説明

カプセル化された原料

本発明は次の工程:(1)溶媒中でアミノ化合物(1)の溶液を形成させること;(2)溶液中でコア材料の分散を形成させること;(3)アミノ化合物を樹脂としてコア材料の表面上に沈着させてカプセルを形成させること;(4)場合によりカプセルを硬化させること及び/又は回収することを含むカプセル形成方法〔工程(1)及び(2)は、順番に又は同時に実行され、アミノ化合物(1)は、式(I)(式中、Xは、O又はNRであり;EWGは電子求引性基であり;R、R、R、Rは、H、アルキル、シクロアルキル、複素環式基のアリールであり;R、R、及びR、又はR、R、及びRは、一緒になって複素環式基を形成してもよい)を有する〕に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカプセル形成方法に関する。カプセル化工程は、一般には、次の工程:
(a)壁形成材料を含有する連続相中にコア材料の分散を形成させること;
(b)壁材料をコア材料の表面上に沈着させてカプセルを形成させること;
(c)カプセルを硬化させること;及び
(d)カプセルを回収すること、
を含んでいる。
【0002】
工程(a)の連続相は、通常壁材料の溶液である。コアが液体である場合、それは上記溶液中で分散するか又は乳化しているが;核が固体である場合、それは通常所望のサイズに予め粉砕され、次いで溶液中に分散される。工程(b)は、連続相から壁材料の相分離を引き起こすように、一般に溶液の条件を変えることを伴う。通常、壁材料は連続相から相分離され、それによって、少なくとも壁材料の一部はコア相の粒子又は液滴の周囲に凝集性の膜を形成する。続いて、この液体、アモルファス、又はゼリー状の壁相を、カプセル回収の前に硬化させる(工程(c))。カプセルの回収は、ろ過、遠心分離などによって遂行され、続いて、場合によりカプセルが乾燥粉末として回収されることになっている場合は乾燥させる。当業者に既知のとおり、カプセルは、コア材料の形状及び壁材料の規則性に応じて、種々の形状を有することができる。コア材料が十分にカプセル化されるように最小限の壁材料厚が存在している限り、壁材料厚がカプセルの全体にわたって完全に均一であることは通常必要でない。カプセルが実際いくつかのより小さい全部又は一部のカプセルの規則的又は不規則に成形された集塊であることも可能である。いくつかの場合では、乾燥生産物は固った粉末であって、穏やかな粉砕操作、例えば篩分けによって、自由流動性粉末に変えなければならない。
【0003】
周知で、たびたび使用される壁形成材料は、メラミンホルムアルデヒド樹脂である。このように形成されたメラミンホルムアルデヒドカプセルは、たとえば、着香剤、香味剤、及びビタミンをカプセル化するのに使用される。
【0004】
壁形成材料としてのメラミンホルムアルデヒドの大きな欠点は、わずかなホルムアルデヒド放散がなお観察されるということである。樹脂及びカプセル製品の生産中、さらにはカプセルそのものからも、刺激性で有毒でもあり得る蒸気が放出される。重合後もまた、原材料の残留物が常に残存する。硬化後の状態において、ホルムアルデヒドは製品からゆっくり拡散する。限られた領域では紛れもないことであるが、このホルムアルデヒド放散は望ましくない。そのような領域において、ホルムアルデヒドは吸入され、目、口、及び身体の他の部分と接触する。ホルムアルデヒドガスは目及び気道の炎症を引き起こし有毒である。その上、カプセルがさらに劣化すると、例えば加水分解によって劣化すると、使用後又は脱カプセルの間、元の壁材料の元のホルムアルデヒド含量のもっと大きな部分がカプセルの直接の周囲に放出される。したがって、メラミンホルムアルデヒドカプセルを基材とするカプセルの不利な点は、有害なホルムアルデヒドの形成である。
【0005】
本発明の目的は、遊離ホルムアルデヒドを放出しない、カプセル形成方法を提供することである。この目的は、次の工程:
(1)溶媒中にアミノ化合物(I)の溶液を形成させること;
(2)溶液中にコア材料の分散を形成させること;
(3)アミノ化合物を樹脂としてコア材料の表面上に沈着させてカプセルを形成させること;及び
(4)カプセルを硬化させる及び/又は回収すること
を含むカプセル形成方法〔ここで、工程(1)及び(2)は順番に又は同時に実施され、また、アミノ化合物(I)は以下の式:
【0006】
【化3】

【0007】
(式中、
−Xは、O又はNRであり;
−EWGは、電子求引性基であり;
−R、R、R、Rは、H、アルキル、シクロアルキル、複素環式基のアリールであり;
