説明

カメラ及びデジタル透かしシステム及び方法

本発明は、デジタル透かしの読み取りを改善するためのカメラ及びカメラハウジングを提供する。本発明の別の態様は、識別ドキュメントを認証する方法である。この識別ドキュメントは、第1成分を含む。個別のオーバーレイは第2成分を含む。この第2成分は、第1成分を分析するのに使用される。更に別の方法は、透かしに関連した極性に基づいて透かしの真正性を決定する。また、本発明は、装置の映像捕獲機能を高め、しかも、コンパクトな機械的設計を可能にする映像捕獲及び処理システム並びに方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願データ】
【0001】
本出願は、次の米国プロビジョナル特許出願の利益を請求する。2003年3月6日に出願された第60/453,031号、2003年3月18日に出願された第60/455,824号、2003年3月21日に出願された第60/456,677号、2003年4月18日に出願された第60/463,793号、及び2003年10月15日に出願された第60/511,848号。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、一般に、デジタル透かしに係る。また、本発明は、ワイヤレス電話等のポータブル装置において映像を捕獲して処理するような映像処理にも係る。
【発明の背景及び概要】
【0003】
偽造や模造が著しく増加し続けている。偽造の激しい分野は、セルラー電話やロゴやグラフィックやカメラのような消費者向け製品である。セルラー電話は、多くの場合、交換可能なフェースプレートを備えている。(又は、カメラは、泥棒によって容易に複製されるロゴプレートを備えている。)通常の偽造の筋書きは、フェースプレートを偽造し、次いで、その偽造フェースプレートを本物として通すことである。
【0004】
1つの解決策は、ステガノグラフィー補助データを消費者向け製品内又は上に設けて、偽造を防止又は検出する上で助けとすることである。このデータをデコードして、物体が本物であるかどうか決定することができる。また、補助データは、ウェブサイト又はデータ貯蔵部のようなネットワークリソースへのリンクを与えてもよい。予想される補助データが存在しないことは、偽造に関する手がかりを与えることができる。
【0005】
ステガノグラフィーの一形式は、デジタル透かしである。デジタル透かしシステムは、通常、2つの主たる要素、即ちホストメディア信号に透かしを埋め込むエンコーダと、透かしを含む疑いのある信号から、埋め込まれた透かしを検出して読み取るデコーダ(又はリーダー)とを有している。エンコーダは、ホストメディア信号を変更することにより透かしを埋め込むことができる。デコード要素は、疑わしい信号を分析して、透かしが存在するかどうか検出する。透かしが情報をエンコードする用途では、デコーダがこの情報を検出された透かしから抽出する。データは、例えば、光学センサからデコーダへと通信することができる。
【0006】
透かしを埋め込んで読み取るシステムの開発者にとっての1つの挑戦は、透かし入りのメディアコンテンツがある形態で変換された場合でも透かしを検出できるよう保証することである。透かしは、その版権保護又は偽造防止機能をバイパスさせるために意図的に壊されることもあるし、或いはコンテンツのルーチン操作により生じる種々の変換(例えば、スケーリング、回転、並進移動等)を介して偶発的に壊されることもある。透かし入り映像の場合には、映像をこのように操作すると、映像に埋め込まれた透かし模様が歪むことがある。
【0007】
透かしは、異なる属性を各々有する複数の成分をもつことができる。幾つかを挙げると、これらの属性は、機能、信号強度、透かし定義の変換ドメイン(例えば、時間的、空間的、周波数等)、ホスト信号における位置又は方向付け、冗長性、セキュリティのレベル(例えば、暗号化又はスクランブル化)、等々を含む。透かしの成分は、同じ機能を実行してもよいし異なる機能を実行してもよい。例えば、ある成分は、メッセージを伝達してもよく、一方、別の成分は、透かしの位置又は方向付けを識別するように働いてもよい。更に、異なるメッセージが、ホスト信号の異なる時間的又は空間的部分、例えば、映像における異なる位置、或いはオーディオ又はビデオの異なる時間フレームにおいてエンコードされてもよい。あるケースでは、成分が個別の透かしを通して与えられる。
【0008】
埋め込み装置及び検出器には、種々様々な別の実施形態がある。埋め込み装置の1つの実施形態は、2進メッセージのエラー修正コード化を実行し、次いで、2進メッセージをキャリア信号と合成して、透かし信号の成分を生成する。次いで、透かし信号をホスト信号と合成する。また、検出を容易にするために、検出成分を追加して、メッセージ及び検出成分を有する複合透かし信号を形成してもよい。メッセージ成分は、検出を容易にするために既知のビット又は符号ビットを含み、従って、マークを識別し且つメッセージを伝達するという2つの機能を果たす。検出成分は、合成信号における透かしの方向付けを識別するが、情報信号も搬送できるように設計される。例えば、検出成分の選択された位置における信号値を変更して、メッセージをエンコードすることができる。
【0009】
検出器の一実施形態は、ホスト信号における透かし信号の初期方向付けを推定し、この初期方向付けを洗練して、洗練された方向付けを計算する。方向付けを洗練するプロセスの一部分として、この検出器は、透かし又はホスト信号がその洗練された方向付けで調整されるときに透かし信号とホスト信号との間の関係を強化する少なくとも1つの方向付けパラメータを計算することができる。
【0010】
検出器の別の実施形態は、デジタル透かしを含む疑いのある信号の異なる部分において透かし信号の方向付けパラメータ候補を計算し、異なる部分からの方向付けパラメータ候補の類似性を比較する。この比較に基づいて、どの候補が有効な透かし信号に対応し易いかを決定する。
【0011】
検出器の更に別の実施形態は、透かしを有する疑いのある信号において透かしの方向付けを推定する。次いで、検出器は、その方向付けを使用して、その疑わしい信号における透かしの尺度を抽出する。透かしのこの尺度を使用して、その推定された方向付けのメリットを評価する。1つの実施例では、透かしの尺度とは、ターゲット信号から読み取られたメッセージビットが予想ビットに一致する程度である。別の尺度は、ターゲット信号の値が透かし信号と一貫したものとなる程度である。透かし信号の尺度は、所与の方向付けのメリットに関する情報を与え、これを使用して、方向付けの良好な推定を見出すことができる。もちろん、他の透かし埋め込み装置及び検出器を、本発明の幾つかの埋め込み/検出態様と適宜に交換することができる。
【0012】
メディア信号に透かしを埋め込んで検出する技術が、例えば、本譲受人の米国特許第6,614,914号、第6,122,403号、及びPCT特許出願PCT/US02/20832号(WO03/005291として公告された)に詳細に述べられている。
【0013】
以下の開示において、透かし及びステガノグラフィーを言及するときは、本譲受人の技術だけでなく、他の技術で実施されるものも同様に含み得ることが隠されていることを理解されたい。
【0014】
本発明の1つの態様は、ステガノグラフィー的に埋め込まれたデータを含む材料の改善された映像捕獲を行うカメラ及び/又はカメラハウジングを提供する。
【0015】
本発明の別の態様は、グラフィックアイコン又はロゴにデジタル透かしを埋め込むことに係る。埋め込まれた物体を使用して、ワイヤレスネットワークにおける応答を行うことができる。
【0016】
更に別の態様は、金属性インクを伴うデジタル透かしに係る。透かし信号の極性を分析して、ドキュメントがオリジナルであるか偽造品であるか決定する。
【0017】
本発明の更に別の態様は、ポータブル装置用のもので、装置の映像捕獲機能を高め、しかも、コンパクトな機械的設計を可能にする映像捕獲及び処理システム並びに方法を提供する。
【0018】
本発明の別の態様は、2つ以上の映像捕獲モードを伴う映像捕獲システムを備えたポータブル装置である。1つのモードは、短い焦点長さにおいて映像を捕獲し、別のモードは、長い焦点長さにおいて映像を捕獲する。サブウインドウ処理モジュールは、短い及び長い焦点長さにおいて捕獲された映像ストリームへのアクセスを可能にする。このモジュールは、広範囲な様々な像形成の用途を可能にする。
【0019】
本発明の1つの独創的態様は、レーザ彫刻によるステガノグラフィー信号を提供する。デジタル透かしが文字通りドキュメントにレーザ彫刻される。レーザ彫刻された透かしは、識別ドキュメントをステガノグラフィー的にマークする永久的な方法である。この形式のステガノグラフィーも、複製が非常に困難である。
【0020】
本発明の前記及び他の特徴及び効果は、添付図面を参照した以下の詳細な説明から容易に明らかとなろう。もちろん、添付図面は、必ずしも正しいスケールではなく、本発明の独創的態様に焦点を当てたものである。
【詳細な説明】
【0021】
関連米国特許第6,449,377号において、本出願人は、次のように教示している。
【0022】
図[1]に示す本発明の第1の実施形態において、線の巾は、それが通過する領域の明度を変化させるように制御可能に変更される。明度(又は反射率)を上げるために、線は細くされる(即ち、領域内のインクが少ない)。明度を下げるために、線は太くされる(即ち、より多くのインク)。
【0023】
所与の領域の明度を上げるべきか下げるべきかは、使用する特定の透かしアルゴリズムに依存する。アルゴリズムは、ピクセル化映像におけるピクセルの明度又はカラーを変化させるので、領域12の明度を変えることにより、いかなるアルゴリズムも使用できる。
【0024】
アルゴリズムの一例において、2進データは、0及び1ではなく、−1及び1のシーケンスとして表わされる。(2進データは、単一データムで構成できるが、より一般的には、多数のデータムで構成される。ここに示す実施形態では、データは、100ビットで構成される。)
【0025】
2進データシーケンスの各エレメントは、次いで、−1及び1で構成された擬似ランダム数シーケンスの対応エレメントで乗算されて、中間データ信号を発生する。この中間データ信号の各エレメントは、領域12のような映像の対応サブ部分へとマップされる。この領域内(及び任意であるがその周囲)の映像を分析して、埋め込まれたデータを隠すためのその相対的能力を決定すると共に、それに対応する倍率が発生される。倍率は、例えば、0から3の範囲でよい。領域に対する倍率は、次いで、その領域へマップされる中間データ信号のエレメントで乗算されて、その領域に対する「微調整」値を発生する。ここに示すケースでは、それにより得られる微調整は、−3から3の範囲でよい。次いで、この微調整値に基づいて、領域の明度が調整される。−3の微調整値は、−5%の明度変化に対応し、−2は−2%変化に対応し、−1は−1%変化に対応し、0は無変化に対応し、1は+1%変化に対応し、2は+2%変化に対応し、そして3は+5%変化に対応するものでよい。(この例は、特許第5,710,834号に開示されたリアルタイムエンコーダ実施形態で説明された基本的技術に従う。)
【0026】
図[1]において、透かしアルゴリズムは、領域Aの明度をあるパーセンテージだけ下げるべきである一方、領域C及びDの明度をあるパーセンテージだけ上げるべきであると決定する。
【0027】
領域Aでは、線の巾を増加することにより明度が下げられる。領域Dでは、線の巾を減少することにより明度が上げられ、領域Cでも同様である(程度は僅かであるが)。
【0028】
領域Bを通過する線はなく、従って、領域の明度を変更する機会はない。しかしながら、これは、この方法にとって致命的ではない。というのは、透かしアルゴリズムが、線画映像全体を通して離間されたサブ部分におけるデータの各ビットを冗長にエンコードするからである。
【0029】
図[1]の領域A及びDにおける線巾に対する変更は、説明の目的で誇張されている。図示された分散が考えられるが、ほとんどの実施例は、線巾を3−50%変調する(増加又は減少)。
【0030】
更に別の実施形態では、線を不変に保ちながら、各領域の明度が変更される。これは、さもなければ空いている領域部分におけるインクの小さなドットを撒き散らすことにより実行できる。銀行券に使用される形式の高品質の印刷では、直径が3μm程度の小滴を堆積することができる。(これより大きな小滴は、ほとんどの観察者の知覚スレッシュホールドを越える。)このような小滴で領域に斑点をつけると(規則的な配列で、又はランダムに、或いはガウスのような希望のプロフィールに基づいて)、1%程度の明度変化を容易に与えることができる。(通常、暗い小滴が領域に追加されると、明度の低下が生じる。明度の上昇は、明るい色のインクで斑点をつけるか、又はさもなければ領域に存在する線画に明るい空所を形成することで、行うことができる。)
【0031】
斑点をつける技術の変形において、非常に細いメッシュ線をアートワークに挿入して、この場合も、1つ以上の領域の明度を若干変化させることができる。
【0032】
鏡面への透かし入れ
反射性鏡面をステガノグラフィー的にエンコードするために同様の及び/又は改良された技術を適用できることが分かった。図2を参照すれば、鏡面は、一般に、光源から離れる(及び一般的にそこに戻らない)ように光を反射する。一実施例では、鏡面は、反射角が入射角に等しくなるような方向性で光を反射する。図2の鏡面は、基板と隣接して配列されるように示されているが、本発明は、これに限定されない。
【0033】
鏡面は、テキストも映像もなく、金属状の表面光沢(又は仕上げ)をしばしば含むものである。反射性鏡面材料は、例えば、幾つかの3Mのラジアント・ライト・フィルム(登録商標)(例えば、3Mのラジアント・ミラー及びビジブル・ミラー製品)を含む。ラジアント・ライト・フィルム(登録商標)は、Lexan(登録商標)シート(GEコーポレーションからの)及びオーバーラミネート(例えば、ポリカーボネート、フッ化ポリビニル、ポリエステル等)と結合することができる。米国のドリー・コーポレーションは、種々様々な適当なラミネートを提供している。もちろん、鏡面は、着色及び織り(例えば、濃淡、模様、光沢等)を含むことができる。これら鏡面のあるものは、その鏡面を横切る異なる観察角度及び希薄比において色合いも変化させる(例えば、3Mのカラー・ミラー・フィルム)。もちろん、鏡面は、テキスト又はグラフィックを伝達又は包含するように構成されてもよい。
【0034】
これまで、鏡面をステガノグラフィー的にエンコードすることは、独特の問題を提起していた。第1の問題は、このような反射面では、美的に不快にすることなく情報を隠すことが困難なことである。第2の問題は、信号の検出である。あるステガノグラフィーリーダーは、良好な検出を容易にするために光源(例えば、LED又は照明ソース)を含むか又はそれと協働する。これらのステガノグラフィーリーダーは、光学的映像センサを光源又はその付近に位置させるか又はそれらを同じ場所に設けることが多い。更に、鏡面では、光が光源(及び光学的映像センサ)から離れるように反射し、光学的センサで捕獲するための光学的データをほとんど又は全く生じない。光学的センサは、当該光学データを捕獲するために反射角に沿って配置される必要はない。この構成は、扱い難く、これまで、ステガノグラフィーリーダーで一貫した読みを得ることは困難であった。従って、鏡面における信号を捕獲して読み取ることは非常に困難である。
【0035】
図3を参照すれば、鏡面上にインク及び/又は染料を撒き散らす(又はオーバープリンティング等を行う)ことにより、これらの問題を克服する。インク又は染料は、ステガノグラフィー信号を伝達するために鏡面上に設けられる。
【0036】
インク又は染料は、鏡面に溶け込み、それを隠し、さもなければ、それとのコントラストを回避するように選択され又は塗布されるのが好ましい。例えば、鏡面がクロム、金又は銀の着色を含む場合には、インク又は染料は、少なくとも相補的なクロム、金又は銀の着色を含むのが好ましい。或いはまた、鏡面が模様又は背景を含む場合には、インク又は染料は、その模様又は背景と一致するか、さもなければ、それに溶け込むように選択することができる。他の場合には、インク又は染料は、一般に、不透明又は透明である。更に、透明なインクは、好都合な反射特性を含むのが好ましい。更に、インクは、インクの隠し特性を更に改善するために若干の光沢仕上げを含むように選択することができる。他の実施例では、インクは、鈍い又はマット状仕上げを含む。この鈍い又はマット状仕上げは、以下に述べるような好ましい反射特性(例えば、ランバート反射を近似する)を与えることができる。
【0037】
インク又は染料は、拡散反射面又は特性を含むのが好ましい。拡散反射面は、一般に光線を多数の方向に拡散するもので、例えば、光線源に向かって後方に拡散することを含む(図4aを参照)。この特性は、光源又はその付近に配置された光学センサによるステガノグラフィー信号の捕獲を許す。例えば、光学センサは、ステガノグラフィー信号の表示を含む光学的スキャンデータを捕獲する。捕獲されたスキャンデータは、デコーダに通信され、ステガノグラフィー信号を暗号解読する。(ある実施例では、インクがランバート反射を近似し、これは、インクが光を多数の方向に反射し、ひいては、多数の方向から認知できる(又は光学的に捕獲できる)ことを意味する。ランバート反射では、反射光線の輝度が光源の方向と表面の法線との間の角度に依存する。)図4bを参照すれば、光学センサを光源に配置する必要はなく、むしろ、別の(又は付加的な)反射光線を受け取るように配置できることに注意されたい。図4bの1つの実施例では、光学センサ及び光源が信号装置(例えば、ハンドヘルドのステガノグラフィー信号検出器)にパッケージされる。
【0038】
ステガノグラフィー信号は、メッセージ又はペイロードを伝達するのが好ましい。ある実施例では、メッセージ又はペイロードは、物体又は表面を識別するための独特の識別子を含む。或いは、メッセージ又はペイロードは、認証の手がかりを与えてもよい。他の実施例では、メッセージ又はペイロードは、例えば、関連する物体又は製造詳細、分配履歴、等に関する補助的な情報を与える。更に別の実施例では、メッセージ又はペイロードは、データ貯蔵部へのリンク又はインデックスを含む。データ貯蔵部は、識別子、認証の手がかり、及び/又は補助的情報を含む。
【0039】
ステガノグラフィー信号は、任意であるが、もろいものでよく、例えば、信号は、スキャニング及び印刷のような信号処理の際に破壊される(又は複写不能になる)か、又は予想通りに劣化するものでよい。
【0040】
ステガノグラフィー信号は、回転、スケーリング、並進移動等の映像歪の分析を助け、及び/又はメッセージ又はペイロードの検出を助ける上で有用な方向付け成分を含んでもよい。この方向付け成分は、個別の信号でもよいし、或いはメッセージ又はペイロードと合成(又は連結)されてもよい。
【0041】
また、ステガノグラフィー信号は、方向付け、メッセージ又はペイロード(或いは複数ビットデータ)を冗長に伝達するために、鏡面を横切って冗長に与えられてもよい。或いは、この信号は、物体又は場所に特有であってもよい。例えば、鏡面がグラフィック又は背景模様/織り/濃淡を含む場合には、この信号は、グラフィック又は背景模様/織り/濃淡に制限することができる。
【0042】
