説明

カプロラクトン変性分岐アクリルポリマーを形成するための高温重合方法

本発明は、高温フリーラジカルアクリル重合方法での、分岐アクリルポリマー、およびカプロラクトン変性分岐アクリルポリマーの調製に関する。重合は、130℃以上で実施されて、高度の分岐を有するポリマーを生成する。このように調製されたポリマーは、高固形分コーティング組成物、特に、自動車およびトラック外装の仕上げのために有用であるコーティング組成物中におけるバインダー樹脂および/またはレオロジー制御剤として用いることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年10月7日出願の米国仮特許出願第60/724,500号明細書、および2005年10月7日出願の同第60/725,058号明細書に基づく米国特許法第119条の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、高温重合方法およびこれによる生成物に関する。特に、本発明は、自動車およびトラック外装の仕上げに有用である高固形分コーティングなどの高固形分タイプコーティング組成物における使用に好適である、高分子量であるが、低粘度である、分岐アクリルおよびカプロラクトン変性分岐アクリルポリマーを生成する高温重合方法に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車およびトラック外装の仕上げに用いられるほとんどのコーティングは、1種以上のフィルム形成性樹脂およびポリマー、および顕著な量の揮発性有機溶剤を含有する。しかしながら、コーティング組成物の塗布および硬化の間に生成される規制された排出の大部分を形成するため、揮発性有機溶剤の存在が関心事である。従って、排出またはこのようなコーティングのVOC(揮発性有機含有量)を低減させる多くの試みがなされてきた。
【0004】
産業における傾向は、より高い固形分、溶剤ベースの液体コーティングに向いている。このようなコーティングは、典型的には、少なくとも約40重量%(非揮発物)の固形分含有量を有する。
【0005】
高固形分コーティングは、従来の、溶剤由来の(または溶剤希釈された)コーティングを超える顕著な利点を提供する。これらは空気を汚染せず、溶剤排出を低減または排除し、および、従来の溶剤由来のコーティングとは異なり、顕著な火災および毒性の問題を与えない。高固形分コーティングはまた、外観および既存の塗装施設における塗布の容易性に関して特性のより良いバランスを提供する点で、水系および溶剤レスの粉末系などの他の低排出コーティングを超える顕著な利点を提供する。
【0006】
おそらく、高固形分コーティングの調製および使用における最も困難な問題は、粘度の選択および制御である。従来の溶剤由来のコーティングにおいて普通用いられている従来において調製される高分子量付加付加重合体は、通常は、高固形分塗布に対して用いられるには過度に粘性である。これらのコーティングの粘度を実際の使用のために十分に低く維持するために、産業における傾向は、低分子量樹脂またはオリゴマー(Mn500〜3000)、典型的にはアクリルオリゴマーを、それらの優れた耐久性および耐候性により利用していた。しかしながら、オリゴマーの単独での使用はまた、指触乾燥時間の増加および垂直ボディーパネル上でのサグの増加および続いて塗布されるコーティング層の再溶解またはストライクイン耐性の減少などのその欠点を有する。
【0007】
米国特許第4,546,046号明細書(Etzellら)は、高固形分、溶剤由来の自動車コーティングにおける使用のための種々のε−カプロラクトン変性アクリルポリマーの調製を教示する。しかしながら、これらのすべては、上述の欠点をまだ被る比較的低分子量(Mn1,000〜6,000)の直鎖樹脂である。
【0008】
従って、このような組成物における一定のレベルの高分子量ポリマー、好ましくはアクリルポリマーを、コーティング組成物の粘度またはVOCを著しく高めない、より良好なレオロジー制御および再溶解またはストライクイン耐性のために、用いる要求が未だある。
【0009】
本発明は、それらの直鎖類似体より低い粘度を有すると共に、環状ラクトンで鎖伸長されて、さらに上述の性能属性をも増強させる、高分子量分岐アクリルポリマー、および高分子量分岐アクリルポリマーの単純かつ効率的な合成に関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願明細書において開示されているのは、
(a)
(i)少なくとも1種のモノアクリルモノマーと、
(ii)少なくとも1種のジアクリルまたはジメタクリルモノマーと、
(iii)任意により、少なくとも1種のモノメタクリルモノマー(ただし、モノメタクリルモノマーは全モノマー混合物の40重量%以下を構成する)と、
(iv)少なくとも1種のフリーラジカル重合開始剤と、
(v)任意により、少なくとも1種の溶剤と
の反応混合物を形成するステップと、
(b)反応混合物を、重合条件下に、少なくとも130℃の高温の反応温度で、非ゲル化分岐アクリルポリマーが形成されるまで維持するステップと
を含む実質的に非ゲル化の分岐アクリルポリマーを形成する重合方法である。
【0011】
また、(c)実質的に非ゲル化の分岐アクリルポリマーを、環状ラクトンまたは環状ラクトン伸長化モノマーで、フリーラジカル開始重合の最中にまたは後に、またはこれらの組み合わせで鎖伸長するステップをさらに含む上記の方法が開示されている。
【0012】
さらに、前述の方法により形成される生成物と、特許請求の範囲に記載の前記生成物を含むコーティング組成物とが開示されている。
【0013】
本発明のさらなる追加の開示は、前述の組成物でコートされた物品、および前記組成物でコートされた車体またはその部品である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、一部において、(a)(i)少なくとも1種のモノアクリルモノマーと、(ii)少なくとも1種のジアクリルまたはジメタクリルモノマーと、(iii)任意により、少なくとも1種のモノメタクリルモノマー(ただし、モノメタクリルモノマーは全モノマー混合物の40重量%以下を構成する)と、(iv)少なくとも1種のフリーラジカル重合開始剤と、(v)任意により、少なくとも1種の溶剤との反応混合物を形成するステップと、(b)反応混合物を、重合条件下に、高温の反応温度で維持するステップとを含む、実質的に非ゲル化の分岐アクリルポリマーを形成するための重合方法に関する。
【0015】
これにより、上記の方法は、実質的に非ゲル化の分岐アクリルポリマーを、環状ラクトンまたは環状ラクトン伸長化モノマーで、フリーラジカル開始重合の前または後に、またはこれらの組み合わせで鎖伸長するステップをさらに含み得る。方法のさらなる詳細が、本願明細書において記載されている。
【0016】
この開示において、多数の用語および略語が用いられている。以下の定義を提供する。
【0017】
「高分子量」は、約10,000〜150,000の範囲、より好ましくは約30,000〜120,000の範囲の重量平均分子量「Mw」を有するポリマーとして定義される。
【0018】
本願明細書に開示のすべての「分子量」は、ポリスチレンを基準として用いるゲルパーミエーションクロマトグラフィー「GPC」により測定される。
【0019】
「アクリルポリマー」とは、重合された「(メタ)アクリレート」(アクリレートおよびメタクリレートを意味する)であって、任意により他のエチレン性不飽和モノマーと共重合されて所望の特性を提供するものから構成されるポリマーを意味する。
【0020】
