説明

カバー潜込み防止構造及び該構造を備えた電子機器

【課題】カバー部材のカードスロット内への潜込みを回避する。
【解決手段】カバー部材24の把持部25が、挿入口23から内部(カバースロット21側)に嵌り込もうとすると、先端面25aと傾斜面27sとの接触部位では、カバー部材24の先端面25aは、把持部25によって押圧されて弾性変形したリアケース26の縁部から、挿入口23を含む平面に対して外部向きに反発力を受けて押される。したがって、把持部25が外部側に押し出されるように力を受けることによって、カバー部材24の把持部25の挿入口23から内部側への潜込み(減込み)を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カバー潜込み防止構造及び該構造を備えた電子機器に係り、筐体に設けられ、例えば、外装式のメモリカードを挿入するためのカードスロットの挿入口を覆うスロットカバー等のカバー部材の挿入口から内部への潜込みを防止するための潜込み防止構造及び該構造を備えた携帯電話機等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動中や外出先でも使用可能であるという高い利便性によって、携帯電話機等の携帯型の電子機器が広く普及してきている。
また、携帯電話機として、本来の通話機能のみならず、電子メールの送受信やインターネットに接続してホームページの閲覧が可能なデータ通信機能を有するものが普及している。
さらに、最近は、インターネットを介した楽曲や映像等の配信サービスが普及してきており、楽曲や映像等の情報をダウンロードし、ダウンロードした情報を、ハードディスク等のほか、例えば、可搬型の電子記録媒体としての小型のメモリカードに記録したり、情報が記録されたメモリカードから読み出すことが可能となっている(例えば、特許文献1、特許文献2等参照。)。
【0003】
メモリカードは、図9及び図10に示すように、カード読出書込部を構成し、筐体101内に設けられたカードスロット102に挿入されて、例えば、写真等の画像情報や、電話帳情報、楽曲情報等の読出し及び書込みが行われる。
筐体101には、カードスロット102内にメモリカードを挿入するための挿入口103が設けられ、挿入口103を覆うための弾性部材からなる保護用のカバー部材104が、筐体101に開閉自在に取り付けられている。
カバー部材104は、挿入口103を覆うための蓋部105と、把持するために蓋部105の先端部の側方に突設された把持部106とを有し、蓋部105の後端部は、筐体101に固定されており、この後端部を支点として回動して開閉可能なように構成されている。
【0004】
筐体101は、共に合成樹脂製で、概略、平板状部の周縁部に側壁部が形成された形状のリアケース107とフロントケース108とが組み合されて結合されてなり、例えば、リアケース107とフロントケース108とが組み合された状態で、リアケース107の側壁部の所定の部位に形成され、コの字状に切り欠かれてなる切欠き部と、フロントケース108に形成された壁部109とが組み合されて、略矩形状の挿入口103が形成されている。
【0005】
カバー部材104によって閉鎖状態のときは、挿入口103のリアケース107側の縁部110の前面110aに、把持部106の先端部が接触し、蓋部105の把持部106及び後端部以外の側部に形成された爪部が、リアケース107及びフロントケース108の対応する部位に形成された溝部と係合することによって、リアケース107及びフロントケース108に挿入口103を覆った状態で嵌め込まれる。
例えば、蓋部105の把持部106に対向する側の側方に形成された側壁部111の先端部の爪部112は、フロントケース108に形成された溝部113に係止される。
また、把持部106をリアケース107から剥がすようにして、把持して持ち上げ、蓋部105と筐体101との係合関係を解除し、蓋部105をリアケース107及びフロントケース108から外すことによって開放状態となり、メモリカードの挿抜が可能とされる。
【特許文献1】特開2001−67442号公報
【特許文献2】特開2002−297155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、上記従来技術では、例えば、カバー部材の特に把持部が挿入口から内部側に潜り込んで(減り込んで)しまって、取り出せなくなる不具合が発生するという点である。
