カバー開閉機構
【課題】開閉可能なカバーを有する装置におけるカバー開閉機構において、低コスト、省スペース化が可能な構成で、カバーの急激な落下を防止する。
【解決手段】開閉カバー2と装置本体カバー1を連結するヒンジ3に、開閉カバー2を開いたときに装置本体カバー1と干渉する突起を設け、この突起5により発生する装置本体カバー1のたわみの反力により発生する摩擦力を利用して、開いた開閉カバー2が急激に落下することを防止するようにした。
【解決手段】開閉カバー2と装置本体カバー1を連結するヒンジ3に、開閉カバー2を開いたときに装置本体カバー1と干渉する突起を設け、この突起5により発生する装置本体カバー1のたわみの反力により発生する摩擦力を利用して、開いた開閉カバー2が急激に落下することを防止するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能なカバーを有する装置におけるカバー開閉機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の開閉カバーの落下を防止するカバー開閉機構は、図13に示す構成であった。すなわち、従来のカバー開閉機構は、装置側をおおう装置本体カバー1と、回動して開閉する開閉カバー2と、開閉カバー2と装置本体カバー1とを連結するヒンジ3と、回動時のダンパーとして機能するトルクヒンジ20と、開かれた開閉カバー2を支えるカバー支持ステイ7とから構成される。
【0003】
そして、開閉カバー2は、ヒンジ3により装置本体カバー1と連結されており、図示しない装置内部の機構部や媒体等にアクセスできるように回転支点6を中心に矢印A方向に開閉する。
【0004】
そして、このカバー開閉機構においては、開いた開閉カバー2が急激に落下して操作者の手などを挟まないようにする必要があり、開いた状態を保持するカバー支持ステイ7や、開閉カバー2の急激な落下を防止するために開閉カバー2の回転支点部にトルクヒンジ20などのダンパー機構が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−77861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成のカバー開閉機構では、トルクヒンジ20等のダンパー機構やカバー支持ステイ7を実装するためのスペースの確保、装置質量やコストの増加、さらには、カバー支持ステイ7が操作空間に飛び出るために操作性が悪くなったり、カバー支持ステイ7と装置本体カバー1の間に指を挟んだりする問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、カバーを回動させて開閉自在にするカバー開閉機構において、前記カバーと装置本体カバーとを連結するヒンジの側面に、前記カバーを開くときに装置本体カバーと干渉する突起を設けた。
【発明の効果】
【0007】
本発明のカバー開閉機構によれば、カバーを回動させて開閉自在にするカバー開閉機構において、前記カバーと装置本体カバーとを連結するヒンジの側面に、前記カバーを開くときに装置本体カバーと干渉する突起を設け、当該突起により発生する装置本体カバーのたわみの反力を利用し開閉カバーにブレーキをかけるようにしたので、安全でかつ低コスト、省スペースな機構により開閉カバーの急激な落下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0009】
(構成)
図1は、実施例1のカバー開閉機構の構成を示す斜視図であり、図2は実施例1のカバー開閉機構のヒンジ部周辺の構成を示す図であり、図1のa部を拡大した正面図となっている。実施例1のカバー開閉機構は、装置本体カバー1、開閉カバー2、ヒンジ3から構成され、開閉カバー2はヒンジ3により装置本体と連結されており、装置本体カバー1の内部の図示しない機構部や媒体等にアクセスできるように、回転支点6を中心に矢印A方向に開閉できるようになっている。装置本体カバー1にはヒンジ3を通すためのヒンジスリット4が開いている。また、ヒンジ3の側面には突起5がそれぞれ設けられている。
【0010】