一実施例において、インク模様は、いわゆるデジタル透かし信号に基づき構成される。この信号は、「純粋な」又は「生の」信号である。純粋な又は生のデジタル透かし信号は、一般に、ホスト映像又はテキストの影響なしに又はそれを考慮せずに情報を伝達するものである。ある実施形態では、模様は、背景の織り又は濃淡として現れる(又はそれを含む)。他の実施形態では、模様は、ランダム(又は擬似ランダム)模様のように現れる。
【0043】
1つのデジタル透かしの実施例において、図5aを参照すれば、グレー又は単調な映像でスタートする(例えば、実質的に均一なピクセル値、又は微妙に変化するグレースケール織り、濃淡又は模様を含むフラットなグレー映像)。Adobeのフォトショップ又はJascSoftwareのペイントショッププロ等の標準的な映像編集ソフトウェアを使用して、グレー映像を形成することができる。グレー映像は、「ホスト」映像として働き、デジタル透かし埋め込みモジュールへ通される(ステップ50)。デジタル透かしモジュールは、例えば、変換ドメイン透かし埋め込み技術、又は空間ドメイン透かし埋め込み技術等に基づいてグレー映像をエンコードすることができる。それにより生じる埋め込まれたグレー映像は、次いで、鏡面に印刷されるか、又は他の方法で貼付される(ステップ54)。(ある実施形態では、鏡面が薄膜として設けられ、この薄膜は、オフセット印刷機又はレーザ/インクジェットプリンタを経て容易に供給することができる。)
【0044】
別の実施形態において、埋め込まれたグレー映像を、鏡面に印刷するか又は貼付する前に、「スレッシュホールド処理」する(図5bのステップ52)。一般に、スレッシュホールド処理は、透かし信号及び/又は透かし入り映像を減少させる。一実施例において、透かし信号は、複数の山及び谷(又はプラス及びマイナスの信号微調整)として埋め込まれる。微調整は、ピクセル値を変更するか又は変化を与え、例えば、ピクセルに対するグレースケールレベルを変更することにより、グレー映像にエンコードすることができる。(変換ドメイン埋め込みもピクセル値に変化を与えることに注意されたい。)この埋め込まれたグレー映像のスレッシュホールド処理は、次いで、グレースケールレベル(例えば、8ビット(即ち256レベル)グレースケール映像におけるレベル128)を選択し、そしてレベル128より下(又はそれより上)のグレースケールレベルをもつ幾つかの又は全てのピクセルを破棄することを含んでもよい。もちろん、使用することのできるスレッシュホールド処理技術は他にも多数あり、例えば、埋め込まれたグレー映像をフィルタリングし、2進映像を生成し(例えば、埋め込まれたグレー映像のピクセル値に基づいて映像ピクセルをオン又はオフにトグルし)、係数値(又は係数値のブロック)にピクセルを破棄し、等々である。次いで、このスレッシュホールド処理された埋め込まれたグレー映像は、鏡面に貼付されるか又は印刷される(56)。
【0045】
ある実施例では、2つ以上のデジタル透かしがステガノグラフィー信号に設けられる。2つ以上の透かしは、認証に対して協働し得る。例えば、2つの透かしの各々は、真正性を決定するために比較できる重畳するペイロード情報を含んでもよい。或いは、第1のデジタル透かしは壊れ易く、一方、第2のデジタル透かしは、頑丈でよい。更に、第1のデジタル透かしは、方向付け成分を含み、一方、第2のデジタル透かしは、メッセージ又はペイロードを含んでもよい。或いは、第1のデジタル透かしは、第2のデジタル透かしを暗号解読するか、さもなければ、それをデコードする上で助けとなるキーを含んでもよい。
【0046】
鏡面材料のシート(例えば、3Mのラジアント・ライト・フィルム)を使用する場合には、インクをシートに直接的に印刷することができる(例えば、スクリーン印刷、染料拡散熱転写(D2T2)、インク又はレーザジェット印刷、等)。インクがフィルム面に良く付着する上で助けとなるように、印刷の前に、フィルムにタイコート(tie coat)を敷設することができる。
【0047】
印刷されたシートは、次いで、消費者向け装置、電子デバイス、ラベル、ステッカー、識別ドキュメント(例えば、運転免許証、パスポート、識別カード、バッジ、アクセスカード等)、証明書、自動車(例えば、ペイント代用品又は上掛け等として)、クレジットカード、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、モデルロゴ(例えば、シューズや衣類や装置又は消費者向け製品のような物品に取り付けるための)、ハンドヘルド及びコンソールビデオゲーム、ページャー、ダッシュボード、ステレオフェースプレート又はカバー、プラスチック物品、等の物体に貼付することができる。また、印刷されたシートは、ホログラフィック構造体又は光学的可変装置として又はそれに関連して使用することもできる。あるケースでは、鏡面をホログラム状構造体又は成分として使用する。
【0048】
一実施形態において、印刷されたシートは、例えば、本出願人の関連米国特許出願第10/286,357号に意図されたような成形プロセスに送り込まれる。(ここに開示すると共に、特許出願第10/286,357号に開示された射出成形技術は、他の従来の射出成形技術と適当に交換できることにも注意されたい。)この実施形態のある実施例において、印刷されたシートは、Lexan(登録商標)ポリカーボネートシート(Lexan(登録商標)は米国のGEプラスチックスにより提供される)のようなキャリアシートに結合される(例えば、接着される)。積層型印刷鏡面シート/Lexan(登録商標)シート構造体も、以下、「印刷されたシート」と称される。この印刷されたシートは、おそらく、このシートを前形成又は前成形した後に、射出型に入れられる。印刷されたシートは、このシートの底面を第2の材料、例えば、射出されたポリカーボネート又はポリマー樹脂(或いは他の適当な射出材料)に隣接させるように、型に配置されるのが好ましい。印刷された鏡面シート/Lexan(登録商標)/射出材料構造体を含む三次元物体が出来上がる。(種々の層材料が射出成形プロセス中に時々溶融し又は他の層へ移動することに注意されたい。)また、印刷された鏡面の上にオーバーラミネート(例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン等)を設けることもできる。印刷されたステガノグラフィー信号は、これが印刷されたシートの底部層に印加された場合には、印刷されたシートの頂面から信号を見たときに、逆転することができる。印刷を逆転すると、通常、印刷されたシートの頂部層から信号がスキャニングされるときにそれを容易に読むことができる。
【0049】
別の成形実施例において、印刷された鏡面シートがLexan(登録商標)のシートと射出成形材料との間にサンドイッチされる。Lexan(登録商標)は、これを通して印刷された鏡面を見ることができるように若干透明であるのが好ましい。
【0050】
関連する実施形態では、基板(例えば、Lexan(登録商標)シート)と、この基板上に隣接配置されるか又はそれに接着される鏡面(例えば、ラジアント・ライト・フィルム(登録商標))が設けられる(集合的に「構造体」と称される)。鏡面は、ここに述べるステガノグラフィー信号を含むように印刷される。構造体は、任意であるが、ラミネート層を含むことができる。次いで、構造体は、ラミネート又はカバーとして使用される。ラミネート又はカバーは、種々の物体(セルラー電話、自動車部品、ラベル、識別ドキュメント、プラスチック部品、コンピュータ装置等)に貼付される(例えば、接着剤又は成形プロセスにより)。
【0051】
別の実施形態は、本発明の技術をコンパクトディスク(例えば、CD、CD−R及びCD−RW)及びデジタルビデオディスク(例えば、DVD、DVD−R及びDVD−RW)に適用することを含む。CD−Rについて実施例を説明するが、本発明の技術は、他のCD及びDVDにも適用できる。図6を参照すれば、CD−Rは、一般に、プラスチック(例えば、ポリカーボネート)基板(61)と、有機染料のような記録可能な材料の半透明データ層(62)と、鏡面反射層(63)とを含む多層構造体を含む。また、あるCD−Rは、鏡面反射層(63)に隣接した付加的な保護層又は印刷可能な層(64)も有する。
【0052】
CD−Rメディアを製造するときには、ピット及びランドに代わって、螺旋が、例えば、型抜き機からの射出成形により、記録レーザに対するガイドとして、基板にプレス又は形成される。記録レーザは、記録プロセス中にCD−Rディスクの半透明データ層を選択的に溶融する。データ層が溶融される位置は、不透明又は屈折性となって、読み取りレーザビームを散乱させ、従って、このレーザビームは、リーダーのセンサへ反射されて戻されない(又は異なる強度として反射される)。リーダーは、反射光と非反射光との間の差を2進信号として解釈する。
【0053】
上述したように、ステガノグラフィー信号を鏡面反射層63(又は他の隣接配置層)の上側又は下側に印加することもできる。ステガノグラフィー信号(又は埋め込まれたグレースケール映像)は、鏡面反射層63に印加する前に、スレッシュホールド処理するのが好ましい。高いスレッシュホールドは、印刷インクによるディスク読み取りエラーを防止する上で助けとなる。
【0054】
この実施形態の一実施例において、ステガノグラフィー信号は、デコードキーを含む。このデコードキーは、ディスク上のデータ(例えば、オーディオ、ビデオデータ)をデコード(又は暗号解読)するのに使用される。別の実施例において、ステガノグラフィー信号は、ディスクが本物であるかどうか決定するのに使用される識別子を含む。不法コピーは、鏡面にステガノグラフィー透かしを含まず、これは、許可されないコピーである証拠となる。
【0055】
カメラハウジング及び反射スリーブ
図8は、本発明の1つの態様に基づく独創的なカメラアクセサリ即ちハウジング80を示す。このハウジング80は、デジタル透かし入り材料の映像を最適に捕獲するのに特に有益である。カメラハウジング80は、円筒状の管82を含むのが好ましい。他の実施形態では、ハウジング80は、円錐形状、長方形の形状、楕円形の形状、等を含む。カメラ84は、映像対象又は物体からのカメラレンズアッセンブリ84aの高さHが特定のデジタル透かし用途に対して最適に得られるようにハウジング80内に位置される。ハウジング80は、レンズ84aの位置を確立するためのストッパを含んでもよいし、或いはレンズ84aが高さHを得るようにハウジング80内に入れられてもよい。高さHは、最適な映像焦点を得るように選択される。ハウジング80は、レンズアッセンブリ84aから、光学的に捕獲されるべき材料86までの距離(いわゆる「対象距離」)を固定し、従って、焦点の合った映像を捕獲するためにレンズアッセンブリ84aを手動で材料86に近付けたり離したりする必要性を軽減する。(「オートフォーカス」特徴をもつカメラでも、オートフォーカスサーチ時間を排除することで本発明のハウジング80から利益が得られる。)高さHは、カメラ84の光学系の特性と、捕獲されるべき材料86の解像度及び/又は材料86と共に埋め込まれるデータの解像度とによって、少なくとも一部分、決定されるのが好ましい。(ここでは、好ましい高さHは、埋め込まれたデジタル透かし入り材料のある程度のオーバーサンプリングを許すことに注意されたい。)
【0056】
ハウジング80は、透かし入り物体即ち基板86の上に置かれ、カメラ84は、物体即ち基板86の映像を捕獲する。(1つの適当なカメラは、例えば、ジョージア州ノークロスのマイクロ・エンタープライズ・インクから入手できるMiniVIDマイクロスコープ・カメラである。このMiniVIDは、ビデオ及びスチールの両映像を捕獲する。別の適当なカメラは、ROC台湾台北県のリンクカム・テクノロジーズ・インクにより製造されたLF−MO3又はLF−MO4USB CMOSカメラ(又は他のLFモデル)である。もちろん、本発明のこの態様と適当に交換できるカメラは、他にも多数ある。)ハウジングの下部Bは、開放しているのが好ましいが、エンクロージャーが透明で、エンクロージャーを通して映像を捕獲できる場合には、包囲されてもよい。
【0057】
図9を参照すれば、反射性スリーブ又は好都合に着色された表面90がハウジングアッセンブリ80内に設けられる。このスリーブ90は、レンズアッセンブリ84aの底部と同じ平面上又はその付近に好ましくは存在する上面92を備えている。この上面92は、開口92aを含み、レンズアッセンブリ84aによりこの開口92aを経て映像を捕獲することができる。(上面92は、図10aでは、ハウジング80を見上げ、例えば、図9のA−A線に向かって下部Bを見るという眺望から示されており、従って、ハウジング80が円筒状であるときにはドーナツ型の円板となる。)スリーブ90は、任意であるが、上面92から下部Bに向かって距離Dだけ延びる中空円筒部分94を備えている。この距離Dは、おそらく、カメラの視野を考慮して部分94から任意の反射率を与えるように選択できる。ある実施例では、スリーブ90は、ハウジング80から除去できる(例えば、個別のビニール又はポリマー系コンポーネント)。他の実施例では、スリーブ90は、ハウジング80自体の中に一体化される。更に別のケースでは、スリーブ90は、ハウジング80の異なる着色(又はペイント)部分を含む。
【0058】
スリーブ90は、好都合に着色された面(例えば、92、及び任意であるが、94)を与える。光は、この好都合に着色された面から材料86へ反射され、この材料は、光(ひいては、その好都合な色)をレンズアッセンブリ84aへ反射して戻す。この反射は、例えば、材料86が高い光沢性の金属性仕上げ又は鏡面を含むときに、特に言えることである。
【0059】
スリーブ90(例えば、面92及び/又は面94)は、像形成されるべき材料86に基づいて選択される着色を含むのが好ましい。例えば、黒又は暗いインクを通して伝達されるステガノグラフィーメッセージを含む鏡面(例えば、図3に示す面)を像形成する場合には、スリーブの色は、白又は少なくとも比較的明るい色であるのが好ましい。レンズアッセンブリ84aの眺望から、捕獲される映像は、鏡面からの白い(又は比較的明るい)面92/94の反射を含む。捕獲される映像は、鏡面における黒いインクの位置に対応して配置された暗い空所を含むことになる。反射された白い着色は、(例えば、暗い空所と共に伝達される)ステガノグラフィー信号に対する背景コントラストを与える。もちろん、スリーブの色は、白に限定されない。というのは、スリーブ面の着色がステガノグラフィー信号の色とでコントラストがある限り、その着色を広範囲に変更できるからである。例えば、ステガノグラフィー信号が黄色のインクと共に伝達される場合には、スリーブの着色を緑又は赤にすることができる。
【0060】
デコーダは、コントラストの相対的な変化を使用して、ステガノグラフィー信号を回復する。例えば、スキャナにより発生されるピクセルデータの値は、コントラストの前記変化を反映し(例えば、明度値、グレースケール値、カラー値、又はこれらの周波数ドメイン表示に関して)、ステガノグラフィー信号をデコードできるようにする。
【0061】
図10bは、図9のハウジングに入れられたときにカメラ84により通常捕獲される映像の一例を示す。この映像は、反射された白い背景100(スリーブ面92から反射された)と、黒(又は他の色)のインクに起因する比較的暗い空所即ち部分102とを含む。しかしながら、ハウジング80におけるレンズの位置により、映像は、鏡面におけるレンズの反射を含むことがある(図10bに内側の破線の円として示された)。レンズの反射は、暗い空所を区別するに充分なコントラストを常に含むものではない。しかしながら、これは、一般に、ステガノグラフィー信号が、例えば、材料86を経て冗長にエンコードされるか、又は充分にエラー修正エンコードされたときには、問題を生じることがない。
【0062】
図11は、スリーブ90が、上面92からハウジングの頂部Tに向かって延びる部分110を含むような実施形態を示す。延長距離D1は、スリーブ90の反射特性を改善すると共に、望ましからぬ照明を阻止する上で役立つように選択することができる。また、照明ソース(1つ又は複数)112は、一貫した及び/又は好都合な照明条件を得る助けとなるようにスリーブ90の上(又は下)に任意に設けることができる。(適当な照明ソース、例えば、白色ライト、又は赤/黄/緑のLEDは、ルメックス・インク(米国イリノイ州パラチンに本部を置く)、及びスタンレー・エレクトリック・セールス・オブ・アメリカ・インク(米国カリフォルニア州イルビンにオフィスを置く)を含む多数の売主から提供される。もちろん、本発明のこの態様と適当に交換できる適当な照明ソース及び売主は、他にも種々様々なものがある。)スリーブの下に配置される場合には(図示せず)、照明ソースは、スリーブ又はスリーブ面92に主として直接向けられる光を与えるように配置できる。
【0063】
カメラ及びレンズアッセンブリは、図8、9及び11に示すように、ハウジング内に適合される必要はない。むしろ、図12aを参照すれば、レンズアッセンブリ84aは、ハウジング80の頂面Tに、開口92aと協働して配置することができる。従って、スリーブ90は、希望のコントラストの反射を与えるようにハウジング内に配置できる。
【0064】
カメラ及びハウジングは、任意であるが、ドーム状にすることもできるし、又はユーザの手のひらに良く適合する形状にすることもできる。
【0065】
別の構成が図12bに示されている。カメラハウジングの下部Bは、像形成されるべき面とハウジング壁との間に角度θを形成するように設けられる。(図12aに示すハウジング80も、同様の角度にすることができる。)この構成は、捕獲された映像においてレンズアッセンブリ84aからの反射をオフセットする上で助けとなる。例えば、図10cを参照すれば、レンズアッセンブリ84aからの反射(破線の円として示す)は、映像の中心位置からオフセットされている。カメラの視野及び角度θに基づいて、レンズアッセンブリ84aによる反射は完全に除去することができる。図12bに示すようにハウジング内にレンズを配置すると、捕獲された映像に対してある程度の映像歪が導入されることがある。このような歪は、映像変換で容易に補正される。例えば、材料に対するカメラの捕獲角度が分かるので、歪を除去する上で助けとなるよう映像を再サンプリングすることができる。更に、ステガノグラフィー信号が方向付け成分を含む場合には、その方向付け成分を使用して、メッセージ検出の前に映像をサイズ変更又は再整列する上で助けとすることができる。
【0066】
例えば、特許出願第09/343,101号及び第09/482,786号、並びに特許第6,311,214号及び第6,513,717号に開示されたカメラと結合するときには、本発明のカメラハウジング及びスリーブに対して多数の他の組合せが考えられる。
【0067】
レーザ彫刻
識別ドキュメント
識別ドキュメント(以下、「IDドキュメント」)は、今日の社会において重要な役割を演じる。IDドキュメントの一例は、識別カード(「IDカード」)である。IDドキュメントは、身元を証明し、年齢を確認し、機密エリアにアクセスし、運転特典の証拠とし、小切手を現金化し、等々のために毎日使用されるものである。航空機の乗客は、チェックイン、セキュリティ審査の間、及び/又は飛行機に搭乗する前に、IDドキュメントを提示することが要求される。更に、我々は絶えず進歩するキャッシュレスの社会に生きているので、IDドキュメントは、支払いの遂行、ATMへのアクセス、口座からの引き落とし、又は払い込みの遂行に使用される。
【0068】
