カプセル抽出装置
【課題】カプセルを装置に一層挿入及び位置決めし易く、簡潔且つ低コストの抽出装置を提供する。
【解決手段】カプセル抽出装置1であって、第1部分2と、第2部分2に対して可動の、カプセルのための空隙が設けられ、装置の閉じたポジションでカプセル抽出ポジションを画定する第2部分3と、カプセルを重力により挿入し且つ中間ポジションに位置決め可能とするように配置されたカプセル案内要素6、7を備える導入・位置決め部と、可動の第2部分3がカプセルを中間ポジションから抽出ポジションに移動させる飲料注入システム19を備える装置に関する。
【解決手段】カプセル抽出装置1であって、第1部分2と、第2部分2に対して可動の、カプセルのための空隙が設けられ、装置の閉じたポジションでカプセル抽出ポジションを画定する第2部分3と、カプセルを重力により挿入し且つ中間ポジションに位置決め可能とするように配置されたカプセル案内要素6、7を備える導入・位置決め部と、可動の第2部分3がカプセルを中間ポジションから抽出ポジションに移動させる飲料注入システム19を備える装置に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル抽出装置及び該装置を組み込んだマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
カプセル抽出装置は、既に市場に存在する。カプセルを同装置に一層挿入及び位置決めし易く、しかし簡潔且つ低コストの抽出装置を提案することが必要とされている。
【0003】
直面する1つの問題は、同装置におけるカプセルの位置決め及び抽出を行うためのカプセル周囲の同装置の閉じ方とされる。カプセルは通常、ユーザによってカプセル支持部若しくは収容部で位置決めされ、次いで装置がカプセル周囲で手動若しくは自動的に閉じられなければならない。カプセルを正確に位置決めし、装置がカプセル周囲で正確に閉じられ、良好な密閉が達成され、それによって良好な抽出条件が保証されることが重要とされる。位置決めが悪いとカプセルを損傷し、そのために抽出条件に影響しかねない。カプセルの装填もまた、装置におけるカプセルの位置を正確にするための試行錯誤を要せず容易でなければならない。装填はまた、可及的迅速且つ余分の操作を無用としなければならない。
【0004】
斯くして、カプセルを垂直面に挿入し、抽出若しくは煎じ出し部分をカプセル周囲に水平面で移動させることを提案した装置が幾つかある。そのようなシステムは、上方からの装填を可能とし、且つ装填を迅速にする利点がある。カプセルの位置決めは、カプセルを温水器等、別の部分に対して押圧する可動部分を移動することによって行う。しかし、それらの装置は製造するのに複雑であり、低コスト且つしたがって消費者市場向けのエントリー・レベル・コーヒー・マシンには適さないとされる。それらは、したがって通常、レストラン、バー若しくは地域社会等、業務用市場向けとされる。例えば、特許出願WO98/47418は、予め測定された挿入材の抽出装置に関し、これにおいては挿入材が縦方向に挿入され、水平方向に抽出される。この装置の欠点は、抽出される2つの可動部分を備えることにあり、そのために機械的原理が一層複雑となる。
【0005】
米国特許第5776527号は、可動式ピストンにより温水器側に水平に押進される可動停止材による案内・保持手段を備える、レンズ状フィルタ・カプセルの煎じ出し装置に関する。停止材がばねの作用により所定位置に戻ってカプセルを解放し、カプセルが次いで、停止材が回転して下向きに開いたときに、重力の作用によって落下する。このような装置は、カプセル案内・保持手段の運動を幾つか組合せて使用する。そのため、装置が複雑化し、製造費用が高くなる。
【0006】
ヨーロッパ特許出願公開EP1219217A1は、カプセル受容位置とカプセル解放位置の間を往復動するカプセル・シートを備えるコーヒー・マシンに関する。カプセル・シートは、その縦方向ポジションのときに水平方向に移動するピストンによって水噴射器に対し押圧される。シートの往復動構成及び3つの基準ポジションへのシートの応従、並びに必要とされる部品数の故に、このような装置は複雑且つ製造コストが掛かる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、より簡潔な設計の、より安価且つ機械的に信頼性良好な抽出装置を消費者に提供することを目的とする。目的の1つは、カプセルの抽出装置内への挿入をよりし易くすることにあり、特に、カプセルの抽出装置内への挿入及び位置決めを、試行錯誤を要せず、且つ余分の操作もなく、またカプセルの前記装置における位置決めが不正確となるリスクもなく可能とすることにある。別の目的は、所要部品の数、特に、本装置の可動部品数を制限することにより、その複雑さ及びその製造コストを縮減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
カプセル抽出装置であって、
第1部分と、
前記第1部分に対して可動の第2部分と、
前記カプセルのための収容部であり、且つ前記可動の第2部分の閉じたポジションにおいて前記第1部分に対し前記カプセルの抽出ポジションを前記収容部の軸沿いに画定する収容部と、
前記カプセルを重力により挿入し且つ前記カプセルを中間ポジションに位置決めするように配置されたカプセル挿入・位置決め部と、
飲料注入システムとを備えるカプセル抽出装置において、
前記可動の第2部分が、前記装置の閉じられるときに、前記カプセルを前記中間ポジションから前記抽出ポジション内に移動させるように構成されることを特徴とするカプセル抽出装置に関する。
【0009】
本発明による装置により抽出可能とされるカプセルは、例えば、開口カプセル、濾紙カプセル・タイプ、或いはまた、当出願人名義の特許、即ちヨーロッパ特許第512148号及びヨーロッパ特許第602203号の目的物とする円筒形状若しくは切頭円錐形状の剛性若しくは半剛性カプセル等、如何なるタイプとすることも可能である。好ましい実施例においては、カプセルは非対称とされ且つ本装置の案内手段によって扱われる案内端縁を備える。斯様に、案内端縁に沿う非対称カプセルによって、カプセルを抽出軸に対して僅かに傾斜させることが可能である。このような傾斜の利点は、後に説明するようにカプセルを再び抽出軸に置くときにカプセルへの作用が可能とされることにある。しかし、本発明による装置は、対称のカプセルに対しても作動可能である。
【0010】
カプセルには、例えば焙煎若しくは挽いたコーヒー、可溶コーヒー、可溶ココア、ミルク、茶、スープその他の製品の脱水物質及びそれらの製品の組合せ等、如何なるタイプの可溶性若しくは抽出可能な飲食品も内臓可能とされる。
【0011】
簡潔性の理由から、本発明の装置は、固定された第1部分と、第1部分に対して可動の第2部分とを備えることが好ましい。しかし、双方とも可動の第1部分及び第2部分を設けてはならない訳では毛頭ない。
