説明

カメラのファインダ装置

【課題】視度補正機構およびアイピースシャッタを備えたカメラのファインダ装置を小型でコンパクトに構成すること。
【解決手段】カメラのファインダ装置10では、視度補正つまみ3を回すと、これに連動して回転する視度補正連動板23が退避動作レバー34を回転し、可動レンズ12が移動して視度が補正される。シャッタ操作レバー4を操作すると、操作連動回転板14が第1の回転位置14Aから第3の回転位置14Cに回転し、その途中の第2の回転位置14Bに至るまで退避動作ギャ33を介して退避動作レバー34が回転し、可動レンズ12が退避位置に移動し、退避動作ギヤ33が退避動作レバー34から切り離され、操作連動回転板14が第3の回転位置に至るまでアイピースシャッタ13の支持アーム41を押し上げ、アイピースシャッタ13を閉じ位置に降下させファインダ光路を遮蔽状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視度調節機構およびファインダ接眼窓からの外光侵入を防止するためのアイピースシャッタを備えたカメラのファインダ装置に関し、特に、アイピースシャッタを閉じる際に、ファインダの可動レンズを退避させてアイピースシャッタをファインダ光路に進入させる動作を行うカメラのファインダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一眼レフカメラのファインダ装置においては、ファインダ光学系を構成しているレンズを光軸方向に移動させて視度を補正することのできる視度補正機構が備わったものが知られている。また、TTL測光方式を用いた一眼レフカメラなどのファインダ装置では、外部からファインダ接眼窓を介して侵入する外光が露出測定値に悪影響を及ぼすことの無いように、外光侵入のおそれがある場合などにおいて、必要に応じてファイダ接眼窓を遮蔽するアイピースシャッタが備わったものが採用されている。
【0003】
アイピースシャッタは通常はファインダ光学系の光路から退避しており、遮蔽時に当該光路内に進入させるように構成されている。したがって、視度補正機構およびアイピースシャッタを備えている場合、ファインダ光学系は、視度補正のために移動する可動レンズの可動スペースと、アイピースシャッタを進入させるためのスペースが必要になる。これらのスペースを共用化してファインダ装置の小型化、コンパクト化を図った提案が、下記の特許文献1、2に開示されている。
【0004】
これらの特許文献に開示のファインダ装置では、可動レンズをファインダ光軸に沿って所定方向に退避させ、それによって開いたスペースに、アイピースシャッタを進入させて、ファインダ接眼窓を遮蔽するように構成されている。また、特許文献2の装置では、可動レンズが退避するまでアイピースシャッタを係止する手段と、アイピースシャッタがファインダ光路から退避するまで可動レンズを係止する手段とを備え、これらを移動させる際に、双方の駆動機構が干渉しないように改良が図られている。
【特許文献1】実公昭58−167号公報
【特許文献2】特開2001−166358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、可動レンズが退避した後にアイピースシャッタを遮蔽位置に移動させる一連の動作を、従来に比べて、より小型でコンパクトな機構によって実現可能なカメラのファインダ装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のカメラのファインダ装置は、ファインダの視度補正を行うために手動操作される視度補正用操作部材と、ファインダ光路上において光軸方向に移動可能な可動レンズと、前記視度補正用操作部材の操作に連動して前記可動レンズを移動させる視度補正機構とを有するカメラのファイダ装置において、
前記ファインダ光路を遮蔽するためのアイピースシャッタと、
前記アイピースシャッタを開閉するために手動操作されるシャッタ開閉用操作部材と、
前記シャッタ開閉用操作部材を操作すると、第1の回転角度位置から第2の回転角度位置を経由して第3の回転角度位置まで回転し、当該シャッタ開閉用操作部材を戻すと前記第1の回転角度位置に戻る操作連動回転板と、
