カプラ装置
【課題】中心軸が互いにずれる状態で他のカプラ装置と対向した状態にあっても、中心軸周りの回転に伴う透過係数の変化を抑えることを可能とする。
【解決手段】導電材料により構成され、給電点(基準点)P1へ給電される結合素子21と、結合素子21と対向し、導電材料により構成される地板24と、結合素子21と地板24とを短絡する短絡素子22,23とを備える。結合素子21は、先端部E3,E4を有する第1の導電部を矩形部21c,21dにより形成している。結合素子21は、先端部E3および先端部E4の中央から延出し、先端部E1,E2をそれぞれ有する2つの導電部を矩形部21a,21bによりそれぞれ形成している。短絡素子22,23は、接地端E3,E4のそれぞれのと地板24とを短絡する。
【解決手段】導電材料により構成され、給電点(基準点)P1へ給電される結合素子21と、結合素子21と対向し、導電材料により構成される地板24と、結合素子21と地板24とを短絡する短絡素子22,23とを備える。結合素子21は、先端部E3,E4を有する第1の導電部を矩形部21c,21dにより形成している。結合素子21は、先端部E3および先端部E4の中央から延出し、先端部E1,E2をそれぞれ有する2つの導電部を矩形部21a,21bによりそれぞれ形成している。短絡素子22,23は、接地端E3,E4のそれぞれのと地板24とを短絡する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離間して配置された別のカプラ装置との間で電磁波を送受信するカプラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
数cm程度の距離まで近接させた2つの通信機器間での近接無線通信方式であるTransferJetの開発が進められている。
【0003】
この種の近接無線通信方式を利用して通信する場合には、2つの通信機器をそれぞれに搭載されたカプラ装置を対向させるように近接させた状態とする。そしてカプラ装置は、電磁的結合を利用して電磁波を送受信する。
【0004】
なお、一般的にカプラ装置は、それぞれ導電材料を平板状に形成した結合素子と地板とを互いに対向する状態で配置して構成される。そして、送信側のカプラ装置においては、結合素子と地板との間に信号を給電することによって結合素子に電流を生じさせるとともにカプラ装置の周囲に電磁場を生じさせ、受信側のカプラ装置との間に電磁的結合を生じさせる。受信側のカプラ装置では、上記のように生じた電磁的結合により結合素子に電流が生じた際の結合素子と地板との間の電位差に応じて上記の信号を取り出すことができる。
【0005】
この種のカプラ装置では、給電点と開放端との間に生じる電流により所要周波数帯域に関する電磁的結合を生じさせる。
【0006】
一方、結合素子と地板との間に短絡素子を配置し、結合素子と地板とを短絡させることがある。この場合に短絡素子は、給電点と開放端との間の電流経路を避けた1箇所に設けられるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−197449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
さて、上記の短絡素子を設けたカプラ装置においては、結合素子上を給電点と短絡素子との間で流れる電流も生じる。そして、この電流は、給電点と開放端との間の電流よりも大きくなり、かつ給電点から一方向に偏った状態で生じることになることから、カプラ装置の全体としての電流分布に偏りが生じる。そしてこのような電流分布の偏りによって、他のカプラ装置との結合度が低下してしまう恐れがある。
【0009】
なお、特許文献1には、天板導体と地板導体との間に2本の短絡ピンを設けたアンテナ装置が記載されている。
【0010】
しかしながら特許文献1に記載されたアンテナ装置では、短絡ピンは天板導体を流れる電流の経路の途中に配置されている。これは、特許文献1に記載のアンテナ装置が、天板導体が存在する平面において無指向性であり、かつ天板導体に垂直な方向へは電波を放射しない特性を持つように構成されたものであって、結合素子に垂直な方向での電磁結合を生じさせるカプラ装置とは全く異なる電磁的作用を利用するためである。
【0011】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、中心軸が互いにずれる状態で他のカプラ装置と対向した状態にあっても、中心軸周りの回転に伴う透過係数の変化を抑えることが可能なカプラ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によるカプラ装置は、他のカプラ装置との間での電磁的結合により電磁波を授受するカプラ装置であって、第1の端部および第2の端部を有した第1の導電部と、前記第1の端部および前記第2の端部の間から延出し、開放端を有した第2の導電部とを備える結合素子と、前記結合素子と対向し、導電材料により構成された地板と、前記結合素子の前記第1の端部と前記地板とを短絡する第1の短絡素子と、前記結合素子の前記第2の端部と前記地板とを短絡する第2の短絡素子とを備えるた。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、中心軸が互いにずれる状態で他のカプラ装置と対向した状態にあっても、中心軸周りの回転に伴う透過係数の変化を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係るカプラ装置の斜視図。
【図2】図1に示すカプラ装置の平面図。
【図3】図2中のA−A矢視断面図。
【図4】図1に示すカプラ装置の分解斜視図。
【図5】図1乃至図3に示すカプラ装置が搭載される機器の一例としての情報処理装置の外観を示す斜視図。
【図6】図5に示す情報処理装置のブロック図。
【図7】2つのカプラ装置どうしの間における透過係数(S21)の周波数特性を求める条件を示す図。
【図8】図1乃至図3に示すカプラ装置どうしの間における透過係数(S21)の周波数特性に関するシミュレーションデータを示す図。
【図9】第2の実施形態に係るカプラ装置の平面図。
【図10】図9に示すカプラ装置どうしの間における透過係数(S21)の周波数特性に関するシミュレーションデータを示す図。
【図11】第3の実施形態に係るカプラ装置の平面図。
【図12】図11に示すカプラ装置どうしの間における透過係数(S21)の周波数特性に関するシミュレーションデータを示す図。
【図13】第4の実施形態に係るカプラ装置の平面図。
【図14】図13に示すカプラ装置どうしの間における透過係数(S21)の周波数特性に関するシミュレーションデータを示す図。
【図15】第5の実施形態に係るカプラ装置の平面図。
【図16】第6の実施形態に係るカプラ装置の平面図。
【図17】第7の実施形態に係るカプラ装置の平面図。
【図18】図17に示すカプラ装置の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係るカプラ装置2の斜視図である。図2はカプラ装置2の平面図である。図3は図2中のA−A矢視断面図である。図4はカプラ装置2の分解斜視図である。
【0017】
これら図1乃至図4に示すようにカプラ装置2は、結合素子21、短絡素子22,23、地板24および誘電体25を含む。また図3に示すように、カプラ装置2は給電線26およびコネクタ27をさらに含む。
【0018】
結合素子21、地板24および誘電体25は、いずれも平板状をなし、それぞれの厚み方向をほぼ一致させた状態で、その厚み方向に沿って結合素子21、誘電体25および地板24の順番で配列されている。なお、以下の説明においては、これら結合素子21、誘電体25および地板24の配列方向(厚み方向/高さ方向)をカプラ装置2の表裏方向と定め、かつ結合素子21の側を表側と定める。つまり、結合素子21は誘電体25の表側に位置し、かつ地板24は誘電体25の裏側に位置することになる。
【0019】
結合素子21は導電材料を図1乃至図4に示すような形状に形成してなる。結合素子21は、その厚み方向に直交する平面においては十字形状をなしている。すなわち結合素子21には、その中央からそれぞれ異なる4方向に延びる4つの矩形部21a,21b,21c,21dが存在する。矩形部21aおよび矩形部21bは、互いに同じ長さであることが望ましいが、それは必須の要件ではない。また矩形部21cおよび矩形部21dは、互いに同じ長さであることが望ましいが、それは必須の要件ではない。矩形部21a,21bはいずれも、他のカプラ装置との間で授受する高周波信号がほぼ全域に渡り流れる程度の幅を持つものとする。
【0020】
かくして、矩形部21c,21dは、2つの端部E3,E4を有した第1の導電部を形成している。また矩形部21a,21bは、開放端E1,E2をそれぞれ有した第2および第3の導電部を形成している。そして開放端E1,E2は、端部E3および端部E4の中央に対して対称の位置にある。
【0021】
短絡素子22,23は、導電材料を矩形の平板状に形成してなり、その厚み方向が結合素子21の厚み方向に直交する。短絡素子22,23は、矩形部21c,21dの先端においてそれぞれ結合素子11に接合されている。短絡素子22,23は、結合素子21に一体的であっても良いし、別体であっても良い。短絡素子22,23は、誘電体25の内部を通過する状態で配置され、地板24に対して電気的に接続されている。
【0022】
地板24は、誘電体25の一面のほぼ全面に導電材料よりなる薄い層を形成してなり、接地電極として機能する。この地板24は、カプラ装置2が搭載される通信機器の金属筐体などに電気的に接続されても良いし、そのような接続がなされなくても良い。地板24は、結合素子21との間で短絡素子22,23を介さない直接的な導通が生じることがない程度に結合素子21に対して離間される。地板24には、地板24を表裏方向に貫通する状態で矩形状の切欠部24a,24bが形成されている。切欠部24a,24bは、結合素子21の少なくとも一部と対向する地板24中の領域の近傍にある。
【0023】
地板24の表側面に対して表裏方向に結合素子21を投影した場合の投影領域(結合素子21に対向する領域)は図4に二点鎖線で示す領域AR1となる。この図4から、領域AR1のうちで矩形部21a,21bに対応する領域AR1a,AR1bの一部が切欠部24a,24bに重なることから、矩形部21a,21bの一部に対向して切欠部24a,24bが設けられていること、すなわち領域AR1a,AR1bの近傍(隣接する領域)に切欠部24a,24bが設けられていることわかる。また領域AR1のうちの交差部分近傍が切欠部24a,24bのいずれにも重ならないことから、切欠部24a,24bが給電点P1には対向していないことがわかる。さらに、領域AR1のうちの矩形部21c,21dに対応する領域AR1c,AR1dが切欠部24a,24bのいずれにも重ならないことから、短絡素子22,23が地板24に接触可能であることがわかる。
【0024】
誘電体25は、誘電材料を板状に形成してなる。誘電体25は、結合素子21と地板24との間隙に配置される。第1の実施形態において誘電体25は、結合素子21と地板24との間隔にほぼ等しい厚みを有し、結合素子21と地板24との間隙をほぼ埋める。このため短絡素子22,23は、その大半が誘電体25の内部に位置している。ただし誘電体25の厚みは、結合素子21と地板24との間隔よりも小さくても良い。誘電体25は、その厚みが結合素子21と地板24との間隔よりも小さい場合には、典型的には地板24に接し、かつ結合素子21から離間する状態で誘電体25を配置する。しかしながら、結合素子21に接し、かつ地板24から離間する状態で誘電体25を配置しても良い。あるいは、結合素子21および地板24のいずれからも離間した状態で誘電体25を配置しても良い。さらには、結合素子21に接する第1の誘電体と地板24に接する第2の誘電体とをそれぞれ設けて、これら第1および第2の誘電体を互いに離間して配置しても良い。誘電体25には、誘電体25を表裏方向に貫通する状態でコ字状の切欠部25a,25bが形成されている。切欠部25a,25bは、結合素子21の少なくとも一部と対向する誘電体25中の領域の近傍にある。
【0025】
なお、本実施形態では、切欠部25a,25bはコ字状であるが、その他の形状であっても良い。地板24に設けられた切欠部24a,24bの形状についても任意であって良い。
【0026】
誘電体25の表面側に対して表裏方向に結合素子21を投影した場合の投影領域(結合素子21に対向する領域)は図4に二点鎖線で示す領域AR2となる。この図4から、領域AR2のうちで矩形部21a,21b,21c,21dに対応する領域AR2a,AR2b,AR2c,AR2dが切欠部25a,25bに重ならないことから、結合素子21の全てに対向しないように切欠部25a,25bが設けられていることがわかる。
【0027】
給電線26は、地板24および誘電体25を通過する状態で配置されている。給電線26は、一端が結合素子21の中央部分の給電点P1に、他端がコネクタ27にそれぞれ接続されている。給電線26は、地板24に対しては絶縁されている。
【0028】
