−(3−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボン酸
ステップ1の1−(3−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボニトリル(12g)の室温エチルアルコール(100mL)溶液に、50mLの水酸化ナトリウム溶液(水中25%NaOHw/w)を加えた。この混合物を100℃で一晩加熱した。これを室温に冷却し、氷と1N HClに注ぎ、ジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。抽出液を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ10.80(1H,bs)、7.60(1H,s)、7.43(1H,d)、7.41(1H,d)、7.29(1H,t)、1.58〜1.61(2H,m)、1.23〜1.28(2H,m)。
【0222】
ステップ3:1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−3−イル]−シクロプロパンカルボン酸
実施例3、ステップ3のボロネート(150mg)、1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボン酸(65mg)および2M NaCO(400μL)のDMF(4mL)溶液に、窒素流を15分間通し、次いで[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタンとの錯体(1:1)(12mg)を加えた。この混合物を窒素下、80℃に3時間加温した。混合物を室温に冷却し、氷(10g)と1.0N HCl(15mL)に注ぎ、ジエチルエーテル中50%酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。抽出液を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒の留去により残った残渣を、溶出液として酢酸エチル、ヘキサン類および酢酸(1:3:1%から1:2:1%)を用いるSiOクロマトグラフィにより精製し、次いでジエチルエーテルを用いるスイッシュにより標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ10.70(1H,bs)、8.17(1H,bs)、7.70〜7.77(3H,m)、7.53〜7.62(3H,m)、7.41〜7.47(2H,m)、4.37〜4.43(1H,m)、3.52〜3.59(1H,m)、1.95〜2.05(2H,m)、1.59〜1.65(2H,m)、1.40〜1.50(6H,m)、1.35〜1.40(2H,m)、1.28〜1.33(2H,m)、1.07〜1.11(1H,m)、0.93〜0.99(1H,m)。
MS(+APCI):532.4(M+1)
【実施例11】
【0223】
4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]−α−メチル−[1,1’−ビフェニル]−4−酢酸
【0224】
【化32】

【0225】
ステップ1:メチル(4−ブロモフェニル)アセテート
塩化アセチル(10mL)を、−78℃でメタノール(100mL)に加え30分間撹拌し、次いで4−ブロモフェニル酢酸を添加した。次にこの混合物を室温まで温めて一晩撹拌した。溶媒の留去により残った残渣を、ジエチルエーテルに溶解した。混合物を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ7.52(2H,d)、7.29(2H,d)、3.68(2H,s)、3.50(3H,s)。
【0226】
ステップ2:メチル2−(4−ブロモフェニル)プロパノエート
ジイソプロピルアミン(3.9mL)の0℃THF(100mL)溶液に、ブチルリチウム(11.1mL)を徐々に加えた。反応混合物を0℃で15分間撹拌した。これを−78℃に冷却し、ステップ1のエステル(5.8g)のTHF(50mL)溶液を徐々に加えた。この混合物を、−78℃で30分間撹拌した。次いでヨードメタン(6.3mL)のTHF(50mL)溶液を滴下により加え、混合物を−78℃で30分間撹拌してから、徐々に室温に温めて1時間撹拌した。反応混合物を氷(50g)と飽和塩化アンモニウム水(200mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。抽出液を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣を、溶出液としてヘキサン類中の酢酸エチル(20分間2%から15%)を用いるSiOクロマトグラフィ(Combiflash)により精製して標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ7.55(2H,d)、7.30(2H,d)、3.81(1H,q)、3.64(3H,s)、1.45(3H,d)。
【0227】
ステップ3:2−(4−ブロモフェニル)プロパン酸
ステップ2のメチル2−(4−ブロモフェニル)プロパノエート(2.0g)の0℃THF(24mL)溶液に、16.5mLの水酸化リチウム(1.0N)溶液を加えた。この混合物を室温で2時間撹拌した。次いで反応混合物を氷と1N HClに注ぎ、ジクロロメタン(2×50mL)で抽出した。抽出液を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ7.52(2H,d)、7.35(2H,d)、3.80(1H,q)、1.45(3H,d)。
【0228】
ステップ4:4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]−α−メチル−[1,1’−ビフェニル]−4−酢酸
