説明

カテプシンシステインプロテアーゼ阻害剤

本発明は新規類の化合物、主に式(I)


(式中、XはO又はNRであり、YはCR、−SO、C=O又はNRであり;ZはCR、O、S、−SO又はNRであり;各Gは独立してCRCRである。)の置換ロイシンアミド−カルボン酸誘導体及びその医薬組成物に関する。前記化合物はカテプシンシステインプロテアーゼ阻害剤であり、限定されないが、カテプシンK、L、S及びBの阻害剤が挙げられる。これらの組成物は骨粗鬆症等の骨吸収の抑制を必要とするカテプシン依存性症状の治療と予防に有用である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
ヒト及び他の哺乳動物の種々の疾患は異常骨吸収に関係又は関連している。このような疾患としては、限定されないが、骨粗鬆症,グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症、パジェット病、骨代謝回転異常亢進、歯周病、歯欠損、骨折、アテローム性動脈硬化症、肥満症、リウマチ様関節炎、変形性関節炎、人工器官周囲の骨溶解、骨形成不全症、転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症及び多発性骨髄腫が挙げられる。これらの疾患のうちで最も一般的なものは骨粗鬆症であり、閉経後の女性に最も高頻度で発症する。骨粗鬆症は低骨量と骨組織の微小構造損傷を特徴とする全身骨格疾患であり、その結果として骨が脆く、骨折し易くなる。骨粗鬆症による骨折は高齢者の疾病率と死亡率の主因である。骨粗鬆症と骨量減少に関連する他の疾患は一般に慢性症状であるので、適切な治療は一般に常習的な治療が必要であると考えられる。
【0002】
骨吸収は主に多核巨細胞である破骨細胞により行われる。破骨細胞は骨組織と初期細胞結合を形成した後に細胞外区画ないし小窩を形成することにより骨を吸収する。小窩はプロトン−ATPポンプにより低pHに維持されている。小窩内は酸性環境であるため、骨の初期脱灰後、骨蛋白質又はコラーゲンがシステインプロテアーゼ等のプロテアーゼにより分解される。参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むDelaisse,J.M.ら,1980,Biochem J 192:365−368;Delaisse,J.ら,1984,Biochem Biophys Res Commun:441−447;Delaisse,J.M.ら,1987,Bone 8:305−313参照。コラーゲンは骨の有機基質の95%を構成する。従って、コラーゲン分解に関与するプロテアーゼは骨ターンオーバーの必須成分であり、従って、骨粗鬆症の発症と進行の必須成分である。
【0003】
カテプシンはシステインプロテアーゼのパパインスーパーファミリーに属する。これらのプロテアーゼは結合組織の正常生理的及び病的分解で機能する。カテプシンは細胞内蛋白質分解及びターンオーバー及びリモデリングに主要な役割を果たす。今日までに多数のカテプシンが同定され、多数の起源から配列決定されている。これらのカテプシンは多様な組織に天然に存在する。例えば、カテプシンB、C、F、H、L、K、O、S、V、W、及びZがクローニングされている。カテプシンK(略語cat Kとも言う)はカテプシンO及びカテプシンO2としても知られている。参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むPCT出願WO96/13523(Khepri Pharmaceuticals,Inc.,公開日1996年5月9日)参照。カテプシンLは正常リソソーム蛋白分解と数種の疾患状態(限定しないが、例えばメラノーマの転移)に関与している。カテプシンSはアルツハイマー病、喘息、アテローム性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患並びに所定の自己免疫疾患(限定しないが、例えば若年型糖尿病、多発性硬化症、尋常性天疱瘡、グレーブス病、重症性筋無力症、全身性エリテマトーデス、リウマチ様関節炎及び橋本病)、アレルギー疾患(限定しないが、例えば喘息)及び同種免疫反応(限定しないが、例えば臓器移植又は組織移植の拒絶反応)に関与している。カテプシンB濃度の増加とこの酵素の再分配が腫瘍で認められており、腫瘍浸潤と転移における役割を示唆している。更に、リウマチ様関節炎、変形性関節炎、ニューモシスティス・カリニ肺炎、急性膵炎、炎症性気道疾患及び骨関節疾患等の疾患状態には異常カテプシンB活性が関与している。
【0004】
哺乳動物カテプシンは原生動物、扁形動物、線虫類及び節足動物類に由来するものを含む病原性寄生虫により発現されるパパイン様システインプロテアーゼに類縁である。これらのシステインプロテアーゼはこれらの生物の生活環において必須の役割を果たす。
【0005】
E−64(trans−エポキシスクシニル−L−ロイシルアミド−(4−グアニジノ)ブタン)等のシステインプロテアーゼ阻害剤は骨吸収の抑制に有効であることが知られている。参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むDelaisse,J.M.ら,1987,Bone 8:305−313参照。最近、カテプシンKがクローニングされ、破骨細胞で特異的に発現されることが判明した。参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むTezuka,K.ら,1994,J Biol Chem 269:1106−1109;Shi,G.P.ら,1995,FEBS Lett 357:129−134;Bromme,D.and Okamoto,K.,1995,Biol Chem Hoppe Seyler 376:379−384;Bromme,D.ら,1996,J Biol Chem 271:2126−2132;Drake,F.H.ら,1996,J Biol Chem 271:12511−12516参照。クローニングと同時に、骨吸収の低下した骨石化症表現型を特徴とする常染色体劣性病であるピクノジスオストーシスがカテプシンK遺伝子に存在する突然変異に位置付けされた。今日までにカテプシンK遺伝子で同定された全突然変異はコラーゲン活性を消失させることが分かっている。参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むGelb,B.D.ら,1996,Science 273:1236−1238;Johnson,M.R.ら,1996,Genome Res 6:1050−1055;Hou,W.−S.ら,1999 J.Clin.Invest.103,731−738参照。従って、カテプシンKは破骨細胞に媒介される骨吸収に関与していると思われる。
【0006】
骨の主要コラーゲンであるヒトI型コラーゲンはカテプシンKの良好な基質である。参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むKafienah,W.ら,1998,Biochem J 331:727−732参照。従って、カテプシンKの阻害剤は骨吸収を低減することができる。このような阻害剤は骨粗鬆症等の骨吸収を伴う疾患の治療に有用であると思われる。
【発明の開示】
【0007】
(発明の概要)
本発明は治療又は予防を必要とする哺乳動物におけるカテプシン依存性症状又は疾患を治療又は予防することが可能な化合物に関する。本発明の1態様は式I:
【0008】
【化2】

の化合物と、その医薬的に許容可能な塩、エステル、立体異性体及びN−オキシド誘導体である。
【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明は下記化学式:
【0010】
【化3】

