説明

カバーガラスの貼着装置

【課題】一端部側に記載部を設けたスライドガラスの全体を保護液に浸漬した状態で保管容器内に保管できるスライドガラスの貼着装置を提供する。
【解決手段】スライドガラス12の試料を保護する保護液を貯留し、複数枚のスライドガラス12を挿入したバスケット22を、スライドガラス12の全体を保護液に浸漬するように、前記保護液に浸漬している保管容器20と、スライドガラス12の一端部側を前記保護液の液面から突出するように、バスケット22を上昇し、且つ前記保護液から突出するスライドガラス12の一端部側の位置を検出する検出センサー42の位置に、バスケット22を順次送り出す上昇・送出装置36と、検出センサー42で検知したスライドガラス12の一端部側の側面を把持して、前記保護液からスライドガラス12を取り出す取出装置24と、前記カバーガラスを試料上に搭載して貼着したスライドガラス12を収容する収容カゴ34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカバーガラスの貼着装置に関し、更に詳細にはスライドガラスに添着された顕微鏡標本の試料に、カバーガラスを貼着するカバーガラス貼着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡標本として顕微鏡下で観察する試料、例えば患者の患部から切り取った組織片を顕微鏡標本とするには、図11に示す様に、組織片を薄切して形成した試料10をスライドガラス12の一面側に添着し、脱脂、染色処理した後、スライドガラス12に添着された試料10上に溶剤含有の封入剤14を滴下し、封入剤14上にカバーガラス16を載置する。その後、封入剤に含有されている溶剤が蒸発し封入剤が固化してカバーガラス16が貼着される。かかる顕微鏡標本を作成する一連の作業の自動化は、多数の顕微鏡標本を短時間で作成する必要のある病院等では強く要請されている。
かかるスライドガラスの貼着装置としては、下記特許文献1に、図12に示すスライドガラスの貼着装置が提案されている。
図12に示すスライドガラスの貼着装置では、図13に示す保管容器100内に貯留されているキシレン等の保護液に浸漬されたバスケット102,102・・の各々に収容されて、添着された試料が保護液に浸漬されているスライドガラス12を、回動可能に設けられた吸着部材106を具備する取出装置108によって搬送装置110の一端部側に設けられた載置位置112に載置する。
【0003】
載置位置112に載置されたスライドガラス12は、搬送手段110によって封入剤の分注位置114に搬送され、スライドガラス12に添着された試料に封入剤を分注装置119によって分注する。
封入剤が試料に分注されたスライドガラス12は、搬送手段110によってカバーガラスの搭載位置116に搬送され、積層された複数枚のカバーガラス16,16・・のうち、最上面に位置するカバーガラス16を搭載装置120によって封入剤上に搭載する。
次いで、カバーガラス16が搭載されたスライドガラス12は、搬送装置110の他端部の位置118に到達し、収容ラック(図示せず)に収容される。
【特許文献1】特開2001−27731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図12及び図13に示すカバーガラスの貼着装置によれば、顕微鏡標本を作成する一連の作業のうち、カバーガラスを貼着する作業の自動化を行うことができ、従来に比較して顕微鏡標本の作成時間を短縮できる。
ところで、カバーガラスの貼着装置は無人で自動運転されるため、保管容器100に保管されているスライドガラス12に添着されている試料10が保護液から露出していてもチェックすることが困難である。このため、スライドガラス12に添着されている試料10の乾燥を確実に防止してカバーガラスを貼着すべく、保管容器100では、スライドガラス12の全体を保護液中に浸漬して保管することが要望されている。
しかし、図12及び図13に示すカバーガラスの貼着装置では、その取出装置108では、吸着部材106がスライドガラス12の一端部側に吸着することが必要である。
一方、スライドガラス12の全体が保護液中に浸漬されている状態では、吸着部材106が吸着できない。従って、保護液に全体が浸漬されているスライドガラス12を、吸着部材106で吸着する際には、スライドガラス12の一端部側は、保護液から突出することが必要である。
