説明

カプセル型内視鏡及び体外装置

【課題】 1つのカプセル型内視鏡に、複数の撮像手段を有し、撮像漏れを解消、若しくは軽減することができるカプセル型内視鏡等を提供する。
【解決手段】 カプセル型内視鏡2Dは、カプセル形状の密閉容器内における前方部と後方部に撮像部73a及び73bがそれぞれ配置され、それぞれ前方側の観察範囲θaと後方側の観察範囲θbを交互に撮像する。撮像された画像データは、体外装置に送信され、体外装置側では、表示方法入力部での入力設定に応じた表示方法で画像を表示する。そして、診断に適した表示方法で表示させることを可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内を撮像するカプセル型内視鏡及び撮像された画像を表示する体外装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲み込み易いカプセル型内視鏡を用いて体腔内を検査するカプセル型医療システムが提案されている。
例えば第1の従来例としてのPCT国際公開 WO03/011103A2号公報には、焦点長が異なる第1及び第2の画像を画像センサ上に焦点が合わせられるようにしたもの及び少なくとも2つの光切り替えユニットが開示されている。
また、第2の従来例としてのPCT国際公開 WO02/36007A1号公報には、化学的特徴のある領域の観察を行うカプセルビデオが開示されている。
【特許文献1】PCT国際公開 WO03/011103A2号公報
【特許文献2】PCT国際公開 WO02/36007A1 号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記第1の従来例では、焦点長が異なる第1及び第2の画像を画像センサ上に焦点が合わせられるようにしたもの及び少なくとも2つの光切り替えユニットが開示されているが、その画像の所得間隔や表示方法に関する開示がなされていないため、カプセル型内視鏡により得られる画像を表示手段にどのように表示するか等、医療スタッフ等のユーザが診断に利用し易いように表示する開示がされていない。
また、第2の従来例では、化学的特徴のある領域の観察を行うカプセルビデオが開示されているが、通常観察と関連付けて表示する方法に関する開示がなされていない。
【0004】
(発明の目的)
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、1つのカプセル型内視鏡に、複数の撮像手段を有し、撮像漏れを解消、若しくは軽減することができるカプセル型内視鏡を提供する事を目的とする。
また、本発明は、カプセル型内視鏡に設けられた複数の撮像手段により撮像された画像を診断等し易い表示形態で表示モニタに表示することができる体外装置を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のカプセル型内視鏡は、カプセル形状の密閉容器と、
前記密閉容器の前方部に設けられ、生体内を撮像可能とする前方部撮像手段と、
前記密閉容器の後方部に設けられ、生体内を撮像可能とする後方部撮像手段と、
前記前方部撮像手段と前記後方部撮像手段とを駆動可能な電源とを具備し、
前記前方部撮像手段と前記後方部撮像手段のそれぞれの撮像を交互に行うように構成したことを特徴とする。
また、本発明の体外装置は、カプセル型内視鏡の前方部に設けられ、生体内を撮像可能とする前方部撮像手段により撮像した画像と、前記カプセル型内視鏡の後方部に設けられ、生体内を撮像可能とする後方部撮像手段により撮像した画像とを表示するための表示モニタと、
前記表示モニタへ、前記前方部撮像手段により撮像した画像と前記後方部撮像手段により撮像した画像とを同時に表示するか、前記前方部撮像手段により撮像した画像と前記後方部撮像手段により撮像した画像とを交互に表示するかを選択可能とする表示方法入力部と、
を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のカプセル型内視鏡によれば、前方部撮像手段及び後方部撮像手段とが設けてあるので、撮像漏れを解消、若しくは軽減できる。
本発明の体外装置によれば、前方部撮像手段及び後方部撮像手段によりそれぞれ撮像された画像を表示方法入力部により診断等し易い表示形態で表示モニタに表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0008】
図1ないし図7は、本発明の実施例1に係り、図1は本発明の実施例1のカプセル型医療システムの全体構成を示し、図2はカプセル型内視鏡の具体的な構成を示し、図3は図2における透明カバーを除いたA矢視図を示し、図4は本実施例における作動手順の動作を示し、図5及び図6は、表示方法の入力操作により表示モニタでの表示例を示し、図7は表示モニタでの他の表示例を示す。
図1に示すように本発明の実施例1のカプセル型医療システム1は、口から飲み込まれることにより体内に挿入され、体内を撮像するカプセル型内視鏡2と、体外に配置され、カプセル型内視鏡2により無線送信される画像データを受信して時系列で記録すると共に、表示する機能とを備えた体外装置3とから構成される。
【0009】
カプセル型内視鏡2は、カプセル型外装体4の内側に照明を行う照明手段5と、対物光学系(1)6A及びその結像位置に配置された固体撮像素子7Aとからなる第1の撮像手段8Aと、対物光学系(2)6B及びその結像位置に配置された固体撮像素子7Bとからなる第2の撮像手段8Bとを有する。なお、固体撮像素子7B及び固体撮像素子7Bは、図2等に示すように共通の固体撮像素子7を採用しても良い。
これらの照明手段5、第1の撮像手段8A及び第2の撮像手段8Bは、信号処理及び制御を行う制御手段9と接続され、制御手段9は照明及び撮像の制御と固体撮像素子7A及び7Bで撮像された撮像信号に対する信号処理を行い、さらにA/D変換した画像データを圧縮等して記録手段11に記録する。また、この制御手段は、記録手段11に記録される圧縮された画像データを無線送信手段12に送り、無線送信手段12は、その画像データを高周波で変調して無線送信する。つまり、制御手段9は、撮像した順序で画像データを時系列に記録手段11に記録したり、無線送信手段12から時系列に送信するように制御する。
