説明

カバーフィルム

【課題】キャリアテープに対するヒートシール性、特にポリカーボネート製キャリアテープに対するヒートシール性に優れた、高速シールが可能なカバーフィルムを提供すること。
【解決手段】基材層及びシーラント層を有し、シーラント層がスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素の共重合体70質量%以上97質量%未満及び粘着付与樹脂3質量%以上30質量%未満からなり、かつシーラント層中のスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素の共重合体が、スチレン系炭化水素が65質量%以上90質量%未満、共役ジエン系炭化水素が10質量%以上35質量%未満であるカバーフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバーフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
カバーフィルムは、例えばキャリアテープに代表される電子部品の包装体を密封するために用いられている。電子機器の小型化に伴い、使用される電子部品も小型高性能化が進み、電子機器の組み立て工程においてはプリント基板上に部品を自動的に実装することが行われている。自動実装に際し、電子部品を順次供給していくためにテーピング包装が一般的に行われている。テーピング包装は、一定間隔で電子部品を収納する窪みを有した成形テープ(キャリアテープ)の窪み部に電子部品等を収納後、成形テープの上面に蓋材としてカバーフィルムを重ね、加熱したシールバーでカバーフィルムの両端を長さ方向に連続的ヒートシールするものがある。カバーフィルム材としては、二軸延伸したポリエステルフィルムを基材にシーラント層にホットメルト層を積層したものなどが使用されている。キャリアテープ材としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルあるいはポリカーボネートなどが使用されている。
【0003】
キャリアテープとカバーフィルムによって収納された部品は、電子機器等の製造工程の部品実装時には、カバーフィルムが自動剥離装置により剥離され、部品は自動取り出し機により取り出された後、回路基板等に実装される。
電子部品の実装が高速化されることに伴い、キャリアテープにも強い引張応力が掛かるようになってきている。キャリアテープには引張強度に優れ、高速かつ高強度で引っ張ってもキャリアテープの切断を生じにくいポリカーボネート製のキャリアテープが使用されてきている。ポリカーボネート製のキャリアテープにはポリスチレンなどに比べて、カバーフィルムをヒートシールで接着させることが難しい性質がある。部品収納時の高速化によりカバーフィルムに熱ゴテが接触する時間が短くなってきている。ポリカーボネート製キャリアテープに対して、カバーフィルムを充分にヒートシール出来ない問題が生じることがある。キャリアテープには部品を収納した状態で、リードの曲がりや、部品の番号などを識別する為、蓋材として使用するカバーフィルムには高い透明性が要求されている。
シーラント層に粘着付与樹脂を添加したカバーフィルムに関しては、特許文献1〜4などがある。
【特許文献1】特開平10−17015号公報
【特許文献2】特開2002−363530号公報
【特許文献3】特開平10−44295号公報
【特許文献4】特開2000−303040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ヒートシール性に優れるカバーフィルムを提供するものである。特に、ポリカーボネート製キャリアテープに対するヒートシール性に優れる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。
(1)基材層及びシーラント層を有し、シーラント層がスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素の共重合体70質量%以上97質量%未満及び粘着付与樹脂3質量%以上30質量%未満からなり、かつシーラント層中のスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素の共重合体が、スチレン系炭化水素が65質量%以上90質量%未満、共役ジエン系炭化水素が10質量%以上35質量%未満であるカバーフィルム。
(2)基材層とシーラント層の間に更に中間層を有する上記(1)のカバーフィルム。
(3)粘着付与樹脂がテルペン系樹脂である上記(1)又は上記(2)に記載のカバーフィルム。
(4)少なくとも片側に帯電防止処理がなされている上記(1)乃至上記(3)のいずれか一項に記載のカバーフィルム。
