説明

カメラ洗浄装置

【課題】洗浄水の使用量を低減するとともに、洗浄水の吹き付け時間を短縮する。
【解決手段】エアポンプ10により発生された高圧空気をカメラ14のレンズ14aへ向けて噴射口13bから噴射させる噴射ノズル13と、高圧空気を噴射口13bへと導く高圧空気用通路11aが形成され、タンク20からの洗浄水を高圧空気用通路11a内に合流させる合流ジョイント11と、タンク20と洗浄水用通路11bとの間の流路を開閉する電磁弁12を備える。電磁弁12が開弁状態になると、高圧空気用通路11aを流れる高圧空気に洗浄水が混入され、微粒子化した水粒が噴射口13bから噴射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラのレンズを洗浄するカメラ洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車載カメラの前面のガラスに、高圧空気発生ユニットを用いて発生させた高圧の水を吹き付けるようにして車載カメラの前面のガラスを清浄する装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−171491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された装置のように、水自体を圧縮して車載カメラの前面のガラスに吹き付けるような構成では、水の使用量が多くなるため、頻繁にタンクに洗浄水を補給する必要が生じてしまう。また、車載カメラの前面のガラスに洗浄水が吹き付けられている時間も長くなるため、洗浄により車載カメラの映像が見えなくなってしまう時間が長くなってしまうといった問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みたもので、洗浄水の使用量を低減するとともに、洗浄水の吹き付け時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、高圧空気を発生させる高圧空気発生手段(10、10a〜10f)により発生された高圧空気をカメラ(14)のレンズ(14a)へ向けて噴射口(13b)から噴射させる噴射ノズル(13)と、高圧空気発生手段(10、10a〜10f)により発生された高圧空気を噴射ノズル(13)の噴射口(13b)へと導く高圧空気用通路(11a)が形成され、洗浄水供給手段(20)より供給される洗浄水を高圧空気用通路(11a)内に合流させる合流手段(11)と、洗浄水供給手段(20)と合流手段(11)に形成された高圧空気用通路(11a)との間の洗浄水流路を開閉する開閉手段(12)と、を備え、開閉手段(12)により洗浄水流路が開状態になると、高圧空気用通路(11a)を流れる高圧空気に洗浄水が混入され、微粒子化した水粒が噴射口(13b)から噴射されるようになっていることを特徴としている。
【0007】
上記した構成によれば、開閉手段(12)により洗浄水流路が開状態になると、高圧空気用通路(11a)を流れる高圧空気に洗浄水が混入され、微粒子化した水粒が噴射口(13b)から噴射されるようになっているので、洗浄水の使用量を低減するとともに、洗浄水の吹き付け時間を短縮することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、高圧空気発生手段(10、10a〜10f)に高圧空気の発生を指示する高圧空気発生指示手段(S104)と、高圧空気発生指示手段(S104)により高圧空気の発生が指示された後、開閉手段(12)に洗浄水流路を開状態とするように指示する開状態指示手段(S108)と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、高圧空気の発生が指示された後、開閉手段(12)に洗浄水流路を開状態とするように指示される。すなわち、開閉手段(12)に開弁を指示する前に高圧空気発生手段(10、10a〜10f)に高圧空気の発生を指示するので高圧空気発生手段(10、10a〜10f)で消費される電力を低減することが可能である。また、高圧空気の発生が指示された後、開閉手段(12)に洗浄水流路を開状態とするように指示するので、開閉手段(12)が開弁して微粒子化した水粒が噴射口(13b)から噴射される前に、事前に高圧空気でカメラ(14)のレンズ(14a)に付着した汚れを飛散させることが可能である。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、開状態指示手段(S108)の指示に応じた開閉手段(12)の開閉が終了した後、高圧空気発生手段(10、10a〜10f)に高圧空気の発生の停止を指示する高圧空気停止指示手段(S116)を備えたことを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、開閉手段(12)の開閉が終了した後、高圧空気発生手段(10、10a〜10f)に高圧空気の発生の停止が指示されるので、高圧空気用通路(11a)内に洗浄水が残留しないようにすることができ、次回、高圧空気発生手段(10、10a〜10f)による高圧空気の発生の開始時に、余分な洗浄水が噴射口(13b)から排出されないようにすることが可能である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、開閉手段(12)は、合流手段(11)よりも上方に位置するように配置され、開閉手段(12)の開弁時に、洗浄水供給手段(20)に蓄えられた洗浄水が重力により洗浄水流路内を移動して高圧空気用通路(11a)に流入するようになっていることことを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、開閉手段(12)は、合流手段(11)よりも上方に位置するように配置され、前記開閉手段(12)により前記洗浄水流路が開状態になると、タンク(20)に蓄えられた洗浄水が重力により洗浄水用通路(11b)内を移動して高圧空気用通路(11a)に流入するようになっているので、例えば、ポンプのような、洗浄水供給手段(20)に蓄えられた洗浄水を高圧空気用通路(11a)に流入させるようにするための手段を備える必要がない。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、洗浄水供給手段(20)に蓄えられた洗浄水を開閉手段(12)側に加圧する洗浄水加圧手段(10a)を備えたことを特徴としている。
【0015】
このような構成によれば、洗浄水供給手段(20)に蓄えられた洗浄水を開閉手段(12)側に加圧する洗浄水加圧手段(10a)を備えたので、例えば、洗浄水供給手段(20)および開閉手段(12)を合流手段(11)よりも上方に配置する必要がなく、洗浄水供給手段(20)および前記開閉手段(12)の配置を自由に選択することが可能である。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、高圧空気発生手段(10、10a〜10f)から高圧空気用通路(11a)への高圧空気を分岐する分岐手段(17)を備え、分岐手段(17)により分岐した高圧空気によりタンク(20)に蓄えられた洗浄水を加圧するようになっていることを特徴としている。
【0017】
このような構成によれば、高圧空気発生手段(10、10a〜10f)から高圧空気用通路(11a)への高圧空気を分岐する分岐手段(17)を備え、分岐手段(17)により分岐した高圧空気によりタンク(20)に蓄えられた洗浄水を加圧するようになっているので、新たにタンク(20)に蓄えられた洗浄水を加圧するための高圧空気発生手段(10、10a〜10f)を設けることなく、タンク(20)に蓄えられた洗浄水を加圧することが可能となり、タンク(20)および前記開閉手段(12)の配置を自由に選択することが可能である。
【0018】
また、高圧空気発生手段(10、10a〜10f)は、請求項7に記載の発明のように、電動モータの駆動により空気を圧縮して高圧空気を発生させるエアポンプ(10)により構成することもでき、請求項8に記載の発明のように、電動モータの駆動により空気を圧縮して高圧空気を生成するエアポンプ(10)と、エアポンプ(10)を用いて生成された高圧空気を貯留する高圧空気貯留手段(10c)と、を備え、高圧空気貯留手段(10c)から高圧空気を発生させるように構成することもできる。更に、請求項9に記載の発明のように、高圧空気を封入した交換可能なエアカートリッジ(10e)により構成することもできる。
【0019】
また、洗浄水供給手段は、請求項10に記載の発明のように、洗浄水を封入した交換可能な洗浄水カートリッジ(20a)により構成することができる。
【0020】
また、請求項11に記載の発明は、噴射ノズル(13)は、車両の外部に取り付けられたカメラ(14)のレンズ(14a)へ向けて高圧空気を噴射口(13b)から噴射させるものであることを特徴としている。
【0021】
また、請求項12に記載の発明は、車両の周囲に位置する物体が検出されたか否かを判定する物体検出判定手段(S204、S304)と、物体検出判定手段(S204、S304)により物体が検出されたと判定された場合、洗浄水流路を開状態とすることを禁止する禁止手段(S206)と、を備えたことを特徴としている。
【0022】