運転免許証、国家又は政府の識別カード、パスポート、査証、スマートカード、銀行カード、クレジットカード、管理アクセスカード、及びスマートカードのような多数の形式の識別カード及びドキュメントは、所持者の身元に関連した幾つかの情報アイテムを保持している。このような情報は、例えば、名前、住所、生年月日、署名及び写真像を含み、カード又はドキュメントは、それに加えて、他の不定データ(即ち、特定のカード又はドキュメントに特有のデータ、例えば、従業員番号)、及び不変データ(即ち、多数のカードに対して共通のデータ、例えば、雇主の名前)を保持してもよい。上述した全てのカードは、以下、一般に、「IDドキュメント」と称する。
【0069】
識別ドキュメントの分野で有用な映像を作成するときには、ドキュメント発行者を表わすデータ又は証印(例えば、公認シール、或いは会社又は教育団体の名前又はマーク)と、ドキュメント所持者を表わすデータ又は証印(例えば、写真似顔、名前又は住所)とを、ドキュメント(IDカード、運転免許証、パスポート等)に埋め込むことがしばしば望まれる。通常、ドキュメント発行者を表わす模様、ロゴ又は他の特有のマークは、ドキュメントの真正性、本物であること、又は有効発行を検証するための手段として働く。所持者の写真似顔、或いは他の個人的なデータ又は証印は、ある施設にアクセスする権利又は商取引及び活動に参加するための以前の許可を確認する。
【0070】
IDドキュメントを発行する商業的システムは、2つの主たる形式であり、即ちいわゆる「中央」発行(CI)と、いわゆる「現場(on-the-spot)」又は「店頭(over-the-counter)」(OTC)発行である。
【0071】
CI形式のIDドキュメントは、所持者に直ちに与えられるものではなく、中央位置から所持者へ後で発行される。例えば、1つの形式のCI環境では、所持者がドキュメントステーションに報告を行い、そこにデータが収集され、データが中央位置へ転送されて、カードが作成され、次いで、カードが、しばしば郵便で、所持者へ転送される。CIアッセンブルプロセスの別の実施例は、運転者が運転試験に合格したが、免許証を短期間の後にCI施設からメールで受け取るという設定で行われる。CIアッセンブルプロセスの更に別の実施例は、運転者が免許証を郵便又はインターネットで更新し、次いで、運転免許証カードを郵便で受け取るという設定で行われる。
【0072】
中央で発行される識別ドキュメントは、デジタル記憶された情報から作成できるもので、一般に、ペーパー又はプラスチックの不透明コア材料(「基板」とも称される)を備え、これは、前記情報アイテムを、磨耗、エレメントへの露出及びいたずらから保護するために、ポリエステルのような透明プラスチックラミネートの2枚の層間にサンドイッチされる。このようなCI識別ドキュメントに使用される材料は、最高の耐久性を与えることができる。更に、中央で発行されるデジタル識別ドキュメントは、一般に、OTC識別ドキュメントよりも高いレベルのセキュリティを与える。というのは、中央で発行される識別ドキュメントにとって現在独特の「マイクロプリンティング」のようなセキュリティ特徴、紫外線セキュリティ特徴、セキュリティ証印及び他の特徴と共に中央発行ドキュメントのコアを予め印刷する能力を与えるからである。中央で発行されるドキュメントに伴う別のセキュリティ効果は、セキュリティ特徴、及び/又はこれらの特徴を形成するために使用される安全確保された材料が中央に配置され、紛失や盗難の機会が少ないことである(安全確保された材料を非常に多数の「現場」位置にわたって分散させるものに比して)。
【0073】
更に、CIアッセンブルプロセスは、その多くが大量プロセス施設であって、多数のカードが集中化施設において次々に作成される。CI施設は、例えば、数千枚のカードを連続的に処理することができる。処理が大量に行われるので、CIは、あるOTCプロセス、特に、間欠的に運転されるOTCプロセスに比して、高い効率をもつことができる。従って、CIプロセスは、大量のIDドキュメントが製造される場合には、IDドキュメント当たりのコストを低くすることができる。
【0074】
CI識別ドキュメントとは対照的に、OTC識別ドキュメントは、ドキュメント発行ステーションに存在する所持者に直ちに発行される。OTCアッセンブルプロセスは、IDドキュメントを「現場」で与える。(OTCアッセンブルプロセスのここに示す実施例は、運転免許証が試験合格後にその場で個人に発行される陸運局(「DMV」)設定である。)ある場合には、OTCアッセンブルプロセスのまさしくその性質から、IDドキュメントを印刷するための小型の、時にはコンパクトな、印刷及びカードアッセンブル装置が生じる。
【0075】
上述した形式のOTC識別ドキュメントは、コスト及び希望の特徴に基づいて多数の形態をとり得る。あるOTC IDドキュメントは、高度に可塑化された塩化ポリビニル(PVC)を含むか、又は0.5−2.0ミル(13−51μm)PVCフィルムにポリエステルがラミネートされた複合構造を有し、これは、写真映像を形成する熱転写可能な染料に適した受け容れ層を形成し、更に、これと共に、所持者の識別に必要な不定又は不変のデータを含む。これらのデータは、その後、印刷ヘッドに貼付される透明な薄い(0.125−0.250ミル、3−6μm)オーバーレイパッチ、ホログラフィックホットスタンプホイル(0.125−0.250ミル、3−6μm)、又は共通のセキュリティ特徴をサポートする透明なポリエステルラミネート(0.5−10ミル、13−254μm)により、種々の程度で保護される。最後の2つの形式の保護ホイル又はラミネートは、時には、印刷ヘッドとは個別のラミネートステーションにおいて貼付される。ラミネートの選択は、映像及び他のデータを保護する上でシステムに与えられる耐久性及びセキュリティの度合いを指示する。
【0076】
プラスチックを含む多数の異なる形式の材料にマークし、書き込み及び彫刻するためにレーザビームを使用することができる。レーザは、例えば、日付コード、部品番号、バッチコード、及び会社のロゴのような証印を形成するためにプラスチック材料にマークするのに使用されている。レーザ彫刻又はマーキングは、一般に、識別マーク、キャラクタ、テキスト、触覚マーク−テキスト、模様、デザイン(装飾又はセキュリティ特徴のような)、写真等を含む−をドキュメントの面に刻むか又は彫刻するプロセスを含むことが明らかである。
【0077】
熱可塑性材料にレーザでマークする1つのやり方は、サーモプラスチックのような材料に所与の放射でレーザビームを照射することを含む。レーザが照射されたエリアは、レーザエネルギーを吸収して、熱を発生し、これは、サーモプラスチックに目に見える退色を生じさせる。この目に見える退色は、「マーク」即ち指示子として働き、レーザビームは、映像、線、数字、文字、模様等を形成し得る「マーク」の模様を形成するように制御できることが明らかである。レーザの形式及び使用する材料の形式に基づいて、種々の形式のマーク(例えば、明るい背景に暗いマーク、暗い背景に明るいマーク、着色マーク)を形成することができる。塩化ポリビニル(PVC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、及びポリエチレンテレフタレート(PET)のようなある形式のサーモプラスチックは、それらの自然の状態においてレーザエネルギーを吸収することができる。自然の状態においてレーザエネルギーを透過するある材料、例えば、ポリエチレンは、レーザエネルギーに応答させるために1つ以上の添加物を添加することを必要とする。
【0078】
付加的な背景として、種々のレーザマーキング及び/又は彫刻技術が、例えば、米国特許第6,022,905号、第5,298,922号、第5,294,774号、第5,215,864号、及び第4,732,410号に開示されている。更に、米国特許第4,816,372号、第4,894,110号、第5,005,872号、第5,977,514号、及び第6,179,338号は、レーザを使用して情報を印刷する種々の実施例を説明している。
【0079】
ここに開示する本発明の技術により容易にされたレーザ彫刻を使用して、IDドキュメント10の任意の層に印刷された(従来のやり方で又はレーザ彫刻により)任意の証印にデジタル透かしを設けることができる。(本発明の好ましいレーザ彫刻技術の幾つかをここに説明するが、他のレーザ彫刻技術をある透かし用途と適当に交換できることが明らかであろう。)
【0080】
本発明によりレーザを使用して識別ドキュメントにグレースケール映像を設ける能力が効果的である。というのは、識別ドキュメントのセキュリティを高めることができるからである。更に、本発明を使用して、付加的なセキュリティ特徴(デジタル透かしのような)を、レーザで彫刻したグレースケール映像に合体することもできる。また、以下に述べるように、デジタル透かしは、カラーレーザ彫刻で伝達することもできる。
【0081】
ここに示す実施形態では、IDドキュメントは、レーザ彫刻によりステガノグラフィー的にエンコードされたデジタル透かしを含む。ここに述べるように、デジタル透かし入れは、物理的又は電子的メディアを変更してマシン読み取り可能なコードをメディアに埋め込むプロセスである。メディアは、埋め込まれたコードがユーザに気付かれないか又はほぼ気付かれず、しかも、自動検出プロセスを経て検出できるように変更することができる。ある実施形態では、識別ドキュメントは、2つ以上のデジタル透かしを含む。
【0082】
レーザ彫刻でのデジタル透かし入れを、図21を参照して更に説明する。ホスト映像(例えば、グレースケール映像)がデジタル透かし埋め込み装置に供給される。ホスト映像は、ポートレートでよく、例えば、運転免許証又はパスポート、或いはグラフィック、ロゴ、模様、線画、又は背景の濃淡等のために捕獲されて使用されるものでよい。デジタル透かし埋め込み装置は、デジタル透かしをホスト映像に埋め込む。ある好ましい実施例では、デジタル透かしは、ペイロードを含む。ペイロードは、以下に述べると共に本出願人の前記特許文書にも述べられた認証の手がかりを含んでもよい。また、デジタル透かしは、いわゆる方向付け成分を含んでもよく、これは、回転、スケーリング、並進移動のような映像の歪を分析する上で助けとなり、及び/又は透かしをデコードする上でも助けとなる。あるケースでは、透かし(又は特定の透かし成分)は、ホスト映像全体にわたって冗長に埋め込まれる。他のケースでは、ホスト映像は、おそらく、異なる埋め込み技術又は透かし入れプロトコルを使用して埋め込まれた複数の透かし成分又は個別の複数の透かしを含む。(ある実施形態では、複数のホスト映像が透かし埋め込み装置へ通信される。複数の映像の各々には、独特の透かし(例えば、独特のペイロードを含む透かし)が各々埋め込まれる。)
【0083】
埋め込まれたホスト映像(1つ又は複数)は、レーザ彫刻プロセスへ通信される。識別ドキュメント(又は他のドキュメントや物体)は、埋め込まれたホスト映像(1つ又は複数)を含むようにレーザ彫刻される。例えば、埋め込まれたホスト映像は、ポートレートを含んでもよく、ポートレートは、ドキュメント又はドキュメント層へ彫刻される。ある実施形態では、埋め込まれたポートレート(又は他の映像)は、いわゆる「ゴースト映像」を得るように彫刻される。ゴースト映像は、通常、明るい背景又はオーバーレイに非常に良く似た巧妙な表示として現れ、これは、ポートレート又は写真映像を変更する困難性を著しく高める。あるケースでは、識別ドキュメントは、レーザ彫刻を良好に受けるためのレーザ向上添加物を含む。透かしは、レーザ向上添加物を含む識別ドキュメントにレーザ彫刻できることに注意されたい。向上添加物は、層がレーザ彫刻を良好に受ける上で助けとなる。
【0084】
時々、オーバーラミネート層(或いは単一の又は溶融された層構造体)は、マット仕上げを含む。このマット仕上げは、ある形態の埋め込みに関連した目に見える欠陥を減少する上で助けとなる。
【0085】
別のセキュリティ特徴は、あるレーザ彫刻技術がドキュメント面に物理的な織りを与えることである(多数の他の形式の彫刻はこのような織りを与えない)。デジタル透かしは、彫刻から得られる表面のマイクロトポロジーを経て伝達することもできるし、或いは織りが触覚認証の手がかりを与えてもよい。
【0086】
別のデジタル透かし実施例では、デジタル透かしがカラー映像に埋め込まれる。埋め込まれたカラー映像は、次いで、識別ドキュメント(或いは他のドキュメント又は物体)にレーザ彫刻される。フルカラーのレーザ彫刻は、2002年12月24日に出願された米国特許出願第10/330,034号(US2003−0234292A1号として公告された)に詳細に説明されている。本発明の工夫は、透かし成分をカラー平面に又は異なるカラー平面にもレーザ彫刻できることである。例えば、第1のデジタル透かし成分は、黄色のカラー平面にレーザ彫刻され、一方、第2のデジタル透かし成分は、シアンのカラー平面にレーザ彫刻され、等々となる。或いは、方向付け成分は、第1のカラー平面により表示されるように彫刻され、一方、ペイロード又はメッセージは、第2のカラー平面により表示されるように彫刻される。本出願人のいわゆるKフェーズの壊れ易い透かし技術は、複数のカラーでレーザ彫刻するのに特に良く適している。(付加的な背景については、例えば、PCT出願第PCT/US02/20832号、これはWO03/005291号として公告された、を参照されたい。)透かし成分は、識別ドキュメントに含まれた染料を選択的に励起することにより(例えば、レーザ励起された材料から伝達される熱により)カラーチャンネルに設けることができる。更に良く説明すると、ドキュメント層は、第1のレーザ感知材料を含む。この材料は、レーザ励起の際に熱を放出するという点で敏感である。放出された熱は、染料に伝達され、この染料は、熱でカラー変換を経験する。ほとんどのケースでは、変換は永久的である。あるケースでは、いわゆる純粋な又は生のデジタル透かし信号が、染料を選択的に励起してその純粋な又は生の信号を伝達することにより、供給される。他のケースでは、グレースケール映像が単一カラー平面において彫刻される。
【0087】
第1及び第2のデジタル透かしを設けることにより識別ドキュメントに付加的なセキュリティを追加することができる。第1のデジタル透かしは、ドキュメントに保持された写真又は映像(例えば、ゴースト映像)に埋め込むことができる。第1の映像は、ドキュメントにレーザ彫刻することができる。第2のデジタル透かしは、識別カードの第2の非写真領域に設けることができる。例えば、第2のデジタル透かしは、識別ドキュメントに保持された背景模様又は濃淡、線画(例えば、本譲受人の米国特許第6,449,377号を参照)、或いはテキスト、映像又はグラフィックに埋め込むことができる。また、第2の透かしは、方向付け成分を含んでもよい。(第2の透かしは、第1の透かしと同じ又は異なる埋め込みプロトコルを使用して埋め込みできることに注意されたい。)ある実施例では、第2のデジタル透かしは、ドキュメントにレーザ彫刻される。他の実施例では、第1及び第2のデジタル透かしの一方のみがレーザ彫刻により伝達される。
【0088】
第1のデジタル透かしは、第1セットの情報に対応するペイロード又はメッセージビットを含むのが好ましい。第1セットの情報は、識別カードの保有者(以下、「カード保有者」と称する)、及び/又は発行当局(例えば、州のDMV又は会社)或いは管轄区に関連しているのが好ましい。例えば、第1セットの情報は、カード保有者に関連した独特の識別子、生年月日、管轄区コード、識別カード番号、名前、住所、身体的特徴(髪の色、体重、性別、等)、発行日、制約(例えば、年齢制約、運転限定、等)、及び/又はこのような情報の細切れ(例えば、減少ビット表示)を含んでもよい。
【0089】
また、第2のデジタル透かしも、第2セットの情報に対応するペイロード又はメッセージビットを含む。第2セットの情報は、第1セットの情報に対応するのが好ましい。
【0090】
一実施例において、第2セットの情報は、第1セットの情報に厳密に対応する。これらの情報セットは、真正性を決定するために比較される。別の実施例では、第2セットの情報は、第1セットの情報のサブセットを含む。サブセットは、真正性を決定するために第1セットの情報とクロス相関される。更に別の実施例では、第1セットの情報は、第2セットの情報を暗号解読するためのキーを含む(又はその逆のことも言える)。(暗号化された透かしは、任意であるが、透かし検出器に含まれたキーで暗号解読されてもよいことに注意されたい。)更に別の実施例では、第2セットの情報は、磁気ストライプ又はバーコードにより保持された情報に対応しなければならない少なくとも若干の情報を含む。別の実施例では、第2セットの情報は、第1情報のサブセットと、付加的な情報との両方を含む。例えば、サブセットは、生年月日及びドキュメント番号を含んでもよく、一方、付加的な情報は、ドキュメントに印刷されたテキストに対応してもよい。もちろん、関連情報の多数の他の組合せを与えることもできる。例えば、情報のセットは、年齢又は名前の変更を検出することを目標としてもよい(例えば、両方の情報セットに年齢又は名前情報を含ませることにより)。あるケースでは、情報のセットは、カード保有者又は印刷テキスト情報に関する情報の細切れ又は減少ビット表示を含む。
【0091】
識別カードを認証するために、透かし検出器は、両透かしを読み取る。各々の透かしから第1セットの情報及び第2セットの情報が検索される。(通常、識別ドキュメントの同じ面に第1及び第2の両方の透かしが設けられるときには、検出のために1つの光学的スキャンしか必要とされないことに注意されたい。)第1及び第2の情報セットを比較して、一致を決定する。一致が生じると、テキストの変更に対して更なるチェックを容易にするために、透かし情報の幾つか又は全部を検査官に与えることができる。例えば、生年月日と、印刷テキストを確認するためのあるデータ(例えば、ファーストネームの3番目の文字が「e」でなければならず且つラストネームの2番目の文字は「t」でなければならないという指示)との両方を検査官に与えることができる。
【0092】
図22A及び22Bは、関連認証技術を示す図である。入力装置は、識別ドキュメントの映像を捕獲する。識別ドキュメントは、第1及び第2のデジタル透かしを含み、例えば、その1つ以上がドキュメント上にレーザ彫刻される。入力装置は、捕獲された映像に対応するデータを透かしリーダーへ伝達する。透かしリーダーは、プログラム可能なコンピュータとして実現することができ、これは、捕獲された映像データに含まれた第1及び第2のデジタル透かしを検出してデコードするためのソフトウェア命令を実行する。このコンピュータは、ハンドヘルド装置、ラップトップ、デスクトップ、又はリモートサーバーを含むことができる。(入力装置は、透かし検出器/コンピュータに繋がれて示されているが、本発明は、入力装置がコンピュータとワイヤレス通信できることも意図している。透かしリーダーは、デコードされた透かし情報(例えば、ペイロード又はメッセージ情報)を認証装置へ通す。認証装置は、コンピュータ上で実行されるソフトウェアにより実現することもでき、ある実施例では、透かしリーダーは、認証モジュールを備えている。この認証モジュールは、第1及び第2の透かし情報が対応するかどうか決定する。別の実施例では、認証装置(又は透かしリーダー)は、透かし情報の全部又は一部分をコンピュータディスプレイ(例えば、コンピュータグラフィックユーザインターフェイス)へ通す。透かし情報の若干又は全部を表示すると、検査官又は仕官は、透かし情報を、ドキュメントに印刷された情報に対して目で見て比較することができる。認証装置は、識別ドキュメントの認証状態を指示する認証信号を出力する。あるケースでは、信号がディスプレイへ伝達される。ここで、認証信号は、簡単な合格又は不合格信号でもよいし、或いは不合格の理由を示すより詳細な応答でもよい。他のケースでは、この信号は、オーディオ出力装置(例えば、オーディオスピーカー)へ伝達され、認証状態を聴覚的に知らせる(例えば、本物である場合には所定のサウンド又はオーディオセグメントが出力され、一方、本物でない場合には別の所定のサウンド又はオーディオセグメントが出力される。)