【0005】
また、スライドガラス12の一端部側には、通常、図14に示す様に、試料10を識別する文字や記号等の所定事項が記載される記載部18が設けられている。このため、吸着部材106がスライドガラス12の一端部側を吸着した状態は、図15に示す様に、吸着部材106が記載部18の一部を吸着する。
しかし、全体が保護液に浸漬されているスライドガラス12を吸着部材106で吸着する際に、記載部18を含むスライドガラス12の一端部側を保護液から突出したとしても、記載部18には保護液が付着している。
この様に、保護液が付着した記載部18に吸着部材106が吸着すると、記載部18に記載された文字や記号等が滲んで判読できなくことがある。
更に、吸着部材106に溜まった保護液が試料10上に分注した封入剤と混合されると、カバーガラス16の接合状態が悪化することがある。
従って、図12及び図13に示す従来のカバーガラスの貼着装置では、スライドガラス12の記載部18が設けられた一端部側を、常時、保管容器100内の保護液の液面から突出して保管せざるを得ず、保管容器100の保護液にスライドガラス12の全体を浸漬して保管したいという使用者等の要望に充分に応えることは困難である。
そこで、本発明の課題は、スライドガラスの記載部が設けられた一端部側を、常時、保管容器内の保護液の液面から突出して保管容器内に保管することを要する従来のスライドガラスの貼着装置の課題を解決し、一端部側に記載部を具備するスライドガラスの全体を保護液に浸漬した状態で保管容器内に保管でき、且つ記載部に記載された文字や記号等が滲むことのないカバーガラスの貼着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、前記課題を解決すべく検討した結果、スライドガラスの一端部側であっても、記載部が設けられることのない側面を取出装置で把持してスライドガラスを保護液から取り出すことによって、スライドガラスの一端部側の一面側に設けられた記載部に取出手段が接触することなくスライドガラスを取り出すことができ、記載部に記載されている文字や記号等の記載事項と取出装置との接触に起因する、記載事項の滲み等を防止できることを知った。
また、スライドガラスの取出装置による把持を、取り出し直前に保護液からスライドガラスの一端部側を突出することによって確実に行うことができる。
この様に、保護液からスライドガラスの一端部側を突出することによって、スライドガラスの記載部が保護液から突出して、余分な保護液が記載部に残留することがなくなる。このため、スライドガラスの一面側に添着された試料上に分注された封入剤が記載部にはみ出すことを防止できることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、所定事項を記載する記載部が一端部側の一面側に設けられているスライドガラスを用い、前記スライドガラスに添着された顕微鏡標本の試料に封入剤を介してカバーガラスを貼着するカバーガラスの貼着装置であって、前記スライドガラスに添着された試料を保護する保護液が貯留され、複数枚の前記スライドガラスが挿入されたバスケットが、前記スライドガラスの全体が保護液に浸漬されるように、前記保護液に浸漬されている保管容器と、前記スライドガラスの一端部側を前記保護液の液面から突出するように、前記バスケットを上昇する上昇手段と、前記保護液から突出するスライドガラスの一端部側の位置を検出する検出センサーの位置に、前記バスケットを順次送り出す送出手段と、前記検出センサーで検知されたスライドガラスの一端部側の側面を把持して、前記保護液からスライドガラスを取り出す取出手段と、前記カバーガラスが試料上に搭載されて貼着されたスライドガラスを収容する収容カゴとが設けられていることを特徴とするカバーガラスの貼着装置にある。
【0008】
かかる本発明において、収容されたスライドガラスが取り出された空のバスケットを、空バスケット収容部に収容する空バスケット収容手段を設けることによって、保管容器から空のバスケットを取り除くことができ、次のバスケット中のスライドガラスの取り出しを容易に行うことができる。
また、複数の収容カゴを用い、一のバスケット内に収容されているスライドガラスの各々を、同一の収容カゴに収容することによって、供給したスライドガラスとカバーガラスが貼着されたスライドガラスとの対応を容易に確認できる。