本願明細書において、時々「カプロラクトン−伸長化アクリルポリマー」として称される「カプロラクトン変性アクリルポリマー」はまた、ε−カプロラクトンなどのカプロラクトンで伸長されたポリエステル伸長化アクリルポリマーを意味する。ポリエステル鎖延長は鎖端部であり得るが、またはアクリル主鎖に沿ったいずれかの他の点であり得る。当然、他の環状ラクトンをカプロラクトンの代わりに用いることが可能であり、および他に示されていない限りにおいて、この定義に包含されることが意図されることを当業者は理解するであろう。
【0021】
本願明細書において、時々「モノエチレン性不飽和アクリルモノマー」として称される「モノアクリルモノマー」はまた、平均で、1つの重合性アクリル二重結合/分子を有すると共に、任意により1種以上の非エチレン重合性官能基を含有するアクリルモノマーとして定義される。
【0022】
時々、「モノエチレン性不飽和メタクリルモノマー」として称される「モノメタクリルモノマー」は、平均で、1つの重合性メタクリル二重結合/分子を有すると共に、任意により1種以上の非エチレン重合性官能基を含有するメタクリルモノマーとして定義される。
【0023】
本願明細書において、時々「二官能性アクリルモノマー」として称される「ジアクリルモノマー」は、平均で、2つの重合性アクリル二重結合/分子を有すると共に、任意により1種以上の非エチレン重合性官能基を含有するアクリルモノマーとして定義される。
【0024】
時々、「二官能性メタクリルモノマー」として称される「ジメタクリルモノマー」はまた、平均で、2つの重合性メタクリル二重結合/分子を有すると共に、任意により1種以上の非エチレン重合性官能基を含有するメタクリルモノマーとして定義される。
【0025】
「実質的に非ゲル化」または「非ゲル化」は、架橋を実質的に含まず、およびポリマーについて好適な溶剤に溶解したときに計測可能な固有粘度を有する反応生成物を指す。当該技術分野において周知であるとおり、ポリマーの固有粘度は、濃度に対する粘度の低減をプロットすると共に、ゼロ濃度まで外挿することにより判定される。ゲル化反応生成物は、基本的に、無限分子量のものであり、度々、高過ぎて計測できない固有粘度を有することとなる。
【0026】
「高固形分組成物」は、組成物の総重量に基づく重量パーセントで、塗布時に少なくとも40パーセントの総固形分含有量を有する、低溶剤の、溶剤由来液体コーティング組成物として定義される。
【0027】
「低VOC組成物」とは、ASTM D3960に提供されている手法で測定した際に、組成物1リットル当たり約0.6キログラム(5ポンド/ガロン)未満の有機溶剤、好ましくは、1リットル当たり約0.42キログラム(3.5ポンド/ガロン)未満の範囲の有機溶剤を有するコーティング組成物を意味する。
【0028】
本発明は、高分子量の、実質的に非ゲル化の分岐アクリルポリマーを生成するために、または実質的に非ゲル化のカプロラクトン変性分岐アクリルポリマーを生成するために単純かつ効率的な手段を提供する。両方は、時々、本願明細書において、「高分岐」または「超分岐」または「分岐」アクリルポリマーとして称される。これらの分岐アクリルポリマーは、それらの直鎖類似体より低い粘度を有する。これらの分岐アクリルポリマーは、このように生成されたポリマーを溶剤でさらに希釈して粘度を実際的な制限内に維持する必要性なく、自動車組み立て工場において見出される従来の噴霧器具などの標準的な器具における実際の塗布について使用可能な粘度を室温でなお有する、高固形分(低VOC)、液体コーティング組成物、特に高品質の自動車用プライマまたは、ベースコートまたはクリアコートなどのトップコート仕上げの配合に特に有用である。
【0029】
いずれかの特定のメカニズムに限定されることは望ましくないが、本願明細書において記載される高温フリーラジカル重合方法は、モノマー混合物のゲル化を防止する、いわゆる「解裂(backbiting)」を含むと考えられている。本願明細書において記載される重合方法においては、メチン主鎖水素の除去が第3級ラジカルを与えるために生じ、これが分岐点の形成をもたらしおよび最終的に、その後のモノマー付加を介して分岐ポリマーをもたらすと考えられている。水素の主鎖からの除去は、分子鎖間移動、またはいわゆる解裂により生じると考えられており、これが、ジアクリレートまたはジメタクリレートモノマーをわずかな量を超えて用いる古典的なフリーラジカル重合において生じると予期されるであろうゲル化ポリマーの形成とは対照的に、観察される分岐化を最も良く説明する。高温アクリレート重合におけるこのような解裂反応は、参照により本願明細書に援用されるPeckおよびGrady、「Polym.Preprints」、2002年、43(2)、154において、より完全に記載されている。
【0030】
本発明において、ジアクリルまたはジメタクリルモノマーの存在下においても、ゲル化ポリマーがほとんどまたは全く形成されず、より高い反応温度がこの解裂(backbiting)に有利であることが予想外にも観察された。過去においては、反応混合物中の多量のジアクリルまたはジメタクリルモノマーの存在は、反応混合物のゲル化を生じさせるであろうと考えられていた。開示の方法は、従って、かなり高い反応温度を用いて、主鎖水素除去の発生率を増加させると共に、分岐化の発生率を増加させる。ポリマー鎖上の分岐点の数の増加は、低粘度をもたらす。分岐ポリマーの内部粘度は、等しい分子量の対応する直鎖ポリマーのものより低いことが周知である。従って、これが、吹付けなどによる実際の適用について十分に粘度が低い高固形分(低VOC)塗料の達成をもたらし、これが、本発明の主な利点の一つである。
【0031】
本発明の方法は、一般的に、最終生成物中に存在する、分岐アクリルポリマー、またはカプロラクトン変性分岐アクリルポリマーをもたらす。ラクトン鎖増量剤の重合度はまた、反応に用いられるラクトン基対ラクトン反応性基の比に応じて異なるであろう。得られるポリマーの不均一性は、当業者に明らかであるとおり、選択された反応体および選択された反応条件に応じることとなる。
【0032】
本発明の方法における使用に好適であるモノアクリルモノマーとしては、これらに限定されないが、アクリル酸のエステルおよび誘導体およびこれらの混合物が挙げられる。
【0033】
本願明細書において用いられることが可能であるこのようなモノエチレン性不飽和アクリルモノマーの例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、ラウリルアクリレート、アクリル酸ステアリル等などの、アルキル基中に1〜18個の炭素原子を有するアルキルアクリレートなどのアクリレートエステルが挙げられる。シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート等などの脂環式アクリレートもまた用いられることが可能である。ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート等などのアリールアクリレートもまた用いられることが可能である。
【0034】
アクリルモノマーとしても用いられることが可能であるアクリル酸誘導体としては、アクリル酸およびその塩、アクリロニトリル、アクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドおよびアクロレインが挙げられる。
【0035】
本願明細書においてまた用いられることが可能であるモノメタクリルモノマーとしては、これらに限定されないが、メタクリル酸のエステルおよび誘導体およびこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