すなわち、特に、図9及び図10に示すように、カードスロット102内にメモリカードが収容されていないときに、カバー部材104を開くために、把持部106を掴もうとして、誤って把持部106を強く押し込んでしまうと、容易に把持できるように把持部106が蓋体105に対して屈曲変形可能とされていることにより、把持部106は容易に内部(カードスロット102側)に導かれるとともに、カバー部材104の把持部106は弾性変形した状態で、縁部110の先端面110b(挿入口103の内壁面)を押し付け、把持部106は、接触部位で先端面110bから、挿入口103を含む平面に沿った方向(挿入口103の中心へ向かう向き)に反発力Sを受けるので、一旦嵌り込むと取り出すことが困難となる。
【0007】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、例えば、カバー部材のカードスロット内への潜込みを防止することができるカバー潜込み防止構造及び該構造を備えた電子機器を供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、電子記憶媒体が収容される収容部を備えた電子機器の筐体に形成され、上記収容部に上記電子記録媒体が挿入される挿入口を覆うために、上記筐体に開閉自在に配設されたカバー部材の上記挿入口から上記筐体の内部への潜込みを防止するための電子機器におけるカバー潜込み防止構造に係り、上記筐体の上記挿入口が形成された所定の部位には、上記カバー部材を係止するためのカバー係止部が形成され、上記カバー部材は、上記挿入口を覆うための蓋体と、上記蓋体から突設され、上記カバー部材の開閉操作を行うための把持部とを有してなり、上記蓋体の上記筐体に接触する所定の部位には上記カバー係止部に対応した被係止部が形成され、上記被係止部が上記カバー係止部によって係止されることによって、上記挿入口が上記蓋体によって覆われ、かつ、上記把持部の先端が上記挿入口の縁部に接触した状態で、上記蓋体が上記筐体に嵌着されると共に、上記把持部の先端が接触する上記縁部には、上記電子記憶媒体の挿入方向に対して外部を向くように傾斜した傾斜面が形成されていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のカバー潜込み防止構造に係り、上記カバー部材の上記蓋体は略平板形状を有し、上記把持部は上記蓋体から側方に突設され、上記カバー部材は、弾性部材からなると共に、上記把持部が、上記蓋体に対して少なくとも外部側に屈曲変形が可能なように成形されていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のカバー潜込み防止構造に係り、上記把持部は、上記蓋体から上記蓋体の内表面側に屈曲された状態で突設されていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載のカバー潜込み防止構造に係り、上記把持部が把持されて上記蓋体の外表面側に屈曲させるように外力を与えられることによって、上記被係止部と上記カバー係止部との係合関係が解除されて、上記カバー部材による閉鎖状態から開放状態へ移行することを特徴としている。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1に記載のカバー潜込み防止構造に係り、上記カバー部材は、上記把持部が、上記蓋体に対して上記蓋体の内表面側に屈曲変形が可能なように成形され、上記把持部が把持されて上記蓋体の内表面側に屈曲させるように所定の大きさの外力が加わった場合に、上記把持部の先端部が上記縁部の先端部を乗り越えないで屈曲するように、その寸法及び形状が設定され、かつ、構成材料が選定されていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1に記載のカバー潜込み防止構造に係り、上記挿入口の上記縁部の先端部は、断面山形形状に形成されていることを特徴としている。
【0014】
また、請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1に記載のカバー潜込み防止構造に係り、上記カバー部材は、上記蓋体の後端部が、上記筐体に固定され、上記後端部を支点として回動することによって、開閉が可能なように構成されていることを特徴としている。
【0015】
また、請求項8記載の発明は、請求項7記載のカバー潜込み防止構造に係り、上記被係止部は、上記蓋体の上記把持部の形成部位と上記後端部とを除く側部の上記筐体に接触する所定の部位に形成された凸部からなり、上記カバー係止部は、上記筐体の上記挿入口の縁部又は上記挿入口の近傍に形成され、上記凸部に対応した形状の溝部からなることを特徴としている。
