説明

カプラ

【課題】カプラの接続口への着脱の操作が容易であり、構造が簡単であって製作コストを低減すること。
【解決手段】装着口21およびホース接続部が設けられた合成樹脂からなる本体部材11と、スライド係止部材12と、シール部材13とを有し、装着口21はスリットによって分割された複数の分割片と、分割片の内周面から突出して設けられ、接続口を挿入したときに環状溝にはまり込んで軸方向の相対移動を規制するための係止凸部33とを有し、分割片は、接続口を挿入しまたは離脱する際に係止凸部33が接続口SGの環状溝KMから抜け出すことが可能なよう弾性的に撓むように構成されており、スライド係止部材12がロック位置にあるときは、分割片の半径方向外方への撓みがスライド係止部材により規制され、接続口SGの先端部とシール部材13との密着を維持した状態で係止凸部33が環状溝KMから抜け出さないように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状の接続口を挿入することにより当該接続口と着脱可能に接続するためのカプラに関し、特に透析器の接続口に接続するために用いられるカプラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人工透析において、透析器(ダイアライザ)に透析液を供給するために、透析器の接続口と透析液供給装置との間をチューブで接続する必要がある。その接続のために、接続口に対して着脱が自在なカプラが用いられる。
【0003】
従来のカプラは、カプラ本体の装着口の周壁に多数の貫通孔が設けられ、それぞれの貫通孔にスチールボールが遊嵌されており、装着口に接続口を挿入したときに接続口に設けられた環状溝にスチールボールが嵌まり込むとともに、カプラ本体の外周に摺動自在に設けられた係止リングがバネで移動してきてスチールボールを外側から押さえるようになっている(特許文献1)。
【0004】
また、カプラの洗浄を容易にするために、カプラ本体の装着口を弾性樹脂材料によって形成してその外周に液流環状溝および液止環状突起を設け、装着口の外周が開かないようにOリングバンドによって押さえるとともに、そのOリングバンドを複数のスリットを有したスライドグリップによって移動させるようにしたものも提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2005−40393
【特許文献2】特開2001−299907
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上に述べた特許文献1のカプラでは、カプラを接続口に挿入しまたは離脱するときに、バネで付勢された係止リングをカプラ本体を握った手で引っ張ってスチールボールが移動自在となるように解除しなければならず、その操作のためにかなりの力を要するので、特に婦人の看護士などにとっては操作が容易ではない。また、スチールボールに錆の発生する可能性があった。
【0006】
また、上に述べた特許文献2のカプラでは、カプラの洗浄対策を主眼としているため、カプラの接続口への通常の着脱の操作が容易とはいえない。
【0007】
また、いずれにおいても、カプラの構造が複雑であって製作コストを低減することが困難という問題もある。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、カプラの接続口への着脱の操作が容易であり、構造が簡単であって製作コストを低減することの可能なカプラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るカプラは、外周面に環状溝が設けられた円筒状の接続口を挿入することにより当該接続口と着脱可能に接続するためのカプラであって、前記接続口の外周に装着するための装着口、およびホースを接続するためのホース接続部が設けられた合成樹脂からなる本体部材と、前記装着口の外周面に装着されて軸方向に摺動可能な合成樹脂からなる筒状のスライド係止部材と、前記装着口の内周面の奥端部に配置され、前記接続口の先端部と当該装着口の内周面との間をシールするためのシール部材と、を有し、前記装着口は、開口端部から軸方向に設けられた複数条のスリットによって分割されて形成された複数の分割片と、前記分割片の内周面から突出して設けられ、前記接続口を挿入したときに前記環状溝にはまり込んで軸方向の相対移動を規制するための係止凸部と、を有し、前記分割片は、前記接続口を挿入しまたは離脱する際に前記係止凸部が前記環状溝から抜け出すことが可能なよう弾性的に撓むように構成されており、前記スライド係止部材が前記係止凸部に対応する軸方向位置にあるときは、前記分割片の半径方向外方への撓みが前記スライド係止部材により規制され、前記接続口の先端部と前記シール部材との密着を維持した状態で前記係止凸部が前記環状溝から抜け出さないように構成されている。
【0010】
