説明

カテーテルおよび薬剤投与装置

【課題】簡易な構成で、薬剤等の投与範囲を広くすることができるカテーテルおよび薬剤投与装置を提供すること。
【解決手段】内部チャネルを有する細長い管状の躯体2をしており、前記内部チャネルに薬剤を取り入れる第1の薬剤取入口5と、前記内部チャネルに薬剤を取り入れる第2の薬剤取入口6と、管状の躯体2の側面であって第1の薬剤取入口5と第2の薬剤取入口6との間に位置し前記内部チャネルと外部とを連通する複数の貫通穴4とを有するカテーテル1と、カテーテル1の第1の薬剤取入口5に連通して薬剤を貫通穴4側に吐出するポンプ7と、カテーテル1の第2の薬剤取入口6に連通して薬剤を貫通穴4側に吐出するポンプ8と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生体内に挿入され、側面に配設された複数の貫通穴から薬剤を吐出するカテーテルおよびこのカテーテルを用いた薬剤投与装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、人間や人間以外の哺乳動物等に挿入されるカテーテルは、内部にチャネルを有する細長い管状をしている。この管状の躯体のうち体内に挿入される部分には、薬剤の吐出等を目的として内部チャネルと外部とを連通する貫通穴が設けられている。このようなカテーテルには、側面に複数の貫通穴を設け、この側面の複数の貫通穴から広い領域に薬剤を吐出できるようにしたものがある。この側面に複数の貫通穴を有するカテーテルでは、薬剤をポンプ等の薬剤送出源から送出し、カテーテルの基端側から内部チャネルに向けて取り入れ、複数の貫通穴から体内に吐出していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003−504132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のカテーテルで、基端から一方向に薬剤を投入する場合、基端に近い貫通穴と先端に近い貫通穴とでは、薬剤の吐出量が同一ではなかった。すなわち、基端に近い貫通穴で十分な吐出量が得られても、途中の貫通穴で薬剤が順次吐出されて内部チャネル内の薬剤の圧力が低下する状態が生じる。この結果、先端近くの貫通穴では十分な吐出量が得られない場合が多く、貫通穴の位置が基端から先端になるにつれ、吐出量が漸減する現象があった。
【0005】
このような吐出量が漸減する現象は、カテーテルの側面に複数の貫通穴を設ける領域の長さに限界をもたらしていた。すなわち、従来のカテーテルでは、1本のカテーテルで薬剤を投与できる範囲が小さく限られるという問題点があった。
【0006】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で、薬剤等の投与範囲を広くすることができるカテーテルおよび薬剤投与装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるカテーテルは、内部チャネルを有する細長い管状の躯体をしており、前記内部チャネルに薬剤を取り入れる第1の薬剤取入口と、前記内部チャネルに薬剤を取り入れる第2の薬剤取入口と、前記管状の躯体の側面であって前記第1の薬剤取入口と前記第2の薬剤取入口との間に位置し、前記内部チャネルと外部とを連通する複数の貫通穴と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記細長い管状の躯体の途中に、U字型に折り曲がった屈曲部を有することを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、薬剤の送出源からの一つの流路を前記第1の薬剤取入口と前記第2の薬剤取入口とに向けて分岐させる分岐器をさらに有することを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記内部チャネルは、前記第1の薬剤取入口に連通する第1の内部チャネルと、前記第2の薬剤取入口に連通する第2の内部チャネルとを含み、前記複数の貫通穴は、前記第1の内部チャネルと外部とを連通する複数の第1の貫通穴と、前記第2の内部チャネルと外部とを連通する複数の第2の貫通穴を含み、前記第1の内部チャネルと前記第2の内部チャネルとは互いに分離され、前記管状の躯体