説明

カメラ機能付き機器、プログラムおよび盗撮防止方法

【課題】撮影の利便性を保ちつつ、盗撮行為を抑制できるカメラ機能付き機器、プログラムおよび盗撮防止方法を提供する。
【解決手段】携帯電話機は、動画を撮影できるカメラモジュールと、表示面11cと、音声を出力するためのスピーカと、解除ボタン202と、CPUと、を備える。CPUは、カメラモジュールより取得した動画の録画が開始された後の所定のタイミングで、スピーカによる警報音の出力を中止するための所定の操作を促す通知を行うよう表示面を制御する。また、CPUは、通知に応じる所定の操作が解除ボタン202を介して入力されない場合、警報音を出力するようスピーカを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話機、PDA(PersonalDigital Assistant)、タブレットPC(Tablet PC)等のカメラ機能付き機器、および当該カメラ機能付き機器に用いて好適なプログラムと盗撮防止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、デジタルビデオカメラ等のカメラ機能付き機器では、従来より、盗撮の防止が課題となっている。このため、盗撮を防止するための機能を備えたカメラ機能付き機器が提案されている。
【0003】
たとえば、ユーザのスイッチ操作等によりカメラ機能付き機器が撮影を開始できる状態になった際に、周囲の騒音レベルが所定の音量以上であると、警告音を鳴らして警報を行うカメラ機能付き機器が提案されている(特許文献1参照)。この構成によれば、警報により周囲にいる人の注意を引くことになるため、当該カメラ機能付き機器を用いた盗撮を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−260823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の盗撮防止機能では、盗撮を目的としない場合の撮影においても警報がなされることがある。本来適正である筈の撮影の最中に警告音が鳴ると、周囲に迷惑がかかるため、ユーザは、撮影を行いたかった場所での撮影を諦めざるを得ない場合がある。
【0006】
このように本来適正である筈の撮影の際に警報が行われると、カメラ機能付き機器を用いた撮影の利便性が低下する。
【0007】
そこで、本発明は、撮影の利便性を保ちつつ、盗撮行為を抑制できるカメラ機能付き機器、プログラムおよび盗撮防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、撮影部を備え、動画を撮影できるカメラ機能付き機器に関する。本態様に係るカメラ機能付き機器は、表示部と、音声を出力するための音声出力部と、操作入力部と、前記動画の録画が開始された後の所定のタイミングで、前記音声出力部による警報音の出力を中止するための所定の操作を促す通知を行うよう前記表示部を制御する通知制御部と、前記通知に応じる前記所定の操作が前記操作入力部を介して入力されない場合、前記警報音を出力するよう前記音声出力部を制御する警報制御部と、を備える。
【0009】
本態様に係るカメラ機能付き機器において、前記警報制御部は、前記警報を継続している間に、前記所定の操作が前記操作入力部を介して入力されると、前記警報を中止するよう前記音声出力部を制御し得る。
【0010】
本態様に係るカメラ機能付き機器において、前記通知制御部は、前記警報が中止された後の所定のタイミングで、前記音声出力部による警報音の出力を中止するための所定の操
作を促す通知を再び行うよう前記表示部を制御し得る。この場合、前記警報制御部は、再びなされた前記通知に応じる前記所定の操作が前記操作入力部を介して入力されない場合、前記警報音を出力するよう前記音声出力部を制御する。
【0011】
本態様に係るカメラ機能付き機器は、前記録画が通常の前記撮影のために行われると判断される所定の条件を保持する記憶部をさらに備え得る。この場合、前記通知制御部は、前記所定の条件が満たされると判定した場合、前記通知を中止するよう前記音声出力部を制御する。
【0012】
本態様に係るカメラ機能付き機器において、前記警報制御部は、前記警報音の出力を行った後、前記所定の条件が満たされると判定した場合、前記警報を中止するよう前記音声出力部を制御し得る。
【0013】
本態様に係るカメラ機能付き機器は、前記動画から人物の顔を検出する顔検出部をさらに備え得る。この場合、前記所定の条件は、前記顔検出部により前記顔が検出されることを含む。
【0014】
本態様に係るカメラ機能付き機器は、前記撮影部による撮影方向の鉛直方向における傾きを検出する傾き検出部をさらに備え得る。この場合、前記所定の条件は、前記撮影方向が水平面から上方向に傾く傾き角が所定の閾値を越えることを含む。
【0015】
本態様に係るカメラ機能付き機器において、前記表示部は、画面を表示可能な表示面を備え得る。この場合、前記通知制御部は、前記動画を前記表示面に表示するとともに、前記所定の操作を促す画像を、前記表示面に表示された前記動画に重ねて表示する。
【0016】
本態様に係るカメラ機能付き機器は、動画を記憶する動画記憶部に前記動画を録画する録画制御部をさらに備え得る。この場合、前記録画制御部は、前記音声出力部からの前記警報音の出力の後、前記所定の操作が前記操作入力部を介して入力されない場合、前記録画を停止する。
【0017】
本発明の第2の態様は、プログラムに関する。本態様に係るプログラムは、撮影部と、表示部と、音声を出力するための音声出力部と、操作入力部とを備え、動画を撮影できるカメラ機能付き機器のコンピュータに、前記動画の録画が開始された後の所定のタイミングで、前記音声出力部による警報音の出力を中止するための所定の操作を促す通知を前記表示部に行わせる機能と、前記通知に応じる前記所定の操作が前記操作入力部を介して入力されない場合、前記警報音を前記音声出力部に出力させる機能と、を付与する。
【0018】
本発明の第3の態様は、撮影部と、表示部と、音声を出力するための音声出力部と、操作入力部とを備え、動画を撮影できるカメラ機能付き機器の盗撮防止方法に関する。本態様に係る盗撮防止方法は、前記動画の録画が開始された後の所定のタイミングで、前記音声出力部による警報音の出力を中止するための所定の操作を促す通知を前記表示部に行わせるステップと、前記通知に応じる前記所定の操作が前記操作入力部を介して入力されない場合、前記警報音を前記音声出力部に出力させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、撮影の利便性を保ちつつ、盗撮行為を抑制できるカメラ機能付き機器、プログラムおよび盗撮防止方法を提供することができる。
【0020】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって
、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態に係る、携帯電話機の外観構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る、携帯電話機の全体構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る、撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態に係る、通知・警報処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】変更例1に係る、警報の開始前と開始後における、警報を中止するための操作を促す通知のための画面の表示例を示す図である。
【図6】変更例1に係る、撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】変更例1に係る、撮影方向と撮影方向の傾き角を説明するための図である。
【図8】変更例2に係る、通知・警報処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】変更例2に係る、警報の開始前と開始後における、警報を中止するための操作を促す通知のための画面の表示例を示す図である。
【図10】変更例3に係る、撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】変更例4に係る、通知・警報処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】変更例5に係る、撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】変更例5に係る、警報を中止するための操作を促す通知のための画面の表示例を示す図である。
【図14】その他の変更例に係る、撮影処理と通知・警報処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】その他の変更例に係る、ハードキーが解除ボタンとして用いられる構成と、当該構成における警報を中止するための操作を促す通知のための画面の表示例とを示す図である。
【図16】その他の変更例に係る、通知・警報処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1(a)、(b)は、携帯電話機1の外観構成を示す図である。図1(a)、(b)は、それぞれ、正面図および側面図である。
【0024】
携帯電話機1は、長方形状を有する厚みが小さなキャビネット10を有する。キャビネット10の正面側には、タッチパネルが配されている。タッチパネルは、ディスプレイ11と、ディスプレイ11に重ねられるタッチセンサ12とを備える。
【0025】
ディスプレイ11は、液晶ディスプレイであり、後述の液晶パネル11aと、液晶パネル11aの背面側に配されたパネルバックライト11bと、を備えている(図2参照)。液晶パネル11aは、画像を表示するための表示面11cを有し、表示面11cが外部に現れる。パネルバックライト11bは、液晶パネル11aを照明する。
【0026】
なお、ディスプレイ11は、液晶ディスプレイに限らず、有機ELディスプレイ等、他の表示装置であってもよい。
【0027】
タッチセンサ12は、表示面11cに対する入力位置を検出する。タッチセンサ12は、表示面11cの上に配されており、透明なカバーに覆われている。タッチセンサ12は透明なシート状に形成されており、タッチセンサ12を透して表示面11cを見ることができる。
【0028】
タッチセンサ12は、静電容量式のタッチセンサであり、マトリクス状に配された第1透明電極と第2透明電極とを備えている。タッチセンサ12は、第1および第2透明電極間の静電容量の変化を検出することによって、ユーザが触れた表示面11c上の位置を入力位置として検出し、この入力位置に応じた位置信号を後述のCPU100へ出力する。なお、表示面11cに触れるとは、実際には、上記カバーを触れることである。
【0029】
ユーザは、自身の指またはペン等の接触部材によって表示面11cを触れることにより、表示面11cに対するタッチ、タップ、スライド、フリック等の各種の操作を行える。ここで、「タッチ」は、表示面11cに指を接触させる操作である。「タップ」は、表示面11cに指を接触させた後、リリース(離す)する操作である。「フリック」は、表示面11cに指を接触させて弾く操作(指を接触させた後、所定速度で移動させて離す操作)である。「スライド」は、表示面11cに指を接触させたまま所定距離移動させた後、タッチパネル上より指を離す操作である。
【0030】
なお、タッチセンサ12は、静電容量式のタッチセンサ12に限らず、超音波式、感圧式、抵抗膜式、光検知式等の他のタッチセンサ12であってもよい。
【0031】
タッチパネルの下方(Y軸の負方向)には、キー操作部13が設けられている。キー操作部13は、設定キー13a、ホームキー13b、およびバックキー13cから構成されている。設定キー13aは、主に各種設定を行う設定画面を表示面11cに表示させるためのキーである。ホームキー13bは、主にホーム画面を表示面11cに表示させるためのキーである。バックキー13cは、主に表示面11c上の画面の表示状態を1ステップ前の状態に戻すためのキーである。
【0032】
キャビネット10の正面側には、下部にマイクロホン(以下、「マイク」と言う。)14が配されており、上部にスピーカ15が配されている。ユーザは、スピーカ15から出力される音声を聞き、マイク14に対して音声を発することにより、通話できる。
【0033】
また、キャビネット10の背面側には、周囲にいる人が聞き取れる程度の音量の音声を出力するスピーカ15aが配されている。たとえば、スピーカ15aから、カメラモジュール16(後述)による撮影が行われることを周囲へ通知するためのシャッター音等の音声が出力される。
【0034】
キャビネット10の背面側には、カメラモジュール16が配されている。キャビネット10の背面には、レンズ窓が配されており、撮影方向V(図1(b)の矢印参照)、すなわちレンズ窓が向けられた方向にある被写体の像が、レンズ窓からカメラモジュール16に取り込まれる。
【0035】
カメラモジュール16は、レンズ窓から入射した光の像を撮像するCCD、CMOSセンサ等の撮像素子を有する。カメラモジュール16は、撮像素子から出力された撮像信号をデジタル化し、そのデジタル信号にガンマ補正等の各種補正を施して、後述の映像エンコーダへ出力する。
【0036】
図2は、携帯電話機1の全体構成を示すブロック図である。携帯電話機1は、上述の構成要素の他、CPU100、メモリ101、画像処理回路102、キー入力回路103、音声エンコーダ104、音声デコーダ105、映像エンコーダ106、通信モジュール107、加速度センサ108、タイマ109を備える。