コネクタ27は、地板24に例えば半田づけなどにより固定される。このコネクタ27には、カプラ装置2が通信機器に搭載された状態においては、コネクタ201が結合される。コネクタ201は、上記の通信機器に搭載された送受信回路202とケーブル203を介して接続されている。そしてコネクタ27,201は、互いに結合された状態において、給電線26とケーブル203の給電線とを電気的に接続するとともに、ケーブル203のグランド線と地板24とを電気的に接続する。
【0029】
なお、図1乃至図4の例では、カプラ装置2は、地板13側に設けられたコネクタ27を介して給電点P1へ給電しているが、給電方法および実装方法はこれに限られるものではない。例えば、送受信回路202と一体的な基板としてカプラ装置2を実装し、当該基板のパターンとして、結合素子21側の給電点P1へ給電するように実装することも可能である。また、コネクタを使用せずに、給電点P1および地板24へ直接的にケーブル203の給電線を接続しても良い。
【0030】
図5はカプラ装置2が搭載される機器の一例としての情報処理装置30の外観を示す斜視図である。この情報処理装置30は、例えば、バッテリ駆動可能なノートブック型の携帯型パーソナルコンピュータとして実現されている。
【0031】
情報処理装置30は、本体300およびディスプレイユニット350を備えている。ディスプレイユニット350は、回動自在な状態で本体300に支持されている。ディスプレイユニット350は、本体300の上面を露出させる開放状態と、本体300の上面を覆う閉塞状態とを形成し得る。ディスプレイユニット350には、LCD(liquid crystal display)351が設けられている。
【0032】
本体300は薄い箱状の筐体を有している。本体300には、その筐体の上面より筐体の外部に露出する状態で、キーボード301、タッチパッド302および電源スイッチ303等が配置されている。また本体300には、その筐体の内部にカプラ装置2が設けられている。本体300内におけるカプラ装置2の向きは任意であって良い。ただし典型的には、図1における表裏方向を本体300の筐体の上面に直交する方向と一致させる。また典型的には、地板24よりも結合素子21を本体300の筐体の上面の近くに位置させる。
【0033】
カプラ装置2は、情報処理装置30と図示しない他の装置との間で近接無線通信を行うために利用される。近接無線通信は、ピアツーピア形式で実行される。通信可能距離は、例えば3cm程度である。通信端末どうしの無線接続は、両通信端末にそれぞれ搭載されたカプラ装置2どうしの間の距離が通信可能距離以内に接近した場合にのみ可能となる。そして、2つのカプラ装置2が通信可能距離以内に接近した時に、当該2つの通信端末の間の無線接続が確立される。そして、ユーザによって指定されたデータファイル、または予め決められた同期対象データファイル等のデータが、2つの通信端末の間で送受信される。
【0034】
図5に示す例では、カプラ装置2は本体300の上面におけるパームレストとして機能する領域(以下、パームレスト領域と称する)の下に配置されている。かくしてパームレスト領域の一部は、通信面として機能する。すなわち、情報処理装置30との間での近接無線通信を行おうとする他の通信端末をパームレスト領域に近接させることで、当該通信端末と情報処理装置30との無線接続を確立できる。
【0035】
図6は情報処理装置30のブロック図である。なお、図5と同一部分には同一符号を付している。
【0036】
情報処理装置30は、カプラ装置2、キーボード301、タッチパッド302、電源スイッチ303およびLCD351の他に、ハードディスクドライブ(HDD)304、CPU305、主メモリ306、BIOS(basic input/output system)−ROM307、ノースブリッジ308、グラフィクスコントローラ309、ビデオメモリ(VRAM)310、サウスブリッジ311、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)312、電源コントローラ313および近接無線通信デバイス314を含む。
【0037】
ハードディスクドライブ304は、オペレーティングシステム(OS)やBIOS更新プログラム等の各種プログラムを実行するためのコードを格納する。
【0038】
CPU305は、情報処理装置30の動作を制御するために、ハードディスクドライブ304から主メモリ306にロードされた各種プログラムを実行する。CPU305が実行するプログラムには、オペレーティングシステム401、近接無線通信ガジェットアプリケーションプログラム402、認証アプリケーションプログラム403、あるいは送信トレイアプリケーションプログラム404を含む。
【0039】
またCPU305は、ハードウェア制御のために、BIOS−ROM307に格納されたBIOSプログラムを実行する。
【0040】
ノースブリッジ308は、CPU305のローカルバスとサウスブリッジ311との間を接続する。ノースブリッジ308は、主メモリ306をアクセス制御するメモリコントローラを内蔵する。また、ノースブリッジ308は、AGPバスなどを介してグラフィクスコントローラ309との通信を実行する機能を有する。
【0041】
グラフィクスコントローラ309は、LCD351を制御する。グラフィクスコントローラ309は、ビデオメモリ310に記憶された表示データから、LCD351で表示させる表示イメージを表す映像信号を生成する。なお表示データは、CPU305の制御の下にビデオメモリ310に書き込まれる。
【0042】
サウスブリッジ311は、LPCバス上のデバイスを制御する。サウスブリッジ311は、ハードディスクドライブ304を制御するためのATAコントローラを内蔵している。さらに、サウスブリッジ311は、BIOS−ROM307をアクセス制御するための機能を有している。
【0043】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)312は、エンベデッドコントローラと、キーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。エンベデッドコントローラは、ユーザによる電源スイッチ303の操作に応じて情報処理装置30をパワーオン/パワーオフするように電源コントローラを制御する。キーボードコントローラは、キーボード301およびタッチパッド302を制御する。
【0044】
電源コントローラ313は、図示しない電源装置の動作を制御する。なお当該電源装置は、情報処理装置30の各部の動作電力を生成する。
【0045】
近接無線通信デバイス314は、PHY/MAC部314aを備える。PHY/MAC部314aは、CPU305による制御の下に動作する。PHY/MAC部314aは、カプラ装置2を介して、他の通信端末と通信する。この近接無線通信デバイス314は、図3における送受信回路202に相当する。近接無線通信デバイス314は、本体300の筐体内に収容される。
【0046】
なお、近接無線通信デバイス314とサウスブリッジ311との間のデータの転送は、PCI(peripheral component interconnect)バスによって行われる。なお、PCIの代わりにPCI Expressを用いても良い。
【0047】
次に以上のように構成されたカプラ装置2の動作について説明する。
【0048】
送受信回路202から高周波信号が送出されると、この高周波信号がケーブル203、コネクタ201、コネクタ27および給電線26を介して結合素子21の給電点P1へと供給される。このとき、矩形部21a,21bの先端部E1,E2がそれぞれ開放端となり、給電点P1から先端部E1,E2のそれぞれに至る2つの電流経路が生じる。なお、矩形部21a,21bにおいては、そのほぼ全域に電流が生じる。従って、矩形部21a,21bにおける電流経路は矩形部21a,21bの中央部を通ると見なすことができる。
【0049】
そして、送信側のカプラ装置2の矩形部21a,21bに上記のように生じた電流が結合電流となり、当該送信側のカプラ装置2の周囲に電磁波が生じる。そして、この電磁波によって、受信側のカプラ装置2の結合素子21に電流が誘起される。このようにして、2つのカプラ装置2どうしで高周波信号の送受信が行われる。ここで結合素子21の大きさは、上記の2つの電流経路の長さが所要周波数の波長λのn/4(nは任意の整数)にほぼ相当するように定める。これにより、上記の所要周波数を中心周波数とした周波数帯域の高周波信号を効率的に送受信できる。
【0050】
ところで、矩形部21c,21dは短絡素子22,23によって地板24へと接地されているから、矩形部21c,21dの先端部E3,E4がそれぞれ接地端となっている。そして、給電点P1から先端部E3,E4のそれぞれに至る2つの電流経路が生じ、矩形部21c,21dに接地電流が流れる。しかしながら、これらの2つの接地電流は向きが互いに異なるために、カプラ装置2全体における電流分布の偏りは接地端が単一である場合に比べて小さくなる。
【0051】
特に本実施形態では、矩形部21c,21dが給電点P1を中心として点対称な形状を持つため、これら2つの接地電流も対称となり、これらの接地電流によるカプラ装置2全体における電流分布にはほとんど偏りが生じない。
【0052】
ただし、矩形部21c,21dが直線状に並んでいなかったり、あるいは矩形部21c,21dの長さが互いに異なっていたとしても、矩形部21c,21dが給電点P1を含むとともに表裏方向に沿った平面を挟んで互いに反対側に位置していれば、従来のカプラ装置1に比べれば電流分布の偏りを小さくできる。従って、矩形部21c,21dが給電点P1を中心として点対称な形状は必須の要件ではない。
【0053】
なお、矩形部21c,21dを短くする程にQ値が上がる。すなわち、矩形部21c,21dが短い程に電磁的結合の帯域が狭まり、結合度は高まる。このため矩形部21c,21dの長さは、求められる帯域および結合度を考慮して適切に定められることが望ましい。
【0054】
さて、上記のような使用状態においては、地板24は接地されており、かつ結合素子21と地板24とが近接しているので、結合素子21に生じた電流のエネルギの一部が地板24に直接的に漏れる。しかしながら、カプラ装置2においては、切欠部24a,24bが形成されているから、矩形部21a,21bの一部に対しては、地板24が対向していない。このため、切欠部24a,24bが形成されていない場合に比べて、結合素子21から地板24へと直接的に漏れるエネルギの量が低減されることになる。また切欠部25a,25bが形成されているから、地板24と結合素子21との間の電界の集中を、切欠部25a,25bが形成されていない場合に比べて低減することができる。そしてこれらの結果として、通信相手のカプラ装置との電磁的結合に利用されるエネルギ量が増加し、結合度(S21)が向上する。
【0055】
例えば、2つのカプラ装置2を図7に示すような位置関係で対向させた場合における透過係数(S21)の周波数特性に関するシミュレーションデータを図8に示す。なお、図7に示す位置関係は、以下の条件による。
【0056】
・2つのカプラ装置のそれぞれの表面が互いに対向する。
【0057】
・2つのカプラ装置のそれぞれの中心軸が互いに平行する。
【0058】
・中心軸に沿う方向についての2つのカプラ装置の表面どうしの間隔が10mm。
【0059】
・中心軸に直交する方向についての中心軸どうしの間隔が10mm。
【0060】
・同一の接地端が同一方向を向く状態を0度とし、図7の上側に位置するカプラ装置1をその中心軸周りに矢印A1の方向に0度の状態から90度ずつ回転させた状態をそれぞれ90度、180度および270度とする。
【0061】
(第2の実施形態)
図9は第2の実施形態に係るカプラ装置3の平面図である。なお、図1乃至図3と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0062】
図9に示すようにカプラ装置3は、短絡素子22,23、地板24、誘電体25および結合素子31を含む。またカプラ装置3は、図3に示すような給電線26およびコネクタ27をさらに含むが、これら給電線26およびコネクタ27は図9においては図示を省略している。
【0063】
つまりカプラ装置3は、カプラ装置2における結合素子21に代えて結合素子31を備える。そして結合素子31と結合素子21とは、その厚み方向に直交する平面における形状が異なる。
【0064】
結合素子31には、L字形部31a,31bおよび矩形部31c,31dが存在する。L字形部31a,31bは、それぞれ屈曲角度が90度であるL字形をなし、給電点P2を中心として互いに点対称である。矩形部31c,31dは、それぞれ矩形をなし、給電点P2を中心として互いに点対称である。そして、矩形部31c,31dは、給電点P2においてL字形部31a,31bに直交する。なお、L字形部31a,31bはいずれも、他のカプラ装置との間で授受する高周波信号がほぼ全域に渡り流れる程度の幅を持つものとする。
【0065】
かくして、矩形部31c,31dは、2つの先端部E13,E14を有した第1の導電部を形成している。また矩形部31a,31bは、先端部E11,E12をそれぞれ有した第2および第3の導電部を形成している。そして先端部E11,E12は、先端部E13および端部E14の中央に対して対称の位置にある。
【0066】
短絡素子22,23は、矩形部31c,31dの先端においてそれぞれ結合素子31に接合されている。