[式中、XはO又は−NRであり;
YはCR、−SO、C=O又は−NRであり;
ZはCR、O、S、−SO又は−NRであり;
各Gは独立してCRであり;
は水素、ハロ、又は場合によりハロもしくは−ORから独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基で置換されたC1−6アルキルであり;
は水素、ハロ、又は場合によりハロもしくは−ORから独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基で置換されたC1−6アルキルであるか;
あるいはRとRはこれらが結合している炭素原子と一緒になって場合によりC1−6アルキル、ハロ又はケトから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されたC3−8員環を形成することができ;
はC1−6アルキル又はC2−6アルケニルであり、前記アルキル又はアルケニル基は場合によりC3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又は1〜6個のハロで置換されており;
は1〜6個のハロで置換されたC1−6アルキルであり;
Dはアリール又はヘテロアリールであり、前記アリール又はヘテロアリール基は単環式でも二環式でもよく、場合によりC1−6アルキル、ハロアルキル、ハロ、ケト、アルコキシ、−SR、−OR、N(R又は−SOから独立して選択される1〜5個の置換基で炭素又はヘテロ原子上において置換されており;
Eはアリール又はヘテロアリールであり、前記アリール又はヘテロアリール基は単環式でも二環式でもよく、場合によりC1−6アルキル、ハロアルキル、ハロ、ケト、アルコキシ、−SR、−OR、N(R又は−SOから独立して選択される1〜5個の置換基で炭素又はヘテロ原子上において置換されており;
は水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、−OR、−C(O)R、−RC(O)R、−C(O)N(R)(R)、−C(O)N(R)(R)、−C(R)(R)OH、RSR、−C(R)(R)N(R、C(R)(R)N(R)(R)、−NRC(O)NRS(O)、−SO、−SON(R)(R)、−SON(R)C(O)(R)、−SO(R)C(O)N(R、−N(R)C(O)N(R)(R)、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)OR、−N(R)SO(R)、−C(R)(R)SC(R)(R)(R)、−C(R)(R)NRC(R)(R)(R)、−C(R)(R)NH、−C(R)(R)C(R)(R)N(R)(R)、−C(O)C(R)(R)N(R)(R)、−C(R)(R)N(R)C(O)R、−C(R)(R)C(O)N(R)(R)であり、前記基は場合によりC1−6アルキル、ハロ、ケト、シアノ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、−OR、−NO、−NH、−NHS(O)、−RSO、−SO、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールから独立して選択される1〜5個の置換基で炭素又はヘテロ原子上において置換されており;
は水素、C1−6アルキル、アリール、アリール(C1−4)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−4)アルキル、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルキル(C1−4)アルキル、及びヘテロシクリル(C1−4)アルキルから選択され、前記基は場合によりハロ、アルコキシ、シアノ、−NR、−SR又は−SOから独立して選択される1、2又は3個の置換基で置換されていてもよく;
は水素又はC1−6アルキルであり;
は水素又はC1−6アルキルであり;
は水素、C1−6アルキル、C(O)R、C(O)C1−6アルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)C1−6アルコキシ、SO(C1−6アルキル)、SO(アリール)又はSO(ヘテロアリール)であり、前記アルキル基は場合によりハロ、アルコキシ、シアノ、−NR又は−SRから独立して選択される1、2又は3個の置換基で置換されており;
は水素又は場合によりハロもしくは−ORから独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基で置換されたC1−6アルキルであり;
は水素又は場合によりハロもしくは−ORから独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基で置換されたC1−6アルキルであるか;
あるいはRとRはそれらが結合している窒素原子と一緒になるか又はそれらの間で場合によりC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ又はケトから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されたC3−8ヘテロシクリル環を形成することができ;
nは0〜2の整数であり;
mは0〜2の整数である]の化合物並びに得られる分子の中性形が分子量<1000ダルトンとなるようなその医薬的に許容可能な塩及び立体異性体に関する。
【0011】
本発明の1クラスでは、Rは場合により1〜6個のハロで置換されたC1−6アルキルである。
【0012】
本発明の別のクラスでは、Dはアリールである。本発明の1サブクラスでは、Dはフェニルである。
【0013】
本発明の別のクラスでは、Eはアリール又はヘテロアリールであり、前記アリール又はヘテロアリール基は場合により1〜5個のハロで炭素又はヘテロ原子上を置換されている。本発明の1サブクラスでは、Eはフェニル又はピリジルであり、前記フェニル又はピリジル基は1〜5個のハロで置換されていてもよい。
【0014】
上記好適態様に関する記載は特に指定しない限り、特定の好ましい基の全組み合わせを含むものとする。
【0015】
本発明の特定態様としては限定されないが、以下のものが挙げられる。
−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[2−オキソ−1−(フェニルスルホニル)ピロリジン−3−イル]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−4−フルオロ−N−[(3S,4S)−2−オキソ−4−(トリフルオロメチル)ピロリジン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]プロピル}−4−フルオロ−N−[(3S)−2−オキソ−4−(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−4−フルオロ−N−[(3S,4S)−4−メチル−2−オキソ−1−(ピリジン−2−イルメチル)ピロリジン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−N−[(3R)−4,4−ジフルオロ−2−オキソピロリジン−3−イル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(2−オキソピロリジン−3−イル)−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[(3S)−1−(メチルスルホニル)−2−オキソピロリジン−3−イル]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[2−オキソ−1−(フェニルスルホニル)ピロリジン−3−イル]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[2−オキソ−5,5−ビス(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン−3−イル]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−(5,5−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド又はその医薬的に許容可能な塩もしくは立体異性体。
【0016】
上記式Iの化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーから構成される医薬組成物も本発明の範囲に含まれる。本発明は許容可能なキャリヤーと本明細書に具体的に開示するいずれかの化合物単独又は開示する他の任意化合物との組み合わせから構成される医薬組成物にも関する。本発明の以上及び他の側面は本明細書の教示から自明である。
【0017】
(用途)
本発明の化合物はカテプシン阻害剤であるため、哺乳動物、好ましくはヒトにおけるカテプシン依存性疾患又は症状を治療又は予防するために有用である。特に、本発明の化合物はカテプシンB、L、S及びFよりも少なくとも100倍選択的であるという意味でカテプシンKの選択的阻害剤であり、哺乳動物、好ましくはヒトにおけるカテプシンK依存性疾患又は症状を治療又は予防するために有用である。
【0018】
「カテプシン依存性疾患又は症状」とは1種以上のカテプシンの活性に依存する疾病状態を意味する。「カテプシンK依存性疾患又は症状」とはカテプシンKの活性に依存する疾病状態を意味する。カテプシンK活性に関連する疾患としては、骨粗鬆症,グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症、パジェット病、骨代謝回転異常亢進、歯周病、歯欠損、骨折、リウマチ様関節炎、変形性関節炎、人工器官周囲の骨溶解、骨形成不全症、アテローム性動脈硬化症並びに転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症及び多発性骨髄腫を含む癌が挙げられる。このような症状を本発明の化合物で治療する場合、必要な治療量は特定疾患により異なり、当業者が容易に決定することができる。治療と予防の両者が本発明の範囲に含まれるが、これらの症状の治療が好ましい用途である。
【0019】
本発明の1態様はカテプシン活性の阻害を必要とする哺乳動物におけるカテプシン活性の阻害方法として、治療有効量の上記のいずれかの化合物又はいずれかの医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む方法である。
【0020】
本態様の1クラスはカテプシン活性がカテプシンK活性である方法である。
【0021】
本発明の別の態様は治療又は予防を必要とする哺乳動物におけるカテプシン依存性症状の治療又は予防方法として、治療有効量の上記のいずれかの化合物又はいずれかの医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む方法である。
【0022】
本態様の1クラスはカテプシン活性がカテプシンK活性である方法である。
【0023】
本発明の別の態様は骨量減少の抑制を必要とする哺乳動物における骨量減少の抑制方法として、治療有効量の上記のいずれかの化合物又はいずれかの医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む方法である。本発明の別の態様は骨量減少の緩和を必要とする哺乳動物における骨量減少の緩和方法として、治療有効量の上記のいずれかの化合物又はいずれかの医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む方法である。骨吸収の抑制におけるカテプシンK阻害剤の利用は文献公知である(Stroup,G.B.,Lark,M.W.,Veber,DF.,Bhattacharrya,A.,Blake,S.,Dare,L.C.,Erhard,K.F.,Hoffman,S.J.,James,I.E.,Marquis,R.w.,Ru,Y.,Vasko−Moser,J.A.,Smith,B.R.,Tomaszek,T.and Gowen,M.Potent and selective inhibition of human cathepsin K leads to inhibition of bone resorption in vivo in a nonhuman primate.J.Bone Miner.Res.,16:1739−1746;2001;及びVotta,B.J.,Levy,M.A.,Badger,A.,Dodds,R.A.,James,I.E.,Thompson,S.,Bossard,M.J.,Carr,T.,Connor,J.R.,Tomaszek,T.A.,Szewczuk,L.,Drake,F.H.,Veber,D.,and Gowen,M.Peptide aldehyde inhibitors of cathepsin K inhibit bone resorption both in vivo and in vitro.J.Bone Miner.Res.12:1396−1406;1997参照)。
【0024】
本発明の別の態様は治療又は予防を必要とする哺乳動物における骨粗鬆症の治療又は予防方法として、治療有効量の上記のいずれかの化合物又はいずれかの医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む方法である。骨粗鬆症の治療又は予防におけるカテプシンK阻害剤の利用は文献公知である(Saftig,P.,Hunziker,E.,Wehmeyer,O.,Jones,S.,Boyde,A.,Rommerskirch,W.,Moritz,J.D.,Schu,P.,and Vonfigura,K.Impaired osteoclast bone resorption leads to osteopetrosis in cathepsin K−deficient mice.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13453−13458;1998参照)。
【0025】
本発明の別の態様は治療又は予防を必要とする哺乳動物におけるリウマチ様関節炎症状の治療又は予防方法として、治療有効量の上記のいずれかの化合物又はいずれかの医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む方法である。関節周囲の骨の進行性破壊がリウマチ様関節炎(RA)患者における関節機能異常及び障害の主因であることは文献公知である(Goldring SR,“Pathogenesis of bone erosions in rheumatoid arthritis”.Curr.Opin.Rheumatol.2002;14:406−10参照)。RA患者からの関節組織の分析の結果、カテプシンK陽性破骨細胞はリウマチ様滑膜病変を伴う局所性骨吸収を媒介する細胞型であることが証明された(Hou,W−S,Li,W,Keyszer,G,Weber,E,Levy,R,Klein,MJ,Gravallese,EM,Goldring,SR,Bromme,D,“Comparision of Cathepsin K and S expression within the Rheumatoid and Osteoarthritic Synovium”,Arthritis Rheumatism 2002;46:663−74参照)。更に、全身性骨量減少は重症RAに関連する疾病率の主因である。慢性RA患者では股関節及び脊髄骨折頻度が実質的に高い(Gould A,Sambrook,P,Devlin Jら,“Osteoclastic activation is the principal mechanism leading to secondary osteoporosis in rheumatoid arthritis”.J.Rheumatol.1998;25:1282−9参照)。関節下骨吸収及び全身性骨量減少の治療又は予防におけるカテプシンK阻害剤の利用はリウマチ様関節炎の進行に薬理的に介入する合理的なアプローチである。
【0026】
