カテーテル
【課題】生体組織への不要な圧迫を防止するとともに、カテーテルを細径化した場合であっても一定のU字形の穿刺ルートで円滑に生体組織に導入できるカテーテルを提供すること。
【解決手段】本発明にかかるカテーテル1は、生体組織内に少なくとも一部が導入されるカテーテルであって、鋭利な最先端2aを有する穿刺針2と、内部ルーメンと、内部ルーメンと連通する側孔5,6を有し、少なくとも一部が柔軟である躯体3と、を有し、穿刺針2の基端と躯体3の先端3aとは、互いに接続されており、穿刺針2から躯体3の一部まで略一定の曲率半径で湾曲した形状を保持する。
【解決手段】本発明にかかるカテーテル1は、生体組織内に少なくとも一部が導入されるカテーテルであって、鋭利な最先端2aを有する穿刺針2と、内部ルーメンと、内部ルーメンと連通する側孔5,6を有し、少なくとも一部が柔軟である躯体3と、を有し、穿刺針2の基端と躯体3の先端3aとは、互いに接続されており、穿刺針2から躯体3の一部まで略一定の曲率半径で湾曲した形状を保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生体組織内に少なくとも一部が導入されるカテーテルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人間を含む哺乳動物の生体組織内に直接導入されて、長期間にわたって生体組織に薬剤を吐出するデバイスとして、静脈注射等を行なう場合と同様にカテーテルで構成される。このようなカテーテルは、内部にルーメンを有する細長い形状をなし、先端部の側孔を、薬剤投与対象の腫瘍内に配置するように直接穿刺することで、薬剤投与ルートが形成される。また、このようなカテーテルは、ストッパ等のさらに別の固定手段によって、腫瘍のある臓器に係留されることが多い。カテーテルは、腫瘍および臓器を貫通して配置され、少なくともその先端にストッパ等を取付けることで、臓器からカテーテルが抜けないように、臓器に対し固定される。
【0003】
このようなカテーテルにおいては、腫瘍および臓器にカテーテルを直接穿刺して臓器内にカテーテルを配置する手術をともなうため、カテーテルの穿刺によって臓器を傷付けないように慎重に手術をする必要がある。特に、腫瘍および臓器へ穿刺を開始する際には、臓器の表面に速やかにカテーテルを挿入しないと、臓器または腫瘍を圧迫して押し潰す危険性が増すおそれがある。この危険を減らすため、従来、カテーテル先端に金属製の針を設け、軟らかい腫瘍および臓器の表面からの速やかなカテーテルの挿入を実現できる構成が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
また、腫瘍および臓器への侵襲を減らして臓器を保護するため、カテーテルの穿刺ルートを、たとえば1〜2mm以下の径まで細くするとともに、カテーテルの穿刺ルートを直線ではなくU字形に近付けて、臓器内のカテーテルの穿刺ルートを短縮化することが望ましい。具体的には、臓器表面であって腫瘍または腫瘍に近い側からカテーテルの穿刺を開始し、穿刺開始側とは異なる側の腫瘍近辺からカテーテルが突出するように、腫瘍内を貫通穿刺させる。このU字形の穿刺ルートを形成するためには、カテーテルを湾曲形状に保持しながら穿刺する必要があり、湾曲したシースと、ガイドとして機能する内筒針とを有するカテーテルが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7463934号明細書
【特許文献2】特開2005−341987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、カテーテルの穿刺作業に加え、臓器内にカテーテルを挿入する作業においても、腫瘍および臓器内にカテーテルを速やかに導入しながら、腫瘍および臓器への圧迫を回避する必要がある。
【0007】
特許文献1記載のカテーテルにおいては、カテーテル先端に金属製の針が設けられているため、腫瘍および臓器の表面から臓器内に速やかにカテーテル先端を挿入することができる。しかしながら、特許文献1記載のカテーテルにおいては、針の先端からカテーテルの留置部に至るまでの領域は、一定の湾曲形状を有していないため、カテーテルが一定の湾曲したU字形の穿刺ルートから外れて、腫瘍および臓器を圧迫するおそれがあった。このため、特許文献1記載のカテーテルを用いる場合には、時間をかけて慎重に挿入作業を行う必要があり、時間と手間がかかっていた。
【0008】
特許文献2に記載されたカテーテルにおいては、先端が樹脂材料等で構成される場合には、腫瘍および臓器の表面から速やかにカテーテル先端を穿刺、挿入することができず、軟らかい臓器がカテーテル先端によって圧迫されるおそれがある。
【0009】
また、特許文献2に記載されたカテーテルにおいては、穿刺抵抗が大きい樹脂製のカテーテルによる先端で腫瘍および臓器内に穿刺ルートを形成することになり、腫瘍および臓器を圧迫せずスムーズにカテーテルを進めることが難しかった。
【0010】
さらに、湾曲内筒針の円筒内側でカテーテルを保持して基端側から押していく特許文献2に記載の構成では、穿刺ルートを作るための湾曲内筒針の強度が足りず、極細のカテーテルが実現できず、穿刺ルートをより細くすることができなかった。
【0011】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、生体組織への不要な圧迫を防止するとともに、カテーテルを細径化した場合であっても一定のU字形の穿刺ルートで円滑に生体組織に導入できるカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるカテーテルは、生体組織内に少なくとも一部が導入されるカテーテルであって、鋭利な先端を有する穿刺針と、内部ルーメンと、前記内部ルーメンと連通する側孔を有し、少なくとも一部が柔軟である躯体と、を有し、前記穿刺針の基端と前記躯体の先端とは、互いに接続されており、前記穿刺針から前記躯体の一部まで略一定の曲率半径で湾曲した形状を保持することを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記穿刺針の基端と接続する前記略一定の曲率半径で湾曲したワイヤをさらに備え、前記ワイヤは、前記内部ルーメンに挿入されて湾曲形状を保持したまま前記躯体の一部と接触して支持することを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ワイヤは、前記内部ルーメンから、湾曲の外側に向かって前記躯体を支持することを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ワイヤは、当該ワイヤの長軸方向と直交する断面が円であることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ワイヤは、前記躯体を支持する部分において、先端側の外径が基端側の外径よりも大きいことを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記躯体は、前記ワイヤに支持される部分において、先端側の内径が基端側の内径よりも大きいことを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ワイヤは、ほぼ全周にわたって前記躯体と接触して前記躯体を支持することを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ワイヤは、外周の一部が前記躯体と接触して前記躯体を支持することを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ワイヤは、当該ワイヤの長軸方向と直交する断面が半円であることを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ワイヤは、当該ワイヤの長軸方向と直交する断面が円環を切り欠いた形状であることを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ワイヤは、前記躯体と複数の点で接触して前記躯体を支持することを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ワイヤは、複数設けられることを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記穿刺針の基端と接続する前記略一定の曲率半径で湾曲したワイヤをさらに備え、前記ワイヤは、前記躯体の側壁に前記挿入されて湾曲形状を保持したまま前記躯体の一部と接触して支持することを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記穿刺針の基端と接続する前記略一定の曲率半径で湾曲した形状保持部材をさらに備え、前記形状保持部材は、前記躯体が内部に挿入され、湾曲形状を保持したまま前記躯体の一部と接触して支持することを特徴とする。
【0026】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記形状保持部材は、側壁の少なくとも一部に開閉可能である窓部を有し、前記窓部が開いた状態で前記躯体の一部が露出することを特徴とする。
【0027】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記形状保持部材は、湾曲の内側の部分で前記躯体の外表面を支持することを特徴とする。
【0028】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記形状保持部材は、当該形状保持部材の長軸方向と直交する断面が円環であることを特徴とする。
【0029】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記形状保持部材は、ほぼ全内周にわたって前記躯体と接触して前記躯体を支持することを特徴とする。
【0030】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記形状保持部材は、内周の一部が前記躯体と接触して前記躯体を支持することを特徴とする。
【0031】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記形状保持部材は、当該形状保持部材の長軸方向と直交する断面が円環を切り欠いた形状であることを特徴とする。
【0032】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記躯体の一部は、前記略一定の曲率半径で湾曲した形状を保持することを特徴とする。
【0033】
また、この発明にかかるカテーテルは、湾曲する前記穿刺針および前記躯体の一部は、少なくとも一部の外径が先端から基端に向かって小さくなることを特徴とする。
【0034】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記穿刺針の外径は、先端から基端に向かって小さくなることを特徴とする。
【0035】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記躯体の外径は、先端から基端に向かって小さくなることを特徴とする。
【0036】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記穿刺針の最大外径は、前記躯体の最大外径以上であることを特徴とする。
【0037】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記穿刺針と前記躯体との接続部において、前記穿刺針の外径は、前記穿刺針と前記躯体との接続部における前記躯体の外径以上であることを特徴とする。
【0038】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記穿刺針の最大外径は、前記穿刺針と前記躯体との接続部における前記穿刺針の外径以上であることを特徴とする。
【0039】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記躯体は、先端側の外径が基端側の外径以上であることを特徴とする。
【0040】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記穿刺針および前記ワイヤは、金属材料によって形成され、前記躯体は、樹脂材料または天然ゴムによって形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0041】
この発明にかかるカテーテルにおいては、穿刺針の基端と躯体の先端とが互いに接続されており、穿刺針から前記躯体の一部まで略一定の曲率半径で湾曲した形状を保持するため、躯体が、穿刺針の鋭利な先端が形成した一定の湾曲した穿刺ルートにそのまま沿って生体組織内に挿入できることから、生体組織への不要な圧迫を防止するとともに、カテーテルを細径化した場合であっても一定のU字形の穿刺ルートで円滑に生体組織に導入できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、実施の形態1にかかるカテーテルの全体図である。