前記操作連動回転板の前記第1の回転位置から前記第2の回転位置までの回転に連動して、前記可動レンズを、前記視度補正機構によって規定されている位置から退避位置まで移動させる可動レンズ退避機構と、
前記回転板の前記第2の回転角度位置から前記第3の回転角度位置までの回転に連動して、前記アイピースシャッタを開き位置から、前記ファインダ光路を遮蔽した閉じ位置に移動させるシャッタ開閉機構とを有していることを特徴としている。
【0007】
ここで、本発明の前記シャッタ開閉機構は、前記アイピースシャッタを支持している支持アームと、前記支持アームを、前記アイピースシャッタが前記開き位置にある第1のアーム位置、および前記閉じ位置にある第2のアーム位置に移動可能な状態で支持している支軸と、前記支持アームを前記第1のアーム位置に保持している付勢部材とを有し、前記支持アームは、前記第2の回転角度位置から前記第3の回転角度位置まで回転する前記操作連動回転板に係合して、前記第1のアーム位置から前記第2のアーム位置に移動させられるようになっていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明の前記可動レンズ退避機構は、前記操作連動回転部材に連動して回転する退避動作ギヤと、前記退避動作ギヤに噛み合っている連動ギヤと、前記連動ギヤと一体回転する退避動作レバーとを備え、前記操作連動回転板の前記第1の回転位置から前記第2の回転位置までの回転によって生ずる前記退避動作レバーの回転によって前記可動レンズが前記退避位置まで移動し、前記操作連動回転板が前記第2の回転位置を越えると、前記退避動作ギヤと前記連動ギヤの噛み合いが解除されることを特徴としている。
【0009】
この場合、前記視度補正機構は、前記視度補正用操作部材に連動して一定の角度範囲を回転する視度補正連動板を備え、前記退避動作レバーは、前記視度補正連動板に対して、前記可動レンズを前記退避位置に移動させるための回転方向には単独回転可能な状態で係合するようにすればよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のカメラのファインダ装置では、アイピースシャッタを開閉するために操作されるシャッタ開閉用操作部材の操作に連動して操作連動回転板を回転させ、当該操作連動回転板が初期位置である第1の回転位置から第2の回転位置まで回転する間は、操作連動回転板を可動レンズ退避機構に連結して、可動レンズを退避位置まで移動させるようにしている。また、操作連動回転板が第2の回転位置を越えると、当該操作連動回転板を可動レンズ退避機構から切り離し、代わって、シャッタ開閉機構に連結し、当該操作連動回転板が第2の回転位置から第3の回転位置まで回転する間にアイピースシャッタを閉じ位置(遮蔽位置)に移動させるようにしている。
【0011】
本発明によれば、シャッタ開閉用操作部材の操作に連動して回転する操作連動回転板の回転位置に応じて、その回転力の伝達路を切り換えて、可動レンズを退避位置に移動させた後にアイピースシャッタを閉じ位置に移動させる一連の動作を行わせるようにしている。したがって、これらの動作を実現するための機構を小型でコンパクトに構成でき、従来の同様な動作を実現するための機構に比べて設置スペースが少なくて済むという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したカメラのファインダ装置の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は本実施の形態に係るファインダ装置が搭載されている一眼レフカメラの背面図、右側面図および左側面図である。これらの図に示すように、一眼レフカメラ1の背面には、ファインダ接眼窓2が開いており、ここを覗くことによりファインダの観察を行うことができる。ファインダ接眼窓2の一方の側、本例ではカメラ本体の右側面には視度補正つまみ3(視度補正用操作部材)が配置されており、これを回すことによりファインダの視度を調節できる。ファインダ接眼窓2の他方の側、本例ではカメラ本体の左側面にはシャッタ操作レバー4(シャッタ開閉用操作部材)が配置されている。シャッタ操作レバー4は水平な位置にあり、これを垂直位置まで旋回すると、ファインダ接眼窓2が遮蔽されて、ここから外光が内部のファインダ光路に侵入することが防止される。
【0014】