本願明細書において用いられることが可能であるこのようなモノエチレン性不飽和メタクリルモノマーの例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メタクリル酸ステアリル等などの、アルキル基中に1〜18個の炭素原子を有するアルキルメタクリレートなどのメタクリレートエステルが挙げられる。シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート等などの脂環式メタクリレートもまたことが可能である。ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート等などのアリールメタクリレートもまた用いられることが可能である。
【0037】
用いられることが可能であるメタクリル酸誘導体としては、メタクリル酸およびその塩、メタクリロニトリル、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−フェニル−メタクリルアミドおよびメタクロレインなどのメタクリル酸誘導体が挙げられる。
【0038】
分岐アクリルポリマーについて、モノアクリルまたはモノメタクリルモノマーはまた、上に示すとおり、付加重合条件下で非反応性である(すなわち、非エチレン重合性)、ヒドロキシ、酸、アミノ、カルバメート(すなわち、ウレタン)、イソシアネート、トリメトキシシランなどのアルコキシシラン、エポキシ等などの官能基を、モノマー混合物の約65重量%以下で含有するアクリレートまたはメタクリレートを含むことが可能である。当然、官能基の量は、所望される最終特性に応じて異なり得る。また、ポリマー生成物の意図される最終用途が縮合反応を介して硬化する架橋性コーティング中である場合、このような官能基の1種以上が一般的には望ましい。このような官能性ポリマーは、通常は、当業者に明らかであろうとおり、所望の官能基を導入するための、官能性モノマーを用いる重合により、または本発明のポリマーの後反応により調製される。
【0039】
カプロラクトン変性分岐アクリルポリマーについて、モノアクリルまたはモノメタクリルモノマーとしてはまた、および好ましくは、上記に示すとおり、付加重合条件下で非反応性(すなわち、非エチレン重合性)である、ヒドロキシル、カルボキシルなどの酸、アミノ、カルバメート(すなわち、ウレタン)、イソシアネート、トリメトキシシランなどのアルコキシシラン、エポキシ等などの官能基をモノマー混合物の約65重量%以下で含有するアクリレートまたはメタクリレートを含むことが可能である。当然、官能基の量は、所望される最終特性に応じて異なり得る。また、上記に示すとおり、最低限でも、本発明において用いられる少なくとも1種のモノマーは、ヒドロキシル、カルボキシルまたは環状ラクトンと反応可能である活性水素を含有する他の基を、方法の鎖延長部分のために含有していなければならず、または環状ラクトンと予め反応されたモノマーを含有することとなる。このようなこれらの官能基の1つ以上がまた、一般的には、ポリマー生成物の意図される最終用途が縮合反応を介して硬化する架橋性コーティングにある場合、最終ポリマー中に所望される。このような官能性ポリマーは、通常は、当業者に明らかであろうとおり、所望の官能基を導入する、官能性モノマーを用いる重合または本発明のポリマーの後反応により調製される。
【0040】
分岐アクリルポリマーについて、このような架橋性官能基をポリマーに付与するために典型的に好ましいアクリレートおよびメタクリレートとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシアルキルアクリレート、およびヒドロキシルアルキルメタクリレートが挙げられる。
【0041】
カプロラクトン変性分岐アクリルポリマーについて、このような活性水素および任意により架橋性官能基をポリマーに付与するために典型的に好ましいアクリレートおよびメタクリレートとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシアルキルアクリレート、およびヒドロキシルアルキルメタクリレートが挙げられる。
【0042】
分岐アクリルポリマーについて、好ましいヒドロキシ官能性モノマーの例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート(すべての異性体)、ヒドロキシブチルアクリレート(すべての異性体)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート(すべての異性体)、ヒドロキシブチルメタクリレート(すべての異性体)等などの、アルキル基中に1〜6個の炭素原子を有するヒドロキシアルキルアクリレートおよびメタクリレートが挙げられる。
【0043】
カプロラクトン変性分岐アクリルポリマーについて、好ましいヒドロキシ官能性モノマーの例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート(すべての異性体)、ヒドロキシブチルアクリレート(すべての異性体)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート(すべての異性体)、ヒドロキシブチルメタクリレート(すべての異性体)等などの、アルキル基中に1〜6個の炭素原子を有するヒドロキシアルキルアクリレートおよびメタクリレートが挙げられる。好ましいヒドロキシ官能性モノマーの他の例は、Union Carbideの製品であると共に、1モルの2−ヒドロキシエチルアクリレートと2モルのε−カプロラクトンとの反応生成物であるTone M−100(登録商標)などのカプロラクトンと既に反応されたものである。
【0044】
本発明において、上述のとおり、モノメタクリルモノマーがこの方法において用いられる場合、モノマー混合物中のモノメタクリルモノマーの総量がおよそ40重量%を超えるべきでないことが望ましい。より多量を用いることが可能であるが、40重量%を超える量では、このようなモノマーは解裂メカニズムに干渉し始め、それゆえ、望ましくない粘度の急な増加によって示されるとおり、分岐化が低度のポリマーがもたらされる。このような濃度で形成される生成物は、かなり粘性であり、扱いが困難である。30%を超えない量が一般的には好ましい。
【0045】
上記に列挙したモノエチレン性不飽和アクリルおよびメタクリルモノマーの中から、一般的には、イソボルニル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート(すべての異性体)、エチルヘキシル(メタ)アクリレート(すべての異性体)、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、またはこれらのモノマーの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の嵩高いモノマーを、好ましくはコーティング組成物の再溶解性またはストライクイン耐性を高めるために、(モノマー混合物の約70重量%以下で)含むことが望ましい。
【0046】
上記に列挙したアクリルおよびメタクリルモノマーに追加して、他の非アクリルモノエチレン性不飽和モノマー(モノマー混合物の約20重量%以下)が、任意により、上記モノマーとブレンドされ、および共重合されて、ポリマーの最終特性が、特定の用途について当業者に明らかであろうとおり、所望どおりに調節し得る。
【0047】
このような他の好適な重合性モノエチレン性不飽和非アクリルモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニルトルエン、およびビニルアセテート等などのビニル芳香族化合物およびこれらの混合物が挙げられる。
【0048】
本発明に基づいてコモノマーとしての使用に好適であるジアクリルまたはジメタクリルモノマーとしては、限定されないが、ジエステルおよびアクリルおよびメタクリル酸のジアミドが挙げられる。
【0049】