図2に示したように、ヒンジ幅Lhはスリット幅Lsより狭いが、ヒンジ3と突起5の幅である突起幅Ltはスリット幅Lsよりも数mm程度広くなるように設定されている。
【0011】
(動作)
以上の構成により、実施例1のカバー開閉機構は以下のように動作する。この動作を図3および図4の実施例1のカバー開閉機構のヒンジ部の動作説明図(それぞれ側面図、正面図を示す)を用いて以下説明する。
【0012】
開閉カバー2を閉じた状態では、前述の図2のようにスリット幅Lsよりもヒンジ幅Lhは狭く、突起5は装置本体カバー1と干渉しない位置にあるため、ヒンジ3に力は作用しない。
【0013】
この状態から、図3の破線で示したように、開閉カバー2を開けていくと、ヒンジ3側面に設けた突起5が、b部において装置本体カバー1の内側のヒンジスリット4の外側と干渉する位置に飛び出し、装置本体カバー1を押し始める。
【0014】
すなわち、図4(a)の開閉カバー2を開く前の状態から、ヒンジ3が矢印C方向に移動した図4(b)の開閉カバー2を開いた状態となり、装置本体カバー1にたわみΔLtが発生し、突起5は装置本体カバー1から矢印B方向の反力を受ける。この反力によりヒンジ3とヒンジスリット4間に摩擦力が発生し、開閉カバー2の急激な落下を防ぐことができる。
【0015】
(実施例1の効果)
以上詳細に述べたように実施例1のカバー開閉機構によれば、開閉カバーと装置本体カバーとを連結するヒンジ側面に、開閉カバーを開いたときに装置本体カバーと干渉する突起を設け、当該突起により発生する装置本体カバーのたわみの反力によりヒンジとヒンジスリット間に摩擦力を発生させるようにしたので、安全でかつ低コスト、省スペースな機構により開閉カバーの急激な落下を防止することができる。
【実施例2】
【0016】
(構成)
実施例2のカバー開閉機構の全体構成は実施例1と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明を省略する。図5および図6は、実施例2のカバー開閉機構のヒンジ部周辺の構成を示す図であり、それぞれ側面図および正面図となっている。
【0017】
同図に示したように、実施例2のカバー開閉機構では、ヒンジ3に設けた突起5にさらに部分的にラッチ12を設けている。
【0018】
なお、図6に示したように、ヒンジ幅Lhは、スリット幅Lsより狭いが、ヒンジ3と突起5の幅である突起幅Ltはスリット幅Lsよりも数mm程度広く、さらにラッチ幅Lwは突起幅Ltよりも0.5mm程度広くなっている。
【0019】
(動作)
以上の構成により、実施例2のカバー開閉機構は以下のように動作する。この動作を図7および図8の実施例2のカバー開閉機構の動作説明図(それぞれ側面図および正面図を示す。)を用いて以下説明する。
【0020】
実施例2のカバー開閉機構でも、開閉カバー2を閉じた状態では、前述図6のように突起5、ラッチ12は装置本体カバー1と干渉しない位置にあるためヒンジ3に力は作用しない。
【0021】
そして、図7に示したように、この状態から開閉カバー2を開けてゆくと、b部において、ヒンジ3側面に設けた突起5が装置本体カバー1と干渉する位置に飛び出してくる。
【0022】
すなわち、図8(a)の開閉カバー2を開く前の状態から、ヒンジ3が矢印C方向に移動した図8(b)の開閉カバー2を開いた状態となり、装置本体カバー1にたわみΔLtが発生し、突起5は装置本体カバー1から矢印B方向の反力を受ける。この反力によりヒンジ3とヒンジスリット4間に摩擦力が発生する。
【0023】
実施例2のカバー開閉機構では、突起5にさらにラッチ12が断続的に設けられており、ラッチ12が装置本体カバー1と干渉する位置(図7のb部)に飛び出すので、ラッチ12が設けられた箇所で開閉カバー2を確実に保持することができる。このように、突起5全体にラッチ12を設けることにより、段階的にも確実に開閉カバー2を保持することができる。
【0024】
なお、以上の実施例の説明では、ラッチ12は、図5に示したように楕円として説明したが、長方形でもよいしその他の形状としても勿論よい。
【0025】
(実施例2の効果)
