説明

カテーテル固定用皮膚貼付体

【課題】カテーテルを皮膚の特定位置に確実に固定することができ、皮膚に優しいカテーテル固定具及びカテーテル固定用皮膚貼付体を提供する。
【解決手段】カテーテルを皮膚に固定する際に、あらかじめ皮膚に貼付し、その上にカテーテルを固定するための皮膚貼付体において、皮膚貼付体10は、基材11と、基材底面を被覆する粘着剤層12と、粘着剤層表面を被覆し剥離可能な粘着剤保護層13と、基材上面中央部に設けられたカテーテル固定部14と、カテーテル固定部の周囲又は縁部に設けられた易剥離部15とを備え、皮膚貼付体10のカテーテル固定部14に対する粘着力は、皮膚貼付体10の易剥離部15に対する粘着力より大とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内に挿入されるチューブ、カニューレ、ドレーン等のカテーテル(以下、単にカテーテルという。)を皮膚に固定するためのカテーテル固定具及びカテーテル固定用皮膚貼付体に関する。
さらに詳しくは、カテーテルのライン部分(カテーテルの穿刺部以外の管状部分)を皮膚に固定するためのカテーテル固定具及びカテーテル固定用皮膚貼付体に関する。
また、本発明の固定具は、医療分野においてカテーテル以外の医療材料、器具の皮膚への固定、皮膚や傷の保護又は治療等にも好適に用いることが可能なものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、薬剤投与、栄養管理、体液の排出、モニタリング等を目的として、カテーテルを体内に留置することが行われている。この種のカテーテルは、その目的とする処置のため、数時間ないし数日間留置されることがあるが、その期間は患者からカテーテルが脱落したり、逆に内部へ過度に挿入されたりしないように、カテーテルを皮膚の特定の位置に確実に固定、保持しなければならない。
【0003】
カテーテルの固定は、その穿刺部においては、カテーテルに順応する薄いプラスチックフィルムからなる、いわゆるフィルムドレッシングが広く使用されている。また、カテーテルの穿刺部以外のライン部分の固定においては、皮膚に予め粘着テープを貼付し、その粘着テープの上にカテーテルを載置し、さらにその上から別の粘着テープを貼って固定することが行われている。これは、カテーテルを直接皮膚に固定すると、カテーテルの固定位置がずれ易く、摩擦などにより皮膚障害が発生したりする恐れがあるからである。
【0004】
一般に、このようなカテーテルのライン部分の固定は、医療従事者がロール状の粘着テープを適当な大きさにカットし、皮膚貼付用のテープとカテーテル貼付用のテープをそれぞれ作製し、それらを順番に貼付してカテーテルを固定する。また、このようなカットの手間や、固定の煩雑さを解決するために、皮膚貼付用のテープとカテーテル貼付用のテープとが予め準備されたカテーテル固定具も提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0005】
しかしながら、これら従来の固定に使用される粘着テープは、カテーテルを確実に固定する必要から粘着力が高めに設定されている場合が多く、また、皮膚貼付用に使用する粘着剤とカテーテル貼付用に使用する粘着剤も同じ場合が多い。そのため、これらの粘着テープを皮膚から取り除く場合、その粘着力の強さのため、皮膚に剥離刺激を与えることになる。そして、長期入院や血液透析等で、これら粘着テープの貼付、剥離が繰り返し行われる場合には、その繰り返しの剥離刺激により皮膚障害を生じる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−192166号公報
【特許文献2】特開2002−35133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたもので、本発明の課題は、カテーテルを皮膚の特定の位置に確実に固定することができ、皮膚にも優しいカテーテル固定具及びカテーテル固定用の皮膚貼付体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明によれば、皮膚に貼付される皮膚貼付体と、皮膚貼付体上にカテーテルを固定するためのカテーテル貼付体とを備えるカテーテル固定具において、前記皮膚貼付体は、上面及び底面を有する基材と、基材の底面を被覆する粘着剤層と、粘着剤層の表面を被覆し剥離可能な粘着剤保護層と、基材上面の中央部に設けられたカテーテル固定部とを備え、前記カテーテル貼付体は、上面及び底面を有する基材と、基材の底面を被覆する粘着剤層とを備え、カテーテル貼付体の粘着剤層により固定すべきカテーテルを皮膚貼付体のカテーテル固定部に固定可能であり、前記皮膚貼付体の粘着剤層面積は、前記カテーテル貼付体の粘着剤層面積より広く形成され、前記皮膚貼付体のステンレス鋼板に対する粘着力F1は、前記カテーテル貼付体のカテーテル固定部に対する粘着力F2より小さいことを特徴とする。
