説明

カバー部材、潤滑剤供給装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置

【課題】部品点数が比較的少なくて、複数の角部を覆って保護することができる、カバー部材、潤滑剤供給装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供する。
【解決手段】板金を箱曲げ加工することによりベース面16f1における4辺をそれぞれ曲げ元として4つの側面16f2〜16f4が起立してなるカバー部材16fであって、4つの側面のうち対向する2つの側面16f2、16f3において隣接する側面16f3の側に形成される2つの角部16f21、16f31を外側から覆うように嵌合する嵌合部材16f6を設置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、板金を箱曲げ加工することにより箱状に形成されたカバー部材と、それを備えた潤滑剤供給装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、板金を箱曲げ加工することにより箱状に形成されたカバー部材(機械用ケース)が知られている(例えば、特許文献1、2等参照。)。詳しくは、カバー部材は、板金を箱曲げ加工することによってベース面における4辺をそれぞれ曲げ元として4つの側面が起立するように形成されている。
また、特許文献1、2等では、カバー部材において、隣接する2つの側面とベース面とが交会する角部(コーナー部)を覆って保護するための樹脂製保護部材(コーナー部材)を4つの角部に設置する技術が開示されている。
【0003】
他方、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置において、感光体ドラムや中間転写ベルト等の像担持体上に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置を用いる技術が知られている(例えば、特許文献3、4等参照。)。
詳しくは、潤滑剤供給装置は、感光体ドラム(像担持体)に摺接するブラシローラ(ブラシ状回転部材)、ブラシローラに当接する固形潤滑剤、固形潤滑剤をブラシローラに向けて付勢するスプリング(付勢部材)、等で構成される。そして、所定方向に回転するブラシローラによって固形潤滑剤から潤滑剤が徐々に削り取られて、ブラシローラによって削り取られて搬送された潤滑剤が像担持体の表面に塗布(供給)される。
このような潤滑剤供給装置では、固形潤滑剤の交換メンテナンスを簡易におこなうために、カバー部材の内部にスプリングを介して固形潤滑剤が入り込むように、装置に対してカバー部材を着脱可能に設置したものが多く用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のカバー部材は、金属材料で形成されているために、樹脂材料で形成されたものに比べて、剛性が強くて、大きな荷重がかかるような場合であっても変形が少ないというメリットがある。しかし、カバー部材において、隣接する2つの側面とベース面とが交会する角部では、箱曲げ加工によって鋭利なエッジやバリが生じてしまうために、これを手にするユーザーや作業者が怪我をしてしまう可能性が高かった。
【0005】
このような問題を解決するために、特許文献1、2では、カバー部材において樹脂製保護部材(コーナー部材)を4つの角部を覆うようにそれぞれ設置しているが、保護部材の部品点数が多くなってしまっていた。このような課題は、ベース面に対して起立する4つの側面の起立角度が一定となっていないカバー部材では、4つの角部を覆う保護部材の形状がすべて異なってしまい、保護部材を共通部品化することができなくなるため、特に無視できないものとなっていた。
【0006】
また、潤滑剤供給装置に用いられるカバー部材は、装置内の省スペース化された複雑な形状の空間に設置されることが多く、上述したようにベース面に対して起立する4つの側面の起立角度が一定となっていないものが多く用いられているため、4つの角部を覆う保護部材を簡易に構成する必要性が高かった。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、部品点数が比較的少なくて、複数の角部を覆って保護することができる、カバー部材、潤滑剤供給装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の請求項1記載の発明にかかるカバー部材は、板金を箱曲げ加工することによりベース面における4辺をそれぞれ曲げ元として4つの側面が起立してなるカバー部材であって、前記4つの側面のうち対向する2つの側面において隣接する2つの側面のうち少なくとも一方の側面の側に形成される2つの角部を外側から覆うように嵌合する嵌合部材を設置したものである。
【0009】
また、請求項2記載の発明にかかるカバー部材は、前記請求項1に記載の発明において、前記嵌合部材は、前記少なくとも一方の側面の内側から当該側面の両端部を挟むように嵌合する凹部と、前記角部から前記対向する2つの側面におけるそれぞれのエッジ部にかけて外側から覆うように前記一方の側面の幅を超えた範囲に形成された外縁部と、を具備したものである。
【0010】
また、請求項3記載の発明にかかるカバー部材は、前記請求項2に記載の発明において、前記嵌合部材の前記凹部は、前記少なくとも一方の側面に形成された位置決め用穴部に嵌合するボス部が形成されたものである。
【0011】
また、請求項4記載の発明にかかるカバー部材は、前記請求項3に記載の発明において、前記嵌合部材は、前記ボス部が形成された部分が当該嵌合部材において片持ち支持されるように形成されたものである。
【0012】
また、請求項5記載の発明にかかるカバー部材は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記嵌合部材を、高分子系化合物で形成された板状部材としたものである。
【0013】
また、この発明の請求項6記載の発明にかかる潤滑剤供給装置は、トナー像が担持される像担持体上に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置であって、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のカバー部材と、所定方向に回転するとともに、前記像担持体に摺接するブラシ毛が周設されたブラシ状回転部材と、前記ブラシ状回転部材の前記ブラシ毛に摺接する固形潤滑剤と、前記固形潤滑剤を前記ブラシ状回転部材に向けて付勢する付勢部材と、を備え、前記カバー部材は、その内部に前記付勢部材を介して前記固形潤滑剤の一部又は全部が入り込むように、装置に対して着脱可能に設置されたものである。
【0014】
また、この発明の請求項7記載の発明にかかるプロセスカートリッジは、画像形成装置本体に対して着脱自在に設置されるプロセスカートリッジであって、請求項6に記載の潤滑剤供給装置と前記像担持体とを備えたものである。
【0015】
また、この発明の請求項8記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項6に記載の潤滑剤供給装置と前記像担持体とを備えたものである。
【0016】
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電部と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像部(現像装置)と、像担持体上をクリーニングするクリーニング部とのうち、少なくとも1つと、像担持体とが、一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱自在に設置されるユニットと定義する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、2つの角部を外側から覆うように嵌合する嵌合部材をカバー部材に設置しているので、部品点数が比較的少なくて、複数の角部が覆われて保護される、カバー部材、潤滑剤供給装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】黒色用作像部を示す構成図である。
【図3】カラー用作像部を示す構成図である。
【図4】カバー部材を示す斜視図である。
【図5】カバー部材を示す上面図である。
【図6】嵌合部材が取出された状態のカバー部材を示す斜視図である。
【図7】別形態の嵌合部材を示す正面図である。
【図8】図7の嵌合部材がカバー部材に設置される状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態.