以上のように、実施例2のカバー開閉機構によれば、開閉カバーと装置本体カバーとを連結するヒンジ側面に設けた突起にさらにラッチを設けたので、実施例1の効果に加え、開閉カバーをラッチのある箇所でさらに確実に保持することができる。
【実施例3】
【0026】
(構成)
図9は、実施例3のカバー開閉機構の構成を示す外観斜視図であり、図10は図9のa部の拡大図であり、ヒンジ部周辺の構成を示す図である。
【0027】
同図に示したように、実施例3のカバー開閉機構は、装置本体カバー1、開閉カバー2、ヒンジ3から構成される。そして、開閉カバー2はヒンジ3により装置本体と連結されており、図示しない装置内部の機構部や媒体等にアクセスできるように回転支点6を中心に矢印A方向に開閉できるようになっている。
【0028】
そして、装置本体カバー1にはヒンジ3を通すためのヒンジスリット4が開いており、ヒンジ3は、押圧ばね5により摺動板14を介し常にヒンジスリット4の側面からB方向に押圧されている。
【0029】
(動作)
以上の構成により、実施例3のカバー開閉機構は以下のように動作する。すなわち、ヒンジ3には摺動板14を介して押圧ばね5からの矢印B方向への押力を受け、この押力によりヒンジ3にブレーキがかかり開閉カバー2の急激な落下を防ぐことができる。
【0030】
そして、押圧ばね5の押圧により発生する摩擦力を開閉カバー2の落下力以上に設定することにより、開閉カバー2を無段階で保持することができ、開閉カバー2が落下することがない。
【0031】
(実施例3の効果)
以上のように、実施例3のカバー開閉機構によれば、ヒンジ側面に備えた押圧ばねにより摺動板を介し常にヒンジスリットの側面を押圧してブレーキをかけるようにしたので、安全でかつ低コスト、省スペースな機構により開閉カバーの急激な落下を防止することができる。
【実施例4】
【0032】
(構成)
図11は、実施例4のカバー開閉機構のヒンジ部周辺の構成を示す図である。同図に示したように実施例4のカバー開閉機構では、装置本体カバー1のヒンジスリット4の側面にゴム等の反発材16が実装された構成となっており、反発材16により矢印B方向への反力が常にヒンジ3にかかる構成となっている。
【0033】
(動作)
以上の構成により、実施例2のカバー開閉機構は以下のように動作する。すなわち、ヒンジ3には反発材16からの矢印B方向の反力を常に受けており、この反力によりヒンジ3にブレーキがかかり、開閉カバー2の急激な落下を防ぐことができる。また、反発材16の厚さ、材質を調整することにより矢印B方向の反力により発生する摩擦力を開閉カバー2の落下力以上に設定すれば、開閉カバー2を無段階で保持することができる。
【0034】
(実施例4の効果)
以上のように、実施例4のカバー開閉機構によれば、装置本体カバーのヒンジスリットの側面とヒンジ間に反発材を設け、ヒンジにブレーキをかけるようにしたので、安全でかつ低コスト、省スペースな機構により開閉カバーの急激な落下を防止することができる。
【0035】
《その他の変形例》
以上の実施例の説明では、ヒンジ3に突起やラッチ等を設ける例を示したが、ヒンジ3はそのままとし、ヒンジスリット4の形状を図12のc部に示したように段差を設け上部の幅を下部の幅より狭くした形状としてもよい。
【0036】
このような形状とすることによっても、開閉カバー2を開けるとヒンジ3が矢印C方向に移動し、ヒンジ3によりc点にてヒンジスリット4の側面を押圧し摩擦力が発生し、ヒンジにブレーキをかけることができ、開いた開閉カバー2が急激に落下しないようにすることができる。
【0037】
また、以上の実施例の説明では、開閉カバー2に取り付けられた両方のヒンジ3に突起5やラッチ12、押圧バネ15、反発材16等を設けるように説明したが、いずれか一方のヒンジ3のみにこれらを設けるようにしてもよい。
【0038】
また、以上の実施例の説明では、開閉カバー2に取り付けられたヒンジ3の外側方向に、突起5やラッチ12、押圧バネ15、反発材16等を設けるように説明したが、内側方向にこれらを設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上述べたように、本発明は、開閉可能なカバーを有しカバー開閉機構を備えた装置、機器等に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1のカバー開閉機構の構成を示す外観斜視図である。
