説明

カフェインの生理作用増強方法

【課題】中枢神経を興奮させて精神機能を亢進させることによるカフェインの各種生理作用を利用する際に、少ない摂取量においても有効な作用効果が得られ、また、カフェインの持続する効果を得ることにより、カフェインの生理作用を安全で効果的に増強させる方法、及び、該生理作用が増強されたカフェインを活性成分とする生理機能改善用組成物を提供すること。
【解決手段】カフェインと、オルニチン又はその塩とを共存させることにより、カフェインの生理作用を増強する。又、カフェインに、カフェイン1重量部に対して、遊離オルニチン量として0.1〜100重量部のオルニチン又はその塩をカフェインの生理作用増強剤として配合することによりカフェインを活性成分とする生理機能改善用組成物を提供する。本発明におけるカフェインによる生理機能の改善としては、精神疲労低減作用、眠気防止作用、又は集中力持続作用による生理機能の改善を挙げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中枢神経を興奮させて精神機能を亢進させることによるカフェインの各種生理作用を、安全で効果的に増強させる方法、及び、該生理作用が増強されたカフェインを活性成分とする生理機能改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カフェインはプリンアルカロイドの一種であり、コーヒー、緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーラ、チョコレート等に豊富に含まれている。カフェインの生理作用として一般的に中枢神経を興奮させて精神機能を亢進させることが知られており、カフェイン含有飲食品を仕事中や運転中などの精神的な疲労の改善や眠気防止、集中力の維持の目的で摂取する人が多い。
【0003】
しかし、その目的のためにカフェインを摂取しようとするとカフェイン含有飲食品を大量に摂取する必要がある。また、カフェインは体内での半減期が短く、目的の効果を維持するためには頻繁に摂取する必要がある。カフェインは大量に頻繁に摂取すると副作用として不眠やめまいが生じるという問題があった。また、習慣的に摂取する人が半日から1日カフェインを摂取しなかった時に頭痛や不安、疲労感、集中力の欠如などの症状が現れるという問題があった。そのため、カフェインの摂取量を減らしても同等の効果が得られる方法や、カフェインの効果をより継続させる方法が求められている。
【0004】
従来より、カフェインの生理機能を改善するために、カフェインにカフェイン以外の物質を配合することが種々行なわれてきた。例えば、特開2002−281940号公報には、カフェインと果糖とを組み合わせて、スポーツ等の運動時の筋グリコーゲンの消費節減と体脂肪の燃焼の促進とを図った運動時のエネルギー代謝改善剤が、特開2002−322063号公報には、カフェイン、テアニン及びアルギニンからなる混合成分を有効成分とし、精神機能の向上を確実かつ有効にすることを図った精神疲労軽減組成物、集中力維持増強組成物、及び精神的活力維持増強組成物が開示されている。
【0005】
また、特開2003−33156号公報には、コーヒーエキスと、ローズマリーエキスと、蜂蜜と、カフェインとを糖類を配合して固形状にした、覚醒作用を長時間保つようにした覚醒作用食品が、特開2007−119349号公報には、カフェイン及びエピガロカテキンガレートを含有する肝臓脂質蓄積抑制効果及び血清脂質抑制効果を増強した肝臓脂質蓄積抑制剤及び血清脂質抑制剤が、特開2007−153816号公報には、2−アミノエタンスルホン酸、ビタミンB類及びカフェイン、並びにカプサイシンを含有させ、疲労改善作用を増強した疲労改善剤組成物が開示されている。
【0006】
更に、特開2008−63281号公報には、カフェインとユリ科植物ナルコユリ由来の黄精抽出物を含有した、脳の意識レベルをリラックス状態に導くための経口用組成物が、特開2009−106253号公報には、カフェインとタウリンとを含有させた運動持久力増強及び疲労回復効果を向上させた機能性コーヒーが、特開2010−195761号公報には、カフェインと、トウガラシ抽出物、ショウガ抽出物、及びアルギニンとを含有させた、眠気防止効果を増強した眠気防止用組成物が開示されている。
【0007】
