説明

カポックのリングによる混紡糸を紡ぐ生産方法

【課題】カポックを混合原料としてリングによる混紡糸を紡ぐ生産方法を提供する。
【解決手段】カポックの繊維と他の繊維を混合原料として、混打棉、梳棉、練篠、粗紡、精紡などの工程により、且つ梳棉の後にスライバーをガイドする装置を設置している。その中で、精紡はダブルショートエプロン牽伸方式を利用し、梳棉は二回梳棉、練篠は二回練篠である。この方法による生産した混紡糸の中で、その単糸断裂強力、単糸断裂伸び率など技術指標は棉の原色の業界標準より優れている。この製品で製造した生地は、その織物の保温性、織物の透湿性、肌触りの寒さと暖かさの感じ、織物の膨らみ度、織物の圧縮弾性回復率と織物の柔軟な懸垂性などの技術指標がすべて純棉、ポリエステルコットンなどの同類製品より優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カポックを原料として用いる混紡糸の技術に関し、特に、カポックのリングによる混紡糸を紡ぐ生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カポックの繊維は木本植物の果実繊維である。その繊維の中空度が80%以上に達するため、細胞の壁が薄い、長さが短い、剛性が強いであり、その上比重もとても軽いため、糸になるのは比較的に困難である。しかし、カポックの繊維は非常に細く柔軟な特性を有し、カポック製の生地を使ったものは、カシミヤ類のような超柔軟性を有する。他に、その染色性は純綿と相違がない、また良好な吸湿性と透湿性があり、抗菌、かびや虫食いがない、および中空保温の性能を有する。従って、カポックの繊維は非常に開発の見通しがよい紡績の原料である。
【0003】
我が国では、二十世紀80年代から紡績の技術を研究し、多くの紡績業界の人々が全力を尽くし研究した結果は、オープンエンド紡績の技術だけ突破があった。しかし紡績の技術における、特にリング技術におけるスケール生産の突破を獲得していなかった。従って、カポックの繊維はずっと充填物として使用されることしかできなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、カポックを混合原料として、リングによる糸を紡ぐ生産方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るカポックのリングによる混紡糸を紡ぐ生産方法は、カポックの繊維と他の繊維を混合原料として混打棉、梳綿、練篠、粗紡、精紡などの工程により、前記の梳棉工程の後、スライバーをガイドする装置(the device of guide cotton sliver)を設置し
、この装置は綿の毛羽を集めることと篠になることに有利であることを特徴としている。
【0006】
その中で、精紡はダブルショートエプロン牽伸方式(double short apron drafting)
を利用するため、有効にローラ・ゲージを短縮できる。また、ノーズバーとサポートの方式(method of the nose bar and support)が使用されたため、有効に糸面(yarn)になることを改善できる。
【0007】
前記の梳綿は2回梳綿を行うことが好ましい。前記の練篠も2回練篠を行うことが好ましい。
本発明の原料:カポックの繊維と他の繊維を混合原料として、その中カポック繊維の用量は原料の総重量の20%〜80%を占め、他の繊維は、例えば綿の繊維、化学繊維など、他の任意種類の繊維であることができる。
【0008】
混打棉:混打棉連合機により、カポックの繊維と他の繊維に対し混合、開繊、不純物の取り除きを行い、所定の重さと長さがある混合巻を製造する。梳綿工程のために準備する。
【0009】
一回目梳綿:何組の針の歯の作用を利用し、カポックと他の繊維の混合巻に対し入念に梳きを行い、不純物を取り除き、フロックリンター(flock linter)、十分に篠になるように混ぜる。一回目梳綿の後に、スライバーをガイドする装置を設置し、この装置は綿の
毛羽を集めることと篠になることに有利である。
【0010】
二回目梳綿(再び梳棉):目的は製造したカポックと他の繊維の混合巻に対し、再び入念に梳きを行い、さらに不純物と糸欠点を取り除き、再び混合を行う。技術のパラメーターは一回目と同様である。
【0011】
二回目梳綿の後に、スライバーをガイドする装置を設置し、この装置は綿の毛羽を集めることと篠にことに有利である。
二つの練篠:併合によりスライバーの重さ不均一率を下げ、繊維を十分に混ぜさせ、繊維の伸び平行度を高める。
【0012】
粗紡:ドラフトと加撚により、さらに繊維の分離度、伸度を高め、スライバーの所定量を軽減し、精紡のために準備する。ローラークレードルドラフト技術(drafting process
of roller and cradle)、2つのドラフト域(draft field)、前部分の整理区を利用す
る。有効にローラー間のゲージを短縮することができ、太い糸面(yarn)を改善し、糸欠点を減らすことができる。
【0013】
精紡:精紡による太いスライバーを引伸した後、撚りをかけ形になるように巻付ける。技術の原則はゲージを短縮し、撚度が強いである。
精紡はダブルショートエプロン牽伸方式を使用するため、有効にローラ・ゲージを短縮することができ、また、ノーズバーとサポートの方式を利用したため、糸面(yarn)になることを改善できる。
【0014】
本発明の糸製品は、紡織工業南方科学技術測試センターにより技術測定を行った。結果を表1に示す。その単糸断裂強力、単糸断裂伸び率などの技術指標は、綿の原色の業界標
準(standard of cotton berber yarn)と出願人の企業標準より優れている。
【0015】
【表1】

