説明

カニューレシステム

【課題】内視鏡ポリープ切除術手順を実施するための組成物および方法、ならびにポリマー材料を身体中に導入するために適した器具における改良を提供すること。
【解決手段】複数管腔カニューレ10であって、近位端30および遠位端20;冷却剤の通過を許容するように構成された少なくとも1つの管腔14;および熱応答性のポリマーを含む組成物の通過を許容するように構成された少なくとも1つのさらなる管腔12を備え、ここで、該熱応答性のポリマーが、予備処理温度では低粘度状態であり、そして該予備処理温度より高い処理温度ではより高い粘度状態である、複数管腔カニューレ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2007年8月2日に出願された米国仮特許出願第60/963,049号の利益および該出願への優先権を主張しており、その全体の開示は本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、インサイチュ(in situ)で熱可逆性ポリマー材料を導入するために適したカニューレに関する。
【背景技術】
【0003】
ポリープは、一般に、身体中で膜から突出する成長物である。ポリープの形状は、しばしば、肉茎があるか、または無柄として記載されている。肉茎があるポリープは柄上で成長し、その一方、無柄のポリープは、広いベースを有し得、そして平坦な外観である。しばしば、ポリープは、結腸、膀胱、子宮、子宮頸部、声帯、および/または鼻通路を裏打ちするような粘膜で形成され、そして身体の腔中に突き出る。ポリープは、それらが通路をブロックし、そして/または癌になるかも知れない点で問題である。一般に、ポリーブが大きくなる程、癌になる可能性がより高い。
【0004】
内視鏡ポリープ切除術手順は、肉茎があるポリープを除去する際に有効である;しかし、無柄のポリープはしばしば問題である。例えば、それらの平坦さ、拡散外観のため、無柄のポリープは、つまみ(snare)、そして電気焼灼法で切除することが困難であり得る。いくつかのポリープの切除を容易にするために、生理食塩水がポリープの粘膜下組織に注入され得、ポリープを高くする人工クッションを生成する。しかし、生理食塩水は粘膜下組織中で短い滞留時間を有し:それは、通常、注入後4〜5分以内になくなる。
【0005】
さらに、大きなポリープは、しばしば、全体として除去することが困難であるので、それらは、しばしば、切れ切れの様式で切除される。ポリープ組織の最初の切除の後、注入された溶液は、粘膜下組織から逃れ得、ポリープを崩壊させ、それ故、ポリープの残りの部分を除去することを困難にする。生理食塩水は、再注入され得るが、それは、迅速に逃れ、そしてポリープの残りの部分を高くする際に非常に有効ではない。
【0006】
注入溶液の粘膜下組織滞留時間を改善するための試みが報告されている。例えば、グリセリン、デキストロース、ヒアルロン酸、およびヒドロキシプロピルセルロースの溶液が、注入溶液として報告されている。いくつかの場合には、ヒアルロン酸が有効であり得る。ブタ食道中のヒアルロン酸溶液の平均滞留時間は、21.5分であると報告されている。しかし、これら溶液は、一旦、上記クッションが、内視鏡解剖またはポリープ切除術の間に破られると、粘膜下組織層からなお漏れる。
【0007】
注入溶液をポリープ中に導入するための手段は、内視鏡方法を含み、これは、実施形態では、カテーテルおよび/またはカニューレの使用を含み得る。当業者の範囲内であるように、カニューレは、身体の腔から流体を引き抜く(その中に流体を導入する)ための管状で可撓性の外科用器具を含み得る。カニューレは単一の管腔を有し得るか、または複数の管腔を有し得;2つの管腔のカニューレを含む複数管腔カニューレもまた、当業者の範囲内である。
【0008】
複数管腔カテーテルおよび/またはカニューレの種々の形態がまた公知である。例えば、特許文献1は、2つの並んで配置された円形の管腔を有する血液透析カテーテルを開示している。特許文献2は、同軸の二重管腔カニューレを開示し、そして特許文献3は、同軸の二重管腔カテーテルを記載している。
【特許文献1】米国特許第4,385,631号明細書
【特許文献2】米国特許第4,099,528号明細書
【特許文献3】米国特許第4,493,696号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
内視鏡ポリープ切除術手順を実施するための組成物および方法、ならびにポリマー材料を身体中に導入するために適した器具における改良のための余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(要旨)
本開示は、インサイチュで熱応答性のポリマーを導入するために適した複数管腔カニューレを提供する。このような複数管腔カニューレは、実施形態では、近位端および遠位端、冷却剤の通過を許容するように構成される少なくとも1つの管腔、および熱応答性のポリマーを含む組成物の通過を許容するように構成される少なくとも1つのさらなる管腔を備え、ここで、この熱応答性のポリマーは、予備処理温度では低粘度状態であり、そしてこの予備処理温度より高い処理温度ではより高い粘度状態である。
【0011】
実施形態では、本開示のカニューレは、ポリープ中に熱応答性のポリマーを導入するために利用され得、それらの除去を支援する。
【0012】
これらデバイスで組成物を付与するための方法がまた、提供される。実施形態では、本開示の方法は、熱応答性のポリマーを含む組成物を得る工程であって、ここで、この組成物がポリープ中に注入される前の予備処理温度で低粘度状態にあり、そしてこの予備処理温度より高い処理温度でより高い粘度状態にある工程を含み得る。この組成物は、近位端および遠位端、冷却剤の通過を許容するような形態の少なくとも1つの管腔、および熱応答性のポリマーを含む組成物の通過を許容するような形態の少なくとも第2の管腔を含む複数管腔カニューレを用いて上記ポリープ中に投与され得る。この組成物は暖められ得、それによって上記組成物の粘度を上記より高い粘度状態に増加し、そして上記ポリープは、上記熱応答性のポリマーを含む組成物が上記ポリープ内側に実質的にある間に、除去され得る。
【0013】
本発明は、例えば、以下の手段を提供する。
(項目1A)複数管腔カニューレであって:
近位端および遠位端;
冷却剤の通過を許容するように構成された少なくとも1つの管腔;ならびに
熱応答性のポリマーを含む組成物の通過を許容するように構成された少なくとも1つのさらなる管腔
を備え、
ここで、該熱応答性のポリマーが、予備処理温度では低粘度状態であり、そして該予備処理温度より高い処理温度ではより高い粘度状態である、複数管腔カニューレ。
(項目2A)上記カニューレが、同軸二重管腔カニューレを備える、項目1Aに記載の複数管腔カニューレ。
(項目3A)上記同軸二重管腔カニューレが、上記冷却剤を所有する内側管腔、および上記熱応答性のポリマーを含む組成物を所有する外側管腔を備える、項目2Aに記載の複数管腔カニューレ。
(項目4A)上記同軸二重管腔カニューレが、上記熱応答性のポリマーを含む組成物を所有する内側管腔、および上記冷却剤を所有する外側管腔を備える、項目2Aに記載の複数管腔カニューレ。
(項目5A)上記カニューレの外側管腔の遠位端が、バルブ、ストッパーおよびシールからなる群から選択されるデバイスを所有し、上記冷却剤が該カニューレの遠位端を出ることを防ぐ、項目4Aに記載の複数管腔カニューレ。
(項目6A)上記カニューレの内側管腔の遠位端が、分与ニードルを所有する、項目4Aに記載の複数管腔カニューレ。
(項目7A)上記冷却剤が、水、生理食塩水、エタノール、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、およびそれらの組合せからなる群から選択される、項目1Aに記載の複数管腔カニューレ。
(項目8A)上記冷却剤が、水中の硝酸アンモニウム結晶、水中のヨウ化カリウム、水中の塩化アンモニウム、水中の酢酸アンモニウム、水中のチオシアン酸カリウム、水中のチオシアン酸アンモニウム、水中のチオ硫酸ナトリウム、水中の臭化アンモニウム、尿素を基礎にした溶液、およびそれらの組合せからなる群から選択される溶液を含む、項目1Aに記載の複数管腔カニューレ。