(5)上記(1)乃至上記(4)のいずれか一項に記載のカバーフィルムを用いた電子部品包装容器。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ヒートシール性に優れたカバーフィルムを提供することができる。特にポリカーボネート製キャリアテープに対するヒートシール性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のカバーフィルムは、少なくとも基材層、及びシーラント層を有する。基材層は特に制限するものではないがヒートシール時の温度において使用上問題なければよく、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン等のポリアミド、ポリカーボネート等があげられる。これらのフィルムを二軸延伸したものは耐テープの切れ性、耐熱性、剛性が向上し好適に使用できる。これら一般的なフィルムの他に、帯電防止処理のための帯電防止剤が塗布または練り込まれたもの、またはコロナ処理や易接着処理などを施したものを用いることが出来る。これらのフィルムはいずれも市販のフィルムを用いることができる。基材層の厚さは10〜25μm厚みのものを好適に用いることが出来る。基材層が薄すぎるとカバーフィルム剥離時の「フィルム切れ」を発生しやすく、一方厚すぎるとカバーフィルムの接着性の低下を招きやすい。
【0008】
中間層を設けることで、フィルムの柔軟性が調整でき、基材層とシーラント層の接着強度を強固にすることができる。中間層には熱可塑性樹脂を使用することができる。例えば低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンや、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−エチレングラフト共重合体、スチレン−プロピレングラフト共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエンブロック共重合体、プロピレンなどを用いることが出来る。これらのポリオレフィンは単独あるいはそれらの二種以上を混合物として併用することも可能である。中間層であるポリオレフィン樹脂層を、ポリエチレンからなる層とエチレン−1−ブテンからなる層など、異なる樹脂からなる二層以上の層から構成することも可能である。中間層の厚みは10μm〜50μmが好ましく、更に好ましくは10μm〜30μmである。中間層の厚みが10μm未満であると、シーラント層との十分な接着強度が得られ難くなることがある。中間層の厚みが50μm以上であると、フィルムがカールし、カバーフィルムのハンドリング性が悪化することがある。
【0009】
シーラント層はスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素の共重合体70質量%以上97質量%未満及び、粘着付与樹脂3質量%以上30質量%未満からなる。スチレン系炭化水素としては、例えばスチレン、α―メチルスチレン、及び各種アルキル置換スチレンなどがある。なかでもスチレンを好適に用いることが出来る。共役ジエン系炭化水素とは、例えば、ブタジエン、イソプレン、1、3−ペンタジエン、1、3−ヘキサジエン、2、3−ジメチル−1、3−ブタジエンなどが挙げられるが、なかでもブタジエン、イソプレンを好適に用いることが出来る。シーラント層中のスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素の共重合体は、好ましくは80〜90質量%である。
【0010】
シーラント層中の粘着付与樹脂は3質量%以上30質量%未満、好ましくは10質量%以上20質量%未満である。粘着付与樹脂が3質量%未満であると充分な接着力が得られない場合がある。粘着付与樹脂が30質量%以上になるとヒートシール強度が高すぎて、自動実装部品のパッケージ規格であるJIS C0806−3に規定されている0.1〜1.3N(ニュートン)の範囲を超える場合があり、シール温度による剥離強度の変化も大きくなることがある。剥離強度の温度依存性が増大すると、少しの温度条件の変化で、剥離強度が急激に高く、あるいは低くなってしまうことがある。剥離強度が強すぎるとカバーフィルムを剥離する際にテープ切れを発生し易くなる。剥離強度が弱すぎる場合は輸送中にカバーフィルムが剥がれ、内容物が飛び出してしまうなどのトラブルが発生することがある。
【0011】
