説明

カプセル化された活性成分を含む薬物送達システム

本発明は、可食性フィルム内にカプセル化された有効成分を含む薬物送達システムに関し、ここで、可食性フィルムは、好ましくは、有効成分が血流に入るように頬粘膜投与を提供する。本発明の薬物送達システムは、鎮静及び/又は睡眠効果を提供するのに非常に効果的な、カプセル化された医薬有効成分の頬粘膜投与を提供するのにとりわけ有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル化された有効成分を含む薬物送達システムに関し、ここで、有効成分が頬粘膜投与されて血流に入るように、有効成分は好ましくは口腔粘膜によって吸収される。特に、本発明は、鎮静及び/又は睡眠効果を提供するのにとりいわけ有効な、カプセル化された医薬有効成分の頬粘膜投与を提供する、可食性フィルム類を含む薬物送達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
感冒、インフルエンザ、体重低下、睡眠障害、鼻炎(sinus)、アレルギー、歯垢、歯肉炎、口臭などに関する症状の治療に好適な多くの経口摂取医薬製品類が存在する。市場性の高い他の経口摂取医薬製品類には、ビタミン剤類、栄養補助食品類、利尿薬類、抗癲癇薬類、及び催眠薬類などが挙げられる。市販の複数の経口摂取医薬製品類に加えて、息清涼剤類、息清涼ガム類、液体充填息清涼ロゼンジ(lozenge)類、口内スプレー類、義歯接着剤類、歯ホワイトニング製品類、歯垢除去製品類、窩洞予防及び治療用製品類、及び歯石除去製品類などを含む、様々な経口摂取の化粧及び口腔ケア製品類が存在する。これらの製品類は、典型的には薬物送達システムを使用して投与される有効成分を含む。
【0003】
有効成分の送達に好適な薬物送達システムは、一般に、液体類、粉末類、カプセル類、フィルム類、ドロップ類、エリキシル剤類、スプレー類、シロップ類、及びチューインガム類などの形態である。これらのシステムの一般的な成分には、水、及びエタノール及びポリエチレングリコールなどの水混和性溶媒類が挙げられる。本質的に、薬物送達システムは、治療効果を提供するため、口腔などの部位に有効成分を送達するのに利用される。例えば、医薬有効成分の場合、有効成分が血流中に送達されるように、頬粘膜投与として既知の常法を使用し医薬有効成分を送達することができる。
【0004】
頬粘膜投与のプロセスは、有効成分が最初に胃腸管で吸収された後、血流中に送達されることなく、医薬有効成分などの有効成分が経粘膜送達されて直接血流に入ることを含むと考えられる。頬粘膜投与される組成物類は、一般に、有効成分が経粘膜送達されるように、粘膜に吸収される液体含量を含むように処方される。典型的には有効成分を含む液体含量は、その液体の形態で投与されてもよく、又は、その液体は液体エリキシル剤、ゼラチンカプセル、シロップ処方、又は液体スプレー類などに包含されてもよく、又は、その液体は有効成分を経粘膜送達するためのポリマーフィルム形成剤類と混和されてもよい。
【0005】
消費者が最近、関心を寄せているのは、有効成分が経口摂取されて胃腸管に入るか、又は頬粘膜投与により、有効成分が吸収されて血流に入るようにするためにポリマーフィルムマトリックスに組み込まれた有効成分、とりわけ、医薬有効成分の投与であった。頬粘膜投与では、医薬有効成分などの有効成分が迅速に吸収されて血流に入り、消費者に許容可能な治療効果を達成することができる。そのため、有効成分及びポリマーフィルムを含む薬物送達システムを処方する試みが行われてきたが、そこでは、有効成分は、有効成分が血流中に直接送達されるように有効成分を頬粘膜投与するためのフィルム内に組み込まれる。
【0006】
ポリマーフィルム類を使用して有効成分を頬粘膜投与する1つの試みは、米国特許第5,948,430号に開示されている。この開示には、ヒドロプロピルメチルセルロースなどの水溶性ポリマーフィルム形成剤と混和される医薬有効成分又は化粧有効成分を含む組成物類が記載されており、そこでは、口腔内に投与するため、フィルム組成物をコーティングした後、乾燥させる。米国特許第5,948,430号に開示されているフィルム組成物類は、単層フィルム類として記載されており、これは、口腔粘膜に適用されるように、口腔内で迅速に軟化し、完全に崩壊すると述べられている。
【0007】
ポリマーフィルム類を使用して有効成分を頬粘膜投与する別の試みは、米国特許第3,972,995号に開示されており、これは、有効成分と水溶性又は非水溶性のポリマーフィルム形成剤類から構成される層を含む可食性フィルム類を記載している。米国特許第3,972,995号に開示されている可食性フィルム類は、長期間、口の内面などの湿った体表面に接着することができる可食性フィルム類であると述べられている。
【0008】
更に、ポリマーフィルム類を使用して有効成分を頬粘膜投与する別の試みが、PCT国際公開特許WO02/43657に開示されている。PCT国際公開特許WO02/43657には、有効成分、及びプルランフィルム形成剤以外のフィルム形成剤類を含む可食性フィルムが開示されている。PCT国際公開特許WO02/43657に記載されている可食性フィルム類は、典型的には、フィルム形成剤を含有する溶液に有効成分を添加した後、この混合物をガラス板上に注ぎ、薄膜を形成することによって製造される。
【0009】
また更に、口腔摂取に好適な可食性フィルムを処方する別の試みが、米国特許第6,419,903号に開示されている。米国特許第6,419,903号に開示されている可食性フィルムは、息清涼剤類の送達に好適であると記載されており、そこでは、フィルムは、息清涼剤、ヒドロキシアルキルメチルセルロースフィルム形成ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はHPMC)及び水分散性デンプンの均質な混合物から形成される。
【0010】
ポリマーフィルム材料類を含む可食性フィルム類の他の開示には、米国特許第4,623,394号が挙げられる。米国特許第4,623,394号は、含水条件で、制御された崩壊を示し、既知のポリマープルランフィルム形成剤をヘテロマンナンと組合せて含む可食性成形物品類を包含する成形物品を開示している。米国特許第4,623,394号に開示されている成形物品類は、医薬有効成分及び呈味剤類などの1種類以上の物質を更に含むことができる。
【0011】
また、ポリマーフィルム材料類を含有するカプセル類が以前に開示されており、そこでは、カプセル類は、治療効果を提供するため、有効成分の経口投与に使用するのに好適である。このようなカプセルをベースにする製品類には、米国特許第6,352,719号、米国特許第6,238,696号、米国特許第6,214,378号、米国特許第6,413,463号、米国出願公開第2001/0036473号、PCT国際公開特許WO01/10443、PCT国際公開特許WO02/39980、PCT国際公開特許WO8504100、及び、「HPMCカプセル類の利点:新世代の硬カプセル(Advantages to HPMC Capsules:A New Generation's Hard Capsule)」(シュンジ・ナガタ著、薬物送達技術、2002年3月/4月、第2巻、2号(Shunji Nagata in Drug Delivery Technology,March/April 2002,Vol.2,No.2.))と題された公開論文に記載されるものが挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
当該技術分野の傾向は、ポリマーフィルム材料類を含むものなどの薬物送達システムを使用して有効成分を送達することであるが、改善された有効成分送達を提供する可食性フィルムを含む薬物送達システムが、依然として必要とされていることが分かった。このため、可食性フィルムでカプセル化された有効成分を含む薬物送達システムが開発されてきたが、これは、これらの有効成分、とりわけ睡眠障害に関する症状を治療するために投与される有効成分の送達にとりわけ有効であることが分かった。これらの薬物送達システムは、有効成分の頬粘膜投与に特に好適である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、(a)有効成分、及び(b)水溶性可食性フィルムを含み、有効成分が可食性フィルム内にカプセル化されている薬物送達システムに関する。
【0014】
本発明は、また、有効成分を口腔に投与するのに、特に、有効成分を頬粘膜投与するのに好適な薬物送達システムを製造する方法に関し、ここで、これらの薬物送達システムを製造する方法は、(a)ポリマーフィルム形成剤類から製造される水溶性可食性フィルムを調製する工程、及び(b)有効成分を可食性フィルム内にカプセル化する工程を含む。
【0015】