(項目9A)上記熱応答性のポリマーが、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、ポロキサマー、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー、ポリ(n−イソプロピルアクリルアミド)、L−乳酸、グリコリド、ポリグリコリドのPEGトリブロックコポリマー、グリコリドのコポリマー、グリコリド/ラクチドコポリマー、グリコリド/トリメチレンカーボネートコポリマー、D,L−ラクチド、L−ポリラクチド、ポリ−L−ラクチド、ポリ−DL−ラクチドコポリマー、L−ラクチド/DL−ラクチドコポリマー、ε−カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、PEG−グラフト化キトサン、ペクチン−キトサン混合物、メチルセルロース、ゼラチン、熱可逆性ポリマー、およびそれらの組合せからなる群から選択される、項目1Aに記載の複数管腔カニューレ。
(項目10A)上記熱応答性のポリマーを含む組成物が、溶媒、および約10重量%〜約50重量%の、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの第1のブロックコポリマーおよびエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの第2のブロックコポリマーの混合物を含む1つ以上の熱応答性の粘度改変剤を含む、項目1Aに記載の複数管腔カニューレ。
(項目11A)上記熱応答性のポリマーを含む組成物が、総組成物の約10重量%〜約50重量%の量で存在する約7680〜約14600の平均分子量を有する第1のブロックコポリマーを、総組成物の約5重量%〜約50重量%の量で存在する約7680〜約14600の平均分子量を有する第2のブロックコポリマーとの組み合わせで含む、項目10Aに記載の複数管腔カニューレ。
(項目12A)上記熱応答性のポリマーを含む組成物が、酵素、血管収縮薬、化学療法剤、抗微生物剤、抗生物質、およびそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の活性成分をさらに含む、項目1Aに記載の複数管腔カニューレ。
(項目13A)上記熱応答性のポリマーを含む組成物が、約25℃で約50センチポアズ〜約200,000センチポアズの粘度を有する、項目1Aに記載の複数管腔カニューレ。
(項目14A)上記熱応答性のポリマーを含む組成物は、約25℃の予備処理温度で液体であり、そして約37℃の処理温度でゲルである、項目1Aに記載の複数管腔カニューレ。
(項目15A)組成物を付与するシステムであって:
熱応答性のポリマーを含む組成物と、
該組成物を該ポリープ中に投与するための複数管腔カニューレであって:
近位端および遠位端;
冷却剤の通過を許容するように構成される少なくとも1つの管腔;および
熱応答性のポリマーを含む組成物の通過を許容するように構成される少なくとも第2の管腔;
を備える、複数管腔カニューレと、
該組成物を暖め、それによって該組成物の粘度を該より高い粘度状態に増加する手段と、
該熱応答性のポリマーを含む組成物が該ポリープ内側に実質的にある間に、該ポリープを除去する手段と
を備えており、ここで、該組成物がポリープ中に注入される前の予備処理温度で低粘度状態にあり、そして該予備処理温度より高い処理温度でより高い粘度状態にある、システム。
(項目16A)上記カニューレが、上記熱応答性のポリマーを含む組成物を所有する内側管腔、および上記冷却剤を所有する外側管腔を備える同軸二重管腔カニューレを備える、項目15Aに記載のシステム。
(項目17A)上記カニューレの外側管腔の遠位端が、バルブ、ストッパーおよびシールからなる群から選択されるデバイスを所有し、上記冷却剤が該カニューレの遠位端を出ることを防ぐ、項目16Aに記載のシステム。
(項目18A)上記カニューレの内側管腔の遠位端が、分与ニードルを所有する、項目16Aに記載のシステム。
(項目19A)上記冷却剤が、水、生理食塩水、エタノール、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、およびそれらの組合せからなる群から選択される、項目15Aに記載のシステム。
(項目20A)上記冷却剤が、水中の硝酸アンモニウム結晶、水中のヨウ化カリウム、水中の塩化アンモニウム、水中の酢酸アンモニウム、水中のチオシアン酸カリウム、水中のチオシアン酸アンモニウム、水中のチオ硫酸ナトリウム、水中の臭化アンモニウム、尿素を基礎にした溶液、およびそれらの組合せからなる群から選択される溶液を含む、項目15Aに記載のシステム。
(項目21A)上記熱応答性のポリマーを含む組成物が、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、ポロキサマー、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー、ポリ(n−イソプロピルアクリルアミド)、L−乳酸、グリコリド、ポリグリコリドのPEGトリブロックコポリマー、グリコリドのコポリマー、グリコリド/ラクチドコポリマー、グリコリド/トリメチレンカーボネートコポリマー、D,L−ラクチド、L−ポリラクチド、ポリ−L−ラクチド、ポリ−DL−ラクチドコポリマー、L−ラクチド/DL−ラクチドコポリマー、ε−カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、PEG−グラフト化キトサン、ペクチン−キトサン混合物、メチルセルロース、ゼラチン、熱可逆性ポリマー、およびそれらの組合せからなる群から選択される、項目15Aに記載のシステム。
(項目22A)上記熱応答性の組成物が、溶媒、および約10重量%〜約50重量%の、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの第1のブロックコポリマーおよびエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの第2のブロックコポリマーの混合物を含む1つ以上の熱応答性の粘度改変剤を含む、項目15Aに記載のシステム。
(項目23A)上記熱応答性のポリマーを含む組成物が、総組成物の約10重量%〜約50重量%の量で存在する約7680〜約14600の平均分子量を有する第1のブロックコポリマーを、総組成物の約5重量%〜約50重量%の量で存在する約7680〜約14600の平均分子量を有する第2のブロックコポリマーを含む、項目22Aに記載のシステム。
(項目24A)上記熱応答性のポリマーを含む組成物が、酵素、血管収縮薬、化学療法剤、抗微生物剤、抗生物質、およびそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の活性成分をさらに含む、項目15Aに記載のシステム。
(項目25A)上記熱応答性のポリマーを含む組成物が、約25℃で約50センチポアズ〜約200,000センチポアズの粘度を有する、項目15Aに記載のシステム。
(項目26A)上記熱応答性のポリマーを含む組成物は、約25℃の予備処理温度で液体であり、そして約37℃の処理温度でゲルである、項目15Aに記載のシステム。
【0014】
本発明は、さらに、以下の手段を提供する。
(項目1B)複数管腔カニューレであって:
近位端および遠位端;
冷却剤の通過を許容するように構成された少なくとも1つの管腔;ならびに
熱応答性のポリマーを含む組成物の通過を許容するように構成された少なくとも1つのさらなる管腔
を備え、
ここで、該熱応答性のポリマーが、予備処理温度では低粘度状態であり、そして該予備処理温度より高い処理温度ではより高い粘度状態である、複数管腔カニューレ。
(項目2B)上記カニューレが、同軸二重管腔カニューレを備える、項目1Bに記載の複数管腔カニューレ。
(項目3B)上記同軸二重管腔カニューレが、上記冷却剤を所有する内側管腔、および上記熱応答性のポリマーを含む組成物を所有する外側管腔を備える、項目2Bに記載の複数管腔カニューレ。
(項目4B)上記同軸二重管腔カニューレが、上記熱応答性のポリマーを含む組成物を所有する内側管腔、および上記冷却剤を所有する外側管腔を備える、項目2Bに記載の複数管腔カニューレ。
(項目5B)上記カニューレの外側管腔の遠位端が、バルブ、ストッパーおよびシールからなる群から選択されるデバイスを所有し、上記冷却剤が該カニューレの遠位端を出ることを防ぐ、項目4Bに記載の複数管腔カニューレ。
(項目6B)上記カニューレの内側管腔の遠位端が、分与ニードルを所有する、項目4Bに記載の複数管腔カニューレ。
(項目7B)上記冷却剤が、水、生理食塩水、エタノール、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、およびそれらの組合せからなる群から選択される、項目1Bに記載の複数管腔カニューレ。
(項目8B)上記冷却剤が、水中の硝酸アンモニウム結晶、水中のヨウ化カリウム、水中の塩化アンモニウム、水中の酢酸アンモニウム、水中のチオシアン酸カリウム、水中のチオシアン酸アンモニウム、水中のチオ硫酸ナトリウム、水中の臭化アンモニウム、尿素を基礎にした溶液、およびそれらの組合せからなる群から選択される溶液を含む、項目1Bに記載の複数管腔カニューレ。