【0012】
現に、本発明による装置は、カプセルを中間ポジションから抽出ポジションに移行させることを可能とする。カプセルは、その中間ポジションに保持され、抽出ポジションに移行し、且つ可動の第2部分が抽出後開いたときに、カプセルは単純な重力の効果により自然に解放される。カプセルは、引出し若しくは他の使用済みカプセル回収手段内に落下し、消費者は装置に再装填可能とされる。
【0013】
本装置は、カプセルを停止させる手段を備えるのが好ましい。その停止手段は、カプセルが挿入・位置決め部内に挿入されたときにカプセルを中間ポジションに保持するように構成される。この停止手段は、収容部における抽出ポジションのカプセルの軸と芯違い(axisoffset)若しくはそれに対して傾斜した軸にカプセルを保持する。抽出ポジションは、可動部分が固定部分に当接して閉じられ、同時にカプセルを囲繞するポジションに相当する。
【0014】
収容部は、可動部分若しくは固定部分に製作するか、或いは固定部分と可動部分の両方に分割してもよいことに留意されよう。
【0015】
したがって、中間ポジションから抽出ポジションに移行するには、少なくとも2つの解決法がある。
【0016】
第1の解決法は、例えば、抽出ポジションにおけるカプセルの軸に対して芯違いとしてカプセルを中間ポジションに保持し、したがって可動部分がその移動中にカプセルに作用してカプセルを下げ、前記可動部分の軸沿いにカプセルを抽出ポジションに押進することから成る。カプセルは、その心合わせ軸(若しくは抽出軸)に対し、例えば抽出軸に平行に、芯違いとしてもよし、或いはその心合わせ軸に対して一定角度、好ましくは30度未満の小さい角度で傾斜してもよい。このような解決法により、機械的な煩雑さを防止し、運動部材の使用を最小限とすることが可能とされる。具体的には、カプセルは静的停止手段により中間ポジションに保持するのみでよく、カプセルを固定部分側に移動し、次いで抽出ポジションに位置決めするときにカプセルの移動を扱うのは可動部分である。
【0017】
第1の好ましい実施例においては、可動部分はしたがって、カプセルがその中間ポジションからその抽出ポジションに移行するときに、カプセルを停止手段越しに移行させるように構成される。したがって、可動部分がカプセルを駆動するときに、カプセルは芯違い若しくは傾斜軸に位置決めされ、カプセルは抽出ポジションにおけるカプセルの軸に相当する可動部分の軸に強制的に再位置決めされ、それによってカプセルが停止手段越しに移行される。一旦カプセルが停止手段を通過すれば、カプセルは、一方が他方に対して閉じ且つカプセルを抽出部に当接押圧する部分の少なくとも1つによって抽出ポジションに置かれる。2つの部分が再び開くと、カプセルはもはや停止手段によって保持されず、したがって解放可能となる。このような構成により、知られているシステムより一層の簡潔性と信頼性を得られることが理解されよう。
【0018】
第2の可能性は、可動部分によって移行軸にあるカプセルを単純にその抽出ポジションに押進させることにある。
【0019】
したがって、本装置は、カプセルを中間ポジションに収容部の軸と実質的に同心の軸沿いに保持するように構成された停止手段を備える。好ましい実施例においては、可動部分が停止手段の開きに作用することにより、カプセルがその中間ポジションから抽出ポジションに移行するときに停止手段を寸退させる。
【0020】
固定部分には、可動部分を固定部分側に平行移動させるためのガイド・ボディを備える。ガイド・ボディは、例えば、可動部分を水平移動に導くように実質的に水平に方向付けされよう。このガイド・ボディは、例えば、少なくとも2本のレール、好ましくは4本のガイド・レールから成る。本発明による装置によって、水平方向の水噴射による抽出が可能とされる。可動部分は、実質的に円筒状とするのが好ましい。
【0021】
本発明による装置においては、カプセルの挿入・位置決め部がガイド・ボディの前方且つガイド・ボディに垂直に置かれ、少なくとも1つの案内手段を備える。同部には、2つの案内手段を備えるのが好ましい。それらの手段は如何なる種類のものでもよく、例えば、ヨーロッパ特許第512148号によるカプセルの抽出の場合には、それらの手段はカプセルカラーの係合を可能とする挿入スライドとされる。
【0022】
カプセルを中間ポジションに保持するため、第1実施例においては、案内手段に同じレベルにおかれた少なくとも1つの停止手段を備え、それによってカプセルを前記中間ポジションに保持する。案内手段には、2つの停止手段を備えるのが好ましい。それらの手段は如何なる種類でもよく、例えば、カプセルを固定するのに正に十分な高さの突起としてもよい。この突起は、例えばカラー等のカプセル縁辺と相互作用する。突起は、したがってカラーを突起上で支持することによりカプセルを保持する。支持ポジションから解放ポジションへの通過は、カラーを突起越しに移行させることによって達成し、突起は固定式若しくは弾性的に可倒式とすることが可能とされる。
【0023】
本発明による別の実施例においては、案内手段が旋回し、可動部分が開ポジションのときにカプセルを中間ポジションに固定し且つ可動部分が閉ポジションのときにカプセルを解放するように配置された停止手段を形成若しくは備える。この案内手段は、固定若しくは解放ポジションに始動レバーによって動かされ、可動部分の外側に回転可能に取り付けられ且つ置かれる。このレバーは、可動部分が移動することにより、案内手段を固定若しくは解放ポジションに置く。
【0024】
本発明による装置の次の実施例においては、装置は、ガイド・ボディの前方に、可動部分の下に置かれた可倒式の停止材を備える。この可倒式停止材は、可動部分の移動によっても動かされ、可動部分が開ポジションのときにカプセルを所定ポジションに保持することを可能とさせる。
【0025】
本装置はまた、抽出プレートを備え、同プレート側に向けて可動部分がカプセルを抽出ポジションに移動させる。カプセルは通常、本装置が閉じたときに抽出プレートに接して置かれるか、若しくは抽出プレートの少なくとも十分至近にもたらされる抽出面を備える。濾紙製カプセルが抽出される場合には、抽出プレートは抽出液の通過を可能とするために穿孔した単純なプレートとされる。カプセルを前述の2つの特許によるカプセル、例えばカプセル内の圧力上昇により裂開する面を有するカプセルとする場合には、抽出プレートはヨーロッパ特許第512142号及びヨーロッパ特許第604615号で記載の角錐材若しくはスパイクを備えるプレートとされる。
【0026】