本発明の別の態様は治療又は予防を必要とする哺乳動物における変形性関節炎の進行の治療又は予防方法として、治療有効量の上記のいずれかの化合物又はいずれかの医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む方法である。変形性関節炎(OA)が関節軟骨表面の糜爛、関節周囲軟骨内骨化/骨棘形成、及び軟骨下骨硬化と嚢胞形成等の明確な関節の変化を伴うことは文献公知である(Oettmeier R,Abendroth,K,“Osteoarthritis and bone:osteologic types of osteoarthritis of the hip”,Skeletal Radiol.1989;18:165−74参照)。最近、軟骨下骨硬化がOAの発症と進行の潜在的原因であることが示唆されている。反復衝撃負荷に対する関節応答としての軟骨下骨硬化は関節軟骨表面に加わる機械的応力が増すにつれて関節に加わる力を減衰及び分配しにくくなる。その結果、軟骨摩耗繊維化が加速する(Radin,EL and Rose RM,“Role of subchondral bone in the initiation and progression of cartilage damage”,Clin.Orthop.1986;213:34−40参照)。カテプシンK阻害剤等の抗吸収剤による過剰関節下骨吸収の抑制は軟骨下骨ターンオーバーを抑制するため、OA進行に好ましい効果があると思われる。上記仮説に加え、OA患者に由来する滑膜及び関節軟骨検体からの滑膜繊維芽細胞、マクロファージ様細胞、及び軟骨細胞でカテプシンK蛋白質発現が最近確認された(Hou,W−S,Li,W,Keyszer,G,Weber,E,Levy,R,Klein,MJ,Gravallese,EM,Goldring,SR,Bromme,D,“Comparison of Cathepsin K and S expression within the Rheumatoid and Osteoarthritic Synovium”,Arthritis Rheumatism 2002;46:663−74;及びDodd,RA,Connor,JR,Drake,FH,Gowen,M,“Expression of Cathepsin K messenger RNA in giant cells and their precursors in human osteoarthritic synovial tissues”.Arthritis Rheumatism 1999;42:1588−93;及びKonttinen,YT,Mandelin,J,Li,T−F,Salo,J,Lassus,Jら“Acidic cysteine endoproteinase cathepsin K in the degeneration of the superficial articular hyaline cartilage in osteoarthritis”,Arthritis Rheumatism 2002;46:953−60参照)。このように、これらの最近の研究はカテプシンKが変形性関節炎の進行に伴う関節軟骨におけるII型コラーゲンの破壊に関与していることを示唆している。従って、本発明に記載する変形性関節炎の治療又は予防におけるカテプシンK阻害剤の利用は2つの異なるメカニズムからなり、一方は破骨細胞による軟骨下骨ターンオーバーの抑制であり、他方はOA患者の滑膜及び軟骨におけるII型コラーゲン変性の直接抑制である。
【0027】
本発明の別の態様は治療を必要とする哺乳動物における癌の治療方法として、治療有効量の上記のいずれかの化合物又はいずれかの医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む方法である。カテプシンKがヒト乳癌、前立腺癌及び軟骨腫で発現され、マトリックス分解能をもつことは文献公知である(Littlewood−Evans AJ,Bilbe G,Bowler WB,Farley D,Wlodarski B,Kokubo T,Inaoka T,Sloane J,Evans DB,Gallagher JA,“The osteoclast−associated protease cathepsin K is expressed in human breast carcinoma.”Cancer Res 1997 Dec 1;57(23):5386−90,Brubaker KD,Vessella RL,True LD,Thomas R.,Corey E.“Cathepsin K mRNA and protein expression in prostate cancer progression.”J Bone Miner Res 2003 18,222−30,Haeckel C,Krueger S,Kuester D,Ostertag H,Samii M,Buehling F,Broemme D,Czerniak B,Roessner A.“Expression of cathepsin K in chordoma.”Hum Pathol 2000 Ju1;31(7):834−40参照)。
【0028】
本発明の別の態様は治療を必要とする哺乳動物におけるアテローム性動脈硬化症の治療方法として、治療有効量の上記のいずれかの化合物又はいずれかの医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む方法である。カテプシンKがヒトアテロームで発現され、有意エラスターゼ活性をもつことは文献公知である(Sukhova GK,Shi GP,Simon DI,Chapman HA,Libby P.“Expression of the elastolytic cathepsins S and K in human atheroma and regulation of their production in smooth muscle cells.”J Clin Invest 1998 Aug 102,576−83参照)。
【0029】
本発明の別の態様は治療を必要とする哺乳動物における肥満症の治療方法として、治療有効量の上記のいずれかの化合物又はいずれかの医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む方法である。数種のマウス肥満症モデルの脂肪組織と肥満症男性の脂肪組織でカテプシンKmRNAが増加していることは文献公知である(Chiellini C,Costa M,Novelli SE,Amri EZ,Benzi L,Bertacca A,Cohen P,Del Prato S,Friedman JM,Maffei M.“Identification of cathepsin K as a novel marker of adiposity in white adipose tissue.”J Cell Physiol 2003,195,309−21参照)。
【0030】
本発明の別の態様は治療を必要とする哺乳動物における寄生虫感染症の治療方法として、治療有効量の上記のいずれかの化合物又はいずれかの医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む方法である。哺乳動物カテプシンがこれらの原生動物の生活環において重要な役割を果たすパパイン様システインプロテアーゼに類縁であることは文献公知である。このような寄生虫はマラリア病、アメリカトリパノソーマ症、アフリカトリパノソーマ症、リーシュマニア症、ジアルジア症、トリコモナス症、アメーバ症、住血吸虫症、肝蛭症、肺吸虫症及び腸回虫症に関与する(Lecaille F,Kaleta J,Bromme D.,Human and parasitic papain−like cysteine proteases:their role in physiology and pathology and recent developments in inhibitor design.Chem Rev 2002 102,4459−88参照)。
【0031】
本発明の別の態様はアルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患、癌並びに所定の自己免疫疾患(限定されないが、若年発症糖尿病、多発性硬化症、尋常性天疱瘡、グレーブス病、重症性筋無力症、全身性エリテマトーデス、リウマチ様関節炎及び橋本病)、アレルギー疾患(限定しないが、例えば喘息)及び同種免疫応答(限定しないが、例えば臓器移植又は組織移植の拒絶反応)等のカテプシンSに関連する哺乳動物疾患の治療方法である。カテプシンS活性が上記疾患状態に関係があることは文献公知である(Munger JS,Haass C,Lemere CA,Shi GP,Wong WS,Teplow DB,Selkoe DJ,Chapman HA.Lysosomal processing of amyloid precursor protein to A beta peptides:a distinct role for cathepsin S.Biochem J 1995 311,299−305,Sukhova GK,Zhang Y,Pan JH,Wada Y,Yamamoto T,Naito M,Kodama T,Tsimikas S,Witztum JL,Lu ML,Sakara Y,Chin MT,Libby P,Shi GP.Deficiency of cathepsin S reduces atherosclerosis in LDL receptor−deficient mice.J Clin Invest 2003 111,897−906,Zheng T,Zhu Z,Wang Z,Homer RJ,Ma B,Riese RJ Jr,Chapman HA Jr,Shapiro SD,Elias JA.Inducible targeting of IL−13 to the adult lung causes matrix metalloproteinase− and cathepsin−dependent emphysema.J Clin Invest 2000 106,1081−93,Shi GP,Sukhova GK,Kuzuya M,Ye Q,Du J,Zhang Y,Pan JH,Lu ML,Cheng XW,Iguchi A,Perrey S,Lee AM,Chapman HA,Libby P.Deficiency of the cysteine protease cathepsin S impairs microvessel growth.Circ Res 2003 92,493−500,Nakagawa TY,Brissette WH,Lira PD,Griffiths RJ,Petrushova N,Stock J,McNeish JD,Eastman SE,Howard ED,Clarke SR,Rosloniec EF,Elliott EA,Rudensky AY.Impaired invariant chain degradation and antigen presentation and diminished collagen−induced arthritis in cathepsin S null mice.Immunity 1999 10,207−17参照)。
【0032】
本発明の具体化は治療又は予防を必要とする哺乳動物における骨粗鬆症の治療又は予防用薬剤の製造における上記のいずれかの化合物の使用である。本発明の更に別の具体化は骨量減少、骨吸収、骨折、転移性骨疾患又はカテプシン機能に関連する疾患の治療又は予防用薬剤の製造における上記のいずれかの化合物の使用である。
【0033】
本発明の化合物は標準医薬プラクティスに従って単独又は、好ましくは医薬的に許容可能なキャリヤーもしくは希釈剤と、場合によりミョウバン等の公知アジュバントと共に医薬組成物として哺乳動物、好ましくはヒトに投与することができる。化合物は経口又は静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、直腸内及び局所投与経路等で非経口投与することができる。
【0034】
経口用錠剤の場合には、一般に使用されるキャリヤーとしてはラクトース及びコーンスターチが挙げられ、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤を一般に添加する。カプセル形態の経口投与には、有用な希釈剤としてはラクトースとドライコーンスターチが挙げられる。本発明の治療用化合物の経口使用には、選択された化合物を例えば錠剤もしくはカプセル剤、又は水溶液もしくは水性懸濁液の形態で投与することができる。錠剤又はカプセル剤形態で投与する場合には、活性薬剤成分をラクトース、澱粉、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸2カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール等の医薬的に許容可能な非毒性不活性経口キャリヤーと配合することができ、液体形態で投与する場合には、経口薬剤成分をエタノール、グリセロール、水等の任意の医薬的に許容可能な非毒性不活性経口キャリヤーと配合することができる。更に、所望又は必要に応じて適当な結合剤、滑沢剤、崩壊剤及び着色剤を混合物に添加してもよい。適切な結合剤としては澱粉、ゼラチン、天然糖類(例えばグルコース又はβ−ラクトース、コーン甘味料)、天然及び合成ガム(例えばアラビアガム、トラガカントガム又はアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ロウ等が挙げられる。これらの剤形で使用される滑沢剤としてはオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。崩壊剤としては限定されないが、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム等が挙げられる。水性懸濁液が経口投与に必要な場合には、活性成分を乳化剤及び懸濁剤と配合する。所望により、所定甘味剤又は香味剤を添加してもよい。筋肉内、腹腔内、皮下及び静脈内用には、一般に活性成分の滅菌溶液を調製し、溶液のpHを適当に調整及び緩衝する必要がある。静脈内用としては、製剤を等張にするように溶質の総濃度を調節する必要がある。
【0035】
本発明の化合物は小さな一枚膜リポソーム、大きな一枚膜リポソーム及び多重膜リポソーム等のリポソーム送達システムの形態て投与することもできる。リポソームはコレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリン等の各種リン脂質から形成することができる。
【0036】
本発明の化合物は化合物分子を結合する個々のキャリヤーとしてモノクローナル抗体を使用することにより送達することもできる。本発明の化合物は標的可能な薬剤キャリヤーとしての可溶性ポリマーと結合することもできる。このようなポリマーとしてはポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロプルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシ−エチルアスパルトアミド−フェノール又はパルミトイル残基で置換したポリエチレンオキシド−ポリリジンが挙げられる。更に、本発明の化合物は薬剤の制御放出を実施するのに有用な類の生分解性ポリマー(例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマー)と結合させることもできる。
【0037】
本発明の化合物は骨粗鬆症,グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症、パジェット病、骨代謝回転異常亢進、歯周病、歯欠損、骨折、アテローム性動脈硬化症、肥満症、寄生虫感染症、リウマチ様関節炎、変形性関節炎、人工器官周囲の骨溶解、骨形成不全症、転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症及び多発性骨髄腫の治療又は予防に有用な公知物質と併用しても有用である。骨粗鬆症又は他の骨疾患の治療又は予防に有用な他の物質と本明細書に開示する化合物の併用も本発明の範囲に含まれる。当業者は該当薬剤及び疾患の特徴に基づいてどの薬剤の組み合わせが有用であるかを判断することができる。このような物質としては、有機ビスホスホネート、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、破骨細胞プロトンATPアーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、インテグリン受容体アンタゴニスト、PTH等の破骨細胞同化剤、選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、並びにその医薬的に許容可能な塩及び混合物が挙げられる。好ましい組み合わせは本発明の化合物と有機ビスホスホネートである。別の好ましい組み合わせは本発明の化合物とエストロゲン受容体モジュレーターである。別の好ましい組み合わせは本発明の化合物とアンドロゲン受容体モジュレーターである。別の好ましい組み合わせは本発明の化合物と破骨細胞同化剤である。
【0038】
「有機ビスホスホネート」としては限定されないが、化学式:
【0039】
【化4】

