説明

カメラアダプタ

【課題】第1に、普段は手持ちで持ち運びされて屋外録画用等に使用されているポータブルビデオカメラを、簡単容易にワンタッチで、即スタジオカメラとして使用でき、第2に、もって大幅コストダウンが実現され、スタジオカメラ不足も解消される、カメラアダプタを提案する。
【解決手段】このカメラアダプタ1は、ポータブルビデオカメラ2の取付部3と、取付部3に装着されるポータブルビデオカメラ2と、ビューファインダの取付部5と、取付部5に装着されるビューファインダと、オンエアタリーランプ6と、インターカム機能と、これらの信号授受用のコネクタパネル9と、これらの信号処理用の電子回路部10と、コールタリーランプと、を有している。そして、スタジオ内で番組制作用に使用され、カメラマンにて操作されると共に、調整室のプロデューサーにてコントロールされる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラアダプタに関する。すなわち、ポータブルビデオカメラをスタジオカメラとして使用する、カメラアダプタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
《技術的背景》
スタジオカメラは、テレビ局やプロダクション等のスタジオ内で番組制作用に使用されており、例えば1つのスタジオ内で、大小計3台〜10台程度のスタジオカメラが、同時併行的に使用されている。そして、この種のスタジオカメラは、HDハイディフィニション化,高品位化の進展が著しい。
他方、家庭用や一般業務用の小型のポータブルビデオカメラは、性能向上はめざましく、HDハイディフィニションのハンディタイプのものが、量産され広く普及しつつある。そして、テレビ局やプロダクション等でも、この種のポータブルビデオカメラが、屋外ロケ収録用,報道番組収録用,屋外中継用等として、採用されている。
【0003】
《従来技術》
ところで、この種のスタジオカメラは、スタジオ内での番組制作用としての用途に鑑み、種々の専用装備や機能を備えている。
すなわち、この種のスタジオカメラは、オンエアされている画像を表示するビューファインダ、オンエアされているスタジオカメラを示すオンエアタリーランプ、カメラマンとプロデューサー間の相互連絡用のインターカム機能、カメラマン呼び出し用のコールタリーランプ、等々を備えている。
他方、ポータブルビデオカメラは屋外等での録画等専用であると共に、勿論このような装備や機能は備えていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
《問題点について》
さて、この種従来のスタジオカメラについては、高額であるという問題が指摘されていた。
すなわち、前述した専用装備や機能を備えたHDスタジオカメラは、レンズ付で1台700万円〜2,000万円程度の価格よりなり、特にテレビ局やプロダクションにとってコスト負担が過大となっており、スタジオ番組制作現場における台数不足が、懸念される状況にある。
他方、これらのテレビ局やプロダクションで使用されているHDポータブルビデオカメラは、屋外ロケ収録用,報道番組収録用,屋外中継用等として、屋外等の録画等専用に使用されており、このような用途に使用されない時は、単に保管され休眠している状況にある。
【0005】
《本発明について》
本発明のカメラアダプタは、このような実情に鑑み、上記従来例の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、ポータブルビデオカメラをスタジオカメラとして使用する発想を、最大の特徴とし、第2に、もって大幅コストダウンが実現される、カメラアダプタを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
《請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次のとおりである。
まず、請求項1については次のとおり。請求項1のカメラアダプタは、ポータブルビデオカメラをスタジオカメラとして使用する。
そして、該ポータブルビデオカメラの取付部と、該取付部に装着される該ポータブルビデオカメラと、ビューファインダの取付部と、該取付部に装着される該ビューファインダと、オンエアタリーランプと、インターカム機能と、これらの信号授受用のコネクタパネルと、これらの信号処理用の電子回路部と、を有していること、を特徴とする。