【図2】図2は、図1に示すカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図3】図3は、図1に示すカテーテルの分解図である。
【図4A】図4Aは、図1に示すカテーテルの生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【図4B】図4Bは、図1に示すカテーテルの生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【図4C】図4Cは、図1に示すカテーテルの生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【図4D】図4Dは、図1に示すカテーテルの生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【図4E】図4Eは、図1に示すカテーテルの生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【図5】図5は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図6】図6は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図7】図7は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図8】図8は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図9】図9は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図10】図10は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図11】図11は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図12】図12は、図11のA−A線断面図である。
【図13】図13は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの躯体を、当該躯体帯の長手方向との直交軸で切断した断面図である。
【図14】図14は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの躯体を、当該躯体帯の長手方向との直交軸で切断した断面図である。
【図15】図15は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの躯体を、当該躯体帯の長手方向との直交軸で切断した断面図である。
【図16】図16は、実施の形態2にかかるカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図17】図17は、図16のB−B線断面図である。
【図18】図18は、実施の形態3にかかるカテーテルの全体図である。
【図19】図19は、実施の形態3にかかるカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図20】図20は、図19のC−C線断面図である。
【図21】図21は、実施の形態3にかかる他のカテーテルの全体図である。
【図22】図22は、図21に示すカテーテルの要部の拡大図である。
【図23】図23は、実施の形態3にかかる他のカテーテルの全体図である。
【図24】図24は、図23のD−D線断面図である。
【図25】図25は、実施の形態4にかかるカテーテルを、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図26】図26は、実施の形態4にかかる他のカテーテルを、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図27】図27は、実施の形態4にかかる他のカテーテルを、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態として、人間を含む哺乳動物の生体組織内に少なくとも一部導入されるカテーテルについて説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。図面は模式的なものであり、各部の寸法の関係や比率は、現実と異なることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる。
【0044】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。図1は、本実施の形態1にかかるカテーテルの全体図である。図2は、図1に示すカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【0045】
図1および図2に示すように、実施の形態1にかかるカテーテル1は、穿刺針2、躯体3およびワイヤ4を備える。
【0046】
穿刺針2は、カテーテル1の先端に配置する。穿刺針2は、鋭利な最先端2aを有する。穿刺針2は、全体として湾曲した形状をなす。穿刺針2は、略一定の曲率半径で湾曲する。たとえば、穿刺針2は、図1および図2に示す円C1の円周に沿って湾曲する。穿刺針2の外径は、鋭利な最先端2a部分を除く先端部分ら基端部分までほぼ同径である。穿刺針2は、チタンやステンレス等の金属材料によって形成される。
【0047】
躯体3は、細長い管形状をなし、内部ルーメン3cを有する。躯体3の側面には、内部ルーメン3cとそれぞれ連通する二つの側孔5,6が設けられる。たとえば、躯体3の先端3aの内側面と穿刺針2の基端側面2cとが接着剤等を介して互いに接続されることによって、躯体3の先端3aは、穿刺針2の基端側で固定接続する。穿刺針2の外径と躯体3の外径とは、ほぼ同一であり、接続部分における穿刺針2の外表面と躯体3の外表面とは、なだらかに連続する。躯体3の基端3bは、薬剤供給時にポンプや薬剤リザバーが接続する。躯体3の外径は、先端3aから基端3bまでほぼ同径であるとともに、穿刺針2の外径とほぼ同径である。躯体3は、ポリエチレン、ポリウレタン等の樹脂材料やシリコン、天然ゴムなどの生体適合性を有する柔軟な材料によって形成される。
【0048】
ワイヤ4は、耐食鋼などによって形成される。ワイヤ4の先端4aは、穿刺針2の基端面2bに固定接続される。ワイヤ4は、穿刺針2が湾曲する曲率半径とほぼ同等の曲率半径で湾曲する。したがって、ワイヤ4は、穿刺針2と同様に、たとえば円C1の円周に沿って湾曲する。ワイヤ4の外径は、先端4aから基端4bまでほぼ同径である。ワイヤ4の外径は、躯体3の内部ルーメン3c径よりも小さく、ワイヤ4の基端4bは、図3の矢印のように、躯体3の先端3aから内部ルーメン3cに挿入される。ワイヤ4は、躯体の内部ルーメン3cに先端3aから挿入された場合に、少なくとも躯体3に形成された側孔5,6よりも躯体3の基端3b側にワイヤ4の基端4bが位置するように、長さが設定される。躯体3は、柔軟な管形状をなし、躯体3の先端3aからワイヤ4の基端4bが位置する部分まではワイヤ4の外周の少なくとも一部が躯体3内表面と接触して躯体3を湾曲形状に支持するため、挿入されたワイヤ4の湾曲にしたがって、たとえば円C1の円周に沿って湾曲することとなる。したがって、ワイヤ4は、躯体3の内部ルーメン3cに挿入されて湾曲形状を保持したまま躯体3の一部と接触して支持する機能を有する。ワイヤ4は、躯体3に挿入された場合であり、かつ、躯体3が薬剤投与対象の生体組織内に導入された場合であるときにも、前述した湾曲形状を保持できる程度の一定の強度を有する。ワイヤ4は、たとえば、長軸方向と直行する断面が円形である。
【0049】
次に、カテーテル1を薬剤投与対象の腫瘍を有する臓器などの生体組織に穿刺および留置する手順について説明する。図4A〜図4Eは、図1に示すカテーテル1の生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【0050】
まず、操作者は、穿刺針2の基端側を把持し、臓器の表面に穿刺針2の鋭利な最先端2aを当て、穿刺針2を押して臓器に穿刺針2を最先端2aから図4Aの矢印Yaの方向に挿入する。続けて、操作者は、穿刺針2および穿刺針2に接続する躯体3の臓器Liへの挿入を進める。この場合、穿刺針2および躯体3の一部は、前述した略一定の曲率半径で湾曲した湾曲形状を保持するため、操作者による穿刺針2および躯体3の挿入動作によって、前述した略一定の曲率半径を有する円C1の円周に沿うように湾曲した一定のU字形の穿刺ルートで、臓器Li内に進入する。やがて、穿刺針2の最先端2aは、臓器Li反対側の表面に到達する。操作者は、さらに、穿刺針2の最先端2aが臓器Liから突出するまで穿刺針2および躯体3を矢印Yaの方向に押し進め、穿刺針2および躯体3を臓器Liに貫通させる。操作者は、穿刺針2の最先端2aが臓器Liを貫通して臓器Li外に出た後では、露出している穿刺針2の先端部分を把持するように持ち換えて、矢印Ybのように穿刺針2を引き出すことによって躯体3の臓器Liへの導入を進める。
【0051】
躯体3内部に挿入されるワイヤ4の湾曲形状にしたがって躯体3も湾曲形状を保持するため、穿刺針2の基端が臓器Liから引き出された後も引き続き、湾曲した穿刺ルートを外れることなく躯体3の臓器Liへの挿入が継続する。このとき、躯体3は、矢印Pbのように、ワイヤ4が、躯体3の内部ルーメン3cから湾曲の外側に向かって躯体3を支持するため、躯体3が内側に向かって変形することはなく、臓器Liが図中下方向に圧迫されることがない。すなわち、カテーテル1においては、躯体3の外側の壁を躯体3内側からワイヤ4で押さえるため、U字形の湾曲した穿刺ルートの内側方向に躯体3が外れて、臓器を圧迫することを防ぐことができる。
【0052】
図4Aに示すように、躯体3の先端3aが臓器Liを貫通し、薬剤投与対象の腫瘍内に側孔5,6が到達した場合、操作者は、穿刺針2の矢印Yb方向の引出しを停止する。このとき、臓器Li表面から一定長さの躯体3が突出している。続いて、操作者は、穿刺針2と躯体3の接続位置近傍であり、接続位置よりも基端3b側の位置Pc(図4B参照)で、躯体3のみを切断する。その後、図4Cおよび図4Dの矢印のように、操作者は、躯体3本体がそのままの状態で、残存する躯体3の先端3dから、穿刺針2および穿刺針2の基端面2bに接続するワイヤ4を先端方向に引き抜く。先端3aを含む切断された躯体3の一部も、接続する穿刺針2の引き抜きによって、穿刺針2およびワイヤ4とともに、躯体3本体から分離される。残存した躯体3からはワイヤ4が引き抜かれるが、ワイヤ4引き抜き後に躯体3を大幅に進退させることはないため、躯体3本体は、臓器Li内では湾曲した形状をそのまま保持する。
【0053】
続いて、操作者は、図4Eに示すように、臓器Liから突出した躯体3の先端3dを、球状のストッパ8Aを用いて臓器Li表面に固定するとともに、臓器Li基端側表面においても、躯体3を別のストッパ8Bを用いて臓器Liに固定させる。ストッパ8A,8Bは、臓器Liの表面に当接して、躯体3本体は、臓器Liに留置固定される。
【0054】
その後、躯体3の基端3bには、リザバー15内に保持された薬剤16を送出するポンプ14と接続される。リザバー15内の薬剤16は、ポンプ14の駆動によって、躯体3の基端3bから躯体3の内部ルーメン3cに送出され、側孔5,6から吐出することによって臓器Li内の腫瘍に供給される。
【0055】
このように、実施の形態1にかかるカテーテル1は、穿刺針2および躯体3の先端3aから少なくとも側孔5,6までの領域が略一定の曲率半径で湾曲した湾曲形状を保持するため、穿刺針2に加え穿刺針2基端に接続する躯体3も、穿刺針2の先端部分が形成した湾曲した一定のU字形ルートにそのまま沿うようにして生体組織内に挿入することができる。したがって、実施の形態1によれば、穿刺針2および躯体3の生体組織内への挿入経路は、一定のU字形ルートから外れることがないため、一定のU字形ルートから外れることに起因する腫瘍および臓器の圧迫が発生しない。
【0056】
また、実施の形態1にかかるカテーテル1は、先端の穿刺針2全体が金属材料で形成される上に、穿刺針2の最先端2aは鋭利な形状を有するため、軟らかい生体組織を圧迫することなく、生体組織表面に速やかにカテーテル1を穿刺、挿入することができる。また、実施の形態1にかかるカテーテル1は、穿刺抵抗が低い金属製の穿刺針2の鋭利な最先端2aで穿刺ルートを形成するため、柔らかい生体組織を圧迫することなく、円滑かつ安全に、カテーテル1を生体組織内に進めることができる。
【0057】
また、穿刺針2基端に接続する躯体3の少なくとも側孔5,6までの領域は、穿刺針2が湾曲する曲率半径とほぼ同等の曲率半径で湾曲する金属製のワイヤ4が内部に挿入されることによって、穿刺針2と同様の曲率半径で湾曲した形状を保持している。すなわち、躯体3は、穿刺針2が形成した穿刺ルートそのままに対応する形状を保持する。したがって、生体組織内への挿入時において、躯体3は、穿刺針2が形成した穿刺ルートをそのまま通るため、穿刺ルートから外れることによる躯体3の挿入の停滞も起こらない。このため、作業者は、穿刺ルートから躯体3が外れないように時間をかけて躯体3を挿入させる必要もなく、短時間で円滑に躯体3を挿入できる。