(式中、nは0〜7の整数であり、AとXはH、OH、ハロゲン、NH、SH、フェニル、C1−C30アルキル、C3−C30分岐鎖又はシクロアルキル、2又は3個のNを含む2環式環構造、C1−C30置換アルキル、C1−C10アルキル置換NH、C3−C10分岐鎖又はシクロアルキル置換NH、C1−C10ジアルキル置換NH、C1−C10アルコキシ、C1−C10アルキル置換チオ、チオフェニル、ハロフェニルチオ、C1−C10アルキル置換フェニル、ピリジル、フラニル、ピロリジニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル及びベンジルから構成される群から独立して選択され、但しnが0であるときにはAとXは同時にH又はOHから選択されず;あるいはAとXはこれらが結合している1又は複数の炭素原子と一緒になってC3−C10環を形成する。)の化合物が挙げられる。
【0040】
上記化学式において、十分な原子が化学式に選択される限り、アルキル基は直鎖、分岐鎖、又は環状のいずれでもよい。C1−C30置換アルキルとしては広範な置換基が挙げられ、非限定的な例としてはフェニル、ピリジル、フラニル、ピロリジニル、イミダゾニル、NH、C1−C10アルキル又はジアルキル置換NH、OH、SH及びC1−C10アルコキシから構成される群から選択されるものが挙げられる。
【0041】
上記化学式はA又はX置換基に複雑な炭素環、芳香族及びヘテロ原子構造も含み、非限定的な例としてはナフチル、キノリル、イソキノリル、アダマンチル及びクロロフェニルチオが挙げられる。
【0042】
本発明ではビスホスホネートの医薬的に許容可能な塩及び誘導体も有用である。塩の非限定的な例としてはアルカリ金属、アルカリ性金属、アンモニウム及びモノ−、ジ−、トリ−又はテトラ−C1−C30−アルキル置換アンモニウムから構成される群から選択されるものが挙げられる。好ましい塩はナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアンモニウム塩から構成される群から選択されるものである。ナトリウム塩がより好ましい。誘導体の非限定的な例としてはエステル、水和物及びアミドから構成される群から選択されるものが挙げられる。
【0043】
なお、本発明の治療剤に関して本明細書で使用する「ビスホスホネート」なる用語はジホスホネート、ビホスホン酸及びジホスホン酸と、これらの材料の塩及び誘導体とを含むものとする。ビスホスホネートに関する特定命名法の使用は特に指定しない限り、本発明の範囲を限定するものではない。混合命名法が当業者により現在使用されているので、本発明のビスホスホネート化合物の特定重量又は百分率に関する記載は特に本明細書中で指定しない限り、酸活性重量を基準とする。例えば、「アレンドロン酸活性重量換算で約5mgのアレンドロネート、その医薬的に許容可能な塩、及びその混合物から構成される群から選択される骨吸収抑制ビスホスホネート」なる用語はビスホスホネート化合物の選択量がアレンドロン酸5mgを基準に計算されることを意味する。
【0044】
本発明で有用なビスホスホネートの非限定的な例としては以下のものが挙げられる。
【0045】
アレンドロン酸,4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸。
【0046】
アレンドロネート(アレンドロン酸ナトリウム又はアレンドロン酸一ナトリウム三水和物とも言う),4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸一ナトリウム三水和物。
【0047】
アレンドロン酸とアレンドロネートはいずれも参照によりその開示内容全体を本明細書に組込む米国特許第4,922,007号(Kieczykowskiら,発行日1990年5月1日);5,019,651号(Kieczykowskiら,発行日1991年5月28日);5,510,517号(Dauerら,発行日1996年4月23日);5,648,491号(Dauerら,発行日1997年7月15日)に記載されている。
【0048】
参照によりその開示内容全体を本明細書に組込む米国特許第4,970,335号(Isomuraら,発行日1990年11月13日)に記載されているようなシクロヘプチルアミノメチレン−1,1−ビスホスホン酸,YM175,Yamanouchi(インカドロネート、旧名シマドロネート)。
【0049】
1,1−ジクロロメチレン−1,1−ジホスホン酸(クロドロン酸)とその二ナトリウム塩(クロドロネート,Procter and Gamble)はいずれも参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むベルギー特許第672,205号(1966)とJ.Org.Chem 32,4111(1967)に記載されている。
【0050】
1−ヒドロキシ−3−(1−ピロリジニル)−プロピリデン−1,1−ビスホスホン酸(EB−1053)。
【0051】
1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(エチドロン酸)。
【0052】
1−ヒドロキシ−3−(N−メチル−N−ペンチルアミノ)プロピリデン−1,1−ビスホスホン酸はBM−210955,Boehringer−Mannheim(イバンドネート)とも呼ばれ、参照によりその開示内容全体を本明細書に組込む米国特許第4,927,814号(発行日1990年5月22日)に記載されている。
【0053】
1−ヒドロキシ−2−イミダゾ−(1,2−a)ピリジン−3−イルエチリデン(ミノドロネート)。
【0054】
6−アミノ−1−ヒドロキシヘキシリデン−1,1−ビスホスホン酸(ネリドロネート)。
【0055】
3−(ジメチルアミノ)−1−ヒドロキシプロピリデン−1,1−ビスホスホン酸(オルパドロネート)。
【0056】
3−アミノ−1−ヒドロキシプロピリデン−1,1−ビスホスホン酸(パミドロネート)。
【0057】
[2−(2−ピリジニル)エチリデン]−1,1−ビスホスホン酸(ピリドロネート)は参照によりその開示内容全体を本明細書に組込む米国特許第4,761,406号に記載されている。
【0058】
1−ヒドロキシ−2−(3−ピリジニル)−エチリデン−1,1−ビスホスホン酸(リセドロネート)。
【0059】
参照によりその開示内容全体を本明細書に組込む米国特許第4,876,248号(Breliereら,発行日1989年10月24日)に記載されているような(4−クロロフェニル)チオメタン−1,1−ジホスホン酸(チルドロネート)。
【0060】
1−ヒドロキシ−2−(1H−イミダゾール−1−イル)エチリデン−1,1−ビスホスホン酸(ゾレンドロネート)。
【0061】
ビスホスホネートの非限定的な例としてはアレンドロネート、シマドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、パミドロネート、ピリドロネート、リセドロネート、チルドロネート及びゾレンドロネートならびにこれらの医薬的に許容可能な塩及びエステルが挙げられる。特に好ましいビスホスホネートはアレンドロネートであり、特にアレンドロン酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム又はアンモニウム塩である。好ましいビスホスホネートの例はアレンドロン酸のナトリウム塩、特にアレンドロン酸の水和ナトリウム塩である。塩は自然数モルの水又は非自然数モルの水で水和することができる。好ましいビスホスホネートの別の例は、特に水和塩がアレンドロン酸一ナトリウム三水和物である場合のアレンドロン酸の水和ナトリウム塩である。
【0062】
当然のことながら、2種以上のビスホスホネート活性成分の混合物も利用できる。
【0063】
有機ビスホスホネートの厳密な用量は、投薬計画、選択する特定ビスホスホネート、哺乳動物又はヒトの年齢、寸法、性別及び状態、治療する疾患の種類と重篤度並びに他の関連医学的及び身体的因子により異なる。従って、厳密な医薬的有効量を予め特定することはできないが、看護士又は臨床医が容易に決定することができる。適量は動物モデルとヒト臨床試験から日常的実験により決定することができる。一般に、骨吸収抑制効果を得るように適量のビスホスホネートを選択し、即ち骨吸収抑制量のビスホスホネートを投与する。ヒトの場合には、ビスホスホネートの有効経口用量は一般に約1.5〜約6000μg/kg体重、好ましくは約10〜約2000μg/kg体重である。アレンドロン酸一ナトリウム三水和物の場合、一般的なヒト投与量は一般に約2mg/日〜約40mg/日、好ましくは約5mg/日〜約40mg/日である。米国で現在認可されているアレンドロン酸一ナトリウム三水和物の用量は骨粗鬆症の予防には5mg/日、骨粗鬆症の治療には10mg/日、パジェット病の治療には40mg/日である。
【0064】
代替投薬レジメンでは、毎日以外の間隔、例えば週1回、週2回、隔週、月2回の間隔でビスホスホネートを投与することができる。週1回レジメンではアレンドロン酸一ナトリウム三水和物35mg/週又は70mg/週を投与する。
【0065】
「選択的エストロゲン受容体モジュレーター」とはメカニズムに関係なく、エストロゲンと受容体の結合を妨害又は阻害する化合物を意味する。エストロゲン受容体モジュレーターの例としては限定されないが、エストロゲン、プロゲストゲン、エストラジオール、ドロロキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、TSE−424、タモキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノエート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾン、及びSH646が挙げられる。
【0066】
「エストロゲン受容体βモジュレーター」はエストロゲン受容体β(ERβ)に選択的アゴニスト又はアンタゴニストとして作用する化合物である。ERβにアゴニストが作用すると、ERβに媒介されるイベントを介してトリプトファンヒドロキシラーゼ遺伝子(TPH,セロトニン合成における主要酵素)の転写が増加する。エストロゲン受容体βアゴニストの例はいずれも参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むPCT国際公開WO01/82923(公開日2001年11月8日)及びWO02/41835(公開日2002年5月20日)に記載されている。
【0067】
「アンドロゲン受容体モジュレーター」とはメカニズムに関係なく、アンドロゲンと受容体の結合を妨害又は阻害する化合物を意味する。アンドロゲン受容体モジュレーターの例としてはフィナステリド及び他の5αレダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾール並びに酢酸アビラテロンが挙げられる。
【0068】
「破骨細胞プロトンATPアーゼ阻害剤」とは破骨細胞の頂端膜に存在しており、骨吸収プロセスに重要な役割を果たすことが報告されているプロトンATPアーゼの阻害剤である。このプロトンポンプは骨粗鬆症及び関連代謝疾患の治療及び予防に潜在的に有用な骨吸収抑制剤の設計の魅力的なターゲットである。参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むC.Farinaら,“Selective inhibitors of the osteoclast vacuolar proton ATPase as novel bone antiresorptive agents,”DDT,4:163−172(1999))参照。
【0069】
「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」とは3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼの阻害剤を意味する。HMG−CoAレダクターゼに対して阻害活性をもつ化合物は当分野で周知のアッセイを使用することにより容易に確認することができる。例えば、米国特許第4,231,938号,col.6、及びWO84/02131,pp.30−33に記載又は引用されているアッセイ参照。「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」と「HMG−CoAレダクターゼの阻害剤」なる用語は本明細書で使用する場合には同義である。
【0070】
使用可能なHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の例としては限定されないが、ロバスタチン(MEVACOR(登録商標);米国特許第4,231,938号、4,294,926号及び4,319,039号参照)、シンバスタチン(ZOCOR(登録商標);米国特許第4,444,784号、4,820,850号及び4,916,239号参照)、プラバスタチン(PRAVACHOL(登録商標);米国特許第4,346,227号、4,537,859号、4,410,629号、5,030,447号及び5,180,589号参照)、フルバスタチン(LESCOL(登録商標);米国特許第5,354,772号、4,911,165号、4,929,437号、5,189,164号、5,118,853号、5,290,946号及び5,356,896号参照)、アトルバスタチン(LIPITOR(登録商標);米国特許第5,273,995号、4,681,893号、5,489,691号及び5,342,952号参照)及びセリバスタチン(リバスタチン及びBAYCHOL(登録商標)とも言う;米国特許第5,177,080号参照)。これら及び本発明の方法で使用することができる他のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の構造式はM.Yalpani,“Cholesterol Lowering Drugs”,Chemistry & Industry,pp.85−89(5 February 1996)の87頁と米国特許第4,782,084号及び4,885,314号に記載されている。本明細書で使用するHMG−CoAレダクターゼ阻害剤なる用語は医薬的に許容可能な全ラクトン及び開環酸形態(即ちラクトン環を開環して遊離酸を形成する場合)とHMG−CoAレダクターゼ阻害活性をもつ化合物の塩及びエステル形態を含み、従って、このような塩、エステル、開環酸及びラクトン形態の使用が本発明の範囲に含まれる。ラクトン部分とその対応する開環酸形態の1例を構造I及びIIとして下記に示す。
【0071】
【化5】