図2は一眼レフカメラ1に内蔵されているファインダ装置の主要部を背面側から見た場合の斜視図である。図3は、当該ファインダ装置の主要部の正面図、平面図、右側面図および左側面図である。ファインダ装置10の光学系は一眼レフカメラとしては一般的なものであり、その接眼レンズ群はペンタプリズム(図示せず)の側に位置する固定レンズ11と、ファインダ接眼窓2の側に位置する可動レンズ12とを備えている。視度補正つまみ3を回すと、後述の視度補正機構20によって可動レンズ12がファインダ光軸10aに沿って前後にスライドして、視度を調節できるようになっている。
【0015】
また、タイマーを用いた撮影などのように、ファインダ接眼窓2が撮影者の顔などによって覆われてない場合には、外光がファインダ接眼窓2から内部に侵入して露出値に悪影響を及ぼすことがある。このような弊害を防止するために、可動レンズ12の上方位置には、必要に応じてファインダ光路を遮蔽可能なアイピースシャッタ13が配置されている。シャッタ操作レバー4を操作すると、アイピースシャッタ13がファインダ光路から上方に退避している開き位置から、ファインダ光路に進入した閉じ位置に降下して、当該ファインダ光路を遮蔽することができるようになっている。
【0016】
本例では、シャッタ操作レバー4を操作すると、それに連動して、操作連動回転板14がその初期位置である第1の回転位置14Aから第2の回転位置14Bを経由して第3の回転位置14Cまで回転する。操作連動回転板14が第1の回転位置14Aから第2の回転位置14B(図3(d)参照)まで回転する間に、後述のレンズ退避機構30による可動レンズ12の退避動作が行われる。これにより、可動レンズ12は、視度補正つまみ3によって規定されている位置(補正位置)12Aから、固定レンズ11に最も接近した退避位置12B(図3参照)まで移動する。
【0017】
次に、操作連動回転板14が第2の回転位置14Bから第3の回転位置14C(図3(d)参照)まで回転する間に、後述のシャッタ開閉機構40によるアイピースシャッタ13の閉じ動作が行われ、アイピースシャッタ13は可動レンズ12の上方に退避している開き位置13Aから下降して閉じ位置13Bに至り、ファインダ光路が遮蔽状態になる。
【0018】
シャッタ操作レバー4を戻すと、操作連動回転板14が第3の回転位置14Cから第1の回転位置14Aに戻り、それに伴って、アイピースシャッタ13が上昇して開き位置13Aに戻り、ファインダ光路が開く。この後に、可動レンズ12が退避位置12Bから、視度補正つまみ3による補正位置12Aに復帰する。
【0019】
さらに、本例の一眼レフカメラ1では、そのファインダ接眼窓2に、CCDユニットなどの撮像ユニット(図示せず)を着脱可能であり、当該撮像ユニットによって撮像されるファインダ画像を、モニター画面上において確認できるようになっている。このような撮像ユニットが装着された場合には、撮像ユニットの受像面上に結像するように、ファインダ装置10の視度を補正する必要がある。本例のファインダ装置10では、撮像ユニットが装着されると、装着に連動して、当該ユニットに適したピントとなるように可動レンズ12を移動させるユニット視度設定機構50も備わっている。
【0020】
次に、図4(a)は視度補正機構20が組み付けられているファインダ装置10の右側部分を示す斜視図であり、図4(b)はその内側面のギヤ噛み合い状態を示す説明図であり、図4(c)はその外側面のギヤ噛み合い状態を示す説明図である。また、図5はその分解斜視図である。これらの図も参照して、視度補正機構20、可動レンズ退避機構30およびシャッタ開閉機構50の構造を詳細に説明する。
【0021】
(視度補正機構)
視度補正機構20はカメラフレーム(図示せず)に固定された視度補正ベース板21を備えており、この視度補正ベース板21は接眼レンズ群の右側上方の位置において、ファインダ光軸10aに平行な状態で垂直に配置されている。この視度補正ベース板21の外側面21aには、その中心に取り付けた支軸22を中心として上下方向に回転可能な状態で視度補正連動板23が取り付けられている。
【0022】