可動部分は、開閉ポジションへの移動を与える手段によって移動される。その手段は、様々な形式を取ることが可能とされる。ロッドによる伝達とボール・ソケット形継手タイプの固定システムを併用したシステム等、機械的に簡潔な手段を使用することが好ましい。他に、実質的に直線運動を与える解決法、例えば、ねじを併用するハイドロリック、電気若しくは機械的システム等も可能とされる。
【0027】
前述の通り、抽出の終了時に、可動部分が開くことによって、カプセルは重力により落下する。
【0028】
第1実施例における本装置の作動は以下の通りである。消費者がカプセルを挿入スライドを介して挿入する。カプセルが、例えば、前記スライド内に挿入されたカラーを形成する周辺端縁により案内される。停止手段がカプセルを中間ポジションに固定する。特に、その周辺端縁が停止手段により保持される。消費者が可動部分を閉じることを可能とする手段に作用することによって、可動部分がカプセルを収容部内に導き、カプセルの軸を可動部分の移動軸に整合するように下げ、その結果、カプセルのカラーが停止手段を乗り越えて停止手段の下の抽出ポジションに位置決めされる。抽出が行われて可動部分が開かれたときに、カプセルはもはや停止手段によって保持されないため、重力によって落下する。
【0029】
図7から13に、別の実施例の作動を示す。
【0030】
本発明による装置は、更に水タンク、吸水管、水を動かすポンプ、温水手段及び可動部の水出口並びにコーヒー・マシン若しくは他の抽出システムに通常存在する他の要素を備えるコーヒー・マシン若しくは他の抽出システムに組み込まれる。「他の抽出システム」とは、複合飲料、エスプレッソ、その他の抽出システムを指す。
【0031】
本発明は、ここに記載の装置を備えるコーヒー・マシンにも関する。このマシンは、更に水タンク、吸水管、水を動かすポンプ、温水手段及び本発明の装置の可動部分の水出口を備える。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による装置の開ポジションにおける斜視図である。
【図2】ガイド・ボディを省いて可動部分の動きを分かり易くした図1と同様の図である。
【図3】本発明による装置の閉ポジションにおける斜視図である。
【図4】閉ポジションにおける側面図である。
【図5】カプセルを中間ポジションに位置決めする軸A方向に見た図である。
【図6】カプセルを抽出ポジションの状態とする図5と同様の図である。
【図7】第2実施例による、可動部分を閉じたポジションの状態とする斜視図である。
【図8】前の図による、可動部分を開ポジションの状態とする斜視図である。
【図9】抽出プレートを軸方向に見た図である。
【図10】抽出プレートを軸方向に見た図である。
【図11】本発明による装置の別の実施例の概略図である。
【図12】本発明による装置の別の実施例の概略図である。
【図13】本発明による装置の別の実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を図面を参照して説明する。
【0034】
図1より6に関し、抽出装置1は、固定部分2及び可動部分3を備える。可動部分3は、抽出されるカプセルの収容部4を備える。カプセル16の挿入・位置決め部は、カプセルが摺動して位置決めされる2つの案内手段6、7を備える。カプセルには、したがって同案内手段前後に摺動するカラーを設けることが可能とされる。カプセルは、可動部分の移動軸25に対して芯違いの位置に保持される。カプセルはそのカラーに対して非対称とされるため、カプセルは、その重心がカラーに対して芯違いとなることによって僅かに傾斜する。この芯違いにより、可動部分の移動時にその収容部へのカプセルの受容が助勢される。可動部分3は、これを開閉する手段8により動かされる。同手段は、操作軸10に固定されたレバー・アーム9を備えるボール・ソケット形継手システムから成る。その操作軸は、2対のロッド11及び12に固定される。ロッド11及び12は、ロッドのスピンドル13に結合される。ロッド12は、一式のねじ18により、可動部分3に固定される。ボール・ソケット形継手システムにより動かされる可動部分3は、4本のレール15から成るガイド・ボディ14で摺動する。ボール・ソケット形継手システムが閉じるとき、ロッドのスピンドル13の移動が停止材24によって停止される。カプセル16は、その抽出時に抽出プレート17に押圧される。飲料は、注入システム19を介して図示しないカップに流入する。本発明による装置は更に、案内手段6、7に同一停止手段20を2つ備え、それによってカプセルが中間位置に保持される。ねじ21、22により、注入システムを抽出プレートに固定することが可能とされる。水出口23が可動体の後部に設けられる。
【0035】
本発明による装置は、以下のように作動する。消費者がカプセル16を挿入スライド6、7に挿入する。図5でも明瞭に分かるように、カプセルが停止手段20に到達するまで摺動し、カプセルのカラーが停止手段を押圧し、カプセルが中間位置に付く。カプセルの軸を符号26、可動体の軸を符号25により示す。カプセルが、そのカラーを通過する面に対して非対称とされるため、カプセルの軸は可動部分の移動軸に対して僅かに傾斜しがちとなる。消費者は、次いでレバー9を操作し、それによって可動部分3がロッド・システムを介して移動する。この可動体は、その軸25沿いに移動する。可動体の移動中、カプセル16が可動体によってその収容部4内に入れられ、そのため、カプセルの軸26が可動体の軸25側に下降する。その結果、カプセルのカラーが停止手段20の下を通過する。次いで、消費者の指示により、熱湯が管23を介して可動部分内に送られ、湯がカプセルを透過する。圧力上昇により、カプセルが抽出プレートに当接して開き、コーヒーが出口19を介して、その下に置かれたカップ内に流入する。抽出完了時に、消費者がレバー9を上げることによって、可動体が後方に移動し、もはや保持されないカプセルが解放され、使用済みカプセル回収システムに落下する。次いで本装置による次の抽出が可能となる。
【0036】
図7から10には、本発明による装置の可動部分及びその移動手段よりも、カプセルの案内及び固定手段をより詳細に示す。抽出プレート30は、カプセル32の案内手段31として、スピンドル33中心に旋回する2つの要素を備える。図9及び10によりよく示すように、各旋回要素は、それぞれ2つのポジショニング・ストップ、即ち一方は内側分39、他方は外側分40を備える。可動部分34は、カプセルの収容部35及び片側に突起41を備える。可動部分の移動手段は示していない。可動部分の両側に、始動レバー36が置かれ、軸37沿いに回り且つ案内手段31のムーブメント・フィンガ38と、前記始動レバー36の2つの作用ゾーン、即ち前方ゾーン42及び後方ゾーン43とを備える。
【0037】