粘着付与樹脂としては、ロジン系樹脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂、水添石油樹脂、テルペン系樹脂、クロマン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂等の単独物又は混合物があり、上記ロジン系樹脂としては、ロジン、重合ロジン、水添ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、ロジン変性フェノール樹脂等がある。テルペン系樹脂としては、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、ロジンフェノール樹脂等がある。水添石油樹脂としては、芳香族系、脂肪族系、ジシクロペンタジエン系、等がある。粘着付与樹脂の中でも特にスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素の共重合体との相溶性の良いテルペン系樹脂を、好適に用いることが出来る。
【0012】
本発明ではスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素の共重合体のうち、スチレン系炭化水素65質量%以上90質量%未満、共役ジエン系炭化水素10質量%以上35質量%未満であり、より好ましくはスチレン系炭化水素70質量%以上85質量%未満である。スチレン系炭化水素が65質量%未満の場合、製膜性が悪いためフィルムを得るのが困難な場合があり、一方、90質量%以上ではカバーフィルムをヒートシールする際に十分な剥離強度を得るのが難しい場合がある。又、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素がジブロックあるいはトリブロック共重合体であることが好ましく、ブロック共重合体とすることにより、カバーフィルムをヒートシールする際に、充分な剥離強度を得ることができる。
【0013】
シーラント層の厚みは5〜30μmが好ましく、更に好ましくは10〜20μmである。厚みが5μm未満ではヒートシールした際に充分な剥離強度が得られず、30μmよりも大きいと、フィルムの透明性が悪くなる。又、剥離強度が強くなりすぎて、カバーフィルム剥離時にテープ切れを起こしてしまう可能性がある。
【0014】
カバーフィルムには、必要に応じて帯電防止処理工程を行うことができる。帯電防止剤として、例えば、界面活性剤系帯電防止剤、高分子型帯電防止剤、及び酸化アンチモンや酸化スズなどの金属酸化物微粒子を含有する導電化剤等を、グラビアロールを用いたロールコーターやスプレー等により塗布することができる。また、帯電防止処理を行う前に、これらの帯電防止剤を均一に塗布するためにフィルムの表裏面をコロナ放電処理やオゾン処理することが好ましい。特に、コロナ放電処理することが好ましい。
【0015】
フィルムを製造する方法は特に限定されるものではないが、シーラント層を含むフィルムを得る方法として、例えば、シーラント層を構成する各成分をヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー、マゼラー等の混合機を用いてブレンドし、これを直接押出機でフィルム化するか、あるいはブレンド物を一度単軸あるいは二軸の押出機で混練押し出ししてペレットを得た後、ペレットを更に押出機で押し出してフィルム化する方法などが可能である。フィルム化の方法としては、インフレーション法、Tダイ法、キャスティング法、あるいはカレンダー法等のいずれの方法を用いても差し支えないが、通常はインフレーション法やTダイ法が用いられる。また、カバーフィルムに中間層を含む構成とした場合、シーラント層を構成する樹脂と前記中間層を構成する樹脂を、それぞれ別の単軸または二軸の押出機を用いて溶融混練し、両者をフィードブロックやマルチマニホールドダイを介して積層一体化した後、Tダイから共押し出しすることにより、シーラント層と中間層からなる二層フィルムを得ることも可能である。二層化したフィルムにすることにより、製膜したフィルムを巻き取った際に、フィルムの表面と裏面が付着する、いわゆるブロッキングを防ぐことが出来る。
【0016】
基材層にシーラント層を積層する方法は特に限定されるものではないが、例えば基材層にウレタン樹脂などのアンカーコート剤を塗布し、前記の方法にて製膜したシーラント層とドライラミネートする方法により製造することが可能である。基材層と貼り合せる側のシーラント層の表面には基材層との密着性を向上させる為、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等の表面処理を施してもよい。カバーフィルムに中間層を含む構成とする場合、基材層に中間層のフィルムをポリオレフィン樹脂を介して押出ラミネートすることにより積層フィルムとし、さらにこのフィルムの中間層の面にウレタン樹脂などのアンカーコート剤を塗布し、シーラント層のフィルムをポリオレフィン樹脂を介して押出ラミネートする方法により製造することが可能である。ウレタン樹脂などのアンカーコート剤を塗布した基材層と、中間層の熱可塑性樹脂とシーラント層を積層一体化した二層フィルムの中間層面とをポリオレフィン樹脂を介して押出ラミネートする方法により製造することができる。基材層と、中間層とシーラント層を積層一体化した二層フィルムの中間層面とを接着剤を介してドライラミネートする方法により製造することも可能である。
