説明

カメラ

【課題】本発明は、撮影用の光学系部材の前面を、自動的に破損や汚れから保護することが可能なカメラを提供する。
【解決手段】本発明は、光学系部材により被写体の光学像を結像して撮影するカメラにおいて、上記光学系部材の上記被写体側の表面である前面部から上記被写体方向に存在する物体を検出する検出部と、上記光学系部材の上記前面部を覆う形状を有し、上記被写体方向に対して上記前面部を覆う位置である保護位置と、上記被写体方向に対して上記前面部を露出する位置である開放位置と、の2位置間で移動可能に配設された保護部材と、上記検出部によって、上記前面部から所定の距離以内に存在する物体が検出された場合に、上記保護部材を上記保護位置に移動させる制御部と、を具備する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系部材により被写体の光学像を結像して撮影するカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カメラの撮影用のレンズの前面を傷等の破損や汚れから保護するために、撮影時以外にはレンズの前面側にレンズの前面を覆うレンズカバーが装着される。また、特開平10−282558号公報に開示されているように、カメラ本体と一体となったレンズカバー(レンズバリアとも称される)を具備するカメラも知られている。
【0003】
また、カメラ本体に装備されたレンズカバーを動かす機構を具備し、カメラの電源のオンオフの切り替えに応じて、レンズカバーを移動する構成も一般的である。
【特許文献1】特開平10−282558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のカメラでは、撮影動作時においてレンズカバーはレンズの視野内から退避させられるものであるため、撮影動作時においてレンズの前面に物体が触れてしまうことに起因する、レンズの破損や汚れを防止することは不可能であった。
【0005】
また、レンズの保護を目的として、レンズの前面上に保護を目的としてフィルタを装着することも一般的である。しかしながら、保護用のフィルタもまた、被写体からの光束が透過する光学系部材であることには変わりなく、該フィルタの前面に傷や汚れが存在すれば、この傷や汚れが写りこんでしまうため撮影の妨げとなってしまう。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、被写体の光学像を結像する撮影用の光学系部材の前面を、自動的に破損や汚れから保護することが可能なカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかるカメラは、光学系部材により被写体の光学像を結像して撮影するカメラであって、上記光学系部材の上記被写体側の表面である前面部から上記被写体方向に存在する物体を検出する検出部と、上記光学系部材の上記前面部を覆う形状を有し、上記被写体方向に対して上記前面部を覆う位置である保護位置と、上記被写体方向に対して上記前面部を露出する位置である開放位置と、の2位置間で移動可能に配設された保護部材と、上記検出部によって、上記前面部から所定の距離以内に存在する物体が検出された場合に、上記保護部材を上記保護位置に移動させる制御部と、を具備することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1から図7を参照して説明する。以下に述べる本実施形態は、一般にデジタルスチルカメラ、デジタルカメラ、電子カメラ等と称されるカメラに本発明を適用したものである。
【0009】
図1は、デジタルカメラの正面側を示す斜視図である。図2は、デジタルカメラの主要な構成を示すブロック図である。
【0010】
なお、本実施形態のデジタルカメラ1は、外装部材が水密に構成されており、水中において動作可能な構成を有する、いわゆる防水仕様のデジタルカメラである。ここで、動作とは、デジタルカメラが1が、使用者からの撮影指示に基づいて少なくとも撮影動作を行うことが可能な状態のことを指すこととする。すなわち、水中においては所定の機能が制限され、例えば撮影された画像を表示する再生動作や、撮影倍率を変更するズーム動作等が不可能な構成のデジタルカメラであっても、水中において動作可能なデジタルカメラの範疇に入るものとする。
【0011】
図1に示すように、本実施形態のデジタルカメラ1の前面部には、撮像部2、閃光発光装置4、近接センサ14及びレンズ保護機構50が配設されている。ここで、前面とは、撮影時に撮影対象である被写体に臨む側の面のことを指す。
【0012】
撮像部2は、詳しくは後述するが、撮像素子上に被写体の光学像を結像するための光学系部材であるレンズユニットを具備して構成されている。本実施形態においては、レンズユニットの被写体に最も近い位置には、撮像レンズ21が配設されている。なお、レンズユニットの被写体に最も近い位置には、フィルタやプリズム等の他の光学系部材が配設される形態であってもよい。
【0013】
図1に部分断面で示すように、デジタルカメラ1の前面部には、レンズ保護機構50が配設されている。レンズ保護機構50は、レンズ保護部材51と、レンズ保護部材駆動部53とを具備して構成されている。
【0014】
レンズ保護部材51は、撮像レンズ21の被写体側において、該撮像レンズ21の前面(被写体側表面)21a上に進退可能に配設されている。また、レンズ保護部材駆動部53は、レンズ保護部材51の進退移動を行う機構部である。