【0093】
図22Bを参照して、認証モジュールについて更に説明する。識別ドキュメントは、第1及び第2の両方のデジタル透かしが回復されたとき、及び第1及び第2の透かし情報(例えば、情報のセット)が対応するときに、本物であると考えられる。これら基準のいずれかが満足されないときには、ドキュメントが本物でないと考えられる。
【0094】
この実施例は、一般に、ソースとカードの中立性を問題とすることに注意されたい。これは、第1及び第2のデジタル透かしを使用して、カード上に与えられた特徴に関わらず識別ドキュメントを検証できることを意味する。
【0095】
別の実施例として、第2のデジタル透かしは、第1のデジタル透かしとは異なるドキュメント面(例えば、ドキュメントの背面)にレーザ彫刻される。この別の実施例は、第1及び第2の両方のデジタル透かしを検出するのに2つの光学的センサを必要とし得ることに注意されたい。これは、第2のデジタル透かしが、法的な追跡を目的として使用される情報を含むときにはあまり問題とならない。例えば、透かしは、オリジナルカード保有者に結び付いた情報を含んでもよい。第2の透かしがコピーされて第2の識別ドキュメントに転写された場合には、その透かし情報を使用して、オリジナルカード保有者に遡ることができる。同様に、第2の透かしは、発行場所(例えば、どのDMV支局か)又はオリジナル発行士官に関する情報を含んでもよい。
【0096】
第1及び第2の実施例のいずれかに対し、透かしに置き換わるものとして又は前記実施例を増強するために壊れ易い又は幾分壊れ易い透かしが設けられる。例えば、壊れ易い透かしは、第1又は第2のいずれかの透かしとして、或いは第3の透かし成分として使用されてもよい。ある実施例では、壊れ易い透かしを埋め込むために、例えば、PCT/US02/20832号に開示されたように、本出願人のアウト・オブ・フェーズ(out-of-phase)埋め込み技術を使用するのが好ましい。壊れ易い透かしは、信号処理の際に破壊されるか又は予想通りに劣化するよう設計されることが明らかである。幾分壊れ易い透かしは、通常の信号処理には耐えるが、悪意のある攻撃の際に破壊されるか又は予想通りに劣化する。
【0097】
壊れ易い又は幾分壊れ易い透かしを付加すると、コピーが作られたときに警告を与えることにより、予想される不正行為の筋書きに対する保護が追加される。カードのコピーに関連した変更は、壊れ易い透かしの状態又はそれが存在しないことから検出できる。
【0098】
別の実施例では、マシン読み取り可能なインクが関連情報に与えられる。このマシン読み取り可能なインクは、デジタル透かしのペイロード又は識別子を経て与えられるのが好ましい。識別子は、データベースに質問し又はリモートリソースにアクセスするのに使用される独特の番号を含むことができる。あるケースでは、識別子は、URL、又は適当なURLにアクセスするのに使用されるコードを含む。運転免許証の筋書きでは、デジタル透かしは、保険データベースへのリンクを含む。このデータベースは、カード保有者が車の保険に入っているかどうかの証拠となるデータ記録を含む。他のケースでは、デジタル透かしは、DMVデータベースへのリンクを含み、識別ドキュメントに印刷された情報、及びおそらくは、カード保有者の写真を検証できるようにする。データベースのカード保有者を、現在カードを保有している個人と比較することができる。データベースの写真と、カードに載せられた写真とを比較し、且つ現在のカード保有者を目で見て点検することにより、「写真交換」を更に検出することができる。本譲受人の2000年5月15日に出願された米国特許出願第09/571,422号及び米国特許第6,408,331号に開示された技術は、本発明のこのリンク態様と適宜に交換することができる。
【0099】
上述したものに加えて、図面及び特許請求の範囲に示された幾つかの考えられる組合せは、次のものを包含する。
【0100】
A1.コア層と、
前記コア層の少なくとも一部分の上に横たわり且つ前記コア層のその一部分に固定された第1層であって、この第1層がレーザ彫刻を含み、このレーザ彫刻が複数ビットペイロードを含む第1デジタル透かしを伝達するような第1層と、
を備える識別ドキュメント。
【0101】
A2.前記レーザ彫刻は少なくとも第2のデジタル透かしを含む、A1の識別ドキュメント。
【0102】
A3.前記第1及び第2のデジタル透かしは、前記識別ドキュメントの認証を容易にするように協働する、A2の識別ドキュメント。
【0103】
A4.前記レーザ彫刻は、前記識別ドキュメントの所持者の写真表示を含み、更に、前記第1のデジタル透かしは、その写真表示に埋め込まれる、A1の識別ドキュメント。
【0104】
A5.前記写真表示はグレースケール映像である、A4の識別ドキュメント。
【0105】
A6.前記写真表示はカラー映像である、A4の識別ドキュメント。
【0106】
A7.前記彫刻は前記第1の面を貫通しない、A1の識別ドキュメント。
【0107】
A8.前記彫刻は前記コアを通過しない、A1の識別ドキュメント。
【0108】
B1.識別ドキュメントにデジタル透かしを入れるためのデジタル透かし入れ方法において、
ドキュメント層に少なくとも第1のカラー染料を設けるステップであって、この第1のカラー染料が励起時に変換を受けるようなステップと、
前記第1のカラー染料付近に少なくとも第1の感知材料を設けるステップと、
前記第1の感知材料をレーザで励起して、前記第1のカラー染料を、第1のデジタル透かしを伝達する仕方で選択的に励起するステップと、
を備える方法。
【0109】
B2.前記レーザは、前記第1の感知材料が熱を放出するようにさせる、B1の方法。
【0110】
B3.前記放出された熱は、前記第1のカラー染料を励起して、カラー変換を受けさせる、B1の方法。
【0111】
B4.前記ドキュメント層に少なくとも第2のカラー染料を設けるステップであって、この第2のカラー染料が励起時に変換を受けるようなステップと、
前記第2のカラー染料付近に少なくとも第2の感知材料を設けるステップと、
前記第2の感知材料をレーザで励起して、前記第2のカラー染料を、第2のデジタル透かし成分を伝達する仕方で励起するステップと、
を更に備えるB1の方法。
【0112】
C1.接着結合されるコアと、
励起時に変換を経験する第1のカラー染料と、第1の感知材料とを含む混合物を備えた像形成層であって、前記第1の感知材料をレーザで励起して、前記第1のカラー染料を、デジタル透かしを伝達する仕方で励起するような像形成層と、
を備える識別ドキュメント。
【0113】
D1.デジタル透かしを入れる方法において、
ホスト映像を設けるステップと、
前記ホスト映像にデジタル透かしを入れるステップと、
前記デジタル透かしが入れられたホスト映像をレーザ彫刻装置へ送るステップと、
前記デジタル透かしが入れられたホスト映像を表わすようにドキュメント又は物体をレーザ彫刻するステップと、
を備える方法。
【0114】
D2.前記ドキュメントは識別ドキュメントを含む、D1の方法。
【0115】
D3.前記ホスト映像はカラー映像を含む、D1の方法。
【0116】
金属性及び他の光沢面
本発明の前記カメラ及びカメラアタッチメントは、透かし入り映像又は対象が、例えば、スチール、金属、高度なつや、アルミニウム、合金等の光沢面にレーザ彫刻された状態で良好に機能する。彫刻する面は、例えば、ゴルフクラブ、金属面、銃、時計、宝石、金属ホイル、工具及び工作機械、プレート、ラベル、パーツ及びコンポーネント、物体等を含んでもよい。映像にはデジタル透かしが埋め込まれる。透かしが入れられた映像は、レーザ彫刻をガイドするためのマスターとして使用される。
【0117】
別の埋め込み及び彫刻プロセスが図20に示されている。デジタル透かし埋め込み装置は、デジタル透かしをホスト信号(例えば、映像)に埋め込む。埋め込み装置は、ホスト信号(例えば、映像)及びメッセージを入力として受け取る。埋め込まれたデジタル透かしは、方向付け成分を含んでもよい。ディザプロセス(Adobeのフォトショップにより与えられるハーフトーンプロセス)は、埋め込まれた映像をディザ処理する。このディザプロセスは、スレッシュホールド処理された映像即ち2進映像を形成し又は生じさせる(例えば、2進映像は一般に「オン」又は「オフ」ピクセルにより表わされる)。2進映像には、デジタル透かしが充分埋め込まれることが分かった。2進映像は、金属性又は他の光沢面におけるレーザ彫刻をガイドするのに使用される。それにより得られる彫刻された映像には、デジタル透かしが埋め込まれている。
【0118】
上述したものに加えて、図面及び特許請求の範囲に示された幾つかの考えられる組合せは、次のものを含む。
【0119】
A1.金属性の面又は鏡面に設けられた光学的に捕獲されたステガノグラフィー証印を分析する方法において、
前記金属性の面又は鏡面からの明るく着色された面の反射を含む捕獲映像データを受け取るステップであって、前記反射には、前記ステガノグラフィー証印に対応する比較的暗いエリアが配置されるようなステップと、
前記映像データを分析して、前記ステガノグラフィー証印を回復するステップと、
を備える方法。
【0120】
A2.前記ステガノグラフィー証印はデジタル透かしを含む、A1の方法。
【0121】
B1.ピクセル値が2進形態で表わされた映像を受け取るステップであって、この映像にデジタル透かしが埋め込まれるようなステップと、
金属性の面及び金属合金の面の少なくとも1つに映像をレーザ彫刻するステップと、
を備えるレーザ彫刻方法。
【0122】
C1.2進形態で表わされたピクセルを含む映像を受け取るステップであって、この映像にはデジタル透かしが埋め込まれ、この映像はグレースケール映像及びカラー映像の少なくとも1つに対応し、更に、デジタル透かしは、グレースケール映像又はカラー映像に以前に埋め込まれていたが、映像を生じたディザプロセスに生き残ったものであるようなステップと、
前記映像でレーザ彫刻をガイドするステップと、
を備える方法。
【0123】
金属性インクを使用するコピー検出透かし
金属性又は金属性のような仕上げをもつインクが入手可能である。これら金属性インクのあるものは、いわゆる鏡面(又はミラーのような)仕上げを与えることができる。図2を参照して上述したように、鏡面は、一般に、光を光源から離れるように(及び光源へ一般に戻さないように)反射する。一実施例では、鏡面は、光の反射角がその入射角にほぼ等しくなるような方向性で光を反射する。
【0124】
金属性インクを使用したコピー検出デジタル透かし(又はステガノグラフィーマーキング)が提供される。いわゆる「コピー検出」透かしは、オリジナルからコピーを決定するのに有用な特性又は特徴を含む。コピー検出特性は、信号又は周波数特性から生じてもよいし、及び/又は透かし信号を伝達するのに使用される媒体(例えば、インク)から生じてもよい。
【0125】
これに適した種々様々な金属性インクが従来ある。これらインクのあるものは、小さな、おそらく、顕微鏡的な「薄片」を含む。この薄片は、例えば、高い鏡面反射を与えるが反射光の拡散がほとんどない滑らかな面を所有する。多数の金属性インクが、米国マサチューセッツ州アッシュランドにオフィスをもつMD−ボス・インダストリーにより、Mirasheen(登録商標)シルバー・バキューム・メタライズド・インク、及びMetasheen(登録商標)バキューム・メタライズド・フィニシュド・インクという商標名で製造されている。もちろん、本発明のこの態様と適当に交換できる金属性インクは他にも多数ある。このような金属性インクは、例えば、プロセスカラープリンタ及び印刷プロセスを含む従来の手段を経て塗布できると考えられる。
【0126】
図15を参照すれば、ステガノグラフィーマーキング、例えば、デジタル透かしが物理的ドキュメント150に設けられる。この物理的ドキュメントは、例えば、グラフィック、ロゴ、識別ドキュメント、セキュリティドキュメント、製品タグ又はパッケージ、ラベル、小切手、ステッカー、銀行券、映像、写真、印刷ドキュメント、等々を含むことができる。図15aにおいて、ステガノグラフィー信号は、複数の「細切れの円」で表わされている。(しかしながら、実際には、ステガノグラフィー信号は、従来の印刷方法、例えば、ハーフトーンドットを通して印加される。図15aにおけるステガノグラフィーマーキングは、以下の説明を容易にするために誇張されている。)ステガノグラフィーマーキングは、巧妙なものであって、例えば、マーキングを見る人が、マーキングが複数ビットメッセージ又はテキストを伝達することに必ずしも気付かないのが好ましい。ある実施例では、マーキングは、巧妙な織り又は背景の濃淡/模様のように見える。ほとんどの実施例では、ステガノグラフィーマーキングを、印刷ドキュメントに見られる印刷又は着色でカモフラージュするか又は混ぜ合わせるのが好ましい。例えば、ドキュメントの背景又は隣接エリアが赤の着色を含む場合には、ステガノグラフィーマーキングを、同様の色の赤の金属性インクで塗布することができる。或いは、ドキュメントの背景又は隣接エリアが黒の着色を含む場合には、グレー又は黒色の金属性インクを使用してステガノグラフィー信号を印加することができる。
【0127】
ステガノグラフィーマーキングは、メッセージ又はペイロードを含むのが好ましい。ステガノグラフィーエンコーダは、通常、メッセージを、埋め込み又は隠蔽の前に操作する(例えば、2進メッセージビットは、一連の生の2進ビットに変換することができ、メッセージは、エラー修正エンコード及び/又は拡散スペクトル変調することができ、等々)。エンコーディングの後に、得られるメッセージは、正又は負の極性を含むのが好ましい。例えば、本譲受人の米国特許第6,614,914号を参照されたい。
【0128】
また、ステガノグラフィーマーキングは、方向付け成分を含むのが好ましい。この方向付け成分は、例えば、スケーリング、回転及び並進移動のような映像の歪を分析する上で有用である。例えば、本譲受人の米国特許第6,614,914号を参照されたい。
【0129】
ステガノグラフィーエンコーダは、エンコードされた(及びおそらく変調された)メッセージ及び方向付け成分を合成してもよいし、或いはメッセージ及び方向付け成分を個別信号として与えてもよい。しかしながら、集合的には、メッセージ及び方向付け成分は、純粋な又は生のステガノグラフィー信号として与えることができる。(ある実施形態では、メッセージ及び方向付け信号がフラットなグレー映像に「埋め込まれ」、次いで、その埋め込まれたフラットなグレー映像が純粋な又は生の信号として与えられる。他の実施形態では、メッセージ及び方向付け成分の空間的ドメイン表示が与えられる。)空間的ドメインでは、純粋な又は生の信号が、巧妙な織り、濃淡、模様又はノイズ状信号として視覚的に認知できるものでよい。(あるケースでは、この純粋な又は生の信号をスレッシュホールド処理して、スレッシュホールド処理された純粋な又は生の信号が生成される。)
【0130】
この純粋な又は生の信号(或いはそのスレッシュホールド処理された形態)を使用して、物理的ドキュメント150への金属性インクの印刷がガイドされるのが好ましい。この純粋な又は生の信号の相対的なコントラスト(例えば、明るいエリア対暗いエリア)が、物理的ドキュメントに配する金属性インクの多い少ないで表わされる。例えば、比較的多くの金属性インクを塗布して信号の明るいエリアを表わし、比較的少ない金属性インクを塗布して信号の暗いエリアを表わすことができる。純粋な又は生の信号が、白及び黒のエリアを伴う2進映像で構成されるときには、インクを配することが簡単になる。金属性インクは、例えば、白のエリアを表わすのに塗布でき、一方、黒のエリアを表わすのに金属性インクを塗布しない。
【0131】
デコーダは、印刷されたドキュメントにわたるコントラストの相対的な変化を使用して、ステガノグラフィー信号を回復する。例えば、このような印刷されたドキュメントがその後にスキャナでスキャンされる場合には(例えば、図15bを参照して以下に述べるように)、スキャナにより発生されるピクセルデータの値がコントラストの前記変更を反映し(例えば、明度値に関して)、ステガノグラフィー信号をデコードできるようにする。
【0132】
本発明のこの態様のコピー検出特徴は、図15b及び図15cを参照して以下に説明する。
【0133】
図15bは、図15aのドキュメント150に対応する光学的に捕獲された映像151を表わす。この光学的映像151は、例えば、上述したカメラと同様の装置であって、反射スリーブ又は好都合に着色された面(例えば、図9の面92及び/又は94のような)を含む装置を使用して、捕獲される。例えば、このスリーブ又は面は、白い色を含む。カメラ(又はカメラレンズ)の眺望から、金属性インクは、面の色(例えば、白)を反射する。従って、金属性インクは、カメラの眺望からのドキュメントの背景又は隣接エリアとは対照的に白又はより明るく見える。ステガノグラフィーデコーダは、光学映像151に対応する映像データを分析して、ステガノグラフィーメッセージを検出し、デコードする。(例えば、デコーダは、金属性インクに対応する白のエリアと、ドキュメントの背景又は隣接エリアとの間の相対的コントラストを使用して、信号をデコードしてもよい。)
【0134】
図15cは、例えば、オリジナルドキュメント151の許可されない又は偽造のコピーを表わす。このコピーは、例えば、従来の映像捕獲装置(例えば、平床型スキャナ)を使用し、次いで、その捕獲した映像をカラープリンタで印刷し直すことで作成される。平床型スキャナは、一般に、図9のように、レンズアッセンブリ84aに対して位置された好都合に着色された面(例えば、面92及び/又は94のような)を備えていない。むしろ、平床型の光学センサは、好都合に着色した周囲又は隣接面をもたずに、金属性インクの真下に位置される。その結果、金属性インクの鏡面は、光を光学的センサから離れるように反射する(非常に良く似たものが図2に示されている)。次いで、コピーは、金属性インクに対応する暗い空所又は黒のエリアを有し、金属性インクと、ドキュメントの背景又は隣接エリアとの間の相対的コントラストを本質的に逆転させる。多くのケースでは、これらの暗い空所は、巧妙なもので、おそらく、裸眼では確認できない。
【0135】
コピー152(図15c)が本物であるかコピーであるか決定するために、例えば、図15bを参照して上述した像形成技術を使用して、コピー152の映像が光学的に捕獲される。この捕獲された映像は、図15cの表示と非常に同様に見える。ステガノグラフィーデコーダは、その捕獲された映像を分析し、コピーを確認する。より多くの金属性インクで信号の「明るい」エリアを表示し、図15bに基づいて捕獲された映像に明るいエリアを生じさせるように慎重に選択がなされたことを想起されたい。しかし、コピーの場合には、ステガノグラフィー信号の明るいエリアは、ここでは、黒いエリア又は空所で表わされる。従って、コピーは、逆転されたコントラスト表示を含み、これは、メッセージ又は透かし信号極性を逆転させる。(この点において、「極性」という語は、広い定義を有するもので、例えば、ホスト信号に対する透かし信号のコントラストの表示、透かし信号を受け容れるのに必要なホスト信号調整の表示、透かし信号特性の表示、及びホスト信号特性に対する透かし信号特性の表示を含んでもよい。)ステガノグラフィーデコーダは、この極性逆転によりメッセージを読み取れないことがある。しかしながら、メッセージが逆の極性で表わされたことをステガノグラフィーデコーダが確認する可能性はより高い。極性逆転を確認すると、偽造又はコピーであることを通知できる。
