説明

カニクイザルトール様受容体3

カニクイザルトール様受容体3(cynoTLR3)をコードする単離されたポリヌクレオチド、これらのポリヌクレオチドの発現により入手可能なポリペプチド、これらの組み換え細胞、方法、及び使用が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カニクイザルトール様受容体3(Cynomolgus monkey Toll-Like Receptor 3)(cynoTLR3)及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
宿主免疫系による微生物抗原の認識は、自然免疫受容体により媒介され、その自然免疫受容体の活性化は炎症反応の開始における重要な段階を表す。トール様受容体(TLR)は、外来抗原に対する免疫反応の媒介において極めて重大な役割を果たす自然免疫受容体の仲間である。TLR3は、二重鎖RNA(dsRNA)並びに合成dsRNA類似体ポリ−リボイノシン−リボシチジル酸(ポリ(I:C))を認識する病原体関連分子パターン認識受容体である。例えば、アレクソポロウ(Alexopoulou)ら、ネイチャー(Nature)413:732(2001年)を参照のこと。更に、TLR3は、壊死細胞から放出されるmRNAなどの内因性リガンドを認識することが示されており、このことは炎症部位における壊死細胞の死がTLR3の活性化を引き起こしうることを示唆している。例えば、カリコ(Kariko)ら、ジャーナルオブバイオロジカルケミストリー(J. Biol. Chem.)26:12542(2004年)を参照のこと。
【0003】
dsRNA又はポリ(I:C)リガンドによるTLR3の活性化は、炎症性サイトカイン及びケモカインの分泌を誘発し、感染に伴う炎症の際の疾患の転帰を調節することができる。重要なことに、TLR3のインビボ活性化は、ウイルス感染、又は炎症に伴う壊死の状況下で起こる。タベタ(Tabeta)ら、米国科学アカデミー紀要(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)101:3516(2004年)を参照。また、カリコ(Kariko)ら、ジャーナルオブバイオロジカルケミストリー(J. Biol. Chem.)26:12542(2004年)を参照のこと。例えば、ヒトTLR3ペプチド鎖は、HSV−1ウイルスによる感染を制御することが必要とされる中枢神経系(CNS)において発現するが、TLR3欠乏患者ではこのウイルスが上皮から脳神経を介して中枢神経系へと広がって単純ヘルペス脳炎を引き起こす。例えば、チャン(Zhang)ら、サイエンス(Science)317:1522(2007年)参照のこと。更に、ヒトTLR3ペプチド鎖の活性化は、例えば、肝臓組織の原発性胆汁性肝硬変などの病的状態に伴う炎症反応を引き起こす。例えば、タキイ(Takii)ら、ラボラトリーインベスティゲーション(Lab. Invest.)85:836(2005年)を参照のこと。
【0004】
全体的に、これらのデータは、TLR3の活性化が、自然免疫に寄与する多くの炎症性サイトカインの生成を引き起こすリン酸化反応及び転写活性化事象のカスケード反応を開始するということを実証している(タケダ(Takeda)及びアキラ(Akira)、ジャーナルオブデルマトロジカルサイエンス(J. Derm. Sci.)34:73〜82(2004年)に概説されている)。更に、これらのデータは、TLR3活性化の維持が感染に伴う炎症性疾患の調節における重大な要素であるということを示している。公開されたデータは、全身性炎症反応症候群に対する炎症性サイトカインの過剰生成、感染に伴う激しいサイトカインストーム(ファンアメルスフォールト(Van Amersfoort)ら、クリニカルマイクロバイオロジーレビューズ(Clin. Microbiol. Rev.)16:379〜414(2003年)に概説)、及び関節リウマチなどの免疫介在性の慢性症状(ミオセク(Miossec)ら、カレントオピニオンインリューマトロジー(Curr. Opin. Rheumatol.)16:218〜222(2004年)に概説)、及び炎症性腸疾患(オガタ(Ogata)及びヒビ(Hibi)、カレントファーマシューティカルデザイン(Curr. Pharm. Des.)9:1107〜1113(2003年)に概説)に関する発見によって示されるように、この仮説に対して更なる支持を与える。
【0005】
現在では、TLR3の活性を様々な兆候の処置の標的とするために、多くの異なる治療的アプローチがとられている。これらのTLR3治療剤としては、ヒトペプチド鎖に基づくTLR3治療剤、TLR3のモノクローナル抗体アンタゴニスト、及びTLR3リガンドアゴニスト、例えばdsRNA、ポリ(I:C)、並びにTLR3の活性を標的としたこれらの機能的類似体、が挙げられる。モノクローナル抗体アンタゴニストに基づくTLR3治療剤に対して可能性のある兆候としては、炎症状態、敗血症、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、及び自己免疫疾患が挙げられる。アゴニストであるTLR3治療剤に対する可能性のある兆候及び使用としては、ウイルス感染後疲労症候群、神経膠種、前立腺癌、抗ウイルスワクチン、膀胱癌、子宮頸部形成異常、ヒトパピローマウイルス感染、乳癌、ウイルス感染予防、組織再生、及び鳥インフルエンザワクチンが挙げられる。
【0006】
ヒトに使用するためのいずれかのTLR3治療剤の市場導入が可能となる前には、広範な安全試験が必要となる。こうした安全試験には、動物モデルにおけるインビボ安全試験並びにTLR3治療剤のインビトロ試験の両方が必要となる。例えば、抗体に基づくTLR3治療剤は、特定のモデル動物によって発現されたTLR3ペプチド鎖に対する代替の抗体の生成とともに、このような代替の抗体の大幅なインビトロ特性化を必要とする場合がある。このような代替物の生成及びインビトロ特性化は、好適なモデル動物からのTLR3ポリヌクレオチド及びペプチド鎖の使用を必要とする。重要なことには、こうした安全試験のための好適な動物モデルの特定には、ヒトTLR3(SEQ ID NO:13)に対し高い同一性及び相同性を有するTLR3を発現することのできる動物種を特定することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、TLR3治療剤の安全試験のために好適な動物モデルにおいて発現可能であるTLR3及びTLR3ペプチド鎖をコードするポリヌクレオチドの特定が必要とされている。TLR3治療剤の安全性評価のために好適であると特定された動物モデルにおいて、ペプチド鎖を発現しTLR3治療剤の安全性を試験する方法などの関連の方法もまた必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様は、SEQ ID NO:1に示される配列又はその相補配列を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドである。
【0009】
本発明の他の態様は、SEQ ID NO:2に示される配列又はその相補配列を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドである。
【0010】
本発明の他の態様は、SEQ ID NO:3に示される配列又はその相補配列を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドである。
【0011】
本発明の他の態様は、SEQ ID NO:4に示される配列又はその相補配列を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドである。
【0012】
本発明の他の態様は、SEQ ID NO:5に示される配列又はその相補配列を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドである。
【0013】
本発明の他の態様は、SEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、及び7に示される配列からなる群から選択される配列を有する単離されたポリヌクレオチドを含むベクターである。
【0014】
