説明

カメラヘッド分離型カメラ装置およびその制御方法

【課題】安定した映像を出力することができるカメラヘッド分離型カメラ装置およびカメラヘッド分離型カメラ装置の制御方法を提供する。
【解決手段】カメラヘッドとカメラコントロールユニットをケーブルで接続するカメラヘッド分離型カメラ装置において,前記カメラコントロールユニットは,前記カメラヘッドの補正制御部へ所定のDC電圧を伝送する制御手段と,前記補正制御部が手を加えることなく伝送する前記DC電圧の電圧降下を測定する電圧測定部とを備え,前記カメラヘッドは,前記カメラコントロールユニットへ伝送するLVDS信号を伝送するLVDS変換ドライバと,前記電圧測定部によって測定されたDC電圧の電圧降下の値に基づいて振幅補正値及び立ち上がり補正値を生成する前記補正制御部と,前記補正制御部で生成された振幅補正値及び立ち上がり補正値により前記LVDS変換ドライバ部を制御するLVDS制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,カメラヘッドとそれを制御するカメラコントロールユニットとが分離されたカメラヘッド分離型カメラ装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来,CMOSなどの撮像素子を備えたカメラヘッドが,カメラヘッドの動作を制御するカメラコントロールユニット(以下CCU(camera control unit)と記載する)にカメラケーブルを介して着脱可能に接続されたカメラヘッド分離型カメラが知られている。このようなカメラヘッド分離型カメラは,例えば医療用や工業用の内視鏡等として用いられている。
【0003】
カメラヘッド分離型カメラ装置では,カメラヘッド内の撮像素子から得られた映像信号を,専用のケーブルでCCUへ送る。近年,高解像度化,高速化に伴って映像信号は,LVDS(Low Voltage Differential Signaling,低電圧差動信号処理)信号によるデジタル伝送されるようになった。LVDSは,高速伝送,小さな信号振幅,低消費電力,少ない電磁障害での信号処理が可能になるとされている。
【0004】
カメラヘッドからCCUへデジタルビデオ信号を送信する際,伝送距離が長くなった場合に正しくデジタルビデオ信号を伝送することが困難になる問題がある。この問題を解決する方法として,規定の伝送路を介して伝送された基準信号の信号レベルに基づいて,この伝送路によるデジタルビデオ信号の周波数特性の劣化を補うように,この伝送路を介して伝送対象に送出するデジタルビデオ信号の周波数特性を予め補正することが考案されている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−317251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カメラヘッドからCCUへ映像信号をLVDS信号で送信する場合,ケーブル長が長いとケーブルの内部抵抗による電圧降下で差動信号の振幅が小さくなり,また周波数特性により差動信号の立ち上がり時間,立ち下り時間が長くなるという現象が発生する。このためCCUにおいてデータ再生条件を満たさず,正確な情報を伝送できないという問題がある。
【0007】
図13はLVDS信号の波形の模式図である。LVDS信号が同じ立ち上がり(立ち下がり)のタイミングや電圧で複数続いていれば,品質の良い波形であり,アイマスク60の「アイが開いている」と言う。
【0008】
図14は,品質の悪いLVDS信号の波形の模式図である。ケーブル長が長くなっていくと差動信号の振幅電圧が小さくなり,また,周波数特性によるデータの高周波成分の減衰,つまりはデータの立ち上がり(立ち下がり)時間が長くなり,アイマスク60内に波形が侵入していき結果としてアイが閉じていく。
【0009】
本発明は上記したような事情に鑑み成されたものであって,ケーブル長の長短によらずカメラヘッドからCCUへLVDS信号を安定して送信することができ,安定した映像を出力することができるカメラヘッド分離型カメラ装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために,本発明のカメラヘッド分離型カメラ装置は,カメラヘッドとカメラコントロールユニットをケーブルで接続するカメラヘッド分離型カメラ装置において,前記カメラコントロールユニットは,前記カメラヘッドへ所定のDC(Direct Current)電圧を伝送する制御手段を備え,前記カメラヘッドは,前記カメラコントロールユニットへ伝送するLVDS(Low Voltage