説明

カテーテル用凝縮防止装置

【課題】カテーテル用凝縮防止装置を提供する。
【解決手段】カテーテル用凝縮防止機器(5)において、加熱空気発生器(6)と、カテーテル(4)とともに空洞(I)を形成するようにカテーテル(4)を被覆するシース(9)と、発生器(6)により生じた加熱空気を空洞(I)に注入するための装置(7、8)とを備える。そして、シース(9)は、空洞(I)から加熱空気を排出させることにより空気の継続的な入れ換えを可能にする通気開口部(9b)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテル用凝縮防止装置に関する。特に、本発明の教示内容は、いわゆる「カテーテルマウント」に特に有益な方法で適用され得るものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、カテーテルマウントは呼吸回路に組み合わせて用いられ、これらの目的は、人口呼吸下にある患者の呼吸回路と気管チューブまたは気管切開チューブとを連結することである。一般に、カテーテルマウントは麻酔看護室および集中治療室(ICU)で用いられるが、在宅看護でも用いられる。
【0003】
このため、カテーテルマウントの内部では、常に患者からのおよび患者への空気の通過があり、呼吸気流に含まれる水蒸気により凝縮が生じることとなる。
【0004】
カテーテルマウントで凝縮が生じると、主に、これにより作られる水が気管チューブを塞いで呼吸気流に対する抵抗を増大させる結果となる可能性があるため、または、その水が肺に向かって流れて肺機能を著しく低下させる危険をもたらす可能性があるために、一連の問題を引き起こす。さらに、カテーテルマウントで作られた凝縮物が、回路内に存在する細菌の媒体となることがある。これらの理由から、看護要員は、凝縮が生じた際、とりわけ患者を不快にさせ得る肺の衛生手術(気管支吸引)を行わなければならない。これらの問題は主に、患者が数日間人口呼吸を受けるICUでみられる。
【0005】
凝縮物の形成を回避するため、カテーテルマウントの電気的な加熱を利用する種々の解決策が知られている。明らかであると思われるが、これらの解決策は確実に凝縮をなくすことができるものであるが、それでもやはり、患者の近辺、さらに、いくつもの医療器具がある環境に電流があると、問題が生じることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の不都合を克服するような技術的特徴を有するカテーテルマウント用凝縮防止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、加熱空気発生器と、カテーテルの少なくとも一部との間に空洞を形成するように前記カテーテルの一部を取り囲むシースと、前記発生器により生じた加熱空気を前記空洞に注入するための装置とを備え、前記シースが、加熱空気を前記空洞から排出させることを可能にする通気開口部を有することを特徴とするカテーテル用凝縮防止機器である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下の例は、本発明が言及するカテーテルマウントに取り付けられた凝縮防止装置の概略図である添付の図面を用いて、本発明をよりよく理解するために、限定せずに例証を目的として示すものである。
【0009】
図面において、参照符号1は、人工呼吸器V(概略的に示す)の作用により吹き込まれた気流および吹き出された気流のいずれをも運ぶために設けられたY形状のコネクタ2と、Y形状のコネクタ2に接続され、濾過器とHME(熱湿交換器)とを結合したものから構成される濾過装置3と、濾過装置3と患者P14(概略的に示す)との間に患者のマウ
スピース(図示せず)を介して接続された波形カテーテルマウント4とを備える換気装置を示している。図面において、参照符号5は、本発明による凝縮防止装置の全体を示している。凝縮防止装置5は、加熱空気発生器6、接続ホース7、ラジアルディフューザ8、シース9を備えている。
【0010】
加熱空気発生器6は、順に、濾過器10、ポンプ11、ヒータ12を備えている。接続ホース7は、加熱空気発生器6に接続された第1の端部7aおよびラジアルディフューザ8に接続された第2の端部7bを呈しており、ラジアルディフューザ8は、カテーテルマウント4の一端で収容されており、加熱空気をカテーテルマウント4の周りに均一に拡散させることを確実にし、カテーテルマウント4自体を濾過装置3に接続するという両方の機能を有している。
【0011】