【0016】
また、請求項9記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1に記載のカバー潜込み防止構造に係り、上記縁部の上記傾斜面は、その上記蓋体の長さ方向に直交する断面が直線状の輪郭線を有するように形成され、上記輪郭線と上記電子記憶媒体の上記挿入方向とがなす角度は、略10°以上略80°以下に設定されていることを特徴としている。
【0017】
また、請求項10記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか1に記載のカバー潜込み防止構造に係り、上記電子記憶媒体は、外装式のメモリカードからなることを特徴としている。
【0018】
また、請求項11記載の発明に係る電子機器は、請求項1乃至10のいずれか1に記載のカバー潜込み防止構造を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
この発明の構成によれば、把持部の先端が接触する挿入口の縁部には、電子記憶媒体の挿入方向に対して外部を向くように傾斜した傾斜面が形成されているので、把持部は、縁部との接触部位で外部向きに押し出されるように反発力を受けるため、例えば、カバー部材の挿入口の内部への潜込みを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
把持部の先端が接触する挿入口の縁部には、電子記憶媒体の挿入方向に対して外部を向くように傾斜した傾斜面が形成されおり、把持部は、縁部との接触部位で外部向きに押し出されるように反発力を受けることによって、例えば、カバー部材の挿入口の内部への潜込みを防止するという目的を実現した。
【実施例1】
【0021】
図1は、この発明の第1の実施例である携帯電話機の下部ユニットの構成を示す断面図、図2及び図3は、同携帯電話機の構成を示す斜視図、図4は、同携帯電話機の電気的構成を示すブロック図、図5は、図1のA部を拡大して示す拡大断面図、図6は、同携帯電話機のカバー潜込み防止構造の機能を説明するための説明図、また、図7は、図6のB部を拡大して示す拡大断面図である。
【0022】
この例の携帯電話機1は、図2及び図3に示すように、上部ユニット2と下部ユニット3とが、折畳可能なようにヒンジ部4で相互に結合されて構成されている。
上側ユニット2は、図2乃至図4に示すように、折畳可能な筐体を構成する扁平な上部筐体5に、液晶表示装置からなり例えば機能設定画面や待受画面等が表示される表示部6と、LEDを有し例えば着信時や通話時に発光する発光部7と、通話時に受話音声を出力する受話部8とが実装されて概略構成されている。
【0023】
下部ユニット3は、図1乃至図5に示すように、折畳可能な筐体を構成する扁平な下部筐体11に、当該携帯電話機本体の構成各部を制御する制御部12と、制御部12が実行する処理プログラムや各種データ等を記憶するための記憶部13と、メモリカードMから情報を読み取り、かつ、書き込むためのカード読取書込部14と、例えば着信時に着信音を出力する音声出力部15と、例えば、内蔵アンテナ16を介して無線電波の送受信を行い、所定のプロトコルに従って通話やデータ通信を行うために用いられる無線通信部17と、数字や文字の入力操作等を行うための多数の各種操作キー等からなる操作部18と、送話音声を入力するマイクロフォンからなる送話部19とが実装されて概略構成されている。
【0024】
表示部6は、上側筐体5の折畳時に内側となる面に配設され例えば透過型の液晶表示装置を有してなっている。液晶表示装置は、液晶パネルと、液晶パネルに照明光を与えるバックライト装置と、液晶パネルを駆動する駆動回路とを有している。
液晶パネルは、例えばTFT(Thin Film Transistor)構造の透過型の液晶表示パネルであり、TFTと透明画素電極とが多数形成されているTFT基板と、TFT基板と数[μm]の間隙を介して対向して固定され、着色層(カラーフィルタ)が形成された対向基板と、上記間隙に封入された液晶層と、TFT基板、対向基板の外側に配設された一対の偏向板とを有している。
【0025】
制御部12は、共にCPU(中央処理装置)等からなり、記憶部13に記憶された各種処理プログラムを実行し、記憶部13に確保された各種レジスタやフラグを用いて、構成各部を制御し各種制御処理を実行する。