−R、R、及びR、又はR、R、及びRは、一緒になって複素環式基を形成してもよい)を有する〕
により成し遂げられる。
【0008】
電子求引性基(EWG)は、当業者にとって既知である。EWGの例は、酸−、エステル−、シアノ−、ジ−アルキルアセタール−、アルデヒド−、置換フェニル−、又はトリハロメチル基である。水素はEWGでない。
【0009】
アミノ化合物は、電子吸引性原子に、又は電子吸引性原子若しくは基に結合している原子に結合させた、少なくとも一つのNH又はNH基を有する化合物として本明細書において定義される。アミノ化合物1つにつきアミノ基の数は、一般に多くても3である。電子吸引性原子の例は、酸素、窒素、及び硫黄である。適切なアミノ化合物は、例えばトリアジン、グアニジン、尿素、及びこれらの化合物の混合物である。メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、及びメラミン−尿素−ホルムアルデヒドなどのアミノ樹脂は、アミノ化合物として使用されてもよい。好ましくは、尿素又はトリアジン、例えば、メラミン、メラム、メレム、アンメリン、アンメリド、及びウレイドメラミンが使用される。特にメラミンが使用される。
【0010】
工程(1)及び(2)は、逆順で又は平行して実行することができ、そうすると溶媒中の溶液及び分散の両方が一緒に混ぜ合わせられる。したがって、工程(2)が工程(1)の前か又は同時に実施される状況であれば、上記工程(2)の記載は、コア材料の分散が溶液中よりもむしろ溶媒中において形成される意味を含むよう解釈されるべきである。
【0011】
本発明の方法の第一工程は、式(I)の化合物の溶液を形成させることである。式(I)の化合物は、好ましくはアミノ化合物を式(II)で示されるアルデヒドと又はアルデヒド誘導体と反応させることによって製造される。本明細書においてアルデヒド誘導体は式(III)で示されるアルデヒド水和物又は式(IV)で示されるアルカノールヘミアセタールを意味する:
【0012】
【化4】

【0013】
式(II)で示されるアルデヒドの例は、グリオキシル酸、ジメトキシアセトアルデヒド、ジエトキシアセトアルデヒド、グリオキシル酸エチル、グリオキシル酸ブチル、及びo−フタルアルヒドである。式(III)で示されるアルデヒド水和物の例は、グリオキシル酸水和物、抱水クロラール、及びグリオキサール水和物である。式(IV)において、Rは、C−C12アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はシクロアルキル基を表す。式(IV)で示されるアルカノールヘミアセタールの例は、メチルグリオキシラートメタノールヘミアセタール及びエチルグリオキシラートエタノールヘミアセタールである。
【0014】
一旦アミノ化合物及び式(II)、(III)、又は(IV)の化合物を互いに接触させたならば、式(I)の化合物の製造プロセスは通常自発的に起こる。本発明の方法における温度はかくして広い限度の範囲内で変更することができ、好ましくは10℃と90℃の間にある。もっとも好ましくは、本方法は40℃と80℃の間で実行される。式(I)のアミノ化合物の製造プロセスは、温度が上昇する場合、より急速にプロセスが進行するという一般的規則に従う。酸又は塩基の添加は触媒効果を有するので、反応速度に影響するさらなる制御メカニズムはpHである。pHは、好ましくは2と10の間に存在している値に調整してもよい。かくして、当業者は―温度及びpHを調整することによって―望ましい反応速度が達成される環境を容易に見いだすことができる。
【0015】
本発明の方法における圧力は、0.005MPaと1.0MPaの間、好ましくは0.02MPaと0.1MPaの間に、好ましくはある。本方法は、溶媒、例えば、水又は水とアルカノールとの混合物中で好ましくは実行される。水は好適な溶媒である。アルカノールの例は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールである。
【0016】
アミノ化合物1つにつきアミノ基の数が一般に多くても3であるという事実を発端として、アミノ基とアルデヒド又はアルデヒド誘導体との間のモル比は3と1の間に好ましくはある。アルデヒド又はアルデヒド誘導体1つにつき3つ以上のアミノ基については、樹脂の分子量は制限されるが、一方で1以下の比率は樹脂の架橋のために制限されて遊離アルデヒド又はアルデヒド誘導体を溶媒中に残す。
【0017】
