説明

カメラ、当該カメラを備えた携帯通信機器、撮影方法及びプログラム

【課題】ユーザが複雑な操作をすることなく、被写体が最適な色温度となるように照明の色を調整し、被写体を撮影することができる技術を提供する。
【解決手段】携帯端末は、カメラ部2(カメラ)と、制御部3(制御手段)と、記憶部4とを備え、カメラ部2は、レンズや絞り機能を備えるシャッター等の光学系11と、CCD等の撮像部12と、被写体に光を照射する照明部14とを備える。制御部3は、生成した画像情報に基づいて、当該色温度に対応する照明信号を記憶部4に記憶された色温度テーブルから読出し、読出した照明信号を駆動回路18に供給することにより照明の色温度を調整することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラに関するものであり、特に照明により被写体の色温度を調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラによる撮影においては、周囲の光によって被写体の色が異なる。すなわち、太陽光の中で白の被写体であっても電灯や蛍光灯の下では異なった色となる。従って、良質のカラー画像を得るために、例えば白色の被写体を白色として認識するように色温度を調整するホワイトバランス調整処理が行われている。
ホワイトバランスを調整する方法として、従来より、撮影前にフラッシュ撮影による予備撮影画像を表示し、この画像をユーザがモニターしながらフラッシュの色温度を設定することにより画像の色温度を調整する技術が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−201885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これでは次のような不都合があった。
上記の技術においては、ユーザが撮影の度に予備撮影画像を視認しながらボタン操作等によりフラッシュの色温度設定を行うため、ユーザによる操作が多く面倒なものであった。
本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、上記問題点を解決できる技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、被写体を撮影するカメラを備えたカメラ付き携帯端末であって、前記被写体の画像を取得する撮像手段と、前記被写体の色温度である被写体色温度を検出する被写体色温度検出手段と、前記被写体に光を照射する照明手段と、前記被写体色温度検出手段により検出した前記被写体色温度に基づいて、前記被写体の色温度が最適色温度となるように、前記照明手段の照明色温度を調整する制御手段とを備えたことを特徴とするカメラ付き携帯端末に存する。
請求項2記載の発明の要旨は、前記被写体色温度検出手段により検出した前記被写体色温度に対応して、前記照明手段により前記被写体に光が照射された場合に前記被写体が前記最適色温度となるような前記照明色温度(最適照明色温度)が記憶された色温度テーブルを備え、前記制御手段は、前記被写体色温度検出手段にて検出した被写体色温度に基づいて、前記色温度テーブルから最適照明色温度を読出し、読出した前記最適照明色温度で光を照射するように前記照明手段を制御することを特徴とする請求項1記載のカメラ付き携帯端末に存する。
請求項3記載の発明の要旨は、前記被写体色温度検出手段は、前記撮像手段を介して取得した画像情報から色温度情報を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ付き携帯端末に存する。
請求項4記載の発明の要旨は、画像処理により前記被写体の画像の色温度を調整するホワイトバランス調整手段を有し、前記最適色温度は、前記ホワイトバランス調整手段における調整可能色温度であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のカメラ付き携帯端末に存する。
請求項5記載の発明の要旨は、被写体を撮影するカメラであって、前記被写体の画像を取得する撮像手段と、前記被写体の色温度である被写体色温度を検出する被写体色温度検出手段と、前記被写体に光を照射する照明手段と、前記被写体色温度検出手段により検出した前記被写体色温度に基づいて、前記被写体の色温度が最適色温度となるように、前記照明手段の照明色温度を調整する制御手段とを備えたことを特徴とするカメラに存する。