記憶部13は、ROM、RAM等の半導体メモリからなり、制御部12が実行するメモリカード読取書込制御処理プログラムや、操作制御処理プログラムや、通信制御処理プログラム、表示制御処理プログラム、ホームページを閲覧するためのプログラムとしてのブラウザ、電子メールを作成したり送受信するためのプログラムとしてのメーラ等の各種処理プログラム等をが記憶されたプログラム記憶領域と、各機能の設定情報や通信履歴情報、電話帳情報等の各種情報が記憶された情報記憶領域とを有すると共に、この記憶部13には、制御部12がプログラム実行時に用いる各種レジスタやフラグが確保されている。
カード読取書込部14は、メモリカードMから、例えば、写真等の画像情報や、電話帳情報、楽曲情報等を読み取り、かつ、メモリカードMにこれらの情報を書き込むために用いられ、下部筐体11内に配置され、メモリカードMを収容するカードスロット21を有している。
【0026】
この例のカバー潜込み防止構造22は、図1及び図5に示すように、例えば、下部筐体11に形成され、カードスロット21にメモリカードMを挿入するための略矩形状の挿入口23を覆うように、弾性部材からなる保護用のカバー部材24が下部筐体11に取り付けられ、カバー部材24の把持部25の先端面25aが接触する挿入口23のリアケース26側の縁部27mには、外部側に向けて傾いた傾斜面27sが形成されて概略構成されている。
【0027】
下部筐体11は、共に合成樹脂製で、概略、平板状部の周縁部に側壁部が形成された形状のリアケース26とフロントケース28とが組み合されて結合されてなり、この例では、リアケース26とフロントケース28とが組み合された状態で、リアケース26の側壁部の所定の部位に形成され、コの字状に切り欠かれてなる切欠き部と、フロントケース28に形成された壁部29とが組み合されて、略矩形状の挿入口23が形成されている。
【0028】
挿入口23のリアケース26側の縁部27aのうち、カバー部材24の把持部25が接触するリアケース26側の所定の部位は、縁部27mが形成されている。この縁部27mには、外部側に向けて傾いた傾斜面27sが形成されている。
この傾斜面27sは、その断面が直線状の輪郭線を有するように形成され、この輪郭線と挿入口23を含む平面の法線(メモリカードMの挿入方向)とがなす角度は、略10°以上略80°以下(例えば、略45°)に設定されている。
【0029】
また、縁部27mの傾斜面27sに対して反対側には、手指を差し入れるための窪み部27tが形成されている。また、挿入口23の縁部27mの先端部(挿入口23の内壁部)は、断面山形形状に形成されている。
フロントケース28の挿入口23が形成された部位では、平板状部31の側端部の内部側から壁部29が立設され、下部筐体11内部の基板に搭載された電子部品等を保護すると共に、この壁部29の先端部は、挿入口23のフロントケース28側の縁部29bを構成している。
【0030】
カバー部材24は、挿入口23を覆うための略平板形状の蓋部32と、把持するために蓋部32の先端側の一方の(リアケース26側の)側部から蓋部32の内表面側に若干屈曲された状態で突設され、縁部27mの窪み部27tの形状に対応させて先端が湾曲するように成形された把持部25とを有し、蓋部32の後端部(根元部)32aは、リアケース26に固定されており、後端部32aを支点として回動し、開閉が可能なように構成されている。
【0031】
また、蓋部32の例えばフロントケース28側の側部には、側壁部32bが形成され、カバー部材24は、閉鎖状態では、側壁部32bの先端側に形成された爪部32mが、フロントケース28に形成された溝部28aに係止され、かつ、側壁部32bの当接面32nがフロントケース28に形成された受け面28bに当接して、リアケース26とフロントケース28との間に嵌め込まれ、挿入口23を塞いで、塵埃等の挿入口23からの侵入を防止する。
【0032】
また、カバー部材24は、把持部25が、蓋部32に対して少なくとも外部側に屈曲変形が可能なように成形されている。
また、カバー部材24は、把持部25が、蓋部32に対して蓋部32の内表面側に屈曲変形が可能なように成形され、把持部25が把持されて蓋部32の内表面側に屈曲させるように所定の大きさの外力が加わった場合に、把持部25の先端部25aが縁部27mの先端部を乗り越えないで屈曲するように、その寸法及び形状が設定され、かつ、構成材料が選定されている。
【0033】
なお、カバー部材24の蓋部32の先端部には突起部(不図示)が形成され、閉鎖状態では、この突起部も、リアケース26の縁部27aの対応する部位に形成されたカバー係止部としての溝部に嵌合する。また、閉鎖状態では、リアケース26側の側部は、リアケース26に形成された押え部によって上方から押えられる。