【0015】
より具体的には、レンズ保護部材51は、デジタルカメラ1の筐体に対して回動可能に軸支された金属製の枠状の保持部51bと、該保持部51bの枠内に保持されたガラス製の保護フィルタ51aとを具備して構成されている。保護フィルタ51aは、少なくとも可視光の領域の光を、所定の透過率で透過可能な部材により構成されている。なお、保護フィルタ51aは、樹脂や透光性セラミック等の他の材料により構成されるものであってもよい。
【0016】
このレンズ保護部材51は、ソレノイドやモータ等により構成されたレンズ保護部材駆動部53により、回動軸周りに揺動可能に駆動され、該回動軸周りに所定の2位置に位置決めされる。
【0017】
レンズ保護部材51が位置決めされる位置は、保護フィルタ51aが撮像レンズ21の前面21aを覆うように配置される保護位置Pと、保護フィルタ51a及び保持部51bが撮像レンズ21の前面21a上から退避する開放位置Oと、の2箇所である。
【0018】
ここで、レンズ保護部材51が保護位置Pに位置決めされている状態においては、保護フィルタ51aが撮像レンズ21の被写体側に位置するため、デジタルカメラ1は、該保護フィルタ51aを介して被写体を撮影する。一方、レンズ保護部材51が開放位置Oに位置決めされている状態においては、デジタルカメラ1は、保護フィルタ51aを介さずに被写体を撮影する。
【0019】
なお、本実施形態では、レンズ保護部材51が保護位置P及び開放位置Oのいずれに位置決めされている状態においても、デジタルカメラ1の視野内に保持部51bが入り込まないように構成されている。
【0020】
検出部である近接センサ14は、撮像レンズ21の前面21aから所定の距離内に近接する物体を非接触により検出する装置である。本実施形態においては、近接センサ14は、所定の波長のスポット光を被写体方向に照射する光源部と、光位置センサ(Position Sensitive Detector;以下、PSDと称する)を具備して構成された測距装置である。
【0021】
該近接センサ14は、光源部から照射され物体により反射されてPSDに入射されるスポット光の位置から、三角測量法により物体との距離を計測し、距離データとして出力する。なお、このPSDを用いた測距装置は、公知の技術であるため詳細な説明は省略する。
【0022】
本実施形態においては、デジタルカメラ1の視野の中央部に対応する位置に存在する物体と、撮像レンズ21の前面21aとの距離が、近接センサ14により計測され、距離データとして出力される。ここで、本実施形態のデジタルカメラ1は、視野の中央部に存在する物体に自動で合焦するオートフォーカス機能(AF機能)を具備するものであり、視野の中央部はいわゆる合焦エリアである。
【0023】
すなわち、本実施形態においては、AF機能により合焦される物体と、撮像レンズ21の前面21aとの距離が、近接センサ14により計測され、距離データとして出力されるのである。
【0024】
なお、近接センサ14は、超音波を送受して送信から受信までの時間を計測することにより物体との距離を測定する超音波センサ等の他の非接触式の測距装置であってもよい。
【0025】
また、本実施形態のデジタルカメラ1の筐体内には、加速度センサ15が配設されている。加速度センサ15は、デジタルカメラ1の加速度を計測する装置であり、本実施形態では、互いに直行する3軸方向の加速度を測定可能なセンサが適用されている。
【0026】
また、デジタルカメラ1の上面部には操作スイッチである撮影指示を行うためのレリーズスイッチ3及び、デジタルカメラ1の起動動作及びシャットダウン動作を指示するための電源スイッチ5が配設されている。
【0027】
また、デジタルカメラ1の背面部(不図示)には、撮影時に被写体像を動画像として表示(ライブビュー表示)したり、撮影した画像を表示したり、撮影条件や動作モードの変更を行うためのメニューを表示したりするための表示部である液晶表示装置11が配設されている。
【0028】
また、デジタルカメラ1の背面部には、使用者がデジタルカメラ1の撮影モードやパラメータの設定の変更指示を行うための入力装置である一つ又は複数のスイッチが配設されている。
【0029】
以下において、デジタルカメラ1に配設された、使用者がデジタルカメラ1に対して指示を入力するための一つまたは複数の入力装置を総じて、操作部12と称するものとする。
【0030】
本実施形態のデジタルカメラ1は、撮影時において、近接撮影に適した動作を実行するマクロモード、水中撮影に適した動作を実行する水中モード、及び前記マクロモード及び水中モード以外における動作を実行する通常モードのいずれか一つが、撮影モードとして使用者により操作部12を介して選択される。
【0031】
なお、操作部12には、上述したスイッチのほかに、リモコン等の無線による入力装置や、タッチパネル、加速度センサ15を用いたジェスチャにより指示を入力する入力装置も含まれてもよい。
【0032】
また、デジタルカメラ1の側面部や底面部には、図示しないが、電源である1次電池又は2次電池を収容する電池室、撮影した画像を記録する記録媒体であるメモリカード13を収容するカード収容室、外部装置であるパーソナルコンピュータや外部記録装置との有線又は無線による通信を行うための通信用インターフェイスであるUSB(Universal Serial Bus)端子等が配設されている。
【0033】
上述のような構成を有するデジタルカメラ1の主要構成を、ブロック図として図2に示す。