好ましくは、前記分割片の外周面には係合凹部が設けられており、前記スライド係止部材の内周面には、当該スライド係止部材が前記分割片の半径方向外方への撓みを規制する軸方向位置において前記係合凹部に嵌まり込む凸部が設けられる。
【0011】
または、前記分割片の外周面には係合凸部が設けられており、前記スライド係止部材の内周面には、当該スライド係止部材が前記分割片の半径方向外方への撓みを規制する軸方向位置において前記係合凸部が嵌まり込む凹部が設けられる。
【0012】
また、前記装着口の開口端部の外周面に、半径方向外方へ突出して前記スライド係止部材の抜け止めのための抜け止め部が設けられる。
【0013】
また、前記スライド係止部材の後端部には、半径方向外方へ突出するつば部が設けられ、前記スライド係止部材の先端部の内周面には、当該スライド係止部材を前記装着口から離脱する際に前記抜け止め部を押しつけて前記分割片を半径方向内方へ撓ませるための傾斜面が形成される。
【0014】
また、前記本体部材の外周面には、前記スライド係止部材の軸方向の移動を奥端側において規制するためのストッパが設けられる。3条の前記スリットによって3つの前記分割片が形成されており、3つの前記分割片のいずれも前記係止凸部を有している。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、カプラの接続口への着脱の操作が容易であり、構造が簡単であって製作コストを低減することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係るカプラ1の正面断面図、図2はカプラ1の左側面図、図3はスライド係止部材の正面断面図、図4はカプラ1を接続口SGに接続した状態を示す正面断面図、図5は装着口21の近辺を拡大して示す断面図、図6はシール部材13の近辺を拡大して示す断面図、図7はスライド係止部材12と本体部材11との係合構造の他の例を示す図である。
【0017】
図1および図2において、カプラ1は、本体部材11、スライド係止部材12、およびシール部材13からなる。
【0018】
本体部材11は、有底筒状体の後端部11aから細筒状部が半径方向外方に突出した概略形状であり、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネイト)、またはその他の合成樹脂によって一体に成形されている。つまり、本体部材11は、透析器TKの接続口SG(図4参照)の外周に装着するための装着口21、およびホースHSを接続するためのホース接続部22が設けられている。本体部材11には、ホース接続部22の先端から装着口21の開口端部30に至るまで、液体が流通するための流路RRが設けられている。
【0019】
装着口21は、その開口端部30から軸方向に設けられた3条のスリット31a,31b,31cによって分割されて3つの分割片32a,32b,32cが形成されている。これら分割片32a〜cのそれぞれの内周面の一部には、接続口SGを挿入したときにその環状溝KMに嵌まり込んで軸方向の相対移動を規制するための係止凸部33、33…が突出して設けられている。
【0020】
分割片32a〜cは、適度な肉厚をもっており、そこに接続口SGを挿入しまたは離脱する際に、係止凸部33が環状溝KMに嵌入しまたは環状溝KMから抜け出すことが可能なよう、弾性的に撓むことが可能である。また、スライド係止部材12が係止凸部33に対応する軸方向位置(図4に示す位置、以下「ロック位置」ということがある)にあるときは、分割片32a〜cの半径方向外方への撓みがスライド係止部材12により規制され、そのため係止凸部33と環状溝KMとの係合状態が維持され、接続口SGの先端部とシール部材13との密着を維持した状態で係止凸部33が環状溝KMから抜け出さないようになっている。
【0021】
なお、係止凸部33は、分割片32a〜cのそれぞれの内周面の全周にわたってではなく、周方向の一部に設けられているので、係止凸部33との係合が過度に強くなり過ぎることなく、また分割片32a〜cが撓み難くなることがなく、適度の軸方向の係止力が得られる。
【0022】
装着口21の開口端部30の外周面には、半径方向外方へ突出してスライド係止部材12の抜け止めのための環状の抜け止め部34が設けられている。抜け止め部34は、外周側の内側の端面が傾斜面34aとなっており、傾斜面34aの底部には表面よりも低くなった環状の凹部35が設けられている。開口端部30の内周面側の縁部には、傾斜面30aが設けられている。
【0023】
本体部材11の装着口21よりも奥側において、外周面に段部36が形成され、さらにその奥側に環状の凸部37が形成されている。凸部37の前側の端面は傾斜面37aとなっている。段部36は、スライド係止部材12の軸方向の移動を奥端側位置(図1に示す位置、以下「開放位置」ということがある)において規制するためのストッパの役割を果たす。
【0024】
ホース接続部22は、透析液を流通させるために用いられる公知のホース(チューブ)HSを接続可能な形状である。なお、本実施形態においては、ホース接続部22を本体部材11に一体に形成したが、ホース接続部22を本体部材11とは別体で形成し、ホース接続部22を本体部材11にネジ込むことによって連結してもよい。