本発明の他の態様は、SEQ ID NO:8に示される配列を有するペプチド鎖を含む単離されたペプチド鎖である。
【0015】
本発明の他の態様は、SEQ ID NO:9に示される配列を有するペプチド鎖を含む単離されたペプチド鎖である。
【0016】
本発明の他の態様は、SEQ ID NO:10に示される配列を有するペプチド鎖を含む単離されたペプチド鎖である。
【0017】
本発明の他の態様は、SEQ ID NO:11に示される配列を有するペプチド鎖を含む単離されたペプチド鎖である。
【0018】
本発明の他の態様は、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、又はSEQ ID NO:11に示される配列を含む少なくとも1つのポリペプチドをコードするRNAを提供する工程と、セルフリー発現システムのコンポーネントを提供する工程と、提供されたRNAからセルフリー発現を開始する工程と、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、又はSEQ ID NO:11に示される配列を含む少なくとも1つのペプチド鎖の発現を確認する工程と、を含む、ペプチド鎖を発現するための方法である。
【0019】
本発明の他の態様は、TLR3治療剤が有害事象を引き起こすかどうかを判定するための方法であって、TLR3治療剤、第1のカニクイザル、及び第2のカニクイザルを提供する工程と、そのTLR3治療剤を第1のカニクイザルに投与する工程と、第1のカニクイザルが第2のサルと比較して有害な症状を呈しているかどうかを判定する工程と、を含む方法であり、この際、第1のカニクイザルによる有害症状の提示は、そのTLR3治療剤が安全でないことを示し、第1のカニクイザルによる有害症状の提示がないことは、そのTLR3治療剤が安全であることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】完全長cynoTLR3ペプチド鎖をコードするポリヌクレオチド(SEQ ID NO:21)コード配列の特徴マップを示している図。
【図2】完全長cynoTLR3ペプチド鎖(SEQ ID NO:2)の特徴マップを示している図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
特許及び特許出願を含み、それらには限定されない全ての刊行文献は、本明細書への参照により、完全に説明されているごとくに、本願に包含される。
【0022】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、文脈で明確に指示されない限り、単数形「a」、「and」、及び「the」は、複数形の言及を含む。したがって、例えば、「ペプチド鎖」への言及は1つ以上のペプチド鎖への言及であり、当業者には公知のそれらの等価物を包含する。
【0023】
別段の規定がない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。本明細書に記載されているのと同様又は同等のあらゆる組成物及び方法を本発明を実施又は試験するために使用することが可能であるが、代表的な組成物及び方法を本明細書に記載する。
【0024】
本発明は、単離されたカニクイザル(Cynomolgus monkey)(マカカファシクラリス(Macaca fascicularis))トール様受容体3(cynoTLR3)ポリヌクレオチド、これらのポリヌクレオチドを含むベクター、単離された宿主細胞、これらのポリヌクレオチドの発現により獲得可能なペプチド鎖、本発明のペプチド鎖を発現するための方法、及びこれらの使用を提供する。
【0025】
TLR3は、病原体関連分子パターン(PAMP)認識受容体であるトール様受容体群の1つである。TLR3は、二本鎖RNAの結合によって活性化される。二本鎖RNA(dsRNA)は、ウイルス感染、他の生物による感染、及び細胞傷害又は壊死による感染の際に生成される。例えば、カリコ(Kariko)ら、ジャーナルオブバイオロジカルケミストリー(J. Biol. Chem.)279:12542(2004年)参照。また、アレクソポロウ(Alexopoulou)ら、ネイチャー(Nature)413:732(2001年)も参照のこと。ウイルス感染に関連するdsRNA又は他の原因によって生成されたdsRNA類の検出に応じたTLR3の活性化は、NF−kBの活性化をもたらし、抗ウイルス性及び免疫系刺激性機能を有するタイプ1インターフェロンの生成を増加させる。例えば、タケダ(Takeda)及びアキラ(Akira)、セルミクロビアル(Cell. Micro.)5:143、144(2003年)を参照のこと。ウイルス感染の状況下でのTLR3活性化の結果として、先天性の及び体液性の免疫機構の抗ウイルス防御が刺激される。例えば、ヒトTLR3ペプチド鎖は、HSV−1ウイルスによる感染を制御することが必要とされる中枢神経系(CNS)において発現し、TLR3欠乏患者ではこのウイルスが上皮から脳神経を介して中枢神経系へと広がって単純ヘルペス脳炎を引き起こす。例えば、チャン(Zhang)ら、サイエンス(Science)317:1522(2007年)参照のこと。他の状況下では、ヒトTLR3ペプチド鎖活性化は、例えば、肝臓組織の原発性胆汁性肝硬変などの病的状態に伴う炎症反応を引き起こす。例えば、タキイ(Takii)ら、ラボラトリーインベスティゲーション(Lab. Invest.)85:836(2005年)を参照のこと。重大なことに、完全長cynoTLR3ペプチド鎖配列(SEQ ID NO:10)は、よく特徴付けられたヒトTLR3ペプチド鎖(SEQ ID NO:13)と95.7%一致しており、及び96.8%類似している。
【0026】
本発明の組成物及び方法は、様々な具体的な用途のために使用することができる。本発明のポリヌクレオチド及びベクターはカニクイザル(マカカファシクラリス)TLR3(cynoTLR3)ペプチド鎖をコードし、これらのペプチド鎖を発現するために使用できるので、有用である。これらのcynoTLR3ペプチド鎖は、更に、組み換え技術によって過剰発現されるか又は他の手段によって宿主動物又は組織へと取り込まれた場合に、dsRNA又は他のTLR3リガンドへの曝露後の抗ウイルス反応を増大させ又は制御するために使用できるので、有用である。
【0027】
cynoTLR3の細胞外領域を含むペプチド鎖はまた、利用可能なTLR3リガンド又はTLR3の活性化にとって必要なTLR3関連タンパク質を結合しこれによりTLR3活性を制御するリガンドシンク(ligand sink)タイプのアンタゴニストとして使用することもできる。cynoTLR3ペプチド鎖はまた、cynoTLR3又は他の供給源からのTLR3の活性のポジティブ又はネガティブ調節のための治療抗体を生成するために使用することもできる。このことは、アゴニスト治療抗体はcynoTLR3又は他のTLR3の活性化を高めるために使用されて感染の制御に役立つことができ、一方アンタゴニスト治療抗体はcynoTLR3又は他のTLR3の活性化を減少させるために使用されてTLR3受容体の活性化が媒介する炎症反応に関連した病的状態の制御に役立つことができるため、望ましい。cynoTLR3ペプチド鎖はまた、cynoTLR3又は他のTLR3の活性を調節することが可能な小分子などの他の治療剤を特定するためのインビトロ又はインビボアッセイに使用することもできる。開示されている発現方法はcynoTLR3ペプチドの発現を可能にするため、これらの方法は有用である。開示されている他の方法はTLR3治療剤の安全性評価を可能にするため、これらの方法は有用である。
【0028】
用語「ポリヌクレオチド」は、糖−リン酸骨格又は他の等価な共有結合化学によって共有結合された核酸塩基鎖を含む分子を意味する。二本鎖及び一本鎖のDNA及びRNAが、ポリヌクレオチドの典型的な例である。
【0029】
用語「相補配列」は、第1の単離ポリヌクレオチド配列と逆平行であり、第1のポリヌクレオチド配列における核酸塩基に対して相補的な核酸塩基を含む第2の単離ポリヌクレオチド配列を意味する。典型的には、このような「相補配列」は、適切な条件下で第1の単離ポリヌクレオチド配列と組み合わされたときに、二本鎖DNA又は二本鎖RNAのような二本鎖のポリヌクレオチド分子を形成することができる。