請求項2については、次のとおり。請求項2のカメラアダプタでは、請求項1において、該ポータブルビデオカメラが装着された該カメラアダプタは、スタジオ内で番組制作用に使用され、カメラマンにて操作されると共に、調整室のプロデューサーにてコントロールされること、を特徴とする。
【0007】
請求項3については、次のとおり。請求項3のカメラアダプタでは、請求項2において、該ポータブルビデオカメラは、HDハイディフィニションのハンディタイプよりなり、普段は手持ちで持ち運びされて屋外等で使用されることが多い。
該ビューファインダは、現在オンエアされている画像を表示可能であると共に、自身の該カメラアダプタに装着された該ポータブルビデオカメラの画像も、切替表示可能であること、を特徴とする。
請求項4については、次のとおり。請求項4のカメラアダプタでは、請求項3において、該オンエアタリーランプは、画像が現在オンエアされている該ポータブルビデオカメラの該カメラアダプタについて、点灯する。該インターカム機能は、該カメラマンと該プロデューサー間での音声相互連絡用に使用される。
該コネクタパネルは、該ポータブルビデオカメラとの間、および、それぞれのベースステーションを介した該調整室との間、更に、該カメラマンのヘッドホンやマイクとの間で、信号や電力の授受を行う。該電子回路部は、該コネクタパネルの信号授受に基づく信号処理を行うこと、を特徴とする。
【0008】
請求項5については、次のとおり。請求項5のカメラアダプタでは、請求項4において、更に、コールタリーランプが付設されており、該コールタリーランプは、該プロデューサーの該カメラマン呼び出し用に点灯すること、を特徴とする。
請求項6については、次のとおり。請求項6のカメラアダプタでは、請求項5において、各該カメラアダプタの該コネクタパネルとその該ベースステーションとの間が、それぞれカメラケーブルで接続されると共に、各該ベースステーションと該調整室との間が、接続ケーブルで接続されている。
そして、該カメラケーブルや該接続ケーブルを介し、該カメラアダプタそして該ポータブルビデオカメラへの電力供給と、該ポータブルビデオカメラからの映像信号の送信と、該ビューファインダへのリターン映像信号の送信と、該オンエアタリーランプへのタリー点灯信号の送信と、該インターカム機能用のインターカム音声信号の送受信と、該コールタリーランプへのタリー点灯信号の送信、等が行われること、を特徴とする。
請求項7については、次のとおり。請求項7のカメラアダプタでは、請求項6において、該ポータブルビデオカメラからの音声信号も、該コネクタパネル,該電子回路部,該カメラケーブル,該ベースステーション,該接続ケーブル等を介し、該調整室に送信可能となっていること、を特徴とする。
【0009】
請求項8については、次のとおり。請求項8のカメラアダプタでは、請求項1において、該カメラアダプタは、上段と下段の2段構造よりなり、該上段側に、該ビューファインダの取付部と、該取付部に装着される該ビューファインダと、が配されている。
そして該下段側に、該ポータブルビデオカメラの取付部と、該取付部に装着される該ポータブルビデオカメラと、該コネクタパネルと、該電子回路部とが配されている。該オンエアタリーランプは、少なくとも該下段側に配されている。かつ、該上段と下段との間が、左右のアーチ状フレームで連結されていること、を特徴とする。
請求項9については、次のとおり。請求項9のカメラアダプタでは、請求項8において、該下段下に、ドリー車輪を備えた脚部が配設されており、もって該カメラアダプタが、該スタジオ内を自在に移動可能となっていること、を特徴とする。
【0010】
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)使用に際しては、カメラアダプタに、ポータブルビデオカメラとビューファインダが、装着される。
(2)又、ポータブルビデオカメラ,カメラアダプタ,ベースステーション間が、それぞれ接続ケーブルやカメラケーブルにて接続される。各ベースステーションと調整室間も、接続されている。
(3)カメラアダプタは、このようにワンタッチで準備されると共に、ドリー車輪付の脚部にて、スタジオ内を自在に移動可能である。
(4)スタジオ内には、このようにスタジオカメラとして使用されるカメラアダプタ等のスタジオカメラが、複数台それぞれカメラマン付で配され、調整室のプロデューサーにてコントロールされる。
(5)そして、各カメラアダプタのポータブルビデオカメラからの映像信号が、調整室に送信され、もってオンエア画像の選択,その他の処理が行われる。