【0016】
本発明の方法を用いる生産した製品としては、ニットあるいは布帛による生産した保温下着が挙げられる。その保温下着はよい保温効果を持ち、その保温効果は普通の保温下着に対し保温率が1.56倍高い、導熱抵抗は純綿の下着より20%高い、対流の熱抵抗は純綿の
下着の2〜3倍になる、触感は柔軟且つ温めで、吸湿性と導湿性を有し、心地よい且つ抗菌、かびや虫食いがないことを特徴としている。
【0017】
本発明の方法による製品を用いて製造した生地は、織物の保温性、織物の透湿性、肌触りの寒さと暖かさの感じ、織物の膨らみ度、織物の圧縮弾性回復率と織物の柔軟な懸垂性
などの技術指標において、純棉、ポリエステルコットン(polyester cotton)の同類製品より優れている、具体的に表2に示す。
【0018】
【表2】

【0019】
その中で、保温率は国家標準GB1048-89に基づき、YG606型の平板式の織物保温計を用いて測定した。透気量については、現在国内で生地の対流放熱性能あるいは風を防ぐ性能を測定する器具がない。本発明はY561型の透気性測定機で生地の風を防ぐ性能を測定した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
実施例の技術工程は、カポックの繊維と他の繊維を混合した繊維を原料として、それぞれ以下の工程により操作する。1混打棉、2一回目梳綿、3篠巻、4二回目梳綿、5一回目練
篠、6二回目練篠、7粗紡、8精紡、9巻糸。
【0021】
1、混打棉:混打棉連合機により、カポックの繊維と他の繊維に対し十分に混合し、開
繊、不純物を取り除いてから所定の重さと長さがある混合巻を製造した。梳綿工程のために準備する。技術のパラメーターは以下のとおりである。混合巻の重さが11.6キログラム、メートルあたりの定量が427グラム、巻の長さが24メートルである。
【0022】
2、一回目梳綿:何組かの針状の歯の作用を利用し、カポックと他の繊維の混合巻に対
し入念に梳きを行い、不純物を取り除き、フロックリンター、十分に篠になるように混ぜる。
【0023】
主な技術のパラメーターは以下のとおりである。所定量が20グラム/5メートル、総ドラフトが106.7倍、シリンダーのスピードが300rpm、シリンダーとカバーのゲージ(mm)が0.25、0.22、0.22、0.22、0.25で、ドッファーの回転速度は12〜13rpmである。
【0024】
その効果は分け梳くことを強化し、繊維の順調に転換することに有利である。
一回目梳綿の後に、スライバーをガイドする装置を設置し、この装置は綿の毛羽を集めることと篠になることに有利である。
【0025】
3、篠巻:梳いた後のスライバーに巻をする。二回目梳綿のために準備する工程である
。主な技術のパラメーターは小さい巻の所定量が50グラム/5メートルである。
4、二回目梳綿:綿巻に対し二回目の梳綿(再び梳棉)を行う。目的は製造したカポッ
クと他の繊維の混合巻に対し、再び入念に梳きを行い、さらに不純物と糸欠点を取り除き、再び混合する。主な技術のパラメーターは一回目と同様である。
【0026】
二回目梳綿の後に、スライバーをガイドする装置を設置し、この装置は綿の毛羽を集めることと篠になることに有利である。
5、一回目練篠:併合によりスライバーの重さ不均一率を下げ、繊維を十分に混ぜさせ
、繊維の伸び平行度を高める。段取りはゲージを短縮し、加圧を強くし、速度を遅くすることである。
【0027】
主な技術のパラメーターを表3に示す。
【0028】
【表3】