本発明による方法の好ましい実施態様において、工程(1)では、溶媒中のアミノ化合物/アルカノールヘミアセタール混合物から化合物(V)の溶液が形成されるが、ここで、化合物(V)は式(I)の範囲内にあり、以下の式のアミノ化合物である:
【0018】
【化5】

【0019】
(式中、
−Xは、O又はNRであり;
−Rは、C−C12アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はシクロアルキル基であり;
−R、R、R、Rは、H、アルキル、シクロアルキル、複素環式基のアリールであり;
−R、R、及びR、又はR、R、及びRは、一緒になって複素環式基を形成してもよい)。好ましくは、RはC−C12アルキル基である。この例はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルなどである。Rは特にメチル基又はエチル基である。
【0020】
式(V)の化合物は、アミノ化合物と、以下の一般式(Vl):
【0021】
【化6】

【0022】
(式中、R及びRは、C−C12アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はシクロアルキル基である)で示されるアルカノールヘミアセタールとを反応させることによって製造することができるが、この工程においてはアルカノールが遊離される。
好ましくは、R及びRはC−C12アルキル基である。この例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルなどである。R及びRは特にメチル基又はエチル基である。
【0023】
式(VI)で示されるアルカノールヘミアセタールの例は、以下の通りである:
メチルグリオキシラートメタノールヘミアセタール(GMHA(登録商標)、DSMファインケミカルズ、リンツ);エチルグリオキシラートエタノールヘミアセタール(GEHA(登録商標)、DSMファインケミカルズ、リンツ);エチルグリオキシラートメタノールヘミアセタール;ブチルグリオキシラートブタノールヘミアセタール;ブチルグリオキシラートメタノールヘミアセタール;ブチルグリオキシラートエタノールヘミアセタール;イソプロピルグリオキシラートイソプロパノールヘミアセタール;プロピルグリオキシラートプロパノールヘミアセタール;シクロヘキシルグリオキシラートメタノールヘミアセタール;及び2−エチルヘキシルグリオキシラートメタノールヘミアセタール。
ヘミアセタールの代わりにエチル又はブチルグリオキシラートを使用することも可能である。
【0024】
本発明の方法の第二工程は、溶液中にコア材料の分散を形成させることである。コアが第1の液体である場合、カプセル化されるべき材料はこの第1の液体であり得る。コア材料はまた、上記第1の液体中に溶解するか又は分散する、固体又は第2の液体でもあり得る。上記第1の液体は、好ましくは高沸騰疎水性液体、例えば油である。適切な油は、特に植物及び動物油、脂肪酸エステル及びワックス、部分水素化テルフェニル、塩素化パラフィン、アルキル化ビフェニル、アルキルナフタレン、ジアリールメタン誘導体、ジベンジルベンゼン誘導体、アルカン、シクロアルカン、及びエステル、例えばフタラート、アジパート、トリメリタート、及びホスファート、ならびにシリコーン油である。
【0025】
分散を安定させるために、界面活性剤を添加することができる。適切な界面活性剤を、イオン性及び非イオン性界面活性剤中に見出すことができる。界面活性剤は、好ましくはアニオン性又は非イオン性界面活性剤である。この種の界面活性剤を使用するのは必ずしも必要でない。多数の式(VI)の化合物は、自然に加水分解により少量のアニオン性基を形成して界面活性剤として作用することができるからである。
【0026】
本発明の方法の第三工程は、化合物を樹脂としてコア材料の表面上に沈着させてカプセルを形成させることである。工程(3)は連続壁溶液相から壁材料の相分離を引き起こすように状況を変えることを一般に伴う。通常、好ましくは数分から数時間の間持続する工程中で、壁形成材料は、連続相から、少なくとも部分的にはコア相の粒子又は液滴周囲の凝集膜として、相分離させられる。相分離は温度上昇又は低下によって誘導することができる。温度低下は溶解性低下による相分離を生じさせることができ、一方温度上昇は樹脂にその曇り点を通り越させることができる。
【0027】
相分離の代替方法は、樹脂の分子量を増やすことである。これは、溶媒中の式(I)又は(V)の化合物の長時間重合によって遂行される。これは、樹脂の溶媒への溶解性を減少させる。
【0028】