実施例3、ステップ3のボロネート(137mg)、ステップ3の2−(4−ブロモフェニル)プロパン酸(62mg)および2M NaCO(350μL)のDMF(4mL)溶液に、窒素流を15分間通し、次いで[1,1’−ビス(トリフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタンとの錯体(1:1)(11mg)を加えた。この混合物を窒素下、80℃に3時間加温した。混合物を室温に冷却し、氷(10g)と1.0N塩酸(15mL)に注ぎ、ジエチルエーテル中50%酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。抽出液を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒の留去により残った残渣を、溶出液として酢酸エチル、ヘキサン類および酢酸(1:3:1%から1:1:1%)を用いるSiOクロマトグラフィにより精製し、次いでジエチルエーテルを用いるスイッシュにより標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ10.80(1H,bs)、8.16(1H,bs)、7.70(2H,d)、7.68(2H,d)、7.58(2H,d)、7.48(2H,d)、4.36〜4.45(1H,m)、3.85(1H,q)、3.50〜3.60(1H,m)、1.93〜2.05(2H,m)、1.52(3H,d)、1.42〜1.50(6H,m)、1.32〜1.42(2H,m)、1.06〜1.11(1H,m)、0.89〜0.97(1H,m)。
MS(−ESI):518.4(M−1)
【実施例12】
【0229】
4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]−α,α−ジメチル−[1,1’−ビフェニル]−4−酢酸
【0230】
【化33】

【0231】
ステップ1:2−(4−ブロモフェニル)−2−メチルプロパン酸
ジイソプロピルアミン(1.52mL)の0℃THF(50mL)溶液に、ブチルリチウム(4.3mL)を徐々に加えた。反応混合物を0℃で15分間撹拌した。これを−78℃に冷却し、実施例11、ステップ2のメチル2−(4−ブロモフェニル)プロパノエート(2.4g)のTHF(25mL)溶液を徐々に加えた。この混合物を、−78℃で30分間撹拌した。次いでヨードメタン(2.5mL)のTHF(25mL)溶液を滴下により加え、混合物を−78℃で30分間撹拌してから、徐々に室温に温めて1時間撹拌した。H NMRは、50%変換を示した。反応混合物を0℃に冷却し、20mLのカリウムt−ブトキシド(THF中1.0M)を滴下により加えた。混合物を0℃で30分間撹拌し、室温に温めて1時間撹拌した。反応混合物を氷(50g)と飽和塩化アンモニウム水(100mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。抽出液を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して残渣が得られ、これをTHF(30mL)とメチルアルコール(15mL)で希釈した。溶液を0℃に冷却し、20mLの水酸化リチウム(1.0N)を加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。次いで反応混合物を氷と1N HClに注ぎ、ジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。抽出液を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣を、ジエチルエーテルとヘキサン類を用いるスイッシュにより精製して標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)10.85(1H,bs)、7.53(2H,d)、7.48(2H,d)、1.50(6H,s)。
【0232】
ステップ2:4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]−α,α−ジメチル−[1,1’−ビフェニル]−4−酢酸
実施例3、ステップ3のボロネート(160mg)、ステップ1の2−(4−ブロモフェニル)−2−メチルプロパン酸(77mg)および2M NaCO(400μL)のDMF(4mL)溶液に、窒素流を15分間通し、次いで[1,1’−ビス(トリフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタンとの錯体(1:1)(13mg)を加えた。この混合物を窒素下、80℃に3時間加温した。混合物を室温に冷却し、氷(10g)と1.0N HCl(15mL)に注ぎ、ジエチルエーテル中50%酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。抽出液を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒の留去により残った残渣を、溶出液として酢酸エチル、ヘキサン類および酢酸(1:3:1%から1:1:1%)を用いるSiOクロマトグラフィにより精製し、次いでジエチルエーテルを用いるスイッシュにより標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)10.80(1H,bs)、8.17(1H,bs)、7.73(2H,d)、7.69(2H,d)、7.57(2H,d)、7.55(2H,d)、4.36〜4.43(1H,m)、3.54〜3.60(1H,m)、1.93〜2.05(2H,m)、1.63(6H,s)、1.42〜1.50(6H,m)、1.30〜1.40(2H,m)、1.06〜1.11(1H,m)、0.90〜0.97(1H,m);ロイシンNHなし。
MS(+APCI):534.2(M+1)
【実施例13】
【0233】
1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−4−イル]−シクロプロパン酢酸
【0234】
【化34】

【0235】
ステップ1:1−(4−ブロモフェニル)−シクロプロパンメタノール
