説明

カプセル型内視鏡

【課題】アンテナの収容空間をカプセルケースの内方に確保する必要がなく、さらなる小型化が可能となるカプセル型内視鏡を提供する。
【解決手段】カプセル型内視鏡において、カプセル外殻を形成するカプセルケース11と、カプセルケース表面20に形成され線状導体21を延在させた配線パターン22を有するアンテナ12と、を設けた。配線パターン22は、カプセルケース表面20に形成される表面側配線パターン23と、カプセルケース裏面19に形成される裏面側配線パターン24と、を設け、表面側配線パターン23と裏面側配線パターン24とを、カプセルケース11を貫通する貫通導体25によって接続して構成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体内に導入されるカプセル型内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
口から飲み込まれることで体内に導入され、自然排出されるまでの間、体腔内、例えば胃または小腸等の臓器の内部を蠕動運動に従って移動し、順次撮像するカプセル型内視鏡が実用化され始めている。被検体内で撮像された画像データは、時間の経過と共に無線通信によって、被検体の外部に設けられた外部装置に送信され、メモリに蓄積される。また、カプセル型内視鏡は被検体内に留置されるため、被検体外部からカプセル型内視鏡に電力を送信することも行われる。外部装置に電力送信用アンテナである送電コイルを設け、カプセル型内視鏡に電力受信アンテナである受電コイルを設ける。これにより、外部装置の送信用アンテナからカプセル型内視鏡の受信用アンテナに電力を供給し、被検体内に長時間留置されたカプセル型内視鏡の観察動作を実現可能としている(特許文献1参照)。
【0003】
カプセル型内視鏡は、内蔵した電池から駆動電力を得るが、内部回路等がカプセルケース内に密閉された構造のためカプセルケース外面にスイッチ等を配設して操作者が起動や停止操作することができない。そこで、カプセルケース内に外部磁界によって動作するリードスイッチを備え、カプセル型内視鏡を保管する収納ケースに永久磁石を備えたカプセル型内視鏡システムが提案されている。リードスイッチは2本の強磁性体リードが一端に隙間を持って相対しガラス管の中に封入される。リードスイッチは外部から所定の閾値以上の磁界が印加されると、各リードにN極またはS極が誘導され、この磁気吸引力により2本のリードが短絡状態となる。そして磁界が所定の閾値未満になると、リードの弾性によりリードスイッチは開放状態となる(特許文献2参照)。
【0004】
従って、このカプセル型内視鏡システムでは使用前に永久磁石が配設された収納ケース内に収容されて駆動せず、収納ケースから取り出されることによって永久磁石の影響下から離れ駆動を開始する。このカプセル型内視鏡システムによれば、所望の撮像開始タイミングで駆動を開始でき、電池の消耗を防止できる。
【0005】
ところで、従来のカプセル型内視鏡は、画像データの無線通信用のアンテナや電力受信のアンテナ、あるいは、起動用スイッチがカプセルケースを肥大化させることのないようコンパクトに構成されて収容される。例えば図7に示すように、アンテナ100と起動用スイッチ101とは、フレキシブル基板102によって接続された2枚の第1配線基板103と第2配線基板104とのうち一方の第1配線基板103に設けられている。アンテナ100は、コイル状となり、第1配線基板103の表側実装面105aに設けられる。起動用スイッチ101は、スイッチ機構部と永久磁石とからなる。第1配線基板103の裏側実装面105bには受電回路、無線送信部、画像処理部等を構成する複数の電子部品107等が実装される。第2配線基板104の表側実装面106aには撮像素子108やLED109が実装される。第2配線基板104の裏側実装面106bにはバッテリー電極111が突出して設けられる。
【0006】
第1配線基板103と第2配線基板104とは不図示のカプセル軸線直交断面に収まる略円板形状で形成され、一方がフレキシブル基板102を介して180度折り返されることでカプセルケースの軸線方向に重ねて収容される。このようにして従来のカプセル型内視鏡によれば、各種機能部品をカプセルケースの軸線方向に高密度に積層して、カプセル型内視鏡の小型化を実現させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−119456号公報(段落0004)