の軸方向において前記複数の第1の貫通穴が位置する範囲と前記複数の第2の貫通穴が位置する範囲とは少なくとも一部が重複することを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、内部チャネルを有する細長い管状の躯体をしており、前記内部チャネルに薬剤を取り入れる第1の薬剤取入口と、前記内部チャネルに薬剤を取り入れる第2の薬剤取入口と、前記管状の躯体の側面であって前記第1の薬剤取入口と前記第2の薬剤取入口との間に位置し前記内部チャネルと外部とを連通する複数の貫通穴と、を有するカテーテルと、前記カテーテルの第1の薬剤取入口と第2の薬剤取入口とに、直接または間接に連通する少なくとも1つの薬剤送出源と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、上記の発明において、前記薬剤送出源は、前記カテーテルの第1の薬剤取入口に直接または間接に連通する第1の薬剤送出源と、前記カテーテルの第2の薬剤取入口に直接または間接に連通する前記第1の薬剤送出源とは別の第2の薬剤送出源とを含むことを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、上記の発明において、前記カテーテルの細長い管状の躯体の途中に、U字型に折り曲がった屈曲部を有することを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、上記の発明において、前記薬剤送出源は、単一の装置であり、前記カテーテルは、前記単一の薬剤送出源からの一つの流路を前記第1の薬剤取入口と前記第2の薬剤取入口とに向けて分岐させる分岐器をさらに有することを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、上記の発明において、前記カテーテルは、前記内部チャネルは、前記第1の薬剤取入口に連通する第1の内部チャネルと、前記第2の薬剤取入口に連通する第2の内部チャネルとを含み、前記複数の貫通穴は、前記第1の内部チャネルと外部とを連通する複数の第1の貫通穴と、前記第2の内部チャネルと外部とを連通する複数の第2の貫通穴とを含み、前記第1の内部チャネルと前記第2の内部チャネルとは互いに分離され、前記管状の躯体の軸方向において前記複数の第1の貫通穴が位置する範囲と前記複数の第2の貫通穴が位置する範囲とは少なくとも一部が重複することを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、内部チャネルを有する細長い管状の躯体をしており、側面に前記内部チャネルと外部とを連通する複数の貫通穴をもつカテーテルと、前記カテーテルの前記内部チャネルに薬剤を送出する少なくとも1つの薬剤送出源と、を有し、前記薬剤送出源は、前記カテーテルの両端側から各々逆方向に、前記内部チャネルを通って前記複数の貫通穴に向けて薬剤を送出することを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、内部チャネルを有する細長い管状の躯体をしており、前記内部チャネルに薬剤を取り入れる第1の薬剤取入口と、前記内部チャネルに薬剤を取り入れる第2の薬剤取入口と、前記管状の躯体の側面であって前記第1の薬剤取入口と前記第2の薬剤取入口との間に位置し、前記内部チャネルと外部とを連通する複数の貫通穴と、を有したカテーテルの前記第1の薬剤取入口と前記第2の薬剤取入口とからそれぞれ逆方向に前記複数の貫通穴に向けて薬剤を吐出し、該複数の貫通穴における薬剤の吐出を可能にしているので、簡易な構成で、薬剤等の投与範囲を広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、この発明の実施の形態1にかかるカテーテルの概要構成を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示したカテーテルを用いた薬剤投与装置の概要構成を示す模式図である。
【図3】図3は、第1の薬剤取入口から一つのポンプのみを用いて薬剤を送出した場合における複数の貫通穴の吐出量分布を示す図である。
【図4】図4は、第2の薬剤取込口から一つのポンプのみを用いて薬剤を送出した場合における複数の貫通穴の吐出量分布を示す図である。