【0025】
スライド係止部材12は、略筒状であり、本体部材11と同様な合成樹脂によって一体に形成されている。スライド係止部材12の先端部の内周面には、装着口21の凹部35に嵌まり込んで凹部35と軸方向に係合する凸部42が設けられている。凸部42が凹部35に係合することによって、スライド係止部材12がロック位置にあるときに、スライド係止部材12のその位置が保持され、不測に移動しないようになっている。
【0026】
なお、凸部42は、その両端面が傾斜面42a,42bとなっており、スライド係止部材12を軸方向に手で少し強く引くことによって、分割片32a〜cを半径方向内方へ撓ませて凹部35の傾斜面を乗り越えさせ、スライド係止部材12を開放位置に容易に移動させることができるようになっている。
【0027】
なお、本実施形態においては、スライド係止部材12と本体部材11との軸方向の係合のために凸部42と凹部35とを形成したが、これ以外の種々の構成によって係合させてもよい。例えば、図7に示すように、装着口21の各分割片32a〜cの外周面に凸部39を設け、スライド係止部材12の内周面に、凸部39が嵌まり込む凹部46を設けてもよい。
【0028】
スライド係止部材12の後端部には、半径方向外方へ突出するつば部41が設けられている。つば部41の内周面の端縁部には、環状の凹部43が設けられ、その一部が傾斜面43aとなっている。つば部41には、可撓性を有するカバー14が被せられている。カバー14は、シリコンゴムやNBRなどの合成ゴムなどからなり、撓ませることによってつば部41に装着しまたは離脱することができる。カバー14の前面側の端部には、環状の凹部44が設けられている。
【0029】
カバー14は、後述するように、カプラ1を洗浄する際に洗浄液の漏れを防ぐためのシール材の役目をも果たす。
【0030】
スライド係止部材12は、その先端部分が、先端部から軸方向に沿った3条のスリット45a,45b,45cによって分割されている。これによって、スライド係止部材12の先端部分が若干撓み易くなり、スライド係止部材12の本体部材11への装着および離脱を行うことが可能であり、カプラ1の組み立てが容易となっている。しかし、これらのスリット45a〜cは、スライド係止部材12がロック位置にあるときに本体部材11の係止凸部33の真上にはこない程度の長さ(深さ)である。したがって、スライド係止部材12がロック位置にあるときに、分割片32a〜cが半径方向外方へ撓もうとしてもスライド係止部材12によって規制され、容易には係止凸部33が環状溝KMを乗り越えることのないようになっている。
【0031】
シール部材13は、シリコンゴムまたは他の合成ゴムなどからなり、径大部51と径小部52とからなる略円筒状に形成されている。図6において、2点鎖線はシール部材13の自由状態を示す。図6によく示されるように、シール部材13は、本体部材11の装着口21の奥端部において内周面が若干低くなって形成された装着部38に装着されている。径大部51の内径は、接続口SGの先端部の外径よりも若干小さくなっており、接続口SGを挿入したときに撓んで密着する。また、接続口SGの傾斜面が径大部51を押して撓ませるので、シール部材13は本体部材11の装着部38において、接続口SGの先端部の表面と本体部材11の内周面とにそれぞれ密着してこれらの間をシールする。
【0032】
なお、シール部材13は装着部38に装着されているので、接続口SGの離脱の際にも接続口SGと一緒に離脱することがなく、装着部38に装着された状態が維持される。
【0033】
次に、カプラ1の使用方法について説明する。
【0034】
スライド係止部材12を開放位置として状態で(図1に示す状態)、装着口21に接続口SGを挿入する。このとき、装着口21の各分割片32a〜cの内周面は接続口SGの外周面に沿って半径方向外方へ撓み、挿入し切ったときに、図4に示すように係止凸部33が環状溝KMに嵌まり込む。この状態で、接続口SGの先端部がシール部材13に密着してシールされる。そして、スライド係止部材12を図4に示すロック位置に移動させ、凸部42を凹部35に係合させる。これによって接続口SGとカプラ1との接続が完了する。
【0035】
カプラ1を取り外すときには、指でカバー14を引っ張ってスライド係止部材12を開放位置へ移動させ、そのままさらに引っ張ることによって、装着口21が接続口SGから抜け出る。
【0036】
このように、カプラ1の接続口SGへの装着および離脱は容易に行うことができる。スライド係止部材12が開放位置にあるときの接続口SGと装着口21との係止力は、係止凸部33と環状溝KMとの係合および分割片32a〜cの弾性力によっているので、婦人の看護士でも容易に扱える程度の適度の強さとすることができる。また、装着口21が合成樹脂であり、摺動性が良好であるので、従来のスチールボールのように硬くなることがない。