請求項6記載の発明の要旨は、前記被写体色温度検出手段により検出した前記被写体色温度に対応して、前記照明手段により前記被写体に光が照射された場合に前記被写体が前記最適色温度となるような前記照明の色温度(最適照明色温度)が記憶された色温度テーブルを備え、前記制御手段は、前記被写体色温度検出手段にて検出した被写体色温度に基づいて、前記色温度テーブルから最適照明色温度を読出し、読出した前記最適照明色温度の光を照射するように前記照明手段を制御することを特徴とする請求項5記載のカメラに存する。
請求項7記載の発明の要旨は、前記被写体色温度検出手段は、前記撮像手段を介して取得した画像情報から色温度情報を検出することを特徴とする請求項5又は6に記載のカメラに存する。
請求項8記載の発明の要旨は、画像処理により前記被写体の画像の色温度を調整するホワイトバランス調整手段を有し、前記最適色温度は、前記ホワイトバランス調整手段における調整可能色温度であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のカメラに存する。
請求項9記載の発明の要旨は、被写体を撮影する撮影方法であって、前記被写体の色温度である被写体色温度を検出する被写体色温度検出工程と、前記被写体色温度検出工程において検出された前記被写体色温度に基づいて、前記被写体の色温度を補正するように、照明の色温度を調整する制御工程と、前記被写体に光を照射する照明工程とを有することを特徴とする撮影方法に存する。
請求項10記載の発明の要旨は、画像処理により被写体画像の色温度を調整するホワイトバランス調整工程と、前記ホワイトバランス調整工程により調整された後の被写体の色温度が最適色温度か否かを判定する判定工程とを有し、前記判定工程において前記被写体の色温度が最適色温度でないと判定し場合に前記制御工程を行うことを特徴とする請求項9に記載の撮影方法に存する。
請求項11記載の発明の要旨は、コンピュータに請求項1乃至10のいずれかに記載の機能を実行させるためのプログラムに存する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、被写体色温度検出手段により検出した被写体色温度に基づいて照明手段の照明色温度を調整することにより被写体の色温度を補正する制御手段を備えたことにより、ユーザにより最適色温度を設定する操作が不要となり、ユーザの手間を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
<第1の実施形態>
以下、本発明第1の実施形態に係る携帯端末1の構成について図1から図4に従って説明する。
本実施の形態にかかる携帯端末1は、図2に示されるように、カメラ部2(カメラ)と、制御部3(制御手段)と、記憶部4と、操作部5と、表示部6と、アンテナ7と、無線通信部8と、送受話部9とによって構成されている。
携帯端末1は、図3及び図4に示されるように、上部筐体1aと下部筐体1bの二つの筺体がヒンジ部1cによって連結された折畳式携帯端末である。上部筐体1aの内面側1aaには表示部6が備えられ、下部筐体1bの内面側1baには操作部5が設けられている。
【0007】
カメラ部2は、図1に示されるように、レンズや絞り機能を備えるシャッター等の光学系11と、CCD(Charge Coupled Devices)センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像部12(被写体色温度検出手段・撮像手段)と、被写体に光を照射する照明部14(照明手段)とを備えている。図4に示されるように、光学系11の一部は上部筐体1aの外面側1abに露出しており、照明部14は光学系11の近傍に設けられている。
【0008】
撮像部12は、撮像面に光学系11により結像した光学像を電気信号に変換することにより被写体の画像情報を取得する。すなわち、上記撮像面に結像した人の顔や景色あるいは2次元バーコード等の被写体の、光学像における画素毎の光の量に比例した電荷を発生する。撮像部12には色フィルターが設けられており、色フィルタを通して得られるR(赤)G(緑)B(青)それぞれの光の量に比例した電荷を発生する。
撮像部12はアナログのR(赤)信号、G(緑)信号、B(青)信号をデジタルのR(赤)データ、G(緑)データ、B(青)データ(以下、画像情報と総称する。)に変換するADC(Analog Digital Converter)13を備えている。
【0009】
制御部3は、CPU、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、シーケンサ等からなり、記憶部4に記憶された各種プログラムを実行することにより、この携帯端末1の各部を制御する。