【図5】図5は、ふたつのポンプによって第1の薬剤取入口および第2の薬剤取入口の両端側から薬剤を吐出した場合の複数の貫通穴の吐出量分布を示した図である。
【図6】図6は、この発明の実施の形態2にかかるカテーテルの貫通穴近傍の構成を示す模式図である。
【図7】図7は、この発明の実施の形態2の変形例にかかるカテーテルの貫通穴近傍の構成を示す模式図である。
【図8】図8は、この発明の実施の形態3にかかるカテーテルの貫通穴近傍の構成を示す模式図である。
【図9】図9は、この発明の実施の形態3の変形例にかかるカテーテルの貫通穴近傍の構成を示す模式図である。
【図10】図10は、この発明の実施の形態4にかかるカテーテルの概要構成を示す模式図である。
【図11】図11は、この発明の実施の形態5にかかるカテーテルの概要構成を示す模式図である。
【図12】図12は、この発明の実施の形態6にかかるカテーテルの概要構成を示す模式図である。
【図13】図13は、この発明の実施の形態6の変形例1にかかるカテーテルの概要構成を示す模式図である。
【図14】図14は、この発明の実施の形態6の変形例2にかかるカテーテルの貫通穴近傍の構成を示す模式図である。
【図15】図15は、この発明の実施の形態6の変形例3にかかるカテーテルの貫通穴近傍の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態であるカテーテルおよびこれを用いた薬剤投与装置について説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1にかかるカテーテルの概要構成を示す模式図である。図1に示すように、カテーテル1は、内部チャネル3を有する細長い管状の躯体2をなし、側面に内部チャネル3と外部とを連通する複数の貫通穴4を有している。カテーテル1全体は、生体適合性のある材料、例えば、ポリウレタン、弾性シリコン、テフロン(登録商標)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンなどで形成されている。
【0021】
このカテーテル1は、管状の躯体2の一端が、内部チャネル3に薬剤を取り入れ、内部チャネル3と連通した開口部である第1の薬剤取入口5と、管状の躯体2の他端が、内部チャネル3に薬剤を取り入れ、内部チャネル3と連通した開口部である第2の薬剤取入口6を有する。また、複数の貫通穴4は、全て管状の躯体2の側面において、第1の薬剤取入口5と第2の薬剤取入口6との間に位置している。
【0022】
ここで、第1の薬剤取入口5と第2の薬剤取入口との2つの開口から、内部チャネル3の内部、すなわち複数の貫通穴4側に向けて薬剤が送出されると、カテーテル1の両端から取り入れられた薬剤が各々逆方向に内部チャネル3を流れていき、結局、薬剤は2つの開口の間にある複数の貫通穴4から体内に吐出される。
【0023】
図2は、図1に示したカテーテルを用いた薬剤投与装置の概要構成を示す模式図である。図2に示すように、カテーテル1は、体表11を経由して体内の腫瘍などの投与目標10に挿入されており、貫通穴4が投与目標10内に配置される。
【0024】
そして、カテーテル1の第1の薬剤取入口5には、第1の薬剤送出源であるポンプ7が接続されて連通しており、第2の薬剤取入口6には、第2の薬剤送出源であるポンプ8が接続されて連通している。図2では、カテーテル1にポンプ7およびポンプ8がそれぞれ直接接続されているが、他の部材を経由して間接的に接続および連通してもよい。また、ポンプ7,8は、体表11に取り付けられているが、これに限らず、体内に埋め込まれていてもよいし、体外に離間して設けられていてもよい。
【0025】
ここで、カテーテル1とポンプ7,8とを用いた場合における各貫通穴4からの薬剤吐出量分布について説明する。なお、複数の貫通穴4は、図1に示すように、第1の薬剤取入口5側から、軸方向に同一径の貫通穴4a,4b,4c,4dが順次配置されているものとして説明する。
【0026】
まず、図3は、ポンプ7のみを用いた場合における貫通穴4a〜4dの吐出量分布を示す図である。この場合、貫通穴4a→4b→4c→4dの順で、順次吐出量が減少している。これは、ポンプ7から離隔するにしたがって、順次貫通穴から薬剤が吐出される減圧効果で、徐々に吐出圧が減少し、その結果、吐出量が減少しているものである。