【0058】
また、実施の形態1にかかるカテーテル1においては、操作者は、穿刺針2による生体組織貫通後、基端側の躯体3を生体組織に押し込むのではなく、貫通した穿刺針2の先端部分を把持して生体組織から穿刺針2を引き出すことによって躯体3を生体組織に挿入するため、躯体3の押し込みに起因する生体組織への不要な圧迫を避けながら、より簡易にカテーテル留置の手技を実現することが可能になる。
【0059】
また、実施の形態1にかかるカテーテル1においては、ワイヤ4は、穿刺針2とほぼ同様の曲率半径で湾曲するように躯体3の内面から躯体3を支持できれば足りるため、ワイヤ4を形成する金属材料として強度の強い材料を選択すれば、躯体3の細径化にも十分対応できる。
【0060】
また、実施の形態1にかかるカテーテル1においては、ワイヤ4は、少なくとも側孔5,6の基端側に基端4bが位置するように躯体3内部に挿入されているため、躯体3に挿入するワイヤ4の向きを調整することによって、側孔5,6が湾曲に対して相対的にどの方向を向くかを任意に設定できる。具体的には、側孔5,6の向きを、湾曲の内側(図1下方向)、外側(図1上方向)、または、湾曲に対する直交方向側(図1の紙面裏側あるいは紙面表側)に設定することができる。このように、実施の形態1によれば、湾曲を基準として、生体組織内に投与する薬剤の投与方向を任意に設定できるため、所望の部位に対して的確に薬剤投与を実行することができる。
【0061】
以上のように、実施の形態1にかかるカテーテル1によれば、生体組織への不要な圧迫を防止するとともに、カテーテルを細径化した場合であっても一定のU字形の穿刺ルートで円滑に生体組織に導入できる。
【0062】
なお、実施の形態1にかかるカテーテル1においては、ワイヤ4の外径が躯体3の内部ルーメン3c径よりも小さい場合を例に説明したが、もちろん、これに限らない。たとえば、図5に示すように、先端41aから基端41bにわたって、躯体3の内部ルーメン3c径と略同一の外径を有するワイヤ41を躯体3内に挿入してもよい。この場合、ワイヤ41は、ほぼ全周にわたって躯体3の内表面と接触して躯体3を支持するため、躯体3は、ワイヤ41が接触する部分においては局地的に凹むことが全くない。このため、躯体3の凹みによって生体組織へのカテーテルの挿入処理が阻害されることがないため、円滑かつ安全にカテーテルを生体組織内に挿入することができる。
【0063】
また、図6に示すように、外径が先端42aから基端42bにわたって徐々に細くなるように形成されたワイヤ42を躯体3内に挿入してもよい。ワイヤ42は、躯体3を支持する部分において、先端42a側の外径が基端42b側の外径よりも大きくなっている。このようなワイヤ42を用いた場合、ワイヤ42外表面と躯体3内表面との接触面積が小さくなるため、躯体3内部からワイヤ42を抜く際におけるワイヤ42の外表面と躯体3内表面との接触抵抗の発生確率も下げられ、ワイヤ42を抜き出しやすくなる。
【0064】
また、図7に示すように、外径が先端43aから基端43bにわたって徐々に細くなるように形成されたワイヤ43と、ワイヤ43に支持される部分において、先端33a側の内径R33aが基端側の内径R33bよりも大きくなる躯体33とを用いてカテーテルを構成してもよい。躯体33は、外径が穿刺針2とほぼ同径であり、ワイヤ43に支持される部分においては、先端33aから基端までの管壁の厚みが徐々に厚くなっており、先端33a側の厚みD33aが、ワイヤ43の基端43bが位置する部分の厚みD33bよりも薄い。ワイヤ43は、躯体33の内表面とほぼ全周にわたって接触して躯体3を支持できるように、外径が設定されている。
【0065】
このため、図7に示す例においては、ワイヤ43が接触する部分においては躯体33が局地的に凹むことが全くなく、円滑かつ安全にカテーテルを生体組織内に挿入することができる。また、ワイヤ43は、外径が先端43aから基端43bにわたって徐々に細くなるように形成されており、躯体33は、ワイヤ43に支持される部分では、先端33a側の内径が基端側の内径よりも大きくなるように形成されているため、躯体3内部から先端33a側に向かってワイヤ42を抜く過程においては、ワイヤ43の外表面と躯体33内表面との接触が発生しにくくなり、ワイヤ43を抜き出しやすくなる。さらに、躯体33は、ワイヤ43に支持される部分では、ワイヤ43の先端43aから基端43bに向かって小さくなる外径に対応して、先端33aから基端に向かって内径が小さくなっているため、躯体33の基端方向にワイヤ43が必要以上に挿入されることがない。なお、図7に示す例では、ワイヤ43の外径と躯体33の内径の双方を対応させて変えた例について説明したが、もちろんこれに限らず、躯体の厚みのみを変えて躯体の内径のみを変化させてもよい。
【0066】
また、穿刺針の外径と躯体の外径とは、必ずしも同一でなくともよい。穿刺針が形成した穿刺ルートを躯体が円滑に挿入できるように、少なくとも穿刺針の最大外径が躯体3の最大外径以上であれば足りる。したがって、たとえば図8に示すように、穿刺針24は、躯体3の最大外径D3よりも大きな最大外径D24を有していてもよい。この場合、穿刺針24の接続部近辺の外径を躯体3の外径D3に近づけるように徐々に小さくすることによって、穿刺針24と躯体3との接続部近辺において生じる角24dのある段差を、たとえば、0.5mm以下となるように小さくして、カテーテル側面の角をできるだけなだらかにすることが望ましい。
【0067】
また、湾曲する穿刺針および躯体の一部は、少なくとも一部の外径が先端方向から基端方向に向かって小さくなれば、穿刺針で形成した穿刺ルートを躯体が確実かつ円滑に通ることができる。
【0068】
たとえば、図9に示すように、先端部分から基端面25bに向かって外径が小さくなる穿刺針25を用いる。なお、穿刺針25は、穿刺針2と同様に鋭利な最先端25aを有する。穿刺針25においては、最先端25aを除く先端部分の外径D25aは、穿刺針25と躯体3との接続部である基端25bの外径D25bよりも大きく、穿刺針25の最大外径である。また、穿刺針25における穿刺針25と躯体3との接続部である基端25bの外径D25bは、躯体3の外径D3よりも大きい。
【0069】
このような構成においては、穿刺針25の先端部分が形成した穿刺ルートの内径よりも、穿刺針25の先端25a以降の外径および躯体3の外径が小さいため、穿刺針25および躯体3は穿刺ルートを確実かつ円滑に通ることができる。
【0070】
そして、たとえば、図10に示すように、少なくともワイヤ4によって支持される部分において、先端36aから基端に向かって外径が小さくなる躯体36を用いてもよい。躯体36においては、先端36aの外径D36aは、ワイヤ4の基端4bに対応する部分の外径D36bよりも大きい。この場合、穿刺針2の先端部分が形成した穿刺ルートの内径よりも躯体36の外径が小さい上に、躯体36が徐々に細くなっているため、躯体36は穿刺ルートを確実かつ円滑に通ることができる。このように、穿刺針および躯体の外径は、腫瘍および臓器等の生体組織を穿刺しやすいように適宜可変できる。
【0071】
また、実施の形態1においては、ワイヤが、U字形に湾曲した穿刺ルートの内側から外側に向かって躯体3を支持できれば、躯体3が、穿刺ルートを外れて、湾曲の内側方向に向かって生体組織を圧迫することはない。このため、図11および図12に示すワイヤを用いてもよい。
【0072】
図11は、実施の形態1にかかるカテーテルの要部の他の例を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。図12は、図11のA−A線断面図である。図11および図12に示すように、ワイヤ47は、先端47aから基端47bに渡って、ワイヤ47の長軸方向と直交する断面が、円の下半分を切り欠いた半円であり、ワイヤ47の外周の一部が躯体3内表面のうち湾曲の内側部分に対応する部分と接触して、躯体3内部から、湾曲の内側から外側に向かう方向に躯体3を支持する。また、躯体3を湾曲の内側から外側に向かって支持できれば、図13に示すように、ワイヤ47Aの長軸方向と直交する断面が、円環の下半分を切り欠いた形状であってもよい。また、実施の形態1においては、躯体3内表面と複数の点で設置して躯体3を湾曲形状に支持してもよく、図14のワイヤ48A,48Bのように、ワイヤを複数設けてもよい。
【0073】
また、湾曲の外側の躯体の凹みを小さくするため、湾曲に対して躯体の厚みを相対的に変えてもよい。たとえば、図15の躯体39のように、湾曲の外側に対応する部分の厚みD39uを、湾曲の内側に対応する部分の厚みD39dよりも厚くしてもよい。
【0074】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。図16は、実施の形態2にかかるカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。図17は、図16のB−B線断面図である。
【0075】
図16および図17に示すように、実施の形態2にかかるカテーテル201は、穿刺針2、躯体203およびワイヤ204を有する。
【0076】
躯体203は、実施の形態1における躯体3と同様に、生体適合性を有する柔軟な材料によって形成されるとともに、側面には、内部ルーメン3cとそれぞれ連通する二つの側孔5,6が設けられる。躯体203の先端203aは、穿刺針2の基端側の基端側面2cと固定接続する。躯体203は、躯体3と比して、先端203aからワイヤ204が挿入可能であるワイヤ挿入用ルーメン203eが側壁に設けられる。
【0077】
ワイヤ204は、先端204aが穿刺針2の基端面2bに固定接続されるとともに、穿刺針2が湾曲する曲率半径とほぼ同等の曲率半径で湾曲する。ワイヤ204は、穿刺針2と同様に、たとえば円C1の円周に沿って湾曲する。ワイヤ204は、躯体203の側壁のワイヤ挿入用ルーメン203eに挿入されて、湾曲形状を保持したまま躯体203の一部と接触して支持する。なお、ワイヤ挿入用ルーメン203eは、ワイヤ204の先端204aから基端204bまでの全てを収納できる長さに設定されている。
【0078】
カテーテル201においても、作業者は、実施の形態1の場合と同様に、臓器内に穿刺針2および躯体203先端を貫通させた後に、穿刺針2と躯体3の接続位置近傍で躯体203のみを切断し、残存する躯体203の先端203aから、穿刺針2およびワイヤ204を先端方向に引き抜いてから、ストッパ8A,8Bを用いて躯体3本体を臓器に留置固定する。
【0079】
このカテーテル201のように、ワイヤ204を躯体203の側壁に挿入して躯体203の一部を湾曲形状に支持した場合も、実施の形態1と同様に、躯体203が穿刺針2の先端部分が形成した湾曲した一定のU字形ルートにそのまま沿って生体組織内に挿入できるため、生体組織への不要な圧迫を防止するとともに、一定のU字形の穿刺ルートで円滑に生体組織に導入できる。
【0080】
なお、実施の形態2においても、穿刺針および躯体の外径を先端から基端に向かって同径とするほか、実施の形態1における図8〜図10に示す例のように、穿刺針および躯体の外径を変更させてもよい。
【0081】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。図18は、本実施の形態3にかかるカテーテルの全体図である。図19は、実施の形態3にかかるカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。図20は、図19のC−C線断面図である。
【0082】
図18〜図20に示すように、実施の形態3にかかるカテーテル301は、鋭利な最先端302aを有する穿刺針302、穿刺針302の基端側面302cと先端3aが接続する躯体3、および、形状保持部材304とを有する。
【0083】
穿刺針302は、実施の形態1における穿刺針2と同様に、金属材料で形成され、たとえば円C1の円周に沿って湾曲する湾曲形状を有する。
【0084】
形状保持部材304は、中空の円筒形状を有し、当該形状保持部材304の長軸方向と直交する断面が円環である。形状保持部材304は、先端304aが穿刺針302の基端面302bに固定接続される。また、形状保持部材304は、穿刺針302が湾曲する曲率半径とほぼ同等の曲率半径で湾曲し、穿刺針302と同様に、たとえば円C1の円周に沿って湾曲する。形状保持部材304の外径および内径は、先端304aから基端304bまでほぼ同径である。形状保持部材304の外径は、穿刺針302の最大外径以下である。形状保持部材304の内径は、躯体3の外径よりも大きい。躯体3は、形状保持部材304内部に挿入される。形状保持部材304の長さは、挿入された躯体3の先端3aから側孔5,6が位置するまでの長さよりも長い。躯体3は、柔軟な管形状である。このため、形状保持部材304は、躯体3の先端3aから形状保持部材304の基端304bが位置する部分までは、ほぼ全内周にわたって躯体3と接触して躯体3を支持する。形状保持部材304は、形状保持部材304の湾曲の内側の部分で躯体3の外表面を支持する。形状保持部材304は、挿入された躯体3を湾曲形状に保持できる程度の一定の強度を有する。形状保持部材304は、生体適合性を有する金属材料等によって形成される。
【0085】