撮像部2は、撮像レンズ21及びフォーカシングレンズ22からなる光学系部材であるレンズユニットと、光学系駆動部であるレンズ駆動部23と、撮像素子20とを具備して構成される。なお、撮像部2には、ズーム機構、絞り装置、NDフィルタ、シャッタ装置、ローパスフィルタ、ミラー、プリズム等が適宜に配設される。
【0034】
フォーカシングレンズ22は、レンズユニットの光軸に沿って進退可能に配設されている。該フォーカシングレンズ22を、アクチュエータを具備したレンズ駆動部23により移動させることによりレンズユニットの合焦距離が変化する。
【0035】
撮像素子20は、複数の画素部が配列されて構成される受光面を具備し、撮像レンズ21及びフォーカシングレンズ22により該受光面上に結像された被写体の光学像を電気信号に光電変換し画像信号として出力する。
【0036】
制御部であるコントローラ30は、演算装置31、画像処理装置40、記憶装置32、AFコントローラ33、レンズ保護機構コントローラ34、入出力装置、電力制御装置、計時回路等の複数の回路部を具備して構成され、デジタルカメラ1の動作を制御する制御装置である。
【0037】
コントローラ30を構成する複数の回路部は、制御ラインやバスラインでそれぞれ電気的に接続されている。演算装置31は、プログラムコードに従って上記回路部を制御する。
【0038】
画像処理装置40は、撮像素子20から出力された画像信号に対して、γ補正、色変換、画素変換、圧縮伸長等の所定の処理を施して画像データを生成する回路である。
【0039】
記憶装置32は、高速に読み書き可能なRAMであり、画像データの一時的な格納及びコントローラ30のワークエリア等として使用される。また、図示しないが、使用者により入力された、デジタルカメラ1の動作を規定する設定値を記憶する不揮発性のメモリもコントローラ30に配設されている。
【0040】
AFコントローラ33は、演算装置31からの指令に基づいて撮像部2のレンズ駆動部23の動作を制御する回路である。
【0041】
本実施形態のデジタルカメラ1は、撮像部2により取得された画像の所定の領域である合焦エリア内のコントラストを画像処理装置40により検出し、該コントラストが最大となるフォーカシングレンズ22の位置を合焦位置とする、いわゆるコントラスト検出方式のオートフォーカスが可能なものである。
【0042】
このコントラスト検出方式により合焦が行う際に、AFコントローラ33は、合焦が行われた物体(被写体)との距離算出し、合焦距離として出力する。
【0043】
レンズ保護機構コントローラ34は、演算装置31からの指令に基づいてレンズ保護機構50のレンズ保護部材駆動部53の動作を制御する回路である。
【0044】
上述のように構成されたコントローラ30は、図示しないROMに記録されているプログラムコードを読み出し、実行することにより、デジタルカメラ1の全体の動作を制御する。
【0045】
また、デジタルカメラ1には、上述した複数の操作スイッチからなる操作部12と、メモリカード13と、近接センサ14と、加速度センサ15と、表示装置駆動回路16が配設されている。
【0046】
メモリカード13は、半導体の不揮発メモリや、小型のハードディスクドライブ等を具備し、デジタルカメラ1に着脱自在に構成された記録媒体である。
【0047】
表示装置駆動回路16は、液晶表示装置11を駆動し、画像処理装置40により生成された画像データに基づいた表示を行う回路である。
【0048】
以下に、上述の構成を有する本実施形態のデジタルカメラ1の撮影動作時において、コントローラ30により実行される保護プログラムについて図3から図5を参照して説明する。図3は保護プログラムのフローチャートである。
【0049】
まず、ステップS01において、デジタルカメラ1の動作を規定する設定値を読み込む。ここで設定とは、操作部12を介して使用者によりあらかじめ入力された項目や、現在のスイッチの状態等により定義される動作パラメータである。
【0050】
ステップS01において読み込まれる設定値の種類は、「保護プログラムの実行の有無」、「現在の撮影モード」、及び「ユーザ設定値」の3項目である。
【0051】
ここで、保護プログラムの実行の有無の設定値は、使用者からの指示の入力に応じて変化する2値の値であり、保護プログラムにより実行されるレンズ保護の動作を有効とするか又は無効とするかを定義するものである。すなわち、該設定値は、本保護プログラムを無効とするか否かを定義する値である。
【0052】
また、現在の撮影モードの設定値は、使用者からの撮影モードの選択指示に応じて変化する値であり、本実施形態においては、近接撮影に適した動作を実行するマクロモード、水中撮影に適した動作を実行する水中モード、及び前記マクロモード及び水中モード以外における動作を実行する通常モードのいずれかが、該撮影モードの値により示される。
【0053】
また、ユーザ設定値の設定値は、使用者によって入力された後述するレンズ保護距離の値であり、0以上の数値である。本実施形態では、使用者により変更される以前のレンズ保護距離の初期値は0とされる。
【0054】
次に、ステップS02において、上記ステップS01において読み込んだ設定値から、保護プログラムの実行の有無の設定値が、保護プログラムを無効とするとされているか否かを判定する。ここで、設定値が保護プログラムを無効とするとの値であれば、本保護プログラムを終了する。一方、設定値が保護プログラムを無効とするとの値であれば、ステップS03へ移行する。