【0010】
なお、制御手段9から画像データを一時記録手段11に記録した後、その記録手段11から読み出した画像データを無線送信手段12に送り、無線送信手段12は、その画像データを無線送信するようにしても良い。
また、制御手段9による制御プログラムデータは、記憶手段13に記憶されている。そして、スイッチ14により、電源手段15の電源がONにされると、制御手段13は、記憶手段13の制御プログラムデータを読み出し、この制御プログラムデータに従って、カプセル型内視鏡2の動作を制御する。
一方、体外装置3は、カプセル型内視鏡2から送信される画像データを受信して記録する記録装置部21と、記録装置部21を介して画像を表示する表示装置部22とを備えている。
記録装置部21は無線送信手段12により電波で送信される画像データを無線で受信する無線受信手段23を有し、この無線受信手段23は、受信して復調した画像データを体外記録手段24に送り、体外記録手段24は、画像データを記録する。無線受信手段23及び体外記録手段24には、電源手段25から動作用の電力が供給される。
【0011】
また、体外記録手段24に記録された画像データは、表示装置部22を構成する作動制御手段26により順次読み出され、表示する処理が行われて表示モニタ27に送られ、この表示モニタ27の表示画面にカプセル型内視鏡2の第1の撮像手段8A及び第2の撮像手段8Bにより撮像された画像を表示する。
作動制御手段26及び表示モニタ27は、表示制御手段28により制御される。ユーザは、表示方法入力部29からの表示方法の指示入力を行うことにより、表示制御手段28を介して画像の表示方法を選択設定できる。また、表示制御手段28は、カプセル型内視鏡2の記憶手段13に予め記憶させた情報により、表示制御手段28による表示方法を制御することもできる。このように本実施例では、カプセル型内視鏡2により得られた画像を表示モニタ27に表示する表示方法を、診断に適した表示方法やユーザの選択設定に対応して変更等ができるようにしている。
【0012】
また、作動制御手段26及び表示モニタ27と表示制御手段28には、電源手段30から動作用の電力が供給される。
なお、カプセル型内視鏡2内の記憶手段13としては、製造段階で書き換え可能なEEPROMや、書き換えはできないが安価なマスクROMなどを用いることができる。
また、カプセル型内視鏡2の記録手段11としては、SRAMなどのメモリを用いることができ、体外記録手段24としてはフラッシュメモリやハードディスクなど大容量で書き換え可能なものを用いることができる。
図2及び図3は、カプセル型内視鏡2の具体的な構造を示す。半球形状の透明な先端カバー31と後端が半球形状で閉塞された円筒状外装ケース32とを嵌合させて接着固定することにより内部が水密構造にされたカプセル形状の外装体4が形成されている。
【0013】
先端カバー31の内側には、リング形状の照明基板33が配置され、この照明基板33における円周に沿って多数の白色LED等の発光部34を実装して、図3に示すようにリング状の照明手段35が形成されている。
この照明基板33の内側には、例えば上下方向に隣接して、図1の第1の対物光学系6Aに相当する拡大観察用対物光学系36Aと、第2の対物光学系6Bに相当する通常観察用対物光学系(又は広域観察用対物光学系)36Bとが配置されており、これらの光学系36A、36Bは、例えば共通のカバーガラス37で覆われた共通の固体撮像素子7に上下に分離して光学像を結ぶようにしている。固体撮像素子7は、CCDやCMOSセンサ等により構成される。このように共通の固体撮像素子7上に2つの光学像を結像する構造にすることにより、それぞれ別体の固体撮像素子を用いた場合よりも小径のサイズのカプセル型内視鏡を実現している。
【0014】
拡大観察用対物光学系36Aは、カバーガラス37に固着されたレンズ枠に取り付けられた固定レンズ39aと、このレンズ枠に嵌合する可動レンズ枠41aに取り付けられた可動レンズ群40aとから構成されている。
また、通常観察用対物光学系36Bは、カバーガラス37に固着されたレンズ枠に取り付けられた固定レンズ39bと、このレンズ枠に嵌合する可動レンズ枠41bに取り付けられた可動レンズ40bとから構成されている。
拡大観察用対物光学系36Aは、固定レンズ39aに対して可動レンズ群40aを光軸O1方向に移動調整して、固体撮像素子7の受光面にフォーカス状態で光学像を結像するようにフォーカス調整されて可動レンズ枠41aがレンズ枠に固定される。なお、この拡大観察用対物光学系36Aによる拡大観察する観察範囲θ1は、約20°〜50°である。
【0015】
また、通常観察用対物光学系36Bも、固定レンズ39bに対して可動レンズ40bを光軸O2方向に移動調整して、固体撮像素子7の受光面にフォーカス状態で光学像を結像するようにフォーカス調整されて可動レンズ枠41bがレンズ枠に固定される。なお、この通常観察用対物光学系36Bによる観察範囲θ2は、約90°〜140°である。
このように、本実施例では拡大観察用対物光学系36Aと通常観察用対物光学系36Bそれぞれにより、光学特性が異なる光学像を共通の固体撮像素子7に結像することにより、第1の撮像手段8Aと第2の撮像手段8Bとを形成している。
なお、拡大観察用対物光学系36Aは、通常観察用対物光学系(広域観察用対物光学系)36Bにおける観察範囲θ2内の一部を拡大した拡大観察像を得るためのものとなる。 また、図3に示すように上下に対物光学系36A、36Bを配置したのに対応して、縦長の固体撮像素子7が配置され、この固体撮像素子7の左右両側には、メインの照明を行う(発光部34よりも大きな発光量で発光する)発光部42を備えた照明手段43が配置されている。
【0016】
図1の照明手段5は、この照明手段43とリング状の照明手段35とを含めたものとして示している。
図2に示すように固体撮像素子7は、撮像基板44の一方の面(前面)に実装されている。この撮像基板44には、照明手段43も実装されている。また、この撮像基板44は、リード線等により、リング形状の照明基板33とも接続されている。
