説明

カバレッジ拡張のための自律送信方法

【課題】同期、現行のチャネル構造、そして現行の符号化方式を有利に維持し、E−DCHチャネルのための自律的な再送を行う。
【解決手段】同期型HARQプロトコルを使って、かつ、(1)所定の長さの単一の送信時間間隔の名目モードか、(2)擬似的送信時間間隔の拡張モードかいずれか一方のE−DCHチャネル上でデータを送信する機能を使って動作するように構成されたユーザ装置ユニットに関する。擬似的送信時間間隔は、データが送信される第1の送信時間間隔と、データが再送される第2の送信時間間隔とを含む。第2の送信時間間隔は、第1の送信時間間隔と連続しており、第1の送信時間間隔と第2の送信時間間隔はそれぞれ、(同じ)所定の長さである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に通信に関し、詳細には、(例えば)ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)地上無線アクセス網(UTRAN)の中で運用されるシステムのようなハイスピード・アップリンク・パケット・アクセス(HSUPA)システムにおける高速ハイブリッドARQ(HARQ)プロトコルを含むがそれに限定されない、移動端末と無線ネットワーク間のHARQプロトコルに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なセルラー方式の無線システムでは、移動端末(移動局および移動ユーザ装置ユニット(UE)とも呼ばれる)は、無線アクセスネットワーク(RAN)を介して1つ以上のコアネットワークと通信する。ユーザ装置ユニット(UE)は、例えば移動電話(「セルラー」電話)や移動終端装置を備えたラップトップのような移動局であってもよく、従って、例えば、無線アクセスネットワークと音声および/またはデータを通信するような、携帯型、ポケット型、手持ち式、コンピュータに内蔵された、または車載型の移動デバイスであってもよい。
【0003】
無線アクセスネットワーク(RAN)は、ある地理的エリアをカバーし、その地理的エリアはセルエリアに分かれ、各セルエリアは、1つの基地局によってサービス提供される。セルとは、基地局の設置場所にある無線基地局装置によって無線カバレッジが提供されるような地理的エリアのことである。各セルは、一意のIDによって識別され、そのIDはセルの中でブロードキャストされる。基地局は、無線インタフェース(例えば無線周波数)を介して基地局のサービス提供範囲内に位置するユーザ装置ユニット(UE)と通信する。無線アクセスネットワークでは、典型的には複数の基地局が(例えば地上通信回線またはマイクロ波を介して)1つの無線ネットワーク制御装置(RNC)に接続する。また無線ネットワーク制御装置は、基地局制御装置(BSC)と呼ばれることもあり、それに接続している複数の基地局の各種動作を管理して調整する。無線ネットワーク制御装置は、典型的には1つ以上のコアネットワークに接続する。
【0004】
ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)は、第3世代移動通信システムであって、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(GMS)から進化したものであり、広帯域符号分割多元接続(WCDMA)アクセス技術に基づいて移動通信サービスの向上をもたらすことが意図されている。
【0005】
ワイヤレスインターネットサービスの普及が進んできているが、各種のサービスは、高速のデータレートや大容量を必要としている。UMTSは、マルチメディア・ワイヤレス・サービスをサポートするように設計されているが、最大データレートは、必要なサービス品質を満たすには十分ではない。
【0006】
第3世代パートナシッププロジェクト(3GPP)として知られるフォーラムでは、通信のサプライヤ各社は、第3世代ネットワーク、特にUTRANのための諸標準を提案してそれらに合意しており、データレートおよび無線容量の向上について調査している。フォーラムにおける作業の結果の1つとして、ダウンリンクのためのハイスピード・ダウンリンク・パケット・アクセス(HSDPA)が挙げられるが、これは3GPP WCDMA仕様リリース5で導入された。HSDPAは、ハイスピード・チャネル(HSC)制御器を特色としている。HSC制御器は、例えば、送信対象のユーザ情報を、(送信時間間隔(TTI:トランスミッション・タイム・インターバル)と呼ばれる)時間多重化された間隔で、HS−DSCH帯域幅全体に亘って多重化することによって、ハイスピードスケジューラとして機能する。HSDPAは符号多重化を用いることから、複数のユーザを同時にスケジュール化することができる。
【0007】
一般にハイスピード・ダウンリンク・パケット・アクセス(HSDPA)に関しては、例えば、3GPP TS 25.435 V7.1.0(2006−06−16)3rd Generation Partnership Project、Technical Specification Group Radio Access Network、ハイスピード・ダウンリンク・パケット・アクセス(HSDPA)について論じたUTRAN Iub Interface User Plane Protocols for Common Transport Channel Data Streams(Release 7)を参照されたい。また、フォーラムによって作成され、ハイスピード・ダウンリンク・パケット・アクセス(HSDPA)または本書で記述する諸概念に何らかの関連があるものには、3GPP TS 25.321 V7.1.0(2006−06−23)、3rd Generation Partnership Project、Technical Specification Group Radio Access Network、Medium Access Control(MAC)protocol specification(リリース7)、3GPP TS 25.331 V7.1.0(2006−06−23)、3rd Generation Partnership Project、Technical Specification Group Radio Access Network、Radio Resource Control(RRC)、Protocol Specification(リリース7)、3GPP TS25.425 V7.1.0(2006−06−16)、3rd Generation Partnership Project、Technical Specification Group Radio Access Network、UTRAN Iur interface user plane protocols for Common Transport Channel data streams(リリース7)、3GPP TS25.433V7.1.0(2006−06−20)、3rd Generation Partnership Project、Technical Specification Group Radio Access Network、UTRAN Iub interface Node B Application Part(NBAP)signaling(リリース7)などが含まれる。
【0008】
3GPP WCDMA仕様リリース6において、ハイスピード・ダウンリンク・パケット・アクセス(HSDPA)に続いて、アップリンクにおけるハイスピード・アップリンク・パケット・アクセス(HSUPA)がそのエンハンスト専用チャネル(E−DCH)と共に導入された。
【0009】
HSDPAおよびHSUPAの新しいチャネルは、IPを利用した通信を効率的にサポートするよう設計されており、エンドユーザ性能を向上させ、システム容量を増加させる。当初は対話型アプリケーションおよびバックグラウンドアプリケーション用に設計されたが、それらは既存の回線交換形(CS)ベアラと同等もしくはそれを上回る良好な性能を会話サービス用にもたらしている。
【0010】
E−DCHは、IP送信用に機能強化された(ユーザ装置(UE)からノードBへの)専用アップリンクチャネルである。強化された点には、送信時間間隔(TTI)を短縮化すること、移動端末とノードBの間の(ソフト合成を伴う)ハイブリッドARQ(HARQ)の高速化、移動端末のノードBからの伝送速度のスケジューリングなどが含まれる。加えて、E−DCHは、アップリンクの専用チャネルに特徴的な機能の大半を保持している。
【0011】
E−DCHは、各UEからの複数のチャネルを伴う。例えばDPCCHは、パイロットシンボルとアウトバンドの制御シグナリングの一部とを搬送する。エンハンスト・アップリンクについての残りのアウトバンドの制御シグナリング、例えばスケジューリング要求は、E−DPCCH上で行われ、他方、E−DPDCHは、エンハンスト・アップリンク機能を用いて送信されるデータを搬送する。
【0012】
HSUPAのユーザプレーン無線インタフェース・プロトコル・アーキテクチャに関しては、ノードBとユーザ装置ユニット全体に配信されるHARQプロトコルおよびスケジューリング機能は、媒体アクセス制御−ハイスピード(MAC−hs)サブレイヤに属する。プロトコルのパラメータは、制御プレーン内のシグナリングによって構成される。このシグナリングは、無線リソース制御(RRC)プロトコルによって管理される。コアネットワーク(CN)とユーザ装置ユニットとの二地点間を接続するためにRLCサブレイヤから提供されるサービスは、無線アクセスベアラ(RAB)と呼ばれる。各RABは、その後、MACレイヤから提供されるサービスにマッピングされる。このサービスは、論理チャネル(LC)と呼ばれる。
【0013】