【0067】
この結合素子31では、L字形部31a,31bの先端部E11,E12がそれぞれ開放端となり、矩形部31c,31dの先端部E13,E14がそれぞれ接地端となる。このため結合素子31は、給電点P2からL字形部31aに沿って先端部E11まで至る電流経路と、給電点P2からL字形部31bに沿って先端部E12まで至る電流経路とが生じる。結合素子31の大きさは、これら2つの電流経路の長さが所要周波数の波長λのn/4(nは任意の整数)にほぼ相当するように定める。
【0068】
かくして結合素子31においても、矩形部31c,31dをそれぞれ流れる接地電流の向きが互いに異なるために、カプラ装置3全体における電流分布の偏りは接地端が単一である場合に比べて小さくなる。
【0069】
特に本実施形態では、矩形部31c,31dが給電点P2を中心として点対称な形状を持つため、2つの接地電流も対称となり、これらの電流によるカプラ装置3全体における電流分布にはほとんど偏りが生じない。
【0070】
ところで、2つのカプラ装置3どうしの電磁的結合は主としてL字形部31a,31bに生じる電流によって実現されるが、L字形部31a,31bに生じる結合電流には図9に矢印で示すように90度づつ異なる4方向の電流成分を含む。このため、図7に示す位置関係で2つのカプラ装置2を対向させた場合に、0度、90度、180度および270度のいずれにおいても両カプラ装置2に互いに逆向きの電流成分が含まれることになり、各状態での結合度の変化が低減される。
【0071】
図10は2つのカプラ装置3の間における透過係数(S21)の周波数特性に関するシミュレーションデータを示す図である。この図9に示す特性は、図7に示す位置関係で2つのカプラ装置3を対向させた場合における透過係数(S21)をコンピュータシミュレーションにより求めている。
【0072】
ただし、L字形部31a,31bの先端側の電流のためにカプラ装置3ではカプラ装置2よりも全体における電流分布が偏ることになる。しかしながら、L字形部31a,31bにおける結合電流が矩形部31c,31dにおける接地電流よりも小さく、さらに結合電流が先端部E11,E12に近づくに従って小さくなる。このため、L字形部31a,31bの先端側の電流の電流分布への影響は小さい。
【0073】
なお、L字形部31a,31bの屈曲角度は、90度以外であっても良く、かつL字形部31a,31bの屈曲角度が互いに異なっていても良い。L字形部31a,31bは、互いに異なる形状であっても良い。L字形部31a,31bが給電点P2において形成する角度が180度以外であっても良い。ただしL字形部31a,31bは、給電点P2を含むとともに表裏方向に沿った平面を挟んで互いに反対側に位置する。
【0074】
一方、矩形部31c,31dは、互いに異なる形状であっても良い。矩形部31c,31dが給電点P2において形成する角度が180度以外であっても良い。ただしL字形部31a,31bは、給電点P2を含むとともに表裏方向に沿った平面を挟んで互いに反対側に位置する。
【0075】
(第3の実施形態)
図11は第3の実施形態に係るカプラ装置4の平面図である。なお、図1乃至図3と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0076】
図11に示すようにカプラ装置4は、短絡素子22,23、地板24、誘電体25および結合素子41を含む。またカプラ装置4は、図3に示すような給電線26およびコネクタ27をさらに含むが、これら給電線26およびコネクタ27は図11においては図示を省略している。
【0077】
つまりカプラ装置4は、カプラ装置2における結合素子21に代えて結合素子41を備える。そして結合素子41と結合素子21とは、その厚み方向に直交する平面における形状が異なる。
【0078】
結合素子41には、L字形部41a,41bおよび矩形部41c,41dが存在する。L字形部41a,41bは、それぞれ屈曲角度が90度であるL字形をなし、上記の平面上において給電点P3を通る直線L1に対して互いに線対称である。矩形部41c,41dは、それぞれ矩形をなし、給電点P3を中心として互いに点対称である。そして、矩形部41c,41dは、直線L1に沿った状態で直線L1上に並ぶ。なお、L字形部41a,41bはいずれも、他のカプラ装置との間で授受する高周波信号がほぼ全域に渡り流れる程度の幅を持つものとする。
【0079】
かくして、矩形部41c,41dは、2つの先端部E23,E24を有した第1の導電部を形成している。また矩形部41a,41bは、先端部E21,E22をそれぞれ有した第2および第3の導電部を形成している。
【0080】
短絡素子22,23は、矩形部41c,41dの先端においてそれぞれ結合素子41に接合されている。
【0081】
この結合素子41では、L字形部41a,41bの先端部E21,E22がそれぞれ開放端となり、矩形部41c,41dの先端部E23,E24がそれぞれ接地端となる。このため結合素子41は、給電点P3からL字形部41aに沿って先端部E21まで至る電流経路と、給電点P3からL字形部41bに沿って先端部E22まで至る電流経路とに結合電流がそれぞれ生じる。結合素子41の大きさは、これら2つの電流経路の長さが所要周波数の波長λのn/4(nは任意の整数)にほぼ相当するように定める。
【0082】
かくして結合素子41においても、矩形部41c,41dにそれぞれ生じる接地電流の向きが互いに異なるために、カプラ装置4全体における電流分布の偏りは接地端が単一である場合に比べて小さくなる。
【0083】
特に本実施形態では、矩形部41c,41dが給電点P3を中心として点対称であるため、2つの接地電流も対称となり、これらの接地電流によるカプラ装置4全体における電流分布にはほとんど偏りが生じない。
【0084】
ところで、2つのカプラ装置4どうしの電磁的結合は主としてL字形部41a,41bに生じる結合電流によって実現されるが、この結合電流には図11に矢印で示すように90度づつ異なる3方向の電流成分を含む。このため、図7に示す位置関係で2つのカプラ装置3を対向させた場合に、0度、90度、180度および270度のいずれにおいても両カプラ装置2に互いに逆向きの電流成分が存在することになり、各状態での結合度の変化が低減される。
【0085】
図12は2つのカプラ装置4の間における透過係数(S21)の周波数特性に関するシミュレーションデータを示す図である。この図12に示す特性は、図7に示す位置関係で2つのカプラ装置4を対向させた場合における透過係数(S21)をコンピュータシミュレーションにより求めている。
【0086】
ただし、L字形部41a,41bの先端側の電流のためにカプラ装置4ではカプラ装置2よりも全体における電流分布が偏ることになる。しかしながら、L字形部41a,41bにおける結合電流が矩形部41c,41dにおける接地電流よりも小さく、さらに結合電流が先端部E21,E22に近づくに従って小さくなる。このため、L字形部41a,41bの先端側の電流に起因する電流分布の偏りは、単一の接地端に向かう電流に起因する電流分布の偏りよりも小さい。
【0087】
なお、L字形部41a,41bの屈曲角度は、90度以外であっても良く、かつL字形部41a,41bの屈曲角度が互いに異なっていても良い。L字形部41a,41bは、互いに異なる形状であっても良い。L字形部41a,41bが給電点P3において形成する角度が180度以外であっても良い。ただしL字形部41a,41bは、給電点P3を含むとともに表裏方向に沿った平面を挟んで互いに反対側に位置する。
【0088】
一方、矩形部41c,41dは、互いに異なる形状であっても良い。矩形部41c,41dが給電点P3において形成する角度が180度以外であっても良い。ただしL字形部41a,41bは、給電点P3を含むとともに表裏方向に沿った平面を挟んで互いに反対側に位置する。
【0089】
(第4の実施形態)
図13は第4の実施形態に係るカプラ装置5の平面図である。なお、図1乃至図3と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0090】
図13に示すようにカプラ装置5は、短絡素子22,23、地板24、誘電体25および結合素子51を含む。またカプラ装置5は、図3に示すような給電線26およびコネクタ27をさらに含むが、これら給電線26およびコネクタ27は図13においては図示を省略している。
【0091】
つまりカプラ装置5は、カプラ装置2における結合素子21に代えて結合素子51を備える。そして結合素子51と結合素子21とは、その厚み方向に直交する平面における形状が異なる。
【0092】
結合素子51には、矩形部51a,51b,51c,51d,51eが存在する。矩形部51a,51bは、それぞれ矩形をなし、互いに離間した状態で平行している。矩形部51cは、矩形をなし、矩形部51a,51bの中央部どうしを連結するように矩形部51a,51bの配列方向に沿って延びる。矩形部51d,51eは、それぞれ矩形をなし、給電点P4を挟んで直線状に並ぶ。なお、矩形部51a,51b,51cはいずれも、他のカプラ装置との間で授受する高周波信号がほぼ全域に渡り流れる程度の幅を持つものとする。
【0093】
かくして、矩形部51d,51eは、2つの先端部E35,E36を有した第1の導電部を形成している。また矩形部51aと矩形部51cの一部とで先端部E31,E32を有した導電部が、また矩形部51bと矩形部51cの一部とで先端部E33,E34を有した導電部がそれぞれ形成されている。そして先端部E31,E32,E33,E34は、先端部E35および先端部E36の中央に対して対称の位置にある。
【0094】
短絡素子22,23は、矩形部51d,51eの先端においてそれぞれ結合素子51に接合されている。
【0095】
この結合素子51では、矩形部51a,51bの先端部E31,E32,E33,E34がそれぞれ開放端となり、矩形部51d,51eの先端部E35,E36がそれぞれ接地端となる。このため結合素子51は、給電点P4から矩形部51cおよび矩形部51aに沿って先端部E31,E32まで至る2つの電流経路と、給電点P4から矩形部51cおよび矩形部51bに沿って先端部E33,E34まで至る2つの電流経路とでそれぞれ結合電流が生じる。結合素子51の大きさは、これら4つの電流経路の長さが所要周波数の波長λのn/4(nは任意の整数)にほぼ相当するように定める。
【0096】
かくして結合素子51においても、矩形部51d,51eにそれぞれ生じる接地電流の向きが互いに異なるために、カプラ装置5全体における電流分布の偏りは接地端が単一である場合に比べて小さくなる。
【0097】
特に本実施形態では、矩形部51d,51eが給電点P4を中心として点対称であるため、2つの接地電流も対称となり、これらの接地電流によるカプラ装置4全体における電流分布にはほとんど偏りが生じない。
【0098】
ところで、2つのカプラ装置5どうしの電磁的結合は主として矩形部51c,51d,51eに生じる結合電流によって実現されるが、この結合電流には図13に矢印で示すように90度づつ異なる4方向の電流成分を含む。このため、図7に示す位置関係で2つのカプラ装置5を対向させた場合に、0度、90度、180度および270度のいずれにおいても両カプラ装置2に互いに逆向きの電流成分が存在することになり、各状態での結合度の変化が低減される。
【0099】
図14は2つのカプラ装置4の間における透過係数(S21)の周波数特性に関するシミュレーションデータを示す図である。この図14に示す特性は、図7に示す位置関係で2つのカプラ装置4を対向させた場合における透過係数(S21)をコンピュータシミュレーションにより求めている。
【0100】
(第5の実施形態)
図15は第5の実施形態に係るカプラ装置6の平面図である。なお、図1乃至図3と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0101】
図15に示すようにカプラ装置6は、短絡素子22,23、地板24、誘電体25および結合素子61を含む。またカプラ装置6は、図3に示すような給電線26およびコネクタ27をさらに含むが、これら給電線26およびコネクタ27は図15においては図示を省略している。
【0102】
つまりカプラ装置6は、カプラ装置2における結合素子21に代えて結合素子61を備える。そして結合素子61と結合素子21とは、その厚み方向に直交する平面における形状が異なる。
【0103】
結合素子61には、矩形部61a,61b,61cおよびコ字形部61d,61eが存在する。矩形部61a,61bは、それぞれ矩形をなし、互いに離間した状態で平行している。矩形部61cは、矩形をなし、矩形部61a,61bの中央部どうしを連結するように矩形部61a,61bの配列方向に沿って延びる。コ字形部61d,61eは、それぞれコ字形をなし、それぞれの両端がいずれも矩形部61cに接する。コ字形部61d,61eは、給電点P5を中心として互いに点対称である。なお、矩形部61a,61b,61cはいずれも、他のカプラ装置との間で授受する高周波信号がほぼ全域に渡り流れる程度の幅を持つものとする。
【0104】