【特許文献2】特開2010−240252号公報(段落0004〜0006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
カプセル型内視鏡では、被検者へのさらなる負担軽減のため、より小型化されることが求められている。
しかしながら、従来構造のように、立体構造となるコイル状のアンテナ100を第1配線基板103の表側実装面105aに突出して設ければ、カプセルケース内の軸線方向に沿う方向にコイル状アンテナの収容空間を確保しなければならない。このため、従来のカプセル型内視鏡では、カプセルケースの軸線方向に沿う全長がその分長くなる不利があった。
【0009】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、アンテナの収容空間をカプセルケースの内方に確保する必要がなく、さらなる小型化が可能となるカプセル型内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のカプセル型内視鏡は、カプセル外殻を形成するカプセルケースと、カプセルケース表面に形成され線状導体を延在させた配線パターンを有するアンテナと、を具備するものである。
【0011】
また、本発明のカプセル型内視鏡は、前記配線パターンが、前記カプセルケース表面に形成される表面側配線パターンと、カプセルケース裏面に形成される裏面側配線パターンと、からなり、前記表面側配線パターンと前記裏面側配線パターンとが、前記カプセルケースを貫通する貫通導体によって接続されるものである。
【0012】
さらに、本発明のカプセル型内視鏡は、前記カプセルケースが円筒形状で形成され、前記アンテナが、円筒軸線を中心とした円周方向でカプセルケース表面に前記線状導体を周回させて形成した配線パターンからなるものである。
【0013】
さらに、本発明のカプセル型内視鏡は、前記配線パターンが、充電用コイルとして用いられるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るカプセル型内視鏡によれば、アンテナの収容空間をカプセルケースの内方に確保する必要がなく、さらなる小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る実施形態のカプセル型内視鏡の一部分を切り欠いた側面図
【図2】(A)は図1に示したカプセルケースのカプセルケース裏面の斜視図、(B)は図1に示したカプセルケースのカプセルケース表面の斜視図
【図3】(A)はカプセルケース表面に線状導体を延在させた配線パターンによって形成されるアンテナの正面図、(B)はカプセルケース表面に線状導体を周回させた配線パターンによって形成されるアンテナの側面図
【図4】電極端子とパターン端子とからなる電極構造によって接続された電池の側面図
【図5】(A)は輸送中における変形前(OFF状態)の電極端子の側面図、(B)は外部磁力の印加によるON状態の電極端子の側面図、(C)は外部磁力の印加によるOFF状態の電極端子の側面図
【図6】(A)はカメラモジュールの断面図、(B)は(A)に示した撮像素子の拡大図
【図7】(A)はフレキシブル基板で接続された従来のアンテナ、撮像素子、起動用スイッチを搭載した配線基板の表側の平面図、(B)は(A)の裏側の背面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は本発明に係る実施形態のカプセル型内視鏡の一部分を切り欠いた側面図である。
本実施形態に係るカプセル型内視鏡10は、口から飲み込まれることで体内に導入され、自然排出されるまでの間、体腔内、例えば胃または小腸等の臓器の内部を蠕動運動に従って移動し、順次撮像を行う。被検体内で撮像された画像データは、時間の経過と共に無線通信によって、被検体の外部に設けられた外部装置に送信され、メモリに蓄積される。
【0017】