鎮静及び/又は睡眠効果を提供する有効成分などの有効成分の送達の改善は、可食性フィルム内にカプセル化された有効成分を含む薬物送達システムによって達成できることが分かった。可食性フィルム内にカプセル化された有効成分を含む薬物送達システムでは、有効成分を血流中に送達するため、有効成分が口腔に容易に送達及び/又は吸収されるように、特に、口腔内の粘膜によって吸収されるように、フィルムは迅速に崩壊することが示されてきた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の薬物送達システムは、可食性フィルム内にカプセル化される有効成分を含む。好ましい有効成分は、睡眠障害に関する症状を治療するために典型的に用いられる1種類以上の有効成分が挙げられ、ここで、薬物送達システムは、これらの有効成分を頬粘膜投与するのにとりわけ有効である。
【0017】
本明細書で使用する時、「有効成分」の用語は、治療効果を提供することが知られているか、さもなければ治療効果を提供するのに有効である化合物類又は材料類を指す。「治療効果」は、症状又は状態の低減及び/又は緩和の感じを生じさせる、症状又は状態のあらゆる測定可能な、認知可能な、又は感知される変化である。「有効成分」は、望ましくない症状又は状態を治療するために、ヒト、ペット類、及び家畜類を包含する哺乳類が経口摂取するのに好適な、既知の、さもなければ有効な医薬、化粧、及び口腔ケア化合物類又は材料類を包含する。
【0018】
本明細書で使用する時、「可食性」の用語は、哺乳類による経口摂取を指す。本明細書で定義される「可食性」材料類は、個々の可食性成分、可食性成分の組合せ、及び、非可食性成分と可食性成分との組合せを包含するが、但し、可食性成分と非可食性成分は哺乳類が摂取するのに安全であり、有害な副作用を起こさないことを条件とする。
【0019】
本明細書で使用する時、「睡眠障害」の用語は、睡眠又は睡眠不足の開始、持続時間、及び/又は後効果を指す。換言すれば、「睡眠障害」は、以下に限定されないが、入眠時間、入眠能力の欠如、睡眠の量、中途覚醒、頻回覚醒、有効睡眠、睡眠効率、不眠症、休息感の欠如、断続的睡眠、及び、睡眠不足による疲労感、倦怠感、又は疲憊感などを指す。「睡眠」の用語は、典型的には、周期的に起こり、相対的な身体神経の不活性、応答性の減少、意識喪失、及び、脳波検査法を使用して測定される場合の典型的脳波パターンによって特徴付けられる休息状態を指す。
【0020】
本明細書で使用する時、「頬粘膜投与」の用語は、口腔への適用を指す。口腔は、口の近傍の、口に関する、又は口内にある表面を含み、口、喉、及び舌を被覆している粘膜を包含する。
【0021】
「周囲温度」及び「周囲条件」の用語は、本明細書では互換的に使用され、約1気圧、約50%の相対湿度、約25℃における周囲の条件を指す。
【0022】
本発明の薬物送達システムは、本明細書に記載される本発明の要素及び限定、並びに本明細書に記載される追加の又は任意の成分、構成成分、又は限定のいずれかを含むか、それからなるか、又は本質的にそれらからなることができる。
【0023】
本明細書に記載される出版物、特許出願、及び本明細書に記述する発行された特許を包含する本明細書で引用する全ての文献は、関連部分において、本明細書に参考として組み込まれる。いかなる文献の引用も、本発明に対する従来技術として利用できることの決定に関する容認ではない。
【0024】
(有効成分)
本発明の薬物送達システムは、有効成分、好ましくは医薬有効成分、更に好ましくは睡眠障害に関する症状の治療に治療効果を提供する医薬有効成分を含む。有効成分は、薬物送達システム中にカプセル化された有効成分として存在し、ここで、好適なカプセル化材料類は後述されている。
【0025】
本発明の薬物送達システムは、有効成分を個々の有効成分として、又は、有効成分の組合せとして含むが、但し、総有効成分含量は、本明細書に記載のカプセル化材料類を使用するカプセル化が可能であることを条件とする。例えば、本発明の薬物送達システムは、1種類以上の医薬有効成分、1種類以上の化粧有効成分、1種類以上の口腔ケア有効成分、又は、1種類以上の医薬有効成分及び/又は1種類以上の化粧有効成分及び/又は1種類以上の口腔ケア有効成分の組合せを含むことができる。
【0026】
有効成分は、本発明の薬物送達システムにカプセル化された有効成分として包含されるが、カプセル化の前に、有効成分溶媒類などの他の成分を含む組成物類中に、有効成分を処方することができる。換言すれば、カプセル化された有効成分を、本発明の薬物送達システム中に固体のカプセル化された有効成分として、半固体媒体中に溶解又は分散されたカプセル化有効成分として、又は、液体溶液中に溶解又は分散されたカプセル化有効成分として、包含することができる。
【0027】
本発明の薬物送達システムが固体のカプセル化された有効成分を含むとき、有効成分の濃度は、薬物送達システムの重量で、典型的には、約0.1ミリグラム(mg)〜約400mg、好ましくは約0.1mg〜約50mg、更に好ましくは約5.0mg〜約25mgの範囲である。
【0028】
好ましくは、本発明の薬物送達システムは、有効成分を、半固体媒体中に予め分散又は溶解された、カプセル化されている有効成分として含む。カプセル化の前に、有効成分は、好ましくは、親水性材料、疎水性材料、又はこれらの材料類の組合せの中に予め分散又は溶解され、半固体媒体を形成する。好適な親水性材料類には、以下に限定されないが、約25℃〜約56℃の溶解温度を有する親水性化合物類が挙げられ、その具体的な非限定例には、ポリエチレングリコール(PEG)600、PEG800、PEG1000、PEG1450及びこれらの混合物が挙げられる。好適な疎水性材料には、グリセリルモノオレエート、トリグリセロールモノオレエート、及びこれらの混合物が挙げられる。典型的には、有効成分は、半固体溶媒中に、半固体溶媒の約0.01%重量〜約50重量%、好ましくは約0.1重量%〜約20重量%、更に好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、更により好ましくは約1重量%〜約9重量%の範囲の濃度で包含される。また、半固体媒体中に他の可溶化剤類又は分散剤類を包含することができ、その非限定例には、水、ポリソルベート80、植物油、鉱油、ピーナッツ油、大豆油、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0029】
溶液をカプセル化する前に、本明細書で使用するのに好適な有効成分を液体溶液中に溶解又は分散させることができる。有効成分と溶液を形成するのに好適な液体類には、油中水型エマルション液体類、植物油、鉱油、レシチン類(大豆レシチン及びリゾレシチンを包含する)、及びこれらの混合物などの溶媒類が挙げられる。典型的には、有効成分は、液体溶液中に、液体溶液の約0.01%重量〜約50重量%、好ましくは約0.1重量%〜約20重量%、更に好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、更により好ましくは約1重量%〜約9重量%の濃度で包含される。
【0030】
本明細書で使用するのに好適な有効成分には、治療効果を提供するため、医薬、化粧、又は口腔ケア有効成分として使用するのに通常用いられる、いずれかの既知の、さもなければ有効な化合物類及び材料類が挙げられる。一般に、医薬有効成分は、典型的には、感冒、インフルエンザ、睡眠障害、鼻炎、アレルギー、癲癇などの不快な及び/又は慢性の病気から起こる症状を治療するために投与される。化粧有効成分は、一般に、息清涼効果及び歯ホワイトニング効果などの審美的に好ましい治療効果を提供するために投与される。口腔ケア有効成分は、一般に、歯垢、歯肉炎、口臭、窩洞予防及び治療、及びヘルペスなどに関する症状を治療するために投与される。前述のように、本発明の薬物送達システムは、1種類以上の医薬有効成分、1種類以上の化粧有効成分、1種類以上の口腔ケア有効成分、又は、これらの有効成分の組合せを含むことができる。医薬有効成分、化粧有効成分、及び口腔ケア有効成分は、経口摂取される薬物送達システムに使用するのに好適であるが、これらの有効成分は、また、局所薬物送達システム、又は、他のいずれかの既知の、さもなければ有効な医薬組成物、化粧組成物、及び口腔ケア組成物に組み込むことができる。好適な医薬有効成分、化粧有効成分、及び口腔ケア有効成分を、以下に詳細に記載する。
【0031】
(医薬有効成分)
本明細書で有効成分として使用するのに好適な医薬有効成分の非限定例には、鎮静薬類、催眠薬類、抗癲癇薬類、覚醒剤類、筋肉弛緩薬類、向精神神経剤類、神経筋遮断剤類、鎮痙剤類、坑アレルゲン剤類、強心薬類、坑不整脈薬類、利尿薬類、降圧薬類、血管収縮薬類、血管拡張薬類、止血薬類、甲状腺ホルモン類、性ホルモン類、抗糖尿病薬類、抗精神病薬類、抗腫瘍剤類、抗生物質類、制吐薬類、化学療法薬類、ステロイド類、免疫抑制薬類、麻酔薬類、ビタミン剤類、栄養補助食品類、鎮咳薬類、抗ヒスタミン薬類、非鎮静抗ヒスタミン薬類、うっ血除去薬類、去痰薬類、粘液溶解薬類、鎮痛薬類、解熱薬類、抗炎症剤類、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書で有効成分として使用するのに好適な好ましい医薬有効成分には、鎮静薬類、催眠薬類、血管拡張薬類、鎮咳薬類、抗ヒスタミン薬類、非鎮静抗ヒスタミン薬類、うっ血除去薬類、去痰薬類、粘液溶解薬類、鎮痛薬類、解熱薬類、抗炎症剤類、及びこれらの混合物が挙げられる。鎮静薬類、及び催眠薬類は、最も好ましい医薬有効成分である。
