説明

カテーテル

本発明のカテーテル(10)は、丸い頂部を備えた第一端(2)と、第二端(3)と、該第一端(2)と第二端(3)との間の複数の部分(5)とを含む。該カテーテル(10)は、医療装置への接続具を含む。各部分(5)は、第一テーパ面(6)と第二テーパ面(8)とを備え、該第一テーパ面(6)は第一縁(6)からテーパ面縁(7)まで直径が大きくなり、該第二テーパ面(8)は該テーパ面縁(7)から第二縁(12)まで直径が小さくなる。該テーパ面縁(7)は該部分(5)の最大の直径を有する。部分(5)の最大部は、尿カテーテルについては約4mm〜6mm(4mmと6mmとを含む。)である。該部分(5)の最大長さは、テーパ面縁(7)における該部分(5)の直径の長さの約1.5倍である。該第二テーパ面(9)の長さは、該第一テーパ面(6)の長さよりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔内に保持することができる略円柱状の装置に関するものである。特に、本発明は、停止手段を有しない自己保持カテーテルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、流体を体腔から又は体腔へ通すために用いられる管状器具であると定義されている。カテーテルは、一般に、膀胱から尿を排出させるために使用される。しかしながら、カテーテルは、薬剤及び静脈内流体の運搬、血管形成、更には、スワン-ガンツカテーテルの場合には、静脈又は動脈における血圧の直接測定にも用いられる。これは網羅的なリストではなく、種々のカテーテルが種々の用途に豊富に存在する。
【0003】
カテーテルについて一般に生ずる問題は、保持の失敗である。保持の失敗は、カテーテルが所望の位置に留まることができないときに生ずるものであり、これは、カテーテル機能の喪失及びカテーテルを必要ならしめる根本的な問題の悪化、並びに感染、汚染、不快等の他の問題を生ぜしめることがある。カテーテルの保持の失敗が生じたときには、再挿入が典型的な対応である。再挿入は、感染と体腔に対する外傷の確率を増大させることがある。保持の失敗の繰り返しとその結果としての再挿入は、看者の根本的な問題に対して医学的な援助を求める患者の意志を弱めるおそれがある。
【0004】
従来の円柱状のカテーテルを体腔内に挿入したときには、体腔壁の蠕動運動により生ずる下方向への力がカテーテルを挿入点方向に動かし、該カテーテルを徐々に排出させる。したがって、体腔壁の蠕動運動がカテーテルを排出させることを防止するために、ほとんどのカテーテルは、バルーン等の停止手段を該カテーテルの第一挿入端に備えている。
【0005】
保持の失敗に対する一つの可能性のある解決策は、体腔内ないし管腔内で膨張したときに蠕動に抗するように働くバルーンチップカテーテル、並びに保持の失敗及び体腔からのカテーテルの排出に寄与する他の生理的要素を使用することである。バルーンチップカテーテルの一例は、フォレーカテーテルである。しかしながら、フォレーカテーテルの使用に関しては、重大な問題が生ずるおそれがある。第一に、膨張したときにバルーンが破裂するおそれがある。この場合には、破裂したバルーンの破片を除去すると共に、内部の損傷を治すための外科処置が必要になることがある。第二に、膨張すべき場所に到達する前に、バルーンが膨張してしまうおそれがある。これは、使用者にとって大きな苦痛であり、カテーテルを引き出すための侵害的技術を必要とすることがある。
【0006】
保持の失敗の問題に対する別の可能性のある解決策は、カテーテルの外面にねじを形成することである。このカテーテルは、これを回転させることにより、体腔内に確実に挿入することができる。しかしながら、該カテーテルが不適当に除去されたときには、大きな問題が生ずるおそれがある。例えば、カテーテルが突然、偶発的に引き出されたときには、体腔がひどい損傷を被るおそれがある。
【0007】
保持の失敗の問題に対する更に別の可能性のある解決策は、カテーテルの外面に突出部を設けることである。該突出部は、体腔壁と相俟って、保持の失敗を防止するアンカーとして働く。しかしながら、体腔の刺激と使用者の不快をもたらすおそれがある。
【0008】
1999年10月12日、ウイラードに与えられたアメリカ特許第5964732号は、カテーテルを尿道内に位置させる方法を権利主張している。ウイラードは、カテーテルを排出しようとする液の力は、カテーテルの長さ方向の表面に作用する尿道壁により生ずる圧縮力により、克服することができることを概説している。また、ウイラードは、表面突起部と長さ方向の表面部分との組合せが、カテーテルを尿道から排出しようとする生理的な液の力を相殺すると述べている。ウイラードは、尿道とカテーテル本体との間の力の合計が該カテーテルを排出しようとする生理的な液の力を上回っている場合には保持が得られることを概説している。
【0009】
1999年10月26日、ウイラードに与えられたアメリカ特許第5971967号は、カテーテルの外面に一つ又はそれ以上のテーパ状アンカーを備えている尿道カテーテルについて説明している。該アンカーは、部分的な螺旋を形成している。ウイラードは、この形態が従来技術の欠点を克服する、すなわち、連続的な螺旋状面が尿の側路となることを権利主張している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、バルーン等の従来の停止手段を用いることなく、体腔内に維持される自己保持カテーテルを提供することにある。