【0009】
前記本発明のカテーテル固定具において、前記F2/F1の比率が、1.2〜10.0の範囲であることが好ましい。また、前記カテーテル固定部の周囲又は縁部に、カテーテル貼付体のカテーテル固定部に対する粘着力F2より低い粘着力でカテーテル貼付体が剥離可能な易剥離部を備えることが好ましい。さらに、前記カテーテル貼付体のカテーテル固定部に対する粘着力F2と、カテーテル貼付体の易剥離部に対する粘着力F3との比F2/F3が、1.2〜20.0の範囲となることが好ましい。
また、前記本発明のカテーテル固定具において、カテーテル固定部と易剥離部が、皮膚貼付体の基材上面において、同一平面上に異なる形態で形成されていることが好ましい。さらに、前記カテーテル固定部がフィルム状の形態に、易剥離部が繊維状の形態に形成されていることが好ましい。また、前記皮膚貼付体のステンレス鋼板に対する粘着力F1が、0.1〜1.8N/25mmの範囲であることが好ましい。
さらに、前記皮膚貼付体の粘着剤層が、シリコーン粘着剤を含有してなることが好ましい。また、前記皮膚貼付体の粘着剤層が、ゲル粘着剤又はハイドロコロイド粘着剤を含有してなることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、カテーテルを皮膚に固定する際に、あらかじめ皮膚に貼付し、その上にカテーテルを固定するための皮膚貼付体において、前記皮膚貼付体は、上面及び底面を有する基材と、基材の底面を被覆する粘着剤層と、粘着剤層の表面を被覆し剥離可能な粘着剤保護層と、基材上面の中央部に設けられたカテーテル固定部と、カテーテル固定部の周囲又は縁部に設けられた易剥離部とを備え、前記皮膚貼付体の前記カテーテル固定部に対する粘着力F4は、前記皮膚貼付体の前記易剥離部に対する粘着力F5より大きいことを特徴とする。
【0011】
前記本発明のカテーテル固定用皮膚貼付体において、皮膚貼付体のカテーテル固定部に対する粘着力F4と、皮膚貼付体の易剥離部に対する粘着力F5との比F4/F5が、1.2〜20.0の範囲となることが好ましい。また、前記カテーテル固定部と易剥離部が、皮膚貼付体の基材上面において、同一平面上に異なる形態で形成されていることが好ましい。さらに、前記カテーテル固定部がフィルム状の形態に、易剥離部が繊維状の形態に形成されていることが好ましい。また、前記皮膚貼付体のステンレス鋼板に対する粘着力F1が、0.1〜1.8N/25mmの範囲であることが好ましい。
また、前記皮膚貼付体の粘着剤層が、シリコーン粘着剤を含有してなることが好ましい。さらに、前記皮膚貼付体の粘着剤層が、ゲル粘着剤又はハイドロコロイド粘着剤を含有してなることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カテーテルの確実な固定ができ、且つ皮膚から取り外すときには皮膚への刺激が少ないカテーテル固定具及びカテーテル固定用の皮膚貼付体提供することができる。
また、皮膚貼付体の基材上面にカテーテル固定部と易剥離部とを設けることにより、カテーテルの位置調節や交換等が簡便に行える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態の図。
【図2】本発明の図1の実施形態の使用状態に係る図。
【図3】本発明の他の実施形態の図。
【図4】本発明の他の実施形態の図。
【図5】剛軟性の測定方法を示す図。
【図6】本発明の実施例の評価結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜4に基づき、本発明の実施形態について以下に述べる。各実施形態の共通部分には、同じ番号を付して説明する。
なお、図1〜4においては、本発明の「カテーテル固定具」の実施形態について説明するが、この「カテーテル固定具」における「皮膚貼付体」は、本発明の「カテーテル固定用皮膚貼付体」の実施形態として使用可能なものである。
【0015】
図1は、本発明のカテーテル固定具に係る実施形態の構成図を示し、a)図は斜視図、b)図はa)図のb−b線に沿う断面図である。
本発明のカテーテル固定具1は、皮膚に貼付される皮膚貼付体10と、皮膚貼付体10の上にカテーテルを固定した後、その上からカテーテルを固定するためのカテーテル貼付体20とからなる。
【0016】
本発明の皮膚貼付体10は、上面及び底面を有する基材11と、基材の底面を被覆する粘着剤層12と、粘着剤層の表面を被覆し剥離可能な粘着剤保護層13とを備えている。
図1の実施形態における皮膚貼付体10の基材11は、不織布とフィルムとを積層した積層基材であり、不織布が基材の上面、フィルムが基材の底面に位置するようになっている。基材11の上面中央部には、不織布を熱溶融によりフィルム状の形態としたカテーテル固定部14が形成され、カテーテル固定部14の縁部には、不織布を熱溶融せず繊維状の形態とした易剥離部15が形成されている。