シース9は管状であり、これがカテーテルマウント4に対して空洞Iを形成するように、このカテーテルマウントの少なくとも一部を取り囲んでいる。このため、カテーテルマウントの少なくとも一部が管状シース内に位置しており、ここでシース内に位置するカテーテルマウントとシース自体との間の距離により定められた空間が空洞Iを構成し、この中を加熱空気が流れる。別の実施形態では、シースは、カテーテルマウントの全長を取り囲み被覆することもあることを認識する必要がある。さらに別の実施形態では、シースは、カテーテル内における凝縮物の形成を防止するために、いかなる種類のカテーテルにも用いられ得ることを理解する必要がある。特に、シース9は、その第1の端部9aにおいて液密にラジアルディフューザ8に取り付けられており、ラジアルディフューザ8により送り込まれた加熱空気が空洞I内に流れ続けることを確実にするように開口した第2の端部9bを有している。さらに、シース9は、カテーテルマウント4の内部を視覚的に調べることにより凝縮物の形成がないことを確認するために、可撓性の透明な材料で作られている。
【0012】
使用時、加熱空気は発生器6によって生じ、接続ホース7を介してラジアルディフューザ8に運ばれ、これを通って空洞Iに送られ、シース9の開口端部9bで排出される。加熱空気が空洞Iを通過するとカテーテルマウント4が加熱され、これにより凝縮物の形成が回避される。
【0013】
上の説明で述べたように、本発明の凝縮防止装置は、いかなる電気部品もカテーテル自体に直に接触させずに、適切な加熱空気の搬送流を利用して、カテーテル内における凝縮物の形成を回避することを簡単に確実にするものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る凝縮防止装置を含む換気装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0015】
1・・・・換気装置
2・・・・コネクタ
3・・・・濾過装置
4・・・・カテーテルマウント
5・・・・凝縮防止装置
6・・・・加熱空気発生器
7・・・・接続ホース
7a・・・・第1の端部
7b・・・・第2の端部
8・・・・ラジアルディフューザ
9・・・・シース
9a・・・・第1の端部
9b・・・・第2の端部
10・・・・濾過器
11・・・・ポンプ
12・・・・ヒータ
I・・・・空洞
V・・・・人工呼吸器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱空気発生器(6)と、カテーテル(4)の少なくとも一部との間に空洞(I)を形成するように前記カテーテルの前記一部を取り囲むシース(9)と、前記発生器(6)により生じた加熱空気を前記空洞(I)に注入するための装置(7、8)とを備え、
前記シース(9)が、前記空洞(I)から加熱空気を排出させることを可能にするために通気開口部(9b)を有することを特徴とするカテーテル用凝縮防止機器(5)。
【請求項2】
加熱空気を注入するための前記装置が、前記加熱空気発生器(6)に接続された接続ホース(7)と、前記接続ホース(7)に接続され、前記シース(9)が液密に取り付けられたラジアルディフューザ(8)とを備えることを特徴とする請求項1に記載の凝縮防止機器(5)。
【請求項3】
前記シース(9)が第1の端部(9a)において前記ラジアルディフューザ(8)に固定され、第2の開口端部(9b)を呈していることを特徴とする請求項2に記載の凝縮防止機器(5)。
【請求項4】
前記シース(9)が可撓性の透明な材料で作られていることを特徴とする請求項3に記載の凝縮防止機器(5)。
【請求項5】
前記加熱空気発生器(6)が、濾過器(10)と、ポンプ(11)と、ヒータ(12)とを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の凝縮防止機器(5)。
【請求項6】
前記カテーテルがカテーテルマウントであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の凝縮防止機器(5)。
【請求項7】
前記カテーテルマウントが濾過装置(3)と患者(P)との間に接続されていることを特徴とする請求項6に記載の凝縮防止機器(5)。
【請求項8】
装置(6、8)を備えることにより、前記カテーテル(4)の外面の周りに加熱空気を送ることを特徴とするカテーテル用凝縮防止機器(5)。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の凝縮防止機器(5)を備えることを特徴とする集中治療室で使用するための換気装置(1)。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−160398(P2009−160398A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327312(P2008−327312)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(507253897)コヴィディエン アクチエンゲゼルシャフト (11)