【0029】
前ローラーの回転速度は700rpmである。
6、二回目練篠:併合によりスライバーの重さ不均一率を下げ、繊維を十分に混ぜさせ
、繊維の伸び平行度を高める。主な技術のパラメーターを表4に示す。
【0030】
【表4】

【0031】
前ローラーの回転速度は700rpmである。
7、粗紡:ドラフトと加撚により、さらに繊維の分離度、伸度を高め、スライバーの所
定量を軽減し、精紡のために準備する。
【0032】
主な技術のパラメーターは、所定量が5グラム/10メートル、総ドラフト倍数が7.2倍、
後ドラフト倍数が1.2倍、前ローラーの回転速度は105回転、ローラ・ゲージが13×19×24.5、粗紡の撚係数が112である。ローラークレードルドラフト技術と2つのドラフト域を利用すると、太い糸面(yarn)を改善し、糸欠点を減らすことができる。
【0033】
8、精紡:精紡による太いスライバーを引伸した後、撚りをかけ形になるように巻付け
る。技術の原則はゲージを短縮し、撚度が強いである。
主な技術のパラメーターは、ローラ・ゲージが13×30(mm)、精紡の撚係数が340、後ド
ラフト倍数が1.15である。
【0034】
精紡はダブルショートエプロン牽伸方式を使用するため、有効にローラ・ゲージを短縮
することができる。また、ノーズバーとサポートの方式を利用したため、糸面(yarn)になることを改善できる。
【0035】
9、巻糸:糸の中の欠点を除き、そして筒になるように巻き取る。
以上の具体的な実施方式の中で、混紡糸の適合番手範囲が9.7tex−58.3tex(60S-10S)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カポックの繊維と他の繊維を混合原料として混打棉、梳棉、練篠、粗紡、精紡の工程により、カポックのリングによる混紡糸を紡ぐ生産方法であって、前記梳棉の後に、スライバーをガイドする装置を設置することを特徴とするカポックのリングによる混紡糸を紡ぐ生産方法。
【請求項2】
前記の精紡はダブルショートエプロン牽伸方式を利用することを特徴とする請求項1に
記載のカポックのリングによる混紡糸を紡ぐ生産方法。
【請求項3】
前記の梳棉は二回梳棉であることを特徴とする請求項1または2に記載のカポックのリングによる混紡糸を紡ぐ生産方法。
【請求項4】
前記の練篠は二回練篠であることを特徴とする請求項1または2に記載のカポックのリングによる混紡糸を紡ぐ生産方法。

【公開番号】特開2007−332526(P2007−332526A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352828(P2006−352828)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(507000707)上海日舒科技紡織有限公司 (1)
【Fターム(参考)】