【0136】
ステガノグラフィーデコーダは、一般に、例えば、周波数ドメインベースの検出機構(これは極性とは独立している)を使用するときに、方向付け成分を検出することができる。一実施例では、方向付け成分は検出するがメッセージを読み取れないときは、コピーであることが通知される。
【0137】
(別の実施例では、純粋な又は生のステガノグラフィー信号の比較的暗いエリア又は部分に対応するように物理的ドキュメントに金属性インクが設けられる。明るいエリアを表示するためにインクはほとんど又は全く塗布しない。このケースでは、図15bの技術を使用して捕獲された映像は、ここで、いわゆる逆極性を有する。しかし、オリジナルに対する逆極性も予想されるので、意外なことではない。しかしながら、コピーは、通常の極性を有する。通常の極性が見つかったときにはコピーであることが決定される。)
【0138】
上述され且つ請求の範囲で見つかるものに加えて、幾つかの考えられる組合せは次の通りである。
【0139】
A1.物体の少なくとも一部分を表わす光学的に捕獲されたデータを受け取るステップであって、前記物体は、第1の信号極性をもつ信号を伝達するステガノグラフィー証印を含み、更に、前記光学的に捕獲されたデータはステガノグラフィー証印の表示を含むようなステップと、
前記ステガノグラフィー証印の表示を分析して前記第1の信号極性を決定するステップと、
前記第1の信号極性を、予想される信号極性と比較するステップと、
前記第1の信号極性と前記予想される信号極性とが予想される仕方で一致しない場合に、前記物体がコピーであることを決定するステップと、
を備えるコピー検出方法。
【0140】
A2.メモリ及び電子的処理回路を備える装置において、前記メモリは、前記電子的処理回路において実行される命令を含み、これら命令は、A1の方法を遂行するための命令を含むようにされた装置。
【0141】
A3.前記ステガノグラフィー証印はデジタル透かしを含む、A1又はA2の結合。
【0142】
A4.A1の方法を遂行するための命令が記憶されたコンピュータ読み取り可能なメディア。
【0143】
A5.前記第1の信号極性は信号コントラストの表示を含む、A1の方法。
【0144】
A6.前記第1の信号極性は、前記物体又はその上の証印の少なくとも一部分に対する前記ステガノグラフィー証印の信号コントラストの表示を含む、A5の方法。
【0145】
ドーム並びに印刷及び剥離
ステガノグラフィー的にエンコードされた映像に保護ドームを設けられることが分かった。例えば、ステガノグラフィー的にエンコードされた写真、ラベル、ピン、メダイヨン、ネームプレート等をカバーするエポキシ又はポリウレタンドームを設けることができる。適当なカバー材料は、例えば、米国ロードアイランド州クランストンに所在するエポシキシーズ等により提供される(例えば、Deco−Coat2501、Deco−Coat2550及びDECO−COAT2510等の商標名で)。適当なエポキシ樹脂は、例えば、カナダ、オンタリオ州コボーグのゴットラクス・ポリマーズ・インクから入手できる(AcuDOMEという商標名で)。もちろん、他にも多数の適当な材料及び製品が存在する。
【0146】
関連実施例において、図13a−13cを参照すれば、ペーパー、ポリカーボネート、Teslin(登録商標)(TESLINは、米国15272ペンシルバニア州ピッツバーグに1つのPPG社屋をもつPPGインダストリーズ・インクにより販売されている合成物質である)、Mylar、アルミニウム、ワックス被覆ペーパー、等々の薄いフィルム又はシートのような基板又はキャリア130が設けられる。基板130は、印刷受け入れ層132(図13a)を含むのが好ましい。あるケースでは、印刷受け入れ層を形成するのにポリマー(例えば、PVC)が使用される。他のケースでは、ビニル系の印刷受け入れ層又はサテン仕上げ層が使用される。印刷受け入れ層を有する適当な基板の一例は、米国テキサス州ロームのHYAZにより供給されるHYAZインクジェットメディア製品である。もちろん、他の適当な製品もある。
【0147】
印刷受け入れ層に印刷134が設けられる。印刷134には、ステガノグラフィーデータがエンコードされるのが好ましい。好ましい実施例では、このエンコードにデジタル透かしが含まれる。印刷は、例えば、エポキシ又はポリウレタンドームのような透明なラミネート136でカバーされる。ラミネート136は、印刷受け入れ層132にしっかり固定され又は接着される。
【0148】
この実施形態の独創的な態様は、印刷受け入れ層132と基板130とが容易に分離可能なことである。換言すれば、図13cを参照すれば、ラミネート136(印刷された印刷受け入れ層132を伴う)を基板130から剥離即ち分離することができる。
【0149】
基板130から除去されると、ラミネート136/印刷された印刷受け入れ層132の構造体は、物体又は基板におそらく接着剤で貼付することができる。この形式のステガノグラフィー的にエンコードされた構造体が金属、プラスチック、合成物質、ペーパー等に貼付されることが想像される。
【0150】
透かしキーを含むオーバーレイ
本発明の別の独創的な態様は、図14a及び14bを参照して開示する。図14aは、ドキュメントの所持者の写真表示142と、好ましくはドキュメントの所持者に関連して印刷された情報144とを含む識別ドキュメント140を示している。情報144は、例えば、所持者の名前、年齢、車道住所及び/又は市民権等を含んでもよい。情報144は、図示されたように印刷されてもよいし、或いはバーコード、磁気ストライプ、光学メモリ、又は電子メモリ回路(例えば、いわゆるスマートカードにおいて一般的な)に記憶されてもよい。もちろん、以下の技術から利益を得られるドキュメントの形式は他にも多数あり、パスポート、査証、運転免許証、識別カード又はバッジ、会社カード、法的ドキュメント、銀行券、セキュリティドキュメント、ラベル、タグ、ロゴ、印刷ドキュメント、製品パッケージ、等々を含む。もちろん、このようなドキュメントに通常関連する情報は、情報144として各々載せることができる。
【0151】
識別ドキュメント140には、第1のステガノグラフィーデータがエンコードされるのが好ましい。例えば、写真142に、第1のデジタル透かしを埋め込むことができる。或いは、識別ドキュメント140が背景模様、濃淡又はグラフィック等を含み、そしてその模様、濃淡及び/又はグラフィックに第1のステガノグラフィーデータが隠されてもよい。
【0152】
第1のデジタル透かし(又は第1のステガノグラフィーデータ)は、1つ又は複数のキーに基づいてエンコードされ、埋め込まれ、作成され、及び/又は暗号化されるのが好ましい。従って、第1のデジタル透かしをデコード又は暗号解読するには、それに対応する1つ又は複数のキーが必要である。デジタル透かしは、1つ又は複数の適切なーキーがないと、「ロック」即ち検索不能のままとなる。
【0153】
図14bを参照すれば、識別ドキュメント140にエンコードされた第1のデジタル透かしのデコード又は暗号解読を助けるためにオーバーレイ146が設けられる。(オーバーレイ146は、一般に、ドキュメント140自体の層ではないことに注意されたい。むしろ、オーバーレイ146は、権限をもつ者によりドキュメント140に選択的に且つ一時的に載せられる。オーバーレイ146の配布は厳密に制限されると想像される。オーバーレイ146は、このオーバーレイ146を通して識別ドキュメント140を光学的に検出できるように、透明又は半透明であるのが好ましい。オーバーレイ146は、マシン読み取り可能な証印、例えば、第2のデジタル透かし又は第2のステガノグラフィーデータを含む。マシン読み取り可能な証印は、例えば、オーバーレイの頂面又は底面に印刷又はレーザ彫刻で設けられた巧妙な濃淡又は模様のようなステガノグラフィーであるのが好ましい。或いは、オーバーレイにグラフィック又は映像が設けられる場合には、そのグラフィック又は映像にデジタル透かし又はステガノグラフィーデータを埋め込むことができる。(好ましい実施形態ではないが、ある実施例において、マシン読み取り可能な証印は、バーコード(2Dバーコードのような)又は他の目に見えるマシン読み取り可能なコードを含む。しかし、このような目に見えるコードは、本来、認知可能であり、偽造者や泥棒となる者の標的になり得る。)
【0154】
オーバーレイのマシン読み取り可能な証印は、第1のデジタル透かし(又は第1のステガノグラフィーデータ)をアンロック又はデコードするためのキーを含む。例えば、デコードキーは、第1のデジタル透かしが、暗号化されたペイロード又はメッセージを含む場合には、暗号解読キーを含んでもよい。或いは、キーは、どの透かし入れプロトコルを使用して第1のデジタル透かしをエンコードしたかの指示、或いは第1のデジタル透かしの場所又は予想される方向付けを含んでもよい。ある実施例では、オーバーレイ146は、識別ドキュメント140上に入念に位置される。これらの実施例では、第1のデジタル透かし信号は、メッセージ又はペイロードだけを含み、一方、オーバーレイのマシン読み取り可能な証印は、いわゆる方向付け成分を含み、これを使用してメッセージ又はペイロードを方向付けし又は位置付けする。
【0155】
更に別の実施例では、マシン読み取り可能な証印は、クリアランス(clearance)レベル指示子を含む。この指示子は、特定キー又は暗号解読コードを含んでもよい。従って、この指示子は、識別ドキュメント140上に隠された複数の情報のうちのどれを誰がアクセスできるか決定する。例えば、ナイトクラブの用心棒は、第1のクリアランスレベル指示子を含むオーバーレイを有してもよい。この第1のクリアランスレベル指示子は、識別ドキュメント140上の第1のデジタル透かしにより保持された第1セットの情報をアンロック又はデコードすることのできるキーを与える。この第1セットの情報は、例えば、所持者の年齢及び名前を含んでもよいが、住所、識別番号又は電話番号は含まない。この解決策は、所持者に対するある程度の匿名レベルを与える。ナイトクラブの用心棒は、所持者の年齢(即ち彼女が21歳を越えること)を確認するが、第1のデジタル透かしにより保持できる他の、おそらく、よりプライベートな情報にアクセスすることはない。それとは対照的に、警察官は、第2のクリアランスレベル指示子を含む第2のオーバーレイを含むことができる。この第2のクリアランス指示子は、所持者の識別ドキュメント上に載せられる。この第2のクリアランス指示子は、第1のデジタル透かしにより保持された全ての情報にアクセスするのに使用できる第2のキー、おそらく、マスターキーを与える。第1のデジタル透かし情報は、所持者の住所、年齢、識別番号、おそらく、臨時入国許可番号、或いは市民又は犯罪者制限を含んでもよい。
【0156】
多数の異なる解決策を使用して可変クリアランスレベルの実施例を得ることができる。例えば、識別ドキュメント140に複数のデジタル透かし層を設けることができる。この点において、「層」とは、個別の透かし入れプロトコルを意味するか、或いは層は、個別の透かしペイロードを示してもよい。他のケースでは、層は、ペイロード内のフィールドを表わし、おそらく、各層(又はフィールド)は、異なる暗号キー等を使用して異なる仕方で暗号化される。従って、異なるオーバーレイは、それらの許可指示子に基づいて異なる透かし層にアクセスすることができる。
【0157】
透明なオーバーレイ146が識別ドキュメント140上に設けられるよう意図されるので、オーバーレイ及びドキュメントの単一の映像が、一般に、マシン読み取り可能な証印及び第1のステガノグラフィーデータの両方を捕獲する。次いで、マシン読み取り可能な証印から回復されたキーを使用して、第1のデジタル透かし(又は第1のステガノグラフィーデータ)をアンロック又はデコードする。(もちろん、オーバーレイの映像が最初に光学的に捕獲され、次いで、識別ドキュメント146の映像が捕獲されるという実施例も考えられる。)
【0158】
従って、オーバーレイ146のマシン読み取り可能な証印(例えば、デジタル透かし)は、識別ドキュメント140にエンコードされた第1のデジタル透かし(又は第1のステガノグラフィーデータ)により保持された情報へのアクセスを与える。本発明の技術は、おそらく、セキュリティドングルの種類と同様である。しかし、ここでは、コンピュータにアクセスするためのコンピュータハードウェアプラグインを与えるのではなく、本発明のオーバーレイ146は、キー又は認可コードを与えることにより別のドキュメント140へのアクセスを与える。
【0159】
図14bのオーバーレイは、ドキュメント140と同じサイズであるとして示されているが、本発明は、これに限定されない。実際には、オーバーレイは、ドキュメント140より大きくても小さくてもよい。更に、オーバーレイに代わって、個別のマシン読み取り可能な特徴にレンズ(又はレンズフィルタ)を設けることもできる。例えば、レンズは、マシン読み取り可能な成分を伝達するように彫刻され又は織られてもよい。このマシン読み取り可能な成分は、物体におけるマシン読み取り可能な特徴をアンロックし又は見出すのに使用できる。
【0160】
ポータブル装置の映像捕獲システム並びにロゴ及びグラフィックアイコンの透かし入れ
デジタルカメラは、ワイヤレス電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)等のポータブル電子装置の益々ポピュラーな特徴となりつつある。これらのデジタルカメラは、通常、スチール画像又はビデオクリップを捕獲するのに使用される。ポータブル装置にデジタルカメラをこのように使用することは、ある程度受け入れられているが、これらの簡単な映像捕獲用途を越えて装置の機能を拡張する需要が高まっている。
【0161】
今日使用されている映像捕獲装置の広範囲な配列で立証されているように、これら装置の使用及びそれに対応する構成には広範囲な配列が存在する。その幾つかの例は、ビデオカメラ、ウェブカメラ、デジタルスチール映像カメラ、ドキュメントスキャナ、ファックスマシン、バーコード及び他のグラフィック記号リーダー、デジタル透かしリーダー、指紋捕獲装置、手書き署名パッド、虹彩/網膜スキャニング装置等を含む。ワイヤレス電話のようなポータブル装置のカメラシステムにこの機能の幾つかを合体するのが好都合である。しかしながら、ポータブル装置の物理的サイズ、メモリ及び処理上の制約が、ポータブル装置への多数の異なる映像捕獲及び処理用途の合体を困難にする。カメラを伴うセルラー電話は、特に困難な設計上の問題を提起する。というのは、消費者は、電話が手の中及びポケットの中に容易に入るようなコンパクトな設計を要求するからである。
【0162】
図16は、異なる焦点長さで捕獲された映像を読み取って処理するためのマルチモード映像捕獲システムを伴うワイヤレス電話を示す図である。この例では、ワイヤレス電話220は、上部及び下部のエンクロージャー222、224がヒンジ226を経て接続された「フリップフォーン(flip phone)」構成を有する。上部エンクロージャー内に取り付けられるものとして、電話は、露出したレンズ228を伴うカメラと、コンタクトスイッチ230と、発光ダイオード(LED)又はLEDの構成体のような照明ソース232とを備えている。また、電話のエンクロージャーは、下部エンクロージャーの側部にあるプッシュボタン234のような1つ以上の入力制御器も備えている。また、ワイヤレス電話は、ワイヤレス通信信号を送信及び受信するためのRFトランシーバシステム及びアンテナ236も備えている。
【0163】
図17aは、図16の電話を開いた位置で示す図である。この位置は、上部エンクロージャーのビデオディスプレイ240及び下部エンクロージャーのキーパッド242を露呈している。また、上部エンクロージャーは、スピーカー244も備え、一方、下部エンクロージャーは、マイクロホン246を備えている。ビデオディスプレイ及びキーパッドの位置は交換可能である。同様に、マイクロホン及びスピーカーの位置も交換可能である。(図17bは、この交換された構成の一例を示す。)ビデオディスプレイ及びキーパッドは、電話のユーザインターフェイスを形成する。ビデオディスプレイは、メニューオプション、電話番号、システム設定、及び電話を制御するのに使用される他の情報を示す。また、カメラから捕獲された映像も表示する。
【0164】
ビデオディスプレイがカメラと同じエンクロージャーの半部分(上部又は下部エンクロージャー)にあるときには、ユーザは、開いた電話のカメラ側を、映像捕獲のためにターゲット物体に対してセットし、物体上でビデオディスプレイを見下ろし、ディスプレイ上の物体画像を見ることができる。カメラ及びビデオディスプレイのこの位置付けは、ユーザが電話の下のターゲット物体の表示映像を見られるようにすることにより、ユーザが映像捕獲のために映像に照準を合わせる上で助けとなる。
【0165】
図18は、電話を閉じた位置で示す図である。この位置では、カメラのレンズは、下部エンクロージャーが載せられたターゲット物体250を指している。この場合、物体は、本又は雑誌の1ページ、手紙の1枚、又は他の印刷物のようなドキュメントである。電話は、任意であるが、電話が閉じている間にカメラにより捕獲された映像がユーザに見えるように、エンクロージャーの外側部分にディスプレイ252(おそらく付加的なディスプレイ)を含む。ディスプレイのこのような使用は、何が捕獲されるかユーザに見えるようにすることにより、特定の物体にカメラの照準を合わせ易くする。また、ディスプレイは、電話が閉じている間に電話メニューオプション及び情報を表示するように使用してもよい。また、図18は、エンクロージャーの側部にボタンのようなユーザ制御器254の別の例も示している。これは、カメラ(例えば、画像のスナップ撮影、ビデオストリーム捕獲の開始及び終了、各々ボタンを押して)、或いは電話の他の機能を、その動作モードに基づいて制御するのに使用できる。
【0166】
図17bに関連して述べたように、ユーザは、電話が開いた位置にあるときにこの形態の電話をターゲット物体上に載せ、内部ディスプレイを使用して、映像捕獲のために物体に照準を合わせることができる。ディスプレイは、十字線又は他のマーキング線或いはグラフィック並びにカメラ状態情報を示して、ユーザがカメラで物体の映像を正しくスキャンする上で助けとなるようにすることができる。電話の内側及び外側にディスプレイをもたせる必要はない。或いはまた、両エンクロージャーを、ねじれ及びピボットメカニズムを介して接続して、ユーザが第1のヒンジでピボット操作して電話を開き、次いで、エンクロージャーのディスプレイ側を第2のヒンジで希望の角度にねじり、電話内部の大きなディスプレイを、カメラでの映像捕獲に対してビューファインダーとして使用できるようにしてもよい。
【0167】