【0055】
ステップS03において、加速度センサ15の出力から、デジタルカメラ1の加速度を測定し、最近の単位時間当たりの加速度の変化量(加速度の変化の微分値)が所定の値以上であるか否か、及びデジタルカメラ1の3軸方向の加速度が全て同時におよそ0となったか否かを判定する。言い換えれば、ステップS03においては、デジタルカメラ1の加速度が急激に変化したか否かと、デジタルカメラ1が自由落下状態であるか否かを判定する。
【0056】
ステップS03において、加速度が急激に変化した、又は自由落下状態であると判定した場合には、ステップS04へ移行し、レンズ保護部材駆動部53を制御してレンズ保護部材51を保護位置Pへ移動させる。これにより、撮像レンズ21の前面21aを、衝撃から保護することが可能となる。
【0057】
なお、ステップS03において加速度が急激に変化した、又は自由落下状態であると判定した場合には、沈胴式のレンズユニットを具備するカメラであればレンズユニットを沈胴状態、すなわち縮めた状態にする制御も同時に行われてもよいし、またズーム式のレンズユニットを具備する場合であれば、ズーム位置を衝撃に対する強度が最も高くなる位置に移動させる制御も同時に行われるものであってもよい。
【0058】
そして、ステップS05において、近接センサ14から出力される、撮像レンズ21の前面21aと、該撮像レンズ21の前面21aの前方に存在する最も近い物体との距離を示す距離データを取得する。
【0059】
次に、ステップS06において、AFコントローラ33から出力される、現在の合焦距離を取得する。合焦距離は、該撮像レンズ21の前面21aと、現在焦点が合わせられている物体との距離を示すデータである。
【0060】
次に、ステップS07において、詳しくは後述するレンズ保護距離算出処理を実行し、レンズ保護部材51を保護位置Pへ移動させるか否かの判定に用いるレンズ保護距離を算出する。
【0061】
次に、ステップS08において、ステップS07で算出したレンズ保護距離と、ステップS05で取得した距離データとを比較し、距離データが示す距離がレンズ保護距離以下であるか否かを判定する。
【0062】
ステップS08において、距離データがレンズ保護距離よりも大きいと判定した場合にはステップS12へ移行する。そして、ステップS12において、レンズ保護部材駆動部53を制御してレンズ保護部材51を開放位置Oへ移動させる。
【0063】
次に、ステップS13において、記憶装置32に記憶している変数である保護タイマーを初期化し、保護タイマーの値を0とする。
【0064】
そして、ステップS14において、ステップS01において読み込んだ設定値に変更が加えられたか否かを判定する。設定値の変更がなされたと判定した場合には、ステップS01へ戻り、設定値の取得の処理から上記処理を繰り返す。設定値の変更はなされていないと判定した場合には、ステップS03へ戻り、上記処理を繰り返す。
【0065】
一方、ステップS08において、距離データがレンズ保護距離以下であると判定した場合にはステップS09へ移行する。そして、ステップS09において、レンズ保護部材駆動部53を制御してレンズ保護部材51を保護位置Pへ移動させる。
【0066】
なお、ステップS09において、レンズ保護部材51を保護位置Pへ移動させるとともに、現在レンズ保護部材51が保護位置Pにあることを使用者に知らせる表示を液晶表示装置11やLED等の表示により行ってもよい。
【0067】
次に、ステップS10において、記憶装置32に記憶している変数である保護タイマーを所定の値だけ加算する。すなわち、該保護タイマーは、レンズ保護部材51が保護位置Pに位置している継続時間を示す変数である。
【0068】
次に、ステップS11において、保護タイマーの値が、所定の値以上であるか否かを判定する。保護タイマーの値が、所定の値以上であると判定した場合には、デジタルカメラ1の動作の終了処理を実行し、デジタルカメラ1の電源をオフ状態とする。保護タイマーの値が、所定の値よりも小さいと判定した場合には、ステップS14へ移行し、上述した処理を実行する。
【0069】
次に、上述したステップS07において実行されるレンズ保護距離算出処理について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0070】
まず、ステップS21において、上述したステップS01において取得した設定値から、レンズ保護距離のユーザ設定値が入力されているか否かを判定する。本実施形態では、ユーザ設定値が0以外の値であればレンズ保護距離のユーザ設定値が入力されていると判定してステップS25へ移行し、ユーザ設定値をレンズ保護距離として記憶装置32に記憶し、レンズ保護距離算出処理を終了する。
【0071】
一方、ユーザ設定値が0であれば、レンズ保護距離のユーザ設定値が入力されていないと判定してステップS22へ移行する。
【0072】
ステップS22において、上述したステップS01において取得した設定値から、現在の撮影モードが、マクロモードであるか否かを判定する。現在の撮影モードがマクロモードであると判定した場合には、ステップS26へ移行し、現在の合焦距離等に基づいて、後述する式を用いてマクロモード用のレンズ保護距離Dmを算出する。そして、該マクロモード用のレンズ保護距離Dmを、レンズ保護距離として記憶装置32に記憶し、レンズ保護距離算出処理を終了する。
【0073】
