説明

カバー保持構造

【課題】衝撃等の外乱から電子機器を保護する。
【解決手段】第1の筐体1は、第1の位置決め穴51と第2の位置決め穴52を備えている。保護カバー10は、第1の突起部材14と第2の突起部材15を備えている。また、第1の位置決め穴51及び第2の位置決め穴52は、それぞれ円形穴51a及び52aと長穴51b及び52bとを備えている。このような構成において、円形穴51a及び52aにそれぞれ第1の突起部材14及び第2の突起部材15を挿入し、第1の突起部材14の軸部14b及び第2の突起部材15の軸部15bがそれぞれ長穴51b及び52b内へ移動するように第1の筐体1(ノートパソコン)をスライドさせることにより、第1の筐体1を保護カバー10に係止させることができる。すなわち、第1の筐体1をスライドさせるという簡単な操作で、第1の筐体1を保護カバー10に係止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、保護カバーを電子機器に保持可能なカバー保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートパソコンなどの携帯型電子機器は、可搬性を有することがメリットである反面、可搬時に誤って床等に落下させてしまう可能性がある。ノートパソコンを床等に落下させてしまうと、床等に衝突した際の衝撃によりノートパソコンが破損してしまう可能性がある。このようなノートパソコンの破損を軽減するために、ノートパソコンの外郭に着脱可能な保護カバーが市場に登場してきている。
【0003】
特許文献1は、携帯型情報端末機器を覆い、衝撃等の外乱から携帯型情報端末機器を保護するキャリングケースを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−259574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に開示されている構成では、携帯用情報端末機器の端部近傍においてのみケース本体を面ファスナーで装着する構成であるため、ケース本体を装着したまま携帯用情報端末機器を手で把持して使用すると、携帯用情報端末機器においてケース本体で覆われなくなる部分が多くなり、衝撃等の外乱に対する保護が不十分になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示するカバー保持構造は、筐体を備えた電子機器に、保護カバーを保持可能なカバー保持構造であって、前記筐体は、孔部を備え、前記保護カバーは、前記孔部に嵌合可能な突起部を備え、前記孔部は、第1の内径を有する第1の孔部と、前記第1の内径よりも小さい第2の内径を有する第2の孔部とを備え、前記突起部は、一方の端部が前記筐体に結合した軸部と、前記軸部の他方の端部に結合した先端部とを備え、前記先端部の外径は、前記第1の内径よりも小さく前記第2の内径よりも大きく、前記軸部の外径は、前記第2の内径よりも大きく前記先端部の外径よりも小さい構成を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本願によれば、衝撃等の外乱から電子機器を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施の形態にかかる保護カバーが装着されたノートパソコンの斜視図
【図2】本実施の形態にかかる保護カバーが装着されたノートパソコンの斜視図
【図3】保護カバーの内面側の斜視図
【図4】保護カバーの外面側の斜視図
【図5A】突起部材の平面図
【図5B】図5AにおけるZ−Z部の断面図
【図6】連結部材の斜視図
【図7A】第1の筐体の下面の平面図
【図7B】位置決め穴の拡大平面図
【図8】ノートパソコン及び保護カバーの斜視図
【図9A】ノートパソコン及び保護カバーの部分平面図
【図9B】位置決め穴及び突起部材の拡大平面図
【図10A】ノートパソコン及び保護カバーの部分平面図
【図10B】位置決め穴及び突起部材の拡大平面図
【図11】ノートパソコン及び保護カバーの部分平面図
【図12A】ノートパソコンの右側面の構成を示す側面図
【図12B】ノートパソコンの左側面の構成を示す側面図
【図13A】第2の筐体に連結部材を装着する前の状態を示す模式図
【図13B】第2の筐体に連結部材を装着した後の状態を示す模式図
【図14A】図13BにおけるZ−Z部の断面図
【図14B】第2の筐体に連結部材を係止した状態を示す断面図
【図15】保護カバーの支持部材近傍の部分平面図
【図16】図15におけるZ−Z部の断面図
【図17A】閉じた状態におけるノートパソコンの側面図
【図17B】約90度開いた状態におけるノートパソコンの側面図
【図17C】約110度開いた状態におけるノートパソコンの側面図
【図18】図17Aにおける矢印Sに示す方向から見たノートパソコンの側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態)
〔1.全体構成の概要〕
図1及び図2は、本実施の形態にかかる保護カバーが装着されたノートパソコンの斜視図である。図1は、ノートパソコンが開いた状態を示す。図2は、ノートパソコンが閉じた状態を示す。
【0010】
図1に示すように、ノートパソコンは、第1の筐体1と第2の筐体2とを備えている。第1の筐体1は、各種電気素子が実装された回路基板やハードディスクドライブなどを内蔵している。第2の筐体2は、液晶ディスプレイ4を備えている。第1の筐体1と第2の筐体2とは、ヒンジ部3によって互いに回動自在に支持され、図1に示すように開いた状態と図2に示すように閉じた状態とを取り得る。ヒンジ部3は、第1の筐体1と第2の筐体2とを矢印AまたはBに示す方向へ回動自在に支持する回動軸を備えている。第1の筐体1の上面1aには、キーボード5とポインティングデバイス6とが配されている。
【0011】
保護カバー10は、ノートパソコンに着脱可能である。保護カバー10は、第1の筐体1の下面1bと第2の筐体2の下面2bとを主に覆うようにノートパソコンに装着可能である。保護カバー10は、第1の支持部材12と第2の支持部材13とを備えている。保護カバー10の詳しい構成については後述する。
【0012】
