説明

カバー部材格納構造

【課題】折り畳まれたキャンバスをルーフから車室内のボックスへ手動で移動させることができるキャンバス格納構造を提供する。
【解決手段】折り畳んだキャンバスを載せるキャンバストレイ30と、第1レール後方側の第1位置P1と車室内の第2位置P3との間をキャンバストレイ30が移動するようキャンバストレイ30を案内支持するガイド手段40とを備え、ガイド手段40が、キャンバストレイ30を第1位置側から第2位置側へ案内する第二レール41と、第二レール41に沿ってキャンバストレイ30が移動する際、キャンバストレイ30をルーフ位置側へ付勢する付勢手段44と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーフの開口部をカバー部材、例えばキャンバスで開閉可能に覆うルーフ構造に係り、特にカバー部材を車両室内に収容する格納構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車室空間を明るくするため、また、外気を取り込み易くするための車両のルーフ構造として、サンルーフやキャンバストップが知られている。キャンバストップは、特に、サンルーフより広くルーフを開くことができるので乗員が開放感を得ることができる。
【0003】
この種のキャンバストップ型の車両100は、図8に示すように、ルーフ110の一部を切り欠いて開口部111が形成されており、この開口部111を開閉可能に覆うキャンバス120がルーフ110に取り付けられている。このような車両100では、キャンバス120を車両後側へ或いは前側へスライドして折り畳むことで、開口部111が開放される。
従来のキャンバストップ型の車両が特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特表2003−507244号公報(図1及び図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、キャンバストップ型の車両100において乗員がより開放感を得られるようにするためには開口部111を大きくする必要がある。しかし、開口部111を大きくするにも制約があり、さほど大きくすることはできない。これは、従来のキャンバストップ型の車両はベース車両のルーフをキャンバストップに代えて製造されるため、開口面積がルーフの大きさの範囲内に限られるためである。また、図8に示すように、折り畳まれたキャンバス120が開口部111内に残ることも、開口面積を減らす原因となっていた。
【0005】
そこで、ルーフ上で折り畳んだキャンバスを車両後部のデッキに移動させると、デッキが使用できなくなり、収納スペースが確保できなくなる。また、デッキに載置したキャンバスが車両外部からバックドアガラス越しに視認されてしまうと、見栄えが悪い。さらに、折り畳んだキャンバスがデッキへ自動で移動するためにはモーターやそれによって駆動される機構が必要であるが、重量の増加や製造コストが嵩んでしまう問題がある。
【0006】
本発明は上記問題を解決するために、折り畳まれたキャンバスをルーフから車室内のボックスへ手動で移動させることができるカバー部材格納構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のカバー部材格納構造の第一の構成は、ルーフの開口部を開閉可能にカバー部材で覆うルーフ構造において、開口部に設けられておりルーフ上でのカバー部材の移動を案内する第1レールと、折り畳まれたカバー部材を載せるトレイと、車室内に設けられトレイを格納するボックスと、トレイをルーフ側からボックス側へ案内する第2レールと、第2レールに沿ってトレイが移動する際、トレイをルーフ側へ付勢する付勢手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のカバー部材格納構造の第二の構成は、ルーフに形成された開口部と、開口部を覆う折畳み可能なカバー部材と、開口部の左右の縁部に設けられていて車両前後方向にカバー部材がスライドするようカバー部材を案内する第1レールと、を備え、カバー部材をルーフ後側へスライドして折り畳むことで開口部を開放するルーフ構造において、折り畳まれたカバー部材を載せるトレイと、第1レール後方側の第1位置と車室内の第2位置との間をトレイが移動するようトレイを案内支持するガイド手段と、を備え、ガイド手段が、トレイを第1位置側から第2位置側へ案内する第2レールと、第2レールに沿ってトレイが移動する際、トレイをルーフ位置側へ付勢する付勢手段と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
