説明

カメラ

【課題】自然災害等の事態が発生したとき、簡易な構成によって現場の状況を伝える画像を得る。
【解決手段】メイン電源がOFFの間、電源コントローラ50を介して非常用CPU64、手ぶれ検出部20へ電源を供給する。そして、手ぶれ検出部20を利用し、地震等によるカメラの揺れが生じているか否かを判断する。カメラの揺れが検出されると、電源コントローラ50によってメイン電源をONに切り替え、静止画像の記録、動画像を記録するための撮影動作を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラの揺れを検出可能なカメラに関し、特に、地震等の特殊な状況下での撮影処理に関する。
【背景技術】
【0002】
手ぶれ補正機能を備えたカメラでは、角速度センサ、加速度センサなどによって手ぶれによるカメラの揺れ、振動を検出する。そして、像ブレが生じないように、光学レンズあるいは撮像素子を駆動する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、放送局では、災害映像を撮影するため、放送局、空港等に複数のカメラを設置し、常時モニタリングしている。災害映像を瞬時に判断する映像システムでは、地震によって揺れが生じると、映像の動きベクトル検出によって地震発生を検出する。中央の放送局では、複数のカメラ映像の中から揺れの発生している映像、すなわち被災場所に設置されたカメラの映像が特定される(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平5−224270号公報
【特許文献2】特開2005−37273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放送局のカメラでは設置場所に制限があり、家屋内など監視カメラの設置場所以外の状況を映像化することが難しい。また、報道ニュースにおいては、被災者側により近い視点から見たリアルな映像(スクープ映像)が要求される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のカメラは、自宅内などにおいても、地震等の自然災害、あるいは揺れを生じさせる人為的な事態等が発生した場合、その現場における状況を撮影可能なカメラであり、例えば、銀塩フィルムカメラ、デジタルスチルカメラ、ムービーカメラなどの携帯自在なカメラに適用可能である。また、カメラ付き携帯電話など撮影機能を備えた携帯機器、監視カメラなどの業務用カメラを含む撮影装置もカメラとして含むものとする。
【0006】
本発明のカメラは、メイン電源がON状態である間、画像を記録するための撮影動作を実行可能な撮影制御手段と、カメラの揺れを検出可能な揺れ検出部と、メイン電源のON/OFFを切り替え可能な電源制御部とを備える。メイン電源は、撮影動作を実行可能とするように各回路、アクチュエータなどの各機構へ供給される電源であり、電池等から電源が供給される。例えばカメラにはメイン電源ボタンが設けられており、ボタン操作によってメイン電源がONに切り替えられると、撮影可能になる。
【0007】
本発明のカメラでは、揺れ検出部が、撮影動作を可能にするメイン電源がON状態である期間だけでなく、OFF状態、すなわち撮影動作を実行させるに必要な回路、機構などに電源が供給されない期間を含め、カメラの揺れを検出可能である。例えば、商用電源あるいは電池等からメイン電源ON状態とは異なる電源供給を行い、揺れ検出部、電源制御部が機能するように構成され、メイン電源OFF期間においてカメラの揺れが検出可能となる。
【0008】
電源制御部は、メイン電源OFFの間に揺れが検出されると、メイン電源をOFFからONへ切り替える。メイン電源ONへの切替に従い、撮影制御手段は、画像記録のため撮影動作(以下では、非常用撮影動作という)を実行する。撮影制御手段は、例えば、静止画像および動画像、あるいは動画像又は静止画像のみを記録するように撮影可能である。
【0009】
手ぶれ補正機能が備えられているカメラであれば、揺れ検出部を新たに設けることなく手ぶれ検出部を揺れ検出部として使用し、カメラの揺れを検出すればよい。この場合、カメラの手ぶれ検出部の構成に従って揺れが検出される。例えば、角速度検出センサなどの手ぶれ検出センサを用いて揺れを検出し、あるいは得られる画像の動きベクトルによって揺れを検出する。
【0010】
自宅の机上に配置したときなど必要なときだけ非常用撮影動作を実行させるため、非常用撮影動作を実行するためのボタン等の操作部材を設けるのが望ましい。撮影制御手段は、操作部材に対する操作に従い、非常用撮影動作を実行する。また、無駄な電力消費を抑えるため、電源制御部は、非常用撮影動作の終了後、メイン電源をOFFに切り替えるのが望ましい。
【0011】