【0037】
画像処理回路102は、CPU100から入力された制御信号に従って、ディスプレイ11に表示される画像を生成し、生成した画像のデータを画像処理回路102に備えられ
ているVRAM102aに記憶させる。
【0038】
画像処理回路102は、VRAM102aに記憶された画像データを含む画像信号を、ディスプレイ11へ出力する。また、画像処理回路102は、ディスプレイ11を制御するための制御信号を出力し、ディスプレイ11のパネルバックライト11bを点灯または消灯させる。パネルバックライト11bから放出された光が、画像信号に基づいて液晶パネル11aにより変調されることにより、ディスプレイ11の表示面11cに画像が表示される。
【0039】
キー入力回路103は、キー操作部13を構成する各キー13a〜13cの押下に応じた信号をCPU100へ出力する。
【0040】
音声エンコーダ104は、集音した音声に応じてマイク14が生成した電気信号をデジタル音声信号に変換し、CPU100へ出力する。
【0041】
音声デコーダ105は、CPU100からのデジタル音声信号にデコード処理およびD/A変換を施し、変換した電気信号をスピーカ15、15aに出力する。
【0042】
映像エンコーダ106は、カメラモジュール16からの信号にエンコード処理を施してCPU100へ出力する。
【0043】
通信モジュール107は、通話や通信のための電波を送受信するアンテナを備える。通信モジュール107は、CPU100から入力される通話や通信のための信号を無線信号に変換し、変換された無線信号を、アンテナを介して、基地局や他の通信装置等の通信先へ送信する。また、通信モジュール107は、アンテナを介して受信した無線信号をCPU100が利用できる形式の信号へ変換し、変換された信号をCPU100へ出力する。
【0044】
加速度センサ108は、携帯電話機1に係る加速度を検出する。加速度センサ108は3軸加速度センサであり、図1(a)、(b)に示されるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の3方向に生じる加速度を検出する。加速度センサ108は、検出した加速度に応じた加速度信号をCPU100へ出力する。
【0045】
携帯電話機1が静止状態にあるときには、携帯電話機1に加わる重力加速度が加速度センサ108により検出される。CPU100は、重力加速度に基づき、上述の撮影方向Vを検出する。
【0046】
メモリ101は、ROMおよびRAMを含む。メモリ101には、CPU100に制御機能を付与するための制御プログラムと、各種のアプリケーション・プログラム(以下、「アプリケーション」と言う。)が記憶されている。たとえば、メモリ101には、通話、静止画像の撮影、動画の撮影等、各種のアプリケーションが記憶されている。
【0047】
また、メモリ101は、アプリケーションの実行の際、一時的に利用または生成される各種のデータを記憶するワーキングメモリとしても使用される。
【0048】
また、メモリ101には、CPU100が動画の撮影のためのアプリケーション(カメラ機能)を実行することより、カメラモジュール16により撮影される動画が録画される。すなわち、撮影された動画のデータが、所定のファイル形式で、メモリ101の所定の領域に記憶される。なお、動画の撮影のためのアプリケーションは、動画のデータを、外部の記憶媒体(SDカード等)や、有線または無線の通信網を介して接続される記憶装置等、メモリ101以外の記憶部に記憶できるよう構成されてもよい。
【0049】
CPU100は、制御プログラムに従って、カメラモジュール16、マイク14、通信モジュール107、ディスプレイ11、スピーカ15、15a等、各構成要素を制御することにより、各種のアプリケーションを実行する。
【0050】
さて、本携帯電話機1は、動画の撮影の際、撮影が行われていることを周囲に知らせる警報を行う機能を備える。ここで、携帯電話機1は、警報に先立ち当該警報が行われることを中止するための操作を促す通知を行うとともに、ユーザが通知に応じて操作を行わない場合には警報を行うよう構成されている。以下に、通知と警報に係る処理について説明する。
【0051】
図3は、本実施の形態に係る撮影処理の手順を示すフローチャートである。撮影処理は、動画の撮影のためのアプリケーションを起動する操作に応じて開始される。
【0052】
撮影処理が開始されると、CPU100は、まず、カメラモジュール16を起動する(S101)。以後、アプリケーション(カメラ機能)を終了する操作がなされるまでの間(S102:NO)、CPU100は、カメラモジュール16より取得された動画を表示面11cに表示する。なお、当該アプリケーションを終了する操作がなされた場合には(S102:YES)、CPU100は、カメラモジュール16を停止した後(S103)、撮影処理を終了する。
【0053】
撮影処理の実行中、CPU100は、録画を開始する操作に応じて(S104:YES)、動画の録画を開始する(S105)。
【0054】
次に、CPU100は、タイマ109を用いて、時間t1を0秒から計り始める(S106)。そして、CPU100は、時間t1が所定の閾値T1以下(t1≦T1)であるか否かを判定する(S107)。録画を終了するための操作がなされるまでの間(S108:NO)、ステップS107の判定処理が繰り返し実行される。
【0055】
ここで、上記の所定の閾値T1は、上述の通知と警報のための通知・警報処理(S110)が実行される時間間隔を定める値である。すなわち、通知・警報処理(S110)が終了した場合、そのT1秒後に通知・警報処理が再び実行される。閾値T1は、たとえば、数秒〜数十秒程度に設定される。閾値T1が小さく設定される場合には、通知が頻繁になされるため盗撮防止の効果を高めることができる。また、閾値T1が大きく設定される場合には、通知が頻繁になされることがなく撮影の利便性を良好に保つことができる。
【0056】
t1≦T1である間に録画を終了するための操作がなされた場合(S107:YES→S108:YES)、CPU100は、録画を終了するとともに(S109)、ステップS102の処理へ戻る。
【0057】
さて、録画が継続されたまま(S108:NO)、時間t1が閾値T1を超えた場合(S107:NO)、CPU100は、通知・警報処理(S110)を実行する。なお、ステップS105において開始された録画は、通知・警報処理の実行中も継続する。
【0058】
図4は、通知・警報処理(S110)の手順を示すフローチャートである。図5(a)は、警報が開始される前に、警報を中止するための操作を促す通知が行われている画面の表示例を示す図である。図5(b)は、警報が開始された後に、警報を中止するための操作を促す通知が行われている画面の表示例を示す図である。
【0059】
通知・警報処理が開始されると、CPU100は、まず、図5(a)に示す如く、解除