カテーテル301においては、作業者は、実施の形態1の場合と同様に臓器内に穿刺針302および形状保持部材304先端を貫通させた後に、穿刺針302と躯体3の接続位置近傍で躯体3のみを切断し、臓器から穿刺針302および形状保持部材304を先端方向に引き抜いてから、ストッパ8A,8Bを用いて、臓器内に残存する躯体3本体を臓器に留置固定する。
【0086】
このカテーテル301のように、形状保持部材304内に躯体3を挿入して躯体3の一部を湾曲形状に支持した場合には、形状保持部材304が、形状保持部材304の湾曲の内側の部分で躯体3の外表面を支持するため、躯体3が臓器から押されて変形することはなく、穿刺針302の先端部分が形成した湾曲した一定のU字形ルートにそのまま沿って生体組織内に挿入できる。また、カテーテル301においては、躯体3外壁は形状保持部材304内壁によって押さえられているため、湾曲したU字形の穿刺ルートを躯体3が外れて臓器を圧迫することも防ぐことができる。このため、実施の形態3においても、生体組織への不要な圧迫を防止するとともに、一定のU字形の穿刺ルートで円滑に生体組織に導入できる。
【0087】
なお、実施の形態3においては、図21および図22に示す構成を適用して、躯体3の切断を容易化してもよい。図21は、実施の形態3にかかる他のカテーテルの全体図である。図22は、図21に示すカテーテルの要部の拡大図である。
【0088】
図21および図22に示すカテーテル301Aにおいては、形状保持部材3041は、側壁の少なくとも一部に、矢印のように開閉可能である窓304dを有する。この窓304dが開いた状態で、形状保持部材3041内部の躯体3の一部が露出する。作業者は、開いた窓304dを介して、露出した躯体3を容易に切断することができる。
【0089】
また、実施の形態3においては、穿刺針302および形状保持部材304が穿刺ルートを確実かつ円滑に通れるように、穿刺針302の先端部分が形成した穿刺ルートの内径よりも、穿刺針302の先端以降の外径および形状保持部材304の外径が小さければよい。少なくとも穿刺針302の最大外径が躯体3の最大外径以上であれば足りる。したがって、たとえば図8に示すように、穿刺針24は、躯体3の最大外径D3よりも大きな最大外径D24を有していてもよい。この場合、穿刺針24の接続部近辺の外径を躯体3の外径D3に近づけるように徐々に小さくすることによって、穿刺針24と躯体3との接続部近辺において生じる段差を、たとえば、0.5mm以下となるように小さくして、カテーテル側面の角をできるだけ小さくすることが望ましい。
【0090】
また、湾曲する穿刺針および躯体の一部は、少なくとも一部の外径が先端方向から基端方向に向かって小さくなれば、穿刺針で形成した穿刺ルートを躯体が確実かつ円滑に通ることができる。たとえば、先端部分の外径が穿刺針の最大外径であって、先端から基端に向かって外径が小さくなる穿刺針を用いてもよい。また、穿刺針よりも外径の小さい形状保持部材を用いてもよい。また、先端から基端に向かって外径が小さくなる形状保持部材を用いてもよい。
【0091】
また、実施の形態3においては、形状保持部材は、U字形に湾曲した穿刺ルートの内側から外側に向かって躯体3を湾曲形状に支持できれば、躯体によって生体組織が湾曲の内側に圧迫されることはない。図23は、実施の形態3にかかる他のカテーテルの全体図である。図24は、図23のD−D線断面図である。
【0092】
図23および図24に示すように、形状保持部材3042は、先端3042aから基端3042bに渡って、形状保持部材3042の長軸方向と直交する断面が、円環の下半分を切り欠いた形状であり、形状保持部材3042の内周の一部が、躯体3外表面のうち湾曲の内側部分と接触して、躯体3外部から、湾曲の内側から外側に向かう方向に躯体3を支持する。
【0093】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。図25は、本実施の形態4にかかるカテーテルを、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【0094】
図25に示すように、実施の形態4にかかるカテーテル401は、穿刺針2および躯体403を有する。躯体403は、躯体3と同様に、管形状を有する。躯体403の先端403aは、穿刺針2の基端側面2cと接着剤等を介して固定接続し、基端403bには薬剤供給時にポンプや薬剤リザバーが接続する。
【0095】
躯体403の先端部分403Aは、穿刺針2が湾曲する曲率半径とほぼ同等の曲率半径で湾曲し、たとえばたとえば円C1の円周に沿って湾曲する湾曲形状を保持する。先端部分403Aは、薬剤投与対象の生体組織内に導入された場合にも、前述した湾曲形状を保持できる程度の一定の強度を有する。躯体403の基端部分403Bは、先端部分403Aよりも柔軟な材料で形成される。先端部分403Aは、基端部分403Bよりも硬い性質の樹脂材料または天然ゴム材料によって形成される。
【0096】
カテーテル401においても、作業者は、カテーテル1と同様に、臓器内に穿刺針2および躯体403先端を貫通させた後に、穿刺針2と躯体403の接続位置近傍で躯体403のみを切断し、残存する躯体403の先端から、穿刺針2および切断した躯体403を先端方向に引き抜いてから、ストッパ8A,8Bを用いて、躯体3本体を臓器に留置固定する。
【0097】
このカテーテル401のように、躯体403の先端部分403Aを湾曲形状とした場合には、ワイヤまたは形状保持部材を削除できるとともに、実施の形態1と同様に、躯体403が穿刺針2の先端部分が形成した湾曲した一定のU字形ルートにそのまま沿って生体組織内に挿入できるため、生体組織への不要な圧迫を防止するとともに、一定のU字形の穿刺ルートで円滑に生体組織に導入できる。
【0098】
なお、実施の形態4においても、穿刺針および躯体の外径を先端から基端に向かって同径とするほか、実施の形態1における図8〜図10に示す例のように、穿刺針および躯体の外径を変更させてもよい。
【0099】
また、実施の形態4においては、図26のカテーテル501のように、穿刺針2の基端面2bに接続するワイヤ4を設け、躯体403内部に挿入することによって、躯体403の湾曲形状の維持をさらに確実化してもよい。躯体403の先端403aから薬剤吐出用の側孔5,6までの部分は確実に湾曲形状を保持しなければならないため、ワイヤ4の基端4bは、少なくとも側孔5,6に達していればよい。また、図27に示すカテーテル601のように、躯体403の先端部分403Aの外表面のうち、湾曲の内側に対応する部分を、形状保持部材3042で湾曲の内側から外側に向かって支持することによって、躯体403の湾曲形状の維持をさらに確実化してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1,201,301,401,501,601 カテーテル
2,25,302 穿刺針
3,33,36,203,403 躯体
3c 内部ルーメン
4,41,42,43,47,47A,48A,48B ワイヤ
5,6 側孔
304,3041,3042 形状保持部材
304d 窓
【技術分野】
【0001】
この発明は、生体組織内に少なくとも一部が導入されるカテーテルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人間を含む哺乳動物の生体組織内に直接導入されて、長期間にわたって生体組織に薬剤を吐出するデバイスとして、静脈注射等を行なう場合と同様にカテーテルで構成される。このようなカテーテルは、内部にルーメンを有する細長い形状をなし、先端部の側孔を、薬剤投与対象の腫瘍内に配置するように直接穿刺することで、薬剤投与ルートが形成される。また、このようなカテーテルは、ストッパ等のさらに別の固定手段によって、腫瘍のある臓器に係留されることが多い。カテーテルは、腫瘍および臓器を貫通して配置され、少なくともその先端にストッパ等を取付けることで、臓器からカテーテルが抜けないように、臓器に対し固定される。
【0003】
このようなカテーテルにおいては、腫瘍および臓器にカテーテルを直接穿刺して臓器内にカテーテルを配置する手術をともなうため、カテーテルの穿刺によって臓器を傷付けないように慎重に手術をする必要がある。特に、腫瘍および臓器へ穿刺を開始する際には、臓器の表面に速やかにカテーテルを挿入しないと、臓器または腫瘍を圧迫して押し潰す危険性が増すおそれがある。この危険を減らすため、従来、カテーテル先端に金属製の針を設け、軟らかい腫瘍および臓器の表面からの速やかなカテーテルの挿入を実現できる構成が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
また、腫瘍および臓器への侵襲を減らして臓器を保護するため、カテーテルの穿刺ルートを、たとえば1〜2mm以下の径まで細くするとともに、カテーテルの穿刺ルートを直線ではなくU字形に近付けて、臓器内のカテーテルの穿刺ルートを短縮化することが望ましい。具体的には、臓器表面であって腫瘍または腫瘍に近い側からカテーテルの穿刺を開始し、穿刺開始側とは異なる側の腫瘍近辺からカテーテルが突出するように、腫瘍内を貫通穿刺させる。このU字形の穿刺ルートを形成するためには、カテーテルを湾曲形状に保持しながら穿刺する必要があり、湾曲したシースと、ガイドとして機能する内筒針とを有するカテーテルが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7463934号明細書
【特許文献2】特開2005−341987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、カテーテルの穿刺作業に加え、臓器内にカテーテルを挿入する作業においても、腫瘍および臓器内にカテーテルを速やかに導入しながら、腫瘍および臓器への圧迫を回避する必要がある。
【0007】
特許文献1記載のカテーテルにおいては、カテーテル先端に金属製の針が設けられているため、腫瘍および臓器の表面から臓器内に速やかにカテーテル先端を挿入することができる。しかしながら、特許文献1記載のカテーテルにおいては、針の先端からカテーテルの留置部に至るまでの領域は、一定の湾曲形状を有していないため、カテーテルが一定の湾曲したU字形の穿刺ルートから外れて、腫瘍および臓器を圧迫するおそれがあった。このため、特許文献1記載のカテーテルを用いる場合には、時間をかけて慎重に挿入作業を行う必要があり、時間と手間がかかっていた。
【0008】
特許文献2に記載されたカテーテルにおいては、先端が樹脂材料等で構成される場合には、腫瘍および臓器の表面から速やかにカテーテル先端を穿刺、挿入することができず、軟らかい臓器がカテーテル先端によって圧迫されるおそれがある。
【0009】
また、特許文献2に記載されたカテーテルにおいては、穿刺抵抗が大きい樹脂製のカテーテルによる先端で腫瘍および臓器内に穿刺ルートを形成することになり、腫瘍および臓器を圧迫せずスムーズにカテーテルを進めることが難しかった。
【0010】
さらに、湾曲内筒針の円筒内側でカテーテルを保持して基端側から押していく特許文献2に記載の構成では、穿刺ルートを作るための湾曲内筒針の強度が足りず、極細のカテーテルが実現できず、穿刺ルートをより細くすることができなかった。
【0011】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、生体組織への不要な圧迫を防止するとともに、カテーテルを細径化した場合であっても一定のU字形の穿刺ルートで円滑に生体組織に導入できるカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるカテーテルは、生体組織内に少なくとも一部が導入されるカテーテルであって、鋭利な先端を有する穿刺針と、内部ルーメンと、前記内部ルーメンと連通する側孔を有し、少なくとも一部が柔軟である躯体と、を有し、前記穿刺針の基端と前記躯体の先端とは、互いに接続されており、前記穿刺針から前記躯体の一部まで略一定の曲率半径で湾曲した形状を保持することを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記穿刺針の基端と接続する前記略一定の曲率半径で湾曲したワイヤをさらに備え、前記ワイヤは、前記内部ルーメンに挿入されて湾曲形状を保持したまま前記躯体の一部と接触して支持することを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ワイヤは、前記内部ルーメンから、湾曲の外側に向かって前記躯体を支持することを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ワイヤは、当該ワイヤの長軸方向と直交する断面が円であることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ワイヤは、前記躯体を支持する部分において、先端側の外径が基端側の外径よりも大きいことを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記躯体は、前記ワイヤに支持される部分において、先端側の内径が基端側の内径よりも大きいことを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ワイヤは、ほぼ全周にわたって前記躯体と接触して前記躯体を支持することを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ワイヤは、外周の一部が前記躯体と接触して前記躯体を支持することを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ワイヤは、当該ワイヤの長軸方向と直交する断面が半円であることを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ワイヤは、当該ワイヤの長軸方向と直交する断面が円環を切り欠いた形状であることを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ワイヤは、前記躯体と複数の点で接触して前記躯体を支持することを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記ワイヤは、複数設けられることを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記穿刺針の基端と接続する前記略一定の曲率半径で湾曲したワイヤをさらに備え、前記ワイヤは、前記躯体の側壁に前記挿入されて湾曲形状を保持したまま前記躯体の一部と接触して支持することを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記穿刺針の基端と接続する前記略一定の曲率半径で湾曲した形状保持部材をさらに備え、前記形状保持部材は、前記躯体が内部に挿入され、湾曲形状を保持したまま前記躯体の一部と接触して支持することを特徴とする。
