説明

カメラ用ペデスタル

【課題】最低カメラ光軸の高さを、より低く設定可能とするとともに、狭い場所でも高い位置からの撮影を可能とし、さらに、被写体に対してその真上に近い位置からの撮影を可能とする。
【解決手段】このカメラ用ペデスタルは、水平移動可能なキャリア18上に水平旋回可能に立設するポール支持部26を有している。そして、このポール支持部26の上側には、先端側にカメラ固定部9を有して長手方向に伸縮可能に構成された伸縮ポール28が、その途中部分をポール俯仰軸29で回動可能に連結されている。さらに、このカメラ用ペデスタルは、伸縮ポール28を、その軸線を鉛直方向に向けた第一の位置、所定の傾斜角度に向けた第二の位置、およびその先端がポール俯仰軸29の水平面より低くなる第三の位置それぞれに設定可能なポール俯仰位置設定手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば報道や番組撮影等において、高い位置からの撮影を可能とするためのカメラ用ペデスタルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高い位置からの撮影を行う場合には、足場を組上げ、カメラの撮影者(操作者)がその上に乗って撮影したり、あるいは撮影用クレーン装置(例えば特許文献1参照)を使用して撮影を行っていた。
しかし、高所からの撮影を行うための足場の組立作業は、非常に大きな労力を必要とする。また、スタジオ内などでよく使用される撮影用クレーン装置は、広いスペースが必要であり、狭い撮影場所ではその使用が難しく、さらに、周囲に人がいると危険な場合もあり、しかも非常に高価である。
【0003】
そこで、狭い場所でも高所からの撮影を容易に行える装置として、例えば本出願人によって特許文献2に記載のカメラ用ペデスタルが提案されている。
このカメラ用ペデスタルは、例えば図15に示すように、水平移動可能なキャリア68と、このキャリア68上に水平旋回可能に支承されたポール支持部69とを備えている。そして、このポール支持部69上に、下段ポール70、中段ポール71および上段ポール72を備えてなる3段式の伸縮ポール73が立設されており、さらに、この伸縮ポール73を伸縮させる伸縮手段(不図示)を有している。そして、上段ポール72の上部には、伸縮ポール73の軸芯に対して垂直な支軸74によって揺動可能に支持されたカメラ固定部75を備えている。
【0004】
このカメラ用ペデスタルによれば、例えば特許文献1に記載の撮影用クレーン装置に比べ、軽量で、安価に構成することが可能であり、狭い場所でも高所からの撮影を安全に行うことができる。
【特許文献1】特開平05−161037号公報
【特許文献2】特願2003−345985号(未公開)
【特許文献3】特願2004−317291号(未公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2に記載のカメラ用ペデスタルでは、カメラ光軸の最高高さを高くする仕様とする場合には、各ポールを長くして、カメラ光軸の最低高さを高くする必要があった。一方、カメラ光軸の最低高さを低く抑える仕様とする場合には、各ポールを短くしなければならず、逆に、カメラ光軸の最高高さを高くすることが難しかった。
なお、仮に、3段式の伸縮ポール73を4段式に変更して、カメラ光軸の高さ方向の移動量を操作量の3倍とする構成も考えられるが、伸縮ポールの段数を単に増加させるのみでは、その各段の連結部から発生するガタの累積によって伸縮ポール全体のガタが大きくなり、カメラの揺れが増大することになるので、必ずしも好ましいとはいえない。
【0006】
また、特許文献2に記載のカメラ用ペデスタルでは、図15に示すように、キャリア68の周囲に、水平移動するための移動装置89が複数設けられている。しかし、カメラ22の姿勢の安定性を確保するためには、移動装置89同士の間隔は、ある程度の間隔をおいて配置する必要がある。一方、カメラ22はキャリア68の中心から鉛直方向に昇降するので、被写体に対して真上に近い位置からの撮影を行う場合、安定性に相反して移動装置89が邪魔になり、真上に近い位置からの撮影を行う事が困難であった。
【0007】
そこで、本発明者は、このような問題を解決するために、さらに、特許文献3に記載のカメラ用ペデスタルを提案している。
このカメラ用ペデスタルは、例えば図16に示すように、水平移動可能なキャリア77と、このキャリア77上に旋回可能に支承された旋回台78と、この旋回台78上に、水平スライド機構79によりキャリア77に対して前後移動可能に設けられたポール支持部80とを備えている。そして、このポール支持部80上には、下から順に、下段ポール81、中下段ポール82、中上段ボール83および上段ポール84を有する伸縮ポール85が所定傾斜角度で立設されている。そして、この伸縮ポール85を伸縮させる伸縮手段88をさらに有しており、また、上段ポール84の上部には、伸縮ポール85の軸芯に対して垂直な支軸86によって揺動可能に支持されたカメラ固定部87を備えている。
【0008】
このカメラ用ペデスタルによれば、伸縮ポール85が4段式なので、カメラ光軸の移動量は伸縮方向での操作量の3倍となる。そのため、カメラ光軸の移動量を大きくすることができる。したがって、例えば上記3段式の伸縮ポール73に比べ、カメラ光軸の最低高さを低く抑えるとともに、カメラ光軸の最高高さを高くすることができる。また、伸縮ポール85を所定傾斜角度で立設しているので、4段式とした場合でも、各段でのガタが重力で一方向に付勢されて、カメラ22の揺れを低減させることができる。さらに、水平スライド機構79で伸縮ポール85をポール支持部80と共に前後移動させることができるので、伸縮ポール85を前方にスライドさせて被写体に対して真上に近い位置から撮影を行なうことができる。
【0009】
しかしながら、このカメラ用ペデスタルは、カメラ光軸の移動量を大きくすることはできるものの、カメラ光軸の最低高さは、上記特許文献2に記載のカメラ用ペデスタル同様に、伸縮ポール85の最縮小時の長さで決まる。そのため、カメラ光軸の最低高さを、それより低くすることは難しい。
また、伸縮ポール85は、鉛直から所定傾斜角度傾いた方向に昇降するので、高い位置から撮影を行う場合には、特許文献2に記載のカメラ用ペデスタルに比べ、より広いスペースが必要となってしまう。
【0010】
そこで、本願発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、最低カメラ光軸の高さを、より低く設定可能とするとともに、狭い場所でも高い位置からの撮影を安全に行うことを可能とし、さらに、被写体に対してその真上に近い位置からでの撮影を可能とし得るカメラ用ペデスタルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のカメラ用ペデスタルは、水平移動するための複数の移動装置を有するキャリアと、このキャリア上に水平旋回可能に支承される旋回台と、この旋回台上に立設するポール支持部と、途中部分がポール支持部の上側に水平なポール俯仰軸まわりに回動可能に連結されるとともに、長手方向に伸縮可能に構成された伸縮ポールと、この伸縮ポールを所望の伸縮位置に伸縮可能にするとともにその位置を保持する伸縮手段と、伸縮ポールの先端側に水平な軸まわりで回動自在に枢支したカメラ固定部と、このカメラ固定部を回動させて所望の角度に設定するためのチルト操作手段と、伸縮ポールを、その軸線を鉛直方向に向けた第一の位置、その軸線を所定の傾斜角度に向けた第二の位置、およびその先端がポール俯仰軸の水平面より低くなる第三の位置それぞれに設定するためのポール俯仰位置設定手段と、を備えていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明のカメラ用ペデスタルは、水平移動するための複数の移動装置を有するキャリアと、このキャリア上に水平旋回可能に支承される旋回台と、この旋回台上に立設するポール支持部と、途中部分がポール支持部の上側に水平なポール俯仰軸まわりに回動可能に連結されるとともに、長手方向に伸縮可能に構成された伸縮ポールと、この伸縮ポールを所望の伸縮位置に伸縮可能にするとともにその位置を保持する伸縮手段と、伸縮ポールの先端側に水平な軸まわりで回動自在に枢支したカメラ固定部と、このカメラ固定部を回動させて所望の角度に設定するためのチルト操作手段と、伸縮ポールを、その軸線を鉛直方向に向けた第一の位置、その軸線を所定の傾斜角度に向けた第二の位置、およびその先端がポール俯仰軸の水平面より低くなる第三の位置のうち、少なくとも二つの位置をそれぞれ設定するためのポール俯仰位置設定手段と、を備えていることを特徴としている。
【0013】
本発明のカメラ用ペデスタルによれば、ポール支持部の上側に、ポール俯仰軸まわりで回動可能な伸縮ポールを備えており、この伸縮ポールを、ポール俯仰位置設定手段によって、鉛直方向に向けた第一の位置と、所望の傾斜角度に向けた第二の位置と、その先端がポール俯仰軸の水平面より低くなる第三の位置、のうち、少なくとも二つの位置にそれぞれ設定することができる。
【0014】
そのため、このカメラ用ペデスタルを、第一の位置に設定すれば、撮影者は、狭い場所でも高い位置からの撮影を安全に行うことができる。また、第二の位置に設定すれば、被写体に対してその真上に近い位置からでの撮影が可能となる。さらに、第三の位置に設定すれば、最低カメラ光軸の高さを、例えば特許文献2に記載のカメラ用ペデスタルより低く設定することができる。
【0015】
そして、上記いずれの設定位置でも、ポール支持部は、キャリア上で水平旋回可能なので、キャリアの中心を通る鉛直軸を中心とするパン操作ができる。また、キャリアは、水平移動するための移動装置を備えているので、水平移動させることもできる。
さらに、本発明のカメラ用ペデスタルは、チルト操作手段を備えているので、上記いずれの設定位置でも、カメラ固定部をその支軸まわりで回動させて所望の角度に設定することができる。
【0016】
特に、本発明のカメラ用ペデスタルにおいて、前記伸縮ポールがポール支持部に連結される途中部分は、前記所定の伸長量での当該伸縮ポール、カメラ固定部、カメラ、伸縮手段およびチルト操作手段を組合わせた状態での重心が、ポール俯仰軸の軸線上の近傍を通る位置となるように構成されていればより好適である。このような構成であれば、伸縮ポールの一端側と他端側とのバランスが良くなるので、特に、伸縮ポールを縮小させた状態で下向きにする場合でもより安定した操作を可能とする上で好ましい。
また、ポール支持部に、その水平旋回を操作するための旋回レバーを取付けると旋回操作がより容易になる。
また、ポール支持部に、カメラ用モニターを設けるとカメラを高所に移動させた時も撮影している映像を容易に確認できる。
【0017】