この撮像基板44の背面には、固体撮像素子7に対する信号処理を行うと共に、このカプセル型内視鏡2内の各回路等の制御動作を行う信号処理&制御部9aが(ICや電子部品の実装により)形成されている。この信号処理&制御部9aは、図1の制御手段9に相当する。
【0017】
この撮像基板44の背面側には、例えば電源基板45が配置され、この電源基板45の一方の面にはスイッチ14と、記録手段11及び記憶手段13の機能をそれぞれ持つメモリ11a、11bが実装されている。
この電源基板45は、例えばフレキシブル基板46により、撮像基板44と電気的に接続されると共に、背面側にも延出されたフレキシブル基板46を介して、この電源基板45の背面に配置され、図1の電源手段15に相当する電池15aと接続している。
このフレキシブル基板46は、電池15aの背面側に配置された無線基板12aとも電気的に接続される。この無線基板12aには、無線送信回路12bが(ICや電子部品の実装により)形成されている。
【0018】
本実施例では、カプセル型内視鏡2に内蔵した第1の撮像手段8A及び第2の撮像手段8Bにより撮像した画像データを無線で体外に送り、表示モニタ27によって述する図5等に示すように表示する。
このような構成による本実施例の動作を図4を参照して説明する。以下では主に、図1の構成要素を用いて説明する。
まず、ステップS1に示すようにカプセル型内視鏡2のスイッチ14をONにして、このカプセル型内視鏡2の電源手段15の電力を各構成手段に供給されるようにして、動作状態にする。
すると、ステップS2に示すように記憶手段13に予め記憶されている動作の指示データを制御手段9に転送する(或いは制御手段9はこの記憶手段13に予め記憶されている動作の指示データを読み出す)。制御手段9は、この指示データに従って、以下のように照明及び撮像の制御動作を行う。
【0019】
そしてステップS3に示すように制御手段9は、記憶手段13の指示データに従って、まず照明手段5及び第1の撮像手段8A若しくは第2の撮像手段8Bが作動状態に設定する。
ステップS3による照明手段5及び第1の撮像手段8A及び第2の撮像手段8Bが作動状態に設定された後、ステップS4に示すように、記憶手段13に予め記憶した指示データの撮像手順のデータに従って、照明及び撮像が行われ、撮像された画像が生成(取得)される。
そして、次のステップS5に示すように撮像された画像のA/D変換された画像データが時経列的に順次、記録手段11に記録される。この場合、記録される画像データには、カプセル型内視鏡2の種類と、そのカプセル型内視鏡2に内蔵され、撮像に用いられた第1の撮像手段8A或いは第2の撮像手段8Bの種類を示す識別コードも付加される。なお、撮像した時間の情報も記録するようにしても良い。
【0020】
また、ステップS6に示すように、記録手段11に記録される画像データが(識別コードと共に)順次、無線送信手段12に送られ、この無線送信手段12から高周波変調されて無線でカプセル型内視鏡2の外部に送信される。
なお、図4の点線で示すように、ステップS4からステップS5を経由することなく、ステップS6に進むようにしても良い。つまり、画像データを記録手段11で記録することなく無線送信手段12に(識別コードを付加して)送り、無線送信する様にしても良い。
一方、体外装置3は、ステップS11に示すように無線受信手段23によりカプセル型内視鏡2の無線送信手段12から無線送信される画像データの信号電波を受信し、復調して体外記録手段24に送る。
【0021】
そして、ステップS12に示すように体外記録手段24は、復調された画像データを時経列的にハードディスク等に受信した時刻とカプセル型内視鏡2の種類と識別コード等とを付加して記録する。
そして、ステップS13に示すように体外記録手段24は、表示装置部22に画像データを無線又は有線で送る。また、このステップS14に示すように体外記録手段24は、表示制御手段28にカプセル型内視鏡2の種類と撮像手順の指示データを送る。
【0022】
また、この表示制御手段28には、ユーザ(操作者)が表示方法入力部29から入力した表示方法の指示データを入力することもできる。表示制御手段28は、表示方法入力部29から表示方法の指示データの入力が無い場合には、撮像手順の指示データに従って表示方法の制御を行う。なお、撮像手順の指示データとは異なる表示方法を予め記憶手段11に記憶して、撮像手順の指示データに付加して、この付加した指示データにより表示方法を制御するようにしても良い。
そして、ステップS15に示すように、表示制御手段28は、作動制御手段26に表示方法の指示データを送る。
【0023】
そして、ステップS16に示すように表示モニタ27には画像が表示される。この場合、表示モニタ27には、表示方法の指示データと撮像手順の指示データとに応じて図5や図6に示すように表示される。例えば、表示方法入力部29から表示方法の指示入力を行わない場合には、記憶手段13に予め記憶させた撮像手順のデータに従って表示させることができる。
【0024】
図5は、例えば表示方法入力部29からユーザが表示方法の指示入力を行った場合の表示方法の例を示す。
図5に示すように表示モニタ27の表示画面において、通常観察像表示エリア51と、拡大観察像表示エリア52とを左右に配置して、それぞれ通常観察用対物光学系36Bによる通常観察像と、拡大観察用対物光学系36Aによる拡大観察像とを近くに並べて同時に表示する表示方法である。
更に右側の上部寄りに配置した拡大観察像表示エリア52の下側には、情報表示エリア53が設けられ、カプセル型内視鏡2の体腔内通過時間や体腔内での位置情報等の情報が表示されるようにしている。なお、通常観察像表示エリア51には、拡大観察用対物光学系36Aによる拡大観察の範囲51aを点線等により表示することにより、医療スタッフ等のユーザは、通常観察像と拡大観察像の関係を理解し易いように表示させることができるようにしている。
【0025】
この場合、カプセル型内視鏡2の記憶手段13に記憶された指示データにおける撮像順序は、第2の撮像手段8B(通常観察用対物光学系36B)による通常観察像の撮像と第1の撮像手段8A(拡大観察用対物光学系36A)による拡大観察像の撮像とを交互に行う。