このようなジアクリルおよびジメタクリルモノマーの例としては、エチレングリコールジメタクリレートおよびジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレートおよびジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレートおよびジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレートおよびジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレートおよびジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートおよびジアクリレート、2,2−ジメチルプロパンジオールジメタクリレートおよびジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレートおよびジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレートおよびジアクリレートが挙げられる。
【0050】
コーティング塗布において正確な比率で他の必須の成分と共に用いられる場合、コーティング塗布において、硬化コーティング層への増加した柔軟性、および低減した脆性を付与するために、ウレタンジアクリレートおよびジメタクリレートもまた用いることが可能である。
【0051】
ウレタンアクリレートまたはメタクリレートは、当業者に公知であるいずれかの方法により生成されることが可能である。2つの典型的な方法は、1)ジイソシアネートを、2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのヒドロキシ含有アクリレートまたはヒドロキシ含有メタクリレートと反応させる方法;および2)イソシアナトアルキルアクリレートまたはイソシアナトメタクリレートを好適なジオールと反応させる方法である。
【0052】
上記リストからわかるとおり、これらの二官能性モノマーのいくつかはまた、架橋性および/または鎖延長官能基をポリマーに付与するために上記に列挙したいずれかのものなどの官能基を含有し得る。
【0053】
一般的には、ポリマー生成物の意図される最終用途が高固形分コーティング組成物にあるとき、ジアクリルまたはジメタクリルモノマーの量は、用いられる特定のジアクリルまたはジメタクリルモノマー、ならびにモノマー混合物の組成に応じて異なり得るが、一般的には、総モノマー混合物の30重量%以下であろう。
【0054】
本発明の分岐アクリルポリマーをε−カプロラクトンなどの環状ラクトンで鎖伸長し、および好ましくは、さらに、コーティング組成物の再溶解またはストライクイン耐性および他の特性を改善するために、上記に列挙したモノマーの少なくとも一部が、好ましくは、カルボキシルおよび/またはヒドロキシル基または環状ラクトンと反応することが可能である活性水素を含有する他の基を含有する。これらのモノマーは、一般的には、全モノマー混合物の重量で、約65%以下、好ましくは5〜40%、より好ましくは約10〜20%の範囲の量で用いられる。
【0055】
アクリルおよびメタクリルモノマーを含有するヒドロキシルおよびカルボキシルの例としては、上述のいずれかのものが挙げられる。典型的には、エチレン性不飽和モノマーの残りは、存在する場合には、カルボキシル、ヒドロキシル基または他の活性水素基を含有しない。
【0056】
一旦、活性水素含有モノマーが反応混合物中に包含されたら、数々の異なる処理方法を用いて、環状ラクトンを有する分岐アクリルポリマーの鎖伸長およびラクトン−変性(本願明細書において、「ラクトン−伸長化」または「ポリエステル−変性」とも称される)分岐アクリルポリマーの調製が可能である。主な差は、環状ラクトン、好ましくはε−カプロラクトンが導入される特定の点を含む。
【0057】
本発明において有用である一方法は、所望のラクトンをカルボキシルまたはヒドロキシル官能性エチレン性不飽和モノマーと、好適な触媒の存在下で予め反応させて、エチレン性不飽和(好ましくはアクリルまたはメタクリル)二重結合およびヒドロキシルまたはカルボキシル側基を有する新たなラクトン伸長モノマーを形成することである。ラクトン対エチレン性不飽和カルボキシルまたはヒドロキシルモノマーのモル比は、約0.1〜20モル、好ましくは0.25〜6モル、最も好ましくは1〜3の範囲であることが可能である。このようなモノマーの典型的な例は、Union Carbideの製品である、1モルの2−ヒドロキシエチルアクリレートと2モルのε−カプロラクトンとの反応生成物であるToneM−100(登録商標)である。
【0058】
第2の方法においては、ラクトンが反応器に有機溶剤と共に充填される。これらの材料は反応温度に加熱され、およびエチレン性不飽和モノマーが、フリーラジカル触媒と共に添加されて、溶剤およびラクトンの存在下に反応される。ラクトン重合用触媒が、アクリルモノマーと同時に添加され得、またはこれらのモノマーの添加の前に添加され得る。温度が十分な時間維持されて、所望の鎖伸長分岐アクリルポリマーが形成される。
【0059】
第3の方法においては、分岐アクリルポリマーが、先ず、高温重合方法を介して形成される。このプロセスが完了したとき、所望のラクトンが、次いで、ラクトン重合用触媒と共に添加されおよび所望の生成物が形成される。
【0060】
すべての場合において、反応混合物に添加した、ラクトン対エチレン性不飽和カルボキシルまたはヒドロキシルモノマーのモル比は異なることが可能である。モル比は、典型的には、約0.1〜20、より好ましくは約0.25〜6の範囲である。当業者は、重合触媒の量、反応温度、および他の条件を変えて、ラクトン重合に影響させることが可能であろう。
【0061】
フリーラジカル重合触媒に追加して、重合媒体は、組成物においてε−カプロラクトンモノマーが用いられる場合、重合触媒を含むことが可能である。
【0062】
典型的にはこのε−カプロラクトン重合触媒は、アルカリまたはアルカリ土類金属アルコキシド、例えばナトリウムまたはカルシウムメトキシド;アルミニウムイソプロポキシド、テトラアルキルチタネート、チタンキレートおよびアシレート、鉛塩および鉛オキシド、ホウ酸亜鉛、酸化アンチモン、オクタン酸第一スズ、有機酸、硫酸、塩酸、およびリン酸などの無機酸、およびホウ素三フッ化物などのルイス酸であり得る。
【0063】
好適なラクトンのいくつかとしては、ε−カプロラクトン;δ−バレロラクトン;γ−ブチロラクトン;およびグリコール酸などの関連するヒドロキシカルボン酸のラクトン;乳酸;3−ヒドロキシカルボン酸、例えば、3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、およびヒドロキシピバリン酸が挙げられる。ε−カプロラクトンが特に好ましい。
【0064】
本発明の方法の一つの好ましい実施形態において、分岐アクリルポリマー調製用の好ましいモノマー充填物またはモノマー混合物は、約40〜98重量%の少なくとも1種のモノアクリレートモノマー、約1〜30%の少なくとも1種のジ(メタ)アクリレートモノマー、および約1〜30%の少なくとも1種のモノメタクリレートモノマーを含む。
【0065】
これらのモノマーのうち、カプロラクトン変性分岐アクリルポリマーについて、それらの65%以下、好ましくはそれらの約10〜20%が、カプロラクトン−伸長化ポリマーを形成するために、カプロラクトンと予め反応されるか、付加重合中にカプロラクトンと反応された、または後反応されることとなるいずれかのヒドロキシルおよび/またはカルボキシル官能基を含有する。ヒドロキシルおよび/またはカルボキシル官能性モノマーの量は、所望の最終特性に応じて上記範囲内で異なり得るが、少なくともポリマーは、高い再溶解またはストライクイン耐性をこのようなポリマーを含有する硬化コーティング層中に提供するために、十分な官能基を含有すべきである。
【0066】