カプセル型内視鏡10は、カプセル外殻を形成するカプセルケース11と、外部装置の送信用アンテナから供給される電力を受電するアンテナ12(図2参照)と、電池13と、電極端子14と、単一配線基板15と、カメラモジュール16と、に大別構成される。カプセルケース11は、メディカルグレードPC樹脂等からなり、円筒形状の一端側が透明のドーム状キャップ17によって密閉される。円筒形状の他端側は、封止キャップ18によって密閉されてもよく、封止キャップ18を用いる代わりにカプセルケース11を有底円筒状としてもよい。
【0018】
図2(A)は図1に示したカプセルケース11のカプセルケース裏面19の斜視図、(B)は図1に示したカプセルケース11のカプセルケース表面20の斜視図である。
カプセルケース11には、線状導体21を延在させた配線パターン22を有するアンテナ12が形成される。本実施形態のアンテナ12は、配線パターン22が、カプセルケース表面20に形成される表面側配線パターン23と、カプセルケース裏面19に形成される裏面側配線パターン24と、からなる。表面側配線パターン23と裏面側配線パターン24とは、カプセルケース11の貫通孔を貫通する貫通導体25によって接続されている。貫通導体25を挿通した貫通孔は、配線パターン22の最表層に不図示のポリカーボネート層を形成することによって塞がれる。
【0019】
カプセルケース表面20に形成した表面線状導体26の表面側一端部27は、貫通導体25によってカプセルケース裏面19に形成した裏面線状導体28の裏面側一端部29に接続される。この裏面線状導体28の裏面側他端部30は、貫通導体25によって、カプセルケース表面20に形成した他の表面線状導体26の表面側他端部31に接続される。表面側配線パターン23は、複数の平行な表面線状導体26からなる。裏面側配線パターン24も、複数の平行な裏面線状導体28からなる。表面線状導体26と裏面線状導体28とは、カプセルケース11の壁を挟んで表裏のものが円筒軸線32に沿う方向で交互に接続され、結果、螺旋状となっている。
【0020】
カプセルケース裏面19には電池13を保持する電池保持部33が凹設されている。裏面側配線パターン24は、主に電池保持部33のカプセルケース裏面19に形成される。電池保持部33におけるカプセルケース裏面19には段部34が形成される。電池保持部33では、電池13がこの段部34に当たることで、裏面側配線パターン24から離間されて絶縁性が確保されている。
なお、裏面側配線パターン24は、表面がポリカーボネート層で覆われて、電池13と絶縁されてもよい。
【0021】
これにより、表面側配線パターン23と裏面側配線パターン24とは、表面線状導体26と裏面線状導体28とを螺旋状に接続したヘリカルアンテナを形成し、感度を向上させることができる(螺旋軸方向の高い利得が得られる)。
【0022】
配線パターン22は、MID(Molded Interconnect Devices)技術によってカプセルケース11に直接形成される。MIDとは、射出成形品の表面に電気回路を一体形成した三次元成形回路部品のことで、従来の二次元回路とは異なり、傾斜面、垂直面、曲面、成形体内部の貫通孔等にも回路を付加する。これにより、カプセルケース表面20とカプセルケース裏面19とに形成した表面側配線パターン23と裏面側配線パターン24を貫通導体25で接続したヘリカルアンテナの形成が可能となる。
【0023】
このMIDは、射出成形された基板上に電気回路や機械的・電気的機能を組み込んだ部品を製造する技術(射出成形回路部品の製造技術)であり、特に、レーザを用いた加工により、極めて微細な3次元の回路形成が可能となり、基板上に形成するパターン変更などの自由度を高めることができる。
また、射出成形された基板の表面に立体的に、微細な電気回路を形成する微細複合加工技術(MIPTEC:Microscopic Integrated Processing Technology)が考案、開示されている。
MIPTECによれば、射出成形品の表面に電気回路を形成するMID技術に、成形表面活性化処理技術とレーザパターニング工法等を用いることで、微細パターニング、かつ、ベアチップ実装が可能な3D実装デバイスを実現できる。
【0024】