【0027】
同様に、図4は、ポンプ8のみを用いた場合における貫通穴4a〜4dの吐出量分布を示す図である。この場合、貫通穴4d→4c→4b→4aの順で、順次吐出量が減少している。これは、ポンプ8から離隔するにしたがって、順次貫通穴から薬剤が吐出される減圧効果で、徐々に吐出圧が減少し、その結果、吐出量が減少しているものである。
【0028】
これに対し、図5は、ポンプ7,8によって第1の薬剤取入口5および第2の薬剤取入口6の両端側から薬剤を吐出した場合の貫通穴4a〜4dの吐出量分布を示した図である。この場合、図3および図4に示した吐出量分布を合成した吐出量分布となり、貫通穴4a〜4dの位置による減圧効果の影響が少なくなり、ほぼ均一な吐出量分布が得られている。すなわち、図2に示すように、カテーテル1の両端側から薬剤を送出し、側面の複数の貫通穴4から吐出させることで、各貫通穴4(4a〜4d)の吐出量は、ほぼ一定にすることができる。また、減圧効果の影響が少なくなることから、貫通穴4を設ける軸方向の領域を広くすることができる。なお、この吐出量分布の均一化および吐出領域の広域化の効果は、貫通穴4が複数設けた場合に得られるものである。
【0029】
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、管状の躯体2が直線状であったが、この実施の形態2では、図6に示すように、カテーテル1の細長い管状の躯体2の途中に、U字型に折れ曲がった屈曲部12を設けている。そして、複数の貫通穴4は、屈曲部12の片方の側面に設けている。この実施の形態2では、屈曲部12を投与目標10に挿入するようにすれば、カテーテル1の投与目標10への挿入が一方向からで済むため、手技を簡易化することができる。
【0030】
なお、図7に示すように、屈曲部12の他方の側面にさらに貫通穴4′を設け、屈曲部12の側面の両側から薬剤を吐出できるようにしてもよい。
【0031】
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について説明する。この実施の形態3では、図8に示すように、屈曲部12を有する実施の形態2のカテーテルの両端部に、さらに分岐器13を設けている。この分岐器13は、薬剤の送出源からの一つの流路14を、第1の薬剤取入口5と第2の薬剤取入口6とに向けて分岐させるものである。これにより、薬剤送出源としてのポンプが1つで足りることになる。なお、分岐器13には、さらに流量の調整機能等を付加した構成であってもよい。
【0032】
なお、図7と同様に、屈曲部12の他方の側面にさらに貫通穴を設け、屈曲部12の側面の両側から薬剤を吐出できるようにしてもよい(図9参照)。
【0033】
(実施の形態4)
つぎに、この発明の実施の形態4について説明する。上述した実施の形態3では、屈曲部12を有するカテーテルであることを前提としていたが、この実施の形態4では、図10に示すように、図1に示した屈曲部12をもたないカテーテル1の両端、すなわち第1の薬剤取入口5と第2の薬剤取入口6とを接続するとともに、一つのポンプが接続される流路14とを接続する分岐器13aを設けている。すなわち、分岐部13aは、流路14を介して流入した薬剤を、分岐してそれぞれ第1の薬剤取入口5および第2の薬剤取入口6から貫通穴4に向けて送出するようにしている。この場合も、一つのポンプのみを用いるという簡易な構成で実施の形態1と同様な作用効果を得ることができる。
【0034】
(実施の形態5)
つぎに、この発明の実施の形態5について説明する。この実施の形態5では、図11に示すように、カテーテル1の躯体2を、複数の貫通穴4が位置する薬剤吐出部20と、薬剤吐出部20の内部に挿入可能であり、貫通穴が無い2つの導管部21,22とに分離して構成している。導管部21,22の薬剤吐出部20に対する位置は、軸方向に調整可能である。すなわち、導管部21,22を薬剤吐出部20に対して適切な位置に移動した後、接着剤等で位置固定することによって、所望のカテーテルを得るようにしている。
【0035】
このように構成することにより、複数の貫通穴4のうち、導管部21,22で覆われない貫通穴31からのみ薬剤が吐出され、導管部21,22で覆われた貫通穴30からは薬剤が吐出されない。従って、導管部21,22の薬剤吐出部20に対する位置を適切に調整することで、使用する貫通穴を状況に応じて限定できる。これにより、投与目標10の大きさ等の状況に応じて、適切な薬剤投与部位を精密に選択設定することができる。