このように、皮膚貼付体10の基材上面において、カテーテル固定部14と易剥離部15とを同一平面上に異なる形態で形成することにより、カテーテルの固定機能とカテーテル貼付体20の剥離し易さを同時に満足させることができる。即ち、図1の実施形態においては、カテーテル固定部14をフィルム状とすることで、繊維状である易剥離部15に比べて、カテーテル貼付体20を強固に粘着させ、カテーテルを皮膚貼付体上に確実に固定することができると共に、皮膚貼付体20を剥離する必要がある場合には、易剥離部15に貼付した皮膚貼付体の端部をきっかけに簡便な剥離作業をすることができる。
尚、図1の実施形態では、基材11として不織布とフィルムの積層基材を用いているが、不織布の単独基材にした態様でも実施可能である。
【0017】
カテーテル貼付体20は、上面及び底面を有する基材21と、基材の底面を被覆する粘着剤層22とを備え、その粘着剤層22により固定すべきカテーテルを皮膚貼付体のカテーテル固定部14に固定可能となっている。図1の実施形態においては図示していないが、カテーテル貼付体20に、粘着剤層22の表面を被覆し剥離可能な粘着剤保護層を設けても良い。
【0018】
次に、図2に基づき、本発明のカテーテル固定具の実際の使用状態を説明する。図2に示したカテーテル固定具は、図1の実施形態と同様のものである。
図2は、鎖骨下に中心静脈カテーテル40を留置している状態を示す図で、カテーテルの穿刺部41はフィルムドレッシング42で固定され、穿刺部41の周囲にはリング状の吸収パッド43が設置されている。カテーテル40のライン部分は、適当な場所でループをつくり、カテーテル固定具1により皮膚上に固定される。カテーテルのライン部分を固定する手順は、まず粘着剤保護層を剥離した皮膚貼付体10を皮膚上に貼付し、それからカテーテルを皮膚貼付体10のカテーテル固定部14の上に載置する。この際、カテーテルの固定性を上げるために、カテーテルは、カテーテル固定部14のほぼ中央を横切るように載置する。それから、カテーテル貼付体20を、カテーテルの上からカテーテル表面を巻きつけるようにして、カテーテル固定部14の上に貼付する。この際、カテーテル貼付体20の端部が、皮膚貼付体の易剥離部15に位置するように貼付する。ここで、易剥離部15は、カテーテル固定部14に比べて、カテーテル貼付体20に対する粘着力が低くなっているため、易剥離部15とカテーテル貼付体20の端部とが剥離し易くなり、カテーテルの除去や位置調整の作業が簡便となる。
【0019】
次に、図3に基づき、図1の実施形態と異なるカテーテル固定具の実施形態について説明する。a)図は正面図、b)図はa)図のb−b線に沿う断面図である。
なお、図3の実施形態において、「カテーテル貼付体」は、図1の実施形態と同様のものを使用できるため、その説明を省略する。
図3の実施形態は、皮膚貼付体10における全体形状と基材11の構成とが図1の実施形態と異なる。即ち、図3の実施形態における皮膚貼付体10は、略長方形の全体形状を有し、基材11は、不織布とフィルムとを積層した積層基材であるが、不織布が基材上面における両縁部のみに設置され基材の中央部はフィルムが露出する構成を有する。
図3の実施形態において、基材11のフィルム部分がカテーテル固定部14となり、このカテーテル固定部14の縁部に設けられた不織布部分が易剥離部15となる。
【0020】
次に、図4に基づき、図1及び図3の実施形態と異なるカテーテル固定具の実施形態について説明する。
なお、図4の実施形態において、「カテーテル貼付体」は、図1の実施形態と同様のものを使用できるため、その説明を省略する。
図4の実施形態は、テープ状の皮膚貼付体10で、本態様においてはロール状の形態にしたものである。図4の実施形態における皮膚貼付体10の基材11は、不織布とフィルムとを積層した積層基材であり、不織布が基材の上面、フィルムが基材の底面に位置するようになっている。また、基材11の上面中央部には、不織布を熱溶融によりフィルム状の形態としたカテーテル固定部14が長手方向に連続的に形成され、カテーテル固定部14の縁部には、不織布を熱溶融せず繊維状の形態とした易剥離部15が長手方向に連続的に形成されている。
このように、皮膚貼付体10を長手方向に連続的な形態にすることで、カテーテルの使用状況等によって特定の大きさ、形状等の皮膚貼付体10が必要になる場合、そのような皮膚貼付体10をいつでも簡単に得ることができる。
【0021】
本発明の皮膚貼付体及びカテーテル貼付体の全体形状は、円形、楕円形や、三角形、正方形、長方形、菱形、星型等の多角形等が利用でき、これらの形状を適宜組み合わせた形状にすることもできる。本発明の皮膚貼付体は、長手方向に連続的に製造しロール状の形態にしても良い。
また、本発明のカテーテル固定具は、使用前の状態において、皮膚貼付体とカテーテル貼付体とを別部材として互いに分離した状態で構成してもよいし、皮膚貼付体の基材の上面にカテーテル貼付体の一部を結合し予め一体とした状態で構成してもよい。
【0022】
(皮膚貼付体とカテーテル貼付体との関係について)