また、伸縮ポールを、下段ポール、中段ポールおよび上段ポールを備えた構成とし、前記伸縮手段は、下段ポールの基部に設けられて中段ポール、上段ポール、およびカメラの荷重を相殺する定荷重ばねと、下段ポールの上部に設けられた第一昇降用滑車と、この第一昇降用滑車に掛け回されて一端が定荷重ばねに連結されるとともに他端が中段ポールの下部に連結される中段ポール昇降用ワイヤロープと、中段ポールの上部に設けられた第二昇降用滑車と、この第二昇降用滑車に掛け回されて一端が下段ポールの基部に連結されるとともに他端が上段ポール下部に連結された上段ポール昇降用ワイヤロープと、を備える構成とすることができる。このような構成は、中段ポール、上段ポール、およびカメラの荷重が、定荷重ばねにより相殺されるので、伸縮のために大きな力を要せず、人力で容易に昇降操作を可能とする上で好ましい。そして、中段ポール、上段ポールおよびカメラは同時に昇降するので、昇降中の伸縮速度に切換りがなく、滑らかな動きをする上で望ましい。
【0018】
また、中段ポールに、伸縮ポールを伸縮させるための昇降ハンドルを取付けると昇降操作がより容易になる。
ここで、前記ポール俯仰位置設定手段は、前記第一の位置を保持するとともにその保持および非保持を切り替えるための手段を有する鉛直位置保持手段と、前記第二の位置を保持するとともにその保持および非保持を切り替えるための手段を有する傾斜位置保持手段と、前記第三の位置での伸縮ポールの伸縮動作を所定の伸長量に規制するためのポール伸長規制手段と、を備えた構成とすることが望ましい。
【0019】
さらに、前記鉛直位置保持手段は、ポール支持部に設けられた鉛直位置保持被係止部と、この鉛直位置保持被係止部に対して前記第一の位置に伸縮ポールの軸線を向けた位置でのみ係止可能に下段ポールに設けられた鉛直位置保持係止部と、鉛直位置保持被係止部と鉛直位置保持係止部との係脱をするための鉛直位置保持係脱手段と、を備えて構成されていることが望ましい。このような構成であれば、第一の位置に設定するときは、撮影者は、伸縮ポールを鉛直方向に向けて鉛直位置保持手段によってその位置を保持させることで容易に設定できる。そして、この第一の位置で、伸縮手段によって伸縮ポールを手で伸縮させてカメラを昇降できる。そのため、例えば特許文献2に記載のカメラ用ペデスタルと同等のスペースがあれば、狭い場所でも高い位置からの撮影をより安全に行うことができる。
【0020】
また、前記傾斜位置保持手段は、ポール支持部に支持されて前記所定の傾斜角度に対応する傾斜角度保持部を有する俯仰角度制限板と、その傾斜角度保持部に対して係脱可能に下段ポールに支持された傾斜角度被保持部と、傾斜角度保持部と傾斜角度被保持部との係脱を前記第一の位置に伸縮ポールの軸線を向けたときのみ切り替え可能な傾斜角度係脱切換手段と、を備えて構成されていることが望ましい。このような構成であれば、第二の位置に設定するときは、撮影者は、まず、第一の位置においてこの傾斜位置保持手段によって伸縮ポールを所定の傾斜角度に保持可能な状態に切り替える。次いで、鉛直位置保持手段によって第一の位置を非保持の状態に切り替えて、伸縮ポールを所定の傾斜角度に向けることで容易に設定できる。そして、この第二の位置で、伸縮手段によって伸縮ポールを伸縮させてカメラを昇降できる。そのため、被写体に対してその真上に近い位置からの撮影を好適に行うことができる。
【0021】
また、前記ポール伸長規制手段は、中段ポールに設けられた伸長規制被係止部と、この伸長規制被係止部に対して係脱可能に下段ポールに設けられた伸長規制係止部と、伸長規制被係止部と伸長規制係止部との係脱を前記第一の位置に伸縮ポールの軸線を向けたときのみ切り替え可能な伸長規制係脱切換手段と、を備えて構成されていることが望ましい。このような構成であれば、第三の位置に設定するときは、撮影者は、まず、第一の位置においてこのポール伸長規制手段によって伸縮ポールを所定の伸長量に規制した状態に切り替える。次いで、鉛直位置保持手段によって第一の位置を非保持の状態に切り替えて、伸縮ポールをポール俯仰軸の軸まわりで回動させることで容易に設定できる。このとき、この第三の位置でカメラを下向きにする場合であっても、伸縮ポールの伸長動作は、ポール伸長規制手段で規制されているので安定した回動操作が可能となり、ポール支持部の上側より伸縮ポールの先端が低くなる傾斜角に容易に設定できる。そのため、ポール支持部の上側より低い位置からでも容易に撮影できるので、最低カメラ光軸の高さを、例えば特許文献2に記載のカメラ用ペデスタルより低く設定可能とする構成とする上で好ましい。
【0022】
また、前記チルト操作手段は、伸縮ポールの先端部に設けた水平軸に対して回動自在で且つカメラ固定部に連結したカメラチルト用滑車と、伸縮ポールの軸芯に対して垂直で且つ下段ポールに対して回動自在に設けられたチルト操作軸と、このチルト操作軸にその中心部を連結したチルト操作用滑車と、チルト操作軸を回動するためにチルト操作軸に連結したチルト操作用ハンドルと、下段ポールの上部に設けられた第一のチルト用滑車と、中段ポールの下部に設けられた第二のチルト用滑車と、これらチルト用滑車に順に掛け回されて、一端がチルト操作用滑車に連結されるとともに、他端がカメラチルト用滑車に掛け回されたチルト用ワイヤロープと、を備えた構成とすることができる。このような構成であれば、カメラを人の手の届かない高所まで上昇させても、下段ポールに設けたチルト操作ハンドルでカメラのチルト操作を可能にする上で好適である。
【0023】
また、カメラ固定部に載置固定されるカメラの重心が、カメラ固定部が回動する軸の軸線上の位置となるように構成することができる。このような構成であれば、チルト角度に関わらずチルト操作時の操作力が一定となるため、チルト操作がより容易になる。
ところで、例えば、前記第二の位置、つまり被写体をその真上近くの位置から撮影する等の際に、伸縮ポールを伸ばした状態で旋回させると、カメラには前方に向けて遠心力が働く。そのため、伸縮ポールが第二の位置にあり、伸縮ポールの重心が旋回中心よりカメラ側に偏るまで伸長した状態で、さらに旋回速度を、設定値を越えて速くした場合、その遠心力が大きくなりすぎてカメラの姿勢の安定性が低下する可能性がある。
【0024】
そこで、本発明のカメラ用ペデスタルは、前記第二の位置での伸縮ポールの伸長量に応じたモーメント荷重を伝達するモーメント荷重伝達手段と、ポール支持部およびキャリア相互間で摩擦力を付与して、モーメント荷重伝達手段で伝達されたモーメント荷重が大きいときには小さいときに比べてその付与する摩擦力を大きくする旋回ブレーキ手段と、を有する過剰旋回操作抑制手段を更に備えた構成とすることが好ましい。このような構成であれば、伸縮ポールを傾斜させ且つ伸ばした場合でもその過剰な旋回操作が抑制されるので、カメラの姿勢をより安定させつつ旋回操作をする上で好適である。
【0025】
また、キャリアは、その水平移動を可能とする移動装置が、軌道走行車輪を有する構成とすることができる。このような構成であれば、軌道に沿って所定の経路を正確に移動する上で好適である。
また、キャリアは、その水平移動を可能とする移動装置が、キャスターを有する構成とすれば、平面上の任意の位置へ移動することができるので、水平移動させる構成とする上で好適である。
【0026】
また、キャリアは、その水平移動を可能とする移動装置が、操舵が可能なキャスターと、この操舵が可能なキャスターを操舵する操舵ハンドルと、を有する構成とすることができる。このような構成であれば、平面上の任意の位置に滑らか且つ迅速に移動可能な構成とする上で好適である。
また、キャスターを、キャスター支持部材を介してキャリアに装着して、このキャスター支持部材に、キャスターの周囲を囲むキャスターカバーを設けた構成とすることができる。このような構成であれば、平面上の任意の位置に滑らか且つ迅速な移動を可能とし、さらに、移動の際に、例えばカメラの電源や映像信号のケーブルが、キャスターに巻きこまれて破損するのを防止する構成とする上で好適である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、最低カメラ光軸の高さを、より低く設定可能とするとともに、狭い場所でも高い位置からの撮影を安全に行うことを可能とし、さらに、被写体に対してその真上に近い位置からの撮影を可能とし得るカメラ用ペデスタルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係るカメラ用ペデスタルの一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1〜図3はその全体の構成を説明する図であり、図1はその伸縮ポールを縮小した状態での正面図、図2はその左側面図、また、図3は伸縮ポールを伸長した状態での正面図である。
このカメラ用ペデスタルは、図1および図2に示すように、その下部に、水平移動するための複数(この例では4箇所)の移動装置61を有する円盤状のキャリア18を備えて構成されている。
【0029】
各移動装置61は、キャリア18の水平方向外側に向けて延出する移動装置取付ブラケット64を備えており、この移動装置取付ブラケット64の一端側がキャリア18の周方向略等間隔に、四方それぞれに固定されている。そして、各移動装置61には、この移動装置取付ブラケット64の他端側に、キャスター支持部材41がレベル調整機構16を介して装着されており、このキャスター支持部材41の下側にキャスター19が取り付けられている。ここで、レベル調整機構16は、そのハンドル42を操作することによって各キャスター19のレベルを調整可能になっている。さらに、各移動装置61には、そのキャスター19の周囲を囲むようにキャスター支持部材41側面にキャスターカバー20が装着されている。各キャスターカバー20は、上下に延びる長孔20aを有しており、この長孔20aに挿入された止めねじでキャスター支持部材41に固定されている。すなわち、各キャスターカバー20は、この上下に延びる長孔20aの範囲で昇降可能であり、各移動装置61は、このキャスターカバー20を適宜昇降させることで床面との隙間を調整可能になっている。これにより、このカメラ用ペデスタルは、自身を移動させた際に、カメラ22の電源や映像信号のケーブルが、キャスター19に巻きこまれるのを防止可能になっている。なお、カメラ用ペデスタル自体が、安定した状態で移動できれば、移動装置61は、そのキャスター19、キャスターカバー20、およびレベル調整機構16等の個数や配置位置は適宜変更しても差し支えない。
【0030】
キャリア18上には、図1および図2に示すように、その中央部に旋回台17が載置固定されている。さらに、この旋回台17上には、左右に適宜の間隔を隔てて一対のポール支持部26が立設している(図1参照)。ここで、旋回台17は、鉛直軸Yを旋回中心とする旋回機構17a(図示略)を有しており、この旋回機構17aによって一対のポール支持部26を水平旋回可能に支承している。つまり、この一対のポール支持部26は、旋回台17を介してキャリア18に対して水平旋回自在になっている。