これらのモノマーのうち、分岐アクリルポリマーについては、好ましくはそれらの約65%以下が、ポリマーが最終コーティング中に架橋されること、および得られるポリマーに組み込まれた低粘度をも有しながら所望の高分子量を有することを可能にするためにヒドロキシル、シラン、または他の官能基を含有する。このような官能基の量は、所望される最終特性に応じて異なり得る。
【0067】
当然、モノマー充填物中に用いられるモノマーの総量は100%に等しいこととなり、従って、最大量に等しいまたは近い量の一つの特定のモノマーが用いられる場合、残りのモノマーの相対量は適宜低減されなければならない。
【0068】
上記の所望の分岐コポリマーを形成するための一つの特に好ましいモノマー充填物としては、上記の割合範囲での以下の成分、すなわち、イソボルニルアクリレートまたはエチルヘキシルアクリレートまたはこれらのモノマーの混合物のいずれかであるモノアクリルモノマー、ブタンジオールジアクリレートまたはヘキサンジオールジアクリレートなどのジアクリレートモノマー、およびヒドロキシエチルメタクリレートなどの、アルキル基中に1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシ官能性アルキルメタクリレートが挙げられる。この分岐アクリルポリマーは、重合後に、1〜2モルのカプロラクトン/1モルのヒドロキシ基で後処理されて、鎖伸長化ヒドロキシ官能性分岐アクリルを得ることが可能である。
【0069】
本発明の方法のフリーラジカル重合部分についての好適な開始剤は、アクリルモノマーの重合を有効にすると一般的に公知である、従来のフリーラジカル開始剤のいずれかであることが可能である。開始剤はまた、反応媒体およびモノマー混合物中への必要な溶解度を有するべきである。過酸化物、またはアゾ化合物などの熱開始剤が一般的には好ましい。
【0070】
当業者によって認識されるであろうとおり、熱開始剤は、適切な半減期を重合の温度で有するよう選択されるべきである。いくつかの好適な熱開始剤の特定の例としては、以下の化合物の1種以上が挙げられる:2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シアノ−2−ブタン)、ジメチル2,2’−アゾビスジメチルイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(t−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(1,1−)ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−ヒドロキシエチル)]−プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩化水素化物、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩化水素化物、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミン)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、2,2’−アゾビス(2,2,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシオクトエート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−アミルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジクミルペルオキシド、過酸化ジベンゾイル、ジラウロイルペルオキシド、ペルオキシ二硫酸カリウム、ペルオキシ二硫酸アンモニウム、ジ−t−ブチルハイポニトリル、ジクミルハイポニトリル、クミルヒドロ過酸化物、t−ブチルヒドロ過酸化物。
【0071】
フリーラジカル開始剤は、通常、すべての重合性モノマー重量を基準にして、約0.05〜8重量パーセントの量で用いられる。好ましい範囲は、すべての重合性モノマーの0.05〜4重量パーセントである。
【0072】
溶剤は望ましいが必須ではない。典型的には、反応混合物は、1種以上の溶剤を、反応混合物の約0〜75重量パーセント、好ましくは反応混合物の約30〜55重量パーセントのレベルで含有し、残りは開始剤およびモノマー混合物である。特定の溶剤およびその添加のレベルの選択は、選択されたモノマー、生成されるポリマーについての所望の用途に基づいて、および反応パラメータの制御の補助のためになされる。本発明についての好適な溶剤は、当然、少なくともモノマーおよびこれらから形成されたポリマーを溶解することが可能であるべきである。一般には、副生成物および汚染物の形成を最低限に抑えるために、できるだけ少量の溶剤を用いることが好ましい。
【0073】
ほとんどの従来の重合または反応溶剤が、本発明の高分子量カプロラクトン変性分岐アクリルポリマーを調製するために、本方法において用いられ得る。高沸点溶剤が、それらの高温での低い圧力により好ましい。一般には、130℃を超える、特に150℃を超える沸点を有する溶剤がより好ましい。このような高沸点溶剤の例としては、エステルおよび混合エーテルおよびエステル、Cellosolve(Union Carbide Corporationの登録商標)、ブチルCellosolve、Cellosolveアセテート、Carbitols(Union Carbide Corporationの登録商標)、(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル等が挙げられる。
【0074】
溶剤の官能基がモノマー官能基に干渉しない限りにおいて、いずれの溶剤も許容される。反応はまた圧力下で実施し得、従って低沸点溶剤の沸点を本発明のポリマーの生成に所望の温度に高めることが可能である。
【0075】
ほとんどの従来の重合または反応溶剤が、本発明の高分子量分岐アクリルポリマーを調製するために、本方法において用いられ得る。高沸点溶剤が、それらの高温での低い圧力により好ましい。一般には、130℃を超える、特に150℃を超える沸点を有する溶剤がより好ましい。このような高沸点溶剤の例としては、ベンジルアルコール、トルエンアルコール等などの芳香族アルコール;ジエチレングリコール、Cellosolve(Union Carbide Corporationの登録商標)、ブチルCellosolve、Cellosolveアセテート、Carbitols(Union Carbide Corporationの登録商標)、(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル等などのアルコールおよびグリコールエーテル、エステルおよび混合エーテルおよびエステルが挙げられる。溶剤の官能基がモノマー官能基に干渉しない限りにおいて、いずれの溶剤も許容される。反応はまた圧力下で実施し得、従って低沸点溶剤の沸点を本発明のポリマーの生成に所望の温度に高めることが可能である。
【0076】
さらに、最低の反応しかない場合、いくつかのグリコールもまた、反応溶剤として用いられ得、エチレン、プロピレンおよびブチレングリコールおよびそれらの種々のポリエーテル類似体が挙げられる。ヘキサノールおよびデカノールなどの脂肪族アルコールもまた用いられることが可能である。さらに、種々の炭化水素画分が用いられ得、Solvesso150またはSolvesso100(Exxon Mobil Oil Companyの登録商標)が最も好ましい。例えば、トルエン、キシレン、クメン、およびエチルベンゼンといった芳香族溶剤もまた用いられることが可能である。
【0077】