1−(4−ブロモフェニル)−シクロプロパンカルボン酸(1.2g)の−10℃1,2−ジメトキシエタン(25mL)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.2mL)とクロロギ酸イソブチル(0.778mL)とを連続的して加えた。0.5時間後、混合物をろ過し、ろ液を−30℃に冷却した。水(5mL)中の水素化ホウ素ナトリウム(0.185g)を加え、この混合物を1時間反応させた。次にこれを室温に温め、水(100mL)と10%NaHCO(20mL)に注いだ。これを酢酸エチル(2×30mL)で抽出し、層を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をヘキサン類中で粉砕して、次のステップに使用するのに十分な純度の残渣を得た。
H NMR(CDCOCD)δ7.45(2H,d)、7.35(2H,d)、4.7〜4.8(1H,OH)、3.65(2H,bs)、0.75〜0.95(4H,m)。
【0236】
ステップ2:1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボニトリル
1−(4−ブロモフェニル)−シクロプロパンメタノール(0.225g)の−78℃ジクロロメタン(5mL)溶液に、トリエチルアミン(0.163mL)に次いで塩化メタンスルホニル(0.085mL)を加えた。この混合物を−78℃で1時間、0℃で1時間反応させた。これを、氷と1N HCl(20mL)に注ぎ、ジクロロメタン(2×25mL)で抽出した。有機層を合わせて、NaHCO、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒の留去後、残渣をDMF(4mL)に溶解し、シアン化ナトリウム(0.147g)を加えた。混合物を、70℃で2時間加熱してから、室温に冷却した。これを水に注ぎ、酢酸エチル(2×25mL)で抽出した。抽出液を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣を、酢酸エチルとヘキサン類(1:5)で溶出するシリカゲルのショートベッドを通して標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ7.5〜7.55(2H,d)、7.35〜7.4(2H,d)、2.85(2H,s)、0.95〜1.05(4H,m)。
【0237】
ステップ3:[1−(4−ブロモフェニル)シクロプロピル]酢酸
1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボニトリル(0.59g)の水(0.5mL)とKOH(0.566g)とを含有するエタノール(4mL)溶液を、110℃で16時間加熱した。エタノールの大部分を減圧留去し、残渣に水(50mL)を加えた。混合物をpH4〜5の酸性にしてから、酢酸エチルで2回抽出した。抽出液を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をそのまま、次のステップに用いた。
H NMR(CDCOCD)δ7.4(2H,d)、7.25〜7.3(2H,d)、2.6(2H,s)、0.85〜0.95(4H,m)。
【0238】
ステップ4:1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−4−イル]−シクロプロパン酢酸
実施例3、ステップ3のボロネート(0.249g)、[1−(4−ブロモフェニル)シクロプロピル]酢酸(0.153g)および2M NaCO(800μL)のDMF(4mL)溶液に、窒素流を15分間通した。次いで触媒[1,1’−ビス(トリフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタンとの錯体(1:1)(50mg)を加え、この混合物を窒素下、80℃に3時間加温した。混合物を室温に冷却し、氷(10g)、水(20mL)、希塩酸(5mL)および酢酸エチル(10mL)に注いだ。次にこれを、酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。抽出液を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒の留去により残った残渣を、溶出液として酢酸エチル、ヘキサン類および酢酸(2:3:0.01)を用いるSiOクロマトグラフィにより精製し、次いでジエチルエーテル中粉砕することにより標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ8.15(1H,NH)、7.65(2H,d)、7.6(2H,d)、7.5(2H,d)、7.4(2H,d)、4.3〜4.4(1H,m)、3.5(1H,m)、3.8〜3.9(1H,NH)、2.55(2H,s)、1.35〜1.5(6H,m)、0.8〜1.35(8H,m)。
MS(+ESI):546.0(M+1)
【実施例14】
【0239】
1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−4−イル]−シクロプロパンカルボン酸
【0240】
【化35】

【0241】
標題化合物を実施例3に記載されたとおり調製した。
MS(+APCI):514.2(M+1)
【実施例15】
【0242】
1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]ブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−4−イル]−シクロプロパンカルボン酸
【0243】
【化36】

【0244】
標題化合物を実施例3に記載されたとおり調製した。
MS(+APCI):500.2(M+1)
【実施例16】
【0245】
4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]−[1,1’−ビフェニル]−4−酢酸の合成