上記のように、カフェインの持つ各種の生理作用について、その作用向上のためにカフェイン以外の物質の配合が検討されてきたが、カフェインの生理作用を十分に向上させることができなかったり、混合させる物質による刺激が強すぎたりする問題があって、必ずしも満足のいく結果は得られていないというのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−281940号公報。
【特許文献2】特開2002−322063号公報。
【特許文献3】特開2003−33156号公報。
【特許文献4】特開2007−119349号公報。
【特許文献5】特開2007−153816号公報。
【特許文献6】特開2008−63281号公報。
【特許文献7】特開2009−106253号公報。
【特許文献8】特開2010−195761号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、中枢神経を興奮させて精神機能を亢進させることによるカフェインの各種生理作用を利用する際に、少ない摂取量においても有効な作用効果が得られ、また、カフェインの持続する効果を得ることにより、カフェインの生理作用を安全で効果的に増強させる方法、及び、該生理作用が増強されたカフェインを活性成分とする生理機能改善用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、カフェインの各種生理作用を利用する際に、該有効成分の生理作用を安全で効果的に増強させる方法について鋭意検討する中で、カフェインをオルニチンと共存させることにより、少ない摂取量においても有効な作用効果が得られ、また、カフェインの持続する効果を得ることができることを見い出し、かかるカフェインとオルニチンとの共存により、カフェインの生理作用を安全で、かつ、効果的に増強させることが可能であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、カフェインと、オルニチン又はその塩とを共存させることを特徴とする、カフェインの生理作用増強方法、又は、カフェインに、カフェイン1重量部に対して、遊離オルニチン量として0.1〜100重量部のオルニチン又はその塩をカフェインの生理作用増強剤として配合したことを特徴とするカフェインを活性成分とする生理機能改善用組成物からなる。
【0012】
本発明において、カフェインと、オルニチン又はその塩との配合比は、カフェイン1重量部に対して、遊離オルニチン量として0.1〜100重量部が採用されるが、好ましくは0.5〜50重量部、更に好ましくは1〜10重量部が採用される。本発明において、カフェインの生理作用としては、精神疲労低減作用、眠気防止作用、又は集中力持続作用を挙げることができる。
【0013】
本発明は、カフェインによる生理機能の改善が、精神疲労低減作用、眠気防止作用、又は集中力持続作用による生理機能の改善であることを特徴とするカフェインを活性成分とする生理機能改善用組成物の発明を包含する。
【0014】
すなわち、具体的には本発明は、(1)カフェインと、オルニチン又はその塩とを共存させることを特徴とする、カフェインの生理作用増強方法や、(2)カフェインと、オルニチン又はその塩との共存が、カフェイン1重量部に対して、遊離オルニチン量として0.1〜100重量部であることを特徴とする上記(1)記載のカフェインの生理作用増強方法や、(3)カフェインの生理作用が、精神疲労低減作用、眠気防止作用、又は集中力持続作用であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載のカフェインの生理作用増強方法や、(4)カフェインに、カフェイン1重量部に対して、遊離オルニチン量として0.1〜100重量部のオルニチン又はその塩をカフェインの生理作用増強剤として配合したことを特徴とするカフェインを活性成分とする生理機能改善用組成物や、(5)カフェインによる生理機能の改善が、精神疲労低減作用、眠気防止作用、又は集中力持続作用による生理機能の改善であることを特徴とする上記(4)記載のカフェインを活性成分とする生理機能改善用組成物からなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、精神疲労低減作用、眠気防止作用、又は集中力持続作用等、中枢神経を興奮させて精神機能を亢進させることによるカフェインの各種生理作用を利用する際に、少ない摂取量においても有効な作用効果を得ることができ、また、カフェインの持続する作用効果を得ることができることから、カフェインの生理作用を安全で効果的に増強させる方法、及び、該生理作用が増強されたカフェインを活性成分とする生理機能改善用組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施例における摂取試験の試験概要を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施例における摂取試験のPOMS「活気」の変化の結果を示す。図中、「Pla」はプラセボ摂取群を示し、「CFN」はカフェイン摂取群を示し、「CFN+ORH」はカフェインとオルニチン塩酸塩とを併用摂取した群を示す。横軸は、「時刻」を示し、縦軸は「活気」を示す。