本発明のカバー部材格納構造において、キャンバストレイを格納するボックスが車室内に設けられ、前記第2位置がボックス内に設定されていて、第2位置が第1位置より前側下方の位置に傾斜して設定され、好ましくはボックスはリヤシートに隣接して設けられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ルーフの開口部の開放に伴って折り畳んだカバー部材を、ルーフ上から車室内へ移動させることができると共に、折り畳んだカバー部材を載せたトレイをボックスに格納できる。この格納の際、スプリングなどの付勢手段によってトレイがルーフ側へ付勢されているのでトレイが自重で勢いよく下降することはなく、ユーザーが手動でトレイを移動させることができる。また、ボックスからカバー部材を取り出すために、トレイを持ち上げるときも、トレイがルーフ側へ付勢されているので、ユーザーはトレイを軽く持ち上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に示した実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。図中のFrは車両前方を、Upは車両上方を、LHは車幅方向であって左方を示す。
図1は、本発明によるキャンバス格納構造20の一実施形態を備えたハッチバック型の自動車10を示している。
【0012】
この自動車10には、ルーフ11に開口部11aが形成されている。この開口部11aは、ルーフ後端からルーフ前端寄りの中間領域までを左右の縁部を残すように門型に切り欠いて形成されている。この開口部11aが折畳み可能なキャンバス12によって覆われる。
【0013】
キャンバス12には、車幅方向に延出した複数の棒材(図示省略)が前後に離間して取り付けられており、各棒材の先端はキャンバス12の左右の縁から車幅方向外側へ突出している。これらの棒材の先端部をガイドする第一レール11bが、開口部11aにおける車両前後方向に延出した左右の縁に沿ってそれぞれ設けられている。各棒材の先端にはスライド部材(図示せず)が取り付けられており、このスライド部材が第一レール11bに案内支持されている。
【0014】
第一レール11bに支持されて、キャンバス12はルーフ面をスライドする。なお、キャンバス12は、前端と後端とを近づけた際に隣り合う棒材間の布部分が折れ曲がることで折り畳まれる。このような構成において、キャンバス12を矢印A(図1)で示すように車両後方側へ移動させて折り畳むことで開口部11aが開放される。
【0015】
さらに、本実施形態は、このように折り畳まれたキャンバス12が、キャンバス格納構造20によって自動車10の車室内に格納されることを特徴としている。具体的には、キャンバス12は、図2に示すように、ルーフ後部でキャンバス12が折畳まれる折畳み位置P1から後述する回動位置P2を経て下方の格納位置P3へ移動される。このため、キャンバス格納構造20は、図2に示すように、上述した折り畳んだ状態でキャンバス12を載せるキャンバストレイ30と、キャンバストレイ30を車室内の格納位置に案内するガイド手段40と、を備えている。
以下、構成別に説明する。
【0016】
〔キャンバストレイの構成〕
キャンバストレイ30は、開口部11aの全幅に亘る長さを有する車幅方向に長手で扁平な直方体状に形成されている。具体的には、図3及び図4に示すように、キャンバストレイ30は、下側に配置されるベース部材31と、このベース部材31の上側に配設されベース部材31に対して相対的に前後に移動しキャンバス12を乗せるトレイ本体32と、から構成されている。
【0017】
ベース部材31は、左右の端に車両前後方向に延びたプレート部材31aを有する。このプレート部材31aは、その面を車幅方向外側に向けている。図4に示すようにこのプレート部材31aの後部には後述する昇降用プレートの軸受け43aに差し込まれる円柱状の軸部材31bが車幅方向外側に突出している。プレート部材31aの前後方向中間部には、後述するダンパー37の一端部を取り付けるピン31cが車幅方向外側に突出している。プレート部材31aの前端から所定距離D後方の位置にはロック孔31dが形成されている。
【0018】