第1の連結部材20は、第1の支持部材12と第2の筐体2とに着脱可能である。第2の連結部材30は、第2の支持部材13と第2の筐体2とに着脱可能である。第1の連結部材20を第1の支持部材12と第2の筐体2とに結合し、第2の連結部材30を第2の支持部材13と第2の筐体2とに結合することにより、第2の筐体2と保護カバー10とが結合する。第1の連結部材20及び第2の連結部材30の詳しい構成については後述する。
【0013】
第1の筐体1は、突起部材と孔部との嵌合、及びネジによる螺結により、保護カバー10に結合している。なお、第1の筐体1と保護カバー10との結合構成については後述する。
【0014】
〔2.保護カバー10の構成〕
図3及び図4は、本実施の形態にかかる保護カバーの斜視図である。図3は、保護カバー10の主に内面側を示す斜視図である。図4は、保護カバー10の主に外面側を示す斜視図である。
【0015】
図3及び図4に示すように、保護カバー10は、本体部11、第1の支持部材12、第2の支持部材13、第1の突起部材14、第2の突起部材15、孔部16、グリップベルト17、および隆起部18a〜18dを備えている。
【0016】
本体部11は、平面視形状が長方形状の薄板状に形成されている。本体部11は、長方形状の布などの比較的軟質な素材と、長方形状の皮革や合成皮革などの比較的硬質な素材とで板状の硬質芯材を挟み、外周縁部において縫合することで形成されている。軟質素材は、本体部11の主に内面11a側に配される(図3参照)。本体部11の内面11aは、保護カバー10に装着されたノートパソコンが接する面であり、ノートパソコンの第1の筐体1や第2の筐体2に傷等が付着することを防止するため、本実施の形態のように軟質素材で形成することが好ましい。硬質素材は、本体部11の主に外面11e側に配される(図4参照)。本体部11に内包される硬質芯材は、例えばプラスチックを用いることができる。本体部11の外面11eは、保護カバー10をノートパソコンに装着した際に外部に露出する面であるため、硬質素材で形成することにより外部から加わる衝撃等により簡単に破れにくくすることができる。なお、本体部11の形状や素材は一例である。
【0017】
図3に示すように、本体部11は、第1の内面部11b、第2の内面部11c、および第3の内面部11dで内面11aを形成している。第1の内面部11bと第2の内面部11cとは、内面11aの面方向に第1の境界部11mを挟んで隣接している。第2の内面部11cと第3の内面部11dとは、外面11eの面方向に第2の境界部11nを挟んで隣接している。第1の内面部11bは、第1の境界部11mと本体部11の外周縁部の一部とで囲まれた領域である。第2の内面部11cは、第2の境界部11nと本体部11の外周縁部の一部とで囲まれた領域である。第3の内面部11dは、第1の境界部11mと第2の境界部11nと本体部11の外周縁部の一部とで囲まれた領域である。
【0018】
図4に示すように、本体部11は、第1の外面部11f、第2の外面部11g、および第3の外面部11hで外面11eを形成している。第1の外面部11fと第2の外面部11gとは、第1の境界部11mを挟んで隣接している。第2の外面部11gと第3の外面部11hとは、第2の境界部11nを挟んで隣接している。第1の外面部11fは、第1の境界部11mと本体部11の外周縁部の一部とで囲まれた領域である。第2の外面部11gは、第2の境界部11nと本体部11の外周縁部の一部とで囲まれた領域である。第3の外面部11hは、第1の境界部11mと第2の境界部11nと本体部11の外周縁部の一部とで囲まれた領域である。第1の外面部11fは、第1の内面部11bの裏側に配されている。第2の外面部11gは、第2の内面部11cの裏側に配されている。第3の外面部11hは、第3の内面部11dの裏側に配されている。
【0019】
第1の支持部材12は、本体部11の縁部11pの近傍に回動自在に固定されている。第2の支持部材13は、本体部11の縁部11rの近傍に回動自在に固定されている。なお、第1の支持部材12及び第2の支持部材13が回動自在であることは必須ではない。第1の支持部材12及び第2の支持部材13は、樹脂や金属などで形成された環状の部材である。本実施の形態では、第1の支持部材12及び第2の支持部材13は、断面形状が円形の金属線材で、全体が四角形の環状形状となるように形成したが、この形状は一例である。第1の支持部材12は、第1の連結部材20を摺動可能に保持するために直線形状となっている直線部12aを有する。第2の支持部材13は、第2の連結部材30を摺動可能に保持するために直線形状となっている直線部13aを有する。第1の支持部材12は、直線部12aの直線方向と縁部11sとが平行となる姿勢で、保護カバー10に固定されている。第2の支持部材13は、直線部13aの直線方向と縁部11tとが平行となる姿勢で、保護カバー10に固定されている。
【0020】
第1の突起部材14及び第2の突起部材15は、本体部11の第1の内面部11bに配されている。第1の突起部材14は、第1の内面部11bにおける縁部11sと第1の境界部11mとの近傍に配されている。第2の突起部材15は、第1の内面部11bにおける縁部11tと第1の境界部11mとの近傍に配されている。
【0021】
図4に示す保護カバー10の外面11eは、本実施の形態では単一色(例えば黒色)に塗装された構成としたが、外面11eの色や模様は任意である。保護カバー10の製造者が様々な色や模様の保護カバー10を製造し、ユーザーが色や模様が異なる複数の保護カバー10を所有することで、ユーザーが好みの色や模様の保護カバー10を選択的にノートパソコンに装着することができる。
【0022】
図5Aは、第1の突起部材14の平面図である。図5Bは、第1の突起部材14の近傍の断面図であり、図5AにおけるZ−Z部の断面を示す。なお、第2の突起部材15は第1の突起部材14と同様の形状を有するため、図示及び詳細説明は省略する。図5A及び図5Bに示すように、第1の突起部材14は、外径R1を有する先端部14aと、外径R1よりも小さい軸径R2を有する軸部14bとを備えている。図5Aに示すように、先端部14aは、平面視形状が円形である。図5Bに示すように、軸部14bは、一方の端部に先端部14aが一体的に結合し、他方の端部は硬質芯材111aに一体的に結合している。硬質芯材111aは、保護カバー10の内面11a側に配されている内面素材111bと、保護カバー10の外面11e側に配されている外面素材111cとに挟まれている。