視度補正連動板23は全体として扇形をしており、その回転中心の両側位置には、一対の係合突起23a、23bが形成されている。これらの係合突起23a、23bは視度補正つまみ3の側に連結されており、視度補正つまみ3を回すと、これに連動して視度補正連動板23が上下に回転するようになっている。視度補正連動板23の外周側の部分には一定の角度を張る円弧溝23cが形成されており、外周面には一定のピッチでクリック溝23dが形成されている。クリック溝23dには、視度補正ベース板21に取り付けられている視度補正クリックばね24の先端が嵌っている。
【0023】
視度補正ベース板21の内側面21bには、支軸22を中心として回転可能な状態で退避動作レバー34が取り付けられている。退避動作レバー34は、その中心から半径方向の外側に向けて延びる2本の腕34a、34bが形成されている。一方の腕34aの先端部にはその両側に同軸状態でスライドピン35a、35bが取り付けられている。他方の腕34bの先端部には、視度補正ベース板21の側に直角に突出する状態でスライドピン51が取り付けられている。
【0024】
視度補正ベース板21におけるスライドピン35aに対峙する部位には円弧溝21cが形成され、他方のスライドピン51に対峙している部位にも円弧溝21dが形成されている。スライドピン35aは対向する円弧溝21cをスライド可能な状態で貫通して、その外側面21aの側に配置されている視度補正連動板23の円弧溝23cにスライド可能な状態で差し込まれている。退避動作レバー34の腕34aにおける内側に水平に延びているスライドピン35bは、可動レンズ枠15の右側の端部から上方に突出している突出部15aに形成した垂直溝15bにスライド可能な状態で差し込まれている。
【0025】
可動レンズ枠15は、その左右の両端部の下側部分が、光軸10aの方向に平行に延びている左右のガイド軸16a、16bによってスライド可能な状態で支持されている。この可動レンズ枠15に可動レンズ12が取り付けられている。可動レンズ枠15は、常時、所定の付勢力によってファインダ接眼窓2の側に付勢されている。したがって、可動レンズ枠15に連結されている退避動作レバー34のスライドピン35aは、視度補正連動板23の円弧溝23cにおける一方の端23eに当接状態に保持されている。
【0026】
視度補正つまみ3を回すと、それに連動して、視度補正連動板23が回転する。視度補正連動板23の円弧溝23cの端23eに、退避動作レバー34のスライドピン35aが当接状態に保持されているので、視度補正連動板23が回転すると、退避動作レバー34が一体回転する。退避動作レバー34が回転すると、そのスライドピン35bによって可動レンズ枠15が押されて、ファインダ光軸10aの方向にスライドする。この結果、当該可動レンズ枠15に取り付けられている可動レンズ12が移動して、視度補正が行われる。視度補正連動板23は視度補正クリックばね24によって、視度補正後の位置に保持される。よって、可動レンズ12は視度補正つまみ3によって規定される補正位置12Aに保持される。
【0027】
(可動レンズ退避機構)
次に、可動レンズ退避機構30は、可動レンズ枠15の上方をファインダ光軸10aに直交する方向に水平に延びている回転軸31を備えている。この回転軸31の右端は、視度補正ベース板21における支軸22よりもカメラ後方側の部位に回転自在の状態で支持されている。回転軸31の左端は、そこから直交方向に延びるリンク31Aおよび、このリンク31Aの先端にスライド可能に係合している係合ピン31Bを介して、操作連動回転板14に連結されている。したがって、回転軸31は操作連動回転板14が回転すると、それに連動して逆方向に回転する。
【0028】
視度補正ベース板21によって支持されている回転軸31の右端部分には回転係合板32が固定されており、この回転係合板32と視度補正ベース板21の間には、同軸状態で退避動作ギヤ33が回転自在に取り付けられている。回転係合板32は半径方向の外方に突出している係合腕32aを備えており、この係合腕32aの先端部は退避動作ギヤ33の側に直角に折り曲げられている。退避動作ギヤ33は全体として扇形をしており、その円弧状の外周面部分に外歯が形成されている。また、退避動作ギヤ33は所定の付勢力によって、その一方の端面33aが回転係合板32の係合腕32aの先端部に対して回転方向の側から押し付けられている。
【0029】