このような構成によれば、車両の周囲に位置する物体が検出されたか否かを判定し、物体が検出されたと判定された場合、洗浄水流路を開状態とすることを禁止するので、車両の周囲に位置する人や周辺物に洗浄液がかかることのないようにすることができる。
【0023】
また、請求項13に記載の発明は、洗浄水が凍結する可能性のある状況か否かを判定するための情報を取得して洗浄水が凍結する可能性のある状況か否かを判定する洗浄水凍結可能性判定手段(S208、S308)と、洗浄水凍結可能性判定手段(S208、S308)により洗浄水が凍結する可能性のある状況であると判定された場合、洗浄水が凍結する可能性のない状況と比較して、高圧空気発生手段(10、10a〜10f)より送出される高圧空気の流速を低下させる流速調整手段(S210)と、を備えたことを特徴としている。
【0024】
このような構成によれば、洗浄水が凍結する可能性のある状況か否かを判定するための情報を取得して洗浄水が凍結する可能性のある状況か否かを判定し、洗浄水が凍結する可能性のある状況であると判定された場合、洗浄水が凍結する可能性のない状況と比較して、高圧空気発生手段(10、10a〜10f)より送出される高圧空気の流速を低下させるので、噴射ノズル13より噴射される微粒子化した水粒の大きさを大きくさせて、洗浄面への水粒の凍り付きの防止を図ることができる。
【0025】
また、請求項14に記載の発明は、カメラ(14)は、車両の側部後方を撮影するように車両に取り付けられ、カメラ(14)の撮影画像が車両の側部後方を確認するために車両に備えられた電子ミラーに表示されるシステムに用いられるものであり、車両の方向指示レバーに対する操作に応じて車両の方向指示灯が点滅している状況か否かを判定する方向指示灯判定手段(S212、S312)と、方向指示灯判定手段(S212、S312)により車両の方向指示灯が点滅している状況であると判定された場合、方向指示灯が点滅していないと判定された場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより短くする第1タイミング調整手段(S214)と、を備えたことを特徴としている。
【0026】
このような構成によれば、車両の方向指示レバーに対する操作に応じて車両の方向指示灯が点滅している状況か否かを判定し、車両の方向指示灯が点滅している状況であると判定された場合、方向指示灯が点滅していないと判定された場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより短くするので、右左折時や車線変更時等の方向指示灯が点滅しているような状況における車両の側部後方の視認性を確保することが可能である。
【0027】
また、請求項15に記載の発明は、車両のシフトレバーの操作位置を特定するための情報を取得して車両が後退するか否かを判定する車両後退判定手段(S216、S316)と、車両後退判定手段(S216、S316)により車両が後退すると判定された場合、車両が前進または停車する場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くする第2タイミング調整手段(S218)と、を備えたことを特徴としている。
【0028】
このような構成によれば、車両のシフトレバーの操作位置を特定するための情報を取得して車両が後退するか否かを判定し、車両が後退すると判定された場合、車両が前進または停車する場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くするので、洗浄性を向上することができる。
【0029】
また、請求項16に記載の発明は、車速を特定するための情報を取得して車両の車速が予め定められた閾値以上か否かを判定する車速判定手段(S220)と、車速判定手段(S220)により車両の車速が予め定められた閾値以上であると判定された場合、車両の車速が予め定められた閾値未満と判定された場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くする第2タイミング調整手段(S218)を備えたことを特徴としている。
【0030】
車両の速度が高速になるほど、洗浄面に付着する汚れの量も多くなると考えられるが、このような構成によれば、車速を特定するための情報を取得して車両の車速が予め定められた閾値以上か否かを判定し、車両の車速が予め定められた閾値以上であると判定された場合、車両の車速が予め定められた閾値未満と判定された場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くするので、洗浄性を向上することができる。
【0031】
また、請求項17に記載の発明は、車両のワイパーが作動状態であるか否かを判定するワイパー作動状態判定手段を備え、ワイパー作動状態判定手段により車両のワイパーが作動状態と判定された場合、車両のワイパーが停止状態と判定された場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くする第2タイミング調整手段(S218)と、を備えたことを特徴としている。
【0032】
ワイパーが作動状態のような状況は、悪天候で洗浄面に付着する汚れの量も多くなると考えられるが、このような構成によれば、車両のワイパーが作動状態であるか否かを判定するワイパー作動状態判定手段を備え、ワイパー作動状態判定手段により車両のワイパーが作動状態と判定された場合、車両のワイパーが停止状態と判定された場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くするので、ワイパーが作動状態のような状況における洗浄性を向上することができる。
【0033】
また、請求項18に記載の発明は、車両の現在位置を特定するための情報を取得して車両が寒冷地に位置するか否かを判定する寒冷地判定手段と、寒冷地判定手段により車両が寒冷地に位置すると判定された場合、車両が寒冷地以外に位置すると判定された場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くする第2タイミング調整手段(S218)と、を備えたことを特徴としている。
【0034】
寒冷地では、道路上に融雪剤を散布する頻度が高く、車両走行時に融雪剤が洗浄面に付着する可能性が高いが、このような構成によれば、車両の現在位置を特定するための情報を取得して車両が寒冷地に位置するか否かを判定し、車両が寒冷地に位置すると判定された場合、車両が寒冷地以外に位置すると判定された場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くするので、車両が寒冷地に位置する場合における洗浄性を向上することができる。
【0035】
また、請求項19に記載の発明は、カメラ(14)のレンズ(14a)の汚れの量が基準値以上であるか否かを判定する汚れ量判定手段(S318)と、汚れ量判定手段(S318)により汚れの量が基準値以上であると判定された場合、汚れの量が基準値未満と判定された場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くする第3タイミング調整手段(S316)と、を備えたことを特徴としている。
【0036】
このような構成によれば、カメラ(14)のレンズ(14a)の汚れの量が基準値以上であるか否かを判定し、汚れの量が基準値以上であると判定された場合、汚れの量が基準値未満と判定された場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くするので、汚れの量が多い場合には洗浄性を高め、汚れの量が少ない場合には、洗浄水を無駄に使用しないようにすることができる。
【0037】
また、請求項20に記載の発明は、カメラ(14)のレンズ(14a)の汚れの主因が泥または融雪剤であるか、水滴であるかを判定する汚れ種別判定手段を備え、汚れ種別判定手段により汚れの主因が泥または融雪剤であると判定された場合、汚れの主因が水滴であると判定された場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くする第3タイミング調整手段(S318)とを備えたことを特徴としている。
【0038】
このような構成によれば、カメラ(14)のレンズ(14a)の汚れの主因が泥または融雪剤であるか、水滴であるかを判定し、汚れの主因が泥または融雪剤であると判定された場合、汚れの主因が水滴であると判定された場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くするので、汚れの主因が汚れの落ちにくい泥または融雪剤の場合には洗浄性を向上し、汚れの主因が水滴の場合には、洗浄水を無駄に使用しないようにすることができる。
【0039】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態に係るカメラ洗浄装置の全体構成を示す図である。
【図2】噴射ノズルの外観図である。
【図3】合流ジョイントおよび電磁弁を模式的に示した図である。
【図4】噴射ノズルの概略断面構成を示した図である。
【図5】カメラ洗浄装置のブロック構成図である。
【図6】制御部のフローチャートである。