トレイ本体32は、例えばベース部材31に設けたレール(図示省略)を移動するように配設されている。このようなトレイ本体32のベース部材31に対する移動を規制するロックピン32aが、トレイ本体32の左右の側面32bに出没可能に設けられている。このロックピン32aは、図4に示すように、側面32bの前端寄りに設けられている。ロックピン32aの動作は、ベース部材31に回転可能に取り付けたレバー33の操作に連動している。なお、ロックピン32aは常に外側へ突出するようにバネ(図示省略)などによって付勢されている。
【0019】
キャンバストレイ30は、図3に示すように、外側に突出したロックピン32aにプレート部材31aの前端が当たることで、トレイ本体32がベース部材31上を後方へ移動することが規制される。一方、レバー33を回して、ロックピン32aを引っ込めた状態ではトレイ本体32がベース部材31上を後方へ移動することが可能であり、所定距離Dを移動したトレイ本体32はレバー33を元の位置に戻してロックピン32aがロック孔31dに入ることでロックされる。
【0020】
さらに、キャンバストレイ30の左右両側には、車両前後方向に延びた格納レール34が設けられている。この格納レール34の先端がルーフ11の第一レール11bの後端に整列するように、ボディに対するキャンバストレイ30の位置を規制する部材が設けられている。具体的には、図3に示すように、トレイ本体32の前端から突出する凸部35がボディ側に設けられた凹部36に嵌入することで、第一レール11bと格納レール34とが連なって全体として一つのレールを構成する。これにより、キャンバス12が第一レール側からキャンバストレイ側へ円滑に移動することができる。
なお、トレイ本体32をベース部材31に対して後方へ移動させると、凸部35が凹部36から外れる。このように、トレイ本体32が後退することで、キャンバストレイ30全体が軸部材31bまわりに円滑に揺動することが可能になる。即ち、キャンバストレイ30は、図2の折畳み位置P1とこの折畳み位置P1から矢印B方向に所定角度θだけ回転した回動位置P2との間を回動することができる。
このようなキャンバストレイ30が回動動作を行う際に、凸部35が凹部36から離れたと同時にキャンバストレイ30の自重によってキャンバストレイ30が勢いよく回動するのを防ぐために、プレート部材31aのピン31cと後述の昇降用プレート43のピン43eとを連結するようにダンパー37が設けられている。
さらに、キャンバストレイ30は、ベース部材31の前部下面に、後述する昇降用プレート43の第三ストライカー43dに脱着可能に係合する第一ロック部材38を備えている。
【0021】
キャンバストレイ30の後部は、上述した折畳み位置P1において、その外面がルーフ11の後縁を構成している。また、リヤドア13のリヤウィンドウガラス13aの閉鎖状態では、リヤウィンドウガラス13aの上縁がキャンバストレイ30の後端に液密的に当接する。
キャンバストレイ30の下面は、上述した折畳み位置P1において、車室内の天井の一部を構成する。
【0022】
〔ガイド手段の構成〕
ガイド手段40は、回動位置P2と格納位置P3との間におけるキャンバストレイ30の移動を案内支持するためのものである。このガイド手段40は、第二レール41と、第二レール41を摺動するスライド部材42と、スライド部材42に固定された昇降用プレート43と、一端を第二レール41の上部に他端を昇降用プレート43に繋げられたスプリング44と、から構成されている。
【0023】
第二レール41は、図2に示すように下端を上端よりも車両前方側にずらした傾けた姿勢で、車両後部の左右の内壁面にそれぞれ配設されている。なお、第二レール41は、スライド部材42の摺動面が車両内側を向くように、その向きが選定されて配設されている。
具体的には、左側の第二レール41は、図5(A)に示すように、車両後部の左側内壁面90に当接されるベース部41aと、ベース部41aの両端に設けられたスライダー支持部41bと、から構成されている。スライダー支持部41bは、ベース部41aの縁から立ち上がった側壁部411と、側壁部411の先端からベース部41aと平行に延びた延出部412と、この延出部412の先端から側壁部411と平行に延びた内壁部413と、から構成されている。内壁部413は側壁部411より幅狭に形成されている。右側の第二レール41も同様に構成されている。
【0024】
