説明

カメラボディ及びカメラシステム

【課題】画像データの補正が可能なカメラシステムにおいて、特に、補正データの液晶モニタ上の表示に関して使用者の使い勝手を向上したカメラシステムを提供する。
【解決手段】カメラボディは、被写体像を撮像することにより画像データを生成する撮像手段と、交換レンズから、交換レンズの光学データを取得する取得手段と、取得手段により取得された光学データに基づいて、撮像手段により生成された画像データを補正する補正手段と、画像データに基づく画像を表示する表示手段と、を備える。表示手段は、カメラボディの電源がONされた後、補正手段が撮像手段により生成された画像データの補正を完了するまでは、撮像手段により生成された画像データに基づく画像の表示を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラシステムに関し、特に、撮像した画像データの補正を行うことができるカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、レンズ交換式デジタルカメラと、画像処理装置とからなるシステムを開示する。そのレンズ交換式デジタルカメラのカメラボディは、カメラボディに装着されている交換レンズのID(レンズID)を取得する。レンズ交換式デジタルカメラは、画像データを撮像した際に、撮像した画像データとレンズIDを記憶媒体に記憶する。
【0003】
画像処理装置は記憶媒体に格納されている画像データのディストーション及びシェーディングを補正することができる。このため、画像処理装置は、交換レンズ毎のディストーション及びシェーディングを補正するための補正データを有している。
【0004】
レンズ交換式デジタルカメラで撮像された画像データは、装着されている交換レンズのレンズIDと共に記憶媒体に記憶されている。従って、画像処理装置は、記憶媒体に記憶されたレンズIDを参照することで、その記憶媒体に記憶されている画像データが生成された際にカメラボディに装着されていたレンズがどのようなレンズであったかを判断することができる。結果として、画像処理装置は、レンズの特性を考慮した、記憶媒体に記憶されている画像データに合った適切な補正をすることができる。
【0005】
このように、このレンズ交換式デジタルカメラと画像処理装置とからなるシステムによれば、レンズ交換式デジタルカメラで画像データを撮像した際に、撮像した画像データと装着されているレンズのレンズIDという最低限の情報を記憶媒体に記憶するだけで、撮像した画像データに対して適切な補正をすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−184247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1では、画像データの補正は、レンズ交換式デジタルカメラではなく、画像処理装置により実施されている。従って、デジタルカメラで実施される処理における、画像データの補正処理の高速化の技術や、補正限界を超えるレンズが装着された場合に対処する技術や、補正された画像データの液晶モニタ上の表示に関する技術等の、デジタルカメラ内で画像データの補正を行う場合に使い勝手を良くする技術は開示されていない。
【0008】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、画像データの補正が可能なカメラシステムにおいて、特に、補正データの液晶モニタ上の表示に関して使用者の使い勝手を向上したカメラシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様において、交換レンズを装着可能なカメラボディが提供される。カメラボディは、被写体像を撮像することにより画像データを生成する撮像手段と、交換レンズから、交換レンズの光学データを取得する取得手段と、取得手段により取得された光学データに基づいて、撮像手段により生成された画像データを補正する補正手段と、画像データに基づく画像を表示する表示手段と、を備える。表示手段は、カメラボディの電源がONされた後、補正手段が撮像手段により生成された画像データの補正を完了するまでは、撮像手段により生成された画像データに基づく画像の表示を停止する。
【0010】
本発明の第2の態様において、交換レンズとカメラボディとを含むカメラシステムが提供される。交換レンズは、その光学特性を示す光学データを記憶する記憶手段を備える。カメラボディは、交換レンズを介して形成された被写体像を撮像することにより画像データを生成する撮像手段と、交換レンズから光学データを取得する取得手段と、取得手段により取得された光学データに基づいて、撮像手段により生成された画像データを補正する補正手段と、画像データが示す画像を表示する表示手段と、を備える。表示手段は、カメラボディの電源がONされた後、補正手段が前記撮像手段により生成された画像データの補正を完了するまでは、撮像手段により生成された画像データに基づく画像の表示を停止する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像データの補正が完了するまでは、撮像手段で撮像された画像データの表示手段上での表示を停止する。これにより、使用者に、補正前の歪んだ画像を見せないようにすることができ、使用者の利便性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1のカメラシステムの構成を示す図
【図2】樽型歪曲収差を示す図
【図3】糸巻型歪曲収差を示す図
【図4】樽型歪曲収差の補正のためのゲインGを示す図
【図5】糸巻型歪曲収差の補正のためのゲインGを示す図
【図6】樽型歪曲収差の補正のためのゲインTGを示す図
【図7】糸巻型歪曲収差の補正のためのゲインTGを示す図
【図8】ゲインMGを示す図
【図9A】歪曲収差量DYの一例の一例を示した図
【図9B】ゲインGの一例の一例を示した図
【図9C】ゲインTMGの一例を示した図
【図10】補正係数テーブルの一例を示した図
【図11】初期化動作(1回目)を説明するための説明図
【図12】ゲインGが限界値を超えている場合のクリップ処理を説明するための模式図
【図13】初期化動作(2回目以降)を説明するための説明図
【図14】交換レンズの取り外し時の歪曲収差補正処理及び画像表示処理(第1の動作例)を説明するためのフローチャート
【図15A】交換レンズとカメラボディ間の完全な装着状態(状態A)を説明した図
【図15B】交換レンズの着脱途中状態(状態B)を説明した図
【図15C】交換レンズの着脱途中状態(状態C)を説明した図
【図15D】交換レンズのカメラボディからの完全な離脱状態(状態D)を説明した図
【図16】交換レンズの取り外し時の歪曲収差補正処理及び画像表示処理(第2の動作例)を説明するためのフローチャート
【図17】交換レンズの装着時の歪曲収差補正処理及び画像表示処理を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態1について説明する。
【0014】
1.実施の形態1
1−1.構成
図1に本実施の形態のカメラシステムの構成を示す。カメラシステム1は、カメラボディ100と交換レンズ200とから構成される。カメラボディ100は、CCDイメージセンサ110で撮像した画像データの歪曲収差の補正等の画像データの補正をすることができる。
【0015】
1−1−1.カメラボディの構成
カメラボディ100は、CCDイメージセンサ110と、液晶モニタ120と、カメラコントローラ140と、ボディマウント150と、電源160と、カードスロット170とを備える。
【0016】
カメラコントローラ140は、レリーズ釦130等の操作部材からの指示に応じて、CCDイメージセンサ110等の各部の動作を制御することで、カメラシステム1全体の動作を制御する。カメラコントローラ140は、垂直同期信号をタイミング発生器112に送信する。DRAM141は、カメラコントローラ140による制御動作や画像処理動作の際に、ワークメモリとして使用される。フラッシュメモリ142は、カメラコントローラ140の制御の際に使用するプログラムやパラメータを保存する。また、フラッシュメモリ142は、カメラボディ100に装着されている交換レンズごとの歪曲収差補正のためのゲインGやゲインTMGの情報を保存する。歪曲収差補正のためのゲインGやゲインTMGについては後述する。フラッシュメモリ142は、ゲインGやゲインTMGの情報を、交換レンズのIDやシリアルナンバー等と対応付けて保存する。
【0017】
CCDイメージセンサ110は、交換レンズ200を介して入射される被写体像を含む光学信号から画像信号を生成する。生成された画像信号は、ADコンバータ111でデジタル信号すなわち画像データに変換される。ADコンバータ111で生成された画像データに対して、カメラコントローラ140により様々な画像処理が施される。様々な画像処理とは、例えば、ガンマ補正処理、ホワイトバランス補正処理、キズ補正処理、YC変換処理、電子ズーム処理、JPEG圧縮処理などの画像圧縮処理、歪曲収差補正処理、色収差補正処理を含む。このように、本実施の形態のカメラシステム1は歪曲収差補正機能を有している。歪曲収差補正機能の詳細については後述する。