(項目9B)上記熱応答性のポリマーが、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、ポロキサマー、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー、ポリ(n−イソプロピルアクリルアミド)、L−乳酸、グリコリド、ポリグリコリドのPEGトリブロックコポリマー、グリコリドのコポリマー、グリコリド/ラクチドコポリマー、グリコリド/トリメチレンカーボネートコポリマー、D,L−ラクチド、L−ポリラクチド、ポリ−L−ラクチド、ポリ−DL−ラクチドコポリマー、L−ラクチド/DL−ラクチドコポリマー、ε−カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、PEG−グラフト化キトサン、ペクチン−キトサン混合物、メチルセルロース、ゼラチン、熱可逆性ポリマー、およびそれらの組合せからなる群から選択される、項目1Bに記載の複数管腔カニューレ。
(項目10B)上記熱応答性のポリマーを含む組成物が、溶媒、および約10重量%〜約50重量%の、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの第1のブロックコポリマーおよびエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの第2のブロックコポリマーの混合物を含む1つ以上の熱応答性の粘度改変剤を含む、項目1Bに記載の複数管腔カニューレ。
(項目11B)上記熱応答性のポリマーを含む組成物が、総組成物の約10重量%〜約50重量%の量で存在する約7680〜約14600の平均分子量を有する第1のブロックコポリマーを、総組成物の約5重量%〜約50重量%の量で存在する約7680〜約14600の平均分子量を有する第2のブロックコポリマーとの組み合わせで含む、項目10Bに記載の複数管腔カニューレ。
(項目12B)上記熱応答性のポリマーを含む組成物が、酵素、血管収縮薬、化学療法剤、抗微生物剤、抗生物質、およびそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の活性成分をさらに含む、項目1Bに記載の複数管腔カニューレ。
(項目13B)上記熱応答性のポリマーを含む組成物が、約25℃で約50センチポアズ〜約200,000センチポアズの粘度を有する、項目1Bに記載の複数管腔カニューレ。
(項目14B)上記熱応答性のポリマーを含む組成物は、約25℃の予備処理温度で液体であり、そして約37℃の処理温度でゲルである、項目1Bに記載の複数管腔カニューレ。
(項目15B)組成物を付与する方法であって:
熱応答性のポリマーを含む組成物を得る工程であって、ここで、該組成物がポリープ中に注入される前の予備処理温度で低粘度状態にあり、そして該予備処理温度より高い処理温度でより高い粘度状態にある工程;
該組成物を、以下を備える複数管腔カニューレを用いて該ポリープ中に投与する工程:
近位端および遠位端;
冷却剤の通過を許容するように構成される少なくとも1つの管腔;および
熱応答性のポリマーを含む組成物の通過を許容するように構成される少なくとも第2の管腔;
該組成物を暖め、それによって該組成物の粘度を該より高い粘度状態に増加する工程;および
該熱応答性のポリマーを含む組成物が該ポリープ内側に実質的にある間に、該ポリープを除去する工程、
を包含する、方法。
(項目16B)上記カニューレが、上記熱応答性のポリマーを含む組成物を所有する内側管腔、および上記冷却剤を所有する外側管腔を備える同軸二重管腔カニューレを備える、項目15Bに記載の方法。
(項目17B)上記カニューレの外側管腔の遠位端が、バルブ、ストッパーおよびシールからなる群から選択されるデバイスを所有し、上記冷却剤が該カニューレの遠位端を出ることを防ぐ、項目16Bに記載の方法。
(項目18B)上記カニューレの内側管腔の遠位端が、分与ニードルを所有する、項目16Bに記載の方法。
(項目19B)上記冷却剤が、水、生理食塩水、エタノール、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、およびそれらの組合せからなる群から選択される、項目15Bに記載の方法。
(項目20B)上記冷却剤が、水中の硝酸アンモニウム結晶、水中のヨウ化カリウム、水中の塩化アンモニウム、水中の酢酸アンモニウム、水中のチオシアン酸カリウム、水中のチオシアン酸アンモニウム、水中のチオ硫酸ナトリウム、水中の臭化アンモニウム、尿素を基礎にした溶液、およびそれらの組合せからなる群から選択される溶液を含む、項目15Bに記載の方法。
(項目21B)上記熱応答性のポリマーを含む組成物が、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、ポロキサマー、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー、ポリ(n−イソプロピルアクリルアミド)、L−乳酸、グリコリド、ポリグリコリドのPEGトリブロックコポリマー、グリコリドのコポリマー、グリコリド/ラクチドコポリマー、グリコリド/トリメチレンカーボネートコポリマー、D,L−ラクチド、L−ポリラクチド、ポリ−L−ラクチド、ポリ−DL−ラクチドコポリマー、L−ラクチド/DL−ラクチドコポリマー、ε−カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、PEG−グラフト化キトサン、ペクチン−キトサン混合物、メチルセルロース、ゼラチン、熱可逆性ポリマー、およびそれらの組合せからなる群から選択される、項目15Bに記載の方法。
(項目22B)上記熱応答性の組成物が、溶媒、および約10重量%〜約50重量%の、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの第1のブロックコポリマーおよびエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの第2のブロックコポリマーの混合物を含む1つ以上の熱応答性の粘度改変剤を含む、項目15Bに記載の方法。
(項目23B)上記熱応答性のポリマーを含む組成物が、総組成物の約10重量%〜約50重量%の量で存在する約7680〜約14600の平均分子量を有する第1のブロックコポリマーを、総組成物の約5重量%〜約50重量%の量で存在する約7680〜約14600の平均分子量を有する第2のブロックコポリマーを含む、項目22Bに記載の方法。
(項目24B)上記熱応答性のポリマーを含む組成物が、酵素、血管収縮薬、化学療法剤、抗微生物剤、抗生物質、およびそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の活性成分をさらに含む、項目15Bに記載の方法。
(項目25B)上記熱応答性のポリマーを含む組成物が、約25℃で約50センチポアズ〜約200,000センチポアズの粘度を有する、項目15Bに記載の方法。
(項目26B)上記熱応答性のポリマーを含む組成物は、約25℃の予備処理温度で液体であり、そして約37℃の処理温度でゲルである、項目15Bに記載の方法。
【0015】
(摘要)
本開示は、インサイチュで熱応答性のポリマーを導入するために有用なカニューレを提供する。実施形態では、このカニューレは、1つ以上のカニューレを所有し、上記熱応答性のポリマーは1つのカニューレ中に、そして上記熱応答性のポリマーの早すぎるゲル化を防ぐ冷却剤のような材料は第2のカニューレ中に導入される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(詳細な説明)
本開示は、身体中に1つ以上の熱応答性のポリマーを含む組成物を導入するために適切なカニューレを提供する。実施形態では、この組成物は、予備処理温度で液体のような低粘度状態、そしてこの予備処理温度より高い処理温度でゲルのようなより高い粘度状態であり得る。
【0017】
本開示に従って、複数管腔カニューレが、身体中に1つ以上の熱応答性のポリマーを含む組成物を導入するために利用され得る。この1つ以上の熱応答性のポリマーを含む組成物は、上記熱応答性のポリマーの早すぎるゲル化を、それが身体または任意の注入部位中に導入されるときに防ぐ冷却剤を含む上記複数管腔カニューレの少なくともその他の管腔とともに、少なくとも1つの管腔を通って上記身体中に導入され得る。
【0018】