更に、上昇手段及び押出手段を一体化することによって、カバーガラスの貼着装置の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るカバーガラスの貼着装置では、試料が添着されたスライドガラスの全体が保管容器に貯留された保護液に浸漬されるように、スライドガラスが挿入されたバスケットを保護液に浸漬している。このため、保管容器内で試料が保護液から露出して乾燥する事態を確実に回避できる。
また、保管容器の保護液からスライドガラスを取り出す際には、スライドガラスの一端部側を保護液から突出して、記載部が設けられることのない一端部側の側面を取出手段で把持してスライドガラスを保護液から取り出す。このため、スライドガラスの記載部と取出手段とが接触することがなく、記載部の記載事項が取出手段との接触に因る滲み等を防止できる。
この様に、保護液からスライドガラスの一端部側を突出することによって、スライドガラスの記載部が保護液から突出して、余分な保護液が記載部に残留することがなくなる。このため、スライドガラスの一面側に添着された試料上に分注された封入剤が記載部にはみ出す事態を防止でき、カバーガラスの接合状態を良好とできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係るカバーガラスの貼着装置の一例を図1及び図2に示す。図1はカバーガラスの貼着装置の概略正面図であり、図2はカバーガラスの貼着装置の概略上面図である。
図1及び図2に示すカバーガラスの貼着装置では、キシレン等の保護液が貯留された保管容器20内に、図2に示す様に、複数のバスケット22,22が挿入されている。バスケット22,22・・の各々には、複数枚のスライドガラス12,12・・が収容されている。
このスライドガラス12には、図14に示す様に、試料10が添着されたスライドガラス12の一端部側に、試料10を識別する文字や記号等の所定事項が記載される記載部18が設けられている。この記載部18は、鉛筆等で直接記載できる様に、すりガラス状に形成してもよく、保護液に難溶解性の接着剤で接着されたラベルであってもよい。
【0011】
かかるスライドガラス12,12・・が収容されたバスケット22からは、取出装置24によって一枚のスライドガラス12が取り出され、搬送装置26の一端部に載置される。搬送装置26では、一端部に載置されたスライドガラス12を搬送装置26の他端部方向に搬送し、封入剤14の分注位置に搬送されてきたとき、スライドガラス12の試料10に封入剤14を分注装置28によって分注する。分注装置28には、ボトル32から封入剤が送液される。
このボトル32には、封入剤の液面を検出する液面センサー33がボトル32の底面近傍に設けられている。液面センサー33によって、ボトル32内の封入剤の液面が検出されたとき、封入剤の送液を中止して送液した封入剤中に空気が混入することを防止する。
分注装置28によって試料10上に封入剤14が分注されたスライドガラス12は、更に搬送装置26の他端部方向に搬送され、カバーガラス16を搭載する搭載位置に搬送されてきたとき、カバーガラス16を搭載装置30によって、封入剤14上に搭載される。
カバーガラス16が搭載されたスライドガラス12は、搬送装置26の他端部に搬送され、収容カゴ34に挿入される。
また、収容していたスライドガラス12,12・・の全てが取り出されて空となった空のバスケット22′は、図1に示す様に、保管容器20から取り出されて空バスケット収容部38に収容される。
【0012】
図1及び図2に示すカバーガラスの貼着装置の保管容器20には、図3に示す様に、複数枚のスライドガラス12,12・・が収容されたバスケット22が保護液中に浸漬され、バスケット22に収容したスライドガラス12,12・・の全体が保護液に浸漬される。
この様に、全体が保護液に浸漬されているスライドガラス12,12・・を、取出装置24によって取り出す際に、スライドガラス12,12・・の各一端部側が保護溶液の液面20aから突出するように、バスケット22を昇降装置36によって上昇する。
かかるバスケット22の上昇は、図4に示す様に、昇降装置36のL字状のアーム37の先端部でバスケット22を把持し、アーム37を上昇させて行う。このアーム37の上昇は、液面センサー39で検知される保護液の液面20a位置に基づいて、スライドガラス12,12・・の一端部側が充分に液面20aから突出するまで行われる。