また、窪み部27tに例えば手指が差し込まれ、把持部25が把持されて蓋部32の外表面側に屈曲させるように外力を与えられることによって、被係止部としての爪部32m等と、カバー係止部としての溝部28a等との係合関係が解除されて、開放状態となる。
【0034】
無線通信部17は、RF回路や、変復調回路、ベースバンド処理回路等からなり、音声やデータを変調して内蔵アンテナ16を介して無線電波として送信すると共に、無線電波を内蔵アンテナ16を介して受信して音声やデータに復調し、所定のプロトコルに従って通話やデータ通信を行うために用いられる。
操作部18は、ブラウザを起動させてホームページを閲覧するためのブラウザモード選択キーや、操作を決定するために用いられる決定キー、操作メニューを表示させるためのメニューキー、文字入力モードを切り換えるための入力モード切替えキー、電話帳を登録したり検索するための電話帳キー、音声通話を行うために用いる通話開始キー、操作を1つ前の状態へ戻すクリアキー、及び電源の入切りを行った各種操作を中止するために用いられる電源キーを含む機能キー群と、表示部6に表示された表示画面状のカーソルを上下左右方向へ移動させるためのカーソルキーと、例えば数字等を入力するためのテンキー群とを有している。
【0035】
カバー部材24が閉鎖状態のときは、挿入口23のリアケース26側の縁部27mの角部(傾斜面27sの上端)27nに、把持部25の先端部25aが接触し、蓋部32の把持部25及び後端部32a以外の側部に形成された爪部が、リアケース26及びフロントケース28の対応する部位に形成された溝部と係合することによって、リアケース26及びフロントケース28に挿入口23を覆った状態で嵌め込まれる。
また、窪み部27tに例えば手指を差し込み、把持部25をリアケース26から剥がすようにして、把持して持ち上げ、爪部32mと溝部28a等との係合関係を解除し、蓋部32をリアケース26及びフロントケース28から外すことによって開放状態となり、メモリカードMの挿抜が可能とされる。
【0036】
例えば、カバー部材32を開くために、把持部25を掴もうとして、把持部25を比較的強く押し込んでしまい、図6及び図7に示すように、カバー部材24の例えば把持部25が、挿入口23から内部(カバースロット21側)に嵌り込もうとすると、先端面25aと傾斜面27sとの接触部位では、カバー部材24の先端面25aは、把持部25によって押圧されて弾性変形したリアケース26の縁部27mから、挿入口23を含む平面に対して外部向きに反発力Rを受けて押されるので、把持部25が外部側に押し出されるように力を受けることによって、カバー部材24の例えば把持部25の挿入口23から内部側への潜込みが防止される。
また、把持部25をさらに強く押し込み、さらに深く入り込んだ場合でも、縁部27mの先端部が、把持部25の先端部に対して略線状に接触するので、略面状に接触する従来技術と比較して容易に取り出される。
【0037】
この例の構成によれば、カバー部材24の例えば把持部25が、挿入口23から内部(カバースロット21側)に嵌り込もうとすると、先端面25aと傾斜面27sとの接触部位では、カバー部材24の先端面25aは、把持部25によって押圧されて弾性変形したリアケース26の縁部27mから、挿入口23を含む平面に対して外部向きに反発力Rを受けて押されるので、把持部25が外部側に押し出されるように力を受けることによって、カバー部材24の例えば把持部25の挿入口23から内部側への潜込み(減込み)を回避することができる。
また、把持部25の先端部が、さらに深く入り込んだ場合でも、縁部27mの先端部が、把持部25の先端部に対して略線状に接触するので、略面状に接触する従来技術と比較して容易に取り出すことができる。
【実施例2】
【0038】
図8は、この発明の第2の実施例である携帯電話機の下部ユニットの要部の構成を拡大して示す拡大断面図である。
この例が上述した第1の実施例と大きく異なるところは、カバー部材の本体部の両側方に把持部を突設させた点である。
これ以外の構成は、上述した第1の実施例の構成と略同一であるので、その説明を簡略にする。
【0039】
この例の携帯電話機のカバー潜込み防止構造は、図8に示すように、例えば、下部筐体11に形成され、カードスロット21にメモリカードMを挿入するための略矩形状の挿入口23Aを覆うように、弾性部材からなる保護用のカバー部材24Aが下部筐体に取り付けられ、カバー部材24Aの各把持部25Aの先端面25pが接触する挿入口23Aのリアケース26A側の縁部には、外部側に向けて傾斜した傾斜面27qが形成され、フロントケース28A側の縁部には、外部側に向けて傾斜した傾斜面28qが形成されて概略構成されている。
