説明

カメラ用羽根駆動装置

【課題】組付け作業性が向上したカメラ用羽根駆動装置を提供する。
【解決手段】カメラ用駆動装置1は、開口15を有する基板10と、開口15を開閉自在に支持された羽根20a〜20cと、基板10に対し回動自在に支持されるとともに駆動源から供給された駆動力を羽根へ伝達する駆動リング30とを備え、駆動リング30の一部と摺接して駆動リング30を支持する主要支持部13と、組み付け作業中に主要支持部13からの支持が外れて駆動リング30が傾くことを抑制する突出部31a〜31c及び補助支持部11a〜11cとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ用羽根駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、駆動リングを用いて羽根を駆動するカメラ用羽根駆動装置が知られている。例えば特許文献1には、開口を有する基板上に駆動リングを回動自在に配置し、開口を開閉するための羽根を駆動リングに係合させることによって、駆動リングの回動に応じて羽根が開閉動するカメラ用羽根駆動装置が開示されている。このようなカメラ用羽根駆動装置は、作業者が手作業で組付けるものが多い。
【0003】
【特許文献1】特開平5−340711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなカメラ用羽根駆動装置では、駆動リングを基板に対して回動自在に支持する必要があるため、基板には円筒状に形成されて、駆動リングの一部と摺接する支持部が形成されている。このため、このようなカメラ用羽根駆動装置を組付けるには、支持部に駆動リングを乗せ、駆動リング上に羽根などの各部品を配置する必要がある。
しかしながらこの支持部は、駆動リングよりも径方向に薄い幅を有して形成され、駆動リングの径方向の幅のうち内側の部分のみと摺接する。従って、駆動リングの羽根作動ピンに羽根を組み付けているときに、その羽根又は組み付けようとした羽根作動ピンを押してしまうと、駆動リングが基板に対して傾いてしまい、駆動リングよりも上方に配置した部品などの係合は外れてしまう場合があった。このため組付け作業性が悪化していた。
また、支持部と駆動リングとが接する面積を増やすことにより、駆動リングを安定して支持することができるが、摺動抵抗が増大するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、組付け作業性が向上したカメラ用羽根駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、開口を有する基板と、前記開口を開閉自在に支持された羽根と、前記基板に対し回動自在に支持されるとともに駆動源から供給された駆動力を前記羽根へ伝達する駆動リングとを備え、前記駆動リングの一部と摺接して該駆動リングを支持する主要支持部と、組み付け作業中に前記主要支持部からの支持が外れて前記駆動リングが傾くことを抑制する傾き抑制手段とを備えている、ことを特徴とするカメラ用羽根駆動装置によって達成できる。
この構成により、前記主要支持部からの支持が外れて前記駆動リングが傾くことを抑制することができるので、組み付け作業性が向上する。
【0007】
また、上記構成において、前記主要支持部は、前記駆動リングの径方向の幅のうち内側の部分を支持し、前記傾き抑制手段は、前記駆動リングから径方向外側に突出した突出部と、前記突出部を支持する補助支持部とを含む、構成を採用できる。
この構成により、駆動リングの径方向内側の部分と外側とを支持することができるので、組付け作業中の駆動リングの傾きの発生を抑制できる。また、補助支持部は駆動リングを径方向外側から支持するので、主要支持部と駆動リングとの摺接する領域を小さくした場合であっても、駆動リングの傾きの発生を抑制できる。このため、主要支持部と駆動リングとの摺接する領域を小さくすることにより、駆動リングと主要支持部との摺動抵抗を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、組付け作業性が向上したカメラ用羽根駆動装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るカメラ用羽根駆動装置の一部の構成を示した正面図、図2はカメラ用羽根駆動装置の一部の構成を示した斜視図、図3は図1のA−A線方向の断面図である。
【0010】
カメラ用羽根駆動装置は、基板10、羽根20a〜20c、駆動リング30、歯車群40などから構成される。
基板10は樹脂を射出成形することによって成形され、その中央部に撮影用の開口15を有している。基板10には開口15を中心として円筒状に被写体側に突出している凸面14が形成されている。凸面14には羽根20aに形成された度決め孔21aと係合し、羽根20aの作動角度を規定する度決めピン16が形成されている。羽根20aは、駆動領域に歯車群40があり、度決めピンが羽根20aの駆動領域端には設けられないため、このような構成となっている。
羽根20b、20cにも羽根20aと同様に孔21b、21cが設けられているが、これに係合するピンはない。これは、共通の羽根を使用しているためである。
【0011】
凸面14よりも径方向外側には、駆動リング30を支持するための主要支持部13が形成されている。主要支持部13は図3に示すように、凸面14よりも段部を介して低くい位置に形成されている。主要支持部13は図1においてハッチングで示した部分である。主要支持部13は大部分が駆動リング30の径方向の幅のうち内側の部分と摺動可能に当接する。
【0012】