本開示に従う使用のための複数管腔カニューレは、少なくとも2つの管腔を所有する。実施形態では、上記で注記したように、少なくとも1つの管腔は冷却剤を含み得、少なくとも1つのその他の管腔は、熱応答性のポリマー組成物を所有する。その他の実施形態では、上記カニューレは、制限されないで、1つ以上の医薬、薬物、血液、医療デバイス、ガイドワイヤ、ポリープ切除術手順における使用に適したスネアー、ニードル、光ファイバー、光ファイバー画像化デバイス、光ファイバー診断プローブ、それらの組合せなどを含む、その他の適切な品目および/またはデバイスを収容し得、そしてそれらの通過を許容し得るさらなる管腔を所有し得る。
【0019】
実施形態では、適切な複数管腔カニューレは、二重管腔カニューレであり得る。二重管腔カニューレは、当業者の範囲内の任意の形態を所有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、このカニューレの複数の管腔をすぐ隣に並列して配置するチューブの水平区分をもつ単一のチューブが利用され得る。
【0020】
その他の実施形態では、同軸の二重管腔カニューレが、身体中に上記1つ以上の熱応答性のポリマーを含む組成物を導入するために利用され得る。このようなカニューレは、他方内に配置された1つである同心の管腔を所有し得る。このようなカニューレの断面は、当業者に明らかであり、図1に描写される。図1に描写されるように、カニューレ10は、2つの管腔、内側カニューレ管腔12および外側カニューレ管腔14を含み得る。内側壁16は内側管腔12を取り囲み得、その一方、外側壁18は外側管腔14を取り囲み得る。この内側管腔の直径は、約1mm〜約2mm、実施形態では、約1.25mm〜約1.75mmであり得る。カニューレ10の直径は、約2.8mm未満、実施形態では、約2.2mm〜約2.8mmであり得る。
【0021】
上記1つ以上の熱応答性のポリマーを含む組成物は、上記内側管腔または外側管腔を経由して身体中に導入され得;他方の管腔は、この熱応答性のポリマーの早すぎるゲル化を防ぐための冷却剤を含み得る。例えば、上記1つ以上の熱応答性のポリマーを含む組成物は上記外側管腔を経由して身体中に導入され得、上記冷却剤は上記内側管腔中に含まれる。その他の実施形態では、上記1つ以上の熱応答性のポリマーを含む組成物は、上記内側管腔を経由して身体中に導入され得、上記冷却剤は上記カニューレの外側管腔中に含まれる。
【0022】
本開示に従うカニューレは、任意の適切な長さであり得る;実施形態では約1メートル〜約2.5メートルの長さであり、その他の実施形態では約1.25メートル〜約2.3メートルの長さである。
【0023】
本開示のカニューレは、結腸内視鏡を通じて内視鏡により熱応答性のポリマーを送達するために利用され得る。従って、本開示のカニューレは、当業者の範囲内の任意の材料から構築され得るが、実施形態では、本開示のカニューレは、ステンレス鋼、チタンなどのような相対的に柔軟な医療グレードのプラスチックまたは金属から構築され得る。利用され得る詳細な合成材料は、制限されないで、ポリテトラフルオロエチレンを含むフルオロポリマー、ポリウレタン、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、シリコーン、それらの組合せなどを含む。
【0024】
実施形態では、上記カニューレの内側管腔は、1つの端部にルアーロック継手を、そして他方の端部、すなわち遠位端に、約3mm〜約8mmの、実施形態では約4mmの長さを有し、約14ゲージ〜約23ゲージの、実施形態では約18ゲージ〜約21ゲージのゲージを有する、短い分与ニードルを所有し得る。このようなカニューレの例は、図2に描写される。カニューレ10は、外側カニューレ管腔14を取り囲む外側チューブ18、内側カニューレ管腔12を取り囲む内側チューブ16を所有し得、ニードル40は、カニューレ10の遠位端20に隣接する内側チューブ16の遠位端に固定される。外側チューブ18は、このニードルを保護するための保護シースとして機能し、そしてそれとともに利用される(図示されず)任意のスコープのための作業チャネルを提供する。外側チューブ18の外径は適切なサイズであり得、実施形態では約2.7mm以下である。上記内側チューブ16の直径は、外側チューブ18内の通過を許容するために十分小さい。内側チューブ16の内径は、実施形態では約1mm〜約2mmであり得る。ニードル40は、実施形態では約14ゲージ〜約23ゲージであり得、そして約3mm〜約8mmの長さであり得る。熱応答性のポリマーは、ルアーロックシリンジ、機械的に進行する銃、または類似のデバイス(図示されず)を利用してカニューレ10の近位端30に隣接するその近位端50で内側チューブ16中に導入され得る。
【0025】
実施形態では、上記カニューレの外側管腔の遠位端は開いていてもよい。冷却剤が上記カニューレの外側管腔中に存在する場合、ルアーロック継手をもつ別個のポートが、上記冷却剤を外側管腔中に注入するために利用され得るか、または同じポートが、上記熱応答性のポリマーおよび上記冷却剤の両方を同時に注入するために利用され得る。同じポートが、上記熱応答性のポリマーおよび上記冷却剤の両方を同時に注入するために利用される場合、二重管腔シリンジが、上記内側管腔中への導入のために上記ポリマー溶液を含む1つの区画、および上記外側管腔中への導入のための上記冷却剤を含む第2の区画を備えて利用され得る。このようなカニューレの例が図3に描写される。図3に提示されるように、外側チューブ18、内側チューブ16、およびカニューレ10の遠位端20内の内側チューブ16の遠位端にニードル40を所有するカニューレ10は、管腔85および90を所有する二重管腔シリンジ80に連結され得る閉じた近位端60ならびに接近ポート70および75を有し得る。管腔85は、接近ポート70を経由して内側カニューレ管腔12中に導入され得る熱応答性のポリマーを所有し得、その一方、管腔90は、接近ポート75を経由して外側カニューレ管腔14中に導入され得る冷却剤を所有し得る。二重管腔シリンジ80は、プランジャー110および120上に裏板100を所有し得、上記熱応答性のポリマーおよび上記冷却剤の同時導入を容易にする。いずれの場合にも、上記ポリマー材料は、実施形態では上記に記載のようにそれら取り付けられたニードル40を有し得る上記内側管腔を経由して身体中に導入され得;上記冷却剤は、上記カニューレの遠位端から身体、例えば、結腸中に分与され得、そこで、上記カニューレは、ポリープ切除術の間にポリープ中に上記熱応答性のポリマーを導入するために利用される。
【0026】
なおその他の実施形態では、上記カニューレの外側管腔の遠位端は、上記冷却剤が身体中に放出されないように閉じていてもよい。この実施形態では、バルブ、ストッパー、シール、または類似のデバイスが、上記外側管腔の遠位端に配置されていてもよく、これは、冷却剤がカニューレの遠位端を出ることを防ぐ。このようなカニューレの例は図4に描写される。図4に提示されるように、外側チューブ18、内側チューブ16、およびカニューレ10の遠位端20内の内側チューブ16の遠位端にあるニードル40を所有するカニューレ10は、管腔85および90を所有する二重管腔シリンジ80に連結され得る閉じた近位端60ならびに接近ポート70および75を有し得る。管腔85は、接近ポート70を経由して内側カニューレ管腔12中に導入され得る熱応答性のポリマーを所有し得、その一方、管腔90は、接近ポート75を経由して外側カニューレ管腔14中に導入され得る冷却剤を所有し得る。二重管腔シリンジ80は、プランジャー110および120上に裏板100を所有し得、上記熱応答性のポリマーおよび上記冷却剤の同時導入を容易にする。カニューレ10は、ストッパー、バルブ、またはシール130をその遠位端20に所有し得、これは、それを通るニードル40の通過を許容するが、任意の冷却剤が外側カニューレ管腔14を出ることを防ぐ。実施形態では、上記外側管腔の容量を決定し、そしてその中にその量の冷却剤を導入し、外科的手順の間にこのカニューレの近位端から冷却剤の逆流を最小にすることが所望され得る。
【0027】
上記熱応答性のポリマーの早すぎるゲル化を防ぎ得る任意の冷却剤が利用され得る。上記管腔の1つ、実施形態では外側管腔に含まれ得る適切な冷却剤は、例えば、冷却された水、生理食塩水、エタノール、それらの組合せなどのような液体、および/または冷却された空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、それらの組合せなどのようなを含む。いくつかの場合には、ガスは液体状態、例えば、液体窒素に冷却され得る。
【0028】
その他の実施形態では、適切な冷却剤は、熱を吸収しながら水中に溶解し、そしてそれらの周辺を数秒間冷却し得る、水中の硝酸アンモニウム結晶のような溶液を含み得る。この冷却剤として利用され得る類似の溶液は、制限されないで、水中のヨウ化カリウム、水中の塩化アンモニウム、水中の酢酸アンモニウム、水中のチオシアン酸カリウム、水中のチオシアン酸アンモニウム、水中のチオ硫酸ナトリウム、水中の臭化アンモニウム、それらの組合せなどを含む。冷却剤として利用され得るその他の溶液は、Nortech Laboratories,Inc.(Farmingdale,NY)からINSTAKOOLTMとして市販され入手可能な尿素を基礎にした溶液などを含む。さらに、吸熱反応を生成することが知られる化学薬品の組合せ、例えば、クエン酸との重曹などが、冷却剤として組合わされ、そして利用され得る。