(6)又、調整室からは各カメラアダプタのビューファインダにリターン映像信号が送信され、もってオンエア画像が表示される。更に、画像がオンエアされているカメラアダプタについて、オンエアタリーランプにタリー点灯信号が送信されて、点灯する。
(7)更に調整室からは、各カメラアダプタのコールタリーランプに、タリー点灯信号を送信可能であり、プロデューサーが必要なカメラマンを呼び出し可能となっている。
そして、プロデューサーとカメラマンは、インターカム音声信号の送受信により、インターカム機能にて相互連絡可能となっている。
【0011】
(8)このように、本発明のカメラアダプタは、スタジオカメラとして機能を全て備えており、その採用により、普段は屋外録画等に使用されているHDポータブルビデオカメラを、即HDスタジオカメラとして使用可能となる。
(9)しかもこれは、比較的簡単な基本構造のカメラアダプタに、汎用品であるビューファインダやポータブルビデオカメラを装着することにより、コスト面に優れて実現される。
【発明の効果】
【0012】
《第1の効果》
第1に、ポータブルビデオカメラを、スタジオカメラとして使用することが、可能となる。
すなわち、本発明のカメラアダプタでは、HDポータブルビデオカメラ、すなわち普段は手持ちで持ち運びされて屋外等での録画等に使用されているHDポータブルビデオカメラを、簡単容易にワンタッチで、即高画質,高性能のHDスタジオカメラとして使用できるようになる。カメラマンは、小型のポータブルビデオカメラを使いながら、大型のスタジオカメラと差異のない使用感を得ることができる。
HDポータブルビデオカメラは、このようにワンタッチで簡単容易に、高品位の本格HDスタジオカメラに遜色なく変身できると共に、普段は屋外ロケや報道等の録画用に使用される等、効率よく使い回されるようになる。
【0013】
《第2の効果》
第2に、これにより、大幅コストダウンが実現される。すなわち、本発明のカメラアダプタは、上述したように、ポータブルビデオカメラをスタジオカメラとして使用する。
HDポータブルビデオカメラは、使用中のものをそのまま採用できると共に、購入しても量産効果により1台例えば50万円程度である。そして本発明により、例えば1,000万円クラスの従来の本格HDスタジオカメラと差異のない使用感や性能のものが、その1〜2割程度のローコストで獲得されるようになる。
もって、このようなローコスト化により、スタジオ番組制作現場での慢性的なHDスタジオカメラ不足の解消が期待され、テレビ局やプロダクションにとって、その意義は大きい。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
《図面について》
以下、本発明のカメラアダプタを、図面に示した発明を実施するための最良の形態に基づいて、詳細に説明する。図1〜図5は、本発明を実施するための最良の形態の説明に供する。
そして、図1の(1)図は平面図、(2)図は側面図、(3)図は反対側の要部側面図である。図2の(1)図は正面図、(2)図は背面図である。
図3は、ビューファインダを装着した状態を示し、(1)図は平面図、(2)図は側面図、(3)図は反対側の要部側面図である。図4も、ビューファインダを装着した状態を示し、(1)図は正面図、(2)図は背面図である。
図5は、ブロック説明図である。
【0015】
《本発明の概要について》
まず、本発明のカメラアダプタ1の概要について、説明する。このカメラアダプタ1は、ポータブルビデオカメラ2が装着され、図5に示したように、スタジオA内で番組制作用として使用され、カメラマンBにて操作されると共に、調整室CのプロデューサーDにてコントロールされる。この調整室Cは、具体的には、副調整室(サブコントロールルーム)と称されている。
そして、ポータブルビデオカメラ2が装着されたカメラアダプタ1は、前述したこの種従来の専用スタジオカメラと共に又は単独で、計3台〜10台程度の複数台が、スタジオA内で使用され、場面によっていずれかが切換えられてオンエア使用される。
そして、カメラアダプタ1は、図1〜図4に示したように、次の構成を備えている。すなわち、ポータブルビデオカメラ2の取付部3と、取付部3に装着されるポータブルビデオカメラと、ビューファインダ4の取付部5と、取付部5に装着されるビューファインダと、オンエアタリーランプ6と、コールタリーランプ7と、インターカム機能8と、これらの信号授受用のコネクタパネル9と、これらの信号処理用の電子回路部10と、を有している。