つまり、第2の撮像手段8B→第1の撮像手段8A→第2の撮像手段8B→第1の撮像手段8A→…のように撮像を行う。
【0026】
そして、体外装置3側では、受信した画像を内部の通常画像格納用メモリ及び拡大画像格納用メモリに一時蓄積し、図5に示すように両表示エリア51,52において、それぞれ画像を表示し、新たに画像を受信すると、その画像データにより対応するメモリの画像データを更新し、表示する画像も更新する。
【0027】
図5に示すように両画像を同時に表示できるようにすることにより、医療スタッフ等のユーザは、両画像を観察できるので、診断し易い表示方法となる。また、表示方法入力部29を設けているので、ユーザが診断などし易いように表示させることができる。
また、図6に示す表示方法は、記憶手段13による撮像手順どうりに表示する場合を示す。
この場合には、表示モニタ27の表示画面には、通常観察像と拡大観察像とを撮像手順を反映するように表示する。この場合は、第2の撮像手段8B→第2の撮像手段8B→第1の撮像手段8A→第2の撮像手段8B→第2の撮像手段8B→第1の撮像手段8A→…のように撮像を行う撮影手順である。
従って、図6に示す表示方法では、図6(A)及び図6(B)は通常観察像が続けて表示された後、図6(C)に示すように拡大観察像の表示となり、その後、図6(D)及び図6(E)は通常観察像が続けて表示された後、図6(F)に示すように拡大観察像の表示となる。なお、この表示方法の場合には、現在の表示状態が通常観察像であるか拡大観察像であるかの情報(図6では、例えば通常観察像の場合には、”通常と”、拡大観察像の場合には”拡大”を)表示画面上に表示して、観察者が現在の表示状態(表示モード)を把握し易いように告知するようにしても良い。この場合においても、通常観察像中には、拡大観察像で得られる画像範囲を点線等で示し、両画像の関係を理解し易いように表示する。このため、医療スタッフにとって、診断等がし易い表示方法となる。
【0028】
なお、表示モニタ27の表示画面は、例えば、図7に示すように第1表示モニタ部54と第2表示モニタ部55を左右に並べるように配置し、通常観察像表示エリア51と拡大観察像表示エリア52とをそれぞれ同時に表示するような表示構成でも良い。図7では、第1表示モニタ部54と第2表示モニタ部55が一体化した表示モニタ27とした構成で示しているが、第1表示モニタ部54と第2表示モニタ部55を別体化したものでも良い。つまり、異なる表示モニタに種類が異なる観察画像を表示するようにしても良い。
【0029】
なお、図5及び図6や図7に示した表示方法は、代表的な表示例の1つを示すものであり、他の表示方法で表示しても良い。
【0030】
このように本実施例によれば、種類が異なる2つの撮像手段8A、8Bを共通の固体撮像素子7上に結像することにより、カプセル型内視鏡2を小型化して設けると共に、表示方法の情報をカプセル型内視鏡2側に予め設定してその表示方法で表示させたり、ユーザ側で表示方法の入力を行って診断に適した表示方法で表示させたりができるので、種類が異なる複数の撮像手段8A、8Bの場合にも診断し易い表示ができる。
また、種類が異なる撮像手段8A、8Bを内蔵しているので、一方のみを内蔵したカプセル型内視鏡の場合に比べて診断する機能を向上することができる。例えば、通常観察用のもののみに比べて、拡大観察用のものにより、より詳しく診断することができる。
また、種類が異なる画像の観察範囲の関係も表示することにより、ユーザにとって理解し易い表示方法となり、診断に適したシステムを提供できる。このため、1回のカプセル型内視鏡2による飲み込み検査により診断する機能を大幅に向上したり、表示方法を適切に設定できるので、効率的に診断を行うこともできる。
【0031】
また、カプセル型内視鏡2から撮像した画像データを体外装置3に送信する場合、識別コードも付加することにより、各カプセル型内視鏡2毎に異なる撮像手順等の設定がされていても、その撮像手順に従った表示方法や、各カプセル型内視鏡2毎に異なる表示方法が設定された場合(例えば異なるユーザによる設定)にも、その表示方法に従って忠実に表示させることができる。
【実施例2】
【0032】
次に図8及び図9を参照して本発明の実施例2におけるカプセル型内視鏡を説明する。 図8(A)は、先端カバーを外したカプセル型内視鏡2Bの概略の構成を示す。
このカプセル型内視鏡2Bは、図2及び図3のカプセル型内視鏡2において、縦長の固体撮像素子7の代わりに例えば正方形の受光面(撮像面)61aを有する略正方形の固体撮像素子61を採用し、またこの固体撮像素子61の前面には、同じ対物光学系、例えば通常観察用対物光学系8Bに相当する対物光学系62a、62bを隣接して配置している。
この場合、図8(A)に示すように2つの対物光学系62a、62bを共通の固体撮像素子61の正方形の受光面61aの対角線に沿って隣接するように配置している。各対物光学系62a、62bの光軸をOa、Obで示している。
【0033】
そして、図8(B)に示すように正方形の受光面61aにおける対角線に沿って2つの対物光学系62a、62bによる光学像結像エリア63a、63bに光学像を結ぶようにしている。つまり、特性が揃った2つの対物光学系62a、62bにより、ほぼ同じ部位を(観察中心軸の)角度を変えて共通の固体撮像素子61上に視差のあるステレオ観察用の光学像を結像するようにしている。なお、斜線部分は使用しない不使用領域となる。 また、図8(A)に示すように固体撮像素子61の左右には照明用発光素子64a、64bが配置され、上下にも照明用発光素子64c、64dが配置されている。これらは同時に発光して、また撮像も同時に行う。
【0034】
固体撮像素子61により撮像された信号は、外部の体外装置側に送信される。そして、体外装置側では、2つの対物光学系62a、62bにより撮像された画像データから立体画像を合成(生成)する処理を行い、図9に示すように表示モニタ27に立体画像(ステレオ画像)Isを表示する。
本実施例によれば、立体画像が得られるので、病変部の凹凸等の状態をより識別し易い情報が得られる。なお、一方の対物光学系(例えば62a)による画像と、立体画像Isとを交互に或いは一定の周期で表示させるようにしても良い。
