説明

カメラボディ、カメラシステム、および、プログラム

【課題】オートフォーカス処理において合焦状態であると判定する迄に要する時間を短縮する。
【解決手段】カメラボディ100は、フォーカシングレンズの位置を制御するレンズ駆動制御部524と、フォーカシングレンズの位置に応じたデフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲内にあるか否かに基づいて合焦を判定する合焦判定部521とを備える。合焦判定部521は、デフォーカス量が、レンズ駆動制御部524の制御によるフォーカシングレンズの位置の変化に伴って、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲の下限値未満の値から上限値超の値に変化した場合、又は、上限値超の値から下限値未満の値に変化した場合、第1の合焦判定基準に加えて、許容合焦範囲が第1の合焦判定基準に比べ拡大された第2の合焦判定基準に従って合焦を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラボディ、カメラシステム、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラボディとカメラボディに着脱可能な交換レンズとを備えるレンズ交換式のカメラシステムがある(例えば、特許文献1参照)。
このレンズ交換式のカメラシステムにおいては、カメラボディに装着される交換レンズの種類を変更することにより、様々な種類の光学系を介しての撮影が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−275890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、近年では、フォーカシングレンズの光軸方向の位置を自動的に駆動させて合焦させるオートフォーカス方式のカメラシステムも普及している。
しかしながら、フォーカシングレンズの微細な位置の制御の困難性などに起因し、フォーカシングレンズの位置を所望の位置に移動させて合焦状態であると判定する迄に要する時間、即ち、オートフォーカス処理において合焦状態であると判定する迄に要する時間が長くなってしまう場合がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、オートフォーカス処理において合焦状態であると判定する迄に要する時間を短縮させることができるカメラボディ、カメラシステム、および、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明は、フォーカシングレンズの位置を制御するレンズ駆動制御部と、前記フォーカシングレンズの位置に応じたデフォーカス量が、前記第1の合焦判定基準の許容合焦範囲内にあるか否かに基づいて合焦を判定する合焦判定部とを備え、前記合焦判定部は、前記デフォーカス量が、前記レンズ駆動制御部の制御による前記フォーカシングレンズの位置の変化に伴って、前記第1の合焦判定基準の許容合焦範囲の下限値未満の値から上限値超の値に変化した場合、又は、前記上限値超の値から前記下限値未満の値に変化した場合、前記第1の合焦判定基準に加えて、許容合焦範囲が前記第1の合焦判定基準に比べ拡大された第2の合焦判定基準に従って合焦を判定することを特徴とするカメラボディである。
[2]また、本発明は、上記記載のカメラボディと、上記記載のカメラボディが備える接続部に接続する第2の交換レンズ、又は、アクセサリーを介して接続部に接続する第1の交換レンズの何れかの交換レンズとを備えることを特徴とするカメラシステムである。
[3]また、本発明は、カメラボディのコンピュータに、フォーカシングレンズの位置を制御するレンズ駆動制御ステップと、前記フォーカシングレンズの位置に応じたデフォーカス量が、前記第1の合焦判定基準の許容合焦範囲内にあるか否かに基づいて合焦を判定する合焦判定ステップとを実行させるプログラムであって、前記合焦判定ステップは、前記デフォーカス量が、前記レンズ駆動制御部の制御による前記フォーカシングレンズの位置の変化に伴って、前記第1の合焦判定基準の許容合焦範囲の下限値未満の値から上限値超の値に変化した場合、又は、前記上限値超の値から前記下限値未満の値に変化した場合、前記第1の合焦判定基準に加えて、許容合焦範囲が前記第1の合焦判定基準に比べ拡大された第2の合焦判定基準に従って合焦を判定することを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、オートフォーカス処理において合焦状態であると判定する迄に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態によるカメラシステムの構成を示す斜視図である。
【図2】アダプターの構成の一例を示す斜視図である。
【図3】カメラシステムの機能ブロック図の一例である。
【図4】合焦制御に関する機能ブロック図の一例である。
【図5】合焦判定基準記憶部に記憶される情報の一例である。
【図6】比較のために示す合焦判定の処理を説明するための説明図である。
【図7】合焦判定部の処理を説明するための説明図である。
【図8】合焦判定基準設定部の処理を説明するための説明図である。
【図9】表示部の表示例である。
【図10】撮影時に使用するプログラム線図の一例である。
【図11】撮影時に使用するプログラム線図の一例である。
【図12】撮影時に使用するプログラム線図の一例である。
【図13】カメラ制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【図14】カメラ制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【図15】アダプターを使用しない状態の合焦制御に関する機能ブロック図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるカメラシステム1の構成を示す斜視図である。
図1に示すカメラシステム1は、レンズ交換式のカメラシステムであり、カメラボディ100と、交換レンズ200と、カメラボディ100と交換レンズ200との間に設けられ、カメラボディ100と交換レンズ200とに対してそれぞれ着脱可能に固定されるアダプター300と、を備えている。
図1において、アダプター300は、カメラボディ100に装着されている。また、交換レンズ200は、アダプター300を介してカメラボディ100に装着されている。
【0010】
上記カメラシステム1において、カメラボディ100が備えているレンズマウントであるカメラボディ側マウント101の仕様と、交換レンズ200が備えているレンズマウントであるレンズ側マウント201の仕様とは、互いに異なる仕様である。例えば、カメラボディ側マウント101の仕様とレンズ側マウント201の仕様とでは、マウント形状の仕様、電気的に接続される接続端子の仕様が互いに異なる。また、該接続端子を介して通信される通信規格や通信データの種類等も互いに異なる。そのため、交換レンズ200をカメラボディ100に直接装着することはできない。
そこで、アダプター300は、カメラボディ100と交換レンズ200とを間接的に装着可能にするマウントアダプターとして構成されている。さらに、アダプター300は、互いに異なる通信規格や通信データの種類を持つカメラボディ100と交換レンズ200との間で、それら通信規格等を変更すること無く、両者間の通信を可能とするように構成されている。
また、カメラボディ100は、電源釦131と、レリーズ釦132と、背面操作部133と、表示部150と、を備えている。
電源釦131は、カメラボディ100における主電源のオンとオフとを切替えるための操作部材である。
レリーズ釦132は、撮影処理開始の指示を受け付ける操作部材である。例えば、レリーズ釦132は、半押しされた状態(半押し状態、例えば、焦点調整、露出調整等を受け付ける状態)と全押しされた状態(全押し状態、例えば、露光開始の指示を受け付ける状態)との2種類の撮影処理開始の指示を受け付ける。
背面操作部133は、カメラボディ100の筐体面のうちカメラボディ側マウント101を備えている面と反対面である背面に設けられている。背面操作部133は、例えば、動作モードの選択釦(例えば、モードダイヤル)、または、各種設定条件の選択釦(例えば、メニュー釦や上下左右選択釦)等の操作部材を含んで構成されている。
表示部150は、背面操作部133と同様に背面に設けられており、撮影された画像、または、各種設定条件を選択させるメニュー画面等を表示する。表示部150は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等を含んで構成されている。
【0011】
図2は、アダプター300の構成の一例を示す斜視図である。
アダプター300は、カメラボディ100を着脱可能な第1マウント部と、第1マウント部とは別に設けられており、交換レンズ200を着脱可能な第2マウント部と、を備えている。
例えば図2に示すように、アダプター300は、カメラボディ100が備えているカメラボディ側マウント101に着脱可能な第1マウント301(第1マウント部)と、交換レンズ200が備えているレンズ側マウント201に着脱可能な第2マウント302(第2マウント部)と、を備えている。
なお、第1マウント301の近傍には、カメラボディ側マウント101の近傍に設けられている複数の電気的な接続端子のそれぞれに対応する、複数の電気的な接続端子(マウント接点)が設けられて入る。これにより、アダプター300は、カメラボディ100に装着されると、これら複数の接続端子を介して、カメラボディ100と電気的に接続される。
また、第2マウント302の近傍には、レンズ側マウント201の近傍に設けられている複数の電気的な接続端子のそれぞれに対応する複数の電気的な接続端子を備えている。これにより、アダプター300は、交換レンズ200に装着されると、これら複数の接続端子を介して交換レンズ200と電気的に接続される。
【0012】
また、アダプター300は、アダプター300を三脚に取り付け可能とするための三脚座305と、レンズ着脱釦306と、絞り連動レバー350と、を備えている。
レンズ着脱釦306は、交換レンズ200が装着されることに応じて機械的にロックされるロック機構のロックを解除するための釦である。つまり、レンズ着脱釦306は、ユーザが、アダプター300に装着されている交換レンズ200を取り外す際に操作する操作部材である。
【0013】
絞り連動レバー350(絞り連動機構部)は、交換レンズ200の絞りによる絞り開口径(絞りによる絞り込み量、開口サイズ、開口率、絞り値)を変化させる複数の絞り羽根を含む絞り機構(非図示)を変位させるためのレバーとしてアダプター300に備えられている。絞り連動レバー350の位置が、アダプター300の内周に沿った方向に移動することで、交換レンズ200の絞りの開口径が変化するよう構成されている。