本発明の概要は、このようになっている。
【0016】
《本発明の外観構造について》
次に、本発明のカメラアダプタ1の外観構造等について、図1〜図4を参照して説明する。
このカメラアダプタ1は、上段11と下段12の2段構造よりなる。そして、上段11側に、ビューファインダ4の取付部5と、取付部5に装着されるビューファインダ4(図3,図4を参照)とが、配されている。
下段12側に、ポータブルビデオカメラ2の取付部3と、取付部3に装着されるポータブルビデオカメラ2(図1の(2)図を参照)と、コネクタパネル9とが配され、下段12内に電子回路部10が収納されている。更に、オンエアタリーランプ6が、少なくとも下段12側に配され、コールタリーランプ7も、下段12側に配されている。
上段11と下段12の間は、左右のアーチ状フレーム13で連結されている。下段12下には、ドリー車輪を備えた脚部が配設されており(図示せず)、もってポータブルビデオカメラ2やビューファインダ4が装着されたカメラアダプタ1が、スタジオB内を自在に移動可能となっている。
なお、このカメラアダプタ1は、装着されるポータブルビデオカメラ2の大きさ、つまり大型,中型,小型に対応して、各種大きさの全体形状のものが準備されており、大きさに合わせて選択使用される。
本発明の外観構造は、このようになっている。
【0017】
《図示例について》
次に、図示例のカメラアダプタ1の外観構造について、図1〜図4を参照して、更に詳述する。まず、上段11は、水平の小台板状をなし、その中央部上に、ビューファインダ4をワンタッチで装着,着脱可能な取付部5が形成されている。下段12は、水平のケース状をなし、その中央部上に、ポータブルビデオカメラ2をワンタッチで装着,着脱可能な取付部3が、形成されている。
コネクタパネル9は、下段12の両側面と背面に配設されているが、更に、下段12上で左右のアーチ状フレーム13に囲まれたエリアに配設されて位置するパネル体14正面側にも、配設されている。オンエアタリーランプ6は、下段12正面に配設されると共に、ビューファインダ4正面にも付設されている。コールタリーランプ7は、パネル体14の背面側に配設されている。
又、上段11には、ライトやマイク等のアクセサリーがワンタッチで取付可能となっており、大型バッテリーの取付機構も備えている。
【0018】
図中15はケーブルハンガーである。すなわち、このカメラアダプタ1は、図5に示したようにカメラケーブルEでベースステーションFと繋がっていると共に、ドリー車輪付三脚等の脚部に載せられて、脚部ごとスタジオA内を前後左右に自在に動き回れるようになっている。
従って、カメラケーブルEの取り回しが重要となるが、危険も伴い、ドリー車輪にカメラケーブルEを引掛けて、カメラアダプタ1全体が転倒してしまう虞もある。そこで、このような事態を回避し、カメラケーブルEがカメラアダプタ1の動きに従動するように、ケーブルハンガー15が、下段12の両側面や正面等に付設されている。
又、16は把手である。この把手16は、下段12の左右両側面や背面に付設されており、カメラアダプタ1を脚部ごと移動させる際に使用される。更に、左右両側面の把手16は、カメラアダプタ1を運搬する際の固定金具として、又、高所からチェーン等で吊り下げる際の取付箇所としても、利用される。
そして、カメラアダプタ1は、全体的に肉厚10mmのアルミ材が使用され、もって十分な強度,重厚な質感,軽量化,独創的形状,スタジオカメラ的感覚等を、備えるに至っている。
図示例のカメラアダプタ1は、このような外観構造よりなる。
【0019】
《ポータブルビデオカメラ2やビューファインダ4について》
次に、このカメラアダプタ1で使用されるポータブルビデオカメラ2や、ビューファインダ4について、図1〜図4を参照して説明する。
ポータブルビデオカメラ2は、HDハイディフィニションの小型ハンディタイプよりなり、普段は手持ちで持ち運びされ、屋外等で使用されることが多い。
ビューファインダ4は、オンエアされている画像を表示可能であると共に、自身のカメラアダプタ1に装着されたポータブルビデオカメラ2の画像も、切替表示可能である。
【0020】
これらについて、更に詳述する。ポータブルビデオカメラ2としては、代表的には、テレビ局やプロダクション等において、屋外ロケ収録用,報道番組収録用,屋外中継用等として、使用されているものが、そのまま使用される。そして、各種大きさのポータブルビデオカメラ2が、取付部3に対し装着,脱着可能となっている。