HSUPAの基本動作では、ノードBおよびユーザ装置ユニットが、E−DCHを送信/受信するための初期設定処理を行う。設定が完了すると、ユーザ装置ユニットはスケジューリング情報、例えば、アップリンクチャネル情報を知ることができるUEの送信電力についての情報、送信されることになるユーザ装置ユニットのバッファ内におけるデータストアの量についての情報等を、ノードBに提供する。ノードBは、スケジューリング情報を受信して、(ユーザ装置ユニットから受信したスケジューリング情報に基づいて)ユーザ装置ユニットに関してE−DCHの自分自身のスケジューリングを行うかどうか、および、どのようにして行うかを判断する。E−DCHのためにユーザ装置ユニットをスケジューリングすることが可能な場合、ノードBは、スケジューリング割当て情報を生成し、それがユーザ装置ユニットへ送信される。ユーザ装置ユニットへ送信されるスケジューリング情報は、データレート、送信タイミングのような情報を含む。ノードBからスケジューリング情報を受信すると、ユーザ装置ユニットは、そのようなスケジューリング情報を用いてE−DCHを送信し、また、送信されたE−DCHのE−DCHトランスポート・フォーマット・コンビネーション・インジケータ(E−TFCI)も送信する。
【0014】
E−DCHを受信すると、ノードBは、E−DCHもしくはTFRIの中で何らかのエラーが発生したかどうかを判断する。TFRIもしくはE−DCHのいずれか一方でエラーが発生した場合、ノードBは、否定応答(NACK)をユーザ装置ユニットへ送信する。他方、エラーがまったく発生しなかった場合、ノードBは、確認応答(ACK)をユーザ装置ユニットへ送信する。NACKおよびACKは、E−DCH HARQ Acknowledgement Indicator Channel(E−HICH)上で送信される。NACKおよびACK並びにNACKの受信に伴う再送は、移動端末とノードBの間で利用される高速ハイブリッドARQ(HARQ)の対象である。
【0015】
一般論としてのハイブリッドARQ技術は、共に「再送方法及び再送システム」と題された米国特許出願公開公報US2004/0147236および米国特許出願10/477414と、2003年4月にTexas A&M UniversityのWireless System Lab Seminarで、そして2003年3月にDIMACS Workshop on Network Information Theoryで提示されたSoljanin E.の「無線ネットワークにおけるハイブリッドARQ」と、そして、EP1389847A1とに記述されている。
【0016】
移動端末とHSUPAのためのノードBとの間での高速ハイブリッドARQ(HARQ)は、それぞれノードBとUEとに位置する一組のHARQ送信エンティティ部および受信エンティティ部を含み、それらのエンティティ部はHARQプロセスとも呼ばれる。UE毎のHARQプロセスの最大数は、通常、事前に定義される。ユーザ装置ユニットからノードBまでのこれらのデータフローは、例えば遅延要件およびエラー要件のようなサービス品質(QoS)に違いがある可能性があり、HARQインスタンスの構成を違えることが必要な場合がある。
【0017】
移動端末とHSUPAのためのノードBとの間での高速ハイブリッドARQ(HARQ)はまた、ソフト合成も採用する。すなわち、ノードBはエラーを有するデータを一時的に記憶して、その後、記憶されたデータを対応するデータの再送部分と合成し、従って、結果としての合成は、望ましくはエラーがないことになる。
【0018】
ハイスピード・アップリンク・パケット・アクセス(HSUPA)または少なくともE−DCHが、以下の文献のうち1つ以上で論じられている。
【0019】
米国特許出願公開公報US2005/0249120、
2005年1月14日に出願され、「無線アクセスネットワークのノード間におけるアップリンクの輻輳検出及び輻輳制御」と題された米国特許出願第11/035,021号、
2005年3月9日に出願され、「アイドル状態のエンハンストアップリンクチャネルのアウターループ電力制御用のBLER測定」と題された米国仮特許出願第60/659,429号、
2005年12月14日に出願され、「WCDMA用のDPDCHのオンデマンド拡散(DOD)」と題された米国仮特許出願第60/750,068号、
2006年6月14日に出願され、「E−DCH用のパケット廃棄タイマー」と題された米国仮特許出願第60/804,687号。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
E−DCHは、これまで、2つの構成可能な送信時間間隔(TTI)、すなわち10msおよび2msで仕様を定められてきた。2msのTTIは、レイテンシが比較的小さいため多くの状況で優れた性能を提供し、また、一定の時間範囲内でより多くのHARQ再送を利用できる可能性を提供する。
【0021】
多くの状況で2msのTTIが望ましい場合でも、カバレッジには限界があることがある。例えば、(WCDMAで一般に用いられる)336ビットのプロトコルデータユニット(PDU)サイズが送信される必要がある場合、これは(多くのネットワークがそれを計画していないことがある)168kbpsのデータレートに相当する。しかし、複数のHARQ再送を用いることによって、実効的なデータレートは減少するが、データはセル境界で(遅延が増えるかたちだが)送信可能である。2msのTTIでのHARQ往復時間(RTT)は、16msであり、これは、例えば、(当初の送信を含まない)3度のHARQ再送が、2+3*16ms=50msかかることを意味し、168/4=42kbpsという効率的なデータレートに相当する。
【0022】
複数の再送が必要であろうということが事前に分っていることが時々あるため、E−DCHのために自律的な再送を行うことが検討されてきた。上記の例では、送信機は(3回の再送が必要であることが分っている場合)4回の送信をすべて、連続したTTIの区間で行い、従って送信を50msではなく8msで完了することができるであろう。HSDPAで用いられる非同期型HARQのための自律再送の議論については、「無線通信システムにおいて自律的な再送を提供する方法及びシステム]と題されたWO2005/109729を参照されたく、そしてそれを参照により本願に援用する。非同期型HARQプロトコルにおいては、HARQプロセスが各(再)送信について明確にシグナリングされることから、自律再送を適用することは比較的容易である。従って、送信機は、連続したTTIを同一のHARQプロセスの中で送信することを選択できる。
【0023】
E−DCHのための最終的に仕様を定められたHARQプロトコルは、非同期方式というより同期方式である。E−DCHのための同期型HARQプロトコルというのは、前の(再)送信の後、一定数のTTIの区間で再送が行われることを意味する。従って自律再送をE−DCHに導入することは、容易ではない。
【0024】
1つの選択肢は、HARQプロトコルを同期型プロトコルから非同期型プロトコルに修正することである。しかし、同期型から非同期型へのそのような修正は、チャネル構造および仕様について比較的大きな修正を必要とするであろうから、それほど魅力的ではない。
【0025】
2msのTTIをいくつか連結することによってTTIを長くすることに伴うもう1つの問題は、ACK/NACKフィードバック・シグナリングである。図1に、4つのHARQプロセスを持つ(E−DCHは8つのHARQプロセスを有する)HARQプロトコルについてのHARQフィードバック・メカニズムを示す。E−DCH内のHARQフィードバック信号は、TTIを受信してから固定時間が経過した後に送信され、送信機は、フィードバックがどのHARQプロセスのことを言っているのかを受信時刻に基づいて認識する。
【0026】
図1を参照して分るように、HARQプロセス1および2の中でデータを繰り返すことによって4msのTTIが作成される場合、復号化プロセス2の後で送信されるACK/NACK信号は、到着するのが遅すぎて的確なHARQプロセスで再送を行うことができないであろう。ユーザ装置ユニット(UE)は、プロセス1が次のHARQプロセスサイクルを開始したときに初めて、自分が再送を行うことが想定されているのか否かをやっと知ることになるであろう。
【0027】
従って必要なのは、そして本発明の目的は、E−DCHチャネルのための自律的な再送をもたらすための装置、方法、および技術である。
【課題を解決するための手段】
【0028】
同期型のHARQプロトコルを利用するシステムに関して、本技術は、同期、現行のチャネル構造、そして現行の符号化方式を有利に維持する。さらに本技術は、標準化されているかまたは従来型の送信時間間隔(TTI)の長さを(名目モードで)使用できるようにすると同時に、別の長さの擬似的TTIもしくは理論上のTTIを(拡張モードで)使用できるようにし、その別の長さは、(例えば複数の)標準化されているかまたは従来型の送信時間間隔(TTI)の長さに関連する。
【0029】
擬似的TTIは、実際には2つの連続した従来型のTTI、例えば第1の送信時間間隔と第2の送信時間間隔とを含み、第1の送信時間間隔がデータの当初の送信のために用いられ、第2の送信時間間隔がその同じデータの再送のために用いられる。本技術は、名目モードと拡張モードとを提供することで、諸標準および既存の諸実装に対する最小限の修正で大きな柔軟性を提供する。実際、従来型のTTIと擬似的TTIとを可能にするだけで、現行の従来型のACK/NACKフィードバック・シグナリングが自律的HARQプロトコルと共に利用でき、その場合、基地局(例えばノードB)についてのACK/NACKのタイミングに関する処理要件を厳しくすることが望ましい。第2の送信時間間隔は、同じ(ユーザ)データの再送であるとはいえ、物理レイヤ上で適用されるパンクチャリングは異なり(異なる冗長性バージョンとして知られる)、従って送信と再送とは同一ではない。
【0030】