たとえば、制御部3は、撮像部12のADC13から出力される画像情報を用いて所定の演算処理を行い、その結果に基づいてホワイトバランス調整処理、画素補間処理、色変換処理、露光制御、側距制御を行う。
制御部3は、撮像部12のADC13から出力される画像情報から被写体の色温度情報を生成する。すなわち、1フレームをいくつかの小さなエリアに分割し、そのエリア毎の平均色温度をサンプリングした色温度に基づいてフレーム全体の色温度情報として生成する。
【0010】
制御部3は、生成した色温度情報に基づいて、当該色温度情報に対応する照明信号を記憶部4に記憶された色温度テーブル(後述する。)から読出し、読出した照明信号を駆動回路18に供給することにより照明の色温度を調整する。
制御部3は、無線通信部8から供給される画像情報や通信データ、記憶部4に記憶されている文字情報や画像情報に基づいて、表示部6に文字や画像を表示するために、表示部6を制御する。
制御部3は、各種スイッチ、操作部5からの入力信号、撮像部12からの画像情報を取り込むRAMを備え、予め書き込まれたプログラムに基づいて演算処理を行う。制御部3は、無線通信部8から供給される制御信号を制御部3内部の処理に用い、また、無線通信部8から供給される音声信号を処理して送受話部9に供給し、送受話部9から供給される音声信号を処理して無線通信部8に供給する。
【0011】
記憶部4は、RAMやROM、あるいはフラッシュメモリ等の半導体メモリからなり、制御部3が実行する各種プログラムや、ユーザが操作部5を操作することにより設定した相手先の電話番号、入力した相手先に送信すべき電子メールのメッセージ、WWW(World Wide Web)サーバの各種コンテンツ提供者から提供されたコンテンツを示す音楽データ等が記憶される。
【0012】
記憶部4には、色温度テーブルが備えられている。色温度テーブルには、被写体の色温度情報に対応して、光が照射された被写体が最適色温度となるような色温度(最適照明色温度)で照明部14を駆動する照明信号が記憶されている。
ここで、最適色温度とは、画像処理によるホワイトバランス調整を行うことができる範囲内となる色温度、或いは撮影時のフレームの色を全て混ぜ合わせると白となる色温度とする。
【0013】
また、記憶部4には、相手先から送信された画像情報、WWWサーバの各種コンテンツ提供者から提供されたコンテンツを示す画像情報、カメラ部2から供給される色温度情報や画像情報等が記憶される。
なお、記憶部4に記憶される各種プログラムや一部のデータについては、制御部3を構成するCPU等の内部に設けられたメモリに記憶されることとしてもよい。
【0014】
照明部14は撮影時の補助照明として被写体に光を照射するものであり、駆動回路18と、赤色LED15、緑色LED16、青色LED17を備えている。
駆動回路18は、制御部3から照明信号を受け、赤色LED15、緑色LED16、青色LED17それぞれに対して、照明信号に対応した値で電流を供給する。
赤色LED15、緑色LED16、青色LED17は、駆動回路18から供給される電流の量に応じた光を発生させ、被写体に光を照射する。
このように、赤色LED15、緑色LED16、青色LED17それぞれの発光量が調整されることにより赤青緑の混色比が調整され、照明の色温度が調整される。
【0015】
無線通信部8は、基地局(図示略)から送信される無線信号をアンテナ7を介して受信して無線信号から音声信号、画像情報、通信データ、あるいは制御信号を復調して制御部3に供給すると共に、制御部3から供給される音声信号、画像情報、通信データ、あるいは制御信号を無線信号に変調してアンテナ7を介して上記基地局に送信する。
【0016】
送受話部9は、スピーカおよびマイクからなり、制御部3から供給される音声信号に基づいてスピーカから音声を放出すると共に、マイクによって音声から変換された音声信号を制御部3に供給することにより、相手先との通話に用いられる。
【0017】
操作部5は、相手先の電話番号や電子メールの文章等の入力に用いられるテンキーや、カーソルキー、電源キー、モードキー、メニューキー等の各種キーからなる。
【0018】
表示部6は、例えば、液晶パネル、有機EL(electroluminescence)パネル、プラズマディスプレイパネル等からなり、現在の日付、相手先の電話番号、ユーザに操作を促す文字等の各種情報やカメラ部2により得られた画像情報等が表示される。
【0019】
次に本実施の形態に係る携帯端末1により撮影するまでの流れを図5のフローチャートに従って説明する。