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0020】
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
本実施の形態における画像形成装置1は、複数の作像部としてのプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKが中間転写ベルト17に対向するように並設されたタンデム型のカラー画像形成装置である。
【0021】
図1において、1は画像形成装置としてのカラー複写機の装置本体、3は原稿を原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿の画像情報を読み込む原稿読込部、6は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部(露光部)、7は転写紙等の記録媒体Pが収納される給紙部、10Y、10M、10C、10BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部としてのプロセスカートリッジ、17は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、18は中間転写ベルト17上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する2次転写ローラ、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着部、28は各プロセスカートリッジ(作像部)10Y、10M、10C、10BKの現像部に各色のトナーを補給するためのトナー容器、を示す。
【0022】
ここで、各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BK(作像部)は、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム11、帯電部12、現像部13(現像装置)、クリーニング部15(クリーニング装置)、潤滑剤供給装置16(潤滑剤供給部)が一体化されたものである(図2、図3を参照できる。)。そして、各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKは、寿命に達したときに装置本体1に対して交換される。
各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKにおける感光体ドラム11(像担持体)上では、それぞれ、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される。
【0023】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿は、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像情報が光学的に読み取られる。
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス上の原稿の画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿にて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿のカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部(不図示である。)で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
【0024】
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部6に送信される。そして、書込み部6からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光(露光光)が、それぞれ、対応するプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKの感光体ドラム11上に向けて照射される。
【0025】
一方、4つの感光体ドラム11は、それぞれ、図の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム11の表面は、帯電ローラ12a(帯電部12)との対向位置で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部6において、光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応して射出される。図示は省略するが、レーザ光は、ポリゴンミラーに入射して反射した後に、複数のレンズを透過する。複数のレンズを透過した後のレーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
【0026】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目のプロセスカートリッジ10Yの感光体ドラム11表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラー(不図示である。)により、感光体ドラム11の回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電ローラ12aにて帯電された後の感光体ドラム11上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
【0027】
同様に、シアン成分のレーザ光は、紙面左から2番目のプロセスカートリッジ10Cの感光体ドラム11表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から3番目のプロセスカートリッジ10Mの感光体ドラム11表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目(中間転写ベルト17の走行方向に対して最も下流側である。)のプロセスカートリッジ10BK(黒色用作像部)の感光体ドラム11表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0028】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11表面は、それぞれ、現像部13との対向位置に達する。そして、各現像部13から感光体ドラム11上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向位置に達する。ここで、それぞれの対向位置には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように1次転写ローラ14が設置されている。そして、1次転写ローラ14の位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(第1転写工程である。)。
【0029】
そして、第1転写工程後の感光体ドラム11表面は、それぞれ、クリーニング部15との対向位置に達する。そして、クリーニング部15で、感光体ドラム11上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム11表面は、潤滑剤供給装置16の位置と除電部(不図示である。)の位置とを順次通過して、感光体ドラム11における一連の作像プロセスが終了する。