【0026】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記形状保持部材は、側壁の少なくとも一部に開閉可能である窓部を有し、前記窓部が開いた状態で前記躯体の一部が露出することを特徴とする。
【0027】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記形状保持部材は、湾曲の内側の部分で前記躯体の外表面を支持することを特徴とする。
【0028】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記形状保持部材は、当該形状保持部材の長軸方向と直交する断面が円環であることを特徴とする。
【0029】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記形状保持部材は、ほぼ全内周にわたって前記躯体と接触して前記躯体を支持することを特徴とする。
【0030】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記形状保持部材は、内周の一部が前記躯体と接触して前記躯体を支持することを特徴とする。
【0031】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記形状保持部材は、当該形状保持部材の長軸方向と直交する断面が円環を切り欠いた形状であることを特徴とする。
【0032】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記躯体の一部は、前記略一定の曲率半径で湾曲した形状を保持することを特徴とする。
【0033】
また、この発明にかかるカテーテルは、湾曲する前記穿刺針および前記躯体の一部は、少なくとも一部の外径が先端から基端に向かって小さくなることを特徴とする。
【0034】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記穿刺針の外径は、先端から基端に向かって小さくなることを特徴とする。
【0035】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記躯体の外径は、先端から基端に向かって小さくなることを特徴とする。
【0036】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記穿刺針の最大外径は、前記躯体の最大外径以上であることを特徴とする。
【0037】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記穿刺針と前記躯体との接続部において、前記穿刺針の外径は、前記穿刺針と前記躯体との接続部における前記躯体の外径以上であることを特徴とする。
【0038】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記穿刺針の最大外径は、前記穿刺針と前記躯体との接続部における前記穿刺針の外径以上であることを特徴とする。
【0039】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記躯体は、先端側の外径が基端側の外径以上であることを特徴とする。
【0040】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記穿刺針および前記ワイヤは、金属材料によって形成され、前記躯体は、樹脂材料または天然ゴムによって形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0041】
この発明にかかるカテーテルにおいては、穿刺針の基端と躯体の先端とが互いに接続されており、穿刺針から前記躯体の一部まで略一定の曲率半径で湾曲した形状を保持するため、躯体が、穿刺針の鋭利な先端が形成した一定の湾曲した穿刺ルートにそのまま沿って生体組織内に挿入できることから、生体組織への不要な圧迫を防止するとともに、カテーテルを細径化した場合であっても一定のU字形の穿刺ルートで円滑に生体組織に導入できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、実施の形態1にかかるカテーテルの全体図である。
【図2】図2は、図1に示すカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図3】図3は、図1に示すカテーテルの分解図である。
【図4A】図4Aは、図1に示すカテーテルの生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【図4B】図4Bは、図1に示すカテーテルの生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【図4C】図4Cは、図1に示すカテーテルの生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【図4D】図4Dは、図1に示すカテーテルの生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【図4E】図4Eは、図1に示すカテーテルの生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【図5】図5は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図6】図6は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図7】図7は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図8】図8は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図9】図9は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図10】図10は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図11】図11は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図12】図12は、図11のA−A線断面図である。
【図13】図13は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの躯体を、当該躯体帯の長手方向との直交軸で切断した断面図である。
【図14】図14は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの躯体を、当該躯体帯の長手方向との直交軸で切断した断面図である。
【図15】図15は、実施の形態1にかかる他のカテーテルの躯体を、当該躯体帯の長手方向との直交軸で切断した断面図である。
【図16】図16は、実施の形態2にかかるカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図17】図17は、図16のB−B線断面図である。
【図18】図18は、実施の形態3にかかるカテーテルの全体図である。
【図19】図19は、実施の形態3にかかるカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図20】図20は、図19のC−C線断面図である。
【図21】図21は、実施の形態3にかかる他のカテーテルの全体図である。
【図22】図22は、図21に示すカテーテルの要部の拡大図である。
【図23】図23は、実施の形態3にかかる他のカテーテルの全体図である。
【図24】図24は、図23のD−D線断面図である。
【図25】図25は、実施の形態4にかかるカテーテルを、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図26】図26は、実施の形態4にかかる他のカテーテルを、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図27】図27は、実施の形態4にかかる他のカテーテルを、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態として、人間を含む哺乳動物の生体組織内に少なくとも一部導入されるカテーテルについて説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。図面は模式的なものであり、各部の寸法の関係や比率は、現実と異なることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる。
【0044】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。図1は、本実施の形態1にかかるカテーテルの全体図である。図2は、図1に示すカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【0045】
図1および図2に示すように、実施の形態1にかかるカテーテル1は、穿刺針2、躯体3およびワイヤ4を備える。
【0046】
穿刺針2は、カテーテル1の先端に配置する。穿刺針2は、鋭利な最先端2aを有する。穿刺針2は、全体として湾曲した形状をなす。穿刺針2は、略一定の曲率半径で湾曲する。たとえば、穿刺針2は、図1および図2に示す円C1の円周に沿って湾曲する。穿刺針2の外径は、鋭利な最先端2a部分を除く先端部分ら基端部分までほぼ同径である。穿刺針2は、チタンやステンレス等の金属材料によって形成される。
【0047】
躯体3は、細長い管形状をなし、内部ルーメン3cを有する。躯体3の側面には、内部ルーメン3cとそれぞれ連通する二つの側孔5,6が設けられる。たとえば、躯体3の先端3aの内側面と穿刺針2の基端側面2cとが接着剤等を介して互いに接続されることによって、躯体3の先端3aは、穿刺針2の基端側で固定接続する。穿刺針2の外径と躯体3の外径とは、ほぼ同一であり、接続部分における穿刺針2の外表面と躯体3の外表面とは、なだらかに連続する。躯体3の基端3bは、薬剤供給時にポンプや薬剤リザバーが接続する。躯体3の外径は、先端3aから基端3bまでほぼ同径であるとともに、穿刺針2の外径とほぼ同径である。躯体3は、ポリエチレン、ポリウレタン等の樹脂材料やシリコン、天然ゴムなどの生体適合性を有する柔軟な材料によって形成される。
【0048】
ワイヤ4は、耐食鋼などによって形成される。ワイヤ4の先端4aは、穿刺針2の基端面2bに固定接続される。ワイヤ4は、穿刺針2が湾曲する曲率半径とほぼ同等の曲率半径で湾曲する。したがって、ワイヤ4は、穿刺針2と同様に、たとえば円C1の円周に沿って湾曲する。ワイヤ4の外径は、先端4aから基端4bまでほぼ同径である。ワイヤ4の外径は、躯体3の内部ルーメン3c径よりも小さく、ワイヤ4の基端4bは、図3の矢印のように、躯体3の先端3aから内部ルーメン3cに挿入される。ワイヤ4は、躯体の内部ルーメン3cに先端3aから挿入された場合に、少なくとも躯体3に形成された側孔5,6よりも躯体3の基端3b側にワイヤ4の基端4bが位置するように、長さが設定される。躯体3は、柔軟な管形状をなし、躯体3の先端3aからワイヤ4の基端4bが位置する部分まではワイヤ4の外周の少なくとも一部が躯体3内表面と接触して躯体3を湾曲形状に支持するため、挿入されたワイヤ4の湾曲にしたがって、たとえば円C1の円周に沿って湾曲することとなる。したがって、ワイヤ4は、躯体3の内部ルーメン3cに挿入されて湾曲形状を保持したまま躯体3の一部と接触して支持する機能を有する。ワイヤ4は、躯体3に挿入された場合であり、かつ、躯体3が薬剤投与対象の生体組織内に導入された場合であるときにも、前述した湾曲形状を保持できる程度の一定の強度を有する。ワイヤ4は、たとえば、長軸方向と直行する断面が円形である。