【0023】
孔部16は、本体部11において、第1の内面部11bから第1の外面部11fまで貫通している。孔部16は、少なくともネジ(後述)の雄ネジ部を挿通可能な内径を有する。孔部16は、第1の内面部11b及び第1の外面部11fにおいて、縁部11uの長手方向中央近傍に配されている。
【0024】
グリップベルト17は、本体部11の第1の外面部11fにおける第1の境界部11m近傍に配されている。グリップベルト17は、本体部11の第1の外面部11fとの間に、少なくともユーザーの手を配置可能な空隙を有する。グリップベルト17は、板状の部材である。グリップベルト17は、本体部11の第1の外面部11fとの間にユーザーが手を配置した際に、ユーザーの手にフィットするように柔軟性を有する素材で形成されていることが好ましい。グリップベルト17は、本体部11の第1の外面部11fとの間に様々な大きさの手を配置可能とするために、伸縮性を有する素材で形成されていることが好ましい。
【0025】
なお、グリップベルト17は、必須ではない。例えばユーザーの左手の手の平及び指の上に、保護カバー10が装着されたノートパソコンを載置することであっても、ノートパソコンを左手で把持しながら操作することができる。また、グリップベルト17は、第1の外面部11fに限らず、第2の外面部11gにおける第2の境界部11n近傍に配置してもよい。
【0026】
隆起部18a〜18dは、本体部11の第1の外面部11fから隆起するように形成されている。本体部11の第1の外面部11fにおける四隅近傍に配されている。隆起部18a〜18dは、本体部11の第1の外面部11fが机上面に対向する姿勢で机上に載置した際に、保護カバー10の姿勢を安定させるためのものである。隆起部18a〜18dは、机上等に載置した際に、机上面に同時に接するように、例えば第1の外面部11fからの高さを全て同じとすることが好ましい。隆起部18a及び18bは、第1の外面部11fからの高さを、少なくともグリップベルト17の第1の外面部11fからの高さ以上にすることが好ましい。
【0027】
なお、隆起部18a〜18dは必須ではない。例えばグリップベルト17が第1の境界部11mの長手方向に沿って、縁部11t近傍から縁部11s近傍に到るまで配されている場合は、隆起部18a〜18dを備えていなくても、机上面に載置されたノートパソコンの姿勢が安定する場合がある。その場合は、隆起部18a〜18dを省略することができる。
【0028】
〔3.連結部材の構成〕
図6は、第1の連結部材20の斜視図である。なお、第1の連結部材20と第2の連結部材30とは同じ構成であるため、本実施の形態では第1の連結部材20の構成についてのみ説明し、第2の連結部材30の説明は省略する。
【0029】
第1の連結部材20は、主に基部21、係合部22、および摺動部23から構成されている。基部21、係合部22、および摺動部23は、例えば樹脂により一体的に形成されている。
【0030】
基部21は、表裏関係にある第1の側面21a及び第2の側面21bのうち、第1の側面21aに係合部22が一体形成され、第2の側面21bに摺動部23が一体形成されている。
【0031】
係合部22は、先端部22aと軸部22bとを備えている。先端部22aは、軸部22bの軸方向の一方の端部に一体的に結合している。軸部22bは、他方の端部が基部21の第1の側面21aに一体的に結合している。先端部22aの幅寸法W1は、軸部22bの幅寸法W2よりも大きい。
【0032】
摺動部23は、断面が略半円形状の柱状に形成されている。摺動部23は、一方の端部23aが基部21の第2の側面21bに一体的に結合している。摺動部23の他方の端部23bと基部21の第2の側面21bとの間には、空隙23dを有する。摺動部23は、一方の端部23aと他方の端部23bとの間に円弧部23eを有する。円弧部23eと基部21の第2の側面21bとの間には、空隙23cを有する。空隙23cは、少なくとも第1の支持部材12または第2の支持部材13を配置可能な内径を有する。
【0033】
〔4.保護カバー10とノートパソコンの着脱方法〕
以下、図3及び図4に示す保護カバー10をノートパソコンに着脱する方法について説明する。本実施の形態の保護カバー10は、第1の筐体1に固定可能な手段と、第2の筐体2に係止可能な手段とを備えている。第1の保護カバー10をノートパソコンに装着する方法としては、まず第1の筐体1に保護カバー10を固定し、次に第2の筐体2に保護カバー10を係止する方法と、まず第2の筐体2に保護カバー10を係止し、次に第1の筐体1に保護カバー10を固定する方法とがある。本実施の形態では、まず第1の筐体1に保護カバー10を固定し、次に第2の筐体2に保護カバー10を係止する方法について説明する。
【0034】
〔4−1.保護カバー10を第1の筐体1に固定する方法〕
図7Aは、第1の筐体1の下面1bの構成を示す平面図である。図7Aに示すように、第1の筐体1の下面1bには、第1の位置決め穴51、第2の位置決め穴52、およびネジ穴53が形成されている。第1の位置決め穴51は、円形穴51aと長穴51bとが結合した形状を有する。第2の位置決め穴52は、円形穴52aと長穴52bとが結合した形状を有する。ネジ穴53は、内面にねじ山が形成された雌ネジ構造となっている。
【0035】
図7Bは、第1の位置決め穴51の拡大平面図である、なお、第1の位置決め穴51と第2の位置決め穴52とは同じ形状を有するため、第2の位置決め穴52の拡大図は省略した。図7Bに示すように、円形穴51aは、少なくとも保護カバー10に備わる第1の突起部材14の先端部14aが挿通可能な内径R11を有する。すなわち、第1の突起部材14の先端部14aの外径R1(図5A参照)と、第1の位置決め穴51の円形穴51aの内径R11とは、
R1<R11
の関係を有する。なお、円形穴51aに先端部14aを挿通させる際に円形穴51aと先端部14aとを容易に位置合わせできるように、円形穴51aの内径R11は、先端部14aの外径R1よりも十分に大きい寸法とすることが好ましい。例えば、内径R11は外径R1の2倍の寸法とすることができる。
【0036】
長穴51bは、少なくとも第1の突起部材14の軸部14bを挿通可能な幅寸法R12を有する。すなわち、第1の突起部材14の軸部14bの外径R2(図5B参照)と、第1の位置決め穴51の長穴51bの幅寸法R12とは、