【0030】
他方、感光体ドラム11上の各色の画像が重ねて転写された中間転写ベルト17表面は、図中の矢印方向に走行して、2次転写ローラ18の位置に達する。そして、2次転写ローラ18の位置で、記録媒体P上に中間転写ベルト17上のフルカラーの画像が2次転写される(第2転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト17表面は、中間転写ベルトクリーニング部(不図示である。)の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上の未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部に回収されて、中間転写ベルト17上の一連の転写プロセスが完了する。
【0031】
ここで、2次転写ローラ18位置の記録媒体Pは、給紙部7から搬送ガイド、レジストローラ19等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された転写紙Pが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ19に導かれる。レジストローラ19に達した記録媒体Pは、中間転写ベルト17上のトナー像とタイミングを合わせて、2次転写ローラ18の位置に向けて搬送される。
【0032】
その後、フルカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着部20に導かれる。定着部20では、定着ローラと加圧ローラとのニップにて、カラー画像が記録媒体P上に定着される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、排紙ローラ29によって装置本体1外に出力画像として排出された後に、排紙部5上にスタックされて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0033】
なお、図示は省略するが、本実施の形態における画像形成装置1には、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M、10Cの感光体ドラム11(モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKの感光体ドラム11を除く、カラー用の3つの感光体ドラム11である。)に当接する1次転写ローラ14を、中間転写ベルト17とともに、感光体ドラム11に対して接離自在に可動する接離機構が設けられている。
そして、モノクロ画像を形成するときには、接離機構が動作することで、カラー用の3つの感光体ドラム11から3つの1次転写ローラ14を離間させて、中間転写ベルト17をモノクロ用のプロセスカートリッジ10BKの感光体ドラム11のみに当接させる。このように、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BK(黒色用作像部)は、カラー画像を形成するときにも画像中に黒色が占める割合が高くなることが多い上に、モノクロ画像を形成するときにもフルに稼働するものであるため、一般的に、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M、10Cに比べて使用頻度(稼働率)が高くなる。
【0034】
次に、図2及び図3にて、画像形成装置の作像部について詳述する。
なお、図2は黒色用作像部としてのプロセスカートリッジ10BK(モノクロ用のプロセスカートリッジ)を示す構成図であって、図3はその他の作像部としてのプロセスカートリッジ10Y、10M、10C(カラー用のプロセスカートリッジ)を示す構成図である。モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKと、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M、10Cと、は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる点や、固形潤滑剤16bの大きさが異なる点等を除き、ほぼ同じ構成部材によって構成されている。
【0035】
図2、図3に示すように、プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKには、像担持体としての感光体ドラム11と、感光体ドラム11を帯電する帯電部12と、感光体ドラム11上に形成される静電潜像を現像する現像部13と、感光体ドラム11上の未転写トナーを回収するクリーニング部15と、感光体ドラム11上に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置16と、が、ケースに一体的に収納されている。
【0036】
ここで、像担持体としての感光体ドラム11は、負帯電性の有機感光体であって、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。
図示は省略するが、感光体ドラム11は、基層としての導電性支持体上に、絶縁層である下引き層、感光層としての電荷発生層及び電荷輸送層、保護層(表面層)が順次積層されている。
感光体ドラム11の導電性支持体(基層)としては、体積抵抗が1010Ωcm以下の導電性材料を用いることができる。
【0037】
帯電部12は、帯電ローラ12a、クリーニングローラ12b等で構成されている。帯電ローラ12aは、導電性芯金の外周に中抵抗の弾性層を被覆してなるローラ部材であって、潤滑剤供給装置16に対して感光体ドラム11の回転方向下流側に配設されている。また、帯電ローラ12aは、潤滑剤供給装置16によって感光体ドラム11上に供給された潤滑剤が付着しないように、感光体ドラム11に対して非接触で対向するように配設されている。また、クリーニングローラ12bは、帯電ローラ12a上の汚れを除去するためのもので、帯電ローラ12aに接触するように配設されている。
そして、このように構成された帯電部12において、帯電ローラ12aには不図示の電源部から所定の電圧が印加されて、これにより対向する感光体ドラム11の表面を一様に帯電する。
【0038】
現像部(現像装置)13は、主として、感光体ドラム11に対向する現像ローラ13aと、現像ローラ13aに対向する第1搬送スクリュ13b1と、仕切部材を介して第1搬送スクリュ13b1に対向する第2搬送スクリュ13b2と、現像ローラ13aに対向するドクターブレード13cと、で構成される。現像ローラ13aは、内部に固設されてローラ周面に磁極を形成するマグネットと、マグネットの周囲を回転するスリーブと、で構成される。マグネットによって現像ローラ13a(スリーブ)上に複数の磁極が形成されて、現像ローラ13a上に現像剤が担持されることになる。
【0039】
現像部13内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤が収容されている。
トナーは、画質向上のために、円形度が0.98以上の球形トナーを使用している。「円形度」は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−2000」(東亜医用電子社製)により計測した平均円形度である。具体的には、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に、分散剤として界面活性剤(好ましくは、アルキルベンゼンスルホン酸塩である。)を0.1〜0.5ml加えて、さらに測定試料(トナー)を0.1〜0.5g程度加える。その後、このトナーが分散した懸濁液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理して、分散液濃度が3000〜10000個/μlとなるようにしたものを上述の分析装置にセットして、トナーの形状及び分布を測定する。