例えば、交換レンズ200は、絞り機構を変位させる絞りレバー(非図示)を備えている。したがって、交換レンズ200の絞り開口径は、絞りレバーの位置が移動することで変位する。そして絞りレバーは、絞り連動レバー350と勘合し、絞り連動レバー350と連動して移動するよう構成されている。このため交換レンズ200の絞り開口径は、絞り連動レバー350の位置が移動することで変化する。
すなわち、絞り連動レバー350は、交換レンズ200が備えている絞り機構(絞り)の絞り値に応じた位置に移動する。
【0014】
図3は、カメラシステム1の機能ブロック図の一例である。
カメラシステム1の交換レンズ200は、図3に示すように、接続部201sを含むレンズ側マウント201、距離環202、レンズ制御部(CPU)210、光学系220、及び、光学系駆動部230を備える。光学系220は、絞りユニット250を備える。距離環202は、焦点距離を変化させるために交換レンズ200の筐体に回転可能に配された環状の操作受付部である。即ち、ユーザが距離環202を操作した場合(回転させた場合)、当該操作に応じて光学系220内のレンズの位置が変化し、当該変化に応じて焦点距離が変化する。
【0015】
カメラシステム1のアダプター300は、図3に示すように、接続部301sを含む第1マウント301、接続部302sを含む第2マウント302、アダプター制御部(CPU)310、及び、絞り連動レバー駆動部330を備える。
【0016】
カメラシステム1のカメラボディ100は、図3に示すように、接続部101sを含むカメラボディ側マウント101、シャッター102、信号処理部103、カメラ制御部(CPU)110、操作受付部130、画像処理部140、表示部150、記憶部160、バッファメモリ部170、及び、記憶媒体制御部180を備える。
【0017】
カメラ制御部110は、バス199を介して、各部を制御する。バス199は、各部を接続し、各部から出力された画像データ、制御信号等を転送する。
【0018】
シャッター102は、交換レンズ200(光学系220)からアダプター300を介してカメラボディ100内に到達する光学像を、信号処理部103側に通過、又は、遮断(信号処理部103側への通過を規制)する。なお、シャッター102は機械制御されるシャッターでもよいし、電子制御されるシャッターでもよい。
【0019】
信号処理部103は、撮影素子104、及び、AD変換部105を備え、光学像に基づいて画像データを生成する。例えば、撮影素子104は、受光面に結像した光学像を電気信号に変換して、AD変換部105に出力する。AD変換部105は、撮影素子104から出力された電気信号をデジタル信号に変換して、バッファメモリ部170に出力する。
【0020】
また撮影素子104は、焦点検出も行うAFセンサとしても機能する。例えば、撮影素子104の一部に焦点検出用の素子が含まれており、被写体光学像の像面位相差を検出することで焦点検出を行うことができる。さらに、撮影素子104で撮影(信号処理部103で生成)した画像データのコントラストを検出することで焦点検出を行うこともできる。焦点検出のための信号値は、カメラ制御部110によるオートフォーカスの合焦判定、及び、光学系220を合焦状態となる位置に移動させる移動量(デフォーカス量)の検出等に用いられる。なお、撮影素子104とは別にAFセンサを設けてもよい。その場合、交換レンズ200(光学系220)からアダプター300を介してカメラボディ100内に到達する光学像は、例えば、ハーフミラー(非図示)を介して、AFセンサに到達し、位相差が検出できるよう構成すればよい。
【0021】
操作受付部130は、ユーザからの指示操作を受け付ける。操作受付部130は、カメラボディ100の筐体に配された電源スイッチ131(図1参照)、レリーズ釦132(図1参照)、背面操作部133(図1参照。例えば、十字キー、OKキ−)の操作による操作情報(操作入力)、及び、表示部150(図1参照)に表示された操作画面上のアイコン、選択項目、OK釦等の押下等による操作情報を受け付ける。操作受付部130は、受け付けた操作情報をカメラ制御部110に出力する。
【0022】
表示部150は、例えば、筐体の背面(図1の斜視図においてアダプター300の着脱側と反対側)に配した液晶ディスプレイである。表示部150は、種々の情報(例えば、画像データ、操作画面等)を表示する。
【0023】
記憶部160は、種々の情報(例えば、参照情報、生成情報)を記憶する領域である。具体的には、記憶部160には、各種モードの選択条件/制限条件、合焦判定基準、撮影条件(例えば、プログラム線図)、画像処理条件、表示制御条件、画像データなどが記憶される。
【0024】
バッファメモリ部170は、信号処理部103(AD変換部105)から出力されたデジタル信号を一時的に記憶する領域である。
【0025】
画像処理部140は、バッファメモリ部170に記憶されているデジタル信号から画像データを生成する。画像処理部140によって生成される画像データには、操作受付部130を介して撮影指示を受け付けた際に生成される撮影画像データのほか、上記撮影指示を受け付けていない状態において連続的に得られるスルー画像データ(以下、スルー画とも称する)も含まれる。
【0026】
なお、画像処理部140によって生成された撮影画像データは、記憶部160又は記憶媒体400に記憶される。また、画像処理部140によって生成されたスルー画は表示部150に出力される。また、画像処理部140によって生成されたスルー画は、カメラ制御部110によるオートフォーカス(例えば、コントラスト方式に基づく判定方式)における合焦判定に用いられる。
【0027】
また、画像処理部140は、記憶部160に記憶されている画像処理条件に基づいて、記憶部160に記憶されている撮影画像データに対して画像処理を実行する。
【0028】
媒体制御部180は、カメラ100に着脱可能な記憶媒体400(例えば、メモリカード)への情報(例えば、撮影画像データ)の書込み、記憶媒体400からの情報の読み出し、又は、記憶媒体400に記憶されている情報の消去等を制御する。
【0029】
記憶媒体400は、カメラボディ100に対して着脱可能に接続される外部の記憶部である。記憶媒体400には、例えば、撮影画像データが記憶される。
【0030】
カメラ制御部110は、接続判定部500、撮影制御部(撮像制御部)510、合焦制御部520及び報知制御部530を備える。
【0031】
接続判定部500は、接続部101sへのアクセサリーの接続を判定する。例えば、接続判定部500は、接続部101sを介して交換した情報に基づいて接続部101sにアクセサリーとして第2の交換レンズ(規格適合レンズ)、又は、アダプター300が接続されているか否かを判定する。
【0032】
更に、接続判定部500は、接続部101sにアクセサリーが接続されていると判定した場合、接続部101sを介してアクセサリーから取得した情報(接続部101sを介して交換した識別ID等)に基づいて、当該アクセサリーの種類(第2の交換レンズ(規格適合レンズ)/アダプター300)を判定する。
【0033】
また、接続判定部500は、第2の交換レンズが接続部101sに接続していると判定した場合、上述の接続部101sを介して取得した情報(第2の交換レンズのレンズ情報)に基づいて、接続している第2の交換レンズがどのような機能を有しているかを同時に判定する。
また、接続判定部500は、アダプター300が接続部101sに接続していると判定した場合、接続部101sを介して第1の交換レンズのレンズ情報を取得することによって、アダプター300を介して接続している第1の交換レンズ(非規格適合レンズ)がどのような機能を有しているかを判定する。
【0034】
つまり、接続判定部500は、接続部101sを介して交換した情報に基づいて、オートフォーカスに対応する第2の交換レンズがアダプター300を介さずに接続部101sに接続されているか否か、オートフォーカスに対応する第1の交換レンズがアダプター300を介して接続部101sに接続されているか否か、を判定することができる。
【0035】
撮影制御部510は、撮影(撮像)に関する制御を行う。例えば、撮影時に使用するプログラム線図を制御する。なお、詳細は、後述する。
【0036】
合焦制御部520は、合焦に関する制御を行う。例えば、フォーカシングレンズの駆動、合焦の判定を制御する。なお、詳細は、後述する。
【0037】
報知制御部530は、ユーザに対する報知に関する制御を行う。例えば、合焦した旨の報知を制御する。なお、詳細は、後述する。
【0038】
図4は、合焦制御に関する機能ブロック図の一例である。なお、図4において、図3の各部に対応する部分には同一の符号を付している。また、図4においては、図3の構成の一部を省略している。
【0039】
カメラボディ100において、撮影素子104は、AFセンサ104aを有する。カメラ制御部110の合焦制御部520は、合焦判定基準記憶部521、合焦判定部522、制御誤差算出部523、レンズ駆動制御部524及び合焦判定基準設定部525を有する。
【0040】
アダプター300において、アダプター制御部310は、レンズ駆動制御部311及びレンズ位置情報算出部312を有する。
【0041】
交換レンズ200において、レンズ制御部210は、レンズ駆動制御部211及びパルス信号供給部212を有する。光学系駆動部230は、レンズ駆動部231(モータ)及びエンコーダ232を有する。また、レンズ制御部210は、内部に設けられた不揮発性メモリー(非図示)に、像面移動計数kを焦点距離毎に記憶している。像面移動計数とは、交換レンズ200毎に記憶されている固有の情報であって、フォーカスレンズの移動量Dと、移動量Dに応じて変位する被写体像の結像位置の移動量(結像位置の変化量、像面移動量)dとの関係を示す情報(=d/D)である。なお、レンズ制御部210は、設定されている焦点距離に応じた像面移動計数kを、アダプター300、及び、アダプター300を介してカメラボディ100に送信する。
【0042】
カメラボディ100のAFセンサ104aは、上述の如く、被写体光学像の像面位相差を検出することで焦点検出を行う。
合焦判定基準記憶部521は、合焦判定に用いる合焦判定基準情報を記憶する。
合焦判定部522は、合焦判定基準記憶部521に記憶されている合焦判定基準情報を用いて合焦を判定する。即ち、合焦判定部522は、合焦判定基準を満たした場合には合焦状態であると判定し、満たしていない場合には非合焦状態であると判定する。
また、合焦判定部522は、合焦判定において非合焦状態であると判定したときは、デフォーカス量(合焦させるために必要な像面移動量)を算出する。合焦判定部522が算出したデフォーカス量は、制御誤差算出部523を介して、レンズ駆動制御部524に出力される。
制御誤差算出部523は、アダプター300(レンズ位置情報算出部312)から出力されたフォーカスレンズの位置情報(実際にフォーカスレンズが移動した移動後の位置情報)を受信すると共に、前回の制御においてレンズ駆動制御部524が移動させようとした位置と実際に移動した位置との差である制御誤差(レンズ駆動誤差)を算出する。