【0049】
次に、カテーテル1を薬剤投与対象の腫瘍を有する臓器などの生体組織に穿刺および留置する手順について説明する。図4A〜図4Eは、図1に示すカテーテル1の生体組織への穿刺および留置を説明する図である。
【0050】
まず、操作者は、穿刺針2の基端側を把持し、臓器の表面に穿刺針2の鋭利な最先端2aを当て、穿刺針2を押して臓器に穿刺針2を最先端2aから図4Aの矢印Yaの方向に挿入する。続けて、操作者は、穿刺針2および穿刺針2に接続する躯体3の臓器Liへの挿入を進める。この場合、穿刺針2および躯体3の一部は、前述した略一定の曲率半径で湾曲した湾曲形状を保持するため、操作者による穿刺針2および躯体3の挿入動作によって、前述した略一定の曲率半径を有する円C1の円周に沿うように湾曲した一定のU字形の穿刺ルートで、臓器Li内に進入する。やがて、穿刺針2の最先端2aは、臓器Li反対側の表面に到達する。操作者は、さらに、穿刺針2の最先端2aが臓器Liから突出するまで穿刺針2および躯体3を矢印Yaの方向に押し進め、穿刺針2および躯体3を臓器Liに貫通させる。操作者は、穿刺針2の最先端2aが臓器Liを貫通して臓器Li外に出た後では、露出している穿刺針2の先端部分を把持するように持ち換えて、矢印Ybのように穿刺針2を引き出すことによって躯体3の臓器Liへの導入を進める。
【0051】
躯体3内部に挿入されるワイヤ4の湾曲形状にしたがって躯体3も湾曲形状を保持するため、穿刺針2の基端が臓器Liから引き出された後も引き続き、湾曲した穿刺ルートを外れることなく躯体3の臓器Liへの挿入が継続する。このとき、躯体3は、矢印Pbのように、ワイヤ4が、躯体3の内部ルーメン3cから湾曲の外側に向かって躯体3を支持するため、躯体3が内側に向かって変形することはなく、臓器Liが図中下方向に圧迫されることがない。すなわち、カテーテル1においては、躯体3の外側の壁を躯体3内側からワイヤ4で押さえるため、U字形の湾曲した穿刺ルートの内側方向に躯体3が外れて、臓器を圧迫することを防ぐことができる。
【0052】
図4Aに示すように、躯体3の先端3aが臓器Liを貫通し、薬剤投与対象の腫瘍内に側孔5,6が到達した場合、操作者は、穿刺針2の矢印Yb方向の引出しを停止する。このとき、臓器Li表面から一定長さの躯体3が突出している。続いて、操作者は、穿刺針2と躯体3の接続位置近傍であり、接続位置よりも基端3b側の位置Pc(図4B参照)で、躯体3のみを切断する。その後、図4Cおよび図4Dの矢印のように、操作者は、躯体3本体がそのままの状態で、残存する躯体3の先端3dから、穿刺針2および穿刺針2の基端面2bに接続するワイヤ4を先端方向に引き抜く。先端3aを含む切断された躯体3の一部も、接続する穿刺針2の引き抜きによって、穿刺針2およびワイヤ4とともに、躯体3本体から分離される。残存した躯体3からはワイヤ4が引き抜かれるが、ワイヤ4引き抜き後に躯体3を大幅に進退させることはないため、躯体3本体は、臓器Li内では湾曲した形状をそのまま保持する。
【0053】
続いて、操作者は、図4Eに示すように、臓器Liから突出した躯体3の先端3dを、球状のストッパ8Aを用いて臓器Li表面に固定するとともに、臓器Li基端側表面においても、躯体3を別のストッパ8Bを用いて臓器Liに固定させる。ストッパ8A,8Bは、臓器Liの表面に当接して、躯体3本体は、臓器Liに留置固定される。
【0054】
その後、躯体3の基端3bには、リザバー15内に保持された薬剤16を送出するポンプ14と接続される。リザバー15内の薬剤16は、ポンプ14の駆動によって、躯体3の基端3bから躯体3の内部ルーメン3cに送出され、側孔5,6から吐出することによって臓器Li内の腫瘍に供給される。
【0055】
このように、実施の形態1にかかるカテーテル1は、穿刺針2および躯体3の先端3aから少なくとも側孔5,6までの領域が略一定の曲率半径で湾曲した湾曲形状を保持するため、穿刺針2に加え穿刺針2基端に接続する躯体3も、穿刺針2の先端部分が形成した湾曲した一定のU字形ルートにそのまま沿うようにして生体組織内に挿入することができる。したがって、実施の形態1によれば、穿刺針2および躯体3の生体組織内への挿入経路は、一定のU字形ルートから外れることがないため、一定のU字形ルートから外れることに起因する腫瘍および臓器の圧迫が発生しない。
【0056】
また、実施の形態1にかかるカテーテル1は、先端の穿刺針2全体が金属材料で形成される上に、穿刺針2の最先端2aは鋭利な形状を有するため、軟らかい生体組織を圧迫することなく、生体組織表面に速やかにカテーテル1を穿刺、挿入することができる。また、実施の形態1にかかるカテーテル1は、穿刺抵抗が低い金属製の穿刺針2の鋭利な最先端2aで穿刺ルートを形成するため、柔らかい生体組織を圧迫することなく、円滑かつ安全に、カテーテル1を生体組織内に進めることができる。
【0057】
また、穿刺針2基端に接続する躯体3の少なくとも側孔5,6までの領域は、穿刺針2が湾曲する曲率半径とほぼ同等の曲率半径で湾曲する金属製のワイヤ4が内部に挿入されることによって、穿刺針2と同様の曲率半径で湾曲した形状を保持している。すなわち、躯体3は、穿刺針2が形成した穿刺ルートそのままに対応する形状を保持する。したがって、生体組織内への挿入時において、躯体3は、穿刺針2が形成した穿刺ルートをそのまま通るため、穿刺ルートから外れることによる躯体3の挿入の停滞も起こらない。このため、作業者は、穿刺ルートから躯体3が外れないように時間をかけて躯体3を挿入させる必要もなく、短時間で円滑に躯体3を挿入できる。
【0058】
また、実施の形態1にかかるカテーテル1においては、操作者は、穿刺針2による生体組織貫通後、基端側の躯体3を生体組織に押し込むのではなく、貫通した穿刺針2の先端部分を把持して生体組織から穿刺針2を引き出すことによって躯体3を生体組織に挿入するため、躯体3の押し込みに起因する生体組織への不要な圧迫を避けながら、より簡易にカテーテル留置の手技を実現することが可能になる。
【0059】
また、実施の形態1にかかるカテーテル1においては、ワイヤ4は、穿刺針2とほぼ同様の曲率半径で湾曲するように躯体3の内面から躯体3を支持できれば足りるため、ワイヤ4を形成する金属材料として強度の強い材料を選択すれば、躯体3の細径化にも十分対応できる。
【0060】
また、実施の形態1にかかるカテーテル1においては、ワイヤ4は、少なくとも側孔5,6の基端側に基端4bが位置するように躯体3内部に挿入されているため、躯体3に挿入するワイヤ4の向きを調整することによって、側孔5,6が湾曲に対して相対的にどの方向を向くかを任意に設定できる。具体的には、側孔5,6の向きを、湾曲の内側(図1下方向)、外側(図1上方向)、または、湾曲に対する直交方向側(図1の紙面裏側あるいは紙面表側)に設定することができる。このように、実施の形態1によれば、湾曲を基準として、生体組織内に投与する薬剤の投与方向を任意に設定できるため、所望の部位に対して的確に薬剤投与を実行することができる。
【0061】
以上のように、実施の形態1にかかるカテーテル1によれば、生体組織への不要な圧迫を防止するとともに、カテーテルを細径化した場合であっても一定のU字形の穿刺ルートで円滑に生体組織に導入できる。
【0062】
なお、実施の形態1にかかるカテーテル1においては、ワイヤ4の外径が躯体3の内部ルーメン3c径よりも小さい場合を例に説明したが、もちろん、これに限らない。たとえば、図5に示すように、先端41aから基端41bにわたって、躯体3の内部ルーメン3c径と略同一の外径を有するワイヤ41を躯体3内に挿入してもよい。この場合、ワイヤ41は、ほぼ全周にわたって躯体3の内表面と接触して躯体3を支持するため、躯体3は、ワイヤ41が接触する部分においては局地的に凹むことが全くない。このため、躯体3の凹みによって生体組織へのカテーテルの挿入処理が阻害されることがないため、円滑かつ安全にカテーテルを生体組織内に挿入することができる。
【0063】
また、図6に示すように、外径が先端42aから基端42bにわたって徐々に細くなるように形成されたワイヤ42を躯体3内に挿入してもよい。ワイヤ42は、躯体3を支持する部分において、先端42a側の外径が基端42b側の外径よりも大きくなっている。このようなワイヤ42を用いた場合、ワイヤ42外表面と躯体3内表面との接触面積が小さくなるため、躯体3内部からワイヤ42を抜く際におけるワイヤ42の外表面と躯体3内表面との接触抵抗の発生確率も下げられ、ワイヤ42を抜き出しやすくなる。
【0064】
また、図7に示すように、外径が先端43aから基端43bにわたって徐々に細くなるように形成されたワイヤ43と、ワイヤ43に支持される部分において、先端33a側の内径R33aが基端側の内径R33bよりも大きくなる躯体33とを用いてカテーテルを構成してもよい。躯体33は、外径が穿刺針2とほぼ同径であり、ワイヤ43に支持される部分においては、先端33aから基端までの管壁の厚みが徐々に厚くなっており、先端33a側の厚みD33aが、ワイヤ43の基端43bが位置する部分の厚みD33bよりも薄い。ワイヤ43は、躯体33の内表面とほぼ全周にわたって接触して躯体3を支持できるように、外径が設定されている。
【0065】
このため、図7に示す例においては、ワイヤ43が接触する部分においては躯体33が局地的に凹むことが全くなく、円滑かつ安全にカテーテルを生体組織内に挿入することができる。また、ワイヤ43は、外径が先端43aから基端43bにわたって徐々に細くなるように形成されており、躯体33は、ワイヤ43に支持される部分では、先端33a側の内径が基端側の内径よりも大きくなるように形成されているため、躯体3内部から先端33a側に向かってワイヤ42を抜く過程においては、ワイヤ43の外表面と躯体33内表面との接触が発生しにくくなり、ワイヤ43を抜き出しやすくなる。さらに、躯体33は、ワイヤ43に支持される部分では、ワイヤ43の先端43aから基端43bに向かって小さくなる外径に対応して、先端33aから基端に向かって内径が小さくなっているため、躯体33の基端方向にワイヤ43が必要以上に挿入されることがない。なお、図7に示す例では、ワイヤ43の外径と躯体33の内径の双方を対応させて変えた例について説明したが、もちろんこれに限らず、躯体の厚みのみを変えて躯体の内径のみを変化させてもよい。
【0066】
また、穿刺針の外径と躯体の外径とは、必ずしも同一でなくともよい。穿刺針が形成した穿刺ルートを躯体が円滑に挿入できるように、少なくとも穿刺針の最大外径が躯体3の最大外径以上であれば足りる。したがって、たとえば図8に示すように、穿刺針24は、躯体3の最大外径D3よりも大きな最大外径D24を有していてもよい。この場合、穿刺針24の接続部近辺の外径を躯体3の外径D3に近づけるように徐々に小さくすることによって、穿刺針24と躯体3との接続部近辺において生じる角24dのある段差を、たとえば、0.5mm以下となるように小さくして、カテーテル側面の角をできるだけなだらかにすることが望ましい。
【0067】
また、湾曲する穿刺針および躯体の一部は、少なくとも一部の外径が先端方向から基端方向に向かって小さくなれば、穿刺針で形成した穿刺ルートを躯体が確実かつ円滑に通ることができる。
【0068】
たとえば、図9に示すように、先端部分から基端面25bに向かって外径が小さくなる穿刺針25を用いる。なお、穿刺針25は、穿刺針2と同様に鋭利な最先端25aを有する。穿刺針25においては、最先端25aを除く先端部分の外径D25aは、穿刺針25と躯体3との接続部である基端25bの外径D25bよりも大きく、穿刺針25の最大外径である。また、穿刺針25における穿刺針25と躯体3との接続部である基端25bの外径D25bは、躯体3の外径D3よりも大きい。
【0069】
このような構成においては、穿刺針25の先端部分が形成した穿刺ルートの内径よりも、穿刺針25の先端25a以降の外径および躯体3の外径が小さいため、穿刺針25および躯体3は穿刺ルートを確実かつ円滑に通ることができる。
【0070】
そして、たとえば、図10に示すように、少なくともワイヤ4によって支持される部分において、先端36aから基端に向かって外径が小さくなる躯体36を用いてもよい。躯体36においては、先端36aの外径D36aは、ワイヤ4の基端4bに対応する部分の外径D36bよりも大きい。この場合、穿刺針2の先端部分が形成した穿刺ルートの内径よりも躯体36の外径が小さい上に、躯体36が徐々に細くなっているため、躯体36は穿刺ルートを確実かつ円滑に通ることができる。このように、穿刺針および躯体の外径は、腫瘍および臓器等の生体組織を穿刺しやすいように適宜可変できる。
【0071】
また、実施の形態1においては、ワイヤが、U字形に湾曲した穿刺ルートの内側から外側に向かって躯体3を支持できれば、躯体3が、穿刺ルートを外れて、湾曲の内側方向に向かって生体組織を圧迫することはない。このため、図11および図12に示すワイヤを用いてもよい。
【0072】