本発明のカテーテル固定具は、皮膚貼付体の粘着剤層面積をカテーテル貼付体の粘着剤層面積より広く形成し、更に、皮膚貼付体のステンレス鋼板に対する粘着力F1をカテーテル貼付体のカテーテル固定部に対する粘着力F2より小さくなるように形成することが好ましい。また、本発明のカテーテル固定具は、F2/F1の比率が、1.2〜10.0の範囲となるように形成することが好ましく、1.5〜10.0の範囲となるように形成することが更に好ましい。
皮膚貼付体とカテーテル貼付体の粘着剤層面積、F1、及びF2を上記のような関係にすることにより、カテーテルはカテーテル貼付体によって確実に皮膚貼付体上に粘着固定することができ、皮膚貼付体も全体として十分な粘着力を発揮するのでカテーテル固定具自体が皮膚から剥離する恐れがなく、さらに皮膚貼付体の皮膚からの剥離に際しては剥離刺激を抑えることが可能となる。
皮膚貼付体のステンレス鋼板に対する粘着力F1は、皮膚貼付時に適度な粘着力を示し、且つ剥離刺激を与えないようにするために、0.1〜1.8N/25mmの範囲とすることが好ましく、0.5〜1.8N/25mmの範囲とすることが更に好ましい。
カテーテル貼付体のカテーテル固定部に対する粘着力F2は、カテーテルをカテーテル固定部に確実に固定するために、1.8〜15.0N/25mmの範囲とすることが好ましく、2.0〜15.0N/25mmの範囲とすることが更に好ましい。
【0023】
(皮膚貼付体について)
本発明の皮膚貼付体は、基材上面の中央部にカテーテル固定部が設けられる。
カテーテル固定部は、本発明のカテーテル貼付体又はそれ以外の貼付体の粘着剤層が強固に粘着し、カテーテルをしっかりと粘着固定し得る部分である。
また、本発明の皮膚貼付体は、カテーテル固定部の周囲又は縁部に、易剥離部を設けることが好ましい。易剥離部をカテーテル固定部の周囲に設ける場合、枠状に設けることが好ましいが、枠の一部が欠けている構成にしてもよい。易剥離部をカテーテル固定部の縁部に設ける場合、カテーテル固定部の対向する2つの縁部に設けることが好ましいが、それ以外の縁部に設けてもよい。この易剥離部は、カテーテル固定部に比べ、カテーテル貼付体などの粘着体が付着し難い部分であり、カテーテル貼付体のカテーテル固定部に対する粘着力F2より低い粘着力でカテーテル貼付体が剥離可能な部分である。
ここで、皮膚貼付体におけるカテーテル固定部と易剥離部との関係は、カテーテル貼付体のカテーテル固定部に対する粘着力F2とカテーテル貼付体の易剥離部に対する粘着力F3との比F2/F3が、1.2〜20.0の範囲とすることが好ましく、2.0〜15.0の範囲とすることが更に好ましい。
また、本発明のカテーテル固定用皮膚貼付体は、皮膚貼付体のカテーテル固定部に対する粘着力F4を、皮膚貼付体の易剥離部に対する粘着力F5より大きくなるように形成することが好ましい。その際、皮膚貼付体のカテーテル固定部に対する粘着力F4と、皮膚貼付体の易剥離部に対する粘着力F5との比F4/F5が、1.2〜20.0の範囲となるようにすることが好ましい。
カテーテル貼付体の易剥離部に対する粘着力F3は、0.01〜5.0N/25mmの範囲とすることが好ましく、0.1〜5.0N/25mmの範囲とすることが更に好ましい。
皮膚貼付体のカテーテル固定部に対する粘着力F4は、0.1〜15.0N/25mmの範囲とすることが好ましく、0.5〜15.0N/25mmの範囲とすることが更に好ましい。
皮膚貼付体の易剥離部に対する粘着力F5は、0.01〜5.0N/25mmの範囲とすることが好ましく、0.1〜5.0N/25mmの範囲とすることが更に好ましい。
F2とF3、及びF4とF5を上記関係、粘着力範囲にすることにより、カテーテルを確実に固定することができ、更に、易剥離部の存在によりカテーテルを固定する貼付体のきっかけが形成されるので、カテーテルの除去、位置調節操作が簡便となる。
【0024】
(カテーテル固定部及び易剥離部の形態について)
皮膚貼付体におけるカテーテル固定部と易剥離部は、皮膚貼付体の基材上面において、同一平面上に異なる形態で形成されていることが好ましい。カテーテル固定部と易剥離部とを同一平面上に形成することで、カテーテルを皮膚貼付体の基材上面に載置したときに安定した固定が可能となる。
また、カテーテル固定部と易剥離部とを異なる形態で形成することで、粘着剤層が剥離し難い領域と、剥離し易い領域とを簡単に形成することができる。カテーテル固定部と易剥離部とを異なる形態にする方法としては、2つの領域に異なる材料を配置する方法、熱溶融加工やエンボス加工など2つの領域に異なる表面処理加工をする方法等が挙げられる。
カテーテル固定部と易剥離部の形態は、カテーテル固定部がフィルム状の形態に、易剥離部が繊維状の形態に形成されていることが好ましい。カテーテル固定部をフィルム状に易剥離部を繊維状の形態に形成する方法としては、熱可塑性繊維からなる基材の中央部を熱溶融によりフィルム状に加工する方法(図1又は図4の実施形態)、フィルム状基材の上面の周囲又は縁部に繊維状の基材をラミネートする方法(図3の実施形態)、繊維状基材の中央部に粘着剤を塗工しフィルム状の粘着剤層を形成する方法等が挙げられる。