この様に、保護液からスライドガラス12の一端部側を突出することによって、スライドガラス12の記載部18が保護液から突出して、余分な保護液が記載部18に残留することがなくなる。このため、後述する様に、スライドガラス12の一面側に添着された試料10上に分注された封入剤が記載部18にはみ出すことを防止できる。
【0013】
アーム37によって保護液の液面20aから一端部側を突出したスライドガラス12,12・・の各々を取出装置24によってバスケット22から取り出す。かかるスライドガラス12の取り出しは、図3に示す様に、取出装置24の爪部材25,25によって、保護液の液面20aから突出したスライドガラス12の一端部側の側面を把持して行われる。この様に、スライドガラス12の一端部側の側面を爪部材25,25によって把持しても、記載部18に爪部材25,25が接触することがなく、記載部18に記載されている文字や記号等に部材が接触したことに因る滲みを回避できる。
この爪部材25,25は、回動可能に設けられたコ字状のアーム27の両先端部の一方側先端部40に設けられている。このアーム27の一方側先端部40は、独立して回動可能に設けられている。
かかるアーム27は、バスケット22に沿って移動することはできない。このため、図1及び図2に示すカバーガラスの貼着装置では、昇降装置36がバスケット22の押出装置も兼務しており、アーム37によってバスケット22を爪部材25,25の方向に移動する。
かかるアーム37のバスケット22の押し出しによってスライドガラス12が、その側面が爪部材25,25で把持できる位置に移動してきたことは、アーム27の一方側先端部40に装着された検出センサー42によって検知される。
【0014】
検出センサー42は、図4に示す様に、「く」字状のアーム42aを具備し、このアーム42aは、アーム27の一方側先端部40に装着する軸42bを中心に回動可能に上下方向に設けられている。更に、アーム42bの上端部には、付勢部材としてのバネ42cが装着されており、アーム42aの下端を保護液の液面20aから突出するスライドガラス12の一面側方向に付勢している。
かかるアーム42aの下端が、保護液の液面20aから突出しているスライドガラス12の一端部側に当接し、スライドガラス12の一端部側の側面が爪部材25,25によって把持できる位置に移動してきたとき、バネ42cの付勢力に抗してアーム42aは回動する。このアーム42aが、図4に示す42′aの位置となったとき、アーム37の爪部材25,25方向への移動は停止し、爪部材25,25によってスライドガラス12の一端部側の側面を把持する。
【0015】
スライドガラス12の一端部側の側面を把持した爪部材25,25を具備する「コ」字状のアーム27は、図3に示す様に、その他方側先端部44が回動可能に設けられた回動部46に固着されている。このため、図3に示す様に、回動部46を90°回動すると、アーム27の一方側先端部40は90°回動し、保管容器20の保護液に浸漬されていたスライドガラス12を取り出して、保護液の液面20aに対して略平行にできる(スライドガラス12の試料10の添着面は保護液の液面20aに対して垂直である)。
爪部材25,25が設けられた一方側先端部40も、回動可能に設けられている。このため、スライドガラス12は、その試料10の添着面が上面となるように、一方側先端部40を回動し、図1及び図2に示す様に、搬送装置26の一端部に載置される。
【0016】
かかる搬送装置26を図5に示す。図5に示す搬送装置26には、支承部材48が設けられており、支承部材48には、水平状態に取り出されたスライドガラス12の両端部を支承する複数の凹部が形成されている。かかる凹部は、取出装置24の近傍側から第1凹部48a、第2凹部48b、第3凹部48c及び第4凹部48dの順序で形成されている。
保管容器20から取り出されて第1凹部48aに載置されたスライドガラス12は、搬送プレート50によって、第2凹部48b、第3凹部48c及び第4凹部48dと順次搬送される。
この搬送プレート50の上面には、複数個の凹部50aが取出装置24側の一端部から他端部に形成されており、その下部には、下方に突起する突起部52が形成されている。この突起部52は、モータ54によって駆動される駆動プーリ56と従動プーリ60a、60b、60cとの間に掛け渡されたベルト70に連結されていると共に、モータ72によって駆動されるカム74によって上下動する。従って、搬送プレート50は、所定位置で上昇して所定方向に水平移動した後、所定位置で下降して反対方向に水平移動できる。