【0031】
また、この一対のポール支持部26は、図1に示すように、同図での左側のポール支持部26に、その水平旋回を操作するための旋回レバー40が取付けられている。さらに、この左側のポール支持部26の上側には、撮影者がカメラ用モニター25を視認し易い高さに、略L字状の板部材からなるカメラ用モニター固定部15が設けられている。そして、このカメラ用モニター固定部15上に、カメラ用モニター25が載置固定されている。
さらに、このカメラ用ペデスタルは、この一対のポール支持部26の上側に、伸縮ポール28を備えて構成されている。
詳しくは、この伸縮ポール28は、図1〜図3に示すように、下段ポール1、中段ポール2および上段ポール3を備えて構成されている。
【0032】
下段ポール1は、横断面が略矩形をなし上下に貫通する中空の柱状をした部材であり、その軸線を鉛直軸Y方向に向けた状態において、一対のポール支持部26それぞれに略矩形の左右の面が対向する位置になるように配置されている。そして、伸縮ポール28は、その下段ポール1が、その途中部分で、各対向するポール支持部26に、下段ポール1の左右の面にそれぞれ設けた水平なポール俯仰軸29で回動可能に枢支されている。ここで、ポール支持部26に連結されている下段ポール1の途中部分は、縮小状態の伸縮ポール28と、カメラ固定部9と、カメラ22と、伸縮手段およびチルト操作手段を組合わせた状態での重心を通る下段ポール1上の位置になっている。つまり、この位置で、伸縮ポール28の軸芯Yに対して垂直なポール俯仰軸29でポール支持部26に対して回動自在に設けられている。
【0033】
そして、この下段ポール1は、その上下に貫通する中空部内に、中段ポール2が、不図示の直動案内装置(例えばリニアガイド)を介して長手方向で摺動自在に嵌挿されている。この中段ポール2は、その横断面が矩形状をなす中空軸であり、その内部に、横断面矩形状をなす中実軸である上段ポール3が、不図示の直動案内装置を介して長手方向で摺動自在に嵌挿されている。これにより、これら三段の各ポールは、互いに軸方向で摺動自在に嵌挿されて、長手方向(軸方向)に全体として伸縮可能になっており、図1に示す縮小した状態から図3に示す伸長した状態までの間で適宜の伸縮が可能になっている。
【0034】
また、この伸縮ポール28には、その先端側である、上段ポール3の上部に、カメラ固定部9が設けられている。このカメラ固定部9は、図1に示すように、伸縮ポール28の軸芯に対して垂直な上段ポール3に設けた支軸21によって上段ポール3の上部に揺動可能に支持されている。そして、このカメラ固定部9上に、カメラ22が載置されて固定可能になっている。ここで、このカメラ固定部9は、これに載置固定されるカメラ22の重心Gが、支軸21の軸線CL上の位置となるように構成されている。
【0035】
そして、このカメラ用ペデスタルは、上記伸縮ポール28を所望の伸縮位置に設定可能とするとともにその位置を保持する伸縮手段を備えている。さらに、このカメラ用ペデスタルは、カメラ固定部9を回動して、カメラ22を所望の傾斜角に設定可能とするためのチルト操作手段を備えている。
以下、これら、伸縮手段およびチルト操作手段の構成について詳しく説明する。図4は伸縮手段およびチルト操作手段の説明図であり、同図では伸縮手段およびチルト操作手段を駆動するためのワイヤロープを掛け回した状態での概略構成を斜視図にて示している。
【0036】
まず、伸縮手段の構成について説明する。
伸縮手段は、下段ポール1の基部に、図1および図2に示すように、定荷重ばね4を備えて構成されている。この定荷重ばね4は、中段ポール2、上段ポール3、及びカメラ22の荷重を相殺するためのものであり、例えば市販のコンストン(登録商標)ばね等が好適に用いられる。そして、図4に示すように、下段ポール1の上部には、第一昇降用滑車5が設けられており、この第一昇降用滑車5には中段ポール昇降用ワイヤロープ6が掛け回されており、この中段ポール昇降用ワイヤロープ6は、その一端が定荷重ばね4に連結され、その他端が中段ポール2の下部に連結されている。さらに、中段ポール2の上部には第二昇降用滑車7が設けられており、この第二昇降用滑車7には上段ポール昇降用ワイヤロープ8が掛け回されている。そして、この上段ポール昇降用ワイヤロープ8は、その一端が下段ポール1の基部に連結され、その他端が上段ポール3の下部に連結されており、これらによって伸縮手段が構成されている。なお、中段ポール2には、その長手方向のほぼ中央部に、略L字状の板部材からなる基部と、その基部の略L字状をなす先端に固定された把持部と、を有する昇降ハンドル14が取り付けられている。この昇降ハンドル14は、その取り付けられている中段ポール2を撮影者が昇降ハンドル14を手で上下させることにより、伸縮ポール28を伸縮手段によって昇降させて、カメラ22の高さを所望の伸縮位置に設定するとともにその位置を保持可能になっている。
【0037】
次に、チルト操作手段の構成について説明する。
チルト操作手段は、図1〜図4に示すように、上段ポール3の上部に、伸縮ポール28の軸芯Yに対して垂直な支軸21に回動可能に支持されたカメラチルト用滑車27を備えて構成されている。そして、このカメラチルト用滑車27に、上記のカメラ固定部9が連結されている。
【0038】
さらに、下段ポール1には、図4に示すように、伸縮ポール28の軸芯Yに対して垂直なチルト操作軸11が回動可能に取付けられている。そして、このチルト操作軸11の伸縮ポール28側には、チルト操作用滑車10が連結されている。また、同図に示すように、チルト操作軸11は、カメラ用ペデスタルの左側方に延出して設けられており、その延出した先端部には、このチルト操作軸11と共にチルト操作用滑車10を回動させてチルト操作を行うためのチルト操作ハンドル24が取り付けられている。なお、このチルト操作ハンドル24の把持側とは反対の側にカウンターウエイトを取り付けて、例えば把持側にカメラのズームコントローラーを取付けた場合のチルト操作ハンドル24の操作バランスをとるようにしてもよい。
【0039】
さらに、図4に示すように、下段ポール1の上部には、その前後に第一のチルト用滑車12、13が設けられており、中段ポール2の下部の前後には、第二のチルト用滑車43、44が設けられている。そして、これら前後の第一のチルト用滑車12、13および第二のチルト用滑車43、44には、それぞれチルト用ワイヤロープ23が掛け回されており、このチルト用ワイヤロープ23の一端がチルト操作用滑車10に連結されるとともに、他端がカメラチルト用滑車27にそれぞれ連結されてチルト操作手段が構成されている。
ここで、このカメラ用ペデスタルは、伸縮ポールを、その軸線Yを鉛直方向に向けた第一の位置、その軸線Yを所定の傾斜角度に向けた第二の位置、およびその先端がポール俯仰軸の水平面より低くなる第三の位置それぞれに設定するためのポール俯仰位置設定手段を更に備えている。
【0040】
以下、このポール俯仰位置設定手段の構成について詳しく説明する。
ポール俯仰位置設定手段は、前記第一の位置を保持するとともにその保持および非保持を切り替えるための鉛直位置保持手段と、前記第二の位置を保持するとともにその保持および非保持を切り替えるための傾斜位置保持手段と、前記第三の位置での伸縮ポールの伸縮動作を所定の伸長量に規制するためのポール伸長規制手段と、を備えて構成されている。
【0041】
まず、鉛直位置保持手段について説明する。
鉛直位置保持手段は、ポール支持部26の下部に、略ブロック状の俯仰ロック部材94を備えて構成されている。この俯仰ロック部材94には、その略中央部に鉛直方向に向けて貫通する係止孔94aが設けられており、この係止孔94aが伸縮ポール28の鉛直位置を保持するための鉛直位置保持被係止部になっている。また、下段ポール1の下部には、この係止孔94aに対して前記第一の位置に伸縮ポール28の軸線Yを向けた位置でのみ係止するように、不図示のバネによって付勢された係止用プランジャ32aを内嵌するポール俯仰ロック32が設けられている。すなわち、この係止用プランジャ32aが鉛直位置を保持する鉛直位置保持係止部になっている。
【0042】
さらに、図5に示すように、上記ポール俯仰ロック32は、その係止用プランジャ32aがロック連動軸34を介してポール伸長規制部材係止片93に連結されている。このポール伸長規制部材係止片93は、伸縮ポール28の軸芯と平行に移動可能なスライド案内板93aを介して下段ポール1に対しスライド移動可能に設けられている。そして、このポール伸長規制部材係止片93には、その長手方向の上側に略達磨形状の掛止め孔93bが開口している。
【0043】
一方、図5、図6に示すように、上述した昇降ハンドル14には、その基端部にポール伸長規制部材33が設けられている。このポール伸長規制部材33は、外周部分にねじ部を有する円筒状の外筒軸部33bと、この外筒軸部33bに内嵌して回動およびその軸方向に移動可能なピン33aと、外筒軸部33b内に設けられてピン33aを同図での左側に向けて常に付勢する不図示の付勢ばねと、を有している。ここで、ピン33aの位置は、ポール伸長規制部材係止片93の掛止め孔93bに対し、伸縮ポール28の縮小状態時に対向する位置になっており、その外径は、掛止め孔93bに掛止め可能な径で形成されている。
【0044】
このポール伸長規制部材33は、その外筒軸部33bのねじ部で、昇降ハンドル14の基端部に形成された、めねじ部に螺合して固定されている。そして、外筒軸部33bの右側には、略45°の傾斜面33cが形成されている。さらに、ピン33aの右側はこの傾斜面33cよりも軸方向に延出しており、このピン33aの延出した部分に、その軸直方向に延びる操作板33dが固定されている。この操作板33dの側面33eは、外筒軸部33bの傾斜面33cに付勢ばねの力によって常に当接しており、これら傾斜面33cと操作板33dの側面33eとによってカム機構が構成されている。すなわち、撮影者が操作板33dを手で回してピン33aを回動させることによって、傾斜面33cの最も左側で、操作板33dの側面33eを当接させる位置としたときは、ピン33aの左側は外筒軸部33bの左端面から突出した突出位置となり、また、撮影者が操作板33dを手で回して傾斜面33cの最も右側で、操作板33dの側面33eを当接させる位置としたときは、ピン33aの左側は外筒軸部33bの左端面より引っ込んだ非突出位置となるように構成されている。
【0045】
これにより、撮影者が、ポール伸長規制部材33を上記突出位置に手で設定し、さらに、昇降ハンドル14を伸縮ポール28の伸長方向に手で移動すると、ピン33aで係止されたポール伸長規制部材係止片93が上方に移動し、これに連結されているロック連動軸34を介してポール俯仰ロック32が俯仰ロック部材94の係止孔94aから外れるようになっている。すなわち、係止孔94aおよび係止用プランジャ32aの係脱をするための鉛直位置保持係脱手段が、これら昇降ハンドル14、ポール伸長規制部材33、ポール伸長規制部材係止片93、およびロック連動軸34によって構成されており、上述の構成によって、前記第一の位置を保持するとともにその保持および非保持を切り替え可能な第一の鉛直位置保持手段が構成されている。