退避動作ギヤ33は、退避動作レバー34の外周面部分に一体形成されている連動ギヤ37に噛み合っている。連動ギヤ37も一定の角度範囲のみに形成されている。本例では、図4(b)に示す状態が、操作連動回転板14が第1の回転位置14Aに位置している場合のものである。操作連動回転板14が回転すると回転軸31が回転し、回転軸31に固定されている回転係合板32によって退避動作ギヤ33が押されて矢印方向に回転する。よって、これに噛み合っている連動ギヤ34が形成されている退避動作レバー34も回転する。操作連動回転板14が第2の回転位置14Bを越えると、退避動作ギヤ33と連動ギヤ37の噛み合い状態が解除されるようになっている。また、退避動作レバー34は、操作連動回転板14が第1の回転位置14Aから第2の回転位置14Bに至るまでの回転によって、可動レンズ枠15に取り付けられている可動レンズ12をその退避位置12Bまで移動させるようになっている。
【0030】
ここで、シャッタ操作レバー4を元の位置に戻すと、操作連動回転板14が元の第1の回転位置14Aに戻り、それに連動して回転する回転軸31および回転係合板32も元の回転位置まで戻る。退避動作ギヤ33は、可動レンズ12を退避させる回転方向においては回転係合板32に機械的に係合している。逆の回転方向においては所定の付勢力によって回転係合板32に押し付けられている。
【0031】
視度調節機構20によって可動レンズ12が所定の補正位置12Aに位置している場合には、当該補正位置12Aに可動レンズ12が止まる。よって、退避動作レバー34もそれに対応する回転位置に止まり、そこに形成されている連動ギヤ37に噛み合っている退避動作ギヤ33も当該回転位置に止まる。したがって、この場合には、退避動作ギヤ33から離れて、回転係合板32、回転軸31および操作連動回転板14のみが元の回転位置まで戻ることになる。このように、シャッタ操作レバー4を操作した場合においても、常に、視度調節機構20によって規定されている視度が得られる位置に、可動レンズ12が復帰する。
【0032】
(シャッタ開閉機構)
次に、シャッタ開閉機構40はアイピースシャッタ13を支持している支持アーム41を備えている。この支持アーム41は、可動レンズ12とファインダ接眼窓2の間の上方位置において、ファインダ光軸10aに直交するカメラ幅方向に延びている。支持アーム41は、その左側の端部分が光軸10aに平行に延びる支軸42を中心として上下方向にスイング可能な状態で支持されている。通常は、その左端に連結されている引張ばね43によって第1のアーム位置41Aに保持されている。この状態では、アイピースシャッタ13が可動レンズ12の上方に退避した開き位置13Aに位置している。
【0033】
ここで、支持アーム41の左端部からは光軸10aの方向に係合ピン44が水平に突出している。操作連動回転板14には、その下端から外側に直角に折れ曲がって延びる係合腕14aが形成されている。操作連動回転板14の回転に伴う当該係合腕14aの回転軌跡上に支持アーム41の係合ピン44が位置している。本例では、操作連動回転板14が第2の回転位置14Bに至ると、その係合腕14aが係合ピン44に下側から当り、第3の回転位置14Cに至るまでは係合腕14aによって上方に押し上げられるようになっている。この結果、支持アーム41におけるアイピースシャッタ13を支持している内側の部分は下降する。操作連動回転板14が第3の回転位置14Cに至ると、支持アーム41が第2のアーム位置41Bに至り、そこに支持されているアイピースシャッタ13はその閉じ位置13Bに至り、ファインダ光路を遮蔽した状態が形成される。
【0034】
シャッタ操作レバー4が元の位置に戻されると、それに連動して操作連動回転板14が第3の回転位置から第1の回転位置に戻る。この復帰時には、引張ばね43のばね力によって、支持アーム41も第1のスイング位置41Aに戻る。よって、アイピースシャッタ13も開き位置13Aに戻り、ファインダ光路が再び開く。
【0035】
(ユニット視度設定機構)