携帯端末1は、ユーザが操作部5を操作することにより、通信機能やカメラ機能等のいくつかの機能を切り替えて使用することができる。また、カメラ機能においては、照明装置の色温度を調整して撮影するモード(以下プロモード)と、照明装置の色温度を調整しないで撮影するノーマルモードとを選択することができる。
ここでは、カメラ機能においてプロモードが選択された場合についてのみ説明し、その他の機能及びモードについての詳しい説明は省略する。
【0020】
ユーザの操作部5における入力等によりカメラ機能が選択され、あるいはそれに相当する操作が行われると(S1)、操作部5からの入力信号は制御部3に送られる。
制御部3は操作部5からの入力信号を受け、撮像部12に一定間隔で被写体の画像情報を取得するよう指令を送る。
【0021】
撮像部12は、制御部3からの指令を受け、一定間隔で被写体のアナログのRGB信号を画像信号として取得し、ADC13においてデジタルの画像情報に変換する。そしてADC13において生成した画像情報を制御部3に供給する。
【0022】
これにより、制御部3は撮像部12からの画像情報を受け、被写体の画像を表示部6に表示させる。
以上により被写体の画像が随時一定間隔で更新されつつ表示部6に表示される。
さらに制御部3は、表示部6に例えば「プロモードにしますか?」等の文字を表示させる(S2)。ここでユーザは表示部6に表示された被写体の画像を視認しながら、ノーマルモードで撮影をするかプロモードで撮影するかを判断して操作部5を用いてモード選択をする。
【0023】
プロモードが選択されると、制御部3はこの入力信号を受け、予め記憶部4に照明の初期値として記憶されている照明信号を読出し、駆動回路18に供給する。
駆動回路18は、制御部3からの照明信号を受け、照明部14に設けられた赤色LED15、緑色LED16、青色LED17それぞれに所定の電流を供給する。
赤色LED15、緑色LED16、青色LED17は供給された電流に応じた発光量で発光する。以上の動作より、照明部14が初期値の色温度・明度で被写体に光を照射する(S3)。
ユーザがプロモードを選択しない場合は、通常通りの撮影が行われる(S4)。
【0024】
ついで、照明装置14により光が照射された状態における被写体の画像が撮像部12により取得され、上記と同様にデジタルの画像情報に変換され、制御部3に供給される。
制御部3は、供給された画像情報をもとに被写体の色温度情報を生成する(S5)。
制御部3は、生成した色温度情報を一旦記憶部4に格納するとともに、色温度情報に対応した照明信号を色温度テーブルから読出す(S6)。
ついで、制御部3は、色温度テーブルから読出した照明信号を、駆動回路18に供給する。
駆動回路18は供給された照明信号に対応して、赤色LED15、緑色LED16、青色LED17に所定の値で電流を供給する。
赤色LED15、緑色LED16、青色LED17が駆動回路18から供給される電流の量に応じた光を発生させることにより最適色照明温度で被写体に光が照射される。すなわち照明の色温度が初期値から最適照明色温度に変更される(S7)。
以上の動作により被写体の色温度が調整される。ここで、制御部3により照明信号が供給されてから実際に照明色温度が変更されるまでの時間をtxとする。
【0025】
ついで、制御部3は駆動回路18に照明信号を供給してからtxが経過したかどうかを検出するとともに(S8)、txが経過するまで表示部6に「調整中」等の文字を表示させる。この間ユーザは待機する。
制御部3は、tx経過後、「シャッターを押してください」等の文字を表示部6に表示させるとともに操作部5からシャッターを押す入力信号があるか検出する(S9)。ここでユーザは操作部5を用いてシャッター操作を行う。
制御部3は、操作部5からの入力信号を受けると、被写体の画像を記憶部4に一時的に格納する(S10)。
ついで、制御部3は表示部6に被写体の画像と併せて「画像を保存しますか?」等の文字を表示させる(S11)。ユーザは表示部6の画像を見て保存するか否かを判断し、操作部5操作する。
制御部3は、画像を保存する入力信号を受けると、画像を記憶部4に保存する(S12)。
ここで制御部3は、登録しない旨の入力信号を受けると、再びステップS5以下の動作を繰り返す。
【0026】
画像が保存されると、制御部3は、表示部6にカメラ機能を終了するか否かのメッセージを表示させるとともに入力信号を検出する(S13)。ユーザの操作部5への入力等によりカメラ機能を終了する操作がされると、カメラ機能を終了させるとともに表示部6に携帯端末のメニューや日付等を表示させる。
ここで、制御部3は、カメラ機能を終了しない旨の入力信号を受けると、再度ステップS5からの動作を繰り返す。