【図3】図3は、本発明の実施例における摂取試験のPOMS「疲労」の変化の結果を示す。図中の群に関する表示は図2と同様である。横軸は、「時刻」を示し、縦軸は「疲労度」を示す。
【図4】図4は、本発明の実施例における摂取試験のPOMS「混乱」の変化の結果を示す。図中の群に関する表示は図2と同様である。横軸は、「時刻」を示し、縦軸は「混乱度」を示す。
【図5】図5は、本発明の実施例における摂取試験のVAS「眠気」の変化の結果を示す。図中の群に関する表示は図2と同様である。横軸は、「時刻」を示し、縦軸は「眠気」を示す。
【図6】図6は、本発明の実施例における摂取試験のVAS「疲労感」の変化の結果を示す。図中の群に関する表示は図2と同様である。横軸は、「時刻」を示し、縦軸は「疲労感」を示す。
【図7】図7は、本発明の実施例における摂取試験のVAS「集中力」の変化の結果を示す。図中の群に関する表示は図2と同様である。横軸は、「時刻」を示し、縦軸は「集中度」を示す。
【図8】図8は、本発明の実施例における摂取試験のVAS「活気」の変化の結果を示す。図中の群に関する表示は図2と同様である。横軸は、「時刻」を示し、縦軸は「活気」を示す。
【図9】図9は、本発明の実施例における摂取試験のVAS「仕事への意欲」の変化の結果を示す。図中の群に関する表示は図2と同様である。横軸は、「時刻」を示し、縦軸は「仕事への意欲度」を示す。
【図10】図10は、本発明の実施例における摂取試験の唾液中SIgAの変化の結果を示す。図中の群に関する表示は図2と同様である。横軸は、「時刻」を示し、縦軸は「唾液中のSIgA量」を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、カフェインと、オルニチン又はその塩とを共存させることを特徴とする、カフェインの生理作用増強方法、又は、カフェインに、カフェイン1重量部に対して、遊離オルニチン量として0.1〜100重量部のオルニチン又はその塩をカフェインの生理作用増強剤として配合したことを特徴とするカフェインを活性成分とする生理機能改善用組成物からなる。
【0018】
本発明におけるカフェインは、水和物であっても無水物であってもよい。本発明において、カフェインと接触させるオルニチンとしては、L−オルニチンおよびD−オルニチンのいずれを用いてもよいが、L−オルニチンが好ましく用いられる。オルニチンは、化学的に合成する方法、発酵生産する方法、素材から抽出する方法等により取得して用いてもよく、また、市販品を用いてもよい。
【0019】
オルニチンは、例えば、Coll.Czechoslov.Chem.Commun.,24,1993(1959)に記載の方法等により化学的に調製しても、特開昭53−24096号公報、特開昭61−119194号公報等に記載の発酵生産により調製してもよい。また、市販のものを用いてもよい。
【0020】
オルニチンの塩としては、酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等があげられる。
【0021】
酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、α−ケトグルタル酸塩、グルコン酸塩、カプリル酸塩等の有機酸塩があげられる。金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等があげられる。アンモニウム塩としては、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の塩があげられる。有機アミン付加塩としては、モルホリン、ピペリジン等の塩があげられる。アミノ酸付加塩としては、グリシン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸等の塩があげられる。上記のオルニチンの塩のうち、塩酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、α−ケトグルタル酸塩、アスパラギン酸塩が好ましく用いられるが、他の塩、または2以上の塩を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0022】