【0046】
さらに、図5に示すように、俯仰ロック部材94の外側面には、トグルクランプ35が固定されている。そして、このトグルクランプ35の押付け部材35aは、前記第一の位置に伸縮ポールの軸線を向けた位置でのみ、ポール俯仰ロック32の装着部の外側面1aを、伸縮ポール28のポール俯仰軸29回りの回動を妨げる方向に押付けるように、固定されている。つまり、外側面1aが鉛直位置保持被係止部として、また、
押付け部材35aが鉛直位置保持係止部として、さらにトグルクランプ35のもつリンク機構が鉛直位置保持係脱手段になっており、これにより、前記第一の位置を保持するとともにその保持および非保持を切り替え可能な第二の鉛直位置保持手段が構成されている。
すなわち、このカメラ用ペデスタルは、鉛直位置保持手段として、第一の鉛直位置保持手段および第二の鉛直位置保持手段の二つの鉛直位置保持手段を備えている。
【0047】
次に、傾斜位置保持手段について説明する。
傾斜位置保持手段は、図6に示すように、下段ポール1に、ポール俯仰軸29と平行に設けられたポール切換軸30を備えて構成されている。このポール切換軸30は、下段ポール1に設けられたポール切換軸受30aによって、その略中央部30bと一端側30cとを軸方向で適宜の距離を隔てて回動および軸方向にスライド移動可能に支持されている。そして、このポール切換軸30には、その長手方向中央付近にその軸直方向に向けて延びる切換えレバー31が設けられている。また、ポール切換軸30は、その伸縮ポール28の反対の側(同図での右側)に、この反対の側(以下、「軸右側」ともいう)から適宜の間隔を隔てて所定の溝幅でなる段付溝90が形成されている。さらに、ポール切換軸受30aには、切換えレバー31の延びる側に開口してポール切換軸30の軸方向に延びるスリット30dが形成されている。このスリット30dには、ポール切換軸30を軸方向にスライド移動させるとともに軸周りで回動させて切換えレバー31の軸を嵌め込むことで、そのスライドした位置を保持する第一の係止溝Aと、伸縮ポール28側(以下、「軸左側」ともいう)での位置を保持する第二の係止溝Bと、がスリット30dとは直交する方向に延びてそれぞれ形成されている。
【0048】
さらに、ポール切換軸30の軸右側の外方には、俯仰角度制限板36が設けられている。この俯仰角度制限板36は、図7に示すように、略扇状の板部材であり、その略扇状の中心部が、ポール俯仰軸29を介してこれに揺動可能に軸支されているが、後述する過剰旋回操作抑制手段のモーメント伝達リンク37によって、その揺動が制限されている。
【0049】
この俯仰角度制限板36には、伸縮ポール28が縮小状態において、伸縮ポール28の軸芯Yが鉛直方向に向いた位置において、ポール切換軸30の右側の端面と対向する位置に段付長穴91が形成されている。そして、この段付長穴91は、伸縮ポール28の軸線を所定の傾斜角度に向けた第二の位置に傾ける範囲でしか形成されていないので、段付溝90と俯仰角度制限板36の段付長穴91とを嵌合した状態では、前記第二の位置までは伸縮ポール28は傾くが、それ以上の傾きは抑制されて前記第二の位置が維持されるようになっている。つまり、この段付長穴91は伸縮ポール28を所定の傾斜角度に対応する傾斜角度に保持するための傾斜角度保持部になっている。
【0050】
そして、ポール切換軸30は、自身をその右方向に移動させて第二の係止溝Bに切換えレバー31の基端部を係止させた状態にすると、ポール切換軸30の軸右側の段付溝90がこの段付長穴91内に嵌入して、下段ポール1と俯仰角度制限板36との係止を可能とする位置に形成されている。
すなわち、段付溝90は、段付長穴91に対して係脱可能に下段ポールに支持された傾斜角度被保持部であり、さらに、ポール切換軸30は、段付長穴91および段付溝90の係脱を前記第一の位置に伸縮ポールの軸線を向けたときのみ、ポール切換軸30の段付溝90と俯仰角度制限板36の段付長穴91との嵌合または解除を切り替え可能な傾斜角度係脱切換手段になっている。これにより、傾斜位置保持手段が構成されて、この傾斜位置保持手段によって、前記第二の位置を保持するとともにその保持および非保持を切り替え可能になっている。
【0051】
次に、ポール伸長規制手段について説明する。
上記ポール切換軸30の左側には、図6に示すように、中段ポール2側面に係合穴92が貫通している。この係合穴92は、伸縮ポール28の軸芯Yが鉛直方向に向くとともに伸縮ポール28が縮小状態において、略矩形断面をもつ中段ポール2側面でのポール切換軸30の端面に対向する位置に形成されており、下段ポール1に支持されているポール切換軸30を同図で左方向に移動させて第一の係止溝Aに切換えレバー31の基端部を係止させた状態にすると、ポール切換軸30の左側が係合穴92内に嵌入して、下段ポール1および中段ポール2相互の係止を可能とする位置に形成されている。すなわち、係合穴92は、伸縮ポール28の伸長を規制する伸長規制被係止部になっており、ポール切換軸30は、その左側端部が、この係合穴92に対して係脱可能な伸長規制係止部になっている。そして、ポール切換軸30は、伸縮ポール28が縮小状態において、伸縮ポール28の軸芯Yが鉛直方向に向けたときのみ、ポール切換軸30の左側端部と係合穴92とを嵌合して下段ポール1と中段ポール2とを係止した状態または解除を切り替え可能な第一の伸長規制係脱切換手段になっている。
【0052】
さらに、上述のように、伸縮ポール28の縮小状態時には、ポール伸長規制部材33を上記突出位置に移動して、そのピン33aをポール伸長規制部材係止片93の掛止め孔93bに係止して、下段ポール1に対する中段ポール2の伸長動作を規制することができる。すなわち、ポール伸長規制部材33、およびポール伸長規制部材係止片93が第二の伸長規制係脱切換手段になっている。このように、このカメラ用ペデスタルは、伸長規制係脱切換手段として、第一の伸長規制係脱切換手段および第二の伸長規制係脱切換手段という二つの伸長規制係脱切換手段を備えている。
【0053】
さらに、このカメラ用ペデスタルは、ポール支持部およびキャリア相互間での摩擦力を付与して、前記第二の位置での伸縮ポールの伸長量に応じて、その伸長量が大きいときには小さいときに比べて付与する摩擦力を大きくする過剰旋回操作抑制手段を備えている。
以下、この過剰旋回操作抑制手段について説明する。
過剰旋回操作抑制手段は、前記第二の位置での伸縮ポールの伸長量に応じたモーメント荷重を伝達するモーメント荷重伝達手段と、そのモーメント荷重伝達手段で伝達されたモーメント荷重が大きいときには小さいときに比べてポール支持部およびキャリア相互間の摩擦を大きくする旋回ブレーキ手段と、を有して構成されている。
【0054】
詳しくは、図7に示すように、ポール支持部26の下部には、旋回ブレーキ支軸ブラケット65が下方に向けて延出して設けられている。この旋回ブレーキ支軸ブラケット65には、その下端側の略中央部にポール俯仰軸29と平行に設けられた旋回ブレーキ支軸65aを有し、この旋回ブレーキ支軸65aに対して旋回ブレーキリンク38が揺動可能に取り付けられている。この旋回ブレーキリンク38は、旋回ブレーキ支軸65aの軸直方向に延びる板部材であり、その一端はポール支持部26とは略並行に上下に延びるモーメント伝達リンク37の下端側に回動可能に連結されている。そして、モーメント伝達リンク37は、その上端側が略扇状の板部材である俯仰角度制限板36の外縁側に回動可能に連結されている。これにより、モーメント荷重伝達手段が構成されており、前記第二の位置での伸縮ポールの伸長量に応じたモーメント荷重は、俯仰角度制限板36、モーメント伝達リンク37および旋回ブレーキリンク38に順に伝達される。このとき、伸縮ポール28の伸長量が大きいほどモーメント荷重が大くなり、このモーメント荷重が大きいほど、モーメント伝達リンク37の上方への引張り力が大きくなるので、これに応じて旋回ブレーキリンク38の旋回ブレーキ支軸65aを中心とした時計回りのモーメントが大きくなるようになっている。なお、ポール支持部26、旋回ブレーキリンク38、モーメント伝達リンク37、および俯仰角度制限板36は、これらによって平行リンクを形成しており、俯仰角度制限板36の回動量と旋回ブレーキリンク38の回動量とは一致するようになっている。
【0055】
そして、モーメント荷重伝達手段を構成する旋回ブレーキリンク38の他端は、その下面が旋回ブレーキ手段である旋回ブレーキ39の、旋回ブレーキ支軸39c鍔部上面に当接している。
詳しくは、旋回ブレーキ39は、ポール支持部26の基部に設けられており、ブレーキ本体39aと、旋回ブレーキ支軸39cと、ブレーキ本体39aおよび旋回ブレーキ支軸39cの間に介装された複数の皿ばね39bと、を備えて構成されている。
【0056】
旋回ブレーキ本体39aは、合成樹脂製で略円筒状の部材であり、その円筒形状の内径は、同図での上側が大径部に、下側が小径部になっている。また、皿ばね39bは、旋回ブレーキ本体39aの大径部に内嵌可能な外径および旋回ブレーキ支軸39cを挿通可能な内径をもつ円環状の板ばねであり、旋回ブレーキ本体39aの大径部内に複数枚が積層されている。さらに、旋回ブレーキ支軸39cは、その軸部が、旋回ブレーキ本体39aに挿通可能な径であり、軸部の上部にはその軸部より径大な円形の鍔部を、また、その軸部下側には軸部より径小で旋回ブレーキ本体39aの小径部に挿通可能な先端部を有している。そして、ポール支持部26に連結されている旋回台17には、その円盤状をなす上部に貫通する旋回ブレーキ支軸装着孔39dが形成されており、この旋回ブレーキ支軸装着孔39dにその上部側から旋回ブレーキ支軸39cが挿通されて、その先端部に皿ばね39bを内装したブレーキ本体39aが下側からこの旋回ブレーキ支軸39cに沿って上下方向移動可能に外嵌している。この状態で、ブレーキ本体39aは、その下部がキャリア18の上部に当接しており、相互の当接面によってブレーキ作用を行わしめるようになっている。これにより、旋回ブレーキ39は、上記旋回ブレーキリンク38の旋回ブレーキ支軸65aを中心とした時計回りの回動量に応じて、旋回ブレーキ支軸39cが旋回ブレーキリンク38で下方に押し下げられ、押し下げられた旋回ブレーキ支軸39cの軸部下側の面が皿ばね39bを介してブレーキ本体39aをキャリア18上面に押付けることで、伸縮ポールの伸長量に応じたモーメント荷重に対応して、伝達されたモーメント荷重が大きいときには小さいときに比べてポール支持部26およびキャリア18相互間の摩擦を大きくするようになっている。
【0057】
次に、このカメラ用ペデスタルの作用・効果について説明する。