【図7】第1実施形態に係るカメラ洗浄装置の洗浄スイッチ、エアポンプおよび電磁弁のタイミングチャートである。
【図8】バックカメラのレンズに水滴を付着させた場合の洗浄性の評価結果について説明するための図である。
【図9】バックカメラのレンズに泥塩水を塗布した場合の洗浄性の評価結果について説明するための図である。
【図10】バックカメラのレンズに泥塩水を塗布した場合の洗浄率の評価結果について説明するための図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係るカメラ洗浄装置の全体構成を示す図である。
【図12】第2実施形態に係るカメラ洗浄装置の洗浄スイッチ、エアポンプおよび電磁弁のタイミングチャートである。
【図13】本発明の第3実施形態に係るカメラ洗浄装置の全体構成を示す図である。
【図14】第3実施形態に係るカメラ洗浄装置の洗浄スイッチ、エアポンプおよび電磁弁のタイミングチャートである。
【図15】第4実施形態に係るカメラ洗浄装置の全体構成を示す図である。
【図16】カメラ洗浄装置に入力される車両信号と洗浄動作について説明するための図である。
【図17】第4実施形態に係るカメラ洗浄装置の制御部のフローチャートである。
【図18】第4実施形態に係るカメラ洗浄装置の制御部のフローチャートである。
【図19】第4実施形態に係るカメラ洗浄装置の制御部のフローチャートである。
【図20】変形例について説明するための図である。
【図21】変形例について説明するための図である。
【図22】変形例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るカメラ洗浄装置の全体構成を図1に示す。本車載カメラ洗浄装置は、エアポンプ10、合流ジョイント11、電磁弁12、噴射ノズル13および配管18a、18bを備えている。なお、噴射ノズル13には、後述するバックカメラ14(図2に示す)が内蔵されている。また、電磁弁12には、洗浄水を蓄えるタンク20が接続されている。本カメラ洗浄装置およびタンク20は、車両の後部に搭載され、車両の後方を撮影するバックカメラ14のレンズを洗浄する車載カメラ洗浄装置として構成されている。
【0042】
エアポンプ10は、直流モータおよび当該直流モータを駆動する駆動回路を有し、後述する制御部からの信号に応じて直流モータを回転させて高圧空気を発生させる。エアポンプ10と合流ジョイント11の間は、配管18aを介して接続されている。エアポンプ10が作動を開始すると、配管18を介して合流ジョイント11へ高圧空気が送出される。
【0043】
また、タンク20と電磁弁12との間、および、電磁弁12と合流ジョイント11との間は、それぞれ配管18bを介して接続されている。
【0044】
電磁弁12は、タンク20と合流ジョイント11との間の流路を開閉するためのものである。電磁弁12は、電磁石の磁力を用いてプランジャと呼ばれる鉄片を動かすことで弁を開閉するようになっている。
【0045】
合流ジョイント11は、エアポンプ10により発生された高圧空気と、電磁弁12を介して供給されるタンク20に蓄えられた洗浄水を合流させて噴射ノズル13へ排出する。合流ジョイント11からの高圧空気に、タンク20に蓄えられた洗浄水が合流すると微粒子化した水粒が噴射ノズル13へと排出される。
【0046】
噴射ノズル13は、合流ジョイント11より排出される高圧空気または水粒をバックカメラのレンズへ向けて噴射口から噴射させる。
【0047】
図2に、噴射ノズル13の外観図を示す。上述したように、本実施形態における噴射ノズル13は、バックカメラ14を内蔵した構成となっている。噴射ノズル13には、合流ジョイント11からの水粒を入れる取入口13aとバックカメラ14のレンズ14aへ向けて高圧空気と洗浄水を合流させて微粒子化した水粒を噴射する噴射口13bが形成されている。
【0048】
図3に、合流ジョイント11および電磁弁12を模式的に示す。(a)は、電磁弁12が閉じた状態を示した図で、(b)は、電磁弁12が開いた状態を示した図である。
【0049】
合流ジョイント11は、エアポンプ10から配管18を介して流入される高圧空気を噴射ノズル13へと導く高圧空気用通路11aと、電磁弁12を介してタンク20より供給される洗浄水を高圧空気用通路11aへと導く洗浄水用通路11bとを有している。
【0050】
高圧空気用通路11aに高圧空気が流れている状態で、電磁弁12が開弁状態になると、高圧空気用通路11aを流れる高圧空気に洗浄水用通路11bを介して洗浄水が混入され、微粒子化した水粒が噴射ノズル13に排出される。そして、微粒子化した水粒が噴射ノズル13の噴射口13bからバックカメラ14のレンズ14aへ向けて噴射されるようになっている。
【0051】
図4に、噴射ノズル13の概略断面構成を示す。図に示すように、バックカメラ14のレンズ14aに対し、一定角度(例えば、10度)をなして噴射口13bから水粒が噴射されるように噴射ノズル13は形成されている。
【0052】
図5に、本カメラ洗浄装置のブロック構成を示す。本カメラ洗浄装置は、エアポンプ10、電磁弁12、バックカメラ14、洗浄スイッチ16および制御部15を備えている。
【0053】
洗浄スイッチ16は、乗員がバックカメラ14のレンズ14aの洗浄を指示するためのもので、乗員の操作に応じた信号を制御部15へ出力する。
【0054】
表示部30は、液晶等のディスプレイを有し、当該ディスプレイにバックカメラ14により撮影された映像信号に応じた映像を表示させる。
【0055】
本実施形態において、バックカメラ14の映像信号は表示部30だけでなく、制御部15にも入力されるようになっている。
【0056】
制御部15は、CPU、RAM、ROM、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはROMに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。制御部15は、バックカメラ14の映像信号に基づく映像に被写体が映っているか否かに基づいてバックカメラ14のレンズ14aが汚れているか否かを検出するようになっている。
【0057】
図6に、制御部15のフローチャートを示す。また、図7に、洗浄スイッチ16、エアポンプ10および電磁弁12のタイミングチャートを示す。乗員の操作に応じて車両のイグニッションスイッチがオン状態となると、制御部15は、予め定められた初期化処理を実施し、図6に示す処理を定期的に実施する。
【0058】
まず、洗浄スイッチ16がオン状態となったか否かを判定する(S100)。洗浄スイッチ16がオン状態となっていない場合、バックカメラ14のレンズ面の汚れが検出されたか否かを判定する(S102)。なお、バックカメラ14のレンズ14aの汚れが検出されたか否かの判定は、バックカメラ14の映像信号に基づく映像に被写体が映っているか否かに基づいて判定することができる。
【0059】
ここで、バックカメラ14のレンズ面の汚れが検出されていない場合、S102の判定はNOとなり、バックカメラ14のレンズ14aの洗浄を実施することなく、本処理を終了する。
【0060】
また、図7に示すように、乗員の操作に応じて洗浄スイッチ16がオン状態となった場合、あるいは、バックカメラ14のレンズ面の汚れが検出された場合、エアポンプ10にオンするように指示する(S104)。この指示に応じてエアポンプ10は作動を開始し、エアポンプ10で発生した高圧空気が合流ジョイント11の高圧空気用通路11aを介して噴射ノズル13の噴射口13bからバックカメラ14のレンズ14aへ向けて噴射される。
【0061】
このように、高圧空気を噴射することにより、バックカメラ14のレンズ14aに付着した砂埃等を事前に除去することが可能である。
【0062】
次に、エアポンプ10にオンするように指示してから第1の期間(ΔT期間)が経過したか否かを判定する(S106)。
【0063】
エアポンプ10にオンするように指示してから第1の期間(ΔT期間)が経過していない場合、S106の判定はNOとなり、S106の判定を繰り返し実施する。そして、エアポンプ10にオンするように指示してから第1の期間(ΔT期間)が経過すると、S106の判定はYESとなり、次に、電磁弁12を開弁するように指示する(S108)。この指示に応じて電磁弁12が閉弁状態から開弁状態になると、高圧空気用通路11aを流れる高圧空気に洗浄水用通路11bを介して洗浄水が混入され、微粒子化した水粒が噴射ノズル13に排出される。そして、微粒子化した水粒が噴射ノズル13の噴射口13bからバックカメラ14のレンズ14aへ向けて噴射される。
【0064】
このように、高圧空気用通路11aを流れる高圧空気に洗浄水用通路11bを介して洗浄水が混入され、微粒子化した水粒が噴射ノズル13の噴射口13bからバックカメラ14のレンズ14aへ向けて噴射されるので、例えば、洗浄水自体を圧縮する構成と比較して、洗浄水の使用量を低減するとともに、洗浄水の吹き付け時間を短縮することができる。
【0065】