【0032】
本明細書で好ましい医薬有効成分として使用するのに好適な鎮静薬類、及び催眠薬類の具体的な非限定例には、睡眠障害の治療に治療効果を提供できる鎮静薬類及び/又は催眠薬類が挙げられる。好適な具体的鎮静薬類及び催眠薬類には、ドキシラミン類(コハク酸ドキシラミンを包含する)、メラトニン類、ベンゾジアゼピン類(ミダゾラム及びトリアゾラムを包含する)、バルビツレート類、ピペラジン類、クロニジン類、ニトログリセリン類、イミダゾピリジン類、ピラゾロピリミジン類、これらの医薬上許容される塩類、及びこれらの混合物が挙げられる。ドキシラミン類が最も好ましい。市販の好ましいドキシラミン医薬有効成分の一例は、米国ニュージャージー州ペンズビル(Pennsville,New Jersey,USA)にあるゲインズ・ケミカルズ社(Ganes Chemicals Ltd.)から市販されているコハク酸ドキシラミンである。
【0033】
本明細書で医薬有効成分として使用するのに好適な抗生物質類の具体的な非限定例には、オーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、メトロニダゾール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0034】
本明細書で医薬有効成分として使用するのに好適な鎮咳薬類の具体的な非限定例には、咳の発作などの感冒の症状を治療するのにとりわけ有効な鎮咳化合物類が挙げられる。好適な具体的鎮咳薬類には、コデイン、デキストロメトルファン、デキストロルファン、ヒドロコドン、ノスカピン、オキシコドン、ペントキシベリン、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明の薬物送達システムが鎮咳医薬有効成分を含む場合、デキストロメトルファンは最も好ましい鎮咳薬である。本明細書で使用する時、「デキストロメトルファン」は、ラセメトルファン、(±)−3−メトキシ−17−メチルモルフィナン、dl−cis−1,3,4,9,10,10a−ヘキサヒドロ−6−メトキシ−11−メチル−2H−10,4a−イミノエタノフェナントレン、及びその医薬上許容される塩類(臭化水素酸デキストロメトルファンを包含する)を意味する。デキストロメトルファン、及びその医薬上許容される塩類は、米国特許第5,196,436号(スミス(Smith)、1993年3月23日発行)に更に完全に記載されており、その記載は参考として本明細書に組み込まれる。
【0035】
本明細書で医薬有効成分として使用するのに好適な抗ヒスタミン薬類の具体的な非限定例には、アクリバスチン、アザタジン、ブロムフェニルアミン、マレイン酸ブロムフェニルアミン、クロルフェニラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、デキスブロムフェニラミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、メクリジン、フェニラミン(pheninamine)、フェニルトロキサミン、プロメタジン、ピリラミン、マレイン酸ピリラミン、トリペレンナミン、トリプロリジン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
本明細書で医薬有効成分として使用するのに好適な非鎮静抗ヒスタミン薬類の具体的な非限定例には、アステミゾール、セチリジン、エバスチン、フェキソフェナジン、ロラタジン(loratidine)、テルフェナジン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0037】
本明細書で医薬有効成分として使用するのに好適なうっ血除去薬類の具体的な非限定例には、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、塩酸プソイドエフェドリン、硫酸プソイドエフェドリン、エフェドリン、フェニレフリン、塩酸フェニレフリン、オキシメタゾリン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
本明細書で医薬有効成分として使用するのに好適な去痰薬類の具体的な非限定例には、塩化アンモニウム、グアイフェネシン(guafenesin)、トコン流エキス剤、ヨウ化カリウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0039】
本明細書で医薬有効成分として使用するのに好適な粘液溶解薬類の具体的な非限定例には、アセチルシステイン、アンブロキソール、ブロムヘキシン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0040】
本明細書で医薬有効成分として使用するのに好適な鎮痛薬類、解熱薬類、及び抗炎症剤類の具体的な非限定例には、アセトアミノフェン、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、サリチルアミド、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、カフェイン、ケトロラク、インドメタシン、メクロフェナム酸、COX−2阻害薬(バルデコキシブ、セレコキシブ、及びロフェコキシブなど)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
(化粧有効成分)
本明細書で有効成分として使用するのに好適な化粧有効成分の非限定例には、口腔衛生に通常使用される息清涼化合物類、歯科及び/又は口腔清浄剤類に使用される有効成分、歯ホワイトニング剤類、歯着色汚れ漂白剤類、歯着色汚れ除去剤類、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0042】
本明細書で化粧有効成分として使用するのに好適な息清涼化合物類の具体的な非限定例には、メントール類、スペアミント類、スペアミント油類、ペパーミント類、ペパーミント油類、ウィンターグリーン類、冬緑油類、シナモン誘導体類、カルボキサミド類、環状スルホン類、スルホキシド類、及びこれらの混合物が挙げられる。メントール類及びカルボキサミド類は好ましい息清涼化合物類である。
【0043】
本明細書で好ましい息清涼、化粧有効成分として使用するのに好適な市販のメントール類の非限定例には、日本、東京の高砂香料工業株式会社(Takasago Perfumery Co.,Ltd.,Tokyo,Japan)からTK10として入手可能な3−1−メトキシプロパン−1,2−ジオール、ハーマン・アンド・ライマー(Haarmann and Reimer)からMGAとして入手可能なメントングリセロールアセタール、ハーマン・アンド・ライマー(Haarmann and Reimer)からフレスコラット(Frescolat)(登録商標)として入手可能なメンチルラクテート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0044】
本明細書で好ましい息清涼、化粧有効成分として使用するのに好適な市販のカルボキサミド類の非限定例には、WS−3及びWS−23の商品名で入手可能なパラメンタンカルボキサミド類(paramenthan carboxamides)が挙げられる。WS−3は、通常、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミドと称され、スターリング・オーガニックス(Sterling Organics)から入手可能である。WS−3は、米国特許第4,136,163号(ワトソン(Watson)ら、1979年1月23日発行)に更に完全に記載されており、この記載は本明細書に参考として組み込まれる。WS−23は、通常、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミドと称される。また、WS−3及びWS−23の混合物も、本明細書で使用するのに好適である。
【0045】
本明細書で化粧有効成分として使用するのに好適な歯ホワイトニング剤類の具体的な非限定例には、過酸化物類(過酸化水素、過酸化尿素、及び過酸化カルシウムを包含する)、過ホウ酸塩類、過炭酸塩類(過炭酸ナトリウムを包含する)、ペルオキシ酸類、過硫酸塩類(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸リチウムを包含する)、金属亜塩素酸塩類(亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、及び亜塩素酸カリウムを包含する)、次亜塩素酸塩類、ニ酸化塩素類、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