本技術は、さまざまなタイプのシステムおよびチャネルと共に有利に利用できる。例えば、本技術は、E−DCHのための同期型HARQプロトコルに対して使用でき、従って、E−DCHのための現行のチャネル構造とE−DCHのための現行のTFCI符号化方式を維持することができ、しかも、2msTTIという標準化されているかまたは従来型の送信時間間隔(TTI)の長さのE−DCHの(名目モードでの)使用だけでなく、4msの長さを有するように見える擬似的TTIまたは理論上のTTIの(拡張モードでの)使用をも可能にする。
【0031】
別の限定しない一例として、本技術は、UTRAN ロング・ターム・エヴォリューション(LTE)と共に使用することができる。
【0032】
一態様において、本技術は、同期型HARQプロトコルを使って、かつ、(1)名目モードで所定の長さの単一の送信時間間隔、または、(2)拡張モードで擬似的送信時間間隔のいずれか一方のチャネル上でデータを送信する機能を使って動作するように構成されたユーザ装置ユニットに関する。擬似的送信時間間隔は、データが送信される第1の送信時間間隔と、データが再送される第2の送信時間間隔とを含む。第2の送信時間間隔は、第1の送信時間間隔と連続しており、第1の送信時間間隔と第2の送信時間間隔はそれぞれ、(同じ)所定の長さである。
【0033】
実装の一変形形態では、ユーザ装置ユニットは、第2の送信時間間隔が基地局ノードで第1の送信時間間隔と合成されることになることを明示的にシグナリングするように構成される。例えば、ユーザ装置ユニットは、第2の送信時間間隔が基地局ノードで第1の送信時間間隔と合成されることになることを示すために、別のチャネル(例えばE−DPCCHチャネル)上の値を設定することができる。
【0034】
実装の別の変形形態では、明示的なシグナリングは必要ではない。その代わりに、ユーザ装置ユニットは、名目モードのためのHARQプロセスのサブセット(部分集合)を使用する。部分集合は非連続HARQプロセスから成り、部分集合のHARQプロセスの少なくとも一部、望ましくは全部が、偶数番目のHARQプロセスのうちの1つであるか、または、部分集合のHARQプロセスの少なくとも一部、望ましくは全部が、奇数番目のHARQプロセスのうちの1つである。このサブモードでは、擬似的送信時間間隔を実現するため、ユーザ装置ユニットは、拡張モードについて、部分集合のうちの選択されたHARQプロセスと、その選択されたHARQプロセスに数値的に隣接した、部分集合の外側のHARQプロセスとを使用する。
【0035】
実装の別の変形形態によると、ユーザ装置ユニットは、(1)名目モードでチャネル(例えばE−DCHチャネル)上でデータを送信することと、拡張モードにおいてチャネル上でデータを送信することとをミックスするようにするか、または、ミックスしないようにするかのいずれか一方であるように構成されてもよい。モードのミックスが可能であるような実装の変形形態において、ユーザ装置ユニットは、第1の(所定の)グループのHARQプロセスを名目モードで利用し、第2の(所定の)グループのHARQプロセスを拡張モードで利用するように構成されてもよい。
【0036】
アーキテクチャに関しては、例示する一実施形態においてユーザ装置ユニットは、UE MACエンティティ部、モード選択器、そして通信部を備えてもよい。UE MACエンティティ部は、名目モードではチャネル(例えばE−DCHチャネル)の単一の送信時間間隔にデータを割当てるため、そして、拡張モードではデータを第1の送信時間間隔と第2の送信時間間隔とにデータを割当てるように機能する。モード選択器は、データが名目モードで割当てられることになるか拡張モードで割当てられることになるかをMACエンティティ部に指定する。通信部は、無線インタフェースを介して基地局へ送信時間間隔の中のデータを通信する。
【0037】
一態様において、本技術は、ユーザ装置ユニットから無線インタフェースを介してアップリンクチャネル上でデータを受信する、無線アクセスネットワーク(RAN)の基地局ノードに関する。例示する一実施形態において、ノードは、無線インタフェースを介してユーザ装置ユニットと通信するための基地局通信部と、同期型HARQプロトコルを使って、かつ、名目モードかまたは拡張モードかいずれか一方のアップリンクチャネル上でデータを受信する機能を使って動作するように構成されたMACエンティティ部と、そして、ACK/NACK生成器とを含む。望ましくはACK/NACK生成器は、もし名目モードの送信時間間隔が代わりに受信されていたならば確認応答メッセージが生成されたであろう時刻に擬似的送信時間間隔についての情報を受信したことについての確認応答メッセージを生成するが、ただし、完全な拡張された送信データ(例えば、拡張モードの第1の送信時間間隔および拡張モードの第2の送信時間間隔からソフト合成されたデータ)がうまく復号されうる/されたという事実を確認するための確認応答メッセージと共に生成する。
【0038】
例示する一実装において、ACK/NACK生成器は、擬似的送信時間間隔における第1の送信時間間隔を受信したしてから4.1msが経過した後で確認応答メッセージポイントを生成するように構成される。
【0039】
例示する一実施形態において、基地局はさらに、明示的なシグナリングを受信すると、第2の送信時間間隔が第1の送信時間間隔と合成されることになることをMACエンティティ部に通知するように構成された、シグナリングハンドラ(シグナリング処理装置)を含む。そのような明示的なシグナリングは、例えば、E−DPCCHチャネル上で所定の値を受信した時点で行われてもよい。
【0040】
例示する別の一実施形態において、基地局は、複数のHARQプロセスを含む。明示的なシグナリングを必要としない例示する一実装について、MACエンティティ部は、名目モードに対してHARQプロセスのサブセット(部分集合)を使うように構成される。前に説明したように、部分集合は非連続HARQプロセスから成り、部分集合のHARQプロセスの少なくとも一部、望ましくは全部が、偶数番目のHARQプロセスのうちの1つであるか、または、部分集合のHARQプロセスの少なくとも一部、望ましくは全部が、奇数番目のHARQプロセスのうちの1つである。さらに、MACエンティティ部は、拡張モードについて、部分集合のうちの選択されたHARQプロセスと、その選択されたHARQプロセスに数値的に隣接した、部分集合の外側のHARQプロセスとを使用するように構成される。明示的なシグナリングを必要としない実装では、基地局ノードは、部分集合の外側にありかつ選択されたHARQプロセスに数値的に隣接するようなHARQプロセス上でエネルギーを検出することによって拡張モードの使用を検出するように構成される。
【0041】
別の態様において、本技術は、ユーザ装置ユニットと基地局ノードとを両方含む無線アクセスネットワーク(RAN)に関する。ユーザ装置ユニットは、同期型HARQプロトコルを使って、かつ、名目モードかまたは拡張モードかいずれか一方のチャネル(例えばE−DCHチャネル)上でデータを送信する機能を使って動作するように構成される。基地局ノードは、無線インタフェースを介してユーザ装置ユニットと通信し、そして、名目モードかまたは拡張モードかいずれか一方のチャネル(例えば、E−DCHチャネル)上でデータを受信して、もし名目モードの送信時間間隔が代わりに受信されていたならば確認応答メッセージが生成されたであろう時点に擬似的送信時間間隔を受信したことを示す確認応答メッセージを生成するように構成される。拡張モードの確認応答メッセージは、完全に拡張された送信(例えば、拡張モードの第1の送信時間間隔および拡張モードの第2の送信時間間隔からソフト合成されたデータ)がうまく復号されうる/されたという事実を確認する。
【0042】
別の態様において、本技術は、無線アクセスネットワーク(RAN)を動作させる方法に関する。方法は、(ユーザ装置ユニットから無線インタフェースを介して基地局ノードへとチャネル(例えばE−DCHチャネル)上で同期型HARQプロトコルを使って)名目モードおよび拡張モードで選択的にデータを送信することを含む。方法はさらに、名目モードか拡張モードかいずれか一方で基地局ノードにおいてチャネル(例えばE−DCHチャネル)上でデータを受信することを含む。方法はさらに、もし名目モードの送信時間間隔が代わりに受信されていたならば確認応答メッセージが生成されたであろう時点に擬似的送信時間間隔を受信したことを示す(基地局ノードで)確認応答メッセージを生成することを含むことが望ましい。
【0043】
前述のおよび他の本発明の目的、特徴、利点は、添付の図面に示す好適実施形態の下記のより詳細な記述から明らかになるであろうが、図面では、参照文字は、各種の図全体を通じて同じ部分を指す。図面は、必ずしも一定の比例に拡大しておらず、その代わりに、本発明の原理を示す強調が施されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】E−DCHにおけるACK/NACKフィードバック・シグナリングの一般的な線図である。
【図2】名目モードか拡張モードかいずれか一方でE−DCH上でデータを送信することが可能なユーザ装置ユニットを含む無線アクセスネットワーク(RAN)の概略図である。
【図3】名目モードおよび拡張モードの両方によるチャネル上でのデータの送信を示す概略図である。
【図4A】名目モードの動作のためのHARQプロセスの部分集合の利用を示す線図である。
【図4B】図4BのそれのようなHARQプロセスの部分集合が代わりにどのようにして拡張モードの動作のために選択的に利用されうるかを示す線図である。
【図5】ユーザ装置ユニットの例示する一実施形態の概略詳細図である。
【図6】基地局ノードの例示する一実施形態の概略詳細図である。
【図7】拡張チャネル(例えば拡張E−DCHチャネル)の例示する一実施形態が有利に採用されうる例示する移動通信システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