【図2】実施例1のカバー開閉機構のヒンジ部周辺の構成図である。
【図3】実施例1のカバー開閉機構の動作説明図である。
【図4】実施例1の開閉カバーのヒンジ部周辺の動作を説明する図である。
【図5】実施例2のカバー開閉機構のヒンジ部周辺の構成図である。
【図6】実施例2のカバー開閉機構のヒンジ部周辺の構成図である。
【図7】実施例2のカバー開閉機構の動作説明図である。
【図8】実施例2の開閉カバーのヒンジ部周辺の動作を説明する図である。
【図9】実施例3のカバー開閉機構の構成を示す外観斜視図である。
【図10】実施例3のカバー開閉機構のヒンジ部周辺の構成図である。
【図11】実施例4のカバー開閉機構のヒンジ部周辺の構成図である。
【図12】変形例のカバー開閉機構のヒンジ部周辺の構成図である。
【図13】従来のカバー開閉機構の構成を示す側面図ある。
【符号の説明】
【0041】
1 装置本体カバー
2 開閉カバー
3 ヒンジ
4 ヒンジスリット
5 突起
6 回転支点
12 ラッチ
14 摺動板
15 押圧ばね
16 反発材
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能なカバーを有する装置におけるカバー開閉機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の開閉カバーの落下を防止するカバー開閉機構は、図13に示す構成であった。すなわち、従来のカバー開閉機構は、装置側をおおう装置本体カバー1と、回動して開閉する開閉カバー2と、開閉カバー2と装置本体カバー1とを連結するヒンジ3と、回動時のダンパーとして機能するトルクヒンジ20と、開かれた開閉カバー2を支えるカバー支持ステイ7とから構成される。
【0003】
そして、開閉カバー2は、ヒンジ3により装置本体カバー1と連結されており、図示しない装置内部の機構部や媒体等にアクセスできるように回転支点6を中心に矢印A方向に開閉する。
【0004】
そして、このカバー開閉機構においては、開いた開閉カバー2が急激に落下して操作者の手などを挟まないようにする必要があり、開いた状態を保持するカバー支持ステイ7や、開閉カバー2の急激な落下を防止するために開閉カバー2の回転支点部にトルクヒンジ20などのダンパー機構が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−77861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成のカバー開閉機構では、トルクヒンジ20等のダンパー機構やカバー支持ステイ7を実装するためのスペースの確保、装置質量やコストの増加、さらには、カバー支持ステイ7が操作空間に飛び出るために操作性が悪くなったり、カバー支持ステイ7と装置本体カバー1の間に指を挟んだりする問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、カバーを回動させて開閉自在にするカバー開閉機構において、前記カバーと装置本体カバーとを連結するヒンジの側面に、前記カバーを開くときに装置本体カバーと干渉する突起を設けた。
【発明の効果】
【0007】
本発明のカバー開閉機構によれば、カバーを回動させて開閉自在にするカバー開閉機構において、前記カバーと装置本体カバーとを連結するヒンジの側面に、前記カバーを開くときに装置本体カバーと干渉する突起を設け、当該突起により発生する装置本体カバーのたわみの反力を利用し開閉カバーにブレーキをかけるようにしたので、安全でかつ低コスト、省スペースな機構により開閉カバーの急激な落下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0009】
(構成)