わずかな振動でもカメラの撮影動作が実行されてしまうことを防ぐため、カメラの揺れが非常用撮影動作を必要とする揺れ(以下では、基準揺れという)以上であるか否かを判断する第1の揺れ判断手段を設けるのが望ましい。基準揺れは、例えば震度3、4以上の揺れに応じた揺れの大きさに設定すればよい。撮影制御手段は、基準揺れ以上である場合、非常用撮影動作を実行する。
【0012】
揺れが生じた直後の様子を正確に記録し、その後の状況を全体的に記録するため、撮影制御手段は、非常用撮影動作開始後、最初に静止画像を記録し、その後動画像を記録するのが望ましい。また、撮影開始してから撮影終了する前での間に生じた撮影現場の変化を正確に記録するため、撮影制御手段が、非常用撮影動作終了時に静止画像を記録するのがよい。
【0013】
また、手ぶれ補正機能を備えたカメラでは、非常用撮影動作の間、前記像ブレ補正手段を動画像、静止画像のうち少なくとも一つを動作させるのがよい。例えば、静止画像を記録する時には像ブレを生じさせないようにするため、撮影制御手段は、非常用撮影動作の間、像ブレ補正手段を動作させて静止画像を記録すればよい。一方、動画像の場合、揺れた状況そのものをリアルな映像として捉えるため、撮影制御手段は、像ブレ補正手段を動作させずに動画像を記録してもよい。
【0014】
画像の記録としては、あらかじめ定められた枚数の静止画像を記録し、あるいは動画像を一定期間記録するように構成してもよいが、揺れの生じていた期間だけ効果的に記録するため、カメラの揺れが収まったか否かを判断する揺れ収束判断手段を設けるのがよい。撮影制御手段は、カメラの揺れが収まると非常用撮影動作の実行を終了する。
【0015】
揺れが大きい場合には像ブレのない静止画像を記録するのが望ましいことから、カメラの揺れが、像ブレ補正が機能する許容揺れを超えているか否かを判断する第2の揺れ判断手段を設けるのがよい。撮影制御手段は、許容揺れを超えている場合、静止画像を記録する。また、許容揺れを超えた場合、撮影制御手段は動画像のみ記録するのがよい。
【0016】
災害等の状況を伝える画像とともにその状況に関するデータを記録するため、例えば、カメラの揺れが続いた時間を検出する揺れ時間検出手段、あるいは、カメラの揺れの大きさを検出する揺れ大きさ検出手段を設けるのがよい。像ブレ補正手段が備えられている場合、手ぶれ検出センサなどによって検出されたデータに基づいて揺れの大きさを検出すればよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、自然災害等の事態が発生したとき、簡易な構成によって現場の状況を正確に伝える画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0019】
図1は、第1の実施形態であるデジタルカメラの概略的斜視図である。図2は、デジタルカメラの正面図である。
【0020】
カメラ10は、手ぶれ補正機能を備えたデジタルカメラであり、カメラ本体内部には、手ぶれ補正機構12がレンズ鏡筒11の後方に設けられている。カメラ上面10U側には、レリーズボタン13、手ぶれ補正ボタン16が設けられ、カメラ背面10Bには、モード設定用の設定ボタン14、LCD17、メイン電源ボタン18が設けられている。レンズ鏡筒内の撮影光学系(図示せず)には焦点距離を変更可能な変倍光学系であるズームレンズが組み込まれており、カメラ背面10Bにはズームボタン(図示せず)が配置されている。
【0021】
カメラ背面10Bには、非常用撮影ボタン19が設けられており、非常用撮影ボタン19が操作されると、後述するように、カメラのメイン電源OFF期間において撮影動作を実行可能にする。図1では、机上に置かれたメイン電源OFF中のカメラ10が図示されており、カメラ10の側面10Sに設けられたACアダプタ用差し込み口10Tには、ACアダプタ100のコードが差し込まれている。
【0022】
カメラ本体内部には、手ぶれを検出するための角速度センサとしてのジャイロセンサ20A、20Bが設けられており(図2参照)、ジャイロセンサ20A、20Bは、それぞれカメラ10がヨーイング、ピッチングするときの角速度を検出する。ただし、レンズ鏡筒11内の撮影光学系(図示せず)の光軸Eの横方向の動き、すなわちX方向に対する角度をヨーイングとし、光軸Eの垂直でカメラ10の縦方向の動き、すなわちY方向に対する角度をピッチングとする。なお、X−Y平面は光軸Eに垂直であり、Z方向は光軸方向に対応する。また、X、Y方向は、それぞれカメラ10の横方向、縦方向に対応する。カメラ10が水平姿勢の場合、X方向は水平面、Y方向は鉛直方向に沿った方向になる。
【0023】
図3は、カメラ10のブロック図である。
【0024】