かくして、コ字形部61d,61eは、2つの端部E45,E46を有した第1の導電部を形成している。また矩形部61aと矩形部61cの一部とで先端部E41,E42を有した導電部が、また矩形部61bと矩形部61cの一部とで先端部E43,E44を有した導電部がそれぞれ形成されている。そして先端部E41,E42,E43,E44は、端部E45および端部E46の中央に対して対称の位置にある。
【0105】
短絡素子22,23は、コ字形部61d,61eの中間部においてそれぞれ結合素子61に接合されている。
【0106】
この結合素子61では、矩形部61a,61bの先端部E41,E42,E43,E44がそれぞれ開放端となり、コ字形部61d,61eの端部E45,E46がそれぞれ接地端となる。このため結合素子61は、給電点P5から矩形部61cおよび矩形部61aに沿って先端部E41,E42まで至る2つの電流経路と、給電点P5から矩形部61cおよび矩形部61bに沿って先端部E43,E44まで至る2つの電流経路とでそれぞれ結合電流が生じる。結合素子61の大きさは、これら4つの電流経路の長さが所要周波数の波長λのn/4(nは任意の整数)にほぼ相当するように定める。
【0107】
かくして結合素子61においても、コ字形部61d,61eにそれぞれ生じる接地電流の向きが互いに異なるために、カプラ装置6全体における電流分布の偏りは接地端が単一である場合に比べて小さくなる。
【0108】
特に本実施形態では、コ字形部61d,61eが給電点P5を中心として点対称であるため、2つの接地電流も対称となり、これらの接地電流によるカプラ装置4全体における電流分布にはほとんど偏りが生じない。
【0109】
ところで、2つのカプラ装置6どうしの電磁的結合は主として矩形部61c,61d,61eに生じる結合電流によって実現されるが、この結合電流には図15に矢印で示すように90度づつ異なる4方向の電流成分を含む。このため、図7に示す位置関係で2つのカプラ装置6を対向させた場合に、0度、90度、180度および270度のいずれにおいても両カプラ装置2に互いに逆向きの電流成分が存在することになり、各状態での結合度の変化が低減される。
【0110】
(第6の実施形態)
図16は第6の実施形態に係るカプラ装置7の平面図である。なお、図1乃至図3と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0111】
図16に示すようにカプラ装置7は、短絡素子22,23,72,73、地板24、誘電体25および結合素子71を含む。またカプラ装置7は、図3に示すような給電線26およびコネクタ27をさらに含むが、これら給電線26およびコネクタ27は図16においては図示を省略している。
【0112】
つまりカプラ装置7は、カプラ装置2における結合素子21に代えて結合素子71を備えるとともに、短絡素子72,73を追加して備える。そして結合素子71と結合素子21とは、その厚み方向に直交する平面における形状が異なる。
【0113】
結合素子71には、矩形部71a,71b,71c,71d,71e,71fが存在する。矩形部71c,71d,71e,71fは、それらによって十字形状を形成する位置関係にある。矩形部71a,71bは、上記の十字形状の交点から他のいずれの矩形部とも異なる方向に延びる状態で位置する。なお、矩形部71a,71bはいずれも、他のカプラ装置との間で授受する高周波信号がほぼ全域に渡り流れる程度の幅を持つものとする。
【0114】
かくして、矩形部71c,71dは、2つの先端部E53,E54を有した第1の導電部を形成している。また矩形部71a,71bは、先端部E5を有した第2の導電部を形成している。さらに矩形部71e,71fは、2つの先端部E55,E56を有した第3の導電部を形成している。
【0115】
短絡素子22,23,72,73は、矩形部71c,71d,71e,71fの先端においてそれぞれ結合素子71に接合されている。そして短絡素子72,73は、短絡素子22,23と同様にして地板24にも接続されている。給電線26は、矩形部71bの先端部E52の近傍にて結合素子71に接続され、この先端部E52近傍に給電点P6が形成される。
【0116】
この結合素子71では、矩形部71aの先端部E51が開放端となり、矩形部71c,71d,71e,71fの先端部E53,E54,E55,E56がそれぞれ接地端となる。このため結合素子71は、給電点P6から矩形部71bおよび矩形部71aに沿って先端部E5まで至る電流経路で結合電流が生じる。結合素子71の大きさは、この電流経路の長さが所要周波数の波長λのn/4(nは任意の整数)にほぼ相当するように定める。
【0117】
接地電流は、十字形状の交点から先端部E53,E54,E55,E56のそれぞれに至る4つの電流経路が生じ、矩形部71c,71d,71e,71fに接地電流が流れる。そしてこれらの接地電流は、それぞれ向きが異なるために、カプラ装置7全体における電流分布の偏りは接地端が単一である場合に比べて小さくなる。
【0118】
特に本実施形態では、矩形部71c,71d,71e,71fが十字形状の交点を中心として点対称になるため、4つの接地電流も対称となり、これらの接地電流によるカプラ装置4全体における電流分布にはほとんど偏りが生じない。
【0119】
(第7の実施形態)
図17は第7の実施形態に係るカプラ装置8の平面図である。なお、図1乃至図3および図13と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0120】
図17に示すようにカプラ装置8は、短絡素子22,23、地板24、誘電体25、結合素子51、無給電素子81,82および短絡素子83,84を含む。またカプラ装置8は、図3に示すような給電線26およびコネクタ27をさらに含むが、これら給電線26およびコネクタ27は図17においては図示を省略している。
【0121】
つまりカプラ装置8は、カプラ装置5に無給電素子81,82および短絡素子83,84を追加して備える。
【0122】
無給電素子81,82は、導電材料を、矩形の平板状に形成してなる。無給電素子81は,82、結合素子51に隣接するとともに、結合素子51から離間した位置に配置されている。無給電素子81,82はさらに、結合素子51を挟んで平行する状態で配置されている。
【0123】
短絡素子83,84は、矩形の平板状をなし、その厚み方向が無給電素子81,82の厚み方向に直交する。短絡素子83は、無給電素子81に接合されている。短絡素子83は、無給電素子81に一体的であっても良いし、別体であっても良い。短絡素子84は、無給電素子82に接合されている。短絡素子84は、無給電素子82に一体的であっても良いし、別体であっても良い。短絡素子83,84は、誘電体25の内部を通過する状態で配置され、地板24に対して電気的に接続されている。
【0124】
無給電素子81,82は、送受信回路202には接続されず、給電がなされない。
【0125】
地板24の表側面に対して表裏方向に結合素子51および無給電素子81,82を投影した場合の投影領域(結合素子51および無給電素子81,82に対向する領域)は図18に二点鎖線で示す領域AR11,AR12,AR13となる。この図18から、領域AR11のうちで矩形部51a,51bに対応する領域の一部が切欠部24a,24bに重なることから、矩形部51a,51bの一部に対向して切欠部24a,24bが設けられていること、すなわち矩形部51a,51bに対応する領域の近傍(隣接する領域)に切欠部24a,24bが設けられていることわかる。また領域AR11のうちの中央部分近傍が切欠部24a,24bのいずれにも重ならないことから、切欠部24a,24bが給電点P4には対向していないことがわかる。さらに、領域AR11のうちの矩形部51d,51eに対応する領域が切欠部24a,24bのいずれにも重ならないことから、短絡素子22,23が地板24に接触可能であることがわかる。
【0126】
また図18から、領域AR12,AR13の一部が切欠部24a,24bに重なることから、無給電素子81,82の一部に対向して切欠部24a,24bが設けられていること、すなわち無給電素子81,82に対応する領域の近傍(隣接する領域)に切欠部24a,24bが設けられていることがわかる。なお、カプラ装置8における切欠部24a,24bは、地板24が無給電素子81,82の中央部に対応する位置まで延出する凸部を有するように、カプラ装置2における切欠部24a,24bとは形状を異ならせてある。そしてこれにより、短絡素子83,84が地板24に接触可能である。
【0127】
誘電体25の表面側に対して表裏方向に結合素子51および無給電素子81,82を投影した場合の投影領域(結合素子51および無給電素子81,82に対向する領域)は図18に二点鎖線で示す領域AR21,AR22,AR23となる。この図18から、領域AR21,AR22,AR23のいずれもが切欠部25a,25bに重ならないことから、結合素子51および無給電素子81,82の全てに対向しないように切欠部25a,25bが設けられていることがわかる。
【0128】
このような構成により、カプラ装置5で得られる通信エリアよりも広い通信エリアを得られる。
【0129】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0130】
切欠部24a,24bは少なくともいずれか一方を設けなくても良いし、これら切欠部24a,24bとは異なる切欠部を地板24に形成しても良い。また、切欠部24a,24bの形状や形成位置も任意に変更が可能である。
【0131】
切欠部25a,25bは少なくともいずれか一方を設けなくても良いし、これら切欠部25a,25bとは異なる切欠部を誘電体25に形成しても良い。また、切欠部25a,25bの形状や形成位置も任意に変更が可能である。
【0132】
前記の各実施形態のそれぞれにおける結合素子を、前記の各実施形態で給電点としている位置に接合される凸部を有するように変更し、この凸部に給電線26を接続しても良い。
【0133】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0134】
2,3,4,5,6,7,8…カプラ装置、21,31,41,51,61,71…結合素子、22,23,72,73…短絡素子、24…地板、24a,24b…切欠部、25…誘電体、25a,25b…切欠部、26…給電線、27…コネクタ、21a,21b,21c,21d,31c,31d,41c,41d,51a,51b,51c,51d,51e,61a,61b,61c,71a,71b,71c,71d,71e,71f…矩形部、31a,31b,41a,41b…L字形部、61d,61e…コ字形部、81,82…無給電素子、83,84…短絡素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、離間して配置された別のカプラ装置との間で電磁波を送受信するカプラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
数cm程度の距離まで近接させた2つの通信機器間での近接無線通信方式であるTransferJetの開発が進められている。
【0003】
この種の近接無線通信方式を利用して通信する場合には、2つの通信機器をそれぞれに搭載されたカプラ装置を対向させるように近接させた状態とする。そしてカプラ装置は、電磁的結合を利用して電磁波を送受信する。
【0004】
なお、一般的にカプラ装置は、それぞれ導電材料を平板状に形成した結合素子と地板とを互いに対向する状態で配置して構成される。そして、送信側のカプラ装置においては、結合素子と地板との間に信号を給電することによって結合素子に電流を生じさせるとともにカプラ装置の周囲に電磁場を生じさせ、受信側のカプラ装置との間に電磁的結合を生じさせる。受信側のカプラ装置では、上記のように生じた電磁的結合により結合素子に電流が生じた際の結合素子と地板との間の電位差に応じて上記の信号を取り出すことができる。
【0005】
この種のカプラ装置では、給電点と開放端との間に生じる電流により所要周波数帯域に関する電磁的結合を生じさせる。
【0006】
一方、結合素子と地板との間に短絡素子を配置し、結合素子と地板とを短絡させることがある。この場合に短絡素子は、給電点と開放端との間の電流経路を避けた1箇所に設けられるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−197449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
さて、上記の短絡素子を設けたカプラ装置においては、結合素子上を給電点と短絡素子との間で流れる電流も生じる。そして、この電流は、給電点と開放端との間の電流よりも大きくなり、かつ給電点から一方向に偏った状態で生じることになることから、カプラ装置の全体としての電流分布に偏りが生じる。そしてこのような電流分布の偏りによって、他のカプラ装置との結合度が低下してしまう恐れがある。
【0009】
なお、特許文献1には、天板導体と地板導体との間に2本の短絡ピンを設けたアンテナ装置が記載されている。
【0010】
しかしながら特許文献1に記載されたアンテナ装置では、短絡ピンは天板導体を流れる電流の経路の途中に配置されている。これは、特許文献1に記載のアンテナ装置が、天板導体が存在する平面において無指向性であり、かつ天板導体に垂直な方向へは電波を放射しない特性を持つように構成されたものであって、結合素子に垂直な方向での電磁結合を生じさせるカプラ装置とは全く異なる電磁的作用を利用するためである。