【0018】
CCDイメージセンサ110は、タイミング発生器112で制御されるタイミングで動作する。CCDイメージセンサ110の動作には、静止画像の撮像動作、動画像の撮像動作、スルー画像の撮像動作等が含まれる。スルー画像は、CCDイメージセンサによる撮像された後、リアルタイムで液晶モニタ120に表示されるが、メモリーカード171に記録されない画像である。スルー画像は主に動画像であり、使用者が静止画像の撮像時の構図を決めるために液晶モニタ120に表示されるものである。このような、リアルタイムで表示される動画(連続した画像)であるスルー画像を液晶モニタ120に表示する機能をライブビュー機能という。
【0019】
液晶モニタ120は、カメラコントローラ140で画像処理された表示用画像データが示す画像を表示する。液晶モニタ120は、動画像及び静止画像を選択的に表示可能である。
【0020】
カードスロット170はメモリーカード171を装着可能であり、カメラコントローラ140からの制御に基づきメモリーカード171に対してデータの書き込み、読み出しを行う。メモリーカード171は、カメラコントローラ140の画像処理により生成された画像データを格納可能である。例えば、メモリーカード171は、JPEG画像ファイルを格納できる。また、メモリーカード171に格納された画像データ又は画像ファイルはメモリーカード171から読み出し可能である。メモリーカード171から読み出された画像データ又は画像ファイルは、カメラコントローラ140により画像処理される。例えば、カメラコントローラ140は、メモリーカード171から取得した画像データ又は画像ファイルを伸張して表示用画像データを生成する。
【0021】
電源160は、カメラシステム1で消費するための電力を供給する。電源160は、例えば、乾電池であってもよいし、充電池であってもよいし、または、電源コードにより外部から供給される電力をカメラシステム1に供給するものであってもよい。
【0022】
ボディマウント150は、交換レンズ200のレンズマウント250と機械的及び電気的に接続可能である。ボディマウント150は、レンズマウント250を介して、交換レンズ200との間で、コマンドやデータを送受信可能である。ボディマウント150は、カメラコントローラ140から受信した種々の制御信号を、レンズマウント250を介してレンズコントローラ240に送信する。また、ボディマウント150は、電源160から受けた電力を、レンズマウント250を介して交換レンズ200全体に供給する。
【0023】
1−1−2.交換レンズの構成
交換レンズ200は、光学系と、レンズコントローラ240と、レンズマウント250とを備える。光学系は、ズームレンズ210、OISレンズ220、絞り260、及びフォーカスレンズ230を含む。
【0024】
ズームレンズ210は、交換レンズ200の光学系で形成される被写体像の倍率を変化させるためのレンズである。ズームレンズ210は、1枚又は複数枚のレンズで構成される。駆動機構211は、使用者が操作可能なズームリング等を含み、使用者による回転操作に応じてズームレンズ210を光学系の光軸方向に沿って移動させる。検出器212は、駆動機構211における駆動量を検出する。レンズコントローラ240は、この検出器212における検出結果を取得することにより、光学系におけるズーム倍率を把握することができる。
【0025】
OISレンズ220は、交換レンズ200の光学系で形成される被写体像のぶれを補正するためのレンズである。OISレンズ220は、カメラシステム1のぶれを相殺する方向に移動することにより、CCDイメージセンサ110上の被写体像のぶれを小さくする。OISレンズ220は、1枚又は複数枚のレンズで構成される。アクチュエータ221は、OIS用IC223からの制御に基づき、光学系の光軸に垂直な面内でOISレンズ220を駆動する。アクチュエータ221は、例えば、マグネットと平板コイルとで実現可能である。位置検出センサ222は、光学系の光軸に垂直な面内におけるOISレンズ220の位置を検出するセンサである。位置検出センサ222は、例えば、マグネットとホール素子で実現可能である。OIS用IC223は、レンズコントローラ240から、ジャイロセンサ等のぶれ検出器(図示せず)の検出結果を得る。OIS用IC223は、位置検出センサ222の検出結果及びぶれ検出器の検出結果に基づいて、アクチュエータ221を制御する。また、OIS用IC223は、レンズコントローラ240に対して、光学的像ぶれ補正処理の状態を示す信号を送信する。
【0026】
絞り260は、光学系を通過する光の量を調整するための部材である。絞り260は、例えば、複数の絞り羽根からなり、羽根で構成する開口部を開閉することにより、光量を調整可能である。絞りモータ261は、絞り260の開口部を開閉するための駆動手段である。
【0027】
フォーカスレンズ230は、光学系でCCDイメージセンサ110上に形成される被写体像のフォーカス状態を変化させるためのレンズである。フォーカスレンズ230は、1枚又は複数枚のレンズで構成される。
【0028】
フォーカスモータ233は、レンズコントローラ240の制御に基づいてフォーカスレンズ230を駆動し、フォーカスレンズ230を光学系の光軸に沿って進退させる。これにより、光学系でCCDイメージセンサ110上に形成される被写体像のフォーカス状態を変化させることができる。本実施の形態1では、フォーカスモータ233は、ステッピングモータで構成する。しかし、フォーカスモータ233はこれに限定されず、例えば、サーボモータ、超音波モータなどによっても実現できる。
【0029】
レンズコントローラ240は、カメラコントローラ140からの制御信号に基づいて、OIS用IC223やフォーカスモータ233の動作を制御して、交換レンズ200全体の動作を制御する。また、レンズコントローラ240は、検出器212、OIS用IC223などから信号を受信して、カメラコントローラ140に送信する。レンズコントローラ240は、カメラコントローラ140との送受信の際には、レンズマウント250及びボディマウント150を介して行う。
【0030】
レンズコントローラ240は、制御の際、SRAM241をワークメモリとして使用する。また、フラッシュメモリ242は、レンズコントローラ240の制御の際に使用するプログラムやパラメータを保存し、例えば、後述する歪曲収差補正情報を保存している。
【0031】
レンズマウント250は、カメラボディ100のボディマウント150と機械的及び電気的に接続可能である。レンズマウント250は、ボディマウント150を介して、カメラボディ100との間で、コマンドやデータを送受信可能である。レンズマウント250は、レンズコントローラ240から受信した種々の制御信号を、ボディマウント150を介してカメラコントローラ140に送信する。例えば、レンズマウント250は、レンズコントローラ240から受信した歪曲収差補正情報を、ボディマウント150を介して、カメラコントローラ140に送信する。
【0032】
1−2.用語の対応
交換レンズ200は交換レンズの一例である。カメラボディ100は、カメラボディの一例である。CCDイメージセンサ110は、撮像手段の一例である。ボディマウント150は、取得手段の一例である。カメラコントローラ140は、補正手段の一例である。液晶モニタ120は、表示手段の一例である。フラッシュメモリ242は、記憶手段の一例である。接続確認用端子11及びロックピン15は検知手段の一例である。
【0033】
1−3.歪曲収差補正
本実施形態のカメラシステム1は歪曲収差を電気的に補正する機能を有している。以下、歪曲収差補正について説明する。
【0034】
1−3−1.歪曲収差補正の基本概念
図2〜図5を用いて歪曲収差補正の基本概念について説明する。歪曲収差には、図2に示すような樽型と図3に示すような糸巻型の2種類が存在する。樽型歪曲収差の場合、図2に示すように、歪曲収差が生じていない像A1を基準とすると、像A1の四隅が光学中心Oに向かって内側に歪み、全体に丸みを帯びた像A2がCCDイメージセンサ110上に形成される。光学中心Oは、CCDイメージセンサ110の中心であり、光学系201の光軸とほぼ一致している。
【0035】
一方、糸巻型歪曲収差の場合、図3に示すように、歪曲収差が生じていない像A3を基準とすると、像A3の四隅が光学中心Oから外側に向かって広がるように歪み、四隅が鋭角に尖った像A4がCCDイメージセンサ110上に形成される。
【0036】
このように、歪曲収差が生じると、CCDイメージセンサ110により取得された画像の外周部で被写体像が歪む。
【0037】
ここで、歪曲収差量をDY、歪曲収差が生じた実像高(像A2、A4における光学中心Oからの距離)をY、歪曲収差が生じていない理想像高(像A1、A3における光学中心Oからの距離)をY´、とすると、歪曲収差量DYは以下の式(1)で表わされる。