【0030】
用語「ベクター」は、生体系内で複製されることができる、又はこうした系の間で移動可能である、ポリヌクレオチドを意味する。ベクターポリヌクレオチドは典型的に、生体系においてこれらのポリヌクレオチドの複製又は維持を促進するように機能する複製源又は選択マーカーのような因子を含有する。このような生体系の例としては、細胞、ウイルス、動物、植物、及びベクターを複製することのできる生物学的構成成分を利用して再構成された生体系を挙げてよい。ベクターを含むポリヌクレオチドは、DNA又はRNA分子又はこれらのハイブリッドであってよい。
【0031】
用語「発現ベクター」は、生体系又は再構成された生体系において、その発現ベクター中に存在するポリヌクレオチド配列によってコードされたペプチド鎖の翻訳を命令するために利用することができるベクターを意味する。
【0032】
用語「ペプチド鎖」は、鎖を形成するためにペプチド結合によって結合された少なくとも2つのアミノ酸残基からなる分子を意味する。50を越すアミノ酸からなる大きいペプチド鎖は、「ポリペプチド」又は「タンパク質」と呼ぶことができる。50未満のアミノ酸からなる小さいペプチド鎖は、「ペプチド」と呼ぶことができる。
【0033】
用語「抗体」は、ポリクローナル抗体、ネズミ、ヒト、ヒト化、及びキメラのモノクローナル抗体を包含するモノクローナル抗体、及び抗体フラグメント、部分、又は変異体を含む、免疫グロブリン又は抗体分子を意味する。抗体は、血漿細胞により構造的に発現され及び分泌された分泌タンパク質である。抗体は、lgG、lgA,又はlgMなどのいずれのアイソタイプのものであってもよく、Fabフラグメントなどの抗体フラグメントを含んでいてもよい。抗体はまた、2つの異なるペプチド鎖エピトープを特異的に結合する二重特異性抗体であってもよい。
【0034】
抗体は、ハイブリドーマ作製のような標準的な方法により、又は抗体重鎖及び/若しくは軽鎖遺伝子の不死化B細胞(例えば骨髄腫細胞、又はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、植物細胞、及び昆虫細胞などの他の細胞タイプ)へのトランスフェクションにより不死化された血漿細胞を用いて生成されることができる。
【0035】
本明細書で用いる「モノクローナル抗体」(mAb)とは、ほぼ均質な抗体の集団から得られる抗体(又は抗体フラグメント)を意味する。モノクローナル抗体は極めて特異性が高く、通常、単一の抗原決定基に対して作製される。「モノクローナル」という修飾語は、抗体のほぼ均質な性質を指していうものであり、抗体がいずれかの特定の方法によって作製される必要はない。例えば、マウス(murine)mAbは、コーラー(Kohler)ら、ネイチャー(Nature)256:495(1975年))のハイブリドーマ法によって作製することができる。受容体抗体(通常、別の哺乳動物種、例えばヒト)由来の軽鎖及び重鎖定常領域と関連してドナー抗体(通常はマウス)由来の軽鎖及び重鎖可変領域を含有するキメラmAbは、米国特許第4,816,567号に開示されている方法によって調製することができる。ヒト以外のドナー免疫グロブリン(通常はマウス)に由来するCDRと、結合親和性を保存するために変化させたフレームワーク支持残基を場合に応じて有する、1つ以上のヒト免疫グロブリンに由来する分子の免疫グロブリン由来の残りの部分とを有するヒト化mAbを、クイーン(Queen)らによって開示される技法によって得ることができる(クイーン(Queen)ら、プロシーディングズオブザナショナルアカデミーオブサイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci)(米国)86:10029(1989年)及びホドソン(Hodgson)ら、バイオ/テクノロジー(Bio/Technology)9:421(1991年))。
【0036】
ヒト化に有用なヒトフレームワーク配列の例は、例えば、
www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi、
www.ncbi.nih.gov/igblast、www.atcc.org/phage/hdb.html、
www.mrc−cpe.cam.ac.uk/ALIGNMENTS.php、
www.kabatdatabase.com/top.html、
ftp.ncbi.nih.gov/repository/kabat、www.sciquest.com、
www.abcam.com、www.antibodyresource.com/onlinecomp.html、
www.public.iastate.edu/〜pedro/research_tools.html、
www.whfreeman.com/immunology/CH05/kuby05.htm、
www.hhmi.org/grants/lectures/1996/vlab、
www.path.cam.ac.uk/〜mrc7/mikeimages.html、
mcb.harvard.edu/BioLinks/Immunology.html、
www.immunologylink.com、
pathbox.wustl.edu/〜hcenter/index.html、
www.appliedbiosystems.com、
www.nal.usda.gov/awic/pubs/antibody、www.m.ehime−u.ac.jp/〜yasuhito/Elisa.html、www.biodesign.com、
www.cancerresearchuk.org、www.biotech.ufl.edu、www.isac−net.org、baserv.uci.kun.nl/〜jraats/links1.html、
www.recab.uni−hd.de/immuno.bme.nwu.edu、www.mrc−cpe.cam.ac.uk、www.ibt.unam.mx/vir/V_mice.html、
http://www.bioinf.org.uk/abs、antibody.bath.ac.uk、
www.unizh.ch、www.cryst.bbk.ac.uk/〜ubcg07s、
www.nimr.mrc.ac.uk/CC/ccaewg/ccaewg.html、
www.path.cam.ac.uk/〜mrc7/humanisation/TAHHP.html、
www.ibt.unam.mx/vir/structure/stat_aim.html、
www.biosci.missouri.edu/smithgp/index.html、www.jerini.de、及びカバト(Kabat)らによる「免疫学的関心対象のタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)」、米国衛生省(1987年)に開示されており、それぞれの全文はこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
ヒト以外のいかなる配列も有さない完全なヒトmAbを、例えば、ロンバーグ(Lonberg)ら、ネイチャー(Nature)368:856(1994年)、フィッシュワイルド(Fishwild)ら、ネイチャーバイオテクノロジー(Nature Biotech.)14:845(1996年)、及びメンデス(Mendez)ら、ネイチャージェネティクス(Nature Genetics)15:146(1997年)に参照される方法によってヒト免疫グロブリン形質転換マウスから調製することができる。ヒトmAbはまた、例えば、ナッピク(Knappik)ら、ジャーナルオブモレキュラーバイオロジー(J. Mol. Biol.)296:57(2000年)及びクレブス(Krebs)ら、ジャーナルオブイムノロジカルメソッズ(J. Immunol. Meth.)254:67(2001年)に参照される技術によってファージ提示ライブラリーから調製し及び最適化されることもできる。
【0038】
抗体分子又は調製物は、それがこの抗原に、第2の非同一抗原と比較して、より高い親和性をもって、及び非特異的な態様とは対照的に特異的な態様で、結合する場合に、所与の抗原を「特異的に結合する」という。別の言い方をすれば、抗体分子又は調製物の「特異的な結合」を使用して、2つの異なるペプチド鎖間を区別することができる。