下記の記述においては、限定ではなく説明を目的として、具体的なアーキテクチャ、インタフェース、技術などの具体的な詳細が、本発明の十分な理解を提供するために述べられている。しかし、当業者には明らかであろうが、本発明は、これらの具体的詳細とは異なる他の実施形態の中で実行されることもある。つまり、当業者なら、本書で明示的に記述されるかまたは示されてはいないが、本発明の原理を実施し、本発明の技術思想とその範囲の中に含まれる各種の構成を工夫することができるであろう。時には、不要な詳細で本発明の記述を分りにくくすることのないように、よく知られているデバイス、回路、方法の詳細記述は、省略する。本発明の原理、態様、実施形態を記載する本書のすべての記述およびその具体例は、その構造的同等物および機能的同等物を両方共包含することが意図されている。加えて、そのような同等物には、現在知られている同等物だけでなく、将来開発される均等物、すなわち、構造の如何を問わず同じ機能を行うような、開発されたいずれかの要素、も含まれることが意図されている。
【0046】
従って、例えば、当業者であれば理解するであろうが、本書のブロック図は、技術の原則を実施する例示的な回路構成の概念図を表す。同様に、理解されるであろうが、フローチャート、状態遷移図、擬似コードなどはいかなるものであっても、コンピュータ可読記憶媒体の中に実質的に記憶されてコンピュータまたはプロセッサによって、そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かを問わず、そのように実行されうる各種のプロセスを表す。
【0047】
「プロセッサ」または「制御器」というラベルが付けられた機能ブロックを含む各種要素の機能は、専用のハードウェアの使用を通じて提供されてもよいし、適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行することが可能なハードウェアを通じて提供されてもよい。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、あるいは、一部が共有されても分散されてもよい複数の個別プロセッサによって提供されてもよい。さらに、「プロセッサ」または「制御器」という用語の明示的使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアを排他的に指すと解釈されるべきではなく、そして、限定することなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)のハードウェア、ソフトウェアを記憶するための読み出し専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、不揮発性メモリを含んでもよい。
【0048】
同期型HARQプロトコルを利用するシステムに関して、本技術は、現行の同期型E−DCHのためのHARQプロトコル、E−DCHのための現行のチャネル構造、そしてE−DCHのための現行のTFCI符号化方式を有利に維持し、しかも本技術は、例えば2msのTTIという標準化されているかまたは従来型の送信時間間隔(TTI)の長さのE−DCHの(名目モードでの)使用だけでなく、4msの長さを有するように見える、異なる長さの擬似的TTIまたは理論上のTTIの(拡張モードでの)使用も可能にし、その異なる長さは、(例えば複数の)標準化されているかまたは従来型の送信時間間隔(TTI)の長さに関連する。
【0049】
擬似的TTIは、実際には2つの連続した従来型のTTI、例えば第1の送信時間間隔と第2の送信時間間隔とを含み、第1の送信時間間隔がデータの当初の送信のために用いられ、第2の送信時間間隔がその同じデータの再送のために用いられる。名目モードと拡張モードとを提供する本技術は、諸標準および既存の諸実装に対する最小限の修正で大きな柔軟性を提供する。実際、従来型の2msのTTIと4msの擬似的TTIとを可能にするだけで、現行の従来型のACK/NACKフィードバック・シグナリングが自律的HARQプロトコルと共に利用できる。その場合、E−DCHを受信する基地局(例えばノードB)についてのACK/NACKのタイミングに関する処理要件を厳しくすることが望ましい。第2の送信時間間隔は、同じ(ユーザ)データの再送であるとはいえ、物理レイヤ上で適用されるパンクチャリングは異なり(異なる冗長性バージョンとして知られる)、従って送信と再送とは同一ではない。
【0050】
本技術は、さまざまなタイプのシステムおよびチャネルと共に有利に利用できる。例えば、本技術は、E−DCHのための現行の同期型HARQプロトコルに対して使用でき、従って、E−DCHのための現行のチャネル構造とE−DCHのための現行のTFCI符号化方式を維持することができ、しかも、例えば2msのTTIという標準化されているかまたは従来型の送信時間間隔(TTI)の長さのE−DCHの(名目モードでの)使用だけでなく、4msの長さを有するように見える擬似的TTIまたは理論上のTTIの(拡張モードでの)使用をも可能にする。あるいは、別のほんの一例として、本技術は、UTRAN ロング・ターム・エヴォリューション(LTE)と共に利用することもできる。
【0051】
本技術の一例として、図2は、(ノードBとも呼ばれる)基地局ノード28とユーザ装置ユニット(UE)30とを含む基地局無線アクセスネットワーク(RAN)の一部を示す。基地局ノード28とユーザ装置ユニット30とは、無線インタフェース32上での送信を使って通信する。
【0052】
無線インタフェース32上での送信は、本技術がさまざまなタイプのチャネル、サービス、およびシステムと共に使用することができるという事実を表すため、図2では一般的に矢印31で示す。例えば、図2の矢印31は、(エンハンスト・アップリンク機能を用いて送信されたデータを搬送する)E−DPDCHチャネルのようなHSUPA送信を表してもよい。そのような場合、他のE−DCH関連チャネル、例えばE−DPCCHが動作することになることは、当業者であれば理解されるであろう。あるいは、矢印31は、UTRAN ロング・ターム・エヴォリューション(LTE)のために利用されるアップリンクチャネルを表してもよい。
【0053】
図2の例示する実施形態のユーザ装置ユニット30は、UE MACエンティティ部34およびUE通信部(TX/RX)36を含む。UE MACエンティティ部34は、次には、モード選択器38を有する。当業者であれば理解するはずだが、ユーザ装置ユニット30は、その他の多くの図示しないエンティティ部および機能性を有するが、それらの大半は、本書で述べる技術に密接に結びついてはいないので省略されている。
【0054】
さらにユーザ装置ユニット30は、データソース(例えば、HSUPA実装のためのE−DCHデータのソース)を有する。データソース40は、例えば、基地局ノード28へ送信するためのチャネル31宛のデータ(例えばE−DCH宛のまたはE−DCHに関連するデータ)を生成するかまたは別の方法で送信/受信する1つ以上のアプリケーションであってもよい。話を簡単にするため、図2では、データソース40からチャネル31へのデータの1つのフローだけを想定し、そのようなデータがUE MACエンティティ部34のデータキュー42に記憶されることをさらに示す。データキュー42に記憶されたチャネル31へ向うデータは、UE MACエンティティ部34を含むHARQ制御器44の中で適切なHARQプロセスへ搬送される。
【0055】
ユーザ装置ユニット30、特にそのUE MACエンティティ部34は、同期型HARQプロトコルを使って、かつ、(1)名目モードおいて所定の長さの単一の送信時間間隔の中でか、または、(2)拡張モードにおいて擬似的な送信時間間隔の中でのいずれか一方のチャネル31上でデータを送信する機能を使って動作するように構成される。擬似的送信時間間隔は、データが送信される第1の送信時間間隔と、データが再送される第2の送信時間間隔とを含む。擬似的送信時間間隔の第1の送信時間間隔と第2の送信時間間隔のそれぞれは両方共、名目モードにおける単一の送信時間間隔の長さと等しい長さであることが望ましい。第2の送信時間間隔は、第1の送信時間間隔と連続しており、第1の送信時間間隔と第2の送信時間間隔はそれぞれ、(同じ)所定の長さである。
【0056】
モード選択器38は、チャネル31へ向うデータが名目モードで割当てられることになるか拡張モードで割当てられることになるかをUE MACエンティティ部34に指定する。このために、モード選択器38は、図2が示すように、名目モードプロセス46と拡張モードプロセス48を備えるように描かれている。名目モードプロセス46は、名目モードで動作するためのUE MACエンティティ部34(およびUE通信部(TX/RX)36)によって使用される情報を含み、拡張モードプロセス48は、拡張モードで動作するためのUE MACエンティティ部34(およびUE通信部(TX/RX)36)によって使用される情報を含む。そのような情報は、そのモードがいつ有効になっているかをシグナリングで伝達するための各モードごとのモードフラグと、本書内で以下に記述する各種の例示する実装によって動作するためUE MACエンティティ部34によって利用されるそれ以外の情報およびパラメータとを含む。
【0057】