このように構成される第二レール41には、図4に示すように、後側のスライダー支持部41bの上端部にスプリング44の一端部を取り付けるブラケット41cが設けられている。さらに、第二レール41の前側のスライダー支持部41bには、その上端部及び下端部には第一及び第二ストライカー41d,41eが設けられている。
【0025】
スライド部材42は、昇降用プレート43を介してキャンバストレイ30に連結されており、このスライド部材42が第二レール41を摺動することで、キャンバストレイ30が上下に移動する。
このスライド部材42は、図5(B)に示すように、昇降用プレート43が取り付けられる断面コ字型の本体部42aと、この本体部42aの両端から延出し第二レール41のスライダー支持部41b内に挿入される断面L字型の摺動部42bと、から構成されている。本体部42aのブラケット取付面42cからは2本のネジ42dが突出している。
【0026】
昇降用プレート43は、上側が三角形状で下側が長方形状に形成されており、上端部に軸部材を支持する軸受け43aと、下端部後方側の縁部に設けられスプリング44の他端を支持するブラケット43bと、下端部前方側に設けられ第二レール41の第一及び第二ストライカー41d,41eに係合する第二ロック部材43cと、車両内側に突出し前述のキャンバストレイ30の第一ロック部材38が係合する第三ストライカー43dと、前述のダンパー37の下端を支持するピン43eと、を備えている。この昇降用プレート43は、その面内中央部で前後に離間して二つの孔43fが形成されており、これらの孔43fに前述のネジ42dが挿入され、且つ、ナット(図示省略)を螺着することで、スライド部材42に固定される。
【0027】
この昇降用プレート43の軸受け43aにキャンバストレイ30の軸部材31bが挿入され、両者のピン31c,43eにダンパー37が装着されることで、キャンバストレイ30は昇降用プレート43に対して回動可能に取り付けられる。なお、キャンバストレイ30が折畳み位置P1から回動位置P2へ回動した際、キャンバストレイ30の第一ロック部材38が昇降用プレート43の第三ストライカー43dに係合することで、図6に示すようにキャンバストレイ30の傾いた姿勢が保持される。
【0028】
昇降用プレート43の第二ロック部材43cは、例えば図7(A)及び(B)に示すように、長手方向における一端部と他端部とから面に垂直に突出したロック片支持部431a,431bを有するベースプレート431と、ロック片支持部431a,431bの先端部に開設された孔431cに挿入されるピン432と、ピン432を介してベースプレート431に対して回動可能に取り付けられる第一及び第二ロック片433a,433bと、第一及び第二ロック片433a,433bを閉方向に付勢するバネ434と、第一及び第二ロック片433a,433bの端部に当接しバネ435を介してベースプレート431に取り付けられ押圧すると第一及び第二ロック片433a,433bを開方向に動作させるボタン436と、から構成されている。
ここで、図7(A)に示す第二ロック部材43cにおける上側の第一ロック片433aが第二レール41の上側に設けた第一ストライカー41dに係合し、下側の第二ロック片433bが第二レール41の下側に設けた第二ストライカー41eに係合する。
【0029】
なお、本実施形態に係る車両には、図2に示すように、自動車10の車室内にて最後列の座席70のシートバック71後方に格納ボックス80が配置されている。この格納ボックス80内に格納位置P3が設定されている。格納ボックス80は、第二レール41によって格納位置P3に移動したキャンバストレイ30を包囲するように上方が開放した箱状に形成されており、例えばデッキ95に載置されている。
【0030】
本発明の実施形態によるキャンバス格納構造は以上のように構成されており、自動車10のルーフ11の開口部11aを閉じるためには、キャンバストレイ30が折畳み位置P1に在って、キャンバス12が第一レール11bに沿って前方に引き出される。これにより、キャンバス12が展開して開口部11aが閉じられる。
【0031】
これに対して、展開状態のキャンバス12の先端が第一レール11bに沿って後方にスライドして、さらに折畳み位置P1に位置するキャンバストレイ21内の格納レール21aに沿って後方にスライドすることで、このキャンバストレイ21内で折り畳まれて、開口部11aが開放される。
【0032】