図16−18に示すカメラは、異なる像形成用途に対して複数の映像捕獲モードを有するように設計される。これらのモードは、長い焦点距離で物体の映像を捕獲するためのノーマルカメラモードと、短い焦点距離で物体の映像を捕獲するためのクローズアップモードとを含む。クローズアップモードは、物体検査又は拡大、ドキュメントスキャニング、マシン読み取り可能なコードのスキャニング(例えば、バーコード、グリフ、デジタル透かし等)、生物測定学的映像捕獲、等の用途に使用することができる。クローズアップモードの一例が図18に示されており、カメラを収容するエンクロージャーが映像スキャニングのためにターゲット物体に載せられる。ノーマルカメラモードは、例えば、図17a又は17bの構成を含み、この場合、ユーザは、カメラを遠く離れた物体に向け、それら物体の捕獲映像をディスプレイにおいて見る。ノーマルカメラモードの別の例は、図18に示すようにカメラを閉じたときであるが、図18に示す物体クローズアップとは異なり、遠く離れた物体に向ける。
【0168】
レンズ及びカメラは、図示された例に示すように電話に配置する必要がない。それらは、クローズアップ及びノーマルのような異なる動作モードにおいてカメラを使用し易くするための他の便利な位置に配置することができる。例えば、別の考えられる構成は、上部エンクロージャーと下部エンクロージャーとの間のヒンジ(例えば、図16のヒンジ226)の胴体部に配置することである。この構成は、ビデオカメラの機能をねじれ式ディスプレイパネルと結合したときに、ユーザがディスプレイパネルの捕獲映像を見ながら胴体部をターゲット物体に向けられるようにする。エンクロージャーの位置、例えば、ねじれ又は非ねじれ、開又は閉を使用して、カメラのモード、例えば、ノーマル又はクローズアップを選択することができる。
【0169】
図19は、2つ以上の動作モードをもつ映像捕獲システムを示す図である。この特定のシステムは、図16−18に示されたワイヤレス電話に使用されると共に、他のポータブル装置に使用することもできる。このシステムは、多焦点長さレンズ構造体をもつ光学的サブシステム260を備えている。1つの特定の実施例において、このサブシステムのレンズは、二焦点であり、これは、2つの異なる焦点長さで光を収束することを意味する。レンズのこの属性は、映像センサアレー266、268に各々向けられる2つの光学的経路262及び264を形成する。映像センサアレー266、268は、大きな映像センサアレーを区分に仕切ることにより実施され、アレーの1つの区分は、1つの光学的経路からの光を受け取り、他の区分は、他の光学的経路からの光を受け取る。特に、現在のカメライネーブル型ワイヤレスセルラー電話において通常そうであるように640x280ピクセルアレーサイズ(例えば、VGA適合可能)を使用するのではなく、本発明の実施例では、大きなアレー(例えば、1.3又は4メガピクセル)を使用して、これを、各光学的経路に1つの、2つの区分に仕切る。映像センサの好ましい形式は、CMOSセンサであるが、CCDセンサのような他のものを使用してもよい。
【0170】
光学的サブシステムは、2つ以上の経路を使用してもよい。これらの経路は、複数の焦点長さをもつレンズから形成されてもよいし、或いは異なる焦点長さを各々有する個別のレンズから形成されてもよい。
【0171】
焦点長さの異なる2つ以上の光学的経路をもつ光学的システムを設計する目的は、あるものは長い/可変焦点長さを要求し且つあるものは短い/固定焦点長さを要求する種々様々な適用を可能にすることである。例えば、長い又は可変の焦点距離から利益が得られる用途は、2、3フィートから数フィートの範囲で固定物体又は移動物体のノーマルビデオ又はスチール画像を捕獲することである。これに対して、短い又は固定の焦点距離の映像捕獲から利益が得られる用途は、物体検査又は拡大、ドキュメントスキャニング、マシン読み取り可能なコードのスキャニング(例えば、バーコード、グリフ、デジタル透かし等)、生物測定学的映像捕獲、等を含む。
【0172】
クローズアップモードをサポートするために、光学的経路の一方は、短い焦点長さ(例えば、図18に示すように、レンズと、電話のエンクロージャーが載せられる物体との間の距離)で映像を捕獲する。ノーマルモードをサポートするために、光学的経路の一方は、長い焦点長さで映像を捕獲する。ノーマルモードの長い焦点距離は、典型的なデジタルスチール及びビデオカメラと一貫した「風景モード」に対して最適なものとされるのが好ましい。
【0173】
一実施例では、映像捕獲システムは、映像センサアレー266、268に異なる焦点長さで映像を同時に捕獲する。これらの映像は、メモリ270へ転送される。メモリは、ビデオRAMメモリでもよいし、又は他のデータに使用される汎用RAMメモリの一部分でもよい。
【0174】
映像は、特殊目的及び/又は汎用のハードウェアを使用して処理される。これらのハードウェア機能は、図19のプロセッサ272にカプセル化される。セルラー電話及び他のポータブル装置の一実施例では、プロセッサは、インテル・コーポレーションからのX−スケールプロセッサで構成される。マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、ASIC及びその組合せを含む他のプロセッサ構成も考えられる。
【0175】
本発明のセルラー電話実施例では、ドライバーソフトウェアは、異なる映像センサアレー266、268から捕獲された映像にアプリケーションがアクセスできるようにする。このソフトウェアは、システムにおいて実行されるアプリケーションプログラムが、映像センサアレーにより捕獲された映像ストリームに選択的にアクセスできるようにするサブウインドウ処理機能を実施する。これは、プロセッサ及びオペレーティングシステムがマルチタスク又はマルチスレッディングプログラム実行をサポートする場合に、必要に応じて前後にスイッチするか又は両方に同時にアクセスして両ストリームの利点をプログラムに取り入れられるようにする。
【0176】
長い又は可変の焦点距離に対する映像ストリームは、映像捕獲のために物体に照準を合わせるのに使用できる。例えば、物体は、ユーザにとってビューファインダーとして働く電話ディスプレイの1つにノーマルモードで表示することができる。次いで、物体に適切に照準が合わされると、クローズアップモードで映像ストリームを要求するアプリケーションプログラムは、必要に応じて短い焦点長さで捕獲された映像の他のストリームにアクセスすることができる。
【0177】
照準合わせ、照明、及び映像捕獲機能のトリガー動作を制御するための多数の構成が考えられる。照明ソース232は、コンタクトスイッチ230が、ユーザがクローズアップ映像捕獲のために物体に電話を載せたことを示す物体の接触を感知したときに、オンに切り換えることができる。ユーザは、カメラの外部ハウジングのボタンを押すか、或いは音声認識のような他の何らかのユーザインターフェイスにより、映像捕獲の開始及び停止を手動で制御することができる。別の態様として、クローズアップ映像を検査するアプリケーションプログラムは、首尾良い読みを得たときに事象をトリガーし、ドライバーにより与えられたクローズアップ映像ストリームの使用を終了させることができる。
【0178】
イネーブルされるアプリケーション
上述したように、映像捕獲システムの機能は、ポータブル装置において種々様々な像形成アプリケーションをイネーブルする。これらは、次のものを含む。
●テキストドキュメントを含むドキュメントのスキャニング。システムで実行されるソフトウェアは、米国特許第6,513,717号に詳細に述べられたように、クローズアップモードで捕獲された映像を一緒に縫合するのに使用できる。捕獲されると、ドキュメントの使い方は多数あり、次のものを含む。
○ドキュメントをセーブし、後で、パーソナルコンピュータ又は大きなディスプレイスクリーンをもつ装置のようなビューアで読み取る。
○テキストの映像を、OCRを使用してアルファニューメリックのテキスト表示に変換し、テキストを編集し、そしてセルラー電話でイネーブルされるe−メール又はファイル転送プロトコルによりテキストドキュメントを転送できるようにする。
○テキストをある言語から別の言語へ翻訳する(例えば、ドイツ語のメニューを見て)。
○装置のソフトウェアで実行されるスペルチェック又はシソーラス機能。
○捕獲され変換されたテキストを、セルラー電話通信能力を経てアクセスできるインターネット又は他のサービスプロバイダーを介しての問合せの基礎として使用する。
●セルラー電話をインテリジェントな拡大鏡として使用して、クローズアップ映像捕獲及び検査を実行し、これは、次のものに使用する。
○生物測定映像(指紋又は虹彩の読み)を捕獲して分析し、セルラー電話の通信能力を経てアクセスしたローカル又はリモートデータベースと比較する。
○貴重なドキュメント(マイクロ印刷等)におけるセキュリティ特徴を検証する。
【0179】
他の意義のあるアプリケーションは、物体上のマシン読み取り可能なコード、例えば、デジタル透かし、バーコード、グリフ、高密度印刷コード等を読み取ることを含む。以下、デジタル透かしの読み取り及びそのアプリケーションを詳細に説明する。クローズアップモードは、150dpi以上の解像度で埋め込まれたデジタル透かしを読み取るのに使用できる。
【0180】
ロゴ及びグラフィックアイコンへの透かし入れ
デジタル透かし読み取りの1つのアプリケーションは、WO00/70585号に説明されたように、物体をコンピュータネットワーク上の情報又は振舞いにリンクすることである。この技術は、上述した映像捕獲システムが装備されたセルラー電話において可能にすることができる。
【0181】
本書で参照された特許に述べられた種々の形式の物理的対象にデジタル透かしを埋め込むのに加えて、グラフィックアイコン(例えば、会社のロゴ又は記号)に効果的にデジタル透かしを入れられることが分かった。デジタル透かしが入れられたロゴは、例えば、雑誌の記事や広告に印刷することができる。デジタル透かしは、ウェブサイトのようなネットワークリソースへリンクするのに使用できるペイロード又は識別子を含んでもよい。例えば、埋め込まれたグラフィックロゴは、光学的センサへ送られる。光学的センサは、その埋め込まれたロゴに対応する映像を捕獲する。デジタル透かしデコーダ(例えば、プロセッサで実行されるソフトウェア)は、その映像を分析して、ペイロード又は識別子を得る。ペイロードは、URL又はIPアドレスにおけるウェブサイトにアクセスするためにコンピュータのインターネットブラウザにより使用されるURL又はIPアドレスを含んでもよい。或いは、ペイロードは、ネットワークルーターへ通されてもよく、このルーターは、ペイロードを使用して、対応するURL又はIPアドレスを見つけることができる。URL又はIPアドレスは、これが見つかると、ユーザのコンピュータへ戻される。(他の例示システム及び環境については、以下で説明する。)
【0182】
グラフィックアイコン又はロゴを埋め込むことで、会社の記号又は商標に付加的な価値が与えられる。ロゴの背後で多大な投資をしている会社(例えば、ナイキの「シュー(Swoosh)」やインテルの「インテルインサイド(Intel Inside)」等)は、ロゴに付加的な機能を与えることによりロゴの能力を拡張している。このような機能は、ステガノグラフィー及びマシン読み取り可能な証印(例えば、内密なデジタル透かし)をロゴにマークすることで与えられるのが好ましい。証印は、観察者に対して巧妙なもので、例えば、ステガノグラフィーはロゴから価値が減じられないのが好ましい。証印は、識別子(例えば、デジタル値)を含むのが好ましい。この識別子は、コンテンツルックアップフィールドへのポインタとして使用することができ、ここで、コンテンツは、ステガノグラフィー証印を読み取る際に検索することができる。他の実施例では、証印は、エンコードされたコンテンツを含む。
【0183】
検索されたデータは、後で再検討のために記憶することもできるし(例えば、ブックマーキング)、或いは異なる表示フォーマットを経てコンテンツを表示することにより現在再検討することもできる(例えば、PDA、TV、コンピュータモニタ、等)。オーディオファイルは、ホームステレオ、パーソナルオーディオプレーヤ、オーディオエンハンストPDA、セルラー電話、集中型移動装置、等において再生することができる。
【0184】
比較的小型の透かし入りアイコン又はロゴは、ホスト映像(例えば、印刷された広告)全体に透かしを入れる必要がないので、効率的であることが分かった。ホスト映像全体を冗長に埋め込むのではなく、比較的小さなロゴ又はアイコンを埋め込むと、映像のクオリティを保つことができる。ホスト映像の透かしはないので、透かしノイズによる映像劣化の問題を回避することができる。また、エンコードされたアイコンは、ハンドヘルドスキャナ(例えば、セルラー電話)によるターゲットエリアの映像捕獲を許すこともできる。
【0185】
一実施例において、複数のエンコードされたロゴ又はアイコンが単一の映像(例えば、広告等)に設けられる。各ロゴは、独特の識別子又は独特のエンコードされたコンテンツを含む。これら識別子は、異なるコンテンツにアクセスするのに使用される。ある実施例では、アイコンは、検索されるべきデータを表わす。例えば、「スピーカー及びディスプレイスクリーン」のグラフィックアイコンは、そこに埋め込まれた識別子であって、マルチメディアコンテンツにリンクするのに使用できる識別子を含んでもよい。あるロゴは、データ検索に対して特定の意味を含み、例えば、次の通りである。
a.ロゴxは、位置に基づくサービス情報にリンクすることができ、
b.ロゴyは、マルチメディア情報にリンクすることができ、及び/又は
c.ロゴzは、テキスト情報(例えば、旅行の日付、入手可能性の日付、より多くの製品情報、法的問題、等)。
【0186】
非常に頑丈な透かし(例えば、強い信号を含む透かし)を、本発明の多数の埋め込まれたロゴと共に設けることができる。例えば、会社のロゴを織り模様で取り巻くことができ、この模様は、強力なデジタル透かし信号を隠蔽即ち隠すようにデザインすることができる。多数の実施例では、本発明のデジタル透かしは、方向付け成分を含む。この方向付け成分は、スケーリング、回転及び並進移動のような映像歪を分析する上で助けとなり、これは、例えば、本出願人の特許第6,614,914号、並びに特許出願第10/202,367号−これは、US2003−0039377A1号として広告された−を参照されたい。他の実施例では、デジタル透かしメッセージ又はペイロードは、若干目に見える基準模様又は整列マークに関連して作用する。これらの基準又は整列マークは、織り模様の中に隠すこともできるし、又は少なくとも若干隠蔽することもできる。
【0187】
本発明のステガノグラフィー的に埋め込まれたグラフィックロゴは、ブロードバンドのワイヤレス環境において特に有用であると考えられる。本発明の技術は、強制的な(compelling)データベース及びネットワークリソースへ容易にリンクする能力を与える。
【0188】
また、本発明の技術は、ブロードキャスト広告(例えば、TV広告の場合のように同じ広告を大勢に送信する)のではなく、個々の消費者に対してポイントキャスト広告(例えば、ターゲットとする広告を1人のユーザに送信する)も許す。本発明のステガノグラフィー的にマークされたロゴ又はアイコンを含む雑誌の広告について考える。潜在的な顧客は、広告に関心をもち、デジタル透かし入りアイコンを「読み取る」(例えば、マシン読み取りする)。広告を読み取ると、ポイントキャスト事象がトリガーされる(例えば、強制的なコンテンツが潜在的な顧客へ送信される)。フォーチュン500社は、インターネットをてこ入れしそして低コストブロードバンド技術及び消費者装置とのステガノグラフィーベースのリンクを行うことでブロードキャスト資金を減少できるので、金銭的節約を果たすことになる。
【0189】
本書に述べるシステムに対して多数の構成が考えられる。幾つかの構成例が、次の米国特許出願及び米国特許に説明されている。即ち、第09/476,686号、第09/938,870号(US2002−0099943号として公告された)、第5,841,978号、第6,122,403号、第6,411,725号、第6,505,160号、第6,522,769号、及び第6,614,914号。(オレゴン州ツアラチンに本部があるデジマーク・コープは、例えば、MEDIABRIDGEという商標名で、適当なデジタル透かし入れソフトウェアを提供している。)
【0190】
例示的システムでは、システムコンポーネントが、ユーザ位置のリーダー装置と、データベースと、メディアコンテンツソースと、レンダリング装置とを備えている。リーダーは、透かしイネーブル型物体(例えば、ロゴ)からデジタル透かしを抽出する。リーダーは、透かしからのデータを、おそらく、通信チャンネルの装置を横切る1つ以上の中間ホップを経てデータベースへ転送し、例えば、最初に、PC、ホームサーバー、ベースステーションへ転送し、次いで、ルーターやゲートウェイやブリッジやコンピュータやスイッチや衛星等の中間装置へ転送し、更に、1つ以上のサーバーに通常常駐するデータベースへ転送する。
【0191】
データベースシステム自身は、フロントエンドルーターコンピュータを備えてもよく、これは、負荷バランスをとると共に、データをルックアップ動作のために別のサーバーへ通して、物体から抽出された透かしメッセージに関連した機能及びデータを決定するためのものである。また、このルックアップオペレーションは、ユーザの好み、ユーザの装置構成、ユーザのコンテンツ契約、ある形式のコンテンツに対するユーザアクセス権及びライセンス、デジタル・ライツ・マネージメント・デリバリー(Digital Rights Management Delivery)に対するユーザの暗号解読キー、ユーザの装置環境(例えば、ハンドヘルド対デスクトップ)、ユーザの位置(例えば、地理的な位置、又は家庭内における装置の位置)、等を考慮に入れるルールセットにより支配されてもよい。位置に基づくルールは、ユーザに地理的に関連したコンテンツ及びプロモーション、例えば、そのエリアにオファーされる製品又はサービスに対する広告をシステムが提供できるようにする。
【0192】
開始されるべき関連機能又はユーザへ返送されるべきデータをルックアップした後に、データベースは、機能を実行させ及び/又はデータをユーザ位置へ返送させるプロセスを開始する。このプロセスに対して多数の構成が考えられる。その1つは、制御情報(メディアソースIPアドレス、コンテンツキー、コンテンツID、レンダリング命令、等)をユーザのリーダー又はレンダリング装置へ返送し、この装置が、次いで、メディアコンテンツソースからレンダリング装置にレンダリングされるべきデータをフェッチすることである。もう1つは、制御情報をメディアソースへ直接転送して、ユーザ位置のレンダリング装置にレンダリングされるべきデータを転送するよう命令することである。透かしデータに応答してユーザにデータを返送させるように変更及び組合せを使用してもよい。
【0193】
メディアコンテンツソースは、レンダリング装置へのウェブページデリバリー、ストリーミングメディアデリバリー又はファイル転送に対するサーバーでよい。或いはまた、ケーブル又は衛星ブロードキャストシステムのようなブロードキャストシステムでもよい。或いはまた、ワイヤレスネットワークデリバリーシステムでもよい。
【0194】
レンダリング装置は、リーダーの一部分でもよいし又は個別の装置でもよい。リーダーは、例えば、カメライネーブル型セルラー電話、PDA(ワイヤレス又は束縛型)、カメラ一体型のホームエンターテイメントシステムに対するリモート制御ユニット、カメラ一体型又は束縛型のホームインターネット機器、カメラ付きのパーソナルコンピュータ、カメラ付きのセットトップボックス等を含む。レンダリング装置は、テレビ、PDA、電話、又はディスプレイ及びオーディオ出力装置をもつコンピュータ、或いはメディアコンテンツ装置から返送されたレンダリングされたオーディオ又はビジュアルコンテンツをプレゼンテーションする同様の出力装置をもつ種々の他の装置でよい。