次に、電磁弁12を開弁するように指示してから第2の期間(T2期間)が経過したか否かを判定する(S110)。電磁弁12を開弁するように指示してから第2の期間(T2期間)が経過していない場合、S110の判定はNOとなり、S110の判定を繰り返し実施する。そして、電磁弁12を開弁するように指示してから第2の期間(T2期間)が経過すると、S110の判定はYESとなり、次に、電磁弁12を閉弁するように指示する(S112)。この指示に応じて電磁弁12が開弁状態から閉弁状態になると、高圧空気用通路11aを流れる高圧空気に洗浄水用通路11bを介して洗浄水が混入されなくなるため、高圧空気が噴射ノズル13の噴射口13bからバックカメラ14のレンズ14aへ向けて噴射される。
【0066】
次に、エアポンプ10にオンするように指示してから第3の期間(T1期間)が経過したか否かを判定する(S114)。なお、第1の期間(ΔT)、第2の期間(T2)および第3の期間(T1)の関係は、図7に示すように、T1>ΔT+T2となっている。
【0067】
エアポンプ10にオンするように指示してから第3の期間(T1期間)が経過していない場合、S114の判定はNOとなり、S114の判定を繰り返し実施する。そして、エアポンプ10にオンするように指示してから第3の期間(T1期間)が経過すると、S114の判定はYESとなり、次に、エアポンプ10にオフするように指示し(S116)、本処理を終了する。なお、この指示に応じてエアポンプ10が作動を停止すると、合流ジョイント11の高圧空気用通路11aに高圧空気が流れなくなり、噴射ノズル13の噴射口13bから何も排出されなくなる。
【0068】
このように、電磁弁12を閉弁するように指示した後に、エアポンプ10にオフするように指示することで、合流ジョイント11内に洗浄水が残留しないようにしている。このようにすることで、洗浄水を無駄に使用しないようにするとともに、洗浄を終了した後に噴射ノズル13から排出されないようにすることができる。
【0069】
図8に、バックカメラ14のレンズ14aに水滴を付着させた場合の洗浄性の評価結果を示す。この図中、レンズ14aの領域を点線の円で表している。この図中の風量は、高圧空気の空気流れの風量を表しており、1.7ミリリットル(ml)/秒(s)、2.0ミリリットル(ml)/秒(s)、2.3ミリリットル(ml)/秒(s)の3段階で条件を変更している。また、噴射時間は、電磁弁12を開弁した期間(T2)を表しており、0.1秒(s)、0.3秒(s)、0.5秒(s)の3段階で条件を変更している。
【0070】
風量および噴射時間に関わらず、レンズ14aの領域のほぼ全域の水滴が除去されていることが確認された。特に、噴射時間が0.1秒でもレンズ14aの領域のほぼ全域の水滴を除去することが可能であることが確認できた。
【0071】
また、洗浄水自体を圧縮してレンズ14aに噴射する構成では、1〜3秒程度の洗浄時間を要していたのと比較して、噴射時間が大幅に低減されている。また、1回の洗浄で使用される洗浄液量(噴射液量)も大幅に低減されている。
【0072】
図9に、バックカメラ14のレンズ14aに泥塩水を塗布した場合の洗浄性の評価結果を示す。この図9中においても、レンズ14aの領域を点線の円で表している。また、図中の風量は、高圧空気の空気流れの風量を表しており、噴射時間は、電磁弁12を開弁した期間(T2)を表している。
【0073】
風量および噴射時間によって多少ばらつきはあるものの、レンズ14aの領域の大部分の泥塩水が除去されていることが確認できる。
【0074】
また、図9に示した泥塩水を塗布した場合の洗浄率の評価結果を図10に示す。ここで、洗浄率は、レンズ14aの領域に特定波長の光を照射したときの透過率から求められる。具体的には、洗浄前の光の透過率に対する洗浄後の光の透過率の比率を洗浄率として洗浄率を算出している。
【0075】
図10に示すように、噴射時間を0.1秒(s)とした場合、洗浄率は50%程度にとどまるが、噴射時間を0.3秒(s)とした場合には、洗浄率は70%〜80%程度となり、噴射時間を0.5秒(s)とした場合には、洗浄率は80%以上となっている。
【0076】
なお、カメラ影像の見栄えから洗浄率は70%以上であることが好ましいことが確認された。すなわち、噴射時間を0.3秒(s)〜0.5秒(s)とすることで、効果的な洗浄が実現可能である。噴射時間が0.3秒(s)〜0.5秒(s)であるということは、カメラ影像を見ている人にとってほとんど気にならない時間であり、短時間で効果的な洗浄が実現可能である。
【0077】
上記した構成によれば、電磁弁12により洗浄水流路が開状態になると、高圧空気用通路11aを流れる高圧空気に洗浄水流路(洗浄水用通路11b)を介して洗浄水が混入され、微粒子化した水粒が噴射口13bから噴射されるようになっているので、洗浄水の使用量を低減するとともに、洗浄水の吹き付け時間を短縮することができる。
【0078】
また、高圧空気の発生が指示された後、電磁弁12に開弁が指示される。すなわち、電磁弁12に開弁を指示する前に、高圧空気の発生を指示するのでエアポンプ10で消費される電力を低減することが可能である。また、高圧空気の発生が指示された後、電磁弁12に開弁を指示するので、電磁弁12が開弁して微粒子化した水粒が噴射口13bから噴射される前に、事前に高圧空気でカメラ14のレンズ14aに付着した汚れを飛散させることが可能である。
【0079】
また、電磁弁12の開閉が終了した後、エアポンプ10に高圧空気の発生の停止が指示されるので、高圧空気用通路11a内に洗浄水が残留しないようにすることができ、次回、エアポンプ10による高圧空気の発生の開始時に、余分な洗浄水が噴射口13bから排出されないようにすることが可能である。
【0080】
また、電磁弁12は、合流ジョイント11よりも上方に位置するように配置され、電磁弁12の開弁時に、タンク20に蓄えられた洗浄水が重力により洗浄水用通路11b内を移動して高圧空気用通路11aに流入するようになっているので、例えば、ポンプのような、タンク20に蓄えられた洗浄水を高圧空気用通路11aに流入させるようにするための手段を備える必要がない。
【0081】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係るカメラ洗浄装置の全体構成を図11に示す。なお、上記第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下、異なる部分を中心に説明する。上記第1実施形態では、洗浄水を蓄えるタンク20が電磁弁12よりも上部に配置されているので、重力により洗浄水が洗浄水用通路内を移動して高圧空気用通路に流入するようになるが、本実施形態では、新たにタンク20に蓄えられた洗浄水を電磁弁12側に加圧するためのエアポンプ10aを備えている。このエアポンプ10aにより、例えば、タンク20および電磁弁12を合流ジョイント11よりも上方に配置する必要がなく、タンク20および電磁弁12の配置を自由に選択することが可能である。
【0082】
図12に、本実施形態における洗浄スイッチ16、エアポンプ10、エアポンプ11aおよび電磁弁12のタイミングチャートを示す。図に示すように、洗浄スイッチ16がオン状態になった後、エアポンプ10が作動を開始し、次に、エアポンプ10aが作動を開始し、電磁弁12を閉弁状態から開弁状態にする。そして、予め定められた期間が経過すると、電磁弁12を開弁状態から閉弁状態にし、エアポンプ10aの作動を停止させた後、エアポンプ10の作動を停止させる。
【0083】
このように、エアポンプ10が作動を開始している期間中にエアポンプ10aを作動状態とし、エアポンプ10aが作動を開始している期間中に電磁弁12を開閉させるのが好ましい。
【0084】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係るカメラ洗浄装置の全体構成を図13に示す。上記第1実施形態では、洗浄水を蓄えるタンク20が電磁弁12よりも上部に配置されているので、重力により洗浄水が洗浄水用通路内を移動して高圧空気用通路に流入するようになるが、本実施形態では、エアポンプ10から高圧空気用通路11aへの高圧空気を分岐する分岐ジョイント17を備え、この分岐ジョイント17により分岐した高圧空気によりタンク20に蓄えられた洗浄水を加圧するようになっている。このような構成とすることにより、新たにタンク20に蓄えられた洗浄水を加圧するためのポンプを設けることなく、タンク20に蓄えられた洗浄水を加圧することが可能となり、タンク20および電磁弁12の配置を自由に選択することが可能である。
【0085】
図14に、本実施形態における洗浄スイッチ16、エアポンプ10、エアポンプ11aおよび電磁弁12のタイミングチャートを示す。図に示すように、洗浄スイッチ16がオン状態になった後、エアポンプ10が作動を開始し、次に、電磁弁12を閉弁状態から開弁状態にする。そして、予め定められた期間が経過すると、電磁弁12を開弁状態から閉弁状態にし、エアポンプ10の作動を停止させる。このように、エアポンプ10が作動を開始している期間中に電磁弁12を開閉させるのが好ましい。
【0086】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係るカメラ洗浄装置の全体構成を図15に示す。本車載カメラ洗浄装置の制御部15には、車両信号として、ソナー信号、外気温信号、ウィンカ信号、シフトR信号、車速信号、ワイパー信号および位置情報が入力されるようになっている。
【0087】