次に、レバー33を回してロックピン32aをトレイ本体32の側面32bから内側に埋没させることでトレイ本体32がベース部材31に対して相対的に後方へ移動可能になる。そして、キャンバストレイ30の後方への移動により、キャンバストレイ30の前端から前方へ突出した凸部35がボディ側の凹部36から外れると、キャンバストレイ30は、その自重によって軸部材31bまわりに回動する。即ち、キャンバストレイ30の前部が下がるよう、キャンバストレイ30が回動する。そして、所定の角度θだけ回動すると、キャンバストレイ30に設けた第一ロック部材38が昇降用プレート43の第三ストライカー43dと係合する。これにより、図6に示すようにキャンバストレイ30の傾いた姿勢が保持される。
【0033】
このキャンバストレイ30が回動位置P2に在るとき、昇降用プレート43は、第二ロック部材43cの第一ロック片433aが第二レール41の上側の第一ストライカー41dに係合しているため、スライド部材42が第二レール41を下方へ移動することが規制されている。そこで、第二ロック部材43cのボタン436を押して第一ロック片433aを開方向に動作させて第一ストライカー41dとの係合を解除する。ロックを解除したら、ユーザーがキャンバストレイ30を下方へ押すことでキャンバストレイ30は格納位置P3へ移動する。
【0034】
キャンバストレイ30が格納位置P3へ移動すると、第二ロック部材43cの下側の第二ロック片433bが第二レール41の下端部に設けた第二ストライカー41eに係合する。これにより、キャンバストレイ30は、格納位置P3に保持される。
なお、キャンバストレイ30を格納位置P3から折畳み位置P1まで移動するためには、上記操作を逆順で行なえばよい。
【0035】
このように構成されたキャンバス格納構造20によれば、ルーフ11の開口部11aの開放に伴って折り畳んだキャンバス12を、ルーフ11上から車室内へ移動させることができると共に、折り畳んだキャンバス12を載せたキャンバストレイ30をデッキ95上の格納ボックス80に格納できる。よって、折り畳んだキャンバス12が車両外部から視認されることを防止できるので、車両の良好な見栄えを確保しつつ、乗員は、拡開したルーフ11によって開放感を十分に得ることができる。
また、キャンバストレイ30を格納する格納ボックス80がリヤシートに密着してデッキ前側領域に配設されるため、デッキ95上に荷物を収容するスペースが確保される。
【0036】
さらに、本発明のキャンバス格納構造20によれば、キャンバストレイ格納の際、即ち、回動位置P2から格納位置P3へ移動させるとき、スプリング44によってキャンバストレイ30がルーフ11側へ付勢されているのでキャンバス12が自重で勢いよく移動することはなく、ユーザーが手動でキャンバストレイ30をゆっくり移動させることができる。また、格納位置P3にあるキャンバストレイ30を回動位置P2へ移動させるとき、キャンバストレイ30を持ち上げる労力を低減できる。即ち、キャンバストレイ30がルーフ11側へ付勢されているので、ユーザーはキャンバストレイ30を軽く持ち上げることができる。
【0037】
また、キャンバストレイ30が格納位置P3に格納された状態において、自動車10のルーフ11の開口部11aは、キャンバストレイ30がないので、リヤウィンドウガラス13aの開口部と一体となって、大きな開口面積が確保され得る。従って、十分な開放感が得られることになる。
【0038】
以上説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施をすることができる。上記説明では、第2レールがルーフ後端の第1位置から車室内において第1位置の前側下方の位置、即ちキャンバストレイを格納する第2位置まで斜めに延びている構成を示したが、第2位置は第1位置の真下又は下方の後方であってもよい。また、ボックスは、リヤシートの後方に距離をおいてデッキ上に設けられてもよい。また、付勢手段は、スプリングの他、板状或いはコイル状のばねであってもよい。
さらに上記実施形態では、カバー部材がキャンバスで構成される場合を前提にしたが、複数の細幅のパネルを連結させて折畳み可能なルーフパネルをカバー部材として用いても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係るキャンバス格納構造を適用した車両後部を示す斜視図である。