【0246】
【化37】

【0247】
実施例3、ステップ3のボロネート(0.249g)、4−ブロモフェニル酢酸(0.151g)および2M NaCO(800μL)のDMF(4mL)溶液に、窒素流を15分間通した。次いで触媒[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタンとの錯体(1:1)(50mg)を加え、この混合物を窒素下、80℃に3時間加温した。混合物を室温に冷却し、氷(10g)、水(20mL)、希塩酸(5mL)および酢酸エチル(10mL)に注いだ。次にこれを、酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。抽出液を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒の留去により残った残渣を、溶出液として酢酸エチル、ヘキサン類および酢酸(1:1:0.01)を用いるSiOクロマトグラフィにより精製し、次いでジエチルエーテルを用いるスイッシュにより標題化合物を得た。
H NMR(CDCOCD)δ10.5〜11(1H,COOH)、8.2(1H,bs)、7.7〜7.75(2H,d)、7.65〜7.0(2H,d)、7.55〜7.6(2H,d)、7.4〜7.45(2H,d)、4.35〜4.45(1H,m)、3.7〜3.75(2H,s)、3.5〜3.6(1H,m)、1.9〜2.05(2H,m)、1.4〜1.55(6H,m)、1.3〜1.4(2H,m)、1.05〜1.1(1H,m)、0.85〜1.0(1H,m)。
MS(+APCI):506.2(M+1)
【実施例17】
【0248】
−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−N−((1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−{4’−[(1S)−1−カルボキシエチル]ビフェニル−4−イル}エチル)−L−ロイシンアミドの合成
【化38】

【0249】
ステップ1:2−(4−ブロモフェニル)プロパン酸の調製
4−ブロモフェニル酢酸(60g)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(60.5mL)およびヨードメタン(18mL)のTHF(900mL)溶液に、−20℃でリチウムビス(トリメチルシリル)アミドの1M THF(586mL)を30分かけて滴下により加えた。反応混合物を、−20℃で2時間撹拌し、2時間かけて室温に温め、最後に室温で2時間撹拌した。一定分量のNMRは、50%変換を示した。これを−20℃に冷却し、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドの1M THF(140mL)を加えた。この混合物を、2時間かけて室温に温め、室温で一晩熟成させた。一定分量のNMRは、75%変換を示した。反応混合物を、氷と6N HCl(190mL)に注ぎ、分配し、エーテル(2×400mL)で抽出した。有機層を合わせて飽和NaCl溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)し、減圧濃縮して標題化合物を得た。NMRは、約20%の4−ブロモフェニル酢酸を示した。これはそのままステップ2に用いた。
H NMR(標題化合物)(CDCOCD)δ7.52(2H,d)、7.32(2H,d)、3.79(1H,q)、1.46(3H,d)。
出発物質のピークは記載していない。
【0250】
ステップ2:(1S)−2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル(2S)−2−(4−ブロモフェニル)プロパノエートの調製
ステップ1の2−(4−ブロモフェニル)プロパン酸(60.8g)のトルエン(925mL)溶液に21℃で、塩化オキサリル(28mL)に次いでN,N−ジメチルホルムアミド(530μL)をゆっくりと添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。これを5℃に冷却し、N,N−ジメチルエチルアミン(86mL)を、20分かけて滴下により加えた。添加時の温度は15℃まで上昇し、バッチを室温で2時間熟成させた。これを−78℃に冷却し、(S)−(−)−乳酸エチル(37mL)のトルエン(400mL)溶液を滴下により加えた。混合物を−78℃で2時間撹拌してから、0℃まで温めて一晩撹拌した。反応混合物を、激しく撹拌しながら氷と水(700mL)に注いだ。次にこれを分配し、トルエン(700mL)で抽出した。有機層を合わせて10%HCl(700mL)、(1:1)水/ブライン(700mL)、50%NaCO溶液(700mL)および飽和NaCl溶液で洗浄し、乾燥(MgSO4)して減圧濃縮した。残渣を、酢酸エチルとヘキサン類(1:99から10:90)を用いるシリカゲルクロマトグラフィにより精製して標題化合物を得た。
H NMR(標題化合物)(CDCOCD)δ7.54(2H,d)、7.34(2H,d)、5.04(1H,q)、4.12〜4.0(2H,m)、3.90〜3.86(1H,m)、1.48(3H,d)、1.41(3H,d)、1.16(3H,t)。
【0251】
ステップ3:(2S)−2−(4−ブロモフェニル)プロパン酸の調製
ステップ2の(1S)−2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル(2S)−2−(4−ブロモフェニル)プロパノエート(43.8g)のMeOH(440mL)溶液に、0℃で30%過酸化水素(37mL)を滴下し、次に内温を5℃以下に保ちながら、4N水酸化リチウム(37mL)を徐々に添加した。この反応混合物を0℃で3時間撹拌した。反応混合物を、氷と6N HCl(40mL)に注ぎ、pHを約1に調製した。亜硫酸ナトリウム水(2M、170mL)を、激しく撹拌して内温を20℃以下に保ちながら滴下により加えた。6N HClを加えてpHを約4に調製した。トルエン(2×600mL)で抽出した。有機層を合わせて水洗(3×700mL)し、乾燥(MgSO4)して減圧濃縮した。残渣を、ヘキサン類を用いるスイッシュにより精製して標題化合物を得た。