図8〜図10は、このカメラ用ペデスタルの作用を説明する図である。
上述のように、このカメラ用ペデスタルは、ポール支持部26の上側に、ポール俯仰軸29まわりで回動可能な伸縮ポール28を備えており、この伸縮ポール28を、ポール俯仰位置設定手段によって、少なくとも、鉛直方向に向けた第一の位置と、所望の傾斜角度に向けた第二の位置と、その先端がポール俯仰軸の水平面より低くなる第三の位置と、にそれぞれ設定することができる。
【0058】
すなわち、このカメラ用ペデスタルによれば、図8に示すように、第一の位置に設定する場合には、まず、ポール支持部26が水平に旋回できるように、レベル調整機構16でキャリア18のレベルを調整する。これにより、伸縮ポール28の軸芯Yを旋回軸の軸芯と平行にしたとき、伸縮ポール28を安定した状態で鉛直方向に伸縮できる。次いで、伸縮ポール28の軸芯Yを旋回軸の軸芯と平行にした、つまり鉛直方向に向けた第一の位置で、ポール俯仰ロック32の係止用プランジャ32aが、バネによって付勢されているので、俯仰ロック部材94の係止孔94aに係合して鉛直位置を保持することができる(第一の鉛直位置保持手段での保持)。これにより、伸縮ポールを第一の位置に設定して、伸縮ポールを鉛直方向に伸縮させて撮影を行うことができる。
【0059】
さらに、このカメラ用ペデスタルによれば、このとき、ポール支持部26の下部に固定された俯仰ロック部材94上に設けたトグルクランプ35によって下段ポール1をポール支持部26に、いわば二重に固定することができる(第二の鉛直位置保持手段での保持)。したがって、ポール俯仰ロック32と俯仰ロック部材94間のガタによるカメラ22の揺れをより好適に防止することができる。
【0060】
また、このカメラ用ペデスタルによれば、図9に示すように、第二の位置に設定する場合には、まず、図1ないし図2に示すように、伸縮ポール28の軸芯Yの方向を鉛直方向にして縮小状態にする。次いで、ポール切換軸30を、図6上で右方向に移動させて、俯仰角度制限板36の段付長穴91に嵌挿する。次いで、ポール伸長規制部材33のピン33aをポール伸長規制部材係止片93に係止した状態にする。次いで、昇降ハンドル14を手で伸縮ポール28の伸長方向に移動させてポール俯仰ロック32を俯仰ロック部材94の係止孔94aから外して係止を解除する。次いで、伸縮ポール28を、ポール俯仰軸29を中心として図2上で反時計回り(図7上で時計回り)に所定傾斜角度まで回動させると、ポール切換軸30の段付溝90が俯仰角度制限板36の段付長穴91に嵌合係止される。このとき、この状態では、切換えレバー31を左側に移動させようとしても段付溝90が段付長穴91により係止されているので、回動方向に移動できない。そのため、誤って切換えレバー31を左側に移動させることが防止され、伸縮ポール28が自重によりポール俯仰軸29を中心として回動して、カメラ22が落下することも防止される。したがって、被写体に対して真上に近い位置からでの撮影を安定して行うことができる。
【0061】
また、このカメラ用ペデスタルによれば、図10に示すように、第三の位置に設定する場合には、まず、伸縮ポール28を鉛直方向に向けるとともに縮小状態とし、ポール伸長規制部材33のピン33aをポール伸長規制部材係止片93に係止する。これにより、伸縮ポール28は伸長することができなくなる。
次に、切換えレバー31を図6上で左側に移動させる。これにより、ポール切換軸30が左側にスライド移動し、ポール切換軸30の左端が中段ポール2に設けられた係合穴92に嵌挿される。そのため、中段ポール2の係合穴92がポール切換軸30の左側端部に軸直方向で当接することによって下段ポール1に係止される。また、この状態では、ポール切換軸30の段付溝90は、俯仰角度制限板36に設けられた段付長穴91から抜けている。そのため、下段ポール1は俯仰角度制限板36に対しては回動自在となっている。
【0062】
次に、昇降ハンドル14を伸縮ポール28の伸長方向に移動させポール俯仰ロック32を解除する。これにより、伸縮ポール28はポール俯仰軸29を軸芯として回動が自在となり、さらに、ポール俯仰軸29は、上述のように、所定の伸長量での伸縮ポール28(この例では伸縮ポール28が縮小状態)、カメラ22、定荷重ばね5を合わせた状態での重心を通るので両端のバランスがとれる。そのため、撮影者は、伸縮ポール28を手動で容易に回動することができる。そして、ポール俯仰軸29を軸芯として伸縮ポールを図2上で反時計回りに回転させることによって、図10に示すように、伸縮ポール28の軸芯Yが鉛直方向を向いた状態における最低カメラ光軸高さより低い位置で撮影を行うことができる。なお、この場合の撮影では伸縮ポール28は伸長できないようになっているので、被写体に対して低い位置からの撮影を安定して行うことができる。
【0063】
ここで、この第三の位置において、撮影者が、伸縮ポール28を、ポール俯仰軸29を軸心として回動させると、ポール切換軸30は俯仰角制限板36の段付長穴91の位置とは対向位置が合わなくなる。これにより、回動させた状態では切換えレバー31を図6での右側に移動させようとしても、ポール切換軸30が俯仰角度制限板36に当接して移動ができない。そのため、伸縮ポール28を回動した状態において誤って切換えレバー31を右側に移動させてポール切換え軸30の左端が中段ポール2に設けた係合穴92から抜けることが防止される。したがって、伸縮ポール28に不意な伸長をさせることによって、その重心が伸縮ポール28の先端側に移動し、ポール俯仰軸29を軸心として伸縮ポール28が回動し、カメラ22が落下するのを防止することができる。
【0064】
そして、このカメラ用ペデスタルによれば、上記いずれの設定位置でも、撮影者は、カメラ22の方向を変更する時には、旋回レバー40を手動で旋回させるだけでよい。すなわち、ポール支持部26は、キャリア18上で旋回台17によって水平旋回可能に立設されているので、キャリア18の中心を通る鉛直軸を中心とするパン操作ができる。ここで、旋回レバー40はポール支持部26に連結されており、そのポール支持部26は、旋回台17によって伸縮ポール28と共に旋回する。したがって、旋回レバー40を手で旋回させた角度だけカメラ22を容易に水平旋回させることができる。また、キャリア18は、キャスター19を有する移動装置61を備えているので、カメラ22を任意の撮影位置まで水平移動させることもできる。また、このカメラ用ペデスタルによれば、ポール支持部26の視認し易い位置にカメラ用モニター25が設けられているので、上記いずれの設定位置でも、例えばカメラ22を高所に移動させた時も、撮影している映像を容易に確認できる。
【0065】
特に、このカメラ用ペデスタルによれば、ポール切換軸30は、上記傾斜角度係脱切換手段および伸長規制係脱切換手段の二つの係脱切換手段を兼ねた構成になっている。そのため、係脱切換手段の構成をコンパクトにするとともに、その操作性に優れている。
すなわち、伸縮ポール28の軸心が鉛直方向を向いているときに、切換えレバー31を右側に移動させて、ポール切換軸30を右側に移動させると、ポール切換軸30の段付溝90は俯仰角制限板36に設けられた段付長穴91に嵌挿され、同時にポール切換軸30は中段ポール2に設けられた係合穴92から抜ける。他方、伸縮ポール28の軸心Yが鉛直方向を向いているときに、切換えレバー31を左側に移動させて、ポール切換軸30を左側に移動させると、ポ一ル切換軸30の左端が中段ポール2に設けられた係合穴92に嵌挿され、同時にポール切換軸30の段付溝90は俯仰角度制限板36に設けられた段付長穴91から抜ける(図6に示す状態)という一連の操作を円滑に行なうことができる。
【0066】
さらに、このカメラ用ペデスタルによれば、上記構成からなる伸縮手段を備えているので、カメラ22の高さを変更する時には、撮影者は、昇降ハンドル14を手動で昇降させるだけでよい。なお、このときのカメラ22は、昇降ハンドル14の操作移動距離の2倍の距離だけ昇降する。また、この昇降ハンドル14の操作に際しては、大きな力は要しない。
【0067】
すなわち、上記構成からなる伸縮手段は、カメラ22、カメラ固定部9、および上段ポール1に作用する重力を、上段ポール昇降用ワイヤロープ8に掛けており、その張力が第二昇降用滑車7で支持されている。そして、この第二昇降用滑車7で支持される上段ポール昇降用ワイヤロープ8の張力、および、昇降ハンドル14を含む中段ポール2に作用する重力は、中段ポール昇降用ワイヤロープ6に掛かるが、この力を相殺するように、中段ポール昇降用ワイヤロープ6に、定荷重ばね4によって常に一定の張力が与えられている。したがって、伸縮ポール28を伸縮させるのに大きな力は要しないのである。
【0068】
さらに、このカメラ用ペデスタルによれば、上記構成からなるチルト操作手段を備えているので、撮影者は、上記いずれの設定位置でも、カメラ22のチルト角度を変更する時には、チルトハンドル24を手動で操作することで、チルト操作軸11でチルト操作用滑車10を回動させるだけでカメラ固定部9をその支軸21まわりで回動させてカメラ22を所望のチルト角度に設定することができる。
【0069】
すなわち、前記チルト操作手段は、チルト用ワイヤロープ23がチルト用滑車12、13及び43、44に掛け回されて、一端がチルト操作用滑車10に連結され、他端がカメラ固定部9に固定されているカメラチルト用滑車27に連結されているので、チルト操作用滑車10を回動させると、これに連動してカメラ22のチルト角度を変えることができる。
【0070】
具体的には、例えば、図2において、チルト操作軸11を同図での時計方向に回転させると、チルト用滑車12及びチルト用滑車43を介してカメラチルト用滑車27の後側に連結されているチルト用ワイヤロープ23が引っ張られて、カメラチルト用滑車27が時計方向に回転する。これにより、カメラ固定部9の後側が下がるように傾動するので、カメラ22を上に向けることができる。このとき、カメラチルト用滑車27の前方に連結されているチルト用ワイヤロープ23は、チルト操作用滑車10の回転でチルト用滑車44及びチルト用滑車13を介して送り出されるため、カメラチルト用滑車27の回転に追従することができる。
【0071】
また、図2において、チルト操作軸11を同図での反時計方向に回転させると、チルト用滑車13及びチルト用滑車44を介してカメラチルト用滑車27の前側に連結されているチルト用ワイヤロープ23が引っ張られて、カメラチルト用滑車27が反時計方向に回転する。これにより、カメラ固定部9の前側が下がるように傾動するので、カメラ22を下に向けることができる。
【0072】