図1は、実施例1のカバー開閉機構の構成を示す斜視図であり、図2は実施例1のカバー開閉機構のヒンジ部周辺の構成を示す図であり、図1のa部を拡大した正面図となっている。実施例1のカバー開閉機構は、装置本体カバー1、開閉カバー2、ヒンジ3から構成され、開閉カバー2はヒンジ3により装置本体と連結されており、装置本体カバー1の内部の図示しない機構部や媒体等にアクセスできるように、回転支点6を中心に矢印A方向に開閉できるようになっている。装置本体カバー1にはヒンジ3を通すためのヒンジスリット4が開いている。また、ヒンジ3の側面には突起5がそれぞれ設けられている。
【0010】
図2に示したように、ヒンジ幅Lhはスリット幅Lsより狭いが、ヒンジ3と突起5の幅である突起幅Ltはスリット幅Lsよりも数mm程度広くなるように設定されている。
【0011】
(動作)
以上の構成により、実施例1のカバー開閉機構は以下のように動作する。この動作を図3および図4の実施例1のカバー開閉機構のヒンジ部の動作説明図(それぞれ側面図、正面図を示す)を用いて以下説明する。
【0012】
開閉カバー2を閉じた状態では、前述の図2のようにスリット幅Lsよりもヒンジ幅Lhは狭く、突起5は装置本体カバー1と干渉しない位置にあるため、ヒンジ3に力は作用しない。
【0013】
この状態から、図3の破線で示したように、開閉カバー2を開けていくと、ヒンジ3側面に設けた突起5が、b部において装置本体カバー1の内側のヒンジスリット4の外側と干渉する位置に飛び出し、装置本体カバー1を押し始める。
【0014】
すなわち、図4(a)の開閉カバー2を開く前の状態から、ヒンジ3が矢印C方向に移動した図4(b)の開閉カバー2を開いた状態となり、装置本体カバー1にたわみΔLtが発生し、突起5は装置本体カバー1から矢印B方向の反力を受ける。この反力によりヒンジ3とヒンジスリット4間に摩擦力が発生し、開閉カバー2の急激な落下を防ぐことができる。
【0015】
(実施例1の効果)
以上詳細に述べたように実施例1のカバー開閉機構によれば、開閉カバーと装置本体カバーとを連結するヒンジ側面に、開閉カバーを開いたときに装置本体カバーと干渉する突起を設け、当該突起により発生する装置本体カバーのたわみの反力によりヒンジとヒンジスリット間に摩擦力を発生させるようにしたので、安全でかつ低コスト、省スペースな機構により開閉カバーの急激な落下を防止することができる。
【実施例2】
【0016】
(構成)
実施例2のカバー開閉機構の全体構成は実施例1と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明を省略する。図5および図6は、実施例2のカバー開閉機構のヒンジ部周辺の構成を示す図であり、それぞれ側面図および正面図となっている。
【0017】
同図に示したように、実施例2のカバー開閉機構では、ヒンジ3に設けた突起5にさらに部分的にラッチ12を設けている。
【0018】
なお、図6に示したように、ヒンジ幅Lhは、スリット幅Lsより狭いが、ヒンジ3と突起5の幅である突起幅Ltはスリット幅Lsよりも数mm程度広く、さらにラッチ幅Lwは突起幅Ltよりも0.5mm程度広くなっている。
【0019】
(動作)
以上の構成により、実施例2のカバー開閉機構は以下のように動作する。この動作を図7および図8の実施例2のカバー開閉機構の動作説明図(それぞれ側面図および正面図を示す。)を用いて以下説明する。
【0020】
実施例2のカバー開閉機構でも、開閉カバー2を閉じた状態では、前述図6のように突起5、ラッチ12は装置本体カバー1と干渉しない位置にあるためヒンジ3に力は作用しない。
【0021】
そして、図7に示したように、この状態から開閉カバー2を開けてゆくと、b部において、ヒンジ3側面に設けた突起5が装置本体カバー1と干渉する位置に飛び出してくる。
【0022】
すなわち、図8(a)の開閉カバー2を開く前の状態から、ヒンジ3が矢印C方向に移動した図8(b)の開閉カバー2を開いた状態となり、装置本体カバー1にたわみΔLtが発生し、突起5は装置本体カバー1から矢印B方向の反力を受ける。この反力によりヒンジ3とヒンジスリット4間に摩擦力が発生する。
【0023】
実施例2のカバー開閉機構では、突起5にさらにラッチ12が断続的に設けられており、ラッチ12が装置本体カバー1と干渉する位置(図7のb部)に飛び出すので、ラッチ12が設けられた箇所で開閉カバー2を確実に保持することができる。このように、突起5全体にラッチ12を設けることにより、段階的にも確実に開閉カバー2を保持することができる。