【0029】
上記で識別された冷却剤の組合せがまた、いくつかの実施形態で利用され得る。
【0030】
実施形態では、上記の冷却剤は、任意の外部温度コントロールなくして利用され得る。その他の実施形態では、上記冷却剤の温度は、外部手段、例えば、ペルティエクーラー、ジュール−トムソン低温保持装置、スターリングエンジン、独立閉鎖ループ冷蔵システムなどのような適切な制御システムを利用して調節され得る。このような温度制御システムおよびそれらの操作は、当業者の範囲内である。
【0031】
本開示のカニューレとともに利用され得る熱応答性のポリマーは、温度における変化、例えば加温とともに粘度の変化を行う1つ以上のポリマー物質を含み得る。実施形態では、この熱応答性のポリマーは、少なくとも1つの溶媒を含む溶液中に、本開示の組成物を形成するようなその他の賦形剤および/または成分とともに存在し得る。実施形態では、さらなる賦形剤および/または成分は、例えば、ポリープ切除術の間に、上記組成物の使用法を容易にし、そしてそれらの粘度を調節するために添加され得る。本明細書で用いられるとき、「粘度」は、せん断ストレス下で変形するような流体の抵抗性の尺度をいい、そして本明細書中では、流れるための流体の内部抵抗性を説明するために用いられる。例えば、水は、比較的より低い粘度を有し、その一方、植物油または蜂蜜のような物質は、より高い粘度を有する。
【0032】
本開示に従って利用される組成物は、薬学的に受容可能なキャリアもしくは希釈剤、ビヒクルまたは媒体、例えば、それらが付与される組織と適合するキャリア、ビヒクルまたは媒体を含み得る。用語「皮膚科的または薬学的に受容可能な」は、本明細書中で用いられるとき、その組成物または成分が、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー応答などなくして一般に組織との接触における使用のため、または患者における使用のために適していることを意味する。
【0033】
本開示に従って、それらを含む本発明の活性成分および処方物は、罹患領域を処置するに十分な量でポリープの粘膜下組織中に注入され得る。本明細書中で用いられるとき、語句「処理」、「処理する」もしくは「処理」は、任意の所望されない症状の発症を防ぐために予防的に、または現存する所望されない症状を改善するために治療的に、本開示の活性成分および/または組成物を用いることをいう。所望されない症状を低減および/またはなくする多くの異なる処置が、今や可能である。
【0034】
本明細書中で用いられるとき、「所望されない症状」は、ポリープまたはその除去によって引き起こされる任意の検出可能な組織徴候をいう。このような徴候は、例えば、外傷および/またはその他の疾患もしくは機能不全状態のような、多くの因子に起因して現れ得る。このような徴候の非制限的な例は、出血、癌、炎症、薄片状化および/または組織異常のその他の形態、ならびにそれらの組合せの発生を含む。列挙された所望されない症状は非制限的であり、しかも本開示に従う処理に適切な症状のほんの一部分が本明細書中に列挙されていることが理解されるべきである。
【0035】
本開示に従って、上記熱応答性のポリマーとしての使用のために適切なポリマーは、制限されないで、熱可逆性ポリマー、ポロキサマー(poloxamer)、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、ポリ(n−イソプロピルアクリルアミド)、L−ラクチド、グリコリド、ポリグリコリド(PGA)のPEGトリブロックコポリマー、グリコリド/ラクチドコポリマー(PGA/PLLA)および/またはグリコリド/トリメチレンカーボネートコポリマー(PGA/TMC)のようなグリコリドのコポリマー、D,L−ラクチド、L−ポリラクチド(PLA)、ポリ−L−ラクチド(PLLA)、ポリ−DL−ラクチドコポリマーおよびL−ラクチド/DL−ラクチドコポリマーのような立体コポリマー、ε−カプロラクトン、トリメチレンカーボネート(TMC)、PEG−グラフト化キトサン、ペクチン−キトサン混合物、メチルセルロース、ゼラチン、およびそれらの組合せを含む。その他の適切なポリマーは、グリセリン、デキストロース、ヒアルロン酸、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、それらの組合せなどを含む。
【0036】
このポリマーは、溶媒中に、溶液の約10重量%〜約70重量%の濃度、実施形態では溶液の約20重量%〜約60重量%の濃度で溶解され得;それ故、上記溶媒は、上記溶液の約90重量%〜約30重量%、実施形態では溶液の約80重量%〜約40重量%の量で存在し得る。実施形態では、このポリマー濃度は、本開示に従う組成物が、予備処理温度で低粘度状態にあり、そしてこの予備処理温度より高い処理温度ではより高い粘度にあるようであり得る。このポリマー温度はまた、本開示に従う組成物が、予備処理温度で高度に粘性のshear thinning状態にあり、この予備処理温度より高い処理温度ではより高い粘度状態にあるようであり得る。
【0037】
本明細書中で用いられるとき、「予備処理温度」は、患者の身体中、例えば、ポリープの粘膜下組織で付与される前の本開示に従う組成物の温度をいう。この予備処理温度は、室温、例えば約23℃〜約25℃、または処理温度未満の任意の温度であり得る。本明細書で用いられるとき、「処理温度」は、一般に、患者の身体、例えば、ポリープの粘膜下組織に付与された後の本開示に従う組成物の温度をいう。この処理温度は、ヒトの通常の体温、例えば約37℃、または、例えば、処理されるポリープの温度を含む身体内で見出される任意の温度であり得る。健常なヒト身体は約37℃のかなり一致した身体温度を維持し得るが、この温度は、個体の年齢、日中の時間、またはこの温度が測定されている身体の部分などを含む処理温度に影響し得る因子とともに、約±2℃まで変動し得る。
【0038】
実施形態では、商標名PLURONICSの下で市販され入手可能なものを含むポリアルキレンポリマーが、上記熱応答性のポリマーとして利用され得る。これらポリマーは、BASF Corporationから市販され入手可能である。このようなポリマーは、第一級水酸基で終わるポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン縮合物として分類され、そしてポリプロピレンオキシドのプロピレングリコール核中への縮合、次のエチレンオキシドのこのポリオキシプロピレンベースの両端部上への縮合により形成され得る緊密に関連するブロックコポリマーである。このベースのプレポリマーの端部上のポリオキシエチレン親水性基は、それらが最終ポリマーの約10重量%〜約80重量%までを占めるように長さが制御され得る。上記PLURONICポリマーシリーズの製品は、実験的に式:HO(CO)(CO)(CO)Hによって表され得、ここで、aおよびcは、統計学的に等しい。
【0039】
上記熱応答性のポリマーは、その他のポリオキシアルキレンポリマーおよび/または種々のPLURONICポリマーの混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、第1のブロックコポリマーおよび第2のブロックコポリマーが利用され得る。例えば、PLURONIC F−127のような、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの第1のブロックコポリマーが、溶液中で、PLURONIC F−68のようなエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの第2のブロックコポリマーと混合され得る。いくつかの実施形態では、この第1のブロックコポリマーは、溶液の約10重量%〜約50重量%の量で存在し得る。PLURONIC F−127のような第1のブロックコポリマーは、約4℃で、約10%より大きい水中の溶解度を有し得る。(濃度が増加するにつれて、ゲル化温度は低下する。)その他の実施形態では、この第1のブロックコポリマーは、溶液の約15重量%〜約30重量%の量で存在し得る。
【0040】
実施形態ではF−68である第2のブロックコポリマーは、溶液の約5重量%〜約50重量%の量で存在し得る。例えば、PLURONIC F−68のような、第2のブロックコポリマーは、約4℃で約10%より大きい溶解度を有し得る。実施形態では、この第2のブロックコポリマーは、溶液の約5重量%〜約25重量%の量で存在し得る。