中でも、熱溶融により繊維基材をフィルム状に加工する方法が好ましく、ヒートシール、インパルスシール、超音波シール(超音波ウェルダー)、高周波シール(高周波ウェルダー)等の公知の熱加工方法が利用できる。また、カテーテル固定部にフィルム状の粘着剤層を形成した場合には、カテーテルの仮固定ができ、位置あわせが簡便となる。
カテーテル固定部をフィルム状の形態に形成することで、平滑面を有するカテーテル固定部とカテーテル貼付体等の粘着剤層との接触面積が短時間で最大化され、貼付直後からカテーテルの高い固定性が得られる。
一方、易剥離部を繊維状の形態とすることで、繊維表面の凹凸により、易剥離部とカテーテル貼付体等の粘着剤層との接触面積を減じることができ、カテーテル貼付体等を剥離するきっかけを形成することができる。
カテーテル固定の確実さとカテーテル貼付体の剥離し易さの観点から、皮膚貼付体の基材上面において、カテーテル固定部の面積の割合は40〜95%、易剥離部の面積の割合は5〜60%であることが好ましい。
【0025】
(皮膚貼付体の基材について)
本発明の皮膚貼付体に使用する基材は、繊維状、フィルム状、フォーム状等の形態を有するものを使用でき、これらを適宜組み合わせた積層基材を使用することもできる。
中でも、カテーテル固定部をフィルム状の形態に、易剥離部を繊維状の形態に形成することが好ましいことから、繊維状、フィルム状、又はこれらの積層基材が好ましい。
【0026】
(皮膚貼付体の繊維状基材について)
皮膚貼付体に使用する繊維状基材としては、不織布、編布、織布、ネット等が使用でき、中でも熱により溶融した時に均一なフィルム層が形成され易い熱可塑性樹脂からなる不織布が好ましい。
皮膚貼付体に使用する繊維状基材の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリウレタン;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン・メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン・メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン・メタクリル酸重合体(EMAA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)等のオレフィン系共重合体;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリスチレン;シリコーン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの材料は単一で使用してもよく、二種類以上を混合して使用してもよい。中でも透湿性、伸縮性を有するポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマーが好ましく、ポリエステルエラストマーが特に好ましい。
皮膚貼付体に使用する繊維状基材の単位面積当りの重さは10〜150g/mであることが好ましく、10〜100g/mであることが更に好ましい。単位面積当りの重さが10g/mより低いと、基材の強度が十分でなく、使用時に繰り返しの剥離操作によって破れる可能性がある。他方、単位面積当りの重さが150g/mより高いと、嵩高になり皮膚に貼付したときに違和感が生じ、曲面部位への追従性が悪くなり、熱による溶融も困難となる可能性がある。
本発明において、繊維状基材の厚さは15〜1,000μmであることが好ましく、15〜400μmがさらに好ましい。
【0027】
(皮膚貼付体のフィルム状基材について)
皮膚貼付体に使用するフィルム状基材には公知のプラスチックフィルムを使用でき、その材料としては、上記の繊維状基材の材料として使用できる熱可塑性樹脂と同様のものを使用することができる。中でも透湿性を有するポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマーが好ましい。これらの材料は、単一で使用してもよく、二種類以上を混合して使用してもよい。さらに、積層するフィルムは、一層でも、二層以上でもよい。
皮膚貼付体に使用するフィルム状基材の単位面積当りの重さは5〜150g/mであることが好ましく、5〜100g/mであることが更に好ましい。
皮膚貼付体に使用するフィルム状基材の厚さは15〜1,000μmであることが好ましく、15〜150μmであることが更に好ましい。
【0028】
(皮膚貼付体の粘着剤層について)
基材の底面側に形成される皮膚貼付体の粘着剤層としては、種々の感圧性粘着剤が使用でき、例えばシリコーン系、アクリル系、ウレタン系、ビニルエーテル系、天然ゴム系、合成ゴム系等の感圧性粘着剤が挙げられ、皮膚からの剥離刺激が少ないシリコーン粘着剤が好ましい。