相分離を誘導する第3の方法は、樹脂の濃度を増加させるか又は減少させることであり、式(I)又は(V)の化合物からの樹脂が一般に最大溶解度の範囲を有するという事実を利用する。
【0029】
本発明による方法の目的がカプセルを形成することであるので、コア材料は高い割合で第三工程において完全にカプセル化されるべきであり;好ましくはコア材料の少なくとも80重量%又は85重量%が、より好ましくは少なくとも90重量%、特に少なくとも95又は99重量%が完全に第三工程でカプセル化され;最も好ましくは、本質的に全てのコア材料が第三工程で完全にカプセル化される。
【0030】
本発明の方法で任意の第四工程は、カプセルの硬化及び分離である。この場合、カプセルの分離の前に、液体又はゼリー状の壁相を好ましくは硬化させる。硬化は、樹脂のTg以下に温度を低下させることによって、又は弾力的で非粘着性のカプセルを得るための樹脂の重合によって、行うことができる。本発明の方法の好ましい実施態様において、硬化は第三工程に組み込まれる。カプセルの回収は、例えばろ過又は遠心分離によって遂行でき、その後、カプセルが乾燥粉末として回収されることになっている場合には、場合により乾燥又は噴霧乾燥を行う。いくつかの場合では、乾燥生成物は、固まった粉末であって、穏やかな粉砕操作、例えば、篩分けによって自由遊動性の粉末にならなければならない。
【0031】
本発明のカプセル生成物も、それらのユニークな特性により、広い多様化された分野の用途の組成物の調製に応用を見いだす。美容分野では、棒状の石鹸、ローション及びクリーム中の香味成分などの製品を、カプセル化された水溶性成分(水溶性成分は、特定の製剤では、他の成分があると、非カプセル化の形態では不安定又は不適合である)を含有させて調製することができる。例えば、塩化フェノール及び硫酸ネオマイシンといった特定の抗菌性物質は石鹸との長期にわたる接触に不適合だったので、本発明はこれらの成分の両方とも含んでいる棒状石鹸の製造を可能にする。
【0032】
農業分野において、カプセル化栄養補助食品及び防除剤は、有利に調製されることができる。例えば、硝酸アンモニウム、尿素、及び過リン酸などの水溶性肥料は、例えば、急速放出が植物を「枯らす」場合で徐放又は長時間作用が望ましいとき、土壌に適用させるためにカプセル化され得る。病害虫の防除のため、カプセル化殺虫剤は、植物に対し害を与えることなく植物又は土壌中に沈着させることができ;さらに、殺虫剤は、分解されず、また水分又は雨によって流されることもなく、そのため、昆虫が摂取するまで沈着したところに残存することができる。駆虫剤、例えばリン酸ピペラジン又はクエン酸ピペラジン、及びメチル・ローザニリンクロリドは、カプセル化された場合、家畜用飼料原料に組み込むことができ、そのため、カプセル化駆虫剤は飼料中で無味であり、また飼料の保管の間の分解からも保護される。水分があると不安定であるか又は齧歯動物を寄せ付けない匂い若しくは味覚を有する、シアン化カルシウム、硫酸タリウム、及びフルオロ酢酸ナトリウムなどの殺鼠剤をカプセル化するのは有利である。
【0033】
ビタミン、ミネラル、アミノ酸、及び他の栄養補助食品は、カプセル化された場合、動物飼料に組み込むことができ、また空気、水分、及び飼料組成そのものの中にある不適合成分のような不都合な状況での、保存期間中の分解から保護することができる。これと同様に、栄養補助食品は、ヒト用の組成物に組み込むことができる。
【0034】
コア材料を放出する方法は用途に強く依存する。通常、カプセルを摂取したときコア材料が放出されることが目的となっている。摂取されたカプセル化された原料の例は、アイロンをかけている間か又は洗濯機中で放出される芳香、及び食事中に食品から放出される香味である。
【0035】
コア材料の放出は、異なるメカニズムに引き起こされることがありえる。第1のメカニズムは機械的ストレスである。これにより、インクは、複写紙に使用されるインク含有カプセルから放出される。温度上昇によるコア材料の放出の例は、スープに適用される香味料に見いだされる。
【0036】
コア材料を放出する他の方法は制御された加水分解によるものであり、例として、水性環境のpHの減少又は増加によって開始され、(食器)洗浄機用のカプセル化された芳香成分又はカプセルから成る薬からの酵素的放出に適応される。放出速度を制御するために、包む壁の厚さは特定の用途の必要条件に適応させることができる。壁の厚さを制御する簡潔な方法は、壁の厚さに関して粒度を考慮して溶媒中の混合物の濃度を選択することによるものである。混合物と溶媒との重量比は、一般に0.05と0.8の間にあり、その正確な範囲は、使用される式(I)又は(V)の特定の化合物の溶解度に強く依存する。式(I)又は(V)の化合物は、典型的に上述した範囲で最大溶解度を有する。特定の化合物の正確な範囲は、当業者によって容易に決められることができる。
