説明

カメラ用ケース

【課題】撮影環境に左右されることなく、マスターストロボの発光に呼応してスレーブストロボを発光させる。
【解決手段】マスターストロボ21内蔵のカメラ2とスレーブストロボ3とを収納するカメラ用ケース1に、その一端がマスターストロボ21による照射領域に位置するとともに他端がスレーブストロボ3の受光検知領域に位置し、カメラ2のマスターストロボ21から発せられる光をスレーブストロボ3の受光センサ32に導く導光部4を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラとスレーブストロボを収納するケースに関し、特に、カメラのマスターストロボから発せられる光をスレーブストロボの受光部に導くカメラ用ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ内蔵のマスターストロボの発光を検知し、マスターストロボの発光に同期して大光量のストロボ光を照射するスレーブストロボが利用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、カメラの小型化に伴いカメラ本体に内蔵されたマスターストロボの光量が小さくなる傾向にある。マスターストロボの発光量が小さいと、スレーブストロボがマスターストロボの発光を検知できず、マスターストロボが発光してもスレーブストロボが発光しないという問題があった。特に、屋外で小さい被写体を撮影する場合、被写体からの反射光を十分に得られず、スレーブストロボが同期発光しないという問題があった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、撮影環境に左右されることなく、マスターストロボの発光に同期してスレーブストロボを発光させるカメラ用ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明によれば、カメラのマスターストロボから発せられる光をスレーブストロボの受光部に導く導光部を備えたカメラ用ケースが提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明のカメラ用ケースでは、導光部がカメラ側のマスターストロボから発せられた光を、カメラとともにカメラ用ケースに収納されたスレーブストロボの受光部へ導くので、撮像環境によらずスレーブストロボはマスターストロボの発光を正確に検知し、マスターストロボの発光に同期して発光することができる。
【発明の実施の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明のカメラ用ケース1の使用態様の一例を示す斜視図、図2は図1に示したX−X断面から見たカメラ用ケース1の断面図である。
【0008】
図1に示すように、本実施形態のカメラ用ケース1は、カメラ2とスレーブストロボ3を収納し、カメラ2とスレーブストロボ3との相対的な位置関係を保つ。カメラ用ケース1は、熱可塑性エラストマーを射出成形などの溶融成形や、絞り成形により得ることができるが、その材料及び製法は特に限定されない。カメラ用ケース1の形状は、収納するカメラ2及びスレーブストロボ3の配置及び各外面形状に応じて適宜設計することができる。図1に示す本実施形態のカメラ用ケース1は、カメラ2とスレーブストロボ3を横並びの状態で収容し、図示しないが、カメラ2とスレーブストロボ3を出し入れするための開口部を備える。この出し入れ用開口部はカメラ2及びスレーブストロボ3の上面側又は側面側に設けることが好ましい。また、本実施形態のカメラ用ケース1は、カメラ2のマスターストロボの発光窓21、ファインダ窓22、測光窓23、レリース釦25、鏡筒27、レンズ26、スレーブストロボの発光窓31等をケース外部に露出するために切り抜かれた1又は2以上の開口窓12を有する。開口窓12はこれら露出部分の形状に応じて形成する。
【0009】
カメラ用ケース1に収納されるカメラ2は、マスターストロボ21、測光センサ23を有し、測光センサ23が検出した被写体からの反射光量に応じて、図示しないマスターストロボ用制御装置が所定の制御の下、マスターストロボ21を発光させる。また、カメラ1とともにカメラ用ケース1に収納されるスレーブストロボ3は、発光窓31と受光センサ32を有し、受光センサ32がカメラ2のマスターストロボ21から発せられるストロボ光を検出した場合、例えば、ストロボ光に相当する所定量以上の光を受光した場合、発光窓31内部にあるキセノン放電管などの発光体にストロボ光を発光させる。カメラ2のマスターストロボ21の発光手段及び手法、スレーブストロボ3の発光手段及び手法は特に限定されず、公知のものを用いることができる。なお、スレーブストロボ3には、マスターストロボ21のストロボ光を検出するための受光センサ32のほか、被写体からの反射光を検出する汎用センサ33を設けてもよい。
【0010】
本実施形態のカメラ用ケース1は、カメラ2のマスターストロボ21から発せられる光をスレーブストロボ3の受光センサ32に導く導光部4を有する。図1及び図2に示すように本実施形態では断面円形の円柱形状の導光部4をカメラ用ケース1の内壁側に設けた。導光部4は、光拡散性を有する材料からなることが好ましく、光の減衰率が低い材料を用いることがさらに好ましい。
【0011】
特に限定されないが、本実施形態の導光部4は、相対的に屈折率の高いコアと、コアを覆うとともにコアに対し相対的に屈折率が低いクラッドとの二重構造を有する。クラッドには屈折率が比較的低いフッ素系ポリマーを用い、コアには所定値以上の高い屈折率、光透過率及び強度を有する素材、たとえばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート、ポリスチレン、含重水素化ポリマー、ガラス等を用いる。さらに、導光部4の表面をシリコーン樹脂、ナイロン繊維で被覆してもよい。