R2≦R12
の関係を有する。外径R2と幅寸法R12とを「R2<R12」の関係とすることにより、第1の突起部材14を第1の位置決め穴51内をスライドさせる際に、軸部14bを円形穴51aから長穴51bへスライドさせやすくなる。また、外径R2と幅寸法R12とを「R2=R12」の関係とすることにより、軸部14bが長穴51bに嵌合し、ノートパソコンと保護カバー10との間に機械的ガタつきが生じにくくなるため好ましい。
【0037】
第1の位置決め穴51、第2の位置決め穴52、およびネジ穴53は、それぞれ保護カバー10に備わる第1の突起部材14、第2の突起部材15、および孔部16に対応する位置に形成されている。すなわち、第1の位置決め穴51、第2の位置決め穴52、およびネジ穴53の配置及び間隔は、第1の突起部材14、第2の突起部材15、および孔部16の配置及び間隔と同等である。
【0038】
以下、保護カバー10を第1の筐体1に固定する方法について説明する。
【0039】
図8は、保護カバー10を第1の筐体1に固定する直前の状態を示す斜視図である。図9A、図10A、図11は、保護カバー10を第1の筐体1に装着する工程を示す平面図である。図9B、図10Bは、第1の位置決め穴14の拡大平面図である。図9A〜図11は、保護カバー10の第1の外面11f側から見た平面図である。なお、図9A、図10A、図11において、グリップベルト17及び隆起部18a〜18dは、第1の筐体1と保護カバー10との位置関係を明確に図示するために、描画を省略した。また、図9A、図10A、図11に示す第1の突起部材14及び第2の突起部材15は、その位置を明確に図示するためにドットハッチングを付した。
【0040】
まず、図8に示すように、保護カバー10とノートパソコンとが離間した状態から、第1の筐体1の下面1bが保護カバー10の第1の内面部11bに対向し、ヒンジ部3が第1の境界部11mの近傍に位置する姿勢で、ノートパソコンを保護カバー10の第1の内面部11bに載置する。なお、図8に示すノートパソコンは、閉じた状態で保護カバー10の第1の内面部11bに載置しようとしているが、例えば図1に示すように開いた状態で保護カバー10の第1の内面部11bに載置することもできる。
【0041】
ノートパソコンを保護カバー10の第1の内面部11bに載置するとき、矢印Dに示すように第1の突起部材14を第1の位置決め穴51の円形穴51aに挿入し、矢印Eに示すように第2の突起部材15を第2の位置決め穴52の円形穴52aに挿入する。図9A及び図9Bは、ノートパソコンを保護カバー10の第1の内面部11bに載置し、第1の突起部材14が第1の位置決め穴51の円形穴51aに挿入され、第2の突起部材15が第2の位置決め穴52の円形穴52aに挿入された状態を示す。なお、図9Aに示す状態では、保護カバー10の孔部16と第1の筐体1のネジ穴53とは、位置がずれている。
【0042】
次に、ノートパソコンを、図9Aに示す位置から、保護カバー10の第1の内面部11bに沿って矢印Gに示す方向へスライドさせる。ノートパソコンが矢印Gに示す方向へスライドする際、第1の位置決め穴51と第1の突起部材14との相対位置関係は、図9Bに示す位置関係から図10Bに示す位置関係へ遷移する。すなわち、図9Bに示すように第1の突起部材14の軸部14bが第1の位置決め穴51の円形穴51a内に位置している状態から、図10Bに示すように長穴51bの端部51cに当接する状態となるように、第1の位置決め穴51が変位する。同様に、第2の突起部材15の軸部15bが第2の位置決め穴52の円形穴52a内に位置している状態から、長穴52bの端部に当接する状態となるように、第2の位置決め穴52が変位する。
【0043】
ここで、第1の突起部材14の先端部14aの幅寸法R1と、長穴51bの幅寸法R12とは、
R12<R1
の関係を有する。したがって、第1の突起部材14と第1の位置決め穴51との位置関係が図10Bに示す位置関係、すなわち第1の突起部材14の先端部14aと長穴51bとが重なる位置関係になり、同様に第2の突起部材15と第2の位置決め穴52との位置関係が図10Aに示す位置関係になると、第1の筐体1は、第1の突起部材14の軸部14bの軸方向への変位が規制された状態となる。
【0044】
ノートパソコンが保護カバー10の第1の内面部11bにおいて図10Aに示す位置までスライドすると、第1の突起部材14が長穴51bの端部51c(円形穴51aから最も遠い端部)に当接し、第2の突起部材15が長穴52bの端部(円形穴52aから最も遠い端部)に当接する。これにより、ノートパソコンは、矢印Gに示す方向へのスライドが規制される。
【0045】
また、長穴51bにおける互いに平行対向する側部51d及び51eと軸部14bとが当接または僅かな隙間を挟んで近接していることにより、軸部14bは図10Bに示すH軸方向の位置が規制される。これにより、ノートパソコンは、保護カバー10に対してH軸方向の位置が規制され、保護カバー10に対する機械的ガタつきを極力小さくした状態で保護カバー10に固定することができる。
【0046】
また、図10Aに示す状態では、孔部16とネジ穴53とは、その中心が一致するように重なっている。
【0047】
次に、図11に示すように、ネジ54を、保護カバー10の第1の外面部11f側から孔部16に挿入して、ネジ穴53に螺合させる。ネジ54の先端部の外径は、保護カバー10に形成された孔部16の内径よりも大きいため、ネジ54をネジ穴53に螺合させることによりネジ54の先端部と第1の筐体1とで保護カバー10を挟むことができる。したがって、保護カバー10を第1の筐体1に固定することができる。
【0048】
以上により、ノートパソコンを保護カバー10の第1の内面部11bに固定することができる。
【0049】
保護カバー10をノートパソコンから離脱する場合は、まず、図11においてネジ54をネジ穴53(図10A参照)及び孔部16から離脱し、図10Aに示す状態にする。図10Aに示す状態では、第1の突起部材14は第1の位置決め穴51に係合し、第2の突起部材15は第2の位置決め穴52に係合している。
【0050】
次に、ノートパソコンを図10Aに示す位置から矢印Rに示す方向へスライドさせ、図9Aに示す位置まで変位させる。具体的には、図9Bに示すように、第1の突起部材14の先端部14aと第1の位置決め穴51の円形穴14aとが重なる位置まで、ノートパソコンをスライドさせる(図示は省略するが、第2の突起部材15と第2の位置決め穴52も同様)。