【0037】
本発明はまた、動物及びヒト両方の医学的処置における用途を見いだす。医薬は本発明の方法によってカプセル化されて、摂取時に持続放出を生じ、これに伴い持続的治療作用を発揮することができる。胃で溶けないコーティング剤は、塩酸エメチン、塩酸キナクリン、及びパラアミノサリチル酸などの医薬によって引き起こされる胃刺激又は嘔気という課題を解決するために調製されることができる。同様に、酸性条件又は胃で遭遇する酵素によって不活性化されるペニシリンなどの医薬及びある種の腺抽出物は、有利にはカプセル化される。
【0038】
さらに、本発明は、壁材料が請求項1の式(I)の化合物から調製される樹脂を含む、コア材料及び壁材料を含むカプセル化された原料にも関する。好ましい実施形態において、式(I)の化合物は式(V)(式中、複素環式アミノトリアジン基はR、R、及びRによって形成され、RはHであり、Rはメチル又はエチルである)で示されるアミノ化合物である。本発明の、より好適なカプセル化された原料において、アミノトリアジン環はメラミンから誘導される。
【0039】
本発明のカプセル化された原料のさらなる利点は、壁材料の加水分解が85℃以上で起きるということである。
【0040】
本発明は、以下の非限定的実施例において、更に説明される。
【0041】
実施例1:
反応容器に、62.9グラムのメラミン、89.2グラムのメチルグリオキシラート、及び64.8グラムの水を加えた。この混合物を定速撹拌下に置き、メラミンがグリオキシラートと完全に反応し樹脂が透明になるまで、80℃で油浴中で加熱した。それから、Ultra Turrax T25を用いた24,000rpmの激しい攪拌下、80℃のパラフィン油50グラム(非水溶性染料(Solvent Blue 59)5mgを含む)を、慎重に混合させた。
油と樹脂の分散を安定させるため、界面活性剤(Disperbyk-181)を添加した。加温油/樹脂分散を、撹拌下、冷水に慎重に加え;このようにして、カプセルの硬化を冷却より達成した。油/樹脂分散体は水中で沈殿した。沈殿物をろ紙によってろ過し、ろ液として無色の液体を放置し;淡青色粉末を50℃の真空オーブンで乾燥させた。粉末を「遊離」パラフィン油の量を測定するためにヘプタンで洗浄した。測定された減量は3.6%であった。洗浄された粉末(色はなお淡青色)は、それから示差走査熱量測定によって分析されて、70℃でガラス転移を示し、またその粉末がパラフィン油を含んでいることを示した。乳鉢で粉末を粉砕して、より強い青色に着色したペーストを得た。
【0042】
実施例2
10mgの色素(Solvent Blue 59)を100gのパラフィン油中に溶解させた。この染色された油乳濁液は、800分−1で作動するUltraturrax混合装置で5gのDisponyl(登録商標)FES 77(ナトリウムラウリルエーテルサルフェート、アニオン性分散剤、供給元コグニス社)を用いて水中で製造された。
別に、10.2gのメラミン、18gのGMHA、及び12gの水の混合物を80℃まで加熱して5分間撹拌し、澄んだ樹脂溶液を得た。染色された油乳濁液は、それから樹脂溶液に継続的撹拌下で添加し、温度を60℃に4時間維持した。このようにして、カプセルの硬化を、壁材料の長時間反応によって達成させた。分散体を室温に冷却してろ過し、無色ろ液を放置した。ろ過ケーキを風乾させ、淡青色の固体粉末に穏やかに粉砕した。粉末を、「遊離」パラフィン油の量を測定するために、ヘプタンで洗浄した。測定された減量は3%であった。洗浄された粉末(色はなお淡青色)は、それから示差走査熱量測定によって分析されて、70℃でガラス転移を示し、またその粉末がパラフィン油を含んでいることを示した。乳鉢で粉末を粉砕して、より強い青色に着色したペーストを得た。
【0043】
実施例3
10mgの色素(Solvent Blue 59)を100gのパラフィン油中に溶解させた。この染色された油の乳濁液を、800分−1で作動するUltraturrax混合装置で5gのp−DADMAC(ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド、カチオン性分散剤、Mw50,000)を用いて、水中で製造された。別に、10.2gのメラミン、18gのGMHA、及び12gの水の混合物を、80℃まで加熱して5分間撹拌し、澄んだ樹脂溶液を得た。