その作動は以下の通りである。図8による開ポジションにおいては、始動レバー36のムーブメント・フィンガ38が旋回案内手段31をカプセル32の保持位置に保持する(図10)が、それは、前記フィンガが旋回要素31の内側ストップ39に作用するからである。可動部分34が抽出プレート30側に移動するとき、突起41が前方作用ゾーン42を解放して、後方作用ゾーン43寄りの位置に付き、そのためムーブメント・フィンガ38が外側ポジショニング・ストップ40を外側に押圧する。その結果、旋回案内手段が離隔し、即ち、可動部分が開かれるときに、カプセルはもはや保持されない。
【0038】
図11から13に、カプセルを固定する別の実施例を示す。固定部分50に、抽出プレート55及び飲料注入システム53を備える。カプセル56の中間ポジショニング位置の下に、スピンドル54で回転する可倒式停止材51がある。フィンガ57により、カプセルを保持することが可能とされる。更に本装置は、可動部分に固定され且つ可倒式停止材に作用してこれを開閉する要素52を備える。
【0039】
その作動は以下の通りである。図11は、可動部分が開いているときの様子を示す。要素52によって可倒式停止材が下向きに傾斜し、それによってカプセルが解放される。図12は、可動部分の開き工程の最後を示し、このとき可倒式停止材がカプセル56を固定するポジションに復帰している。更に、図13は、前記カプセル56を抽出時の可倒式停止材のポジションを示す。
【0040】
いうまでもなく、本発明による装置は、カプセルの抽出を可能とする全ての要素、即ち水タンク、吸水管、水を動かすポンプ、温水手段及び可動部分の水入口を備えるコーヒー・マシンの一部を形成する。
【符号の説明】
【0041】
1,32,56…カプセル抽出装置、2,30,50…第1部分、3,34…第2部分、4,35…収容部、6,7,31…カプセルを案内する案内手段、16…カプセル、19,53…飲料注入システム、25…収容部の軸。
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル抽出装置及び該装置を組み込んだマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
カプセル抽出装置は、既に市場に存在する。カプセルを同装置に一層挿入及び位置決めし易く、しかし簡潔且つ低コストの抽出装置を提案することが必要とされている。
【0003】
直面する1つの問題は、同装置におけるカプセルの位置決め及び抽出を行うためのカプセル周囲の同装置の閉じ方とされる。カプセルは通常、ユーザによってカプセル支持部若しくは収容部で位置決めされ、次いで装置がカプセル周囲で手動若しくは自動的に閉じられなければならない。カプセルを正確に位置決めし、装置がカプセル周囲で正確に閉じられ、良好な密閉が達成され、それによって良好な抽出条件が保証されることが重要とされる。位置決めが悪いとカプセルを損傷し、そのために抽出条件に影響しかねない。カプセルの装填もまた、装置におけるカプセルの位置を正確にするための試行錯誤を要せず容易でなければならない。装填はまた、可及的迅速且つ余分の操作を無用としなければならない。
【0004】
斯くして、カプセルを垂直面に挿入し、抽出若しくは煎じ出し部分をカプセル周囲に水平面で移動させることを提案した装置が幾つかある。そのようなシステムは、上方からの装填を可能とし、且つ装填を迅速にする利点がある。カプセルの位置決めは、カプセルを温水器等、別の部分に対して押圧する可動部分を移動することによって行う。しかし、それらの装置は製造するのに複雑であり、低コスト且つしたがって消費者市場向けのエントリー・レベル・コーヒー・マシンには適さないとされる。それらは、したがって通常、レストラン、バー若しくは地域社会等、業務用市場向けとされる。例えば、特許出願WO98/47418は、予め測定された挿入材の抽出装置に関し、これにおいては挿入材が縦方向に挿入され、水平方向に抽出される。この装置の欠点は、抽出される2つの可動部分を備えることにあり、そのために機械的原理が一層複雑となる。
【0005】
米国特許第5776527号は、可動式ピストンにより温水器側に水平に押進される可動停止材による案内・保持手段を備える、レンズ状フィルタ・カプセルの煎じ出し装置に関する。停止材がばねの作用により所定位置に戻ってカプセルを解放し、カプセルが次いで、停止材が回転して下向きに開いたときに、重力の作用によって落下する。このような装置は、カプセル案内・保持手段の運動を幾つか組合せて使用する。そのため、装置が複雑化し、製造費用が高くなる。
【0006】
ヨーロッパ特許出願公開EP1219217A1は、カプセル受容位置とカプセル解放位置の間を往復動するカプセル・シートを備えるコーヒー・マシンに関する。カプセル・シートは、その縦方向ポジションのときに水平方向に移動するピストンによって水噴射器に対し押圧される。シートの往復動構成及び3つの基準ポジションへのシートの応従、並びに必要とされる部品数の故に、このような装置は複雑且つ製造コストが掛かる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、より簡潔な設計の、より安価且つ機械的に信頼性良好な抽出装置を消費者に提供することを目的とする。目的の1つは、カプセルの抽出装置内への挿入をよりし易くすることにあり、特に、カプセルの抽出装置内への挿入及び位置決めを、試行錯誤を要せず、且つ余分の操作もなく、またカプセルの前記装置における位置決めが不正確となるリスクもなく可能とすることにある。別の目的は、所要部品の数、特に、本装置の可動部品数を制限することにより、その複雑さ及びその製造コストを縮減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
カプセル抽出装置であって、
第1部分と、
前記第1部分に対して可動の第2部分と、
前記カプセルのための収容部であり、且つ前記可動の第2部分の閉じたポジションにおいて前記第1部分に対し前記カプセルの抽出ポジションを前記収容部の軸沿いに画定する収容部と、
前記カプセルを重力により挿入し且つ前記カプセルを中間ポジションに位置決めするように配置されたカプセル挿入・位置決め部と、
飲料注入システムとを備えるカプセル抽出装置において、
前記可動の第2部分が、前記装置の閉じられるときに、前記カプセルを前記中間ポジションから前記抽出ポジション内に移動させるように構成されることを特徴とするカプセル抽出装置に関する。
【0009】
本発明による装置により抽出可能とされるカプセルは、例えば、開口カプセル、濾紙カプセル・タイプ、或いはまた、当出願人名義の特許、即ちヨーロッパ特許第512148号及びヨーロッパ特許第602203号の目的物とする円筒形状若しくは切頭円錐形状の剛性若しくは半剛性カプセル等、如何なるタイプとすることも可能である。好ましい実施例においては、カプセルは非対称とされ且つ本装置の案内手段によって扱われる案内端縁を備える。斯様に、案内端縁に沿う非対称カプセルによって、カプセルを抽出軸に対して僅かに傾斜させることが可能である。このような傾斜の利点は、後に説明するようにカプセルを再び抽出軸に置くときにカプセルへの作用が可能とされることにある。しかし、本発明による装置は、対称のカプセルに対しても作動可能である。