(口腔ケア有効成分)
本明細書で有効成分として使用するのに好適な口腔ケア有効成分の非限定例には、抗結石剤類、抗齲食剤類、抗微生物剤類、象牙質徐痛剤類、麻酔剤類、H−2拮抗薬類、栄養素類、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの有効成分が対処する口腔状態の例には、以下に限定されないが、歯の外観及び構造の変化、歯垢除去、歯石除去、窩洞予防及び治療、炎症性及び/又は出血性歯肉、粘膜創傷、病変、潰瘍、アフター性潰瘍、ヘルペス、及び歯性膿瘍などが挙げられる。
【0047】
本明細書で口腔ケア有効成分として使用するのに好適な抗結石剤類の具体的な非限定例には、ポリホスフェート類及びその塩類(トリポリホスフェート類、テトラポリホスフェート類、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム、及びヘキサメタリン酸ナトリウムを包含する)、ピロホスフェート類及びその塩類(ピロリン酸三ナトリウム類、ピロリン酸ニ水素ニナトリウム、ピロリン酸ニカリウム、ピロリン酸四ナトリウム、及びピロリン酸四カリウムを包含する)、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)及びその塩類、ポリオレフィンスルホネート類及びその塩類、ポリビニルホスフェート類及びその塩類、ポリオレフィンホスフェート類及びその塩類、ジホスホネート類及びその塩類(アゾシクロアルカン−2,2−ジホスホン酸類及びその塩類、アゾシクロアルカン−2,2−ジホスホン酸類及びその塩類のイオン類(アルカン部分の炭素数が5、6又は7であり、窒素原子が置換されていないか、又は低級アルキル置換基(例えば、メチル)を有するものなど)、アザシクロヘキサン−2,2−ジホスホン酸、アザシクロペンタン−2,2−ジホスホン酸、N−メチル−アザシクロペンタン−2,3−ジホスホン酸、EHDP(エタンヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸)、AHP(1−アゾシクロヘプチリデン−2,2−ジホスホン酸としても知られる、アザシクロヘプタン−2,2−ジホスホン酸)、エタン−1−アミノ−1,1−ジホスホネート、及びジクロロメタン−ジホスホネートを包含する)、ホスホノアルカンカルボン酸及びその塩(ホスホノプロパントリカルボン酸(PPTA)、及びホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸(PBTA)を包含する)、ポリホスホネート類及びその塩類、ポリビニルホスホネート類及びその塩類(ポリビニルホスホン酸を包含する)、ポリオレフィンホスホネート類及びその塩類(オレフィン基の炭素数が2つ以上のものを包含する)、ポリペプチド類(ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸を包含する)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0048】
本明細書で口腔ケア有効成分として使用するのに好適な抗齲食剤類の具体的な非限定例には、キシリトール、フッ化物イオン供給源、及びこれらの混合物が挙げられる。フッ化物イオン供給源は、本発明の薬物送達システムの使用中に遊離フッ化物イオン類を提供すると考えられ、ここで、フッ化物イオン供給源は、フッ化ナトリウム、フッ化第一スズ、フッ化インジウム、有機フッ化物類(フッ化アミン類など)、モノフルオロリン酸ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。本発明の薬物送達システムが歯の表面と接触するとき、フッ化物イオン供給源は、百万当り約50部(ppm)〜約10,000ppm、更に好ましくは約100ppm〜約300ppmの範囲のフッ化物イオン類を提供することができる。フッ化物イオン供給源は、米国特許第2,946,725号(ノリス(Norris)ら、1960年7月26日発行)、及び米国特許第3,678,154号(ウィダー(Widder)ら、1972年7月18日発行)に更に完全に記載されており、それらの記載は本明細書に参考として組み込まれる。
【0049】
本明細書で口腔ケア有効成分として使用するのに好適な抗微生物剤類の具体的な非限定例には、アレキシジン、クロルヘキシジン(塩酸クロルヘキシジンを包含する)、ヘキセチジン、サンギナリン、ヘキシルレゾルシン、塩化ベンザルコニウム、塩化デクアリニウム、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化テトラデシルピリジニウム(TPC)、エタクリジン、サリチルアニリド、臭化ドミフェン、トリクロサン、亜塩素酸ナトリウム、塩化N−テトラデシル−4−エチルピリジニウム(TDEPC)、ピペリジノ誘導体類(オクテニジン、デルモピノール、及びオクタピノールを包含する)、サリチル酸メチル、抗微生物金属類及びその塩類(例えば、亜鉛イオン類、第一錫イオン類、及び銅イオン類などを提供するもの)、ビスビグアニド類、フェノール類、抗真菌薬類(カンジダアルビカンスの治療に用いられるものなど)、これらの類似体類、これらの塩類、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0050】
本明細書で口腔ケア有効成分として使用するのに好適な象牙質徐痛剤類の具体的な非限定例には、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、天然ハーブ類(没食子(gall nut)、アサルム、キューベビン(Cubebin)、ガランガ、スクテラリア、両面針(Liangmianzhen)、ビャクシ(Baizhi)など)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0051】
本明細書で口腔ケア有効成分として使用するのに好適なH−2拮抗薬類の具体的な非限定例には、シメチジン、エチンチジン、ラニチジン、ICIA−5165、チオチジン、ORF−17578、ルピチジン(lupitidine)、ドネチジン(donetidine)、ファモチジン、ロキサチジン、ピファチジン(pifatidine)ラムチジン、BL−6548、BMY−25271、ザルチジン(zaltidine)、ニザチジン(nizatidine)、ミフェンチジン、BMY−25368(SKF−94482)、BL−6341A、ICI−162846、ラミクソチジン(ramixotidine)、Wy−45727、SR−58042、BMY−25405、ロクスチジン(loxtidine)、DA−4634、ビスフェンチジン、スフォチジン(sufotidine)、エブロチジン(ebrotidine)、HE−30−256、D−16637、FRG−8813、FRG−8701、インプロミジン、L−643728、HB−408、ブリマミド、メチアミド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0052】
本明細書で口腔ケア有効成分として使用するのに好適な栄養素類の具体的な非限定例には、ミネラル類(カルシウム、リン、フッ化物、亜鉛、マンガン、及びカリウムを包含する)、口腔ケアビタミン類(ビタミンC、ビタミンD、チアミン、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、葉酸、ニコチンアミド、ピリドキシン、シアノコバラミン、p−アミノ安息香酸、及びバイオフラボノイド類を包含する)、経口栄養補助食品類(アミノ酸類、脂肪親和物質類、及び魚油を包含する)、経腸栄養補助食品類(タンパク質製品類、グルコースポリマー類、コーン油、ベニバナ油、及び中鎖トリグリセリド類を包含する)及びこれらの混合物が挙げられる。
【0053】
本発明は、カプセル化された有効成分を含む薬物送達システムに関する。しかし、本発明の薬物送達システムは、カプセル化されていない有効成分を含有する組成物又は製品に組み込むのに好適であるということが想到される。カプセル化されていない好適な有効成分は、本発明の薬物送達システム中にカプセル化された有効成分として存在する有効成分を包含する。
【0054】
(可食性フィルム)
本発明の薬物送達システムは、前述の有効成分をカプセル化する可食性フィルムを含む。可食性フィルムが口腔内に投与された時、可食性フィルムが迅速に崩壊し、口腔内に有効成分が放出されるように、好ましくは口腔粘膜に有効成分が吸収されるように、有効成分を可食性フィルムの中にカプセル化する。カプセル化された有効成分を投与すると、口腔粘膜で吸収される有効成分の送達が改善される。
【0055】