【0038】
本実施形態では、以下の式(2)により歪曲収差量DYを定義する。

【0039】
補正係数C3,C5,C7は、交換レンズに搭載されている光学系の仕様に応じて最適な数値が異なる。つまり、これらの補正係数C3,C5,C7は交換レンズ200特有の数値である。これらの補正係数を用いて歪曲収差の補正を行う。なお、上式(2)は歪曲収差を補正する際に使用される式の一例であり、他の式を用いてもよい。他の式を用いる場合、補正係数の種類は式(2)と異なる場合もある。
【0040】
歪曲収差を補正するためには、実像高Yを理想像高Y´に変換する必要がある。実像高Yを理想像高Y´に変換するために、以下の式(3)にてゲインGを定義する。

【0041】
式(3)のゲインGは実像高Yを理想像高Y´に変換するためのゲイン関数を示している。実像高Yの最大値を1とした場合、ゲイン形状は図4および図5のように表わすことができる。図4および図5では、縦軸がゲインG、横軸が実像高Yである。
【0042】
図4および図5に示すゲイン形状の場合、実像高Yが大きくなるにしたがって(つまり光学中心Oからの距離が大きくなるにしたがって)、ゲインGの絶対値が徐々に大きくなっている。これは、画像の外周部の歪曲収差量が中心部の歪曲収差量よりも大きいことを意味している。
【0043】
図4に示すようにゲインGが1よりも大きい場合、実像高Yが理想像高Y´に変換される際に画像が外側へ拡大される。つまり、図4に示すゲイン形状は、歪曲収差が図2に示すような樽型であることを意味している。
【0044】
一方、図5に示すようにゲインGが1よりも小さい場合、実像高Yが理想像高Y´に変換される際に画像が内側へ縮小される。つまり、図5に示すゲイン形状は、歪曲形状が図3に示すような糸巻型であることを意味している。
【0045】
このように、ゲインGを上記のように定義することで、歪曲収差を視覚的にとらえることができる。
【0046】
1−3−2.補正率
次に、図6、図7を用いて歪曲収差補正をする際の補正率について説明する。
上記のゲインGを用いると、理論上は歪曲収差を完全に補正することが可能となるが、歪曲収差を完全に補正しない方が好ましい場合も考えられる。例えば、人は、樽型の歪曲収差に対してそれほど敏感ではないが、糸巻型の歪曲収差に対しては敏感に反応する傾向にある。さらに、樽型の歪曲収差が生じた画像は若干丸みを帯びているため、温か味が感じられる。
【0047】
例えば、樽型の歪曲収差に対しては、歪曲収差補正の割合を小さくすることで、補正後の画像に樽型の歪曲収差が残り、温か味のある画像が得られる。また、糸巻型の歪曲収差に対しては、歪曲収差補正の割合を大きくすることで、補正後の画像から糸巻型の歪曲収差が完全に除去され、樽型の歪曲収差のように若干丸みを帯びた温か味のある画像が得られる。
【0048】
そこで、本実施の形態のカメラシステム1には、歪曲収差補正の割合を調節する機能が設けられている。具体的には、ゲインGに補正率Tを乗じたゲインTGを以下の式(4)のように定義する。

【0049】
前述のゲインGの代わりにゲインTGを用いることで、歪曲収差補正の程度を調節することができる。例えば、G>1の場合、補正率をT<1とすると、ゲインTGはゲインGよりも小さくなる。つまり、樽型の歪曲収差の場合、補正率T<1とすることで、歪曲収差補正の程度がゲインGでの補正に比べて小さくなる。
【0050】
また、G<1の場合、補正率をT<1とすると、ゲインTGはゲインGよりも小さくなる。つまり、糸巻型の歪曲収差の場合、ゲインTGを用いた歪曲収差補正の程度は、ゲインGを用いた補正に比べて小さくなる。
【0051】
なお、上記の場合のゲインTGのゲイン形状は、例えば図6および図7のように表わすことができる。ここで、補正率Tは以下の式(5)で表わすことができる。

【0052】
1−3−3.倍率補正値
次に、歪曲収差補正をする際の倍率補正値について図8、図9A〜図9Cを用いて説明する。
【0053】
本実施の形態にかかるカメラシステム1は、フラッシュメモリ242に格納されている交換レンズ200特有の補正係数C3,C5,C7に関する情報を用いることで、上述した方法により、光学系の特性に応じた歪曲収差の補正を行うことができる。
【0054】
しかし、糸巻型の歪曲収差を補正する場合、G<1であるため、補正後の像が実像よりも小さくなる。このため、条件によっては補正後の像がCCDイメージセンサ110よりも小さくなる。この結果、CCDイメージセンサ110から出力された画像に情報が欠落した領域が生じ得る。このような現象を画素欠陥という。
【0055】
画素欠陥の発生を防止するために、本実施の形態にかかるカメラシステム1では、歪曲収差補正の際に画像全体の倍率を補正する倍率補正値Mを用いる。例えば、倍率補正値Mを用いて、図8に示すように0≦実像高Y≦1の範囲内で、ゲインGがG≧1となるようにゲインGを補正する。
【0056】
具体的には、倍率補正値Mを考慮したゲインMGを以下の式(6)のように定義する。

【0057】
0≦Y≦1の範囲での最小値を求め、最小値が1以上となるようなMをゲイン形状に乗じる。ゲインGを実像高Yで微分した式(7)から、最小値を求めることができる。

【0058】
具体的には、式(7)が0である場合の解(例えば、a、b)を求め、Y=0、a、b、1の4点でのゲインGを比較する。その結果、ゲインGが最小である場合の実像高Yを求めることができる。この実像高Yおよび式(7)から、ゲインGの最小値を求めることができる。ゲインGの最小値GMINを用いて、倍率補正値MをM≧1/GMINとすることで、MG≧1を満たすことができる。
【0059】
このように、倍率補正値Mを設定することで、補正後の像を所定のサイズ以上になるように保つことができ、補正後の像がCCDイメージセンサ110のサイズよりも小さくなるのを防止できる。すなわち、画素欠陥の発生を防止することができる。
【0060】
以上のように、補正率Tおよび倍率補正値Mを考慮すると、最終的なゲインTMGは以下の式(8)で表わされる。