【0011】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、中心軸が互いにずれる状態で他のカプラ装置と対向した状態にあっても、中心軸周りの回転に伴う透過係数の変化を抑えることが可能なカプラ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によるカプラ装置は、他のカプラ装置との間での電磁的結合により電磁波を授受するカプラ装置であって、第1の端部および第2の端部を有した第1の導電部と、前記第1の端部および前記第2の端部の間から延出し、開放端を有した第2の導電部とを備える結合素子と、前記結合素子と対向し、導電材料により構成された地板と、前記結合素子の前記第1の端部と前記地板とを短絡する第1の短絡素子と、前記結合素子の前記第2の端部と前記地板とを短絡する第2の短絡素子とを備えるた。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、中心軸が互いにずれる状態で他のカプラ装置と対向した状態にあっても、中心軸周りの回転に伴う透過係数の変化を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係るカプラ装置の斜視図。
【図2】図1に示すカプラ装置の平面図。
【図3】図2中のA−A矢視断面図。
【図4】図1に示すカプラ装置の分解斜視図。
【図5】図1乃至図3に示すカプラ装置が搭載される機器の一例としての情報処理装置の外観を示す斜視図。
【図6】図5に示す情報処理装置のブロック図。
【図7】2つのカプラ装置どうしの間における透過係数(S21)の周波数特性を求める条件を示す図。
【図8】図1乃至図3に示すカプラ装置どうしの間における透過係数(S21)の周波数特性に関するシミュレーションデータを示す図。
【図9】第2の実施形態に係るカプラ装置の平面図。
【図10】図9に示すカプラ装置どうしの間における透過係数(S21)の周波数特性に関するシミュレーションデータを示す図。
【図11】第3の実施形態に係るカプラ装置の平面図。
【図12】図11に示すカプラ装置どうしの間における透過係数(S21)の周波数特性に関するシミュレーションデータを示す図。
【図13】第4の実施形態に係るカプラ装置の平面図。
【図14】図13に示すカプラ装置どうしの間における透過係数(S21)の周波数特性に関するシミュレーションデータを示す図。
【図15】第5の実施形態に係るカプラ装置の平面図。
【図16】第6の実施形態に係るカプラ装置の平面図。
【図17】第7の実施形態に係るカプラ装置の平面図。
【図18】図17に示すカプラ装置の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係るカプラ装置2の斜視図である。図2はカプラ装置2の平面図である。図3は図2中のA−A矢視断面図である。図4はカプラ装置2の分解斜視図である。
【0017】
これら図1乃至図4に示すようにカプラ装置2は、結合素子21、短絡素子22,23、地板24および誘電体25を含む。また図3に示すように、カプラ装置2は給電線26およびコネクタ27をさらに含む。
【0018】
結合素子21、地板24および誘電体25は、いずれも平板状をなし、それぞれの厚み方向をほぼ一致させた状態で、その厚み方向に沿って結合素子21、誘電体25および地板24の順番で配列されている。なお、以下の説明においては、これら結合素子21、誘電体25および地板24の配列方向(厚み方向/高さ方向)をカプラ装置2の表裏方向と定め、かつ結合素子21の側を表側と定める。つまり、結合素子21は誘電体25の表側に位置し、かつ地板24は誘電体25の裏側に位置することになる。
【0019】
結合素子21は導電材料を図1乃至図4に示すような形状に形成してなる。結合素子21は、その厚み方向に直交する平面においては十字形状をなしている。すなわち結合素子21には、その中央からそれぞれ異なる4方向に延びる4つの矩形部21a,21b,21c,21dが存在する。矩形部21aおよび矩形部21bは、互いに同じ長さであることが望ましいが、それは必須の要件ではない。また矩形部21cおよび矩形部21dは、互いに同じ長さであることが望ましいが、それは必須の要件ではない。矩形部21a,21bはいずれも、他のカプラ装置との間で授受する高周波信号がほぼ全域に渡り流れる程度の幅を持つものとする。
【0020】
かくして、矩形部21c,21dは、2つの端部E3,E4を有した第1の導電部を形成している。また矩形部21a,21bは、開放端E1,E2をそれぞれ有した第2および第3の導電部を形成している。そして開放端E1,E2は、端部E3および端部E4の中央に対して対称の位置にある。
【0021】
短絡素子22,23は、導電材料を矩形の平板状に形成してなり、その厚み方向が結合素子21の厚み方向に直交する。短絡素子22,23は、矩形部21c,21dの先端においてそれぞれ結合素子11に接合されている。短絡素子22,23は、結合素子21に一体的であっても良いし、別体であっても良い。短絡素子22,23は、誘電体25の内部を通過する状態で配置され、地板24に対して電気的に接続されている。
【0022】
地板24は、誘電体25の一面のほぼ全面に導電材料よりなる薄い層を形成してなり、接地電極として機能する。この地板24は、カプラ装置2が搭載される通信機器の金属筐体などに電気的に接続されても良いし、そのような接続がなされなくても良い。地板24は、結合素子21との間で短絡素子22,23を介さない直接的な導通が生じることがない程度に結合素子21に対して離間される。地板24には、地板24を表裏方向に貫通する状態で矩形状の切欠部24a,24bが形成されている。切欠部24a,24bは、結合素子21の少なくとも一部と対向する地板24中の領域の近傍にある。
【0023】
地板24の表側面に対して表裏方向に結合素子21を投影した場合の投影領域(結合素子21に対向する領域)は図4に二点鎖線で示す領域AR1となる。この図4から、領域AR1のうちで矩形部21a,21bに対応する領域AR1a,AR1bの一部が切欠部24a,24bに重なることから、矩形部21a,21bの一部に対向して切欠部24a,24bが設けられていること、すなわち領域AR1a,AR1bの近傍(隣接する領域)に切欠部24a,24bが設けられていることわかる。また領域AR1のうちの交差部分近傍が切欠部24a,24bのいずれにも重ならないことから、切欠部24a,24bが給電点P1には対向していないことがわかる。さらに、領域AR1のうちの矩形部21c,21dに対応する領域AR1c,AR1dが切欠部24a,24bのいずれにも重ならないことから、短絡素子22,23が地板24に接触可能であることがわかる。
【0024】
誘電体25は、誘電材料を板状に形成してなる。誘電体25は、結合素子21と地板24との間隙に配置される。第1の実施形態において誘電体25は、結合素子21と地板24との間隔にほぼ等しい厚みを有し、結合素子21と地板24との間隙をほぼ埋める。このため短絡素子22,23は、その大半が誘電体25の内部に位置している。ただし誘電体25の厚みは、結合素子21と地板24との間隔よりも小さくても良い。誘電体25は、その厚みが結合素子21と地板24との間隔よりも小さい場合には、典型的には地板24に接し、かつ結合素子21から離間する状態で誘電体25を配置する。しかしながら、結合素子21に接し、かつ地板24から離間する状態で誘電体25を配置しても良い。あるいは、結合素子21および地板24のいずれからも離間した状態で誘電体25を配置しても良い。さらには、結合素子21に接する第1の誘電体と地板24に接する第2の誘電体とをそれぞれ設けて、これら第1および第2の誘電体を互いに離間して配置しても良い。誘電体25には、誘電体25を表裏方向に貫通する状態でコ字状の切欠部25a,25bが形成されている。切欠部25a,25bは、結合素子21の少なくとも一部と対向する誘電体25中の領域の近傍にある。
【0025】
なお、本実施形態では、切欠部25a,25bはコ字状であるが、その他の形状であっても良い。地板24に設けられた切欠部24a,24bの形状についても任意であって良い。
【0026】
誘電体25の表面側に対して表裏方向に結合素子21を投影した場合の投影領域(結合素子21に対向する領域)は図4に二点鎖線で示す領域AR2となる。この図4から、領域AR2のうちで矩形部21a,21b,21c,21dに対応する領域AR2a,AR2b,AR2c,AR2dが切欠部25a,25bに重ならないことから、結合素子21の全てに対向しないように切欠部25a,25bが設けられていることがわかる。
【0027】
給電線26は、地板24および誘電体25を通過する状態で配置されている。給電線26は、一端が結合素子21の中央部分の給電点P1に、他端がコネクタ27にそれぞれ接続されている。給電線26は、地板24に対しては絶縁されている。
【0028】
コネクタ27は、地板24に例えば半田づけなどにより固定される。このコネクタ27には、カプラ装置2が通信機器に搭載された状態においては、コネクタ201が結合される。コネクタ201は、上記の通信機器に搭載された送受信回路202とケーブル203を介して接続されている。そしてコネクタ27,201は、互いに結合された状態において、給電線26とケーブル203の給電線とを電気的に接続するとともに、ケーブル203のグランド線と地板24とを電気的に接続する。
【0029】
なお、図1乃至図4の例では、カプラ装置2は、地板13側に設けられたコネクタ27を介して給電点P1へ給電しているが、給電方法および実装方法はこれに限られるものではない。例えば、送受信回路202と一体的な基板としてカプラ装置2を実装し、当該基板のパターンとして、結合素子21側の給電点P1へ給電するように実装することも可能である。また、コネクタを使用せずに、給電点P1および地板24へ直接的にケーブル203の給電線を接続しても良い。
【0030】
図5はカプラ装置2が搭載される機器の一例としての情報処理装置30の外観を示す斜視図である。この情報処理装置30は、例えば、バッテリ駆動可能なノートブック型の携帯型パーソナルコンピュータとして実現されている。
【0031】
情報処理装置30は、本体300およびディスプレイユニット350を備えている。ディスプレイユニット350は、回動自在な状態で本体300に支持されている。ディスプレイユニット350は、本体300の上面を露出させる開放状態と、本体300の上面を覆う閉塞状態とを形成し得る。ディスプレイユニット350には、LCD(liquid crystal display)351が設けられている。
【0032】
本体300は薄い箱状の筐体を有している。本体300には、その筐体の上面より筐体の外部に露出する状態で、キーボード301、タッチパッド302および電源スイッチ303等が配置されている。また本体300には、その筐体の内部にカプラ装置2が設けられている。本体300内におけるカプラ装置2の向きは任意であって良い。ただし典型的には、図1における表裏方向を本体300の筐体の上面に直交する方向と一致させる。また典型的には、地板24よりも結合素子21を本体300の筐体の上面の近くに位置させる。
【0033】
カプラ装置2は、情報処理装置30と図示しない他の装置との間で近接無線通信を行うために利用される。近接無線通信は、ピアツーピア形式で実行される。通信可能距離は、例えば3cm程度である。通信端末どうしの無線接続は、両通信端末にそれぞれ搭載されたカプラ装置2どうしの間の距離が通信可能距離以内に接近した場合にのみ可能となる。そして、2つのカプラ装置2が通信可能距離以内に接近した時に、当該2つの通信端末の間の無線接続が確立される。そして、ユーザによって指定されたデータファイル、または予め決められた同期対象データファイル等のデータが、2つの通信端末の間で送受信される。
【0034】
図5に示す例では、カプラ装置2は本体300の上面におけるパームレストとして機能する領域(以下、パームレスト領域と称する)の下に配置されている。かくしてパームレスト領域の一部は、通信面として機能する。すなわち、情報処理装置30との間での近接無線通信を行おうとする他の通信端末をパームレスト領域に近接させることで、当該通信端末と情報処理装置30との無線接続を確立できる。
【0035】
図6は情報処理装置30のブロック図である。なお、図5と同一部分には同一符号を付している。
【0036】
情報処理装置30は、カプラ装置2、キーボード301、タッチパッド302、電源スイッチ303およびLCD351の他に、ハードディスクドライブ(HDD)304、CPU305、主メモリ306、BIOS(basic input/output system)−ROM307、ノースブリッジ308、グラフィクスコントローラ309、ビデオメモリ(VRAM)310、サウスブリッジ311、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)312、電源コントローラ313および近接無線通信デバイス314を含む。
【0037】
ハードディスクドライブ304は、オペレーティングシステム(OS)やBIOS更新プログラム等の各種プログラムを実行するためのコードを格納する。