開環酸形態が存在し得るHMG−CoAレダクターゼ阻害剤では、開環酸から塩及びエステル形態を形成できることが好ましく、このような全形態が本明細書で使用する「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」なる用語の意味に含まれる。好ましくはHMG−CoAレダクターゼ阻害剤はロバスタチン及びシンバスタチンから選択され、シンバスタチンが最も好ましい。本明細書においてHMG−CoAレダクターゼ阻害剤に関して「医薬的に許容可能な塩」なる用語は一般に遊離酸を適当な有機又は無機塩基と反応させることにより製造される本発明で使用される化合物の非毒性塩を意味し、特にナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛及びテトラメチルアンモニウム等のカチオンから形成される塩と、アンモニア、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−p−クロロベンジル−2−ピロリジン−1’−イル−メチルベンズ−イミダゾール、ジエチルアミン、ピペラジン、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等のアミンから形成される塩が挙げられる。HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の塩形態のその他の例としては限定されないが、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、硼酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、粘液酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、蓚酸塩、パモ酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、亜酢酸塩、琥珀酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド及び吉草酸塩が挙げられる。
【0072】
記載するHMG−CoAレダクターゼ阻害剤化合物のエステル誘導体は温血動物の血流に吸収されると分解して薬剤形を放出し、改善された治療効果を薬剤に発揮させるプロドラッグとして作用することができる。
【0073】
上記に使用した「インテグリン受容体アンタゴニスト」とは生理的リガンドがαβインテグリンと結合するのを選択的に阻害、抑制ないし妨害する化合物、生理的リガンドがαβインテグリンと結合するのを選択的に阻害、抑制ないし妨害する化合物、生理的リガンドがαβインテグリン及びαβインテグリンの両者と結合するのを阻害、抑制ないし妨害する化合物、並びに毛細血管内皮細胞で発現される特定インテグリンの活性を阻害、抑制ないし妨害する化合物を意味する。この用語は更にαβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ及びαβインテグリンのアンタゴニストも意味する。この用語は更にαβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ及びαβインテグリンのいずれかの組み合わせのアンタゴニストも意味する。H.N.Lodeら,PNAS USA 96:1591−1596(1999)は自然腫瘍転移の根治における抗血管新生αvインテグリンアンタゴニストと腫瘍特異的抗体−サイトカイン(インターロイキン−2)融合蛋白質の相乗作用について検討している。その結果、この組み合わせは癌及び転移性腫瘍増殖の治療に潜在的に有効であることが示唆された。αβインテグリン受容体アンタゴニストは現在入手可能な全薬剤と異なる新規メカニズムにより骨吸収を抑制する。インテグリンは細胞−細胞及び細胞−マトリックス相互作用を媒介するヘテロダイマートランスメンブレン接着受容体である。α及びβインテグリンサブユニットは非共有的に相互作用し、2価カチオン依存的に細胞外マトリックスリガンドと結合する。破骨細胞に最も多量に存在するインテグリンはαβ(>10/破骨細胞)であり、細胞移動及び分極に重要な細胞骨格構成で律速機能を果たすと思われる。αβアンタゴニスト効果は骨吸収の抑制、再狭窄の抑制、黄斑変性の抑制、関節炎の抑制並びに癌及び転移増殖の抑制から選択される。
【0074】
「破骨細胞同化剤」とはPTH等の骨を形成する物質を意味する。副甲状腺ホルモン(PTH)又はそのアミノ末端フラグメント及び類似体を断続投与すると、骨量減少を予防、阻止、部分的に逆行させ、骨形成を刺激することが動物及びヒトで判明した。詳細については、D.W.Dempsterら,“Anabolic actions of parathyroid hormone on bone,”Endocr Rev 14:690−709(1993)参照。副甲状腺ホルモンは骨形成を刺激することにより骨量及び強度を増加する臨床効果があることが示されている。結果はRM Neerら,New Eng J Med 344 1434−1441(2001)に報告されている。
【0075】
更に、PTHrP−(1−36)等の副甲状腺ホルモン関連蛋白質フラグメント又は類似体は強力なカルシウム尿症治療薬であることが立証されており[M.A.Syedら,“Parathyroid hormone−related protein−(1−36)stimulates renal tubular calcium reabsorption in normal human volunteers:implications for the pathogenesis of humoral hypercalcemia of malignancy,”JCEM 86:1525−1531(2001)参照]、骨粗鬆症の治療用同化剤としても潜在効果があると考えられる。
【0076】
「選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤」ないしCOX−2阻害剤とは体内疼痛及び炎症の原因となるCOX−2補酵素を阻害する非ステロイド型抗炎症薬(SAID)を意味する。COX−2阻害剤の非限定的な例としてはセレコキシブ、エトリコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ及びバルデコキシブが挙げられる。
【0077】
一定用量として製剤化する場合、そのような併用製剤は下記用量範囲内の本発明の化合物及び許容用量範囲内の他の医薬活性剤を使用する。あるいは、併用製剤が不適切な場合には本発明の化合物を医薬的に許容可能な公知物質と逐次使用することができる。
【0078】
本発明の化合物に関して「投与」なる用語とその活用形(例えば、化合物を「投与する」)は治療を必要とする動物の系に化合物又は化合物のプロドラッグを導入することを意味する。本発明の化合物又はそのプロドラッグを1種以上の他の活性剤(例えば細胞傷害剤等)と併用する場合には、「投与」とその活用形は各々化合物又はそのプロドラッグと他の物質の同時及び逐次導入を含むものとする。本発明は本発明の化合物のプロドラッグをその範囲に含む。一般に、このようなプロドラッグは必要な化合物に容易にインビボ変換可能な本発明の化合物の機能的誘導体である。従って、本発明の治療方法において、「投与する」なる用語は具体的に開示する化合物又は具体的に開示しないとしても、患者に投与後に特定化合物にインビボ変換する化合物で各種記載症状を治療することを意味する。従来の適切なプロドラッグ誘導体の選択及び製造法は例えば参照によりその開示内容全体を本明細書に組込む“Design of Prodrugs,”ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に記載されている。これらの化合物の代謝産物としては、本発明の化合物を生物媒体に導入後に生産される活性種が挙げられる。
【0079】
本明細書で使用する「組成物」なる用語は特定量の特定成分を含有する製剤と、特定量の特定成分の組み合わせにより直接又は間接的に得られる任意製剤を意味する。
【0080】
本明細書で使用する「治療有効量」なる用語は研究者、獣医、医師又は他の臨床技術者により求められる生物又は医学的応答を組織、系、動物又はヒトに誘発する活性化合物又は薬剤の量を意味する。
【0081】
本明細書で使用する疾患「を治療する」又は「の治療」なる用語は疾患の予防、即ち疾患になる危険又は素因があるが、まだ疾患の症状を発現していない哺乳動物に疾患の臨床症状が生じないようにすること;疾患の抑制、即ち疾患又はその臨床症状の発生を阻止又は低減すること;あるいは疾患の緩和、即ち疾患又はその臨床症状を逆行させることを含む。
【0082】
本明細書で使用する疾患「骨吸収」なる用語は破骨細胞が骨を分解するプロセスを意味する。
【0083】
本発明は医薬的に許容可能なキャリヤー又は希釈剤の存在下又は不在下で治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む、骨粗鬆症又は他の骨疾患の治療に有用な医薬組成物にも関する。本発明の適切な組成物としては、本発明の化合物と薬理的に許容可能なキャリヤー(例えばpHレベルが例えば7.4の食塩水)を含む水溶液が挙げられる。溶液は局所ボーラス注射により患者の血流に導入することができる。
【0084】
本発明の化合物をヒト対象に投与する場合には、1日用量は一般に処方医により決定され、一般に個々の患者の年齢、体重、及び応答と、患者の症状の重篤度により異なる。
【0085】
1適用例では、カテプシン依存性症状の治療中の哺乳動物に適量の化合物を投与する。指定効果のために使用する場合、本発明の経口用量は約0.01mg/kg体重/日(mg/kg/日)〜約100mg/kg/日、好ましくは0.01〜10mg/kg/日、最も好ましくは0.1〜5.0mg/kg/日である。経口投与の場合、組成物は治療する患者の症状に合わせて活性成分0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100及び500mgを含有する錠剤として投与することが好ましい。薬剤は一般に活性成分約0.01mg〜約500mg、好ましくは活性成分約1mg〜約100mgを含有する。静脈内投与に最適な用量は定速輸液中に約0.1〜約10mg/kg/分である。本発明の化合物は1日1回投与してもよいし、合計1日用量を1日2回、3回又は4回に分けて投与してもよいという利点がある。更に、本発明の好ましい化合物は適当な鼻腔内ビークルの局所使用により鼻腔内形態で投与してもよいし、当業者に周知の経皮パッチ形態を使用して経皮経路で投与してもよい。経皮送達システムの形態で投与するには、当然のことながら投薬期間を通して断続的でなく連続的に投与する。
【0086】
本発明の化合物はカテプシンに媒介される症状の治療に有用な他の物質と併用することができる。このような併用剤の個々の成分は治療期間中の異なる時点で別々に投与することもできるし、分割又は単回併用形態で同時投与することもできる。従って、本発明はこのような全同時又は交互投与レジメンを含むものであり、「投与」なる用語は相応に解釈すべきである。当然のことながら、本発明の化合物とカテプシンに媒介される症状の治療に有用な他の物質の併用の範囲は原則としてエストロゲン機能に関連する疾患の治療に有用な任意医薬組成物との任意併用を含む。
【0087】
従って、本発明の範囲は本発明の化合物と、有機ビスホスホネート、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、破骨細胞プロトンATPアーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、インテグリン受容体アンタゴニスト、PTH等の破骨細胞同化剤、選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤並びにその医薬的に許容可能な塩及び混合物から選択される第2の物質の併用を含む。
【0088】
本発明の上記及び他の側面は本明細書の教示から自明である。
【0089】
(定義)
本発明の化合物は(E.L.Eliel and S.H.Wilen,Stereochemistry of Carbon Compounds,John Wiley & Sons,New York,1994,1119−1190頁に記載されているように)不斉中心、キラル軸、及びキラル面をもつことができ、ラセミ化合物、ラセミ混合物、及び個々のジアステレオマーとして存在することができ、光学異性体を含む可能な全異性体とその混合物が本発明に含まれる。更に、本明細書に開示する化合物は互変異性体として存在することができ、一方の互変異性体構造しか図示していなくても両方の互変異性形態を本発明の範囲に含むものとする。例えば、下記化合物Aは互変異性体構造Bとその混合物を含み、逆についても同様である。
【0090】
【化6】