【0039】
「フラグメント」とは、本発明のいずれかのペプチド鎖のいずれかのアミノ酸配列のうちの一部を含むが全部は含まない、アミノ酸配列を有するペプチド鎖である。フラグメントは例えば、シグナルペプチド、細胞外領域、膜貫通領域、若しくは細胞質領域、又はそれらの変異型、例えば異種のアミノ−及び/又はカルボキシ−末端アミノ酸配列を包含する連続した一連の残基等、に対応するアミノ酸配列の一部を有する末端切断型(trancated)ペプチド鎖を包含することができる。宿主細胞によって又は宿主細胞中で生成される本発明のペプチド鎖の分解形態もまた包含される。他の代表的なフラグメントは、α−へリックス又はα−へリックス形成領域、β−シート又はβ−シート形成領域、ターン又はターン形成領域、コイル又はコイル形成領域、親水性領域、疎水性領域、α−両親媒性領域、β−両親媒性領域、フレキシブル領域、表面形成領域、基材結合領域、細胞外領域、及び高抗原性インデックス領域を含むフラグメントのような、構造的又は機能的属性によって特徴付けられる。重要なことには、本発明のペプチド鎖はフラグメントとして使用され又は提供されることができる。
【0040】
「変異型ペプチド鎖」とは、第1のペプチド鎖に対してアミノ酸置換基、挿入基、欠損基、又はこれらの組み合わせが作り込まれた第2のペプチド鎖である。自然発生の、変性された、又は特殊(atypical)アミノ酸を置換基及び挿入基に使用することができる。SEQ ID NO:8及びSEQ ID NO:9により記述されるペプチド鎖は、SEQ ID NO:11に示されるアミノ酸配列を有するペプチド鎖に対する代表的な変異型ペプチド鎖である。
【0041】
「変異型ポリヌクレオチド」とは、第1のポリヌクレオチド配列に対して核酸残基置換基、挿入基、欠損基、又はこれらの組み合わせが作り込まれた第2のポリヌクレオチドである。自然発生の又は変性された核酸塩基を、置換基及び欠損基に使用することができる。SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、及びSEQ ID NO:5により記述されるポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列を有するポリヌクレオチドに対する代表的な変異型ポリヌクレオチドである。
【0042】
用語「TLR3治療剤」とは、治療的効果を提供すると考えられ、そしてその治療的効果を、部分的には、TLR3の活性を介して提供すると考えられる、分子又は調製物を意味する。このようなTLR3は、本発明のペプチド鎖を含んでいてよい。TLR3治療剤の例としては、TLR3と結合してこれを活性化し、増大された抗ウイルス活性及び免疫系刺激の治療的効果を生ずるdsRNA又はポリ(I:C)のような公知のTLR3リガンドが挙げられる。
【0043】
用語「有害な症状」とは、動物により提示され動物に害を示すいずれかの症状が起こったということを意味する。
【0044】
本発明の1つの態様は、SEQ ID NO:1に示される配列又はその相補配列を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドである。SEQ ID NO:1に示されるポリヌクレオチド配列は、cynoTLR3細胞外領域の予測された成熟型を含むペプチド鎖をコードする。
【0045】
本発明のポリヌクレオチドは、自動ポリヌクレオチドシンセサイザーでの固相ポリヌクレオチド合成のような化学合成により生成されてよい。あるいは、本発明のポリヌクレオチドは、PCRに基づく複製、ベクターに基づく複製、又は制限酵素に基づくDNA操作技術などの他の技術によって生成されてもよい。所与の既知の配列のポリヌクレオチドを生成する又は得るための技術は、当該技術分野において周知である。
【0046】
本発明のポリヌクレオチドはまた、転写されているが翻訳されていない配列、終結シグナル、リボソーム結合部位、mRNA安定化配列、イントロン、及びポリアデニル化シグナルなどの、少なくとも1つの非コード配列を含んでもよい。ポリヌクレオチド配列はまた、追加のアミノ酸をコードする追加の配列を含んでもよい。これらの追加のポリヌクレオチド配列は、例えば、マーカー又はタグ配列、例えばゲンツ(Gentz)ら、米国科学アカデミー紀要(Proc. Natl. Acad. Sci.)(米国)86:821(1989年)に記載されているようなヘキサ−ヒスチジンペプチド、又はウィルソン(Wilson)ら、セル(Cell)37:767(1984年)に記載されているようなHAペプチドタグをコードしてもよく、それらは融合ポリペプチドの精製を容易にする。
【0047】
本発明の他の態様は、SEQ ID NO:2に示される配列又はその相補配列を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドである。SEQ ID NO:2に示されるポリヌクレオチド配列は、そのアミノ末端メチオニン残基を有さない予測cynoTLR3シグナルペプチド、及び細胞外領域を含むペプチド鎖をコードする。
【0048】
本発明の他の態様は、SEQ ID NO:3に示される配列又はその相補配列を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドである。SEQ ID NO:3に示されるポリヌクレオチド配列は、cynoTLR3細胞外領域、膜貫通領域、及び細胞質領域の予測成熟型を含むペプチド鎖をコードする。
【0049】
本発明の他の態様は、SEQ ID NO:4に示される配列又はその相補配列を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドである。SEQ ID NO:4に示されるポリヌクレオチド配列は、そのアミノ末端メチオニン残基を有さない予測cynoTLR3シグナルペプチド、細胞外領域、膜貫通領域、及び細胞質領域を含むペプチド鎖をコードする。
【0050】
本発明の他の態様は、SEQ ID NO:5に示される配列又はその相補配列を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドである。SEQ ID NO:5に示されるポリヌクレオチド配列は、完全長cynoTLR3を含むペプチド鎖ををコードするオープンリーディングフレームに隣接する5'及び3'配列を有する核酸である。
【0051】
本発明の他の態様は、SEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、及び7に示される配列からなる群から選択される配列を有する単離されたポリヌクレオチドを含むベクターである。SEQ ID NO:6に示されるポリヌクレオチド配列は、完全長cynoTLR3を含むペプチド鎖をコードするポリヌクレオチド(DNA)発現ベクター指定のp4078である。SEQ ID NO:7に示されるポリヌクレオチド配列は、アミノ末端メチオニン残基を有する予測cynoTLR3シグナル配列と、フレキシブルなグリシンとセリン結合とを介して6つのアミノ末端ヒスチジンアミノ酸残基タグへと融合された細胞外領域と、を含むペプチド鎖をコードするポリヌクレオチド(DNA)発現ベクター指定のp4037である。SEQ ID NO:1、2、3、4、及び5に示されるポリヌクレオチド配列については、上記に記載されている。
【0052】
本発明のベクターは、ポリヌクレオチドを維持し、ポリヌクレオチドを複製し、又は再構成された生体系を包含する生体系において本発明のベクターによりコードされたペプチド鎖の発現を促進するために有用である。
【0053】
ベクターは、細菌プラスミド、バクテリオファージ、トランスポゾン、酵母エピソーム、挿入因子、酵母染色体因子、バキュロウイルス、SV40などのパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、家禽ジフテリアウイルス、仮性狂犬病ウイルス、ピコロナウイルス(picronaviruses)、及びレトロウイルスに由来するベクター、並びにコスミド及びファージミドなどのこれらの組み合わせに由来するベクターのような、染色体由来、エピソーム由来、及びウイルス由来のものであってよい。
【0054】
本発明のベクターは、脂質、緩衝液、又は粒子に適用するために適切なもののような他の賦形剤を有する補助剤とともに、微小粒子中に処方されることができる。