【0017】
搬送装置26の支承部材48の第1凹部48aに載置されたスライドガラス12は、第2凹部48bに送られたとき、スライドガラス12の試料10に封入剤14を分注装置28によって分注する。
分注装置28は、図6に示す様に、一端部が分注ノズル76に連結された連結部材78の他端部に、分注ノズル76を水平移動するスライド装置を構成するモータ80が連結され、且つ連結部材78の途中に、分注ノズル76を昇降する昇降装置を構成するソレノイド82から延出されたロッド82aが連結されている。このため、分注ノズル76は、水平方向及び上下方向に移動可能である。かかる分注ノズル76には、ボトル32の封入剤が定量給液装置としてのプランジャポンプ84によって供給される。
このボトル32の底部近傍には、図1に示す様に、液面センサー33が設けられており、ボトル32内の封入剤の液面を液面センサー33によって検出されたとき、プランジャポンプ84による封入剤の送液を中止して送液した封入剤中に空気が混入することを防止する。
かかる分注装置28によれば、分注ノズル76は、水平状態に載置されたスライドガラス12の長手方向に水平移動しつつ封入剤を分注できる。しかも、プランジャポンプ84は、封入剤の定量性も良好であり、封入剤の分注量のバラツキを小さくできる。
図6に示す分注ノズル76は、スライドガラス12の外方まで水平移動可能に設けられており、スライドガラス12の外方で且つ分注ノズル76が移動可能の範囲内に、図7に示す様に、廃液トレー86及び封入剤の固化を防止する溶剤が入れられた容器88が設けられている。かかる廃液トレー86には、分注ノズル76の先端から垂下された封入剤の液滴を除去する板状の除去部材89が立設されている。
【0018】
搬送装置26の支承部材48の第2凹部48bで試料10に封入剤が分注されたスライドガラス12は、第3凹部48cに搬送されて搭載装置30によって封入剤14上にカバーガラス16が搭載される。
かかる搭載装置30には、図8に示す様に、カバーガラスを吸着する吸着パッド90と複数枚のカバーガラスを積層状態で収容するホルダ容器91が設けられている。このホルダ容器91は、搬送装置26の上方の水平面内で回動可能に設けられたホルダ容器台92に載置されている。かかるホルダ容器91内には、複数枚のカバーガラスが傾斜状態で積層されて収容されており、積層体の最上位に位置する一枚のカバーガラス16を、把持具としての吸着パッド90によってホルダ容器91から取り出される。この吸着パッド90は、アーム93の一端部に装着されている。かかるアーム93は、その他端部の軸94を中心にして回動するモータ95と、アーム93が装着されたアーム部材96を上下動するモータ97とが設けられている。更に、アーム部材96には、吸着パッド90の近傍にピン98が装着されている。
図8に示す搭載装置30によれば、第3凹部48bに載置されたスライドガラス12の試料10に分注された封入剤14に対し、図9に示す様に、カバーガラス16の一端側から当接し、カバーガラス16の他端側の方向に徐々に載置されるように、アーム93を回動する。この際、アーム93の回動速度をモータ95の回転速度を調整することによって調整できる。また、アーム93の回動速度を、カバーガラス16の一端側が当接した後、封入剤の特性や分注速度等の関係からカバーガラス16とスライドガラス12との間の空気を追い出し易いように、徐々に遅く或いは徐々に速くするように、モータ95の回転速度を調整してもよい。
【0019】
カバーガラス16が搭載されたスライドガラス12は、搬送装置26の支承部材48の第4凹部48dに載置され、収容カゴ34に順次挿入される。
カバーガラス16が搭載されたスライドガラス12が収容される収容位置の収容カゴ34は、図2に示す様に、収容カゴ34を上下動する上下動装置41によって、スライドガラス12を所定箇所に順次収容するように、収容カゴ34を位置調整する。
収容カゴ34は、取出装置24によってスライドガラス12が取り出されているバスケット22と対応し、バスケット22に挿入されている全スライドガラス12が収容カゴ34に収容されたとき、収容カゴ34は上昇して取り出された位置又は収容カゴ34がセットされていない位置に挿入され、次の収容カゴ34をスライドガラス12が収容される収容位置とする。
【0020】
