説明

カメラモジュール

【課題】 焦点調整を行うために光学部材を変位させることのできる有効な領域を確保しつつ、筐体を薄型化することができるカメラモジュールを提供する。
【解決手段】 撮像素子1と、レンズ5,10及び該レンズ5,10を保持する枠部6,11を有する光学部材4,9と、該光学部材4,9の位置制御を行う操作部材18と、該操作部材18を駆動する駆動手段32とを備え、各要素が筐体33に収容される。前記筺体33には、前記撮像素子1の撮像面2を通る光軸上に撮影用の孔34が形成され、前記操作部材18は、前記光軸に対して前記レンズ5,10が出退するように光学部材4,9を変位させ、且つレンズ5,10が光軸上に位置する状態において光学部材4,9の一部が前記孔34に入り込むように該光学部材4,9を光軸に沿って変位させるよう構成されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールに関するものであり、より詳しくは、携帯端末に搭載される小型のカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズが光軸上に介在する状態及び介在しない状態を切り換えることにより、一つのレンズを用いて倍率の変更を行うカメラモジュールが知られている(例えば、特許文献1)。また、焦点距離の異なるレンズを選択的に切り換えることにより、二つのレンズを用いて倍率の変更を行うカメラモジュールも知られている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平6−102572号公報
【特許文献2】特許第2657104号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年、携帯電話等の携帯端末装置にもカメラモジュールを搭載したものが普及し、簡易に撮影を行えるものが一般的になったが、最近では、撮影画像の多様性や高品質性に対応するために、倍率変更機能や焦点調整機能などの高度な機能が要求されるようになりつつある。
【0004】
ここで、倍率変更機能は、上記の特許文献1及び2で提案された方法によって実現できる。一方、焦点調整機能を実現するためには、レンズを光軸方向に変位させることが必要になる。
【0005】
しかしながら、携帯端末装置に小型化が要求されることに伴って、これに搭載されるカメラモジュールにも当然に小型化が要求されるため、光軸方向の寸法が制約を受けざるを得ず、レンズを変位させるための領域を充分に確保できないことに起因して、焦点調整機能を充分に発揮させることが困難となっている。
【0006】
そこで、本発明は、焦点調整を行うために光学部材を変位させることのできる有効な領域を確保しつつ、筐体を薄型化することができるカメラモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るカメラモジュールは、撮像素子と、レンズ及び該レンズを保持する枠部を有する光学部材と、該光学部材の位置制御を行う操作部材と、該操作部材を駆動する駆動手段とを備え、各要素が筐体に収容されるカメラモジュールであって、前記筺体には、前記撮像素子の撮像面を通る光軸上に撮影用の孔が形成され、前記操作部材は、前記光軸に対して前記レンズが出退するように光学部材を変位させ、且つレンズが光軸上に位置する状態において光学部材の一部が前記孔に入り込むように該光学部材を光軸に沿って変位させるよう構成されてなることを特徴とする。
【0008】
上記構成からなるカメラモジュールによれば、該光学部材を光軸に沿って変位させる場合に、該光学部材の一部が前記孔に入り込むことにより、撮像素子と筐体との間隔以上に撮像素子から光学部材を離間させることが可能となる。したがって、レンズを変位させるための領域を充分に確保し優れた焦点調整機能を発揮させるとともに、カメラモジュールの薄型化を図ることができる。
【0009】
この場合には、前記孔は、光学部材の前記枠部よりも大径に形成され、該枠部の一部が前記孔に入り込む構成を採用することができる。このようにすれば、枠部の一部が前記孔に入り込むのに伴って、該枠部に保持されるレンズも、筐体との干渉を防止しつつ、撮像素子から離間させることが可能となる。
【0010】
さらに、前記撮像素子は、少なくとも前記光軸上に配置される透明な部位を有する固定部材によって撮像面が閉塞される構成を採用することができる。このようにすれば、周囲から侵入し得る塵埃や外乱光が撮像素子の撮像面に対して影響を及ぼすことを有効に防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、焦点調整を行うために光学部材を変位させることのできる有効な領域を確保し優れた焦点調整機能を発揮させるとともに、カメラモジュールの薄型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係るカメラモジュールの実施形態について、図面を基に説明する。