もって、ポータブルビデオカメラ2は、そのアナログやデジタルのHDビデオ映像出力信号(HDアナログコンポーネント信号、又はHD−SDI信号)を、接続ケーブルG(図5を参照)を介して出力,送出して、カメラアダプタ1本体の電子回路部10に、コネクタパネル9を介して入力する。なお、ポータブルビデオカメラ2の仕様は各社各様であるが、それぞれ専用の接続ケーブルFを選択使用することにより、いずれのポータブルビデオカメラ2も使用可能である。
ビューファインダ4は、アナログコンポジット信号対応かHD−SDI信号対応の6形〜10形の液晶が使用され、それぞれ取付部5に装着,脱着可能となっており、専用の接続ケーブル(図示せず)を介しコネクタパネル9に接続される。
そしてビューファインダ4には、カメラケーブルE,電子回路部10,コネクタパネル9,その接続ケーブル等を介し、リターン映像信号が送出され、もって送り返し映像つまり現在オンエアされている画像を、表示するようになっている。
従ってカメラマンBは、オンエア画像を随時確認可能である。すなわち、ポータブルビデオカメラ2が装着されたカメラアダプタ1をスタジオカメラとして使用するカメラマンBは、各カメラアダプタ1や同時使用されている従来よりの専用スタジオカメラ等の撮影する画像の内、現在のオンエア画像(自分の撮影する画像又は他者の撮影する画像)を、随時確認可能となっている。
これと共にカメラマンBは、スイッチ切換えにより、自分の撮影する画像も、切換表示,確認可能となっている。
ポータブルビデオカメラ2やビューファインダ4は、このようになっている。
【0021】
《オンエアタリーランプ6,コールタリーランプ7,インターカム機能8等について》
次に、カメラアダプタ1に装備されたオンエアタリーランプ6,コールタリーランプ7,インターカム機能8等について、図1〜図4を参照して説明する。
オンエアタリーランプ6は、画像が現在オンエアされているポータブルビデオカメラ2のカメラアダプタ1について、点灯する。
コールタリーランプ7は、プロデューサーDがカメラマンBの呼び出す時に点灯する。インターカム機能8は、カメラマンBとプロデューサーD間の音声相互連絡用に使用される。
【0022】
これらについて、さらに詳述する。まずオンエアタリーランプ6は、送出されたオンエアタリー点灯信号に基づき、その画像が現在オンエアされているポータブルビデオカメラ2のカメラアダプタ1について、赤色点灯する。
もって、出演者TやカメラマンB等に、現在オンエアされているのは、どのカメラなのかを、確認させるべく機能する。ポータブルビデオカメラ2が装着されスタジオカメラとして使用中の各カメラアダプタ1や、同時使用されている従来よりの専用スタジオカメラの内、画像が現在オンエアされているのはどれなのかを、点灯表示する。
コールタリーランプ7は、送出されたコールタリー点灯信号に基づき、点灯する。もって、ポータブルビデオカメラ2が装着されたカメラアダプタ1を操作するカメラマンBに対し、プロデューサーDが呼び出している旨を、伝達する。
インターカム機能8は、カメラマンBとプロデューサーD間の音声信号の授受により達成され、両者が音声にて相互コミュニケーションを取ることが可能となっている。カメラマンBは、図5に示したように、インターカム機能8用のヘッドホン付マイク17を、装備している。
オンエアタリーランプ6,コールタリーランプ7,インターカム機能8は、このようになっている。
【0023】
《コネクタパネル9や電子回路部10について》
次に、カメラアダプタ1に装備されたコネクタパネル9や電子回路部10について、図1〜図5を参照して説明する。
コネクタパネル9は、ポータブルビデオカメラ2との間、および、それぞれのベースステーションFを介した調整室Cとの間、更に、カメラマンBのヘッドホン付マイク17との間で、信号や電力の授受を行う。
電子回路部10は、コネクタパネル9の信号授受に基づき、信号処理を行う。
【0024】
これらについて、詳述する。コネクタパネル9は、a.そのカメラアダプタ1に装着されたポータブルビデオカメラ2に対し、接続ケーブルGにて接続され、b.ベースステーションFに対し、カメラケーブルEで接続され、c.カメラマンBのヘッドホン付マイク17に対し、ケーブル(図示せず)で接続される。もって、各種信号の授受を行うと共に、ポータブルビデオカメラ2に電力供給を行う。