【0038】
CPU305は、情報処理装置30の動作を制御するために、ハードディスクドライブ304から主メモリ306にロードされた各種プログラムを実行する。CPU305が実行するプログラムには、オペレーティングシステム401、近接無線通信ガジェットアプリケーションプログラム402、認証アプリケーションプログラム403、あるいは送信トレイアプリケーションプログラム404を含む。
【0039】
またCPU305は、ハードウェア制御のために、BIOS−ROM307に格納されたBIOSプログラムを実行する。
【0040】
ノースブリッジ308は、CPU305のローカルバスとサウスブリッジ311との間を接続する。ノースブリッジ308は、主メモリ306をアクセス制御するメモリコントローラを内蔵する。また、ノースブリッジ308は、AGPバスなどを介してグラフィクスコントローラ309との通信を実行する機能を有する。
【0041】
グラフィクスコントローラ309は、LCD351を制御する。グラフィクスコントローラ309は、ビデオメモリ310に記憶された表示データから、LCD351で表示させる表示イメージを表す映像信号を生成する。なお表示データは、CPU305の制御の下にビデオメモリ310に書き込まれる。
【0042】
サウスブリッジ311は、LPCバス上のデバイスを制御する。サウスブリッジ311は、ハードディスクドライブ304を制御するためのATAコントローラを内蔵している。さらに、サウスブリッジ311は、BIOS−ROM307をアクセス制御するための機能を有している。
【0043】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)312は、エンベデッドコントローラと、キーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。エンベデッドコントローラは、ユーザによる電源スイッチ303の操作に応じて情報処理装置30をパワーオン/パワーオフするように電源コントローラを制御する。キーボードコントローラは、キーボード301およびタッチパッド302を制御する。
【0044】
電源コントローラ313は、図示しない電源装置の動作を制御する。なお当該電源装置は、情報処理装置30の各部の動作電力を生成する。
【0045】
近接無線通信デバイス314は、PHY/MAC部314aを備える。PHY/MAC部314aは、CPU305による制御の下に動作する。PHY/MAC部314aは、カプラ装置2を介して、他の通信端末と通信する。この近接無線通信デバイス314は、図3における送受信回路202に相当する。近接無線通信デバイス314は、本体300の筐体内に収容される。
【0046】
なお、近接無線通信デバイス314とサウスブリッジ311との間のデータの転送は、PCI(peripheral component interconnect)バスによって行われる。なお、PCIの代わりにPCI Expressを用いても良い。
【0047】
次に以上のように構成されたカプラ装置2の動作について説明する。
【0048】
送受信回路202から高周波信号が送出されると、この高周波信号がケーブル203、コネクタ201、コネクタ27および給電線26を介して結合素子21の給電点P1へと供給される。このとき、矩形部21a,21bの先端部E1,E2がそれぞれ開放端となり、給電点P1から先端部E1,E2のそれぞれに至る2つの電流経路が生じる。なお、矩形部21a,21bにおいては、そのほぼ全域に電流が生じる。従って、矩形部21a,21bにおける電流経路は矩形部21a,21bの中央部を通ると見なすことができる。
【0049】
そして、送信側のカプラ装置2の矩形部21a,21bに上記のように生じた電流が結合電流となり、当該送信側のカプラ装置2の周囲に電磁波が生じる。そして、この電磁波によって、受信側のカプラ装置2の結合素子21に電流が誘起される。このようにして、2つのカプラ装置2どうしで高周波信号の送受信が行われる。ここで結合素子21の大きさは、上記の2つの電流経路の長さが所要周波数の波長λのn/4(nは任意の整数)にほぼ相当するように定める。これにより、上記の所要周波数を中心周波数とした周波数帯域の高周波信号を効率的に送受信できる。
【0050】
ところで、矩形部21c,21dは短絡素子22,23によって地板24へと接地されているから、矩形部21c,21dの先端部E3,E4がそれぞれ接地端となっている。そして、給電点P1から先端部E3,E4のそれぞれに至る2つの電流経路が生じ、矩形部21c,21dに接地電流が流れる。しかしながら、これらの2つの接地電流は向きが互いに異なるために、カプラ装置2全体における電流分布の偏りは接地端が単一である場合に比べて小さくなる。
【0051】
特に本実施形態では、矩形部21c,21dが給電点P1を中心として点対称な形状を持つため、これら2つの接地電流も対称となり、これらの接地電流によるカプラ装置2全体における電流分布にはほとんど偏りが生じない。
【0052】
ただし、矩形部21c,21dが直線状に並んでいなかったり、あるいは矩形部21c,21dの長さが互いに異なっていたとしても、矩形部21c,21dが給電点P1を含むとともに表裏方向に沿った平面を挟んで互いに反対側に位置していれば、従来のカプラ装置1に比べれば電流分布の偏りを小さくできる。従って、矩形部21c,21dが給電点P1を中心として点対称な形状は必須の要件ではない。
【0053】
なお、矩形部21c,21dを短くする程にQ値が上がる。すなわち、矩形部21c,21dが短い程に電磁的結合の帯域が狭まり、結合度は高まる。このため矩形部21c,21dの長さは、求められる帯域および結合度を考慮して適切に定められることが望ましい。
【0054】
さて、上記のような使用状態においては、地板24は接地されており、かつ結合素子21と地板24とが近接しているので、結合素子21に生じた電流のエネルギの一部が地板24に直接的に漏れる。しかしながら、カプラ装置2においては、切欠部24a,24bが形成されているから、矩形部21a,21bの一部に対しては、地板24が対向していない。このため、切欠部24a,24bが形成されていない場合に比べて、結合素子21から地板24へと直接的に漏れるエネルギの量が低減されることになる。また切欠部25a,25bが形成されているから、地板24と結合素子21との間の電界の集中を、切欠部25a,25bが形成されていない場合に比べて低減することができる。そしてこれらの結果として、通信相手のカプラ装置との電磁的結合に利用されるエネルギ量が増加し、結合度(S21)が向上する。
【0055】
例えば、2つのカプラ装置2を図7に示すような位置関係で対向させた場合における透過係数(S21)の周波数特性に関するシミュレーションデータを図8に示す。なお、図7に示す位置関係は、以下の条件による。
【0056】
・2つのカプラ装置のそれぞれの表面が互いに対向する。
【0057】
・2つのカプラ装置のそれぞれの中心軸が互いに平行する。
【0058】
・中心軸に沿う方向についての2つのカプラ装置の表面どうしの間隔が10mm。
【0059】
・中心軸に直交する方向についての中心軸どうしの間隔が10mm。
【0060】
・同一の接地端が同一方向を向く状態を0度とし、図7の上側に位置するカプラ装置1をその中心軸周りに矢印A1の方向に0度の状態から90度ずつ回転させた状態をそれぞれ90度、180度および270度とする。
【0061】
(第2の実施形態)
図9は第2の実施形態に係るカプラ装置3の平面図である。なお、図1乃至図3と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0062】
図9に示すようにカプラ装置3は、短絡素子22,23、地板24、誘電体25および結合素子31を含む。またカプラ装置3は、図3に示すような給電線26およびコネクタ27をさらに含むが、これら給電線26およびコネクタ27は図9においては図示を省略している。
【0063】
つまりカプラ装置3は、カプラ装置2における結合素子21に代えて結合素子31を備える。そして結合素子31と結合素子21とは、その厚み方向に直交する平面における形状が異なる。
【0064】
結合素子31には、L字形部31a,31bおよび矩形部31c,31dが存在する。L字形部31a,31bは、それぞれ屈曲角度が90度であるL字形をなし、給電点P2を中心として互いに点対称である。矩形部31c,31dは、それぞれ矩形をなし、給電点P2を中心として互いに点対称である。そして、矩形部31c,31dは、給電点P2においてL字形部31a,31bに直交する。なお、L字形部31a,31bはいずれも、他のカプラ装置との間で授受する高周波信号がほぼ全域に渡り流れる程度の幅を持つものとする。
【0065】
かくして、矩形部31c,31dは、2つの先端部E13,E14を有した第1の導電部を形成している。また矩形部31a,31bは、先端部E11,E12をそれぞれ有した第2および第3の導電部を形成している。そして先端部E11,E12は、先端部E13および端部E14の中央に対して対称の位置にある。
【0066】
短絡素子22,23は、矩形部31c,31dの先端においてそれぞれ結合素子31に接合されている。
【0067】
この結合素子31では、L字形部31a,31bの先端部E11,E12がそれぞれ開放端となり、矩形部31c,31dの先端部E13,E14がそれぞれ接地端となる。このため結合素子31は、給電点P2からL字形部31aに沿って先端部E11まで至る電流経路と、給電点P2からL字形部31bに沿って先端部E12まで至る電流経路とが生じる。結合素子31の大きさは、これら2つの電流経路の長さが所要周波数の波長λのn/4(nは任意の整数)にほぼ相当するように定める。
【0068】
かくして結合素子31においても、矩形部31c,31dをそれぞれ流れる接地電流の向きが互いに異なるために、カプラ装置3全体における電流分布の偏りは接地端が単一である場合に比べて小さくなる。
【0069】
特に本実施形態では、矩形部31c,31dが給電点P2を中心として点対称な形状を持つため、2つの接地電流も対称となり、これらの電流によるカプラ装置3全体における電流分布にはほとんど偏りが生じない。
【0070】
ところで、2つのカプラ装置3どうしの電磁的結合は主としてL字形部31a,31bに生じる電流によって実現されるが、L字形部31a,31bに生じる結合電流には図9に矢印で示すように90度づつ異なる4方向の電流成分を含む。このため、図7に示す位置関係で2つのカプラ装置2を対向させた場合に、0度、90度、180度および270度のいずれにおいても両カプラ装置2に互いに逆向きの電流成分が含まれることになり、各状態での結合度の変化が低減される。
【0071】
図10は2つのカプラ装置3の間における透過係数(S21)の周波数特性に関するシミュレーションデータを示す図である。この図9に示す特性は、図7に示す位置関係で2つのカプラ装置3を対向させた場合における透過係数(S21)をコンピュータシミュレーションにより求めている。
【0072】
ただし、L字形部31a,31bの先端側の電流のためにカプラ装置3ではカプラ装置2よりも全体における電流分布が偏ることになる。しかしながら、L字形部31a,31bにおける結合電流が矩形部31c,31dにおける接地電流よりも小さく、さらに結合電流が先端部E11,E12に近づくに従って小さくなる。このため、L字形部31a,31bの先端側の電流の電流分布への影響は小さい。
【0073】
なお、L字形部31a,31bの屈曲角度は、90度以外であっても良く、かつL字形部31a,31bの屈曲角度が互いに異なっていても良い。L字形部31a,31bは、互いに異なる形状であっても良い。L字形部31a,31bが給電点P2において形成する角度が180度以外であっても良い。ただしL字形部31a,31bは、給電点P2を含むとともに表裏方向に沿った平面を挟んで互いに反対側に位置する。
【0074】
一方、矩形部31c,31dは、互いに異なる形状であっても良い。矩形部31c,31dが給電点P2において形成する角度が180度以外であっても良い。ただしL字形部31a,31bは、給電点P2を含むとともに表裏方向に沿った平面を挟んで互いに反対側に位置する。
【0075】
(第3の実施形態)
図11は第3の実施形態に係るカプラ装置4の平面図である。なお、図1乃至図3と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0076】
図11に示すようにカプラ装置4は、短絡素子22,23、地板24、誘電体25および結合素子41を含む。またカプラ装置4は、図3に示すような給電線26およびコネクタ27をさらに含むが、これら給電線26およびコネクタ27は図11においては図示を省略している。
【0077】
つまりカプラ装置4は、カプラ装置2における結合素子21に代えて結合素子41を備える。そして結合素子41と結合素子21とは、その厚み方向に直交する平面における形状が異なる。
【0078】
結合素子41には、L字形部41a,41bおよび矩形部41c,41dが存在する。L字形部41a,41bは、それぞれ屈曲角度が90度であるL字形をなし、上記の平面上において給電点P3を通る直線L1に対して互いに線対称である。矩形部41c,41dは、それぞれ矩形をなし、給電点P3を中心として互いに点対称である。そして、矩形部41c,41dは、直線L1に沿った状態で直線L1上に並ぶ。なお、L字形部41a,41bはいずれも、他のカプラ装置との間で授受する高周波信号がほぼ全域に渡り流れる程度の幅を持つものとする。