【0027】
上記した本実施の形態に係るカメラ、当該カメラを備えた携帯端末及び撮影方法は、以下に掲げる効果を奏する。
本発明は、制御部3が、検出した被写体の色温度によって駆動回路18の出力を調整し、照明装置の混色比率を変化させることで、最適な色温度となるように照明装置の色を調整することが出来る。したがって、ユーザが複雑な操作をすることなく最適な色温度での撮影をすることができる。
【0028】
また、従来は、自然外光と照明部14による光の影響を考慮したホワイトバランス調整処理が困難であったが、照明部14により常に被写体に光を照射した状態で被写体の実際の色温度を検出する構成としたことにより、照明部14の光と外光との割合や距離による影響を受けず、常に良好な画像を得ることができる。すなわち一定間隔で随時被写体の色温度を検出し、照明の色温度を調整することにより、時々刻々変化する画像にも対応することができる。
【0029】
<第2の実施形態>
本実施形態にかかる携帯端末1は、画像処理によるホワイトバランス調整の補助として照明による色温度調整を利用するものであり、基本構成は図1及び図2に示される第1の実施形態と同様である。
本実施形態においては、記憶部4に予め最適色温度が記憶された判定テーブルが備えられている。
制御部3は撮像部12を介して取得した被写体の色温度情報と、記憶部4の判定テーブルの最適色温度とを比較し、両者が一致するか相違するかを判定ずる。
【0030】
本実施形態についての流れを図6のフローチャートに従って説明する。
本実施形態においてはユーザの操作部5入力等によりカメラ機能が選択されると(S21)上記第1の実施形態におけるステップS3と同様に、照明部14により初期値の色温度で被写体に光を照射させる(S22)。
ついで上記第1の実施形態におけるステップS6と同様に、撮像部12を介して被写体の色温度情報が制御部3に供給される(S23)。
制御部3は色温度情報生成し、色温度が最適色温度か否かを判定する(S24)。すなわち、記憶部4の判定テーブルから最適色温度を読出し、被写体の色温度情報と最適色温度が一致するかを判定する。
【0031】
制御部3は、色温度が最適でないと判定した場合には、画像処理によるホワイトバランス調整を行う(S25)。ここでの、画像処理によるホワイトバランス調整とは周知のホワイトバランス調整であり、例えば色温度情報のRGBの値をそれぞれ増減する等の処理が行われる。
【0032】
ついで、画像処理によるホワイトバランス調整を行った後の被写体の色温度が最適色温度か否かが判定される(S26)。
ここで制御部3は、最適色温度でないと判定した場合には上記第1の実施形態におけるステップS7以降と同様に照明色温度ーブルから照明信号を読出し(S27)、所定の色温度で光を照射させる照明信号を駆動回路18に供給する(S28)。以下、第1の実施形態と同様に画像保存等の動作を行う(S30〜S34)。
一方、最適色温度であると判定した場合には、上記第1の実施形態におけるステップS9以降と同様に画像保存等の動作を行う。
なお、上記説明した点以外の事項については、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0033】
本実施の形態によれば、被写体の色温度が画像処理によるホワイトバランス調整の範囲外であっても、照明の色温度を調整することにより被写体の色温度を補正してカメラのホワイトバランスの調整範囲内とし、又は調整範囲に近づけることができるため、良好な画像を得ることできる。
【0034】
<第3の実施形態>
次に第3の実施形態にかかる携帯端末1について説明する。携帯端末1の基本構成は図1及び2に示される第1の実施形態と同様である。
本実施形態においては、記憶部4にパターンテーブル及び判定テーブルが備えられている。パターンテーブルには、予め複数の色温度パターンと一定の順序、例えば数種類のRGBの光量の組合せとそれらを読出す順序が記憶されている。
【0035】
次に、本実施形態における携帯端末1の動作を図7のフローチャートに従って説明する。
本実施形態においては、第1の実施形態と同様にユーザの操作部5入力等によりプロモードが選択されると(S42)、制御部3は、記憶部4のパターンテーブルから初期の照明の色温度パターンを読出す(S44)。
ついで、制御部3は読出した色温度パターンに対応する照明信号を駆動回路18に供給する(S45)。以上の動作により、所定の色温度で照明装置14が駆動される。
【0036】
ついで、制御部3は、この色温度パターンの光が照射された状態における被写体の色温度情報を第1の実施形態におけるステップS5と同様に、撮像部12を介して取得・生成する(S46)。