一方、ユニット視度設定機構50は、視度補正ベース板21の外側面21aに取り付けられているユニットセットレバー52を備えている。ユニットセットレバー52は、視度補正ベース板21に固定したレバー支軸53に回転自在の状態で取り付けられており、レバーセットばね54によって図に示す初期位置52Aに保持されている。ユニットセットレバー52には係合腕52aが形成されている。この係合腕で52aは、ファインダ接眼窓2の側方の部位においてカメラ外装面から突出しており、撮像ユニットが装着されると、撮像ユニットによって下方に押し下げられ、ユニットセットレバー52が動作位置52B(図4(c)参照)まで回転する。撮像ユニットが取り外されると、セットレバーばね54のばね力によって、ユニットセットレバー52は初期位置52Aに戻る。
【0036】
また、ユニットセットレバー52の外周面部分には所定の角度を張る外歯52bが形成されている。この外歯52bはユニット連動ギヤ55に噛み合っている。ユニット連動ギヤ55は、視度補正ベース板21と視度補正連動板23の間の位置において、支軸22を中心として回転自在の状態で取り付けられている。このユニット連動ギヤ55も一定の角度範囲にのみ外歯が形成されたものであり、外歯形成部分を外れた外周面部分からは半径方向の外方に向けて係合腕55aが突出している。
【0037】
係合腕55aは、ユニット連動ギヤ55の回転に伴って、視度補正ベース板21に形成されている円弧溝21dに沿って移動する。円弧溝21dには、反対側に配置されている退避動作レバー34に取り付けたスライドピン51が貫通している。このスライドピン51の先端は視度補正ベース板21の外側面21aから、係合腕55aの厚さ分だけ突出している。
【0038】
ユニット連動ギヤ55の係合腕55aは、ユニットセットレバー52が初期位置52Aにある状態では、円弧溝21dにおける上側の端から外側に外れた位置にある。ユニットセットレバー52が回転すると、それに伴って円弧溝21dに沿って他方の端まで移動する。よって、この回転時に、係合腕55aが円弧溝21dを貫通しているスライドピン51に当り、当該スライドピン51を円弧溝21dに沿ってその端まで押すことになる。この結果、スライドピン51が取り付けられている退避動作レバー34が可動レンズ12を退避させる方向に所定量だけ回転し、可動レンズ12を撮像ユニットの視度に適したセット位置まで移動させる。このように、撮像ユニットの装着動作に連動して、ユニットセットレバー52が回転して、退避動作レバー34が可動レンズ12の退避位置の方向に移動して、撮像ユニットに適した視度が得られるセット位置に移動する。
【0039】
次に、撮像ユニットを取り外すと、ユニットセットレバー52はセットレバーばね54のばね力によって初期位置に復帰する。この結果、退避動作レバー34はユニット視度設定機構50による拘束から解除されるので、視度補正機構20によって規定されている回転位置、すなわち、退避動作レバー34のスライドピン35aが視度補正連動板23の円弧溝23cにおける端23eに当る位置まで自動的に復帰する。
【0040】
このように、本例のファインダ装置10のユニット視度設定機構50は、撮像ユニットの着脱に連動して可動レンズ12を移動して、撮像ユニットに適合するように視度を補正し、また、視度補正つまみ3によって規定されている視度に戻すようにしている。よって、撮像ユニットの着脱に起因して、視度補正つまみ3を操作して視度を補正する必要が無くなる。よって、操作性に優れたファインダ装置10を実現できる。
【0041】
(動作説明)
なお、本例のファインダ装置10における視度補正機構20、可動レンズ退避機構30およびシャッタ開閉機構40の動作を以下に纏めて説明する。
【0042】
まず、視度補正つまみ3を回すと視度補正連動板23が回転する。視度補正連動板23の円弧溝23cの端23dに、退避動作レバー51の摺動ピン52aが当接状態に保持されているので、視度補正連動板23が回転すると、退避動作レバー51が一体となって回転する。退避動作レバー51が回転すると、その摺動ピン52bによって可動レンズ枠15が押されて、ファインダ光軸10aの方向にスライドする。この結果、当該可動レンズ枠15に取り付けられている可動レンズ12が移動して、視度補正が行われる。視度補正連動板23は視度補正クリックばね24によって、視度補正後の位置に保持される。よって、可動レンズ12は視度補正つまみ3によって補正された補正位置12Aに保持される。
【0043】