【0055】
本発明の一実施形態では、ベクターは発現ベクターである。
【0056】
発現ベクターは典型的に、このようなベクターによってコードされたペプチド鎖の発現を制御し、調整し、引き起こし、又は許容することができる核酸配列因子を含む。このような因子は、転写エンハンサー結合部位、RNAポリメラーゼ開始部位、リボソーム結合部位、及び所与の発現システムにおけるコードされたペプチド鎖の発現を促進する他の部位を含んでもよい。このような発現システムは、当該技術分野において周知の、細胞に基づく、又は細胞フリーのシステムであってよい。コードされたペプチド鎖の発現に使用するのに好適な核酸配列因子及び親ベクター配列もまた、当該技術分野において周知である。
【0057】
本発明の他の実施形態は、本発明のベクターを含む単離宿主細胞である。
【0058】
本発明のポリペプチドの発現のために有用な代表的なプラスミド由来発現ベクターは、大腸菌複製起点、aph(3')−1aカナマイシン耐性遺伝子、イントロンAを有するHCMV前初期プロモータ、合成ポリA配列、及びウシ成長ホルモンターミネータを含む。他の代表的なプラスミド由来の発現ベクターは、大腸菌複製起点、ant(4')−1aカナマイシン耐性遺伝子、ラウス肉腫ウイルス長末端反復配列、HCMV前初期プロモータ、及びSV40 lateポリA配列を含む。
【0059】
代表的な宿主細胞の例としては、古細菌細胞、細菌細胞、例えば連鎖球菌、ブドウ球菌、腸球菌、大腸菌、ストレプトミセス、シアノバクテリア、枯草菌、及び黄色ブドウ球菌、真菌細胞、例えばクリベロマイセス(Kluveromyces)、サッカロミセス、担子菌(Basidomycete)、カンジダアルビカンス、又はアスペルギルス、昆虫細胞、例えばドロソフィラS2及びスポドプテラSf9、動物細胞、例えばCHO、COS、HeLa、C127、3T3、BHK、293、CV−1、ボーズメラノーマ(Bowes melanoma)、及び骨髄腫、並びに植物細胞、例えば裸子植物又は被子植物細胞が挙げられる。本発明の方法における宿主細胞は、個々の細胞として提供されても細胞群として提供されてもよい。細胞群は、単離された培養された細胞群、又は組織などのマトリックス中に存在する細胞を含んでよい。
【0060】
ベクターなどのポリヌクレオチドの宿主細胞への導入は、デイビス(Davis)ら、ベイシックメソッズインモレキュラーバイオロジー(Basic Methods in Molecular Biology)第2版、アップルトン&ランゲ(Appleton&Lange)、コネチカット州ノーウォーク(Norwalk)(1994年)及びサムブルック(Sambrook)ら、モレキュラークローニング(Molecular Cloning)、ラボラトリーマニュアル(A Laboratory Manual)第3版コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)(2001年)のような研究室のマニュアルにより、当業者には周知の方法によって行われることができる。これらの方法としては、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、マイクロインジェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレープローディング(scrape loading)、弾丸導入(ballistic introduction)、及び感染が挙げられる。
【0061】
本発明の他の態様は、SEQ ID NO:8に示される配列を有するペプチド鎖を含む単離されたペプチド鎖である。SEQ ID NO:8は、cynoTLR3細胞外領域の予測成熟型を含むペプチド鎖である。
【0062】
本発明のペプチド鎖は、自動ペプチドシンセサイザーで固相ペプチド合成などの化学合成により生成されてよい。あるいは、本発明のペプチド鎖は、これらのペプチド鎖をコードするポリヌクレオチドから、網状赤血球溶解物(lystate)に基づく発現システム、小麦胚抽出物に基づく発現システム、及び大腸菌抽出物に基づく発現システムなどのセルフリー発現システムを使用することによって、得ることもできる。本発明のペプチド鎖はまた、容易に単離されるアフィニティ標識されたペプチド鎖の組み換え発現などの当該技術分野において周知の技術により、本発明の核酸配列を内包する細胞から発現及び単離することによって得ることもできる。当業者は、本発明のペプチド鎖を得るための他の技術を認識するであろう。
【0063】
本発明のペプチド鎖は、第2のペプチド鎖と融合された本発明のペプチド鎖を含む融合ペプチド鎖を含んでもよい。このような第2のペプチド鎖は、リーダー又は分泌シグナル配列、プレ−若しくはプロ−又はプレプロ−タンパク質配列、並びに自然発生の、又は一部が自然発生の配列に由来する部分的に合成の配列、又は全合成の配列であってよい。分泌シグナル又はリーダーペプチド鎖配列は、本発明のペプチド鎖の分泌を小胞体の内腔又は細胞外環境に向けるように選択されてよい。このようなペプチド鎖配列は、カニクイザルからのいずれかのペプチド鎖に対して異種又は内因性であってよく、又はこれらのハイブリッドを含んでもよい。
【0064】
本発明のペプチド鎖はまた、製薬上許容できるキャリア又は希釈剤中へと処方されることができる。例えば、0.4%生理食塩水、0.3%グリシンなどの、種々の水性キャリアを使用してよい。これらの溶液は殺菌され、一般には粒子状物質を含まない。これらの溶液は、従来の、よく知られた殺菌技術(例えば、ろ過)などにより殺菌されてよい。組成物は、pH調整剤及び緩衝剤のような製薬上許容できる補助物質を、生理学的状態に近づけるために必要に応じて含有してもよい。そのような薬学的製剤中の本発明のペプチド鎖の濃度は、幅広く変化することができ、すなわち、約0.5重量%未満から、通常は約1%又は少なくとも約1重量%から15又は20重量%程度まで変化でき、主に選択された投与の特定の様式に応じて流体の容積、粘度、及び他の要因に基づいて選択される。
【0065】
本発明のペプチド鎖及び核酸はまた、免疫反応を引き出すためのワクチンなどの、単位用量形態で提供されることのできる医薬品の形態で提供されることもできる。治療に有効な適切な投与量は、当業者にとっては直ちに決定することができる。決定された用量は、必要ならば、治療期間中に医師又は他の当業者(例えば、看護師、獣医、又は獣医学技術者)によって必要に応じて選択された適切な時間間隔で反復されてもよい。
【0066】
本発明のペプチド鎖は、保存のために凍結乾燥することができ、使用前に適切なキャリア中において再構成できる。この技術は、従来のタンパク質調製で有効であることが示されている。凍結乾燥及び再構成技術は、当該技術分野において周知である。
【0067】
本発明の他の態様は、SEQ ID NO:9に示される配列を有するペプチド鎖を含む単離されたペプチド鎖である。SEQ ID NO:9は、そのアミノ末端メチオニン残基を有さない予測cynoTLR3シグナルペプチド、及び細胞外領域を含むペプチド鎖である。
【0068】
本発明の他の態様は、SEQ ID NO:10に示される配列を有するペプチド鎖を含む単離されたペプチド鎖である。SEQ ID NO:10は、cynoTLR3細胞外領域、膜貫通領域、及び細胞質領域の予測成熟型を含むペプチド鎖である。
【0069】
本発明の他の態様は、SEQ ID NO:11に示される配列を有するペプチド鎖を含む単離されたペプチド鎖である。SEQ ID NO:11は、そのアミノ末端メチオニン残基を有さない予測cynoTLR3シグナルペプチド、細胞外領域、膜貫通領域、及び細胞質領域を含むペプチド鎖である。
【0070】
本発明の他の実施形態は、本発明の宿主細胞を提供する工程と、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、又はSEQ ID NO:11に示される配列を含む少なくとも1つのペプチド鎖を発現するために十分な条件下で宿主細胞を培養する工程と、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、又はSEQ ID NO:11に示される配列を含む少なくとも1つのペプチド鎖の発現を確認する工程と、を含む、ペプチド鎖を発現するための方法である。