ボタン202の押下(タッチ)を促す通知を行う(S111)。ここで、解除ボタン202は、撮影が行われていることを周囲に知らせる警報を中止(解除)するための操作を入力するためのボタンである。CPU100は、ウィンドウ201を、表示面11cに表示された動画に重ねて表示する。ウィンドウ201には、解除ボタン202と、警報の中止のため、解除ボタン202を押下するよう促す通知のためのテキスト203が表示される。
【0060】
なお、図5(a)に示されるテキスト203中の文字「XX秒」は、後述の警報(S117)が開始されるまでの時間を示す。ウィンドウ201が表示されてから警報が開始されるまでの時間(T2)は、たとえば、数秒〜十数秒程度に設定される。
【0061】
ここで、定数T2は、所定の閾値である。閾値T2が小さく設定される場合には、通知が頻繁になされるため盗撮防止の効果を高めることができる。また、閾値T2が大きく設定される場合には、通知が頻繁になされることがなく撮影の利便性を良好に保つことができる。
【0062】
次に、CPU100は、タイマ109を用いて、時間t2を0秒から計り始める(S112)。以後、ステップS115において時間t2の計時が停止されるまで、CPU100は、時間t2に応じて、テキスト203中の文字「XX秒」を、警報が開始されるまでの時間(すなわちT2−t2秒)に更新する。
【0063】
CPU100は、時間t2が閾値T2以下であるか否かを判定する(S113)。当該判定処理(S113)は、解除ボタン202に対する押下が検出されない間(S114)、繰り返し実行される。
【0064】
撮影者が、表示面11cに表示された動画を見ながら撮影を行っている場合、表示面11cにウィンドウ201による通知がなされれば、すぐに通知に気付く。よって、撮影者は、閾値T2が経過する前に解除ボタン202を押下する。
【0065】
時間t2が閾値T2以下である間に、タッチセンサ12より解除ボタン202に対する押下が検出された場合(S113:YES→S114:YES)、CPU100は、時間t2の計時を停止し(S115)、通知を中止する(S116)。通知の中止の際(S116)、CPU100は、ウィンドウ201の表示を解除する。CPU100は、ステップS116の処理の実行を完了して通知・警報処理を終了するとともに、図3に示されるステップS106の処理へ進む。これにより、この回の通知に基づく警報は中止される。
【0066】
一方、撮影者が、表示面11cに表示された動画を見ることなく撮影を行っている場合、ウィンドウ201の表示による通知がなされても、閾値T2が経過する前に解除ボタン202を押下することができない。
【0067】
時間t2が所定の閾値T2を超えた場合(S113:NO)、CPU100は、以下の通り警報を行う(S117〜S119)。
【0068】
CPU100は、まず、携帯電話機1によって撮影が行われていることを周囲に知らせる、警報を開始する(S117)。具体的には、CPU100は、警報音をスピーカ15aより出力する(S117)。
【0069】
上記警報音は、たとえば、アラーム音、音楽、音声(たとえば、「撮影が行われています。」)等の音声である。当該警報音は、周囲にいる人が聞こえる程度の音量で出力される。警報音の音量は、たとえばマイク14により集音される周辺の音の音量に応じて、C
PU100により適宜設定される構成を採られてもよい。また、携帯電話機1が発光部を備える場合、上記警報音に替えて、当該発光部からの光の出力により警報(フラッシュの点滅や、イルミネーション等)が行われてもよい。
【0070】
また、ステップS117において、CPU100は、ウィンドウ201上に、図5(b)に示す如くテキスト203を表示する。図5(b)のテキスト203では、図5(a)に示されるテキスト203に表示されている文字「XX秒以内に、」が削除されている。
【0071】
警報の開始の後、タッチセンサ12より解除ボタン202に対する押下が検出されない間(S118:NO)、CPU100は、警報を継続する。
【0072】
撮影者は、警報に気付くと、表示面11cの通知を確認し、解除ボタン202を押下する。
【0073】
タッチセンサ12より解除ボタン202に対する押下が検出された場合(S118:YES)、CPU100は、警報を中止(停止)する。そして、CPU100は、上述のステップS115の処理へ進む。すなわち、CPU100は、ステップS115、S116を実行した後、図4に示される通知・警報処理を終了し、さらに図3のステップS106の処理へ進む。通知・警報処理S110の処理を終えてからT1秒の間に録画を終了する操作がなされない場合(S108:NO→S107:NO)、CPU100は再び通知・警報処理を実行する(S110)。
【0074】
なお、図4に示される通知・警報処理の実行中、録画を終了するための操作がなされた場合、CPU100が、必要に応じて通知または警報を中止した後に、通知・警報処理を終了するとともに、図3のステップS109の処理(録画を終了)へ進む構成が採られてもよい。
【0075】
また、通知・警報処理の実行中、動画の撮影のためのアプリケーションを終了するための操作がなされた場合、CPU100が、必要に応じて通知または警報を中止した後に、通知・警報処理の実行を終了するとともに、図3のステップS103の処理へ進む構成が採られてもよい。
【0076】
以上、本実施の形態の構成によれば、携帯電話機1による動画の録画開始のT1秒後、CPU100は、表示面11cに、撮影が行われていることを周囲に知らせる警報を中止するための解除ボタン202の押下を促す通知を行う。そして、通知の後に解除ボタン202に対する押下がタッチセンサ12により検出されないまま時間T2秒が経過した場合、CPU100は警報を行う。盗撮を試みる者が通知の有無を常に監視することは容易ではないため、上記通知に応じて解除ボタン202を押下できず、警報が行われる。警報が周囲の注意を引くこととなるため、盗撮を試みる者は、携帯電話機1を用いて盗撮行為を行うことが困難となる。よって、本携帯電話機1を用いた盗撮行為が抑制される。
【0077】
その一方で、ユーザが通常の撮影すなわち盗撮を目的としない動画の撮影を行う場合、当該ユーザは、表示面11cの通知を見ることができ、通知に応じて解除ボタン202を押下できる。このため、通常の撮影を行うユーザは、警報を開始させることなく、また録画を停止させることなく、通常の撮影を行える。
【0078】
よって、盗撮を目的としない撮影の利便性を保ちつつ、盗撮行為を抑制できる。
【0079】
また、CPU100は、通知または警報が中止されてからT1秒後に、解除ボタン202の押下を促す通知を、再び行う。このため、撮影者は、通知の視認と警報の中止のため
の操作とが継続的に可能な状態で、撮影を行うことが必要となる。つまり、盗撮を試みる者が、たとえばカバン等にしのばせたままの状態の携帯電話機1を用いて盗撮を行うことが困難となる。よって、より効果的に盗撮行為を抑制できる。
【0080】