一方、ステップS22において、現在の撮影モードがマクロモードではないと判定した場合には、ステップS23へ移行する。
【0074】
ステップS23において、上述したステップS01において取得した設定値から、現在の撮影モードが、水中モードであるか否かを判定する。現在の撮影モードが水中モードであると判定した場合には、ステップS27へ移行し、後述する式を用いて水中モード用のレンズ保護距離Dwを算出する。そして、該水中モード用のレンズ保護距離Dwを、レンズ保護距離として記憶装置32に記憶し、レンズ保護距離算出処理を終了する。
【0075】
一方、ステップS23において、現在の撮影モードが水中モードではないと判定した場合には、ステップS24へ移行する。
【0076】
ステップS24において、現在の合焦距離等に基づいて、後述する式を用いて通常モード用のレンズ保護距離Dnを算出する。そして、該通常モード用のレンズ保護距離Dnを、レンズ保護距離として記憶装置32に記憶し、レンズ保護距離算出処理を終了する。
【0077】
ここで、本実施形態のレンズ保護距離算出処理のステップS25、ステップS26及びステップS24においてそれぞれ算出される、マクロモード用のレンズ保護距離Dm、水中モード用のレンズ保護距離Dw及び通常モード用のレンズ保護距離Dnの算出方法について図5の表を参照して説明する。
【0078】
まず、撮影モードがマクロモードでも水中モードでもない場合、すなわち撮影モードが通常モードであり、かつ現在の合焦距離が5メートル未満である場合には、次式(1)により通常モード用のレンズ保護距離Dnは算出される。
Dn=0.2×(Y/5)+0.1 ・・・式(1)
ここで、Dnは通常モード用のレンズ保護距離[m]、Yは現在の合焦距離[m]を示し、0≦Y<5である。
【0079】
すなわち、通常モードであり、かつ合焦距離が比較的近い5メートル未満である場合には、レンズ保護距離の値は合焦距離に比例して変化する。具体的には、合焦距離に応じて、レンズ保護距離は0.1メートルから0.3メートルの間で変化する。
【0080】
また、撮影モードが通常モードであり、かつ現在の合焦距離が5メートル以上である場合には、次式(2)により通常モード用のレンズ保護距離Dnは算出される。
Dn=0.3 ・・・式(2)
すなわち、通常モードであり現在の合焦距離が比較的遠い5メートル以上である場合には、レンズ保護距離の値は一定の値、0.3メートルに固定される。
【0081】
また、撮影モードがマクロモードである場合には、次式(3)によりマクロモード用のレンズ保護距離Dmは算出される。
Dm=0.5×Dn ・・・式(3)
マクロモードである場合には、レンズ保護距離の値は、上記通常モード用のレンズ保護距離Dnに1よりも小さい値を乗じた値とされる。すなわちレンズ保護距離の値は、通常モード用のレンズ保護距離Dnよりも小さい値とされる。
【0082】
また、撮影モードが水中モードである場合には、次式(4)により水中モード用のレンズ保護距離Dwは算出される。
Dw=∞ ・・・式(4)
すなわち、水中モードである場合には、レンズ保護距離の値は、無限大とされる。
【0083】
上述した本実施形態のデジタルカメラ1は、レンズユニットの撮像レンズ21の前面21a側に進退可能に配設されたレンズ保護部材51と、撮像レンズ21の前面21a側に存在する物体までの距離を検出する近接センサ14とを具備し、近接センサ14により検出される距離が、所定の値であるレンズ保護距離以下である場合には、レンズ保護部材51を撮影レンズ21の前面21a上の保護位置Pに移動させる構成を具備するものである。
【0084】
すなわち、本実施形態のデジタルカメラ1は、撮像レンズ21の前面21aからレンズ保護距離以内に何らかの物体が存在する場合に、撮像レンズ21の前面21aをレンズ保護部材51により覆い、前面21aを該物体との接触から保護する構成を有する。
【0085】
この構成により、本実施形態によれば、使用者が意図せずに撮像レンズ21の前面21aに触れてしまったり、被写体や障害物が撮像レンズ21の前面21aに接触してしまうことを防止し、撮像レンズ21の前面21aに汚れが付着したり、傷等の破損が生じてしまうことを防ぐことが可能となる。
【0086】
また、上述したように、本実施形態のデジタルカメラ1は、加速度センサ15によりデジタルカメラ1に加えられる衝撃や落下を検知して、撮像レンズ21の前面21aをレンズ保護部材51により保護する構成を有する。このため、より確実に撮像レンズ21の破損を防止することが可能である。
【0087】
また、レンズ保護部材51の少なくともデジタルカメラ1の視野と重なる領域は、可視光線を透過する材料により構成されている。したがって、本実施形態のデジタルカメラ1は、レンズ保護部材51が保護位置Pに移動している状態においても撮影及びライブビュー表示(ファインダ表示)を行うことが可能である。
【0088】
この構成により、本実施形態によれば、撮像レンズ21がレンズ保護部材51により保護されている状態においても、ライブビューによるフレーミングや撮影を実行することが可能である。
【0089】
例えば使用者が撮影動作中に不意に被写体や指を撮像レンズ21に近づけてしまい、レンズ保護部材51が保護位置Pに移動した場合であっても、使用者は撮影動作を妨げられることなく継続して行うことが可能である。
【0090】
よって、使用者は、撮影機会(シャッターチャンス)を逃してしまったり、撮影のリズムを狂わされることなく、言い換えればレンズ保護機構50の存在を意識することなく、快適に撮影に専念することができる。