【図2】図1の車両後部の概略断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るキャンバス格納構造の側面図である。
【図4】図3のキャンバス格納構造の分解斜視図である。
【図5】(A)は本発明の実施形態に係る第二レール、(B)はスライド部材を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るキャンバス格納構造の側面図である。
【図7】(A)は本発明の実施形態に係る第二ロック部材の斜視図、(B)は分解斜視図である。
【図8】従来のキャンバストップの車両を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
10 自動車
11 ルーフ
11a 開口部
11b 第一レール
12 キャンバス
13 リヤドア
13a リヤウィンドウガラス
20 キャンバス格納構造
21 キャンバストレイ
21a 格納レール
30 キャンバストレイ
31 ベース部材
31a プレート部材
31b 軸部材
31c ピン
31d ロック孔
32 トレイ本体
32a ロックピン
32b 側面
33 レバー
34 格納レール
35 凸部
36 凹部
37 ダンパー
38 第一ロック部材
40 ガイド手段
41 レール
41 第二レール
41a ベース部
41b スライダー支持部
41c ブラケット
41d 第一ストライカー
41e 第二ストライカー
42 スライド部材
42a 本体部
42b 摺動部
42c ブラケット取付面
42d ネジ
43 昇降用プレート
43b ブラケット
43c 第二ロック部材
43d 第三ストライカー
43e ピン
43f 孔
44 スプリング
70 座席
71 シートバック
80 格納ボックス
90 左側内壁面
95 デッキ
411 側壁部
412 延出部
413 内壁部
431 ベースプレート
431a ロック片支持部
431c 孔
432 ピン
433a 第一ロック片
433b 第二ロック片
434 バネ
435 バネ
436 ボタン
P1 折畳み位置
P2 回動位置
P3 格納位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフの開口部を開閉可能にカバー部材で覆うルーフ構造において、
上記開口部に設けられておりルーフ上でのカバー部材の移動を案内する第1レールと、
折り畳まれたカバー部材を載せるトレイと、
車室内に設けられ上記トレイを格納するボックスと、
上記トレイをルーフ側から上記ボックス側へ案内する第2レールと、
上記第2レールに沿って上記トレイが移動する際、上記トレイをルーフ側へ付勢する付勢手段と、
を備えたことを特徴とする、カバー部材格納構造。
【請求項2】
ルーフに形成された開口部と、該開口部を覆う折畳み可能なカバー部材と、上記開口部の左右の縁部に設けられていて車両前後方向に上記カバー部材がスライドするよう上記カバー部材を案内する第1レールと、を備え、上記カバー部材がルーフ後側へスライドして折り畳まれることで上記開口部が開放される、ルーフ構造において、
折り畳まれたカバー部材を載せるトレイと、
第1レール後方側の第1位置と車室内の第2位置との間をトレイが移動するよう上記トレイを案内支持するガイド手段と、を備え、
上記ガイド手段が、
上記トレイを第1位置側から第2位置側へ案内する第2レールと、
上記第2レールに沿って上記トレイが移動する際、上記トレイを第2位置側へ付勢する付勢手段と、を備えたことを特徴とする、カバー部材格納構造。
【請求項3】
前記トレイを格納するボックスが前記車室内に設けられ、
前記第2位置が上記ボックス内に設定されていることを特徴とする、請求項2に記載のカバー部材格納構造。
【請求項4】
前記第2位置が前記第1位置より前側下方に位置するよう第2レールが前方へ傾斜して設けられていることを特徴とする、請求項2に記載のカバー部材格納構造。
【請求項5】
前記ボックスは、リヤシートに隣接して設けられていることを特徴とする、請求項3に記載のカバー部材格納構造。
【請求項6】
前記カバー部材がキャンバスであることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載のカバー部材格納構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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