【0051】
次に、第1の突起部材14を第1の位置決め穴51から抜き、第2の突起部材15を第2の位置決め穴52から抜くことで、ノートパソコンを保護カバー10から離脱することができる。
【0052】
〔4−2.保護カバー10を第2の筐体2に係止する方法〕
図12Aは、ノートパソコンの右側面図である。図12Bは、ノートパソコンの左側面図である。図12Aに示すように、第2の筐体2の右側面2cには、第1の係合孔2eが形成されている。第1の係合孔2eは、右側面2cにおける前面2gに近い位置に配置することが好ましい。図12Bに示すように、第2の筐体2の左側面2dには、第2の係合孔2fが形成されている。第2の係合孔2fは、左側面2dにおける前面2gに近い位置に配置することが好ましい。第1の係合孔2e及び第2の係合孔2fは、少なくとも第1の連結部材20(第2の連結部材30も同様の形状)の係合部22を挿通可能な開口面積を有する。本実施の形態では、第1の係合孔2e及び第2の係合孔2fは、正方形としたが、少なくとも第1の連結部材20の係合部22を挿通可能で、先端部22aを係合可能な形状であればよい。
【0053】
なお、第2の筐体2において、上面2aは、ノートパソコンを図2に示すように閉じたときに、第1の筐体1の上面1aに近接対向する面である。下面2bは、上面2aの裏側の面である。右側面2cは、ノートパソコンを図1に示すように開いた状態にし、液晶ディスプレイ4に対向する位置にユーザーが対峙したときに、ユーザーから見て右側の側面である。左側面2dは、右側面2cの裏側の面である。前面2gは、上面2a、右側面2c、左側面2dに隣接する面である。
【0054】
以下、保護カバー10を第2の筐体2に係止する方法について説明する。
【0055】
図13Aは、第2の筐体2に第1の連結部材20を装着する前の状態を示す断面図である。図13Bは、第2の筐体2に第1の連結部材20を装着した後の状態を示す断面図である。図13A及び図13Bは、図1のZ−Z部における右側面2cの近傍の断面を示す。図14A及び図14Bは、図13BにおけるZ−Z部の断面図である。図14Aは、第1の連結部材20が図13Bに示す状態にあるときの図である。図15は、第2の筐体2及び第1の支持部材12に第1の連結部材20が装着された状態を示す部分平面図である。図15は、第2の筐体2と第1の連結部材20との結合部を明確にするために一部を断面描画した。図16は、図15におけるZ−Z部の断面図である。
【0056】
保護カバー10を第2の筐体2に係止する場合、まず、第1の連結部材20を第1の係合孔2eに係合させ、第2の連結部材30を第2の係合孔2fに係合させる。具体的には、図13Aに示すように第1の連結部材20の係合部22を第1の係合孔2eに挿入する。このとき、第1の係合孔2eの開口幅W11と、係合部22の先端部22aの幅寸法W1(図6参照)とは、
W11<W1
の関係にあるため、第1の連結部材20を右側面2cに対して傾けて先端部22aの端部から第1の係合孔2aに挿入する(矢印K参照)。
【0057】
図13Bに示すように、先端部22aが第2の筐体2内に収まるまで係合部22を第1の係合孔2eに挿入すると、軸部22bが第1の係合孔2eを貫通する位置に配置される。このとき、軸部22bの幅寸法W2(図6参照)と第1の係合孔の開口幅W11とは、
W2<W11
の関係にあるため、軸部22bと第1の係合孔2eとの間には僅かな隙間がある。また、第1の係合孔2eの開口幅W11と、係合部22の先端部22aの幅寸法W1(図6参照)とは上記関係式のような関係にあるため、先端部22aは第1の係合孔2eから容易に離脱しない。
【0058】
次に、第1の連結部材20を回転させる。図13B及び図14Aに示すように、第1の係合孔2eに係合後の第1の連結部材20は、摺動部23の円筒軸Lが第2の筐体2の上面2aに対して交差する姿勢となっている。この状態から第1の連結部材20を、軸部22bの軸周りに矢印M(図14A参照)に示す方向へ約90度回転させ、図14Bに示すように摺動部23の円筒軸Lと第2の筐体2の上面2aとが略平行となる姿勢にする。
【0059】
次に、第1の連結部材20の摺動部23に、第1の支持部材12を嵌合させる。具体的には、図16において、摺動部23の他方の端部23bを把持して矢印Nに示す方向へ変位させ、円弧部23eを弾性変形させる。他方の端部23bを矢印Nに示す方向へ変位させることにより、空隙23dの幅寸法W21が広がる。摺動部23を、空隙23dの幅寸法W21が第1の支持部材12の外径R31よりも大きくなるまで弾性変形させ、第1の支持部材12を空隙23dを介して空隙23c内へ移動させる。第1の支持部材12が空隙23c内へ移動した後、他方の端部23bの把持を中止することで、摺動部23は弾性復帰力により変形前の形状に復帰する。これにより、摺動部23は、図16に示すように、第1の支持部材12に嵌合した状態となる。
【0060】
図15及び図16に示すように、第1の支持部材12に第1の連結部材20が嵌合した状態では、第1の連結部材20は、第1の支持部材12に沿って矢印RまたはQに示す方向へ摺動することができる。
【0061】
なお、図16に示すように、第1の支持部材12は、その一部に布材19が巻かれ、布材19が保護カバー10の本体部11に縫着されていることにより、本体部11に固定されている。
【0062】
上記と同様の手順で、第2の連結部材30を、第2の係合孔に係合させ、第2の支持部材13に嵌合させる。これにより、保護カバー10と第2の筐体2との係止が完了する。
【0063】
〔5.ノートパソコン及び保護カバー10の開閉動作〕
以下、保護カバー10が装着されたノートパソコンを開閉する際の動作について説明する。図17Aは、ノートパソコンが閉じた状態を示す側面図であり、図2に示す状態のノートパソコンの側面図である。図17Bは、ノートパソコンが図17Aに示す状態から約90度開いた状態を示す側面図であり、図1に示す状態のノートパソコンの側面図である。図17Cは、ノートパソコンが図17Aに示す状態から約110度開いた状態を示す側面図である。なお、図17A〜図17Cは、ノートパソコンを開閉したときにおける第2の連結部材30の動きについて図示しているが、第1の連結部材20も第2の連結部材30と同様に動作する。