【0012】
なお、導光部4の構成は特に限定されず、上述のようなコアとクラッドの二重構造をとらない円柱体、角柱体としてもよい。この場合、光拡散性を有する材料を用いることが好ましく、特に、光の減衰率が低く光学特性に優れたポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネートを用いることが好ましい。
【0013】
本実施形態の導光部4の一端(光の入力端部)は、マスターストロボ21により光が照射される照射領域に位置にあり、マスターストロボ21から発せられた光が入力される。導光部4の一端から入力されたマスターストロボ21のストロボ光は導光部4内を反射しながら減衰することなく導光部4の他端(光の出力端部)に導かれる。導光部4の他端はスレーブストロボ3の受光センサ32の受光検知領域に位置するため、受光センサ32は導光部4によって導かれたマスターストロボ21のストロボ光を検知する。
【0014】
導光部4をカメラ用ケース1に形成するには、所定の長さの導光部4を準備し、導光部4の一端がマスターストロボ21による照射領域に位置するとともに他端がスレーブストロボ3の受光検知領域に位置するように、導光部4をカメラ用ケース内壁面に固定する。
【0015】
カメラ用ケース1の成形時に一体成形してもよいし、カメラ用ケース成形後に接着剤で接着してもよい。
【0016】
本実施形態のカメラ用ケース1は、マスターストロボ21から発せられる光をスレーブストロボ3の受光センサ32に導く導光部4を備えるため、マスターストロボ21の発光量が少ない場合や屋外で被写体が小さく受光できる反射光が十分でない場合等、撮影環境が適切でない場合であっても、マスターストロボ21の発光に同期してスレーブストロボ3を発光させることができる。特に、導光部4の一端がマスターストロボ21による照射領域に位置するとともに導光部4の他端がスレーブストロボ3の受光検知領域に位置するため、撮影環境によらず、マスターストロボ21の発光に同期して確実にスレーブストロボ3を発光させることができる。
【0017】
本実施形態のカメラ用ケース1は、カメラ2とスレーブストロボ3を収納して一体とするため、従来用いられていたブラケット(固定具)等が不要となり、カメラ2及びスレーブストロボ3をコンパクトに一体化することができる。また、ブラケットを装着するための三脚穴が無いタイプのカメラにも利用することができる。
【0018】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0019】
たとえば、カメラ2とスレーブストロボ3を収納するカメラ用ケース11の全体を導光性材料、たとえば、シリコーン(シリコン樹脂)としてもよい。この場合、導光性材料は、光拡散性を有していればよく、光の減衰率が低い材料や光学特性が優れた材料に限定されない。
【0020】
マスターストロボ21、スレーブストロボ3の受光センサ32を覆うカメラ用ケース11全体を導光性材料とすることにより、マスターストロボ21から発せられる光をスレーブストロボ3の受光センサ32に導くことができ、上述した導光部4を有するカメラ用ケース1と同様の効果を奏することができる。
【0021】
この場合、導光性材料で全体が構成されたカメラ用ケース11の内側面(カメラ2の外周面と対向乃至接する面)に、カメラ2に向って凸形状の導光部41を形成することが好ましい。凸形状の導光部41が形成されたカメラ用ケース11の例を図3に示した。図3は、図1に示すX−X線に相当する位置及び方向で切断した面の断面である。図3に示すように、カメラ用ケース11の内側面(カメラ2と接する面)に、カメラ2に向って凸形状の導光部41を形成したため、マスターストロボ21から発せられた光は、マスターストロボ21に最も近い導光部41の一端から入射し、スレーブストロボ3の受光センサ32へ導かれる。この場合、凸形状の導光部41は、その一端がマスターストロボ21の照射領域に位置するとともに他端がスレーブストロボ3の受光検知領域に位置するように形成することが好ましい。このようにすることで、マスターストロボ21から発せられた光を、導光部41を介してスレーブストロボ3の受光センサ32へ確実に導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態のカメラ用ケースの使用状態を示す図である。
【図2】図1に示すX−X断面から見たカメラ用ケースの断面図である。
【図3】図1に示すX−X断面から見たカメラ用ケースの他の例の断面図である
【符号の説明】
【0023】
1,11・・・カメラ用ケース
2・・・カメラ
21・・・マスターストロボ
3・・・スレーブストロボ
31・・・発光窓
32・・・受光センサ
4,41・・・導光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラとスレーブストロボを収納し、前記カメラのマスターストロボから発せられる光を前記スレーブストロボの受光センサに導く導光部を備えるカメラ用ケース。
【請求項2】
前記導光部は、その一端が前記マスターストロボの照射領域に位置するとともに他端がスレーブストロボの受光検知領域に位置する請求項1に記載のカメラ用ケース。
【請求項3】
前記ケースの全体が導光性材料である請求項1又は2に記載のカメラ用ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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