図3(A)はカプセルケース表面20に線状導体21を延在させた配線パターン22によって形成されるアンテナ35の正面図、(B)はカプセルケース表面20に線状導体21を周回させた配線パターン22によって形成されるアンテナ38の側面図である。
図3(A)に示す変形例に係るアンテナ35は、カプセルケース表面20のみ、あるいは、カプセルケース裏面19のみに形成される。アンテナ35は、平行に延在する複数対の線状導体21の一端同士と他端同士とが、交互に接続されることでクランク形状を連続させた配線パターン36を有する。
【0025】
このアンテナ35は、クランク形状に限らず、カプセルケース表面20(または、カプセルケース裏面19)に沿って線状導体21を所望の形状に延在させた配線パターン36として形成することができる。従来の立体構造となるコイル状アンテナを配置するための収容空間をカプセルケース内に確保する必要がなくなる。これにより、カプセルケース11の軸線方向に沿う全長の短縮が可能になる。また、従来のアンテナ構造は、配線基板の一方の実装面(図7に示した第1配線基板103の表側実装面105a)のほぼ全域を使用してアンテナを配設していた。このことから、本アンテナ構造によって、表側実装面105aにアンテナ設置スペースを確保する必要がなくなれば、他の実装部品(図7に示した従来の起動用スイッチ101等)の移設が可能とされることで、表側実装面105aの全てが確保不要となる。
【0026】
本実施形態のカプセル型内視鏡10では、後述の電極端子14が使用されることで、図7に示した従来の起動用スイッチ101を、第1配線基板103の表側実装面105aに設ける必要がなくなる。その結果、上記のように、表側実装面105aを不要にすることが可能となる。また、後述のパターン端子41が使用されることで、図7に示した従来のバッテリー電極111を、第2配線基板104の裏側実装面106bに設ける必要がなくなる。その結果、裏側実装面106bが不要となる。つまり、2つの表側実装面105aと裏側実装面106bとが不要となる。これにより、配線基板の一枚全てが削減でき、単一配線基板15の1枚のみを搭載すればよくなる。これに加えて、図7に示した従来の2枚の第1配線基板103と第2配線基板104とを接続していたフレキシブル基板102もさらに不要となる。従って、カプセル型内視鏡10では、これら不要となった部材のスペース分が小型化されている。
【0027】
また、図3(B)に示す変形例に係るアンテナ38は、円筒形状で形成されるカプセルケース11に対し、円筒軸線32を中心とした円周方向でカプセルケース表面20に線状導体21を周回させて形成した配線パターン39を有する。
【0028】
このアンテナ38によれば、線状導体21がカプセルケース表面20を周回し、カプセルケース11の最大外径を利用して、円筒軸線32を中心としたヘリカルアンテナが形成される。これにより、螺旋のループ長、周回数を大きく確保でき、より感度を向上させることができる。
【0029】
上記のアンテナ12の配線パターン22、アンテナ38の配線パターン39は、充電用コイルとして用いることができる。
【0030】
アンテナ12およびアンテナ38は、ヘリカルアンテナとなることで、充電用コイル(受電用コイルと称することもできる。)としての利用が可能となる。ヘリカルアンテナである充電用コイルは、外部装置の送信用アンテナである送電コイルから交流磁界が印加されると、充電用コイルに電磁誘導により交流電流が発生し、受電が可能となる。電磁誘導によって充電用コイルに流れた電流は、受電回路で整流され、撮像素子40の駆動電力や電池13への充電用電力となる。
【0031】
図4は電極端子14とパターン端子41とからなる電極構造によって接続された電池13の側面図、図5(A)は輸送中における変形前(OFF状態)の電極端子14の側面図、(B)は外部磁力の印加によるON状態の電極端子14の側面図、(C)は外部磁力の印加によるOFF状態の電極端子14の側面図である。
カプセルケース裏面19には扁平柱体状の電池13を保持する電池保持部33が形成される。電池13は、電池軸線42に沿う方向の両端が、一端側端面電極43と他端側端面電極44となる。電池保持部33は、円筒軸線32に沿う方向の両端に離間して形成された一端側内鍔部45と他端側内鍔部46とによって画成される。本実施形態において、電池保持部33には、2つの電池13が直列に配置されて保持される。