【0024】
なお、以上の実施例の説明では、ラッチ12は、図5に示したように楕円として説明したが、長方形でもよいしその他の形状としても勿論よい。
【0025】
(実施例2の効果)
以上のように、実施例2のカバー開閉機構によれば、開閉カバーと装置本体カバーとを連結するヒンジ側面に設けた突起にさらにラッチを設けたので、実施例1の効果に加え、開閉カバーをラッチのある箇所でさらに確実に保持することができる。
【実施例3】
【0026】
(構成)
図9は、実施例3のカバー開閉機構の構成を示す外観斜視図であり、図10は図9のa部の拡大図であり、ヒンジ部周辺の構成を示す図である。
【0027】
同図に示したように、実施例3のカバー開閉機構は、装置本体カバー1、開閉カバー2、ヒンジ3から構成される。そして、開閉カバー2はヒンジ3により装置本体と連結されており、図示しない装置内部の機構部や媒体等にアクセスできるように回転支点6を中心に矢印A方向に開閉できるようになっている。
【0028】
そして、装置本体カバー1にはヒンジ3を通すためのヒンジスリット4が開いており、ヒンジ3は、押圧ばね5により摺動板14を介し常にヒンジスリット4の側面からB方向に押圧されている。
【0029】
(動作)
以上の構成により、実施例3のカバー開閉機構は以下のように動作する。すなわち、ヒンジ3には摺動板14を介して押圧ばね5からの矢印B方向への押力を受け、この押力によりヒンジ3にブレーキがかかり開閉カバー2の急激な落下を防ぐことができる。
【0030】
そして、押圧ばね5の押圧により発生する摩擦力を開閉カバー2の落下力以上に設定することにより、開閉カバー2を無段階で保持することができ、開閉カバー2が落下することがない。
【0031】
(実施例3の効果)
以上のように、実施例3のカバー開閉機構によれば、ヒンジ側面に備えた押圧ばねにより摺動板を介し常にヒンジスリットの側面を押圧してブレーキをかけるようにしたので、安全でかつ低コスト、省スペースな機構により開閉カバーの急激な落下を防止することができる。
【実施例4】
【0032】
(構成)
図11は、実施例4のカバー開閉機構のヒンジ部周辺の構成を示す図である。同図に示したように実施例4のカバー開閉機構では、装置本体カバー1のヒンジスリット4の側面にゴム等の反発材16が実装された構成となっており、反発材16により矢印B方向への反力が常にヒンジ3にかかる構成となっている。
【0033】
(動作)
以上の構成により、実施例2のカバー開閉機構は以下のように動作する。すなわち、ヒンジ3には反発材16からの矢印B方向の反力を常に受けており、この反力によりヒンジ3にブレーキがかかり、開閉カバー2の急激な落下を防ぐことができる。また、反発材16の厚さ、材質を調整することにより矢印B方向の反力により発生する摩擦力を開閉カバー2の落下力以上に設定すれば、開閉カバー2を無段階で保持することができる。
【0034】
(実施例4の効果)
以上のように、実施例4のカバー開閉機構によれば、装置本体カバーのヒンジスリットの側面とヒンジ間に反発材を設け、ヒンジにブレーキをかけるようにしたので、安全でかつ低コスト、省スペースな機構により開閉カバーの急激な落下を防止することができる。
【0035】
《その他の変形例》
以上の実施例の説明では、ヒンジ3に突起やラッチ等を設ける例を示したが、ヒンジ3はそのままとし、ヒンジスリット4の形状を図12のc部に示したように段差を設け上部の幅を下部の幅より狭くした形状としてもよい。
【0036】
このような形状とすることによっても、開閉カバー2を開けるとヒンジ3が矢印C方向に移動し、ヒンジ3によりc点にてヒンジスリット4の側面を押圧し摩擦力が発生し、ヒンジにブレーキをかけることができ、開いた開閉カバー2が急激に落下しないようにすることができる。
【0037】
また、以上の実施例の説明では、開閉カバー2に取り付けられた両方のヒンジ3に突起5やラッチ12、押圧バネ15、反発材16等を設けるように説明したが、いずれか一方のヒンジ3のみにこれらを設けるようにしてもよい。