【0017】
フィルムの製造機の為に、一般的なラミネーターを用いることができる。押出ラミネートを行う際にアンカーコート剤を基材層に塗布するためのコーターとしては、ロールコーター、グラビアコーター、リバースロールコーター、バーコーター、ダイコーター等の通常使用されているものを用いることができる。
例えば、ポリオレフィン樹脂を押し出すためのラミネーターのダイには、T−ダイを用いることができる。また、フィルム幅を調整するためのディッケルを備えていても良い。
【0018】
カバーフィルムの全体の厚さは40〜100μmの範囲を好適に用いることができる。カバーフィルムの全体の厚さが40μm未満の場合には、カバーフィルムが薄いため取り扱いが難しく、また、カバーフィルム剥離時にフィルムが切れ易い。一方、カバーフィルム全体の厚さが100μmを超えるとヒートシールが困難になる。
【0019】
電子部品としては特に限定されず、例えば、IC、抵抗、コンデンサ、インダクタ、トランジスタ、ダイオード、LED(発光ダイオード)、液晶、圧電素子レジスター、フィルター、水晶発振子、水晶振動子、コネクター、スイッチ、ボリュウム、リレー等がある。ICの形式にも特に限定されず、例えばSOP、HEMT、SQFP、BGA、CSP、SOJ、QFP、PLCC等がある。
【0020】
本発明のカバーフィルムを用いたキャリアテープ用カバーフィルムは、これを使用することにより、電子部品が保管、輸送、実装中に汚染されることを防止でき、カバーフィルをキャリアテープから剥離する時の剥離強度の温度依存性が低い。本発明のカバーフィルムはキャリアテープに対するヒートシール性が優れている。特に、ポリカーボネート系のキャリアテープに対するヒートシール性が優れており、ヒートシールの際に熱ゴテを圧し当てる時間が少なくて済み、高速シールが可能である。
【実施例】
【0021】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(実施例1、2)
シーラント層には、スチレン−ブタジエン共重合体1、スチレン−ブタジエン共重合体2、粘着付与樹脂1として芳香族系石油樹脂(ヤスハラケミカル製、「YSレジンSX−100」)を用い、表1の組成になるように配合したものを直径40mmの単軸押出機を用いて200℃で混練した。混練後、この組成物をTダイ法を用いてフィルム化し、厚さ20μmを有するシーラントフィルムを得た。このフィルムをドライラミネート法を用いて、基材層である、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと積層させて実施例1、2のカバーフィルムを得た。
(実施例3〜12、比較例1〜7)
スチレンーブタジエン共重合体1〜3、粘着付与樹脂1〜4を表1及び表2の組成となるように配合したものを直径40mmの単軸押出機を用いて200℃で混練した。混練後、この組成物とポリオレフィン系樹脂として低密度ポリエチレンとを別々の単軸押出機から押出し、マルチマニホールドダイで積層することにより、シーラント層が20μm、中間層(低密度ポリエチレン)が30μmの厚さの2層フィルムを得た。この2層フィルムをドライラミネート法により、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと積層させて実施例3〜12のカバーフィルムを作製した。又、比較例として、スチレン−ブタジエン共重合体1のみをシーラント層とした場合を比較例1、スチレンーブタジエン共重合体4及び5に粘着付与樹脂4を表2の組成となるように配合して、シーラント層としたものを比較例2及び3とし、前記設備を用いて実施例3〜12と同様の手法でカバーフィルムを作製した。更に、スチレンーブタジエン共重合体1にシール特性を調整する為に添加剤1〜3を表2及び表3の組成となるように配合して、シーラント層としたものを比較例4〜7として、前記設備を用いて実施例3〜12と同様の手法でカバーフィルムを作製した。結果を表1〜表3に示した。
【0022】
各例で使用した樹脂は次の通りである。
スチレン−ブタジエン共重合体1:スチレン−ブタジエンブロック共重合樹脂(電気化学工業社製、「デンカクリアレン」、スチレン含量83質量%ブタジエン含量17質量%
スチレンーブタジエン共重合体2:スチレンーブタジエンブロック共重合樹脂(電気化学工業社製、「デンカクリアレン」、スチレン含量70質量%ブタジエ含量30%
スチレンーブタジエン共重合体3:スチレンーブタジエンブロック共重合樹脂(電気化学工業社製、「デンカクリアレン」、スチレン含量76%ブタジエン含量24%)
スチレン−ブタジエン共重合体4:スチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂(JSR製、「STRレジン」、スチレン含量40質量%ブタジエン含量60質量%