また、通知・警報処理に基づき警報が行われた場合、通常の撮影を行うユーザは、表示面11cに表示される通知を視認することにより、通知に応じて即座に警報を中止させることができる。しかしながら、たとえば、上述の如くカバン等にしのばせたままの状態の携帯電話機1を用いて盗撮が行われるときに警報が行われた場合、即座に警報を中止させることは難しい、よって、盗撮を目的としない撮影の利便性を保ちつつ、盗撮行為を抑制できる。
【0081】
<変更例1>
図6は、変更例1に係る撮影処理の手順を示すフローチャートである。図6のフローチャートでは、図3に示されるフローチャートにおけるステップS110の通知・警報処理の前段に、ステップS121、S122の処理が挿入されている。
【0082】
変更例1の撮影処理について説明する。変更例1では、ステップS107において、時間t1が閾値T1を超えたと判定された場合(S107:NO)、ステップS121の処理が実行され、続いてステップS122の判定処理が実行される。
【0083】
変更例1では、撮影方向Vの傾き角θに関する判定処理(S122)に基づいて、通知・警報処理(S110)の実行をキャンセルする構成が採られる。
【0084】
図7(a)〜(c)は、上述の撮影方向Vと、撮影方向Vの水平面(一点鎖線参照)に対する傾き角θについて説明するための図である。図7(a)、7(b)および7(c)は、それぞれ、傾き角θが10°、45°および90°である状態における、携帯電話機1の側面図である。ここで、傾き角θは、水平面の方向を基準にして撮影方向Vが上方を向く角度を表し、−90度から+90度の範囲の値を取り得る。θ=0°は、撮影方向Vが水平方向を向くことを示す。撮影方向Vが上方向へ傾いているときにはθ>0であり、θ=+90°は撮影方向Vが真上に傾くことを示す。撮影方向Vが下方向へ傾いているときにはθ<0であり、θ=−90°は撮影方向Vが真下に傾くことを示す。なお、撮影方向Vと傾き角θは、ジャイロセンサを用いて検出されてもよい。
【0085】
図6に戻り、CPU100は、ステップS121において上記の傾き角θを検出する。そして、CPU100は、傾き角θが、所定の閾値θ1(たとえば30°)以下、すなわちθ≦θ1であるか否かを判定する(S122)。
【0086】
閾値θ1は、ユーザが通常の使用態様にて撮影を行う際における、想定される傾き角θの上限程度の値に設定される。閾値θ1は、たとえば10°〜60°程度の範囲内の値に設定できる。閾値θ1は、盗撮行為を抑制することを優先する場合には、小さく設定される。また、閾値θ1は、撮影の利便性を優先する場合には、大きく設定される。
【0087】
携帯電話機1が、図7(a)に示される状態(θ=10°)にある場合、θ≦θ1(=30°)であるため、ステップS122においてYESと判定される。携帯電話機1が、図7(b)または図7(c)に示される状態(θ=45°または90°)にある場合、θ>θ1であるため、ステップS122においてNOと判定される。なお、撮影方向Vが下に傾く場合、すなわち傾き角θが負値(θ<0)の場合、条件θ≦θ1が満たされるため、ステップS122においてYESと判定される。
【0088】
CPU100は、傾き角θが閾値θ1以下である場合(S122:YES)、通知・警
報処理の実行を中止し、ステップS108の処理へ進む。すなわち、傾き角θが閾値θ1以下である場合(S122:YES)、通知が中止される。
【0089】
一方、CPU100は、傾き角θが閾値θ1を超える場合(S122:NO)、通知・警報処理を実行する(S110)。本変更例における通知・警報処理は、上記実施の形態の通知・警報処理(図4)と同様の処理である。
【0090】
以上、本変更例1の構成によれば、撮影方向Vの傾き角θが閾値θ1以下である場合、盗撮を目的としないような通常の撮影が行われているとして、通知・警報処理の実行が中止される。すなわち、現在行われている撮影は、盗撮が懸念されるような撮影ではないため警報の必要がないとして、通知と警報が中止される。
【0091】
このように、盗撮を目的としないような、通常の撮影が行われていると判断される場合、ユーザは、通知に応じて解除ボタン202を押下することなく撮影を継続できる。よって、撮影の利便性が良好に保たれる。
【0092】
その一方、撮影方向Vの傾き角θが閾値θ1を超えるような状態で撮影が行われている場合には、通常の撮影ではなく盗撮が懸念される状態で撮影が行われているとして、解除ボタン202の押下を促す通知がなされる。さらに、当該通知に応じた解除ボタン202の押下が検出されない場合には、警報が開始する。よって、通常の撮影の利便性を保ちつつ、盗撮行為が抑制される。
【0093】
<変更例2>
図8は、変更例2に係る通知・警報処理の手順を示すフローチャートである。本変更例に係る通知・警報処理は、上記変更例1の撮影処理(図6)に基づき実行される。すなわち、本変更例に係る通知・警報処理(図8)は、撮影方向Vの傾き角θが所定の閾値θ1を超えることに基づき、図6に示されるステップS110の通知・警報処理に対応する処理として実行される。
【0094】
図8のフローチャートは、図4のフローチャートに、ステップS131〜S134の処理が追加されたものである。ステップS131とS132の処理は、ステップS114においてNOと判定された後に実行される。ステップS133とS134の処理は、ステップS114においてNOと判定された後に実行される。
【0095】
ステップS131とS133の処理は、変更例2に係る図6に示されるステップS121の処理と同様に、傾き角θを検出する処理である。ステップS132とS134の処理は、変更例2に係る図7に示されるステップS122の処理と同様に、傾き角θが、所定の閾値θ1以下、すなわちθ≦θ1であるか否かを判定する処理である。
【0096】
図9(a)は、警報が開始される前に、警報を中止するための操作を促す通知が行われている画面の表示例を示す図である。ステップS111(図8)において、CPU100は、表示面11cに、図9(a)に示す如く、解除ボタン202とテキスト203とを含むウィンドウ201を表示する。図9(a)に示されるテキスト203は、図5(a)に示されるテキスト203と略同様であるが、カメラの向き(撮影方向V)を変えるよう促すメッセージをさらに含む。
【0097】
ステップS111の処理に基づく通知がなされた後、警報が開始される前(S113:YES)において、傾き角θがθ1以下となるよう携帯電話機1の向きが戻された場合(S132:YES)、CPU100は、警報を中止する。そして、CPU100は、時間t2の計時を停止し(S115)、上記の通知を中止する(S116)。
【0098】
ステップS111の処理に基づく通知がなされた後、携帯電話機1の向きが戻されない場合には(S132:NO)、時間t2が所定の閾値T2を超えると(S113:NO)、警報が開始される(S117)。
【0099】