また、保管容器20に挿入され、収容していた全スライドガラス12が取り出されたとき、図1に示す様に、昇降装置36のL字状のアーム37が上昇し、取出装置24の近傍に設けられた空バスケット収容部38に空バスケット22を収容する。
かかる空バスケット収容部38は、図10に示す様に、空バスケット22,22・・で一杯となったとき、空バスケット収容部38を本体部から取り外して、空バスケット22,22・・を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るカバーガラスの貼着装置の一例を説明する概略正面図である。
【図2】図1に示すカバーガラスの貼着装置の概略平面図である。
【図3】スライドガラスの取出装置を説明する概略図である。
【図4】バスケットの昇降装置及び検出センサーを説明する概略図である。
【図5】スライドガラスの搬送装置を説明する説明図である。
【図6】分注装置を説明する説明図である。
【図7】分注装置の部分斜視図である。
【図8】カバーガラスの搭載装置を説明する説明図である。
【図9】カバーガラスのスライドガラス上に搭載する動作を説明する説明図である。
【図10】空バスケット収容部を説明する説明図である。
【図11】顕微鏡標本の作成工程を説明するための概略図である。
【図12】従来のカバーガラスの貼着装置の部分斜視図である。
【図13】図12に示す従来のカバーガラスの貼着装置の保管容器を説明する説明図である。
【図14】スライドガラスの正面図である。
【図15】図14に示すスライドガラスを、図12に示す従来のカバーガラスの貼着装置に具備する吸着部材で吸着した状態を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0022】
10 試料
12 スライドガラス
14 封入剤
16 カバーガラス
18 記載部
20 保管容器
20a 液面
22 バスケット
24 取出装置
25,25 爪部材
26 搬送装置
27 アーム
28 分注装置
30 搭載装置
33,39 液面センサー
34 収容カゴ
36 昇降装置
37 アーム
38 空バスケット収容部
41 上下動装置
42 検出センサー
46 回動部
48 支承部材
50 搬送プレート
76 分注ノズル
90 吸着パッド
91 ホルダ容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定事項を記載する記載部が一端部側の一面側に設けられているスライドガラスを用い、前記スライドガラスに添着された顕微鏡標本の試料に封入剤を介してカバーガラスを貼着するカバーガラスの貼着装置であって、
前記スライドガラスに添着された試料を保護する保護液が貯留され、複数枚の前記スライドガラスが挿入されたバスケットが、前記スライドガラスの全体が保護液に浸漬されるように、前記保護液に浸漬されている保管容器と、
前記スライドガラスの一端部側を前記保護液の液面から突出するように、前記バスケットを上昇する昇降手段と、
前記保護液から突出するスライドガラスの一端部側の位置を検出する検出センサーの位置に、前記バスケットを順次送り出す送出手段と、
前記検出センサーで検知されたスライドガラスの一端部側の側面を把持して、前記保護液からスライドガラスを取り出す取出手段と、
前記カバーガラスが試料上に搭載されて貼着されたスライドガラスを収容する収容カゴとが設けられていることを特徴とするカバーガラスの貼着装置。
【請求項2】
収容されたスライドガラスが取り出された空のバスケットを、空バスケット収容部に収容する空バスケット収容手段が設けられている請求項1記載のカバーガラスの貼着装置。
【請求項3】
複数の収容カゴが用いられ、一のバスケット内に収容されているスライドガラスの各々は、同一の収容カゴに収容される請求項1又は請求項2記載のカバーガラスの貼着装置。
【請求項4】
上昇手段及び押出手段が一体化されている請求項1〜3のいずれか一項記載のカバーガラスの貼着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−264793(P2009−264793A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111775(P2008−111775)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(000148025)サクラ精機株式会社 (28)
【Fターム(参考)】