【0013】
本カメラモジュールは、図1及び図2に示すように、撮像素子1と、それぞれレンズを有する光学部材4、9と、各光学部材4,9を操作する操作部材18と、該操作部材18を駆動する駆動手段32とを備える。
【0014】
かかるカメラモジュールは、上記各要素が筐体(図1及び図2では図示しない)に収容されるものであり、該筺体には、外部の光をレンズを介して前記撮像素子1まで導入するために、撮影用の孔が形成される。
【0015】
前記撮像素子1は、図2によく示されるように、CCDやCMOSなどの周知の素子であり、被写体側の表面に撮像面2を有する。また、該撮像面2の周囲は、壁部3によって包囲される。なお、カメラモジュールの光軸は、撮像素子1を基準に設定され、前記撮像面2を通り且つ撮像面2に直交する位置に設定される。従って、光軸が前記筐体に形成された撮影用の孔を通過するように、撮像素子1が位置決めされる。
【0016】
前記光学部材4は、被写体側に配置され、一方の光学部材9は、前記撮像素子1側に配置され、各光学部材4,9は、軸部材14に回転自在に軸支される。軸部材14は、前記光軸に沿う方向に設けられており、各光学部材4,9は、それぞれ該軸部材14に対して垂直、即ち、光軸に対して垂直に回転する。なお、一対の光学部材4,9の間には、絞り孔が形成された遮光板15と、電磁石等のアクチュエーターによって駆動されるシャッター16とが介挿される。
【0017】
光学部材4は、円形状の周縁を有する長焦点距離のテレレンズ5と、該テレレンズ5の周縁を取り囲むように設けられる枠部6と、該枠部6の一部から延長するアーム部7と、操作部材18が有する後述するカム部に沿うフォロア部8とを備えている。なお、筺体に形成される前記撮影用の孔は、枠部6よりも大径に形成される。また、前記アーム部7は、枠部6よりも軸方向の寸法が小さく形成される。そして、アーム部7には、前記軸部材14が挿通される軸孔が形成され、該アーム部7によって光学部材4は回転自在となっている。
【0018】
一方、光学部材9は、短焦点距離のワイドレンズ10を有するとともに、光学部材4と同様に、枠部11と、アーム部12と、フォロア部13とを備えている。なお、前記撮像素子1の撮像面の周囲を包囲する前記壁部3は、前記枠部11よりも大径に形成される。また、前記アーム部12は、枠部11よりも軸方向の寸法が小さく形成される。そして、アーム部12には、前記軸部材14が挿通される軸孔が形成され、該アーム部12によって光学部材9は回転自在となっている。
【0019】
なお、一対の光学部材4,9は、軸方向に沿って互いを近接させる力が作用するように構成されており、具体的には、バネなどの周知の弾性部材17で連結される。また、該一対の光学部材4,9は、所定の規制手段により、所定の間隔よりも互いが接近することが規制されるように構成される。
【0020】
前記操作部材18は、回転駆動されるカム部材であり、該カム部材18は、回転軸に沿う上下に、前記各光学部材4,9に対応した二つのカム部(上方カム部及び下方カム部)19,28を備える。これにより、一つの操作部材によって前記二つの光学部材をそれぞれ操作可能である。具体的には、該カム部19,28には、各光学部材4,9が有する前記フォロア部8,13がそれぞれ当接する。
【0021】
なお、カム部材18は、下端部に設けられた歯車を介してモーターなど周知の駆動手段32によって回転駆動され、その回転軸は、前記光軸に沿って設けられる。また、該カム部材18は、上面視反時計回りに駆動されるものであるが、これに限られず、時計回りに駆動されるものであってもよく、適宜回転方向を変更可能なものであってもよい。
【0022】
各カム部19,28は、該カム部19,28に当接する前記各フォロア部8,13との関係において、同一形状を有し、それぞれは、回転軸に対して位相が半周期分ずれた位置に形成される。
【0023】
カム部19は、具体的には、カム部材18の回転軸周りに形成され、小径の逃がし部21を有する大径の第一カム面20と、該逃がし部21から径方向外方に延び、且つ前記回転軸の周方向に沿った傾斜部を有する第二カム面22とを備える。
【0024】
第一カム面20は、所定の角度範囲に亘って曲率半径が一定に形成される円弧状面である。
【0025】
一方、第二カム面22は、前記逃がし部21が形成される角度範囲と同等の角度範囲に亘って上面視扇状に形成され、回転軸方向の高さが変化する傾斜部23と、該傾斜部23の両側に形成される回転軸方向の高さが一定の平坦部26,27とで構成される。なお、平坦部26,27は、前記軸部材14周りに回転する光学部材4の前記フォロア部8が、カム部材18の外周側から径方向内方に入り込む若しくは径方向外方に出て行く領域である。また、前記傾斜部23は、傾斜度の異なる二つの斜面(緩斜面及び急斜面)24,25で構成される。