Differential Signaling)信号を伝送するLVDS変換ドライバと,前記LVDS変換ドライバ部を制御するLVDS制御部と,前記LVDS制御部に供給するLVDS信号の補正値を出力する補正制御部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また,本発明のカメラヘッド分離型カメラ装置は,カメラヘッドとカメラコントロールユニットをケーブルで接続するカメラヘッド分離型カメラ装置において,前記カメラヘッドは,前記カメラコントロールユニットへ伝送するLVDS(Low Voltage Differential Signaling)信号を伝送するLVDS変換ドライバ部と,前記LVDS変換ドライバ部を制御するLVDS制御部と,前記LVDS制御部に供給するLVDS信号の補正値を出力する補正制御部と,前記補正値を切替えるためのスイッチとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば,カメラヘッド分離型カメラ装置およびその制御方法において,ケーブル長の長短によらずカメラヘッドからCCUへLVDS信号を安定して送信することができ,安定した映像を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるカメラヘッド分離型カメラ装置の実施例1の構成を示すブロック図。
【図2】LVDS信号波形のアイマスクの例を示す図。
【図3】LVDS波形に補正が加えられた状態の波形の例を示す図。
【図4】電圧降下と補正値の関係のテーブルの例を示す図。
【図5】カメラヘッド分離型カメラ装置の動作の例を示したフロー図。
【図6】実施例2に係わるカメラヘッド分離型カメラ装置の構成を示すブロック図。
【図7】実施例2に係わる電圧降下と補正値の関係のテーブルの例を示す図。
【図8】実施例3に係わるカメラヘッド分離型カメラ装置の構成を示すブロック図。
【図9】実施例3のカメラヘッド分離型カメラ装置の概観図。
【図10】実施例3に係わるスイッチ設定値と補正値の関係のテーブルの例を示す図。
【図11】実施例4に係わるカメラヘッド分離型カメラ装置の構成を示すブロック図。
【図12】実施例4に係わるスイッチ設定値と補正値の関係のテーブルの例を示す図。
【図13】品質の良いLVDS信号の波形の模式図。
【図14】品質の悪いLVDS信号の波形の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は,本発明によるカメラヘッド分離型カメラ装置の実施例1の構成を示すブロック図である。ヘッド分離型カメラ1は,カメラヘッド2とそれを制御するCCU9をカメラケーブル15で接続する構成となっている。
【0016】
カメラヘッド2は,レンズ(図示せず)を介して入射された被写体の光学像が,例えばCMOSセンサ等でなる撮像素子3の受光面に結像される。撮像素子3は,その受光面に結像された光学像を,それに対応した映像信号に変換してLVDS変換ドライバ4に出力する。
【0017】
LVDS変換ドライバ4は,撮像素子3から出力されたデジタル映像信号をシリアライズしてLVDS信号に変換し,カメラケーブル15を介してCCU9へ出力する。
【0018】
LVDS制御部5は,LVDS変換ドライバ4がLVDS信号を生成する際にLVDS信号波形の振幅電圧調整や立ち上がり(立ち下がり)部の強化を行う。LVDS信号は,高速デジタル伝送を実現するために小さな信号振幅で伝送されるが,ケーブル15の内部抵抗による電圧降下により差動信号の振幅電圧がさらに小さくなり,また周波数特性による映像データの高周波成分の減衰,つまりはデータの立ち上がり(立ち下がり)時間が長くなるため,ケーブル15の影響を考慮して,信号波形の振幅電圧調整や立ち上がり(立ち下がり)部の強化を行う。調整の種類や大きさは補正制御部6から伝送される補正値17によって決められる。
【0019】
補正制御部6は,電圧降下を算出しLVDS制御部5に供給するLVDS信号の補正値17を出力する。補正制御部6は,CCU9から伝送されたDC電圧の電圧値を測定する電圧測定部7と,電圧効果の大きさとCCU9における再生状態に基づいて予め設定された補正値17を記憶する記憶手段8を備えている。
【0020】
電圧測定部7は,CCU9から伝送されたDC電圧の電圧値を測定し,測定した電圧値に基づいて所定の電圧値からの電圧降下の値を算出する。記憶手段8はROM(Read Only Memory)あるいはフラッシュメモリであって,LVDS制御部5に供給するLVDS信号の補正値17のテーブル18を記憶する。補正制御部6は,電圧降下の値に基づいてテーブル18から補正値17を抽出してLVDS制御部5へ供給する。