【0010】
カプセルには、例えば焙煎若しくは挽いたコーヒー、可溶コーヒー、可溶ココア、ミルク、茶、スープその他の製品の脱水物質及びそれらの製品の組合せ等、如何なるタイプの可溶性若しくは抽出可能な飲食品も内臓可能とされる。
【0011】
簡潔性の理由から、本発明の装置は、固定された第1部分と、第1部分に対して可動の第2部分とを備えることが好ましい。しかし、双方とも可動の第1部分及び第2部分を設けてはならない訳では毛頭ない。
【0012】
現に、本発明による装置は、カプセルを中間ポジションから抽出ポジションに移行させることを可能とする。カプセルは、その中間ポジションに保持され、抽出ポジションに移行し、且つ可動の第2部分が抽出後開いたときに、カプセルは単純な重力の効果により自然に解放される。カプセルは、引出し若しくは他の使用済みカプセル回収手段内に落下し、消費者は装置に再装填可能とされる。
【0013】
本装置は、カプセルを停止させる手段を備えるのが好ましい。その停止手段は、カプセルが挿入・位置決め部内に挿入されたときにカプセルを中間ポジションに保持するように構成される。この停止手段は、収容部における抽出ポジションのカプセルの軸と芯違い(axisoffset)若しくはそれに対して傾斜した軸にカプセルを保持する。抽出ポジションは、可動部分が固定部分に当接して閉じられ、同時にカプセルを囲繞するポジションに相当する。
【0014】
収容部は、可動部分若しくは固定部分に製作するか、或いは固定部分と可動部分の両方に分割してもよいことに留意されよう。
【0015】
したがって、中間ポジションから抽出ポジションに移行するには、少なくとも2つの解決法がある。
【0016】
第1の解決法は、例えば、抽出ポジションにおけるカプセルの軸に対して芯違いとしてカプセルを中間ポジションに保持し、したがって可動部分がその移動中にカプセルに作用してカプセルを下げ、前記可動部分の軸沿いにカプセルを抽出ポジションに押進することから成る。カプセルは、その心合わせ軸(若しくは抽出軸)に対し、例えば抽出軸に平行に、芯違いとしてもよし、或いはその心合わせ軸に対して一定角度、好ましくは30度未満の小さい角度で傾斜してもよい。このような解決法により、機械的な煩雑さを防止し、運動部材の使用を最小限とすることが可能とされる。具体的には、カプセルは静的停止手段により中間ポジションに保持するのみでよく、カプセルを固定部分側に移動し、次いで抽出ポジションに位置決めするときにカプセルの移動を扱うのは可動部分である。
【0017】
第1の好ましい実施例においては、可動部分はしたがって、カプセルがその中間ポジションからその抽出ポジションに移行するときに、カプセルを停止手段越しに移行させるように構成される。したがって、可動部分がカプセルを駆動するときに、カプセルは芯違い若しくは傾斜軸に位置決めされ、カプセルは抽出ポジションにおけるカプセルの軸に相当する可動部分の軸に強制的に再位置決めされ、それによってカプセルが停止手段越しに移行される。一旦カプセルが停止手段を通過すれば、カプセルは、一方が他方に対して閉じ且つカプセルを抽出部に当接押圧する部分の少なくとも1つによって抽出ポジションに置かれる。2つの部分が再び開くと、カプセルはもはや停止手段によって保持されず、したがって解放可能となる。このような構成により、知られているシステムより一層の簡潔性と信頼性を得られることが理解されよう。
【0018】
第2の可能性は、可動部分によって移行軸にあるカプセルを単純にその抽出ポジションに押進させることにある。
【0019】
したがって、本装置は、カプセルを中間ポジションに収容部の軸と実質的に同心の軸沿いに保持するように構成された停止手段を備える。好ましい実施例においては、可動部分が停止手段の開きに作用することにより、カプセルがその中間ポジションから抽出ポジションに移行するときに停止手段を寸退させる。
【0020】
固定部分には、可動部分を固定部分側に平行移動させるためのガイド・ボディを備える。ガイド・ボディは、例えば、可動部分を水平移動に導くように実質的に水平に方向付けされよう。このガイド・ボディは、例えば、少なくとも2本のレール、好ましくは4本のガイド・レールから成る。本発明による装置によって、水平方向の水噴射による抽出が可能とされる。可動部分は、実質的に円筒状とするのが好ましい。
【0021】
本発明による装置においては、カプセルの挿入・位置決め部がガイド・ボディの前方且つガイド・ボディに垂直に置かれ、少なくとも1つの案内手段を備える。同部には、2つの案内手段を備えるのが好ましい。それらの手段は如何なる種類のものでもよく、例えば、ヨーロッパ特許第512148号によるカプセルの抽出の場合には、それらの手段はカプセルカラーの係合を可能とする挿入スライドとされる。
【0022】
カプセルを中間ポジションに保持するため、第1実施例においては、案内手段に同じレベルにおかれた少なくとも1つの停止手段を備え、それによってカプセルを前記中間ポジションに保持する。案内手段には、2つの停止手段を備えるのが好ましい。それらの手段は如何なる種類でもよく、例えば、カプセルを固定するのに正に十分な高さの突起としてもよい。この突起は、例えばカラー等のカプセル縁辺と相互作用する。突起は、したがってカラーを突起上で支持することによりカプセルを保持する。支持ポジションから解放ポジションへの通過は、カラーを突起越しに移行させることによって達成し、突起は固定式若しくは弾性的に可倒式とすることが可能とされる。
【0023】
本発明による別の実施例においては、案内手段が旋回し、可動部分が開ポジションのときにカプセルを中間ポジションに固定し且つ可動部分が閉ポジションのときにカプセルを解放するように配置された停止手段を形成若しくは備える。この案内手段は、固定若しくは解放ポジションに始動レバーによって動かされ、可動部分の外側に回転可能に取り付けられ且つ置かれる。このレバーは、可動部分が移動することにより、案内手段を固定若しくは解放ポジションに置く。
【0024】
本発明による装置の次の実施例においては、装置は、ガイド・ボディの前方に、可動部分の下に置かれた可倒式の停止材を備える。この可倒式停止材は、可動部分の移動によっても動かされ、可動部分が開ポジションのときにカプセルを所定ポジションに保持することを可能とさせる。
【0025】