【0041】
第1のブロックコポリマー、第2のブロックコポリマー、または両方は、約7680〜約14600の分子量を有し得る。実施形態では、第1のブロックコポリマーは約7680〜約9510の分子量を有し得、その一方、第2のブロックコポリマーは、約9840〜約14600の分子量を有し得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、本開示の適切な組成物は、溶媒、約10重量%〜約50重量%のエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの第1のブロックコポリマー、および約5重量%〜約50重量%のエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの第2のブロックコポリマーを含み得る。その他の実施形態では、適切な組成物は、水性溶媒、および約15重量%〜約50重量%の熱応答性のポリマー混合物を含み得る。
【0043】
実施形態では、上記第1および第2のブロックコポリマーは、熱可逆性であり得る。適切な熱可逆性ポリマーは、本開示に従う組成物に、温度変化に応答してその粘度を可逆的に変化するに十分な量で添加され得る。例えば、37℃で高い粘度を有する組成物は、25℃で薄くてもよく、そして低い粘度を有し、なお、熱の付与に際し再び濃くなる。それ故、このような組成物は、約25℃で液体、そして約37℃の処理温度でゲルであり得る。
【0044】
実施形態では、熱可逆性ポリマーは、所定の温度で可逆的ゲル化を効率的に生成するに十分な量で、1つ以上の熱可逆性ポリマーおよび/または熱応答性のポリマーの安定な組合せまたは混合物を取り込む水性溶液に添加され得る。本明細書で用いられるとき、可逆的ゲル化は、温度における変動に起因して組成物の粘度における増加および/または減少をいい、ここで、この組成物は、1つの温度でゲルまたはゲル様に、そして別のより低い温度で液体になる。本明細書における使用のために適切な熱可逆性ポリマーの非制限的な例は、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、PLURONIC(登録商標)ポリマーおよびTETRONIC(登録商標)ポリマー、およびそれらの組合せを含む。実施形態では、熱可逆性ポリマーは、本開示の組成物の約10重量%〜約50重量%の量で添加され得る。
【0045】
実施形態では、本開示に従うカニューレとの使用のための組成物は、ヒアルロン酸および/またはヒアルロン酸ナトリウムのようなその誘導体を含み得る。その他の実施形態では、本開示による組成物は、任意のその他の化学品と組み合わせて、ヒアルロン酸および/またはヒアルロン酸ナトリウムのようなその誘導体を欠いていてもよい。
【0046】
実施形態では、本開示による組成物は、約5℃〜約40℃の温度で、実施形態では約15℃〜約37℃の温度で、そしてその他の実施形態では約25℃〜約35℃の温度でゲルまたはゲル様状態に遷移し得る。実施形態では、この遷移温度は、組成物中にPLURONIC F−68のようなポリマーを含むことにより改変され得る。
【0047】
さらに、本開示の組成物が本明細書中ではときどきゲルと称される半固体を形成する温度を調節するために添加物が利用され得る。当業者の範囲内の任意の添加物が利用され得る。これら添加物は、親水性または疎水性であり得る。実施形態では、適切な親水性添加物は、PEG8000、PEG10000などのような変動する分子量のポリエチレングリコール(PEG)のようなポリアルキレンオキシド、n−オクチル硫酸ナトリウム、n−デシル硫酸ナトリウム、n−ドデシル硫酸、n−ヘキサデシル硫酸、n−オクタデシル硫酸、それらの組合せなどを含む。適切なその他の添加物は、制限されないで、NaCl、NaSO、CaClのような塩、メチレンブルーおよびイソスルファンブルーのような色素、消泡剤、生物活性剤、それらの組合せなどを含む。例えば、いくつかの実施形態では、Air Products and Chemicals,Inc.(Allentown,PA)からの非シリコーン溶媒フリーの液体消泡剤であるSURFYNOL(登録商標)MD−20が、本開示の組成物のゲル温度を調節するために添加され得る。
【0048】
なおその他の実施形態では、界面活性剤が、ゲル化温度を調節するために本開示の組成物に添加され得る。適切な界面活性剤は、当業者の範囲内であり、そして例えば、ソルビタンエステル、ポリオレフィンを基礎にした界面活性剤、エトキシレート、それらの組合せなどを含む。いくつかの実施形態では、TRITON(登録商標)100およびTRITON(登録商標)114(Sigma−Aldrichからの非イオン系界面活性剤);TWEEN界面活性剤、SPAN界面活性剤、それらの組合せなどのような市販され入手可能な界面活性剤が利用され得る。適切なTWEENおよびSPAN界面活性剤は、制限されないで、モノラウリエート(TWEEN20、TWEEN21、SPAN20)、モノパルミテート(TWEEN40、SPAN40)、モノステアレート(TWEEN60、TWEEN61、SPAN60)、トリステアレート(TWEEN65、SPAN65)、モノオレエート(TWEEN80、TWEEN81、SPAN80)、トリオレエート(TWEEN85、SPAN85)、それらの組合せなどを含む。
【0049】
利用される場合、本開示の組成物のゲル温度を調節するために利用されるこのような添加物の量は、組成物の約0.01重量%〜約4重量%、実施形態では組成物の約0.1重量%〜約2.5重量%、実施形態では組成物の約1重量%〜約2.25重量%、その他の実施形態では、組成物の約1.5重量%〜約2重量%で変動し得る。
【0050】
上記のコポリマーおよび任意の添加物の濃度を調節することにより、予備処理温度と処理温度との間の液体〜半固体遷移温度が達成され得る。例えば、熱の応答性のポリマーの濃度および添加物の利用は、予備処理温度で液体、および処理温度でゲルである本開示による組成物を提供するために調節され得る。実施形態では、液体−ゲル遷移温度は、約5℃〜約65℃であり得る。いくつかの実施形態では、上記成分は、高い粘度のshear thinningであるゲル組成物を生成するための所定量で選択され得る。このような高い粘度のshear thinningであるゲル組成物は、ゲルのような高粘度状態で注入のために適切であり得る。実施形態では、25℃で本開示に従う組成物は、約50センチポアズ〜約200,000センチポアズの粘度を有する。
【0051】
shear thinningの実施形態では、本開示による組成物は、約5℃〜約50℃の温度で、実施形態では約15℃〜約40℃の温度で、そしていくつかの実施形態では約30℃〜約37℃の温度で、半固体および/またはゲル状態からより粘性の半固体および/またはゲル状態に遷移する。本開示の組成物は、ヒト身体で用いられ得るので、実施形態では、本開示の組成物が約37℃であるヒト体温に近い温度でゲルになることが所望され得る。
【0052】
その他の実施形態では、本開示に従う使用のための組成物を形成するために利用される溶媒は、上記組成物の成分を可溶化するに十分な量の水、生理食塩水、または任意の薬学的に受容可能な溶媒であり得る。たとえば、適切な溶媒の非制限的な例は、生理食塩水のような水性溶液、リン酸緩衝化生理食塩水のような再懸濁緩衝液、または患者中への注入のために適切な緩衝液を含む。患者中への注入のために適切な溶媒および/または緩衝液の非制限的な例は、注入に際し、患者とのアレルギーまたはその他の有害反応を引き起こさない溶液のような薬学的に受容可能なキャリアを含む。この溶媒は、全体組成物の約30重量%〜約90重量%の量で存在し得る。実施形態では、組成物中の水の濃度は、組成物の約30重量%〜約90重量%、および/または組成物の約40重量%〜約80重量%であり得る。水性溶液を形成する際に用いられる水は、蒸留、濾過、イオン交換などによるように精製され得る。
【0053】
その他の賦形剤が、1つ以上のポリープの除去を促進するに十分な量で、本開示の組成物中に添加され得る。例えば、除去プロセスの間に外科医がポリープをより良好に見ることを支援するために色素が上記組成物に添加され得る。適切な色素の非制限的な例は、メチレンブルー、イソスルファンブルー、およびそれらの組合せを含む。色素は、総組成物の約0.1重量%〜約2重量%の量で添加され得る。
【0054】