換言すれば、制御誤差算出部523は、デフォーカス量に応じたフォーカシングレンズの目標位置と、目標位置に変化させるためにレンズ駆動制御部524が出力した駆動命令に従って実際に制御されたフォーカシングレンズの実制御位置との差であるレンズ駆動誤差を算出する。
制御誤差算出部523は、算出した制御誤差と、合焦判定部522から出力されたデフォーカス量とをレンズ駆動制御部524に出力する。
レンズ駆動制御部524は、制御誤差算出部523から出力されたデフォーカス量及び制御誤差と、像面移動計数kとを用いて、フォーカスレンズの駆動方向、駆動量を示すフォーカス駆動指令1を生成し、アダプター300(レンズ駆動制御部311)に出力する。
合焦判定基準設定部525は、合焦判定基準記憶部521に記憶されている合焦判定基準情報を設定、変更する。
【0043】
アダプター300のレンズ駆動制御部311は、カメラボディ100(レンズ駆動制御部524)から出力されたフォーカス駆動指令1を受信すると共に、受信したフォーカス駆動指令1をフォーカス駆動指令2に変換して、交換レンズ200(レンズ駆動制御部210)に出力する。
レンズ駆動制御部311による、フォーカス駆動指令1からフォーカス駆動指令2への変換処理について詳述する。フォーカス駆動指令1には、フォーカスレンズの駆動方向(光軸の前方向または後方向の何れか)を示す情報と、駆動量の情報とが含まれている。フォーカス駆動指令1に含まれる駆動量の情報とは、カメラボディ100と同じ仕様のレンズマウントを持つ交換レンズ200(第2の交換レンズ)のレンズ駆動部231(モータ)に対する駆動量と同義であるパルス数の情報である。一方、カメラボディ100とはマウント仕様及び通信規格の点で異なっている交換レンズ200(第1の交換レンズ)が受け入れ可能なフォーカス駆動指令2は、フォーカスレンズの駆動量を(パルス数では無く)像面移動量で表す情報と、駆動方向の情報とを含むものである。このため、レンズ駆動制御部311は、フォーカス駆動指令1で表現されている「パルス数」を「像面移動量(結像位置の変化量)」に変換するための変換処理(変換演算)等を行う。なお、レンズ駆動制御部311は、パルス数を像面移動量に変換する変換演算を行う場合には、レンズ駆動制御部311内の不揮発性メモリーに記憶しておいた像面移動係数kを用いて行う。
レンズ位置情報算出部312は、交換レンズ200(パルス信号供給部212)から出力されたパルス信号を受信すると共に、受信したパルス信号に基づいて、実際にフォーカスレンズが移動した移動後の位置情報を算出し、カメラボディ100(制御誤差算出部523)に出力する。
【0044】
交換レンズ200のレンズ駆動制御部211は、アダプター300(レンズ駆動制御部311)から出力されたフォーカス駆動指令2を受信すると共に、受信したフォーカス駆動指令2をレンズ駆動部231(モータ)に出力する。
レンズ駆動部231(モータ)は、レンズ駆動制御部211から出力されたフォーカス駆動指令2に従って、光学系220のフォーカスレンズを駆動させる。
エンコーダ232は、フォーカスレンズの移動に伴って、パルス信号をパルス信号供給部212に出力する。パルス信号供給部212は、エンコーダ232から出力されたパルス信号をアダプター300(レンズ位置情報算出部312)に出力する。
【0045】
図5は、合焦判定基準記憶部522に記憶される情報の一例である。
合焦判定基準記憶部522は、図5(a)に示すように、交換レンズの種類毎(レンズ識別情報毎)、絞り値毎に絞り値毎に、合焦状態であると判定する範囲(許容合焦範囲)を示す情報(許容合焦範囲情報)を定めた第1の合焦判定基準情報を記憶する。なお、絞り値「1.4」に対応する「A」は、下限値「a1min」〜上限値「a1max」を範囲とし、下限値「a1min」は前ピン側の最大許容量、上限値「a1max」は後ピン側の最大許容量である。また、被写体像のピントが完全に一致した適切な結像位置をゼロとした場合、下限値「a1min」はマイナスの値、上限値「a1max」はプラスの値となる。他の絞り値についても同様である。
【0046】
また、合焦判定基準記憶部522は、第1の合焦判定基準情報に加え、図5(b)に示すように、第1の合焦判定基準情報に比べ許容合焦範囲が拡大された第2の合焦判定基準情報を記憶する。例えば、絞り値「1.4」に対応する許容範囲「B」の下限値「b1min」は、許容範囲「A」の下限値「a1min」未満である(即ち、前ピン側の許容範囲値が拡大されている)。また、許容範囲「B」の上限値「b1max」は、許容範囲「A」の上限値「a1max」以上である(即ち、後ピン側の許容範囲値が拡大されている)。他の絞り値についても同様である。
【0047】
図6は、比較のために示す合焦判定の処理を説明するための説明図である。
即ち、図6は、合焦判定部522の合焦判定に対する比較として、1つの合焦判定基準(具体的には、第1の合焦判定基準)を用いる場合の合焦判定の処理イメージを模式的に表したものである。図6(後述の図7も同様)において、横軸は時刻、縦軸は被写体像の結像位置である。縦軸は、適切な結像位置をゼロとし、プラス方向が後ピン側、マイナス方向が前ピン側である。また、図6(後述の図7も同様)の例は、レンズ識別情報「L001」によって識別される交換レンズ200(絞り値「1.4」)にて撮影しているものとする。従って、図6の場合、合焦判定には、図3に示す許容範囲「A」が適用される。
【0048】
また、d、d、d、d、dは、時刻T、時刻T、時刻T、時刻T、時刻Tのフォーカスレンズの各位置に対応する結像位置である。なお、時刻Tは、オートフォーカスの処理開始時刻、時刻T〜時刻Tは、時刻Tに開始したオートフォーカス処理において合焦判定した各時刻である。
【0049】
図6の時刻Tの合焦判定では、デフォーカス量dは、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲「A」の下限値「a1min」未満の値(許容範囲を超えた前ピン)であるため、非合焦状態であると判定される。非合焦状態であると判定されたため、結像位置を後ピン側に移動させるべく、フォーカシングレンズの位置を再度移動させる。
時刻Tの合焦判定では、デフォーカス量dは、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲「A」の上限値「a1max」超の値(許容範囲を超えた後ピン)であるため、非合焦状態であると判定される。非合焦状態であると判定されたため、結像位置を前ピン側に移動させるべく、フォーカシングレンズの位置を再度移動させる。
時刻Tの合焦判定では、デフォーカス量dは、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲「A」の下限値「a1min」未満の値であるため、非合焦状態であると判定される。非合焦状態であると判定されたため、結像位置を後ピン側に移動させるべく、フォーカシングレンズの位置を再度移動させる。
時刻Tの合焦判定では、デフォーカス量dは、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲「A」の上限値「a1max」超の値であるため、非合焦状態であると判定される。非合焦状態であると判定されたため、結像位置を前ピン側に移動させるべく、フォーカシングレンズの位置を再度移動させる。
以上のように、フォーカシングレンズの微細な位置の制御の困難性などに起因して、オートフォーカスの処理開始以降の時刻T、時刻T、時刻T、時刻Tにおける各合焦判定において、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すように変化(即ち、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲の下限値未満の値から上限値超の値に変化、又は、上限値超の値から下限値未満の値に変化。ハンチングとも称する)し、第1の合焦判定基準の範囲内に収まらないため、時刻Tの時点においても非合焦状態であると判定されている。
【0050】
図7は、合焦判定部522の処理を説明するための説明図である。
即ち、図7(a)は、合焦判定部522の合焦判定として、2つの合焦判定基準(具体的には、第1の合焦判定基準、第2の合焦判定基準)を用いる場合の合焦判定の処理イメージを模式的に表したものである。図7(a)の場合、合焦判定には、図3に示す許容範囲「A」及び許容範囲「B」が適用される。
【0051】
なお、合焦判定部522は、合焦状態であると判定したときは、第1の合焦判定基準と第2の合焦判定基準のうち、どちらの合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定したかを報知制御部530に出力する。図7(a)の場合には、許容範囲「A」を適用して合焦状態であると判定した場合には、第1の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定した旨を報知制御部530に出力し、許容範囲「B」を適用して合焦状態であると判定した場合(許容範囲「A」を適用して合焦状態であると判定できる場合を除く)には、第2の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定した旨を示す情報を撮影制御部510及び報知制御部530に出力する。即ち、許容合焦範囲が広い第2の合焦判定基準を適用するようにしたが、許容合焦範囲が狭い第1の合焦判定基準によっても合焦状態であると判定することができた場合(当該場合には、当然に、許容合焦範囲が広い第2の合焦判定基準によっても合焦状態であると判定可能である)、第1の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定した旨を撮影制御部510及び報知制御部530に通知する。
【0052】
以下、合焦判定部522の処理を詳しく説明する。
合焦判定部522は、レンズ駆動制御部524の制御によるフォーカシングレンズの位置の変化に伴って、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すように変化(第1の合焦判定基準の許容合焦範囲の下限値未満の値から上限値超の値に変化した場合、又は、上限値超の値から下限値未満の値に変化)した場合には、第1の合焦判定基準に加えて、第2の合焦判定基準に従って合焦を判定する。
【0053】
図7(a)の時刻Tの合焦判定では、合焦判定部522は、デフォーカス量dが、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲「A」の下限値「a1min」未満の値であるため、非合焦状態であると判定する。非合焦状態であると判定されたため、レンズ駆動制御部524は、結像位置を後ピン側に移動させるべく、フォーカシングレンズの位置を再度移動させる。