染色された油乳濁液を、それから樹脂溶液に継続的撹拌下で添加し、温度を60℃に4時間維持した。このようにして、カプセルの硬化を、壁材料の長時間反応によって達成させた。分散体を室温に冷却してろ過し(無色ろ液は放置した)、水を蒸発させた。ろ過ケーキを風乾させ、淡青色の固体粉末に穏やかに粉砕した。粉末を、「遊離」パラフィン油の量を測定するために、ヘプタンで洗浄した。測定された減量は3%であった。洗浄された粉末(色はなお淡青色)は、それから示差走査熱量測定によって分析されて、70℃でガラス転移を示し、またその粉末がパラフィン油を含んでいることを示した。乳鉢で粉末を粉砕して、より強い青色に着色したペーストを得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程:
(1)溶媒中にアミノ化合物(I)の溶液を形成させること;
(2)溶液中にコア材料の分散を形成させること;
(3)アミノ化合物を樹脂としてコア材料の表面上に沈着させてカプセルを形成させること;及び
(4)場合により、カプセルを硬化させる及び/又は回収すること
を含む、カプセル形成方法
〔ここで、工程(1)及び工程(2)は順番に又は同時に実施され、
また、アミノ化合物(I)は以下の式:
【化1】


(式中、
−Xは、O又はNRであり;
−EWGは、電子求引性基であり;
−R、R、R、Rは、H、アルキル、シクロアルキル、複素環式基のアリールであり;
−R、R、及びR、又はR、R、及びRは、一緒になって複素環式基を形成してもよい)を有する〕。
【請求項2】
EWGが酸−、エステル−、シアノ−、ジ−アルキルアセタール−、アルデヒド−、置換フェニル−、又はトリハロメチル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(1)で溶媒中のアミノ化合物/アルカノールヘミアセタール混合物から化合物(V)の溶液を形成させる
〔ここで、化合物(V)は以下の式:
【化2】


(式中、
−Xは、O又はNRであり;
−Rは、C−C12アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はシクロアルキル基であり;
− R、R、R、Rは、H、アルキル、シクロアルキル、複素環式基のアリールであり;
−R、R、及びR、又はR、R、及びRは、一緒になって複素環式基を形成してもよい)で示されるアミノ化合物である〕、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
溶媒が水である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
アミノ基/ヘミアセタールのモル比が3と1の間である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
コア材料及び壁材料を含むカプセル化された原料であって、壁材料が請求項1の式(I)の化合物から製造される樹脂を含むことを特徴とする材料。
【請求項7】
式(I)の化合物が、式(V)(式中、複素環式アミノトリアジン基はR、R、及びRにより形成され、RはHであり、Rはメチル又はエチルである)で示されるアミノ化合物である、請求項6記載のカプセル化された原料。
【請求項8】
アミノトリアジン環がメラミンから誘導される、請求項7に記載のカプセル化された原料。
【請求項9】
コア材料が着香剤、香味剤、又は着色剤を含む、請求項6〜8のいずれか記載のカプセル化された原料。
【請求項10】
コア材料が栄養補助食品を含む、請求項6〜8のいずれか一項に記載のカプセル化された原料。
【請求項11】
コア材料が肥料、除草剤、又は殺虫剤を含む、請求項6〜8のいずれか一項に記載のカプセル化された原料。
【請求項12】
コア材料が医薬を含む、請求項6〜8のいずれか一項に記載のカプセル化された原料。
【請求項13】
コア材料が漂白剤又は織物加工剤を含む、請求項6〜8のいずれか一項に記載のカプセル化された原料。

【公表番号】特表2007−528782(P2007−528782A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516982(P2006−516982)
【出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000412
【国際公開番号】WO2004/110614
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】