【0036】
(実施の形態6)
つぎに、この発明の実施の形態6について説明する。この実施の形態6のカテーテル41は、図12に示すように、内部チャネル3に対応する内部チャネル43が、第1の薬剤取入口45と連通する第1の内部チャネル43aと、第2の薬剤取入口46と連通する第2の内部チャネル43bとを含んでいる。
【0037】
そして、第1の内部チャネル43aと第2の内部チャネル43とは、例えば隔壁47で分離しているので、薬剤は、2つの内部チャネル43a,43bを跨いで移動できない。複数の貫通穴は、第1の内部チャネル43aと外部とを連通する複数の第1の貫通穴44と、第2の内部チャネル43bと外部とを連通する複数の第2の貫通穴45とに区分される。すなわち、第1の内部チャネル43aを通った薬剤は、複数の第1の貫通穴44から吐出し、第2の内部チャネル43bを通った薬剤は、複数の第2の貫通穴45から吐出する。つまり、内部チャネル43a,43bと貫通穴44,45とのそれぞれの組合せが2つ存在する。
【0038】
ここで、管状の躯体42の軸方向において、複数の第1の貫通穴44が位置する範囲と、複数の第2の貫通穴45が位置する範囲は、少なくとも一部が重複するようになっている。このため、第1の貫通穴44からの吐出量分布は、図3に示したようなプロフィールとなり、第2の貫通穴45からの吐出量分布は、図4に示したようなプロフィールになるが、この重複範囲においては、第1の貫通穴44と第2の貫通穴45との吐出量の合計が寄与するので、全体としての吐出量分布は、図5に示したようなプロフィールとなり、各貫通穴位置でほぼ均一となる。
【0039】
(実施の形態6の変形例1)
つぎに、この発明の実施の形態6の変形例1について説明する。この変形例1は、実施の形態6の構成を、実施の形態2に適用させたものであり、図13に示すように、屈曲部12に対応した屈曲部52を有する。この屈曲部52は、結合部材51によって結合されている。この実施の形態6の変形例1では、実施の形態2と同様に、屈曲部52を投与目標10に挿入するようにすれば、カテーテル41の投与目標10への挿入が一方向からで済むため、手技を簡易化することができる。
【0040】
(実施の形態6の変形例2)
つぎに、この発明の実施の形態6の変形例2について説明する。この変形例2は、実施の形態6の構成を、実施の形態3に適用させたものであり、図14に示すように、屈曲部52を有する変形例1のカテーテルの両端部に、さらに分岐器13を設けている。この分岐器13は、薬剤の送出源からの一つの流路14を、第1の薬剤取入口45と第2の薬剤取入口46とに向けて分岐させるものである。これにより、薬剤送出源としてのポンプが1つで足りることになる。
【0041】
(実施の形態6の変形例3)
つぎに、この発明の実施の形態6の変形例3について説明する。この変形例3は、実施の形態6の構成を、実施の形態4に適用させたものであり、図15に示すように、カテーテル41の両端、すなわち第1の薬剤取入口45と第2の薬剤取入口46とを接続するとともに、一つのポンプが接続される流路14とを接続する分岐器13aを設けている。すなわち、分岐部13aは、流路14を介して流入した薬剤を、分岐してそれぞれ第1の薬剤取入口45および第2の薬剤取入口46からそれぞれ貫通穴44,45に向けて送出するようにしている。この場合も、一つのポンプのみを用いるという簡易な構成で実施の形態1と同様な作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0042】
1,41 カテーテル
2,42 管状の躯体
3,43,43a,43b 内部チャネル
4,30,31,44,45 貫通穴
5,45 第1の薬剤取入口
6,46 第2の薬剤取入口
7,8 ポンプ
10 投与目標
11 体表
12,52 屈曲部
13 分岐器
14 流路
20 薬剤吐出部
21,22 導管部
47 隔壁
51 結合部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部チャネルを有する細長い管状の躯体をしており、
前記内部チャネルに薬剤を取り入れる第1の薬剤取入口と、