【0040】
カバー部材24Aは、挿入口23Aを覆うための蓋部32Aと、把持するために蓋部32Aの先端側の両側部に突設された一対の把持部25A,25Aとを有し、蓋部32Aの後端部(根元部)は、リアケース26Aに固定されており、後端部を支点として回動し、開閉が可能なように構成されている。
カバー部材24Aを開ける場合には、例えば、両把持部25A,25A間の中央部を押圧し、両把持部25A,25Aを同時に抓むようにして持ち上げる。
【0041】
この例の構成によれば、上述した第1の実施例と略同様の効果を得ることができる。
加えて、カバー部材24Aを容易に開閉させることができる。
【0042】
以上、この発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
例えば、上述した実施例では、合成樹脂製の筐体を用いる場合について述べたが、合成樹脂製に限らず、例えば、マグネシウム合金製のダイカスト成形品でも良いし、他の金属製としても良いし、合成樹脂に金属を被覆した構成としても良い。
【0043】
また、筐体のカード挿入口の縁部に形成する傾斜面は、その断面の輪郭が直線状でも、凸状又は凹状の曲線状となるように形成しても良い。
また、カバー部材の先端部を筐体に嵌着させる場合について述べたが、先端部も嵌着させずに、この先端部に対応する筐体側の部位にも傾斜面を設けるようにしても良い。
また、カバー部材を開く場合に、把持部の端部に手指を引っ掛けて外部側に曲げて抓み上げるようにしても良いし、把持部を押して内部側に変形させて抓み上げるようにしても良い。
【0044】
また、カバー部材は、挿入口に平行な軸の周りに回動可能なようにして挿入口の開閉を行うようにしても良いし、挿入口に垂直な軸の周りに回動可能なようにしても良い。
また、カバー部材は、片側を筐体に固定して開閉する形式に限らず、筐体の挿入口に対して挿抜(着脱)可能とされた構成としても良い。
また、メモリーカードとして、例えば、SD(Secure Digital)カード(登録商標)や、miniSDカード(登録商標)を用いる場合に適用することができる。
また、電子記録媒体として、メモリーカード等のカード形の電子記録媒体ほか、スティック状の電子記録媒体等を用いる場合に適用することができる。
【0045】
また、単に開閉のみ可能な折畳式の携帯電話機に限らず、2軸ヒンジで、上部ユニットと下部ユニットとが、互いに開閉自在で、かつ、開閉を行うための回動軸に直交する回動軸の周りにも一方のユニットが他方のユニットに対して回動自在に相互に結合された携帯電話機にも適用できるし、折畳式以外のストレートタイプの携帯電話機にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
携帯端末としては、携帯電話機のほか、簡易型携帯電話(PHS)端末や、携帯情報端末(PDA)、携帯型のコンピュータに対して適用できる。また、電子機器として、携帯端末のほか、無線通信機能を有するコンピュータ等に対して適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の第1の実施例である携帯電話機の下部ユニットの構成を示す断面図である。
【図2】同携帯電話機の構成を示す斜視図である。
【図3】同携帯電話機の構成を示す斜視図である。
【図4】同携帯電話機の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】図1のA部を拡大して示す拡大断面図である。
【図6】同携帯電話機のカバー潜込み防止構造の機能を説明するための説明図である。
【図7】図6のB部を拡大して示す拡大断面図である。
【図8】この発明の第2の実施例である携帯電話機の下部ユニットの要部の構成を拡大して示す拡大断面図である。
【図9】従来技術を説明するための説明図である。
【図10】従来技術を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1 携帯電話機(電子機器)
5 上部筐体
11 下部筐体
21 カードスロット(収容部)
22 カバー潜込み防止構造
23 挿入口
24,24A カバー部材
25,25A 把持部
25a 先端面
26,26A リアケース
27m 縁部
27s,27q,28q 傾斜面
28,28A フロントケース
28a 溝部(カバー係止部)
32,32A 蓋部(蓋体)
32a 後端部
32m 爪部(被係止部、凸部)