【0195】
このシステムは、ホームエンターテイメントネットワークにコンテンツをデリバリーするのに特に適している。このネットワークでは、例えば、1つ以上のパーソナルコンピュータ、テレビジョン、セットトップボックス、ホームメディアターミナル、ホームメディアコンテンツサーバー、ルーター、及びインターネットへのゲートウェイを含むネットワークに種々の計算装置が相互接続される。リーダーは、ホームネットワークの他の装置と通信すると共に、802.11規格(IEEE802.11a、b、g等)に基づいて設計されたワイヤレス通信コントローラのようなワイヤレス接続を経てインターネットとも通信するリモートコントローラ又はPDAのようなハンドヘルド装置でよい。これは、リーダーがホームインターネット接続とワイヤレス通信し、次いで、インターネットを経てデータベース及びメディアコンテンツソースと通信できるようにする。
【0196】
また、リーダーは、セルラー電話又はPDAのようなワイヤレス通信装置の一部分として実施されてもよい。例えば、リーダーは、ワイヤレス通信ネットワークのための2.5G又は3G規格に従う装置の一部分として実施されてもよい。これは、リーダーがデータベース及び/又はメディアコンテンツソースとワイヤレス通信できるようにする。システム内の全ての装置は、透かしデータ転送、制御データ転送、及びレンダリング装置へのメディアコンテンツ返送に対してこのようなワイヤレスネットワークを経て通信することができる。或いはまた、システムの一部分は、従来の無線又はブロードキャストネットワークを使用して実施されてもよい。例えば、メディアコンテンツソースは、インターネットを経て或いはケーブルテレビジョン又は衛星放送を介してユーザ位置へコンテンツを送信するように命令することができる。
【0197】
このシステムは、印刷媒体からリンクすることに関して特に説明したが、ビデオ、オーディオ及び映像を含む電子信号に埋め込まれた信号からアナログ又はデジタルフォーマットでリンクするための同様のシステムが実施されてもよい。
【0198】
透かしイネーブル型ロゴからリンクする特定のケースでは、150ドット/インチ(DPI)で少なくとも60ビットの透かしメッセージを伝達する透かし信号を埋め込むために、本譲受人の米国特許第6,614,914号に説明された埋め込み方法を使用して満足な結果が得られている。読み取りの信頼性は、デジタル透かしが埋め込まれる映像エリアのサイズと共に高くなる。約1.5x1.5インチのエリアにわたって埋め込むと、満足な検出レートが与えられることが分かった。更に、0.625x0.625インチのエリアにわたって完全なペイロードの受け容れられる検出レートが得られることも分かった。これらの実施例では、エラー修正及び繰り返しコード化の前に幾何学的同期のための方向付け成分及び60ビットのペイロードをもつ透かし信号が使用される。透かし入りエリアはロゴの周りに配置され、これは、ユーザがロゴを中心とする映像を捕獲するためのターゲットエリアを与える。実際に、ユーザは、デジタルカメライネーブル型セルラー電話のような映像捕獲装置をロゴの上に配置し、次いで、捕獲ボタンを押して、ロゴの周りのエリアの1つ以上の映像フレームを捕獲する。
【0199】
あるケースでは、透かしの空間的密度は、関心のある人物や場所のスナップショットを撮影するといったカメラ、ビデオ電話等の典型的な用途に対して使用される焦点距離とは異なる焦点距離からデジタルカメラで透かし入り印刷媒体を読み取ることを必要とする。これは、次の異なる光学的モードを有するように光学的システムを設計することにより対処できる。即ち、1.数インチ以下の接近した範囲で印刷物体をスキャニングするための1つのモード、及び2.例えば、図16−19を参照して上述したように、更に離れた距離範囲で写真を撮影し又は映像を捕獲するための第1のモード。この光学的システムは、機械的に又は電子的に調整されてもよい。例えば、これは、希望の距離範囲で画像を撮影するように各々適応された2つ以上のレンズ構成間でピボット作動するように設計することができる。セルラー電話のカメラ又は他のハンドヘルド装置の場合には、レンズシステムの機械的ピボット作動は、ダイヤル操作等のために広げてキーパッドを露出させ、次いで、ポケットに仕舞い込むために折り畳んで閉じるセルラー電話のように、装置のハウジングが開閉されるときにピボット作動する機械的構造体と一体化することができる。
【0200】
ここに述べるシステムは、既に列挙したものに加えて、用途の広範囲な配列を可能にする。このシステムは、e−コマーストランザクションと生物測定データセキュリティチェックとの一体化を可能にする。例えば、本発明システムの1つの用途では、セルラー電話又は接続されたパーソナルデジタルアシスタント(PDA)は、印刷媒体におけるロゴの周りのデジタル透かしを読み取り、印刷媒体に関連した製品(例えば、印刷広告又は記事に示された製品又はサービス)を識別し、次いで、ハンドヘルドから直ちにその製品又はサービスを購入するオプションを選択することでそのオプションをユーザに与えるユーザインターフェイスとなる。このシステムでは、関連ユーザ情報、例えば、ユーザの銀行口座番号、クレジットカード番号、社会的セキュリティ番号、運搬アドレス等がハンドヘルドのセキュリティメモリ位置に既に記憶されている。セキュリティチェックがないと、誰でもあなたのセルラー電話から注文できてしまう。不正行為(例えば、許可のないユーザが他人の装置を使用して製品やサービスを注文する)を防止するために、装置には、指紋、音声認識、虹彩又は網膜スキャン、顔認識、手書きの署名等、の生物測定データ捕獲及びチェックシステムも装備される。このような生物測定データは、ハンドヘルド装置のカメラ、マイクロホン又は電子スタイラスを経て入力することができる。トランザクション時に、装置は、ユーザが生物測定データを入力するように問合せる。次いで、装置は、その生物測定データを、装置の保安メモリに記憶されたユーザの生物測定データと比較するか、又は保安通信プロトコルを経て生物測定データベースへ送信して比較による認証を行う。
【0201】
ポータブル装置は、通常、サイズが小さいので、パワフルなユーザインターフェイスを与えることが問題となる。デジタル透かしは、関連するコンテンツ及び機能を得るための便利なインターフェイスを与えるが、各々のリンクされた透かしに対して返送できるオプションの範囲では、ユーザがそれらオプションの中で選択を行えるようにする付加的なユーザインターフェイス制御の必要性が生じる。1つの潜在的なシステム改善は、デジタル透かし入り物体に関連したリンクアクティビティの音声作動指令を可能にすることである。
【0202】
ある用途では、印刷媒体は、ユーザに与えられる異なる関連振舞い及び/又は機能を各々もつ複数の透かし入りの位置をページに有することになる。例えば、1つのデジタル透かし入りロゴ位置は、位置に基づくサービスのためのオプションにリンクし、別の位置は、拡張されたマルチメディアコンテンツデリバリー(例えば、ストリーミングオーディオ又はビデオ)のためのオプションにリンクし、更に別の位置は、より多くのテキスト情報にリンクし、等々となる。ある用途では、印刷物体は、マーキングに使用できるエリアに関して制限を有し、そのサイズや美的事項のために、その物体に適合するのは、1つのデジタル透かし入り位置だけである。
【0203】
いずれの場合にも、電話又はPDAの音声作動特徴は、マイクロホンを経て捕獲されたユーザの口述コマンドの音声認識を介してユーザがオプションを選択できるようにすることによりリンクコンテンツを指令する。例えば、ユーザが店にいて、ロゴにより表わされたデジタル透かし入りのタグを見た場合には、ユーザは、音声作動を経てシステムにより返送される複数の異なるペイオフオプションから選択を行うことができる。
【0204】
このシステムは、デジタル透かしがオーディオ及び/又はオーディオ−ビジュアルコンテンツのストリーミングを開始するような用途の強制的なセットを可能にする。これらの用途における1つの問題は、クオリティの高いオーディオ又はビデオを便利な仕方でポータブル装置のユーザに与えることである。その1つの解決策は、ワイヤレス接続を経てポータブルリーダー装置をワイヤレスヘッドセット(例えば、802.11規格に基づいて設計されたもの)と接続することである。これは、ユーザが、デジタル透かしを経てリンクされたストリーミングオーディオコンテンツをワイヤレスヘッドセットの自由度と共に楽しめるようにする。潜在的な用途は多数ある。その幾つかの例は、レシピの40分間「リハーサル」のストリーミングオーディオにリンクされた透かしを有する調理雑誌を含む。休止、早送り及び巻き戻しのための音声作動制御に結合されたときには、ユーザは、パワフルで且つ便利なインターフェイスにより、印刷媒体にリンクされたコンテンツのストリーミングを指令することができるようにされる。ワイヤレスヘッドセット(例えば、ブルーツース、WIFI、802.11)は、制約のない動きを許す。リーダーがPDAである場合は、PDAをそのローカルクレードル又はドッキングステーションに戻し、そこで、充電して、オーディオをネットワーク接続からヘッドセットへストリーミングさせることができる。また、このワイヤレスストリーミングは、オーディオ−ビジュアルコンテンツへと拡張することもでき、この場合、ビデオは、ポータブル又は固定ディスプレイ装置へ転送され、一方、オーディオは、ポータブルヘッドセット又は固定ホームオーディオシステムへ転送される。オーディオ及び/又はビデオを含むストリーミングコンテンツの他の用途は、自助、瞑想、信仰、芸術/工芸、自習、スポーツインストラクション(ゴルフスイングに対する練習ガイドのような)、教育、ウォークスルー法的フォーム等を含む。
【0205】
前記及び特許請求の範囲で述べられた組合せに加えて、幾つかの例示的組合せは、次のものを包含する。
【0206】
A1.第1部分と、
第2部分と、
前記第1部分と第2部分を結合するコネクタと、
映像を捕獲するためのレンズ及びCMOSセンサアレーを含むカメラであって、少なくともカメラのレンズが前記第1部分に設けられているカメラと、
前記第2部分に設けられた第1ディスプレイ位置であって、その第1ディスプレイが前記カメラにより捕獲された映像を表示して、前記カメラのレンズを近い焦点距離において物体と整列できるようにし、更に、前記物体又は物体上のターゲットエリアがワイヤレス電話及び前記第1部分の少なくとも一方により覆い隠されるようにされた第1ディスプレイ位置と、
を備えたワイヤレス電話。
【0207】
A2.映像捕獲をトリガーするためのボタンを更に備えた、A1の電話。
【0208】
A3.前記カメラにより捕獲された映像を分析して、その映像内のステガノグラフィー証印を位置付けし且つデコードするステガノグラフィー証印デコーダを更に備える、A1の電話。
【0209】
A4.前記物体は、ステガノグラフィー証印を含むグラフィック又はロゴを備える、A3の電話。
【0210】
A5.前記証印はデジタル透かしを含む、A4の電話。
【0211】
A6.前記ディスプレイは整列を助けるマーキングを与える、A4の電話。
【0212】
A7.前記マーキングは十字を含む、A6の電話。
【0213】
A8.前記カメラにより捕獲された映像の改善を許すための映像処理回路を更に備える、A1の電話。
【0214】
A9.前記改善はデジタル拡大又はズーミングを含む、A8の電話。
【0215】
A10.前記映像処理回路は、i)協働メモリに記憶されたソフトウェア命令を実行するプロセッサ、及びii)専用の映像処理回路、の少なくとも一方を含む、A8の電話。
【0216】
A11.前記物体は人間の指を含み、前記カメラで捕獲される映像は指紋を含む、A8の電話。
【0217】
A12.前記物体は人間の目を含み、前記カメラで捕獲される映像は網膜又は虹彩の映像を含む、A8の電話。
【0218】
A13.前記コネクタはヒンジを含む、A1の電話。
【0219】
A14.前記ヒンジはピボットヒンジを含む、A13の電話。
【0220】
B1.多焦点長さレンズ構造体を含む光学的システムであって、前記多焦点長さレンズ構造体が少なくとも第1光学的経路及び第2光学的経路を与えるような光学的システムと、
少なくとも第1エリア及び第2エリアに仕切られた映像センサアレーであって、前記第1エリアは、前記第1光学的経路に関連した光を受けるもので、前記第2エリアは、前記第2光学的経路に関連した光を受けるものである映像センサアレーと、
前記第1エリア及び第2エリアに対応する映像データの選択を許すための選択回路と、
前記第1エリア及び第2エリアから映像データを与えるための通信バスと、
を備えたカメラ。
【0221】
B2.前記映像センサアレーはCMOSセンサを含む、B1のカメラ。
【0222】
B3.前記映像センサの仕切りは仮想的な仕切りを含む、B1及びB2のいずれかのカメラ。
【0223】
B4.メモリ及び電子処理回路を更に備える、B1−B3のいずれかのカメラ。
【0224】
C1.ワイヤレスルーターと、
ハンドヘルド計算装置であって、このハンドヘルド計算装置はカメラ及びワイヤレストランシーバーを含み、更に、ハンドヘルド計算装置はそのトランシーバーを経て少なくとも前記ワイヤレスルーターと通信し、更に、ハンドヘルド計算装置はデジタル透かしデコーダを含み、更に、ハンドヘルド計算装置はロゴ又はアイコンの映像を捕獲し、このロゴ又はアイコンにはデジタル透かしが埋め込まれ、このデジタル透かしが入れられたロゴ又はアイコンは、このロゴ又はアイコンの映像捕獲のためにカメラを整列させるときにハンドヘルド計算装置のユーザの助けとなるように人間に見えるターゲット基準エリアを与え、更に、前記デジタル透かしデコーダが映像データからデジタル透かしをデコードするよう動作できるようにされたハンドヘルド計算装置と、
を備えるホーム又はオフィスネットワーク。
【0225】
C2.前記ハンドヘルド計算装置は、ユーザから音声コマンドを受け取るためのマイクロホン又は他のインターフェイスを含む、C1のネットワーク。
【0226】
C3.前記ハンドヘルド計算装置は、音声認識命令が記憶されたメモリを備え、前記音声認識メモリは、ユーザからの音声コマンドを分析するように実行され、前記音声コマンドは、前記ハンドヘルド計算装置の動作を制御するために、デコードされたデジタル透かしに関連して使用される、C2のネットワーク。
【0227】
C4.前記動作は、複数のデコードされたデジタル透かしのうち、ユーザがどれについての付加的な情報を受け取りたいか選択することを含む、C3のネットワーク。
【0228】
C5.前記動作は、ワイヤレスルーターを経て受け取られ且つデジタル透かしに関連した複数のペイオフの1つを選択することを含む、C3のネットワーク。
【0229】
C6.前記ハンドヘルド計算装置は、ラップトップ、PDA及びワイヤレスセルラー電話の少なくとも1つを含む、C1−C5のいずれか1つのネットワーク。
【0230】
D1.セルラー電話又はパーソナルデジタルアシスタントを動作する方法であって、前記セルラー電話又はパーソナルデジタルアシスタントがカメラを含むような方法において、
物体の少なくとも一部分の映像を前記カメラで光学的に捕獲するステップであって、前記物体はステガノグラフィー証印を含み、更に、前記物体の少なくとも一部分の捕獲された映像は前記ステガノグラフィー証印の表示を含むようなステップと、
前記捕獲された映像を分析して、ステガノグラフィー証印を得るステップと、
前記ステガノグラフィー証印に関連したアクションを実行する前に、
前記カメラ又はパーソナルデジタルアシスタントのユーザに関連した生物測定を得、
前記得られた生物測定を予想される生物測定と比較し、
前記得られた生物測定が予想される生物測定に所定の仕方で対応するときだけ前記アクションを実行する、
というステップと、
を備える方法。
【0231】
D2.前記生物測定は指紋を含み、この指紋は前記カメラで得られる、D1の方法。
【0232】
D3.前記生物測定は網膜又は虹彩スキャンであり、この網膜又は虹彩スキャンは前記カメラで得られる、D1の方法。
【0233】
D4.前記セルラー電話又はパーソナルデジタルアシスタントはマイクロホンを含み、前記生物測定は声紋であり、前記マイクロホンにより音声サンプルが得られる、D1の方法。
【0234】
D5.前記セルラー電話又はパーソナルデジタルアシスタントはタッチ感知ディスプレイスクリーンを含み、前記生物測定は手書きサンプルを含み、この手書きサンプルは前記タッチ感知スクリーンを経て得られる、D1の方法。
【0235】
D6.前記生物測定は顔認識測定であり、ユーザの顔の映像が前記カメラで捕獲される、D1の方法。
【0236】
E1.ロゴのデジタル表示を得るステップと、
前記ロゴのデジタル表示にデジタル透かしを埋め込むステップであって、このデジタル透かしは、前記ロゴ内又はその周囲付近で分離され且つその中に冗長に埋め込まれ、前記デジタル透かしは、前記ロゴのその後の歪を分析する上で助けとなる方向付け成分と、メッセージ成分とを含むものであるステップと、
前記ロゴの前記埋め込まれたデジタル表示を印刷のために与えるステップと、
を備えるデジタル透かし入れ方法。
【0237】
E2.前記ロゴの埋め込まれたデジタル表示を物体に印刷するステップを更に備える、E1の方法。
【0238】
E3.前記E2に基づいて印刷されたロゴを検出する方法において、
前記ロゴをターゲット基準として使用して、前記ロゴの少なくとも一部分に対応するデータをハンドヘルド装置で光学的に捕獲するステップと、
前記ハンドヘルド装置からの前記光学的に捕獲されたデータに関連したデータをワイヤレス通信するステップと、
を備える方法。
【0239】
E4.サーバーからのデジタル透かしに関連したペイオフを前記ハンドヘルド装置でワイヤレス受信するステップと、
前記ハンドヘルド装置を経て前記ペイオフをプレゼンテーションするステップと、
を更に備えるE3の方法。
【0240】
E5.前記光学的に捕獲されたデータに関連したデータは映像データを含み、更に、前記デジタル透かしは、前記ハンドヘルド装置から遠隔配置された装置において前記映像データからデコードされる、E4の方法。
【0241】
E6.前記光学的に捕獲されたデータに関連したデータをワイヤレス通信する前に、前記デジタル透かしをデコードしてメッセージ成分を得るステップであって、前記光学的に捕獲されたデータに関連したデータがそのメッセージ成分を含むようなステップを更に備える、E4の方法。
【0242】
E7.前記ハンドヘルド装置はセルラー電話及びPDAの少なくとも1つを含む、E1−E6のいずれか1つの方法。
【0243】
最終的所見
以上、例示的実施形態を参照して本発明の原理を説明したが、本発明はそれに限定されないことを理解されたい。本発明は、このような例示的実施形態以外にも応用できる。
【0244】
例えば、ここに開示した技術及び解決策は、引用された文書から知られた要素及び技術を使用するものである。他の要素及び技術を同様に結合して、本発明の範囲内で更なる実施をなすことができる。従って、例えば、単一ビットの透かし入れを、多ビットの透かし入れと置き換えることができ、透かしエネルギーをローカルでスケーリングして、人間の認知性を高めることなく透かしの信号対雑音比を向上させることができ、種々のフィルタリング動作を使用して、従来技術で説明された機能を働かせることができ、映像を位置合わせし直す助けとして透かしに閾値下のグラティキュールを含ませることができ、エンコーディングを、単一ピクセル(又はDCT係数)の粒度で行ってもよいし又は隣接グループのピクセル(又はDCT係数)を同様に処理してもよいし、また、コンテンツ破壊の予想される形態に耐えるようにエンコーディングを最適化することもできる。等々。従って、例示的実施形態は、上述した技術を結合することにより得られる解決策の選択されたサンプルに過ぎない。他の解決策は、必ずしも、ここで徹底的に説明しないが、ここに取り上げた技術に精通し且つ前記開示が与えられた当業者であれば、充分にその理解の範囲内であろう。