ここで、このカメラ用ペデスタルは、伸縮ポール28を、図8に示す伸長状態から図2に示す縮小状態に縮小させたときは、カメラチルト用滑車27から中段ポール2下部に設けたチルト用滑車43、44までの距離が伸縮ポール28の移動距離分だけ減少する。しかし、上記構成からなるチルト操作手段によれば、そのチルト用滑車43、44から下段ポール1上部に設けたチルト用滑車12、13までの距離が伸縮ポール28の移動距離と同じ距離だけ増加するので、チルト用ワイヤロープ23が弛むことはない。したがって、このカメラ用ペデスタルは、伸縮ポール28を、縮小状態、伸長状態、および縮小状態から伸長状態に伸長させつつ、あるいは、伸長状態から縮小状態に縮小させつつチルト操作するいずれの場合でも同様に、チルトハンドル24の操作でカメラのチルト角度を所望の角度に変更することができる。
【0073】
また、例えば上記第三の位置に設定する場合において、チルトハンドル24を例えば図2で示す角度に一定に保持したまま、伸縮ポール28を、ポール俯仰軸29を軸芯として同図で反時計回りに回動させると、チルトハンドル24に連結されているチルト操作用滑車10は、伸縮ポール28が反時計回りに回転した角度だけ、見かけ上時計回りに回動することになる。そのため、カメラチルト用滑車27も同様に時計回りに回動し、被写体に対し、一定のチルト角度を保持することができるのである。
【0074】
また、このカメラ用ペデスタルによれば、カメラ22は、その重心が支軸21の軸線上となる位置でカメラ固定部9に固定されているので、カメラ22の角度が変化してもチルトハンドル24の操作力をほぼ一定にすることができる。
さらに、このカメラ用ペデスタルによれば、前記第二の位置での過剰旋回操作抑制手段を備えているので、前記第二の位置で伸縮ポール28を傾斜させ且つ伸ばした場合でもその過剰な旋回操作が抑制される。そのため、カメラ22の姿勢をより安定させつつ旋回操作をすることができる。
【0075】
すなわち、前記第二の位置において、撮影者は、ポール伸長規制部材33のピン33aをポール伸長規制部材係止片93から外して、伸縮ポール28を所定傾斜角度方向で伸長させる。このとき、図7に示すように、ポール切換軸30は、その段付溝90が俯仰角度制限板36の段付長穴91に係止されている。そのため、俯仰角度制限板36にはポール俯仰軸29を軸芯として同図での時計回り方向のモーメント荷重が掛り、このモーメント荷重が俯仰角度制限板36に連結されたモーメント伝達リンク37に引張り力として掛かる。そして、このモーメント伝達リンク37は旋回ブレーキリンク38の一端に連結されているので、その引張り力により旋回ブレーキリンク38も旋回ブレーキ軸65に対して同図で時計回りのモーメントを受ける。そのため、旋回ブレーキリンク38の他端が旋回ブレーキ39を下向きに押す。これにより、旋回ブレーキ39にはキャリア18上面との間にモーメント荷重の大きさに応じた摩擦力が生じる。したがって、モーメント荷重が大きいときには小さいときに比べてその付与する摩擦力を大きくすることで旋回操作力がモーメント荷重の大きさに応じて増大し、急激な旋回操作ができなくなる。また、旋回ブレーキ39がその最大変形量まで押し圧されると、上述したように、ポール支持部26、旋回ブレーキリンク38、モーメント伝達リンク37、および俯仰角度制限板36は、これらによって平行リンクを形成しており、俯仰角度制限板36の回動量と旋回ブレーキリンク38の回動量とは一致するようになっているので、伸縮ポール28は、所定傾斜角度以上回動させる事ができなくなるのである。
【0076】
なお、本発明に係るカメラ用ペデスタルは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、キャリア18は、その水平移動を可能とする移動装置61が、キャスター19を有して構成されている例で説明したが、移動装置は、上記例示した構成に限定されない。そこで、以下、移動装置の変形例について説明する。
【0077】
図11に本発明に係るカメラ用ペデスタルでの移動装置の変形例(第一の変形例)を示す。ここで、この変形例は上記実施形態とは移動装置のみ異なっており、移動装置が、軌道走行車輪を備えて構成されている例である。なお、同図では、そのカメラ用ペデスタルの左側面図を示している。
このカメラ用ペデスタルでは、同図に示すように、移動装置62は、キャリア18に、上記実施形態同様の移動装置取付ブラケット64を四方に備えている。そして、この移動装置取付ブラケット64を二つ一組にして、各組毎に軌道用の移動装置構成部材がそれぞれ装着されて移動装置62を構成している。
【0078】
詳しくは、この移動装置62は、各移動装置取付ブラケット64にレベル調整機構16を上記実施形態同様に備えており、そのレベル調整機構16のハンドル42の軸を利用して、この軸を二つ一組にして一のアダプタ45がこれに連結固定されている。すなわち、アダプタ45は、同図紙面方向前後にそれぞれ装着される。各アダプタ45は、その前後端部の下部にネジをそれぞれ有しており、このネジにアダプタ45の前後端部に垂直な支軸67が回動可能に取付けられている。なお、支軸67には、その上端に高さ調整ハンドル46が取付けられている。そして、この支軸67は下方にさらに雄ネジを有しており、この雄ネジに車輪用ステー95が固定されている。この車輪用ステー95は、軌道方向に延びる板状部材であり、その軌道方向の両側には、軌道48上を移動するための軌道走行車輪47がそれぞれ設けられている。
【0079】
このような構成であれば、撮影者の意図する移動経路に合わせて軌道48を敷設しておけば、軌道走行車輪47を備えた移動装置62がその軌道に倣って移動するので、移動しながらの撮影を行う場合に、撮影者の意図した通りの映像をより好適に撮ることができる。
すなわち、例えば上記実施形態でのカメラ用ペデスタルでは、4個のキャスター19を備えているが、各キャスター19は、各移動装置61毎にそれぞれ転向自在に支承されているので、キャスター19の方向が揃っていない状態から移動を開始すると、それぞれのキャスター19の方向が撮影者の意図する方向に揃うまでの間は、撮影者の意図と異なる方向に進むことになる。したがって、移動しながらの撮影を行うような場合には、撮影者の意図した通りの映像を撮れない可能性がある。
【0080】
しかし、この第一の変形例によるカメラ用ペデスタルによれば、撮影者は、まず、撮影者の意図する移動経路に合わせて軌道48を敷設しておき、カメラ用ペデスタルをその軌道48上に載置する。なお、車輪用ステー95の高さは、車輪用ステー95の高さを低くする時には高さ調整ハンドル46を平面視で時計回りに回転させ、車輪用ステー95の高さを高くする時には高さ調整ハンドル46を平面視で反時計回りに回転させることで高さを揃えることができる。そして、移動ハンドル66を押してカメラ用ペデスタルを走行させると、軌道48の方向に従って、各車輪用ステー95が支軸67を中心として回動して方向転換するので、キャリア18は軌道48に沿って所定の経路を正確に移動することができる。したがって、決った移動経路を移動しながら撮影を行う様な場合に、撮影者の意図した通りの映像を振ることができるのである。
ここで、この第一の変形例のカメラ用ペデスタルにおいても、同じ場所で様々な移動経路が想定されたり、他のカメラ用ペデスタルとの干渉が生じるために軌道48の敷設が不可能な撮影現場であったりする場合には、その使用が難しい。
【0081】
そこで、次に、この様な場合にも適用し得る変形例について説明する。
図12に本発明に係るカメラ用ペデスタルでの移動装置の変形例(第二の変形例)を示す。ここで、この変形例は上記実施形態とは移動装置のみ異なっており、移動装置が、操舵が可能なキャスターと、この操舵が可能なキャスターを操舵する操舵ハンドルと、を有して構成されている例である。なお、同図では、そのカメラ用ペデスタルの左側面図を示している。
【0082】
このカメラ用ペデスタルでは、同図に示すように、キャリア18には、上記実施形態同様に、移動装置取付ブラケット64が四方に固設されている。そして、この移動装置63は、2個の移動装置取付ブラケット64を一組とし、各組に対してレベル調整機構16のハンドル42を利用して固定された一のアダプタ49を同図紙面方向前後にそれぞれ備えている。各アダプタ49の前後端部には、垂直な操舵軸56が回動可能にそれぞれ、計4箇所に取付けられており、各操舵軸56下部には、スプロケット53がスプリング50とともに固設されている。そして、そのスプロケット53およびスプリング50の下方にはキャスター取付部材55が操舵軸56の軸芯方向に滑動可能にスプリング50により床面方向に向けて押し圧されつつ支持されている。さらに、このキャスター取付部材55には、操舵軸56に軸直にキャスタ軸97が設けられており、このキャスタ軸97にキャスター54が回転可能に取付けられる。そして、このキャスター54を囲むように操舵軸56にキャスターカバー96が取り付けられている。
【0083】
ここで、上記4箇所のスプロケット53のうちそれぞれ隣り合う2箇所には、図13に示すように、2本のチェーン52が掛け回されており、この2本のチェーン52の2箇所の連結部それぞれにおいて、一方のチェーンの端部にスプリングホルダー58が連結されており、また、他方のチェーンの端部にはスプリング軸59が連結されている。そして、スプリング軸59は、スプリングホルダー58に対し摺動自在に嵌合されており、スプリングホルダー58とスプリング軸59との間にはスプリング57が配置されている。なお、このスプリング57は、チェーン52の張力が圧縮力となるように組込まれている。さらに、スプリングホルダー58には、インデックスプランジャ60が設けられており、このインデックスプランジャ60は、スプリング軸59との係脱を可能に構成されている。
【0084】
このような構成であれば、同じ場所で様々な移動経路が想定されたり、他のカメラ用ペデスタルとの干渉が生じるために軌道48の敷設が不可能な撮影現場であったりする場合でも好適に使用し得るカメラ用ペデスタルとすることができる。
具体的には、例えば、このカメラ用ペデスタルにおいて、キャリア18を回転させずに操舵しながら撮影を行う際の操作について説明する。
このような操作を行なう場合には、まず、インデックスプランジャ60で、スプリングホルダー58とスプリング軸59を係止しておく。次に、4本の操舵軸56の上部に取付けた操舵ハンドル51のうちの1箇所を操舵方向に操舵角度だけ回転させる。なお、操舵ハンドル51の操作は手で行っても、足で行っても良い。
【0085】
そして、上述の図13に示すように、4ヶ所の操舵軸56には、それぞれスプロケット53が固設されており、2本のチェーン52は4箇所のスプロケット53に掛け回され、2箇所のチェーン52の連結部はスプリングホルダー58、スプリング軸59で連結されて、インデックスプランジャ60で係止されているので、1箇所の操舵軸56を回動させると、4箇所の操舵軸56を同じ角度だけ回動させることができる。
これにより、操舵ハンドル51を、意図する方向に操舵すると、意図する通りでかつ第一の変形例での移動装置62に比べ自由度のある経路での移動を行うことができる。
【0086】