時刻Tの合焦判定では、合焦判定部522は、デフォーカス量dが、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲「A」の上限値「a1max」超の値であるため、非合焦状態であると判定する。また、合焦判定部522は、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すように変化(第1の合焦判定基準の許容合焦範囲の下限値未満の値から上限値超の値に変化(d→d)。)したと判定する。
従って、合焦判定部522は、直ちに(時刻Tにおいて)、第2の合焦判定基準に従って合焦を判定する。当該判定では、合焦判定部522は、デフォーカス量dが、第2の合焦判定基準の許容合焦範囲「B」の範囲内であるため、合焦状態であると判定する。即ち、合焦判定部522によれば、オートフォーカスに要する時間を短縮することができる。
【0054】
また、合焦判定部522は、時刻Tにおいて第2の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定したため、第2の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定した旨を示す情報を撮影制御部510及び報知制御部530に出力する。
【0055】
図7(a)の場合、合焦判定部522は、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すように変化した場合、直ちに、即ち、当該回の合焦判定(2回目の合焦判定)において、第2の合焦判定基準に従って合焦を判定したが、図7(b)に示すように、次回の合焦判定(3回目の合焦判定)において、第2の合焦判定基準に従って合焦を判定してもよい。
つまり、図7(b)において、合焦判定部522は、時刻Tの合焦判定において、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すように変化(第1の合焦判定基準の許容合焦範囲の下限値未満の値から上限値超の値に変化(d→d))したと判定する。しかし、合焦判定部522は、直ちに(時刻Tにおいて)、第2の合焦判定基準に従って合焦を判定することなく、第1の合焦判定基準に従って非合焦状態であると判定する。非合焦状態であると判定されたため、レンズ駆動制御部524は、結像位置を前ピン側に移動させるべく、フォーカシングレンズの位置を再度移動させる。
時刻Tの合焦判定(次回の合焦判定)において、合焦判定部522は、第2の合焦判定基準に従って合焦を判定する。当該判定では、合焦判定部522は、デフォーカス量dが、第2の合焦判定基準の許容合焦範囲「B」の範囲内であるため、合焦状態であると判定する。
【0056】
また、合焦判定部522は、時刻Tにおいて第2の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定したため、第2の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定した旨を示す情報を撮影制御部510及び報知制御部530に出力する。
なお、時刻Tにおいて、仮に、デフォーカス量dが、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲「A」の範囲内であった場合には、合焦判定部522は、第1の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定することもできる。この場合、合焦判定部522は、第1の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定した旨を撮影制御部510及び報知制御部530に出力する。
【0057】
図7(a)(b)の場合、合焦判定部522は、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すように1回変化した時点で、図7(a)の如く当該判定において、又は、図7(b)の如く次回判定において、第2の合焦判定基準に従って合焦を判定しているが、上述の変化の回数が所定回数以上あった時点で、第2の合焦判定基準に従って合焦を判定するようにしてもよい。
【0058】
例えば、所定回数が2回である場合、時刻T〜時刻Tにおいて、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲の下限値「a1min」未満の値から上限値「a1max」超の値に変化(dからdに変化)し、時刻T〜時刻Tにおいて、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲の上限値「a1max」超の値から下限値「a1mim」未満の値に変化(dからdに変化)したときに、合焦判定部522は、当該時刻Tの合焦判定において、又は、時刻Tの合焦判定において、第2の合焦判定基準に従って合焦を判定してもよい。
【0059】
また、合焦判定部522は、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すようなデフォーカス量の変化があった場合であって、かつ、第1の交換レンズ(非規格適合レンズ)がアダプター300を介して接続部101sに接続されている場合に、第2の合焦判定基準に従って合焦を判定してもよい。換言すれば、合焦判定部522は、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すようなデフォーカス量の変化があった場合であっても、第2の交換レンズ(規格適合レンズ)が接続部101sに接続されている場合には、第1の合焦判定基準に従って合焦を判定し続けるようにしてもよい。
【0060】
また、合焦判定部522は、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すようなデフォーカス量の変化があった場合であって、かつ、制御誤差算出部523が算出したレンズ駆動誤差が所定値以上である場合に、第2の合焦判定基準に従って合焦を判定してもよい。換言すれば、合焦判定部522は、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すようなデフォーカス量の変化があった場合であっても、レンズ駆動誤差が所定値未満である場合には、第1の合焦判定基準に従って合焦を判定し続けるようにしてもよい。
【0061】
続いて、合焦判定基準設定部525について詳しく説明する。
レンズ駆動制御部524は、所定のタイミング(例えば、交換レンズ200の装着時)においてフォーカシングレンズの制御テストを実行する。レンズ駆動制御部524による制御テストは、交換レンズ毎、絞り値毎に行われる。フォーカシングレンズの制御テストとは、フォーカシングレンズの位置を変化させて、デフォーカス量の変化、又は、レンズ駆動誤差を確認するテストである。
【0062】
合焦判定基準設定部525は、レンズ駆動制御部524による制御テストによって得られる、フォーカシングレンズの位置の変化とデフォーカス量の変化との関係に基づいて、第2の合焦判定基準の許容合焦範囲を設定し、又は、変更(再設定)する。
具体的には、合焦判定基準設定部525は、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すように変化した回数(即ち、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲の下限値未満の値から上限値超の値に変化した回数、若しくは、前記上限値超の値から前記下限値未満の値に変化した回数)が多い場合に第2の合焦判定基準の許容合焦範囲を広く設定する。
【0063】
一例として、合焦判定基準設定部525は、基準回数a、基準回数b(>基準回数a)を保持し、変化回数と基準回数とを比較して許容範囲を設定してもよい。例えば、合焦判定基準設定部525は、変化回数<基準回数aのときはAより少し広い範囲をBとして設定し、基準回数a≦変化回数<基準回数bのときは更に広い範囲を設定し、基準回数b≦変化回数のときは更に広い範囲を設定する。なお、基準回数の設定数は、上記のように2(基準回数a、b)ではなく、1又は3以上であってもよい。
【0064】
合焦判定基準設定部525は、フォーカシングレンズの位置の変化とデフォーカス量の変化との関係に代えて、又は、加えて、レンズ駆動制御部524による制御テストによって得られる、フォーカシングレンズの位置の変化とレンズ駆動誤差との関係に基づいて、第2の合焦判定基準の許容合焦範囲を設定してもよい。
具体的には、合焦判定基準設定部525は、レンズ駆動誤差が多い場合に第2の合焦判定基準の許容合焦範囲を広く設定してもよい。
【0065】
一例として、合焦判定基準設定部525は、基準量c、基準値d(>基準量c)を保持し、レンズ誤差量と基準量とを比較して許容範囲を設定してもよい。例えば、合焦判定基準設定部525は、レンズ誤差量<基準量cのときはAより少し広い範囲をBとして設定し、基準値c≦レンズ誤差量<基準量dのときは更に広い範囲を設定し、基準量d≦レンズ誤差量のときは更に広い範囲を設定する。なお、基準値の設定数は、上記のように2(基準値c、d)ではなく、1又は3以上であってもよい。
【0066】
また他の例として、合焦判定基準設定部525は、変化回数<基準回数a、かつ、レンズ誤差量<基準量cのときはAより広い範囲をBとして設定し、変化回数<基準回数a、かつ、基準値c≦レンズ誤差量<基準量dのとき、又は、基準回数a≦変化回数<基準回数b、かつ、レンズ誤差量<基準量cのときは、更に広い範囲を設定し、それ以外のときは更に広い範囲を設定してもよい。
【0067】
なお、合焦判定基準設定部525は、レンズ駆動制御部524による複数回の制御テストによって得られる、上述の関係(フォーカシングレンズの位置の変化とデフォーカス量の変化との関係、又は、フォーカシングレンズの位置の変化とレンズ駆動誤差との関係)に基づいて、第2の合焦判定基準の許容合焦範囲を設定してもよい。具体的には、合焦判定基準設定部525は、複数回実行した制御テストの履歴情報を統計的に処理し、第2の合焦判定基準の許容合焦範囲を設定してもよい。
【0068】
図8は、合焦判定基準設定部525の処理を説明するための説明図である。
図8は、レンズ駆動制御部524による複数回の制御テストによって得られるテスト結果(フォーカシングレンズの位置の変化とデフォーカス量の変化との関係、及び、フォーカシングレンズの位置の変化とレンズ駆動誤差との関係)を模式的に表したものである。
制御テストは、交換レンズ毎、絞り値毎に行われるため、テスト結果も交換レンズ毎、絞り値毎に得られる。図8の例は、レンズ識別情報「L001」によって識別される交換レンズ200(絞り値「1.4」)における制御テストのテスト結果である。即ち、合焦判定基準設定部525は、図8に示すテスト結果に基づいて、図5(b)に示すBを設定する。なお、合焦判定基準設定部525は、制御テストの結果を合焦判定部522から取得して内部に記憶する。
【0069】
図8の各欄の値「{S***,T***}」は、各制御テストによって得られたテスト結果を表している。