さらに、種々の炭化水素画分が、分岐アクリルポリマー、またはカプロラクトン変性分岐アクリルポリマーの調製方法において用いられ得るが、Solvesso150またはSolvesso100(Exxon Mobil Oil Companyの登録商標)が最も好ましい。また、例えば、トルエン、キシレン、クメン、およびエチルベンゼンといった芳香族溶剤もまた両方の方法について用いられることが可能である。
【0078】
本発明の重合方法において、モノマー、開始剤、および任意により1種以上の溶剤が組み合わされて反応混合物が形成される。反応混合物の成分を組み合わせる順番は本発明の方法に重要ではない。例えば、モノマーを含むすべての材料が一緒に、または独立に重合容器に充填され得、およびそのまま混合される。
【0079】
本発明の方法の一つの好ましい実施形態において、1種以上の溶剤を用い、溶剤を高温に加熱し、およびモノマーおよび開始剤を加熱された溶剤に添加して反応混合物を形成することが望ましい。
【0080】
重合は、好ましくは、得られるポリマーが、約10,000〜150,000の範囲、より好ましくは約30,000〜120,000の範囲で重量平均分子量を有するまで継続される。開始剤のさらなる添加が、重合を維持するために時々必要になり得る。ポリマーが高温である間に追加の量の溶剤をポリマー生成物に添加して、ポリマー生成物の所望の流動性および粘度特性を維持することもまた、望ましい場合がある。
【0081】
本発明の重合方法のフリーラジカル重合部分は、必要な分岐化を生じさせるために多少高温で実施されるべきである。従って、上に示したとおり、重合は、少なくとも130℃の重合温度で実施され、および好ましくは、少なくとも150℃の温度で、および最も好ましくは少なくとも160℃の温度で、十分な時間、当業者に明らかであるとおり、典型的には2〜8時間で実施されて、実質的に非ゲル化の分岐ポリマーが形成される。130℃未満の温度では、内部架橋の量が増加すると共に、副生成物の相対量が増加する。しかも、過度に低い反応温度では、反応混合物の粘度は、反応混合物が過度に粘性で攪拌できず、そのために反応を制御することが困難になり、および停止されなければならなくなるまでに急速に増加する。カプロラクトンがこの高温方法に含まれない場合には、カプロラクトンを、予め形成されたアクリルポリマーにカプロラクトンのための重合触媒と共に添加し、および75℃〜165℃に十分な時間、当業者に明らかであるとおり、典型的には2〜8時間加熱して、ポリマーを形成する。
【0082】
本発明の方法により調製された分岐アクリルポリマーは、例えば、フィルム形成性バインダー樹脂として、高固形分、高性能自動車コーティング組成物を調製するために用いられ得る。これらのコーティング組成物は、通常は、ポリイソシアネートまたはアルキル化メラミン樹脂などの硬化剤を含有する。このような組成物は、特にウェットオンウェット塗布での優れた再溶解またはストライクイン耐性、および自動車仕上げに望ましい他のコーティング特性を提供する利点を有する。
【0083】
従って、本発明の他の実施形態は、本願明細書における分岐アクリルポリマーおよびカプロラクトン変性分岐アクリルポリマーのコーティング組成物における使用である。これにより、これらの組成物を用いて物品をコートすることが可能である。
【0084】
本発明のさらに他の実施形態は、本願明細書中上述のコーティング組成物でコートされた車体またはその部品である。
【0085】
以下の実施例が本発明を例示する。すべての部および割合は、他に示されていない限りにおいて重量基準である。本願明細書に開示のすべての分子量は、ポリスチレンを基準として用いるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される。他に規定されていない限りにおいて、すべての薬品および試薬は、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,WI)のAldrich Chemical Companyから得ることが可能である。
【実施例】
【0086】
以下のカプロラクトン変性分岐アクリルポリマーを調製し、本願明細書中後述のコーティング実施例において明記のとおり用いた。
【0087】
実施例1
攪拌機、温度計、水コンデンサ、窒素インレットおよび加熱マントルを備えた12−リットルのガラスフラスコに、1758.6グラムのSolvesso100を添加した。この混合物を、攪拌し、および還流に加熱した。バッチを163℃(還流)で維持しながら、703.4グラムの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、3033.6グラムのイソボルニルアクリレート、659.5グラムのヒドロキシエチルメタクリレート、44グラムのt−ブチルペルオキシアセテート、703.4グラムのSolvesso100の混合物を300分の時間をかけて添加した。次いで、反応混合物をさらなる60分間、還流で保持した。保持時間の後、反応混合物を120℃に冷却した。885.3グラムのεカプロラクトン、412.2グラムのSolvesso100および3.0グラムのジブチルスズジラウレートの混合物を、30分の時間をかけてフラスコに添加した。添加が完了した後、反応温度を150℃に昇温すると共に、さらに3時間保持した。得られるポリマー溶液の重量固形分は65.8%であり、および25℃で計測したガードナーホルト粘度(ASTM D1545−98)はXであった。GPCで測定したところ、ポリマーの重量平均分子量は37690であり、および多分散性は11であった。
【0088】
コーティング実施例1
以下の成分を混合して組み合わせた。
【0089】

1. Cymel303は、ニュージャージー州パターソン(West Patterson, NJ)のCytec Industriesから入手可能
2.触媒は、コネチカット州ノーウォーク(Norwalk, CT)のKing Industries, Inc.から入手可能
【0090】
得られる混合物を、4×12インチリン酸塩化常温圧延スチールパネル上に、4ミルブレードを用いて延伸した。パネルを20’×140℃(285°F)で焼付して、硬化コーティングフィルムを形成した。コーティングフィルム上でのテスト結果が以下の表にまとめられている。
【0091】

【0092】
チューコン硬度は、ATSM D1474のとおり測定される。
【0093】
結果は、本発明の分岐アクリルポリマーから、許容可能な高固形分コーティング組成物を形成することが可能であることを示している。
【0094】
実施例2
攪拌機、温度計、水コンデンサ、窒素インレットおよび加熱マントルを備えた5−リットルのガラスフラスコに、800グラムのSolvesso100を添加した。この混合物を、攪拌し、および163℃に加熱した(還流)。バッチを還流に維持しながら、360グラムの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1340グラムのイソボルニルアクリレート、360グラムのヒドロキシエチルメタクリレート、20グラムのt−ブチルペルオキシアセテート、320グラムのSolvesso100の混合物を300分の時間をかけて添加した。次いで、反応混合物をさらなる60分間、還流で保持した。得られるポリマー溶液の重量固形分は67.5%であり、および25℃で計測したガードナーホルト粘度(ASTM D1545−98)はZ2であった。GPCで測定したところ、ポリマーの重量平均分子量は54,550であり、および多分散性は15であった。
【0095】
実施例3
