説明

カバーを有するカードエッジコネクターユニット

【課題】 コネクターと基板との固定がなされ、かつ、基板の表面への汚染物の付着を防止するカードエッジコネクターユニットを提供する。
【解決手段】 カードエッジコネクターユニット100は複数の導電性パッドが端部に配置された基板130と、基板130の一方端に接続される第1コネクター110と、前記基板の他方端に接続される第2コネクター120と、基板130を囲むカバー140,150とを有する。このカバー140,150は第1コネクター110および第2コネクター120を固定するためのカバー固定部を備え、第1コネクター110および前記第2コネクター120はカバー固定部と固定するためのコネクター固定部114、115、124、125を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバーを有するカードエッジコネクターユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント基板などの回路基板の一端部に導電性パッドを配置させることでカードエッジコネクタ用基板を構成し、この基板の一端部をコネクターに挿入することで、導電性パッドとコネクター内に備えられたコンタクトとの電気的な接続、および基板とコネクターとの固定が行われている。
【0003】
基板とコネクターとの固定がしっかり行われていないと基板が動いて、導電性パッドとコンタクトとの間での接触不良が起こってしまう。これを解決するために、金属製のロックバネ機構やラッチ機構をコネクターに設けるなどの工夫がなされている(特許文献1〜2)。
【0004】
例えば特許文献1には、親基板に取り付けられた絶縁性のハウジングと、該ハウジングに取り付けられ、子基板を保持するラッチ部材とを具備し、該ラッチ部材が、前記子基板の縁部に形成された半円状凹部の内壁に係合することにより前記子基板の水平方向への抜けを抑制する子基板抜け止め部を有するカードエッジコネクタが記載されている。
【0005】
これらの金属製のロックバネ機構やラッチ機構はコネクターに取り付けられて使用されるため、その取り付け加工が必要であったり、機構のための余分なスペースが必要であったりという問題があった。
【0006】
一方、基板の表面にホコリやトナー等の汚染物、特に導電性の汚染物が付着すると動作が不安定になる等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−190354号公報
【特許文献2】特開2009‐129710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、コネクターと基板との固定がより強固になされ、基板の表面への汚染物の付着が防止される。さらにカバーによって基板表面に他の部品(特に導電性部品)が接触しないため、配置場所を選ばずに配置することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの側面によれば、カードエッジコネクターユニットが提供される。このカードエッジコネクターユニットは複数の導電性パッドが端部に配置された基板と、該基板の一方端に接続される第1コネクターと、前記基板の他方端に接続される第2コネクターと、前記基板を囲むカバーとを有する。このカバーは第1コネクターおよび第2コネクターを固定するためのカバー固定部を備え、第1コネクターおよび第2コネクターはカバー固定部と固定するためのコネクター固定部を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コネクター内のコンタクトと基板の導電性パッドとの接触信頼性を向上させ、かつ、基板の表面への汚染物の付着を防止することができる。さらに、本発明のカードエッジコネクターユニットでは、カバーによって基板表面に他の導電性部品が接触しないため、配置場所を選ばずに配置することができ、例えば、カバーに両面性テープや接着剤層を塗布することにより、所望の位置に簡単に固定的に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一つの実施形態に係るカードエッジコネクターユニットの分解図を斜め上方から見た概略斜視図である。
【図2】本発明の一つの実施形態に係るカードエッジコネクターユニットを斜め上方から見た概略斜視図である。
【図3】本発明の別の実施形態に係るカードエッジコネクターユニットの分解図を斜め上方から見た概略斜視図である。
【図4】本発明の別の実施形態に係るカードエッジコネクターユニットを斜め上方から見た概略斜視図である。
【図5】本発明の別の実施形態に係るカードエッジコネクターユニットの分解図を斜め上方から見た概略斜視図である。
【図6】本発明の別の実施形態に係るカードエッジコネクターユニットを斜め上方から見た概略斜視図である。
【図7】本発明の別の実施形態に係るカードエッジコネクターユニットの分解図を斜め上方から見た概略斜視図である。
【図8】本発明の別の実施形態に係るカードエッジコネクターユニットを斜め上方から見た概略斜視図である。