【0061】
式(8)および式(3)より、実像高Yを理想像高Y´に変換するための式(9)は以下のようになる。

【0062】
ここで、C3=0.2、C5=−0.2、C7=−0.1、T=0.9の場合の計算例について説明する。この条件下において、歪曲収差量DYおよびゲインGは式(2)および(3)より、以下の式(10)および(11)のように表わされる。

【0063】
式(10)および(11)の式は、図9Aおよび図9Bのグラフで表わされる。ゲインGの最小値を求めるために、式(11)を微分し、以下の式(12)を得る。

【0064】
ゲインGの最小値は、ゲインGの傾きが0である点、または、Y=0、1の点である。Z=Yと仮定すると、以下の2次方程式が導き出される。

【0065】
式(13)の解は、Z=0.387426、−1.72076となる。
【0066】
ここで、画素欠陥が発生しない条件として、アスペクト比が16:9の場合、0.49<Y<1の範囲におけるゲインGの最小値が解となる。このため、0.2401<Z<1、0.49<Y<1より、Z=0.387426、つまりY=0.622435が求まる。
【0067】
Y=0.49、または0.622435、1でのゲインGの最小値は、Y=0.622435となり、GMIN=0.95835となる。
【0068】
したがって、式(11)よりゲイン関数MGは以下の通りとなる。