攪拌機、温度計、水コンデンサ、窒素インレットおよび加熱マントルを備えた1−リットルのガラスフラスコに、200グラムのSolvesso100を添加した。この混合物を、攪拌し、および還流に加熱した。バッチを還流に維持しながら、75グラムの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、300グラムのイソボルニルアクリレート、50グラムの2−エチルヘキシルアクリレート、75グラムのヒドロキシエチルメタクリレート、5グラムのt−ブチルペルオキシアセテート、80グラムのSolvesso100の混合物を300分の時間をかけて添加した。次いで、反応混合物をさらなる60分間、還流で保持した。得られるポリマー溶液の重量固形分は66.9%であり、および25℃で計測したガードナーホルト粘度はXであった。GPCで測定したところ、ポリマーの重量平均分子量は20,000であり、および多分散性は7であった。
【0096】
実施例4
攪拌機、温度計、水コンデンサ、窒素インレットおよび加熱マントルを備えた5−リットルのガラスフラスコに、800グラムのSolvesso100を添加した。この混合物を、攪拌し、および還流に加熱した。バッチを還流に維持しながら、260グラムの1,4−ブタンジオールジアクリレート、1440グラムの2−エチルヘキシルアクリレート、300グラムのヒドロキシエチルメタクリレート、20グラムのt−ブチルペルオキシアセテート、320グラムのSolvesso100の混合物を300分の時間をかけて添加した。次いで、反応混合物をさらなる60分間、還流で保持した。得られるポリマー溶液の重量固形分は65.3%であり、および25℃で計測したガードナーホルト粘度はIであった。GPCで測定したところ、ポリマーの重量平均分子量は20,500であり、および多分散性は6.5であった。
【0097】
実施例5
攪拌機、温度計、水コンデンサ、窒素インレットおよび加熱マントルを備えた5−リットルのガラスフラスコに、509.6グラムのSolvesso100を添加した。この混合物を、攪拌し、および還流に加熱した。バッチを還流に維持しながら、229.3グラムの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、853.5グラムのイソボルニルアクリレート、191.1グラムのヒドロキシエチルアクリレート、19.0グラムのt−ブチルペルオキシアセテート、203.8グラムのSolvesso100の混合物を300分の時間をかけて添加した。次いで、反応混合物をさらなる60分間、還流で保持した。得られるポリマー溶液の重量固形分は68.95%であり、および25℃で計測したガードナーホルト粘度がY+1/2であった。GPCで測定したところ、ポリマーの重量平均分子量は13,000であり、および多分散性は5.2であった。
【0098】
実施例6
攪拌機、温度計、水コンデンサ、窒素インレットおよび加熱マントルを備えた5−リットルのガラスフラスコに、509.6グラムのSolvesso100を添加した。この混合物を、攪拌し、および還流に加熱した。バッチを還流に維持しながら、293.0グラムの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、789.8グラムのイソボルニルアクリレート、191.1グラムのヒドロキシエチルアクリレート、19.0グラムのt−ブチルペルオキシアセテート、203.8グラムのSolvesso100の混合物を300分の時間をかけて添加した。次いで、反応混合物をさらなる60分間、還流で保持した。得られるポリマー溶液の重量固形分は68.5%であり、および25℃で計測したガードナーホルト粘度はZ3+1/2であった。GPCで測定したところ、ポリマーの重量平均分子量は44,765であり、および多分散性は14.1であった。
【0099】
実施例7
攪拌機、温度計、水コンデンサ、窒素インレットおよび加熱マントルを備えた5−リットルのガラスフラスコに、509.6グラムのSolvesso100を添加した。この混合物を、攪拌し、および還流に加熱した。バッチを還流に維持しながら、229.3グラムの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、726.1グラムのイソボルニルアクリレート、127.4グラムのN−ブチルメタクリレート、191.1グラムのヒドロキシエチルメタクリレート、19.0グラムのt−ブチルペルオキシアセテート、203.8グラムのSolvesso100の混合物を300分の時間をかけて添加した。次いで、反応混合物をさらなる60分間、還流で保持した。得られるポリマー溶液の重量固形分は66.25%であり、および25℃で計測したガードナーホルト粘度は、Z2であった。GPCで測定したところ、ポリマーの重量平均分子量は66,600であり、および多分散性は21であった。
【0100】
実施例8
攪拌機、温度計、水コンデンサ、窒素インレットおよび加熱マントルを備えた5−リットルのガラスフラスコに、509.6グラムのSolvesso100を添加した。この混合物を、攪拌し、および還流に加熱した。バッチを還流に維持しながら、229.3グラムの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、598.7グラムのイソボルニルアクリレート、254.8グラムのN−ブチルメタクリレート、191.1グラムのヒドロキシエチルアクリレート、19.0グラムのt−ブチルペルオキシアセテート、203.8グラムのSolvesso100の混合物を300分の時間をかけて添加した。次いで、反応混合物をさらなる60分間、還流で保持した。得られるポリマー溶液の重量固形分は65.9%であり、および25℃で計測したガードナーホルト粘度は、Z4−1/4であった。GPCで測定したところ、ポリマーの重量平均分子量は123,800であり、および多分散性は36であった。
【0101】
実施例9
攪拌機、温度計、水コンデンサ、窒素インレットおよび加熱マントルを備えた5−リットルのガラスフラスコに、509.6グラムのSolvesso150を添加した。この混合物を、攪拌し、および還流に加熱した。バッチを還流に維持しながら、229.3グラムの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、853.5グラムのイソボルニルアクリレート、191.1グラムのヒドロキシエチルメタクリレート、19.0グラムのt−ブチルペルオキシアセテート、203.8グラムのSolvesso150の混合物を300分の時間をかけて添加した。次いで、反応混合物をさらなる60分間、還流で保持した。得られるポリマー溶液の重量固形分は69.24%であり、および25℃で計測したガードナーホルト粘度は、Z+1/4であった。GPCで測定したところ、ポリマーの重量平均分子量は12,747であり、および多分散性は7.3であった。
【0102】
実施例10
攪拌機、温度計、水コンデンサ、窒素インレットおよび加熱マントルを備えた5−リットルのガラスフラスコに、509.6グラムのSolvesso100を添加した。この混合物を攪拌し、および150℃に加熱した。バッチを150℃で維持しながら、229.3グラムの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、853.5グラムのイソボルニルアクリレート、191.1グラムのヒドロキシエチルメタクリレート、19.0グラムのt−ブチルペルオキシアセテート、203.8グラムのSolvesso100の混合物を300分の時間をかけて添加した。次いで、反応混合物を150℃で、さらに60分間保持した。得られるポリマー溶液の重量固形分は66.14%であり、および25℃で計測したガードナーホルト粘度は、Z4+1/2であった。GPCで測定したところ、ポリマーの重量平均分子量は86,649であり、および多分散性は24.3であった。
【0103】
コーティング実施例2
以下の成分を混合で組み合わせた。
【0104】

【0105】