また、皮膚貼付体の粘着剤層は、ゲル粘着剤を含有させることによっても皮膚からの剥離刺激を軽減することができる。ゲル粘着剤としては、水を含むヒドロゲル粘着剤でも、有機溶媒を含むオルガノゲル粘着剤でもよく、シリコーンゲル粘着剤、アクリルゲル粘着剤が好ましい。
また、これらの感圧性粘着剤に、カルボキシメチルセルロース、カラヤガム、ペクチン、ゼラチン等の親水性高分子化合物を加えた、いわゆるハイドロコロイド粘着剤を使用すると、汗やカテーテルの穿刺部からの滲出液等を吸収することができ、蒸れによるカブレや掻痒感を軽減することができる。
皮膚貼付体の粘着剤層には、薬剤、粉体、吸水性高分子、pH調整剤、防腐剤、抗菌剤、着色剤等のその他の調整剤を本発明の目的を損なわない程度において適宜配合することができる。
【0029】
(皮膚貼付体の粘着剤層の形成方法について)
皮膚貼付体の粘着剤層の塗工パターンとしては、基材の表面を部分的に被覆してもよいし、全面を被覆してもよく、格子状、ネット状、粒状、唐草模様等の任意の形態を選択できる。塗工方法は、特に限定されず、コンマダイレクト、ナイフコーター、グラビアダイレクト等の公知の塗工方式を利用して、塗工パターンや厚さを制御することができる。
皮膚貼付体の粘着剤層は、その厚さが10〜1,000μmであることが好ましく、10〜500μmであることが更に好ましい。また、粘着剤層の塗工重量でいうと10〜1,000g/mの範囲が好ましく、10〜500g/mの範囲が更に好ましい。粘着剤層の厚さ、塗工重量がこの範囲内にあることにより、皮膚貼付時に適度な粘着力を示し、皮膚に対する追従性にも優れ、良好な透湿度を得ることができる。
【0030】
(皮膚貼付体の粘着剤保護層について)
皮膚貼付体の粘着剤保護層としては、公知の剥離紙、剥離フィルムが利用でき、紙やフィルムの表面にシリコーン樹脂処理やフッソ樹脂処理等を施したものを利用できる。また、これらの剥離フィルムにエンボス等の凹凸を設けてもよい。
【0031】
(皮膚貼付体の特性について)
本発明の皮膚貼付体は、貼付時の皮膚トラブルを軽減するために、250g/m・24時間以上の透湿度を有することが好ましく、500g/m・24時間以上の透湿度を有することが更に好ましい。
また、本発明の皮膚貼付体は、10〜40mm/20mmの剛軟性を有することが好ましく、15〜35mm/20mmであることがさらに好ましい。剛軟性がこの範囲にあることにより、皮膚へ貼付する前も取扱いやすく、皮膚に貼付した後も違和感が少ない。
【0032】
(カテーテル貼付体について)
カテーテル貼付体は、着脱の取り扱い性の観点から、その面積が皮膚貼付体より小さくなるように形成し、その長手方向の幅が、皮膚貼付体の長手方向の幅と同様かそれ以下とすることが好ましい。
カテーテル貼付体に使用する基材、粘着剤層等の条件としては、前記のF1〜F3の粘着力の関係を満たす範囲で、前記した皮膚貼付体と同様の材料等を使用できる。
また、必要に応じて、カテーテル貼付体の粘着剤層には、その表面を被覆し剥離可能な粘着剤保護層を設けも良い。
【実施例】
【0033】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。また、貼付体の各特性は、以下の方法により評価した。
【0034】
〔F1〜F5の粘着力〕
これらの粘着力は、JIS Z 0237−2000「180度引きはがし粘着力」に準じて測定する。ただし、被着体としては、F1の測定にはSUS304板、F2〜F5の測定にはSUS304板に被着体となる各試験片を粘着固定したものを使用する。粘着力は、引き剥がした変位の20〜80%の区間の平均値とする。
【0035】
具体的には以下の通りである。
1)皮膚貼付体のステンレス鋼板に対する粘着力F1
SUS304を被着体とし、上記方法で「皮膚貼付体」を被着体に貼付し剥離する際の粘着力をF1(N/25mm)とする。
2)カテーテル貼付体のカテーテル固定部に対する粘着力F2
SUS304に「カテーテル固定部」を粘着固定したものを被着体とし、上記方法で「カテーテル貼付体」を被着体に貼付し剥離する際の粘着力をF2(N/25mm)とする。
3)カテーテル貼付体の易剥離部に対する粘着力F3
SUS304に「易剥離部」を粘着固定したものを被着体とし、上記方法で「カテーテル貼付体」を被着体に貼付し剥離する際の粘着力をF3(N/25mm)とする。
4)皮膚貼付体のカテーテル固定部に対する粘着力F4
SUS304に「カテーテル固定部」を粘着固定したものを被着体とし、上記方法で「皮膚貼付体」を被着体に貼付し剥離する際の粘着力をF4(N/25mm)とする。
5)皮膚貼付体の易剥離部に対する粘着力F5
SUS304に「易剥離部」を粘着固定したものを被着体とし、上記方法で「皮膚貼付体」を被着体に貼付し剥離する際の粘着力をF5(N/25mm)とする。
【0036】
〔透湿度〕