本発明で使用するのに好適な可食性フィルムは、好ましくは、水溶性で、口腔などの水性環境中で迅速に崩壊できるポリマーフィルム形成剤類を含む。可食性フィルムは、水溶性ポリマーフィルム形成剤類を、非水溶性又は水分散性の材料類と組合せて含むことができるが、但し、得られる可食性フィルムは水性環境中で崩壊し、可食性フィルムが溶解できることを条件とする。「可食性フィルム」及び「可食性フィルム類」の用語は、本明細書では互換的に使用され、これらの用語の単数及び複数の形態を包含する。
【0056】
可食性フィルムの崩壊は、ポリマーフィルム形成剤類の破壊又は分解を測定する、いずれかの既知の、又は他に有効な技術を使用して測定することができる。好適な技術は、唾液、人工唾液、又はこれらの組合せが約50ミリリットル(ml)入ったビーカーに可食性フィルムを添加した後、可食性フィルムが破壊又は分解するまで混合物の温度を約37℃に維持しながら、可食性フィルムと唾液混合物を毎分約400回転(rpm)で攪拌することを含む。ポリマーフィルム形成剤類の破壊又は分解を測定する別の好適な技術には、可食性フィルムの摂取前に1時間、食物又は飲み物を控えた被験者の舌に可食性フィルムを載せた後、被験者が感知する可食性フィルムの溶解時間を記録することが挙げられる。本明細書で使用するのに好適な可食性フィルムは、口腔などの水性環境中で、約20秒〜約120秒、好ましくは約30秒〜約60秒で崩壊し、その結果、可食性フィルムが溶解してカプセル化された有効成分が口腔内に放出される。
【0057】
本発明で使用するのに好適な可食性フィルムは、1層以上のポリマーフィルム形成剤類を含むことができるが、但し、得られる可食性フィルムは迅速な崩壊を経ることができることを条件とする。典型的には、好適な可食性フィルムは、約0.01ミリメートル(mm)〜約0.1mm、好ましくは約0.04mm〜約0.08mmの膜厚を有する。可食性フィルムが複数の層を含む場合、各層の膜厚は、一般に、約0.005mm〜約0.06mmの範囲であるが、得られる可食性フィルムの厚さは、約0.01mm〜約0.1mmの範囲である。ポリマーフィルム形成剤類から製造されるカプセル類とは異なり、本発明で使用するのに好適な可食性フィルムは、水性環境中で迅速に崩壊する薄膜カプセル化材料と記載することができ、好ましくは、可食性フィルムは、可食性フィルムを口腔内に頬粘膜投与すると、迅速に崩壊して、カプセル化された有効成分を放出する薄膜として特徴付けられる。
【0058】
本発明で使用するのに好適な可食性フィルムは、可食性パウチ類、可食性小袋類、可食性ストリップ類、可食性ロッド類、可食性ブリスターパック類、可食性スティックパック類などを包含する、様々なポリマー製品の形態で投与することができる。製品形態は、円、楕円(oval)、正方形、管状、楕円形(elliptical)、円錐、円筒形、及び半球状などの形状で製造することができるが、但し、これらの形態及び形状が、本明細書に定義される必要な膜厚を有する可食性フィルム類であることを条件とする。
【0059】
前述のように、本発明で使用するのに好適な可食性フィルムは、水溶性ポリマーフィルム形成剤類を含む。好適な水溶性ポリマーフィルム形成剤類の非限定例には、ポリマーセルロース誘導体類、天然ポリマー類、ポリマーガム類、プルラン類、ポロキサマー類、ポリビニルピロリドン類(PVP類)、デキストランポリマー類、カルボキシポリメチレン類、カルボキシビニルポリマー類、ポリメチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー類、ペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類、スクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類、ジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類、及びこれらの混合物が挙げられる。水溶性ポリマーセルロース誘導体類は、本明細書で定義される可食性フィルムを形成するのに好ましいポリマー類である。
【0060】
本明細書で好ましいポリマーフィルム形成剤として使用するのに好適な水溶性ポリマーセルロース誘導体類の具体的な非限定例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースの塩類(カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を包含する)、及びこれらの混合物が挙げられる。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、最も好ましいポリマーフィルム形成剤である。
【0061】
好ましくは、本明細書に定義される可食性フィルムは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの2%溶液を使用して測定される時、約3.0ミリパスカル・秒(mPa・s)〜約50mPa・s、好ましくは約3.0mPa・s〜約6.0mPa・sの粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。前記に定義される範囲内の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースフィルム形成剤を含む可食性フィルム類は、水溶性環境中で迅速に崩壊し、有効成分の送達を改善できる、好ましくは有効成分の口腔内への送達を改善できることが分かった。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの粘度は、粘度を決定するいずれかの既知の、又は他の有効な技術で決定することができる。好適な技術は、20℃のポリマー水溶液の粘度を決定することができるウベローデ管粘度計(Ubbelohde tube viscometer)の使用を含む。
【0062】
市販の好ましいヒドロキシプロピルメチルセルロースフィルム形成剤類の具体例には、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company)(米国ミシガン州ミッドランド(Midland,Michigan,USA))からメトセルE5プレミアムLV(Methocel E5 Premium LV)及びメトセルE3プレミアムLV(Methocel E3 Premium LV)の商品名で市販されているヒドロキシプロピルメチルセルロース類が挙げられる。メトセルE5及びメトセルE3プレミアムLVは、29.1%メトキシル基及び9%ヒドロキシプロピル基置換を有する、USPグレードの低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース類である。メトセルE5プレミアムLVは、20℃のメトセルE5プレミアムLVの2重量%水溶液の粘度を決定するためウベローデ管粘度計(Ubbelohde tube viscometer)を使用して測定する時、典型的には、約5.1mPa・sの粘度を有する白色又はオフホワイトの自由流動性乾燥粉末として市販されている。また、メトセルE3プレミアムLVは、ウベローデ管粘度計(Ubbelohde tube viscometer)技術を使用してポリマーフィルム形成剤の2%溶液を測定すると、典型的には約3.0mPa・sの粘度を有する白色又はオフホワイトの自由流動性乾燥粉末として市販されている。
【0063】
本明細書でポリマーフィルム形成剤類として使用するのに好適な水溶性天然ポリマー類及びポリマーガム類の具体的な非限定例には、アラビアガム類、トラガカントガム類、アガーポリマー類、キサンタンガム類、アルギン酸とアルギン酸ナトリウムとのコポリマー類、キトサンポリマー類、ペクチン類、カラギナン類、加工デンプン類、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0064】
本明細書でポリマーフィルム形成剤として使用するのに好適な水溶性ポロキサマー類の具体的な非限定例には、ルトロール(Lutrol)F−127及びルトロール(Lutrol)F−68の商品名で市販されているポロキサマー類及びこれらの混合物が挙げられる。
【0065】
本明細書でポリマーフィルム形成剤として使用するのに好適な、ポリメチルビニルエーテルと無水マレイン酸との水溶性コポリマー類の具体的な非限定例には、ガントレズ(Gantrez)の商品名で市販されているコポリマー類(ガントレズ(Gantrez)S及びガントレズ(Gantrez)MSタイプのコポリマー類を包含する)及びこれらの混合物が挙げられる。
【0066】
本明細書でポリマーフィルム形成剤として使用するのに好適な、ペンタエリスリトールのアリルエーテル、又はスクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸の水溶性ホモポリマー類の具体的な非限定例には、「カーボポール(Carbopol)」の商品名でB.F.グッドリッチ社(B.F.Goodrich Company)から市販されているホモポリマー類が挙げられる。具体的なカーボポール類としては、カーボポール(Carbopol)934、940、941、956、980及びこれらの混合物が挙げられる。カーボポール(Carbopol)980は、カーボポールフィルム形成剤類の中で好ましい。