【0064】
まず、図17Aに示す状態では、第2の連結部材30は、第2の支持部材13の直線部13aの一方端部近傍に位置している。また、図示は省略するが、第1の連結部材20は、第1の支持部材12の直線部12a(図4参照)の一方端部近傍に位置している。「直線部の一方端部」とは、直線部12a及び13aにおいて、その直線方向における縁部11vに近い側の端部である。また、「直線部の他方端部」とは、直線部12a及び13aにおいて、その直線方向における縁部11uに近い側の端部である。
【0065】
また、図17Aに示す状態では、第1の筐体1の前面1cと第2の筐体2の前面2cとはほぼ面一となっている。また、保護カバー10の縁部11uと縁部11vとはほぼ面一となっている。保護カバー10の縁部11u及び11vは、第1の筐体1の前面1c及び第2の筐体2の前面2cに対して、寸法D1分突出している。
【0066】
次に、第2の筐体2を、図17Aに示す状態から矢印Bに示す方向へ回動させる。第2の筐体2を回動させると、第1の筐体1と保護カバー10とはネジ54で固定されているため相対位置は変動しないが、第2の筐体2と保護カバー10とは相対位置が変動する。
【0067】
第2の筐体2と保護カバー10とは、第1の連結部材20及び第2の連結部材30で連結されているとともに、第1の支持部材12は第1の連結部材20に摺動可能に係合し、第2の支持部材13は第2の連結部材30に摺動可能に係合している。したがって、第2の筐体2を図17Aに示す状態から矢印Bに示す方向へ回動させると、第2の支持部材13は、第2の連結部材30に対する相対位置が矢印Rに示す方向へ変動する。図示は省略するが、第1の支持部材12も、第1の連結部材20に対する相対位置が矢印Rに示す方向と同じ方向へ変動する。その結果、図17Bに示すように、第2の連結部材30は、第2の支持部材13の直線部13aにおける位置が、図17Aに示す位置よりも他方端部側へ変位する。
【0068】
なお、図17Bに示す状態における第2の筐体2の前面2cに対する保護カバー10の縁部11vの突出量D2は、図17Aに示す突出量D1よりも大きくなっている。
【0069】
また、図17Bに示す状態における第2の筐体2と保護カバー10の第2の内面部11cとの間隙は、図17Aに示す状態における第2の筐体2と保護カバー10の第2の内面部11cとの間隙と、ほぼ同等である。これは、保護カバー10が第2の筐体2に対してスライド可能であるためである。
【0070】
次に、図17Bに示す状態から第2の筐体2をさらに矢印Bに示す方向へ回動させると、第2の支持部材13は、第2の連結部材30に対する相対位置が矢印Rに示す方向へさらに変動する。図示は省略するが、第1の支持部材12も、第1の連結部材20に対する相対位置が矢印Rに示す方向と同じ方向へ変動する。例えば、第2の筐体2を、図17Cに示すように第1の筐体1に対する回動角度が約110度となる位置まで回動させると、第2の連結部材30は、第2の支持部材13の直線部13aにおける位置が、図17Bに示す位置よりもさらに他方端部側へ変位する。
【0071】
なお、図17Cに示す状態における第2の筐体2の前面2cに対する保護カバー10の縁部11vの突出量D3は、図17Bに示す突出量D2よりも大きくなっている。
【0072】
また、図17Cに示す状態における第2の筐体2と保護カバー10の第2の内面部11cとの間隙は、図17A及び図17Bに示す状態における第2の筐体2と保護カバー10の第2の内面部11cとの間隙と、ほぼ同等である。これは、保護カバー10が第2の筐体2に対してスライド可能であるためである。
【0073】
図17Cに示す状態から第2の筐体2を矢印Aに示す方向へ回動させると、図17Bに示す状態を経て図17Aに示す状態へ移行させることができる。第2の筐体2を矢印Aに示す方向へ回動させる際、第2の筐体2と保護カバー10との相対位置(第2の内面部11cの面方向の位置)が変動するが、第2の支持部材13が第2の連結部材30に対して摺動可能に支持されているため、第2の筐体2と保護カバー10の第2の内面部11cとの間隙は大きく変動しない。
【0074】
〔6.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、保護カバー10をノートパソコンの外郭に装着可能としたことにより、第1の筐体1及び第2の筐体2に衝撃や当接等の外乱が加わった際に傷等が付くことを防止することができる。また、誤ってノートパソコンを床等に落下させてしまったとしても、保護カバー10が落下時に生じる衝撃エネルギーを吸収するため、第1の筐体1、第2の筐体2、およびそれらに内蔵された部品等が破損することを防止することができる。
【0075】
本実施の形態の第1の筐体1は、第1の位置決め穴51と第2の位置決め穴52を備えている。また、本実施の形態の保護カバー10は、第1の突起部材14と第2の突起部材15を備えている。また、第1の位置決め穴51及び第2の位置決め穴52は、それぞれ円形穴51a及び52aと長穴51b及び52bとを備えている。このような構成において、円形穴51a及び52aにそれぞれ第1の突起部材14及び第2の突起部材15を挿入し、第1の突起部材14の軸部14b及び第2の突起部材15の軸部15bがそれぞれ長穴51b及び52b内へ移動するように第1の筐体1(ノートパソコン)をスライドさせることにより、第1の筐体1を保護カバー10に係止させることができる。すなわち、第1の筐体1をスライドさせるという簡単な操作で、第1の筐体1を保護カバー10に係止できる。
【0076】
本実施の形態によれば、第1の筐体1と保護カバー10とをネジ54で螺結する構成としたことにより、第1の筐体1を保護カバー10に確実に固定することができる。したがって、保護カバー10が装着されたノートパソコンに衝撃等の外乱が加わったとしても、保護カバー10が第1の筐体1に対して位置がずれないため、ノートパソコンを確実に保護することができる。また、第1の筐体1と保護カバー10とをネジ54で螺結する構成としたことにより、保護カバー10にグリップベルト17を備え、グリップベルト17にユーザーが手を通してノートパソコンを把持して操作する際に、ノートパソコンの姿勢を安定させることができる。
【0077】