【0021】
CCU9のLVDSレシーバ10は,カメラヘッド2のLVDS変換ドライバ4から送信されたLVDS信号を受信し,差動シリアル信号をデシリアライズして,信号処理部11へ信号を伝送する。
【0022】
信号処理部11は,制御部14からの制御信号に基づいて予め設定された各種の所定の信号処理を施し,生成した映像信号を出力回路12へ伝送する。出力回路12は,表示装置等に映像信号を出力する。
【0023】
制御部14は,MPU(micro processing unit)を備えており,バス13を介して接続されたLVDSレシーバ10,信号処理部11,出力回路12を制御する。制御部14は,カメラヘッド2の補正制御部6へ所定の電圧を伝送する。制御部14はLVDSレシーバ10がカメラヘッド2から送信されたLVDS信号を正確にラッチしているかどうかを監視し,映像信号が正確に再生されているかどうかを監視する。
【0024】
図2は,LVDSレシーバ10が受信した状態におけるLVDS信号波形のアイマスクの例を示す図である。ケーブル15の影響による電圧降下が大きくなると差動信号の振幅が小さくなり,差動信号の立ち上がり時間,立下り時間が長くなるという現象が発生する。CCU9における映像信号の再生条件を満たしているかはLVDS信号の1UI(Unit Interval)のアイマスク16で判断できる。この領域に波形が掛かると情報を正確にラッチできず誤ったデータを再生する可能性がある。
【0025】
図2に示すように振幅電圧A1,時間T1で示す所定の大きさのアイマスク16の中に,LVDS信号が掛かると映像情報を再生できなくなる可能性がある。従ってLVDSレシーバ10におけるアイマスク16は,振幅電圧A1,時間T1で示す所定の大きさのアイマスク16より常に大きければ,安定した再生が可能となる。
【0026】
ケーブル15の内部抵抗による電圧降下の大きさと周波数特性には相関関係があり,ケーブル長が長くなると差動信号の振幅電圧が小さくなり,また,周波数特性によりデータの高周波成分が減衰してデータの立ち上がり(立ち下がり)時間が長くなり,アイマスク16内に波形が侵入する。カメラヘッド2とCCU9の工場における製造段階において,ケーブル長による電圧降下の大きさと再生状態の関係を調査することによって,ケーブル長によるデータ再生状態の良否を知ることができる。
【0027】
電圧降下が大きくなってデータ再生状態が悪化したとき,LVDS変換ドライバ4がLVDS信号を生成する際に信号波形の振幅電圧調整や立ち上がり(立ち下がり)部の強化を行うことによって,LVDSレシーバ10が受信したときに電圧降下の影響を受けない状態の信号に近づけることができる。
【0028】
図3は,LVDS変換ドライバ4が出力するLVDS波形に補正が加えられた状態の波形の例を示す図である。一点鎖線で示した波形は,補正を加える前の波形である。立ち上がり(立ち下がり)補正を加えることによって,アイマスク内に波形が侵入することを防ぐことができる。
【0029】
補正の必要がないほどケーブル長が短い場合は,これらの補正は加えない方がよい。立ち上がり補正を加えることによって立ち上がり補正の後半部分にアンダーシュートが発生し,波形が乱れる原因となる。また補正を加えることによりLVDS変換ドライバ4の消費電力が大きくなると共に,発熱による影響が懸念される。ケーブル長に応じて適正な大きさの補正値を加える必要がある。
【0030】
図4は,電圧降下と補正値の関係のテーブル18の例を示す図である。電圧降下の大きさはCCU9の制御部14が所定の電圧,例えばVaをカメラヘッド2の補正制御部6へ伝送し,電圧測定部7での電圧がVbであった場合には電圧降下Vcは,Vc=Va−Vbによって求めることができる。ケーブル15の長さを変えて電圧降下の大きさと再生条件を測定し,正確に再生できる波形となる補正値を見つけ出し,図4に示すようなテーブル18を作成することができる。テーブル18にはV1からVnまでn個の電圧降下の値に対してn個の振幅補正値とn個の立ち上がり補正値がそれぞれ対応している。テーブル18の情報を,補正制御部6の記憶手段8に製造段階で記憶させる。
【0031】
図5は,カメラヘッド分離型カメラ装置1の動作の例を示したフロー図である。利用者が実際にカメラヘッド分離型カメラ装置1を使用するときには,任意の長さのケーブルが使用され,カメラヘッド2とCCU9が接続される。
【0032】
S11において,CCU9の電源が投入された後で,CCU9の制御部14が所定の電圧をカメラヘッド2の補正制御部6へ伝送する。S12において,電圧測定部7が電圧値を測定する。S13において,電圧測定部7は,測定した電圧値に基づいて所定の電圧値からの電圧降下の大きさを算出する。