図11は、実施の形態1にかかるカテーテルの要部の他の例を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。図12は、図11のA−A線断面図である。図11および図12に示すように、ワイヤ47は、先端47aから基端47bに渡って、ワイヤ47の長軸方向と直交する断面が、円の下半分を切り欠いた半円であり、ワイヤ47の外周の一部が躯体3内表面のうち湾曲の内側部分に対応する部分と接触して、躯体3内部から、湾曲の内側から外側に向かう方向に躯体3を支持する。また、躯体3を湾曲の内側から外側に向かって支持できれば、図13に示すように、ワイヤ47Aの長軸方向と直交する断面が、円環の下半分を切り欠いた形状であってもよい。また、実施の形態1においては、躯体3内表面と複数の点で設置して躯体3を湾曲形状に支持してもよく、図14のワイヤ48A,48Bのように、ワイヤを複数設けてもよい。
【0073】
また、湾曲の外側の躯体の凹みを小さくするため、湾曲に対して躯体の厚みを相対的に変えてもよい。たとえば、図15の躯体39のように、湾曲の外側に対応する部分の厚みD39uを、湾曲の内側に対応する部分の厚みD39dよりも厚くしてもよい。
【0074】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。図16は、実施の形態2にかかるカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。図17は、図16のB−B線断面図である。
【0075】
図16および図17に示すように、実施の形態2にかかるカテーテル201は、穿刺針2、躯体203およびワイヤ204を有する。
【0076】
躯体203は、実施の形態1における躯体3と同様に、生体適合性を有する柔軟な材料によって形成されるとともに、側面には、内部ルーメン3cとそれぞれ連通する二つの側孔5,6が設けられる。躯体203の先端203aは、穿刺針2の基端側の基端側面2cと固定接続する。躯体203は、躯体3と比して、先端203aからワイヤ204が挿入可能であるワイヤ挿入用ルーメン203eが側壁に設けられる。
【0077】
ワイヤ204は、先端204aが穿刺針2の基端面2bに固定接続されるとともに、穿刺針2が湾曲する曲率半径とほぼ同等の曲率半径で湾曲する。ワイヤ204は、穿刺針2と同様に、たとえば円C1の円周に沿って湾曲する。ワイヤ204は、躯体203の側壁のワイヤ挿入用ルーメン203eに挿入されて、湾曲形状を保持したまま躯体203の一部と接触して支持する。なお、ワイヤ挿入用ルーメン203eは、ワイヤ204の先端204aから基端204bまでの全てを収納できる長さに設定されている。
【0078】
カテーテル201においても、作業者は、実施の形態1の場合と同様に、臓器内に穿刺針2および躯体203先端を貫通させた後に、穿刺針2と躯体3の接続位置近傍で躯体203のみを切断し、残存する躯体203の先端203aから、穿刺針2およびワイヤ204を先端方向に引き抜いてから、ストッパ8A,8Bを用いて躯体3本体を臓器に留置固定する。
【0079】
このカテーテル201のように、ワイヤ204を躯体203の側壁に挿入して躯体203の一部を湾曲形状に支持した場合も、実施の形態1と同様に、躯体203が穿刺針2の先端部分が形成した湾曲した一定のU字形ルートにそのまま沿って生体組織内に挿入できるため、生体組織への不要な圧迫を防止するとともに、一定のU字形の穿刺ルートで円滑に生体組織に導入できる。
【0080】
なお、実施の形態2においても、穿刺針および躯体の外径を先端から基端に向かって同径とするほか、実施の形態1における図8〜図10に示す例のように、穿刺針および躯体の外径を変更させてもよい。
【0081】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。図18は、本実施の形態3にかかるカテーテルの全体図である。図19は、実施の形態3にかかるカテーテルの要部を、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。図20は、図19のC−C線断面図である。
【0082】
図18〜図20に示すように、実施の形態3にかかるカテーテル301は、鋭利な最先端302aを有する穿刺針302、穿刺針302の基端側面302cと先端3aが接続する躯体3、および、形状保持部材304とを有する。
【0083】
穿刺針302は、実施の形態1における穿刺針2と同様に、金属材料で形成され、たとえば円C1の円周に沿って湾曲する湾曲形状を有する。
【0084】
形状保持部材304は、中空の円筒形状を有し、当該形状保持部材304の長軸方向と直交する断面が円環である。形状保持部材304は、先端304aが穿刺針302の基端面302bに固定接続される。また、形状保持部材304は、穿刺針302が湾曲する曲率半径とほぼ同等の曲率半径で湾曲し、穿刺針302と同様に、たとえば円C1の円周に沿って湾曲する。形状保持部材304の外径および内径は、先端304aから基端304bまでほぼ同径である。形状保持部材304の外径は、穿刺針302の最大外径以下である。形状保持部材304の内径は、躯体3の外径よりも大きい。躯体3は、形状保持部材304内部に挿入される。形状保持部材304の長さは、挿入された躯体3の先端3aから側孔5,6が位置するまでの長さよりも長い。躯体3は、柔軟な管形状である。このため、形状保持部材304は、躯体3の先端3aから形状保持部材304の基端304bが位置する部分までは、ほぼ全内周にわたって躯体3と接触して躯体3を支持する。形状保持部材304は、形状保持部材304の湾曲の内側の部分で躯体3の外表面を支持する。形状保持部材304は、挿入された躯体3を湾曲形状に保持できる程度の一定の強度を有する。形状保持部材304は、生体適合性を有する金属材料等によって形成される。
【0085】
カテーテル301においては、作業者は、実施の形態1の場合と同様に臓器内に穿刺針302および形状保持部材304先端を貫通させた後に、穿刺針302と躯体3の接続位置近傍で躯体3のみを切断し、臓器から穿刺針302および形状保持部材304を先端方向に引き抜いてから、ストッパ8A,8Bを用いて、臓器内に残存する躯体3本体を臓器に留置固定する。
【0086】
このカテーテル301のように、形状保持部材304内に躯体3を挿入して躯体3の一部を湾曲形状に支持した場合には、形状保持部材304が、形状保持部材304の湾曲の内側の部分で躯体3の外表面を支持するため、躯体3が臓器から押されて変形することはなく、穿刺針302の先端部分が形成した湾曲した一定のU字形ルートにそのまま沿って生体組織内に挿入できる。また、カテーテル301においては、躯体3外壁は形状保持部材304内壁によって押さえられているため、湾曲したU字形の穿刺ルートを躯体3が外れて臓器を圧迫することも防ぐことができる。このため、実施の形態3においても、生体組織への不要な圧迫を防止するとともに、一定のU字形の穿刺ルートで円滑に生体組織に導入できる。
【0087】
なお、実施の形態3においては、図21および図22に示す構成を適用して、躯体3の切断を容易化してもよい。図21は、実施の形態3にかかる他のカテーテルの全体図である。図22は、図21に示すカテーテルの要部の拡大図である。
【0088】
図21および図22に示すカテーテル301Aにおいては、形状保持部材3041は、側壁の少なくとも一部に、矢印のように開閉可能である窓304dを有する。この窓304dが開いた状態で、形状保持部材3041内部の躯体3の一部が露出する。作業者は、開いた窓304dを介して、露出した躯体3を容易に切断することができる。
【0089】
また、実施の形態3においては、穿刺針302および形状保持部材304が穿刺ルートを確実かつ円滑に通れるように、穿刺針302の先端部分が形成した穿刺ルートの内径よりも、穿刺針302の先端以降の外径および形状保持部材304の外径が小さければよい。少なくとも穿刺針302の最大外径が躯体3の最大外径以上であれば足りる。したがって、たとえば図8に示すように、穿刺針24は、躯体3の最大外径D3よりも大きな最大外径D24を有していてもよい。この場合、穿刺針24の接続部近辺の外径を躯体3の外径D3に近づけるように徐々に小さくすることによって、穿刺針24と躯体3との接続部近辺において生じる段差を、たとえば、0.5mm以下となるように小さくして、カテーテル側面の角をできるだけ小さくすることが望ましい。
【0090】
また、湾曲する穿刺針および躯体の一部は、少なくとも一部の外径が先端方向から基端方向に向かって小さくなれば、穿刺針で形成した穿刺ルートを躯体が確実かつ円滑に通ることができる。たとえば、先端部分の外径が穿刺針の最大外径であって、先端から基端に向かって外径が小さくなる穿刺針を用いてもよい。また、穿刺針よりも外径の小さい形状保持部材を用いてもよい。また、先端から基端に向かって外径が小さくなる形状保持部材を用いてもよい。
【0091】
また、実施の形態3においては、形状保持部材は、U字形に湾曲した穿刺ルートの内側から外側に向かって躯体3を湾曲形状に支持できれば、躯体によって生体組織が湾曲の内側に圧迫されることはない。図23は、実施の形態3にかかる他のカテーテルの全体図である。図24は、図23のD−D線断面図である。
【0092】
図23および図24に示すように、形状保持部材3042は、先端3042aから基端3042bに渡って、形状保持部材3042の長軸方向と直交する断面が、円環の下半分を切り欠いた形状であり、形状保持部材3042の内周の一部が、躯体3外表面のうち湾曲の内側部分と接触して、躯体3外部から、湾曲の内側から外側に向かう方向に躯体3を支持する。
【0093】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。図25は、本実施の形態4にかかるカテーテルを、当該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【0094】
図25に示すように、実施の形態4にかかるカテーテル401は、穿刺針2および躯体403を有する。躯体403は、躯体3と同様に、管形状を有する。躯体403の先端403aは、穿刺針2の基端側面2cと接着剤等を介して固定接続し、基端403bには薬剤供給時にポンプや薬剤リザバーが接続する。
【0095】
躯体403の先端部分403Aは、穿刺針2が湾曲する曲率半径とほぼ同等の曲率半径で湾曲し、たとえばたとえば円C1の円周に沿って湾曲する湾曲形状を保持する。先端部分403Aは、薬剤投与対象の生体組織内に導入された場合にも、前述した湾曲形状を保持できる程度の一定の強度を有する。躯体403の基端部分403Bは、先端部分403Aよりも柔軟な材料で形成される。先端部分403Aは、基端部分403Bよりも硬い性質の樹脂材料または天然ゴム材料によって形成される。
【0096】
カテーテル401においても、作業者は、カテーテル1と同様に、臓器内に穿刺針2および躯体403先端を貫通させた後に、穿刺針2と躯体403の接続位置近傍で躯体403のみを切断し、残存する躯体403の先端から、穿刺針2および切断した躯体403を先端方向に引き抜いてから、ストッパ8A,8Bを用いて、躯体3本体を臓器に留置固定する。
【0097】
このカテーテル401のように、躯体403の先端部分403Aを湾曲形状とした場合には、ワイヤまたは形状保持部材を削除できるとともに、実施の形態1と同様に、躯体403が穿刺針2の先端部分が形成した湾曲した一定のU字形ルートにそのまま沿って生体組織内に挿入できるため、生体組織への不要な圧迫を防止するとともに、一定のU字形の穿刺ルートで円滑に生体組織に導入できる。
【0098】
なお、実施の形態4においても、穿刺針および躯体の外径を先端から基端に向かって同径とするほか、実施の形態1における図8〜図10に示す例のように、穿刺針および躯体の外径を変更させてもよい。
【0099】
また、実施の形態4においては、図26のカテーテル501のように、穿刺針2の基端面2bに接続するワイヤ4を設け、躯体403内部に挿入することによって、躯体403の湾曲形状の維持をさらに確実化してもよい。躯体403の先端403aから薬剤吐出用の側孔5,6までの部分は確実に湾曲形状を保持しなければならないため、ワイヤ4の基端4bは、少なくとも側孔5,6に達していればよい。また、図27に示すカテーテル601のように、躯体403の先端部分403Aの外表面のうち、湾曲の内側に対応する部分を、形状保持部材3042で湾曲の内側から外側に向かって支持することによって、躯体403の湾曲形状の維持をさらに確実化してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1,201,301,401,501,601 カテーテル
2,25,302 穿刺針
3,33,36,203,403 躯体
3c 内部ルーメン
4,41,42,43,47,47A,48A,48B ワイヤ
5,6 側孔
304,3041,3042 形状保持部材
304d 窓
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織内に少なくとも一部が導入されるカテーテルであって、
鋭利な先端を有する穿刺針と、
内部ルーメンと、前記内部ルーメンと連通する側孔を有し、少なくとも一部が柔軟である躯体と、