いずれかの可変因子(例えばR,R,R等)がいずれかの成分中に2回以上出現する場合には、出現毎の定義は各々独立している。また、置換基と可変因子の組み合わせはこのような組み合わせにより安定な化合物が得られる場合のみに許容できる。置換基から環系の内側に引いた線は指定する結合が置換可能ないずれかの環原子に結合できることを意味する。環系が多環式である場合には、結合は近接環上のみの適切ないずれかの炭素原子と結合するものとする。
【0091】
当然のことながら、本発明の化合物上の置換基及び置換パターンは容易に入手可能な出発材料から当分野で公知の技術及び下記方法により容易に合成可能な化学的に安定な化合物を提供するように当業者が選択することができる。置換基自体が2個以上の基で置換されている場合には、当然のことながら、これらの複数の基は安定な構造が得られる限り、同一炭素上にあってもよいし、異なる炭素上にあってもよい。「場合により1個以上の置換基で置換された」なる表現は「場合により少なくとも1個の置換基で置換された」なる表現と同義であり、このような場合には、好ましい態様は0〜3個の置換基をもつ。
【0092】
本明細書において「アルキル」とは特に指定しない限り、炭素原子数1〜10の分岐鎖及び直鎖飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「C−C10アルキル」におけるC−C10は炭素原子数1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の直鎖、分岐鎖、又は環状配置の基を表すものと定義される。例えば、「C−C10アルキル」には具体的にメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等が含まれる。
【0093】
「アルコキシ」又は「アルキルオキシ」とは特に指定しない限り、酸素結合を介して結合した上記アルキル基を意味する。アルコキシの例としてはメトキシ、エトキシ等が挙げられる。
【0094】
「シクロアルキル」又は「炭素環」なる用語は特に指定しない限り、合計炭素原子数3〜8、又はこの範囲の任意の数の環状アルカン環を意味する(即ち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチル)。
【0095】
炭素原子数を指定していない場合には、「アルケニル」なる用語は少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む炭素原子数2〜10の直鎖又は分岐鎖非芳香族炭化水素基を意味する。好ましくは、1個の炭素−炭素二重結合が存在し、4個までの非芳香族炭素−炭素二重結合が存在することができる。従って、「C−Cアルケニル」とは炭素原子数2〜6のアルケニル基を意味する。アルケニル基としては、エテニル、プロペニル、ブテニル及びシクロヘキセニルが挙げられる。アルキルについて上述したように、アルケニル基の直鎖、分岐鎖又は環状部分は二重結合を含んでいてもよく、置換アルケニル基と記載している場合には、置換されていてもよい。
【0096】
場合により、置換基は(C−C)アルキレン−アリールのようにゼロを含む炭素範囲で定義することができる。アリールをフェニルとみなす場合には、この定義はフェニル自体と−CHPh、−CHCHPh、−CH(CH)CHCH(CH)Ph等を含む。
【0097】
本明細書において「アリール」とは少なくとも1個の環が芳香族である12員環までの安定な任意単環又は二環式炭素環を意味する。このようなアリールエレメントの例としてはフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリル又はアセナフチルが挙げられる。アリール置換基が二環式であり、一方の環が非芳香族である場合には、当然のことながら、結合は芳香族環を介する。
【0098】
本明細書で使用する「ヘテロアリール」なる用語は少なくとも1個の環が芳香族であり、O、N及びSから構成される群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む10員環までの安定な単環、二環又は三環を意味する。この定義の範囲内のヘテロアリール基としては限定されないが、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロキノリニル、メチレンジオキシベンゼン、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、及びテトラヒドロキノンが挙げられる。ヘテロアリール置換基が二環であり、一方の環が非芳香族であるか又はヘテロ原子を含まない場合には、当然のことながら結合は夫々芳香族環又はヘテロ原子含有環を介する。ヘテロアリールが窒素を含む場合には、当然のことながら対応するそのN−オキシドもこの定義に含まれる。
【0099】
当業者に自明の通り、本明細書で使用する「ハロ」又は「ハロゲン」とはクロロ、フルオロ、ブロモ及びヨードを意味する。「ケト」なる用語はカルボニル(C=O)を意味する。
【0100】
「ハロアルキル」なる用語は特に指定しない限り、1〜5個、好ましくは1〜3個のハロゲンで置換された上記アルキル基を意味する。代表例としては限定されないが、トリフルオロメチル、ジクロロエチル等が挙げられる。
【0101】
「ハロアルコキシ」なる用語は−OR基(式中、Rは1〜5個、好ましくは1〜3個のハロゲンで置換された上記アルキル基である)を意味する。代表例としては限定されないが、トリフルオロメチルオキシ、ジクロロエチルオキシ等が挙げられる。
【0102】
「アリールアルキル」なる用語は上記定義によるアルキル部分と上記定義によるアリール部分を含む。アリールアルキルの例としては限定されないが、ベンジル、フルオロベンジル、クロロベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フルオロフェニルエチル、及びクロロフェニルエチルが挙げられる。アルキルアリールの例としては限定されないが、トルイル、エチルフェニル及びプロピルフェニルが挙げられる。
【0103】
本明細書で使用する「ヘテロアリールアルキル」なる用語は上記定義によるヘテロアリール部分とアルキル部分を含む系を意味する。ヘテロアリールアルキルの例としては限定されないが、チエニルメチル、チエニルエチル、チエニルプロピル、ピリジルメチル、ピリジルエチル及びイミダゾイルメチルが挙げられる。
【0104】
「シクロアルキルアルキル」なる用語は上記定義によるアルキル部分と上記定義によるシクロアルキル部分を含む。シクロアルキルアルキルの例としては限定されないが、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロプロピルエチル等が挙げられる。
【0105】
「ヘテロシクロアルキルアルキル」なる用語は上記定義によるアルキル部分と上記定義によるヘテロシクロアルキル部分を含む。ヘテロシクロアルキルアルキルの例としては限定されないが、モルホリニルメチル、ピペラジニルメチル、ピロリジニルメチル等が挙げられる。
【0106】
「ヒドロキシアルキル」なる用語は1又は2個のヒドロキシ基で置換された炭素原子数1〜6の直鎖1価炭化水素基又は炭素原子数3〜6の分岐鎖1価炭化水素基を意味し、但し、ヒドロキシ基が2個存在する場合には同一炭素原子上に位置しない。代表例としては限定されないが、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
【0107】
本明細書で使用する「複素環」又は「ヘテロシクリル」なる用語は特に指定しない限り、O、N、S、SO又はSOから構成される群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜10員非芳香族環を意味し、二環基を含む。従って、「ヘテロシクリル」としては限定されないが、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピペリジニル、テトラヒドロチオフェニル等が挙げられる。複素環が窒素を含む場合には、当然のことながら対応するそのN−オキシドもこの定義に含まれる。
【0108】
本発明は式Iの化合物のN−オキシド誘導体及び保護誘導体も含む。例えば、式Iの化合物が酸化可能な窒素原子を含む場合には、当分野で周知の方法により窒素原子をN−オキシドに変換することができる。同様に式Iの化合物がヒドロキシ、カルボキシ、チオール又は窒素原子を含む任意基等の基を含む場合には、これらの基を適当な保護基で保護することができる。適切な保護基の包括的リストは参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むT.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,Inc.1981に記載されている。式Iの化合物の保護誘導体は当分野で周知の方法により製造することができる。
【0109】
置換基の名称に「アルキル」又は「アリール」なる用語又はその接頭語根が含まれている場合(例えばアリールC0−8アルキル)には、「アルキル」及び「アリール」に関する上記限定を含むものと解釈すべきである。指定炭素原子数(例えばC1−10)はアルキルもしくは環状アルキル部分内の炭素原子数又はアルキルがその接頭語根として含まれるもっと大きい置換基のアルキル部分を独立して意味する。
【0110】
本発明の化合物の医薬的に許容可能な塩としては無機又は有機酸から形成されるような本発明の化合物の慣用非毒性塩が挙げられる。例えば、慣用非毒性塩としては塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等の無機酸から誘導される塩と、酢酸、プロピオン酸、琥珀酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、蓚酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸から製造される塩が挙げられる。上記医薬的に許容可能な塩及び他の典型的な医薬的に許容可能な塩の製造は参照により本明細書に組込むBergら,“Pharmaceutical Salts,”J.Pharm.Sci.,1977:66:1−19に詳細に記載されている。本発明の化合物の医薬的に許容可能な塩は塩基性又は酸性部分を含む本発明の化合物から従来の化学的方法により合成することができる。一般に、塩基性化合物の塩はイオン交換クロマトグラフィーにより製造されるか、あるいは適切な溶媒又は種々に組み合わせた溶媒中で遊離塩基を化学量論的量又は過剰の所望塩形成無機又は有機酸と反応させることにより製造される。同様に、酸性化合物の塩は適切な無機又は有機塩基との反応により形成される。
【0111】
本明細書の趣旨では、以下の略語は指定の意味をもつ。
Ba(OH)=水酸化バリウム
CDI=カルボニルジイミダゾール
CrO=酸化クロム
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド
EDC=エチルジエチルアミノプロピルカルボジイミド
EtN=トリエチルアミン
EtOH=エタノール
HATU=o−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム−ヘキサフルオロリン酸塩
IO=過ヨウ素酸
KHMDS=カリウムヘキサメチルジシラザン
LDA=リチウムジイソプロピルアミド
LiCl=塩化リチウム
LiOH=水酸化リチウム
MgSO=硫化マグネシウム
NaBH=ホウ水素化ナトリウム
NaClO=過塩素酸ナトリウム
NaOH=水素化ナトリウム
NHCl=塩化アンモニウム
Pd/C=炭素担持パラジウム
PdCl(dppf)=[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)
PG=保護基
iPrEtN=ジイソプロピルエチルアミン
PyBOP=ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロリン酸塩
rt=室温
sat.aq.=飽和水溶液
SiO=二酸化ケイ素
THF=テトラヒドロフラン
TiCl=塩化チタン(IV)
tlc=薄層クロマトグラフィー
Me=メチル
Et=エチル。
【0112】
本発明の新規化合物は適当な材料を使用して以下の一般手順に従って製造することができ、以下の特定実施例により更に例証する。しかし、実施例に例証する化合物が本発明とみなされる唯一の部類を形成すると解釈すべきではない。以下の実施例は更に本発明の化合物の製造の詳細を例証する。当業者に自明の通り、以下の製造手順の条件及び工程の公知変形を使用してこれらの化合物を使用することができる。全温度は特に指定しない限り、摂氏である。
【0113】
(スキーム)
本発明の化合物は下記スキーム1に従って製造することができる。即ち、αアミノエステルをハロアルキルケトンに付加してアミナールを形成し、TiCl、MgSO又はトリフルオロ酢酸イソプロピル等の脱水剤の存在下に脱水するとイミンが得られる。イミンをシアノホウ水素化ナトリウム又はホウ水素化ナトリウム等の還元剤で還元するとアミンが得られる。あるいは、この還元でキラル触媒を使用すると、R立体中心に適切なキラリティーを発生することができる。エステル加水分解と適当に置換したアミノラクタム又はアミノラクトンとのアミド形成によりアミド誘導体が得られる。D系上の置換基がハロゲンである場合には、適当なボロン酸とのパラジウム触媒鈴木カップリングにより本発明の他の化合物が得られる。
【0114】
【化7】