ここで、制御部3は、取得した色温度情報を一時的に記憶部4に格納する(S47)。
【0037】
制御部3は、第2の実施形態におけるステップS24と同様に被写体の色温度が最適か否かを判定する。
ここで、制御部3は、被写体色温度が最適であると判定した場合には第1実施形態ステップS9以降と同様の動作により画像保存等を行う(S53〜S57)。
一方、制御部3は、被写体の色温度が最適でないと判定した場合には、パターンテーブルに記憶された次の色温度パターンを読出す(S50)。
そして制御部3は、読出した色温度パターンに対応する照明信号を駆動回路18に供給する。以上により照明色温度が変更され、被写体に光が照射される。
以下、全てのパターンが終了するまで、ステップS46〜S51の動作を繰り返し行う。
【0038】
一方パターンテーブルに記憶された複数の色温度パターンが全て終了し(S49)最適色温度と一致するパターンがない場合には、制御部3は、ステップS46において一時的に記憶された全ての色温度パターンの光が照射された被写体の色温度情報のうち最適色温度に一番近い色温度となる色温度パターンを記憶部4から読出す。
そして、制御部3は、読出した色温度パターンに対応する照明信号を駆動回路18に供給する。
以上により照明色温度が変更され、最適色温度に最も近くなるような色温度パターンで被写体に光が照射される(S51)。
以下、第1実施形態におけるS9以降と同様の動作により画像保存等を行う(S53〜S57)。
【0039】
本実施形態によれば予め記憶されたいくつかの色温度パターンのうちのいずれかの色温度の光を照射させるため、処理工程を減らし処理時間を短縮することができる。
なお、本実施形態においては、最適色温度と一致するパターンがなかった場合に、色温度パターンのうちで最適色温度に一番近い色温度パターンの光を照射させる構成としたが、この場合に実施形態2におけるステップS27、S28と同様の動作を行い、照明色温度を調整する構成としても良い。
【0040】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態が適宜変更され得ることは明らかである。
本発明の技術は、カメラ付き携帯端末だけでなく、デジタルカメラ単体や銀塩カメラにも適用可能である。
上記実施の形態では、照明装置の光源としてRGBの3色を用いているが、白色を表現出来れば何色でも構わない。例えばシアン、イエロー、マゼンダの3色や、青、イエローの2色とすることもできる。
また、光源がLEDである場合について説明したが、キセノン管等他の光源であっても適用可能である。
表示部6ためのバックライトや着信報知用のランプ等を照明部14として用いてもよい。
【0041】
色温度検出手段としてCCD・CMOS等の撮像部12を用いた場合について説明したが、フィルタ付きのフォトセンサ等の色温度センサを用いても良い。
【0042】
上記各実施形態においてはユーザが携帯端末1の操作部5によりプロモードを選択する構成としたが、カメラ機能が選択されると色温度検出手段において被写体色温度を検出し、被写体色温度が画像処理によるホワイトバランス調整の範囲外であった場合に自動的に照明色温度を調整するように構成してもよい。
また、最適色温度は、被写体が太陽光の下で撮影された場合の色温度を最適色温度としても良い。
さらには、ユーザによる操作部5入力等により最適色温度を設定・変更できるよう構成してもよい。さらに色温度テーブルに複数の最適色温度を得られる照明色温度を記憶させておいてユーザの操作により選択できるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1の実施形態にかかるカメラ部のブロック図である。
【図2】第1の実施形態にかかる携帯端末のブロック図である
【図3】第1の実施形態にかかる携帯端末の前面斜視図である。
【図4】第1の実施形態にかかる携帯端末の背面斜視図である。
【図5】第1の実施形態にかかる携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態にかかる携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施形態にかかる携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
1 携帯端末
2 カメラ部
3 制御部
4 記憶部
5 操作部
6 表示部
7 アンテナ
8 無線通信部
9 送受話部
11 光学系