CPU、RAM、ROM(図示せず)を含むシステムコントロール回路25はカメラ10を制御し、カメラ全体の処理動作を実行するプログラムがROMに格納されている。レリーズスイッチ13A、手ぶれ補正スイッチ、メイン電源スイッチ、ズームスイッチ、レリーズスイッチ、設定スイッチ(いずれも図示せず)などがシステムコントロール回路25に接続されており、カメラ背面10B、上面10Uに設けられたボタンに対する操作によって各スイッチは切り替わる。メイン電源ボタン18に対する操作によってメイン電源スイッチがONに切り替わると、電池52から電源が供給され、電源コントローラ50は各回路へ電源供給する。
【0025】
設定ボタン14に対する操作によって撮影モードが設定された場合、動画像を表示するための処理動作が実行される。撮影光学系を通った光はレンズシャッタ(図示せず)を介してCCD21に到達し、被写体像がCCD21に受光面に形成される。CCD21では、光電変換により被写体像に応じたアナログ画像信号が発生し、CCD駆動回路(図示せず)によってCCD21から画像信号が所定時間間隔で順次読み出される。CCD21から読み出されたアナログ画像信号は、増幅処理されて信号処理回路23へ送られる。
【0026】
信号処理回路23では、アナログ画像信号がデジタル信号に変換されるとともに、ホワイトバランス調整処理、ガンマ補正処理など様々な処理がデジタル画像信号に対して施される。処理された画像信号は一時的にフレームメモリ(図示せず)に格納され、LCDドライバ26へ送られる。LCDドライバ26は、画像信号に基づいてLCD17を駆動する。その結果、カメラ背面に設けられたLCD17に被写体像が動画像として表示される。
【0027】
AEブロック27では、CCD21から読み出される画像信号に基づいて被写体の明るさが検出され、信号処理回路23ではそれに基づき動画像の明るさ調整が行われる。また、AEブロック27では、ユーザによる露出、画質に関する設定操作に従い、シャッタスピードの露出値が演算される。レリーズボタン13が半押しされると、被写体との距離がAFセンサ28において検出される。そして焦点調整のため、撮影光学系内のフォーカシングレンズがAF駆動部30によって駆動される。
【0028】
ズームボタンが操作されると、ズームスイッチから送られてくる信号に基づいてズームレンズ駆動部42へ制御信号が送られる。ズームレンズ駆動部42がズームレンズを駆動し、これにより、焦点距離が変更される。ズーム位置検出部43は、ズームレンズの位置からズームレンズの現在の焦点距離を検出して、システムコントロール回路25へ出力する。
【0029】
レリーズボタン13が全押しされると、静止画像記録の撮影動作が実行される。すなわち、前述の演算された露出値に基づいて、絞りが所定の開口径となるように駆動制御されるとともにシャッタが所定の開度で所定期間だけ開き、被写体像に応じた画像信号がCCD21から読み出される。このときのシャッタ動作および絞り駆動制御は、露出制御部29によって制御される。読み出された画像信号は、信号処理回路23において処理され、システムコントロール回路25を介しメモリカード44に記憶される。
【0030】
一方、設定ボタン14に対する操作によって動画モードが設定されると、CCD21から読み出される一連の画像信号に基づいて生成された画像信号が、動画像データがメモリカード44へ記録される。
【0031】
手ぶれ補正ボタン16が押下されると手ぶれ補正スイッチがON状態となり、手ぶれ補正を実行させる操作信号がシステムコントロール回路25において検出される。手ぶれ検出部20は、ジャイロセンサ20A、20B、ハイパスフィルタ22A、22B、アンプ24A、24Bを備え、手ぶれによるカメラの姿勢変動時の角速度が電圧値として検出される。
【0032】
手ぶれ補正機構12は、CCD21が中央付近に取付けられた矩形状の移動ステージ33と、移動ステージ33に近接した状態で対向する矩形状の固定ステージ35とを備え、移動ステージ33および固定ステージ35とを支持する支持体(図示せず)が設けられている。固定ステージ35には、レンズ鏡筒11内部を通った光を通す開口部が形成されており、開口部のサイズはCCD21の移動範囲に従って定められている。移動ステージ33は、コイル(図示せず)の駆動によってX方向、Y方向に沿って独立して移動可能であり、システムコントロール回路25は、検出された角速度に基づいてカメラ10の変位角を演算し、ステージ駆動回路38を介して手ぶれ補正機構12を制御する。
【0033】