【0033】
S14において,補正制御部6は,電圧降下の大きさに基づいて記憶手段8のテーブル18から補正値17を抽出する。補正値17には,振幅補正ちと立ち上がり(立ち下がり)補正値が含まれている。図4に示したテーブル18において,例えば,電圧降下の値がV1以上V2未満であった場合には,振幅補正値はA1,立ち上がり補正値はE1を抽出する。
【0034】
S15において,補正制御部6は,抽出した補正値17をLVDS制御部5へ伝送する。S16において,LVDS制御部5は,補正値17に基づいて,LVDS変換ドライバ4がLVDS信号を生成する際にLVDS信号波形の振幅電圧調整や立ち上がり(立ち下がり)部の強化を行う。
【0035】
S17において,LVDS変換ドライバ4が,LVDS制御部5の制御信号に基づいて,撮像素子3から伝送されたデジタル映像信号をシリアライズしてLVDS信号を生成する。S18において,LVDS変換ドライバ4が,生成したLVDS信号をカメラケーブル15を介してCCU9へ出力する。S19において,CCU9のLVDSレシーバ10がLVDS信号を受信する。
【0036】
以上のように,電圧測定部7がケーブル15による電圧降下を測定し,補正制御部6が予め記憶した電圧降下と補正値関係を示すテーブル18から補正値17を抽出し,その補正値17に基づいてLVDS制御部5がLVDS信号波形を調整し,LVDS変換ドライバ4がLVDS信号の波形を生成して送信することによって,CCU9において正確な映像信号を再生することができる。
【実施例2】
【0037】
図6は,実施例2に係わるカメラヘッド分離型カメラ装置20の構成を示すブロック図である。この実施例2の各部について,図1に示す実施例1のカメラヘッド分離型カメラ装置の各部と同一部分は同一符号である。この実施例2が実施例1と異なる点は,カメラヘッド21は,電圧降下を測定せず,CCU24が,カメラヘッド21から伝送されたDC電圧の電圧値を測定する電圧測定部26を備えることにある。
【0038】
CCU24の電源が投入された後で,CCU24の制御部25が所定の電圧をカメラヘッド21の補正制御部22へ供給する。補正制御部22は,CCU24から供給された電圧値を手を加えることなく,その電圧値を,制御部25へ伝送する。制御部25内の電圧測定部26が電圧値を測定し,電圧降下の値を算出する。したがって電圧降下の大きさはケーブル15を往復した場合の電圧降下に相当する。制御部25は,電圧降下の値を補正制御部22に送信する。
【0039】
補正制御部22は,制御部25から送信された電圧降下の大きさに基づいて記憶手段23のテーブル28から補正値27を抽出する。補正値27には,振幅補正値と立ち上がり補正値が含まれている。
【0040】
図7は,実施例2に係わる電圧降下と補正値の関係のテーブル28の例を示す図である。電圧降下の大きさはCCU24の制御部25が所定の電圧,例えばVeをカメラヘッド21の補正制御部22へ伝送し,さらに補正制御部22から制御部25へ伝送され,電圧測定部26での電圧がVfであった場合には電圧降下Vgは,Vg=Ve−Vfによって求めることができる。ケーブル15の長さを変えて電圧降下の値と周波数特性の関係を調査することによって図7に示すようなケーブル長と再生可能な補正値の対応テーブルを作成することができる。テーブル28にはVs1からVsnまでn個の電圧降下の値に対してn個の振幅補正値とn個の立ち上がり補正値がそれぞれ対応している。テーブル28の情報を,補正制御部22の記憶手段23に製造段階で記憶させる。
【0041】
図7に示したテーブル28において,例えば,電圧降下の値がVs1であった場合には,振幅補正値はAs1,立ち上がり補正値はEs1を抽出する。補正制御部22は,抽出した補正値27をLVDS制御部5へ伝送する。
【0042】
以上のように,電圧測定部26が,CCU24からカメラヘッド21へ伝送され,さらにカメラヘッド21からCCU24へ伝送されたときのケーブル15による電圧降下を測定し,その電圧降下の値を補正制御部22へ送信し,補正制御部22が予め記憶した電圧降下と補正値関係を示すテーブル28から補正値27を抽出し,その補正値27に基づいてLVDS制御部5がLVDS信号波形を調整し,LVDS変換ドライバ4がLVDS信号の波形を生成して送信することによって,CCU24において正確な映像信号を再生することができる。
【実施例3】
【0043】