【0071】
宿主細胞は、所与のタイプの宿主細胞を維持し又は増殖させるのに好適な、及びペプチド鎖を発現させるために十分ないずれかの条件下で培養されることができる。ペプチド鎖の発現に十分な培養条件、培地、及び関連の方法は、当該技術分野において周知である。例えば、多くの哺乳類細胞タイプは、適切に緩衝されたDMEM培地を用いて37℃において好気的に培養することができ、一方細菌、酵母、及び他の細胞タイプは、LB培地中適切な雰囲気条件下で37℃にて培養されてよい。
【0072】
本発明の方法では、ペプチド鎖の発現は、当該技術分野において周知の種々の異なる技術を用いて確認することができる。例えば、ペプチド鎖の発現は、発現されるペプチド鎖に特異的な抗体又は受容体リガンドのような検出試薬を用いて確認することができる。本発明のcynoTLR3ペプチド鎖に対して特異的に結合する抗体は、このような試薬の1つの例である。TLR3に結合するdsRNA又はポリ(I:C)のようなTLR3受容体リガンドは、このような試薬のもう1つの例である。検出試薬は、放射線標識、蛍光色素分子、発色団、又はその検出試薬に対し若しくは検出試薬中に着脱可能な他の分子の、抱合(conjugation)又は組み込みによって、着脱可能に標識されてよい。
【0073】
あるいは、本発明のcynoTLR3ペプチド鎖の発現は、NF−kBの活性化又はタイプIインターフェロンの生成の増大などの、TLR3の活性化に関連する生物学的活性についての分析を行うことによって確認することもできる。このような分析にはまた、TLR3活性化に対して応答するレポーター遺伝子構築物を利用してもよい。
【0074】
ペプチド鎖の発現はまた、ペプチド鎖の調製物において、本発明のペプチド鎖の物理的特性を有するペプチド鎖を特定することによって確認することもできる。例えば、SDS−PAGE技術、及び例えば、タンパク質分子量又は等電点のような基準を利用する他の周知のタンパク質特性化技術を使用して、本発明のペプチド鎖の発現を確認することができる。硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、高速液体クロマトグラフィー、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、及びレクチンクロマトグラフィーのようなタンパク質の精製技術を使用して、本発明のペプチド鎖の発現を確認することができる。
【0075】
重要なことには、本発明の方法では、発現されるペプチド鎖を単離する必要がない。したがって、ペプチド鎖の発現が起こったことは例えば、細胞上若しくは細胞中で、又はペプチド鎖の混合物中で、確認されてもよい。適切な場合には、蛍光活性化細胞分類(FACS)のようなフローサイトメトリーに基づく技術を使用して、細胞によるペプチド鎖の発現を確認してもよい。上述したように、ペプチド鎖の発現は、当該技術分野において既知のいずれの好適な技術を用いて確認されてもよい。
【0076】
本発明の他の実施形態は、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、又はSEQ ID NO:11に示される配列を含む少なくとも1つのペプチド鎖をコードするRNAへと転写されることのできる本発明のポリヌクレオチドを提供する工程と、セルフリー発現システムのコンポーネントを提供する工程と、提供されたポリヌクレオチドからセルフリー発現を開始する工程と、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、又はSEQ ID NO:11に示される配列を含む少なくとも1つのペプチド鎖の発現を確認する工程と、を含む、ペプチド鎖を発現するための方法である。
【0077】
ポリヌクレオチドをRNAへと転写し、ペプチド鎖をコードするRNAを得て、セルフリー発現を開始するための技術は、当該技術分野において周知であり、これらの工程を達成するための試薬キットは、様々な供給元から市販されている。
【0078】
本発明の方法の他の実施形態では、セルフリー発現システムは、網状赤血球溶解物に基づく発現システム、小麦胚抽出物に基づく発現システム、及び大腸菌抽出物に基づく発現システムからなる群から選択される。
【0079】
本発明の他の実施形態は、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、又はSEQ ID NO:11に示される配列を含む少なくとも1つのペプチド鎖をコードするRNAを提供する工程と、セルフリー発現システムのコンポーネントを提供する工程と、提供されたRNAからセルフリー発現を開始する工程と、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、又はSEQ ID NO:11に示される配列を含む少なくとも1つのペプチド鎖の発現を確認する工程と、を含む、ペプチド鎖を発現するための方法である。
【0080】
本発明の方法の他の実施形態では、セルフリー発現システムは、網状赤血球溶解物に基づく発現システム、小麦胚抽出物に基づく発現システム、及び大腸菌抽出物に基づく発現システムからなる群から選択される。
【0081】
本発明の他の実施形態は、本発明の方法によって生成されたペプチド鎖である。このようなペプチド鎖は、例えばグリコシル化又はリン酸化反応を包含する翻訳後修飾を含んでもよい。このようなペプチド鎖はまた、スプライスバリアント、末端切断(truncated)形態、又はタンパク質分解修飾形態などの別のペプチド鎖形態を含んでもよい。
【0082】
本発明の他の実施形態は、本発明のペプチド鎖を特異的に結合する抗体である。本発明のペプチド鎖は、cynoTLR3に対するポリクローナル又はモノクローナル抗体を生成するために使用することができる。タンパク質又は核酸免疫付与を使用するネズミ、キメラ、ヒト化、及び完全ヒトモノクローナル抗体を作製するための技術は、当業者には日常的であり、周知である。こうした技術についての追加の議論及び説明は、上記に見出すことができる。
【0083】
本発明の他の実施形態は、本発明のペプチド鎖を特異的に結合するモノクローナル抗体である。
【0084】
本発明の他の態様は、TLR3治療剤が安全か安全でないかを判定するための方法であって、TLR3治療剤、第1のカニクイザル、及び第2のカニクイザルを提供する工程と、そのTLR3治療剤を第1のカニクイザルに投与する工程と、第1のカニクイザルが第2のサルと比較して有害な症状を呈しているかどうかを判定する工程と、を含む方法であり、この際、第1のカニクイザルによる有害症状の提示は、そのTLR3治療剤が安全でないことを示し、第1のカニクイザルによる有害症状の提示がないことは、そのTLR3治療剤が安全であることを示す。
【0085】
本発明の方法では、提供された第1の及び第2のカニクイザルは、有害な症状の提示に関して同等であるべきである。言い方をかえれば、両方の動物は、どちらも有害な症状を呈していないか、又はそれらが提供されたときに同じ有害症状を呈しているべきである。
【0086】
本発明の方法では、TLR3治療剤は、非経口的に、皮下に、静脈内に、等、いずれかの適切な投与法により投与されることができる。本発明の方法において使用するのに好適なTLR3治療剤の例としては、例えば、dsRNA又はポリ(I:C)などの公知のTLR3リガンド、及びTLR3細胞外領域を含むもののようなペプチド鎖が挙げられる。
【0087】
本発明の方法では、第1のカニクイザルが第2のカニクイザルと比べて有害症状を呈しているかどうかの判定は、容易に達成される。例えば、獣医、獣医の助手、動物技術者、又は研究者などの当業者は、動物により呈される症状が有害であるかどうかを判定できる。有害症状の例としては、死、昏睡、痙攣,発熱、臓器不全、組織異常、臓器機能障害、組織機能障害、癌、腫瘍、潰瘍、出血、感染等が挙げられる。
【0088】
本発明の方法の一実施形態では、TLR3治療剤は抗体である。
【0089】
ここで、以下の具体的及び非限定的な実施例を参照して、本発明を説明する。
【実施例】
【0090】
(実施例1)
完全長カニクイザルトール様受容体3(cynoTLR3)をコードするポリヌクレオチドの単離、クローニング、及びシークエンシング