電子回路部10は、コネクタパネル9経由で授受される各種信号について、それぞれ必要な処理を実施する。例えば、カメラアダプタ1に装着されたポータブルビデオカメラ2から入力されるHDビデオ映像信号が、アナログ信号の場合は、これをデジタルHD信号に変換してカメラケーブルEへと送出すべく、変換処理する。つまり、HDアナログコンポーネント信号やHD−MI信号をHD−SDI信号に変換する、コンバーターを内蔵している。
コネクタパネル9や電子回路部10は、このようになっている。
【0025】
《カメラケーブルE,その他について》
次に、このカメラアダプタ1用に使用されるカメラケーブルE,その他について、図5を参照して説明する。
まず、各カメラアダプタ1のコネクタパネル9と、そのベースステーションFとの間が、それぞれカメラケーブルEで接続されると共に、各ベースステーションFと調整室Cとの間が、接続ケーブルHで接続されている。
すなわち、ポータブルビデオカメラ2が装着されたカメラアダプタ1は、スタジオA内で通常離れて位置する専用のベースステーションFに、それぞれ個別のカメラケーブルEにて、接続される。
各ベースステーションFは、信号等の送受信処理等を実施するユニットよりなり、スタジオA外の調整室Cに、接続ケーブルHにて集合接続されている。調整室Cでは、プロデューサーDが全体をコントロールしている。
【0026】
そして、カメラケーブルE,接続ケーブルH,更には前述した接続ケーブルG等を介し、電力供給や信号の送受信が行われる。
すなわち、カメラアダプタ1そしてポータブルビデオカメラ2に向けた電力供給と、ポータブルビデオカメラ2からの映像信号の送信と、ビューファインダ4へのリターン映像信号の送信と、オンエアタリーランプ6へのタリー点灯信号の送信と、インターカム機能8用のインターカム音声信号の送受信と、コールタリーランプ7へのタリー点灯信号の送信等が、行われる。
このように、カメラケーブルE,接続ケーブルH,更には接続ケーブルG等にて、調整室C,プロデューサーD側から、各ベースステーションFを経由した電力供給,信号の送信が行われると共に、ポータブルビデオカメラ2,カメラアダプタ1,カメラマンB側から、信号の送信が行われる。
【0027】
なお、ポータブルビデオカメラ2からの音声信号も、接続ケーブルG,カメラアダプタ1のコネクタパネル9,電子回路部10,カメラケーブルE,ベースステーションF,接続ケーブルH等を介し、調整室Cに送信可能とすることも考えられる。
すなわち、以上説明してきた例では、ポータブルビデオカメラ2の映像信号(ビデオ出力)の利用が、ポイントとなっていたが、ポータブルビデオカメラ2では、これと共に付設されたマイクロホンによる音声信号も存しており、この音声信号(オーディオ出力)の利用も勿論可能である。
なお、スタジオA内において、音声は、通常スタジオA内に配された専用マイクロホン(図示せず)を利用して、信号化されて使用される。
カメラケーブルE,その他は、このようになっている。
【0028】
《作用等》
本発明のカメラアダプタ1は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)使用に際しては、まず、カメラアダプタ1の取付部3に、ポータブルビデオカメラ2が、装着,搭載される。これと共に、カメラアダプタ1の取付部5には、ビューファインダ4が装着,搭載されている。
【0029】
(2)それから、ポータブルビデオカメラ2とカメラアダプタ1のコネクタパネル9との間が、接続ケーブルGで接続される。又、カメラアダプタ1のコネクタパネル9とベースステーションFとの間が、カメラケーブルEで接続される。各ベースステーションFと調整室Cとの間は、予め接続ケーブルHで接続されている。
このように、簡単容易にワンタッチで、スタジオカメラとしての準備が完了する。
【0030】
(3)このように準備されたカメラアダプタ1、すなわちポータブルビデオカメラ2や
ビューファインダ4が装着,搭載されたカメラアダプタ1は、ドリー車輪を備えた脚部にて、スタジオA内を自在に移動可能であり、スタジオカメラとして使用される。
【0031】
(4)スタジオA内には、このように準備されスタジオカメラとして使用されるカメラアダプタ1や、従来よりの専用スタジオカメラが、計3台〜10台程度の複数台、各々操作するカメラマンB付で配されている。
そして、スタジオA外の調整室CのプロデューサーDのコントロールのもとに、それぞれのポータブルビデオカメラ2の画像が、切換オンエア使用される。