本実施の形態の第2の筐体2は、第1の係合穴2eと第2の係合穴2fを備えている。また、本実施の形態の保護カバー10は、第1の支持部材12と第2の支持部材13とを備えている。また、本実施の形態の第1の連結部材20は、第1の係合穴2eに係合可能で、第1の支持部材12に摺動自在に保持可能である。また、本実施の形態の第2の連結部材30は、第2の係合穴2fに係合可能で、第2の支持部材13に摺動自在に保持可能である。このような構成としたことにより、第2の筐体2を矢印AまたはBに示す方向へ回動させる際に、第2の筐体2と保護カバー10との相対位置を変動させることができるので、ヒンジ部3近傍において保護カバー10が大きく弛むことを防止することができる。仮に、保護カバー10が第1の筐体1と第2の筐体2とに固定されている場合は、第2の筐体2を回動させてノートパソコンを図17Bに示す状態にしたときに、保護カバー10におけるヒンジ部3に対向する部分が大きく弛む可能性が高い。このようにヒンジ部3の近傍に大きな弛みが生じると、保護カバー10が装着されたノートパソコンを机上面等に載置した際にノートパソコンの姿勢が不安定となってしまう。本実施の形態では、図17B及び図17Cに示すように、保護カバー10におけるヒンジ部3に対向する部分が大きく弛まないため、保護カバー10が装着されたノートパソコンを机上面等に載置した際にノートパソコンの姿勢が安定する。また、保護カバー10におけるヒンジ部3に対向する部分に大きな弛みがないため、ユーザーがグリップベルト17に手を通して保護カバー10の第3の外面部11h近傍を把持する際に、ノートパソコンを安定した姿勢で把持することができる。
【0078】
本実施の形態によれば、保護カバー10に第3の内面部11d及び第3の外面部11hを備えたことにより、ノートパソコンのヒンジ部3及びその近傍を保護することができる。ノートパソコンのヒンジ部3及びその近傍は、ヒンジ機構をはじめとする機械部品や、液晶ディスプレイ4と第1の筐体1に内蔵された電気回路基板との間で信号の伝送を行うための信号線などが配されており、機械的及び電気的に脆弱な部分である。本実施の形態では、保護カバー10でヒンジ部3及びその近傍を衝撃等から保護することにより、機械部品の破損や信号線の断線を防止することができる。
【0079】
本実施の形態によれば、図17A及び図18に示すように、ノートパソコンを閉じている状態において、保護カバー10の縁部11sが第1の筐体1の左側面1e及び第2の筐体2の左側面2dよりも突出し、保護カバー10の縁部11tが第1の筐体1の右側面1d及び第2の筐体2の右側面2cよりも突出し、保護カバー10の縁部11u及び11vが第1の筐体1の前面1c及び第2の筐体2の前面1gよりも突出する形状としたことにより、ノートパソコンを床等に落下させてしまった際に、ノートパソコンよりも保護カバー10が先に床等に当たるため、ノートパソコンを保護することができる。なお、図18は、図17Aにおける矢印Sに示す方向から見たノートパソコンの側面図である。
【0080】
本実施の形態によれば、保護カバー10の外面部11gにグリップベルト17を備えたことにより、グリップベルト17にユーザーが手を通すことで、保護カバー10が装着されたノートパソコンを片手で保持することができる。また、ノートパソコンに保護カバー10を装着した状態で、保護カバー10の第2の外面部11gが鉛直下向きになる姿勢でノートパソコンを床等に落下させてしまった場合に、グリップベルト17が保護カバー10よりも先に床等に衝突する場合がある。これにより、保護カバー10及びノートパソコンに伝わる衝撃を緩和することができる。なお、グリップベルト17を備えることは必須ではない。
【0081】
本実施の形態によれば、保護カバー10の外面部11gに隆起部18a〜18dを備えたことにより、保護カバー10が装着されたノートパソコンを机上面等に載置して使用する場合に、ノートパソコンの姿勢を安定させることができる。また、ノートパソコンに保護カバー10を装着した状態で、保護カバー10の第2の外面部11gが鉛直下向きになる姿勢でノートパソコンを床等に落下させてしまった場合に、隆起部18a〜18dが保護カバー10よりも先に床等に衝突する場合がある。これにより、保護カバー10及びノートパソコンに伝わる衝撃を緩和することができる。なお、隆起部18a〜18dを備えることは必須ではない。
【0082】
なお、本実施の形態では、第1の筐体1を保護カバー10に固定する際、第1の位置決め穴51及び第2の位置決め穴52と第1の突起部材14及び第2の突起部材15を係合させるためにノートパソコンを図9Aに示す位置から矢印Gに示す方向へスライドさせる構成としたが、ノートパソコンのスライド方向は、保護カバー10の第1の内面部11bの面方向であれば他のスライド方向であってもよい。
【0083】
また、図9Aに示す第1の突起部材14、第2の突起部材15、第1の位置決め穴51、および第2の位置決め穴52の位置は、一例である。第1の突起部材14、第2の突起部材15、および孔部16は、保護カバー10の第1の内面部11bの縁部11s,11t,および11uの近傍に配置することが好ましい。また、第1の位置決め穴51、第2の位置決め穴52、およびネジ穴53は、第1の筐体1の下面1bにおける前面1c、右側面1d、および左側面1eの近傍に配置することが好ましい。上記好ましい配置とすることにより、保護カバー10の縁部が自重等により第1の筐体1から大きく離間することがなく、ノートパソコンを確実に外乱から保護することができる。
【0084】
また、本実施の形態では、第1の位置決め穴51及び第2の位置決め穴52において、第1の突起部材14の先端部14a及び第2の突起部材15の先端部15aを挿入するための穴の形状を円形(図7Aに示す円形穴51a及び52a)としたが、形状は円形に限らず他の形状であってもよく、少なくとも第1の突起部材14の先端部14a及び第2の突起部材15の先端部15aを挿入可能な形状であればよい。
【0085】
また、本実施の形態では、第1の突起部材14の先端部14a及び第2の突起部材15の先端部15aの平面視形状(図5A参照)を円形としたが、形状は円形に限らず他の形状であってもよい。先端部14a及び15aの平面視形状は、少なくとも第1の位置決め穴51aの円形穴51a及び第2の位置決め穴52の円形穴52aに挿入可能で、第1の位置決め穴51の長穴51b及び第2の位置決め穴52の長穴52bから離脱しない形状であればよい。本実施の形態では、上記条件を満たすために、第1の突起部材14の先端部14aの外径R1(図5A参照)、第1の位置決め穴51の円形穴51aの内径R11(図7B参照)、第1の位置決め穴51の長穴51bの幅寸法R12(図7B参照)を、