また、本実施形態における車両の左右の側部後方を確認するミラーは、鏡面式のものではなく、電子ミラーと呼ばれる電子式のものが用いられている。具体的には、車両には、車両の左側部後方と右側部後方を撮影する2つの電子ミラー用カメラ14aが取り付けられ、これらの電子ミラー用カメラ14aの撮影画像を、車両の側部後方を確認するために車両に備えられた電子ミラーにそれぞれ表示させる電子ミラーシステムが搭載されている。
【0088】
本実施形態におけるカメラ洗浄装置は、バックカメラ14と2つの電子ミラー用カメラ14aの合計3つのカメラの洗浄を行う3つの噴射ノズル13を有しており、これらの噴射ノズル13を用いて各カメラの洗浄面の洗浄を行う。
【0089】
また、本実施形態におけるカメラ洗浄装置は、ソナー信号、外気温信号、ウィンカ信号、シフトR信号、車速信号、ワイパー信号、位置情報等の車両信号を利用して、各状況に適した洗浄動作を行う。具体的には、図16に示すように、エアポンプ10の流量、エアポンプ10の駆動時間T1、電磁弁12を開弁する時間T2を調整する。
【0090】
ソナー信号は、車両の周囲に物体があるか否かを判定するための信号であり、車両の周囲を監視する車両周辺監視用ソナーシステム(図示せず)より入力される。本実施形態では、周囲の人や周辺物に洗浄液がかかることのないように、ソナー信号に基づいて車両の周囲に物体があるか否かを判定し、車両の周囲に物体があると判定した場合、洗浄動作を禁止する。
【0091】
外気温信号は、洗浄水の凍結可能性があるか否かを判定するための信号であり、外気温センサ(図示せず)より入力される。本実施形態では、外気温が低い場合における、噴射ノズル13より噴射される微粒子化した水粒の洗浄面への凍り付きの防止を図るため、外気温信号に基づいて洗浄水の凍結可能性があるか否かを判定し、洗浄水の凍結可能性があると判定された場合、エアポンプ10に印加する電圧を低くして、高圧空気の流速を低下させる。このように、高圧空気の流速を低下させることにより、噴射ノズル13より噴射される微粒子化した水粒の大きさを大きくさせ、洗浄面への水粒の凍り付きの防止を図るようにする。また、更に、エアポンプ10の駆動時間T1と、電磁弁12を開弁する時間T2を長くして洗浄面への水粒の凍り付きの防止を図るようにする。
【0092】
ウィンカ信号は、車両の右左折を表す方向指示灯を点滅させるための信号である。上述した電子ミラーシステムを搭載した車両では、右左折時や車線変更時等の方向指示灯が点滅しているような状況では、運転者が電子ミラーを視認する可能性が高く、このような状況で電子ミラー用カメラ14aへの水粒の噴射時間が長時間に及ぶと視認性が著しく阻害される。このため、本実施形態では、ウィンカ信号に基づいて車両の方向指示灯が点滅している状況か否かを判定し、方向指示灯が点滅している状況であると判定された場合、方向指示灯が点滅していない場合と比較して、電磁弁12を開弁する時間T2をより短くして洗浄時間を短くする。また、エアポンプ10の流量と、エアポンプ10の駆動時間T1は、視認性に影響しないため、エアポンプ10の流量を高くするとともに、エアポンプ10の駆動時間T1も長くする。
【0093】
シフトR信号は、車両のシフトレバーの位置(ドライブ、セカンド、ロー、ニュートラル、リバース、パーキング等)がリバースであることを表す信号である。車両が後進する場合の車速は前進する場合と比較して低速であるため、短時間で洗浄するよりもより確実に洗浄することが重要である。このため、本実施形態では、シフトR信号に基づいて車両が後進しているか否かを判定し、車両が後進していると判定した場合、電磁弁12を開弁する時間T2をより長くして洗浄時間を長くする。このとき、更に、エアポンプ10の流量を高くするとともに、エアポンプ10の駆動時間T1も長くする。
【0094】
車速信号は、車両の車速を特定するための信号であり、車速センサより入力される。車両の速度が高速になるほど、洗浄面に付着する汚れの量も多くなると考えられる。このため、本実施形態では、車速信号に基づいて車両の車速が予め定められた閾値以上であると判定された場合、車両の車速が予め定められた閾値未満と判定された場合と比較して、電磁弁12を開弁する時間T2をより長くして洗浄時間を長くする。このとき、更に、エアポンプ10の流量を高くするとともに、エアポンプ10の駆動時間T1も長くする。
【0095】
ワイパー信号は、ワイパーが作動状態であるか否かを判定するための信号である。ワイパーが作動状態のような状況は、悪天候で洗浄面に付着する汚れの量も多くなると考えられる。このため、本実施形態では、ワイパー信号に基づいてワイパーが作動状態であるか否かを判定し、ワイパーが作動状態であると判定された場合、車両の車速が予め定められた閾値未満と判定された場合と比較して、電磁弁12を開弁する時間T2をより長くして洗浄時間を長くする。このとき、更に、エアポンプ10の流量を高くするとともに、エアポンプ10の駆動時間T1も長くする。
【0096】
位置情報は、車両の現在位置を特定するための情報(緯度経度情報)であり、ナビゲーション装置(図示せず)より入力される。本実施形態における位置情報には、寒冷地に属する地域を規定した寒冷地情報が含まれる。寒冷地では、道路上に融雪剤を散布する頻度が高く、車両走行時に融雪剤が洗浄面に付着する可能性が高い。このため、本実施形態では、位置情報に含まれる車両の現在位置と寒冷地情報に基づいて車両の位置が寒冷地であるか否かを判定し、車両の現在位置と寒冷地情報に基づいて車両の位置が寒冷地であると判定された場合、車両の位置が寒冷地以外と判定された場合と比較して、電磁弁12を開弁する時間T2をより長くして洗浄時間を長くする。このとき、更に、エアポンプ10の流量を高くするとともに、エアポンプ10の駆動時間T1も長くする。
【0097】
また、本実施形態における制御部15は、バックカメラ15の撮影画像に含まれる対象物を認識する画像認識機能を有している。この画像認識機能により、洗浄面の汚れ情報を特定する。汚れ情報には、洗浄面の汚れの付着量および汚れの種類(泥、融雪剤、水滴)が含まれる。このとき、更に、エアポンプ10の流量を高くするとともに、エアポンプ10の駆動時間T1も長くする。
【0098】
本実施形態では、洗浄面の汚れの付着量が多いか否かを判定し、洗浄面の汚れの付着量が基準値以上の場合には、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くする。また、汚れの種類が泥または融雪剤か否かを判定し、汚れの種類が泥または融雪剤であると判定した場合には、電磁弁12を開弁する時間T2をより長くして洗浄時間を長くする。このとき、更に、エアポンプ10の流量を高くするとともに、エアポンプ10の駆動時間T1も長くする。
【0099】
図17〜図19に、本実施形態に係る制御部15のフローチャートを示す。なお、図17に示すフローチャートは、図6に示したフローチャートと比較して、S200の第1タイミング・流速調整処理と、S300の第2タイミング・流速調整処理を追加した点が異なる。また、図18は、図17中の第1タイミング・流速調整処理(S200)であり、図19は、図17中の第2タイミング・流速調整処理(S300)である。
【0100】
乗員の操作に応じて車両のイグニッションスイッチがオン状態となると、制御部15は、予め定められた初期化処理を実施し、図17に示す処理を定期的に実施する。
【0101】
まず、洗浄スイッチ16がオン状態となったか否かを判定する(S100)。洗浄スイッチ16がオン状態となっている場合、S100の判定はYESとなり、第1タイミング・流速調整処理(S200)を実施する。
【0102】
図18に示すように、この第1タイミング・流速調整処理では、まず、情報を取得する(S202)。具体的には、ソナー信号、外気温信号、ウィンカ信号、シフトR信号、車速信号、ワイパー信号、位置情報を取得する。
【0103】
次に、ソナー信号に基づいて車両の周囲に物体があるか否かを判定する(S204)。ここで、例えば、歩行者など、車両の周囲に物体があると判定された場合、S204の判定はYESとなり、電磁弁12のオンを禁止し(S206)、車両の周囲に物体が検出されたため洗浄を実施できない旨の表示を表示部30に表示させ、本処理を終了する。したがって、周囲の人や周辺物に洗浄液がかかることのないようにすることができる。
【0104】
また、車両の周囲に物体がない場合、S204の判定はNOとなり、次に、外気温信号に基づいて外気温が洗浄液が凍結する可能性のある凍結温度(例えば、2℃)以下であるかを判定する(S208)。ここで、外気温が凍結温度以下となっている場合、S208の判定はYESとなり、エアポンプ10の駆動時間T1と、電磁弁12を開弁する時間T2をそれぞれ基準値よりも長くするとともに、エアポンプ10に印加する電圧を低くして、高圧空気の流速を基準値よりも低下させるように調整し(S210)、S104へ進む。これにより、洗浄面への水粒の凍り付きの防止が図られる。
【0105】
また、外気温が凍結温度以下となっていない場合、S208の判定はNOとなり、次に、ウィンカ信号に基づいて車両の方向指示灯が点滅している状況か否かを判定する(S212)。ここで、方向指示灯が点滅している場合、S212の判定はYESとなり、エアポンプ10の駆動時間T1を基準値よりも長くするとともに、電磁弁12を開弁する時間T2をそれぞれ基準値よりも短くする。更に、エアポンプ10に印加する電圧を高くして、高圧空気の流速を基準値よりも増加させるように調整する(S214)。ただし、ここでは、バックカメラ14に対する洗浄には適用せず、電子ミラー用カメラ14aに対する洗浄に適用する。これにより、洗浄時間が短縮され、視認性を向上することができる。