H NMR(標題化合物)(CDCOCD)δ10.81(1H,s)、7.53(2H,d)、7.33(2H,d)、3.79(1H,q)、1.46(3H,d)。
【0252】
ステップ4:(1R)−1−フェニルエタナミニウム(2S)−2−(4−ブロモフェニル)プロパノエートの調製
ステップ3の(2S)−2−(4−ブロモフェニル)プロパン酸(20g)の2−プロパノール(350mL)と水(18mL)溶液に、21℃で(R)−(+)−アルファ−メチルベンジルアミン(11.23mL)の14mL 2−プロパノール溶液を一度に加えた。混合物を室温で30分間撹拌し、77℃に加熱してから沈殿全てを溶解させた。混合物を室温にゆっくりと冷却し、一晩放置して塩を沈殿させた。これをろ過し、2−プロパノール(2×35mL)で洗浄し、真空して標題化合物を得た。母液を、170mLの溶媒に濃縮し、77℃に加熱して全ての沈殿を溶解した。この混合物をゆっくりと室温に冷却し、一晩放置してこの塩を沈殿させた。これをろ過し、2−プロパノール(2×30mL)で洗浄し、真空下で乾燥してさらに標題化合物を得た。
H NMR(標題化合物)(CDSOCD)δ6.65〜6.60(5H,m)、6.59(2H,d)、6.48(2H,d)、3.60(1H,q)、2.76(1H,q)、0.80(3H,d)、0.61(3H,d)。
【0253】
ステップ5:(2S)−2−(4−ブロモフェニル)プロパン酸の調製
0℃の水(1L)中、ステップ4の(1R)−1−フェニルエタナミニウム(2S)−2−(4−ブロモフェニル)プロパノエート(11g)の懸濁液に、内温を5℃以下に保ちながら、水酸化ナトリウム(1N、47mL)を滴下により加えた。水層を、酢酸イソプロピル(2×900mL)で洗浄した。水層を、再度0℃に冷却し、IN HCl(約52mL)で処理してpHを4に調整した。これを酢酸イソプロピル(2×900mL)で抽出して、有機層を、水(2×900mL)とブライン(1L)で洗浄した。これを乾燥し(MgSO4)し、減圧濃縮して標題化合物を得た。
H NMR(標題化合物)(CDCOCD)δ10.84(1H,bs)、7.53(2H,d)、7.33(2H,d)、3.79(1H,q)、1.46(3H,d)。
【0254】
ステップ6:N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−N−((1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−{4’−[(1S)−1−カルボキシエチル]ビフェニル−4−イル}エチル)−L−ロイシンアミドの調製
−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキソボロラン−2−イル)フェニル]エチル}−L−ロイシンアミド(400mg)およびステップ5の(2S)−2−(4−ブロモフェニル)プロパン酸(180mg)のDMF(8mL)溶液に、2M炭酸ナトリウム(2.8mL)を加えた。この混合物を、10分間窒素により泡立たせ、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタンとの錯体(1:1)(33mg)を加えた。この混合物を10分間窒素により再度泡立たせた。反応混合物を、80℃で2.5時間撹拌し、0℃に冷却し、1N HCl(4ml)を添加してpHを4に調整した。これを、EtOAc(1×80mL)で抽出した。有機層を、水(2×80mL)に次いで飽和NaCl液で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧濃縮した。残渣を、酢酸エチルとヘキサン類(1:3(500mL)、次いで酢酸エチル中1%エタノール)を用いるシリカゲルクロマトグラフィにより精製して標題化合物を得た。
H NMR(標題化合物)(CDCOCD)δ10.75(1H,bs)8.17(s,1H)、7.72(2H,d)、7.69(2H,d)、7.57(2H,d)、7.48(2H,d)、4.40〜4.37(1H,m)、3.85(1H,q)、3.54(1H,m)、2.00〜1.90(2H,m)、1.52〜1.34(10H,m)、1.21〜1.18(1H,m)、1.08〜1.06(1H,m)、0.99〜0.9(1H,m)
旋光度=+72.5(C=1、MeOH)
【0255】
製薬組成物
本発明の具体的な実施形態として、100mgのN−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−{4’−[1−(カルボキシ)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−エチル)−L−ロイシンアミドを、十分に微粉砕の乳糖により製剤化して、サイズ0の硬質カプセルに充填するために全量580〜590mgを用意する。
【0256】
本明細書に開示された化合物を、先に開示された化合物に関連する増強された薬理学的プロフィルを有する。
【0257】
カテプシンKアッセイ
試験化合物の500μMから0.0085μMまでの連続希釈液(1/3)を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製した。次いで各希釈液から2μLのDMSOを、アッセイ緩衝液中、50μLのアッセイ緩衝液(MES、50mM(pH5.5);EDTA、2.5mM;DTT、2.5mMおよび10%DMSO)および25μLのヒトカテプシンK(0.4nM)に加えた。このアッセイ溶液を、シェーカープレート上で5〜10秒間混合し、室温で15分間温置した。25μLのアッセイ緩衝液中、Z−Leu−Arg−AMC(8μM)を該アッセイ溶液に加えた。クマリン遊離基(AMC)の加水分解に次いで、10分間分光蛍光分析(Exλ=355nm;Emλ=460nm)を行った。阻害パーセントは、実験値を用量応答曲線に関する標準数理モデルにあてはめることにより算出した。