【0026】
前記下方カム部28は、上方カム部19と同様に、第一カム面29と、逃がし部30と、第二カム面31とを備える。
【0027】
なお、各光学部材4,9は、捻りコイルバネ等の周知の弾性部材により光軸側に付勢されており、各フォロア部8,13が対応する各第一カム面20,29に当接すると、その付勢力に抗して、光軸から離間する方向に回転するようになっており、また、前記各フォロア部8,13が第一カム面20,29から第二カム面22,31に移行すると、前記弾性部材17により、第二カム面22,31に付勢されるようになっている。
【0028】
上記構成からなるカメラモジュールによる光学部材4,9の動作について、図3に示す概略側面図に基づいて説明する。なお、図3中、光学部材4の上に位置する部材がカメラモジュールの筐体33であり、孔34は、該筐体33に形成された前記撮影用の孔である。
【0029】
まず、図3(A)に示す状態では、テレレンズ5を有する光学部材4が退避位置にあり、ワイドレンズ10を有する光学部材9が光軸位置にある。次に、倍率変更の動作としてレンズ5,10の切り換えが行われ、図3(B)に示す状態、即ち、光学部材4が光軸位置、光学部材9が退避位置にある状態となる。
【0030】
そして、焦点調整の動作としてテレレンズ5を有する光学部材4が光軸上を被写体側に変位し、図3(C)の状態となる。このとき、上記のように、光学部材4の枠部6が撮影用の孔34よりも小径であり、且つ、枠部6がアーム部7より突出することから、光学部材4は、枠部6が前記撮影用の孔34に入り込む位置まで変位可能である。
【0031】
一方、ワイドレンズ10が焦点調整の動作を行う場合には、図3(A)に示す状態から、ワイドレンズ10を有する光学部材9が光軸上を撮像素子1側に変位し、図3(D)に示す状態となる。このとき、上記のように、光学部材9の枠部11が前記撮像素子1の撮像面2の周囲を包囲する前記壁部3よりも小径であり、且つ、枠部11がアーム部12より突出することから、光学部材9は、枠部11が前記壁部3の内側に入り込む位置まで変位可能である。さらに、光学部材9の枠部11を撮像素子1に当接させ、撮像素子1の撮像面2を枠部11で覆うようにしている。
【0032】
次に、光学部材4,9を上記のように動作させるためのカム部材18の動作の一例について、図4を参照しつつ、図1、図2及び図3に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、図1及び図2中Sで示す位置(第一カム面と第二カム面との緩斜面側の移行部分)を0°とし、主に、前記上方カム部19について説明する。
【0033】
まず、0°において、光学部材4は退避位置にあり(図3(A)の状態)、そのフォロア部8は、前記第一カム面20に当接しているとともに、前記第二カム面22の平坦部26と同等の高さ位置にある。
【0034】
次に、カム部材18が回転すると、フォロア部8は、前記第一カム面20から外れ、前記平坦部26上を径方向内方に変位し、これに伴って、テレレンズ5が光軸に接近するように変位する。そして、カム部材18の回転開始から約60°のうちに、フォロア部8が向きを変え、前記テレレンズ5が光軸上に挿入されて、光学部材4は光軸位置にある状態となる(図3(B)の状態)。
【0035】
さらにカム部材18が回転すると、フォロア部8は、第二カム面22の前記緩斜面24に差し掛かり、約90°の角度範囲に亘って該緩斜面24に沿って頂部まで上昇する(図3(C)の状態)。前記焦点調整は、この緩斜面24を上昇する間に行われる。なお、該頂部は、約150°の角度位置にある。
【0036】
そして、フォロア部8は、第二カム面22の急斜面25に差し掛かり、約30°の角度範囲に亘って急斜面25に沿って降下し、約180°の角度位置にある平坦部27に復帰する(図2及び図3(B)の状態)。前記焦点調整は、前記緩斜面24に沿って上昇する間に行われるだけでなく、急斜面25に沿って降下する間にも行われるものであってもよい。
【0037】
そして、フォロア部8は、約60°の角度範囲に亘って、前記平坦部27上を径方向外方に変位し、これに伴って、テレレンズ5が光軸から離脱するように変位する。また、フォロア部8は、第二カム面22の終端を画する端面に当接し、該端面の端縁を支点として径方向外方に作用する力を受ける。このようにして、フォロア部8が向きを変え、前記テレレンズ5が光軸から離脱して、光学部材4が退避位置に復帰する(図1及び図3(A)の状態)。このとき、フォロア部8は、約240°の角度位置にあって、第一カム面20に当接する。
【0038】
この後、フォロア部8は、0°の角度位置まで約120°の角度範囲に亘って、第一カム面20に当接する。
【0039】