{SX**,TX**}は、X回目(今回はX=0、1回前はX=1、2回前はX=2、…、M回前はX=M)の制御テスト群のテスト結果を表している。例えば、{S0**,T0**}は、今回の制御テスト群のテスト結果を表している。
{SXYZ,TXYZ}は、X回目の制御テスト群に含まれる、フォーカシングレンズを現在位置Y及び目標位置Zの組み合わせ毎の各制御テストのテスト結果を表している。テスト結果の一方「SXYZ」は、ハンチングの発生状況を示す値である。テスト結果の他方「TXYZ」はレンズ駆動誤差量である。
例えば、図示した{S012,T012}は、今回の制御テスト群(X=0)に含まれる一の制御テストであって、フォーカシングレンズを現在位置1(Y=1)から目標位置2(Z=2)に移動させるように制御した制御テストのテスト結果(ハンチングの発生状況、レンズ駆動誤差量)を表している。
また例えば、非図示であるが、{S321,T321}は、3回前の制御テスト群(X=3)に含まれる一の制御テストであって、フォーカシングレンズを現在位置2(Y=2)から目標位置1(Z=1)に移動させるように制御した制御テストのテスト結果(ハンチングの発生状況、レンズ駆動誤差)を表している。
【0070】
XYZの値は、例えば、0、1、2、3の何れかとする。SXYZ=0はハンチング発生無である。SXYZ=1はハンチング発生有(所定回数未満の動作にて収束したハンチング)である。SXYZ=2はハンチング発生有(所定回数以上の動作にて収束したハンチング)である。SXYZ=3はハンチング発生有(収束しないハンチング)である。なお、収束とは、各制御テストにおける何度目かの合焦判定の結果、被写体像の結像位置(デフォーカス量)が、合焦判定基準の範囲内に収まることである。
【0071】
XYZの値は、レンズ駆動誤差量に代えて、レンズ駆動誤差量のレベル(範囲)を表す値としてもよいし、レンズ駆動誤差量に相当するフォーカス駆動指令1におけるパルス数としてもよい。
【0072】
合焦判定基準設定部525は、上述の如く、複数のテスト結果を統計的に処理して第2の合焦判定基準の許容合焦範囲を設定するが、具体的には、現在位置Y別、目標位置Z別のテスト結果を集約し、第2の合焦判定基準の許容合焦範囲を設定する。
例えば、図8において、合焦判定基準設定部525は、今回(X=0)の制御テスト群における、ハンチングの発生状況を示す値{S012、…、S01N、…、S0N1、…、S0NN−1}の平均値S1−aveと、レンズ駆動誤差量{T012、…、T01N、…、T0N1、…、T0NN−1}の平均値T1−aveを算出し、S1−ave及びT1−aveに基づいて、図5(b)の「B1」を設定する。なお、合焦判定基準設定部525は、S1−aveの値が大きい場合、また、T1−aveの値が大きい場合、図5(b)の「B1」を広く設定する。
【0073】
また、合焦判定基準設定部525は、現在位置Y別、目標位置Z別のテスト結果を集約し、更に、各回数Xの制御テスト群の結果を集約し、第2の合焦判定基準の許容合焦範囲を設定してもよい。
即ち、合焦判定基準設定部525は、上述の如く今回の制御テスト群からS1−aveを算出し、同様に、S2−ave、S3−ave、…、SM−aveを算出し、更に、これらの平均値Saveを算出する。即ち、合焦判定基準設定部525は、{S112、…、S11N、…、S1N1、…、S1NN−1、S212、…、S21N、…、S2N1、…、S2NN−1、…SM12、…、SM1N、…、SMN1、…、SMNN−1}の平均値Saveを算出する。同様に、合焦判定基準設定部525は、平均値Taveを算出する。合焦判定基準設定部525は、Save及びTaveに基づいて、図5(b)に示すBを設定する。なお、合焦判定基準設定部525は、Saveの値が大きい場合、また、Taveの値が大きい場合、Bを広く設定する。
【0074】
なお、合焦判定基準設定部525は、新しいテスト結果の方に重みをおいて計算するように係数に重み付けして、第2の合焦判定基準の許容合焦範囲を設定してもよい。例えば、合焦判定基準設定部525は、S1−aveに最大の係数を付し、SM−aveに最小の係数を付して、重み付け平均の平均値S ave’を算出する。同様に、合焦判定基準設定部525は、T1−aveに最大の係数を付し、TM−aveに最小の係数を付して、重み付け平均の平均値T ave’を算出してもよい。なお、合焦判定基準設定部525は、Save’の値が大きい場合、また、Tave’の値が大きい場合、Bを広く設定する。
【0075】
図3に示す報知制御部530は、第2の合焦判定基準に従って合焦したと判定された際の報知の有無を制御する。具体的には、報知制御部530は、合焦判定の報知の要否に関するユーザの設定、又は、接続されているレンズの種類に基づいて、第2の合焦判定基準に従って合焦したと判定された際の報知の有無を制御する。なお、報知制御部530は、合焦状態であると判定した合焦判定部522から、第1の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定した旨を示す情報、又は、第2の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定した旨を示す情報を取得する。
【0076】
報知制御部530は、第2の合焦判定基準に従って合焦したと判定された際に報知する場合、第1の合焦判定基準に従って合焦したと判定された場合と異なる表示態様によって、表示部150に合焦領域を表示させる。
【0077】
図9は、表示部150の表示例である。
スルー画像は、図9に示すようなレイアウトで表示部150に表示される。図9の領域Aは、スルー画の表示領域である。領域Aの上部及び下部の矩形の各領域(例えば、領域B)は、種々の情報をユーザに提示する表示領域である。
【0078】
枠Cは、フォーカスエリア(合焦領域)を示す枠である。報知制御部530は、合焦判定部522によって第1の合焦判定基準に従って合焦したと判定されたときは、第1の表示態様として、例えば枠Cを実線(図9参照)で表示するように制御する。一方、報知制御部530は、合焦判定部522によって第2の合焦判定基準に従って合焦したと判定されたときは、第2の表示態様として、例えば枠Cを点線又は破線(非図示)で表示するように制御する。なお、報知制御部530は、第1の合焦判定基準に従って合焦判定された場合と、第2の合焦判定基準に従って合焦判定された場合とで、枠Cの色、枠Cの形状、枠Cの点滅/点灯などを替えるように制御してもよい。
【0079】
なお、報知制御部530は、第2の合焦判定基準に従って合焦したと判定された場合に、第2の合焦判定基準に従って合焦したと判定された旨を表示部150に表示することに代えて又は加えて、第2の合焦判定基準に従って合焦したと判定された旨を音によって報知してもよい。具体的には、カメラ制御部110の音制御部(非図示)によって、第2の合焦判定基準に従って合焦したと判定された旨を示す音をカメラボディ100が備えるスピーカ(非図示)から出力させるようにすればよい。
【0080】
なお、報知制御部530は、例えばユーザの設定などに応じて、第2の合焦判定基準に従って合焦したと判定された際の報知する場合、第1の合焦判定基準に従って合焦したと判定された場合と同一の態様(例えば、同一の表示態様、同一の音出力態様)によって報知してもよい。
【0081】
図3に示す撮影制御部510は、第1の合焦判定基準に従って合焦したと判定された場合と、第2の合焦判定基準に従って合焦したと判定された場合とに応じて、互いに異なるプログラム線図に従って撮影するように制御する。具体的には、撮影制御部510は、第1の合焦判定基準に従って合焦したと判定された場合には、第1のプログラム線図に従って撮影するように制御し、第2の合焦判定基準に従って合焦したと判定された場合には、第1のプログラム線図に代えて、所定のEV値に対応するAV値が、第1のプログラム線図における当該所定のEV値に対応するAV値よりも大きい第2のプログラム線図に従って撮影するように制御する。なお、撮影制御部510は、合焦状態であると判定した合焦判定部522から、第1の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定した旨を示す情報、又は、第2の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定した旨を示す情報を取得する。
【0082】
図10乃至図12は、撮影時に使用するプログラム線図の一例である。
図10(a)は、感度ISO100用の第1のプログラム線図の一例である。図10(a)における、複数のプログラム線図(線A、B、C)は、焦点距離、手振れ補正処理を実行するか否かに応じたものである。具体的には、下記の条件による。
【0083】
線A:f≦30mmの場合 または 30mm<f≦75mmでVR−ONの場合
線B:30mm<f≦75mmでVR−OFFの場合、又は、75mm<fでVR−ONの場合
線C:75mm<fでVR−OFFの場合
但し、fは焦点距離であり、VR−ONは光学像の像ぶれ補正用レンズを使用する(手振れ補正処理の実行する)ことを示し、VR−OFFは光学像の像ぶれ補正用レンズを使用しない(手振れ補正処理の実行しない)ことを示す。
【0084】
図10(b)は、感度ISO100用の第2のプログラム線図の一例である。図10(b)における、複数のプログラム線図(線A、B、C)の条件は、図10(a)と同様である。
【0085】
第1のプログラム線図は、図10(a)に示すように、EV値の増加に対しAV値が単調増加する第1のEV値の範囲を有する。具体的には、第1のプログラム線図の線Aは、AV値が単調増加(AV値0〜AV値10)する第1のEV値の範囲a(EV値4〜EV値24)を有する。第1のプログラム線図の線Bは、AV値が単調増加(AV値0〜AV値8)する第1のEV値の範囲b(EV値6〜EV値22)を有する。第1のプログラム線図の線Cは、AV値が単調増加(AV値0〜AV値6)する第1のEV値の範囲c(EV値8〜EV値20)を有する。
【0086】
第2のプログラム線図は、図10(b)に示すように、上述の第1のEV値の範囲内に含まれる第2のEV値の範囲であって、かつ、第2のプログラム線図における当該第2のEV値の範囲内の各EV値に対応する各AV値が、第1のプログラム線図における当該第2のEV値の範囲内の各EV値に対応する各AV値よりも大きい第2のEV値の範囲を有する。
具体的には、第2のプログラム線図の線Aは、第2のEV値の範囲a(EV値4〜EV値15)を有する。即ち、第2のプログラム線図の線Aは、第1のEV値の範囲a(EV値4〜EV値24)に含まれる第2のEV値の範囲a(EV値4〜EV値15)であってかつ、第2のプログラム線図の線Aにおける当該第2のEV値の範囲a内の各EV値(EV値4、…、EV値15)に対応する各AV値(AV値2、…、AV値6)が、第1のプログラム線図の線Aにおける当該第2のEV値の範囲a内の各EV値(EV値4、…、EV値15)に対応する各AV値(AV値0、…、AV値5.5)よりも大きい。