次に、このカメラ用ペデスタルにおいて、スタジオ間の移動や狭い場所を通り抜ける際の操作について説明する。
このような操作を行なう場合に、キャリア18を幅の取らないような方向に向けるには、図14に示すように、まず始めに、スプリング軸59の軸方向と操舵キャスター移動装置63の全てのキャスター54の走行方向を合わせた後、2箇所のインデックスプランジャ60を引抜く。次いで、スプリングホルダ58とスプリング軸59との係止を解除して、スプリングホルダ58とスプリング軸59とがスプリング57の伸縮で摺動可能な状態にする。そして、チェーン52の連結部を挟む2箇所の操舵ハンドル51を持ち、進行方向前側の操舵ハンドル51は操舵させたい方向に、進行方向後側の操舵ハンドル51は操舵させたい方向と反対側にそれぞれ回転させる。これにより、進行方向前側のキャスター54は、操舵させたい方向に移動し、進行方向後側のキャスター54は操舵させたい方向とは反対方向に移動するので、キャリア18を操舵させたい方向に回転させることができる。
【0087】
ここで、4箇所の操舵軸56に対してキャスター54が固定されており、その高さが一定であると、床面に凹凸がある場合には、1箇所のキャスター54が浮き上がってしまうことになる。そして、この様な状態で走行すると、浮いているキャスター54が入れ替わる時にカメラ22に揺れが発生する可能性があるが、このカメラ用ペデスタルによれば、操舵軸56とキャスター取付部材55は滑動可能に取付けられ、スプリング50により床面方向に向けて押し圧可能に支えることによりこの問題を解決している。すなわち、それぞれ4箇所の操舵軸56に、カメラ用ペデスタルに掛る重力の1/4が掛った場合、各スプリング50はそれに応じてたわみ、操舵軸56とキャスター取付部材55は接している状態になる。このとき、床面の凹凸により1箇所のキャスター54が浮き上がると、操舵軸56にかかる力がその分減少してスプリング50が伸長し、キャスター54はスプリング50によって床面に押付けられる。これにより、キャスター54の床面に対する浮き上がりがなくなり、カメラ22の揺れを抑えることができる。
【0088】
また、この第二の変形例では、キャスター54の周囲にキャスターカバー96を備えているので、移動の際にカメラ22の電源や映像信号のケーブルが、キャスター54に巻きこまれるのを防止することができる。
このように、この第二の変形例でのカメラ用ペデスタルによれば、同じ場所で様々な移動経路が想定されたり、他のカメラ用ペデスタルとの干渉が生じるために軌道48の敷設が不可能な撮影現場であったりする場合でも好適に使用することができる。
【0089】
なお、上記各変形例で説明した移動装置は、上記実施形態に適用した例で説明したが、これに限定されず、各変形例での移動装置は、他のカメラ用ペデスタルに装着しても、その作用・効果を奏するものであり、より具体的には、水平移動するための複数の移動装置を有するキャリアと、このキャリア上に水平旋回可能に支承される旋回台と、この旋回台上に立設するポール支持部と、このポール支持部に連結されるとともに長手方向に伸縮可能に構成された伸縮ポールと、この伸縮ポールを所望の伸縮位置に設定可能にするとともにその位置を保持する伸縮手段と、伸縮ポールの先端側にカメラを載置固定するカメラ固定部と、を備えるカメラ用ペデスタルにおいて、その移動装置に各変形例それぞれを好適に用いることができる。
【0090】
ここで、本発明に係るカメラ用ペデスタルは、上記実施形態、および各変形例に限定されるものではなく、また、相互に組合わせることも勿論できる。
例えば、上記実施形態および各変形例でのカメラ用ペデスタルでは、キャリア18に、上記実施形態同様の移動装置取付けブラケット64を四方に固設しているので、必要に応じて、キャスター式の移動装置61(実施形態の例)、軌道を用いた移動装置62(第一の変形例)、操舵キャスターを備えた移動装置63(第二の変形例)を適宜交換して使用することができる。
【0091】
また、例えば、鉛直位置保持手段としての係止構造を構成する各部材の装着位置は、上記位置に限定されず、例えば、ポール俯仰ロック32は、下段ポール1の適所とポール支持部26の適所とを係止可能であればよいし、また、ポール伸長規制部材33は、中段ポール2の適所と下段ポール1の適所とを係止可能であればよく、このポール伸長規制部材33に対して係止可能に設けられたポール伸長規制部材係止片93と、このポール伸長規制部材係止片93とポール俯仰ロック32とを連結するロック連動軸34と、を備えて構成されていればよい。また、上述した他の手段の構成に於いて、その係止構造を構成する各部材の装着位置等についても同様である。
【0092】
また、上記実施形態では、ポール俯仰位置設定手段は、三つの設定位置をそれぞれ設定可能な例で説明したが、これに限定されず、三つの設定位置のうち、少なくとも二つの位置をそれぞれ設定可能とする構成にすることもできる。しかし、最低カメラ光軸の高さを、より低く設定可能とするとともに、狭い場所でも高い位置からの撮影を可能とし、さらに、被写体に対してその真上に近い位置からの撮影を可能とする、より好適なカメラ用ペデスタルを構成する上では、上記実施形態同様、三つの設定位置をそれぞれ設定可能なポール俯仰位置設定手段とすることが好ましい。
【0093】
また、上記実施形態では、伸縮ポール28がポール支持部26に連結される途中部分は、前記所定の伸長量での当該伸縮ポール28、載置固定された状態のカメラ22、伸縮手段およびチルト操作手段を組合わせた状態での重心が、ポール俯仰軸29の軸線上を通る位置となるように構成されている例で説明したが、これに限定されず、前記途中部分は、少なくともポール俯仰軸29の軸線上の近傍を通る位置となるように構成されていれば、操作性が大きく損われることはない。また、多少の操作性の低下が許容可能な範囲であれば、その範囲内で前記途中部分を適宜に設定することもできる。しかし、伸縮ポールの一端側と他端側とのバランスを良くして、伸縮ポールを縮小させた状態で下向きにする場合でもより安定した操作を可能とする上では、上記実施形態での構成とすることが好ましい。
【0094】
また、上記実施形態では、カメラ固定部9は、これに載置固定されるカメラ22の重心が、その回動する軸の軸線上の位置となるように構成されている例で説明したが、これに限定されず、多少の操作性の低下が許容可能な範囲であれば、その範囲内で前記カメラ22の重心をその回動する軸の軸線上以外の位置に適宜に設定することもできる。しかし、チルト角度に関わらずチルト操作時の操作力を一定とし、チルト操作をより容易にする上では、上記実施形態での構成とすることが好ましい。
【0095】
また、上記実施形態では、前記伸縮ポール28は、下段ポール1、中段ポール2および上段ポール3の三段から構成された例で説明したが、これに限定されず、例えば五段式のポールの組合わせから伸縮ポールを構成可能である。しかし、例えば上記伸縮手段やチルト操作手段での滑車やワイヤの設置等の条件やその操作性を考慮すれば上記実施形態での三段から構成された伸縮ポールとすることが好ましい。
【0096】
また、上記実施形態では、中段ポール2に、前記伸縮手段を伸縮させるための昇降ハンドル14を取付けて構成された例で説明したが、これに限定されず、伸縮手段を操作可能であれば、適宜の位置に昇降ハンドルを取付けてもよい。しかし、昇降操作をより容易にする上では上記実施形態での構成とすることが好ましい。
また、上記実施形態では、過剰旋回操作抑制手段を有する例で説明したが、これに限定されず、本発明に係るカメラ用ペデスタルは、過剰旋回操作抑制手段を有しない構成としてもよい。しかし、伸縮ポールを傾斜させ且つ伸ばした場合でもその過剰な旋回操作を抑制して、カメラの姿勢をより安定させつつ旋回操作をする上では、上記実施形態での過剰旋回操作抑制手段を有する構成とすることが好ましい。
【0097】
また、上記実施形態では、伸長規制係脱切換手段として、第一の伸長規制係脱切換手段および第二の伸長規制係脱切換手段という二つの伸長規制係脱切換手段を備えている例で説明し、また、鉛直位置保持手段として、第一の鉛直位置保持手段および第二の鉛直位置保持手段の二つの鉛直位置保持手段を備えている例で説明したが、これに限定されず、伸長規制係脱切換手段ないし鉛直位置保持手段は、少なくともそれぞれを一つずつ備えていればよい。 例えば、鉛直位置保持手段として、いずれか一方の鉛直位置保持手段を備えた構成としてもよい。しかし、下段ポール1とポール支持部26とを、二重に固定して、ガタによるカメラ22の揺れをより好適に防止し、また、カメラ用ペデスタルを輸送、搬送する場合の揺れを抑制する構成とする上では、上記実施形態での構成が好ましい。特に、フェール・セーフやフール・プルーフ等を考慮する上では、各手段が上記実施形態のように二重の構成を備えることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明に係るカメラ用ペデスタルの一実施形態を説明する図であり、同図はそのカメラ用ペデスタルの伸縮ポールを縮小した状態での正面図である。
【図2】図1に示すカメラ用ペデスタルの左側面図である。
【図3】図1のカメラ用ペデスタルの伸縮ポールを所定の傾斜角度に向けるとともに伸長した状態での正面図である。
【図4】伸縮手段およびチルト操作手段の説明図であり、同図ではそれぞれのワイヤロープを掛け回した状態を斜視図にて示している。
【図5】図1に示すカメラ用ペデスタルのA−A線拡大断面図である。
【図6】図1に示すカメラ用ペデスタルを説明する図であり、同図(a)は図1でのB−B線拡大断面図、また、同図(b)は図6(a)でのE矢視拡大図である。
【図7】図1に示すカメラ用ペデスタルを説明する図であり、同図(a)は図3でのC−C線拡大断面図、また、同図(b)は図7(a)でのF部拡大図である。
【図8】本発明に係るカメラ用ペデスタルの作用を説明する図であり、同図では、伸縮ポールを、その軸線を鉛直方向に向けた第一の位置に設定した状態で示している。
【図9】本発明に係るカメラ用ペデスタルの作用を説明する図であり、同図では、伸縮ポールを、その軸線を所定の傾斜角度に向けた第二の位置に設定した状態で示している。
【図10】本発明に係るカメラ用ペデスタルの作用を説明する図であり、同図では、伸縮ポールを、その先端がポール俯仰軸の水平面より低くなる第三の位置に設定した状態で示している。
【図11】本発明に係るカメラ用ペデスタルの変形例(第一の変形例)を説明する図である。
【図12】本発明に係るカメラ用ペデスタルの変形例(第二の変形例)を説明する図である。
【図13】第二の変形例を説明するD矢視拡大図であり、同図ではキャリアを回転させずに操舵する状態の例で示している。
【図14】第二の変形例での作用を説明するD矢視拡大図であり、同図ではキャリアを回転させて操舵する例を示している。
【図15】本出願人による他のカメラ用ペデスタルの一例を示す図である。