【実施例3】
【0035】
図10(A)は、本発明の実施例3における先端カバーを外したカプセル型内視鏡2Cの概略の構成を示す。本カプセル型内視鏡2Cは、図8のカプセル型内視鏡2と同様な固体撮像素子61を採用し、その正方形の受光面61aのにおける対角線に沿って、2つの対物光学系66a、66bを配置している。
この場合も図10(B)に示すように正方形の受光面61aにおける対角線に沿って2つの対物光学系66a、66bによる光学像結像エリア67a、67bに光学像を結ぶようにして小型化している。なお、斜線部分は使用しない不使用領域となる。
また、図10(A)に示すように固体撮像素子61の左右には照明用発光素子68a、68bが配置され、上下にも照明用発光素子68c、68dが配置されている。
【0036】
本実施例では、例えば発光素子68a、68dは、白色光を発光し、残りの発光素子68b、68cは狭帯域の波長の光を発光し、狭帯域の波長により特殊光観察像を得るようにする。その波長は、可視領域における生体が選択的に吸収する特性を示す波長や、病変組織が選択的に吸収する特定を示す波長でも良い。また、赤外領域の波長にして、深部側の情報が得られるようにしても良い。また、発光素子68a、68dと残りの発光素子68b、68cは、それぞれ異なるタイミングで間欠的に交互に発光するように制御される。
なお、固体撮像素子7としてCCDを採用した場合においては、白色照明と狭帯域の波長での照明を交互に間欠的に行って通常撮像と特殊光撮像とを交互に行う場合、撮像した信号を次の照明が開始する前に、固体撮像素子7の受光面61aから転送部に転送したり、固体撮像素子7の外部に読み出した後、次の照明を行うように制御手段9は制御する。本実施例では、例えば一方の照明を行った場合、次の照明を行う前に固体撮像素子7の外部に読み出すようにしている。
【0037】
そして、この場合、不用となるエリア67a,或いは67b部分の信号電荷は、記録には用いないし、送信もしない。例えば白色照明を行って通常撮像を行った場合には、エリア67aの信号電荷を記録や送信するが、エリア67b部分の信号電荷は記録や送信には利用しない。狭帯域の波長での照明を行った場合には、エリア67aと67bの信号電荷に対する処理は逆になる。
本実施例における表示モニタ27による表示例を図11に示す。本実施例では、例えば通常観察像を大きな通常観察像表示エリア69aにより表示し、特殊光観察像を小さな特殊光観察像表示エリア69bに表示するようにしている。
なお、実施例1で説明した通常観察像と拡大観察像とを図11に示すように表示しても良い。
【0038】
なお、間欠的に発光した場合に撮像された種類が異なる画像データを体外記録手段に時系列的に蓄積し、それらを読み出して表示し、観察しようとするような場合、例えばユーザによる表示方法の入力により、毎秒20フレーム以上の高速でそれぞれのエリア69a、69bにおいて連続的に表示できるようにしても良い。
また表示方法を選択することにより、表示モニタ27の表示画面には、図12に示すように通常観察像と特殊光観察像とを交互に表示させるようにすることもできる。つまり、通常光→特殊光(狭帯域光)→通常光→特殊光(狭帯域光)、…と交互に行う。この場合にも、現在の表示モード”通常””特殊光”等とユーザが理解し易いように表示すると良い。
【0039】
また、図12に示すように交互でなく、例えば通常光→通常光→特殊光(狭帯域光)→通常光→通常光→特殊光(狭帯域光)…等のように一定の決まりを加えた上で交互に行うようにしても良い。
本実施例によれば、通常観察像と、特殊光による観察像とが得られるので、より診断する機能を向上することができる。
なお、特殊光としては、蛍光観察に用いる励起光を発生させ、この励起光による蛍光観察を行うようにしても良い。蛍光観察の場合にも同様に適用できる。つまり、上記特殊光観察として、より具体的に狭帯域観察、赤外光観察、蛍光観察とすることができる。
【実施例4】
【0040】
次に本発明の実施例4のカプセル型医療システムの構成を説明する。このカプセル型医療システムは図13及び図14に示すカプセル型内視鏡2D、2Eと、図15に示す体外装置3Bとからなる。まず、図13及び図14により、カプセル型内視鏡2D、2Eの構成を説明する。
図13は本発明の実施例4における第1のカプセル型内視鏡2Dの概略の構成を示す。本カプセル型内視鏡2Dは、その前後に照明及び撮像手段をそれぞれ設けたものであり、前方の画像(前方直視の画像)と後方の画像(後方直視の画像)を得るカプセル型内視鏡である。
【0041】
それぞれ半球形状の透明なカバー71a、71bの円筒状の基端は嵌合されて、カプセル形状の密閉容器が形成されている。
この密閉容器内には、カバー71aに対向する中央にはレンズ枠に取り付けた対物光学系72aが配置され、その結像位置には固体撮像素子を配置した撮像部73aがLED基板74aに取り付けてある。また、このLED基板74aにおける対物光学系72aの周囲には複数のLED75aを実装して照明部が設けてある。
【0042】
同様にカバー71bに対向する中央にはレンズ枠に取り付けた対物光学系72bが配置され、その結像位置には固体撮像素子を配置した撮像部73bがLED基板74bに取り付けてある。また、このLED基板74bにおける対物光学系72bの周囲には、複数のLED75bを実装して照明部が設けてある。
LED基板74aの背面には、撮像部73a、73bを駆動するとともに他の回路を制御する駆動&制御回路76と、電源77と、無線回路78が配置されている。また、例えば、駆動&制御回路76の内部には、例えばEEPROM等の撮像手順を記憶した不揮発性メモリ等が設けてある。
対物光学系72a及び撮像部73aによる前方用の観察範囲は、θaであり、その周囲の複数のLED75aによる照明部の照明範囲φaは、この観察範囲θaより広くなるように設定している。
【0043】
同様に対物光学系72b及び撮像部73bによる後方用の観察範囲は、θbであり、その周囲の複数のLED75bによる照明部の照明範囲φbは、この観察範囲θbより広くなるように設定している。