図2の例示する実施形態の基地局ノード28は、ユーザ装置ユニット30から無線インタフェース32を介してチャネル31上でデータを受信する。特に図示した実施形態では、基地局28が、(無線インタフェース32を介してユーザ装置ユニット30と通信するための)基地局通信部56と、基地局MACエンティティ部64と、そして、(望ましくは)(例示したACK/NACK生成器66の形態の)フィードバック生成器とを備える。基地局MACエンティティ部64は、同期型HARQプロトコルを使って、かつ、名目モードか拡張モードかのいずれか一方のチャネル31上でデータを送信する機能を使って動作するように構成される。ACK/NACK生成器は、もし名目モードの送信時間間隔が代わりに受信されていたならば確認応答メッセージが生成されたであろう時点において擬似的送信時間間隔を受信したことを示す確認応答メッセージを生成するように機能する。擬似的送信時間間隔についての確認応答メッセージは、完全な拡張された送信(例えば、拡張モードの第1の送信時間間隔および拡張モードの第2の送信時間間隔からソフト合成されたデータ)がうまく復号されうる/されたという事実を確認するものである。
【0058】
図2が例示する実施形態の基地局MACエンティティ部64は、さらに、基地局HARQ制御器68と、フィードバックが必要かまたは望ましいときを判断する検出器70と、そして、チャネル31で取得されたデータが次に(例えば、優先ノードまたは無線ネットワーク制御装置(RNC)のような別のノードへ)送信される前に記憶されるデータキュー72とを含む。
【0059】
図3は、名目モードと拡張モードとの両方によって(例えば図2のユーザ装置ユニット30のような)ユーザ装置ユニットが(例えばE−DCHチャネルのような)チャネル上でデータを送信することを一般的に示す。話を簡単にするため、図3ではUE HARQ制御器44と基地局HARQ制御器68の8つのHARQプロトコルプロセスのうち、3つだけを示す。従って図3は、本技術を使って、所定の長さの従来型もしくは標準化されているTTIの区間でチャネル上でデータを送信するか、または、2つの連続する従来型もしくは標準化されているTTIを含む理論上のもしくは擬似的送信時間間隔を用いて自律的な再送を行うか、いずれか一方が可能であることを示す。従来型もしくは標準化されている送信時間間隔は、例えば2msという所定の長さを有してもよく、他方、擬似的送信時間間隔は、2つの従来型送信時間間隔を含み、従って4msという実効的な擬似的長さを有する。それ以外の所定の長さの送信時間間隔も可能であるが、そのような場合、擬似的送信時間間隔の実効的な長さは、所定の送信時間間隔の長さの2倍になるであろう。本書では、理論上の擬似的送信時間間隔は、通常のもしくは標準化されている送信時間間隔と区別するため、拡張TTIと呼ばれることもある。
【0060】
前述のように、図3は、(例えばE−DCH)チャネル31のようなチャネル上の送信に関わる8つのHARQプロセスのうちの3つを示し、各HARQプロセスは、異なる陰影を内側に施したブロックで表し、数字1、2または3のうちの適切なものを有する。図3は、基地局ノード28とユーザ装置ユニット30とのそれぞれについての3つのHARQプロセスを、左から右へ時間を追って示す。各HARQプロセスは、8つの送信時間間隔の1つに対応し、各送信時間間隔について、UE HARQ制御器44と基地局HARQ制御器68の中に(図3のHARQプロセスブロックの中に類似の陰影で示すように)対応するHARQプロセスが存在する。対応する一対のHARQプロセスについて、UE HARQプロセスは送信時間間隔を送信した時点で開始されることから、UE HARQ制御器44のHARQプロセスを、図3の最初の時間に(一番左に)示し、対応する基地局HARQプロセスは、送信時間の遅延を反映するため、それぞれのUE HARQプロセスの少し右側から始まることを示す。
【0061】
図3に示す例示するシナリオでは、データは1つの送信時間間隔でUE HARQプロセス1の下で送信されることから、HARQプロセス1は、名目モードによって行われる。基地局28が送信時間間隔のデータを受信すると、基地局HARQプロセス1は、データを処理し、そして、処理した後、フィードバックをACKメッセージもしくはNACKメッセージのかたちで(a)として示す時点において送信する。言い換えると、HARQプロセス1のデータは、ユーザ装置ユニットによって自動的に再送されるのではなく、しかも、時刻(a)にNACKメッセージを受信することによってその後の再送を促されない限り、まったく再送されない。
【0062】
また図3は、HARQプロセス2および3が一緒に拡張モードを実行することを示す。(例えばE−DCHチャネルのような)チャネル31のためのデータは、最初にUE HARQプロセス2の下で送信時間間隔2により送信され、その後、同じデータが、UE HARQプロセス3の下で送信時間間隔3により再送される。送信時間間隔2と送信時間間隔3とは、擬似的な送信時間間隔を集合的に形成する。
【0063】
実装の一変形形態において、図3でたまたま示しているが、ユーザ装置ユニット30は、第2の送信時間間隔(例えば、図3のHARQプロセス3に対応する、送信時間間隔3)が第1の送信時間間隔(例えば図3のHARQプロセス2に対応する、送信時間間隔2)と基地局ノードで合成されることになることを明示的にシグナリングで伝達するように構成される。例えば、第2の送信時間間隔(例えば、図3のHARQプロセス3に対応する、送信時間間隔3)が第1の送信時間間隔(例えば、図3のHARQプロセス2に対応する、送信時間間隔2)と基地局ノードで合成されることになることを示すため、ユーザ装置ユニット30が、ある値を別のチャネル(例えばE−DPCCHチャネル)上に設定してもよい。この点で、図3は、他のチャネル(例えばE−DPCCHチャネル)上で搬送される情報をそれぞれのHARQプロセスとおおよそ一致させて示す。拡張送信時間間隔または擬似的送信時間間隔が用いられていることを基地局ノード28に示すことを目的として、他方のチャネル(例えばE‐DPCCHチャネル)上のコードポイント(値)のうちの1つ(例えば冗長バージョン3を使った最大のTBサイズ)が、「このTTIは前のTTIと同じ符号化方式(TBサイズおよび冗長バージョン)を有しており、そのTTIとソフト合成されなければならない」ことを意味するために予約される。
【0064】
従って、HARQプロセス1では通常の送信が行われるが、HARQプロセス2では拡張TTIの区間で送信が行われるという前述の内容を、図3に示す。これはHARQプロセス2のためのシグナリング中には見られないが、HARQプロセス3では、そのTTIの区間で受信されたデータは、前のTTIの中のデータを合成されなければならないことを意味する、他方のチャネル(例えばE−DPCCHチャネル)の予約値が使われる。
【0065】
基地局ノード28は、予約された値が使われていないTTIの区間でデータを受信すると、それを復号しようとする(例えば図3のHARQプロセス1および2)。あるTTIの区間でデータが受信され、そして予約コードがE−DPCCH上で使われていた場合、基地局28は、進行している可能性のある復号化を中断して、受信データを前のTTIと合成する。言い換えると、例えば、図3においてHARQプロセス3についてのデータが受信された場合、それは、HARQプロセス2のデータと合成されるであろう。従って、アップリンクのシグナリングは本質的にレイヤ1(L1)上では不変であってもよく、値のうちの1つだけが、この目的で予約されていればよい。
【0066】
実装の別の変形形態では、明示的なシグナリングは必要ではない。そうではなくて、ユーザ装置ユニット30は、名目モードのためのHARQプロセスの部分集合を使用する。部分集合は、非連続HARQプロセスから成り、部分集合のHARQプロセスの少なくとも一部、望ましくは全部が、偶数番目のHARQプロセスのうちの1つであるか、または、部分集合のHARQプロセスの少なくとも一部、望ましくは全部が、奇数番目のHARQプロセスのうちの1つである。この変形形態では、擬似的送信時間間隔を実現するため、ユーザ装置ユニット30は、拡張モードについて、部分集合のうちの選択されたHARQプロセスと、その選択されたHARQプロセスに数値的に隣接した、部分集合の外側のHARQプロセスとを使用する。
【0067】
言い換えると、この変形形態では、例えばE−DPCCHかまたは他のチャネル上の「予約コード」は必要ではない。例えば、2msの送信時間間隔については、ユーザ装置ユニット30が使用を許可されることになるHARQプロセスが一部のものに制限される。全部で8つあるHARQプロセスのうち、ユーザ装置ユニット30は、例えばUE HARQプロセス1、3、5、7を使用するように制限されてもよい。図4Aは、そのような制限を示している。この場合、ユーザ装置ユニット30は、名目ノードについては実線の四角形によって表されるUE HARQプロセス(例えばUE HARQプロセス1、3、5、7)だけを使用することが許可されている。「許されていないHARQプロセスは、図4Aでは破線の四角形で描かれている(例えば UE HARQプロセス2、4、6、8)。その後、本技術によってTTIを「拡張する」必要がある場合、(E−DPDCH上で)使用不能になったプロセス、この場合、HARQプロセス2、4、6、8、のうちの1つのエネルギーを検出することによって、TTIの「拡張部分」が単純に検出されうる。次いで、このエネルギーは、図4Bに示すように、前のプロセス上の送信と関連付けられる(例えば、HARQプロセス2は、擬似的送信時間間隔を形成するため、HARQプロセス1と関連付けることができ、HARQプロセス4は、擬似的送信時間間隔を形成するため、HARQプロセス3と関連付けることができ、以下同様である)。
【0068】
従って、拡張TTIは、その後のHARQプロセスの各ペアに導入されてもよく、その場合、第1のものが使用可能にされ、第2のものが使用不能にされる。この文脈において「使用不能にされる」とは、「独立した」HARQ送信が、このプロセスの中で発生してはならないことを意味する。
【0069】