【0069】
最終的に、T=0.9を考慮して、式(14)および式(4)より、以下のゲイン関数TMGを導き出すことができる。

【0070】
式(15)は図9Cのように表わすことができる。図9Cを参照すると、ゲインTMGは、0≦Y≦1の範囲において1以上となっている。このため、糸巻型の歪曲収差を補正する場合であっても、画像が拡大されるように補正される。これにより、画素欠陥が生じるのを防止することができる。
【0071】
このような計算を行うことにより、カメラコントローラ140は、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データの歪曲収差を補正するための、ゲインGや、ゲインTMGを計算することができる。カメラコントローラ140は、このように算出したゲインGやゲインTMGを用いて、CCDイメージセンサ110によって撮像された画像データの歪曲収差を補正する。
【0072】
1−3−4.歪曲収差補正情報
次に、歪曲収差補正情報について図10を用いて説明する。以上に説明した歪曲収差補正では、補正係数C3,C5,C7は1つの歪曲収差の特性にのみ対応している。
【0073】
しかし、交換レンズ式のデジタルカメラでは、光学系の仕様が交換レンズの種類ごとに異なるため、カメラボディに装着される交換レンズの光学系に応じて補正係数を選択する必要がある。
【0074】
また、同じ光学系であっても、焦点距離やフォーカスレンズの位置に応じて、歪曲収差の特性が変化する。このため、焦点距離およびフォーカスレンズの位置に合わせて補正係数C3,C5,C7を選択する必要がある。
【0075】
そこで、本実施形態では、交換レンズ200のフラッシュメモリ242は、補正係数テーブル(第1補正情報)を格納している。図10に、補正係数テーブルの具体的な構成を示す。同図に示すように、レンズコントローラ240の補正係数テーブルEは、ズーム情報ZENC、フォーカス情報FENC、複数の補正係数C3,C5,C7、および複数の補正率Tを有している。補正係数テーブルE、ズーム情報ZENC、フォーカス情報FENCおよび補正係数C3,C5,C7および補正率Tは、歪曲収差を補正するための情報の一例である。
【0076】
補正係数テーブルEでは、ズーム情報ZENCおよびフォーカス情報FENCに対応する補正係数C3,C5,C7および補正率Tが配列されている。ズーム情報ZENCのデータ数は、例えばNz+1である。フォーカス情報FENCのデータ数は、例えばNf+1である。
【0077】
ズーム情報ZENCおよびフォーカス情報FENCに応じて、補正係数テーブルEから補正係数C3,C5,C7および補正率Tを選択することができる。選択された補正係数C3,C5,C7および補正率Tを用いて前述の歪曲収差補正を行うことで、そのときの交換レンズ200の状態に適した歪曲収差補正を行うことが可能となる。
【0078】
レンズコントローラ240は、フラッシュメモリ242に格納されている補正係数テーブルEをカメラコントローラ140に送信する。カメラコントローラ140は、受信した補正係数テーブルEを用いて、歪曲収差を補正するためのゲインGを算出し、算出したゲインGを用いてCCDイメージセンサ110で撮像した画像データの歪曲収差を補正する。以下、本実施の形態のカメラシステム1における各種動作について説明する。
【0079】
1−4.動作
最初に、カメラシステム1の電源ON時に実行される動作である初期化動作について説明する。なお、初期化動作は、カメラボディに対する交換レンズの過去の装着回数に応じて初期化動作の内容が異なる。
【0080】
1−4−1.初期化動作1(交換レンズの1回目の装着)
本実施の形態にかかるカメラシステム1における初期化動作について図11を用いて説明する。特に、以下に説明する初期化動作は、カメラボディ100に交換レンズ200を初めて装着した状態で実行される初期化動作である。
【0081】
図11は、初期化動作における、カメラボディ100と交換レンズ200間の情報のやり取りを説明するための図である。使用者がカメラボディ100の電源釦(図示せず)を操作することにより、カメラシステム1の電源がONにされる(S10)。電源がONにされると、カメラシステム1の初期化動作が開始される。
【0082】
初期化動作が開始されると、まず、カメラボディ100は、交換レンズ200に対して、交換レンズ200のレンズID等の情報を要求する要求信号を送信する(S11)。レンズID等の情報を要求する要求信号を受信すると、交換レンズ200は、レンズID、シリアルナンバー、バージョン情報等の情報をカメラボディ100に送信する(S12)。
【0083】
レンズID等の情報を受信すなわち取得すると、カメラコントローラ140は、取得したレンズIDに対応したゲインGやゲインTMGをフラッシュメモリ142に保存しているか否かを判断する(S13)。ここでは、交換レンズ200を初めて装着したこととしているため、カメラコントローラ140は、取得したIDに対応したゲインGやゲインTMGが、フラッシュメモリ142に保存されていないと判断する。
【0084】
その場合、カメラボディ100は、交換レンズ200に対して、交換レンズ200の光学特性を示す、補正係数テーブル等の光学データの送信を要求する要求信号を送信する(S14)。要求信号を受信すると、交換レンズ200は、補正係数テーブル等の光学データをカメラボディ100に送信する(S15)。
【0085】
補正係数テーブル等の光学データを取得(受信)すると、カメラコントローラ140は、取得した補正係数テーブルに基づいて、上述した方法により、ゲインGやゲインTMGなどの歪曲収差を補正するための補正値を算出する(S16)。
【0086】
補正値を算出すると、カメラコントローラ140は、この算出した補正値がカメラボディ100の歪曲収差の補正の限界を超える補正値であるか否かを判断する。算出した補正値が歪曲収差の補正の限界を超えていると判断すると、カメラコントローラ140は、算出している補正値に補正率を掛け合わせることにより(算出している補正値を抑制することにより)、補正値を歪曲収差の補正の限界の範囲内に収める(S16)。すなわち、図12に示すように、算出した補正値に補正率を乗算することで、補正値をカメラコントローラ140による歪曲収差の補正の限界の範囲内に収める。
【0087】
例えば、本実施の形態のカメラシステム1において、カメラコントローラ140は、歪曲収差の補正を10%まで行うことができるとする。この場合において、カメラコントローラ140により算出したゲインG(補正値)が1.2であったとする。この場合、ゲインG(補正値)は図12に示す曲線Aとなる。曲線Aが示すゲインGでCCDイメージセンサ110で撮像した画像データを補正すると、歪曲収差を理論的には完璧に補正することができる。しかしながら、本実施の形態におけるカメラシステム1においては、画像データの歪曲収差補正が10%までしかできないため、中心位置からのそれぞれの距離におけるゲインGに対して補正率として1.1/1.2を掛け合わせることにより、曲線Bに示すような補正値を得ることができる。曲線Bにより表せるゲインGは、中心からの全ての距離において、10%以内の補正しか行わないため、カメラコントローラ140による歪曲収差の補正の限界の範囲内のゲイン(補正値)ということとなる。これにより、本実施の形態にかかるカメラシステム1は、歪曲収差補正を完璧に行うことができない交換レンズに対しても、最大限の歪曲収差補正を行うことができる。なお、本実施の形態にかかるカメラシステム1が歪曲収差の補正を行うことができる10%という率は仕様で決定している。従って、必ずしも10%という必要はなく、仕様として15%と規定されていれば15%でもよいし、仕様として20%と規定されていれば20%であってもよい。
【0088】
一方、算出した補正値がカメラコントローラ140による歪曲収差補正の限界の範囲内であると判断した場合は、カメラコントローラ140は、算出したゲインG(補正値)を交換レンズ200のIDと対応付けて、フラッシュメモリ142に記憶する(S18)。なお、カメラコントローラ140は、補正率を掛け合わせ歪曲収差補正の限界の範囲内に収めたゲインG(補正値)についても、交換レンズ200のIDと対応付けて、フラッシュメモリ142に記憶する(S18)。
【0089】
その後、カメラコントローラ140は、フラッシュメモリ142に記憶したゲインGを用いて、CCDイメージセンサ110により撮像された画像データの歪曲収差の補正処理を行う。この間、液晶モニタ120には、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データが示す画像は表示されない。すなわち、ライブビュー機能は停止している。
【0090】
歪曲収差の補正処理が完了し、歪曲収差補正後の画像データが生成されると、液晶モニタ120は、歪曲収差補正後の画像データが示す画像の表示を開始する(S19)。すなわち、ライブビュー機能を開始する。このように、本実施形態のカメラシステム1では、液晶モニタ120は、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データの歪曲収差の補正が完了する前は、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データが示す補正前の歪んだ画像を表示しない。
【0091】
以上のように、本実施の形態におけるカメラシステム1において、カメラコントローラ140は、交換レンズ200から取得した光学データに基づいて算出した歪曲収差補正用のゲインGが歪曲収差補正の限界を超える値である場合には、算出したゲインGに補正率を乗じることにより(ゲインGを抑制することにより)、ゲインGを歪曲収差補正の限界の範囲内に収める。これにより、装着している交換レンズの光学特性による歪曲収差がカメラコントローラ140による歪曲収差補正の限界を超えているような場合であっても、CCDイメージセンサ110で撮像した画像データに対して、比較的適した歪曲収差の補正を行うことができる。
【0092】