手ぶれ補正について詳述すると、ユーザの手ぶれによってカメラ10の姿勢が変動(ヨーイング、ピッチングの動き)をすると、ジャイロセンサ20A、20Bからヨーイング、ピッチングの角速度に応じた電圧信号(角速度信号)が出力される。出力された電圧信号は、それぞれハイパスフィルタ22A、22BにおいてDC成分が除去され、アンプ24A、24Bにおいて増幅される。増幅された電圧信号がシステムコントロール回路25へ入力されると、カメラ10の変動量に応じた変位角度が検出される。そして、手ぶれによる像ブレを相殺するように、システムコントロール回路25からステージ駆動回路38へ制御信号が出力され、移動ステージ33がX方向、Y方向へ移動する。その結果、撮影光学系による像がCCD21の受光面上に沿って相対的にシフトした位置で結像し、像ぶれのない画像がCCD21に形成される。
【0034】
移動ステージ33のCCD21周りには、X方向、Y方向に沿ってホール素子などの磁気センサ34A、34Bが配置されている。一方、固定ステージ35には、磁気センサ34A、34Bに対向するように磁石36A、36BがX方向、Y方向に沿って配置されている。手ぶれが検知されて移動ステージ33が移動すると、磁気センサ34A、34Bは、磁石36A、36Bに対する相対的位置の変化に応じて磁界変化を検知し、磁気センサ信号処理回路40A、40Bは、それぞれ移動ステージ33のX方向、Y方向の移動量を検出する。システムコントロール回路25は、移動ステージ33の現在の相対的位置と設定された位置との差に基づき、移動ステージ33をフィードバック制御する。
【0035】
非常用CPU64は、メイン電源OFFの間に動作可能であり、システムコントロール回路25を介してメイン電源ボタン18、非常用撮影ボタン等に対する操作を検出する。電源コントローラ50は、電池52から各回路へ電源を供給する一方、ACアダプタ100が接続された状態では、手ぶれ検出部20、非常用CPU64へ電源供給可能である。一方、非常用撮影動作の場合に鳴る警報ブザー(図示せず)が設けられ、また、メイン電源OFF期間中にも電源供給されるタイマー(図示せず)が設けられている。
【0036】
図4は、非常用CPU64によって実行される電源制御処理を示したフローチャートである。ここでは、メイン電源OFF期間の間、電源がACアダプタ100を介して非常用CPU64、手ぶれ検出部20へ供給されているものとする。
【0037】
ステップS101では、メイン電源ON期間中において、非常用撮影ボタン19が操作されたか否かが判断される。非常用撮影ボタン19が操作されたと判断されると、ステップS102へ進み、非常用撮影モードが設定される。すなわち、メイン電源OFFの状態でAC電源を非常用CPU64、手ぶれ検出部20へ供給するように電源コントローラ52が設定、制御される。
【0038】
ステップS103では、メイン電源ボタン18に対する操作によってメイン電源がOFFに切り替えられたか否かが判断される。メイン電源がOFFに切り替えられておらず、メイン電源ONが継続されていると判断されると、ステップS101へ戻る。一方、メイン電源がOFFに切り替えられたと判断されると、ステップS104へ進む。
【0039】
ステップS104では、メイン電源ボタン18に対する操作によってメイン電源がONに切り替えられたか否かが判断される。メイン電源がONに切り替えられたと判断されると、ステップS101へ戻る。一方、メイン電源がOFFのまま継続されていると判断されると、ステップS105へ進む。
【0040】
ステップS105では、手ぶれ検出部20からカメラの揺れに応じた検出信号が送られてきたか否かが判断される。揺れに応じた検出信号が送られてきていないと判断されると、ステップS104へ戻る。一方、揺れに応じた検出信号が送られてきたと判断されると、ステップS106へ進む。
【0041】
ステップS106では、検出された揺れが所定の揺れ(基準揺れ)以上であるか否かが判断され、具体的には、検出された変位角度が所定変位角度T0以上であるか否かが判断される。所定変位角度T0の値は、ここでは、震度3の揺れが生じた場合に生じる揺れに応じた値に設定されている。
【0042】
ステップS106において、検出された揺れが基準揺れを超えていないと判断された場合、非常用撮影動作は実行されず、ステップS104へ戻る。一方、検出された揺れが基準揺れ以上であると判断された場合、ステップS107へ進む。ステップS107では、メイン電源ONを実行するように電源コントローラ50へ制御信号が出力され、また、非常用の撮影動作を実行させるための制御信号がシステムコントロール回路25へ出力される。さらに、揺れの変位角度のデータが送信される。
【0043】
ステップS108では、撮影終了を示す検出信号がシステムコントロール回路25から送られてきたか否かが判断される。すなわち、揺れが収まって撮影動作が終了したか否かが判断される。検出信号がシステムコントロール回路25から送られてきたと判断されると、ステップS109へ進み、メイン電源をOFFに切り替えるように電源コントローラ50へ制御信号が出力される。
【0044】