JIS L 1099−1993 A−2「ウォーター法」に準じて測定したときの皮膚貼付体の透湿度(g/m・24時間)を測定する。なお、測定の際は、貼付体の粘着剤層を透湿カップの水側に向けて設置する。この数値の高い方が透湿度に優れている。
【0037】
〔皮膚貼付体の剛軟性〕
JIS L 1096「剛軟性 A法(45°カンチレバー法)」に準じて、貼付体の剛軟性を測定する。具体的には、次の通りである。
皮膚貼付体から20mm×約150mmの試験片を5枚採取し、粘着剤保護層を剥がし粘着剤層面にタルクをまぶして粘着性を除去する。その試験片を、図5に示すような一端が45度の斜面を持つ表面の滑らかな水平台の上に試験片の短辺をスケール基線に合わせて置く。次に、試験片を斜面の方向に緩やかに滑らせて、試験片の一端の中央点が斜面Aと接したときに他端の位置をスケールによって読む。剛軟度は、試験片が移動した長さ(mm)で示し、5枚の表裏を測り、平均値を算出する。
【0038】
〔実使用評価〕
1)皮膚貼付体の剥離刺激
皮膚貼付体を前腕部に貼付し、貼付4時間後に皮膚貼付体を剥離した際の剥離刺激について、○:ほとんど刺激なし、△:多少刺激あり、×:刺激あり、の3段階で評価する。
2)カテーテルの固定性
カテーテルを皮膚貼付体上にカテーテル貼付体により固定し、カテーテルに所定の引張力をかけたときのカテーテルの位置ずれについて、○:ほとんど位置ずれなし、△:位置ずれ小さい、×:位置ずれ大きい、の3段階で評価する。
【0039】
〔実施例1〕
〔皮膚貼付体〕
ビニル基置換ポリジメチルシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン及び白金触媒を主体とする2成分型シリコーン(ダウコーニング社製、商品名「DOW CORNING 7−9800」)の2液を混合した混合物95重量部と、シリコーンゴムとシリコーンレジンとを脱水縮合反応して得られるシリコーン(ダウコーニング社製、商品名「DOW CORNING MD7−4502」)5重量部とを混合して粘着剤を得た(なお、この混合の際、脱水縮合反応したシリコーンは、酢酸エチルにより固形分約62%に希釈したものを使用した)。
得られた粘着剤を、縮合反応型シリコーン剥離紙上に塗工し、110℃で3分間加熱して硬化させ、厚さ85μmのシリコーン粘着剤層を形成した。
次いで、この粘着剤層を、ポリエーテル・ポリエステルブロック共重合体から構成されるポリエステルエラストマーフィルムとポリエーテル・ポリエステルブロック共重合体から構成されるポリエステルエラストマー不織布との積層基材のフィルム側に転写し貼付体を得た。なお、この積層基材に使用したフィルムの単位面積当りの重さは20g/m、厚さは20μmであり、不織布の単位面積当りの重さは50g/m、厚さは200μmである。
その後、この貼付体の両縁部を残し、その中央部に200℃に加熱した金型を3秒間押し当てポリエステルエラストマー不織布を熱溶融させ、次いで、この貼付体を図1の実施形態の皮膚貼付体と同じ形状に打ち抜いた。これにより、中央部に熱溶融によりフィルム状の形態を有するカテーテル固定部と、その縁部に繊維状の形態を有する易剥離部とを備えた皮膚貼付体が得られた。
〔カテーテル貼付体〕
アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸を主成分とする単量体混合物を乳化共重合して得られるアクリル系ポリマーを含む水系エマルション粘着剤を、縮合反応型シリコーン剥離紙上に塗工し、110℃で3分間加熱して硬化させ、厚さ50μmのアクリル粘着剤層を形成した。
次いで、この粘着剤層を、ポリエステル不織布(単位面積当りの重さは44g/m、厚さ380μm)に転写し図1の実施形態のカテーテル貼付体と同じ形状のカテーテル貼付体を得た。
【0040】
〔実施例2〕
〔皮膚貼付体〕
ビニル基置換ポリジメチルシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン及び白金触媒を主体とする2成分型シリコーン(ダウコーニング社製、商品名「DOW CORNING 7−9800」)の2液を混合した混合物70重量部と、シリコーンゴムとシリコーンレジンとを脱水縮合反応して得られるシリコーン(ダウコーニング社製、商品名「DOW CORNING MD7−4502」)30重量部とを混合して粘着剤を得た(なお、この混合の際、脱水縮合反応したシリコーンは、酢酸エチルにより固形分約62%に希釈したものを使用した)。
得られた粘着剤を、縮合反応型シリコーン剥離紙上に塗工し、110℃で3分間加熱して硬化させ、厚さ70μmのシリコーン粘着剤層を形成した。
その後は、実施例1と同様の方法にて皮膚貼付体を得た。
〔カテーテル貼付体〕
実施例1と同様の方法でカテーテル貼付体を得た。
【0041】
〔実施例3〕
〔皮膚貼付体〕