また、本実施の形態のカメラシステム1では、液晶モニタ120は、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データの歪曲収差の補正が完了する前は、電源ON後、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データの液晶モニタ120上での表示が可能になった場合でも、その撮像された画像データの歪曲収差補正が完了するまでは、液晶モニタ120上に、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データが示す補正前の画像を表示しない。すなわち、画像データの歪曲収差補正が完了するまでは、ライブビュー機能は停止し、画像データの歪曲収差補正完了後に、ライブビュー機能を開始する。これにより、歪曲収差補正が完了していない比較的見栄えの良くない画像を使用者に見せないようにすることができる。
【0093】
1−4−2.初期化動作2(同一交換レンズのn回目の装着(n≧2))
本実施の形態にかかるカメラシステム1における別の初期化動作について図13を用いて説明する。以下に説明する初期化動作は、同一交換レンズを装着してn回目(nは2以上の整数)の初期化動作時に実行される初期化動作である。すなわち、電源ON前にカメラボディ100に既に装着されたことがある交換レンズ200が装着された状態で実行される初期化動作である。
【0094】
図13は、初期化動作における、カメラボディ100と交換レンズ200間の情報のやり取りを説明するための図である。使用者がカメラボディ100の電源釦(図示せず)を操作することにより、カメラシステム1の電源がONにされる(S20)。電源がONにされると、カメラシステム1の初期化動作が開始される。
【0095】
初期化動作が開始されると、まず、カメラボディ100は、交換レンズ200に対して、交換レンズ200のID等の情報を要求する要求信号を通知する(S21)。その要求信号を取得すると、交換レンズ200は、ID、シリアルナンバー、バージョン情報等の情報をカメラボディ100に対して送信する(S22)。
【0096】
ID等の情報を取得すると、カメラコントローラ140は、その取得したIDに対応したゲインGやゲインTMGがフラッシュメモリ142に保存されているか否かを判断する(S23)。ここでは、その交換レンズ200を装着した状態でのn回目(n≧2)の初期化動作としているため、カメラコントローラ140は、取得したIDに対応したゲインGやゲインTMGがフラッシュメモリ142に保存されていると判断する。なお、本実施の形態では、フラッシュメモリ142に、1つのIDに対応してゲインG等の情報が保存されているとする。
【0097】
取得したIDに対応したゲインGやゲインTMGがフラッシュメモリ142に保存されていると判断すると、カメラコントローラ140は、フラッシュメモリ142に記憶されているゲインGやゲインTMGに基づいて、CCDイメージセンサ110により撮像された画像データの歪曲収差を補正する(S24)。
【0098】
画像データの歪曲収差の補正が完了すると、液晶モニタ120は、歪曲収差の補正が完了した後の画像データが示す画像を表示する(S25)。このように、歪曲収差の補正が完了するまでは、CCDイメージセンサ110により撮像された画像データが示す画像を液晶モニタ120に表示しないようにしている。
【0099】
このように、本実施の形態のカメラシステム1では、フラッシュメモリ142は、カメラコントローラ140により算出された歪曲収差の補正用のゲインGやゲインTMGを装着されている交換レンズのIDと対応付けて記憶する。また、カメラコントローラ140は、装着されている交換レンズに対応する歪曲収差の補正用のゲインGやゲインTMGが既にフラッシュメモリ142に保存されている場合、再度ゲインGやゲインTMGを算出することはない。このような場合、カメラコントローラ140は、既にフラッシュメモリ142に保存されているゲインGやゲインTMGを用いて、CCDイメージセンサ110により撮像された画像データの歪曲収差を補正する。これにより、カメラコントローラ140は、初期化動作の度に交換レンズ200の光学データに基づいて、歪曲収差補正用のゲインGやゲインTMGを算出する必要がない。その結果、カメラシステム1は、過去に装着したことのある交換レンズを装着した場合、初期化動作を比較的短時間で終了することができる。また、本実施の形態のカメラシステム1は、過去に装着したことがある交換レンズについては、レンズ装着後、比較的早い速度で、歪曲収差補正後の画像データが示す画像を液晶モニタ120に表示することができる。
【0100】
なお、本実施の形態のカメラシステム1において、フラッシュメモリ142は、歪曲収差補正用の補正値と交換レンズのIDとを対応付けて記憶している。しかし、必ずしもこのような構成である必要はなく、フラッシュメモリ142は、歪曲収差用の補正値と交換レンズのシリアルナンバーとを対応付けて記憶してもよい。これにより、同じIDを有する交換レンズ間に存在する微妙な光学特性についても、交換レンズ毎に適切な補正を行うことができる。
【0101】
また、フラッシュメモリ142は、歪曲収差補正用の補正値と交換レンズのバージョン情報とを対応付けて記憶してもよい。これにより、インターネットを介して光学特性情報をバージョンアップするような交換レンズを装着する際の歪曲収差の補正にも対応することができる。つまり、最後に歪曲収差の補正値を算出した後にその交換レンズのバージョンがアップすることにより光学特性データが変更となった場合には、カメラコントローラ140は、再度、歪曲収差補正用の補正値を算出し、その補正値を用いて歪曲収差の補正を行うことにより、より適切な歪曲収差の補正を行うことができる。
【0102】
1−4−3.交換レンズ取り外し時の歪曲収差補正及び画像表示(第1の動作例)
本実施の形態のカメラシステム1において、カメラシステム1の電源ON状態で交換レンズ200をカメラボディ100から取り外す際の歪曲収差補正の動作及び画像表示動作について図14、図15A〜15Dを用いて説明する。
【0103】
図14は、交換レンズ200をカメラボディ100から取り外す際の歪曲収差補正の動作を説明するためのフローチャートである。図15A〜15Dは、交換レンズ200をカメラボディ100から外す際の歪曲収差補正の動作の変化を説明するための説明図である。
【0104】
ここで、カメラボディ100と交換レンズ200間の装着状態を検出するための機構について説明する。本実施形態のカメラシステム1は、所定の規格に従ってカメラボディ100と交換レンズ200間の装着状態(着脱完了、着脱途中)を確認するようになっている。カメラボディ100及び交換レンズ200は、カメラボディ100と交換レンズ200間が電気的に接続されていることを認識するための接続確認用端子11、21をそれぞれ備えている。また、カメラボディ100は、交換レンズ200がカメラボディ100に対して機械的に接続されたことを確認するためのロックピン15を備えている。ロックピン15は、交換レンズ200がカメラボディ100に対して完全に装着された状態、または、交換レンズ200がカメラボディ100から完全に離脱した状態においてOFFし、交換レンズ200がカメラボディ100に装着途中の状態ではONするよう構成される。すなわち、接続確認用端子11、21により、交換レンズが所定の規格に準拠したものか否かが検知できる。また、ロックピン15により、交換レンズ200とカメラボディ100間の機械的な接続状態を検知できる。なお、接続確認用端子11、21やロックピン15はそのような検知手段の一例であり、本実施形態で意図する接続状態が検出できるものであれば、他の機構でもよい。
【0105】
図15Aは、カメラボディ100に交換レンズ200が完全に装着された状態を示す。以下この状態を「状態A」という。状態Aでは、カメラボディ100と交換レンズ200が接続されていることを電気的に認識する接続確認用端子11、21がONの状態で、かつ、カメラボディ100と交換レンズ200とが接続されていることを機構的に認識するロックピン15がOFFの状態である。すなわち、状態Aとは、カメラボディ100と交換レンズ200とが電気的にも機構的にも完全に接続されている状態である。
【0106】
図15Aに示す状態Aの場合、カメラコントローラ140は、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データの歪曲収差を補正する(S100)。また、カメラコントローラ140は、液晶モニタ120に、歪曲収差補正後の画像データが示す画像を表示させる(S100)。
【0107】
歪曲収差補正を行い、液晶モニタ120に歪曲収差補正後の画像データが示す画像を表示させている状態で、カメラコントローラ140は、ロックピン15がONされるかを監視する(S110)。
【0108】
交換レンズ200がカメラボディ100に完全に装着された状態から、交換レンズ200の取り外しのため交換レンズ200の回転が開始されると、接続用確認用端子11、21はONのままでロックピン15がONになる。図15Bに、このときの状態を示す。以下この状態を「状態B」という。状態Bは、ロックピン15はONされているが、未だカメラボディ100と交換レンズ200とが電気的にも接続されている状態である。換言すれば、状態Bは、交換レンズ200が装着途中の状態であり、交換レンズ200とカメラボディ100の不完全な接続状態を示す。
【0109】
カメラシステム1が状態Bとなり、ロックピン15がONされると、カメラコントローラ140は、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データの歪曲収差を補正する(S120)。また、カメラコントローラ140は、液晶モニタ120に、歪曲収差補正後の画像データが示す画像を表示させる(S120)。つまり、図15Bに示す状態Bの場合においても、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データの歪曲収差が補正され、液晶モニタ120には、歪曲収差補正後の画像データが示す画像が表示される。
【0110】
状態Bにおいてカメラコントローラ140は、カメラボディ100の接続確認用端子11が交換レンズ200の接続確認用端子21に電気的に接続されているか否かを判断する(S130)。
【0111】