本装置はまた、抽出プレートを備え、同プレート側に向けて可動部分がカプセルを抽出ポジションに移動させる。カプセルは通常、本装置が閉じたときに抽出プレートに接して置かれるか、若しくは抽出プレートの少なくとも十分至近にもたらされる抽出面を備える。濾紙製カプセルが抽出される場合には、抽出プレートは抽出液の通過を可能とするために穿孔した単純なプレートとされる。カプセルを前述の2つの特許によるカプセル、例えばカプセル内の圧力上昇により裂開する面を有するカプセルとする場合には、抽出プレートはヨーロッパ特許第512142号及びヨーロッパ特許第604615号で記載の角錐材若しくはスパイクを備えるプレートとされる。
【0026】
可動部分は、開閉ポジションへの移動を与える手段によって移動される。その手段は、様々な形式を取ることが可能とされる。ロッドによる伝達とボール・ソケット形継手タイプの固定システムを併用したシステム等、機械的に簡潔な手段を使用することが好ましい。他に、実質的に直線運動を与える解決法、例えば、ねじを併用するハイドロリック、電気若しくは機械的システム等も可能とされる。
【0027】
前述の通り、抽出の終了時に、可動部分が開くことによって、カプセルは重力により落下する。
【0028】
第1実施例における本装置の作動は以下の通りである。消費者がカプセルを挿入スライドを介して挿入する。カプセルが、例えば、前記スライド内に挿入されたカラーを形成する周辺端縁により案内される。停止手段がカプセルを中間ポジションに固定する。特に、その周辺端縁が停止手段により保持される。消費者が可動部分を閉じることを可能とする手段に作用することによって、可動部分がカプセルを収容部内に導き、カプセルの軸を可動部分の移動軸に整合するように下げ、その結果、カプセルのカラーが停止手段を乗り越えて停止手段の下の抽出ポジションに位置決めされる。抽出が行われて可動部分が開かれたときに、カプセルはもはや停止手段によって保持されないため、重力によって落下する。
【0029】
図7から13に、別の実施例の作動を示す。
【0030】
本発明による装置は、更に水タンク、吸水管、水を動かすポンプ、温水手段及び可動部の水出口並びにコーヒー・マシン若しくは他の抽出システムに通常存在する他の要素を備えるコーヒー・マシン若しくは他の抽出システムに組み込まれる。「他の抽出システム」とは、複合飲料、エスプレッソ、その他の抽出システムを指す。
【0031】
本発明は、ここに記載の装置を備えるコーヒー・マシンにも関する。このマシンは、更に水タンク、吸水管、水を動かすポンプ、温水手段及び本発明の装置の可動部分の水出口を備える。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による装置の開ポジションにおける斜視図である。
【図2】ガイド・ボディを省いて可動部分の動きを分かり易くした図1と同様の図である。
【図3】本発明による装置の閉ポジションにおける斜視図である。
【図4】閉ポジションにおける側面図である。
【図5】カプセルを中間ポジションに位置決めする軸A方向に見た図である。
【図6】カプセルを抽出ポジションの状態とする図5と同様の図である。
【図7】第2実施例による、可動部分を閉じたポジションの状態とする斜視図である。
【図8】前の図による、可動部分を開ポジションの状態とする斜視図である。
【図9】抽出プレートを軸方向に見た図である。
【図10】抽出プレートを軸方向に見た図である。
【図11】本発明による装置の別の実施例の概略図である。
【図12】本発明による装置の別の実施例の概略図である。
【図13】本発明による装置の別の実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を図面を参照して説明する。
【0034】
図1より6に関し、抽出装置1は、固定部分2及び可動部分3を備える。可動部分3は、抽出されるカプセルの収容部4を備える。カプセル16の挿入・位置決め部は、カプセルが摺動して位置決めされる2つの案内手段6、7を備える。カプセルには、したがって同案内手段前後に摺動するカラーを設けることが可能とされる。カプセルは、可動部分の移動軸25に対して芯違いの位置に保持される。カプセルはそのカラーに対して非対称とされるため、カプセルは、その重心がカラーに対して芯違いとなることによって僅かに傾斜する。この芯違いにより、可動部分の移動時にその収容部へのカプセルの受容が助勢される。可動部分3は、これを開閉する手段8により動かされる。同手段は、操作軸10に固定されたレバー・アーム9を備えるボール・ソケット形継手システムから成る。その操作軸は、2対のロッド11及び12に固定される。ロッド11及び12は、ロッドのスピンドル13に結合される。ロッド12は、一式のねじ18により、可動部分3に固定される。ボール・ソケット形継手システムにより動かされる可動部分3は、4本のレール15から成るガイド・ボディ14で摺動する。ボール・ソケット形継手システムが閉じるとき、ロッドのスピンドル13の移動が停止材24によって停止される。カプセル16は、その抽出時に抽出プレート17に押圧される。飲料は、注入システム19を介して図示しないカップに流入する。本発明による装置は更に、案内手段6、7に同一停止手段20を2つ備え、それによってカプセルが中間位置に保持される。ねじ21、22により、注入システムを抽出プレートに固定することが可能とされる。水出口23が可動体の後部に設けられる。
【0035】
本発明による装置は、以下のように作動する。消費者がカプセル16を挿入スライド6、7に挿入する。図5でも明瞭に分かるように、カプセルが停止手段20に到達するまで摺動し、カプセルのカラーが停止手段を押圧し、カプセルが中間位置に付く。カプセルの軸を符号26、可動体の軸を符号25により示す。カプセルが、そのカラーを通過する面に対して非対称とされるため、カプセルの軸は可動部分の移動軸に対して僅かに傾斜しがちとなる。消費者は、次いでレバー9を操作し、それによって可動部分3がロッド・システムを介して移動する。この可動体は、その軸25沿いに移動する。可動体の移動中、カプセル16が可動体によってその収容部4内に入れられ、そのため、カプセルの軸26が可動体の軸25側に下降する。その結果、カプセルのカラーが停止手段20の下を通過する。次いで、消費者の指示により、熱湯が管23を介して可動部分内に送られ、湯がカプセルを透過する。圧力上昇により、カプセルが抽出プレートに当接して開き、コーヒーが出口19を介して、その下に置かれたカップ内に流入する。抽出完了時に、消費者がレバー9を上げることによって、可動体が後方に移動し、もはや保持されないカプセルが解放され、使用済みカプセル回収システムに落下する。次いで本装置による次の抽出が可能となる。
【0036】