【0040】
球形トナーとしては、従来から広く用いられている粉砕法によって形状が歪な異形のトナー(粉砕トナー)を加熱処理等して球形化したものや、重合法により製造されたもの等を用いることができる。
このような球形トナーを用いる場合、従来は、クリーニングブレード15aと感光体ドラム11との僅かな隙間に入り込んでやがてその隙間をすり抜けてクリーニング不良が生じることがあった。しかし、本実施の形態では、潤滑剤供給装置16によって潤滑剤を感光体ドラム11表面に塗布して、感光体ドラム11上におけるトナー剥離性(除去性)を向上させるために、クリーニング不良の発生が抑止される。
【0041】
クリーニング部15は、潤滑剤供給装置16に対して感光体ドラム11の回転方向上流側に配設されている。クリーニング部15には、感光体ドラム11に当接するクリーニングブレード15a、クリーニング部15内に回収されたトナーを廃トナーとして廃トナー回収容器(不図示である。)に向けて搬送する搬送コイル15b、等が設置されている。クリーニングブレード15aは、ウレタンゴム等のゴム材料からなり、感光体ドラム11表面に所定角度かつ所定圧力で当接している。これにより、感光体ドラム11上に付着する未転写トナー等の付着物が機械的に掻き取られてクリーニング部15内に回収されることになる。ここで、感光体ドラム11上に付着する付着物としては、未転写トナーの他に、記録媒体P(用紙)から生じる紙粉、帯電ローラ12aによる放電時に感光体ドラム11上に生じる放電生成物、トナーに添加されている添加剤、等がある。
【0042】
潤滑剤供給装置16は、固形潤滑剤16b、感光体ドラム11と固形潤滑剤16bとに摺接するブラシ毛が周設されたブラシ状回転部材16a、固形潤滑剤16bをブラシ状回転部材16aに向けて付勢する付勢部材としての圧縮スプリング16c、ブラシ状回転部材16aによって感光体ドラム11上に供給された潤滑剤を薄層化するブレード状部材16d、固形潤滑剤16bの側面を保持するホルダ16e、潤滑剤供給装置16の一部を覆うカバー部材16f、等で構成される。なお、ブレード状部材16dは、ブラシ状回転部材16aに対して感光体ドラム11の回転方向下流側の位置で感光体ドラム11に対してカウンタ方向に当接するように構成されている。
このように構成された潤滑剤供給装置16によって、感光体ドラム11上に薄層化された潤滑剤が供給される。なお、潤滑剤供給装置16の構成・動作については、後で詳しく説明する。
【0043】
図2にて、先に述べた作像プロセスをさらに詳しく説明する。
現像ローラ13aは、図2、図3中の矢印方向(反時計方向)に回転している。現像部13内の現像剤は、間に仕切部材を介在するように配設された第1搬送スクリュ13b1及び第2搬送スクリュ13b2の回転によって、不図示のトナー補給部によってトナー容器28から補給されたトナーとともに撹拌混合されながら長手方向に循環する(図2、図3の紙面垂直方向である。)。
【0044】
そして、摩擦帯電してキャリアに吸着したトナーは、キャリアとともに現像ローラ13a上に担持される。現像ローラ13a上に担持された現像剤は、その後にドクターブレード13cの位置に達する。そして、現像ローラ13a上の現像剤は、ドクターブレード13cの位置で適量に調整された後に、感光体ドラム11との対向位置(現像領域である。)に達する。
【0045】
その後、現像領域において、現像剤中のトナーが、感光体ドラム11表面に形成された静電潜像に付着する。詳しくは、レーザ光Lが照射された画像部の潜像電位(露光電位)と、現像ローラ13aに印加された現像バイアスとの、電位差(現像ポテンシャル)によって形成される電界によって、トナーが潜像に付着する(トナー像が形成される)。
【0046】
その後、現像工程にて感光体ドラム11に付着したトナーは、そのほとんどが中間転写ベルト17上に転写される。そして、感光体ドラム11上に残存した未転写のトナーが、クリーニングブレード15aによってクリーニング部15内に回収される。
【0047】
ここで、図示は省略するが、装置本体1に設けられたトナー補給部は、交換自在に構成されたボトル状のトナー容器28と、トナー容器28を保持・回転駆動するとともに現像部13に新品トナーを補給するトナーホッパ部と、で構成されている。また、トナー容器28内には、新品のトナー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのいずれかである。)が収容されている。また、トナー容器28(トナーボトル)の内周面には、螺旋状の突起が形成されている。
【0048】
なお、トナー容器28内の新品トナーは、現像部13内のトナー(既設のトナーである。)の消費にともない、トナー補給口から現像部13内に適宜に補給されるものである。図示は省略するが、現像部13内のトナーの消費は、感光体ドラム11に対向する反射型フォトセンサと、現像部13の第2搬送スクリュ23b2の下方に設置された磁気センサと、によって間接的又は直接的に検知される。
【0049】
以下、本実施の形態における、潤滑剤供給装置16(潤滑剤供給部)の構成・動作について詳しく説明する。
図2、図3に示すように、潤滑剤供給装置16は、固形潤滑剤16b、感光体ドラム11と固形潤滑剤16bとに摺接するブラシ毛が周設されたブラシ状回転部材16a(ブラシ状ローラ)、固形潤滑剤16bをブラシ状回転部材16aに向けて付勢する付勢部材としての圧縮スプリング16c、ブラシ状回転部材16aによって感光体ドラム11上に供給された潤滑剤を薄層化するブレード状部材16d、固形潤滑剤16bの側面を保持するホルダ16e、潤滑剤供給装置16の一部を覆うカバー部材16f、等で構成される。
【0050】
ブラシ状回転部材16aは、長さ(毛足)が0.2〜20mm(好ましくは、0.5〜10mm)の範囲のブラシ毛が基布上に植毛されたものを芯金上にスパイラル状に巻き付けたものである。
ブラシ毛の長さが20mmを超えると、経時における感光体ドラム11との繰り返し摺擦によって、ブラシ毛が所定方向に倒毛して、固形潤滑剤16bの掻取性や感光体ドラム11からのトナー除去性が低下してしまう。これに対して、ブラシ毛の長さが0.2mm未満であると、固形潤滑剤16bや感光体ドラム11に対する物理的な当接力が不足してしまう。したがって、ブラシ毛の長さは上述の範囲であることが好ましい。
【0051】
ブラシ状回転部材16aは、図2、図3の時計方向に回転する感光体ドラム11に対してカウンタ方向で接触するように回転する(図2、図3の時計方向の回転である。)。また、ブラシ状回転部材16a(ブラシ毛)は、固形潤滑剤16bと感光体ドラム11とに摺接するように配置されていて、ブラシ状回転部材16aが回転することによって固形潤滑剤16bから潤滑剤を掻き取り、その掻き取った潤滑剤を感光体ドラム11との摺接位置まで搬送した後に、その潤滑剤を感光体ドラム11上に塗布する。
固形潤滑剤16bの後方部には,ブラシ状回転部材16aと固形潤滑剤16bとの接触ムラをなくすために圧縮スプリング16c(付勢部材)が配置されていて、固形潤滑剤16bをブラシ状回転部材16aに付勢している。この固形潤滑剤16aは、圧縮スプリング16cとともに、カバー部材16f内に収容・保持されている。