交換レンズ200が状態Bからさらに回転されると、カメラボディ100の接続確認用端子11が交換レンズ200の接続確認用端子21と電気的に接続されなくなる。図15Cに、このときの状態を示す。以下この状態を「状態C」という。状態Cは、ロックピン15がONされ、接続確認用端子11と接続確認用端子21が電気的に接続されていない状態(OFF)である。換言すれば、状態Cは、交換レンズ200が装着途中の状態であり、交換レンズ200とカメラボディ100の不完全な接続状態を示す。
【0112】
カメラシステム1が状態Cとなり、接続確認用端子11、21が電気的に接続されていないことを判断した場合でも、カメラコントローラ140は、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データの歪曲収差を補正し(S140)、液晶モニタ120に、歪曲収差補正後の画像データが示す画像を表示させる(S140)。つまり、図15Cに示す状態Cの場合においても、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データの歪曲収差が補正され、液晶モニタ120には、歪曲収差補正後の画像データが示す画像が表示される。
【0113】
状態B、Cにおいて交換レンズ200内のレンズ系とCCDイメージセンサ110間の距離が状態A(完全装着時)のときと変わらない。このため、状態B、Cにおいて、液晶モニタ120に歪曲収差補正後の画像データが示す画像を表示させることで、使用者は交換レンズの取り外し途中においても液晶モニタ120で画像を確認することができる。
【0114】
その後、カメラコントローラ140は、ロックピン15がOFFされたか否かを判断する(S150)。
【0115】
交換レンズ200が状態Cからさらに回転され、交換レンズ200がカメラボディ100から完全に離脱されると、ロックピン15がOFFになる。図15Dに、このときの状態を示す。以下この状態を「状態D」という。状態Dは、ロックピン15がOFFであり、接続確認用端子11と接続確認用端子21が電気的に接続されていない状態(OFF)である。つまり、状態Dでは、カメラボディ100と交換レンズ200は、電気的にも機構的にも完全に非接続な状態となっている。
【0116】
カメラシステム1が状態Dとなり、ロックピンがOFFされたと判断すると、カメラコントローラ140は、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データの歪曲収差の補正を停止する(S160)。また、カメラコントローラ140は、液晶モニタ120に、CCDイメージセンサ110により撮像された、歪曲収差が補正されていない画像データを表示させる(S160)。つまり、図15Dに示す状態Dの場合において、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データの歪曲収差の補正が停止され、液晶モニタ120には、歪曲収差補正されていない画像データが示す画像が表示される。
【0117】
ここで、状態Dにおいて、カメラコントローラ140が歪曲収差の補正を停止する理由について説明する。カメラボディ100と交換レンズ200が電気的にも機構的にも完全に非接続である状態Dにおいては、CCDイメージセンサ110で撮像される画像データが示す画像はぼやけており、何が撮像されているのか視認できない場合が多い。従って、このようなぼやけた画像データの歪曲収差を補正したとしても、補正後の画像データが示す画像もぼやけたものとなり、意味がない。そこで、本実施の形態のカメラシステム1は状態Dであるときは、CCDイメージセンサ110で撮像した画像データの歪曲収差の補正を停止することとしている。なお、状態A、状態B、状態Cにおいては、多少画像がぼやけることがあるが、何を撮像しているかは十分に視認することができる。
【0118】
このように、本実施の形態のカメラシステム1において、カメラコントローラ140は、カメラボディ100と交換レンズ200とが電気的にも機構的にも完全に非接続となっている場合以外は、CCDイメージセンサ110で撮像した画像データの歪曲収差を補正し、補正後の画像データが示す画像を液晶モニタ120に表示する。このような動作により、カメラシステム1は、CCDイメージセンサ110が使用者によって視認可能な画像を撮像している可能性が高い場合においては、常に歪曲収差補正を行うこととなる。
【0119】
なお、上記の説明では、状態B、Cともに画像表示を停止したが、状態Bのときには画像の表示を継続し、状態Cになったときに画像表示を停止するようにしてもよい。状態Bのときに画像を表示させるようにすることで、使用者の不注意によりロックピン15が押されてONされた場合であっても、画像が消えることがなく、使用者の利便性を損なうことがない。また、状態Bから状態Cになったときは、ユーザがレンズを取り外したい意図が確認できたと考えられるため、画像表示を停止しても問題ない。
【0120】
1−4−4.交換レンズ取り外し時の歪曲収差補正及び画像表示(第2の動作例)
図16を参照し、交換レンズ取り外し時の歪曲収差補正及び画像表示の別の動作例(第2の動作例)を説明する。図14を参照して説明した上記の動作例(第1の動作例)では、状態B及び状態C(交換レンズの取り外し途中)においては、液晶モニタ120に画像を表示するよう制御されていた(図14のステップS120、S140)。これに対して、第2の動作例では、カメラコントローラ140は、状態B及び状態Cにおいては、液晶モニタ120に、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データに基づく画像を表示させないようにする(図16のステップS121、141参照)。その際、カメラコントローラ140は、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データに対して、画像の歪曲収差補正を行わなくても良いが、行ってもよい。
【0121】
1−4−5.交換レンズ装着時の歪曲収差補正及び画像表示
本実施の形態のカメラシステム1において、カメラシステム1の電源ON状態で交換レンズ200をカメラボディ100に装着する際の歪曲収差補正の動作及び画像表示動作について図17、図15A〜15Dを用いて説明する。
【0122】
カメラシステム1の電源ON状態での、交換レンズ装着時の歪曲補正および画像表示の動作は、基本的に交換レンズ200の取り外し時の動作と逆になる。すなわち、交換レンズ200装着時の場合、カメラシステム1の状態は、状態D→状態C→状態B→状態Aの順に変化する。
【0123】
交換レンズ200がカメラボディ100から完全に離脱した状態Dにあるとき、ロックピン15はOFFであり、接続確認用端子11と接続確認用端子21が電気的に接続されていない状態(OFF)である。このとき、カメラコントローラ140は、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データの歪曲収差の補正を停止する(S200)。さらに、カメラコントローラ140は、液晶モニタ120に、CCDイメージセンサ110により撮像され、歪曲収差補正がなされていない画像データを表示させる(S200)。
【0124】
状態Dから、使用者が交換レンズ200をカメラボディに接触させ、回転し始めると、カメラボディ100の接続確認用端子11が交換レンズ200の接続確認用端子21と電気的に接続されないが、ロックピン15がONした状態Cになる(S210)。
【0125】
状態Cでは、カメラコントローラ140は、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データの歪曲収差補正を行わずに(S220)、液晶モニタ120での、CCDイメージセンサ110で撮像され、歪曲収差補正されていない画像データの表示を停止させる(S220)。
【0126】
状態Cから、交換レンズ200の装着のため交換レンズ200がさらに回転されると、ロックピン15がONのまま、接続用確認用端子11、21間の電気的接続が確認される状態Bになる(S230)。
【0127】
状態Bにおいても、カメラコントローラ140は、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データの歪曲収差補正を行わず(S240)、また、液晶モニタ120に、CCDイメージセンサ110で撮像され、歪曲収差補正されていない画像データが示す画像を表示させない(S240)。
【0128】
以上のように、状態B、Cでは、カメラコントローラ140は、液晶モニタ120に、歪曲収差補正がなされていない画像を表示させないようにすることで、交換レンズ装着途中における歪んだ画像を使用者にできるだけ見せないようにしている。
【0129】
状態Bから交換レンズの回転がさらに進むと、ロックピンがOFFになり(250)、カメラシステム1が状態Aになる。状態Aにおいて、カメラコントローラ140は、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データの歪曲収差の補正を開始する(S260)。その際、カメラコントローラ140は、画像の歪曲収差補正が完了するまでは、液晶モニタ120にCCDイメージセンサ110で撮像された画像データが示す画像を表示させず、歪曲収差補正完了後に、補正後の画像データが示す画像を液晶モニタ120に表示する(S260)。
【0130】
このように、交換レンズ200のカメラボディ100への装着が完了しても、直ちに、液晶モニタ120における画像の表示が開始されず、歪曲補正が完了した時点で、液晶モニタ120への画像表示を開始する。これにより、歪曲収差補正前の歪んだ画像を使用者にできるだけ見せないようにしている。
【0131】
なお、上記の図14、図16、図17のフローチャートを用いて説明した例では、状態Dのときに、画像表示をONするように制御している。これは以下の理由による。所定のルール(すなわち所定の規格)に対応していない交換レンズがカメラボディ100に装着された場合、交換レンズのカメラボディ100への装着が完了しているにもかかわらず、上述のような電気的な接続は確認されない。そのような場合に、CCDイメージセンサ110で撮像された画像データが示す画像を液晶モニタ120に表示しないと、使用者がスルー画像を視認できないという不都合が生じる。このため、状態Dのときには、液晶モニタ120上の画像表示をONするように制御している。
【0132】
1−5.本実施の形態のまとめ