トリゾール(TRIZOL)(登録商標)試薬(インビトロゲン(Invitrogen)、カリフォルニア州、カールスバッド(Carlsbad))をメーカーの指示に従って用いて、カニクイザルの末梢血単核球(PBMC)からRNAを精製した。スーパースクリプトIIリバーストランスクリプターゼ(SUPERSCRIPT II REVERSE TRANSCRIPTASE)(登録商標)キットを用いて逆転写反応を行い、オリゴ−dTプライマー(oligo-dT primer)を用いてプライムした。最初のPCRクローニングのためのプライマーは、ヒトTLR3ペプチド鎖をコードするポリヌクレオチドの配列に基づいて設計された。次に完全長cynoTLR3ペプチド鎖(SEQ ID NO:11)をコードするポリヌクレオチド(SEQ ID NO:5)のクローニングのためのPCRを、2535プライマー(SEQ ID NO:14)及び2664プライマー(SEQ ID NO:15)を用いて行った。PCRは、以下の条件下で100ngの各プライマーを100ngのcDNAテンプレートとともに用いて行った。94℃ 30秒、60℃ 1分、68℃ 1分を30サイクル、次いで68℃ 5分を1サイクル。RCR反応生成物はアガロースゲル上で分析され、PCRクローン化ポリヌクレオチドに対応するおよそ2700bpのポリヌクレオチドバンドが得られた。
【0091】
クローン化PCR生成物を、キアクイック(QIAQUICK)(登録商標)PCR精製(キアゲン(Qiagen)、カリフォルニア州バレンシア(Valencia))を用いて精製した。PCR生成物を、pCR4 TOPO TA(登録商標)ベクターへとクローン化して、およそ2700bpのPCR生成物について2535プライマー(SEQ ID NO:14)と2664プライマー(SEQ ID NO:15)との間の配列を得た。
【0092】
およそ2700bp PCR生成物からの2535プライマー(SEQ ID NO:14)及び2664プライマー(SEQ ID NO:15)によりマスクされた配列を、5'及び3'RACE(cDNA末端の迅速増幅(Rapid Amplification of cDNA Ends))法によりクローン化した。これは、始めに、上述のようにして得られたcynoTLR3配列を用いてcynoTLR3 cDNAに特異的な2589プライマー(SEQ ID NO:17)、2590プライマー(SEQ ID NO:18)、及び2625プライマー(SEQ ID NO:19)を設計することによって達成された。開始部位の約150〜250bp下流に配置された3'プライマーは、cynoTLR3をコードする完全長ポリヌクレオチドcDNAの5'エンドの増幅、クローニング、及びシークエンシングのための5'ジーンレイサー(GENERACER)(登録商標)プライマーと対をなすように設計された。終結部位の上流約150〜250bpに配置された5'プライマーは、cynoTLR3をコードする完全長ポリヌクレオチドcDNAの3'エンドの増幅、クローニング、及びシークエンシングのための3'ジーンレイサー(GENERACER)(登録商標)プライマーと対をなすように設計された。これらの増幅から得られたPCR生成物を、次にpCR4 TOPO TA(登録商標)ベクターへとクローン化し、ポリヌクレオチドから5'未翻訳配列、アミノ末端コード配列、カルボキシ末端コード配列、及び3'未翻訳配列を得た。追加の配列を得るために使用されるプライマーはSEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、及びSEQ ID NO:19に示される配列を有していた。次に得られた配列の多重配列アラインメントを行って、5'未翻訳配列を含むポリヌクレオチド(SEQ ID NO:5)、完全長cynoTLRペプチド鎖(SEQ ID NO:20)をコードするコード配列、及び3'未翻訳配列を得た。
【0093】
次に、ベクター(Vector)NTI v9.0.0ソフトウェア(インビトロゲン(Invitrogen Corp.)、カリフォルニア州カールスバッド(Carlsbad))を用いて配列分析を行った。完全長cynoTLR3ペプチド鎖中の特定された領域は、図1及び図2に示されるクローン化ポリヌクレオチド(SEQ ID NO:5)によってコードされた。アミノ末端メチオニンは、SEQ ID NO:21のヌクレオチド残基1〜3によってコードされ、SEQ ID NO:20のアミノ酸残基1に対応する。シグナルペプチドは、SEQ ID NO:21のヌクレオチド残基1〜69によってコードされ、SEQ ID NO:20のアミノ酸残基1〜23に対応する。細胞外領域は、SEQ ID NO:21のヌクレオチド残基70〜2112によってコードされ、SEQ ID NO:20のアミノ酸残基24〜704に対応する。膜貫通領域は、SEQ ID NO:21のヌクレオチド残基2113〜2175によってコードされ、SEQ ID NO:20のアミノ酸残基705〜725に対応する。細胞質領域は、SEQ ID NO:21のヌクレオチド残基2176〜2712によってコードされ、SEQ ID NO:20のアミノ酸残基726〜904に対応する。終止コドンは、SEQ ID NO:21のヌクレオチド残基2713〜2715によってコードされる。
【0094】
ベクター(Vector)NTI v9.0.0ソフトウェアのアライン(Align)Xモジュールによって使用されるCLUSTALWアルゴリズムのデフォルト設定を用いて多重配列アラインメント分析を行った。cynoTLR3(SEQ ID NO:21のヌクレオチド残基1−2712)をコードする完全長ポリヌクレオチドコード配列は、よく特徴づけされた完全長ヒトTLR3ペプチド鎖をコードする完全長ポリヌクレオチドコード配列(SEQ ID NO:12のヌクレオチド残基1−2715)と96.8%一致していることが見出された。完全長cynoTLR3ペプチド鎖(SEQ ID NO:20)は、よく特徴付けられた完全長ヒトTLR3ペプチド鎖(SEQ ID NO:13)と95.7%一致していることが見出された。cynoTLR3細胞外領域ペプチド鎖(SEQ ID NO:1)の成熟型は、ヒトTLR3ペプチド鎖(SEQ ID NO:13のアミノ酸残基24〜704)の細胞外領域と95.4%一致していることが見出された。
【0095】
cynoTLR3(SEQ ID NO:21のヌクレオチド残基1−2712)をコードする完全長ポリヌクレオチドコード配列は、アカゲザルTLR3ペプチド鎖をコードする完全長ポリヌクレオチドコード配列(SEQ ID NO:22のヌクレオチド残基1−2712)と99.3%一致していることが見出された。完全長cynoTLR3ペプチド鎖配列(SEQ ID NO:20)は、アカゲザルTLR3ペプチド鎖(SEQ ID NO:23)と98.5%一致していることが見出された。cynoTLR3細胞外領域ペプチド鎖(SEQ ID NO:1)の成熟型は、ヒトTLR3ペプチド鎖(SEQ ID NO:23のアミノ酸残基24−704)の細胞外領域と98.2%一致していることが見出された。アカゲザルTLR3をコードするポリヌクレオチド(SEQ ID NO:22)のクローニングは、サンジャビ(Sanghavi)及びレインハート(Reinhart)により報告された。サンジャビ(Sanghavi)及びレインハート(Reinhart)、ジャーナルオブイムノロジー(J. Immunol.)175:5314(2005年)を参照のこと。
【0096】
(実施例2)
cynoTLR3細胞外領域を含むペプチド鎖の発現及び精製