【0067】
本明細書でフィルム形成剤として使用するのに好適な、ジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸の水溶性ホモポリマー類の具体的な非限定例には、「ノベオン(Noveon)」の商品名でポリカーボフィル類としてB.F.グッドリッチ社(B.F.Goodrich Company)から市販されているホモポリマー類が挙げられる。
【0068】
本明細書で使用するのに好適な水溶性ポリマーフィルム形成剤類は、以下の出版物、即ち、薬学薬理学誌53(2001年版)(Journal Pharmacy Pharmacology 53,(2001 Edition))、国際薬学誌(1988年、1996年及び1998年版)(the International Journal of Pharmaceutics(1988,1996 and 1998 Editions))、コントロールリリース誌62(1999年版)(the Journal Controlled Release 62,(1999 Edition))に更に完全に記載されており、これらの記載は本明細書に参考として組み込まれる。
【0069】
水溶性ポリマーフィルム形成剤類は、本明細書の可食性フィルムを形成するため、単独で、又は組合せて使用することができるが、可食性フィルムは、典型的にはポリマーフィルム形成剤類を、可食性フィルムの約5重量%〜約70重量%、好ましくは約15重量%〜約70重量%、更に好ましくは約20重量%〜約65重量%の範囲の総ポリマー濃度で含む。
【0070】
同様に、可食性フィルムが複数の層を含むとき、各可食性フィルム層は、前記に定義される水溶性ポリマーフィルム形成剤類濃度を含むことができ、ここで、各可食性フィルム層は、ポリマーフィルム形成剤類の同じ又は異なる組合せを含むことができる。例えば、(1)本明細書の可食性フィルムは、1種類のポリマーフィルム形成剤、又はポリマーフィルム形成剤類の組合せを含む単層可食性フィルムとすることができるか、(2)本明細書の可食性フィルムは、1種類のポリマーフィルム形成剤若しくはポリマーフィルム形成剤類の組合せを有する1つの層と、1種類のポリマーフィルム形成剤若しくはポリマーフィルム形成剤類の組合せを有する別の層とを含む、又は、これらの組合せを含む2層可食性フィルムとすることができるか、又は(3)本明細書の可食性フィルムは、ポリマーフィルム形成剤類の様々な可能な組合せを含む3層以上を含むことができ、ここで、可能な組合せは、1種類のポリマーフィルム形成剤、ポリマーフィルム形成剤類の組合せを含む層、又はこれらの層の組合せを包含する。好ましくは、本明細書の可食性フィルムは、1種類以上のポリマーフィルム形成剤類を有する内側の第1の層と、1種類以上のポリマーフィルム形成剤類を有する外側の第2の層とを含む2層の可食性フィルムである。
【0071】
(任意構成成分)
本発明の薬物送達システムは、医薬、化粧、及び口腔ケア組成物類に使用することが既知の、さもなければそれらに使用するのに有効な1種類以上の任意構成成分を更に含んでもよいが、但し、任意構成成分が、前述の有効成分及び可食性フィルム構成成分と、物理的及び化学的に適合性があるか、さもなければ、製品の安定性、審美性、又は性能を不当に損なわないことを条件とする。可食性フィルムの構成成分として、カプセル化される有効成分と一緒に任意構成成分を包含することができるか、又は、カプセル化される有効成分と可食性フィルムの両方が任意構成成分を含むことができる。本明細書で使用するのに好適な任意構成成分には、香味剤類、甘味料類、キレート化剤類、防腐剤類、感覚剤類、加工助剤類(アルギン酸ナトリウムを包含する)、緩衝剤類(グリシン酸ナトリウムを包含する)、及び、pH調節助剤(トリエタノールアミン、L−リシン、L−アルギニン、及び水酸化ナトリウムを包含する)などの材料が挙げられる。任意構成成分を、薬物送達システムの約0.001重量%〜約15重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%の範囲の濃度で含むことができる。
【0072】
本発明の薬物送達システムは、任意にホメオパシー成分を含むことができる。このようなホメオパシー成分の詳細な、しかし必ずしも完全ではないリストが、「米国ホメオパシー薬局方」(1999年版、米国ホメオパシー協会の薬局方協議会により出版、(著作権)1982年、1〜4巻)(The Homeopathic Pharmacopoeia of the United States,1999ed.,published by The Pharmacopoeia Convention of the American Instistute of Homeopathy,(Copyright)1982,Vol.1-4)に見られ、その記載は本明細書に参考として組み込まれる。本明細書で使用するのに好適な既知のホメオパシー、さもなければ有効な任意構成成分の具体的な非限定例を以下に更に詳細に記載する。
【0073】
本明細書で使用するのに好適な任意構成成分の具体的な非限定例には、任意の香味剤類が挙げられる。任意の香味剤類は、苦くない、又は、他の審美的に心地良い味を有する薬物送達システムを提供することができる。好適な任意の香味剤類には、以下に限定されないが、アニス、ユーカリノキ、クローブ油、レモン、ライム、蜂蜜、蜂蜜レモン、レッドフルーツ(red fruit)、グレープフルーツ、オレンジ、グレープ、チェリー、チェリーコーラ、ベリー、及びこれらの混合物が挙げられる。存在する場合、任意の香味剤類は、一般に、薬物送達システムの約0.001重量%〜約1.0重量%の範囲の濃度で包含される。
【0074】
本明細書で使用するのに好適な任意構成成分の別の具体的な非限定例には、アスパルテーム、サッカリン及びその塩類(サッカリンカルシウム及びサッカリンナトリウムを包含する)、スクラロース(Sucralose)(商標)(ニュージャージー州ニューブランズウィック、マックネイル・スペシャルティ・プロダクツ社(McNeil Specialty Products Co.,New Brunswick,NJ)により販売)、プロスウィート(商標)(ニューヨーク州ニューヨーク、バージニア・デア・エクストラクト社(Virginia Dare Extract Co.,New York,NY)により販売)、マグナスウィート(商標)(ニュージャージー州キャムデン、マフコ・ワールドワイド社、カンゾウ事業部(MAFCO Worldwide Corp.,Licorice Division,Camden,NJ)により販売)、グリチルリチン酸アンモニウム及びその塩類、タリン(Talin)(商標)(タウマチン)及びその希釈された製品類(タリン(Talin)GA90(英国バーケンヘッド、タリン・フード社(the Talin Food Company, Birkenhead,England)により販売)など)、アセスルファムK、及びこれらの混合物からなる群から選択される任意の甘味料類が挙げられる。存在する場合、任意の甘味料類は、一般に、薬物送達システムの約0.1重量%〜約2.0重量%の範囲の濃度で包含される。
【0075】
更に、本明細書で使用するのに好適な任意構成成分の別の具体的な非限定例には、抗ウィルス効果を提供する有効成分を含む薬物送達システムに使用するのに好適なキレート化剤類が挙げられる。任意のキレート化剤は、高い抗ウイルス活性を提供できると考えられ、ここで、好適な任意のキレート化剤類には、遷移金属イオン類(鉄、銅、亜鉛、及び他のこのような金属類など)をキレート化するものが挙げられる。理論に束縛されないが、金属イオン類、具体的には金属カチオン類が酸化種の形成において主要な役割をすると仮定するのが合理的である。酸化反応及びフリーラジカル形成は、炎症性疾患における細胞損傷の一因となる可能性がある。本明細書で有用な任意のキレート化剤類は、酸化反応を緩衝することが知られている。任意のキレート化剤類は、非水性及び水性媒体類中で安定且つ有効である。好適な任意のキレート化剤類の非限定例には、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のニナトリウム及びカルシウム塩、EDTA四ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)、ジ(ヒドロキシエチル)グリシン、8−ヒドロキシキノリン、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明の薬物送達システムが1種類以上の任意のキレート化剤類を含む場合、キレート化剤類は、薬物送達システムの約0.05重量%〜0.5重量%、好ましくは約0.05重量%〜0.3重量%、更に好ましくは約0.05重量%〜0.15重量%の範囲の濃度で包含される。