【0032】
(5)すなわちまず、スタジオカメラとして使用される各カメラアダプタ1のポータブルビデオカメラ2からの映像信号が、それぞれ、カメラケーブルE,ベースステーションF,その他を介し、調整室Cに向け送信され、もってオンエア画像の選択、その他の処理が実施される。
【0033】
(6)調整室Cからは、ベースステーションF,カメラケーブルE,その他を介し、スタジオカメラとして使用されている各カメラアダプタ1のビューファインダ4に向け、リターン映像信号が送信され、もって、各カメラマンB等に向けて、それぞれのビューファインダ4に現在のオンエア画像が表示される。
又、調整室Cからは、スタジオカメラとして使用されると共に画像が現在オンエアされているカメラアダプタ1のオンエアタリーランプ6に向け、オンエアタリー点灯信号が送信され、もって出演者T等に向け、画像が現在オンエアされているカメラアダプタ1がどれなのかを告知すべく、オンエアタリーランプ6が、点灯する。
【0034】
(7)更に、調整室Cからは、ベースステーションF,カメラケーブルE,その他を介し、スタジオカメラとして使用されている各カメラアダプタ1のコールタリーランプ7に向けて、コールタリー点灯信号を送信可能となっている。もって、調整室CのプロデューサーDが、スタジオA内の必要なカメラマンBを、呼び出すことができるようになっている。
そして、プロデューサーDと各カメラマンBとは、ベースステーションF,カメラケーブルE,その他を介し、インターカム音声信号により、インターカム機能8にて相互連絡することが可能となっている。
【0035】
(8)このように、本発明のカメラアダプタ1は、スタジオカメラとして具備すべき機能をすべて備えており、その採用により、普段は手持ちで持ち運びされ、屋外等での収録等に使用されていたHDポータブルビデオカメラ2を、即HDスタジオカメラとして使用可能となる。
高品質,高性能のHDスタジオカメラが、HDポータブルビデオカメラ2を使用して、ワンタッチで簡単容易に実現される。
【0036】
(9)しかもこれは、コスト面に優れつつ実現される。すなわち、このカメラアダプタ1は、アーチ状フレーム13で連結された上下2段構造について、取付部3,取付部5,コネクタパネル9,電子回路部10,オンエアタリーランプ6,コールタリーランプ7,
インターカム機能8等、を配した基本構成よりなる。
そして、このように比較的簡単な基本構成よりなるカメラアダプタ1に、市販され汎用されているビューファインダ4やポータブルビデオカメラ2を装着することにより、スタジオカメラとしての使用が実現される。ポータブルビデオカメラ2は、市販品のほか、現在使用中の汎用品をそのまま利用可能である。
これらにより、本発明のカメラアダプタ1によるポータブルビデオカメラ2のスタジオカメラ化は、コスト面に優れつつ実現される。
本発明の作用等は、このようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るカメラアダプタについて、発明を実施するための最良の形態の説明に供し、(1)図は、平面図、(2)図は、側面図、(3)図は、反対側の要部側面図である。
【図2】同発明を実施するための最良の形態の説明に供し、(1)図は、正面図、(2)図は、背面図である。
【図3】同発明を実施するための最良の形態の説明に供し、ビューファインダを装着した状態を示し、(1)図は、平面図、(2)図は、側面図、(3)図は、反対側の要部側面図である。
【図4】同発明を実施するための最良の形態の説明に供し、ビューファインダを装着した状態を示し、(1)図は、正面図、(2)図は、背面図である。
【図5】同発明を実施するための最良の形態の説明に供し、ブロック説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1 カメラアダプタ
2 ポータブルビデオカメラ
3 取付部
4 ビューファインダ
5 取付部
6 オンエアタリーランプ
7 コールタリーランプ
8 インターカム機能
9 コネクタパネル
10 電子回路部
11 上段
12 下段
13 アーチ状フレーム
14 パネル体
15 ケーブルハンガー
16 把手
17 ヘッドホン付マイク
A スタジオ
B カメラマン
C 調整室
D プロデューサー
E カメラケーブル
F ベースステーション
G 接続ケーブル
H 接続ケーブル
T 出演者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブルビデオカメラをスタジオカメラとして使用するカメラアダプタであって、