図5は、システムコントロール回路25によって実行される非常用撮影動作処理を示したフローチャートである。
【0045】
ステップS201では、警報ブザーが鳴るように制御信号が出力される。ステップS202では、揺れ開始時間を計測するため、タイマーによって時間が計測開始される。
【0046】
ステップS203では、送信されてきた変位角度のデータに基づき、揺れが所定の揺れ(許容揺れ)以上であるか否かが判断される。ここでは、静止画像を記録する必要性、すなわち揺れが相当大きい場合には像ブレのない静止画像を記録させる必要があることを考慮し、揺れの大きさが判断される。許容揺れの値は、像ブレ補正機能を機能させた撮影の必要性が生じる揺れの大きさに定められている。揺れが許容揺れ以上であると判断されると、ステップS204へ進む。
【0047】
ステップS204では、手ぶれ補正機構12を機能させるようにステージ駆動回路38へ制御信号が出力される。そして、静止画像を記録する撮影動作が実行される。これにより、像ブレの生じない静止画像がメモリカード44に記録される。静止画像用の撮影動作が実行されると、ステップS205へ進む。
【0048】
ステップS205では、手ぶれ補正機構12を機能させないようにステージ駆動回路38が制御されるとともに、動画像を記録する撮影動作が実行開始される。これにより、動画像データがメモリカード44へ記録されていく。そして、ステップS206では、手ぶれ検出部20からの揺れに応じた検出信号に基づき、揺れが検出されているか、すなわち揺れが収まったか否かが判断される。揺れが収まるまで、ステップS206が繰り返し実行され、動画像の記録が続く。
【0049】
ステップS206において、揺れが生じていないと判断されると、ステップS207へ進み、動画像の記録が終了させられる。そして、ステップS208では、手ぶれ補正機構12を機能させるようにステージ駆動回路38が制御され、そして静止画像を記録するため撮影動作が実行される。ステップS208が実行されると、ステップS212へ進む。
【0050】
一方、ステップS203において、揺れが許容揺れより小さい揺れであると判断されると、ステップS209へ進む。ステップS209〜S211の実行は、ステップS210の実行と同じであり、揺れが収まるまで動画像が記録される。ここでは、それほど揺れが大きくないため、静止画像は記録されない。ステップS211が実行されると、ステップS212へ進む。
【0051】
ステップS212では、タイマーによって画像を記録していた時間が検出され、RAMおよびメモリカード44へ画像データとともに記録される。また、検出された変位角度に基づき、揺れの大きさがRAM、メモリカード44に記録される。ステップS213では、再びメイン電源をOFFにするため、撮影動作終了を知らせるデータが非常用CPU64へ送信される。
【0052】
以上のように本実施形態によれば、非常用撮影ボタン18が操作されると、メイン電源がOFFの間、電源コントローラ50を介して非常用CPU64、手ぶれ検出部20に電源が供給される。そして、手ぶれ検出部20を利用することによって、地震等によるカメラの揺れが生じているか否かが判断される。カメラの揺れが検出されると、電源コントローラ50によってメイン電源がONに切り替えられ、静止画像の記録、動画像の記録のため、撮影動作が実行される。
【0053】
非常用CPUを設けず、システムコントロール回路25だけでメイン電源OFF期間の電力制御処理を実行するように構成してもよい。また、ACアダプタによる電源によらず、電池によってメイン電源OFFの間に電源供給するように構成してもよい。
【0054】
基準揺れ、許容揺れは、カメラの揺れ検出の構成に従って定めればよい。また、微小な振動によっても常に撮影動作を実行するように構成してもよい。動画像の記録中において、像ブレ補正を機能させてもよい。
【0055】
撮影動作における記録方法は、必要に応じて任意に設定可能であり、例えば静止画像のみ、動画像のみを記録することも可能であり、また、静止画像を間欠的に記録し、あるいは、動画像をあらかじめ定めた一定期間だけ記録してもよい。または、静止画像を一枚のみ記録してもよい。また、揺れが大きくない場合にも静止画像を記録してよい。
【0056】
銀塩フィルムカメラ、ムービーカメラなど手ぶれ補正機能を備えた携帯型のカメラに適用してもよく、あるいは、所定場所に設置される監視カメラなど、携帯型のカメラ以外のカメラ、撮影装置に適用してもよい。この場合、揺れ検出部を独自に設けるように構成してもよい。また、角速度センサなど手ぶれ検出センサ以外の構成によってカメラの揺れを検出してもよく、例えば動画像の動きベクトルによって検出してもよい。この場合、メイン電源OFF期間において、画像処理部に電源を供給する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施形態であるデジタルカメラの概略的斜視図である。