【0258】
カテプシンLアッセイ
試験化合物の500μMから0.0085μMまでの連続希釈液(1/3)を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製した。次いで各希釈液から2μLのDMSOを、アッセイ緩衝液中、50μLのアッセイ緩衝液(MES、50mM(pH5.5);EDTA、2.5mM;DTT、2.5mMおよび10%DMSO)および25μLのヒトカテプシンL(0.5nM)に加えた。このアッセイ溶液を、シェーカープレート上で5〜10秒間混合し、室温で15分間温置した。25μLのアッセイ緩衝液中、Z−Leu−Arg−AMC(8μM)を該アッセイ溶液に加えた。クマリン遊離基(AMC)の加水分解に次いで、10分間分光蛍光分析(Exλ=355nm;Emλ=460nm)を行った。阻害パーセントは、実験値を用量応答曲線に関する標準数理モデルにあてはめることにより算出した。
【0259】
カテプシンBアッセイ
試験化合物の500μMから0.0085μMまでの連続希釈液(1/3)を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製した。次いで各希釈液から2μLのDMSOを、アッセイ緩衝液中、50μLのアッセイ緩衝液(MES、50mM(pH5.5);EDTA、2.5mM;DTT、2.5mMおよび10%DMSO)および25μLのヒトカテプシンB(4.0nM)に加えた。このアッセイ溶液を、シェーカープレート上で5〜10秒間混合し、室温で15分間温置した。25μLのアッセイ緩衝液中、Z−Leu−Arg−AMC(8μM)を該アッセイ溶液に加えた。クマリン遊離基(AMC)の加水分解に次いで、10分間分光蛍光分析(Exλ=355nm;Emλ=460nm)を行った。阻害パーセントは、実験値を用量応答曲線に関する標準数理モデルにあてはめることにより算出した。
【0260】
カテプシンSアッセイ
試験化合物の500μMから0.0085μMまでの連続希釈液(1/3)を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製した。次いで各希釈液から2μLのDMSOを、アッセイ緩衝液中、50μLのアッセイ緩衝液(MES、50mM(pH5.5);EDTA、2.5mM;DTT、2.5mMおよび10%DMSO)および25μLのヒトカテプシンS(20nM)に加えた。このアッセイ溶液を、シェーカープレート上で5〜10秒間混合し、室温で15分間温置した。25μLのアッセイ緩衝液中、Z−Leu−Arg−AMC(8μM)を該アッセイ溶液に加えた。クマリン遊離基(AMC)の加水分解に次いで、10分間分光蛍光分析(Exλ=355nm;Emλ=460nm)を行った。阻害パーセントは、実験値を用量応答曲線に関する標準数理モデルにあてはめることにより算出した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明は、以下の化学式の化合物または製薬的に許容できるその塩、立体異性体もしくはN−オキシド誘導体に関する。
【化1】

[式中、
は、水素、C1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニルであり、前記アルキル基およびアルケニル基は、1個から6個のハロ、C3〜6シクロアルキル、−SR、−SOR、−SO、−SOCH(R)(R)、−OR、−N(R、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルにより場合によっては置換されており、前記アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基は、C1〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシおよびケトからなる群から独立に選択された1つまたは2つの置換基により場合によっては置換されており;
は、水素、C1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニルであり、前記アルキル基およびアルケニル基は、1個から6個のハロ、C3〜6シクロアルキル、−SR、−SOR、−SO、−SOCH(R)(R)、−OR、−N(R、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルにより場合によっては置換されており、前記アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基は、C1〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシおよびケトからなる群から独立して選択された1つまたは2つの置換基により場合によっては置換されており;
またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になってC3〜8シクロアルキル環またはヘテロシクリル環を形成でき、前記環系は、C1〜6アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキルまたはハロからなる群から独立して選択される1つまたは2つの置換基により場合によっては置換されており;
は、水素、C1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニルであり、前記アルキル基およびアルケニル基は、C3〜6シクロアルキルまたは1個から6個のハロにより場合によっては置換されており;
は、水素または1個から6個のハロにより置換されているC1〜6アルキルであり;
Dは、アリールまたはヘテロアリールであり、単環式または二環式であってよい前記アリール基またはヘテロアリール基は、C1〜6アルキル、ハロアルキル、ハロ、ケト、アルコキシ、−SR、−OR、N(R、−SOおよび−SOからなる群から独立して選択される1つから5つの置換基により炭素またはヘテロ原子のいずれかの上で場合によっては置換されており;