カフェインとオルニチン又はその塩とを共存させることにより、カフェインの生理作用を増強させることができる。増強されるカフェインの生理作用としては、精神疲労低減効果、眠気防止効果、集中力持続効果等があげられる。カフェインとオルニチン又はその塩とを共存させる方法としては、例えば、カフェインにオルニチンを添加して混合させる方法が挙げられる。
【0023】
カフェインと共存させるオルニチン又はその塩の量は、通常、カフェイン1重量部に対して、遊離のオルニチン量として0.1〜100重量部であるが、0.5〜50重量部が好ましく、1〜10重量部がさらに好ましい。
【0024】
カフェインの生理作用を安全で効果的に増強させるため、必要に応じてカフェイン及びオルニチン又はその塩に加え、適宜、各用途に適した添加剤を共存させてもよい。該添加剤としては、例えば、テアニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、リジン、グルタミン、セリン、グリシン、システイン、スレオニン等のアミノ酸、メントール等の冷感刺激剤、トウガラシ等の温感刺激剤等があげられる。
【0025】
また、更に必要に応じて、麦由来の成分、麦芽、麦汁、ホップ、ホップエキス、生茶葉抽出物、玄米、はと麦、ハブ茶、とうもろこし、コラーゲンペプチド、飲用海洋深層水、乾燥ローズヒップ、黒豆、黒胡麻、キダチアロエ、ゆずの皮、ビタミンC等のビタミン、香辛料抽出物、紅茶、果糖ぶどう糖液糖、砂糖、食塩、シトルリン、クエン酸等の有機酸、乳酸カルシウム、ピロリン酸鉄、グルコン酸カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、酸味料、脱脂粉乳、乳タンパク、乳ペプチド、サイクロデキストリン等を共存させてもよい。
【0026】
カフェインとオルニチンまたはその塩とを共存させることによりカフェインの生理作用が増強されるため、該生理作用を目的とした組成物におけるカフェインの含有量を低減することができる。
【0027】
例えば、カフェインを有効成分とする製剤(以下、カフェイン製剤ともいう)にオルニチン又はその塩を含有させることにより、オルニチン又はその塩を含有させない場合と比較して、必要とされる投与量の低減したカフェイン製剤を調製することができる。このようなカフェイン製剤は、カフェイン及びオルニチン又はその塩とを必要に応じ担体等と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造することができる。
【0028】
例えば、カフェインおよびオルニチンまたはその塩以外に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、希釈剤、緩衝剤、抗酸化剤、細菌抑制剤等の添加剤を用いてカフェイン製剤を調製する。
【0029】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0030】
(1)結晶セルロースのみ若しくは、カフェイン100mg若しくは、オルニチン塩酸塩250mg(オルニチンとして200mg)を充填した1号ハードカプセルを調製した。各カプセルは結晶セルロースを用いて重量を均一にした。プラセボ食品として結晶セルロースのみのカプセルを2粒、カフェイン食品としてカフェイン100mgを含むカプセルを1粒と結晶セルロースのみを含むカプセルを1粒、カフェインとオルニチン塩酸塩の併用食品としてカフェイン100mgを含むカプセル1粒とオルニチン塩酸塩250mgを含むカプセル1粒を用いた。
【0031】
(2)27〜45歳の健常な男女19名を被験者として、各被験者とも朝30分間以上の安静後、9時30分に唾液を回収し、POMS(Profile of Mood State)及びVAS(Visual Analog Scale)アンケートに回答をしてもらった。その後、試験食品を摂取してもらった。試験食品摂取の30分後に単純な計算負荷試験を30分間行い、これを精神作業負荷とした。
【0032】
試験食品の摂取の際、各カプセルは、いずれも味や形状で試験食品の判断ができないようにし、試験は3群のクロスオーバー二重盲検により実施した。計算負荷後に唾液の回収を行い、POMS及びVASアンケートに回答してもらった。15時及び17時30分にもPOMS及びVASアンケートに回答してもらった。なお、VASアンケートにより「眠気」、「疲労感」、「集中力」、「活気」、「仕事への意欲」について評価した。試験概要を図1に示す。この試験を3種類の試験食品について1回ずつ行った。試験日は指定の昼食と水を除き全ての飲食物の摂取を控えてもらった。