図9(b)は、警報が開始された後に、警報を中止するための操作を促す通知が行われている画面の表示例を示す図である。ステップS117において、CPU100は、警報を開始するとともに、ウィンドウ201上に表示されているテキスト203中の文字「XX秒以内に、」(図9(a)参照)を削除し、図9(b)に示されるテキスト203を表示する。
【0100】
ステップS117の処理に基づき警報が開始された後、タッチセンサ12より解除ボタン202に対する押下が検出されない場合(S118:NO)、CPU100は、傾き角θを検出し(S133)、検出した傾き角θが閾値θ1であるか否かを判定する(S134)。傾き角θが閾値θ1以下となった場合(S134:YES)、CPU100は、ステップS118の処理へ戻らず、警報を中止し(S119)、さらにステップS115、S116の処理へ進む。
【0101】
すなわち、通知が開始された後、撮影方向Vが略水平(具体的にはθ≦θ1)となるよう携帯電話機1の向きが戻された場合(S134:YES)、CPU100は、警報を中止する。
【0102】
なお、ステップS117の処理に基づき警報が開始された後、携帯電話機1の向きが戻されない場合には(S134:NO)、CPU100は、警報を継続する。
【0103】
以上、本変更例の構成によれば、撮影方向Vの傾き角θが閾値θ1を超えることに基づき通知・警報処理が開始された後、ユーザは、傾き角θが閾値θ1以下となるように携帯電話機1の姿勢を変えることにより、通知および警報を中止させることができる。
【0104】
<変更例3>
上記変更例1では、通知・警報処理は、撮影方向Vの傾き角θが所定の閾値θ1を超えることに基づき実行される。変更例3では、通知・警報処理は、カメラモジュール16より取得される動画から人物の顔が検出されないことに基づき実行される。
【0105】
図10は、変更例3に係る撮影処理の手順を示すフローチャートである。図10のフローチャートでは、図6のフローチャートにおけるステップS121、S122の処理が、ステップS141の判定処理に置き換えられている。ステップS141の判定処理は、具体的には、カメラモジュール16から取得される動画から人物の顔が検出されるか否かを判定するための処理である。
【0106】
たとえば、携帯電話機1のレンズ窓が人物の顔へ向けられた状態で撮影が行われる場合、撮影された動画のフレーム画像は人物の顔の画像を含む。この場合、CPU100は、動画から人物の顔を検出し(S141:YES)、通常の撮影が行われるとして通知・警報処理の実行を中止し、ステップS108の処理へ進む。
【0107】
他方、撮影された動画が人物の顔の画像を含まない場合、CPU100は、このような動画から人物の顔を検出せず(S141:NO)、ステップS110の通知・警報処理(図4)へ進む。たとえば、ユーザが、人物を背後から撮影する場合、動画は人物の顔の画像を含まないため、ステップS141においてNOと判定される。
【0108】
このような顔の検出を判定するための処理(S141)は、たとえば、以下のようにして、実行される。
【0109】
CPU100は、動画のフレーム画像の中から主に肌色からなる領域を抽出し、さらに、抽出した領域上において、目、鼻、口、シワ等の顔の特徴部分を、当該フレーム画像の領域上における色、模様等の分布に基づいて検出する。CPU100は、動画ら、一定の確度で顔の特徴部分を検出した場合、当該動画から人物の顔の画像が検出されたと判定する(S141:YES)。CPU100は、動画から一定の確度で顔の特徴部分を検出しなかった場合、動画から人物の顔が検出されないと判定する(S141:NO)。
【0110】
たとえば、ユーザが、被写体の人物と向きあうようにして撮影を行う場合、動画から顔が検出される。このような場合には、被写体の人物は携帯電話機1により撮影が行われていることを認識している可能性が高く、盗撮の可能性が低いと考えられる。よって、通知・警報処理の実行が中止される。
【0111】
以上、本変更例3の構成によれば、撮影された動画から人物の顔が検出される場合、通常の撮影が行われているとして、通知・警報処理の実行が中止される。一方、撮影された動画から人物の顔が検出されないような状態で撮影が行われている場合には、通常の撮影ではなく盗撮が懸念される状態で撮影が行われているとして、解除ボタン202の押下を促す通知がなされるよう構成されている。よって、通常の撮影の利便性を保ちつつ、盗撮行為が抑制される。
【0112】
<変更例4>
上記変更例2では、なされた通知と警報は、撮影方向Vの傾き角θが所定の閾値θ1を超えることに基づき中止される。変更例4では、なされた通知と警報は、撮影された動画から人物の顔が検出されることに基づき中止される。
【0113】
図11は、変更例4に係る通知・警報処理の手順を示すフローチャートである。本変更例に係る通知・警報処理は、上記変更例3の撮影処理(図10)に基づき実行される。すなわち、本変更例に係る通知・警報処理は、カメラモジュール16より取得される動画から人物の顔が検出されないことに基づき実行される。
【0114】
図11のフローチャートでは、図8のフローチャートにおけるステップS131、S132の処理が、ステップS151の判定処理に置き換えられ、ステップS133、S134の処理が、ステップS152の判定処理に置き換えられている。各ステップS151、S152は、図10のステップS141の判定処理に同じである。すなわち、ステップS151、S152の判定処理は、カメラモジュール16より取得される動画から人物の顔が検出されるか否かを判定する処理である。
【0115】
ステップS151において、CPU100は、カメラモジュール16より取得される動画から人物の顔が検出された場合には(S151:YES)、警報を行わずに、時間t2の計時を停止し(S115)、警報を中止するための操作を促す通知を中止する(S116)。
【0116】
他方、カメラモジュール16より取得される動画から人物の顔が検出されないまま(S151:NO)、時間t2が所定の閾値T2を超えた場合(S113:NO)、警報が行われる(S117)。
【0117】
同様に、ステップS152において、CPU100は、動画から人物の顔が検出された場合には(S152:YES)、警報を中止すなわち停止し(S119)、ステップS1
15、S116の処理を実行する。
【0118】
他方、カメラモジュール16より取得される動画から人物の顔が検出されない場合(S152:NO)、ステップS117において開始された警報は継続する。
【0119】
以上、本変更例の構成によれば、通知・警報処理が開始された後、動画から人物の顔が検出された場合には、通常の撮影が行われているとして、通知および警報が中止される。
【0120】
<変更例5>
図12は、変更例5に係る通知・警報処理の手順を示すフローチャートである。
【0121】
図12のフローチャートは、図4のフローチャートに示されるステップS111の前段に、ステップS161の処理がさらに追加されたものである。