活性成分は、上記組成物が提供される、実施形態ではポリープ切除術手順である患者および手順に利益を与えるに十分な量で本開示の組成物に添加され得る。用いられる活性薬剤の量は、選択された特定の活性薬剤および達成されるべき利益を含む多くの因子に依存するが、一般に、総組成物の約0.01重量%〜約10重量%の量が適切であり得る。適切な活性成分の非制限的な例は、フィブリノーゲンをフィブリンに変換するトロンビンのような酵素、エピネフィリン、ノレピネフィリン、アンジテンシン、またはバソプレシンのような血管収縮薬、フルオロウラシル(5−FU)のような化学療法剤、抗微生物剤、抗生物質、およびそれらの組合せを含む。
【0055】
実施形態では、本開示に従う使用のための組成物および製品は、1つ以上の活性成分を所望されない症状を改善するために有効な量で含む。本明細書中で用いられるとき、「有効量」は、トロンビンのような酵素、エピネフィリン、ノレピネフィリン、アンジテンシン、またはバソプレシンのような血管収縮薬、フルオロウラシル(5−FU)のような化学療法剤、抗微生物剤、抗生物質、およびこれら活性薬剤の組合せのような活性成分を、ポリープまたはそれに隣接する組織に特定の正の利益を誘導するに十分な量で有する化合物または組成物の量をいう。この正の利益は健康関連であり得る。実施形態では、この正の利益は、組織を凝固タンパク質と接触することにより達成され得、切除された組織の凝固および閉鎖を促進する。実施形態では、この正の利益は、組織を血管収縮薬と接触することにより達成され得、出血を低減する。実施形態では、この正の利益は、組織を化学療法剤と接触することにより達成され得、癌細胞を殺傷する。
【0056】
上記組成物のpHは、約4〜約8に調節され得る。上記組成物のpHを調節するために適切な試薬は、制限されないで、NaHPO、NaHPO、KHPO、KHPO、NaHCO、およびNaCOのような緩衝化塩、ならびに塩化水素酸および水酸化ナトリウムのような鉱酸および塩基を含む。このpH調節試薬は、総組成物の約0.01重量%〜約5重量%の量で存在し得る。実施形態では、このpH調節薬剤は、総組成物の約0.1重量%〜約1重量%の量で存在し得る。
【0057】
実施形態では、本開示のカニューレは、内視鏡ポリーブ切除術における使用のために組成物を導入するめたに利用され得る。ポリープ切除術手順で利用される場合、組成物は、1つ以上のポリープの粘膜下組織に付与され得、ポリープの提示を改善し、そしてこのポリープをスネアーのような内視鏡器具で捕捉することをより容易にする。例えば、1つ以上の熱可逆性および/または熱応答性のポリマーを有する組成物は、ポリープの粘膜下組織中に注入され得、その提示を改善する。
【0058】
本開示の組成物における熱応答性のポリマーの使用は、1つ以上のポリープの粘膜下組織中に液体の接触でゲルになる材料を送達または注入する能力を提供し、その除去を促進する。本明細書で用いられるとき、ゲルは、その中に液体が保持される固体凝集物のネットワークを含む半固体または半剛性の系をいう。液体送達を用いることにより、暖かい組織への送達に際しゲル化でポリープを迅速かつ効率的に処理することが可能である。1つのカニューレ中に冷却剤を所有する複数管腔のカニューレによりこのような材料を導入することにより、これらポリマーの早すぎるゲル化が避けられ得る。
【0059】
実施形態では、本開示に従う組成物は、shear thinningであり得、そしてせん断の増加する速度で粘度における減少を示す。このようなshear thinningの実施形態は、所定の予備処理温度でゲルのような高度な粘度状態で1つ以上のポリープの粘膜下組織中への注入のために適切であり得る。本開示に従う高度に粘性のshear thinning組成物の付与は、低粘度の組成物が加温に際し高度に粘性になるために必要な時間を低減および/またはなくする利益を提供する。実施形態では、所定温度で高度に粘性のshear thinning組成物は、処理温度でなおより粘性になり得る。実施形態では、shear thinning組成物の使用は、組成物を濃くするために必要な加温ステップを減少および/またはなくし得る。
【0060】
除去を必要とするポリープは、溶媒、および1つ以上の熱可逆性ポリマーおよび/または熱応答性の粘度改変剤のようなポリマーを含む本開示による1つ以上の組成物もで予備処理され得る。これら組成物は、予備処理温度で低粘度、およびこの予備処理温度より高い処理温度でより高い粘度またはゲル状態であり得る。いくつかの実施形態では、添加物が本開示の組成物中に含まれ得、上記組成物がゲルを形成する温度をさらに調節する。
【0061】
本開示に従う組成物を1つ以上の粘膜下組織中に注入することによるポリープの予備調調製は、例えば、加熱されるか、または患者の暖かい身体に付与されるときゲルになるか、またはより粘性になり、そして/またはポリープの初期切除の後ポリープから容易に逃れ内組成物でポリープを高めることにより、ポリープ切除術の利益を高め得る。このような予備調製は、切除の間にポリープをつかみ取り、そして/または罠で捕まえるようにしてポリープの提示をさらに改善する。
【0062】
さらに、本開示による処理養生法は、1つ以上のポリープによりブロックされた通過を改善し得、そして/または癌障害に発展する性向を有する組織の除去を容易にする。予備処理温度で、そして注入される前に低密度状態にある本開示による組成物は、1つ以上のポリープの粘膜下組織中に注入され得、そしてこの組成物がゲルのようなより高い粘度状態に粘度が増加するように処理温度に暖められる。実施形態では、処理温度における本開示に従う組成物の粘度は、予備処理温度でのこの組成物の粘度より高くあり得る。処理は、次いで、1つ以上のポリープを除去することにより継続し得、その一方、本開示に従うより粘性の組成物は、粘膜下組織中に、そしてある程度ポリープ中に実質的に残る。
【0063】
本開示に従う組成物の種々の成分は、多くの成分と組合せられ得、ポリープ、またはヒトもしくはその他の哺乳動物のその他の組織に付与される産物を形成する。
【0064】
上記に開示される種々の、そしてそれらのその他の特徴および機能、またはその代替物は、望ましくは、多くのその他の異なるシステムまたは適用に組合せられ得る。また、それらの種々の現在予見しないか、または予期しない代替物、改変物、変更物もしくは改善物が、引き続き、当業者によってなされ得、これらもまた、添付の特許請求の範囲によって包含される。請求項に詳細に記載されなければ、特許請求の範囲の工程および要素は、任意の特定の順序、数、位置、サイズ、形状、角度、色、または材料について明細書または任意のその他の請求項から暗示または取り込まれるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
本開示の種々の実施形態は、図面を参照して本明細書中で以下に説明される。
【図1】図1は、熱応答性のポリマーを保持し得る内側管腔、および冷却剤を保持し得る外側管腔を有する本開示のカニューレの断面図である。
【図2】図2は、その中にニードルを所有する本開示のカニューレの描写である。
【図3】図3は、その中にニードルを所有する本開示のカニューレの別の描写であり、このカニューレの近位端は二重管腔シリンジに取り付けられている。
【図4】図4は、その中にニードルを所有する本開示のカニューレの別の描写であり、二重管腔シリンジがこのカニューレの近位端に取り付けられ、そしてバルブ、ストッパーまたはシールがこのカニューレの遠位端にある。
【符号の説明】
【0066】
10 カニューレ
12 内側カニューレ管腔
14 外側カニューレ管腔
16 内側チューブ
18 外側チューブ
20 遠位端
30、50 近位端
40 ニードル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数管腔カニューレであって:
近位端および遠位端;
冷却剤の通過を許容するように構成された少なくとも1つの管腔;ならびに
熱応答性のポリマーを含む組成物の通過を許容するように構成された少なくとも1つのさらなる管腔
を備え、
ここで、該熱応答性のポリマーが、予備処理温度では低粘度状態であり、そして該予備処理温度より高い処理温度ではより高い粘度状態である、複数管腔カニューレ。
【請求項2】
前記カニューレが、同軸二重管腔カニューレを備える、請求項1に記載の複数管腔カニューレ。
【請求項3】
前記同軸二重管腔カニューレが、前記冷却剤を所有する内側管腔、および前記熱応答性のポリマーを含む組成物を所有する外側管腔を備える、請求項2に記載の複数管腔カニューレ。
【請求項4】
前記同軸二重管腔カニューレが、前記熱応答性のポリマーを含む組成物を所有する内側管腔、および前記冷却剤を所有する外側管腔を備える、請求項2に記載の複数管腔カニューレ。
【請求項5】
前記カニューレの外側管腔の遠位端が、バルブ、ストッパーおよびシールからなる群から選択されるデバイスを所有し、前記冷却剤が該カニューレの遠位端を出ることを防ぐ、請求項4に記載の複数管腔カニューレ。
【請求項6】
前記カニューレの内側管腔の遠位端が、分与ニードルを所有する、請求項4に記載の複数管腔カニューレ。