【図16】本出願人による他のカメラ用ペデスタルの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0099】
1 下段ポール
2 中段ポール
3 上段ポール
4 定荷重ばね
5 第一昇降用滑車
6 中段ポール昇降用ワイヤロープ
7 第二昇降用滑車
8 上段ポール昇降用ワイヤロープ
9 カメラ固定部
10 チルト操作用滑車
11 チルト操作軸
12、13 第一のチルト用滑車
14 昇降ハンドル
15 カメラ用モニター固定部
16 レベル調整機構
17 旋回台
18 キャリア
19 キャスター
20 キャスターカバー
21 支軸
22 カメラ
23 チルト用ワイヤロープ
24 チルトハンドル
25 カメラ用モニター
26 ポール支持部
27 カメラチルト用滑車
28 伸縮ポール
29 ポール俯仰軸
30 ポール切換軸
31 切換えレバー
32 ポール俯仰ロック
33 ポール伸長規制部材
33a ピン
34 ロック連動軸
35 トグルクランプ
36 俯仰角度制限板
37 モーメント伝達リンク
38 旋回ブレーキリンク
39 旋回ブレーキ
40 旋回レバー
41 キャスター支持部材
42 ハンドル
43、44 第二のチルト用滑車
45 アダプタ
46 高さ調整ハンドル
47 軌道走行車輪
48 軌道
49 アダプタ
50 スプリング
51 操舵ハンドル
52 チェーン
53 スプロケット
54 キャスター
55 キャスター取付部材
56 操舵軸
57 スプリング
58 スプリングホルダー
59 スプリング軸
60 インデックスプランジャ
61、62、63 移動装置
64 移動装置取付ブラケット
65 旋回ブレーキ支軸ブラケット
66 移動ハンドル
67 支軸
88 伸縮手段
90 段付溝
91 段付長穴
92 係合穴
93 ポール伸長規制部材係止片
94 俯仰ロック部材
95 車輪用ステー
96 キャスターカバー
97 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平移動するための複数の移動装置を有するキャリアと、このキャリア上に水平旋回可能に支承される旋回台と、この旋回台上に立設するポール支持部と、途中部分がポール支持部の上側に水平なポール俯仰軸まわりに回動可能に連結されるとともに、長手方向に伸縮可能に構成された伸縮ポールと、この伸縮ポールを所望の伸縮位置に伸縮可能にするとともにその位置を保持する伸縮手段と、伸縮ポールの先端側に水平な軸まわりで回動自在に枢支したカメラ固定部と、このカメラ固定部を回動させて所望の角度に設定するためのチルト操作手段と、伸縮ポールを、その軸線を鉛直方向に向けた第一の位置、その軸線を所定の傾斜角度に向けた第二の位置、およびその先端がポール俯仰軸の水平面より低くなる第三の位置それぞれに設定するためのポール俯仰位置設定手段と、を備えていることを特徴とするカメラ用ペデスタル。
【請求項2】
水平移動するための複数の移動装置を有するキャリアと、このキャリア上に水平旋回可能に支承される旋回台と、この旋回台上に立設するポール支持部と、途中部分がポール支持部の上側に水平なポール俯仰軸まわりに回動可能に連結されるとともに、長手方向に伸縮可能に構成された伸縮ポールと、この伸縮ポールを所望の伸縮位置に伸縮可能にするとともにその位置を保持する伸縮手段と、伸縮ポールの先端側に水平な軸まわりで回動自在に枢支したカメラ固定部と、このカメラ固定部を回動させて所望の角度に設定するためのチルト操作手段と、伸縮ポールを、その軸線を鉛直方向に向けた第一の位置、その軸線を所定の傾斜角度に向けた第二の位置、およびその先端がポール俯仰軸の水平面より低くなる第三の位置のうち、少なくとも二つの位置をそれぞれ設定するためのポール俯仰位置設定手段と、を備えていることを特徴とするカメラ用ペデスタル。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記伸縮ポールは、下段ポール、中段ポールおよび上段ポールを備えて構成されており、
前記伸縮手段は、下段ポールの基部に設けられて中段ポール、上段ポール、カメラ固定部およびカメラの荷重を相殺するための定荷重ばねと、下段ポールの上部に設けられた第一昇降用滑車と、この第一昇降用滑車に掛け回されて一端が定荷重ばねに連結されるとともに他端が中段ポールの下部に連結された中段ポール昇降用ワイヤロープと、中段ポールの上部に設けられた第二昇降用滑車と、この第二昇降用滑車に掛け回されて一端が下段ポールの基部に連結されるとともに他端が上段ポール下部に連結された上段ポール昇降用ワイヤロープと、を備えて構成されていることを特徴とするカメラ用ペデスタル。
【請求項4】
請求項3において、
前記ポール俯仰位置設定手段は、
前記第一の位置を保持するとともにその保持および非保持を切り替えるための手段を有する鉛直位置保持手段と、前記第二の位置を保持するとともにその保持および非保持を切り替えるための手段を有する傾斜位置保持手段と、前記第三の位置での伸縮ポールの伸縮動作を所定の伸長量に規制するためのポール伸長規制手段と、を備えて構成されていることを特徴とするカメラ用ペデスタル。
【請求項5】
請求項4において、
前記鉛直位置保持手段は、
ポール支持部に設けられた鉛直位置保持被係止部と、この鉛直位置保持被係止部に対して前記第一の位置に伸縮ポールの軸線を向けた位置でのみ係止可能に下段ポールに設けられた鉛直位置保持係止部と、鉛直位置保持被係止部と鉛直位置保持係止部との係脱をするための鉛直位置保持係脱手段と、を備えて構成されていることを特徴とするカメラ用ペデスタル。
【請求項6】
請求項4または5において、
前記傾斜位置保持手段は、
前記所定の傾斜角度に対応する傾斜角度保持部を有する俯仰角度制限板と、その傾斜角度保持部に対して係脱可能に下段ポールに支持された傾斜角度被保持部と、傾斜角度保持部と傾斜角度被保持部との係脱を前記第一の位置に伸縮ポールの軸線を向けたときのみ切り替え可能な傾斜角度係脱切換手段と、を備えて構成されていることを特徴とするカメラ用ペデスタル。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか一項において、
前記ポール伸長規制手段は、
中段ポールに設けられた伸長規制被係止部と、この伸長規制被係止部に対して係脱可能に下段ポールに設けられた伸長規制係止部と、伸長規制被係止部と伸長規制係止部との係脱を前記第一の位置に伸縮ポールの軸線を向けたときのみ切り替え可能な伸長規制係脱切換手段と、を備えて構成されていることを特徴とするカメラ用ペデスタル。
【請求項8】
請求項3〜7のいずれか一項において、
前記チルト操作手段は、
伸縮ポールの先端部に設けた水平軸に対して回動自在で且つカメラ固定部に連結したカメラチルト用滑車と、伸縮ポールの軸芯に対して垂直で且つ下段ポールに対して回動自在に設けられたチルト操作軸と、このチルト操作軸にその中心部を連結したチルト操作用滑車と、チルト操作軸を回動するためにチルト操作軸に連結したチルト操作用ハンドルと、下段ポールの上部に設けられた第一のチルト用滑車と、中段ポールの下部に設けられた第二のチルト用滑車と、これらチルト用滑車に順に掛け回されて、一端がチルト操作用滑車に連結されるとともに、他端がカメラチルト用滑車に掛け回されたチルト用ワイヤロープと、を備えて構成されていることを特徴とするカメラ用ペデスタル。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項において、
カメラ固定部に載置固定されるカメラの重心が、カメラ固定部が回動する軸の軸線上の位置となるように構成されていることを特徴とするカメラ用ペデスタル。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項において、
前記第二の位置での伸縮ポールの伸長量に応じたモーメント荷重を伝達するモーメント荷重伝達手段と、ポール支持部およびキャリア相互間で摩擦力を付与して、モーメント荷重伝達手段で伝達されたモーメント荷重が大きいときには小さいときに比べてその付与する摩擦力を大きくする旋回ブレーキ手段と、を有する過剰旋回操作抑制手段を更に備えていることを特徴とするカメラ用ペデスタル。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項において、
キャリアは、その水平移動を可能とする移動装置が、軌道走行車輪を有して構成されていることを特徴とするカメラ用ペデスタル。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項において、
キャリアは、その水平移動を可能とする移動装置が、キャスターを有して構成されていることを特徴とするカメラ用ペデスタル。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか一項において、
キャリアは、その水平移動を可能とする移動装置が、操舵が可能なキャスターと、この操舵が可能なキャスターを操舵する操舵ハンドルと、を有して構成されていることを特徴とするカメラ用ペデスタル。
【請求項14】
水平移動するための複数の移動装置を有するキャリアと、このキャリア上に水平旋回可能に支承される旋回台と、この旋回台上に立設するポール支持部と、このポール支持部に連結されるとともに長手方向に伸縮可能に構成された伸縮ポールと、この伸縮ポールを所望の伸縮位置に設定可能にするとともにその位置を保持する伸縮手段と、伸縮ポールの先端側にカメラを載置固定するカメラ固定部と、を備えるカメラ用ペデスタルにおいて、
前記移動装置は、軌道走行車輪を有して構成されていることを特徴とするカメラ用ペデスタル。
【請求項15】
水平移動するための複数の移動装置を有するキャリアと、このキャリア上に水平旋回可能に支承される旋回台と、この旋回台上に立設するポール支持部と、このポール支持部に連結されるとともに長手方向に伸縮可能に構成された伸縮ポールと、この伸縮ポールを所望の伸縮位置に設定可能にするとともにその位置を保持する伸縮手段と、伸縮ポールの先端側にカメラを載置固定するカメラ固定部と、を備えるカメラ用ペデスタルにおいて、
前記移動装置は、操舵が可能なキャスターと、この操舵が可能なキャスターを操舵する操舵ハンドルと、を有して構成されていることを特徴とするカメラ用ペデスタル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−19757(P2007−19757A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−197961(P2005−197961)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(000165974)古河機械金属株式会社 (211)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】