【0038】
また、以上の実施例の説明では、開閉カバー2に取り付けられたヒンジ3の外側方向に、突起5やラッチ12、押圧バネ15、反発材16等を設けるように説明したが、内側方向にこれらを設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上述べたように、本発明は、開閉可能なカバーを有しカバー開閉機構を備えた装置、機器等に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1のカバー開閉機構の構成を示す外観斜視図である。
【図2】実施例1のカバー開閉機構のヒンジ部周辺の構成図である。
【図3】実施例1のカバー開閉機構の動作説明図である。
【図4】実施例1の開閉カバーのヒンジ部周辺の動作を説明する図である。
【図5】実施例2のカバー開閉機構のヒンジ部周辺の構成図である。
【図6】実施例2のカバー開閉機構のヒンジ部周辺の構成図である。
【図7】実施例2のカバー開閉機構の動作説明図である。
【図8】実施例2の開閉カバーのヒンジ部周辺の動作を説明する図である。
【図9】実施例3のカバー開閉機構の構成を示す外観斜視図である。
【図10】実施例3のカバー開閉機構のヒンジ部周辺の構成図である。
【図11】実施例4のカバー開閉機構のヒンジ部周辺の構成図である。
【図12】変形例のカバー開閉機構のヒンジ部周辺の構成図である。
【図13】従来のカバー開閉機構の構成を示す側面図ある。
【符号の説明】
【0041】
1 装置本体カバー
2 開閉カバー
3 ヒンジ
4 ヒンジスリット
5 突起
6 回転支点
12 ラッチ
14 摺動板
15 押圧ばね
16 反発材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー(2)を回動させて開閉自在にするカバー開閉機構において、
前記カバー(2)と本体カバー(1)とを連結するヒンジ(3)の側面に、前記カバー(2)を開くときに本体カバー(1)と干渉する突起(5)を設けたことを特徴とするカバー開閉機構。
【請求項2】
前記突起(5)にさらにラッチ(12)を設けたことを特徴とする請求項1記載のカバー開閉機構。
【請求項3】
カバー(2)を回動させて開閉自在にするカバー開閉機構において、
前記カバー(2)に設けられたヒンジ(3)の側面に、カバー(2)を所定の力で押す付勢手段を設けたことを特徴とするカバー開閉機構。
【請求項4】
前記付勢手段は、摺動版(14)を押圧バネ(15)により付勢する手段であることを特徴とする請求項3記載のカバー開閉機構。
【請求項5】
前記付勢手段は、反発材(16)であることを特徴とする請求項3記載のカバー開閉機構。
【請求項1】
カバー(2)を回動させて開閉自在にするカバー開閉機構において、
前記カバー(2)と本体カバー(1)とを連結するヒンジ(3)の側面に、前記カバー(2)を開くときに本体カバー(1)と干渉する突起(5)を設けたことを特徴とするカバー開閉機構。
【請求項2】
前記突起(5)にさらにラッチ(12)を設けたことを特徴とする請求項1記載のカバー開閉機構。
【請求項3】
カバー(2)を回動させて開閉自在にするカバー開閉機構において、
前記カバー(2)に設けられたヒンジ(3)の側面に、カバー(2)を所定の力で押す付勢手段を設けたことを特徴とするカバー開閉機構。
【請求項4】
前記付勢手段は、摺動版(14)を押圧バネ(15)により付勢する手段であることを特徴とする請求項3記載のカバー開閉機構。
【請求項5】
前記付勢手段は、反発材(16)であることを特徴とする請求項3記載のカバー開閉機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−77706(P2010−77706A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248145(P2008−248145)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
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