【0122】
ステップS161において、CPU100は、乱数、疑似乱数等に基づき、ウィンドウ201の表示位置を不規則に設定する。次のステップS111において、CPU100は、ウィンドウ201を表示面11cにおける設定された表示位置に表示する。上記処理により、解除ボタン202は、通知・警報処理が実行される毎に、異なる位置に表示される。
【0123】
図13(a)〜(c)は、本変更例に係る通知・警報処理に基づいて、解除ボタン202の押下を促す通知を行うためのウィンドウ201の表示位置を示す図である。図13(a)〜(c)には、それぞれ、動画の撮影のためのアプリケーションの開始後、ステップS161の処理の1回目〜3回目の実行に基づくウィンドウ201の表示例が示される。
【0124】
各図13(a)〜(c)において、ウィンドウ201は、それぞれ、表示面11cの上側、下側および略中央に表示されている。このように、ウィンドウ201、解除ボタン202およびテキスト203の表示位置は、ウィンドウ201が表示面11cに表示される毎に変化する。
【0125】
以上、本変更例の構成によれば、表示面11cに表示されるウィンドウ201の表示位置は、通知・警報処理が実行される毎に異なる。つまり、解除ボタン202の表示位置が毎回異なる。したがって、解除ボタン202が次に表示される位置を予測することは、ユーザにとって容易ではない。このため、盗撮を試みる者が、ウィンドウ201を視認することなく見当によって解除ボタン202を押下することによって、通知および警報を中止させることはできない。よって、より効果的に盗撮を抑制できる。
【0126】
なお、ウィンドウ201の表示位置は、所定のルールに従って、または表示位置を指定する座標の配列から構成される所定のテーブルに従って設定される等されてもよい。この際、通知・警報処理が実行される毎にウィンドウ201の表示位置がおおむね異なるよう、表示位置が設定されることが好ましい。
【0127】
<その他>
以上、本発明の実施の形態および変更例について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0128】
上記実施の形態と変更例1〜5は、互いに組み合わせることができる。
【0129】
たとえば、変更例3、4の構成が、変更例1の構成に組み合わされてもよい。この場合
、図14に示す如く、図6に示されるステップS122の判定処理が、ステップS171の判定処理に置き換えられる。ステップS171の判定処理は、傾き角θが閾値θ1であるか、または、カメラモジュール16より取得される動画から顔が検出された場合にYESと判定する処理である。
【0130】
同様に、変更例3、4の構成が変更例2の構成に組み合わされてもよい。この場合図8に示されるステップS132、S134の判定処理が、図14に示されるステップS171に置き換えられる。
【0131】
さらに、変更例5の構成が変更例1〜4の構成に組み合わされてもよい。この場合、各変更例1〜4に係る通知・警報処理を示すフローチャート(図4、図8、図11)において、ステップS111の前段に、図12に示されるステップS161の処理が挿入される。
【0132】
上記変更例1〜4では、所定の判定条件(傾き角θが閾値θ1以下であること、または、カメラモジュール16より取得される動画から顔が検出されること)に基づいて、通知・警報処理の実行が中止される。このような判定条件は、盗撮を目的としない撮影が行われている蓋然性が高い場合を検出する条件、盗撮の懸念が高くない場合を検出する条件等、各種の判定条件であり得る。また、複数の判定条件を、AND、OR、NOT等の論理演算子によって適宜組み合わせることにより、通知・警報処理の中止の要否を決定するための新たな判定条件が構成され得る。
【0133】
上記実施の形態および変更例1〜5では、解除ボタン202を押下するよう促す通知(テキスト203)が表示面11cになされる。このように、撮影された動画が表示される表示面11cが向けられる方向から視認可能な位置において通知がなされることが望ましい。これによって、録画の最中に、ユーザが通知を見やすくなる。しかしながら、通知は、表示面11cが向けられた方向から視認可能であれば、表示面11cとは異なる位置になされても良い。
【0134】
上記実施の形態および変更例1〜5において、解除ボタン202は、表示面11cに設けられる。しかしながら、解除ボタン202が表示面11cとは異なる位置に設けられる構成が採られてもよい。たとえば、図15(a)、(b)に示す如く、キャビネット10に、ハードキーを含むキー操作部204を備える折りたたみ式の携帯電話機1において、何れかのハードキーを解除ボタン202として使用するよう構成されてもよい。
【0135】
図15(a)には、本実施の形態に係る図3のステップS111(図5(a)参照)に対応する処理に基づき表示面11cにウィンドウ201が表示されたときの画面と解除ボタン202が示されている。図15(a)に示す如く、たとえば、決定キーを解除ボタン202として用いられることが可能である。
【0136】
図15(b)には、変更例5に係る図12のステップS161に対応する処理に基づき、表示面11cにウィンドウ201が表示されたときの画面と解除ボタン202が示されている。図15(b)に示す如く、変更例5に係るステップS161の処理において、キー操作部204の何れかのキーをランダムに選択し、選択されたキーを解除ボタン202とする構成が採られてもよい。図15(b)において、「4」キーが解除ボタン202に設定されている。なお、この場合、表示面11cには、テキスト203を含むウィンドウ201が表示される。
【0137】
なお、解除ボタン202は、解除ボタン202を押下するよう促す通知と異なり、カメラモジュール16より取得される動画が表示される表示面11cが向けられた方向から視
認可能な位置に配される必要はない。たとえば、携帯電話機1(図1(a)、(b)参照)の側面部に解除ボタン202が配される構成が採られてもよい。
【0138】
また、解除ボタン202の押下を促す通知は、表示面11cに画像(テキスト203)が表示されることに限らず、たとえば解除ボタン202に備えられたキーバックライトを点滅させること等により行われてもよい。
【0139】
上記実施の形態および変更例1〜5において、通知・警報処理に基づき音声出力部から警報音が出力された後、録画は継続する。しかしながら、警報音が出力された後に、録画が停止される構成が採られてもよい。
【0140】