なお、他方の下方カム部28は、上記のように、上方カム部19と半周期分位相がずれた同等の形状を有するものである。このため、例えば、光学部材4が光軸位置にあって、そのフォロア部8が第二カム面22の前記傾斜部23に当接するときは、光学部材9のフォロア部13が下方カム部28の第一カム面に当接し、即ち、光学部材9は退避位置にあるという関係にある。
【0040】
以上のように、本実施形態に係るカメラモジュールによれば、倍率変更機能や焦点調整機能という高度な機能を有しつつも、これらの機能を単一の駆動手段によって実現することにより、カメラモジュールの小型化を図ることができる。
【0041】
また、テレレンズ5が光軸上に位置する状態において光学部材4の一部が前記撮影用の孔34に入り込むように該光学部材4を光軸に沿って変位させることができるため、焦点調整を行うために光学部材4を変位させることのできる有効な領域を確保し優れた焦点調整機能を発揮させるとともに、筐体の薄型化を図ることができる。
【0042】
さらに、光学部材9の一部が前記壁部3の内側に入り込むことで、前記ワイドレンズ10と撮像面2との間は、前記枠部11及び壁部3によって包囲された状態となり、塵埃や外乱光を有効に遮断することができる。そして、光学部材9の枠部11を撮像素子1に当接させ、撮像素子1の撮像面2を枠部11で覆うようにしているので、より一層、有効に塵埃や外乱光を遮断することができる。
【0043】
なお、このように光学部材9の枠部11を撮像素子1に当接させる場合、壁部3を省略しても塵埃等を遮断することができるし、また、壁部3を設ける場合、枠部11を撮像素子1に当接させなくても塵埃等の遮断効果は期待できる。
【0044】
ところで、上記カメラモジュールは、前記光軸上に位置する一つのレンズ又は複数のレンズの組み合わせによって、焦点距離が異なる複数の光学系を光軸上において構成可能であり、光学倍率が離散的に異なる複数の画像を得ることができるが、デジタルズームを併用することにより、前記光学系によって得られる画像を基に、連続的に倍率の変化する画像を得ることができる。
【0045】
具体的には、短焦点距離側の光学系による基準画像を処理した拡大画像の領域が、長焦点距離側の光学系による基準画像の領域と同等となる際に、該長焦点距離側の光学系が光軸上に介在する状態となるように、前記光学部材の位置制御が実行される。
【0046】
なお、前記各光学系は、単一のレンズで構成される場合もあるが、複数のレンズの組み合わせによって構成される場合もある。この場合には、その光学系の焦点距離は、各レンズによる合成焦点距離である。
【0047】
以下に、図5に基づいて、長焦点距離側の光学系として光学倍率が2.5倍のテレレンズ5を備え、短焦点距離側の光学系として光学倍率が1倍のワイドレンズ10を備えるカメラモジュールにおいて、倍率を連続的に上げるズーム操作を行い、画像をワイドレンズ10の光学倍率である1倍からテレレンズ5の光学倍率より大きい5倍まで連続的に拡大して画像を提供する場合について説明する。なお、デジタル処理及びレンズの切換処理は、任意の演算処理装置によって行われる。
【0048】
まず、前記光軸上にワイドレンズ10を介在させ、該ワイドレンズ10による第一の基準画像を得る。そして、倍率を上げる操作に応じて、第一の基準画像をデジタル処理により拡大して拡大画像を提供する。このとき、提供される画像の画質は、倍率が高くなるにつれて低下する関係にある。倍率が2.5倍まで上げられると、光軸上に介在するレンズをワイドレンズ10からテレレンズ5に切り換える操作が行われる。
【0049】
そして、該テレレンズ5による第二の基準画像を得ると、2.5倍まで拡大された前記拡大画像を、該第二の基準画像と差し替える。この処理により、提供される画像の画質は第一の基準画像と同程度となる。なお、このとき、該拡大画像の画像提供領域と、第二の基準画像の領域とが同等となっている。さらに倍率を上げる操作が行われると、前記第二の基準画像をデジタル処理により拡大して拡大画像を提供する。このとき、先ほどと同様に、提供される画像の画質は、倍率が高くなるにつれて低下する関係にある。
【0050】
このようにすれば、ズーム操作を行った場合、ズーム操作で要求される倍率が長焦点距離側の光学系の倍率となった際に光学系を変更することで画質を向上させることができるため、広い倍率の範囲に亘って画質を好適に維持しつつ、任意の倍率の画像を提供することが可能となる。
【0051】
なお、本発明に係るカメラモジュールは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0052】
例えば、図6に示すように、撮像素子1は、少なくとも前記光軸上に配置される透明な部位を有する固定部材35によって撮像面2が閉塞される構成であってもよい。このようにすれば、塵埃や外乱光を有効に遮断することができる。この場合、前記固定部材35は、レンズを備えた部材であり、特に、標準レンズや広角レンズを備えた部材であることが好ましい。