Eは、アリールまたはヘテロアリールであり、単環式または二環式であってよい前記アリール基またはヘテロアリール基は、C1〜6アルキル、ハロアルキル、ハロ、ケト、アルコキシ、−SR、−OR、N(R、−SOおよび−SOからなる群から独立して選択される1つから5つの置換基により炭素またはヘテロ原子のいずれかの上で場合によっては置換されており;
各Gは、独立してC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、アリール、ヘテロアリール、C3〜8シクロアルキル、ヘテロシクリル、−O−、NR、S(O)mまたはカルボニルであり、前記基は、C1〜6アルキル、ハロ、ケト、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、−OR、−NHS(O)、−SO、−SON(R)(R)、−C(R)(R)OH、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から独立して選択される1つから5つの置換基により炭素またはヘテロ原子のいずれかの上で場合によっては置換されており;
は、水素、C1〜6アルキル、アリール、アリール(C1〜4)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1〜4)アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル(C1〜4)アルキルまたはヘテロシクリル(C1〜4)アルキルであり、前記基は、ハロ、アルコキシ、シアノ、−NR、−SRまたは−SOからなる群から独立して選択される1つ、2つ、または3つの置換基により場合によっては置換されることができ;
は、水素であり、またはハロおよび−ORからなる群から独立して選択される1つ、2つ、または3つの置換基により場合によっては置換されているC1〜6アルキルであり;
は、水素であり、またはハロおよび−ORからなる群から独立して選択される1つ、2つ、または3つの置換基により場合によっては置換されているC1〜6アルキルであり;または
およびRは、それらが結合しているかまたはそれらの間にある窒素原子と一緒になってC3〜8ヘテロシクリル環を形成でき、このC3〜8ヘテロシクリル環は、C1〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシおよびケトからなる群から独立して選択される1つまたは2つの置換基により場合によっては置換されており;
mは、ゼロから2の整数であり;
nは、1から3の整数である。]
【請求項2】
およびRが、それらが結合している炭素原子と一緒になってC3〜8シクロアルキル環を形成でき、前記環系は、C1〜6アルキルおよびハロからなる群から選択される1つまたは2つの置換基により場合によっては置換されている請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、1個から6個のハロにより場合によっては置換されている請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、n−プロピル、イソブチル、2−フルオロ−2−メチルプロピル、2−トリフルオロメチルプロピル、3−フルオロ−2−(2−フルオロメチル)プロピル、2,2−ジフルオロエチル、2,2−ジフルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピルまたは2,2−ジクロロエチルである請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が、ジフルオロメチル、2,2−ジフルオロエチル、トリフルオロメチルまたは3,3,3,2,2−ペンタフルオロエチルである請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
Dが、フェニルである請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Eが、フェニルまたはヘテロアリールである請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
各Gが、独立してC1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキルまたはSOCH(R)(R)である請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−4−イル]−シクロプロパンカルボン酸;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−{4’−[1−(カルボキシ)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−エチル}−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−{4’−[1−(カルボキシ)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
1−[2−[4−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]フェニル]−4−チアゾリル]−シクロプロパンカルボン酸;
1−[[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−メチルブチル]アミノ]−2,2−ジフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−3−イル]メチル]−シクロブタンカルボン酸;
4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]−α,α−ジメチル−[1,1’−ビフェニル]−4−プロパン酸;