【0079】
かくして、矩形部41c,41dは、2つの先端部E23,E24を有した第1の導電部を形成している。また矩形部41a,41bは、先端部E21,E22をそれぞれ有した第2および第3の導電部を形成している。
【0080】
短絡素子22,23は、矩形部41c,41dの先端においてそれぞれ結合素子41に接合されている。
【0081】
この結合素子41では、L字形部41a,41bの先端部E21,E22がそれぞれ開放端となり、矩形部41c,41dの先端部E23,E24がそれぞれ接地端となる。このため結合素子41は、給電点P3からL字形部41aに沿って先端部E21まで至る電流経路と、給電点P3からL字形部41bに沿って先端部E22まで至る電流経路とに結合電流がそれぞれ生じる。結合素子41の大きさは、これら2つの電流経路の長さが所要周波数の波長λのn/4(nは任意の整数)にほぼ相当するように定める。
【0082】
かくして結合素子41においても、矩形部41c,41dにそれぞれ生じる接地電流の向きが互いに異なるために、カプラ装置4全体における電流分布の偏りは接地端が単一である場合に比べて小さくなる。
【0083】
特に本実施形態では、矩形部41c,41dが給電点P3を中心として点対称であるため、2つの接地電流も対称となり、これらの接地電流によるカプラ装置4全体における電流分布にはほとんど偏りが生じない。
【0084】
ところで、2つのカプラ装置4どうしの電磁的結合は主としてL字形部41a,41bに生じる結合電流によって実現されるが、この結合電流には図11に矢印で示すように90度づつ異なる3方向の電流成分を含む。このため、図7に示す位置関係で2つのカプラ装置3を対向させた場合に、0度、90度、180度および270度のいずれにおいても両カプラ装置2に互いに逆向きの電流成分が存在することになり、各状態での結合度の変化が低減される。
【0085】
図12は2つのカプラ装置4の間における透過係数(S21)の周波数特性に関するシミュレーションデータを示す図である。この図12に示す特性は、図7に示す位置関係で2つのカプラ装置4を対向させた場合における透過係数(S21)をコンピュータシミュレーションにより求めている。
【0086】
ただし、L字形部41a,41bの先端側の電流のためにカプラ装置4ではカプラ装置2よりも全体における電流分布が偏ることになる。しかしながら、L字形部41a,41bにおける結合電流が矩形部41c,41dにおける接地電流よりも小さく、さらに結合電流が先端部E21,E22に近づくに従って小さくなる。このため、L字形部41a,41bの先端側の電流に起因する電流分布の偏りは、単一の接地端に向かう電流に起因する電流分布の偏りよりも小さい。
【0087】
なお、L字形部41a,41bの屈曲角度は、90度以外であっても良く、かつL字形部41a,41bの屈曲角度が互いに異なっていても良い。L字形部41a,41bは、互いに異なる形状であっても良い。L字形部41a,41bが給電点P3において形成する角度が180度以外であっても良い。ただしL字形部41a,41bは、給電点P3を含むとともに表裏方向に沿った平面を挟んで互いに反対側に位置する。
【0088】
一方、矩形部41c,41dは、互いに異なる形状であっても良い。矩形部41c,41dが給電点P3において形成する角度が180度以外であっても良い。ただしL字形部41a,41bは、給電点P3を含むとともに表裏方向に沿った平面を挟んで互いに反対側に位置する。
【0089】
(第4の実施形態)
図13は第4の実施形態に係るカプラ装置5の平面図である。なお、図1乃至図3と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0090】
図13に示すようにカプラ装置5は、短絡素子22,23、地板24、誘電体25および結合素子51を含む。またカプラ装置5は、図3に示すような給電線26およびコネクタ27をさらに含むが、これら給電線26およびコネクタ27は図13においては図示を省略している。
【0091】
つまりカプラ装置5は、カプラ装置2における結合素子21に代えて結合素子51を備える。そして結合素子51と結合素子21とは、その厚み方向に直交する平面における形状が異なる。
【0092】
結合素子51には、矩形部51a,51b,51c,51d,51eが存在する。矩形部51a,51bは、それぞれ矩形をなし、互いに離間した状態で平行している。矩形部51cは、矩形をなし、矩形部51a,51bの中央部どうしを連結するように矩形部51a,51bの配列方向に沿って延びる。矩形部51d,51eは、それぞれ矩形をなし、給電点P4を挟んで直線状に並ぶ。なお、矩形部51a,51b,51cはいずれも、他のカプラ装置との間で授受する高周波信号がほぼ全域に渡り流れる程度の幅を持つものとする。
【0093】
かくして、矩形部51d,51eは、2つの先端部E35,E36を有した第1の導電部を形成している。また矩形部51aと矩形部51cの一部とで先端部E31,E32を有した導電部が、また矩形部51bと矩形部51cの一部とで先端部E33,E34を有した導電部がそれぞれ形成されている。そして先端部E31,E32,E33,E34は、先端部E35および先端部E36の中央に対して対称の位置にある。
【0094】
短絡素子22,23は、矩形部51d,51eの先端においてそれぞれ結合素子51に接合されている。
【0095】
この結合素子51では、矩形部51a,51bの先端部E31,E32,E33,E34がそれぞれ開放端となり、矩形部51d,51eの先端部E35,E36がそれぞれ接地端となる。このため結合素子51は、給電点P4から矩形部51cおよび矩形部51aに沿って先端部E31,E32まで至る2つの電流経路と、給電点P4から矩形部51cおよび矩形部51bに沿って先端部E33,E34まで至る2つの電流経路とでそれぞれ結合電流が生じる。結合素子51の大きさは、これら4つの電流経路の長さが所要周波数の波長λのn/4(nは任意の整数)にほぼ相当するように定める。
【0096】
かくして結合素子51においても、矩形部51d,51eにそれぞれ生じる接地電流の向きが互いに異なるために、カプラ装置5全体における電流分布の偏りは接地端が単一である場合に比べて小さくなる。
【0097】
特に本実施形態では、矩形部51d,51eが給電点P4を中心として点対称であるため、2つの接地電流も対称となり、これらの接地電流によるカプラ装置4全体における電流分布にはほとんど偏りが生じない。
【0098】
ところで、2つのカプラ装置5どうしの電磁的結合は主として矩形部51c,51d,51eに生じる結合電流によって実現されるが、この結合電流には図13に矢印で示すように90度づつ異なる4方向の電流成分を含む。このため、図7に示す位置関係で2つのカプラ装置5を対向させた場合に、0度、90度、180度および270度のいずれにおいても両カプラ装置2に互いに逆向きの電流成分が存在することになり、各状態での結合度の変化が低減される。
【0099】
図14は2つのカプラ装置4の間における透過係数(S21)の周波数特性に関するシミュレーションデータを示す図である。この図14に示す特性は、図7に示す位置関係で2つのカプラ装置4を対向させた場合における透過係数(S21)をコンピュータシミュレーションにより求めている。
【0100】
(第5の実施形態)
図15は第5の実施形態に係るカプラ装置6の平面図である。なお、図1乃至図3と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0101】
図15に示すようにカプラ装置6は、短絡素子22,23、地板24、誘電体25および結合素子61を含む。またカプラ装置6は、図3に示すような給電線26およびコネクタ27をさらに含むが、これら給電線26およびコネクタ27は図15においては図示を省略している。
【0102】
つまりカプラ装置6は、カプラ装置2における結合素子21に代えて結合素子61を備える。そして結合素子61と結合素子21とは、その厚み方向に直交する平面における形状が異なる。
【0103】
結合素子61には、矩形部61a,61b,61cおよびコ字形部61d,61eが存在する。矩形部61a,61bは、それぞれ矩形をなし、互いに離間した状態で平行している。矩形部61cは、矩形をなし、矩形部61a,61bの中央部どうしを連結するように矩形部61a,61bの配列方向に沿って延びる。コ字形部61d,61eは、それぞれコ字形をなし、それぞれの両端がいずれも矩形部61cに接する。コ字形部61d,61eは、給電点P5を中心として互いに点対称である。なお、矩形部61a,61b,61cはいずれも、他のカプラ装置との間で授受する高周波信号がほぼ全域に渡り流れる程度の幅を持つものとする。
【0104】
かくして、コ字形部61d,61eは、2つの端部E45,E46を有した第1の導電部を形成している。また矩形部61aと矩形部61cの一部とで先端部E41,E42を有した導電部が、また矩形部61bと矩形部61cの一部とで先端部E43,E44を有した導電部がそれぞれ形成されている。そして先端部E41,E42,E43,E44は、端部E45および端部E46の中央に対して対称の位置にある。
【0105】
短絡素子22,23は、コ字形部61d,61eの中間部においてそれぞれ結合素子61に接合されている。
【0106】
この結合素子61では、矩形部61a,61bの先端部E41,E42,E43,E44がそれぞれ開放端となり、コ字形部61d,61eの端部E45,E46がそれぞれ接地端となる。このため結合素子61は、給電点P5から矩形部61cおよび矩形部61aに沿って先端部E41,E42まで至る2つの電流経路と、給電点P5から矩形部61cおよび矩形部61bに沿って先端部E43,E44まで至る2つの電流経路とでそれぞれ結合電流が生じる。結合素子61の大きさは、これら4つの電流経路の長さが所要周波数の波長λのn/4(nは任意の整数)にほぼ相当するように定める。
【0107】
かくして結合素子61においても、コ字形部61d,61eにそれぞれ生じる接地電流の向きが互いに異なるために、カプラ装置6全体における電流分布の偏りは接地端が単一である場合に比べて小さくなる。
【0108】
特に本実施形態では、コ字形部61d,61eが給電点P5を中心として点対称であるため、2つの接地電流も対称となり、これらの接地電流によるカプラ装置4全体における電流分布にはほとんど偏りが生じない。
【0109】
ところで、2つのカプラ装置6どうしの電磁的結合は主として矩形部61c,61d,61eに生じる結合電流によって実現されるが、この結合電流には図15に矢印で示すように90度づつ異なる4方向の電流成分を含む。このため、図7に示す位置関係で2つのカプラ装置6を対向させた場合に、0度、90度、180度および270度のいずれにおいても両カプラ装置2に互いに逆向きの電流成分が存在することになり、各状態での結合度の変化が低減される。
【0110】
(第6の実施形態)
図16は第6の実施形態に係るカプラ装置7の平面図である。なお、図1乃至図3と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0111】
図16に示すようにカプラ装置7は、短絡素子22,23,72,73、地板24、誘電体25および結合素子71を含む。またカプラ装置7は、図3に示すような給電線26およびコネクタ27をさらに含むが、これら給電線26およびコネクタ27は図16においては図示を省略している。
【0112】
つまりカプラ装置7は、カプラ装置2における結合素子21に代えて結合素子71を備えるとともに、短絡素子72,73を追加して備える。そして結合素子71と結合素子21とは、その厚み方向に直交する平面における形状が異なる。
【0113】
結合素子71には、矩形部71a,71b,71c,71d,71e,71fが存在する。矩形部71c,71d,71e,71fは、それらによって十字形状を形成する位置関係にある。矩形部71a,71bは、上記の十字形状の交点から他のいずれの矩形部とも異なる方向に延びる状態で位置する。なお、矩形部71a,71bはいずれも、他のカプラ装置との間で授受する高周波信号がほぼ全域に渡り流れる程度の幅を持つものとする。
【0114】
かくして、矩形部71c,71dは、2つの先端部E53,E54を有した第1の導電部を形成している。また矩形部71a,71bは、先端部E5を有した第2の導電部を形成している。さらに矩形部71e,71fは、2つの先端部E55,E56を有した第3の導電部を形成している。
【0115】
短絡素子22,23,72,73は、矩形部71c,71d,71e,71fの先端においてそれぞれ結合素子71に接合されている。そして短絡素子72,73は、短絡素子22,23と同様にして地板24にも接続されている。給電線26は、矩形部71bの先端部E52の近傍にて結合素子71に接続され、この先端部E52近傍に給電点P6が形成される。
【0116】