【0052】
本実施の形態では、固形潤滑剤16bを主としてステアリン酸亜鉛で形成している。詳しくは、固形潤滑剤16bは、ステアリン酸亜鉛を主成分とする潤滑油添加剤を溶解したもので、塗りすぎによる副作用がなく、充分な潤滑性があるものが好適である。
ステアリン酸亜鉛は、代表的なラメラ結晶紛体である。ラメラ結晶は両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有していて、せん断力が加わると層間にそって結晶が割れて滑りやすい。したがって、感光体ドラム11表面を低摩擦係化することができる。すなわち、せん断力を受けて均一に感光体ドラム11表面を覆っていくラメラ結晶によって、少量の潤滑剤によって効果的に感光体ドラム11表面を覆うことができる。
【0053】
なお、固形潤滑剤16bとしては、ステアリン酸亜鉛の他にも、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチュウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸基を有するものを用いることができる。また、同じ脂肪酸基であるオレイン酸亜鉛、オレイン酸バリウム、オレイン酸鉛、以下、ステアリン酸と同様の化合物や、パルチミン酸亜鉛、パルチミン酸バリウム、パルチミン酸鉛、以下、ステアリン酸と同様の化合物を使用して良い。他にも、脂肪酸基として、カプリル酸、リノレン酸、コリノレン酸等を使用することができる。さらに、カンデリラワックス、カンルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、おおば油、みつろう、ラノリン等のワックスを使用することもできる。これらは有機系の固形潤滑剤となりやすく、トナーとの相性が良い。
【0054】
固形潤滑剤16bをブラシ状回転部材16aを介して感光体ドラム11表面に塗布すると、感光体ドラム11表面には粉体状の潤滑剤が塗布されるが、この状態のままでは潤滑性は充分に発揮されないため、ブレード状部材16d(薄層化ブレード)が潤滑剤を均一化する部材として機能することになる。ブレード状部材16dにより、感光体ドラム11上での潤滑剤の皮膜化がおこなわれて、潤滑剤はその潤滑性を充分に発揮することになる。
このとき、ブラシ状回転部材16aにより塗布する粉体状の潤滑剤は微粉であるほど、ブレード状部材16dにより感光体ドラム11上に分子膜レベルで薄膜化される。
【0055】
以下、本実施の形態において特徴的な、潤滑剤供給装置16の構成・動作について詳述する。
図2、図3を参照して、本実施の形態における潤滑剤供給装置16には、その一部を覆うカバー部材16f(図4、図5等も参照できる。)が設置されている。カバー部材16fは、その内部に圧縮スプリング16cを介して固形潤滑剤16bの一部が入り込むように、潤滑剤供給装置16(プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BK)に対して着脱可能に設置されている。
【0056】
詳しくは、カバー部材16fは、潤滑剤供給装置16(プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BK)の下方において、潤滑剤供給装置16の筐体に対してネジ締結・締結解除によって簡単に装着・離脱できるように構成されている。潤滑剤供給装置16に装着された状態で、カバー部材16fのベース面16f1(図4等を参照できる。)に圧縮スプリング16cの一端が保持され、圧縮スプリング16cの付勢力によって固形潤滑剤16bがブラシ状回転部材16aに向けて付勢されている。これに対して、不図示のネジの螺合を解除して、潤滑剤供給装置16からカバー部材16fを取出することによって、圧縮スプリング16cとともに固形潤滑剤16b(消耗されたものである。)を取出した後に、新品の固形潤滑剤16bを新たに装着して、固形潤滑剤16bの交換メンテナンス作業がおこなわれる。
このように、潤滑剤供給装置16に対してカバー部材16fを着脱自在に設置することで、固形潤滑剤16bの交換メンテナンスの作業性が非常に容易になる。さらに、カバー部材16fは、剛性の高い金属材料(板金)で形成されているために、圧縮スプリング16cの反力(固形潤滑剤16bをブラシ状回転部材16aに向けて付勢する力の反力である。)に抗して変形することもない。
【0057】
ここで、図4〜図6を参照して、カバー部材16fは、ステンレス鋼等の板金を箱曲げ加工することによりベース面16f1における4辺をそれぞれ曲げ元として4つの側面16f2〜16f3(第3側面16f3に対向する第4側面の図示は省略している。)が起立してなるように構成されている。
そして、カバー部材16fには、4つの側面のうち対向する2つの側面16f2、16f3において隣接する2つの側面のうち少なくとも一方の側面16f3の側に形成される2つの角部16f21、16f31を外側から覆うように嵌合する嵌合部材16f6が設置されている。
【0058】
詳しくは、嵌合部材16f6が設置されていない状態のカバー部材16fは、図6に示すように、ベース面16f1を底面として、4方に側面が起立して略箱型状になるように形成されている。長手方向(図2、図3の紙面垂直方向である。)に延在する第1側面16f2は、ベース面16f1とのなす角度が鈍角となるように曲げ加工が施されていて、その長手方向端部においてベース面16f1との境界(曲げ元の位置である。)に角部16f21が形成されている。第1側面16f2に対向する第2側面16f3は、ベース面16f1とのなす角度がほぼ直角となるように曲げ加工が施されていて、その長手方向端部においてベース面16f1との境界(曲げ元の位置である。)に角部16f31が形成されている。第1側面16f2と第2側面16f3とに隣接するように短手方向に延在する第3側面16f4は、ベース面16f1とのなす角度がほぼ直角となるように曲げ加工が施されていて、その両端部と第1側面16f2や第2側面16f3との間には隙間が設けられ、その中央部には位置決め用穴部16f41(貫通穴)が設けられている。
なお、このように板金に箱曲げ加工を施して形成されたカバー部材16fは、その角部16f21、16f31に鋭利なエッジやバリが形成されてしまっていて、そのままではこれを手にするユーザーや作業者が怪我をしてしまったり、カバー部材16fの装着動作時に画像形成装置本体1や潤滑剤供給装置16に傷をつけてしまったりする可能性が高い状態になっている。
【0059】
ここで、図4、図5に示すように、略箱型状に形成されたカバー部材16fの長手方向両端部にそれぞれ嵌合部材16f6が設置されている(片側端部の図示は省略している。)。
詳しくは、嵌合部材16f6には、第3側面16f4(少なくとも一方の側面)の内側から第3側面16f4の両端部を挟むように嵌合する凹部16f61と、角部16f21、16f31から第1側面16f2及び第2側面16f3におけるそれぞれのエッジ部16f22、16f32にかけて外側から覆うように第3側面16f4の幅を超えた範囲に形成された外縁部16f62と、が設けられている。すなわち、嵌合部材16f6は、第3側面16f4に内側から密着して係合するように設置されて、その両端部(外縁部16f62)が第1側面16f2及び第2側面16f3における角部16f21、16f31とエッジ部16f22、16f32の一部とを覆い、第3側面16f4の内側面とエッジ部16f22、16f32との間に挟まれるように設置される。
【0060】