本実施の形態のカメラシステム1は、交換レンズ200とカメラボディ100とからなるカメラシステム1である。交換レンズ200は、交換レンズの光学系の特性を示す光学データを記憶するフラッシュメモリ242を備える。カメラボディ100は、被写体像を撮像することにより画像データを生成するCCDイメージセンサ110と、交換レンズ200から光学データを取得するボディマウント150と、ボディマウント150により取得された光学データに基づいて、CCDイメージセンサ110により生成された画像データを補正するための補正値を算出するカメラコントローラ140と、カメラコントローラ140により算出された補正値を記憶するフラッシュメモリ142と、を備える。
【0133】
これにより、カメラコントローラ140は、初期化動作の度に交換レンズ200の光学データに基づいて、歪曲収差補正用のゲインGやゲインTMGを算出する必要がない。その結果、本実施の形態にかかるカメラシステム1は、同一の交換レンズを装着した状態で2回目以降の初期化動作を比較的短時間で終了することができる。
【0134】
また、本実施の形態にかかるカメラシステム1は、交換レンズ200とカメラボディ100とからなるカメラシステム1である。交換レンズ200は、光学データを記憶するフラッシュメモリ242を備える。カメラボディ100は、被写体像を撮像することにより画像データを生成するCCDイメージセンサ110と、交換レンズ200から光学データを取得するボディマウント150と、CCDイメージセンサ110により生成された画像データを補正するカメラコントローラ140と、ボディマウント150が取得した光学データに基づいて、CCDイメージセンサ110により生成された画像データを補正するための補正値を算出するカメラコントローラ140と、カメラコントローラ140により算出された補正値がカメラコントローラ140により補正可能な範囲を超えた値である場合に、補正値をカメラコントローラ140により補正可能な範囲内に収まるよう抑制するカメラコントローラ140と、を備える。カメラコントローラ140は、カメラコントローラ140により算出された補正値に基づいて、CCDイメージセンサ110により生成された画像データを補正する。
【0135】
これにより、本実施の形態にかかるカメラシステム1は、装着している交換レンズの光学特性による歪曲収差がカメラコントローラ140による歪曲収差補正の限界を超えているような場合であっても、CCDイメージセンサ110で撮像した画像データに対して、比較的適した歪曲収差の補正をすることができる。
【0136】
また、本実施の形態にかかるカメラシステム1のうちのカメラボディ100は、交換レンズ200を装着可能なカメラボディ100であって、交換レンズ200を介して形成された被写体像を撮像することにより画像データを生成するCCDイメージセンサ110と、交換レンズ200から光学データを取得するボディマウント150と、ボディマウント150により取得された光学データに基づいて、CCDイメージセンサ110により生成された画像データを補正するカメラコントローラ140と、画像データに基づく画像を表示する液晶モニタ120と、を備える。液晶モニタ120は、カメラボディ100の電源がONされた後、カメラコントローラ140がCCDイメージセンサ110により生成された画像データの補正を完了するまでは、CCDイメージセンサ110により生成された画像データに基づく画像の表示を停止する。
【0137】
これにより、本実施の形態にかかるカメラシステム1は、歪曲収差補正が完了していない比較的見栄えの良くない画像を使用者に見せないでおくことができる。
【0138】
また、本実施の形態にかかるカメラシステム1のうちのカメラボディ100は、交換レンズ200を着脱可能なカメラボディ100であって、被写体像を撮像することにより画像データを生成するCCDイメージセンサ110と、交換レンズ200から光学データを取得するボディマウント150と、ボディマウント150により取得された光学データに基づいて、CCDイメージセンサ110により生成された画像データを補正するカメラコントローラ140と、交換レンズ200の着脱を検知するカメラコントローラ140と、を備え、カメラコントローラ140は、カメラコントローラ140が交換レンズ200の着脱を検知することにより、画像データの補正を停止する。
【0139】
これにより、本実施の形態にかかるカメラシステム1は、CCDイメージセンサ110が使用者によって視認可能な画像を撮像している可能性が高い場合においては、常に歪曲収差補正を行うこととなる。
【0140】
2.他の実施の形態
以上により、本発明の一実施形態として上記の実施の形態を説明した。しかし、本発明は、これらには限定されない。そこで、本発明の他の実施の形態を以下にまとめて説明する。
【0141】
実施の形態1では、画像の歪曲収差補正が完了するまでは、液晶モニタ120に画像を表示させないようにした(ライブビュー機能を停止した)。しかし、液晶モニタ120上に、補正前の歪んだ画像を表示しなければ、補正完了前に、所定のメッセージや静止画等を表示させてもよい。
【0142】
実施の形態1のカメラシステム1においては、歪曲収差の補正を行ったが、必ずしもこれには限られない。本発明は、例えば、色収差の補正や周辺光量の補正を行う際にも適用することができる。これにより、色収差の補正や周辺光量の補正なども効率的に補正することができる。
【0143】
また、実施の形態1では、可動ミラーを備えないカメラボディを例示したが、カメラボディはその構成に限定されない。例えば、カメラボディ内に可動ミラーを備えてもよいし、被写体像を分けるためのプリズムを備えてもよい。また、カメラボディ内ではなく、アダプター内に可動ミラーを備える構成でもよい。
【0144】
また、実施の形態1では、撮像素子として、CCDイメージセンサ110を例示したが、撮像素子はこれに限定されない。撮像素子は例えば、CMOSイメージセンサやNMOSイメージセンサで構成してもよい。
【0145】
なお、カメラシステム1がカメラシステム1に対して所定期間使用者による操作がないためにカメラシステム1が自動的に電源OFFになる機能(スリープモード)を有する場合がある。カメラシステム1がそのような機能を有する場合、上述のステップS10、S20の電源ONは、自動的に電源OFFになった状態(スリープモード)からの復帰時の電源ONを含んでもよい。また、上述のステップS10、S20の電源ONは、カメラボディ100から交換レンズ200への電源の供給が開始されることによる、交換レンズ200の電源ONを含んでもよい。
【0146】
また、フラッシュメモリ142に、複数個のIDに対して、それぞれのIDに対応したゲインG等の情報を保存してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0148】
100 カメラボディ
110 CCDイメージセンサ
111 ADコンバーター
112 タイミング発生器
120 液晶モニタ
130 レリーズ釦
140 カメラコントローラ
141 DRAM
142 フラッシュメモリ
150 ボディマウント
160 電源
170 カードスロット
171 メモリーカード
200 交換レンズ
210 ズームレンズ
211 駆動機構
212 検出器
220 OISレンズ
221 アクチュエータ
222 位置検出センサ
223 OIS用IC
230 フォーカスレンズ
233 フォーカスモータ
240 レンズコントローラ
241 SRAM
242 フラッシュメモリ
243 カウンタ
250 レンズマウント
260 絞り
261 絞りモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換レンズを装着可能なカメラボディであって、
被写体像を撮像することにより画像データを生成する撮像手段と、
前記交換レンズから、前記交換レンズの光学データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された光学データに基づいて、前記撮像手段により生成された画像データを補正する補正手段と、
画像データに基づく画像を表示する表示手段と、を備え、
前記表示手段は、前記カメラボディの電源がONされた後、前記補正手段が前記撮像手段により生成された画像データの補正を完了するまでは、前記撮像手段により生成された画像データに基づく画像の表示を停止する、
カメラボディ。
【請求項2】
前記表示手段は、前記補正手段が前記撮像手段により生成された画像データの補正を完了した後は、補正後の画像データに基づく画像を表示する、
請求項1に記載のカメラボディ。
【請求項3】
前記補正手段は、少なくとも画像データの歪曲収差、色収差及び周辺光量のいずれかを補正する、請求項1に記載のカメラボディ。
【請求項4】
交換レンズとカメラボディとを含むカメラシステムであって、
前記交換レンズは、その光学特性を示す光学データを記憶する記憶手段を備え、
前記カメラボディは、
前記交換レンズを介して形成された被写体像を撮像することにより画像データを生成する撮像手段と、
前記交換レンズから前記光学データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された光学データに基づいて、前記撮像手段により生成された画像データを補正する補正手段と、
画像データに基づく画像を表示する表示手段と、を備え、
前記表示手段は、前記カメラボディの電源がONされた後、前記補正手段が前記撮像手段により生成された画像データの補正を完了するまでは、前記撮像手段により生成された画像データに基づく画像の表示を停止する、
カメラシステム。
【請求項5】
前記表示手段は、前記補正手段が前記撮像手段により生成された画像データの補正を完了した後は、補正後の画像データに基づく画像を表示する、
請求項4に記載のカメラシステム。
【請求項6】
前記補正手段は、少なくとも画像データの歪曲収差、色収差及び周辺光量のいずれかを補正する、請求項4に記載のカメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−136357(P2010−136357A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250348(P2009−250348)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】