この結合素子71では、矩形部71aの先端部E51が開放端となり、矩形部71c,71d,71e,71fの先端部E53,E54,E55,E56がそれぞれ接地端となる。このため結合素子71は、給電点P6から矩形部71bおよび矩形部71aに沿って先端部E5まで至る電流経路で結合電流が生じる。結合素子71の大きさは、この電流経路の長さが所要周波数の波長λのn/4(nは任意の整数)にほぼ相当するように定める。
【0117】
接地電流は、十字形状の交点から先端部E53,E54,E55,E56のそれぞれに至る4つの電流経路が生じ、矩形部71c,71d,71e,71fに接地電流が流れる。そしてこれらの接地電流は、それぞれ向きが異なるために、カプラ装置7全体における電流分布の偏りは接地端が単一である場合に比べて小さくなる。
【0118】
特に本実施形態では、矩形部71c,71d,71e,71fが十字形状の交点を中心として点対称になるため、4つの接地電流も対称となり、これらの接地電流によるカプラ装置4全体における電流分布にはほとんど偏りが生じない。
【0119】
(第7の実施形態)
図17は第7の実施形態に係るカプラ装置8の平面図である。なお、図1乃至図3および図13と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0120】
図17に示すようにカプラ装置8は、短絡素子22,23、地板24、誘電体25、結合素子51、無給電素子81,82および短絡素子83,84を含む。またカプラ装置8は、図3に示すような給電線26およびコネクタ27をさらに含むが、これら給電線26およびコネクタ27は図17においては図示を省略している。
【0121】
つまりカプラ装置8は、カプラ装置5に無給電素子81,82および短絡素子83,84を追加して備える。
【0122】
無給電素子81,82は、導電材料を、矩形の平板状に形成してなる。無給電素子81は,82、結合素子51に隣接するとともに、結合素子51から離間した位置に配置されている。無給電素子81,82はさらに、結合素子51を挟んで平行する状態で配置されている。
【0123】
短絡素子83,84は、矩形の平板状をなし、その厚み方向が無給電素子81,82の厚み方向に直交する。短絡素子83は、無給電素子81に接合されている。短絡素子83は、無給電素子81に一体的であっても良いし、別体であっても良い。短絡素子84は、無給電素子82に接合されている。短絡素子84は、無給電素子82に一体的であっても良いし、別体であっても良い。短絡素子83,84は、誘電体25の内部を通過する状態で配置され、地板24に対して電気的に接続されている。
【0124】
無給電素子81,82は、送受信回路202には接続されず、給電がなされない。
【0125】
地板24の表側面に対して表裏方向に結合素子51および無給電素子81,82を投影した場合の投影領域(結合素子51および無給電素子81,82に対向する領域)は図18に二点鎖線で示す領域AR11,AR12,AR13となる。この図18から、領域AR11のうちで矩形部51a,51bに対応する領域の一部が切欠部24a,24bに重なることから、矩形部51a,51bの一部に対向して切欠部24a,24bが設けられていること、すなわち矩形部51a,51bに対応する領域の近傍(隣接する領域)に切欠部24a,24bが設けられていることわかる。また領域AR11のうちの中央部分近傍が切欠部24a,24bのいずれにも重ならないことから、切欠部24a,24bが給電点P4には対向していないことがわかる。さらに、領域AR11のうちの矩形部51d,51eに対応する領域が切欠部24a,24bのいずれにも重ならないことから、短絡素子22,23が地板24に接触可能であることがわかる。
【0126】
また図18から、領域AR12,AR13の一部が切欠部24a,24bに重なることから、無給電素子81,82の一部に対向して切欠部24a,24bが設けられていること、すなわち無給電素子81,82に対応する領域の近傍(隣接する領域)に切欠部24a,24bが設けられていることがわかる。なお、カプラ装置8における切欠部24a,24bは、地板24が無給電素子81,82の中央部に対応する位置まで延出する凸部を有するように、カプラ装置2における切欠部24a,24bとは形状を異ならせてある。そしてこれにより、短絡素子83,84が地板24に接触可能である。
【0127】
誘電体25の表面側に対して表裏方向に結合素子51および無給電素子81,82を投影した場合の投影領域(結合素子51および無給電素子81,82に対向する領域)は図18に二点鎖線で示す領域AR21,AR22,AR23となる。この図18から、領域AR21,AR22,AR23のいずれもが切欠部25a,25bに重ならないことから、結合素子51および無給電素子81,82の全てに対向しないように切欠部25a,25bが設けられていることがわかる。
【0128】
このような構成により、カプラ装置5で得られる通信エリアよりも広い通信エリアを得られる。
【0129】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0130】
切欠部24a,24bは少なくともいずれか一方を設けなくても良いし、これら切欠部24a,24bとは異なる切欠部を地板24に形成しても良い。また、切欠部24a,24bの形状や形成位置も任意に変更が可能である。
【0131】
切欠部25a,25bは少なくともいずれか一方を設けなくても良いし、これら切欠部25a,25bとは異なる切欠部を誘電体25に形成しても良い。また、切欠部25a,25bの形状や形成位置も任意に変更が可能である。
【0132】
前記の各実施形態のそれぞれにおける結合素子を、前記の各実施形態で給電点としている位置に接合される凸部を有するように変更し、この凸部に給電線26を接続しても良い。
【0133】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0134】
2,3,4,5,6,7,8…カプラ装置、21,31,41,51,61,71…結合素子、22,23,72,73…短絡素子、24…地板、24a,24b…切欠部、25…誘電体、25a,25b…切欠部、26…給電線、27…コネクタ、21a,21b,21c,21d,31c,31d,41c,41d,51a,51b,51c,51d,51e,61a,61b,61c,71a,71b,71c,71d,71e,71f…矩形部、31a,31b,41a,41b…L字形部、61d,61e…コ字形部、81,82…無給電素子、83,84…短絡素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他のカプラ装置との間での電磁的結合により電磁波を授受するカプラ装置であって、
第1の端部および第2の端部を有した第1の導電部と、前記第1の端部および前記第2の端部の間から延出し、開放端を有した第2の導電部とを備える結合素子と、
前記結合素子と対向し、導電材料により構成された地板と、
前記結合素子の前記第1の端部と前記地板とを短絡する第1の短絡素子と、
前記結合素子の前記第2の端部と前記地板とを短絡する第2の短絡素子とを具備することを特徴とするカプラ装置。
【請求項2】
前記結合素子は、前記第1の端部および前記第2の端部の間から延出し、開放端を有した第3の導電部を備え、
前記第2の導電部の開放端と前記第3の導電部の開放端とは、前記第1の導電部に対して対称の位置にあることを特徴とする請求項1に記載のカプラ装置。
【請求項3】
前記カプラ装置は、前記地板と前記結合素子とを短絡する第3および第4の短絡素子をさらに備え、
前記結合素子は、前記第1の端部および前記第2の端部の間から前記第3の端部および前記第4の端部へ延出する第3の導電部を備え、
前記第3の端部は前記第3の短絡素子と接続し、
前記第4の端部は前記第4の短絡素子と接続したことを特徴とする請求項1に記載のカプラ装置。
【請求項4】
前記第1の端部および前記第2の端部の中央へ給電を受けることを特徴とする請求項1に記載のカプラ装置。
【請求項5】
前記第2の導電部は、前記第1の導電部の前記第1の端部および前記第2の端部の中央から延出することを特徴とする請求項1に記載のカプラ装置。
【請求項6】
前記結合素子は、前記第1の端部および前記第2の端部の中央から延出し、開放端を有した第3の導電部を備え、
前記第2の導電部の開放端と前記第3の導電部の開放端とは、前記第1の端部および前記第2の端部の中央に対して対称の位置にあることを特徴とする請求項5に記載のカプラ装置。
【請求項7】
前記カプラ装置は、前記地板と前記結合素子とを短絡する第3および第4の短絡素子をさらに備え、
前記結合素子は、前記第1の端部および前記第2の端部の中央から前記第3の端部および前記第4の端部へ延出する第3の導電部を備え、
前記第3の端部は前記第3の短絡素子と接続し、
前記第4の端部は前記第4の短絡素子と接続したことを特徴とする請求項5に記載のカプラ装置。
【請求項8】
前記結合素子から離間して配置され、導電材料により構成された無給電素子と、
前記無給電素子と前記地板とを短絡する素子とをさらに具備したことを特徴とする請求項1に記載のカプラ装置。
【請求項9】
前記地板は、前記結合素子のうちで前記中央以外の部分の少なくとも一部に対向する位置またはその位置の近傍に切欠部を有したことを特徴とする請求項4に記載のカプラ装置。
【請求項10】
前記結合素子と前記地板との間に、前記結合素子および前記地板に対向する誘電体を備えたことを特徴とする請求項1に記載のカプラ装置。
【請求項11】
前記地板および前記誘電体の少なくとも一方は、前記結合素子のうちで前記中央以外の部分の少なくとも一部に対向する位置またはその位置の近傍に切欠部を有したことを特徴とする請求項9に記載のカプラ装置。
【請求項1】
他のカプラ装置との間での電磁的結合により電磁波を授受するカプラ装置であって、
第1の端部および第2の端部を有した第1の導電部と、前記第1の端部および前記第2の端部の間から延出し、開放端を有した第2の導電部とを備える結合素子と、
前記結合素子と対向し、導電材料により構成された地板と、
前記結合素子の前記第1の端部と前記地板とを短絡する第1の短絡素子と、
前記結合素子の前記第2の端部と前記地板とを短絡する第2の短絡素子とを具備することを特徴とするカプラ装置。
【請求項2】
前記結合素子は、前記第1の端部および前記第2の端部の間から延出し、開放端を有した第3の導電部を備え、
前記第2の導電部の開放端と前記第3の導電部の開放端とは、前記第1の導電部に対して対称の位置にあることを特徴とする請求項1に記載のカプラ装置。
【請求項3】
前記カプラ装置は、前記地板と前記結合素子とを短絡する第3および第4の短絡素子をさらに備え、
前記結合素子は、前記第1の端部および前記第2の端部の間から前記第3の端部および前記第4の端部へ延出する第3の導電部を備え、
前記第3の端部は前記第3の短絡素子と接続し、
前記第4の端部は前記第4の短絡素子と接続したことを特徴とする請求項1に記載のカプラ装置。
【請求項4】
前記第1の端部および前記第2の端部の中央へ給電を受けることを特徴とする請求項1に記載のカプラ装置。
【請求項5】
前記第2の導電部は、前記第1の導電部の前記第1の端部および前記第2の端部の中央から延出することを特徴とする請求項1に記載のカプラ装置。
【請求項6】
前記結合素子は、前記第1の端部および前記第2の端部の中央から延出し、開放端を有した第3の導電部を備え、
前記第2の導電部の開放端と前記第3の導電部の開放端とは、前記第1の端部および前記第2の端部の中央に対して対称の位置にあることを特徴とする請求項5に記載のカプラ装置。
【請求項7】
前記カプラ装置は、前記地板と前記結合素子とを短絡する第3および第4の短絡素子をさらに備え、
前記結合素子は、前記第1の端部および前記第2の端部の中央から前記第3の端部および前記第4の端部へ延出する第3の導電部を備え、
前記第3の端部は前記第3の短絡素子と接続し、
前記第4の端部は前記第4の短絡素子と接続したことを特徴とする請求項5に記載のカプラ装置。
【請求項8】
前記結合素子から離間して配置され、導電材料により構成された無給電素子と、
前記無給電素子と前記地板とを短絡する素子とをさらに具備したことを特徴とする請求項1に記載のカプラ装置。
【請求項9】
前記地板は、前記結合素子のうちで前記中央以外の部分の少なくとも一部に対向する位置またはその位置の近傍に切欠部を有したことを特徴とする請求項4に記載のカプラ装置。
【請求項10】
前記結合素子と前記地板との間に、前記結合素子および前記地板に対向する誘電体を備えたことを特徴とする請求項1に記載のカプラ装置。
【請求項11】
前記地板および前記誘電体の少なくとも一方は、前記結合素子のうちで前記中央以外の部分の少なくとも一部に対向する位置またはその位置の近傍に切欠部を有したことを特徴とする請求項9に記載のカプラ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−166601(P2011−166601A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29219(P2010−29219)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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