たとえば、上記実施の形態の通知・警報処理(図4)の変更例として、図16に示すフローチャートの如く、警報音の開始(S117)の後、所定の時間(たとえば数秒〜数十秒程度)の間解除ボタン202の押下が検出されなかった場合(S181:YES)、録画が停止(S182)されるよう構成が採られてもよい。録画が停止された後、たとえば、CPU100は、カメラモジュールを停止(S103)し、動画の撮影のための撮影処理(図3)を停止する。CPU100は、録画の停止に伴い、または録画の停止の後の所定のタイミングで、警報音を停止させる。警報音の出力の後に録画が停止されることにより、警報音が無視または隠匿されるような盗撮が懸念される状態における、録画の継続を回避できる。録画を停止させる上記構成は、変更例1〜5へも適用できる。
【0141】
上記実施の形態では、スマートフォン型の携帯電話機に本発明が適用されている。しかしながら、これに限らず、ストレート式、折りたたみ式、スライド式等、他のタイプの携帯電話機に本発明が適用されてもよい。
【0142】
さらに、本発明は、携帯電話機に限られず、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレットPC(TabletPC)等のカメラ機能付き機器に適用可能である。
【0143】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0144】
1 携帯電話機 (カメラ機能付き機器)
11c 表示面 (表示部、表示面)
12 タッチセンサ (操作入力部)
15a スピーカ (音声出力部)
16 カメラモジュール (撮影部)
100 CPU (通知制御部、警報制御部、傾き検出部、録画制御部)
101 メモリ (記憶部、動画記憶部)
108 加速度センサ (傾き検出部)
202 解除ボタン (操作入力部、画像)
V 撮影方向
θ 傾き角
θ1 閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影部を備え、動画を撮影できるカメラ機能付き機器において、
表示部と、
音声を出力するための音声出力部と、
操作入力部と、
前記動画の録画が開始された後の所定のタイミングで、前記音声出力部による警報音の出力を中止するための所定の操作を促す通知を行うよう前記表示部を制御する通知制御部と、
前記通知に応じる前記所定の操作が前記操作入力部を介して入力されない場合、前記警報音を出力するよう前記音声出力部を制御する警報制御部と、を備える、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラ機能付き機器において、
前記警報制御部は、前記警報を継続している間に、前記所定の操作が前記操作入力部を介して入力されると、前記警報を中止するよう前記音声出力部を制御する、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカメラ機能付き機器において、
前記通知制御部は、前記警報が中止された後の所定のタイミングで、前記音声出力部による警報音の出力を中止するための所定の操作を促す通知を再び行うよう前記表示部を制御し、
前記警報制御部は、再びなされた前記通知に応じる前記所定の操作が前記操作入力部を介して入力されない場合、前記警報音を出力するよう前記音声出力部を制御する、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載のカメラ機能付き機器において、
前記録画が通常の前記撮影のために行われると判断される所定の条件を保持する記憶部をさらに備え、
前記通知制御部は、前記所定の条件が満たされると判定した場合、前記通知を中止するよう前記音声出力部を制御する、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項5】
請求項4に記載のカメラ機能付き機器において、
前記警報制御部は、前記警報音の出力を行った後、前記所定の条件が満たされると判定した場合、前記警報を中止するよう前記音声出力部を制御する、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項6】
請求項4または5に記載のカメラ機能付き機器において、
前記動画から人物の顔を検出する顔検出部をさらに備え、
前記所定の条件は、前記顔検出部により前記顔が検出されることを含む、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項7】
請求項4ないし6の何れか一項に記載のカメラ機能付き機器において、
前記撮影部による撮影方向の鉛直方向における傾きを検出する傾き検出部をさらに備え、
前記所定の条件は、前記撮影方向が水平面から上方向に傾く傾き角が所定の閾値を越えることを含む、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載のカメラ機能付き機器において、
前記表示部は、画面を表示可能な表示面を備え、
前記通知制御部は、前記動画を前記表示面に表示するとともに、前記所定の操作を促す画像を、前記表示面に表示された前記動画に重ねて表示する、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか一項に記載のカメラ機能付き機器において、
動画を記憶する動画記憶部に前記動画を録画する録画制御部をさらに備え、
前記録画制御部は、前記音声出力部からの前記警報音の出力の後、前記所定の操作が前記操作入力部を介して入力されない場合、前記録画を停止する、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項10】
撮影部と、
表示部と、
音声を出力するための音声出力部と、
操作入力部とを備え、
動画を撮影できるカメラ機能付き機器のコンピュータに、
前記動画の録画が開始された後の所定のタイミングで、前記音声出力部による警報音の出力を中止するための所定の操作を促す通知を前記表示部に行わせる機能と、
前記通知に応じる前記所定の操作が前記操作入力部を介して入力されない場合、前記警報音を前記音声出力部に出力させる機能と、を付与する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項11】
撮影部と、
表示部と、
音声を出力するための音声出力部と、
操作入力部とを備え、
動画を撮影できるカメラ機能付き機器の盗撮防止方法であって、
前記動画の録画が開始された後の所定のタイミングで、前記音声出力部による警報音の出力を中止するための所定の操作を促す通知を前記表示部に行わせるステップと、
前記通知に応じる前記所定の操作が前記操作入力部を介して入力されない場合、前記警報音を前記音声出力部に出力させるステップと、を含む、
ことを特徴とする盗撮防止方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2013−110718(P2013−110718A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256598(P2011−256598)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】