図8は,実施例3に係わるカメラヘッド分離型カメラ装置30の構成を示すブロック図である。この実施例3の各部について,図1に示す実施例1のカメラヘッド分離型カメラ装置の各部と同一部分は同一符号である。この実施例3が実施例1と異なる点は,カメラヘッド31は電圧降下の測定を行わず,カメラヘッド31に補正値を切替えるためのスイッチ34が備えられていることにある。利用者が,ケーブル37の長さによって補正値を選択できる。
【0044】
補正制御部32は,スイッチ34によって設定された補正値38を出力する。補正制御部32は,CCU9における再生状態に基づいて予め設定された補正値38を記憶する記憶手段33を備えている。記憶手段8はROM(Read Only Memory)あるいはフラッシュメモリであって,LVDS制御部5に供給するLVDS信号の補正値38のテーブル39を記憶する。補正制御部32は,スイッチ34で設定された補正値38をテーブル39から抽出してLVDS制御部5へ供給する。
【0045】
CCU35の制御部36は,MPUを備えており,バス13を介して接続されたLVDSレシーバ10,信号処理部11,出力回路12を制御する。制御部14はLVDSレシーバ10がカメラヘッド31から送信されたLVDS信号を正確にラッチしているかどうかを監視し,映像信号が正確に再生されているかどうかを監視する。
【0046】
図9は,実施例3に係わるカメラヘッド分離型カメラ装置30の概観図である。カメラヘッド31の筐体にはスイッチ34が備えられている。スイッチ34を利用者が操作することによって補正値38を選択することができる。
【0047】
図10は,実施例3に係わるスイッチ設定値と補正値の関係のテーブルの例を示す図である。ケーブル37の長さを変えてケーブル長と再生状態の関係を調査し,スイッチの設定値と補正値の関係を示すテーブル39を作成することができる。テーブル39にはSW1からSWnまでn個の設定値に対してn個の振幅補正値とn個の立ち上がり補正値がそれぞれ対応している。テーブル39の情報を,補正制御部32の記憶手段33に製造段階で記憶させる。
【0048】
図10に示したテーブル39において,例えば,スイッチの設定値がSW1であった場合には,振幅補正値はAsw1,立ち上がり補正値はEsw1を抽出する。補正制御部32は,抽出した補正値38をLVDS制御部5へ伝送する。
【0049】
以上のように,補正制御部32が予め記憶したスイッチ34の設定値と補正値38の関係を示すテーブル39から補正値38を抽出し,その補正値38に基づいてLVDS制御部5がLVDS信号波形を調整し,LVDS変換ドライバ4がLVDS信号の波形を生成して送信することによって,CCU35おいて正確な映像信号を再生することができる。
【実施例4】
【0050】
図11は,実施例4に係わるカメラヘッド分離型カメラ装置40の構成を示すブロック図である。この実施例4の各部について,図8に示す実施例3のカメラヘッド分離型カメラ装置の各部と同一部分は同一符号である。この実施例4が実施例3と異なる点は,カメラヘッド41に補正値を切替えるためのスイッチはなく,CCU44にスイッチ46が備えられており,スイッチ46の設定値を制御部45がカメラヘッド41の補正制御部42へ伝送することにある。利用者がケーブル48の長さによって,補正値を選択できる。
【0051】
CCU44の出力回路12から映像信号が表示装置47に送出され,スイッチ46の設定値をOSD(On Screen Display)メニューによって表示装置47の画面に表示しながら設定することができる。尚,表示装置47は,CCU44の筐体の内部にあってもよいし,またはCCU44の筐体とは別の外部の筐体であってもよい。
【0052】
CCU44の制御部45は,MPUを備えており,バス13を介して接続されたLVDSレシーバ10,信号処理部11,出力回路12を制御する。制御部45はLVDSレシーバ10がカメラヘッド41から送信されたLVDS信号を正確にラッチしているかどうかを監視し,映像信号が正確に再生されているかどうかを監視する。制御部45は,スイッチ46によって設定された値をケーブル48を介してカメラヘッド41の補正制御部42へ送信する。
【0053】
補正制御部42は,制御部45から送信されたスイッチ46の設定値によって補正値49を出力する。補正制御部42は,CCU44における再生状態に基づいて予め設定された補正値49を記憶する記憶手段43を備えている。記憶手段43はROM(Read Only Memory)あるいはフラッシュメモリであって,LVDS制御部5に供給するLVDS信号の補正値49のテーブル50を記憶する。補正制御部42は,補正値49をテーブル50から抽出してLVDS制御部5へ供給する。