スチレン−ブタジエン共重合体5:耐衝撃性ポリスチレン(東洋スチレン社製、「トーヨースチロール」、スチレン含量92質量%、ブタジエン含量8質量%
粘着付与樹脂1:芳香族系石油樹脂(ヤスハラケミカル製、「YSレジンSX−100」)
粘着付与樹脂2:テルペン樹脂(ヤスハラケミカル製、「YSレジンTR−105」)
粘着付与樹脂3:水添テルペン樹脂(ヤスハラケミカル製「クリアロンK−4100」)
粘着付与樹脂4:テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル製「YSレジンS−145」)
添加剤1:エポキシ化スチレン−ブタジエンブロック共重合体(ダイセル化学社製「エポフレンドCT310」、スチレン含量40質量%
添加剤2:エチレン−1−ブテンランダム共重合体(三井化学社製、「タフマーA4085」)
添加剤3:スチレン−エチレン/ブチレン−スチレントリブロック共重合体(旭化成社製、「タフテックH」、スチレン含量30質量%、エチレン/ブチレン含量70質量%)
【0023】
各実施例及び各比較例で作製した電子部品のキャリアテープ用カバーフィルムに対して、下記に示す評価を行った。これらの結果を表1〜表3にまとめて示す。
(1)曇価
JIS K 7105:1998の測定法Aに準ずる積分球式測定装置を用いて曇価を測定した。結果を表1、表2の曇価の欄に示す。
(2)シール特性
テーピング機(システメーション社、ST−60)を使用し、シールヘッド巾0.5mm×2、シールヘッド長32mm、シール圧力3.5MPa、送り長16mm、シール時間0.2秒×2(ダブルシール)の条件で、熱ゴテ温度を150℃から200℃まで10℃の間隔で変化させて、21.5mm巾のカバーフィルムを24mm巾のポリカーボネート製キャリアテープ(電気化学工業製)にヒートシールした。24時間放置後、毎分300mmの速度、剥離角度180°でカバーフィルムを剥離した。150℃でヒートシールした時の平均剥離強度が0.4N〜0.6Nの範囲にあるものを「良」とし、更に「良」となった中でも150℃〜200℃における平均剥離強度の最大値と最小値の差が0.5N以下であるものを「優」とし、上記以外の平均剥離強度のものを「不良」と表記した。また、フィルム製膜性が著しく悪く、フィルムが得られなかったため、シール性を評価できなかったものについては、「未評価」と表記した。結果を表1、表2、および表3のシール特性の欄に示す。
(3)フィルム製膜性
実施例および比較例の方法にてフィルムの製膜を行った時の、フィルムの厚み変動が10%以下のものを「優」、10%〜20%の範囲にあるものを「良」、20%を超えるものを「不良」として表記した。結果を表1、表2および表3のフィルム製膜性の欄に示す。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
【表3】

【0027】
本発明により提供されるカバーフィルムは、実用的な剥離強度を容易に得るためのヒートシール性及び電子部品を視認することが可能な透明性に優れ、剥離強度の温度依存性が小さい。特にポリカーボネート製キャリアテープに対するヒートシール性に優れており、高速シールをすることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層及びシーラント層を有し、シーラント層がスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素の共重合体70質量%以上97質量%未満及び粘着付与樹脂3質量%以上30質量%未満からなり、かつシーラント層中のスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素の共重合体が、スチレン系炭化水素が65質量%以上90質量%未満、共役ジエン系炭化水素が10質量%以上35質量%未満であるカバーフィルム。
【請求項2】
基材層とシーラント層の間に更に中間層を有する請求項1のカバーフィルム。
【請求項3】
粘着付与樹脂がテルペン系樹脂である請求項1又は請求項2に記載のカバーフィルム。
【請求項4】
少なくとも片側に帯電防止処理がなされている請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のカバーフィルム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のカバーフィルムを用いた電子部品包装容器。


【公開番号】特開2007−182236(P2007−182236A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183(P2006−183)
【出願日】平成18年1月4日(2006.1.4)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】