1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−4−イル)−シクロプロパンカルボン酸;
1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−3−イル]−シクロプロパンカルボン酸;
4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]−α−メチル−[1,1’−ビフェニル]−4−酢酸;
4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]−α,α−ジメチル−[1,1’−ビフェニル]−4−酢酸;
1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル)−4−イル]−シクロプロパン酢酸;
1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−4−イル]−シクロプロパンカルボン酸;
1−[4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]ブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル][1,1’−ビフェニル]−4−イル]−シクロプロパンカルボン酸;
4’−[(1S)−1−[[(1S)−1−[[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル]−3−フルオロ−3−メチルブチル]アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル]−[1,1’−ビフェニル]−4−酢酸;
−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−N−((1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−{4’−[(1S)−1−カルボキシエチル]ビフェニル−4−イル}−エチル)−L−ロイシンアミド;
である請求項1に記載の化合物、
または製薬的に許容できるその塩、立体異性体またはN−オキシド誘導体。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、または製薬的に許容できるその塩、立体異性体もしくはN−オキシド誘導体、および製薬用担体を含む製薬組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物の治療的有効量の、治療を必要とする哺乳動物における、骨粗しょう症、グルココルチコイド誘導骨粗しょう症、ページェット病、異常増加骨代謝回転、歯周病、歯の喪失、骨折、リウマチ様関節炎、骨関節炎、補てつ周囲骨変性、骨形成不全、アテローム硬化症、肥満、慢性閉塞性肺疾患、転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症または多発性骨髄腫の治療に有用な薬剤の調製における、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、または製薬的に許容できるその塩、立体異性体もしくはN−オキシド誘導体の使用。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、または製薬的に許容できるその塩、立体異性体もしくはN−オキシド誘導体、ならびに、有機ビスホスホネート、エストロゲン受容体モジュレーター、エストロゲン受容体ベータモジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、破骨プロトンATPアーゼの阻害剤、HMG−CoAレダクターゼの阻害剤、インテグリン受容体アンタゴニスト、破骨同化作用剤、非ステロイド系抗炎症薬、選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、インターロイキン−1ベータ阻害剤、LOX/COX阻害剤ならびに製薬的に許容できるその塩類およびそれらの混合物からなる群から選択される他の薬剤とを含む製薬組成物。
【請求項13】
骨粗しょう症、グルココルチコイド誘導骨粗しょう症、ページェット病、異常増加骨代謝回転、歯周病、歯の喪失、骨折、リウマチ様関節炎、骨関節炎、補てつ周囲骨変性、骨形成不全、アテローム硬化症、肥満、慢性閉塞性肺疾患、転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症または多発性骨髄腫の、治療を必要とする哺乳動物における治療に有用な薬剤の調製において、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、または製薬的に許容できるその塩、立体異性体もしくはN−オキシド誘導体、ならびに、有機ビスホスホネート、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、破骨プロトンATPアーゼの阻害剤、HMG−CoAレダクターゼの阻害剤、インテグリン受容体アンタゴニスト、または破骨同化作用剤、非ステロイド系抗炎症薬、選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、インターロイキン−1ベータ阻害剤、LOX/COX阻害剤ならびに製薬的に許容できるその塩類およびそれらの混合物からなる群から選択される他の薬剤の使用。

【公表番号】特表2007−502781(P2007−502781A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523498(P2006−523498)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【国際出願番号】PCT/CA2004/001524
【国際公開番号】WO2005/019161
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】