該ポータブルビデオカメラの取付部と、該取付部に装着される該ポータブルビデオカメラと、ビューファインダの取付部と、該取付部に装着される該ビューファインダと、オンエアタリーランプと、インターカム機能と、これらの信号授受用のコネクタパネルと、これらの信号処理用の電子回路部と、を有していること、を特徴とするカメラアダプタ。
【請求項2】
請求項1に記載したカメラアダプタにおいて、該ポータブルビデオカメラが装着された該カメラアダプタは、スタジオ内で番組制作用に使用され、カメラマンにて操作されると共に、調整室のプロデューサーにてコントロールされること、を特徴とするカメラアダプタ。
【請求項3】
請求項2に記載したカメラアダプタにおいて、該ポータブルビデオカメラは、HDハイディフィニションのハンディタイプよりなり、普段は手持ちで持ち運びされて屋外等で使用されることが多く、
該ビューファインダは、現在オンエアされている画像を表示可能であると共に、自身の該カメラアダプタに装着された該ポータブルビデオカメラの画像も、切替表示可能であるあること、を特徴とするカメラアダプタ。
【請求項4】
請求項3に記載したカメラアダプタにおいて、該オンエアタリーランプは、画像が現在オンエアされている該ポータブルビデオカメラの該カメラアダプタについて、点灯し、
該インターカム機能は、該カメラマンと該プロデューサー間での音声相互連絡用に使用され、
該コネクタパネルは、該ポータブルビデオカメラとの間、および、それぞれのベースステーションを介した該調整室との間、更に、該カメラマンのヘッドホンやマイクとの間で、信号や電力の授受を行い、
該電子回路部は、該コネクタパネルの信号授受に基づく信号処理を行うこと、を特徴とするカメラアダプタ。
【請求項5】
請求項4に記載したカメラアダプタにおいて、更に、コールタリーランプが付設されており、該コールタリーランプは、該プロデューサーの該カメラマン呼び出し用に点灯すること、を特徴とするカメラアダプタ。
【請求項6】
請求項5に記載したカメラアダプタにおいて、各該カメラアダプタの該コネクタパネルとその該ベースステーションとの間が、それぞれカメラケーブルで接続されると共に、各該ベースステーションと該調整室との間が、接続ケーブルで接続されており、
該カメラケーブルや該接続ケーブルを介し、該カメラアダプタそして該ポータブルビデオカメラに向けた電力供給と、該ポータブルビデオカメラからの映像信号の送信と、該ビューファインダへのリターン映像信号の送信と、該オンエアタリーランプへのタリー点灯信号の送信と、該インターカム機能用のインターカム音声信号の送受信と、該コールタリーランプへのタリー点灯信号の送信、等が行われること、を特徴とするカメラアダプタ。
【請求項7】
請求項6に記載したカメラアダプタにおいて、該ポータブルビデオカメラからの音声信号も、該コネクタパネル,該電子回路部,該カメラケーブル,該ベースステーション,該接続ケーブル等を介し、該調整室に送信可能となっていること、を特徴とするカメラアダプタ。
【請求項8】
請求項1に記載したカメラアダプタにおいて、該カメラアダプタは、上段と下段の2段構造よりなり、該上段側に、該ビューファインダの取付部と、該取付部に装着される該ビューファインダと、が配され、
該下段側に、該ポータブルビデオカメラの取付部と、該取付部に装着される該ポータブルビデオカメラと、該コネクタパネルと、該電子回路部とが配されると共に、
該オンエアタリーランプが、少なくとも該下段側に配され、かつ、該上段と下段との間が、左右のアーチ状フレームで連結されていること、を特徴とするカメラアダプタ。
【請求項9】
請求項8に記載したカメラアダプタにおいて、該下段下に、ドリー車輪を備えた脚部が配設されており、もって該カメラアダプタが、該スタジオ内を自在に移動可能となっていること、を特徴とするカメラアダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−89114(P2009−89114A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257115(P2007−257115)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(599052004)株式会社コスミックエンジニアリング (4)
【Fターム(参考)】