水添スチレン-ブタジエンゴム(HSBR)(日本合成ゴム製 分子量:約30万)20重量部と、液状スチレン-エチレン/プロピレンゴム(クラレ社製 分子量:約2万)70重量部と、液状ポリブテン(新日本石油化学社製 分子量:2900)10重量部とを加圧ニーダーに仕込み、十分均一になるまで混合する。次に、親水性高分子化合物としてカルボキシメチルセルロース-Na(ダイセル社製)60重量部と、セラミドを8重量部とを加え均等になるまで加圧混合し、ハイドロコロイド粘着剤を得た。
上記ハイドロコロイド粘着剤を厚さ350μmに圧延し、ポリウレタンフィルム(単位面積当りの重さは15g/m、厚さ15μm)に転写し貼付体を作成した。
その後、この貼付体の両縁部に易剥離部としてポリエステル不織布(単位面積当りの重さは44g/m、厚さ380μm)を貼り合わせ、次いで、この貼付体を図3の実施形態の皮膚貼付体と同じ形状に打ち抜いた。これにより、中央部にフィルム状の形態を有するカテーテル固定部と、その縁部に繊維状の形態を有する易剥離部とを備えた皮膚貼付体が得られた。
〔カテーテル貼付体〕
実施例1と同様の方法でカテーテル貼付体を得た。
【0042】
〔比較例1〕
〔皮膚貼付体〕
アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸を主成分とする単量体混合物を乳化共重合して得られるアクリル系ポリマーを含む水系エマルション粘着剤を、縮合反応型シリコーン剥離紙上に塗工し、110℃で3分間加熱して硬化させ、厚さ50μmのアクリル粘着剤層を形成した。
その後、この粘着剤層を、ポリエステル不織布(単位面積当りの重さは44g/m、厚さ380μm)に転写し、次いで打ち抜いて、図1の実施形態の皮膚貼付体と同じ形状の皮膚貼付体を得た。
〔カテーテル貼付体〕
実施例1と同様の方法でカテーテル貼付体を得た。
【0043】
〔比較例2〕
〔皮膚貼付体〕
加熱した金型を用いてポリエステルエラストマー不織布を熱溶融させない点を除き、実施例1と同様の方法でカテーテル貼付体を得た。
〔カテーテル貼付体〕
上記比較例2の皮膚貼付体と同様の貼付体をカテーテル貼付体とした。ただし、形状は、図1の実施形態のカテーテル貼付体と同じ形状に形成した。
【0044】
得られた実施例、比較例の各特性を図6に示す。本発明の実施例について、図6の結果を含めて、次のことが言える。
本発明の実施例に係るカテーテル固定具は、皮膚貼付体のカテーテル固定部に貼付体が粘着し易く、カテーテルの固定が確実に行えた。易剥離部には貼付体が粘着し難く、その易剥離部を剥離のきっかけとして、そこに貼付した貼付体の剥離操作が簡単に行えた。また、本発明の実施例の皮膚貼付体は、比較的低い粘着力を示し、皮膚から剥離する際は刺激を与えることはなかったが、皮膚貼付体全体としては十分な粘着力を有するため、カテーテル固定部からカテーテル貼付体を剥離した際にも、皮膚貼付体が皮膚から剥がれることはなかった。
【符号の説明】
【0045】
1 カテーテル固定具
10 皮膚貼付体
11 基材
12 粘着剤層
13 粘着剤保護層
14 カテーテル固定部
15 易剥離部
20 カテーテル貼付体
21 基材
22 粘着剤層
40 カテーテル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルを皮膚に固定する際に、あらかじめ皮膚に貼付し、その上にカテーテルを固定するための皮膚貼付体において、
前記皮膚貼付体は、上面及び底面を有する基材と、基材の底面を被覆する粘着剤層と、粘着剤層の表面を被覆し剥離可能な粘着剤保護層と、基材上面の中央部に設けられたカテーテル固定部と、カテーテル固定部の周囲又は縁部に設けられた易剥離部とを備え、
前記皮膚貼付体の前記カテーテル固定部に対する粘着力F4は、前記皮膚貼付体の前記易剥離部に対する粘着力F5より大きいことを特徴とするカテーテル固定用皮膚貼付体。
【請求項2】
カテーテル固定部と易剥離部が、皮膚貼付体の基材上面において、同一平面上に異なる形態で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル固定用皮膚貼付体。
【請求項3】
カテーテル固定部がフィルム状の形態に、易剥離部が繊維状の形態に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカテーテル固定用皮膚貼付体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−143654(P2012−143654A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−109086(P2012−109086)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【分割の表示】特願2007−181050(P2007−181050)の分割
【原出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(000151380)アルケア株式会社 (88)