【0076】
本明細書で使用するのに好適な任意構成成分の他の具体的な非限定例には、任意の防腐剤類が挙げられる。あらゆる形態の微生物汚染を防止するため、任意に防腐剤類を含むことができる。このような任意の防腐剤類には、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、ソルビン酸、チメロサール、酢酸フェニル水銀、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0077】
(製造方法)
本発明の薬物送達システムは、可食性フィルム内にカプセル化された有効成分を提供するのに好適ないずれかの既知の、又は他に有効な技術によって調製されてもよい。しかし、本発明の薬物送達システムは、好ましくは、薬物送達システムが口腔内に投与されると、カプセル化された有効成分が容易に放出され、有効成分が口腔粘膜によって吸収されるように調製される。
【0078】
一般に、本発明の薬物送達システムは、射出成形、押出成形、吹込み成形、圧縮成形、キャストフィルム成形法、スプレーフィルム成形法、浸漬フィルム成形法を包含する既知のフィルム形成法を使用して、可食性フィルムを構成することにより調製される。次いで、得られる可食性フィルムに有効成分を充填する。次に、有効成分を含有する可食性フィルムは、いずれかの既知の、又は通常用いられるヒートシールプロセスを使用して封着され、本発明の薬物送達システムを形成する。
【0079】
本発明の薬物送達システムを調製する特定のプロセスは、可食性フィルムを構成する材料類を混和することを含み、ここで、混和物は、典型的には、1種類以上のポリマーフィルム形成剤類、1種類以上の水混和性溶媒類(プロピレングリコール及びポリエチレングリコールなど)、並びに、グリセリン、甘味料、香味剤、及び加工助剤(アルギン酸ナトリウムなど)の任意成分を含む。次いで、混和物は、キャストフィルム成形法を使用して可食性フィルムに構成され、この方法は、混和物をガラス板上に展延し、混和物を周囲条件下で乾燥させてフィルムを形成することを含む。複数の層を含む可食性フィルム類では、前述の混和物をガラス板上に展延して乾燥させた後、同一の、又は異なる混和物層を展延する。乾燥した可食性フィルムをガラス板から除去した後、熱成形などの既知の技術を使用して所望の形状に形成する。次に、形成された可食性フィルムに有効成分を充填し、超音波、レーザー、又はマイクロ波ヒートシール装置類を使用する封着などの、既知のヒートシールプロセスを使用して封着する。所望の形状及び形態に応じて、有効成分がカプセル化された得られる可食性フィルムは、カップ、パウチ、小袋、ブリスターパック、及びスティックパックなどの形態とすることができる。例示的なカップ状の可食性フィルムは、可食性フィルムの別の混和物層が、可食性フィルムカップの最上部に位置決めされて、カップのカバーを作り出すように構成され、ここで、カバー及びカップをヒートシールして本発明の薬物送達システムが得られる。或いは、可食性フィルム類をパウチ類、管類、小袋類、スティックパック類、ブリスターパック類などの形状又は形態に構成し、各形状又は形態はカプセル化された有効成分を含み、本発明の薬物送達システムが得られる。
【0080】
可食性フィルム類は、固体有効成分、半固体媒体中に分散若しくは溶解された有効成分、又は、液体溶液中に分散若しくは溶解された有効成分をカプセル化することができる。半固体媒体中に分散又は溶解された有効成分では、分散又は溶解プロセスは、典型的には、有効成分を半固体材料類の混合物(PEG600とPEG1450との混合物など)に添加すること、及び、有効成分が混合物全体に分散又は溶解するまで、得られた有効成分と半固体材料類との混合物を攪拌しながら約30℃〜約55℃の温度に加熱することを含む。液体溶液中に分散又は溶解された有効成分では、分散又は溶解プロセスは、典型的には、有効成分を鉱油又は植物油の液体溶液に添加すること、及び、有効成分が油中に分散又は溶解するまで、得られた溶液を25℃で攪拌することを含む。
【0081】
本発明の薬物送達システムは、カプセル化された有効成分を口腔内に投与するのに、好ましくは、カプセル化された有効成分を頬粘膜投与するのに好適である。有効成分の種類及び形態は、典型的には、本明細書に記載の可食性フィルム類内にカプセル化される有効成分の量又は濃度を決定する。有効成分の半固体媒体類及び液体溶液類は、本明細書に記載の可食性フィルム類内にカプセル化されるのに好ましい有効成分形態である。従って、有効成分約1.0mg〜50mgが口腔内に投与されるように、典型的には、約0.1ml〜約1.0mlの半固体媒体類又は液体溶液類が可食性フィルム内にカプセル化される。
【実施例】
【0082】
以下の実施例は、本発明の範囲内の実施形態を更に説明及び明示する。これらの実施例は、単に説明の目的で与えられるに過ぎず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなくそれらの多くの変形形態が可能であるため、本発明を制限するものと解釈すべきではない。すべての例示した濃度は、特に明記しない限り、重量−重量パーセントである。
【0083】
有効成分の半固体媒体類及び液体溶液類を下記の表I及び表IIに例示する。下記の表IIIに例示する可食性フィルムでカプセル化するのに好適な有効成分が得られるように、1種類以上の有効成分を半固体及び/又は液体材料類と混合することによって半固体媒体類及び液体溶液類を調製する。有効成分が口腔粘膜に吸収されるように、口腔内への有効成分の送達を改善するため、有効成分の半固体媒体類又は液体溶液類を可食性フィルム内にカプセル化することができる。
【0084】
【表1】

重量%−重量パーセント
1−ニュージャージー州ペンズビル、ゲインズ・ケミカルズ社(Ganes Chemicals Ltd.,Pennsville,NJ)から入手可能なコハク酸ドキシラミン有効成分
2−フロリダ州ジャクソンビル、メレニウム・スペシャルティ・ケミカルズ(Mellenium Speciality Chemicals,Jacksonville,FL)から入手可能なカルボキサミドWS−3有効成分
3−PEG600は、ダウ・ケミカル/プラクマインLA(Dow Chemical/Plaquemine LA)から入手可能なポリエチレングリコールである。
4−PEG1450は、コネチカット州ダンベリー、ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corporation,Danbury,CT)から入手可能なポリエチレングリコールである。
5− L−リシンは、ミズーリ州セントルイス、シグマ・アルドリッチ社(Sigma Aldrich Co,St.Louis,MO)から入手可能である。
6−ケンタッキー州パリス、マリンクロット・ベーカー社(Mallinckrodt Baker Inc,Paris,KY)から入手可能なポリソルベート80
7−ニュージャージー州ノーウッド、ブッシュ・ボーク・アレン(Bush Boake Allen, Norwood,NJ)から入手可能なチェリー香味料
8−マックネイル・スペシャルティ・プロダクツ(McNeil Speciality products)から入手可能なスクラロース
【0085】
【表2】

重量%−重量パーセント
9−ニュージャージー州ナットレー、ホフマン・ラロシュ社(Hoffman Laroche,Inc.,Nutley,NJ)から入手可能な臭化水素酸デキストロメトルファン
10−PEG400は、ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corporation)から入手可能なポリエチレングリコールである。
11−ダニスコ・カルターUSA社(Danisco cultor,USA Inc.)から入手可能なグリセリルモノオレエート
12−アビテック社(Abitec Corp.)から入手可能なトリグリセロールモノオレエート
13−ペンシルバニア州ウィトコ・ケミカルズ(Witco Chemicals,PA)から入手可能な鉱油
14−プレセプト(Precept)8160は、インディアナ州フォート・ウェイン、セントラル・ソヤ(Central soya,Fort Wayne,IN)から入手可能な酵素変性大豆レシチンである。
15−ミズーリ州セントルイス、シグマ・アルドリッチ社(Sigma Aldrich Co.,St.Louis,MO)から入手可能なグリシン酸ナトリウム
【0086】
【表3】

重量%−重量パーセント
16−ミシガン州ミッドランド、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company,Midland,MI)から入手可能なヒドロキシプロピルメチルセルロース
17−オクラホマ州オクマルギー、CPケルコ社(CP Kelco Inc,Okmulgee,OK)から入手可能なキサンタンガム