【0106】
また、方向指示灯が点滅していない場合、S212の判定はNOとなり、次に、シフトR信号に基づいて車両が後進しているか否かを判定する(S216)。ここで、車両のシフトレバーの位置がリバースとなっている場合、S216の判定はYESとなり、エアポンプ10の駆動時間T1と電磁弁12を開弁する時間T2をそれぞれ基準値よりも長くする。更に、エアポンプ10に印加する電圧を高くして、高圧空気の流速を基準値よりも増加させるように調整する(S216)。これにより、洗浄時間が長くなり、洗浄性を向上することができる。
【0107】
また、車両のシフトレバーの位置がリバースとなっていない場合、S216の判定はNOとなり、次に、車速信号に基づいて車両の車速が閾値以上であるか否かを判定する(S220)。ここで、車両の車速が閾値以上となっている場合、S220の判定はYESとなり、S216へ進む。これにより、洗浄時間が長くなり、洗浄性を向上することができる。
【0108】
また、車両の車速が閾値未満となっている場合、S220の判定はNOとなり、次に、ワイパー信号に基づいてワイパーが作動状態であるか否かを判定する(S222)。ここで、ワイパーが作動状態の場合、S222の判定はYESとなり、S218へ進む。これにより、洗浄時間が長くなり、洗浄性を向上することができる。
【0109】
また、ワイパーが作動状態でない場合、S222の判定はNOとなり、次に、位置情報に含まれる車両の現在位置と寒冷地情報に基づいて車両の位置が寒冷地となっているか否かを判定する(S224)。ここで、車両の位置が寒冷地となっている場合、S224の判定はYESとなり、S218へ進む。これにより、洗浄時間が長くなり、洗浄性を向上することができる。
【0110】
また、車両の位置が寒冷地となっていない場合、S222の判定はNOとなり、S218へ進むことなく、S104へ進む。
【0111】
したがって、S214にて車両のシフトレバーの位置がリバースとなっていると判定された場合、S218にて車両の車速が閾値以上であると判定された場合、S220にてワイパーが作動状態であると判定された場合、S222にて車両の位置が寒冷地となっていると判定された場合には、S216にて、エアポンプ10の駆動時間T1と電磁弁12を開弁する時間T2がそれぞれ基準値よりも長くなるように調整され、洗浄性を向上することができる。また、更に、エアポンプ10に印加する電圧を高くして、高圧空気の流速を基準値よりも増加させるので、更に、洗浄性を向上することができる。
【0112】
図17の説明に戻り、洗浄スイッチ16がオン状態となっていない場合、S100の判定はNOとなり、次に、バックカメラ14のレンズ面の汚れが検出されたか否かを判定する(S102)。ここで、バックカメラ14のレンズ面の汚れが検出されていない場合、S102の判定はNOとなり、バックカメラ14のレンズ14aの洗浄を実施することなく、本処理を終了する。
【0113】
また、バックカメラ14のレンズ面の汚れが検出された場合、S102の判定はYESとなり、第2タイミング・流速調整処理(S300)を実施する。第2タイミング・流速調整処理(S300)と第1タイミング・流速調整処理(S200)を比較すると、第2タイミング・流速調整処理(S300)におけるS316の判定以降の処理が異なる。以下、異なる部分を中心に説明する。
【0114】
すなわち、シフトR信号に基づいて車両が後進しているか否かを判定し(S316)、車両のシフトレバーの位置がリバースとなっている場合、S316の判定はYESとなり、エアポンプ10の駆動時間T1と電磁弁12を開弁する時間T2をそれぞれ基準値よりも長くする。更に、エアポンプ10に印加する電圧を高くして、高圧空気の流速を基準値よりも増加させるように調整する(S318)。これにより、洗浄性を向上することができる。
【0115】
また、車両のシフトレバーの位置がリバースとなっていない場合、次に、汚れ情報に含まれる汚れの量が基準値以上か否かを判定する(S320)。ここで、洗浄面の汚れの付着量が基準値以上となっている場合、S320の判定はYESとなり、S318へ進む。これにより、洗浄性を向上することができる。
【0116】
また、汚れ情報に含まれる汚れの量が基準値未満となっている場合は、S320の判定はNOとなり、次に、汚れの主因が泥または融雪剤か否かを判定する(S322)。ここで、汚れの主因が泥または融雪剤となっている場合、S322の判定はYESとなり、S316へ進む。これにより、洗浄性を向上することができる。
【0117】
したがって、洗浄面の汚れの付着量が基準値以上となっている場合、あるいは、洗浄面の汚れの付着量が基準値未満となっている場合でも、汚れの主因が泥または融雪剤となっている場合には、S316にて、エアポンプ10の駆動時間T1と電磁弁12を開弁する時間T2がそれぞれ基準値よりも長くなるように調整され、洗浄性を向上することができる。また、更に、エアポンプ10に印加する電圧を高くして、高圧空気の流速を基準値よりも増加させるので、更に、洗浄性を向上することができる。
【0118】
上記した構成によれば、車両の周囲に位置する物体が検出されたか否かを判定し、物体が検出されたと判定された場合、洗浄水流路を開状態とすることを禁止するので、車両の周囲に位置する人や周辺物に洗浄液がかかることのないようにすることができる。
【0119】
また、洗浄水が凍結する可能性のある状況か否かを判定し、洗浄水が凍結する可能性のある状況であると判定された場合、洗浄水が凍結する可能性のない状況と比較して、エアポンプ10より送出される高圧空気の流速を低下させるので、噴射ノズル13より噴射される微粒子化した水粒の大きさを大きくさせて、洗浄面への水粒の凍り付きの防止を図ることができる。
【0120】
また、カメラ14は、車両の側部後方を撮影するように車両に取り付けられ、カメラ14の撮影画像が車両の側部後方を確認するために車両に備えられた電子ミラーに表示されるシステムに用いられるものであり、ウィンカ信号に基づいて車両の方向指示灯が点滅している状況か否かを判定し、車両の方向指示灯が点滅している状況であると判定された場合、方向指示灯が点滅していないと判定された場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより短くするので、右左折時や車線変更時等の方向指示灯が点滅しているような状況における車両の側部後方の視認性を確保することが可能である。
【0121】
また、上記した構成によれば、車両のシフトレバーの操作位置を特定するための情報を取得して車両が後退するか否かを判定し、車両が後退すると判定された場合、車両が前進または停車する場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くするので、洗浄性を向上することができる。
【0122】
また、車両の速度が高速になるほど、洗浄面に付着する汚れの量も多くなると考えられるが、上記した構成によれば、車速を特定するための情報を取得して車両の車速が予め定められた閾値以上か否かを判定し、車両の車速が予め定められた閾値以上であると判定された場合、車両の車速が予め定められた閾値未満と判定された場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くするので、高速走行時の洗浄性を向上することができる、また、低速走行時に洗浄水を無駄に使用することを防止することもできる。
【0123】
また、ワイパーが作動状態のような状況は、悪天候で洗浄面に付着する汚れの量も多くなると考えられるが、上記した構成によれば車両のワイパーが作動状態であるか否かを判定し、車両のワイパーが作動状態と判定された場合、車両のワイパーが停止状態と判定された場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くするので、ワイパーが作動状態のような状況における洗浄性を向上することができる。
【0124】
また、寒冷地では、道路上に融雪剤を散布する頻度が高く、車両走行時に融雪剤が洗浄面に付着する可能性が高いが、上記した構成によれば、車両の現在位置を特定するための情報を取得して車両が寒冷地に位置するか否かを判定し、車両が寒冷地に位置すると判定された場合、車両が寒冷地以外に位置すると判定された場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くするので、車両が寒冷地に位置する場合における洗浄性を向上することができる。
【0125】
また、上記した構成によれば、カメラ14のレンズ14aの汚れの量が基準値以上であるか否かを判定し、汚れの量が基準値以上であると判定された場合、汚れの量が基準値未満と判定された場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くするので、汚れの量が多い場合には洗浄性を高め、汚れの量が少ない場合には、洗浄水を無駄に使用しないようにすることができる。
【0126】