【図2】デジタルカメラの正面図である。
【図3】デジタルカメラのブロック図である。
【図4】非常用CPUによって実行される電源制御処理を示したフローチャートである。
【図5】システムコントロール回路によって実行される非常用撮影動作処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
10 デジタルカメラ
12 手ぶれ補正機構
18 非常用撮影ボタン(操作部材)
20 手ぶれ検出部(揺れ検出部)
21 CCD
25 システムコントロール回路
44 メモリカード
50 電源コントローラ
64 非常用CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン電源がON状態である間、画像を記録するための撮影動作を実行可能な撮影制御手段と、
メイン電源がOFF状態である期間を含めてカメラの揺れを検出可能な揺れ検出部と、
メイン電源のON/OFFを切り替え可能であって、メイン電源OFFの間に揺れが検出されると、メイン電源をOFFからONへ切り替える電源制御部とを備え、
前記撮影制御手段が、メイン電源ONへの切替に従い、画像記録のため非常用撮影動作を実行することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記揺れ検出部が、カメラの手ぶれを検出する手ぶれ検出部を有することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
非常用撮影動作を実行するための操作部材をさらに有し、
前記撮影制御手段が、前記操作部材に対する操作に従い、非常用撮影動作を実行することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項4】
前記電源制御部が、非常用撮影動作の終了後、メイン電源をOFFに切り替えることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項5】
カメラの揺れが非常用撮影動作を必要とする基準揺れ以上であるか否かを判断する第1の揺れ判断手段をさらに有し、
前記撮影制御手段が、基準揺れ以上である場合、非常用撮影動作を実行することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項6】
手ぶれによる像ブレを防止する像ブレ補正手段をさらに有し、
前記撮影制御手段が、非常用撮影動作開始後、最初に静止画像を記録し、その後動画像を記録し、
前記撮影制御手段が、非常用撮影動作の間、前記像ブレ補正手段を動画像、静止画像のうち少なくとも一つを動作させることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項7】
前記撮影制御手段が、非常用撮影動作終了時に静止画像を記録することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項8】
カメラの揺れが収まったか否かを判断する揺れ収束判断手段をさらに有し、
前記撮影制御手段が、カメラの揺れが収まると非常用撮影動作の実行を終了することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項9】
手ぶれによる像ブレを防止する像ブレ補正手段をさらに有し、
前記撮影制御手段が、前記像ブレ補正手段を動作させずに動画像を記録することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項10】
手ぶれによる像ブレを防止する像ブレ補正手段と、
カメラの揺れが、像ブレ補正が機能する許容揺れを超えているか否かを判断する第2の揺れ判断手段をさらに有し、
前記撮影制御手段が、許容揺れを超えている場合、静止画像を記録することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項11】
手ぶれによる像ブレを防止する像ブレ補正手段と、
カメラの揺れが、像ブレ補正が機能する許容揺れを超えているか否かを判断する第2の揺れ判断手段をさらに有し、
前記撮影制御手段が、許容揺れを超えていない場合、動画像のみを記録することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項12】
カメラの揺れが続いた時間を検出する揺れ時間検出手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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