多くの場合、例えばチャネル31(例えばE−DCHチャネル)のようなチャネルを受信する基地局ノード28についてのACK/NACKタイミングに関して、処理要件を厳しくすることが必要となることがある。その際、擬似的送信時間間隔が復号された後にACK/NACKフィードバックメッセージが通常どおり送信される場合、ACK/NACKフィードバックメッセージが余りにも遅延して到着するため、ユーザ装置ユニット30は正確なHARQプロセスで再送を行うことができないだろう。この問題を解決するため、実装の一例では、基地局ノード28は、擬似的送信時間間隔を復号して、第1のTTIのための通常のフィードバックが送信されたであろう時点において擬似的送信時間間隔のACK/NACKフィードバックを送信することを求められてもよい。
【0070】
上記の件について、現行のE−DCH仕様では、基地局ノード28は、TTIを復号してACK/NACKフィードバックメッセージを送信するのに約6.1msを必要とする。実装の一例では、基地局ノード28のACK/NACK生成器66のタイミング要件は、約4.1msまで厳しくされている。
【0071】
上記についても図3に示す。この点で図3は、基地局ノード28がその名目モードの送信時間間隔についてのACK/NACKを、固定の処理時間が経過した後に(すなわち、図3が示す基地局HARQプロセス1の後の時刻a)に送信することを示す。HARQプロセス2および3が合成されて擬似的送信時間間隔が形成される場合、擬似的送信時間間隔についてのACK/NACKは、基地局HARQプロセス3の後で同一の固定の処理時刻が経過したときに送信されることができない、すなわち、時点c)に送信されることができない。擬似的送信時間間隔についてのACK/NACKを時点c)に送信すれば、ACK/NACKメッセージのユーザ装置ユニット30への到着が余りに遅延しているため、UE HARQプロセス2の間に再送することはできないであろう。代わりに、本書で提供する改良によると、(HARQプロセス2および3に関連する)擬似的送信時間間隔全体についてのACK/NACKが、時点b)に送信される。時点b)は、基地局HARQプロセス2に関するACK/NACKの送信のための通常の時点、すなわち、もし名目モードの送信時間間隔が代わりに生成されていたならば確認応答メッセージが生成されたであろう時点である。ACK/NACKは、実際、擬似的送信時間間隔全体に関するものであり、従って、完全な拡張された送信(例えば、拡張モードの第1の送信時間間隔および拡張モードの第2の送信時間間隔からソフト合成されたデータ)がうまく復号されうる/されたという事実を確認するものとなる。ユーザ装置ユニット30は、この規則に気づき、時点b)で受信したACK/NACKを使用して擬似的送信時間間隔のためUE HARQプロセス2および3における再送を決定する。従って、時点c)で送信されたACK/NACKは、(本改良の利点を示すためだけに図に含まれてはいるが)このスキームにおける実際的な意味を有しない。
【0072】
さらに別の異なる実装の変形形態では、ユーザ装置ユニット30は、(1)名目モードを使用してチャネル31(例えばE−DCHチャネル)上でデータを送信することと、(2)拡張モードを使用してチャネル31(例えばE−DCHチャネル)上でデータを送信することとをミックスされてもよいし、ミックスされなくてもよい。好適な実施形態では、通常のTTIと擬似的な送信時間間隔の使用はミックスされず、すなわち、所与の時点には、8つの2msTTIかまたは4つの4ms擬似的送信時間間隔かのいずれか一方が存在する。これは、ユーザ装置ユニット30は、TTIの長さを切り替える前に(例えばセルの境界線に接近する場合)、すべてのプロセスに関する自分の未解決の再送を完了する必要があることを意味する。
【0073】
しかし、他の実装の変形形態では、通常のTTIと拡張TTI(すなわち擬似的送信時間間隔)とをミックスすることができる。モードのミックスが許されている実装の変形形態では、ユーザ装置ユニットは、第1の(所定の)グループのHARQプロセスを名目モード用に利用し、第2の(所定の)グループのHARQプロセスを拡張モード用に利用するように構成されてもよい。言い換えると、ミックスが許されている実装では、HARQプロセス1、2、3、4は、2msのTTIを使用してもよいが、HARQプロセス5+6および7+8が合成され、構成可能なやり方で拡張TTIを形成してもよい。これは、E−TFC選択にわずかな影響しか与えないかたちで行われる。
【0074】
さらに、別の例示する実施形態では、TTIの長さが動的に変化する。この場合、E−TFC選択アルゴリズムが、送信は通常のTTIで行われるべきかまたは拡張TTIで行われるべきかを各(再)送信について決定する。この場合、拡張TTIは、2つの連続するTTIが空いている場合、すなわち、影響を受けるHARQプロセスの中で再送が進行していない場合に限って使用可能である。この場合、再送のためのTTIの長さを変更することも可能である。言い換えると、通常のTTIは、第1の送信に使用することができるが、拡張TTIは、2つの必要なHARQプロセスが空いている場合に再送のために使用することができる。
【0075】
本技術は、2msのTTIのカバレッジを向上させるのに特に有益であるため、ユーザ装置ユニット30の電力に限界がある場合にのみ本ソリューションが使用されるように、制約することができるであろう。これは、本ソリューションが、「最小限のE−TFC」の集合に相当するトランスポートブロックについてのみ許されるであろうということを意味する。
【0076】
従って、例示するHSUPAの実装に関して、本書に記述した技術は、自律的再送を導入して2msまたは4msのTTI(例えば4msという擬似的送信時間間隔)を作り出すことによって、例えば、E−DCHのためのカバレッジの拡張を可能にする。HARQプロトコルまたはACK/NACKシグナリングを修正せずに、かつ、仕様に最小限の変更を加えるだけで、このスキームを使用することができる。他の例示する実装では、TTIを他の長さとすることも可能である。
【0077】
一例として、セルの境界で、通常のHARQ再送の場合におけるE−DCHのための50msの代わりに20msの遅延割当量のうち、8ms(4つのTTI)からエネルギーを集めることが可能である(あるいは、エネルギーは、通常のHARQ再送の場合における82msの代わりに36msの遅延割当量のうち、12msの送信から集められてもよい)。
【0078】
図5は、限定しないHSUPAの実施形態によるユーザ装置ユニット30(5)をより詳細に示す。図5の実施形態では、E−DCHデータソースが1つ以上のアプリケーション40(5)であることを示す。ユーザ装置ユニット30(5)のUE MACエンティティ部34(5)は、UE HARQ制御器44(5)およびモード選択器38だけでなく、チャネルフロー制御器80、符号器82、E−DCHチャネルフォーマッタ84、そして制御チャネルフォーマッタ86も含むものとして示す。チャネルフロー制御器80は、E−DCHスケジューラ88および到着パケットハンドラ90を含む。到着パケットハンドラ90は、例えば、図5に示すデータキュー42−42のような1つ以上のデータキューを含み、各キュー42は、(例えば異なるアプリケーション40(5)からの)異なるデータフローに関連する。E-DCHスケジューラ88は、データキュー42からのデータの抽出と、E−DCHチャネルのフォーマッティングとを、基地局ノード28によってユーザ装置ユニットに提供されたスケジューリング情報に従って基地局ノード28によってユーザ装置ユニットに認められたスケジューリングに従って、E−DCHチャネルフォーマッタ84によって制御する。
【0079】
符号器82は、E−DCHへ向うデータの符号化を、そのようなデータをUE HARQ制御器44(5)のHARQプロセス53−53のうち適切なものに関連付ける前に行う。符号器82が行う符号化動作には、例えば、さまざまなデータキュー42からのデータの多重化と、MACヘッダの追加とが含まれてもよい。UE HARQ制御器44(5)のUE HARQプロセス53−53は、E−DCHのために利用される送信時間間隔の数Nに対応し、例えば例示する実装ではN=8である。
【0080】
図5はさらに、通信部53が、E−DPDCHチャネルだけでなく、他のチャネル、例えばE−DPCCH、DPCCH、HS−DPCCH等も送信することを示す。E−DPCCH等の制御チャネルのコンテンツは、制御チャネルフォーマッタによって準備され、フォーマットされる。またユーザ装置ユニット30(5)は、典型的には電力制御ユニット92を含む。
【0081】
モード選択器38は、最小限のE−TECが送信される場合には拡張モードが選択されるように、例えばスケジューラ88から情報を入手することもできる。あるいは、モード選択器38は、ネットワークから受信した上位層のシグナリング(例えばRRCシグナリングと共にどのモードを使用するかというネットワーク命令)から情報を得ることもできる。例えば、E−TFC選択アルゴリズムから情報を入手することなど、情報をモード選択器38に提供するためのその他の選択肢も含まれる。
【0082】
図6は、限定しない例示するHSUPAの一実施形態による基地局ノード28(5)を、より詳細に示す。基地局ノード28(6)の基地局MACエンティティ部64(6)は、基地局HARQ制御器68(6)を含むだけでなく、復号器102、リオーダリング(並べ替え)ユニット104、そしてチャネルフロー制御器106も含むとして示す。
【0083】
復号器102およびリオーダリングユニット104はそれぞれ、個別のエラー検出プロセス112、114を有してもよい。復号化検出器112は、符号化アルゴリズムがエラーを検出する場合を検出し、故障検出器114は、送信時間間隔についてのデータが受信されなかったかまたは失われたと判断する。復号化検出器112およびリオーダリングユニット104は両方共、ACK/NACK生成器66が適切なフィードバックメッセージ(例えばACKメッセージかまたはNACKメッセージのいずれか一方)を生成できるように、ACK/NACK生成器66に通知するように構成される。このため図6では、ACK/NACK生成器66は、基地局通信部56に接続するとして示す。