このような構成により、角部16f21、16f31に形成される鋭利なエッジやバリを取り除くために切削加工や研磨加工や溶接加工等の高価な2次加工を施すことなく、カバー部材16fを手にするユーザーや作業者がエッジやバリに触れて怪我する不具合等を確実に抑止することができる。さらに、嵌合部材16f6は、1つの部品で2つの角部16f21、16f31を同時に覆って保護するものであるため、カバー部材16fの部品点数を比較的少なくすることができる。特に、本実施の形態におけるカバー部材16fは、ベース面16f1に対して起立する4つの側面の起立角度が一定となっておらず、4つの角部をそれぞれ個別に覆うように保護部材を設置しようとしても、それらの保護部材を共通部品化することができないため、1つの部品で2つの角部16f21、16f31を同時に覆って保護する嵌合部材16f6は部品点数低減の観点から有用である。しかも、カバー部材16fに対する嵌合部材16f6の設置には、ネジや接着剤等が用いられることなく、カバー部材16fの形状に合わせて係合させるように設置されるために、取付け性が高い上に、リサイクル時等において取り外し作業をおこなう場合にもその作業性を高めることができる。
【0061】
なお、本実施の形態において、嵌合部材16f6は、高分子系化合物(プラスティック材料)で形成された略板状部材である。したがって、カバー部材16fの内容積を大きく狭めることがない上に、嵌合部材16f6の加工性が高められるとともに製造コストを低廉化することができる。さらに、嵌合部材16f6を弾性変形させやすくなるために、嵌合部材16f6を弾性変形させながらのカバー部材16fへの設置が容易となる。
【0062】
ここで、本実施の形態では、図4、図5等を参照して、嵌合部材16f6の凹部16f61に、第3側面16f4に形成された位置決め用穴部16f41に嵌合するボス部16f61aが形成されている。すなわち、嵌合部材16f6は、ボス部16f61aが位置決め用穴部16f41に嵌合した状態で、第3側面16f4の内側面とエッジ部16f22、16f32との間に挟まれるように設置されることになる。
このような構成により、カバー部材16fにおける嵌合部材16f6の位置が確実に定められるために、嵌合部材16f6がカバー部材16fから脱落したり位置ズレしたりして角部16f21、16f31を覆う機能が発揮されなくなる不具合が抑止される。
【0063】
なお、図7を参照して、本実施の形態における嵌合部材16f6において、ボス部16f61aが形成された部分が嵌合部材16f6において片持ち支持されるように形成することもできる。
詳しくは、図7に示すように、嵌合部材16f6の凹部16f61において、ボス部16f61aの周囲に切欠を形成することで、ボス部16f61aが設置された片持ち支持部16f61b(片側の外縁部16f62の側を固定端としている。)を設ける。
このように構成することで、図8に示すように、カバー部材16fに嵌合部材16f6を装着する際に、片持ち支持部16f61bを矢印方向に弾性変形させながら、ボス部16f61aを位置決め用穴部16f41に嵌合させることができるために、カバー部材16fへの嵌合部材16f6の装着性(又は、離脱性)が向上することになる。
【0064】
ここで、先に図1にて説明したように、本実施の形態における画像形成装置1は、黒色用作像部としてのモノクロ用のプロセスカートリッジ10BKが、その他の作像部としてのカラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M、10Cに対して、中間転写ベルト17の走行方向に対して最も下流側に配設されている。さらに、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BK(黒色用作像部)は、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M、10C(その他の作像部)に対して、潤滑剤供給装置16に保持された潤滑剤の容量が多くなるように構成されている。
具体的には、図2及び図3を参照して、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BK(黒色用作像部)における潤滑剤供給装置16の固形潤滑剤16bの大きさが、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M、10C(その他の作像部)における潤滑剤供給装置16の固形潤滑剤16bの大きさに比べて、大きくなるように構成されている。
【0065】
このように、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKの固形潤滑剤16bを大きく構成することで、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M、10Cに比べて、感光体ドラム11に潤滑剤を供給するトータルの時間を長くとることができるため、感光体ドラム11が劣化する時期を遅らせることができる。したがって、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M、10Cに比べて使用頻度が多いモノクロ用のプロセスカートリッジ10BKを長寿命化することができる。
一方、このように、固形潤滑剤16bを大きく構成することで、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKの鉛直方向の高さH1は、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M,10Cの鉛直方向の高さH2に比べて、大きくなる(H1>H2)。具体的には、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKは、固形潤滑剤16bを大きくした分だけ、潤滑剤供給装置16が下方に突出したものになっている。
【0066】
しかし、本実施の形態における画像形成装置1は、複数のプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKのうち、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKが、最も端の位置(最も下流側である。)に配設されている。これにより、複数のプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKの下方の位置に、まとまった空間を確保することができる。具体的に、本実施の形態では、図1を参照して、書込み部6が、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKの潤滑剤供給装置16に干渉しないように、複数のプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKに近設されている。
このような構成により、潤滑剤供給装置16(固形潤滑剤16b)を大サイズ化して、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKを長寿命化した場合であっても、画像形成装置1の鉛直方向の高さを大きくしなくてもよいことになる。
なお、カバー部材16fは、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKの潤滑剤供給装置16の形状や、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M、10Cの潤滑剤供給装置16の形状にそれぞれ合わせて形成されている。