【図9】本発明のカードエッジコネクターユニットの一つの使用例の概略図である。
【図10】本発明のカードエッジコネクターユニットの一つの使用例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係るカードエッジコネクターユニットについて説明する。このユニットは、プリンターやFAX等のオフィスオートメーション機器、自動販売機、医療器械等の電子機器の内部や、センサーネットワーク、ホームセキュリティネットワーク等のネットワークで用いることができる。また、電子機器内部またはネットワークの配線をシリアルバス化した際のスレーブユニットとして用いてもよい。
【0013】
このカードエッジコネクターユニットは、基板を囲むカバーを備えているため基板への汚れの付着等を防止でき、同時に、このカバーと基板に接続されるコネクターとが固定されることで外骨格の様に基板を保護し、コネクター内のコンタクトと基板の導電性パッドとの接触信頼性も向上する。さらに、カバーによって基板表面が保護されているため、電子機器内部やネットワーク周辺に存在する他の導電性部品が基板に接触せず、これらの導電性部品を気にせずに配置することができる。
【0014】
図1に示す本発明の一つの実施形態に係るカードエッジコネクターユニット100は、第1コネクター110、第2コネクター120、基板130、カバー上部140、カバー下部150を含む。
【0015】
第1コネクター110及び第2コネクター120は、接続相手の基板130に嵌合される。これらのコネクターは導電性のコンタクト111、121(図示せず)と、これらを保持したハウジング112、122とを備えており、導電性のコンタクトはケーブル113、123に電気的に接続する。
【0016】
コネクターのハウジングはコネクター固定部114、115、124、125を備えており、図1ではハウジングに設けられた凹部がコネクター固定部となっている。コネクター固定部としては凹部形状以外にも、凸部形状等、その他コネクターのハウジングとカバーとを固定できる形状を取り得ることができる。
【0017】
基板130は複数の導電性パッド131,132を配置している。基板は、その他、集積回路、抵抗、電解コンデンサー等を配置することもできる。なお、カードエッジコネクタユニットをスレーブユニットとして用いるのであれば、スレーブ集積回路やアドレス設定部を搭載する。
【0018】
基板の一方端137は第1コネクター110に嵌合され、他方端138は第2コネクター120に嵌合される。基板の導電性パッド131,132は対応するコネクターの導電性のコンタクトと電気的に接続している。コンタクトを基板に押圧するように配置することで導電性パッドとコンタクトは電気的に接続されるが、この状態ではその固定は十分ではない。なお、図1では一方端、他方端は基板の長手方向(180度方向)に配置されているが、図3および図4に示すように90度方向に配置してもよい。また、図5および図6に示すように90度方向および180度方向それぞれに他方端を配置してもよい。
【0019】
次にカバーについて説明する。図1では基板を囲むカバーは、2つの分離可能なカバー部(カバー上部140とカバー下部150)を含むが、これを一体成型したカバーとしてもよい。カバー上部140は嵌合凸部141、142を有し、カバー下部150の嵌合凹部153、154と嵌合されて、カバーを形成する。同様にカバー下部150も嵌合凸部151、152を有し、カバー上部140の嵌合凹部143、144(図示せず)と嵌合される。
【0020】
嵌合凹部と嵌合凸部とを嵌合させる際に、第1コネクターおよび第2コネクターの固定部114、115、124、125に沿って上下から嵌合させることで、図2の様に、カバー200のカバー固定部201、202、203、204が、第1および第2コネクターのコネクター固定部114、115、124、125と固定される。この様にしてカバーと第1および第2コネクターとが固定されるので、基板と第1および第2コネクターとの嵌合が安定して、各コネクターのコンタクトと基板の導電性パッドとの間でより高い接触信頼性が得られる。
【0021】
なお、カバー上部140とカバー下部150とは同一の形状として部品点数を減らすこともできる。
【0022】
カバーの材料としては、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、シンジオタクチックポリスチレン、非晶ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、液晶ポリマー等様々な樹脂を使用できるが、加工性、強度の観点からポリカーボネートを用いてもよい。また、基板をカバーの外から見ることができるように、透明(乳白色透明等、色付きの透明も含む。)の材料を用いてもよい。
【0023】
図3および図4に示す本発明の別の実施形態に係るカードエッジコネクターユニット300、400は、基板330の他方端338を基板の一方端337に対し90度方向に設けた以外は図1および図2に示すカードエッジコネクターユニットとほぼ同様の構成を有する。カバー340の嵌合凸部341、342、343、344、(一部図示せず)を、カバー下部350の嵌合凹部と、第1コネクターおよび第2コネクターの固定部314、315、324、325に沿って上下から嵌合させることで、図4の様に、カバーのカバー固定部401、402、403、404が、第1および第2コネクターのコネクター固定部314、315、324、325と固定される。