また、第2のプログラム線図の線Bは、第2のEV値の範囲b(EV値6〜EV値17)を有する。即ち、第2のプログラム線図の線Bは、第1のEV値の範囲b(EV値6〜EV値22)に含まれる第2のEV値の範囲b(EV値6〜EV値17)であって、かつ、第2のプログラム線図の線Bにおける当該第2のEV値の範囲b内の各EV値(EV値6、…、EV値17)に対応する各AV値(AV値2、…、AV値6)が、第1のプログラム線図の線Bにおける当該第2のEV値の範囲b内の各EV値(EV値6、…、EV値17)に対応する各AV値(AV値0、…、AV値5.5)よりも大きい。
また、第2のプログラム線図の線Cは、第2のEV値の範囲c(EV値8〜EV値19)を有する。即ち、第2のプログラム線図の線Cは、第1のEV値の範囲c(EV値8〜EV値20)に含まれる第2のEV値の範囲c(EV値8〜EV値19)であって、かつ、第2のプログラム線図の線Cにおける当該第2のEV値の範囲c内の各EV値(EV値8、…、EV値19)に対応する各AV値(AV値2、…、AV値6)が、第1のプログラム線図の線Cにおける当該第2のEV値の範囲c内の各EV値(EV値8、…、EV値19)に対応する各AV値(AV値0、…、AV値5.5)よりも大きい。
【0087】
また、第2のプログラム線図は、上述の第2のEV値の範囲内に含まれる第3のEV値の範囲であって、かつ、第2のプログラム線図における当該第3のEV値の範囲内のEV値の増加に対するAV値の増加の割合が、第1のプログラム線図における当該第3のEV値の範囲内のEV値の増加に対するAV値の増加の割合よりも小さい第3のEV値の範囲を有する。
具体的には、第2のプログラム線図の線Aは、第3のEV値の範囲a(EV値10〜EV値15)を有する。即ち、第2のプログラム線図の線Aは、第2のEV値の範囲a(EV値4〜EV値15)に含まれる第3のEV値の範囲a(EV値10〜EV値15)であって、かつ、第2のプログラム線図における当該第3のEV値の範囲a内のEV値の増加に対するAV値の増加の割合0が、第1のプログラム線図における当該第3のEV値aの範囲内のEV値の増加に対するAV値の増加の割合1よりも小さい。
また、第2のプログラム線図の線Bは、第3のEV値の範囲b(EV値12〜EV値17)を有する。即ち、第2のプログラム線図の線Bは、第2のEV値の範囲b(EV値6〜EV値17)に含まれる第3のEV値の範囲b(EV値12〜EV値17)であって、かつ、第2のプログラム線図における当該第3のEV値の範囲b内のEV値の増加に対するAV値の増加の割合0が、第1のプログラム線図における当該第3のEV値の範囲b内のEV値の増加に対するAV値の増加の割合1よりも小さい。
また、第3のプログラム線図の線Cは、第3のEV値の範囲c(EV値14〜EV値19)を有する。即ち、第2のプログラム線図の線Cは、第2のEV値の範囲c(EV値8〜EV値19)に含まれる第3のEV値の範囲c(EV値14〜EV値19)であって、かつ、第2のプログラム線図における当該第3のEV値の範囲c内のEV値の増加に対するAV値の増加の割合0が、第1のプログラム線図における当該第3のEV値の範囲c内のEV値の増加に対するAV値の増加の割合1よりも小さい。
【0088】
なお、上述の如く、第2のプログラム線図において第3のEV値の範囲は、一定である。換言すれば、第2のプログラム線図は、上述の第2のEV値の範囲内に含まれる第3のEV値の範囲であって、第2のプログラム線図における当該第3のEV値の範囲内の各EV値に対応する各AV値が一定である第3のEV値の範囲を有する。
即ち、第2のプログラム線図の線Aにおいて、第3のEV値の範囲a(EV値10〜EV値15)の各EV値(EV値10、…、EV値15)に対応する各AV値は一定(AV値6)である。また、第2のプログラム線図の線Bにおいて、第3のEV値の範囲b(EV値12〜EV値17)の各EV値(EV値12、…、EV値17)に対応する各AV値は一定(AV値6)である。また、第2のプログラム線図の線Cにおいて、第3のEV値の範囲c(EV値14〜EV値19)の各EV値(EV値14、…、EV値19)に対応する各AV値が一定(AV値6)である。
【0089】
さらに、第1のプログラム線図は、TV値の増加値が1に対するAV値の増加値がnであるEV値の範囲(具体的には、増加値が1である第1のEV値の範囲が該当)を有する。
また、第2のプログラム線図は、各AV値が一定であるEV値の範囲と、上述の増加値がnを超えるEV値の範囲とを有する。
例えば、第2のプログラム線図の線Aは、少なくとも各AV値が一定であるEV値の範囲(EV値10〜EV値16)と、上述の増加値がnを超えるEV値(具体的には、増加値が2であるEV値)の範囲(EV値1〜EV値10)とを有する。
また、第2のプログラム線図の線Bは、少なくとも各AV値が一定であるEV値の範囲(EV値12〜EV値18)と、上述の増加値がnを超えるEV値(具体的には、増加値が2であるEV値)の範囲(EV値3〜EV値12)とを有する。
また、第2のプログラム線図の線Cは、少なくとも各AV値が一定であるEV値の範囲(EV値14〜EV値20)と、上述の増加値がnを超えるEV値(具体的には、増加値が2であるEV値)の範囲(EV値5〜EV値14)とを有する。
【0090】
なお、撮影制御部510は、プログラム線図に基づいて、EV値に応じたAV値及びTV値を取得し、取得したAV値に従って、アダプター制御部310、絞り連動レバー駆動部330を介して、絞りユニット250を制御するとともに、取得したTV値に従って、シャッター102又は信号処理部103を制御する。例えば、適用するプログラム線図が、図10(b)の線Aである場合に、EV値7であったときは、AV値4(F値4)になるように絞りユニット250を制御するとともに、TV値3(シャッター速度8分の1秒)になるように、シャッター102を制御する。
【0091】
なお、図11は、感度ISO100、及び、他の感度用の第1のプログラム線図の一例である。図11における、複数のプログラム線図(線A、B、C)の条件は、図10(a)と同様である。
また、図12は、感度ISO100、及び、他の感度用の第2のプログラム線図の一例である。図12における、複数のプログラム線図(線A、B、C)の条件は、図10(a)と同様である。
【0092】
図13及び図14は、カメラ制御部110の動作の一例を示すフローチャートである。図13に示すフローチャートは、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すように変化した場合、当該回の合焦判定において、第2の合焦判定基準に従って合焦を判定する場合の動作を示すものである。図14に示すフローチャートは、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すように変化した場合、次回の合焦判定において、第2の合焦判定基準に従って合焦を判定する場合の動作を示すものである。
図13(図14も同様)に示すフローチャートの開始時において、合焦判定基準記憶部522は、第1の合焦判定基準情報、及び、第2の合焦判定基準情報を記憶しているものとする。また、図13(図14も同様)に示すフローチャートの開始時において、プログラム撮影のモードが設定されているものとする。
【0093】
図13において、レンズ駆動制御部524は、フォーカス駆動指令1を生成し、生成したフォーカス駆動指令1を出力することによってフォーカシングレンズの位置を制御する(ステップS10)。合焦判定部522は、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲内であるか否かを判定する(ステップS12)。即ち、合焦判定部522は、第1の合焦判定基準を適用して合焦状態にあるか否かを判定する。
【0094】
ステップS12において、合焦判定部522は、デフォーカス量が第1の合焦判定基準の許容合焦範囲内であると判定した場合(ステップS12:Yes)、即ち、第1の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定した場合、合焦判定部522は、第1の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定した旨を撮影制御部510及び報知制御部530に出力する。報知制御部530は、第1の合焦判定基準に従って合焦した旨を表示部150に表示するよう制御する(ステップS14)。報知制御部530は、例えば、スルー画の表示中に合焦領域を実線で表示するように制御する。撮影制御部510は、レリーズ釦132が押されたときに第1のプログラム線図を使用して撮影するように制御する(ステップS20)。そして、図13に示すフローチャートは終了する。なお、ステップS20の後に、レリーズ釦132が押された場合、撮影制御部510は、第1のプログラム線図に基づいて、EV値に応じたAV値及びTV値を取得し、取得したAV値に従って、アダプター制御部310、絞り連動レバー駆動部330を介して、絞りユニット250を制御するとともに、取得したTV値に従って、シャッター102又は信号処理部103を制御する。
【0095】
一方、ステップS12において、合焦判定部522は、デフォーカス量が第1の合焦判定基準の許容合焦範囲内でないと判定した場合(ステップS12:No)、即ち、第1の合焦判定基準を適用して非合焦状態であると判定した場合、合焦判定部522は、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すように変化(第1の合焦判定基準の許容合焦範囲の下限値未満の値から上限値超の値に変化、又は、上限値超の値から下限値未満の値に変化)したか否かを判定する(ステップS30)。
ステップS30において、合焦判定部522は、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すように変化していないと判定した場合(ステップS30:No)、即ち、デフォーカス量が、下限値未満の値から同じく下限値未満の値に変化、又は、上限値超の値から同じく上限値超の値に変化したと判定した場合、ステップS10に戻る。
【0096】
一方、ステップS30において、合焦判定部522は、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すように変化したと判定した場合(ステップS30:Yes)、合焦判定部522は、デフォーカス量が、第2の合焦判定基準の許容合焦範囲内であるか否かを判定する(ステップS32)。即ち、合焦判定部522は、第2の合焦判定基準を適用して合焦状態にあるか否かを判定する。
【0097】
ステップS32において、合焦判定部522は、デフォーカス量が第2の合焦判定基準の許容合焦範囲内でないと判定した場合(ステップS32:No)、即ち、第2の合焦判定基準を適用して非合焦状態であると判定した場合、レンズ駆動制御部524は、フォーカス駆動指令1を生成し、生成したフォーカス駆動指令1を出力することによってフォーカシングレンズの位置を制御し(ステップS40)、ステップ32に戻る。