18−ミズーリ州セントルイス、シグマ・アルドリッチ社(Sigma Aldrich Co,St.Louis,MO)から入手可能なカルボキシメチルセルロース
19−ミズーリ州セントルイス、シグマ・アルドリッチ社(Sigma Aldrich Co,St.Louis,MO)から入手可能なアルギン酸ナトリウム
20−ダウ・プラクマインLA(Dow,Plaquemine,LA)から入手可能なプロピレングリコール
21−オハイオ州シンシナチ、プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter & Gamble Co,Cincinnati,OH)から入手可能なグリセリン
22−カナダ、ケベック、ヴァレンヌ、クロノス(Kronos,Varennes,Quebec,Canada)から入手可能な二酸化チタン
23−オハイオ州シンシナチ、ヒルトン−デイビス、B.F.グッドリッチ(B.F.Goodrich,Hilton-Davis,Cincinnati,OH)から入手可能なFD&Cブルー(FD & C Blue)
【0087】
(実施例I〜III)
本発明の薬物送達システムを下記の表IVに例示する。表IIIに例示される可食性フィルム内に、表I又は表IIに例示される有効成分をカプセル化することによって、薬物送達システムを調製する。これらの薬物送達システムの最終製品形態には、パウチ類、ステックパック類、及びブリスターパック類などが挙げられ、薬物送達システムは口腔内に投与される。これらの薬物送達システムは、睡眠障害に関する症状を治療するため、口腔内に投与するのにとりわけ有効である。
【0088】
【表4】

【0089】
本発明の特定の実施形態を記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更及び修正が可能であることは、当業者には明らかである。本発明の範囲内にあるこのような全ての修正については、添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)有効成分;及び、
(b)水溶性可食性フィルム;
を含み、該有効成分が該可食性フィルム内にカプセル化されている、薬物送達システム。
【請求項2】
前記有効成分が、医薬有効成分、化粧有効成分、口腔ケア有効成分、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項3】
前記医薬有効成分が、鎮静薬類、催眠薬類、抗癲癇薬類、覚醒剤類、筋肉弛緩薬類、向精神神経剤類、神経筋遮断剤類、鎮痙剤類、坑アレルゲン剤類、強心薬類、抗不整脈薬類、利尿薬類、降圧薬類、血管収縮薬類、血管拡張薬類、止血薬類、甲状腺ホルモン類、性ホルモン類、抗糖尿病薬類、抗精神病薬類、抗腫瘍剤類、抗生物質類、制吐薬類、化学療法薬類、ステロイド類、免疫抑制薬類、麻酔薬類、ビタミン剤類、栄養補助食品類、鎮咳薬類、抗ヒスタミン薬類、非鎮静抗ヒスタミン薬類、うっ血除去薬類、去痰薬類、粘液溶解薬類、鎮痛薬類、解熱薬類、抗炎症剤類、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の薬物送達システム。
【請求項4】
前記医薬有効成分が、ドキシラミン、その医薬上許容される塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される催眠性医薬有効成分である、請求項3に記載の薬物送達システム。
【請求項5】
前記医薬有効成分がコハク酸ドキシラミンである、請求項4に記載の薬物送達システム。
【請求項6】
前記化粧有効成分が、息清涼化合物類、歯科清浄剤類、口腔清浄剤類、歯ホワイトニング剤、歯着色汚れ漂白剤類、歯着色汚れ除去剤類、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の薬物送達システム。
【請求項7】
前記息清涼化合物類が、メントール類、スペアミント類、スペアミント油類、ペパーミント類、ペパーミント油類、ウィンターグリーン類、冬緑油類、シナモン誘導体類、カルボキサミド類、環状スルホン類、スルホキシド類、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の薬物送達システム。
【請求項8】
前記口腔ケア有効成分が、抗結石剤類、抗齲食剤類、抗微生物剤類、象牙質徐痛剤類、麻酔剤類、H−2拮抗薬類、栄養素類、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の薬物送達システム。
【請求項9】
前記有効成分が、半固体媒体中に溶解又は分散される、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項10】
前記有効成分が、液体溶液中に溶解又は分散される、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項11】
前記水溶性可食性フィルムが、ポリマーセルロース誘導体類、天然ポリマー類、ポリマーガム類、プルラン類、ポロキサマー類、ポリビニルピロリドン類(PVP類)、デキストランポリマー類、カルボキシポリメチレン類、カルボキシビニルポリマー類、ポリメチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー類、ペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類、スクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類、ジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類、及びこれらの混合物からなる群から選択される水溶性ポリマーフィルム形成剤を含む、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項12】
前記ポリマーセルロース誘導体類が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの塩類、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の薬物送達システム。
【請求項13】
前記ポリマーセルロース誘導体が、約3.0mPa・s〜約50m mPa・sの粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項12に記載の薬物送達システム。
【請求項14】
前記水溶性可食性フィルムが、1層以上の水溶性ポリマーフィルム形成剤を含む、請求項11に記載の薬物送達システム。
【請求項15】
前記水溶性可食性フィルムが、約0.01mm〜約0.1mmの膜厚を有する、請求項14に記載の薬物送達システム。
【請求項16】
薬物送達システムを製造する方法であって:
(a)水溶性可食性フィルムを構成する工程;及び
(b)有効成分を該可食性フィルム内にカプセル化する工程;
を含む方法。
【請求項17】
前記水溶性可食性フィルムが、水溶性ポリマーフィルム形成剤から構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記水溶性ポリマー可食性フィルム形成剤が、ポリマーセルロース誘導体類、天然ポリマー類、ポリマーガム類、プルラン類、ポロキサマー類、ポリビニルピロリドン類(PVP類)、デキストランポリマー類、カルボキシポリメチレン類、カルボキシビニルポリマー類、ポリメチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー類、ペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類、スクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類、ジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記有効成分が、医薬有効成分、化粧有効成分、口腔ケア有効成分、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記有効成分が、半固体媒体中に溶解又は分散される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記薬物送達システムが口腔内に投与される、請求項16に記載の方法。

【公表番号】特表2006−521292(P2006−521292A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518926(P2005−518926)
【出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2004/009863
【国際公開番号】WO2004/089336
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】