前記内部チャネルに薬剤を取り入れる第2の薬剤取入口と、
前記管状の躯体の側面であって前記第1の薬剤取入口と前記第2の薬剤取入口との間に位置し、前記内部チャネルと外部とを連通する複数の貫通穴と、
を有することを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記細長い管状の躯体の途中に、U字型に折り曲がった屈曲部を有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
薬剤の送出源からの一つの流路を前記第1の薬剤取入口と前記第2の薬剤取入口とに向けて分岐させる分岐器をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記内部チャネルは、前記第1の薬剤取入口に連通する第1の内部チャネルと、前記第2の薬剤取入口に連通する第2の内部チャネルとを含み、
前記複数の貫通穴は、前記第1の内部チャネルと外部とを連通する複数の第1の貫通穴と、前記第2の内部チャネルと外部とを連通する複数の第2の貫通穴を含み、
前記第1の内部チャネルと前記第2の内部チャネルとは互いに分離され、
前記管状の躯体の軸方向において前記複数の第1の貫通穴が位置する範囲と前記複数の第2の貫通穴が位置する範囲とは少なくとも一部が重複することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
内部チャネルを有する細長い管状の躯体をしており、前記内部チャネルに薬剤を取り入れる第1の薬剤取入口と、前記内部チャネルに薬剤を取り入れる第2の薬剤取入口と、前記管状の躯体の側面であって前記第1の薬剤取入口と前記第2の薬剤取入口との間に位置し前記内部チャネルと外部とを連通する複数の貫通穴と、を有するカテーテルと、
前記カテーテルの第1の薬剤取入口と第2の薬剤取入口とに、直接または間接に連通する少なくとも1つの薬剤送出源と、
を有することを特徴とする薬剤投与装置。
【請求項6】
前記薬剤送出源は、前記カテーテルの第1の薬剤取入口に直接または間接に連通する第1の薬剤送出源と、前記カテーテルの第2の薬剤取入口に直接または間接に連通する前記第1の薬剤送出源とは別の第2の薬剤送出源とを含むことを特徴とする請求項5に記載の薬剤投与装置。
【請求項7】
前記カテーテルの細長い管状の躯体の途中に、U字型に折り曲がった屈曲部を有することを特徴とする請求項5に記載の薬剤投与装置。
【請求項8】
前記薬剤送出源は、単一の装置であり、
前記カテーテルは、前記単一の薬剤送出源からの一つの流路を前記第1の薬剤取入口と前記第2の薬剤取入口とに向けて分岐させる分岐器をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の薬剤投与装置。
【請求項9】
前記カテーテルは、
前記内部チャネルは、前記第1の薬剤取入口に連通する第1の内部チャネルと、前記第2の薬剤取入口に連通する第2の内部チャネルとを含み、
前記複数の貫通穴は、前記第1の内部チャネルと外部とを連通する複数の第1の貫通穴と、前記第2の内部チャネルと外部とを連通する複数の第2の貫通穴とを含み、
前記第1の内部チャネルと前記第2の内部チャネルとは互いに分離され、
前記管状の躯体の軸方向において前記複数の第1の貫通穴が位置する範囲と前記複数の第2の貫通穴が位置する範囲とは少なくとも一部が重複することを特徴とする請求項5に記載の薬剤投与装置。
【請求項10】
内部チャネルを有する細長い管状の躯体をしており、側面に前記内部チャネルと外部とを連通する複数の貫通穴をもつカテーテルと、
前記カテーテルの前記内部チャネルに薬剤を送出する少なくとも1つの薬剤送出源と、
を有し、
前記薬剤送出源は、前記カテーテルの両端側から各々逆方向に、前記内部チャネルを通って前記複数の貫通穴に向けて薬剤を送出することを特徴とすることを特徴とする薬剤投与装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−252924(P2010−252924A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104484(P2009−104484)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】