【0091】
また、本実施形態のデジタルカメラ1は、ステップS11の判定に示したように所定時間以上レンズ保護部材51が保護位置Pに位置している場合には、電源をOFF状態とする構成を有する。
【0092】
レンズ保護部材51が保護位置Pに所定時間以上位置する、すなわち撮像レンズ21の至近に長時間物体が存在する場合として、例えば鞄やケース内で不意の接触により電源がON状態になってしまった場合が想定される。このような場合においても自動的にデジタルカメラ1は電源をOFF状態とされるため、撮像レンズ21を保護するとともに、無駄な電力消費を防止することが可能となる。
【0093】
また、本実施形態のデジタルカメラ1は、レンズ保護部材51を保護位置Pに移動させる判定に用いるレンズ保護距離を、オートフォーカス機能により検出した合焦距離に比例して変化させる構成を有する。すなわち、撮像レンズ21に対して被写体が近づく程レンズ保護距離は短くなる。
【0094】
この構成により、本実施形態によれば、被写体が撮像レンズ21の前面21aに接近する近接撮影(マクロ撮影)時には、レンズ保護距離を短くすることで、レンズ保護部材51が頻繁に保護位置Pに移動することを防止することができる。したがって、レンズ保護部材51の不必要な移動による振動や音の発生を抑制し、かつ消費電力を抑えることが可能である。
【0095】
また、本実施形態においては、レンズ保護距離は、選択された撮影モードに応じて変化する。具体的には、近接撮影時に使用するマクロモードが選択されている場合には、通常撮影モード時よりもレンズ保護距離は短くなる。これにより、レンズ保護部材51が頻繁に保護位置Pに移動することを防止し、レンズ保護部材51の不必要な移動による振動や音の発生を抑制し、かつ消費電力を抑えることが可能である。
【0096】
なお、マクロモード時には、レンズ保護距離は所定の値に固定される形態であってもよい。この場合、レンズユニットの最短撮影可能距離、又は最短撮影可能距離よりも短い値に固定されることが好ましい。
【0097】
また、水中モードが選択されている場合には、レンズ保護距離は無限大とされる。すなわち、水中モードが選択されている場合には常にレンズ保護部材51が保護位置Pに位置決めされる。これは、水中においては、PSDを用いた赤外線センサや超音波を用いた超音波センサからなる近接センサ14による正確な測距が不可能なためである。
【0098】
この構成により、水中モード時には近接センサ14の駆動を停止することで消費電力を抑制し、デジタルカメラ1の連続動作時間を長くすることが可能となる。
【0099】
なお、水中モード時にはレンズ保護距離を0として、常にレンズ保護部材51が開放位置Oに位置決めされる構成であっても、同様の効果が得られることは言うまでもない。また、本実施形態のように筐体に防水構造を有するのではなく、防水ケース内に収容された状態で水中による撮影を行うデジタルカメラであっても、同様に近接センサ14は水中における正確な測距が不可能であるため、同様に本構成を適用することが可能である。
【0100】
なお、上述した本実施形態においては、水中モードは使用者による操作部12の操作により選択されるものであるが、例えばデジタルカメラ1は水没検知センサや圧力センサを具備し、これらの出力からデジタルカメラ1が水中にあるか否かを自動的に判断して水中モードへの切り替えを自動的に行う構成であってもよい。
【0101】
また、本発明は、水中モードを具備しない、すなわち水中における撮影が不可能なデジタルカメラであって適用可能であることは言うまでもない。
【0102】
なお、本実施形態では、レンズ保護機構50のレンズ保護部材51は、レンズ保護部材駆動部53により所定の軸周りに回動されて保護位置Pと開放位置Oとの間を移動するものであるが、例えば図6に示すように、レンズ保護部材51は、略直線状に保護位置Pと開放位置Oとの間を移動する形態であってもよい。
【0103】
また、例えば、図7に示すように、レンズ保護機構50のレンズ保護部材51は、撮像レンズ21に入射する主光線に対して略直行する軸周りに回動されることで、保護位置Pと開放位置Oとの間を移動する形態であってもよい。
【0104】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態について図8を参照して説明する。本実施形態は、第1の実施形態に対して、レンズ保護距離の算出方法が主に異なるものである。よって以下ではこの相違点のみを説明するものとする。
【0105】
本実施形態のデジタルカメラ1は、撮像部2のレンズユニットとして焦点距離が可変なズームレンズ又はバリフォーカルレンズを具備して構成されるものである。そして、本実施形態においては、レンズ保護距離算出処理において、図8の表に示す式に基づいてレンズ保護距離が算出される。
【0106】
まず、撮影モードが通常モードである場合には、次式(5)により通常モード用のレンズ保護距離Dnは算出される。
Dn=0.2×(x/Xmax)+0.1 ・・・式(5)
ここで、Dnは通常モード用のレンズ保護距離[m]、xは現在のレンズユニットの焦点距離、Xmaxはレンズユニットの最大焦点距離を示す。
【0107】
すなわち、通常モードである場合には、レンズ保護距離の値はレンズユニットの焦点距離に比例して変化する。具体的には、レンズユニットの焦点距離に応じて、レンズ保護距離は0.3メートル以下の値で変化する。
【0108】