R12<R1<R11
の関係を有する寸法とした。
【0086】
また、第1の位置決め穴51における円形穴51a、および第2の位置決め穴52における円形穴52aの内径R11(図7B参照)は、第1の突起部材14の先端部14a及び第2の突起部材15の先端部15aの外径R1(図5A及び図5B参照)よりも十分に大きいことが好ましい。このような構成とすることにより、第1の筐体1を保護カバー10に固定する際に、容易に第1の突起部材14を第1の位置決め穴51に挿入し、第2の突起部材15を第2の位置決め穴52に挿入することができる。つまり、第1の突起部材14を第1の位置決め穴51に挿入し、第2の突起部材15を第2の位置決め穴52に挿入する際、第1の筐体1及び保護カバー10によって、第1の突起部材14、第1の位置決め穴51、第2の突起部材15、および第2の位置決め穴52が隠れてしまい、各突起部材及び各位置決め穴を目視しながら各突起部材を各位置決め穴に挿入することが困難である。したがって、円形穴51a及び52aの内径R11を先端部14a及び15aの外径R1よりも十分に大きくすることにより、各突起部材及び各位置決め穴を目視しなくても、容易に各突起部材を各位置決め穴に挿入することができる。
【0087】
また、本実施の形態では、第1の筐体1と第2の筐体2とを備えた電子機器としたが、単一筐体からなる電子機器であってもよい。その場合は、保護カバーには第1の突起部材14、第2の突起部材15、および孔部16を備え、単一筐体には第1の位置決め孔51,第2の位置決め孔52、およびネジ孔53を備えることにより、実現することができる。
【0088】
また、本実施の形態では、ノートパソコンが閉じた状態、第1の筐体1を第2の筐体2に対して約90度の角度まで開いた状態、第1の筐体1を第2の筐体2に対して約110度の角度まで開いた状態について図示及び説明を行ったが,保護カバーを装着したまま110度以上にも開くことができる。本実施の形態の保護カバーは、ノートパソコンに装着したまま、第1の筐体1を第2の筐体2に対して約180度の角度まで開くことができる。
【0089】
また、本実施の形態では、保護カバー10を着脱可能な機器としてノートパソコンを挙げたが、少なくとも開閉可能な複数の筐体を備えた機器であればよい。例えば、携帯型ゲーム機、携帯電話器、携帯型医療機器等にも適用できる。
【0090】
また、本実施の形態における第1の筐体1は、筐体または第1の筐体の一例である。本実施の形態における第2の筐体2は、第2の筐体の一例である。本実施の形態における保護カバー10は、保護カバーの一例である。本実施の形態における本体部11は、本体部の一例である。本実施の形態における第1の突起部材14,第2の突起部材15、およびネジ54は、固定部材の一例である。本実施の形態における第1の連結部材20、第2の連結部材30は、係止部材の一例である。本実施の形態における第1の位置決め孔51,第2の位置決め孔52は、孔部の一例である。本実施の形態における第1の突起部材14、第2の突起部材15は、突起部の一例である。本実施の形態における円形孔51a及び52aは、第1の孔部の一例である。本実施の形態における長孔51b及び52bは、第2の孔部の一例である。本実施の形態における先端部14a及び15aは、先端部の一例である。本実施の形態における軸部14b及び15bは、軸部の一例である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本願は、保護カバー、およびそれを着脱可能な電子機器に有用である。
【符号の説明】
【0092】
1 第1の筐体
1a 上面
1b 下面
1c 前面
1d 右側面
1e 左側面
2 第2の筐体
2a 上面
2b 下面
2c 右側面
2d 左側面
2e 第1の係合孔
2f 第2の係合孔
2g 前面
3 ヒンジ部
4 液晶ディスプレイ
5 キーボード
6 ポインティングデバイス
10 保護カバー
11 本体部
11a 内面
11b 第1の内面部
11c 第2の内面部
11d 第3の内面部
11e 外面
11f 第1の外面部
11g 第2の外面部
11h 第3の外面部
11m 第1の境界部
11n 第2の境界部
11p、11r、11s、11t、11u、11v 縁部
12 第1の支持部材
12a 直線部
13 第2の支持部材
13a 直線部
14 第1の突起部材
15 第2の突起部材
16 孔部
17 グリップベルト
18a,18b,18c,18d 隆起部
20 第1の連結部材
21 基部
21a 第1の側面
21b 第2の側面
22 係合部
22a 先端部
22b 軸部
23 摺動部
23a 一方の端部
23b 他方の端部
23c 空隙
23d 空隙
23e 円弧部
30 第2の連結部材
51 第1の位置決め穴
51a 円形穴
51b 長穴
52 第2の位置決め穴
52a 円形穴
52b 長穴
53 ネジ穴
54 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体を備えた電子機器に、保護カバーを保持可能なカバー保持構造であって、
前記筐体は、孔部を備え、
前記保護カバーは、前記孔部に嵌合可能な突起部を備え、
前記孔部は、第1の内径を有する第1の孔部と、前記第1の内径よりも小さい第2の内径を有する第2の孔部とを備え、
前記突起部は、一方の端部が前記筐体に結合した軸部と、前記軸部の他方の端部に結合した先端部とを備え、
前記先端部の外径は、前記第1の内径よりも小さく前記第2の内径よりも大きく、
前記軸部の外径は、前記第2の内径よりも大きく前記先端部の外径よりも小さい、カバー保持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−79809(P2012−79809A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221632(P2010−221632)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】