【0098】
一方、ステップS32において、合焦判定部522は、デフォーカス量が第2の合焦判定基準の許容合焦範囲内であると判定した場合(ステップS32:Yes)、即ち、第2の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定した場合、合焦判定部522は、第2の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定した旨を撮影制御部510及び報知制御部530に出力する。報知制御部530は、第2の合焦判定基準に従って合焦した旨を表示部150に表示するよう制御する(ステップS54)。報知制御部530は、例えば、スルー画の表示中に合焦領域を点線又は破線で表示するように制御する。撮影制御部510は、レリーズ釦132が押されたときに第2のプログラム線図を使用して撮影するように制御する(ステップS60)。そして、図13に示すフローチャートは終了する。なお、ステップS60の後に、レリーズ釦132が押された場合、撮影制御部510は、第2のプログラム線図に基づいて、EV値に応じたAV値及びTV値を取得し、取得したAV値に従って、アダプター制御部310、絞り連動レバー駆動部330を介して、絞りユニット250を制御するとともに、取得したTV値に従って、シャッター102又は信号処理部103を制御する。
【0099】
図14において、レンズ駆動制御部524は、フォーカス駆動指令1を生成し、生成したフォーカス駆動指令1を出力することによってフォーカシングレンズの位置を制御する(ステップS110)。合焦判定部522は、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲内であるか否かを判定する(ステップS112)。即ち、合焦判定部522は、第1の合焦判定基準を適用して合焦状態にあるか否かを判定する。
【0100】
ステップS112において、合焦判定部522は、デフォーカス量が第1の合焦判定基準の許容合焦範囲内であると判定した場合(ステップS112:Yes)、即ち、第1の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定した場合、合焦判定部522は、第1の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定した旨を撮影制御部510及び報知制御部530に出力する。報知制御部530は、第1の合焦判定基準に従って合焦した旨を表示部150に表示するよう制御する(ステップS114)。報知制御部530は、例えば、スルー画の表示中に合焦領域を実線で表示するように制御する。撮影制御部510は、レリーズ釦132が押されたときに第1のプログラム線図を使用して撮影するように制御する(ステップS120)。そして、図14に示すフローチャートは終了する。なお、ステップS120の後に、レリーズ釦132が押された場合、撮影制御部510は、第1のプログラム線図に基づいて、EV値に応じたAV値及びTV値を取得し、取得したAV値に従って、アダプター制御部310、絞り連動レバー駆動部330を介して、絞りユニット250を制御するとともに、取得したTV値に従って、シャッター102又は信号処理部103を制御する。
【0101】
一方、ステップS112において、合焦判定部522は、デフォーカス量が第1の合焦判定基準の許容合焦範囲内でないと判定した場合(ステップS112:No)、即ち、第1の合焦判定基準を適用して非合焦状態であると判定した場合、合焦判定部522は、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すように変化したか否かを判定する(ステップS130)。
ステップS130において、合焦判定部522は、デフォーカス量が第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すように変化していないと判定した場合(ステップS130:No)、ステップS110に戻る。
【0102】
一方、ステップS130において、合焦判定部522が、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すように変化したと判定した場合(ステップS130:Yes)、レンズ駆動制御部524は、フォーカス駆動指令1を生成し、生成したフォーカス駆動指令1を出力することによってフォーカシングレンズの位置を制御する(ステップS140)。
【0103】
ステップS140に続いて、合焦判定部522は、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲内であるか否かを判定する(ステップS142)。ステップS142において、合焦判定部522は、デフォーカス量が第1の合焦判定基準の許容合焦範囲内であると判定した場合(ステップS142:Yes)、ステップS114に進む。そして、図14に示すフローチャートは終了する。
【0104】
一方、ステップS142において、合焦判定部522は、デフォーカス量が第1の合焦判定基準の許容合焦範囲内でないと判定した場合(ステップS142:No)、合焦判定部522は、デフォーカス量が、第2の合焦判定基準の許容合焦範囲内であるか否かを判定する(ステップS152)。即ち、合焦判定部522は、第2の合焦判定基準を適用して合焦状態にあるか否かを判定する。
【0105】
ステップS152において、デフォーカス量が第2の合焦判定基準の許容合焦範囲内でないと判定した場合(ステップS152:No)、即ち、合焦判定部522が第2の合焦判定基準を適用して非合焦状態であると判定した場合、ステップ140に戻る。
【0106】
一方、ステップS152において、合焦判定部522は、デフォーカス量が第2の合焦判定基準の許容合焦範囲内であると判定した場合(ステップS152:Yes)、即ち、第2の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定した場合、合焦判定部522は、第2の合焦判定基準を適用して合焦状態であると判定した旨を撮影制御部510及び報知制御部530に出力する。報知制御部530は、第2の合焦判定基準に従って合焦した旨を表示部150に表示するよう制御する(ステップS154)。報知制御部530は、例えば、スルー画の表示中に合焦領域を点線又は破線で表示するように制御する。撮影制御部510は、レリーズ釦132が押されたときに第2のプログラム線図を使用して撮影するように制御する(ステップS160)。そして、図14に示すフローチャートは終了する。なお、ステップS160の後に、レリーズ釦132が押された場合、撮影制御部510は、第2のプログラム線図に基づいて、EV値に応じたAV値及びTV値を取得し、取得したAV値に従って、アダプター制御部310、絞り連動レバー駆動部330を介して、絞りユニット250を制御するとともに、取得したTV値に従って、シャッター102又は信号処理部103を制御する。
【0107】
以上、カメラシステム1によれば、カメラ制御部110(合焦判定部522)は、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すように変化(第1の合焦判定基準の許容合焦範囲の下限値未満の値から上限値超の値に変化、又は、上限値超の値から下限値未満の値に変化)した場合、第1の合焦判定基準に加え、許容合焦範囲が第1の合焦判定基準に比べ拡大された第2の合焦判定基準に従って合焦を判定するため、オートフォーカス処理において合焦状態であると判定する迄に要する時間を短縮することができる。特に、アダプター300を介して非規格適合レンズ(第1の交換レンズ)を使用する場合、規格適合レンズ(第2の交換レンズ)のように合焦させることができない場合もあるため、非規格適合レンズ(第1の交換レンズ)の使用時に、上述の制御を行うと有効である。
【0108】
また、カメラ制御部110(報知制御部530)は、第2の合焦判定基準に従って合焦状態であると判定された場合には、第2の合焦判定基準に従って合焦した旨を表示部150に表示するよう制御するため、ユーザは、第1の合焦判定基準又は第2の合焦判定基準の何れに基づいて合焦状態であると判定されたかを確認することができる。
【0109】
また、カメラ制御部110(撮影制御部510)は、第1の合焦判定基準に従って合焦したと判定された場合には、第1のプログラム線図に従って撮影するように制御し、第2の合焦判定基準に従って合焦したと判定された場合には、第1のプログラム線図に代えて、被写界深度が深い第2のプログラム線図に従って撮影するため、許容合焦範囲が第1の合焦判定基準に比べて拡大された第2の合焦判定基準により合焦状態であると判定された場合であっても、ピントぼけの発生を低減させることができる。
【0110】
なお、図4は、カメラボディ100にアダプター300を介して第1の交換レンズ(非規格適合レンズ)を接続した状態を表したものであるが、以下、アダプター300を介さずに第2の交換レンズ(規格適合レンズ)を接続した状態についても説明する。
図15は、アダプター300を使用しない状態の合焦制御に関する機能ブロック図の一例である。なお、図15において、図4の各部に対応する部分には同一の符号を付し、説明の一部又は全部を省略する。
【0111】
カメラボディ100の制御誤差算出部523は、交換レンズ201(レンズ位置情報算出部212a)から出力されたフォーカスレンズの位置情報(実際にフォーカスレンズが移動した移動後の位置情報)を受信すると共に、前回の制御においてレンズ駆動制御部524が移動させようとした位置と実際に移動した位置との差である制御誤差(レンズ駆動誤差)を算出する。
制御誤差算出部523は、算出した制御誤差と、合焦判定部522から出力されたデフォーカス量とをレンズ駆動制御部524に出力する。
レンズ駆動制御部524は、駆動量を示すフォーカス駆動指令1を生成し、交換レンズ201(レンズ駆動制御部211a)に出力する。
【0112】
交換レンズ200(レンズ駆動制御部211a)は、カメラボディ100(レンズ駆動制御部524)から出力されたフォーカス駆動指令1を受信すると共に、受信したフォーカス駆動指令1をレンズ駆動部231a(モータ)に出力する。
レンズ駆動部231a(モータ)は、レンズ駆動制御部211aから出力されたフォーカス駆動指令1に従って、光学系220のフォーカスレンズを駆動させる。
エンコーダ232は、フォーカスレンズの移動に伴って、パルス信号をレンズ位置情報算出部212aに出力する。
レンズ位置情報算出部212aは、エンコーダ232から出力されたパルス信号に基づいて、実際にフォーカスレンズが移動した移動後の位置情報を算出し、カメラボディ100(制御誤差算出部523)に出力する。
【0113】