【0032】
一端側内鍔部45には周溝47が形成される。この周溝47には電極端子14の外周が嵌合して保持される。電極端子14は、導電性金属ばね材からなり、図4に示す端子本体部48と、この端子本体部48から延出した短冊片状の接点部49とからなる。電極端子14は、端子本体部48が周溝47に保持されることで、板面が電池軸線42に直交面となって配置される。接点部49は、電池13の電池軸線42に沿う方向の一端側端面電極43に接するよう山形状に形成される。
【0033】
電極端子14の接点部49には、電池13の一端側端面電極43に接触した接点部49を接触維持させる磁石50が設けられる。電極端子14は、被検体外に設けられた外部磁石37の磁力が加えられることで、接点部49が変位し、電池13の一端側端面電極43に接触または離間して電源回路を開閉(ON/OFF)する。外部磁石37は、永久磁石であっても、電磁石であってもよい。
【0034】
本実施形態において磁石50は、例えばN極が電池13側、S極がその反対側となる。図5には単にSまたはNとして示す。電極端子14は、初期状態および搬送中には、図5(A)に示すように、接点部49が一端側端面電極43に離間して配置される。すなわち、磁石50の磁気吸引力よりも接点部49のばね力が大きく設定されている。
【0035】
一方、電極端子14は、図5(B)に示すように、検体の外部からカプセル型内視鏡10に外部磁石37を近づけることで、磁石50と外部磁石37との間の磁気反発力を利用して、接点部49を一端側端面電極43に接触させる。すなわち、磁石50と外部磁石37とによる磁気反発力よりも接点部49のばね力が小さく設定される。一端側端面電極43に接触した接点部49は、電池13との磁気吸引力によって接触状態に維持される。
【0036】
また、電極端子14は、図5(C)に示すように、検体の外部からカプセル型内視鏡10に外部磁石37を近づけることで、磁石50と外部磁石37との間の磁気吸引力を利用して、接触状態となる接点部49を一端側端面電極43から離す。すなわち、磁石50と外部磁石37とによる磁気吸引力よりも接点部49のばね力が小さく設定される。これにより、一旦導通した電池13と電極端子14とを離間させ、電源回路をOFFにすることを可能としている。
【0037】
電極端子14によれば、従来のスイッチ機構部と永久磁石とからなる起動用スイッチを配線基板の実装面(図7に示した第1配線基板103の表側実装面105a)に設けずに、カプセル型内視鏡10の起動が可能となる。これにより、従来、配線基板の実装面に確保していた図7に示す起動用スイッチ101の設置スペースが不要となる。
【0038】
磁石50を備えた電極端子14では、一端側端面電極43に接した接点部49が、磁石50による磁気吸引力によって一端側端面電極43に吸着保持される。また、磁石50を付加することにより接点部49の接圧を大きくし、電気抵抗を小さくできる。
【0039】
磁石50は、一端側端面電極43に接触する端子接触面51と反対側の端子裏面52に配設されていることが好ましい。
【0040】
端子裏面52に磁石50を設けた電極端子14では、接点部49の端子接触面51が、端子裏面52に設けられた磁石50の磁気吸引力によって、電池13の一端側端面電極43に吸着保持される。従って、一端側端面電極43と端子接触面51とは、直接的に接触することとなり、磁性体が介する場合に比べ、電池13と電極端子14との導電性が向上する。
【0041】
なお、電極端子14は、少なくとも接点部49が、一端側端面電極43との接触を磁気吸引力によって維持するよう磁化されていてもよい。
【0042】
接点部49が磁化された電極端子14では、接点部49が自身の磁気吸引力によって一端側端面電極43に吸着保持される。従って、磁石50は不要となる。また、磁石50が設けられている場合には、より大きな磁気吸引力が得られるようになり、電極端子14の接点部49が電池13に対してより安定的に接続可能となる。
【0043】
次に、電極端子14の変形例を説明する。