また、観察範囲θaとθbとは、例えば異なるように設定されている。このカプセル型内視鏡2Dは、例えば前方と後方の両方の撮像を交互に行い、無線回路78により外部に画像データを無線で送信する。画像データを送信する場合、カプセル型内視鏡2Dの識別コード等を付加して送信する。また、一方を2回撮像した後、他方を1回撮像するというような撮像手順に設定(上記不揮発性メモリに記憶)しても良い。
図14は、実施例4における第2のカプセル型内視鏡2Eの概略の構成を示す。本カプセル型内視鏡2Eは、例えば図13のカプセル型内視鏡2Dにおいて、一方の撮像手段を変更した構成になっている。例えば、図13における後方視側の構成において、基本的には対物光学系72bに対向して、円錐形状の光学素子81を配置した構成に変更している。
【0044】
このように対物光学系72bに対向して、その光軸上にその頂点が位置するように円錐形状で、その円錐面で光を反射する光学素子81を配置することにより、図14に示すようにLED75bからの光は、対向する光学素子81により反射されてカプセル型内視鏡2Eの中心軸と略直交する側部の全周方向に出射され、側部の全周方向を照明すると共に、撮像部73bには側部の全周方向の光学像が結像されるようになる。
このカプセル型内視鏡2Eでは、前方(直視)と全周側方の両方の撮像を一定のルールに従い実施し、外部に無線送信する。
例えば、前方側を1回撮像した場合には、全周側方を2回或いは3回撮像する周期を撮像手順にしても良い。
【0045】
なお、図13及び図14において、無線回路78の代わりにメモリを内蔵し、撮像した画像データをメモリに蓄積(格納)しても良い。メモリに蓄積する場合には、最初に識別コードを記録し、各画像データには撮像時刻や(前方側或いは後方側等の)撮像部の情報も記録する。また、無線回路78とメモリの両方を内蔵し、前方視の撮像による画像データと全周側方の画像データとを時分割でメモリに記録すると共に、無線で体外に送信しても良い。画像データを送信する場合、カプセル型内視鏡2Eの識別コード等を付加して送信する。
また、本実施例における体外装置3Bの構成を図15に示す。この体外装置3Bは、内部に無線受信手段と共にフラッシュメモリを内蔵した体外記録手段24Bと、その前面に表示方法入力部29Bが設けられた表示制御手段28Bと、作動制御手段26Bと一体化された表示モニタ27Bと、体外記録手段24Bが着脱自在に装着されるクレードル82とから構成される。
【0046】
体外記録手段24Bは、クレードル82に装着することにより、商用電源を用いて動作させることができると共に、このクレードル82に(設けたコネクタ部に)画像伝送用ケーブル83を接続することにより、作動制御手段26Bと電気的に接続され、体外記録手段24Bのフラッシュメモリに記録された画像データを作動制御手段26B側に伝送できるようにしている。
また、この体外記録手段24Bは、クレードル82に接続される伝送用ケーブル84を介して表示制御手段28Bと接続され、この伝送用ケーブル84を介して表示制御手段28Bにカプセル型内視鏡2D或いは2Eの記憶手段からの情報を伝送できるようにしている。
また、表示制御手段28Bは、接続ケーブル85を介して作動制御手段26Bと電気的に接続され、表示方法入力部29Bから入力された表示方法の情報を作動制御手段26B側に伝送できるようにしている。
【0047】
また、体外記録手段24Bの外表面には、受信状況表示手段として、例えばLED86が設けてある。
また、表示モニタ27には、表示方法入力部29Bでの入力設定に応じた表示方法により、カプセル型内視鏡2Dや2Eにより撮像された画像が表示される。この表示方法入力部29Bには、例えば同時表示を指示するボタン、交互表示を指示するボタン、画像取得どうりの表示を指示するボタン、表示速度の可変設定を行う摘み等が設けてある。
図15における表示モニタ27には、カプセル型内視鏡2D及び2Eのいずれにも対応する表示ができるようにしている。図15における表示例では、2つのカプセル型内視鏡2D及び2Eに対応する表示をまとめて示している。
【0048】
表示モニタ27の表示画面には、例えば前方、側視、後方の各表示エリア97a、97b、97cを設定して、前方用、側視用、後方用の各撮像部で撮像した画像を同時に表示することができる。
また、各表示エリア97a、97b、97cの下側には、どの撮像部で撮像したかを示す表示部98a、98b、98cが設けてあり、さらにその下に撮影(撮像)時間、何枚目の画像であるか等の情報の表示を行う表示部99a、99b、99cを設けるようにしている。
【0049】
本実施例によれば、種類が異なるカプセル型内視鏡2D,2Eに対して、各カプセル内視鏡の種類に対応して、それぞれに適した表示方法や、カプセル内視鏡の識別コードにより種類が同じ場合においても、ユーザが診断し易い或いは理解し易い表示方法で表示させることができる。
また、観察範囲θa等が異なるカプセル型内視鏡2D,2Eにより、1回の飲み込み検査により、撮像漏れを殆ど解消したり、大幅に軽減して必要とされる画像情報を十分に得られるようになると共に、撮像手段の種類に応じて診断し易い適切な表示も行うことができる。
【0050】
ここでは、簡単化して2つのカプセル型内視鏡2D,2Eの場合で説明したが、他のカプセル型内視鏡にも広く適用できるシステムである。
例えば、図14のカプセル型内視鏡2Eは、飲み込む方向を逆にすると、側視用と後方用のカプセル型内視鏡ともなる。
また、後述する図16のカプセル型内視鏡2Fやその本体102等の斜視の場合にも適用できる。
また、図13のカプセル型内視鏡2Dと図14のカプセル型内視鏡2Eとを同じ患者が飲み込んで使用した場合においても使用できる。
【0051】
図16は第1変形例におけるカプセル型内視鏡2Fと、このカプセル型内視鏡2Fを回転駆動する体外駆動手段の構成を示す。
本カプセル型内視鏡2Fは、例えば図13のカプセル型内視鏡2Dにおいて、一方の撮像手段を変更している。例えば、図13における後方視側の構成部分を斜視用の構成に変更し、さらに磁石101を内蔵したカプセル型内視鏡本体102をさらに透明な外ケース103内に、中心軸Cに沿ってピン104を設け、中心軸Cの回りで回転自在に内設したカプセル型内視鏡2Fにしている。