を有し、
前記穿刺針の基端と前記躯体の先端とは、互いに接続されており、
前記穿刺針から前記躯体の一部まで略一定の曲率半径で湾曲した形状を保持することを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記穿刺針の基端と接続する前記略一定の曲率半径で湾曲したワイヤをさらに備え、
前記ワイヤは、前記内部ルーメンに挿入されて湾曲形状を保持したまま前記躯体の一部と接触して支持することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記ワイヤは、前記内部ルーメンから、湾曲の外側に向かって前記躯体を支持することを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記ワイヤは、当該ワイヤの長軸方向と直交する断面が円であることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記ワイヤは、前記躯体を支持する部分において、先端側の外径が基端側の外径よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記躯体は、前記ワイヤに支持される部分において、先端側の内径が基端側の内径よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記ワイヤは、ほぼ全周にわたって前記躯体と接触して前記躯体を支持することを特徴とする請求項4に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記ワイヤは、外周の一部が前記躯体と接触して前記躯体を支持することを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記ワイヤは、当該ワイヤの長軸方向と直交する断面が半円であることを特徴とする請求項8に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記ワイヤは、当該ワイヤの長軸方向と直交する断面が円環を切り欠いた形状であることを特徴とする請求項8に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記ワイヤは、前記躯体と複数の点で接触して前記躯体を支持することを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記ワイヤは、複数設けられることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記穿刺針の基端と接続する前記略一定の曲率半径で湾曲したワイヤをさらに備え、
前記ワイヤは、前記躯体の側壁に前記挿入されて湾曲形状を保持したまま前記躯体の一部と接触して支持することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記穿刺針の基端と接続する前記略一定の曲率半径で湾曲した形状保持部材をさらに備え、
前記形状保持部材は、前記躯体が内部に挿入され、湾曲形状を保持したまま前記躯体の一部と接触して支持することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記形状保持部材は、側壁の少なくとも一部に開閉可能である窓部を有し、
前記窓部が開いた状態で前記躯体の一部が露出することを特徴とする請求項14に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記形状保持部材は、湾曲の内側の部分で前記躯体の外表面を支持することを特徴とする請求項14に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記形状保持部材は、当該形状保持部材の長軸方向と直交する断面が円環であることを特徴とする請求項14に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記形状保持部材は、ほぼ全内周にわたって前記躯体と接触して前記躯体を支持することを特徴とする請求項17に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記形状保持部材は、内周の一部が前記躯体と接触して前記躯体を支持することを特徴とする請求項14に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記形状保持部材は、当該形状保持部材の長軸方向と直交する断面が円環を切り欠いた形状であることを特徴とする請求項19に記載のカテーテル。
【請求項21】
前記躯体の一部は、前記略一定の曲率半径で湾曲した形状を保持することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項22】
湾曲する前記穿刺針および前記躯体の一部は、少なくとも一部の外径が先端から基端に向かって小さくなることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記穿刺針の外径は、先端から基端に向かって小さくなることを特徴とする請求項22に記載のカテーテル。
【請求項24】
前記躯体の外径は、先端から基端に向かって小さくなることを特徴とする請求項22に記載のカテーテル。
【請求項25】
前記穿刺針の最大外径は、前記躯体の最大外径以上であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項26】
前記穿刺針と前記躯体との接続部において、前記穿刺針の外径は、前記穿刺針と前記躯体との接続部における前記躯体の外径以上であることを特徴とする請求項25に記載のカテーテル。
【請求項27】
前記穿刺針の最大外径は、前記穿刺針と前記躯体との接続部における前記穿刺針の外径以上であることを特徴とする請求項25に記載のカテーテル。
【請求項28】
前記躯体は、先端側の外径が基端側の外径以上であることを特徴とする請求項25に記載のカテーテル。
【請求項29】
前記穿刺針および前記ワイヤは、金属材料によって形成され、
前記躯体は、樹脂材料または天然ゴムによって形成されることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項1】
生体組織内に少なくとも一部が導入されるカテーテルであって、
鋭利な先端を有する穿刺針と、
内部ルーメンと、前記内部ルーメンと連通する側孔を有し、少なくとも一部が柔軟である躯体と、
を有し、
前記穿刺針の基端と前記躯体の先端とは、互いに接続されており、
前記穿刺針から前記躯体の一部まで略一定の曲率半径で湾曲した形状を保持することを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記穿刺針の基端と接続する前記略一定の曲率半径で湾曲したワイヤをさらに備え、
前記ワイヤは、前記内部ルーメンに挿入されて湾曲形状を保持したまま前記躯体の一部と接触して支持することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記ワイヤは、前記内部ルーメンから、湾曲の外側に向かって前記躯体を支持することを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記ワイヤは、当該ワイヤの長軸方向と直交する断面が円であることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記ワイヤは、前記躯体を支持する部分において、先端側の外径が基端側の外径よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記躯体は、前記ワイヤに支持される部分において、先端側の内径が基端側の内径よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記ワイヤは、ほぼ全周にわたって前記躯体と接触して前記躯体を支持することを特徴とする請求項4に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記ワイヤは、外周の一部が前記躯体と接触して前記躯体を支持することを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記ワイヤは、当該ワイヤの長軸方向と直交する断面が半円であることを特徴とする請求項8に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記ワイヤは、当該ワイヤの長軸方向と直交する断面が円環を切り欠いた形状であることを特徴とする請求項8に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記ワイヤは、前記躯体と複数の点で接触して前記躯体を支持することを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記ワイヤは、複数設けられることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記穿刺針の基端と接続する前記略一定の曲率半径で湾曲したワイヤをさらに備え、
前記ワイヤは、前記躯体の側壁に前記挿入されて湾曲形状を保持したまま前記躯体の一部と接触して支持することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記穿刺針の基端と接続する前記略一定の曲率半径で湾曲した形状保持部材をさらに備え、
前記形状保持部材は、前記躯体が内部に挿入され、湾曲形状を保持したまま前記躯体の一部と接触して支持することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記形状保持部材は、側壁の少なくとも一部に開閉可能である窓部を有し、
前記窓部が開いた状態で前記躯体の一部が露出することを特徴とする請求項14に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記形状保持部材は、湾曲の内側の部分で前記躯体の外表面を支持することを特徴とする請求項14に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記形状保持部材は、当該形状保持部材の長軸方向と直交する断面が円環であることを特徴とする請求項14に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記形状保持部材は、ほぼ全内周にわたって前記躯体と接触して前記躯体を支持することを特徴とする請求項17に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記形状保持部材は、内周の一部が前記躯体と接触して前記躯体を支持することを特徴とする請求項14に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記形状保持部材は、当該形状保持部材の長軸方向と直交する断面が円環を切り欠いた形状であることを特徴とする請求項19に記載のカテーテル。
【請求項21】
前記躯体の一部は、前記略一定の曲率半径で湾曲した形状を保持することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項22】
湾曲する前記穿刺針および前記躯体の一部は、少なくとも一部の外径が先端から基端に向かって小さくなることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記穿刺針の外径は、先端から基端に向かって小さくなることを特徴とする請求項22に記載のカテーテル。
【請求項24】
前記躯体の外径は、先端から基端に向かって小さくなることを特徴とする請求項22に記載のカテーテル。
【請求項25】
前記穿刺針の最大外径は、前記躯体の最大外径以上であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項26】
前記穿刺針と前記躯体との接続部において、前記穿刺針の外径は、前記穿刺針と前記躯体との接続部における前記躯体の外径以上であることを特徴とする請求項25に記載のカテーテル。
【請求項27】
前記穿刺針の最大外径は、前記穿刺針と前記躯体との接続部における前記穿刺針の外径以上であることを特徴とする請求項25に記載のカテーテル。
【請求項28】
前記躯体は、先端側の外径が基端側の外径以上であることを特徴とする請求項25に記載のカテーテル。
【請求項29】
前記穿刺針および前記ワイヤは、金属材料によって形成され、
前記躯体は、樹脂材料または天然ゴムによって形成されることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2013−9914(P2013−9914A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145942(P2011−145942)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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