【0053】
また、上記実施形態においては、カム部材18は、位相が半周期分ずれた位置に形成される二つのカム部19,28を有するものとして説明したが、位相をずらす度合いや、設けられるカム部の数や、カム部の形状、傾斜の度合いなどは、これに限定されるものではない。そして、カメラモジュールが有するカム部材は、一つには限定されず、一つの駆動手段によってそれぞれ回転駆動されるものであれば、複数であってもよい。
【0054】
なお、本発明においては、カメラモジュールは、光学部材を二つ有するものであったが、光学部材を一つのみ有するものであってもよい。
【0055】
また、本実施の形態では、カメラモジュールを例にとって説明したが、同様の構成を搭載した携帯電話機やPDAなど、各種撮像機器にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係るカメラモジュールは、焦点調整を行うために光学部材を変位させることのできる有効な領域を確保しつつも、カメラモジュールの薄型化を図ることができるため、装置の小型化が要請される携帯電話やPDAなどの携帯端末装置の分野において特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態に係るカメラモジュールであって、撮像素子側の光学部材が光軸位置にある状態の斜視図
【図2】同実施形態に係るカメラモジュールであって、被写体側の光学部材が光軸位置にある状態の斜視図
【図3】同実施形態に係るカメラモジュールの動作を示す概略断面図であって、(A)は、被写体側の光学部材が退避位置にあり、撮像素子側の光学部材が光軸位置にある状態を示す概略断面図、(B)は、被写体側の光学部材が光軸位置にあり、撮像素子側の光学部材が退避位置にある状態を示す概略断面図、(C)は、被写体側の光学部材が光軸位置にあって、該光学部材の一部が撮影用の孔に入り込んでいる状態を示す概略断面図、(D)は、撮像素子側の光学部材が光軸位置にあって、該光学部材の一部が壁部の内側に入り込んでいる状態を示す概略断面図
【図4】同実施形態に係るカメラモジュールの光学部材の動作を説明する図
【図5】同実施形態に係るカメラモジュールを用いて撮影される画像の画質と倍率との関係を示す図
【図6】本発明のその他の実施形態に係るカメラモジュールの概略断面図であって、(A)は、撮像面を閉塞する固定部材と変位可能な二つの光学部材とを備えるカメラモジュールの概略断面図、(B)は、撮像面を閉塞する固定部材と変位可能な一つの光学部材とを備えるカメラモジュールの概略断面図
【符号の説明】
【0058】
1 撮像素子
2 撮像面
3 壁部
4 光学部材
5 テレレンズ
6 枠部
7 アーム部
8 フォロア部
9 光学部材
10 ワイドレンズ
11 枠部
12 アーム部
13 フォロア部
14 軸部材
15 遮光板
16 シャッター
17 弾性部材
18 カム部材(操作部材)
19 上方カム部
20 第一カム面
21 逃がし部
22 第二カム面
23 傾斜部
24 緩斜面
25 急斜面
26 平坦部
27 平坦部
28 下方カム部
29 第一カム面
30 逃がし部
31 第二カム面
32 駆動手段
33 筐体
34 撮影用の孔
35 固定部材
S 第一カム面と第二カム面との緩斜面側の移行部分



【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、レンズ及び該レンズを保持する枠部を有する光学部材と、該光学部材の位置制御を行う操作部材と、該操作部材を駆動する駆動手段とを備え、各要素が筐体に収容されるカメラモジュールであって、
前記筺体には、前記撮像素子の撮像面を通る光軸上に撮影用の孔が形成され、
前記操作部材は、前記光軸に対して前記レンズが出退するように光学部材を変位させ、且つレンズが光軸上に位置する状態において光学部材の一部が前記孔に入り込むように該光学部材を光軸に沿って変位させるよう構成されてなることを特徴とするカメラモジュール。
【請求項2】
前記孔は、光学部材の前記枠部よりも大径に形成され、該枠部の一部が前記孔に入り込むことを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記撮像素子は、少なくとも前記光軸上に配置される透明な部位を有する固定部材によって撮像面が閉塞されることを特徴とする請求項1または2に記載のカメラモジュール。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−284733(P2006−284733A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−102217(P2005−102217)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】