また、上記した構成によれば、カメラ14のレンズ14aの汚れの主因が泥または融雪剤であるか、水滴であるかを判定し、汚れの主因が泥または融雪剤であると判定された場合、汚れの主因が水滴であると判定された場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くするので、汚れの主因が汚れの落ちにくい泥または融雪剤の場合には洗浄性を向上し、汚れの主因が水滴の場合には、洗浄水を無駄に使用しないようにすることができる。
【0127】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態に係るカメラ洗浄装置の全体構成を図20に示す。上記第1実施形態では、エアポンプ10から配管18aを介して合流ジョイント11へ高圧空気が送出されるように構成されており、エアポンプ10にオンするように指示してから、エアポンプ10から高圧空気が送出されるまでに遅延が生じる。このような遅延を低減するため、本実施形態に係るカメラ洗浄装置は、更に、エアポンプ10を用いて発生した高圧空気を貯留するエア貯留タンク10cと、エア貯留タンク10cからエアポンプ10へ高圧空気が逆流しないようにするための逆止弁10bと、エア貯留タンク10bと合流ジョイント11の間の通路を開閉する電磁弁10dと、を備えた構成となっている。なお、電磁弁10dの開弁の度合いに応じてエア貯留タンク10cから送出される高圧空気の量を調整可能となっている。
【0128】
このような構成において、事前に、エアポンプ10を駆動させてエア貯留タンク10cに高圧空気を貯留させておき、洗浄動作開始時に電磁弁10dに開弁を指示すると、エア貯留タンク10cから合流ジョイント11へ高圧空気が速やかに送出される。
【0129】
なお、本実施形態に係るカメラ洗浄装置の洗浄スイッチ、エアポンプおよび電磁弁のタイミングチャートは、図7に示したタイミングチャートにおいて、エアポンプのオンオフを電磁弁10dの開閉に置き換えたものとして表すことができる。
【0130】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態に係るカメラ洗浄装置の全体構成を図21に示す。上記第1実施形態では、エアポンプ10から配管18aを介して合流ジョイント11へ高圧空気が送出されるように構成されており、エアポンプ10にオンするように指示してから、エアポンプ10から高圧空気が送出されるまでに遅延が生じる。このような遅延を低減するため、本実施形態に係るカメラ洗浄装置は、エアポンプ10を、高圧空気を封入した交換可能な高圧エアカートリッジ10eと電磁弁10fとで代替えし、更に、タンク20を、洗浄液を封入した交換可能な洗浄液カートリッジ20aで代替えした構成となっている。なお、電磁弁10fの開弁の度合いに応じて高圧エアカートリッジ10eから送出される高圧空気の量を調整可能となっている。
【0131】
このような構成において、洗浄動作開始時に電磁弁10fに開弁を指示すると、高圧エアカートリッジ10eから合流ジョイント11へと高圧空気が速やかに送出される。また、電磁弁12に開弁を指示すると、洗浄液カートリッジ20aから洗浄液が速やかに送出される。
【0132】
なお、本実施形態に係るカメラ洗浄装置の洗浄スイッチ、エアポンプおよび電磁弁のタイミングチャートは、図7に示したタイミングチャートにおいて、エアポンプのオンオフを電磁弁10fの開閉に置き換えたものとして表すことができる。
【0133】
上記したように、エアポンプ10を、高圧空気を封入した交換可能な高圧エアカートリッジ10eと電磁弁10fとで代替えすることで、電磁弁10fに開弁を指示した際に、高圧エアカートリッジ10eから合流ジョイント11へ高圧空気を速やかに送出させることができる。また、エアポンプ10を不要とすることができるので、消費電力を抑制することが可能である。
【0134】
(その他の実施形態)
上記第1〜第3実施形態では、車両のバックカメラ14のレンズ14aを洗浄するカメラ洗浄装置として構成したが、車両周辺を撮影する各種カメラのレンズを洗浄するカメラ洗浄装置として構成することもできる。また、車両に搭載されるカメラに限定されるものではなく、例えば、屋外に設置される監視カメラのレンズを洗浄するカメラ洗浄装置として構成することもできる。
【0135】
また、上記第1〜第3実施形態では、車両の後部に配置されたタンク20から本カメラ洗浄装置へ洗浄水を供給するように構成しているが、図22に示すように、車両の前方、例えば、エンジンルーム内に配置されたタンク30からの洗浄水をリアウィンドウを洗浄するためのウォッシャノズル31へ供給する配管の途中に切替弁32を設け、この切替弁32を介して車両後部に配置されたタンク20へ洗浄水を供給するように構成してもよい。このような構成により、車両後部に配置されたタンク20に洗浄水を補給する作業を省略することが可能である。
【0136】
また、上記実施形態では、洗浄スイッチ16に対する操作に応じてエアポンプ10を作動させるように構成したが、例えば、車両のイグニッションスイッチがオン状態になっている期間中、連続してエアポンプ10を作動させるように構成してもよい。このように、連続してエアポンプ10を作動させることで、カメラ14のレンズ14aの周囲にエアカーテンが形成され、カメラ14のレンズ14aへの汚れの付着を事前に防止することが可能である。
【0137】
また、上記第1〜第3実施形態では、電磁弁を用いて開閉手段を構成したが、例えば、ピエゾ素子等の圧電素子の電歪作用によって流路の形状を変化させて流量を増減させる流路装置(特許第4726419号広報参照)を用いる等、電磁弁以外のものを用いて開閉手段を構成してもよい。
【0138】
また、上記実施形態では、1回の洗浄スイッチ16に対する操作に応じて、電磁弁12を1回、開閉させて微粒子化した水粒を噴射させる例を示したが、例えば、1回の洗浄スイッチ16に対する操作に応じて、電磁弁12を間欠的に複数回、開閉させて微粒子化した水粒を噴射させるように構成してもよい。電磁弁12を間欠的に複数回、開閉させて微粒子化した水粒を噴射させることで、事前に汚れを浮かせた後で、汚れを除去するといったことが可能である。
【0139】
また、上記第1〜第3実施形態では、CPU等を備えたコンピュータを用いて制御部を構成したが、コンピュータを用いることなく各種ハードウェア回路により制御部を構成するようにしてもよい。
【0140】
また、上記第4実施形態において、第1タイミング・流速調整処理(S200)と第2タイミング・流速調整処理(S300)の処理を異ならせるようにしたが、第1タイミング・流速調整処理(S200)と第2タイミング・流速調整処理(S300)の処理を同じようにしてもよく、また、第1タイミング・流速調整処理(S200)と第2タイミング・流速調整処理(S300)の処理を入れ替えるようにしてもよい。また、第1タイミング・流速調整処理(S200)に含まれるS204、S208、S212、S216、S220、S222、S224の各判定と、第2タイミング・流速調整処理(S300)の処理に含まれるS304、S308、S312、S320、S322、の各判定の一部を省略するようにしてもよい。
【0141】
また、上記第4実施形態では、車両の車速が予め定められた閾値以上であると判定された場合、車両の車速が予め定められた閾値未満と判定された場合と比較して、洗浄水流路を開状態にする時間をより長くするようにしたが、車両の車速が高速になるにつれて、洗浄水流路を開状態にする時間を段階的、あるいは連続的に長くするように構成してもよい。
【0142】
また、第1〜5実施形態においても、第4実施形態と同様に、タンク20を、洗浄液を封入した交換可能な洗浄液カートリッジ20aで代替えした構成とすることもできる。
【0143】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、エアポンプ10が高圧空気発生手段に相当し、合流ジョイント11が合流手段に相当し、S108が開状態指示手段に相当し、S104が高圧空気発生指示手段に相当し、S116が高圧空気停止指示手段に相当し、電磁弁12が開閉手段に相当し、エアポンプ10aが洗浄水加圧手段に相当し、分岐ジョイント17が分岐手段に相当する。
【符号の説明】
【0144】
10 エアポンプ
10a エアポンプ
11 合流ジョイント
11a 高圧空気用通路
11b 洗浄水用通路
12 電磁弁
13 噴射ノズル
13a 噴射口
14 バックカメラ
14a レンズ
15 制御部
16 洗浄スイッチ
17 分岐ジョイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧空気を発生させる高圧空気発生手段(10、10a〜10f)により発生された高圧空気をカメラ(14)のレンズ(14a)へ向けて噴射口(13b)から噴射させる噴射ノズル(13)と、
前記高圧空気発生手段(10、10a〜10f)により発生された高圧空気を前記噴射ノズル(13)の噴射口(13b)へと導く高圧空気用通路(11a)が形成され、洗浄水供給手段(20)より供給される洗浄水を前記高圧空気用通路(11a)内に合流させる合流手段(11)と、