【0245】
各章の見出しは読者の便宜上設けられたもので、本発明の範囲を何ら限定するものではない。更に、本明細書の多数の異なる章から引き出される付加的な組合せも明確に意図される。従って、1つの章の見出しのもとに見つかった特徴及び要素は、別の章の見出しのもとに見つかった特徴及び要素と容易に結合できる。
【0246】
上述した機能(透かし又はステガノグラフィーエンコーディング及びデコーディングを含む)の幾つかは、関連プロセッサ又は処理回路で実行するためにメモリに記憶された適当なソフトウェアにより実施することができる。他の実施例では、この機能は、専用ハードウェア、電子処理回路により、或いはハードウェア及びソフトウェアの組合せにより達成できる。FPGAを含む再プログラム可能なロジックは、ある実施例において効果的に使用することができる。
【0247】
上述した原理及び特徴を適用できる種々様々な実施形態に鑑み、以上に詳細に述べた実施形態は、単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0248】
【図1】透かしのエンコーディングを行うための線の巾に対する変更を示すもので、関連米国特許第6,449,377号の図5に対応する図である。
【図2】鏡面に対する反射の例を示す図である。
【図3】インク又は染料の配列体を通して伝達されるステガノグラフィー信号を含む図2の鏡面を示す図である。
【図4a】ステガノグラフィー信号を伝達する好ましいインク又は染料に対する反射の例を示す図である。
【図4b】光源に対して遠隔に置かれた光学的センサを含む反射の例を示す図である。
【図5a】本発明の1つの態様による信号隠蔽方法のフローチャートである。
【図5b】スレッシュホールド処理ステップを含む図5aの方法のフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態による多層ディスクの断面図である。
【図7】黒のインクを使用してステガノグラフィー信号を伝達する実施例に対する光の吸収を例示する図である。
【図8】本発明の1つの態様によるカメラハウジングの実施形態を示す図である。
【図9】本発明の1つの態様によるカメラハウジングの実施形態を示す図である。
【図10a】本発明の1つの態様によるカメラハウジングの実施形態を示す図である。
【図10b】本発明の1つの態様によるカメラハウジングの実施形態を示す図である。
【図10c】本発明の1つの態様によるカメラハウジングの実施形態を示す図である。
【図11】本発明の1つの態様によるカメラハウジングの実施形態を示す図である。
【図12a】本発明の1つの態様によるカメラハウジングの実施形態を示す図である。
【図12b】本発明の1つの態様によるカメラハウジングの実施形態を示す図である。
【図13a】印刷及び剥離方法及び構造体を示す図である。
【図13b】印刷及び剥離方法及び構造体を示す図である。
【図13c】印刷及び剥離方法及び構造体を示す図である。
【図14a】ドキュメントのような個別物体をデコード又は暗号解読するためのオーバーレイを示す図である。
【図14b】ドキュメントのような個別物体をデコード又は暗号解読するためのオーバーレイを示す図である。
【図15a】金属性インクが塗布されたステガノグラフィー証印を含む印刷ドキュメントを示す図である。
【図15b】図15aのドキュメントを捕獲した第1映像における映像コントラストを示す図である。
【図15c】図15aのドキュメントのコピーにおける映像コントラストを示す図である。
【図16】異なる焦点長さで捕獲された映像を読み取って処理するための多モード映像捕獲システムを伴うワイヤレス電話を示す図である。
【図17a】図16の電話を開位置で示す図である。
【図17b】電話の別の構成を開位置で示す図である。
【図18】図16の電話を閉位置で示す図である。
【図19】2つ以上の動作モードをもつ映像捕獲システムを示す図である。
【図20】本発明の1つの態様によるレーザ彫刻方法を示す図である。
【図21】レーザ彫刻を使用したデジタル透かし方法を示す図である。
【図22A】本発明の1つの態様による認証技術を示す図である。
【図22B】図22Aの認証態様を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を認証する方法であって、前記物体は第1のマシン読み取り可能な証印を含み、該第1のマシン読み取り可能な証印は第1成分を含むものである方法において、
前記物体の上に個別の層を設けるステップであって、前記個別の層は、第2のマシン読み取り可能な証印を含み、該第2のマシン読み取り可能な証印は第2成分を含むものであるステップと、
前記物体の上に設けられたときに前記個別の層の少なくとも一部分の映像を光学的に捕獲するステップであって、前記物体の少なくとも一部分は前記映像において前記個別の層を通して認知できるものであるステップと、
前記補獲された映像から前記第2成分をマシン読み取りするステップと、
少なくとも前記第2成分を参照して前記補獲された映像から前記第1成分を分析するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記第1成分は、暗号化されたメッセージを含み、前記第2成分は、前記暗号化されたメッセージを暗号解読するためのキーを含み、前記分析ステップは、前記第1のマシン読み取り可能な証印をマシン読み取りして前記暗号化されたメッセージを回復すると共に、前記暗号化されたメッセージを前記キーで暗号解読することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1成分は、デジタル透かしメッセージを含み、前記第2成分は、デジタル透かし方向付け成分を含み、前記分析ステップは、前記方向付け成分に基づいて前記映像を整列させ、次いで、前記デジタル透かしメッセージをマシン読み取りすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1成分は、少なくともメッセージを含み、前記第2成分は、前記メッセージを読み取るためのプロトコルを識別し、前記分析ステップは、前記メッセージをマシン読み取りするときに前記プロトコルを使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1成分は、第1セットの層及び第2セットの層を含み、前記第2成分は、前記第1セットの層だけを分析する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2セットの層は、異なる個別の層に対応する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記物体は、識別ドキュメントを含み、前記第1セットの層は、該識別ドキュメントのどこかに含まれた情報に対応するメッセージフィールドを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のマシン読み取り可能な証印及び前記第2のマシン読み取り可能な証印の少なくとも一方がデジタル透かしを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のマシン読み取り可能な証印は、バーコード、データマトリクス及びグリフの少なくとも1つを含み、前記第2のマシン読み取り可能な証印はデジタル透かしを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
物体にマークする方法において、
複数ビット情報を受信するステップと、
前記複数ビット情報を含むステガノグラフィー信号を前記物体の表面に金属性インクで設けるステップと、
を備え、前記ステガノグラフィー信号は、それに関連した第1の極性を有し、更に、前記物体の違法コピーは、そのコピー内に表される前記ステガノグラフィー信号に関連した第2の異なる極性を生じさせるようにした方法。
【請求項11】
前記ステガノグラフィー信号は、異なるコントラストレベルに関して伝達され、前記第1の極性は、前記ステガノグラフィー信号と、前記物体の表面及び前記物体の表面上の証印の少なくとも一方との間の相対的なコントラストの尺度である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の異なる極性は、前記金属性インクに関連した光反射から生じる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ステガノグラフィー信号は、デジタル透かしを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
物体にマークする方法において、
受け入れ層の頂面にステガノグラフィー信号を設けるステップであって、前記受け入れ層は、その底面が基板に隣接配置されるものであるステップと、
前記ステガノグラフィー信号を透明な材料で覆って、前記ステガノグラフィー信号が該透明な材料を通してマシン読み取り可能なままとなるようにするステップと、
を備え、前記覆われた受け入れ層は、前記基板から分離するようにされたままであり、
前記覆われた受け入れ層は、これが分離されると、前記物体の面に固定することができるようにした方法。
【請求項15】
前記透明な材料は、エポキシ及びポリウレタンの少なくとも一方を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記透明な材料は、ドームで構成される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ワイヤレスネットワークを経てハウ・ツー情報にアクセスするための方法において、
ステガノグラフィー証印を含む物体を光学的にスキャニングするステップであって、前記証印が識別子を含むようなステップと、
前記識別子をサーバーへワイヤレス通信するステップと、
前記物体に関連したハウ・ツー情報を前記サーバーから受信するステップと、
前記ワイヤレス通信と協働する装置を経てユーザが観察するために前記ハウ・ツー情報を与えるステップと、
を備える方法。
【請求項18】
前記物体は、調理本、ゴルフクラブ、ゴルフボール及びゴルフ用具の少なくとも1つを含み、前記ハウ・ツー情報は、調理及びゴルフのインストラクションの少なくとも1つに対応するマルチメディアインストラクションを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記装置はワイヤレスヘッドセットを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
ワイヤレスネットワークを経て情報にアクセスするための方法において、
ステガノグラフィー証印を含む物体の少なくとも一部分を表す光学的スキャンデータを受信するステップであって、前記証印が識別子を含むようなステップと、
前記識別子をサーバーにワイヤレス通信するステップと、
前記サーバーから複数の情報選択を受信するステップであって、該複数の情報選択は、各々、前記識別子に関連しているが、ある仕方で各々互いに変化するようなステップと、
前記複数の情報選択の1つをプレゼンテーションのために選択する音声作動コマンドを受信するステップと、
前記複数の情報選択のうちの前記選択された1つに対応する情報選択をプレゼンテーションするステップと、
を備える方法。
【請求項21】
前記ステガノグラフィー証印は、デジタル透かしを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
カメラに使用するためのアタッチメントであって、前記カメラは物体の少なくとも一部分の映像を補獲するもので、前記物体はマシン読み取り可能な証印を含む面を備え、前記カメラはレンズを含むものであるようなアタッチメントにおいて、
前記レンズと前記物体との間に考えられる最小の距離を確立する包囲されたハウジングと、
前記ハウジングの終了端又はその中に設けられた比較的明るい着色面であって、前記ハウジングが前記物体の少なくとも一部分の上に置かれたときに前記物体に面するように設けられた比較的明るい着色面と、
前記比較的明るい着色面に設けられた開口であって、少なくとも前記カメラのレンズを受け入れるか又はその開口を通して前記レンズによる映像の補獲を許すように構成された開口と、
を備えるアタッチメント。
【請求項23】
照明ソースを更に備える、請求項22に記載のアタッチメント。
【請求項24】
前記照明ソースは、前記比較的明るい着色面と前記物体との間に位置するように設けられ、前記光源は、前記比較的明るい着色面に向けられる、請求項23に記載のアタッチメント。
【請求項25】
内方を向くように前記ハウジング内に設けられた比較的明るい着色のスリーブを更に備え、該スリーブの縁は、前記比較的明るい着色面に隣接配置される、請求項22に記載のアタッチメント。
【請求項26】
前記ハウジングは、前記物体の少なくとも一部分の上に置かれたときに前記物体に対して垂直である、請求項22に記載のアタッチメント。
【請求項27】
前記ハウジングは、前記カメラにより補獲された映像における前記レンズの反射を前記補獲された映像の中央から離れるようシフトするために前記物体に対してある角度で設けられる、請求項22に記載のアタッチメント。
【請求項28】
前記マシン読み取り可能な証印はデジタル透かしを含む、請求項22に記載のアタッチメント。
【請求項29】
レンズと、請求項22に記載のアタッチメントとを備えるカメラ。
【請求項30】
前記カメラはビデオカメラである、請求項22に記載のアタッチメント。
【請求項31】
前記面は光沢面を含む、請求項22に記載のアタッチメント。
【請求項32】
前記面は鏡面を含む、請求項22に記載のアタッチメント。
【請求項33】
前記面は金属仕上げを含む、請求項22に記載のアタッチメント。
【請求項34】
映像を補獲する2つ以上のモードを有し、1つのモードは短い焦点長さで映像を補獲するためのもので、別のモードは長い焦点長さで像を補獲するためのものである映像補獲システムと、
前記短い及び長い焦点長さで補獲された映像ストリームにアクセスするためのサブウインドウ処理モジュールと、
を備えるポータブル装置。
【請求項35】
前記ポータブル装置はセルラー電話である、請求項34に記載のポータブル装置。
【請求項36】
前記電話は、前記短い焦点長さにおける映像補獲中に、映像補獲のために物体を照明するための照明ソースを備える、請求項35に記載のポータブル装置。
【請求項37】
前記電話は、前記電話が物体上に置かれたときに映像補獲をトリガーするためのコンタクトスイッチを備える、請求項36に記載のポータブル装置。
【請求項38】
前記コンタクトスイッチは、前記物体を補獲した映像からのデジタル透かしの読み取りをトリガーする、請求項37に記載のポータブル装置。
【請求項39】
ワイヤレスネットワークを経て情報にアクセスするための方法において、
ステガノグラフィー証印を含む物体を表わす光学的スキャンデータを受け取るステップであって、前記証印が少なくとも1つの識別子を含むようなステップと、
前記光学スキャンデータの少なくとも一部分をサーバーへ通信して、前記ステガノグラフィー証印をデコードするステップと、
前記サーバーから複数の情報選択を受け取るステップであって、前記複数の情報選択は前記識別子に各々関連しているが、各々がある仕方で互いに変化するようなステップと、
前記複数の情報選択のうちの1つをプレゼンテーションのために選択するユーザ作動コマンドを受け取るステップと、
前記複数の情報選択のうちの前記選択された1つに対応する情報選択をプレゼンテーションするステップと、
を備える方法。
【請求項40】
前記通信ステップはワイヤレス通信を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ステガノグラフィー証印はデジタル透かしを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記ユーザ作動コマンドは音声コマンドを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記ステップはセルラー電話において実行される、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記ステップはハンドヘルドパーソナルデジタルアシスタントにおいて実行される、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
ホスト映像を受け取るステップであって、前記ホスト映像には複数ビットデータが埋め込まれ、前記複数ビットデータは識別ドキュメントの許可された所持者に対応するデータを含み、前記ホスト映像には、更に、デジタル透かし方向付け成分が埋め込まれるようなステップと、
前記透かし入りホスト映像をレーザ彫刻装置へ供給するステップと、
前記透かし入りホスト映像を表わすように識別ドキュメントをレーザ彫刻するよう前記レーザ彫刻装置をガイドするステップと、
を備えるデジタル透かし入れ方法。
【請求項46】
前記デジタル透かしは2つ以上のデジタル透かしを伝達する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ホスト映像は2進映像を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記ホスト映像はグレースケール映像を含む、請求項45に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12a】
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【図13a】
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【図13b】
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【図13c】
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【図14a】
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【図14b】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【公表番号】特表2006−524840(P2006−524840A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509158(P2006−509158)
【出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/006724
【国際公開番号】WO2004/081649
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(500111792)ディジマーク コーポレイション (25)
【Fターム(参考)】