変形例に係る電極端子は、図示は省略するが、端子本体部と、この端子本体部から延出した短冊片状の接点部とからなる。電極端子は、熱が加えられることで、電池13の電池軸線42に沿う方向の一端側端面電極43に接するよう接点部を山形状に熱変形させる形状記憶合金からなる。
【0044】
形状記憶合金の材料としては、例えば低温(60〜150℃)で熱変形するNi−Ti系材料を用いることができる。これにより、カプセル型内視鏡10は、使用前の煮沸消毒で起動させることが可能となる。この他、形状記憶合金の材質は、Ti−Ni合金や、Fe−Mn−Si合金、Ni−Mn系合金、Co−Ni系合金、Cu−Zn合金等からなるものであってもよい。
なお、電極端子14は、強磁性形状記憶合金(Ni−Mn−Ga等の合金)を用いることで、磁場による変形も可能にできる。
【0045】
形状記憶合金からなる電極端子では、カプセルケース11が例えば煮沸消毒等によって外部から加熱されると、カプセルケース11の内方に収容された電極端子の接点部が山形状に熱変形し、電池13の一端側端面電極43に接して電源回路が閉じられる。
【0046】
また、電極端子には、電池13の一端側端面電極43に接触した接点部を接触維持させる磁石50を設けてもよい。
【0047】
磁石50を備えた電極端子では、所定温度に加熱されて熱変形することにより、一端側端面電極43に接した接点部が、磁石50による磁気吸引力によって一端側端面電極43に吸着保持される。これにより、電極端子は、熱変形を生じる温度以下となっても、磁石50による磁気吸引力によって一端側端面電極43との接触状態が維持される。また、磁石50を付加することにより接点部の接圧を大きくし、電気抵抗を小さくできる。
【0048】
なお、電極端子は、少なくとも接点部が、一端側端面電極43との接触を磁気吸引力によって維持するよう磁化されていてもよい。
【0049】
接点部が磁化された電極端子では、接点部が自身の磁気吸引力によって一端側端面電極43に吸着保持される。従って、磁石50は不要となる。また、磁石50が設けられている場合には、より大きな磁気吸引力が得られるようになり、電極端子の接点部が電池13に対して熱変動に影響されずに安定的に接続可能となる。
【0050】
電池保持部33に保持された電池13は、一端側端面電極43が電極端子14によって接続される。電極端子14は、微細複合加工技術によってカプセルケース裏面19に形成された電極用配線パターン53によって単一配線基板15の所定の接続端子に接続される。
【0051】
一方、電池保持部33における電池13の他端側端面電極44に対面する他端側内鍔部46の電極対向保持面54(図4参照)にはパターン端子41が形成されている。パターン端子41は、他端側内鍔部46とカプセルケース裏面19とに渡って設けられた電極用配線パターン53の一部分として、微細複合加工技術によって三次元成形されている。
【0052】
パターン端子41は、微細複合加工技術が用いられることで、カプセルケース裏面19や他端側内鍔部46と一体となって設けられる。これにより、従来、電池13の他端側端面電極44と電源回路とを接続するために使用していた図7に示した従来のバッテリー電極111を、第2配線基板104の裏側実装面106bに設ける必要がなくなる。その結果、裏側実装面106bが不要となる。これに加え、フレキシブル基板102が不要となり、フレキシブル基板102の設置スペースの分、カプセル型内視鏡10の小型化が可能となっている。
【0053】
電極端子14の近傍には電極端子14と平行に単一配線基板15が配設される。単一配線基板15は、円形状に形成され、カプセルケース裏面19に形成された基板保持溝55(図1参照)に外周が嵌合して保持される。この単一配線基板15の電極端子14に対向する実装面には、LED駆動回路、撮像素子駆動回路、画像処理回路、送信回路、受電回路、充電制御回路、これら全体をコントロールする制御回路等を構成する複数の電子部品56が実装される。単一配線基板15の電極端子14と反対側の実装面には、カメラモジュール16が搭載される。
【0054】
図6(A)はカメラモジュール16の断面図、(B)は(A)に示した撮像素子40の拡大図である。