【0033】
結果を、図2〜9に示す。統計処理は対応のあるt−検定を用い、プラセボ摂取群と比較してp<0.05で有意差を示した項目を*印で示し、p<0.01で有意差を示した項目を**印で示した。また、カフェイン摂取群と比較してp<0.05で有意差を示した項目を#で示し、p<0.01で有意差を示した項目を##で示した。
【0034】
図2にPOMSの「活気」について、図3にPOMSの「疲労」について、図4にPOMSの「混乱」について計算負荷前からの変化を示し、図5にVASの「眠気」について、図6にVASの「疲労感」について、図7にVASの「集中力」について、図8にVASの「活気」について、図9にVASの「仕事への意欲」について計算負荷前からの変化を示す。また、図10にストレス負荷状態で上昇するとされる唾液中のSIgA(分泌型IgA)量について計算負荷前からの変化量を示した。
【0035】
図2〜4に示すとおり、カフェインとオルニチン塩酸塩とを併用摂取した群では、他の群と比較して「活気」、「疲労」および「混乱」の体感が計算負荷後から15時、17時30分にかけて改善した。この結果は、カフェインとオルニチンとを併用摂取することにより、カフェイン単独で摂取した場合よりも精神作業負荷後の疲労が軽減し活力が高まったことを表している。
【0036】
また、図5〜9に示すとおり、カフェインとオルニチンを併用摂取した群では、他の群と比較して「眠気」、「疲労感」、「集中力」、「活気」および「仕事への意欲」の体感が計算負荷後から15時、17時30分にかけて改善した。この結果はPOMSの結果を裏付けるものであり、更に眠気や集中力についてもカフェインとオルニチンの併用摂取によって、カフェイン単独での摂取よりも改善されることを表している。
【0037】
また、図10に示すとおり、カフェインとオルニチンを併用摂取した群において他の群と比較してSIgAの上昇が抑制された。この結果は客観的な生化学データであり図2から図9に示したアンケートの結果を裏付けるものである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、精神疲労低減作用、眠気防止作用、又は集中力持続作用等、中枢神経を興奮させて精神機能を亢進させることによるカフェインの各種生理作用を利用する際に、少ない摂取量においても有効な作用効果を得ることができ、また、カフェインの持続する作用効果を得ることができることから、カフェインの生理作用を安全で効果的に増強させる方法、及び、該生理作用が増強されたカフェインを活性成分とする生理機能改善用組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カフェインと、オルニチン又はその塩とを共存させることを特徴とする、カフェインの生理作用増強方法。
【請求項2】
カフェインと、オルニチン又はその塩との共存が、カフェイン1重量部に対して、遊離オルニチン量として0.1〜100重量部であることを特徴とする請求項1記載のカフェインの生理作用増強方法。
【請求項3】
カフェインの生理作用が、精神疲労低減作用、眠気防止作用、又は集中力持続作用であることを特徴とする請求項1又は2記載のカフェインの生理作用増強方法。
【請求項4】
カフェインに、カフェイン1重量部に対して、遊離オルニチン量として0.1〜100重量部のオルニチン又はその塩をカフェインの生理作用増強剤として配合したことを特徴とするカフェインを活性成分とする生理機能改善用組成物。
【請求項5】
カフェインによる生理機能の改善が、精神疲労低減作用、眠気防止作用、又は集中力持続作用による生理機能の改善であることを特徴とする請求項4記載のカフェインを活性成分とする生理機能改善用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−131735(P2012−131735A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284678(P2010−284678)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000253503)キリンホールディングス株式会社 (247)
【Fターム(参考)】