【0084】
基地局ノード28(6)のチャネルフロー制御器106は、E−DCHスケジューラおよび到着パケットハンドラ122を含む。E−DCHスケジューラ120は、ユーザ装置ユニット30がどの送信時間間隔を利用することができるかを実際に判断し、それを示す情報をユーザ装置ユニット30のE−DCHスケジューラ88へ送信する(図5を参照)。到着パケットハンドラ122は、複数のデータキュー72−72を含み、各データキュー72は、異なるデータフローに利用される。E−DCHデータは、到着パケットハンドラ122からRNCインタフェース124へ伝達される。
【0085】
基地局ノード28(6)はさらに、例えば、擬似的送信時間間隔の第2の送信時間間隔であるためにどの送信時間間隔が予約されているのかを指定する図2のE−DPDCH情報のような、シグナリング情報を処理するためのシグナルハンドラ130を含む。
【0086】
上記に示すように、基地局ノードのACK/NACK生成器66は、(擬似的送信時間間隔を受信した時点で)もし名目モードの送信時間間隔が代わりに受信されていたならば確認応答メッセージが生成されたであろう時点に、すなわち図3の時点b)に、そのフィードバックメッセージを生成することが望ましい。例示する一実装において、名目モードと拡張モードの両方について、ACK/NACK生成器66は、確認応答メッセージポイントを擬似的送信時間間隔の第1の送信時間間隔の受信後4.1msで生成するように構成される。別の例示する一実装において、6.1msという従来の処理時間は、名目ノードについて維持されるが、拡張モードについての確認応答メッセージの生成は、拡張モードについてのACK/NACKが前の名目ノードの受信についてのACK/NACKと同時に行われるように、擬似的送信時間間隔のうちの第1の送信時間間隔の受信後4.1msの時点で行われる。別の例示する一実施形態では、ACK/NACK生成器66は、確認応答メッセージポイントが別の値に選択的に変更できるようにするため、設定可能なACK/NACK時間基準140を備える。
【0087】
基地局HARQ制御器68は、その基地局HARQプロセスの各々について、ソフト合成動作で使用するための対応するソフト合成バッファ150を含む。
【0088】
ここで理解されるべきだが、例えばUE MACエンティティ部34および基地局MACエンティティ部64のような本書に示すMACエンティティ部およびモード選択器38は、さまざまな形態をとりうるし、さまざまなやり方で実装されうる。例えば、MACエンティティ部およびモード選択器38は、プロセッサまたは制御器(前に示したように、これには、限定することなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)のハードウェア、ソフトウェアを記憶するための読み出し専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、不揮発性メモリ、あるいは、その機能を実行するのに適したいずれかの回路またはASICを含んでもよい)によって実現されうる。
【0089】
本技術の例示する一般的な実施形態の基本的な態様を、図7に示す通信システム720によって広義の文脈で示す。図が見やすいように、通信システム720は、単純に基地局ノード(例えばノードB)728とユーザ装置ユニット(UE)30のかたちをとったワイヤレスノードとを備えるとして示す。通信システム720は、少なくとも1つのダウンリンクパケットチャネルが基地局ノード7281−1と少なくともいくつかのユーザ装置ユニット(UE)30との間の無線インタフェース32上に存在するように構成される。加えて、1つ以上のアップリンクパケットチャネル、例えばE−DPDCHおよびアップリンク制御チャネルE−DPCCHが、無線インタフェース32を横切る第2の方向に(例えばユーザ装置ユニット(UE)30から基地局ノード728へ)送信される。基地局ノード728は、無線ネットワーク制御装置(RNC)ノード、例えばRNC726またはRNC726に接続する。RNCノードは典型的には次にコアネットワーク722に接続する。
【0090】
各種の実施形態を示して詳細に記述してきたが、請求項は、いかなる特定の実施形態または例にも限定されない。上記の記述はいずれも、いかなる特定の要素、ステップ、範囲、または機能が必須であって、その結果それが含まれなければならないことを示唆していると解釈されるべきではない。本発明は、開示された実施形態に限定されるべきではなく、逆に、各種の修正形態および同等の構成をカバーすることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期型のHARQプロトコルを使用し、(1)所定長の時間間隔からなる単一の送信時間間隔でもってデータを送信する名目モード、または、(2)擬似的な送信時間間隔でもってデータを送信する拡張モードによって、チャネル(31)上でデータを送信するように構成されており、前記拡張モードにおける前記擬似的な送信時間間隔は前記所定長とは異なる長さの時間間隔であり、前記異なる長さは前記所定長の倍数であることを特徴とするユーザ装置ユニット(30)。
【請求項2】
無線アクセスネットワークであって、
ユーザ装置ユニット(30)と、
エアインタフェースを介して前記ユーザ装置ユニット(30)と通信する前記基地局ノード(28)と
を備え、
前記ユーザ装置ユニット(30)は、同期型のHARQプロトコルを使用し、(1)所定長の時間間隔からなる単一の送信時間間隔でもってデータを送信する名目モード、または、(2)擬似的な送信時間間隔でもってデータを送信する拡張モードによって、チャネル(31)上でデータを送信するように構成されており、前記擬似的な送信時間間隔は第1の送信時間間隔と第2の送信時間間隔を有し、前記第1の送信時間間隔においてはデータが送信され、前記第2の送信時間間隔においては該データが再送され、前記第2の時間間隔は前記第1の時間間隔に対して連続しており、前記第1の送信時間間隔と前記第2の送信時間間隔はいずれも所定長の時間間隔であり、
前記基地局ノード(28)は、前記名目モードまたは前記拡張モードを使用して前記チャネル(31)上で前記データを受信し、もし前記拡張モードの送信時間間隔の代わりに前記名目モードの送信時間間隔でもって受信していたならば確認応答メッセージが生成されたであろう時点において前記擬似的な送信時間間隔について受信したことを示す確認応答メッセージを生成することを特徴とする無線アクセスネットワーク。
【請求項3】
前記擬似的な送信時間間隔は第1の送信時間間隔と第2の送信時間間隔を有し、前記第1の送信時間間隔においてはデータが送信され、前記第2の送信時間間隔においては該データが再送され、前記第2の時間間隔は前記第1の時間間隔に対して連続しており、前記第1の送信時間間隔と前記第2の送信時間間隔はいずれも所定長の時間間隔であることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記チャネル(31)はE−DCHチャネルであり、前記所定長は2msであることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
前記ユーザ装置ユニット(30)は、前記第2の送信時間間隔が前記基地局ノード(28)において前記第1の送信時間間隔と合成されるべきことをシグナリングにより伝達することを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項6】
前記ユーザ装置ユニット(30)は、前記第2の送信時間間隔が前記基地局ノード(28)において前記第1の送信時間間隔と合成されるべきことを示すよう、他のチャネルで伝送される値を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項7】
前記ユーザ装置ユニット(30)は、前記名目モードについて複数のHARQプロセスのうちのサブセットを使用するように構成されており、前記サブセットは、連続していない複数のHARQプロセスであり、前記サブセットのうちのいくつか、好ましくはすべてのHARQプロセスは、奇数番目のHARQプロセスの1つまたは偶数番目のHARQプロセスの1つであり、前記ユーザ装置ユニット(30)は、前記拡張モードについて、前記サブセットにおいて選択されたHARQプロセスと、前記サブセットに含まれていないものの前記選択されたHARQプロセスに対して番号的に近いHARQプロセスとを使用して、前記擬似的な送信時間間隔を構成することを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項8】
前記ユーザ装置ユニット(30)は、前記サブセットに含まれていないものの前記選択されたHARQプロセスに対して番号的に近いHARQプロセスについてエネルギーを付与することによって、前記拡張モードを使用することを伝達することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ユーザ装置ユニット(30)は、(1)前記名目モードにより前記チャネル(31)上で前記データを送信することと、(2)前記拡張モードにより前記チャネル(31)上で前記データを送信することとをミックスして使用しないように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項10】
前記ユーザ装置ユニット(30)は、(1)前記名目モードにより前記チャネル(31)上で前記データを送信することと、(2)前記拡張モードにより前記チャネル(31)上で前記データを送信することとをミックスして使用するように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項11】