一方、シャッタ操作レバー4を操作すると、それに連動して、操作連動回転板14が第1の回転位置14Aから第3の回転位置14Cまで回転する。操作連動回転板14が第1の回転位置14Aから第2の回転位置14Bに至るまでは、連動して回転する回転軸31と一体回転する回転係合板32によって退避動作ギヤ33が押されて回転する。退避動作ギヤ33は退避動作レバー34の側の連動ギヤ37に噛み合っているので、退避動作レバー34も回転する。すなわち、退避動作レバー34の摺動ピン35aは、視度補正連動板23の円弧溝23cにおける退避方向とは反対側の端23eに付勢されており、退避方向には付勢力に抗して回転可能である。換言すると、上記の視度補正つまみ3によって規定されている補正位置12Aから退避位置12Bに向けて可動レンズ12を移動させる方向に、退避動作レバー34を回転させることは可能となっている。よって、可動レンズ退避機構30による退避動作レバー34の回転によって、可動レンズ12がその退避位置12Bまで移動する。この結果、可動レンズ12とファインダ接眼窓の間のファインダ光路上には、アイピースシャッタ13を進入させることのできる充分な隙間が形成される。
【0044】
操作連動回転板14が第2の回転位置を越えると、退避動作ギヤ33と退避動作レバー34の連動ギヤ37の噛み合いが解除され、退避動作レバー34の回転が止まり、これ以後は、回転軸31、回転係合板32および退避連動ギヤ33は空回りする。
【0045】
一方、操作連動回転板14が第2の回転位置14Bを越えると、その係合腕14aが下側からシャッタ開閉機構30の支持アーム31に当り、当該支持アーム31を支軸32を中心として、ばね力に逆らってスイングさせる。この結果、支持アーム31が第1のスイング位置31Aから第2のスイング位置31Bに移動し、そこに支持されているアイピースシャッタ13が開き位置13Aから下降して閉じ位置13Bに至り、ファインダ光路の遮断状態が形成される。
【0046】
シャッタ操作レバー4を元の位置に戻すと、上記とは逆の動作が行われ、アイピースシャッタ13が開き位置13Aに戻る。しかる後に、可動レンズ12が退避位置12Bから、視度補正機構20によって規定されている補正位置12Aに戻る。
【0047】
このように、本例のファインダ装置10では、シャッタ操作レバー4に連動して回転する操作連動回転板14の回転に伴って、まず、可動レンズ12を退避位置に移動させて、ファインダ光路上に十分なスペースを確保し、次に、アイピースシャッタ13を当該スペースに進入させてファインダ光路の遮蔽状態を形成している。すなわち、退避動作ギヤ33と連動ギヤ37の噛み合いによって可動レンズ12を退避位置まで移動させ、しかる後にギヤの噛み合いを解除し、代わりに、第2の回転位置から第3の回転位置に向かって回転する操作連動回転板14をアイピースシャッタ13を支持している支持アーム41に係合させ、アイピースシャッタ13を閉じ位置まで移動させるようにしている。
【0048】
したがって、可動レンズ12を退避位置に移動させた後にアイピースシャッタによるファインダ光路を遮蔽するという一連の動作を、小型でコンパクトな機構によって実現することができる。よって、小型カメラなどのように、設置スペースの少ないカメラに搭載するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(a)は本発明を適用したファインダ装置が搭載されている一眼レフカメラの背面図であり、(b)はその右側面図であり、(c)はその左側面図である。
【図2】一眼レフカメラに内蔵されているファインダ装置の主要部を背面側から見た場合の斜視図である。
【図3】図2のファインダ装置の主要部の正面図、平面図、右側面図および左側面図である。
【図4】(a)はファインダ装置における視度補正機構が組み付けられている右側部分を示す斜視図であり、(b)はその内側面のギヤ噛み合い状態を示す説明図であり、(c)はその外側面のギヤ噛み合い状態を示す説明図である。
【図5】ファインダ装置の視度補正機構が組みつけられている右側部分の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 一眼レフカメラ
2 ファインダ接眼窓
3 視度補正つまみ
4 シャッタ操作レバー
10 ファインダ装置
11 固定レンズ
12 可動レンズ
13 アイピースシャッタ
13A 開き位置
13B 閉じ位置
14 操作連動回転板
14a 係合腕
14A 第1の回転位置