主要支持部13よりも更に径方向外側には底面部12a〜12c、軸部17a〜17cが形成されている。底面部12a〜12cには、補助支持部11a〜11cが形成されている。補助支持部11a〜11cは、それぞれ駆動リング30に形成された突出部31a〜31cと摺動可能に当接する。補助支持部11a〜11c及び突出部31a〜31cは、傾き抑制手段としての機能を有する。軸部17a〜17cは、それぞれ羽根20a〜20cを回転可能に軸支する。
【0013】
歯車群40は、基板10の撮像素子側に配置された駆動源としてのアクチュエータ(不図示)からの駆動を駆動リング30へ伝達する。詳細には、アクチュエータの回転軸に組み付けられた歯車41が、隣接する歯車42aと噛合し、歯車42aと同軸に形成された歯車42bが隣接する歯車43aと噛合し、歯車43aと同軸に形成された歯車43bは、駆動リング30の外周の一部に形成された歯部33と噛合する。これにより、アクチュエータの駆動が駆動リング30へ伝達される。
尚、歯車43aには、位置検出用の透孔43cが形成されている。
【0014】
羽根20a〜20cは、それぞれ同一形状に形成されている。羽根20aには度決め孔21aが形成され、度決めピン16と係合する。また、羽根20a〜20cは、それぞれ長孔22a〜22cが形成され、駆動リング30に形成された駆動ピン32a〜32cとそれぞれ係合する。
【0015】
駆動リング30は、樹脂により形成され、駆動リング30の径方向の幅は、主要支持部13の径方向の幅よりも基本的に大きく形成されている。また、駆動リング30には、前述したように径方向外側に向けて突出した突出部31a〜31cが一体に形成されている。突出部31a〜31cには、光軸方向の被写体側に向けて突出した駆動ピン32a〜32cがそれぞれ一体に形成されている。また、突出部31a〜31cの撮像素子側の面は、それぞれ補助支持部11a〜11cと摺動可能に当接する。
【0016】
アクチュエータから駆動が伝達された駆動リング30は所定の範囲を回動し、これに伴って駆動ピン32a〜32cが回動し、羽根20a〜20cは開閉動作を行う。図1においては、駆動リング30が反時計方向に回動すると、羽根20a〜20cはそれぞれ軸部17a〜17cを支点として羽根20a〜20cのそれぞれの開口15側の先端が開口15の中心に向かって揺動する。
【0017】
次に、補助支持部11a〜11c及び突出部31a〜31cについて詳細に説明する。
補助支持部11a〜11cは突出部31a〜31cを支持し、主要支持部13は駆動リング30の径方向内側の部分を支持する。これにより、補助支持部11a〜11c及び主要支持部13は、駆動リング30を安定的に支持することができる。従って、組付け作業中に、羽根や突出部を押してしまっても、駆動リング30が基板10に対して傾くことを抑制できるので組付け作業性が向上する。
【0018】
また、補助支持部11a〜11cは駆動リング30を径方向外側から支持するので、主要支持部13と駆動リング30との摺接する領域を小さくした場合であっても、駆動リングの傾きの発生を抑制できる。このため、主要支持部13と駆動リング30との摺接する領域を小さくすることにより、駆動リング30と主要支持部13との摺動抵抗を小さくすることができる。
【0019】
また、図2及び図3に示すように、補助支持部11a〜11cはそれぞれ、底面部12a〜12cからリブ状に光軸方向の被写体側に突出して形成される。これにより、底面部12a〜12cの強度が増し、ひねりや曲げ等の外力による基板10の変形を抑制させる効果もある。
【0020】
補助支持部11a〜11cは、光軸を中心に周方向に均等に設けられている。この構成により、駆動リングを光軸を中心にバランスよく支持することができる。
また、補助支持部11aには図1及び図2に示すように、突出部31aと当接することにより駆動リング30の回動範囲を規制するストッパ34、35が一体に形成されている。
【0021】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るカメラ用羽根駆動装置の一部の構成を示した正面図である。
【図2】カメラ用羽根駆動装置の一部の構成を示した斜視図である。
【図3】図1のA−A線方向の断面図である。
【符号の説明】
【0023】
10 基板
11a〜11c 補助支持部
12a〜12c 底面部
13 主要支持部
14 凸面
15 開口
16 度決めピン
17a〜17c 軸部
20a〜20c 羽根
21a〜21c 度決め孔
22a〜22c 長孔
30 駆動リング
31a〜31c 突出部
32a〜32c 駆動ピン
33 歯部
34、35 ストッパ
40 歯車群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する基板と、前記開口を開閉自在に支持された羽根と、前記基板に対し回動自在に支持されるとともに駆動源から供給された駆動力を前記羽根へ伝達する駆動リングとを備え、
前記駆動リングの一部と摺接して該駆動リングを支持する主要支持部と、
組み付け作業中に前記主要支持部からの支持が外れて前記駆動リングが傾くことを抑制する傾き抑制手段とを備えている、ことを特徴とするカメラ用羽根駆動装置。
【請求項2】
前記主要支持部は、前記駆動リングの径方向の幅のうち内側の部分を支持し、
前記傾き抑制手段は、前記駆動リングから径方向外側に突出した突出部と、前記突出部を支持する補助支持部とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ用羽根駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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