【0115】
本発明の化合物は下記スキーム2に従って製造することもできる。ケトン又はアルデヒド(又はそのヘミアセタール)をアルコールと縮合させると、環状アミナールが得られる。グリニャール試薬又は有機リチウム試薬3当量で処理すると、適当なアルキル化アミノアルコールが得られる。アルコールをジョーンズ酸化又はHIO/CrO等のクロム系、あるいは2段階酸化(例えば塩化オキサリル/DMSO/EtN後にNaClO)により酸化すると、対応するカルボン酸が得られる。スキーム1に記載したようにペプチドカップリングと鈴木反応により本発明の化合物が得られる。
【0116】
【化8】

【0117】
本発明の化合物は下記スキーム3に従って製造することもできる。アルコール部分を適当な保護基で保護したアミノアルコールとヘミアセタールを縮合させることができる。得られたイミンをグリニャール試薬又は有機リチウム試薬で処理すると、適当なアルキル化アミノアルコールが得られる。次にアルコール保護基を除去し、スキーム2に記載の方法又はまず鈴木反応を実施した後にアルコールをHIO/CrOで酸化した後、ペプチドカップリングとケトンへの酸化により本発明の化合物に変換することができる。
【0118】
【化9】

【0119】
本発明の化合物を製造するために使用するカルボキシルアミド−臭化アリールはスキーム4に従って製造することができる。ブロモフェニルアセトニトリルをLDA又はKHMDS等の塩基で処理した後にヨウ化メチル又は1−ブロモ−2−クロロエタン等のハロゲン化アルキルで処理すると、α置換ベンゾニトリルが得られる。あるいは、水酸化ナトリウム、ハロゲン化アルキル及び塩化ベンジルトリエチルアンモニウム等の適切な相転移触媒を使用して相転移条件下にこのアルキル化を実施してもよい。塩基性条件下でニトリルを加水分解すると対応するカルボン酸が得られ、EDC、CDI、HATU、pyBOP又はクロロギ酸イソブチル等の適当なカップリング試薬を使用してアンモニア又は第1級もしくは第2級アミンとカップリングさせることができる。この置換臭化アリールをスキーム8に記載するようにアリールボロンピナコラートとカップリングすると、本発明の化合物が得られる。あるいは、ビス(ピナコラート)ジボロンとのパラジウム触媒反応により臭化アリール自体をアリールボロンピナコラートに変換してもよい。こうして得られたアリールボロンピナコラートをスキーム1、2、又は3に示す鈴木カップリング反応で使用すると、本発明の化合物が得られる。
【0120】
【化10】

【0121】
4−フルオロロイシノールはスキーム5に従って合成することができる。4,5−デヒドロロイシンを下記スキームに記載するように(4S)−4−(2−メチルプロプ−2−エニル)−1,3−オキサゾリジン−2−オンに変換する。この中間体を次にHF−ピリジン等のヒドロフルオロ化試薬と反応させると、(4S)−4−(2−フルオロ−2−メチルプロピル)−1,3−オキサゾリジン−2−オンが得られる。次に、塩基性加水分解(即ちBa(OH)又はNaOH)すると、(2S)−2−アミノ−4−フルオロ−4−メチルペンタン−1−オールが得られ、スキーム2に示すように使用することができる。アルコールを選択的に保護すると中間体が得られ、スキーム3で使用することができる。
【0122】
【化11】

【0123】
本発明に使用するアミノアルコールはスキーム6に従って合成することもできる。EtOH等の溶媒又はEtOH/THF等の混合溶媒中、LiCl等の添加剤の存在下又は不在下にNaBH等の還元剤で保護アミノ酸を還元する。次に、保護基の種類に従って適当な方法でアミノ保護基を除去する。次にスキーム3で使用できるようにアミノアルコールをシリル化することができる。あるいは、アミンの脱保護前にアルコールをシリル化した後、直交アミン保護基を除去してもよい。
【0124】
【化12】

【0125】
本発明の化合物は下記スキーム7に従って製造することもできる。適当にN保護したアミノ酸誘導体をジメチルホルムアミド等の適当な有機溶媒中、ヨウ化ナトリウムの存在下でトシル酸オキセタンと反応させると、対応するオキセタンエステルが得られ、ジボランで処理すると、オルトエステルが得られる。アミノ保護基を除去するとアミンが得られ、上記反応条件下に式RCHOのアルデヒド又は式RC(OH)(OR)(式中、Rはアルキル基である)のヘミアセタールと縮合させると、イミンが得られる。イミンを上記反応条件下にグリニャール試薬又は有機リチウム試薬で処理すると、N−アルキル化誘導体が得られる。オルトエステルを除去すると対応するカルボン酸が得られ、その後、スキーム1に記載するように本発明の化合物に変換する。
【0126】
【化13】

【0127】
スキーム1、2、及び7に示すハロ−D−CH(R)NHCH(R)COOH形態のカルボン酸はスキーム8に示すように製造することもできる。適当に置換した臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル又はベンジルトリフラート(キラル又はラセミ化合物でもよい)を塩基性条件下にαアミノエステルとカップリングすることができる。次に水性塩基で加水分解すると酸が得られ、本発明の実施例に変換することができる。
【0128】
【化14】

【0129】
本発明の化合物はスキーム9に示すように適切なN置換アミノ酸を適当なα−アミノ−γ−ブチロラクトン(X=O、Y=CH、R1a=R1b=Hは市販品;X=O、Y=C(CH、R1a=R1b=HについてはFillman,J.;Albertson,N.J.Am.Chem.Soc.1948,70,171−174参照;X=O、Y=CH、R1a=R1b=CHについてはHolly,F.W.;Barnes,R.A.;Koniuszy,F.R.;Folkers,K.J.Am.Chem.Soc.1948,70,3088−3090参照)又は適当な3−アミノ−2−ピロリジノン(X=NH、Y=CH、R1a=R1b=Hは市販品;X=NR、R=SO(R=アリール又はヘテロアリール)、Y=CH、R1a=R1b=HについてはPoduska and Rudinger Collect Czech.Chem.Commun.1959,24,3449−3458参照;X=NH、Y=CHSO(R=アリール又はヘテロアリール)、R1a=R1b=HについてはBoyd.,D.B.;Elzey,T.K.;Hatfield,L.D.;Kinnick,M.D.;Morin Jr.,J.M.Tetrahedron Lett.1986,27,3453−3456参照;X=NR、R=H、Y=CO、R1a=R1b=HについてはLiotta,L.J.;Gibbs,R.A;Taylor,S.D.;Benkovic,P.A.;Benkovic,S.J.J.Am.Chem.Soc.1995,117,4729−4741参照;X=NR、Y=SO、R1a=R1b=HについてはChen,Z.;Demuth Jr.,T.P.;Wireko,F.C.;Bioorg.Med.Chem.Lett.2001,11,2111−2115参照)とカップリングさせることにより製造することができる。
【0130】
【化15】

【0131】
本発明の化合物はスキーム10に従って適切なN置換アミノ酸を適切なα−アミノ−ラクタム(R=R1a=R1b=H又はR=OCH、R1a=R1b=HについてはFloyd,D.M.;Fritz,A.W.;Pluscec,J.;Weaver,E.R.;Cimarusti,C.M.J.Org.Chem.1982,47,5160−5167参照;R=R1a=H、R1b=OAc又はR=R1a=H、R1b=SR又はSO(R=アリール又はヘテロアリール)についてはZhou,N.E.;Guo,D.;Thomas,G.;Reddy,A.V.N.;Kaleta,J.;Purisima,E.;Menard,R.;Micetich,R.G.;Singh,R.Biorg.Med.Chem.Lett.2003,13,139−141参照)とカップリングさせることにより製造することもできる。
【0132】
【化16】

【実施例1】
【0133】
−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド
【0134】
【化17】

トリエチルアミン(30μL,220μmol)をN−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシン(30mg,68μmol)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウム−ヘキサフルオロリン酸塩(40mg,77μmol)及びα−アミノ−γ−ブチロラクトン臭化水素酸塩(26mg,140μmol)のDMF(0.20mL)溶液に室温で30分間撹拌下に加えた。次に混合物を酢酸エチルと水に分配し、層分離した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮し、酢酸エチルを溶離液として残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製すると、標記化合物が無色固体として得られた。MS(+ESI):527.2[M+1]
【0135】
H NMR(アセトン−d,500MHz)δ 8.06(4H,d),8.00−7.95(4H,m),7.90(1H,m),7.83(1H,オーバーラップm),7.80(4H,d),7.67(4H,t),4.58(2H,m),4.45(2H,m),4.37(2H,m),4.27(2H,m),3.53(2H,m),3.19(6H,s),2.83(2H,m),2.50(2H,m),2.20(2H,m),1.95(2H,m),1.53(4H,m),0.95(12H,d)。
【実施例2】
【0136】
−[2−オキソ−1−(フェニルスルホニル)ピロリジン−3−イル]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド
【0137】
【化18】