前記洗浄水供給手段(20)と前記合流手段(11)に形成された前記高圧空気用通路(11a)との間の洗浄水流路を開閉する開閉手段(12)と、を備え、前記開閉手段(12)により前記洗浄水流路が開状態になると、前記高圧空気用通路(11a)を流れる前記高圧空気に前記洗浄水が混入され、微粒子化した水粒が前記噴射口(13b)から噴射されるようになっていることを特徴とするカメラ洗浄装置。
【請求項2】
前記高圧空気発生手段(10、10a〜10f)に前記高圧空気の発生を指示する高圧空気発生指示手段(S104)と、
前記高圧空気発生指示手段(S104)により前記高圧空気の発生が指示された後、前記開閉手段(12)に前記洗浄水流路を開状態とするように指示する開状態指示手段(S108)と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のカメラ洗浄装置。
【請求項3】
前記開状態指示手段(S108)の指示に応じた前記開閉手段(12)の開閉が終了した後、前記高圧空気発生手段(10、10a〜10f)に前記高圧空気の発生の停止を指示する高圧空気停止指示手段(S116)を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のカメラ洗浄装置。
【請求項4】
前記開閉手段(12)は、前記合流手段(11)よりも上方に位置するように配置され、
前記開閉手段(12)により前記洗浄水流路が開状態になると、前記洗浄水供給手段(20)に蓄えられた洗浄水が重力により前記洗浄水流路内を移動して前記高圧空気用通路(11a)に流入するようになっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のカメラ洗浄装置。
【請求項5】
前記洗浄水供給手段(20)に蓄えられた洗浄水を前記開閉手段(12)側に加圧する洗浄水加圧手段(10a)を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のカメラ洗浄装置。
【請求項6】
前記高圧空気発生手段(10、10a〜10f)から前記高圧空気用通路(11a)への高圧空気を分岐する分岐手段(17)を備え、
前記分岐手段(17)により分岐した高圧空気により前記洗浄水供給手段(20)に蓄えられた洗浄水を加圧するようになっていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のカメラ洗浄装置。
【請求項7】
前記高圧空気発生手段(10、10a〜10f)は、電動モータの駆動により空気を圧縮して前記高圧空気を発生させるエアポンプ(10)により構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のカメラ洗浄装置。
【請求項8】
前記高圧空気発生手段(10、10a〜10f)は、電動モータの駆動により空気を圧縮して前記高圧空気を生成するエアポンプ(10)と、
前記エアポンプ(10)を用いて生成された高圧空気を貯留する高圧空気貯留手段(10c)と、を備え、
前記高圧空気貯留手段(10c)から前記高圧空気を発生させるようになっていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のカメラ洗浄装置。
【請求項9】
前記高圧空気発生手段(10、10a〜10f)は、前記高圧空気を封入した交換可能なエアカートリッジ(10e)により構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のカメラ洗浄装置。
【請求項10】
前記洗浄水供給手段は、前記洗浄水を封入した交換可能な洗浄水カートリッジ(20a)により構成されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載のカメラ洗浄装置。
【請求項11】
前記噴射ノズル(13)は、車両の外部に取り付けられ前記たカメラ(14)のレンズ(14a)へ向けて前記高圧空気を噴射口(13b)から噴射させるものであることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載のカメラ洗浄装置。
【請求項12】
前記車両の周囲に位置する物体が検出されたか否かを判定する物体検出判定手段(S204、S304)と、
前記物体検出判定手段(S204、S304)により前記物体が検出されたと判定された場合、前記洗浄水流路を開状態とすることを禁止する禁止手段(S206)と、を備えたことを特徴とする請求項11に記載のカメラ洗浄装置。
【請求項13】
前記洗浄水が凍結する可能性のある状況か否かを判定するための情報を取得して前記洗浄水が凍結する可能性のある状況か否かを判定する洗浄水凍結可能性判定手段(S208、S308)と、
前記洗浄水凍結可能性判定手段(S208、S308)により前記洗浄水が凍結する可能性のある状況であると判定された場合、前記洗浄水が凍結する可能性のない状況と比較して、前記高圧空気発生手段(10、10a〜10f)より送出される前記高圧空気の流速を低下させる流速調整手段(S210)と、を備えたことを特徴とする請求項11または12に記載のカメラ洗浄装置。
【請求項14】
前記カメラ(14)は、前記車両の側部後方を撮影するように前記車両に取り付けられ、前記カメラ(14)の撮影画像が前記車両の側部後方を確認するために車両に備えられた電子ミラーに表示されるシステムに用いられるものであり、 前記車両の方向指示レバーに対する操作に応じて前記車両の方向指示灯が点滅している状況か否かを判定する方向指示灯判定手段(S212、S312)と、
前記方向指示灯判定手段(S212、S312)により前記車両の方向指示灯が点滅している状況であると判定された場合、前記方向指示灯が点滅していないと判定された場合と比較して、前記洗浄水流路を開状態にする時間をより短くする第1タイミング調整手段(S214)と、を備えたことを特徴とする請求項11ないし13のいずれか1つに記載のカメラ洗浄装置。
【請求項15】
前記車両のシフトレバーの操作位置を特定するための情報を取得して前記車両が後退するか否かを判定する車両後退判定手段(S216、S316)と、
前記車両後退判定手段(S216、S316)により前記車両が後退すると判定された場合、前記車両が前進または停車する場合と比較して、前記洗浄水流路を開状態にする時間をより長くする第2タイミング調整手段(S218)と、を備えたことを特徴とする請求項11ないし14のいずれか1つに記載のカメラ洗浄装置。
【請求項16】
車速を特定するための情報を取得して車両の車速が予め定められた閾値以上か否かを判定する車速判定手段(S220)と、
前記車速判定手段(S220)により車両の車速が予め定められた閾値以上であると判定された場合、車両の車速が予め定められた閾値未満と判定された場合と比較して、前記洗浄水流路を開状態にする時間をより長くする第2タイミング調整手段(S218)を備えたことを特徴とする請求項11ないし15のいずれか1つに記載のカメラ洗浄装置。
【請求項17】
車両のワイパーが作動状態であるか否かを判定するワイパー作動状態判定手段を備え、
前記ワイパー作動状態判定手段により前記車両のワイパーが作動状態と判定された場合、前記車両のワイパーが停止状態と判定された場合と比較して、前記洗浄水流路を開状態にする時間をより長くする第2タイミング調整手段(S218)と、を備えたことを特徴とする請求項11ないし16のいずれか1つに記載のカメラ洗浄装置。
【請求項18】
車両の現在位置を特定するための情報を取得して車両が寒冷地に位置するか否かを判定する寒冷地判定手段と、
前記寒冷地判定手段により前記車両が寒冷地に位置すると判定された場合、前記車両が寒冷地以外に位置すると判定された場合と比較して、前記洗浄水流路を開状態にする時間をより長くする第2タイミング調整手段(S218)と、を備えたことを特徴とする請求項11ないし17のいずれか1つに記載のカメラ洗浄装置。
【請求項19】
前記カメラ(14)のレンズ(14a)の汚れの量が基準値以上であるか否かを判定する汚れ量判定手段(S318)と、
前記汚れ量判定手段(S318)により前記汚れの量が基準値以上であると判定された場合、前記汚れの量が基準値未満と判定された場合と比較して、前記洗浄水流路を開状態にする時間をより長くする第3タイミング調整手段(S316)と、を備えたことを特徴とする請求項11ないし18のいずれか1つに記載のカメラ洗浄装置。
【請求項20】
前記カメラ(14)のレンズ(14a)の汚れの主因が泥または融雪剤であるか、水滴であるかを判定する汚れ種別判定手段を備え、
前記汚れ種別判定手段により前記汚れの主因が泥または融雪剤であると判定された場合、前記汚れの主因が水滴であると判定された場合と比較して、前記洗浄水流路を開状態にする時間をより長くする第3タイミング調整手段(S318)とを備えたことを特徴とする請求項11ないし19のいずれか1つに記載のカメラ洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−100077(P2013−100077A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−150266(P2012−150266)
【出願日】平成24年7月4日(2012.7.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】