図7から10には、本発明による装置の可動部分及びその移動手段よりも、カプセルの案内及び固定手段をより詳細に示す。抽出プレート30は、カプセル32の案内手段31として、スピンドル33中心に旋回する2つの要素を備える。図9及び10によりよく示すように、各旋回要素は、それぞれ2つのポジショニング・ストップ、即ち一方は内側分39、他方は外側分40を備える。可動部分34は、カプセルの収容部35及び片側に突起41を備える。可動部分の移動手段は示していない。可動部分の両側に、始動レバー36が置かれ、軸37沿いに回り且つ案内手段31のムーブメント・フィンガ38と、前記始動レバー36の2つの作用ゾーン、即ち前方ゾーン42及び後方ゾーン43とを備える。
【0037】
その作動は以下の通りである。図8による開ポジションにおいては、始動レバー36のムーブメント・フィンガ38が旋回案内手段31をカプセル32の保持位置に保持する(図10)が、それは、前記フィンガが旋回要素31の内側ストップ39に作用するからである。可動部分34が抽出プレート30側に移動するとき、突起41が前方作用ゾーン42を解放して、後方作用ゾーン43寄りの位置に付き、そのためムーブメント・フィンガ38が外側ポジショニング・ストップ40を外側に押圧する。その結果、旋回案内手段が離隔し、即ち、可動部分が開かれるときに、カプセルはもはや保持されない。
【0038】
図11から13に、カプセルを固定する別の実施例を示す。固定部分50に、抽出プレート55及び飲料注入システム53を備える。カプセル56の中間ポジショニング位置の下に、スピンドル54で回転する可倒式停止材51がある。フィンガ57により、カプセルを保持することが可能とされる。更に本装置は、可動部分に固定され且つ可倒式停止材に作用してこれを開閉する要素52を備える。
【0039】
その作動は以下の通りである。図11は、可動部分が開いているときの様子を示す。要素52によって可倒式停止材が下向きに傾斜し、それによってカプセルが解放される。図12は、可動部分の開き工程の最後を示し、このとき可倒式停止材がカプセル56を固定するポジションに復帰している。更に、図13は、前記カプセル56を抽出時の可倒式停止材のポジションを示す。
【0040】
いうまでもなく、本発明による装置は、カプセルの抽出を可能とする全ての要素、即ち水タンク、吸水管、水を動かすポンプ、温水手段及び可動部分の水入口を備えるコーヒー・マシンの一部を形成する。
【符号の説明】
【0041】
1,32,56…カプセル抽出装置、2,30,50…第1部分、3,34…第2部分、4,35…収容部、6,7,31…カプセルを案内する案内手段、16…カプセル、19,53…飲料注入システム、25…収容部の軸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル(16、32、56)抽出装置であって、
固定された第1部分(30)と、
前記第1部分に対して可動の第2部分(34)と、
前記カプセルを受容する収容部(35)であり、前記第1部分に対する前記可動の第2部分を閉じたポジションにおいて、前記カプセルの抽出ポジションを前記収容部の軸(25)沿いに画定する収容部と、
前記カプセルを重力により挿入し、前記カプセルを中間ポジションに位置決めするように配置させる案内手段(31)を備えた挿入・位置決め部と、
飲料注入システム(19、53)と、を備え、
前記可動の第2部分(34)は、前記カプセル抽出装置の閉じられるときに前記カプセル(32)を中間ポジションから前記抽出ポジションに移動させるように構成されており、
停止手段(31)を備え、前記カプセルが前記中間ポジションから前記抽出ポジションへの移動の間に、前記可動の第2部分(34)が、前記停止手段の開きに作用して前記停止手段を寸退させることを特徴とするカプセル抽出装置。
【請求項2】
前記停止手段(31)は、前記中間ポジションの前記カプセル(32)を前記収容部の軸(25)に実質的に同心の軸沿いに保持するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカプセル抽出装置。
【請求項3】
前記第1部分(30)が、固定され、且つ前記可動の第2部分(34)を前記第1部分(30)側に平行に案内する実質的に水平なガイド・ボディ(14)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のカプセル抽出装置。
【請求項4】
前記カプセルの前記挿入・位置決め部が、前記ガイド・ボディ(14)の前方に置かれ、且つ2つの案内手段(31)を備えることを特徴とする請求項3に記載のカプセル抽出装置。
【請求項5】
前記案内手段(31)が旋回し、前記可動の第2部分(34)がカプセルの挿入を可能とする開ポジションのときに前記カプセル(32)を中間ポジションに固定し、且つ前記可動の第2部分(34)が閉ポジションのときに前記カプセルを開放するように配置された停止手段を形成若しくは備え、それにより前記カプセルの前記中間ポジションから前記抽出ポジションへの移動を可能とし、且つ前記可動の第2部分(34)が再び開いたときに前記カプセルの開放を可能とすることを特徴とする請求項2に記載のカプセル抽出装置。
【請求項6】
抽出プレート(30)を備え、その抽出プレート側に向けて前記可動の第2部分(34)が前記カプセルを抽出ポジションに移動させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のカプセル抽出装置。
【請求項7】
前記可動の第2部分(34)が前記開閉ポジションへの移動を確実とする手段(8)により移動されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のカプセル抽出装置。
【請求項8】
前記移動を確実とする前記手段(8)が連結ロッドシステム(9、10、11、12、18)であることを特徴とする請求項7に記載のカプセル抽出装置。
【請求項9】
前記可動の第2部分(34)が再び開くことによって、前記カプセルの重力による落下を可能とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のカプセル抽出装置。
【請求項10】
前記カプセルが前記案内手段(31)によりその落下を導かれることを特徴とする請求項9に記載のカプセル抽出装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のカプセル抽出装置を備えるコーヒー・マシンであって、前記マシンが、更に、水タンク、吸水管、水を動かすポンプ、温水装置及び前記カプセル抽出装置の前記可動部分の水出口を備えることを特徴とするコーヒー・マシン。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のカプセル抽出装置を備えるシステムであって、左右非対称のカプセルが案内端縁を有しており、前記案内端縁が前記カプセル抽出装置の前記案内手段(31)により制御されることを特徴とするシステム。
【請求項13】