【0054】
図12は,実施例4に係わるスイッチ設定値と補正値の関係のテーブル50の例を示す図である。ケーブル48の長さを変えてケーブル長と再生状態の関係を調査し,スイッチの設定値と補正値の関係を示すテーブル50を作成することができる。テーブル50にはSWc1からSWcnまでn個の設定値に対してn個の振幅補正値とn個の立ち上がり補正値がそれぞれ対応している。テーブル50の情報を,補正制御部42の記憶手段43に製造段階で記憶させる。
【0055】
図12に示したテーブル50において,例えば,スイッチの設定値がSWc1であった場合には,振幅補正値はAswc1,立ち上がり補正値はEswc1を抽出する。補正制御部42は,抽出した補正値49をLVDS制御部5へ伝送する。
【0056】
以上のように,補正制御部42がCCU44のスイッチ46によって設定された値を制御部45より受信し,補正制御部42が予め記憶したスイッチ46の設定値と補正値49の関係を示すテーブル50から補正値49を抽出し,その補正値49に基づいてLVDS制御部5がLVDS信号波形を調整し,LVDS変換ドライバ4がLVDS信号の波形を生成して送信することによって,CCU44おいて正確な映像信号を再生することができる。
【実施例5】
【0057】
図11に示したカメラヘッド分離型カメラ装置40の構成を示すブロック図において,制御部45は,LVDSレシーバ10がカメラヘッド41から送信されたLVDS信号を正確にラッチしているかどうかを監視し,映像信号が正確に再生されているかどうかを監視しているが,LVDSレシーバ10がLVDS信号をラッチできなかったり,映像信号が正確に再生できない場合に,制御部45は,カメラヘッド41を再起動する。
【0058】
制御部45は,カメラヘッド41を再起動するとき,補正値49の値を変化させる。例えば,図12に示したテーブル50において,設定値がSWc1,振幅補正値がAswc1,立ち上がり補正値がEswc1から設定値がSWc2,振幅補正値がAswc2,立ち上がり補正値がEswc2へ,補正値が大きくなるように変化させる。LVDSレシーバ10がカメラヘッド41から送信されたLVDS信号を正確にラッチできるまで,または映像信号が正確に再生されるまで,制御部45は,再起動を繰り返す。このようにすることによって,CCU44おいて正確な映像信号を再生することができる。
【0059】
なお,本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく,実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また,上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより,種々の発明を形成できる。例えば,実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 カメラヘッド分離型カメラ装置
2 カメラヘッド
3 撮像素子
4 LVDS変換ドライバ
5 LVDS制御部
6 補正制御部
7 電圧測定部
8 記憶手段
9 CCU
10 LVDSレシーバ
11 信号処理部
12 出力回路
13 バス
14 制御部
15 ケーブル
16 アイマスク
17 補正値
18 テーブル
20 カメラヘッド分離型カメラ装置
21 カメラヘッド
22 補正制御部
23 記憶手段
24 CCU
25 制御部
26 電圧測定部
27 補正値
28 テーブル
30 カメラヘッド分離型カメラ装置
31 カメラヘッド
32 補正制御部
33 記憶手段
34 スイッチ
35 CCU
36 制御部
37 ケーブル
38 補正値
39 テーブル
40 カメラヘッド分離型カメラ装置
41 カメラヘッド
42 補正制御部
43 記憶手段
44 CCU
45 制御部
46 スイッチ
47 表示装置
48 ケーブル
49 補正値
50 テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラヘッドとカメラコントロールユニットをケーブルで接続するカメラヘッド分離型カメラ装置において,
前記カメラコントロールユニットは,前記カメラヘッドの補正制御部へ所定のDC(Direct Current)電圧を伝送する制御手段と,前記補正制御部が手を加えることなく伝送する前記DC電圧の電圧降下を測定する電圧測定部とを備え,
前記カメラヘッドは,前記カメラコントロールユニットへ伝送するLVDS信号を伝送するLVDS変換ドライバと,前記電圧測定部によって測定されたDC電圧の電圧降下の値に基づいて振幅補正値及び立ち上がり補正値を生成する前記補正制御部と,前記補正制御部で生成された振幅補正値及び立ち上がり補正値により前記LVDS変換ドライバ部を制御するLVDS制御部とを備えることを特徴とするカメラヘッド分離型カメラ装置。