以上のように、第2の交換レンズ(規格適合レンズ)を使用する場合であっても、カメラ制御部110(合焦判定部522)は、デフォーカス量が、第1の合焦判定基準の許容合焦範囲を通り越すように変化(第1の合焦判定基準の許容合焦範囲の下限値未満の値から上限値超の値に変化、又は、上限値超の値から下限値未満の値に変化)した場合、第1の合焦判定基準に加え、許容合焦範囲が第1の合焦判定基準に比べ拡大された第2の合焦判定基準に従って合焦を判定することができる。
【0114】
また、上述のカメラ制御部110、レンズ制御部210(レンズ制御部210a)、またはアダプター制御部310それぞれの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の各部の処理をそれぞれ行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0115】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0116】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0117】
1…カメラシステム 100…カメラボディ 102…シャッター 103…信号処理部 104…撮影素子 105…AD変換部 110…カメラ制御部 130…操作受付部 140…画像処理部 150…表示部 160…記憶部 170…バッファメモリ部 180…媒体制御部 200…交換レンズ(第1の交換レンズ) 201…交換レンズ(第2の交換レンズ) 210、210a…レンズ制御部 211、211a…レンズ駆動制御部 212…パルス信号供給部 212a…レンズ位置情報算出部 220…光学系 230…光学系駆動部 231…レンズ駆動部 232…エンコーダ 250…絞りユニット 300…アダプター 310…アダプター制御部 311…レンズ駆動制御部 312…レンズ位置情報算出部 330…絞り連動レバー駆動部 350…絞り連動レバー 500…接続判定部 510…撮影制御部 520…合焦制御部 521…合焦判定基準情報記憶部 522…合焦判定部 523…制御誤差算出部 524…レンズ駆動制御部 525…合焦判定基準設定部 530…報知制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーカシングレンズの位置を制御するレンズ駆動制御部と、
前記フォーカシングレンズの位置に応じたデフォーカス量が、前記第1の合焦判定基準の許容合焦範囲内にあるか否かに基づいて合焦を判定する合焦判定部と
を備え、
前記合焦判定部は、
前記デフォーカス量が、前記レンズ駆動制御部の制御による前記フォーカシングレンズの位置の変化に伴って、前記第1の合焦判定基準の許容合焦範囲の下限値未満の値から上限値超の値に変化した場合、又は、前記上限値超の値から前記下限値未満の値に変化した場合、前記第1の合焦判定基準に加えて、許容合焦範囲が前記第1の合焦判定基準に比べ拡大された第2の合焦判定基準に従って合焦を判定することを特徴とするカメラボディ。
【請求項2】
前記合焦判定部は、
前記下限値未満の値から前記上限値超の値への前記デフォーカス量の変化、又は、前記上限値超の値から前記下限値未満の値への前記デフォーカス量の変化が所定回数以上あった場合に、前記第1の合焦判定基準に加えて前記第2の合焦判定基準に従って合焦を判定することを特徴とする請求項1に記載のカメラボディ。
【請求項3】
アクセサリーを介して第1の交換レンズを着脱自在に接続、又は、第2の交換レンズを着脱自在に接続する接続部を備え、
前記合焦判定部は、
前記下限値未満の値から前記上限値超の値への前記デフォーカス量の変化、又は、前記上限値超の値から前記下限値未満の値への前記デフォーカス量の変化があった場合であって、かつ、前記第1の交換レンズが前記アクセサリーを介して前記接続部に接続されている場合に、前記第1の合焦判定基準に加えて前記第2の合焦判定基準に従って合焦を判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカメラボディ。
【請求項4】
前記デフォーカス量に応じた前記フォーカシングレンズの目標位置と、前記目標位置に変化させるために前記レンズ駆動制御部が出力した駆動命令に従って実際に制御された前記フォーカシングレンズの実制御位置との差であるレンズ駆動誤差を算出する制御誤差算出部を備え、
前記合焦判定部は、
前記下限値未満の値から前記上限値超の値への前記デフォーカス量の変化、又は、前記上限値超の値から前記下限値未満の値への前記デフォーカス量の変化があった場合であって、かつ、前記レンズ駆動誤差が所定値以上である場合に、前記第1の合焦判定基準に加えて前記第2の合焦判定基準に従って合焦を判定することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のカメラボディ。
【請求項5】
前記第2の合焦判定基準の許容合焦範囲を設定する合焦判定基準設定部
を備え、
前記レンズ駆動制御部は、
所定のタイミングにおいて前記フォーカシングレンズの制御テストを実行し、
前記合焦判定基準設定部は、
前記制御テストによって得られる、前記フォーカシングレンズの位置の変化と前記デフォーカス量の変化との関係に基づいて、前記第2の合焦判定基準の許容合焦範囲を設定する
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のカメラボディ。
【請求項6】
前記合焦判定基準設定部は、
前記デフォーカス量が、前記第1の合焦判定基準の許容合焦範囲の下限値未満の値から上限値超の値に変化した回数、若しくは、前記上限値超の値から前記下限値未満の値に変化した回数が多い場合に前記第2の合焦判定基準の許容合焦範囲を広く設定する
ことを特徴とする請求項5に記載のカメラボディ。
【請求項7】
前記第2の合焦判定基準の許容合焦範囲を設定する合焦判定基準設定部
を備え、
前記レンズ駆動制御部は、
所定のタイミングにおいて前記フォーカシングレンズの制御テストを実行し、
前記合焦判定基準設定部は、
前記制御テストによって得られる、前記フォーカシングレンズの位置の変化と前記レンズ駆動誤差との関係に基づいて、前記第2の合焦判定基準の許容合焦範囲を設定する
ことを特徴とする請求項4に記載のカメラボディ。
【請求項8】
前記合焦判定基準設定部は、
前記レンズ駆動誤差が多い場合に前記第2の合焦判定基準の許容合焦範囲を広く設定する
ことを特徴とする請求項7に記載のカメラボディ。
【請求項9】
前記レンズ駆動制御部は、
前記制御テストを複数回実行し、
前記合焦判定基準設定部は、
複数回の前記制御テストによって得られる、前記関係に基づいて、前記第2の合焦判定基準の許容合焦範囲を設定する
ことを特徴とする請求項5から請求項8の何れか1項に記載のカメラボディ。
【請求項10】
前記合焦判定基準設定部は、
複数回実行した前記制御テストの履歴情報を統計的に処理し、前記第2の合焦判定基準の許容合焦範囲を設定する
ことを特徴とする請求項9に記載のカメラボディ。
【請求項11】
合焦判定の報知の要否に関するユーザの設定、又は、接続されているレンズの種類に基づいて、前記第2の合焦判定基準に従って合焦したと判定された際の報知の有無を制御する報知制御部
を備えることを特徴とする請求項1から請求項10の何れか1項に記載のカメラボディ。
【請求項12】
前記報知制御部は、
前記第2の合焦判定基準に従って合焦したと判定された際の報知する場合、前記第1の合焦判定基準に従って合焦したと判定された場合と異なる表示態様によって、表示部に合焦領域を表示させる
ことを特徴とする請求項11に記載のカメラボディ。
【請求項13】
前記報知制御部は、
前記第2の合焦判定基準に従って合焦したと判定された際の報知する場合、前記第1の合焦判定基準に従って合焦したと判定された場合と同一の表示態様によって、表示部に合焦領域を表示させる
ことを特徴とする請求項11に記載のカメラボディ。
【請求項14】
前記第1の合焦判定基準に従って合焦したと判定された場合と、前記第2の合焦判定基準に従って合焦したと判定された場合とに応じて、互いに異なるプログラム線図に従って撮像するように制御する撮像制御部を
を備えることを特徴とする請求項1から請求項13の何れか1項に記載のカメラボディ。
【請求項15】
前記撮像制御部は、
前記第1の合焦判定基準に従って合焦したと判定された場合には、第1のプログラム線図に従って撮像するように制御し、
前記第2の合焦判定基準に従って合焦したと判定された場合には、前記第1のプログラム線図に代えて、所定のEV値に対応するAV値が、前記第1のプログラム線図における当該所定のEV値に対応するAV値よりも大きい第2のプログラム線図に従って撮像するように制御することを特徴とする請求項14に記載のカメラボディ。
【請求項16】
前記第1のプログラム線図は、
EV値の増加に対しAV値が単調増加する第1のEV値の範囲を有し、
前記第2のプログラム線図は、
前記第1のEV値の範囲内に含まれる第2のEV値の範囲であって、前記第2のプログラム線図における当該第2のEV値の範囲内の各EV値に対応する各AV値が、前記第1のプログラム線図における当該第2のEV値の範囲内の各EV値に対応する各AV値よりも大きい第2のEV値の範囲を有する
ことを特徴とする請求項15に記載のカメラボディ。
【請求項17】
前記第2のプログラム線図は、
前記第2のEV値の範囲内に含まれる第3のEV値の範囲であって、前記第2のプログラム線図における当該第3のEV値の範囲内の各EV値に対応する各AV値が一定である第3のEV値の範囲を有する
ことを特徴とする請求項16に記載のカメラボディ。
【請求項18】
請求項3に記載のカメラボディと、
前記接続部に接続する前記第2の交換レンズ、又は、前記アクセサリーを介して前記接続部に接続する前記第1の交換レンズの何れかの交換レンズと
を備えることを特徴とするカメラシステム。
【請求項19】
カメラボディのコンピュータに、
フォーカシングレンズの位置を制御するレンズ駆動制御ステップと、
前記フォーカシングレンズの位置に応じたデフォーカス量が、前記第1の合焦判定基準の許容合焦範囲内にあるか否かに基づいて合焦を判定する合焦判定ステップと
を実行させるプログラムであって、
前記合焦判定ステップは、
前記デフォーカス量が、前記レンズ駆動制御部の制御による前記フォーカシングレンズの位置の変化に伴って、前記第1の合焦判定基準の許容合焦範囲の下限値未満の値から上限値超の値に変化した場合、又は、前記上限値超の値から前記下限値未満の値に変化した場合、前記第1の合焦判定基準に加えて、許容合焦範囲が前記第1の合焦判定基準に比べ拡大された第2の合焦判定基準に従って合焦を判定することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−61537(P2013−61537A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200672(P2011−200672)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】