前記カプセルには、焙煎若しくは挽いたコーヒーが内蔵されることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
請求項12または13に記載のシステムに用いられるカプセルであって、前記カプセル抽出装置の前記案内手段(31)により制御される案内端縁を備えることを特徴とするカプセル。
【請求項15】
請求項12または13に記載のシステムにおけるカプセルの使用方法であって、
前記カプセルを重力により挿入し、且つ前記カプセルを中間ポジションに位置決めする工程と、
前記カプセル抽出装置の閉じられるときに、前記カプセルを中間ポジションから前記抽出ポジションに移動させると共に、前記停止手段を寸退させる工程と、を有することを特徴とするカプセルの使用方法。
【請求項1】
カプセル(16、32、56)抽出装置であって、
固定された第1部分(30)と、
前記第1部分に対して可動の第2部分(34)と、
前記カプセルを受容する収容部(35)であり、前記第1部分に対する前記可動の第2部分を閉じたポジションにおいて、前記カプセルの抽出ポジションを前記収容部の軸(25)沿いに画定する収容部と、
前記カプセルを重力により挿入し、前記カプセルを中間ポジションに位置決めするように配置させる案内手段(31)を備えた挿入・位置決め部と、
飲料注入システム(19、53)と、を備え、
前記可動の第2部分(34)は、前記カプセル抽出装置の閉じられるときに前記カプセル(32)を中間ポジションから前記抽出ポジションに移動させるように構成されており、
停止手段(31)を備え、前記カプセルが前記中間ポジションから前記抽出ポジションへの移動の間に、前記可動の第2部分(34)が、前記停止手段の開きに作用して前記停止手段を寸退させることを特徴とするカプセル抽出装置。
【請求項2】
前記停止手段(31)は、前記中間ポジションの前記カプセル(32)を前記収容部の軸(25)に実質的に同心の軸沿いに保持するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカプセル抽出装置。
【請求項3】
前記第1部分(30)が、固定され、且つ前記可動の第2部分(34)を前記第1部分(30)側に平行に案内する実質的に水平なガイド・ボディ(14)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のカプセル抽出装置。
【請求項4】
前記カプセルの前記挿入・位置決め部が、前記ガイド・ボディ(14)の前方に置かれ、且つ2つの案内手段(31)を備えることを特徴とする請求項3に記載のカプセル抽出装置。
【請求項5】
前記案内手段(31)が旋回し、前記可動の第2部分(34)がカプセルの挿入を可能とする開ポジションのときに前記カプセル(32)を中間ポジションに固定し、且つ前記可動の第2部分(34)が閉ポジションのときに前記カプセルを開放するように配置された停止手段を形成若しくは備え、それにより前記カプセルの前記中間ポジションから前記抽出ポジションへの移動を可能とし、且つ前記可動の第2部分(34)が再び開いたときに前記カプセルの開放を可能とすることを特徴とする請求項2に記載のカプセル抽出装置。
【請求項6】
抽出プレート(30)を備え、その抽出プレート側に向けて前記可動の第2部分(34)が前記カプセルを抽出ポジションに移動させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のカプセル抽出装置。
【請求項7】
前記可動の第2部分(34)が前記開閉ポジションへの移動を確実とする手段(8)により移動されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のカプセル抽出装置。
【請求項8】
前記移動を確実とする前記手段(8)が連結ロッドシステム(9、10、11、12、18)であることを特徴とする請求項7に記載のカプセル抽出装置。
【請求項9】
前記可動の第2部分(34)が再び開くことによって、前記カプセルの重力による落下を可能とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のカプセル抽出装置。
【請求項10】
前記カプセルが前記案内手段(31)によりその落下を導かれることを特徴とする請求項9に記載のカプセル抽出装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のカプセル抽出装置を備えるコーヒー・マシンであって、前記マシンが、更に、水タンク、吸水管、水を動かすポンプ、温水装置及び前記カプセル抽出装置の前記可動部分の水出口を備えることを特徴とするコーヒー・マシン。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のカプセル抽出装置を備えるシステムであって、左右非対称のカプセルが案内端縁を有しており、前記案内端縁が前記カプセル抽出装置の前記案内手段(31)により制御されることを特徴とするシステム。
【請求項13】
前記カプセルには、焙煎若しくは挽いたコーヒーが内蔵されることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
請求項12または13に記載のシステムに用いられるカプセルであって、前記カプセル抽出装置の前記案内手段(31)により制御される案内端縁を備えることを特徴とするカプセル。
【請求項15】
請求項12または13に記載のシステムにおけるカプセルの使用方法であって、
前記カプセルを重力により挿入し、且つ前記カプセルを中間ポジションに位置決めする工程と、
前記カプセル抽出装置の閉じられるときに、前記カプセルを中間ポジションから前記抽出ポジションに移動させると共に、前記停止手段を寸退させる工程と、を有することを特徴とするカプセルの使用方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−139518(P2012−139518A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−54946(P2012−54946)
【出願日】平成24年3月12日(2012.3.12)
【分割の表示】特願2008−283580(P2008−283580)の分割
【原出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−54946(P2012−54946)
【出願日】平成24年3月12日(2012.3.12)
【分割の表示】特願2008−283580(P2008−283580)の分割
【原出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
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