また、撮影モードがマクロモードである場合には、次式(6)によりマクロモード用のレンズ保護距離Dmは算出される。
Dm=Ymin ・・・式(6)
ここで、Yminは、レンズユニットの現在の焦点距離における最短撮影可能距離である。
【0109】
また、撮影モードが水中モードである場合には、第1の実施形態と同様に次式(4)により水中モード用のレンズ保護距離Dwは算出される。
Dw=∞ ・・・式(4)
上述した本実施形態のデジタルカメラ1は、ズームレンズを具備し、該ズームレンズの焦点距離に比例して、レンズ保護部材51を保護位置Pへ移動させるレンズ保護距離を変化させる。すなわち、レンズユニットが広角側である程、レンズ保護距離は短くなる。
【0110】
これは、レンズユニットのズーム位置が望遠側であれば最短撮影可能距離が長く被写体は比較的遠方に存在するものと考えられるが、ズーム位置が広角側であれば最短撮影可能距離が短く被写体はレンズユニットの至近に存在する可能性があるからである。
【0111】
この構成により、被写体がレンズユニットに接近する広角撮影時には、レンズ保護距離を短くすることで、レンズ保護部材51が頻繁に保護位置Pに移動することを防止することができる。したがって、レンズ保護部材51の不必要な移動による振動や音の発生を抑制し、かつ消費電力を抑えることが可能である。
【0112】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態について図9及び図10を参照して説明する。本実施形態は、第1の実施形態に対して、オートフォーカスの形式と、レンズ保護距離の算出方法が主に異なるものである。よって以下ではこの相違点のみを説明するものとする。
【0113】
本実施形態のデジタルカメラは、いわゆるTTL(Through The Lens)位相差方式のオートフォーカス機構を具備して構成されるものである。
【0114】
TTL位相差方式のオートフォーカス機構は、その概念を図9に示すように、レンズユニットを通過した光束の一部からセパレータレンズを用いて2つの像を形成し、これら2つの像同士の間隔をラインセンサの出力から測定して、前ピンまたは後ピンの何れであるかと、デフォーカス量とを検出し、合焦位置へフォーカスレンズを駆動する、公知の技術である。
【0115】
そして、本実施形態では、図10に示すように、セパレータレンズからラインセンサへ入射する光に、所定の距離である保護距離よりも手前側、すなわちレンズユニット側にピークが存在する場合に、レンズ保護部材51を保護位置Pへと移動させる構成を有する。
【0116】
すなわち、本実施形態では、TTL位相差方式のオートフォーカスを行うためのAF測距エリア内において、保護距離よりも前ピン側に物体が存在すると検知した場合に、レンズ保護部材51を保護位置Pへと移動し、撮像レンズ21の前面21aを保護するものである。
【0117】
このような構成によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、オートフォーカスに使用する測距装置を、撮像レンズ21の前面21aに近接する物体の検知に使用することが可能となるため、デジタルカメラ1の構成をより簡易なものとすることができる。
【0118】
なお、TTL位相差方式のオートフォーカスを行うためのAF測距エリアを複数具備するデジタルカメラ1であれば、図10に示すように保護距離よりも前ピン側に物体が存在すると検知したAF測距エリアが、所定の個数以上である場合にのみ、レンズ保護部材51を保護位置Pへと移動し、撮像レンズ21の前面21aを保護する構成としてもよい。
【0119】
このような構成によれば、1点のAF測距エリアにより物体を検知する場合に比して、誤検知を減少させることが可能となる。
【0120】
また、本実施形態ではTTL位相差方式のオートフォーカス機構を、撮像レンズ21の前面21aに近接する物体の検知に使用しているが、例えば第1の実施形態のデジタルカメラ1のようにPSDを用いた測距装置を具備するデジタルカメラの場合、該測距装置をいわゆる赤外線方式のアクティブオートフォーカス方式の測距にも併用する形態であってもよい。
【0121】
上述した実施形態に基づいて、以下の構成を提案することができる。すなわち、
(付記1)
レンズを介して結像した被写体像をデジタル画像に変換するカメラであって、
上記レンズ前面に配置されたレンズ保護シャッター機構と、
上記レンズに近接する物体を検出する検出手段と、
上記検出手段が、上記レンズから所定距離以内にある物体を検出した場合に上記レンズ保護シャッター機構を閉じるように制御する制御手段と、
を有することを特徴とするカメラ。
【0122】
(付記2)
上記検出手段は、当該カメラに配置された超音波発信源から発信された超音波の反射時間を計測して物体までの距離を検出する超音波センサー、または当該カメラに配置された光源からの光の反射光の方向を計測して物体までの距離を検出する光センサーであることを特徴とする付記1に記載のカメラ。
(付記3)
上記検出手段は、当該カメラのオートフォーカス機構のためのデフォーカスを検出するセンサーであることを特徴とする付記1に記載のカメラ。
【0123】
(付記4)
上記制御手段は、上記保護シャッターを閉じる距離を決定する保護距離決定手段を有することを特徴とする付記1から3のいずれか一項に記載のカメラ。
【0124】
(付記5)