前記ユーザ装置ユニット(30)は、前記名目モードにおいてはHARQプロセスの第1グループ利用し、前記拡張モードにおいてはHARQプロセスの第2グループを使用するように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記チャネル(31)はE−DCHチャネルであり、
前記ユーザ装置ユニット(30)は、
前記名目モードでは前記E−DCHチャネルにおける単一の送信時間間隔に前記データを割り当て、前記拡張モードでは前記第1の送信時間間隔と前記第2の送信時間間隔とに前記データを割り当てるMACエンティティ(34)と、
前記データを前記名目モードに割り当てるべきか前記拡張モードに割り当てるべきかを前記MACエンティティに対して指定するモードセレクタ(38)と、
無線インタフェースを介して前記データを送信時間間隔の区間内で基地局へ通信する通信部(36)と
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項13】
エアインタフェース(32)を介してアップリンクチャネル上でユーザ装置ユニット(30)からデータを受信する無線アクセスネットワークの基地局ノード(28)であって、
前記基地局ノード(28)は、
前記エアインタフェース(32)を介して前記ユーザ装置ユニット(30)と通信する通信部(56)と、
MACエンティティ(34)であって、同期型のHARQプロトコルを使用して動作し、(1)所定長の時間間隔からなる単一の送信時間間隔でもってデータを送信する名目モード、または、(2)擬似的な送信時間間隔でもってデータを送信する拡張モードによって、チャネル(31)上でデータを送信するように構成されており、前記擬似的な送信時間間隔は第1の送信時間間隔と第2の送信時間間隔を有し、前記第1の送信時間間隔においてはデータが送信され、前記第2の送信時間間隔においては該データが再送され、前記第2の時間間隔は前記第1の時間間隔に対して連続しており、前記第1の送信時間間隔と前記第2の送信時間間隔はいずれも所定長の時間間隔である、前記MACエンティティ(34)と、
もし前記拡張モードの送信時間間隔の代わりに前記名目モードの送信時間間隔でもって受信していたならば確認応答メッセージが生成されたであろう時点において前記擬似的な送信時間間隔について受信したことを示す確認応答メッセージを生成するACK/NACK生成部(66)と
を備えることを特徴とする基地局ノード(28)。
【請求項14】
前記ACK/NACK生成部(66)は、前記擬似的な送信時間間隔における前記第1の送信時間間隔を受信してから4.1ms後の時点で前記応答確認メッセージを生成することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記チャネル(31)はE−DCHチャネルであり、前記所定長は2msであることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記第2の送信時間間隔が前記第1の送信時間間隔と合成されるべきことを前記MACエンティティへ通知するシグナリング処理部をさらに備えていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記シグナリング処理部は、他のチャネルにおいて所定の値が設定されていときに、前記第2の送信時間間隔が前記第1の送信時間間隔と合成されるべきことを前記MACエンティティへ通知することを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記基地局ノード(28)は、複数のHARQプロセスを有し、
前記MACエンティティ(64)は、前記名目モードについて複数のHARQプロセスのうちのサブセットを使用するように構成されており、前記サブセットは、連続していない複数のHARQプロセスであり、前記サブセットのうちのいくつか、好ましくはすべてのHARQプロセスは、奇数番目のHARQプロセスの1つまたは偶数番目のHARQプロセスの1つであり、
前記MACエンティティ(64)は、前記拡張モードについて、前記サブセットにおいて選択されたHARQプロセスと、前記サブセットに含まれていないものの前記選択されたHARQプロセスに対して番号的に近いHARQプロセスとを使用して、前記擬似的な送信時間間隔を構成する
ことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項19】
前記基地局ノード(28)は、前記サブセットに含まれていないものの前記選択されたHARQプロセスに対して番号的に近いHARQプロセスについてのエネルギーを検出することによって、前記拡張モードを使用することを検出することを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記ユーザ装置ユニット(30)は、(1)前記名目モードにより前記チャネル(31)上で前記データを送信することと、(2)前記拡張モードにより前記チャネル(31)上で前記データを送信することとをミックスして使用しないように構成されていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項21】
前記MACエンティティは、(1)前記名目モードにより送信された前記チャネル(31)上での前記データと、(2)前記拡張モードにより送信された前記チャネル(31)上での前記データとのミックスを受信するように構成されていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項22】
前記MACエンティティは、前記名目モードにおいてはHARQプロセスの第1グループ利用し、前記拡張モードにおいてはHARQプロセスの第2グループを使用するように構成されていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項23】
無線アクセスネットワーク(30)を動作させる方法であって、
エアインタフェース(32)を介してユーザ装置ユニット(30)から基地局ノード(28)へ同期型のHARQプロトコルを使用して、チャネル(31)上で、
(1)所定長の時間間隔からなる単一の送信時間間隔でもってデータを送信する名目モード、または、
(2)擬似的な送信時間間隔でもってデータを送信する拡張モード
を選択的に使用してデータを送信するステップと、
前記基地局ノード(28)において前記名目モードまたは前記拡張モードを使用して前記チャネル(31)上で前記データを受信するステップと
を備え、
前記擬似的な送信時間間隔は第1の送信時間間隔と第2の送信時間間隔を有し、前記第1の送信時間間隔においてはデータが送信され、前記第2の送信時間間隔においては該データが再送され、前記第2の時間間隔は前記第1の時間間隔に対して連続しており、前記第1の送信時間間隔と前記第2の送信時間間隔はいずれも所定長の時間間隔であることを特徴とする方法。
【請求項24】
前記基地局ノード(28)において、もし前記拡張モードの送信時間間隔の代わりに前記名目モードの送信時間間隔でもって受信していたならば確認応答メッセージが生成されたであろう時点において前記擬似的な送信時間間隔について受信したことを示す確認応答メッセージを生成するステップをさらに備えることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記チャネル(31)はE−DCHチャネルであり、前記所定長は2msであることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の送信時間間隔が前記基地局ノード(28)において前記第1の送信時間間隔と合成されることを前記ユーザ装置ユニット(30)からシグナリングにより伝達するステップをさらに備えることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の送信時間間隔が前記基地局ノード(28)において前記第1の送信時間間隔と合成されるべきことを示すよう他のチャネルで伝送される値を前記ユーザ装置ユニット(30)が設定するステップをさらに備えることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記名目モードについて、複数のHARQプロセスのうちのサブセットを前記ユーザ装置ユニット(30)が使用するステップと、
前記拡張モードについて、前記サブセットにおいて選択されたHARQプロセスと、前記サブセットに含まれていないものの前記選択されたHARQプロセスに対して番号的に近いHARQプロセスとを前記ユーザ装置ユニット(30)が使用するステップと
をさらに備え、
前記サブセットは、連続していない複数のHARQプロセスであり、前記サブセットのうちのいくつか、好ましくはすべてのHARQプロセスは、奇数番目のHARQプロセスの1つまたは偶数番目のHARQプロセスの1つであることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記サブセットに含まれていないものの前記選択されたHARQプロセスに対して番号的に近いHARQプロセスにエネルギーを付与することで、前記拡張モードを使用することを前記ユーザ装置ユニット(30)が伝達するステップをさらに含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−38802(P2013−38802A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−199832(P2012−199832)
【出願日】平成24年9月11日(2012.9.11)
【分割の表示】特願2009−530306(P2009−530306)の分割
【原出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】