【請求項2】
前記補正制御部は,この補正制御部が手を加えることなく伝送する前記電圧降下の大きさと前記LVDS制御部に供給するLVDS信号の振幅補正値及び立ち上がり補正値を記憶する記憶手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載のカメラヘッド分離型カメラ装置。
【請求項3】
カメラヘッドとカメラコントロールユニットをケーブルで接続するカメラヘッド分離型カメラ装置において,
前記カメラヘッドまたは前記カメラコントロールユニットは,振幅補正値及び立ち上がり補正値を切替えるためのスイッチを備え,
前記カメラヘッドは,前記カメラコントロールユニットの補正制御部へ伝送するLVDS信号を伝送するLVDS変換ドライバ部と,前記スイッチによる選択に基づき振幅補正値及び立ち上がり補正値を切替えて出力する補正制御部と,前記補正制御部で切替えられた振幅補正値及び立ち上がり補正値により前記LVDS変換ドライバ部を制御するLVDS制御部とを備えたことを特徴とするカメラヘッド分離型カメラ装置。
【請求項4】
前記補正制御部は,前記ケーブル長と前記カメラコントロールユニットにおける再生状態に基づいて予め設定された振幅補正値及び立ち上がり補正値を記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする請求項3記載のカメラヘッド分離型カメラ装置。
【請求項5】
前記カメラヘッドが,前記スイッチを備える
ことを特徴とする請求項3記載のカメラヘッド分離型カメラ装置。
【請求項6】
前記カメラコントロールユニットが,前記スイッチを備える
ことを特徴とする請求項3記載のカメラヘッド分離型カメラ装置。
【請求項7】
前記カメラコントロールユニットは,前記振幅補正値及び立ち上がり補正値の情報を外部の表示装置に表示する出力回路を備えたことを特徴とする請求項3記載のカメラヘッド分離型カメラ装置。
【請求項8】
カメラヘッドとカメラコントロールユニットをケーブルで接続するカメラヘッド分離型カメラ装置での制御方法であって,
前記カメラコントロールユニットが,前記カメラヘッドの補正制御部へ所定のDC(Direct Current)電圧を伝送するステップと,
前記カメラヘッドのLVDS変換ドライバが,前記カメラコントロールユニットへLVDS信号を伝送するステップと,
前記補正制御部が,この補正制御部が手を加えることなく伝送し,電圧測定部によって測定されたDC電圧の電圧降下の値に基づいて振幅補正値及び立ち上がり補正値を生成するステップと,
LVDS制御部が,前記LVDS変換ドライバ部を制御するステップと,
を備えることを特徴とするカメラヘッド分離型カメラ装置の制御方法。
【請求項9】
カメラヘッドとカメラコントロールユニットをケーブルで接続するカメラヘッド分離型カメラ装置において,
前記カメラコントロールユニットは,前記カメラヘッドの補正制御部へ所定のDC(Direct Current)電圧を伝送する制御手段を備え,
前記カメラヘッドは,前記カメラコントロールユニットへ伝送するLVDS信号を伝送するLVDS変換ドライバと,前記DC電圧の電圧降下を測定する電圧測定部と,前記電圧測定部によって測定されたDC電圧の電圧降下の値に基づいて振幅補正値及び立ち上がり補正値を生成する前記補正制御部と,前記補正制御部で生成された振幅補正値及び立ち上がり補正値により前記LVDS変換ドライバ部を制御するLVDS制御部とを備えることを特徴とするカメラヘッド分離型カメラ装置。
【請求項10】
前記補正制御部は,前記電圧降下の大きさと前記LVDS制御部に供給するLVDS信号の振幅補正値及び立ち上がり補正値を記憶する記憶手段とを備えたことを特徴とする請求項9記載のカメラヘッド分離型カメラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−254525(P2011−254525A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167559(P2011−167559)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【分割の表示】特願2009−179526(P2009−179526)の分割
【原出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】