【0037】
また、スライド係止部材12および本体部材11は合成樹脂製であるので、互いに摺動性が良好であり、また凸部42と凹部35との係合によって軽く係合しているだけであるので、スライド係止部材12をロック位置と開放位置との間を移動させるのが容易である。しかも、凸部42と凹部35との係合によってロック位置に保持されるので、スライド係止部材12が不測に移動することはない。さらに、カプラ1の構造が簡単であり、製作コストを低減することが可能である。
【0038】
次に、カプラの洗浄方法について説明する。
【0039】
図8はカプラを洗浄するときの接続状態を示す正面断面図、図9は連結部を拡大して示す断面図である。
【0040】
図8に示すように、カプラを洗浄する際には、2つのカプラ1A,1Bを同時に洗浄することが可能である。つまり、上に述べたカプラ1と同じ構造の2つのカプラ1A,1Bを、それぞれの装着口21が対向するようにして、円筒状の洗浄用ケース3に挿入する。これによって、各カプラ1A,1Bの抜け止め部34が、洗浄用ケース3の内周面の中央に設けられた係合部61において係合し、その状態が保持される。
【0041】
すなわち、洗浄用ケース3は、カプラ1と同様な合成樹脂によって形成されており、図9に示すように、その係合部61には、中央部に凹部62が設けられ、その両側壁が傾斜面62a,62bとなっている。洗浄用ケース3にカプラ1A,1Bを挿入すると、それぞれの抜け止め部34が凹部62に嵌入し、各傾斜面34aが傾斜面62a,62bに係合する。
【0042】
また、洗浄用ケース3の外径は、カバー14の凹部44の内径よりも若干大きくなっており、洗浄用ケース3の両端部が、各カプラ1A,1Bのカバー14の凹部44に嵌入して密閉され、シールが行われる。そのときに、洗浄用ケース3の両端部が凹部44を軸方向に押すことによっても密閉される。カバー14の他方の外周端部は、傾斜面状、アール状、またはリップ状となっており、その部分が凸部37の傾斜面37aに押し付けられ、これによってこの部分においてもシールが行われている。
【0043】
この状態で、一方のカプラ1Aから他方のカプラ1Bに向かって洗浄液を流す。そうすると、洗浄液は、各カプラ1A,1Bの内部は勿論のこと、装着口21の外周面、スライド係止部材12の外周面の一部にまでも行き渡り、洗浄を行う。このように、カプラ1A,1Bの通常の使用によって洗浄が必要となる全ての箇所を洗浄することができる。
【0044】
しかも、2つのカプラ1A,1Bを同時に洗浄することができるので、透析時における供給側と排出側の2つのカプラを1回で洗浄することができ、能率がよい。例えば、洗浄時に、透析時における透析液を洗浄液に変えるだけで洗浄を行うことができる。
【0045】
なお、洗浄用ケース3とカバー14とのシール構造は、上に述べた以外の種々の構造とすることができる。カバー14によるシールに代えて、またはこれとともに、適当なパッキン、例えばOリングなどを、洗浄用ケース3の両端部に装着してもよい。
【0046】
上述の実施形態において、本体部材11またはスライド係止部材12などの成形に際し、青色または赤色などに着色しておいてもよい。これによって、透析液の供給側と排出側とを容易に区別することができる。
【0047】
装着口21の抜け止め部34を環状に設けたが、各分割片32a〜cのそれぞれの周方向の一部に設けてもよい。その場合に、各分割片32a〜cの中央部または両端部などに設けてもよい。係止凸部33を各分割片32a〜cの周方向の中央部に設け、抜け止め部34を各分割片32a〜cの周方向の両端部に設けた場合には、装着口21の肉厚が周方向で一様になり易いので、樹脂成形時における成形歪みを軽減することが可能である。
【0048】
また、各分割片32a〜cにそれぞれ係止凸部33を設けたが、分割片32a〜cの一部にのみ係止凸部33を設けてもよい。
【0049】
開口端部30の内周面側の縁部に傾斜面30aを設けたが、外周面側の縁部にも傾斜面を設けてもよい。これによると、カプラ1の組み立て時にスライド係止部材12の本体部材11への装着が容易である。その場合に、スライド係止部材12の凹部43の対応する部分を傾斜面にしておけばなおよい。
【0050】
つば部41にカバー14を装着したが、洗浄を行わない場合にはカバー14を省略してもよい。
【0051】
本体部材11の後端部11aの外周が円周面になっているが、円周面の径を小さくし、小さくした円周面に軸方向に伸びる補強用の複数のリブを形成してもよい。シール部材13に代えてOリングその他のシール材を用いてもよい。
【0052】
装着口21に3条のスリット31a〜cを設けて3つの分割片32a〜cを形成したが、2条、または4条以上のスリットを設けて2つまたは4つ以上の分割片32を形成してもよい。
【0053】
スライド係止部材12の先端部を3条のスリット45a〜cによって分割したが、2条、または4条以上のスリットを設けてもよく、またスリットを設けることなく、先端部の肉厚や材質などによって調整してもよい。