M メモリカード(電子記憶媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子記憶媒体が収容される収容部を備えた電子機器の筐体に形成され、前記収容部に前記電子記録媒体が挿入される挿入口を覆うために、前記筐体に開閉自在に配設されたカバー部材の前記挿入口から前記筐体の内部への潜込みを防止するための電子機器におけるカバー潜込み防止構造であって、
前記筐体の前記挿入口が形成された所定の部位には、前記カバー部材を係止するためのカバー係止部が形成され、
前記カバー部材は、前記挿入口を覆うための蓋体と、前記蓋体から突設され、前記カバー部材の開閉操作を行うための把持部とを有してなり、前記蓋体の前記筐体に接触する所定の部位には前記カバー係止部に対応した被係止部が形成され、
前記被係止部が前記カバー係止部によって係止されることによって、前記挿入口が前記蓋体によって覆われ、かつ、前記把持部の先端が前記挿入口の縁部に接触した状態で、前記蓋体が前記筐体に嵌着されると共に、
前記把持部の先端が接触する前記縁部には、前記電子記憶媒体の挿入方向に対して外部を向くように傾斜した傾斜面が形成されている
ことを特徴とするカバー潜込み防止構造。
【請求項2】
前記カバー部材の前記蓋体は略平板形状を有し、前記把持部は前記蓋体から側方に突設され、前記カバー部材は、弾性部材からなると共に、前記把持部が、前記蓋体に対して少なくとも外部側に屈曲変形が可能なように成形されていることを特徴とする請求項1記載のカバー潜込み防止構造。
【請求項3】
前記把持部は、前記蓋体から前記蓋体の内表面側に屈曲された状態で突設されていることを特徴とする請求項1又は2記載のカバー潜込み防止構造。
【請求項4】
前記把持部が把持されて前記蓋体の外表面側に屈曲させるように外力を与えられることによって、前記被係止部と前記カバー係止部との係合関係が解除されて、前記カバー部材による閉鎖状態から開放状態へ移行することを特徴とする請求項1、2又は3記載のカバー潜込み防止構造。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記把持部が、前記蓋体に対して前記蓋体の内表面側に屈曲変形が可能なように成形され、前記把持部が把持されて前記蓋体の内表面側に屈曲させるように所定の大きさの外力が加わった場合に、前記把持部の先端部が前記縁部の先端部を乗り越えないで屈曲するように、その寸法及び形状が設定され、かつ、構成材料が選定されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載のカバー潜込み防止構造。
【請求項6】
前記挿入口の前記縁部の先端部は、断面山形形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載のカバー潜込み防止構造。
【請求項7】
前記カバー部材は、前記蓋体の後端部が、前記筐体に固定され、前記後端部を支点として回動することによって、開閉が可能なように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載のカバー潜込み防止構造。
【請求項8】
前記被係止部は、前記蓋体の前記把持部の形成部位と前記後端部とを除く側部の前記筐体に接触する所定の部位に形成された凸部からなり、前記カバー係止部は、前記筐体の前記挿入口の縁部又は前記挿入口の近傍に形成され、前記凸部に対応した形状の溝部からなることを特徴とする請求項7記載のカバー潜込み防止構造。
【請求項9】
前記縁部の前記傾斜面は、その前記蓋体の長さ方向に直交する断面が直線状の輪郭線を有するように形成され、前記輪郭線と前記電子記憶媒体の前記挿入方向とがなす角度は、略10°以上略80°以下に設定されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1に記載のカバー潜込み防止構造。
【請求項10】
前記電子記憶媒体は、外装式のメモリカードからなることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1に記載のカバー潜込み防止構造。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1に記載のカバー潜込み防止構造を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−345327(P2006−345327A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−170175(P2005−170175)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】