【0024】
図5および図6に示す本発明の別の実施形態に係るカードエッジコネクターユニット500、600は、基板530の一方端537と180度方向の他方端538と、さらに90度方向の別の他方端539とを設けた以外は図1および図2に示すカードエッジコネクターユニットとほぼ同様の構成を有する。
【0025】
図7および図8に示す本発明の別の実施形態に係るカードエッジコネクターユニット700、800は、カバー上部740とカバー下部750の形状を変えた以外は図1および図2に示すカードエッジコネクターユニットとほぼ同様の構成を有する。
【0026】
図9には本発明のカードエッジコネクターユニットを、電子機器内部またはネットワークの配線をシリアルバス化した際のスレーブユニットとして用いた一例を示している。このとき、スレーブユニットの基板はアドレス設定部とスレーブ集積回路を備える。
【0027】
複数のデータ信号を順次シリアルに出力する制御回路部960からケーブル(シリアルバス)913を介して接続されたスレーブユニット900の基板930は、制御回路部960からそのスレーブユニット基板に該当するデータ信号を受け取ったときにそのデータ信号を取り込む動作を行う。受けとったデータ信号のアドレスが自己のものに該当するか否かは、アドレス設定部からスレーブ集積回路が判断する。このスレーブユニットの先970にはモータやセンサなどの各種のエレメントが接続されており、スレーブユニットを介して受け取った制御回路部960からのデータ信号に基づいてそれぞれのエレメントが動作する。
【0028】
図9には2個のスレーブユニットしか記載されていないが、電子機器内部またはネットワークの配線で用いられる場合は、複数個のスレーブユニットが必要になり、それぞれまたはその一部に本発明のカバーを有するカードエッジコネクターユニットを用いることができる。
【0029】
図10には本発明のカードエッジコネクターユニット1000を、両面テープ1100を介して電子機器内部の部品1200に貼り付ける前の状態が記載されている。この両面テープは、接着剤層や面ファスナー等、面同士を貼り合わせる機能を有する材料に置き換えることもできる。
【0030】
以上のように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0031】
100,200,300,400,500,600,700,800,900 カードエッジコネクターユニット
110 第1コネクター
120,320,520,560 第2コネクター
130,330,530,930 基板
140,340,740 カバー上部
150,350,750 カバー下部
201,202,203,204,401,402,403,404 カバー固定部
114,115,124,125,314,315,324,325 コネクター固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電性パッドが端部に配置された基板と、該基板の一方端に接続される第1コネクターと、前記基板の他方端に接続される第2コネクターと、前記基板を囲むカバーとを有するカードエッジコネクターユニットであって、
前記カバーは前記第1コネクターを固定するためのカバー固定部および前記第2コネクターを固定するためのカバー固定部を備え、
前記第1コネクターおよび前記第2コネクターは、前記カバー固定部と固定するためのコネクター固定部を備える、
カードエッジコネクターユニット。
【請求項2】
前記カバー固定部が凸部であり、前記コネクター固定部が凹部であり、該凹部および凸部が嵌合することにより前記カバー、前記第1コネクター、および前記第2コネクターが固定されている請求項1に記載のカードエッジコネクターユニット。
【請求項3】
前記カバーは、2つの分離可能なカバー部を備える、請求項1または2に記載のカードエッジコネクターユニット。
【請求項4】
前記基板がスレーブ集積回路およびアドレス設定部を備える請求項1から3のいずれか1項に記載のカードエッジコネクターユニット。
【請求項5】
前記基板が、180度方向に配置された一方端および他方端を備える請求項1から4のいずれか1項に記載のカードエッジコネクターユニット。
【請求項6】
前記基板が、90度方向に配置された一方端および他方端を備える請求項1から4のいずれか1項に記載のカードエッジコネクターユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−142164(P2012−142164A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293434(P2010−293434)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】