【0054】
その他、本体部材11、スライド係止部材12、シール部材13、カバー14、洗浄用ケース3、またはカプラ1の全体または各部の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、透析器の接続口に接続するためのカプラ、その他の流体用のカプラとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係るカプラの正面断面図である。
【図2】カプラの左側面図である。
【図3】スライド係止部材の正面断面図である。
【図4】カプラを接続口に接続した状態を示す正面断面図である。
【図5】装着口の近辺を拡大して示す断面図である。
【図6】シール部材の近辺を拡大して示す断面図である。
【図7】スライド係止部材と本体部材との係合構造の他の例を示す図である。
【図8】カプラを洗浄するときの接続状態を示す正面断面図である。
【図9】連結部を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 カプラ
11 本体部材
12 スライド係止部材
13 シール部材
21 装着口
22 ホース接続部
31a〜c スリット
32a〜c 分割片
33 係止凸部
34 抜け止め部
35 凹部(係合凹部)
36 段部(ストッパ)
39 凹部(係合凸部)
41 つば部
42 凸部
42a 傾斜面
46 凹部
SG 接続口
KM 環状溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に環状溝が設けられた円筒状の接続口を挿入することにより当該接続口と着脱可能に接続するためのカプラであって、
前記接続口の外周に装着するための装着口、およびホースを接続するためのホース接続部が設けられた合成樹脂からなる本体部材と、
前記装着口の外周面に装着されて軸方向に摺動可能な合成樹脂からなる筒状のスライド係止部材と、
前記装着口の内周面の奥端部に配置され、前記接続口の先端部と当該装着口の内周面との間をシールするためのシール部材と、を有し、
前記装着口は、
開口端部から軸方向に設けられた複数条のスリットによって分割されて形成された複数の分割片と、
前記分割片の内周面から突出して設けられ、前記接続口を挿入したときに前記環状溝にはまり込んで軸方向の相対移動を規制するための係止凸部と、を有し、
前記分割片は、前記接続口を挿入しまたは離脱する際に前記係止凸部が前記環状溝から抜け出すことが可能なよう弾性的に撓むように構成されており、
前記スライド係止部材が前記係止凸部に対応する軸方向位置にあるときは、前記分割片の半径方向外方への撓みが前記スライド係止部材により規制され、前記接続口の先端部と前記シール部材との密着を維持した状態で前記係止凸部が前記環状溝から抜け出さないように構成されている、
ことを特徴とするカプラ。
【請求項2】
前記分割片の外周面には係合凹部が設けられており、
前記スライド係止部材の内周面には、当該スライド係止部材が前記分割片の半径方向外方への撓みを規制する軸方向位置において前記係合凹部に嵌まり込む凸部が設けられている、
請求項1記載のカプラ。
【請求項3】
前記分割片の外周面には係合凸部が設けられており、
前記スライド係止部材の内周面には、当該スライド係止部材が前記分割片の半径方向外方への撓みを規制する軸方向位置において前記係合凸部が嵌まり込む凹部が設けられている、
請求項1記載のカプラ。
【請求項4】
前記装着口の開口端部の外周面に、半径方向外方へ突出して前記スライド係止部材の抜け止めのための抜け止め部が設けられている、
請求項1ないし3のいずれかに記載のカプラ。
【請求項5】
前記スライド係止部材の後端部には、半径方向外方へ突出するつば部が設けられ、
前記スライド係止部材の先端部の内周面には、当該スライド係止部材を前記装着口から離脱する際に前記抜け止め部を押しつけて前記分割片を半径方向内方へ撓ませるための傾斜面が形成されている、
請求項4記載のカプラ。
【請求項6】
前記本体部材の外周面には、前記スライド係止部材の軸方向の移動を奥端側において規制するためのストッパが設けられている、
請求項1ないし5のいずれかに記載のカプラ。
【請求項7】
3条の前記スリットによって3つの前記分割片が形成されており、
3つの前記分割片のいずれも前記係止凸部を有している、
請求項1ないし6のいずれかに記載のカプラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−37656(P2007−37656A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223288(P2005−223288)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(592041074)株式会社旭金属製作所 (6)
【出願人】(504322921)
【Fターム(参考)】