【請求項7】
前記冷却剤が、水、生理食塩水、エタノール、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の複数管腔カニューレ。
【請求項8】
前記冷却剤が、水中の硝酸アンモニウム結晶、水中のヨウ化カリウム、水中の塩化アンモニウム、水中の酢酸アンモニウム、水中のチオシアン酸カリウム、水中のチオシアン酸アンモニウム、水中のチオ硫酸ナトリウム、水中の臭化アンモニウム、尿素を基礎にした溶液、およびそれらの組合せからなる群から選択される溶液を含む、請求項1に記載の複数管腔カニューレ。
【請求項9】
前記熱応答性のポリマーが、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、ポロキサマー、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー、ポリ(n−イソプロピルアクリルアミド)、L−乳酸、グリコリド、ポリグリコリドのPEGトリブロックコポリマー、グリコリドのコポリマー、グリコリド/ラクチドコポリマー、グリコリド/トリメチレンカーボネートコポリマー、D,L−ラクチド、L−ポリラクチド、ポリ−L−ラクチド、ポリ−DL−ラクチドコポリマー、L−ラクチド/DL−ラクチドコポリマー、ε−カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、PEG−グラフト化キトサン、ペクチン−キトサン混合物、メチルセルロース、ゼラチン、熱可逆性ポリマー、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の複数管腔カニューレ。
【請求項10】
前記熱応答性のポリマーを含む組成物が、溶媒、および約10重量%〜約50重量%の、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの第1のブロックコポリマーおよびエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの第2のブロックコポリマーの混合物を含む1つ以上の熱応答性の粘度改変剤を含む、請求項1に記載の複数管腔カニューレ。
【請求項11】
前記熱応答性のポリマーを含む組成物が、総組成物の約10重量%〜約50重量%の量で存在する約7680〜約14600の平均分子量を有する第1のブロックコポリマーを、総組成物の約5重量%〜約50重量%の量で存在する約7680〜約14600の平均分子量を有する第2のブロックコポリマーとの組み合わせで含む、請求項10に記載の複数管腔カニューレ。
【請求項12】
前記熱応答性のポリマーを含む組成物が、酵素、血管収縮薬、化学療法剤、抗微生物剤、抗生物質、およびそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の活性成分をさらに含む、請求項1に記載の複数管腔カニューレ。
【請求項13】
前記熱応答性のポリマーを含む組成物が、約25℃で約50センチポアズ〜約200,000センチポアズの粘度を有する、請求項1に記載の複数管腔カニューレ。
【請求項14】
前記熱応答性のポリマーを含む組成物は、約25℃の予備処理温度で液体であり、そして約37℃の処理温度でゲルである、請求項1に記載の複数管腔カニューレ。
【請求項15】
組成物を付与するシステムであって:
熱応答性のポリマーを含む組成物と、
該組成物を該ポリープ中に投与するための複数管腔カニューレであって:
近位端および遠位端;
冷却剤の通過を許容するように構成される少なくとも1つの管腔;および
熱応答性のポリマーを含む組成物の通過を許容するように構成される少なくとも第2の管腔;
を備える、複数管腔カニューレと、
該組成物を暖め、それによって該組成物の粘度を該より高い粘度状態に増加する手段と、
該熱応答性のポリマーを含む組成物が該ポリープ内側に実質的にある間に、該ポリープを除去する手段と
を備えており、ここで、該組成物がポリープ中に注入される前の予備処理温度で低粘度状態にあり、そして該予備処理温度より高い処理温度でより高い粘度状態にある、システム。
【請求項16】
前記カニューレが、前記熱応答性のポリマーを含む組成物を所有する内側管腔、および前記冷却剤を所有する外側管腔を備える同軸二重管腔カニューレを備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記カニューレの外側管腔の遠位端が、バルブ、ストッパーおよびシールからなる群から選択されるデバイスを所有し、前記冷却剤が該カニューレの遠位端を出ることを防ぐ、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記カニューレの内側管腔の遠位端が、分与ニードルを所有する、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記冷却剤が、水、生理食塩水、エタノール、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記冷却剤が、水中の硝酸アンモニウム結晶、水中のヨウ化カリウム、水中の塩化アンモニウム、水中の酢酸アンモニウム、水中のチオシアン酸カリウム、水中のチオシアン酸アンモニウム、水中のチオ硫酸ナトリウム、水中の臭化アンモニウム、尿素を基礎にした溶液、およびそれらの組合せからなる群から選択される溶液を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記熱応答性のポリマーを含む組成物が、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、ポロキサマー、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー、ポリ(n−イソプロピルアクリルアミド)、L−乳酸、グリコリド、ポリグリコリドのPEGトリブロックコポリマー、グリコリドのコポリマー、グリコリド/ラクチドコポリマー、グリコリド/トリメチレンカーボネートコポリマー、D,L−ラクチド、L−ポリラクチド、ポリ−L−ラクチド、ポリ−DL−ラクチドコポリマー、L−ラクチド/DL−ラクチドコポリマー、ε−カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、PEG−グラフト化キトサン、ペクチン−キトサン混合物、メチルセルロース、ゼラチン、熱可逆性ポリマー、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記熱応答性の組成物が、溶媒、および約10重量%〜約50重量%の、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの第1のブロックコポリマーおよびエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの第2のブロックコポリマーの混合物を含む1つ以上の熱応答性の粘度改変剤を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
前記熱応答性のポリマーを含む組成物が、総組成物の約10重量%〜約50重量%の量で存在する約7680〜約14600の平均分子量を有する第1のブロックコポリマーを、総組成物の約5重量%〜約50重量%の量で存在する約7680〜約14600の平均分子量を有する第2のブロックコポリマーを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記熱応答性のポリマーを含む組成物が、酵素、血管収縮薬、化学療法剤、抗微生物剤、抗生物質、およびそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の活性成分をさらに含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項25】
前記熱応答性のポリマーを含む組成物が、約25℃で約50センチポアズ〜約200,000センチポアズの粘度を有する、請求項15に記載のシステム。
【請求項26】
前記熱応答性のポリマーを含む組成物は、約25℃の予備処理温度で液体であり、そして約37℃の処理温度でゲルである、請求項15に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−34515(P2009−34515A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199060(P2008−199060)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】