【0011】
本発明の更なる目的は、体腔の側圧を利用してカテーテルを体腔内に保持するようにしたカテーテルを提供することにある。
【0012】
本発明の更なる目的は、使用し易く、安価であり、しかも製造が容易なカテーテルを提供することにある。
【0013】
本発明における上記及び他の目的と利点は、添付の明細書と請求の範囲を読めば明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
自己保持カテーテルは、第一端と、第二端と、該第一端と該第二端との間の複数の部分とよりなる。各部分は、第一テーパ面と第二テーパ面とを備え、該第一テーパ面は第一縁からテーパ部縁まで直径が大きくなり、該第二テーパ面は該テーパ面縁から第二縁まで直径が小さくなる。該第一テーパ面の長さは、該第二テーパ面の長さよりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明のカテーテル10の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
カテーテル10は、第一端2と、第二端3と、該第一端2と該第二端3との間の複数の部分5とを備えている。各部分5は、第一テーパ面6と第二テーパ面9とを備え、該第一テーパ面6は第一縁7からテーパ部縁8まで直径が大きくなり、該第二テーパ面9は該テーパ面縁8から第二縁12まで直径が小さくなる。
【0017】
該第二テーパ面9の長さは、該第一テーパ面6の長さよりも大きい。
【0018】
尿カテーテルの実施例においては、テーパ面縁8の最大直径は約8mmであり、該尿カテーテルにおける各部5の最適な長さは、該テーパ面縁8の直径に等しい長さ又は該テーパ面縁8の直径よりも小さい長さである。該尿カテーテルにおける各部5の最大長さは、該テーパ面縁8の直径の約1.5倍である。
【0019】
この自己保持カテーテル10の他の実施例は、脈管系から消化器系までの他の管状体腔に使用することができる。したがって、自己保持カテーテル10の直径は、体腔に応じて、1mm未満から25mmまで、様々である。
【0020】
本発明は、カテーテル10を体腔内に挿入することにより作用する。体腔内の蠕動運動もカテーテルを排出するように働く。従来技術においては、カテーテルの円筒管は、利用されない限り、異物として排出される。本発明においては、停止手段は設けられておらず、むしろ、体腔の側圧と下方向に排出しようとする蠕動運動とが第一テーパ面に作用して第二端方向への推力を生じさせ、一方、第二テーパ面に作用する体腔の側圧が第一端方向への推力を生じさせる。本発明は、各部分5において十分な第二テーパ面9を備えており、該第二テーパ面9の合計表面積は第一テーパ面6の合計表面積よりも大きい。したがって、該第一テーパ面6と該第二テーパ面9とに作用する体腔の側圧の和は、カテーテルに対し、第一端2方向への正味推力を生じさせる。側圧により生ずる正味推力は、従来のカテーテルをやがては排出させる蠕動運動の効果を克服するに足るものである。
【0021】
本発明についての上記の開示と説明は、例示的かつ説明的なものである。例示の構成の細部における種々の変更を、本発明の要旨から逸脱することなく、請求の範囲内で、行うことが可能である。本発明は、下記の請求の範囲及びその法的均等物によってのみ限定されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内に維持され、該体腔と協動するカテーテルであって、
第一端と、第二端と、該第一端と該第二端との間の複数の部分とよりなり、
当該各部分は、第一テーパ面と第二テーパ面とを備え、該第一テーパ面は第一縁からテーパ面縁まで直径が大きくなり、該第二テーパ面は該テーパ面縁から第二縁まで直径が小さくなり、該テーパ面縁は該部分の最大の直径を有し、該第一テーパ面の長さは、該第二テーパ面の長さよりも小さいことを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記各部分は、前記テーパ面の縁における直径の2倍の最大長さを有する請求項1のカテーテル。
【請求項3】
前記各部分は、前記テーパ面の前記縁において最大の直径を有し、当該各部分は、尿カテーテルについては4mm〜8mm(4mmと8mmとを含む。)の範囲の直径を有する請求項1のカテーテル。

【図1】
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【公表番号】特表2012−515021(P2012−515021A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545493(P2011−545493)
【出願日】平成22年1月11日(2010.1.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/020653
【国際公開番号】WO2010/081097
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(503107842)
【Fターム(参考)】