【0067】
また、図2及び図3を参照して、本実施の形態では、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BK(黒色用作像部)は、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M、10C(その他の作像部)に比べて、ブラシ状回転部材16aの外径が大きくなるように構成されている。具体的に、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKのブラシ状回転部材16aと、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M、10Cのブラシ状回転部材16aと、はブラシ毛の長さはいずれも0.2〜20mmであって、ブラシ毛が巻装された芯金の外径が異なるように構成されている。
このようにブラシ状回転部材16a(芯金)の外径が大きくなるように構成することで、ブラシ状回転部材16aに変形が生じて感光体ドラム11上に塗布される潤滑剤の塗布ムラ(偏差)が生じる不具合が生じにくくなる。
そして、ブラシ状回転部材16aの外径が大きくなるように構成することで、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKの鉛直方向の高さH1は、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M,10Cの鉛直方向の高さH2に比べて、大きくなる(H1>H2)。しかし、本実施の形態における画像形成装置1は、複数のプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKのうち、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKが、最も端の位置(最も下流側である。)に配設されているため、画像形成装置1の全体の鉛直方向の高さを大きくしなくてもよいことになる。
【0068】
また、図2及び図3を参照して、本実施の形態では、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BK(黒色用作像部)は、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M、10C(その他の作像部)に比べて、ブレード状部材16dの当接角度(感光体ドラム11の中心と、ブレード状部材16dとの当接位置と、を結ぶ線分と、ブレード状部材16dと、がなす角度である。)が大きくなるように形成されている。
具体的に、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M、10Cのブレード状部材16dの当接角度θ2が約90度に設定されているのに対して、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKのブレード状部材16dの当接角度θ1は91〜160度の範囲内に設定されている。
このように、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKにおいては、ブレード状部材16dの当接角度θ1が鈍角に設定されているため、感光体ドラム11に対するブレード状部材16dの摩擦抵抗が小さくなる。そのため、ブレード状部材16dと感光体ドラム11との摺接による双方の部材11、16dの磨耗劣化が遅くなるとともに、感光体ドラム11の駆動トルクが低減される。
そして、ブレード状部材16dの当接角度が鈍角に設定されることで、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKの鉛直方向の高さは、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M,10Cの鉛直方向の高さに比べて、大きくなる。しかし、本実施の形態における画像形成装置1は、複数のプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKのうち、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKが、最も端の位置(最も下流側である。)に配設されているため、画像形成装置1の全体の鉛直方向の高さを大きくしなくてもよいことになる。
【0069】
ここで、本実施の形態において、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BK(黒色用作像部)における固形潤滑剤16bと、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M、10C(その他の作像部)における固形潤滑剤16bと、してそれぞれ種類の異なるものを用いることができる。具体的に、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M、10Cにおける固形潤滑剤16bとしてステアリン酸亜鉛で形成されたものを用い、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BK(黒色用作像部)における固形潤滑剤16bとしてステアリン酸亜鉛に少なくとも窒化ホウ素を混合して形成されたものを用いることができる。
ステアリン酸亜鉛からなる固形潤滑剤16bを用いることで、上述したように、感光体ドラム11の表面の充分な潤滑性を得ることができる。そして、窒化ホウ素が混合されたステアリン酸亜鉛からなる固形潤滑剤16bを用いることで、感光体ドラム11の表面のさらに充分な潤滑性を得ることができる。したがって、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKの感光体ドラム11の寿命をさらに延ばすことができる。
【0070】
また、図2及び図3を参照して、本実施の形態では、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BK(黒色用作像部)は、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M、10C(その他の作像部)に比べて、帯電ローラ12aと感光体ドラム11とのギャップが小さくなるように形成されている。
具体的に、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M、10Cにおける帯電ローラ12aと感光体ドラム11とのギャップδ2に比べて、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKにおける帯電ローラ12aと感光体ドラム11とのギャップδ1が小さくなるように設定されている。
このように、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKにおいては、帯電ローラ12aと感光体ドラム11とのギャップδ1が比較的小さくなるように設定されているため、帯電ローラ12aの放電時におけるオゾンの発生量を少なくすることができる。さらに、帯電ローラ12aと感光体ドラム11とのギャップδ1が小さく設定されることで、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKの鉛直方向の高さを小さくすることができる。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態によれば、2つの角部16f21、16f31を外側から覆うように嵌合する嵌合部材16f6をカバー部材16fに設置しているので、部品点数が比較的少なくて、複数の角部16f21、16f31を覆って保護することができる。