上記保護距離決定手段は、当該カメラの撮影パラメータ間の関係を設定する撮影モード、上記レンズの現在のフォーカス距離、及び最短撮影可能距離のうちの少なくとも一つの値に応じて上記レンズ保護シャッターを閉じる距離を決定することを特徴とする付記4に記載のカメラ。
【0125】
(付記6)
時間を計時する計時手段さらに有し、
上記保護シャッターが閉じた状態が所定時間以上継続する場合は、当該カメラの電源が切られることを特徴とする付記1に記載のカメラ。
【0126】
(付記7)
上記保護シャッターは、少なくとも可視光を透過する部材により構成されていることを特徴とする付記1から6のいずれか一項に記載のカメラ。
【0127】
なお、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うカメラもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0128】
本発明に係るカメラは、上述の実施形態で説明したデジタルカメラの形態に限らず、フィルムにより撮影する形態であってもよいし、また撮影を行う撮像部を備えた録音機器、携帯電話、PDA、ゲーム機、デジタルビデオカメラ、デジタルメディアプレーヤー、テレビ、GPS、時計等の他の電子機器であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】デジタルカメラの正面側を示す斜視図である。
【図2】デジタルカメラの主要な構成を示すブロック図である。
【図3】保護プログラムのフローチャートである。
【図4】レンズ保護距離算出処理のフローチャートである。
【図5】レンズ保護距離の算出方法を条件ごとに示す表である。
【図6】第1の実施形態の変形例を示す斜視図である。
【図7】第1の実施形態の変形例を示す斜視図である。
【図8】第2の実施形態におけるレンズ保護距離の算出方法を条件ごとに示す表である。
【図9】TTL位相差方式のオートフォーカスの概要を示す図である。
【図10】第3の実施形態における物体検知の方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0130】
1 デジタルカメラ、 2 撮像部、 11 液晶表示装置、 12 操作部 、 13 メモリカード、 14 近接センサ、 15 加速度センサ、 16 表示装置駆動回路、 20 撮像素子、 21 撮像レンズ、 21a 前面、 22 フォーカシングレンズ、 23 レンズ駆動部、 30 コントローラ、 31 演算装置、 32 記憶装置、 33 AFコントローラ、 34 レンズ保護機構コントローラ、 51 レンズ保護部材、 53 レンズ保護部材駆動部、 O 開放位置、 P 保護位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系部材により被写体の光学像を結像して撮影するカメラであって、
上記光学系部材の上記被写体側の表面である前面部から上記被写体方向に存在する物体を検出する検出部と、
上記光学系部材の上記前面部を覆う形状を有し、上記被写体方向に対して上記前面部を覆う位置である保護位置と、上記被写体方向に対して上記前面部を露出する位置である開放位置と、の2位置間で移動可能に配設された保護部材と、
上記検出部によって、上記前面部から所定の距離以内に存在する物体が検出された場合に、上記保護部材を上記保護位置に移動させる制御部と、
を具備することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
上記制御部は、上記保護部材を上記保護位置へ移動させる上記所定の距離を算出する保護距離算出部を具備することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
上記保護距離算出部は、当該カメラの撮影時の動作を規定する撮影モードと、上記光学系部材の合焦距離と、上記光学系部材の焦点距離と、上記光学系部材の最短撮影可能距離と、の少なくとも一つの情報に基づいて、上記所定の距離を算出することを特徴とする、請求項2に記載のカメラ。
【請求項4】
時間を計時する計時部さらに有し、
上記保護部材が保護位置に位置する状態が所定時間以上継続する場合は、当該カメラの電源が切られることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のカメラ。
【請求項5】
上記保護部材は、少なくとも一部が可視光を所定の透過率で透過する部材により構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のカメラ。
【請求項6】
上記検出部は、超音波発信源から発信された超音波の反射時間を計測して物体までの距離を検出する超音波センサー、又は光源から出射された光の反射光の方向を計測して物体までの距離を検出する光センサーであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のカメラ。
【請求項7】
上記検出部は、当該カメラのオートフォーカス機構のためのデフォーカスを検出するセンサーであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−93013(P2009−93013A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264730(P2007−264730)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】