カプセル型内視鏡本体102は、図13のカプセル型内視鏡2Dにおける対物光学系72c、撮像部73c、LED75c、LED基板74cを斜めに配置して、斜視方向を観察する観察範囲θcを形成している。
【0052】
また、体外には、回転自在の磁石106を配置し、この磁石106を回転することにより、カプセル型内視鏡本体102を回転させて、斜視方向の全周の観察像を得られるようにしている。そして、このカプセル型内視鏡2Fによる画像を体外装置3Bの表示モニタ27Bにより表示できるようにしている。
本変形例によれば、斜視方向の全周にわたる観察像が得られる。
【0053】
図17は、第2変形例におけるカプセル型内視鏡2Gの概略の構成を示す。このカプセル型内視鏡2Gは、例えば図13のカプセル型内視鏡2Dにおいて、前方視用の撮像手段の構成を一部変更して、例えばLED基板74の前に薬剤収納タンク111を配置し、この薬剤収納タンク111の前にLED75aを配置している。
つまり、対物光学系72aにおける観察範囲θaの外側に沿って略リング形状に薬剤収納タンク111を配置している。この薬剤収納タンク111は、外部に連通する孔の部分に電気信号により閉から開となる弁112が設けてあり、この弁112を開くことにより内部に収納された薬剤113を放出させることができるようにしている。この薬剤113を放出するために、例えば体外から信号を送り、無線回路78を介して駆動&無線回路76は弁112を開にし、止血剤等を放出する。
【0054】
なお、この薬剤収納タンク111の場合で説明したが、注目すべき部位等にマーカを付けるマーカ溶液を収納するタンク等にも適用できる。
本変形例は、対物光学系72aにおける死角となるスペース部分を薬剤収納タンク111等を配置し、カプセル型内視鏡2Gの内部空間を有効に利用している。
なお、小腸や大腸観察時に洗腸液などの透明な液体を一緒に飲んで、水中像と観察したい時に、胆汁が混ざって黄色っぽくなるという不具合があったので、以下のような解決手段を採用することにより、この不具合を防止しても良い。
解決手段としては、
(1)胆汁分泌抑制剤(エチニルエストラジオールなど)を透明液体に混ぜるなどして一緒に飲む。
(2)黄色を補正する青色フィルターをカプセル内視鏡に入れておく。
(3)画像処理で黄色成分の強度を弱める(食道、胃など胆汁の影響のない画像を基準とする)。
【実施例5】
【0055】
次に本発明の実施例5を図18及び図19を参照して説明する。図18は体内での画像取得時におけるカプセル型内視鏡2Hとその外部の給電手段122との構成を示し、図19は、体外に排泄され、回収されたカプセル型内視鏡2Hから蓄積された画像情報を読み出す使用例での医療システム121の構成を示す。
このカプセル型医療システム121は、図1のカプセル型内視鏡2において、撮像した画像データを無線で送信しないで、記録手段11に記録(蓄積)する構成にすると共に、外部に設けた給電手段122から無線で供給される電気エネルギを受電手段123で受電し、蓄電手段124を蓄電するカプセル型内視鏡2Hを採用している。
また、このカプセル型内視鏡2Hは、非常用電源125を内蔵し、大容量のコンデンサ等により形成される蓄電手段124による電気エネルギが少ないと制御手段9が判断した場合、制御手段9は、スイッチ126を切り変えて非常用電源125により各手段に電力を供給する。また、この制御手段9にはRF−ID127等と接続され、体外に排泄された場合、制御手段9を介して記録手段11に蓄積された画像データをRF−ID127によりRF(高周波)で送信することができるようにしている。
【0056】
体外の給電手段122は給電コイルなどにより形成され、受電手段123はソレノイド等のコイルにより形成される。この場合、透磁率が高い磁性体をコイル内に配置し、発電する効率を向上させると良い。
このカプセル型内視鏡2Hは、患者の体内で使用され、体外に排泄されると、洗浄及び消毒された後、図19に示すように清潔な袋131に収納される。
そして、記録読み取り装置132に乗せることにより、記録手段11に記録された画像データがRF−ID127により無線送信され、その画像データは、記録読み取り装置132に読み取られる。この記録読み取り装置132により読み取られた画像データは、体外記録手段133に記録されると共に、表示制御手段134に送られ、表示装置135により表示される。
【0057】
また、この表示装置135により表示する方法を表示方法入力部136からの入力情報により設定することができる。
なお、上記の説明ではRF−ID127を用いた場合で説明したが、照明手段5を利用しても良い。
例えば制御手段9は、例えば所定時間が経過すると、記録手段11に記録された画像データを変調して照明手段5を介して光により体外に送信する。そして、体外の記録読み取り装置132に設けた図示しないフォトダイオード等を用いた光受信器により受信して画像データを得るようにしても良い。
本実施例によれば、体内から生体組織を経て体外に画像データを無線送信する手段を設けていないので、手間がかからないで体内検査ができる。
なお、上述した各実施例等を部分的に組み合わせる等により構成される実施例等も本発明に属する。
【産業上の利用可能性】
【0058】
種類が異なる複数の撮像手段を内蔵したカプセル型内視鏡を飲み込んで使用することにより、1つの撮像手段の場合よりも撮像漏れを軽減したり、種類が異なる画像により、診断する機能を向上できる。
【0059】
[付記]
1.少なくともカプセル型内視鏡と体外の表示装置とを有するカプセル型医療システムにおいて、
カプセル型内視鏡に、それぞれ異なる画像を生成する複数の撮像手段と、
この複数撮像手段の撮像手順を予め記憶した記憶手段と、
前記記憶手段に記憶した手順に従って撮像した異なる画像を時系列的に記録する記録手段、または体外の記録手段に時系列的に送信する無線手段の少なくとも一つと、
を具備し、
前記体外の表示装置への表示方法を制御する表示制御手段を体外に具備し、この表示制御手段の指示により、異なる画像の表示装置への表示方法を変更可能にしたことを特徴とするカプセル型医療システム。
【0060】