N末端メチオニンをコードするポリヌクレオチド、cynoTLR3シグナルペプチド鎖、及び6つのアミノ末端ヒスチジンアミノ酸残基タグにフレキシブルなグリシン及びセリン結合を介して融合されたcynoTLR3細胞外領域を構成し、そして哺乳類発現ベクターへとクローン化してp4037発現ベクター構築物(SEQ ID NO:7)を生成した。プライマー2523(SEQ ID NO:16)を使用してp4037の生成を促進する。HEK293細胞を、標準法を用いてp4037で一過性にトランスフェクトした。HEK293細胞株は、ヒト胚腎臓細胞に由来する。これらのHEK293細胞を次いで6日間培養し、細胞培養培地を収集した。次に収集された培地からp4037によってコードされたヒスチジンタグ付cynoTLR3細胞外領域融合ペプチド鎖を単離するためのタロン(TALON)(登録商標)樹脂精製を、メーカー(クロンテックラボラトリーズ(Clontech Laboratories Inc.)、カリフォルニア州マウンテンビュー(Mountain View))の指示に従って行った。次いでTALON(登録商標)樹脂からの溶出液を、非還元サンプル及び還元条件に供したサンプルについて実施したSDS−PAGEによって分析した。SDS−PAGE後にウェスタンブロッティング(Western blotting)を行った。ウェスタンブロットはヒスチジンタグに特異的なプローブを用いてプローブした。還元及び非還元の両方のサンプルのウェスタンブロット分析により、明らかに概算の分子量が98kDalである単量体のタンパク質が発現され及び単離されたということが分かった。p4037によりコードされたcynoTLR3ヒスチジンタグ付cynoTLR3細胞外領域融合ペプチド鎖の算出された分子量は、ウェスタンブロットにおいて検出された98kDalヒスチジンタグ付ペプチド鎖よりも小さい、およそ80kDalであった。しかしながら、p4037によってコードされたペプチド鎖は、15N−結合グリコシル化部位を含み、翻訳後のグリコシル化が、発現されたヒスチジンタグ付タンパク質の分子量の増加に大きく影響していると考えられる。
【0097】
本発明はここに完全に記述され、添付の本発明の請求項の趣旨及び範囲を逸脱しない範囲での、本発明に対する多くの変更及び改良をなしうることは、当業者にとり明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID NO:1に示される配列又はその相補配列を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチド。
【請求項2】
SEQ ID NO:2に示される配列又はその相補配列を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチド。
【請求項3】
SEQ ID NO:3に示される配列又はその相補配列を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチド。
【請求項4】
SEQ ID NO:4に示される配列又はその相補配列を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチド。
【請求項5】
SEQ ID NO:5に示される配列又はその相補配列を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチド。
【請求項6】
SEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、及び7に示される配列からなる群から選択される配列を有する単離されたポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項7】
発現ベクターである請求項6に記載のベクター。
【請求項8】
請求項6に記載のベクターを含む、単離された宿主細胞。
【請求項9】
請求項7に記載のベクターを含む、単離された宿主細胞。
【請求項10】
SEQ ID NO:8に示される配列を有するペプチド鎖を含む単離されたペプチド鎖。
【請求項11】
SEQ ID NO:9に示される配列を有するペプチド鎖を含む単離されたペプチド鎖。
【請求項12】
SEQ ID NO:10に示される配列を有するペプチド鎖を含む単離されたペプチド鎖。
【請求項13】
SEQ ID NO:11に示される配列を有するペプチド鎖を含む単離されたペプチド鎖。
【請求項14】
ペプチド鎖を発現するための方法であって、
a)請求項9に記載の宿主細胞を提供する工程と、
b)SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、又はSEQ ID NO:11に示される配列を含む少なくとも1つのペプチド鎖を発現するのに十分な条件下で前記宿主細胞を培養する工程と、
c)SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、又はSEQ ID NO:11に示される配列を含む少なくとも1つのペプチド鎖の発現を確認する工程と、を含む方法。
【請求項15】
ペプチド鎖を発現するための方法であって、
a)SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、又はSEQ ID NO:11に示される配列を含む少なくとも1つのペプチド鎖をコードするRNAへと転写されることのできる、請求項1、2、3、4、5、6、又は7のポリヌクレオチドを提供する工程と、
b)セルフリー発現システムのコンポーネントを提供する工程と、
c)提供された該ポリヌクレオチドからセルフリー発現を開始する工程と、
d)SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、又はSEQ ID NO:11に示される配列を含む少なくとも1つのペプチド鎖の発現を確認する工程と、を含む方法。
【請求項16】
前記セルフリー発現システムが、網状赤血球溶解物(lystate)に基づく発現システム、小麦胚抽出物に基づく発現システム、及び大腸菌抽出物に基づく発現システムからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ペプチド鎖を発現するための方法であって、
a)SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、又はSEQ ID NO:11に示される配列を含む少なくとも1つのペプチド鎖をコードするRNAを提供する工程と、
b)セルフリー発現システムのコーンポーネントを提供する工程と、
c)提供された前記RNAからセルフリー発現を開始する工程と、
d)SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、又はSEQ ID NO:11に示される配列を含む少なくとも1つのペプチド鎖の発現を確認する工程と、を含む方法。
【請求項18】
前記セルフリー発現システムが、網状赤血球溶解物に基づく発現システム、小麦胚抽出物に基づく発現システム、及び大腸菌抽出物に基づく発現システムからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項14に記載の方法によって生成されたペプチド鎖。
【請求項20】
請求項15に記載の方法によって生成されたペプチド鎖。
【請求項21】
請求項17に記載の方法によって生成されたペプチド鎖。
【請求項22】
請求項10、11、12、13、19、20、21、又は22に記載のペプチド鎖を特異的に結合する単離された抗体。
【請求項23】
請求項10、11、12、13、19、20、21、又は22のペプチド鎖を特異的に結合するモノクローナル抗体。
【請求項24】
TLR3治療剤の安全性を評価するための方法であって、
a)TLR3治療剤、第1のカニクイザル、及び第2のカニクイザルを提供する工程と、
b)前記第1のカニクイザルに対して前記TLR3治療剤を投与する工程と、
c)前記第1のカニクイザイルが前記第2のサルと比較して有害な症状を呈しているかどうかを判定する工程であって、前記第1のカニクイザルによる有害症状の提示は、前記TLR3治療剤が安全ではないことを示し、前記第1のカニクイザルによる有害症状の提示がないことは、前記TLR3治療剤が安全であることを示している工程と、を含む方法。
【請求項25】
前記TLR3治療剤が抗体である、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−507552(P2011−507552A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540856(P2010−540856)
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/088123
【国際公開番号】WO2009/086352
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(509087759)セントコア・オーソ・バイオテツク・インコーポレーテツド (77)
【Fターム(参考)】