【0072】
なお、本実施の形態では、作像部における各部(感光体ドラム11、帯電部12、現像部13、クリーニング部15、潤滑剤供給装置16である。)を一体化してプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKを構成して、作像部のコンパクト化とメンテナンス作業性の向上とを図っている。
これに対して、作像部における各部11、12、13、15、16をプロセスカートリッジの構成部材とせずに、それぞれ単体で装置本体1に交換自在に設置されるように構成することもできる。このような場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、2成分現像剤を用いる2成分現像方式の現像部13が搭載された画像形成装置に対して本発明を適用したが、1成分現像剤を用いる1成分現像方式の現像部13が搭載された画像形成装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
【0073】
また、本実施の形態では、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BK(黒色用作像部)が、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M,10C(他のカラー用の作像部)に比べて、中間転写ベルト17の走行方向に対して最も下流側に配設されるように構成した。これに対して、モノクロ用のプロセスカートリッジ10BKが、カラー用のプロセスカートリッジ10Y、10M,10Cに比べて、中間転写ベルト17の走行方向に対して最も上流側に配設されるように構成することもできる。そして、このような場合であっても、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
また、本実施の形態では、像担持体としての感光体ドラム11上に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置16に対して本発明を適用したが、感光体ドラム11以外の像担持体に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置(例えば、中間転写ベルト17に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置である。)に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、カバー部材16fの内部に圧縮スプリング16cを介して固形潤滑剤16bの一部が入り込むように構成したが、カバー部材16fの内部に圧縮スプリング16cを介して固形潤滑剤16bの全部が入り込むように構成することもできる。
そして、これらのような場合であっても、本実施の形態と同様にカバー部材16fに嵌合部材16f6を設けることで、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
また、本実施の形態では、画像形成装置1における潤滑剤供給装置16に設置されるカバー部材16fに対して本発明を適用したが、潤滑剤供給装置16以外や画像形成装置1以外に設置されるカバー部材に対しても当然に本発明を適用することができる。そして、このような場合であっても、本実施の形態と同様にカバー部材16fに嵌合部材16f6を設けることで、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 画像形成装置本体(装置本体)、
11 感光体ドラム(像担持体)、
16 潤滑剤供給装置(潤滑剤供給部)、
16a ブラシ状回転部材、
16b 固形潤滑剤、
16c 圧縮スプリング(付勢部材)、
16e ホルダ、
16f カバー部材、
16f1 ベース面、
16f2 第1側面、 16f3 第2側面、 16f4 第3側面、
16f6 嵌合部材、
16f21、16f31 角部、
16f22、16f32 エッジ部、
16f41 位置決め用穴部、
16f61 凹部、
16f61a ボス部、 16f61b 片持ち支持部、
16f62 外縁部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開2003−86960号公報
【特許文献2】特許第4299194号公報
【特許文献3】特開2007−86321号公報
【特許文献4】特開2000−172119号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板金を箱曲げ加工することによりベース面における4辺をそれぞれ曲げ元として4つの側面が起立してなるカバー部材であって、
前記4つの側面のうち対向する2つの側面において隣接する2つの側面のうち少なくとも一方の側面の側に形成される2つの角部を外側から覆うように嵌合する嵌合部材を設置したことを特徴とするカバー部材。
【請求項2】
前記嵌合部材は、前記少なくとも一方の側面の内側から当該側面の両端部を挟むように嵌合する凹部と、前記角部から前記対向する2つの側面におけるそれぞれのエッジ部にかけて外側から覆うように前記一方の側面の幅を超えた範囲に形成された外縁部と、を具備したことを特徴とする請求項1に記載のカバー部材。
【請求項3】
前記嵌合部材の前記凹部は、前記少なくとも一方の側面に形成された位置決め用穴部に嵌合するボス部が形成されたことを特徴とする請求項2に記載のカバー部材。
【請求項4】
前記嵌合部材は、前記ボス部が形成された部分が当該嵌合部材において片持ち支持されるように形成されたことを特徴とする請求項3に記載のカバー部材。
【請求項5】
前記嵌合部材は、高分子系化合物で形成された板状部材であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のカバー部材。
【請求項6】
トナー像が担持される像担持体上に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置であって、
請求項1〜請求項5のいずれかに記載のカバー部材と、
所定方向に回転するとともに、前記像担持体に摺接するブラシ毛が周設されたブラシ状回転部材と、
前記ブラシ状回転部材の前記ブラシ毛に摺接する固形潤滑剤と、
前記固形潤滑剤を前記ブラシ状回転部材に向けて付勢する付勢部材と、
を備え、
前記カバー部材は、その内部に前記付勢部材を介して前記固形潤滑剤の一部又は全部が入り込むように、装置に対して着脱可能に設置されたことを特徴とする潤滑剤供給装置。
【請求項7】
画像形成装置本体に対して着脱自在に設置されるプロセスカートリッジであって、
請求項6に記載の潤滑剤供給装置と前記像担持体とを備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
請求項6に記載の潤滑剤供給装置と前記像担持体とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−73527(P2012−73527A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219850(P2010−219850)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】