14B 第2の回転位置
14C 第3の回転位置
15 可動レンズ枠
20 視度補正機構
21 視度補正ベース板
22 支軸
23 視度補正連動板
23c 円弧溝
23e 円弧溝の端
24 視度補正クリックばね
30 可動レンズ退避機構
31 回転軸
32 回転係合板
33 退避動作ギヤ
34 退避動作レバー
35a、35b スライドピン
37 連動ギヤ
40 シャッタ開閉機構
41 支持アーム
42 支軸
43 引張ばね
44 係合ピン
50 ユニット視度設定機構
51 スライドピン
52 ユニットセットレバー
54 セットレバーばね
55 ユニット連動ギヤ
55a 係合腕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファインダの視度補正を行うために手動操作される視度補正用操作部材と、ファインダ光路上において光軸方向に移動可能な可動レンズと、前記視度補正用操作部材の操作に連動して前記可動レンズを移動させる視度補正機構とを有するカメラのファイダ装置において、
前記ファインダ光路を遮蔽するためのアイピースシャッタと、
前記アイピースシャッタを開閉するために手動操作されるシャッタ開閉用操作部材と、
前記シャッタ開閉用操作部材を操作すると、第1の回転角度位置から第2の回転角度位置を経由して第3の回転角度位置まで回転し、当該シャッタ開閉用操作部材を戻すと前記第1の回転角度位置に戻る操作連動回転板と、
前記操作連動回転板の前記第1の回転位置から前記第2の回転位置までの回転に連動して、前記可動レンズを、前記視度補正機構によって規定されている位置から退避位置まで移動させる可動レンズ退避機構と、
前記回転板の前記第2の回転角度位置から前記第3の回転角度位置までの回転に連動して、前記アイピースシャッタを開き位置から、前記ファインダ光路を遮蔽した閉じ位置に移動させるシャッタ開閉機構とを有していることを特徴とするカメラのファインダ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記シャッタ開閉機構は、
前記アイピースシャッタを支持している支持アームと、
前記支持アームを、前記アーピースシャッタが前記開き位置にある第1のアーム位置、および前記閉じ位置にある第2のアーム位置に移動可能な状態で支持している支軸と、
前記支持アームを前記第1のアーム位置に保持している付勢部材とを有し、
前記支持アームは、前記第2の回転角度位置から前記第3の回転角度位置まで回転する前記操作連動回転板に係合して、前記第1のアーム位置から前記第2のアーム位置に移動させられるようになっていることを特徴とするカメラのファインダ装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記可動レンズ退避機構は、
前記操作連動回転部材に連動して回転する退避動作ギヤと、
前記退避動作ギヤに噛み合っている連動ギヤと、
前記連動ギヤと一体回転する退避動作レバーとを備え、
前記操作連動回転板の前記第1の回転位置から前記第2の回転位置までの回転によって生ずる前記退避動作レバーの回転によって前記可動レンズが前記退避位置まで移動し、
前記操作連動回転板が前記第2の回転位置を越えると、前記退避動作ギヤと前記連動ギヤの噛み合いが解除されることを特徴とするカメラのファインダ装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記視度補正機構は、
前記視度補正用操作部材に連動して一定の角度範囲を回転する視度補正連動板を備えており、
前記退避動作レバーは、前記視度補正連動板に対して、前記可動レンズを前記退避位置に移動させるための回転方向には単独回転可能な状態で係合していることを特徴とするカメラのファインダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−215373(P2006−215373A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29291(P2005−29291)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000128946)マミヤ・オーピー株式会社 (122)
【Fターム(参考)】