トリエチルアミン(30μL,220μmol)をN−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシン(40mg,90μmol)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウム−ヘキサフルオロリン酸塩(55mg,110μmol)及び(54mg,220μmol)のDMF(0.20mL)溶液に室温で2.5時間撹拌下に加えた。次に混合物を酢酸エチルと水に分配し、層分離した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮し、3/2酢酸エチル/ヘキサンを溶離液として残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製すると、標記化合物が無色粘稠シロップとして得られた。MS(+ESI):666.3[M+1]
【0138】
H NMR(アセトン−d,500MHz)δ 8.07−7.97(8H,m),7.96−7.92(4H,m),7.86−7.70(8H,m),7.65−7.57(8H,m),4.54(2H,m),4.40(2H,m),3.93(2H,m),3.80(2H,m),3.66(2H,m),3.45(2H,m),3.18(6H,s),2.35(2H,m),2.00−1.80(4H,m),1.45(4H,m),0.89(12H,d)。
【0139】
医薬組成物
本発明の特定態様として、合計量580〜590mgとするために十分な微粉砕ラクトースとN−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド100mgを配合し、サイズ0ハードゼラチンカプセルに充填する。
【0140】
本明細書に開示する化合物は以下のアッセイで活性を示した。更に、本明細書に開示する化合物は従来開示されている化合物に比較して高い薬理プロフィルをもつ。
【0141】
カテプシンKアッセイ
ジメチルスルホキシド(DMSO)で試験化合物500μMから0.0085μMまでの連続希釈液(1/3)を調製した。次に各希釈液からDMSO2μLをアッセイ緩衝液(MES,50mM(pH5.5);EDTA,2.5mM;DTT,2.5mM及び10% DMSO)50μLとアッセイ緩衝溶液中のヒトカテプシンK(0.4nM)25μLに加えた。アッセイ溶液を振盪プレート上で5〜10秒間混合し、15分間室温でインキュベートした。アッセイ緩衝液25μL中Z−Leu−Arg−AMC(8μM)をアッセイ溶液に加えた。クマリン脱離基(AMC)の加水分解後、スペクトロフルオロメトリー(Exλ=355nm;Emλ=460nm)を10分間実施した。実験値を用量応答曲線の標準数理モデルにフィットさせることにより阻害百分率を計算した。
【0142】
カテプシンLアッセイ
ジメチルスルホキシド(DMSO)で試験化合物500μMから0.0085μMまでの連続希釈液(1/3)を調製した。次に各希釈液からDMSO2μLをアッセイ緩衝液(MES,50mM(pH5.5);EDTA,2.5mM;DTT,2.5mM及び10% DMSO)50μLとアッセイ緩衝溶液中のヒトカテプシンL(0.5nM)25μLに加えた。アッセイ溶液を振盪プレート上で5〜10秒間混合し、15分間室温でインキュベートした。アッセイ緩衝液25μL中Z−Leu−Arg−AMC(8μM)をアッセイ溶液に加えた。クマリン脱離基(AMC)の加水分解後、スペクトロフルオロメトリー(Exλ=355nm;Emλ=460nm)を10分間実施した。実験値を用量応答曲線の標準数理モデルにフィットさせることにより阻害百分率を計算した。
【0143】
カテプシンBアッセイ
ジメチルスルホキシド(DMSO)で試験化合物500μMから0.0085μMまでの連続希釈液(1/3)を調製した。次に各希釈液からDMSO2μLをアッセイ緩衝液(MES,50mM(pH5.5);EDTA,2.5mM;DTT,2.5mM及び10% DMSO)50μLとアッセイ緩衝溶液中のヒトカテプシンB(4.0nM)25μLに加えた。アッセイ溶液を振盪プレート上で5〜10秒間混合し、15分間室温でインキュベートした。アッセイ緩衝液25μL中Z−Leu−Arg−AMC(8μM)をアッセイ溶液に加えた。クマリン脱離基(AMC)の加水分解後、スペクトロフルオロメトリー(Exλ=355nm;Emλ=460nm)を10分間実施した。実験値を用量応答曲線の標準数理モデルにフィットさせることにより阻害百分率を計算した。
【0144】
カテプシンSアッセイ
ジメチルスルホキシド(DMSO)で試験化合物500μMから0.0085μMまでの連続希釈液(1/3)を調製した。次に各希釈液からDMSO2μLをアッセイ緩衝液(MES,50mM(pH5.5);EDTA,2.5mM;DTT,2.5mM及び10% DMSO)50μLとアッセイ緩衝溶液中のヒトカテプシンS(20nM)25μLに加えた。アッセイ溶液を振盪プレート上で5〜10秒間混合し、15分間室温でインキュベートした。アッセイ緩衝液25μL中Z−Leu−Arg−AMC(8μM)をアッセイ溶液に加えた。クマリン脱離基(AMC)の加水分解後、スペクトロフルオロメトリー(Exλ=355nm;Emλ=460nm)を10分間実施した。実験値を用量応答曲線の標準数理モデルにフィットさせることにより阻害百分率を計算した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

[式中、XはO又は−NRであり;
YはCR、−SO、C=O又は−NRであり;
ZはCR、O、S、−SO又は−NRであり;
各Gは独立してCRであり;
は水素、ハロ、又は場合によりハロもしくは−ORから独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基で置換されたC1−6アルキルであり;
は水素、ハロ、又は場合によりハロもしくは−ORから独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基で置換されたC1−6アルキルであるか;
あるいはRとRはこれらが結合している炭素原子と一緒になって場合によりC1−6アルキル、ハロ又はケトから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されたC3−8員環を形成することができ;
はC1−6アルキル又はC2−6アルケニルであり、前記アルキル又はアルケニル基は場合によりC3−6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又は1〜6個のハロで置換されており;
は1〜6個のハロで置換されたC1−6アルキルであり;
Dはアリール又はヘテロアリールであり、前記アリール又はヘテロアリール基は単環式でも二環式でもよく、場合によりC1−6アルキル、ハロアルキル、ハロ、ケト、アルコキシ、−SR、−OR、N(R又は−SOから独立して選択される1〜5個の置換基で炭素又はヘテロ原子上において置換されており;
Eはアリール又はヘテロアリールであり、前記アリール又はヘテロアリール基は単環式でも二環式でもよく、場合によりC1−6アルキル、ハロアルキル、ハロ、ケト、アルコキシ、−SR、−OR、N(R又は−SOから独立して選択される1〜5個の置換基で炭素又はヘテロ原子上において置換されており;
は水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、−OR、−C(O)R、−RC(O)R、−C(O)N(R)(R)、−C(O)N(R)(R)、−C(R)(R)OH、RSR、−C(R)(R)N(R、C(R)(R)N(R)(R)、−NRC(O)NRS(O)、−SO、−SON(R)(R)、−SON(R)C(O)(R)、−SO(R)C(O)N(R、−N(R)C(O)N(R)(R)、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)OR、−N(R)SO(R)、−C(R)(R)SC(R)(R)(R)、−C(R)(R)NRC(R)(R)(R)、−C(R)(R)NH、−C(R)(R)C(R)(R)N(R)(R)、−C(O)C(R)(R)N(R)(R)、−C(R)(R)N(R)C(O)R、−C(R)(R)C(O)N(R)(R)であり、前記基は場合によりC1−6アルキル、ハロ、ケト、シアノ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、−OR、−NO、−NH、−NHS(O)、−RSO、−SO、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールから独立して選択される1〜5個の置換基で炭素又はヘテロ原子上において置換されており;
は水素、C1−6アルキル、アリール、アリール(C1−4)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−4)アルキル、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルキル(C1−4)アルキル、及びヘテロシクリル(C1−4)アルキルから選択され、前記基は場合によりハロ、アルコキシ、シアノ、−NR、−SR又は−SOから独立して選択される1、2又は3個の置換基で置換されていてもよく;
は水素又はC1−6アルキルであり;
は水素又はC1−6アルキルであり;
は水素、C1−6アルキル、C(O)R、C(O)C1−6アルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)C1−6アルコキシ、SO(C1−6アルキル)、SO(アリール)又はSO(ヘテロアリール)であり、前記アルキル基は場合によりハロ、アルコキシ、シアノ、−NR又は−SRから独立して選択される1、2又は3個の置換基で置換されており;
は水素又は場合によりハロもしくは−ORから独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基で置換されたC1−6アルキルであり;
は水素又は場合によりハロもしくは−ORから独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基で置換されたC1−6アルキルであるか;
あるいはRとRはこれらが結合している窒素原子と一緒になるか又はこれらの間で場合によりC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ又はケトから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されたC3−8ヘテロシクリル環を形成することができ;
nは0〜2の整数であり;
mは0〜2の整数である。]の化合物又はその医薬的に許容可能な塩もしくは立体異性体。
【請求項2】
が場合により1〜6個のハロで置換されたC1−6アルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Dがアリールである請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Dがフェニルである請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Eがアリール又はヘテロアリールであり、前記アリール又はヘテロアリール基が場合により1〜5個のハロで炭素又はヘテロ原子上を置換されている請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
Eがフェニル又はピリジルであり、前記フェニル又はピリジル基が1〜5個のハロで置換されていてもよい請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[2−オキソ−1−(フェニルスルホニル)ピロリジン−3−イル]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−4−フルオロ−N−[(3S,4S)−2−オキソ−4−(トリフルオロメチル)ピロリジン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]プロピル}−4−フルオロ−N−[(3S)−2−オキソ−4−(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−4−フルオロ−N−[(3S,4S)−4−メチル−2−オキソ−1−(ピリジン−2−イルメチル)ピロリジン−3−イル]−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−N−[(3R)−4,4−ジフルオロ−2−オキソピロリジン−3−イル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(2−オキソピロリジン−3−イル)−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[(3S)−1−(メチルスルホニル)−2−オキソピロリジン−3−イル]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[2−オキソ−1−(フェニルスルホニル)ピロリジン−3−イル]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[2−オキソ−5,5−ビス(トリフルオロメチル)テトラヒドロフラン−3−イル]−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−(5,5−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミドから選択される請求項1に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩もしくは立体異性体。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーを配合する段階を含む医薬組成物の製造方法。
【請求項10】
治療を必要とする哺乳動物における骨粗鬆症、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症、パジェット病、骨代謝回転異常亢進、歯周病、歯欠損、骨折、アテローム性動脈硬化症、肥満症、リウマチ様関節炎、変形性関節炎、人工器官周囲の骨溶解、骨形成不全症、転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症又は多発性骨髄腫の治療に有用な薬剤の製造における請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物と、有機ビスホスホネート、エストロゲン受容体モジュレーター、エストロゲン受容体βモジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、破骨細胞プロトンATPアーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、インテグリン受容体アンタゴニスト、もしくは同化剤、選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、又はその医薬的に許容可能な塩もしくは混合物から選択される別の物質を含有する医薬組成物。
【請求項12】
治療を必要とする哺乳動物における骨粗鬆症、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症、パジェット病、骨代謝回転異常亢進、歯周病、歯欠損、骨折、アテローム性動脈硬化症、肥満症、リウマチ様関節炎、変形性関節炎、人工器官周囲の骨溶解、骨形成不全症、転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症又は多発性骨髄腫の治療に有用な薬剤の製造における請求項11に記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2007−517811(P2007−517811A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548052(P2006−548052)
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【国際出願番号】PCT/CA2005/000008
【国際公開番号】WO2005/065778
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】