12 撮像部
13 ADC
14 照明部
15 赤色LED
16 緑色LED
17 青色LED
18 駆動回路



【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影するカメラを備えたカメラ付き携帯端末であって、
前記被写体の画像を取得する撮像手段と、
前記被写体の色温度である被写体色温度を検出する被写体色温度検出手段と、
前記被写体に光を照射する照明手段と、
前記被写体色温度検出手段により検出した前記被写体色温度に基づいて、前記被写体の色温度が最適色温度となるように、前記照明手段の照明色温度を調整する制御手段とを備えたことを特徴とするカメラ付き携帯端末。
【請求項2】
前記被写体色温度検出手段により検出した前記被写体色温度に対応して、前記照明手段により前記被写体に光が照射された場合に前記被写体が前記最適色温度となるような前記照明色温度(最適照明色温度)が記憶された色温度テーブルを備え、
前記制御手段は、前記被写体色温度検出手段にて検出した被写体色温度に基づいて、前記色温度テーブルから最適照明色温度を読出し、読出した前記最適照明色温度で光を照射するように前記照明手段を制御することを特徴とする請求項1記載のカメラ付き携帯端末。
【請求項3】
前記被写体色温度検出手段は、前記撮像手段を介して取得した画像情報から色温度情報を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ付き携帯端末。
【請求項4】
画像処理により前記被写体の画像の色温度を調整するホワイトバランス調整手段を有し、
前記最適色温度は、前記ホワイトバランス調整手段における調整可能色温度であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のカメラ付き携帯端末。
【請求項5】
被写体を撮影するカメラであって、
前記被写体の画像を取得する撮像手段と、
前記被写体の色温度である被写体色温度を検出する被写体色温度検出手段と、
前記被写体に光を照射する照明手段と、
前記被写体色温度検出手段により検出した前記被写体色温度に基づいて、前記被写体の色温度が最適色温度となるように、前記照明手段の照明色温度を調整する制御手段とを備えたことを特徴とするカメラ。
【請求項6】
前記被写体色温度検出手段により検出した前記被写体色温度に対応して、前記照明手段により前記被写体に光が照射された場合に前記被写体が前記最適色温度となるような前記照明の色温度(最適照明色温度)が記憶された色温度テーブルを備え、
前記制御手段は、前記被写体色温度検出手段にて検出した被写体色温度に基づいて、前記色温度テーブルから最適照明色温度を読出し、読出した前記最適照明色温度の光を照射するように前記照明手段を制御することを特徴とする請求項5記載のカメラ。
【請求項7】
前記被写体色温度検出手段は、前記撮像手段を介して取得した画像情報から色温度情報を検出することを特徴とする請求項5又は6に記載のカメラ。
【請求項8】
画像処理により前記被写体の画像の色温度を調整するホワイトバランス調整手段を有し、
前記最適色温度は、前記ホワイトバランス調整手段における調整可能色温度であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のカメラ。
【請求項9】
被写体を撮影する撮影方法であって、
前記被写体の色温度である被写体色温度を検出する被写体色温度検出工程と、
前記被写体色温度検出工程において検出された前記被写体色温度に基づいて、前記被写体の色温度を補正するように、照明の色温度を調整する制御工程と、
前記被写体に光を照射する照明工程とを有することを特徴とする撮影方法。
【請求項10】
画像処理により被写体画像の色温度を調整するホワイトバランス調整工程と、
前記ホワイトバランス調整工程により調整された後の被写体の色温度が最適色温度か否かを判定する判定工程とを有し、
前記判定工程において前記被写体の色温度が最適色温度でないと判定し場合に前記制御工程を行うことを特徴とする請求項9に記載の撮影方法。
【請求項11】
コンピュータに請求項1乃至10のいずれかに記載の機能を実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−191490(P2006−191490A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3067(P2005−3067)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】