2.付記1において、前記表示制御手段は、前記記憶手段の情報に基づいて、制御されることを特徴とする。
3.付記1又は2において、前記表示制御手段は、操作者が表示方法を選択して入力できる表示方法入力部を有していることを特徴とする。
4.付記1において、前記表示制御手段は、前記カプセル型内視鏡が取得した異なる画像を近くに並べて同時に表示するように制御したことを特徴とする。
5.付記1において、前記表示制御手段は、前記カプセル型内視鏡が取得した異なる画像を取得した順に時系列的に表示するように制御したことを特徴とする。
【0061】
6.付記1において、前記表示制御手段は、ほぼ同じ部位を角度を変えて取得した画像を立体観察用に合成したステレオ画像として、同時に表示するように制御したことを特徴とする。
7.付記1〜5において、前記異なる画像の一方を広域観察像とし、他方を広域観察像の観察範囲の一部を拡大して表示する拡大観察像としたことを特徴とする。
8.付記1〜5において、前記異なる画像の一方を通常観察(白色光観察)像とし、他方を特殊光観察像(狭帯域観察像、蛍光観察像、赤外光観察像など)としたことを特徴とする。
【0062】
9.付記8において、前記異なる画像の一方を通常観察像とし、他方を照明手段によって照明された部位からの反射光を含む像の狭帯域観察像としたことを特徴とする。
10.付記1〜9において、前記異なる画像は、カプセル長手方向前方(直視または斜視方向)の画像、長手方向後方(直視または斜視方向)の画像、側方(一方向またはほぼ全周)の画像の内、少なくとも2つ以上としたことを特徴とする。
11.付記1において、前記複数の撮像手段は、共通の撮像素子を用いて構成される。 12.付記1において、前記カプセル型内視鏡は、カプセル本体の長手方向の中心軸の回りで回転自在である。
13.付記1において、前記表示装置は、カプセル型内視鏡に対応した異なる画像表示を行う。
14.付記1において、前記カプセル型内視鏡は、画像を記録或いは送信する場合、その種類又は識別情報も付加する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施例1のカプセル型医療システムの概略の構成図。
【図2】カプセル型内視鏡の具体的な構成を示す縦断面図。
【図3】図2における透明カバーを除いたA矢視図。
【図4】本実施例における作動手順の動作を示すフローチャート図。
【図5】表示方法の入力操作により表示モニタに2つの画像を同時に表示する表示例を示す図。
【図6】表示方法の入力操作により表示モニタに2つの画像を順次に表示する表示例を示す図。
【図7】表示モニタでの他の表示例を示す図。
【図8】本発明の実施例2のカプセル型内視鏡における撮像手段の構成と固体撮像素子における実際に撮像に利用するエリアを示す図。
【図9】立体画像として表示する表示例を示す図。
【図10】本発明の実施例3のカプセル型内視鏡における撮像手段の構成と固体撮像素子における実際に撮像に利用するエリアを示す図。
【図11】表示モニタに2つの画像を同時に表示する表示例を示す図。
【図12】表示モニタに2つの異なる画像を交互に表示する表示例を示す図。
【図13】本発明の実施例4を構成する第1のカプセル型内視鏡の構成を示す縦断面図。
【図14】実施例4を構成する第2のカプセル型内視鏡の構成を示す縦断面図。
【図15】実施例4を構成する体外装置の構成を示す斜視図。
【図16】第1変形例におけるカプセル型内視鏡等を示す図。
【図17】第2変形例におけるカプセル型内視鏡を示す図。
【図18】本発明の実施例5におけるカプセル型内視鏡等の構成を示す図。
【図19】回収後にカプセル型内視鏡から記録情報を読み出す様子の概略の構成を示す図。
【符号の説明】
【0064】
1…カプセル型医療システム
2…カクセル型内視鏡
3…体外装置
4…カプセル型外装体
5…照明手段
6A、6B、36A、36B…対物光学系
7A、7B…固体撮像素子
8A…第1の撮像手段
8B…第2の撮像手段
9…制御手段
11…記録手段
12…無線送信手段
13…記憶手段
14…スイッチ
15…電源手段
21…記録装置部
22…表示装置部
23…無線受信手段
24…体外記録手段
25、30…電源手段
26…作動制御手段
27…表示モニタ
28…表示制御手段
29…表示方法入力部
31…先端カバー
35、43…照明手段
44…撮像基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル形状の密閉容器と、
前記密閉容器の前方部に設けられ、生体内を撮像可能とする前方部撮像手段と、
前記密閉容器の後方部に設けられ、生体内を撮像可能とする後方部撮像手段と、
前記前方部撮像手段と前記後方部撮像手段とを駆動可能な電源とを具備し、
前記前方部撮像手段と前記後方部撮像手段のそれぞれの撮像を交互に行うように構成したことを特徴とするカプセル型内視鏡。
【請求項2】
カプセル型内視鏡の前方部に設けられ、生体内を撮像可能とする前方部撮像手段により撮像した画像と、前記カプセル型内視鏡の後方部に設けられ、生体内を撮像可能とする後方部撮像手段により撮像した画像とを表示するための表示モニタと、
前記表示モニタへ、前記前方部撮像手段により撮像した画像と前記後方部撮像手段により撮像した画像とを同時に表示するか、前記前方部撮像手段により撮像した画像と前記後方部撮像手段により撮像した画像とを交互に表示するかを選択可能にする表示方法入力部と、
を具備したことを特徴とする体外装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−68534(P2006−68534A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265604(P2005−265604)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【分割の表示】特願2003−388501(P2003−388501)の分割
【原出願日】平成15年11月18日(2003.11.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】