カメラモジュール16は、中心に外光取入口57の穿設されたアクリル樹脂等からなる円板状のモジュール本体部58を有する。モジュール本体部58には、ドーム状キャップ17に向かって突出する鏡筒部59が同軸で形成される。鏡筒部59には、外光入射側から絞り機構部60と、複合レンズ部61と、を内設する。絞り機構部60は、開口面積を拡縮することによって外光量の取り入れ制御を可能としている。複合レンズ部61は、一部のレンズを移動することにより焦点距離を調整可能としている。外光取入口57には光学素子62が配設される。
【0055】
モジュール本体部58には、鏡筒部59を包囲して光源部63が設けられる。光源部63は、鏡筒部59を包囲して周方向に所定間隔で配置したLED64を有する。モジュール本体部58の鏡筒部59と反対側の面には撮像素子40が実装される。撮像素子40の受光面65には、絞り機構部60、複合レンズ部61、光学素子62、外光取入口57を通った外光が観察像として結像される。撮像素子40は、観察像を撮像信号として出力する。出力された撮像信号は画像処理回路によってデジタル信号に変換された後、ホワイトバランス補正、ガンマ補正、輪郭強調、色補正等の各種処理が施される。画像処理回路で処理された撮像信号は、制御回路による制御に基づき各種情報と共に送信回路によって送信される。送信された撮像信号は、被検体の外部に設けられた外部装置によって受信され、メモリに蓄積される。
【0056】
ここで、従来、撮像素子40は、図7に示した第2配線基板104の表側実装面106aに実装されていた。従って、従来構造では、撮像素子108の受光面に形成される出力回路は、撮像素子108を厚み方向に貫通した背面側で図7に示した表側実装面106aに接続されていた。このため、図7に示した従来の撮像素子108は、貫通電極構造となった高価なものであった。これに対し、本実施形態のカプセル型内視鏡10では、モジュール本体部58に微細複合加工技術によって撮像素子用接続配線パターン66が形成される。撮像素子40は、受光面65に設けられた素子端子67が撮像素子用接続配線パターン66に接続される。これにより、撮像素子40として、貫通電極構造でない安価な市販品の使用を可能にしている。
【0057】
従って、本実施形態に係るカプセル型内視鏡10によれば、アンテナ12の収容空間をカプセルケース11の内方に確保する必要がなく、さらなる小型化を実現できる。
【符号の説明】
【0058】
13 電池
14 電極端子
19 カプセルケース裏面
33 電池保持部
37 外部磁石
41 パターン端子
42 電池軸線
43 一端側端面電極
44 他端側端面電極
50 磁石
51 端子接触面
52 端子裏面
53 電極用配線パターン
54 電極対向保持面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル外殻を形成するカプセルケースと、
カプセルケース表面に形成され線状導体を延在させた配線パターンを有するアンテナと、
を具備するカプセル型内視鏡。
【請求項2】
請求項1記載のカプセル型内視鏡であって、
前記配線パターンが、前記カプセルケース表面に形成される表面側配線パターンと、カプセルケース裏面に形成される裏面側配線パターンと、からなり、
前記表面側配線パターンと前記裏面側配線パターンとが、前記カプセルケースを貫通する貫通導体によって接続されるカプセル型内視鏡。
【請求項3】
請求項1記載のカプセル型内視鏡であって、
前記カプセルケースが円筒形状で形成され、
前記アンテナが、円筒軸線を中心とした円周方向でカプセルケース表面に前記線状導体を周回させて形成した配線パターンからなるカプセル型内視鏡。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のカプセル型内視鏡であって、
前記配線パターンが、充電用コイルとして用いられるカプセル型内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−78439(P2013−78439A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219493(P2011−219493)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】