得られる混合物を、4×12インチリン酸塩化常温圧延スチールパネル上に、4ミルブレードを用いて延伸した。一つのパネルを、20’×121℃(250°F)で焼付し、および他のパネルを20’×140℃(285°F)で焼付して、硬化コーティングフィルムを形成した。コーティングフィルム上でのテスト結果が以下の表にまとめられている。
【0106】

【0107】
結果は、本発明の分岐アクリルポリマーから、許容可能な高固形分コーティング組成物を形成することが可能であることを示している。
【0108】
本発明のプロセスおよび組成物の成分の種々の他の改良、変更、付加または置き換えは、本発明の思想および範囲から逸脱することなく当業者にとって明らかであろう。本発明は、本願明細書に規定の例示の実施形態によっては限定されず、特許請求の範囲によって定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)
(i)少なくとも1種のモノアクリルモノマーと、
(ii)少なくとも1種のジアクリルまたはジメタクリルモノマーと、
(iii)任意により、少なくとも1種のモノメタクリルモノマー(ただし、前記モノメタクリルモノマーは全モノマー混合物の40重量%以下を構成する)と、
(iv)少なくとも1種のフリーラジカル重合開始剤と、
(v)任意により、少なくとも1種の溶剤と
の反応混合物を形成するステップと、
(b)前記反応混合物を、重合条件下に、少なくとも130℃の高温の反応温度で、非ゲル化分岐アクリルポリマーが形成されるまで維持するステップと
を含む実質的に非ゲル化の分岐アクリルポリマーを形成する重合方法。
【請求項2】
前記方法が、(c)前記分岐アクリルポリマーを、環状ラクトンまたは環状ラクトン伸長化モノマーで、フリーラジカル開始重合の最中にまたは後に、またはこれらの組み合わせで鎖伸長するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(c)が、少なくとも1種の前記モノマーを、環状ラクトンと反応可能な官能基を有する全モノマー混合物中に提供するステップと、前記モノマーと環状ラクトンとを、フリーラジカル開始重合の前、最中または後に、またはこれらの組み合わせで反応させるステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(c)が、少なくとも1種の前記モノマーを、カルボキシルおよび/またはヒドロキシル基および/または環状ラクトンと反応可能である活性水素を含有する他の非エチレン重合性基を有する全モノマー混合物中に提供するステップと、前記モノマーと環状ラクトンとを、フリーラジカル開始重合の前、最中または後に、またはこれらの組み合わせで反応させるステップとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(c)が、(i)少なくとも1種のε−カプロラクトン含有アクリルまたはメタクリルモノマーを、(a)の反応混合物に重合前に添加するステップ、または(ii)ε−カプロラクトンを有する、少なくとも1種のヒドロキシアクリルまたはメタクリルモノマーを含有する反応混合物を、重合(b)の最中または後に処理するステップのいずれかを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
全モノマー混合物中の少なくとも1種のモノマーが、ヒドロキシ、酸、アミノ、カルバメート、イソシアネート、アルコキシシラン、およびエポキシ基からなる群から選択される官能基を1つ以上含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記環状ラクトンがε−カプロラクトンである、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
ジアクリルまたはジメタクリルモノマーの総量が、前記モノマー混合物の30%以下を構成する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記反応混合物が、少なくとも1種の他の非アクリルモノエチレン性不飽和モノマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(a)において用いられるモノマーの混合物が、
(i)すべての重合性モノマーの重量を基準にして、約40〜98重量パーセントの、任意により非エチレン重合性である1つ以上の官能基を含有する少なくとも1種のモノアクリルモノマーと、
(ii)すべての重合性モノマーの重量を基準にして、約1〜30重量パーセントの、任意により非エチレン重合性である1つ以上の官能基を含有する少なくとも1種のジアクリルまたはジメタクリルモノマーと、
(iii)すべての重合性モノマーの重量を基準にして、約1〜30重量パーセントの、任意により非エチレン重合性である1つ以上の官能基を含有する少なくとも1種のモノメタクリルモノマーと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
(a)において用いられるモノマーの混合物が、
(i)すべての重合性モノマーの重量を基準にして、約40〜98重量パーセントの、任意により非エチレン重合性である1つ以上の官能基を含有する少なくとも1種のモノアクリルモノマーと、
(ii)すべての重合性モノマーの重量を基準にして、約1〜30重量パーセントの、任意により非エチレン重合性である1つ以上の官能基を含有する少なくとも1種のジアクリルまたはジメタクリルモノマーと、
(iii)すべての重合性モノマーの重量を基準にして、約1〜30重量パーセントの、任意により非エチレン重合性である1つ以上の官能基を含有する少なくとも1種のモノメタクリルモノマーと、
を含み、
ヒドロキシル、カルボキシル基または他の活性水素を含有する全モノマー混合物において用いられるモノマーの約65重量%が、
(1)前記ラクトンを、前記ヒドロキシル、カルボキシル基または他の活性水素で予備反応させるステップ、または
(2)前記ラクトンを、請求項2、ステップ(a)の反応混合物に加えるステップ、または
(3)前記ラクトンおよびラクトン重合に好適な触媒を、請求項2、ステップ(b)の非ゲル化分岐アクリルポリマーの形成後に添加するステップおよびラクトン重合を実施するステップ
によってラクトン−伸長される、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
請求項1または請求項11に記載の方法により形成される生成物。
【請求項13】
請求項12に記載の生成物を含むコーティング組成物。
【請求項14】
前記コーティング組成物が、フィルム形成性バインダーおよびすべての組成物重量を基準にして50重量%未満の揮発性有機溶剤を含み、前記バインダーが、約1〜100重量%の前記アクリルポリマーを含有する、請求項13に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
前記コーティング組成物が、溶剤系クリアコーティングまたはカラー−プラス−クリアコート仕上げ用のカラーコーティングである、請求項14に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
請求項14に記載の組成物でコートされた物品。
【請求項17】
請求項14に記載の組成物でコートされた車体またはその部品。

【公表番号】特表2009−511679(P2009−511679A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534781(P2008−534781)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/039645
【国際公開番号】WO2007/044768
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】